(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】測定器および測定システム
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
G01B21/00 A
(21)【出願番号】P 2018057063
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2021-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小澤 隆志
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-233801(JP,A)
【文献】特開平09-270944(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0162178(US,A1)
【文献】特表2013-529787(JP,A)
【文献】特開2017-123515(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0327625(US,A1)
【文献】特開2016-051363(JP,A)
【文献】特開平02-264801(JP,A)
【文献】国際公開第01/009775(WO,A1)
【文献】特開2012-249120(JP,A)
【文献】特開2001-241991(JP,A)
【文献】国際公開第2015/198389(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続手段を介して外部機器と接続される測定器であって、
前記測定器を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
計数動作を制御する通常制御部と、
前記外部機器と接続されることで不要となった前記測定器の機能を停止させる省電力モードを有する省電力制御部と、
所定の契機に基づき前記省電力モードを実行するか否かを判定する判定部と、を備え、
前記省電力制御部は、
前記判定部により前記省電力モードを実行すると判定された場合、前記省電力モードを実行し、
前記外部機器は、使用者からの入力を受け付ける入力部を備え、
前記判定部は、
前記入力部からの入力に基づいて前記省電力モードを実行するか否かを判定する入力判定部を備えることを特徴とする測定器。
【請求項2】
請求項1に記載された測定器において、
前記外部機器は、計数結果の出力を要求する出力要求部を備え、
前記通常制御部は、
計数動作を実行する計数実行部と、
前記出力要求部の要求に応じて前記外部機器へ計数結果を出力する計数出力部と、を備え、
前記省電力制御部は、
前記計数実行部を停止させる前記省電力モードであるスリープモードを実行するスリープ実行部を備え、
前記スリープ実行部は、
前記判定部により前記スリープモードを実行すると判定された場合、前記スリープモードを実行するとともに、前記出力要求部から計数結果の出力の要求があった場合、前記スリープモードを解除して前記計数実行部に計数動作を実行させることを特徴とする測定器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された測定器において、
計数結果を表示する表示手段を備え、
前記省電力制御部は、
前記表示手段の表示を停止させる前記省電力モードである非表示モードを実行する非表示実行部を備え、
前記非表示実行部は、
前記判定部により前記非表示モードを実行すると判定された場合、前記非表示モードを実行することを特徴とする測定器。
【請求項4】
請求項2
または請求項
3に記載された測定器において、
前記外部機器は、計数結果の出力を要求する出力要求部を備え、
前記判定部は、
前記外部機器における前記出力要求部からの出力要求に基づいて前記省電力モードを実行するか否かを判定する出力要求判定部を備えることを特徴とする測定器。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれかに記載された測定器において、
前記判定部は、
前記測定器に前記外部機器が接続されたか否かを判定する接続判定部を備え、
前記接続判定部は、
前記測定器に前記外部機器が接続されたと判定した場合、前記省電力制御部に前記省電力モードを実行させることを特徴とする測定器。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれかの測定器と、
前記測定器と接続される外部機器と、
前記測定器と前記外部機器とを接続する接続手段と、を備えることを特徴とする測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定器および測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接続手段を介して外部機器と接続される測定器に関する測定システムが知られている。測定システムにおける測定器は、例えばダイヤルゲージやノギス、インジケータ、リニアスケール、マイクロメータ等である。
このような測定システムでは、例えば特許文献1に記載の変位検出測定機の状態表示システム(測定システム)は、電池にて駆動するとともに測定データ(計数結果)を表示する表示部を有する変位検出測定機(測定器)と、この変位検出測定機から出力される測定データを入力するコンピュータ(外部機器)と、を備える。変位検出測定機とコンピュータとは有線または無線(接続手段)にて接続されている。
【0003】
変位検出測定機の表示部は、例えば液晶表示装置である。液晶表示装置がバックライトを備えていない場合、周囲が暗い環境にて使用されると、使用者は、表示部に表示された測定データを読み取り難いという問題がある。また、周囲が暗い環境にて使用されると、変位検出測定機の状態が把握し難いため、使用者は、変位検出測定機の操作をし難いという問題がある。しかしながら、変位検出測定機と接続されるコンピュータは、予め変位検出測定機のモデル画像を記憶している。コンピュータは、変位検出測定機にて測定された測定データとモデル画像とを同期させることで、コンピュータのディスプレイにて変位検出測定機の状態をアニメーションとして表示することができる。これにより、使用者は、変位検出測定機の状態表示システムにて、目視確認し難い環境下にある変位検出測定機の表示部に表示された測定データや変位検出測定機の状態などを容易に確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような変位検出測定機の状態表示システムでは、変位検出測定機で測定された測定データ等をコンピュータのディスプレイにて確認できる状態であり、変位検出測定機の表示部を視認できない状態であっても、表示部には測定データが表示され続けている。このため、表示部による表示は必要がないにもかかわらず、表示部のために電力が消費されるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、測定器にて消費される電力を抑制し、省電力化を図ることができる測定器および測定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の測定器は、接続手段を介して外部機器と接続される測定器であって、測定器を制御する制御手段を備え、制御手段は、計数動作を制御する通常制御部と、外部機器と接続されることで不要となった測定器の機能を停止させる省電力モードを有する省電力制御部と、所定の契機に基づき省電力モードを実行するか否かを判定する判定部と、を備え、省電力制御部は、判定部により省電力モードを実行すると判定された場合、省電力モードを実行することを特徴とする。
【0008】
このような本発明によれば、測定器における制御手段は、外部機器と接続されることで不要となった測定器の機能を停止させる省電力モードを有する。そして、測定器は、所定の契機に基づき省電力モードを実行するか否かを判定する判定部を備えるため、判定部が省電力モードを実行すると判定した場合、省電力制御部は省電力モードを実行する。
【0009】
ここで、外部機器と接続されることにより不要となった測定器の機能について説明する。例えば測定器は、通常、計数動作を連続的に実行している。しかし、測定器は、計数動作の必要がなく待機していてもよい場合がある。また、測定器は、測定器および外部機器のそれぞれが有する表示手段に対し、同じ計数結果を表示させることがある。これらの機能は、停止させても差支えない場合がある。省電力モードは、このような測定器が外部機器と接続されることで不要となった機能を停止させるモードである。
したがって、測定器は、外部機器と接続されることで不要となった機能を停止させることで、測定器にて消費される電力消費を抑制し、省電力化を図ることができる。
【0010】
また、測定器は、外部機器や外部電源などからの電源供給ではなく、電池にて駆動している場合がある。この場合、測定器は、外部機器と接続されることにより不要となった測定器の機能を停止させるため、測定器における電力消費を抑制し、電池の長寿命化を図ることができる。
【0011】
この際、外部機器は、計数結果の出力を要求する出力要求部を備え、通常制御部は、計数動作を実行する計数実行部と、出力要求部の要求に応じて外部機器へ計数結果を出力する計数出力部と、を備え、省電力制御部は、計数実行部を停止させる省電力モードであるスリープモードを実行するスリープ実行部を備え、スリープ実行部は、判定部によりスリープモードを実行すると判定された場合、スリープモードを実行するとともに、出力要求部から計数結果の出力の要求があった場合、スリープモードを解除して計数実行部に計数動作を実行させることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、測定器は、計数結果の出力を要求する出力要求部を備える外部機器と接続されることで、出力要求部からの計数の出力要求があったときのみ、計数実行部にて計数を実行することができる。そして、出力要求部より計数結果の出力要求がないときは、計数実行部を停止させることができる。
【0013】
このため、スリープ実行部は、判定部によりスリープモードを実行すると判定された場合、計数実行部を停止させるスリープモードを実行し、出力要求部から計数出力の要求があったとき、スリープモードを解除して計数実行部に計数を実行させるため、計数実行部を間欠的に動作させることができる。したがって、測定器は、連続的に計数実行部を動作させる場合と比較して測定器における電力消費を抑制することができる。
【0014】
この際、測定器は、計数結果を表示する表示手段を備え、省電力制御部は、表示手段の表示を停止させる省電力モードである非表示モードを実行する非表示実行部を備え、非表示実行部は、判定部により非表示モードを実行すると判定された場合、非表示モードを実行することが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、省電力制御部は、表示手段の表示を停止させる非表示モードを実行する非表示実行部を備え、判定部の判定により非表示モードを実行する。したがって、測定器は、測定器の表示手段に常に何かを表示させている状態と比較して測定器における電力消費を抑制することができる。
【0016】
この際、測定器および外部機器の少なくとも一方は、使用者からの入力を受け付ける入力部を備え、判定部は、入力部からの入力に基づいて省電力モードを実行するか否かを判定する入力判定部を備えることが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、入力判定部は、入力部からの入力に基づいて省電力モードを実行するか否かを判定するため、使用者の入力により省電力制御部に省電力モードを実行させることができる。したがって、測定器は、使用者による任意のタイミングにて省電力モードを実行させることができる。
【0018】
この際、判定部は、外部機器における出力要求部からの出力要求に基づいて省電力モードを実行するか否かを判定する出力要求判定部を備えることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、出力要求判定部は、外部機器における出力要求部からの出力要求に基づいて省電力モードを実行するか否かを判定するため、外部機器からの出力要求があったときに、自動的に省電力モードを省電力制御部に実行させることができる。
【0020】
また、出力要求判定部は、出力要求部からの出力要求に基づいて省電力モードを実行するか否かを判定するため、測定器に新たに入力部等を設けることなく、例えば制御手段のプログラムを変更するだけで出力要求判定部を実装することができる。
【0021】
この際、判定部は、測定器に外部機器が接続されたか否かを判定する接続判定部を備え、接続判定部は、測定器に外部機器が接続されたと判定した場合、省電力制御部に省電力モードを実行させることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、接続判定部は、測定器に外部機器が接続されたと判定した場合、省電力制御部に省電力モードを実行させるため、測定器に外部機器が接続されたときに、自動的に省電力モードを省電力制御部に実行させることができる。
【0023】
本発明の測定システムは、本発明の測定器と、測定器と接続される外部機器と、測定器と外部機器とを接続する接続手段と、を備えることを特徴とする。
【0024】
このような本発明によれば、測定システムは、接続手段を介して外部機器と接続された本発明の測定器を備えることで、測定器と外部機器とが接続されることで不要となった機能を停止させ、測定器にて消費される電力消費を抑制し、省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】前記測定システムにおける省電力モードへの切替方法を示すフローチャート
【
図4】前記測定システムにおけるスリープモードを示すフローチャート
【
図5】前記測定システムにおける非表示モードを示すフローチャート
【
図6】第2実施形態に係る測定システムを示すブロック図
【
図7】前記測定システムにおける省電力モードへの切替方法を示すフローチャート
【
図8】第3実施形態に係る測定システムを示すブロック図
【
図9】前記測定システムにおける省電力モードへの切替方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を
図1から
図5に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る測定システムを示す図である。
測定システム1は、
図1に示すように、測定器2と、外部機器3と、接続手段4と、を備える。
【0027】
測定器2は、図示しない計数対象を計数する計数部5と、計数結果を表示する表示手段である測定器表示部6と、を備えるダイヤルゲージである。測定器2は、電池を電源として駆動している。測定器2は、計数部5として円盤状の本体部51と、本体部51を上下方向に貫通するように設けられたスピンドル52と、スピンドル52の先端であり本体部51とは反対側に設けられた測定子53と、備える。
なお、測定器2は、電源を電池とせず、外部機器3や外部電源などを電源としてもよい。
【0028】
測定器表示部6は、本体部51の正面の略中央に設けられた液晶パネルである。測定器表示部6は、計数部5による計数結果Pを表示する。なお、測定器表示部6は、液晶パネルに限らず有機EL(Electro-Luminescence)や電子ペーパーなど、任意のものを用いてもよい。また、測定器表示部6は、計数結果Pに限らず、任意の情報を表示することができる。
【0029】
外部機器3は、表示手段であり計数結果Pを表示する外部表示部7と、使用者からの入力を受け付ける入力部8と、を備える。外部機器3は、例えば測定器2からの計数結果を受け取り所定の処理をすることができる情報処理装置(コンピュータ)である。なお、外部機器3は接続手段4にて測定器2と接続されていればどのようなものでもよく、任意の装置を用いることが可能である。
【0030】
外部表示部7は、測定器表示部6と同様に液晶パネルである。なお、外部表示部7は、液晶パネルに限らず有機ELや電子ペーパーなど、任意のものを用いてもよい。また、外部表示部7は外部機器3と一体ではなく別体として設けられていてもよい。
入力部8は、押下されることで使用者からの入力を受け付けるボタンスイッチである。なお、入力部8は、ボタンスイッチではなく、スライド式やタッチパネル式、キーボード、マウス等でもよく、使用者からの入力を受け付けることができれば、どのようなものを採用してもよい。
【0031】
接続手段4は、測定器2と外部機器3とを接続する通信ケーブルである。接続手段4は、繰り返して着脱が可能なコネクタを介して測定器2と外部機器3とを接続している。なお、接続手段4は、通信ケーブル(有線)を備えず、無線にて測定器2と外部機器3とを接続してもよい。また、接続手段4は、有線である場合、測定器2および外部機器3と着脱可能となっていなくてもよい。
接続手段4は、測定器2からの計数結果を外部機器3に通信したり、外部機器3からの入力を測定器2に通信したりする。なお、接続手段4は、計数結果以外の情報を通信してもよい。
【0032】
図2は、前記測定システムを示すブロック図である。
図2に示すように、測定器2は、測定器2を制御する制御手段20をさらに備える。
また、外部機器3は、計数結果の出力を要求する出力要求部30をさらに備える。外部機器3は、計数結果が必要な際に、測定器2に対して出力要求部30より計数結果の出力要求をして、測定器2より計数結果を取得する。
【0033】
制御手段20は、計数動作を制御する通常制御部21と、測定器2の電力を調整する省電力モードを実行する省電力制御部22と、省電力モードを実行するか否かを判定する判定部23と、を備える。
通常制御部21は、計数動作を実行する計数実行部211と、計数結果を出力する計数出力部212と、を備える。
計数実行部211は、出力要求部30からの出力要求に応じて、計数部5(
図1参照)を制御し計数対象の計数を実行する。計数出力部212は、計数実行部211による計数結果を測定器表示部6と外部機器3とに出力する。外部機器3は、計数出力部212から出力された計数結果を外部表示部7に表示する。なお、外部機器3は、計数出力部212から出力された計数結果を表示するだけでなく、計数結果を演算する等して別の用途に用いてもよい。
【0034】
制御手段20は、測定器2の電力を調整するとともに外部機器3と接続されることで不要となった測定器2の機能を停止させる省電力モードを有する。具体的には、省電力モードは、計数実行部211を停止させるスリープモードと、測定器2の表示手段である測定器表示部6の表示を停止させる非表示モードと、がある。
省電力制御部22は、スリープモードを実行するスリープ実行部221と、非表示モードを実行する非表示実行部222と、を備える。
なお、以下の説明において、省電力モード(スリープモード,非表示モード)に移行しておらず、計数実行部211が連続的に計数動作を実行し、測定器表示部6に計数結果が表示されている状態を、通常モードとして説明することがある。
【0035】
ここで、外部機器3の入力部8は、計数状態切替部81と、表示ON/OFF部82と、を備える(
図1参照)。そして、測定器2における制御手段20の判定部23は、入力判定部231を備える。入力判定部231は、計数状態切替部81から入力があった場合、通常モードからスリープモードへとモードを移行させる。また、入力判定部231は、スリープモードに移行している状態において、計数状態切替部81から入力があった場合、スリープモードを解除し、通常モードへとモードを移行させる。入力判定部231は、表示ON/OFF部82から入力があった場合、通常モードから非表示モードへとモードを移行させる。また、入力判定部231は、非表示モードに移行している状態において、表示ON/OFF部82から入力があった場合、非表示モードを解除し、通常モードへとモードを移行させる。
【0036】
スリープ実行部221は、通常モードからスリープモードへと移行した状態において、出力要求部30から計数結果の出力の要求があった場合、計数実行部211の停止(スリープ)を一旦解除して、計数実行部211に計数動作を実行させる。そして、計数出力部212より計数結果を出力した後、スリープ実行部221は、計数実行部211を再びスリープさせる。なお、以下の説明において、計数実行部211の停止をスリープとして説明することがある。
非表示実行部222は、通常モードから非表示モードへと移行した状態において、測定器表示部6の表示を停止させる。非表示実行部222は、入力判定部231により非表示モードが解除され、通常モードに移行された場合、測定器表示部6に計数結果を表示させる。
【0037】
図3は、前記測定システムにおける省電力モードへの切替方法を示すフローチャートである。
以下、
図3に基づいて測定システム1における省電力モードへの切替方法を説明する。
先ず、
図3に示すように、判定部23の入力判定部231は、外部機器3における入力部8からの入力があるか否かを判定する(ステップST01)。
使用者により入力部8からの入力があった場合(ステップST01でYES)、入力判定部231は、制御手段20のモードを通常モードから省電力モードへと移行させる(ステップST02)。
【0038】
この際、入力部8の計数状態切替部81から入力があった場合(ステップST01でYES)、入力判定部231は、制御手段20のモードを省電力モードであるスリープモードへと移行させる(ステップST02)。また、入力部8の表示ON/OFF部82から入力があった場合(ステップST01でYES)、入力判定部231は、制御手段20のモードを省電力モードである非表示モードへと移行させる(ステップST02)。
なお、入力部8からの入力がない場合(ステップST01でNO)、入力判定部231は、入力部8から入力があるまで判定を実行する(ステップST01)。
【0039】
次に、省電力モードへと移行した状態において(ステップST02)、入力判定部231は、入力部8からの入力があるか否かを判定する(ステップST03)。
使用者により入力部8からの入力があった場合(ステップST03でYES)、入力判定部231は、制御手段20の省電力モードを解除し通常モードへと移行させる(ステップST04)。
【0040】
この際、入力部8の計数状態切替部81から入力があった場合(ステップST03でYES)、入力判定部231は、制御手段20のスリープモードを解除し、通常モードへと移行させる(ステップST04)。また、入力部8の表示ON/OFF部82から入力があった場合(ステップST03でYES)、入力判定部231は、制御手段20の非表示モードを解除し、通常モードへと移行させる(ステップST04)。
【0041】
省電力モードへと移行した状態において(ステップST02)、入力部8からの入力がない場合(ステップST03でNO)、入力判定部231は、入力部8から入力があるまで判定を実行する(ステップST03)。
これにより、使用者は、入力部8からそれぞれのモードに対応した入力をすることで、使用者の任意のタイミングにて簡単に通常モードと省電力モードとを切替えることができる。
【0042】
図4は、前記測定システムにおけるスリープモードを示すフローチャートである。
以下、
図4に基づいて測定システム1におけるスリープモードについて説明する。
先ず、
図3のステップST02にて、制御手段20のモードを通常モードから省電力モードであるスリープモードへと移行させる。
次に、
図4に示すように、制御手段20のモードがスリープモードへ移行すると、省電力制御部22のスリープ実行部221は、通常制御部21の計数実行部211の動作を停止させるスリープ実行工程を実行する(ステップST11)。
【0043】
続いて、スリープ実行部221は、外部機器3の出力要求部30から計数結果の出力結果があるか否かを判定する出力要求判定工程を実行する(ステップST12)。出力要求部30から計数結果の出力要求があった場合(ステップST12でYES)、スリープ実行部221は、計数実行部211を動作させるためスリープを解除するスリープ解除工程を実行する(ステップST13)。出力要求部30から計数結果の出力要求がない場合(ステップST12でNO)、スリープ実行部221は、出力要求部30から計数結果の出力要求があるまで計数実行部211の動作を停止させるスリープ実行工程を実行する(ステップST11)。
【0044】
計数実行部211は、スリープが解除されると、計数対象の計数をする計数工程を実行する(ステップST14)。計数実行部211により計数工程が実行されると、計数出力部212は、測定器2の測定器表示部6と、外部機器3と、に計数結果を出力する出力工程を実行する(ステップST15)。計数出力部212により計数結果が出力された後、スリープ実行部221は、計数実行部211の動作を停止させるスリープ実行工程を実行する(ステップST11)。
【0045】
スリープ実行部221は、
図3のステップST04にて、スリープモードが解除され通常モードへと移行するまで、ステップST11からステップST15を繰り返し実行する。これにより、計数実行部211は、出力要求部30から計数結果の出力要求があるまで動作を停止することができるため、計数実行部211が常時動作しているときと比べて電力消費を抑制することができる。
【0046】
図5は、前記測定システムにおける非表示モードを示すフローチャートである。
以下、
図5に基づいて測定システム1における非表示モードについて説明する。
先ず、
図5に示すように、
図4の計数工程(ステップST14)と同様の計数工程が計数実行部211により実行される(ステップST21)。次に、省電力制御部22の非表示実行部222は、入力部8の表示ON/OFF部82から入力があったか否か、すなわち、
図3にてステップST01が実行され、省電力モードである非表示モードに移行したか否かを判定する(ステップST22)。
【0047】
非表示実行部222は、非表示モードに移行したと判定した場合(ステップST22でYES)、測定器表示部6の表示を停止させる非表示工程を実行する(ステップST23)。非表示実行部222は、非表示モードに移行していないと判定した場合(ステップST22でNO)、測定器表示部6を停止させずに計数結果を表示させる表示工程を実行する(ステップST24)。
【0048】
計数実行部211が計数工程を実行すると(ステップST21)、計数出力部212は、測定器2の測定器表示部6と、外部機器3と、に計数結果を出力する出力工程を実行する(ステップST25)。この際、測定器表示部6にて非表示工程が実行されている場合(ステップST23)、計数結果は出力されても測定器表示部6は停止しているため計数結果は表示されない。測定器表示部6にて表示工程が実行されている場合(ステップST24)、測定器表示部6は計数出力部212より出力された計数結果を表示する。
【0049】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)測定器2における制御手段20は、外部機器3と接続されることで不要となった測定器2の機能を停止させる省電力モードであるスリープモードと非表示モードとを有する。そして、測定器2は、所定の契機に基づき省電力モードを実行するか否かを判定する判定部23を備えるため、判定部23が省電力モードを実行すると判定した場合、省電力制御部22は省電力モードを実行する。したがって、測定器2は、外部機器3と接続されることで不要となった機能を停止させることで、測定器2にて消費される電力消費を抑制し、省電力化を図ることができる。
(2)電池にて駆動する測定器2は、外部機器3と接続されることにより不要となった測定器2の機能を停止させるため、測定器2における電力消費を抑制し、電池の長寿命化を図ることができる。
【0050】
(3)測定器2は、測定器2に対し計数結果の出力を要求する出力要求部30を備える外部機器3と接続されることで、出力要求部30からの計数の出力要求があったときのみ、計数実行部211にて計数を実行することができる。このため、出力要求部30より計数結果の出力要求がないときは、計数実行部211を停止させることができる。
(4)スリープ実行部221は、判定部23によりスリープモードを実行すると判定された場合、計数実行部211を停止させるスリープモードを実行し、出力要求部30から計数出力の要求があったとき、スリープモードを解除して計数実行部211に計数を実行させるため、計数実行部211を間欠的に動作させることができる。したがって、測定器2は、連続的に計数実行部211を動作させる場合と比較して測定器2における電力消費を抑制することができる。
【0051】
(5)省電力制御部22は、測定器表示部6を停止させる非表示モードを実行する非表示実行部222を備え、判定部23の判定により非表示モードを実行するため、使用者が測定器2と外部機器3とが接続されていることにより、測定器2の測定器表示部6を視認しない場合、非表示にすることができる。したがって、測定器2は、測定器表示部6に常に何かを表示させている状態と比較して測定器表示部6における電力消費を抑制することができる。
【0052】
(6)入力判定部231は、入力部8からの入力に基づいて省電力モードを実行するか否かを判定するため、使用者の入力により省電力制御部22に省電力モードを実行させることができる。したがって、測定器2は、使用者による任意のタイミングにて省電力モードを実行させることができる。
【0053】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を
図6および
図7に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図6は、第2実施形態に係る測定システムを示すブロック図である。
前記第1実施形態では、測定器2における制御手段20の判定部23は、入力部8からの入力の有無を判定する入力判定部231を備えていた。また、外部機器3は入力部8を備えていた。
本実施形態の測定システム1Aでは、
図6に示すように、測定器2Aにおける制御手段20Aの判定部23Aは、外部機器3Aの出力要求部30からの出力要求の有無を判定する出力要求判定部231Aを備える点で前記第1実施形態と異なる。また、外部機器3Aは、入力部8を備えていない点で前記第1実施形態と異なる。
【0055】
図7は、前記測定システムにおける省電力モードへの切替方法を示すフローチャートである。
以下、
図7に基づいて測定システム1Aにおける省電力モードへの切替方法を説明する。
先ず、
図7に示すように、判定部23Aの出力要求判定部231Aは、外部機器3Aにおける出力要求部30からの出力要求があるか否かを判定する(ステップST31)。すなわち、出力要求判定部231Aは、測定器2Aを起動し、外部機器3Aの出力要求部30から初回の出力要求があるか否かを判定する(ステップST31)。
【0056】
出力要求部30からの出力要求があった場合(ステップST31でYES)、出力要求判定部231Aは、制御手段20Aのモードを通常モードから省電力モード(スリープモード,非表示モード)へと移行させる(ステップST32)。
そして、省電力モードへと移行すると、測定器2Aの制御手段20Aは、
図4に示すスリープモードと、
図5に示す非表示モードと、を実行する。
【0057】
このような本実施形態においても、前記第1実施形態における(1)~(5)と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(7)出力要求判定部231Aは、外部機器3における出力要求部30からの出力要求に基づいて省電力モードを実行するか否かを判定するため、外部機器3からの出力要求があったときに、自動的に省電力モードを省電力制御部22に実行させることができる。
(8)出力要求判定部231Aは、出力要求部30からの出力要求に基づいて省電力モードを実行するか否かを判定するため、測定器2Aに新たに入力部8等を設けることなく、制御手段20Aのプログラムを変更するだけで出力要求判定部231Aを実装することができる。
【0058】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態を
図8および
図9に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0059】
図8は、第3実施形態に係る測定システムを示すブロック図である。
前記第2実施形態では、測定器2Aにおける制御手段20Aの判定部23Aは、外部機器3Aの出力要求部30からの出力要求の有無を判定する出力要求判定部231Aを備えていた。
本実施形態の測定システム1Bでは、
図8に示すように、測定器2Bにおける制御手段20Bの判定部23Bは、外部機器3Aと接続手段4を介して接続されたか否かを判定する接続判定部231Bを備える点で前記第2実施形態と異なる。
【0060】
図9は、前記測定システムにおける省電力モードへの切替方法を示すフローチャートである。
以下、
図9に基づいて測定システム1Bにおける省電力モードへの切替方法を説明する。
先ず、
図9に示すように、判定部23Bの接続判定部231Bは、接続手段4を介して測定器2Bと外部機器3Aとが接続されたか否かを判定する(ステップST41)。
接続手段4を介して測定器2Bと外部機器3Aとが接続されたと判定した場合(ステップST41でYES)、接続判定部231Bは、制御手段20Bのモードを通常モードから省電力モードへと移行させる(ステップST42)。
そして、省電力モードへと移行すると、測定器2Bは、
図4に示すスリープモードと、
図5に示す非表示モードと、を実行する。
【0061】
次に、省電力モードへと移行した状態において(ステップST42)、接続判定部231Bは、接続手段4を介して測定器2Bと外部機器3Aとが接続されているか否かを判定する(ステップST43)。
接続手段4を介して測定器2Bと外部機器3Aとが接続されていない場合(ステップST43でNO)、接続判定部231Bは、制御手段20Bの省電力モードを解除し通常モードへと移行させる(ステップST44)。
【0062】
省電力モードへと移行した状態において(ステップST42)、接続手段4を介して測定器2Bと外部機器3Aとが接続されている場合(ステップST43でYES)、接続判定部231Bは、測定器2Bと外部機器3Aとの接続が解除されるまで測定器2Bと外部機器3Aとの接続状態の判定を実行する(ステップST43)。
【0063】
このような本実施形態においても、前記第1実施形態における(1)~(5)と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(9)接続判定部231Bは、測定器2に外部機器3が接続されたと判定した場合、省電力制御部22に省電力モードを実行させるため、測定器2に外部機器3が接続されたときに、自動的に省電力モードを省電力制御部22に実行させることができる。
【0064】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、測定器1,1A~1Bはダイヤルゲージである場合を説明したが、測定器はダイヤルゲージではなく、接続手段を介して外部機器と接続されるとともに計数対象を計数することができる測定器であれば、どのようなものを採用してもよい。要するに、測定器は、測定器の形式や計数方式等は特に限定されるものではない。
【0065】
前記第1実施形態では、入力部8は外部機器3が備えていたが、測定器2が備えていてもよいし、測定器2と外部機器3との双方が入力部8を備えていてもよい。要するに、測定器および外部機器の少なくとも一方は、使用者からの入力を受け付ける入力部を備えていればよい。
【0066】
図10は、変形例に係る測定システムのブロック図である。
前記各実施形態において、判定部23,23A~23Bは、第1実施形態では入力判定部231を備え、第2実施形態では出力要求判定部231Aを備え、第3実施形態では接続判定部231Bを備えていた。本変形例の測定システム1Cでは、測定器2Cにおける制御手段20Cの判定部23Cは、入力判定部231と、出力要求判定部231Aと、接続判定部231Bと、を備えている点で前記各実施形態と異なる。この場合、判定部23Cは、どのように判定を組み合わせて省電力モードを実行するか否かを判定してもよい。
【0067】
例えば、判定部23Cは、接続手段4を介して測定器2Cと外部機器3とが接続されたか否かを接続判定部231Bにて判定し、接続されたと判定された場合、通常モードから省電力モードへと移行させる。そして、省電力モードへと移行されている状態において、使用者は外部機器3の入力部8から入力し、省電力モードを解除し通常モードへと移行させてもよい。
【0068】
前記各実施形態において、判定部23,23A~23Cは、第1実施形態では入力判定部231を備え、第2実施形態では出力要求判定部231Aを備え、第3実施形態では接続判定部231Bを備え、前述の変形例では、入力判定部231と、出力要求判定部231Aと、接続判定部231Bと、を備えていたが、判定部は、これらの判定部を備えていなくてもよい。また、これらの判定部以外の判定部を備えていてもよい。要するに、判定部は、所定の契機に基づき省電力モードを実行するか否かを判定することができればよい。
【0069】
前記各実施形態において、省電力モードであるスリープモードおよび非表示モードは、両方ともに実行されていたが、どちらか一方の省電力モードだけが実行されてもよい。
また、前記各実施形態において、制御手段20,20A~20Cは、省電力モードとしてスリープモードと非表示モードとを有していたが、制御手段はスリープモードと非表示モードとを有していなくてもよい。また、計数実行部211や測定器表示部6以外を停止させる省電力モードを有していてもよい。要するに、制御手段は、外部機器と接続されることで不要となった測定器の機能を停止させる省電力モードを有していればよい。
【0070】
前記各実施形態において、外部機器3は出力要求部30を備え、通常制御部21は出力要求部30からの出力要求に応じて計数結果を外部機器3に出力していたが、外部機器は出力要求部を備えていなくてもよい。この場合、通常制御部は、計数する都度、外部機器に計数結果を出力すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明は、測定器および測定システムに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0072】
1,1A~1C 測定システム
2 測定器
3 外部機器
4 接続手段
8 入力部
20,20A~20C 制御手段
21 通常制御部
22 省電力制御部
23,23A~23C 判定部
30 出力要求部
211 計数実行部
212 計数出力部
221 スリープ実行部
222 非表示実行部
231 入力判定部
231A 出力要求判定部
231B 接続判定部