(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】基板の応力を決定する方法、リソグラフィプロセス、リソグラフィ装置、及びコンピュータプログラム製品を制御するための制御システム
(51)【国際特許分類】
G03F 9/00 20060101AFI20220516BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220516BHJP
G01B 11/16 20060101ALI20220516BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G03F7/20 521
G01B11/16 H
H01L21/68 F
(21)【出願番号】P 2019550166
(86)(22)【出願日】2018-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2018053013
(87)【国際公開番号】W WO2018166717
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2019-11-12
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ファン ハレン、リチャード、ヨハネス、フランシスクス
(72)【発明者】
【氏名】ファン デイク、レオン、パウル
(72)【発明者】
【氏名】マラコフスキー、イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】オッテン、ロナルド、ヘンリクス、ヨハネス
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-293225(JP,A)
【文献】特開平08-195335(JP,A)
【文献】特開2001-274073(JP,A)
【文献】特開2003-163156(JP,A)
【文献】特開2010-122526(JP,A)
【文献】特表2015-534102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の応力を決定する方法であって、
基板に適用された少なくとも1つの第1のフィーチャーの測定位置と少なくとも1つの第2のフィーチャーの測定位置との間の測定位置差を決定し、
前記第1のフィーチャー及び前記第2のフィーチャーは、前記測定位置を測定するために使用されるリソグラフィ装置の単一露光画像フィールド内に配置され、
前記測定された位置差から基板内の局所応力を決定
し、
前記方法は、
複数のフィーチャー対から複数の測定位置差を決定することをさらに含み、各フィーチャー対は基板上の異なる位置に配置され、前記少なくとも1つの第1のフィーチャーの1つと、前記少なくとも1つの第2のフィーチャーの1つを含み、
測定された各位置差から基板の局所応力を決定し、
局所応力に基づいて、基板上の応力変動を示す応力フィンガープリントを決定する、方法。
【請求項2】
前記複数のフィーチャー対のサブセットからの測定値を平均して、平均測定位置差を取得し、
前記平均測定位置差を使用して、そのサブセットに対応する局所応力を決定する、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
各局所応力決定が画像フィールドごとに平均化されるように、各サブセットが基板上の画像フィールドによって定義される、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
応力フィンガープリントから前記基板の面内ディストーションを決定することをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記決定された面内ディストーションを使用して、前記基板に後続のパターニングステップを実行するための補正を決定することをさらに含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記補正の決定は、前記決定された面内ディストーションを、前記基板に適用されるパターンの既知のレイアウト情報と結合することを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記既知のレイアウト情報は、パターンが適用される基板領域の知識を含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
リソグラフィプロセスを制御するための制御システムであって、
前記制御システムは、
複数のフィーチャー対からの複数の測定位置差を含む計測データを受信するためのストレージであって、各フィーチャー対は基板上の異なる位置に配置され、第1のフィーチャーと第2のフィーチャーを含むストレージと、
プロセッサであって、
測定された位置差のそれぞれから基板内の局所応力を決定するように動作可能であり、
測定された位置の差に基づいて、基板上の応力変動を記述する応力フィンガープリントを決定し、
応力フィンガープリントから基板の面内ディストーションを決定し、
決定された面内ディストーションを使用して、基板上で後続のパターニングステップを実行するための補正を決定するプロセッサを含む、制御システム。
【請求項9】
各フィーチャー対が、基板を位置決めする際のリソグラフィプロセス中に使用されるアライメントマークを含む、請求項
8に記載の制御システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、
少なくとも1つの第1のフィーチャーの測定位置及びウエハ変形ステップの前の少なくとも1つの第2のフィーチャーの少なくとも1つの測定位置から基準位置差を決定し、
ウエハ変形ステップに続いて、前記測定された位置差を決定し、
前記基準位置差を使用して各測定位置差を補正し、局所応力を決定するステップにおいて、補正された測定位置差を使用することにより、各局所応力測定値を補正するための露光補正を決定するように動作可能である、請求項
9に記載の制御システム。
【請求項11】
請求項
8に記載の制御システムを備えるリソグラフィ装置。
【請求項12】
請求項1に記載の方法のステップを実施するための機械可読命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばリソグラフィなどのパターニングプロセスによりデバイスの製造において性能を維持するために使用可能な制御装置及び制御方法に関する。本発明はさらに、リソグラフィ技術を使用してデバイスを製造する方法に関する。本発明はさらに、そのような方法を実施する際に使用するためのコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィプロセスは、リソグラフィ装置が基板上、通常は基板のターゲット部分に所望のパターンを適用し、その後、さまざまな処理化学的及び/又は物理的処理ステップがパターンを介して複雑な製品の機能的フィーチャーを作成するプロセスである。基板上のパターンの正確な配置は、リソグラフィによって生成される可能性のある回路コンポーネントやその他の製品のサイズを縮小するための主要な課題である。特に、既に配置された基板上のフィーチャーを正確に測定するという課題は、作業デバイスを高い歩留まりで生産するのに十分な精度で連続したフィーチャーの層を重ね合わせて配置できる重要なステップである。いわゆるオーバーレイは、一般に、今日のサブミクロン半導体デバイスでは数十ナノメートル以内、最も重要な層では数ナノメートルまで達成する必要がある。
【0003】
その結果、最新のリソグラフィ装置は、ターゲット位置で基板を実際に露光又はパターン化するステップの前に、広範な測定又は「マッピング」操作を伴う。いわゆる高度なアライメントモデルは、処理ステップ及び/又はリソグラフィ装置自体によって引き起こされるウエハ「グリッド」の非線形ディストーションをより正確にモデリング及び修正するために開発され続けている。
【0004】
基板の応力とインラインのディストーションは、場合によっては、クランプされていない基板の形状(傾斜など)の測定によって決定できる。しかしながら、これは、例えば、処理により平坦な基板が得られる場合、常に可能とは限らない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、リソグラフィプロセスにおけるオーバーレイなどのパラメータの性能を制御するシステムを改善することを目的とする。
【0006】
より具体的には、本発明は、基板内の応力の測定を改善することを目的とする。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、基板の応力を決定する方法であって、基板に適用された少なくとも1つの第1のフィーチャーの測定位置と少なくとも1つの第2のフィーチャーの測定位置との間の測定位置差を決定し、前記第1のフィーチャー及び前記第2のフィーチャーは、前記測定位置を測定するために使用されるリソグラフィ装置の単一露光画像フィールド内に配置され、前記測定された位置差から基板内の局所応力を決定する方法が提供される。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、リソグラフィプロセスを制御するための制御システムであって、前記制御システムは、複数のフィーチャー対からの複数の測定位置差を含む計測データを受信するためのストレージであって、各フィーチャー対は基板上の異なる位置に配置され、第1のフィーチャーと第2のフィーチャーを含むストレージと、プロセッサであって、測定された位置差のそれぞれから基板内の局所応力を決定するように動作可能であり、測定された位置の差に基づいて、基板上の応力変動を記述する応力フィンガープリントを決定し、応力フィンガープリントから基板の面内ディストーションを決定し、決定された面内ディストーションを使用して、基板上で後続のパターニングステップを実行するための補正を決定するプロセッサを含む、制御システムが提供される。
【0009】
本発明はさらに、上述の本発明の第2の態様による制御システムを含むリソグラフィ装置を提供する。
【0010】
本発明はさらに、上述の本発明の第1の態様による方法で計算ステップを実施するための機械可読命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【0011】
本明細書に開示される装置及び方法のこれら及び他の態様及び利点は、例示的な実施形態の以下の説明及び図面の考察から理解されるであろう。
【0012】
次に、対応する参照記号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら、単なる例として、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態での使用に適したリソグラフィ装置を示す図である。
【
図2】本発明による検査装置を使用することができるリソグラフィセル又はクラスターを示す図である。
【
図3】公知の方法による、
図1の装置における測定及び露光プロセスを概略的に示す。
【
図4】本発明の実施形態で測定され得る例示的なアライメントマークの概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示的な環境を提示することは有益である。
【0015】
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示している。装置は、放射ビームB(例えば、UV放射又はDUV放射)を調整するように構成された照明システム(照明器)IL、パターニングデバイス(例えば、マスク)を支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに接続される、パターニングデバイス支持又は支持構造(例えば、マスクテーブル)MT;それぞれが基板(例えば、レジストコーティングされたウエハ)Wを保持するように構成され、それぞれが特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに接続された2つの基板テーブル(例えば、ウエハテーブル)WTa及びWTb;及びパターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSを含む。フレームRFはさまざまなコンポーネントを接続し、パターニングデバイスと基板、及びそれらのフィーチャーの位置を設定及び測定するための基準として機能する。
【0016】
照明システムは、放射線を誘導、成形、又は制御するために、屈折、反射、磁気、電磁気、静電、又は他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなど、さまざまなタイプの光学コンポーネントを含み得る。例えば、極端紫外線(EUV)放射を使用する装置では、通常、反射光学部品が使用される。
【0017】
パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び例えばパターニングデバイスが真空環境に保持されているかどうかなどの他の条件に依存する方法でパターニングデバイスを保持する。パターニングデバイスのサポートは、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電、又はその他のクランプ技術を使用できる。パターニングデバイスサポートMTは、例えば、必要に応じて固定又は可動式にすることができるフレーム又はテーブルとすることができる。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスが、例えば投影システムに対して所望の位置にあることを保証できる。
【0018】
本明細書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを作成するなど、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用できるデバイスを指すと広く解釈されるべきである。放射ビームに与えられるパターンは、例えば、パターンが位相シフト機能又はいわゆるアシスト機能を含む場合、基板のターゲット部分の所望のパターンに正確に対応しない可能性があることに注意すべきである。一般に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に作成されるデバイスの特定の機能層に対応する。
【0019】
本明細書に示されているように、装置は透過タイプである(例えば、透過パターニングデバイスを使用する)。あるいは、装置は、反射型のもの(例えば、上記で言及したタイプのプログラマブルミラーアレイを使用するもの、又は反射型マスクを使用するもの)であってもよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルが含まれる。本明細書における「レチクル」又は「マスク」という用語の使用はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義と見なすことができる。「パターニングデバイス」という用語は、そのようなプログラム可能なパターニングデバイスを制御する際に使用するためのパターン情報をデジタル形式で保存するデバイスを指すと解釈することもできる。
【0020】
本明細書で使用される「投影システム」という用語は、屈折、反射、反射屈折、磁気、電磁気、及び静電光学システム、又は使用される露光放射線、液浸液の使用や真空の使用などのその他の要因に適切なそれらの組み合わせを含むあらゆるタイプの投影システムを包含すると広く解釈されるべきである。本明細書における「投影レンズ」という用語の使用はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0021】
リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすために、基板の少なくとも一部を比較的高い屈折率を有する液体、例えば水で覆うことができるタイプのものでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。投影システムの開口数を増加させるための液浸技術は、当技術分野で周知である。
【0022】
動作中、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば、放射源がエキシマレーザーである場合、放射源とリソグラフィ装置は別個の実体であってもよい。そのような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成するとはみなされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダーを含むビーム送達システムBDの助けを借りて放射源SOから照明器ILに送られる。他の場合、例えば放射源が水銀灯である場合、放射源はリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要であればビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼ばれることがある。
【0023】
イルミネータILは、例えば、断面における放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタAD、積分器IN及びコンデンサCOを含むことができる。
【0024】
放射ビームBは、パターニングデバイス支持体MT上に保持されているパターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを横断した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる。第2ポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉装置、リニアエンコーダ、2Dエンコーダ、又は静電容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTa又はWTbは、例えば放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを配置するように正確に移動することができる。同様に、第1ポジショナPMと別の位置センサー(
図1には明示されていない)を使用して、マスクライブラリからの機械的検索後、又はスキャン中に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(たとえばマスク)MAを正確に配置できる。
【0025】
パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示の基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占めるが、それらはターゲット部分の間のスペースに配置されてもよい(これらはスクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に複数のダイが提供される状況では、マスクアライメントマークはダイ間に配置されてもよい。デバイスの機能の中で、ダイ内に小さなアライメントマークを含めることもできる。その場合、マーカーはできるだけ小さく、隣接する機能とは異なるイメージング又はプロセス条件を必要としないことが望ましい。アライメントマーカーを検出するアライメントシステムについては、以下でさらに説明する。
【0026】
図示の装置は、さまざまなモードで使用できる。スキャンモードでは、パターニングデバイスサポート(マスクテーブルなど)MTと基板テーブルWTが同期スキャンされ、放射ビームに与えられたパターンがターゲット部分Cに投影される(つまり、単一の動的露光)。パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率及び像反転特性によって決定され得る。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズにより、1回の動的露光でのターゲット部分の幅(非スキャン方向)が制限されるが、スキャン動作の長さにより、ターゲット部分の(スキャン方向の)高さが決まる。当技術分野で周知のように、他のタイプのリソグラフィ装置及び動作モードが可能である。例えば、ステップモードは既知である。いわゆる「マスクレス」リソグラフィでは、プログラム可能なパターニングデバイスは静止しているが、パターンは変化し、基板テーブルWTは移動又はスキャンされる。
【0027】
上述の使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも使用することができる。
【0028】
リソグラフィ装置LAは、基板テーブルを交換できる2つの基板テーブルWTa、WTb、及び露光ステーションEXP及び測定ステーションMEAの2つのステーションを有する、いわゆるデュアルステージタイプのものである。1つの基板テーブル上の1つの基板が露光ステーションで露光されている間に、別の基板を測定ステーションで他の基板テーブルにロードし、さまざまな準備ステップを実行できる。これにより、装置のスループットを大幅に向上させることができる。単一ステージ装置では、準備ステップと露光ステップは、各基板に対して単一ステージで連続して実行する必要がある。準備ステップには、レベルセンサLSを使用して基板の表面高さの輪郭をマッピングし、アライメントセンサASを使用して基板上のアライメントマーカーの位置を測定することが含まれる。位置センサIFが測定ステーション及び露光ステーションにある間、基板テーブルの位置を測定できない場合、基準フレームRFに関して、両方のステーションで基板テーブルの位置を追跡できるようにするために、第2の位置センサが提供されてもよい。示されているデュアルステージ配置の代わりに、他の配置が知られており、使用可能である。例えば、基板テーブルと測定テーブルが提供される他のリソグラフィ装置が知られている。これらは、準備測定を実行するときに一緒にドッキングされ、その後、基板テーブルが露光中にドッキング解除される。
【0029】
図2に示すように、リソグラフィ装置LAは、リソセル又はクラスターとも呼ばれるリソグラフィセルLCの一部を形成し、基板上で露光前及び露光後プロセスを実行する装置も含む。従来、これらには、レジスト層を堆積するスピンコーターSC、露光されたレジストを現像する現像液DE、冷却プレートCH及びベークプレートBKが含まれる。基板ハンドラー又はロボットROは、入出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り出し、異なるプロセス装置間で基板を移動し、リソグラフィ装置のローディングベイLBに搬送する。総称してトラックと呼ばれることが多いこれらのデバイスは、監視制御システムSCSによって制御されるトラック制御ユニットTCUの制御下にあり、監視制御システムSCSもリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置を制御する。したがって、異なる装置を操作して、スループットと処理効率を最大化できる。
【0030】
リソグラフィ装置によって露光される基板が正しく一貫して露光されるように、露光された基板を検査して、後続の層間のオーバーレイエラー、線の太さ、クリティカルディメンジョン(CD)などの特性を測定することが望ましい。したがって、リソセルLCが位置する製造施設は、リソセルで処理された基板Wの一部又はすべてを受け取る計測システムMETも含む。計測結果は、直接又は間接的に監視制御システムSCSに提供される。エラーが検出された場合、後続の素材の露光を調整できる。
【0031】
計測システムMET内では、検査装置を使用して、基板の特性、特に異なる基板又は同じ基板の異なる層の特性が層ごとにどのように変化するかを決定する。検査装置は、リソグラフィ装置LA又はリソセルLCに統合されてもよいし、独立型装置であってもよい。最も迅速な測定を可能にするために、検査装置は、露光直後に露光されたレジスト層の特性を測定することが望ましい場合がある。しかしながら、すべての検査装置が潜像の有用な測定を行うのに十分な感度を備えているわけではない。したがって、露光後のベークステップ(PEB)の後に測定を行ってもよい。これは通常、露光済み基板で実行される最初のステップであり、レジストの露光済み部分と未露光部分のコントラストを高める。この段階では、レジスト内の画像は半潜像と呼ばれることがある。また、現像されたレジスト画像の測定を行うこともできる。この時点で、レジストの露光部分又は非露光部分が除去されている。また、すでに露光している基板は、歩留まりを改善するために剥がして再加工するか、廃棄することができ、それにより欠陥があることが知られている基板のさらなる処理の実行を回避できる。基板の一部のターゲット部分のみに欠陥がある場合、良好なターゲット部分のみにさらされる。
【0032】
計測システムMETを使用した計測ステップは、レジストパターンが製品層にエッチングされた後に行うこともできる。後者の可能性は、欠陥のある基板の再加工の可能性を制限するが、製造プロセス全体のパフォーマンスに関する追加情報を提供する場合がある。
【0033】
図3は、
図1のデュアルステージ装置において基板W上のターゲット部分(例えば、ダイ)を露光するステップを示す。まず、従来の慣例によるプロセスを説明する。本開示は、例示されたタイプのデュアルステージ装置には限定されない。当業者は、他のタイプのリソグラフィ装置、例えば単一の基板ステージ及びドッキング計測ステージで同様の動作が実行されること理解できるであろう。
【0034】
点線のボックス内の左側には測定ステーションMEAで実行されるステップを示し、右側には露光ステーションEXPで実行されるステップを示す。上述のように、時々、基板テーブルWTa、WTbの一方は露光ステーションにあり、他方は測定ステーションにある。この説明の目的のために、基板Wが露光ステーションに既にロードされていると仮定する。ステップ200では、図示されていない機構により新しい基板Wが装置にロードされる。これら2つの基板は、リソグラフィ装置のスループットを増加させるために並行して処理される。
【0035】
最初に新たにロードされた基板W´を参照すると、これは、装置内での最初の露光のために新しいフォトレジストで準備された前に処理されていない基板であり得る。ただし、一般に、説明したリソグラフィプロセスは一連の露光及び処理ステップの1つのステップに過ぎないため、基板Wはこの装置及び/又は他のリソグラフィ装置を既に数回通過しており、後続のプロセスを経ることがある。特に、オーバーレイ性能を改善する問題の場合、タスクは、1回以上のパターン化と処理のサイクルをすでに受けた基板上の正確な位置に新しいパターンを確実に適用することである。各パターニングステップは、適用されたパターンに位置偏差をもたらす可能性があるが、後続の処理ステップは、基板及び/又はそれに適用されるパターンにディストーションを徐々に導入する。
【0036】
前述及び/又は後続のパターニングステップは、上述したように他のリソグラフィ装置で実行されてもよく、異なるタイプのリソグラフィ装置で実行されてもよい。例えば、解像度やオーバーレイなどのパラメータが非常に要求されるデバイス製造プロセスの一部のレイヤーは、要求の少ない他のレイヤーよりも高度なリソグラフィーツールで実行できる。従って、一部の層は液浸型リソグラフィーツールで露光され、他の層は「ドライ」ツールで露光される。DUV波長で動作するツールで露光される層もあれば、EUV波長放射を使用して露光される層もある。いくつかの層は、図示されたリソグラフィ装置での露光の代替的又は補足的なステップによってパターン化されてもよい。そのような代替技術及び補足技術には、例えば、インプリントリソグラフィ、自己整合多重パターニング、及び指向性自己組織化が含まれる。同様に、層ごとに実行される他の処理ステップ(たとえば、CMP及びエッチング)は、層ごとに異なる装置で実行されてもよい。
【0037】
202では、基板マークPIなど及び画像センサ(図示せず)を使用したアライメント測定を使用して、基板テーブルWTa/WTbに対する基板のアライメントを測定及び記録する。加えて、基板Wにわたるいくつかのアライメントマークは、アライメントセンサASを使用して測定される。これらの測定値は、一実施形態では、基板モデル(「ウエハグリッド」と呼ばれることもある)を確立するために使用され、公称長方形グリッドに対するディストーションを含む基板全体のマーク分布を非常に正確にマッピングする。
【0038】
ステップ204で、レベルセンサLSを使用して、X-Y位置に対するウエハ高さ(Z)のマップも測定される。主に、高さマップは、露光されたパターンの正確な焦点合わせを達成するためにのみ使用される。さらに、他の目的にも使用してもよい。
【0039】
基板Wがロードされると、実行される露光、並びにウエハの特性、及び以前に作成され、その上に作成されるパターンを定義するレシピデータ206を受信する。基板上にアライメントマークの選択がある場合、及びアライメントセンサの設定の選択がある場合、これらの選択は、レシピデータ206の中のアライメントレシピで定義される。したがって、アライメントレシピは、どのようにアライメントマークの位置を測定するか、及びどのマークを測定するかを定義する。
【0040】
210では、測定された基板Wが露光ステーションEXPに入る基板Wになるように、ウエハWとウエハW´が交換される。
図1の例の装置では、この交換は装置内でサポートWTaとWTbを交換することにより実行され、基板W、W´はこれらのサポートに正確にクランプされ、位置決めされたままで、基板テーブルと基板自体の間の相対的なアライメントを維持する。したがって、テーブルが交換されると、露光ステップの制御中の基板W(以前のW´)の測定情報202、204を利用するために必要なことは、投影システムPSと基板テーブルWTb(以前のWTa)との間の相対位置を決定することだけである。ステップ212で、マスクアライメントマークM1、M2を使用してレチクルアライメントが実行される。ステップ214、216、218では、多数のパターンの露光を完了するために、走査運動と放射パルスが基板W全体の連続するターゲット位置に印加される。露光ステップの実行で測定ステーションで得られたアライメントデータと高さマップを使用することにより、これらのパターンは、所望の位置、特に同じ基板上に以前に配置されたフィーチャーに関して正確に位置合わせされる。ここでW´´とラベル付けされた露光された基板は、露光されたパターンに従ってエッチング又は他のプロセスを受けるために、ステップ220で装置からアンロードされる。
【0041】
基板のディストーションは、リソグラフィプロセスのオーバーレイ性能に影響する場合がある。基板のディストーションは、基板の熱処理(レーザーアニールなど)又は応力のかかった薄膜の堆積によって生じる場合がある。オフライン計測ツールで測定できる自由形状の基板形状は、このディストーションの結果として変化する可能性がある。大量生産で見られる典型的な形状は、ボウル(凹面)、傘(凸面)、及びサドル形状である。これらの形状からの逸脱は、高次の面内ディストーションをもたらす。ほとんどの場合、これらの面内ディストーションはゆっくりと空間的に変化する関数であり、(例えば)高次ウエハアライメント(HOWA)モデルなどの既存のアライメントモデルでキャプチャできる。別のアプローチは、自由形状の基板形状測定を使用することである。自由形状の基板形状とクランプ後の面内ディストーションの関係がわかっているか、モデル化できる場合は、オーバーレイパフォーマンスを改善するために予測(及び修正)を行うことができる。
【0042】
応力分布が基板位置の関数として変化する状況、又は応力層も基板の裏面に堆積する状況では、面内ディストーションを予測することはより困難になる。特定の例として、不均一な応力がかかった薄膜層(例えば、窒化シリコン)を基板の前面と背面の両方に堆積させてもよい。これらのフィルムは、自由形状の基板形状が平坦なままであるように十分に類似している場合がある。そのような場合、面内ディストーションは自由形状の基板形状測定から予測することはできない。また、応力分布が高すぎて適切にキャプチャ及び/又はシャープな遷移を持たない可能性があるため、適切なアライメントモデルを使用して面内ディストーションをキャプチャすることも困難である。これは、基板上にパターン化フィールドと非パターン化フィールド(エッジなど)の両方がある場合に発生する可能性がある。さらに、処理フィンガープリントは、たとえばアライメントマークの変形により、ストレスフィンガープリントと競合する場合がある。
【0043】
これに対処するために、理想的には基板上で互いに近い2つのフィーチャー間のローカルシフトを測定することにより、基板応力を決定することが提案されている。特定の例として、2つのフィーチャーは、同じアライメントマークの捕捉格子と微細なアライメント格子であってもよい。基板のストレスフィンガープリントを決定するために、基板全体で測定を行うことができる。そのような方法は、基板全体のひずみゲージ分布に光学的に類似している。
【0044】
図4は、既知のタイプのアライメントマーク400を概略的に示している。これらは、4つのセグメント(格子):それぞれが第1のピッチを有する2つの第1の格子410a、410b、及びそれぞれが第2のピッチを有する2つの第2の格子を含む。格子410a、420aは、Y方向の整列のために配向され、格子410b、420bは、X方向の整列のために配向される。異なるピッチの各方向に2つの格子を使用することにより、各方向に単一の格子のみを使用する場合に比べて、アライメントシステムのキャプチャ範囲と信頼性が向上する。特定の例では、第1の格子410a、410bは16μmピッチを有してもよく、第2の格子420a、420bは17.6μmピッチを有してもよい。
【0045】
第1の格子410a、410bの測定位置と第2の格子420a、420bの測定位置との間の位置合わせされた(各方向での)位置オフセット、すなわち測定位置差は、δシフトとして知られている。一実施形態では、このδシフトの測定は、基板の応力及び面内ディストーションを決定するために使用される。これは、基板で応力測定(したがって面内ディストーション)を実行するのに適した例示的なアライメントマーク設計にすぎないことに注意すべきである。他の実施形態では、他のセグメント化アライメントマーク(2つ以上のセグメントを有する)を使用して、2つのセグメントの測定値から測定オフセット(測定位置差)を取得することができる。あるいは、2つの異なる、近接のアライメント格子間のオフセットなど、他の測定オフセットを使用することもできる。そのようなアライメント格子は、近接した2つの微細なウエハアライメントFIWA(例えば、AA5)アライメントマーク(例えば、最も近接したマークのペア)を含み得る。アライメントマークが十分に類似しており、十分に近接している場合、マークの非対称性は同じであると見なされるため、δシフト(オフセット)測定でドロップアウトする。アライメントマークの類似性は、処理(たとえば、研磨(CMP))によってマークが異なって変形しないようなものでなければならない。マークが類似している場合(例:同一)、変形は同じになる。この場合の類似は、類似又は同一のクリティカルディメンジョン及び/又はピッチを持つことを意味する場合がある。ただし、異なるピッチのアライメントマークをオフセット測定に使用することもできる。
【0046】
各測定で測定されたフィーチャーのペア間の距離と特性は、最適なS/N比を実現するために最適化される。これは、例えば、最適な信号対雑音比が得られるまで、格子の中心間の距離を大きくすることで実現できる。
図4に示すようなアライメントマークの場合、この距離は250μmの領域にある。
【0047】
2つの構造は、スキャナで露光するときに同じ画像内に含まれている必要がある。従って、一実施形態では、単一のオフセット測定が行われる2つのアライメントマーク間の最大距離は、スキャナによって露光可能なフルフィールド画像サイズであるのがよい。
【0048】
窒化物で覆われた基板領域で測定されたδシフトの大きさは、予想される範囲内(約0.2~0.3nm)であることが観察されている。さらに、δシフトの符号は、加えられた応力と一致する。これは、原則として、スキャナ計測を使用してδシフト測定から局所歪みを決定できることを示している。歪みから、局所応力を決定できる。
【0049】
図5は、リソグラフィパターニングプロセスにおけるフィードフォワード補正戦略の一部を形成する実施形態による方法を説明するフローチャートである。
【0050】
ステップ500で、格子位置から格子位置へのオフセット(例えば、δシフト)が、ウエハ位置の関数として、アライメント格子の近接ペア間で測定される。アライメント格子の近接対は、単一のアライメントマーク内に含まれる格子の対を含んでもよい。アライメント格子のペアが単一のアライメントマーク内に含まれる場合、通常、測定された位置オフセットはゼロになるように較正されるのがよい。従って、実際の測定位置オフセットを直接使用できる。あるいは、使用される測定位置オフセットは、測定アライメント格子間の設計オフセットに対して決定されたものであってもよい。この文書では、少なくとも2つのアライメント格子を含むアライメントマークは、複合アライメントマークと呼ばれる。少なくとも2つの機能を含む機能の場合(各機能は位置測定の実行に使用できる)、そのような機能は複合機能と呼ばれる。
【0051】
回折格子から回折格子へのオフセット測定値は、ノイズを減らすために(例えばフィールド毎に)平均化できる。窒化物が適用されていないフィールド(エッジフィールドなど)は考慮に入れず、窒化物が適用されたフィールドでのみ方法が実行される。
【0052】
ステップ510で、ステップ500で実行された(例えば、平均化された)測定値を使用して、測定値の各ペアから局所歪みを決定し、これらの局所歪み測定(及び基板の既知の特性)から、基板全体の応力分布を決定する。
【0053】
ステップ520では、ステップ510で決定された基板応力分布から基板の面内ディストーションが計算される。このようにして、面内ディストーションは、局所歪みの実際の測定から得られる。
【0054】
ステップ530で、決定された面内ディストーションからフィードフォワード補正が決定される。これらのフィードフォワード補正を使用して、基板上の後続の層のパターニング中に基板の位置を補正し、それによってオーバーレイを改善できる。このステップでは、レイアウト情報の知識を測定値と組み合わせて、複雑なオーバーレイ補正マップを導き出すことができる。レイアウト情報の知識は、例えば、どのフィールド(基板領域)がパターン化され、どのフィールド(たとえばエッジフィールド)がパターン化されないかを含んでもよい。
【0055】
一実施形態では、測定されたオフセットは、露光条件に対して補正されてもよい。そのような実施形態は、基準格子から格子へのオフセット(例えば、基準δシフト)測定を実行することを含むことができる。単一のオフセット測定を行う2つのアライメントマークセグメントは、処理ステップ(例えばフィルム蒸着及び/又はアニーリング)の前に、設計されたオフセットとは異なるオフセットで露光されている可能性があるため、このようなキャリブレーションが必要になる場合がある。特定の例として、画像フィールド(レイヤー1)は、前のレイヤーと一致するように倍率オフセットで露光される。そのような場合、測定されたオフセットは設計されたオフセットと等しくない。次に、基板が処理ステップ(例えば、レイヤー1と後続のレイヤー2の間)によって変形すると、測定されたオフセットは、処理レイヤーの前に測定されたオフセットとは異なる。
【0056】
従って、処理ステップの前と後のオフセット測定値の差を、処理ステップによって誘発される歪みの尺度として使用することが提案されている。これは、ウエハ変形ステップ(例えば、膜堆積及び/又はアニーリングステップ)の前に第1のオフセット測定(例えば、格子から格子へのオフセット又はδシフト)、ウエハ変形ステップの後の第2のオフセット測定、及び最初のオフセット測定を使用して、2番目のオフセット測定を修正することを含む。例えば、歪み測定値は、第2オフセット測定値と第1オフセット測定値の差から計算されてもよい。
【0057】
この基準測定は、歪み測定オフセットと同じ基板で実行できる。そのようなものとして、後続の各歪み測定(オフセット測定)は、ウエハ変形ステップの前に同じ基板上で実行されるオフセット測定によって修正され得る。あるいは、基準基板上で基準オフセット測定を行ってもよい。基準基板は、例えば窒化物層の追加による処理の前に裸のシリコン基板を含んでもよい。基準基板で実行される測定値は、処理された基板で実行される測定値に対応する場合がある。何れの場合でも、基準オフセット測定により、システマティックな(グローバルな)格子から格子へのオフセットが得られ、補正ステップで処理済み基板の格子から格子へのオフセット測定から除去できる。
【0058】
処理された基板の格子から格子へのオフセット測定値は、局所的なディストーションを予測するために、レイアウト情報(パターン化されたフィールドとパターン化されていないフィールドなど)と組み合わせることができる。ウエハディストーションフィードフォワードモデルは、(例えば)レチクル加熱モデルに類似した方法で構築できる。ディストーションの原因として局所温度を使用する代わりに、スキャナのストレス測定を使用してもよい。
【0059】
また、本明細書で説明するコンセプトは、アライメントマーク及び/又は測定値に限定されないことも理解されたい。コンセプトは、スキャトロメトリ技術又は電子ビーム計測装置を使用する可能性のある
図2の検査装置METなど、他のタイプの計測装置によって実行される、他の計測マーク/ターゲットの(近接)ペア間の位置シフトの測定に拡張できる。
【0060】
本明細書で開示されるコンセプトを使用することにより、応力分布及び面内ディストーションをスキャナ(例えば、アライメント)計測で測定することができる。また、クランプされた基板で測定が実行されるため、基板のクランプ応力の寄与が処理の寄与(薄膜応力など)に加えて含まれる。
【0061】
本発明のさらなる態様は、以下に列挙される番号付き実施形態に開示される。
1.基板の応力を決定する方法であって、
基板に適用された少なくとも1つの第1のフィーチャーの測定位置と少なくとも1つの第2のフィーチャーの測定位置との間の測定位置差を決定し、
前記測定された位置差から基板内の局所応力を決定する方法。
2.前記第1のフィーチャー及び前記第2のフィーチャーがそれぞれ、基板を位置決めする際にリソグラフィシステムによって使用されるアライメントマークを含む、実施形態1に記載の方法。
3.リソグラフィ装置のアライメントセンサを使用して、前記少なくとも1つの第1のフィーチャーの測定位置及び少なくとも1つの第2のフィーチャーの測定位置を測定することを含む、実施形態2に記載の方法。
4.前記少なくとも1つの第1のフィーチャーの測定位置及び少なくとも1つの第2のフィーチャーの測定位置が、パターニングステップを実行する前のリソグラフィプロセスにおける基板のアライメント中に測定される、実施形態3に記載の方法。
5.基板ホルダにクランプされたときに基板上で前記アライメントが実行され、その結果、前記応力決定がクランプの結果生じる成分を含む、実施形態4に記載の方法。
6.前記第1のフィーチャー及び前記第2のフィーチャーはそれぞれ、単一の複合フィーチャーのセグメントを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
7.前記第1のフィーチャー及び前記第2のフィーチャーが、前記測定位置を測定するために使用されるリソグラフィ装置の単一の露光画像フィールド内に配置される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
8.前記基板内の局所応力を決定することが、前記基板の局所歪みを決定し、
局所歪み及び基板の材料特性の前記決定を使用して、前記基板の局所応力を決定することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
9.複数のフィーチャー対から複数の測定位置差を決定し、各フィーチャー対は前記基板の異なる位置に配置され、前記少なくとも1つの第1のフィーチャー及び前記少なくとも1つの第2フィーチャーを含み、
測定された各位置差から基板の局所応力を決定し、
決定された局所応力に基づいて、基板上の応力変動を記述する応力フィンガープリントを決定する、先行する実施形態による方法。
10.前記複数のフィーチャーペアのサブセットからの測定値を平均して、平均測定位置差を取得し、
前記平均測定位置差を使用して、そのサブセットに対応する局所応力を決定する、実施形態9に記載の方法。
11.各局所応力決定が画像フィールドごとに平均化されるように、各サブセットが基板上の画像フィールドによって定義される、実施形態10に記載の方法。
12.応力フィンガープリントから前記基板の面内ディストーションを決定することを含む、実施形態9乃至11のいずれかに記載の方法。
13.決定された面内ディストーションを使用して、基板上で後続のパターニングステップを実行するための補正を決定することを含む、実施形態12に記載の方法。
14.補正を決定する前記ステップが、決定された面内ディストーションを、基板に適用されるパターンの既知のレイアウト情報と組み合わせるステップを含む、実施形態13に記載の方法。
15.前記既知のレイアウト情報は、パターンが適用されることになる基板領域の知識を含む、実施形態14に記載の方法。
16.前記補正を使用して、前記後続のパターニングステップを基板上で実行することを含む実施形態13乃至15のいずれかに記載の方法。
17.前記基板が、1つ以上の応力層の適用によって処理されている、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
18.局所応力決定が、1つ以上の応力層の前記適用によって処理された基板の領域のみで実行される、実施形態17に記載の方法。
19.前記測定された位置差が、第1のフィーチャーと第2のフィーチャーとの間の設計されたオフセットに対して決定される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
20.ウエハ変形ステップの前に、少なくとも1つの第1のフィーチャーの測定位置と少なくとも1つの第2のフィーチャーの測定位置から基準位置差を決定し、
ウエハ変形ステップに続いて、前記測定された位置差を決定し、
局所応力を決定するステップにおいて、前記基準位置差を使用し、補正された測定位置差を使用して、前記測定位置差を補正することにより、局所応力測定値を補正するための露光補正を決定することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
21.前記基準位置差が前記基板上で測定される、実施形態20に記載の方法。
22.前記基準位置差が、前記ウエハ変形ステップによって処理されていない基準基板上で測定される、実施形態20に記載の方法。
23.リソグラフィプロセスを制御するための制御システムであって、
複数のフィーチャーペアからの複数の測定位置差を含む計測データを受信するためのストレージであって、各フィーチャーペアは基板上の異なる位置に配置され、第1のフィーチャーと第2のフィーチャーを含むストレージと、
測定された各位置差から基板の局所応力を決定し、
測定された位置の差に基づいて、基板上の応力変動を記述する応力フィンガープリントを決定し、
応力フィンガープリントから基板の面内ディストーションを決定し、
決定された面内ディストーションを使用して、基板上で後続のパターニングステップを実行するための補正を決定するように動作可能なプロセッサとを含む制御システム。
24.各フィーチャー対は、基板を位置決めする際のリソグラフィプロセス中に使用されるアライメントマークを含む、実施形態23に記載の制御システム。
25.各フィーチャーペアの第1のフィーチャーの測定位置及び第2のフィーチャーの測定位置を測定し、そこから測定位置差を決定するように動作可能な実施形態24に記載の制御システム。
26.リソグラフィプロセスの一部としてアライメント動作を制御するように動作可能であり、前記第1フィーチャーの測定位置及び前記第2フィーチャーの測定位置が前記アライメントプロセス中に測定される実施形態25に記載の制御システム。
27.基板が基板ホルダにクランプされるときに前記アライメントを制御するように動作可能であり、前記応力決定がクランプの結果生じる成分を含むように動作可能である、実施形態26に記載の制御システム。
28.各フィーチャーペアの第1のフィーチャー及び前記第2のフィーチャーが、それぞれ単一の複合フィーチャーのセグメントを含む、実施形態23乃至27のいずれかに記載の制御システム。
29.各フィーチャーペアの第1のフィーチャー及び前記第2のフィーチャーは、リソグラフィプロセスの単一露光画像フィールド内にあるように、基板上で十分に近接している、実施形態23乃至28のいずれかに記載の制御システム。
30.プロセッサは、基板の局所歪みを決定し、
基板の局所歪み及び材料特性の前記決定を使用して、基板の前記局所応力を決定するように動作可能である、実施形態23乃至29のいずれかに記載の制御システム。
31.プロセッサは、平均測定位置差を取得するために前記複数のフィーチャーペアのサブセットからの測定値を平均し、
前記平均測定位置差を使用して、そのサブセットに対応する局所応力を決定するように動作可能である、実施形態23乃至30に記載の制御システム。
32.プロセッサは、基板上の画像フィールドに従って各サブセットを定義するように動作可能であり、各局所応力決定が画像フィールドごとに平均化される、実施形態31に記載の制御システム。
33.プロセッサは、補正を決定するときに、決定された面内ディストーションを、基板に適用されるパターンの既知のレイアウト情報と組み合わせるように動作可能である、実施形態23乃至32のいずれかに記載の制御システム。
34.前記既知のレイアウト情報は、パターンが適用されることになる基板領域のどの知識を含む、実施形態33に記載の制御システム。
35.前記補正を使用して基板上の前記後続のパターニングステップを制御するように動作可能な実施形態23乃至34のいずれかに記載の制御システム。
36.前記基板は、1つ以上の応力層の適用によって処理されており、
前記プロセッサは、1つ以上の応力層の前記適用によって処理された基板の領域についてのみ前記局所応力を決定するように動作可能である、実施形態23乃至35のいずれかに記載の制御システム。
37.1つ以上の応力層の追加により処理されていない基準基板上の基準フィーチャー対の測定された位置差から系統的応力フィンガープリントを決定し、
系統的応力フィンガープリントを使用して、応力フィンガープリントを修正することにより基準決定ステップを制御するように動作可能である、実施形態23から36のいずれかに記載の制御システム。
38.プロセッサが、各フィーチャーペアの第1のフィーチャーと第2のフィーチャーとの間の設計オフセットに対する前記測定位置差を決定するように動作可能である、実施形態23乃至37のいずれかに記載の制御システム。
39.前記プロセッサは、
ウエハ変形ステップの前に、少なくとも1つの第1のフィーチャーの測定位置と少なくとも1つの第2のフィーチャーの測定位置から基準位置差を決定し、
ウエハ変形ステップに続いて、前記測定された位置差を決定し、
前記基準位置差を使用し、局所応力を決定するステップにおいて、補正された測定位置差を使用して、各測定位置差を補正することにより、各局所応力測定値を補正するための露光補正を決定するように動作可能である、実施形態23乃至38のいずれかに記載の制御システム。
40.前記基準位置差が前記基板から測定されるように動作可能な、実施形態39に記載の制御システム。
41.前記基準位置差が、前記ウエハ変形ステップによって処理されていない基準基板から測定されるように動作可能な実施形態40に記載の制御システム。
42.実施形態23から41のいずれかに記載の制御システムを備えるリソグラフィ装置。
43.アライメント測定システム及びパターニングシステムをさらに備え、前記アライメント測定システムは、前記基板上でメトロロジーを実行して前記メトロロジーデータを取得するように動作可能であり、前記パターニングシステムは、前記決定された補正を使用するパターニングプロセスで前記基板にデバイスフィーチャを形成するように動作可能である、実施形態42に記載の制御システム。
44.実施形態1から20のいずれかの方法のステップを実施するための機械可読命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム製品。
【0062】
リソグラフィ装置及びリソセルLCのハードウェアに関連して、実施形態は、リソグラフィ製造システムのプロセッサに、説明されているモデルマッピング及び制御の方法を実施させる機械可読命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラムを含み得る。このコンピュータプログラムは、例えば、画像計算/制御プロセスに使用される別個のコンピュータシステムで実行されてもよい。あるいは、計算ステップは、
図1及び
図2のプロセッサ、計測ツール、及び/又は制御ユニットLACU及び/又は監視制御システムSCS内で全体的又は部分的に実行されてもよい。そのようなコンピュータプログラムが非一時的な形で記憶されているデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気又は光ディスク)も提供され得る。
【0063】
光リソグラフィの文脈における本発明の実施形態の使用について具体的に言及したが、本発明は他のパターニング用途、例えばインプリントリソグラフィで使用できることが理解されよう。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィが、基板上に作成されるパターンを定義する。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層に押し込まれ、その後、電磁放射線、熱、圧力、又はそれらの組み合わせを加えることによりレジストが硬化される。レジストが硬化した後、パターニングデバイスをレジストから移動して、パターンを残す。
【0064】
特定の実施形態の前述の説明は、他者が当該分野における知識を、過度の実験なしに、本発明のコンセプトを逸脱することなく、種々の用途のために特定の実施形態に適用することで容易に修正及び/又は適用できるように、本発明の一般的性質を十分に明らかにする。従って、そのような適応及び変更は、本明細書に提示された教示及びガイダンスに基づいて、開示された実施形態の等価物の意味及び範囲内にあることを意図している。本明細書の用語又は用語は、本明細書の用語又は用語が教示及びガイダンスに照らして当業者によって解釈されるように、限定ではなく例による説明の目的のためであることを理解すべきである。
【0065】
本発明の広さ及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。