(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】液体カートリッジ、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
B41J2/175 119
B41J2/175 115
B41J2/175 143
B41J2/175 171
(21)【出願番号】P 2018015292
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】菊池 隆洋
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-187900(JP,A)
【文献】特開2006-027617(JP,A)
【文献】特開2007-062247(JP,A)
【文献】特開2009-226809(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0008365(US,A1)
【文献】特開2016-022629(JP,A)
【文献】特開2007-261273(JP,A)
【文献】特開2007-253457(JP,A)
【文献】特開2007-196674(JP,A)
【文献】特開2007-098857(JP,A)
【文献】特開2006-082553(JP,A)
【文献】特開2004-306604(JP,A)
【文献】特開2001-162834(JP,A)
【文献】実開昭60-154133(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体収容袋をケース内に収納した液体カートリッジであって、
前記ケース内に設けられ、前記液体収容袋を複数の液体収容部分に略分割する突起部と、
前記突起部により前記ケース内が複数に略分割された分割ケース内に設けられ、該分割ケース内に収納された前記液体収容部分を押圧する押圧部と、
を備え、
前記液体収容袋は、該液体収容袋における液体供給経路の上流側から下流側に到る前記液体収容部分が前記ケース内に収納されており、
前記押圧部は、前記突起部よりも前記上流側の前記液体収容部分を収納している前記分割ケース内に設けられており、
前記押圧部は、
前記液体収容部分に接触する板部材と、
前記板部材を前記液体収容部分に押し付ける押圧手段と、
を有し、
前記押圧手段は、ばねを含む弾性部材であり、
前記弾性部材は、前記板部材に対して前記液体供給経路の下流側から上流側に渡り複数配置されており、
前記板部材を前記液体収容部分に押し付ける前記弾性部材の圧力は、前記液体供給経路の上流側に配置されているもの程、小さくなるように設定されている液体カートリッジ。
【請求項2】
前記押圧部は、前記分割ケース内に複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体カートリッジ。
【請求項3】
前記突起部により前記ケース内が略3分割されており、
前記押圧部が設けられている前記分割ケースの体積は、前記液体供給経路の上流側に配置されている前記分割ケース程、小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体カートリッジ。
【請求項4】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドに供給する前記液体を収容保持し、交換可能に設けられた液体カートリッジを有する液体の供給機構、前記液体吐出ヘッドに供給する前記液体を格納するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載して移動可能なキャリッジ、維持回復機構及び主走査移動機構の少なくとも一つと、を備える液体吐出ユニットにおいて、
前記液体カートリッジは、請求項1~3の何れか1つに記載の液体カートリッジであることを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の液体吐出
ユニットを備え、前記液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項6】
請求項4に記載の液体吐出
ユニット又は請求項5に記載の液体を吐出する装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体カートリッジ、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録液を収容する記録液収容袋をケース内に収納した記録液カートリッジにおいて、記録液カートリッジの落下による衝撃や輸送時の振動によりインク袋の破損が起こる可能性がある。そのため、記録液カートリッジ内の記録液収容袋(例えばインク袋)を複数の部分に略分割する突起壁をケース内に設け、インク袋の揺れを防止する技術は既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1を含む今までの記録液カートリッジは、突起壁によりインク袋内のインク供給経路が狭くなり、インク袋内にインクが残留してしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、落下による衝撃や輸送時の振動によりインク袋(液体収容袋)の破損を防止すると共に、インク袋(液体収容袋)内のインク(液体)残量を減らすことが可能な液体カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、液体を収容する液体収容袋をケース内に収納した液体カートリッジであって、前記ケース内に設けられ、前記液体収容袋を複数の液体収容部分に略分割する突起部と、前記突起部により前記ケース内が複数に略分割された分割ケース内に設けられ、該分割ケース内に収納された前記液体収容部分を押圧する押圧部と、を備え、前記液体収容袋は、該液体収容袋における液体供給経路の上流側から下流側に到る前記液体収容部分が前記ケース内に収納されており、前記押圧部は、前記突起部よりも前記上流側の前記液体収容部分を収納している前記分割ケース内に設けられており、前記押圧部は、前記液体収容部分に接触する板部材と、前記板部材を前記液体収容部分に押し付ける押圧手段と、を有し、前記押圧手段は、ばねを含む弾性部材であり、前記弾性部材は、前記板部材に対して前記液体供給経路の下流側から上流側に渡り複数配置されており、前記板部材を前記液体収容部分に押し付ける前記弾性部材の圧力は、前記液体供給経路の上流側に配置されているもの程、小さくなるように設定されている液体カートリッジである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、上記構成により、落下による衝撃や輸送時の振動により液体収容袋の破損を防止すると共に、液体収容袋内の液体残量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置を前方側から見た斜視図である。
【
図2】
図1のインクジェット記録装置の機構部の全体構成を説明する側面概略構成図である。
【
図3】
図1のインクジェット記録装置の機構部の要部を説明する平面図である。
【
図4】従来技術例に係るインクカートリッジの分解斜視図である。
【
図6】
図4のインクカートリッジの問題点を説明する断面図である。
【
図7】第4実施形態に係るインクカートリッジの分解斜視図である。
【
図8】
図7のインクカートリッジを説明する断面図である。
【
図9】
図7のインクカートリッジの動作を説明する断面図である。
【
図10】
図7のインクカートリッジの動作を説明する断面図である。
【
図11】第5実施形態に係るインクカートリッジを説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態を詳細に説明する。従来技術例や各実施形態等に亘り、同一の機能及び形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図及び説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0009】
本発明の実施形態に係る液体カートリッジを説明する前に「液体カートリッジに収容される液体」の概念等について説明しておく。
「液体カートリッジに収容される液体」には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0010】
(第1実施形態に係る画像形成装置)
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置を前方側から見た斜視図である。
このインクジェット記録装置は、装置本体1と、装置本体1に装着された被記録媒体の一例としての用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3とを備えている。更に、装置本体1の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体1の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部4を有し、このカートリッジ装填部4の上面は操作ボタンや表示器などを設ける操作/表示部5としている。
【0011】
このカートリッジ装填部4には、色の異なる記録液としてのインク、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液カートリッジであるインクカートリッジ10k、10c、10m、10y(色を区別しないときは「インクカートリッジ10」という。)を、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能としている。そして、カートリッジ装填部4の前面側には、インクカートリッジ10を着脱するときに開くカートリッジカバーである前カバー6を開閉可能に設けている。また、インクカートリッジ10k、10c、10m、10yは、縦置き状態で横方向に並べて装填する構成としている。
【0012】
ここで、記録液としてのインクは、本発明に係る液体として機能する。複数の記録液カートリッジであるインクカートリッジ10k、10c、10m、10y、色を区別しないときのインクカートリッジ10は、本発明に係る液体カートリッジとして機能する。
【0013】
尚、操作/表示部5、前カバー6及びその周りの細部構成は、上記した特許文献1の段落[0021]~[0023]、
図1に記載されているものと同様であり、重複説明を避けるためその説明を省略する。
【0014】
図2及び
図3を参照して、インクジェット記録装置の機構部について説明する。
図2は同機構部の全体構成を説明する側面概略構成図、
図3は同機構部の要部平面図である。
【0015】
図2、
図3に示すように、フレーム21を構成する左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とでキャリッジ33を主走査方向Sに摺動自在に保持し、主走査モータによってタイミングベルトを介して
図3で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0016】
キャリッジ33には、前述したようにイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個の液体吐出ヘッドとしての記録ヘッド34(
図3には記録ヘッド34a,34bを示す)を複数のインク吐出口を主走査方向Sと交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0017】
記録ヘッド34には、ドライバICを搭載し、制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル)22を介して接続している。
【0018】
キャリッジ33には、記録ヘッド34に各色のインクを供給するための各色のサブタンク35(
図3にはヘッドタンク35a,35bを示す)を搭載している。この各色のサブタンク35には、各色のインク供給チューブ36を介して、前述したように、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。このカートリッジ装填4には、インクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット24が設けられ、また、インク供給チューブ36は這い回しの途中でフレーム21を構成する後板21Cに係止部材25にて保持されている。
【0019】
図2に示すように、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0020】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0021】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向F)に周回するように構成している。この搬送ベルト51は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。
【0022】
そして、搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に所定の押圧力をかけている。なお、搬送ローラ52はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト51の中抵抗層(裏層)と接触配置され接地している。
【0023】
また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド34による印写領域に対応してガイド部材57を配置している。このガイド部材57は、上面が搬送ベルト51を支持する2つのローラ(搬送ローラ52とテンションローラ53)の接線よりも記録ヘッド35側に突出させることで搬送ベルト51の高精度な平面性を維持するようにしている。
【0024】
搬送ベルト51は、副走査モータによってタイミングベルトを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって
図3のベルト搬送方向(副走査方向F)に周回移動する。
【0025】
記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロ63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。ここで、排紙ローラ62と排紙コロ63との間から排紙トレイ3までの高さは、排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
【0026】
装置本体1の背面部には、両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は、搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は、手差しトレイ72としている。
【0027】
更に、
図3に示すように、キャリッジ33の走査方向Sの一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置している。
【0028】
この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材82a、82b(以下、区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行なうときの液滴を受ける空吐出受け84などを備えている。ここでは、キャップ82aを吸引および保湿用キャップとし、他のキャップ82bは保湿用キャップとしている。
【0029】
上記した維持回復機構81による維持回復動作で生じる記録液の廃液、キャップ82に排出されたインク、あるいはワイパーブレード83に付着してワイパークリーナ85で除去されたインク、空吐出受け84に空吐出されたインクは廃液タンクに排出されて収容される。
【0030】
また、
図3に示すように、キャリッジ33の走査方向Sの他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口89などを備えている。
【0031】
次に、
図2及び
図3に基づいて、上記のように構成したインクジェット記録装置の全体動作について説明する。
まず、給紙コロ43及び分離パッド44の協働作用により、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙される。略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド47で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0032】
この時、上記副走査モータにより搬送ローラ52が回転駆動されることによって、搬送ベルト51は副走査方向F(ベルト搬送方向)に周回移動している。この際、図示を省略した制御回路によってACバイアス供給部から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、即ち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向Fに搬送される。
【0033】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。
そして、再びの搬送ローラ52の回転駆動を介して搬送ベルト51によって用紙42が搬送され、この際、テンションローラ53と搬送ローラ52との間に揺動可能に配設されている分離爪61を介して、搬送ベルト51から分離された印刷済みの用紙42は、排紙ローラ62に従動する排紙コロ(拍車)63により搬送される。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0034】
また、印字(記録)待機中には、
図3に示すようにキャリッジ33は維持回復機構81側に移動されて、キャップ82で記録ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ82で記録ヘッド34をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
「液体カートリッジに収容される液体」が供給されることで、ノズルから液体を吐出・噴射する機能部品である「液体吐出ヘッド」がある。
吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。
【0035】
液体吐出ヘッドとしての記録ヘッド34を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用するものでもよい。
【0036】
(第2実施形態に係る液体吐出ユニット)
上記構成のキャリッジ33は、液体吐出ヘッドとしての記録ヘッド34と、ヘッドタンクとしてのサブタンク35と一体にした液体吐出ユニットを構成している。
【0037】
本発明に係る「液体吐出ユニット」とは、本発明に係る液体カートリッジから供給される液体を吐出する機能を有し、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0038】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0039】
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0040】
(第3実施形態に係る液体を吐出する装置)
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0041】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0042】
例えば、「液体を吐出する装置」として、記録液としてのインクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0043】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0044】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、シート、たとえば、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、その他、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0045】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック(OHPシートを含む)、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0046】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させる上述したシリアル型装置などが含まれる。
【0047】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0048】
図4~
図6を参照して、従来技術例に係るインクカートリッジ1000について説明する。
図4は従来技術例に係るインクカートリッジの分解斜視図、
図5は
図4のインクカートリッジの断面図、
図6は
図4のインクカートリッジの問題点を説明する断面図である。なお、従来技術例に係るインクカートリッジは、
図1などに示す実施形態のインクカートリッジと同じ外観形状を有するが、
図4~
図6では外形形状を簡略化して示している。
【0049】
インクカートリッジ1000は、
図1、
図3に示した実施形態のインクジェット記録装置のカートリッジ装填部4のインクカートリッジ10に代えて、着脱・搭載可能である。このインクカートリッジ1000は、液体・記録液としてのインクを充填した液体収容袋・記録液収容袋としてのインク袋111と、このインク袋111を着脱可能に内部に収納する外装・筺体としてのケース112を備えている。ケース112は、2分割された外形状が略相似な第1ケース112Aと第2ケース112Bとを備え、これらによってインク袋111の側面を保護するとともに、インクカートリッジ1000の外装を構成している。
【0050】
インク袋111は、例えば、2枚のアルミラミネートフィルムの周囲を融着して構成した略四角形状(ここでは長方形状)の可撓性を有する袋本体121に、記録液(インク)を排出する(
図1の装置本体1に供給する)液体供給口部122を設けたものである。
【0051】
ケース112を構成する第1ケース112A、第2ケース112Bの内壁面には、収納されるインク袋111を液体供給方向としてのインク供給方向Aと直交する方向で2つに略分割する突起壁113A、113Bを設けている。つまり、インクカートリッジ1000では、ケース112内に収納されたインク袋111に対して両側から突起壁113A、113Bが突出する構成である。
【0052】
上記構成により、インクカートリッジ1000は、インクを収容したインク袋111をケース112内に収納した状態のとき、
図5に示すように、インク袋111は略中央部分が突起壁113A、113Bによって両側から押さえられて括れた状態になる。これにより、インク袋111は複数(この例では2つ)に略分割された液体収容部分としてのインク収容部分111a、111bに略分割(ただし、インク袋111の内部でインク収容部分111a、111bが連通している)された状態になる。
【0053】
図5に示すように、インク袋111は、このインク袋111における液体供給経路としてのインク供給経路Bの上流側のインク収容部分111aから下流側のインク収容部分111bに到る部分がケース112内に収納されている。インク袋111のインク供給口部122は、ケース112内から外側へ突出している。
【0054】
これにより、例えば、上記特許文献1の
図7に示されているように、インク供給口部122を下にしてインクカートリッジ1000が落下した場合、突起壁113A、113Bの壁面(113a、113b)が受け面となることで衝撃が分散する。
【0055】
このように、インクカートリッジ1000によれば、ケース内には記録液収容袋を複数の部分に略分割する突起壁が設けられていることで、落下時の衝撃や振動の影響が各分割部分単位ごとに分散されるため、記録液収容袋が破損しにくくなり、また、記録液収容袋に充填する記録液容量によってケースの形状を変更する必要がなく、部品種類を減らすことができる、という効果を奏するものであった。
【0056】
しかしながら、
図6に示すように、インクカートリッジ1000を横置きで使用する場合、インク供給口部122から遠い側のインク収容部分111bで残ったインクの重さに引っ張られ、突起壁113Bで括れ125が発生してしまう。これにより、インク袋111内のインク供給経路が狭くなることでインク供給の流れが悪くなり、インク袋111内にインクが残留しインク残り126ができてしまう、という問題があった。
【0057】
(第4実施形態に係るインクカートリッジ)
図7~
図10を参照して、
図1~
図3の画像形成装置に用いられる第4実施形態に係るインクカートリッジ10について説明する。
図7は第4実施形態に係るインクカートリッジの分解斜視図、
図8は
図7のインクカートリッジを説明する断面図、
図9、
図10は
図7のインクカートリッジの動作を説明する断面図である。なお、第4実施形態に係るインクカートリッジは、
図1などに示す実施形態のインクカートリッジと同じ外観形状を有するが、
図7~
図10では外形形状を簡略化して示している(後述の第5実施形態でも同じ)。
【0058】
インクカートリッジ10は、
図4~
図6のインクカートリッジ1000と比較して、突起部の一例としての突起壁113A、113Bを挟んでインク供給経路Bの上流側の分割ケース112V2内に設けられ、分割ケース112V2内に収納されたインク袋111のインク収容部分111bを押圧する押圧部の一例としての複数(この例では2つ)の第1押圧部125A及び第2押圧部125Bを備えている点が主に相違する。
第1押圧部125A及び第2押圧部125Bは、インク袋111のインク収容部分111bのインクを完全に使い切ったときに、インク収容部分111bを略平坦状に押し潰すように作用する。この「略平坦状」とは、液体収容袋(インク袋111)の液体収容部分(インク収容部分111b)を平坦状に押し潰す状態を含む他、従来のように湾曲した状態での液体(インク)残りを発生させないような状態に押し潰すことを意味する。
【0059】
ここで、本発明に係る「液体収容袋を複数の液体収容部分に略分割する突起部」とは、突起部によって、液体収容袋の内部で互いに隣り合う液体収容部分が連通している状態に仕切られることを意味する(後述の実施形態でも同じ)。
【0060】
分割ケース112V2は、ケース112内が突起壁113A、113Bよりもインク供給経路Bの上流側の分割ケース内部を指し、インク袋111におけるインク供給経路Bの上流側のインク収容部分111bを収納している。分割ケース112V1は、突起壁113A、113Bよりもインク供給経路Bの下流側の部位を指し、インク袋111におけるインク供給経路Bの下流側のインク収容部分111aを収納している。
【0061】
第1押圧部125Aは、インク収容部分111bの図において上側部分に接触する板部材としての第1平板部材130Aと、第1平板部材130Aをインク袋111に押し付ける押圧手段・弾性部材としてのばねからなる複数(この例では2つ)の圧縮スプリング131A、131Cとを有する。
【0062】
第2押圧部125Bは、インク収容部分111bの図において下側部分に接触する板部材としての第2平板部材130Bと、第2平板部材130Bをインク袋111に押し付ける押圧手段・弾性部材としてのばねからなる複数(この例では2つ)の圧縮スプリング131B、131Dとを有する。
第1平板部材130A及び第2平板部材130Bは、インク袋111のインク供給による収縮に合わせてインク収容部分111bに接触しながら変位可能に構成されている。
第1平板部材130Aと第2平板部材130Bは、略相似な外形形状であり、インク収容部分111bをインク残り無く最後まで完全に押し潰したときに永久変形を生じないような所定の剛性を持つように、例えば合成樹脂で所定の厚さに形成されている。
【0063】
圧縮スプリング131A、131Cの一端部は第1平板部材130Aに、圧縮スプリング131A、131Cの他端部は分割ケース112V2におけるインク供給経路Bの上流側の第1ケース112Aの内壁面に、それぞれ係止されている。また、圧縮スプリング131B、131Dの一端部は第2平板部材130Bに、圧縮スプリング131B、131Dの他端部は分割ケース112V2におけるインク供給経路Bの上流側の第2ケース112Bの内壁面に、それぞれ係止されている。
【0064】
第1押圧部125A及び第2押圧部125Bは、インク袋111におけるインク供給経路Bの上流側のインク収容部分111bを収納している分割ケース112V2内に設けられているが、インク袋111におけるインク供給経路Bの下流側の分割ケース112V1内には設けられていない。
これは、下流側の分割ケース112V1内に収納されたインク収容部分111aでは、
図6のインクカートリッジ1000のように突起壁113Bで括れ125が発生してしまうことがなく、
図1のカートリッジ装填部4に設けられた供給ポンプユニット24の吸引動作によって、インク袋111内のインクを最後まで完全に使い切ることができるからである。
【0065】
次に、インクカートリッジ10の動作について説明する。
図8は、インク袋111内にインクが充填されている状態を表している。
図8に示すようにインク袋111内にインクが充填されている状態では、インク袋111がインク供給経路Bの上流側のインク収容部分111bに対して圧縮スプリング131A、131B、131C、131Dの付勢力(ばね荷重)に抗して膨らんでいるため、第1平板部材130A及び第2平板部材130Bが分割ケース112V2内の壁面側にある。
【0066】
この際の圧縮スプリング131A、131B、131C、131Dの付勢力・圧力(単位面積当たりのばね荷重)の関係は、131A=131B>131C=131Dとなるように設定されている。即ち、インク供給経路Bの下流側から上流側に向かう(換言すればインク供給口122から遠ざかる)につれて、あるいはインク供給経路Bの上流側に配置されているもの程、圧縮スプリング131A、131B、131C、131Dの付勢力・圧力が小さくなるように設定されている。
これにより、効率的なインク移動を実現すると共に、第1平板部材130A及び第2平板部材130Bの略平行な変位を実現して、分割ケース112V2内に収納されたインク収容部分111bを略平坦状に効率的に押し潰すことが可能となる。
【0067】
図9は、インク袋111内のインクを約半分使用した状態を表している。突起壁113A、113Bを挟んでインク供給経路Bの上流側のインク袋111のインク収容部分111bを略平坦状に潰す第1平板部材130A及び第2平板部材130Bがあるため、インク袋111のインク収容部分111bがいびつに潰れることがない。このため、インク供給経路Bの上流側のインク袋111でインク残り無く、突起壁113A、113Bを挟んでインク供給経路Bの下流側のインク収容部分111a側にインクが送られる。
【0068】
図10は、インク袋111内のインクを完全に使い切った状態を表している。上記した
図9において、突起壁113A、113Bを挟んでインク供給経路Bの上流側のインク袋111(分割ケース112V2に収納されているインク収容部分111b)に、
図6に示したようなインク残り126が生じないため、インク袋111内のインクを最後まで完全に使い切ることができる。
【0069】
上述したとおり、第4実施形態に係るインクカートリッジによれば、落下による衝撃や輸送時の振動によりインク袋(液体収容袋)の破損を防止すると共に、インク袋(液体収容袋)内のインク(液体)残量を減らすことができる。
【0070】
(第5実施形態に係るインクカートリッジ)
図11を参照して、
図1~
図3の画像形成装置に用いられる第5実施形態に係るインクカートリッジ10Aについて説明する。
図11は第5実施形態に係るインクカートリッジを説明する断面図である。
【0071】
図11のインクカートリッジ10Aは、
図7~
図10のインクカートリッジ10と比較して、突起部の一例としての突起壁113A、113B及び突起壁113C、113Dによりケース112内が略3分割されている点、これらの突起壁によりインク供給経路Bの下流側から上流側に順に略3分割された分割ケース112V1、分割ケース112V2、分割ケース112V3を備えている点が主に相違する。
【0072】
押圧部が設けられている分割ケース112V2及び分割ケース112V3は、インク供給経路Bの上流側に配置されている分割ケース程、即ち分割ケース112V2内の体積よりも分割ケース112V3内の体積が小さくなるように設定されている点が1つの特徴となっている。分割ケース112V3内には、インク袋111におけるインク供給経路Bの最上流側の液体収容部分としてのインク収容部分111cが収納されている。
【0073】
分割ケース112V2内には、インクカートリッジ10と同様の、分割ケース112V2内に収納されたインク収容部分111bを押圧する複数の押圧部である第1押圧部125A及び第2押圧部125Bを備えている。
【0074】
分割ケース112V3内には、分割ケース112V3内に収納されたインク収容部分111cを押圧する複数の押圧部である第3押圧部125C及び第4押圧部125Dを備えている。
【0075】
第3押圧部125Cは、インク収容部分111cの図において上側部分に接触する板部材としての第3平板部材130Cと、第3平板部材130Cをインク収容部分111cに押し付ける押圧手段・弾性部材としてのばねからなる複数(この例では2つ)の圧縮スプリング131E、131Gとを有する。
【0076】
第4押圧部125Dは、インク収容部分111cの図において下側部分に接触する板部材としての第4平板部材130Dと、第4平板部材130Dをインク袋111に押し付ける押圧手段・弾性部材としてのばねからなる複数(この例では2つ)の圧縮スプリング131F、131Hとを有する。
第3平板部材130C及び第4平板部材130Dは、インク袋111のインク供給による収縮に合わせてインク収容部分111cに接触しながら変位可能に構成されている。
第3平板部材130Cと第4平板部材130Dは、略相似な外形形状であり、インク収容部分111cをインク残り無く最後まで完全に押し潰したときに永久変形を生じないような所定の剛性を持つように、例えば合成樹脂で所定の厚さに形成されている。
【0077】
圧縮スプリング131E、131Gの一端部は第3平板部材130Cに、圧縮スプリング131E、131Gの他端部は分割ケース112V3におけるインク供給経路Bの最上流側の第1ケース112Aの内壁面に、それぞれ係止されている。また、圧縮スプリング131F、131Hの一端部は第4平板部材130Dに、圧縮スプリング131F、131Hの他端部は分割ケース112V3におけるインク供給経路Bの最上流側の第2ケース112Bの内壁面に、それぞれ係止されている。
【0078】
第1押圧部125A及び第2押圧部125Bは、インク袋111におけるインク供給経路Bの上流側のインク収容部分111bを収納している分割ケース112V2内に設けられている。同様に、第3押圧部125C及び第4押圧部125Dは、インク袋111におけるインク供給経路Bの最上流側のインク収容部分111cを収納している分割ケース112V3内に設けられている。
押圧部は、インクカートリッジ10と同様に、インク袋111におけるインク供給経路Bの最下流側の分割ケース112V1内には設けられていない。
【0079】
インクカートリッジ10Aでは、押圧部が設けられている分割ケース112V2内及び分割ケース112V3内の体積は、インク供給経路Bの上流側に配置されている分割ケース(換言すればインク供給口部122から遠ざかる)程、即ち、分割ケース112V2内よりも分割ケース112V3内の方が小さくなるように設定されている。つまり、分割ケース112V2内の体積V2よりも分割ケース112V3内の体積V3の方が小さくなる(V2>V3)ように設定されている。
このように、分割ケース112V2内よりも分割ケース112V3内の方が体積が小さくなるように設定されていることにより、より効率的なインク移動を実現することができる。
【0080】
次に、インクカートリッジ10Aの動作について説明する。
図11は、インク袋111内にインクが充填されている状態を表している。
図11に示すようにインク袋111内にインクが充填されている状態では、インク袋111がインク供給経路Bの最上流側のインク収容部分111c及び下流側のインク収容部分111bに渡って圧縮スプリング131A、131B、131C、131D、131E、131F、131G、131Hの付勢力(ばね荷重)に抗して膨らんでいるため、第1平板部材130A及び第2平板部材130Bが分割ケース112V2内の壁面側に、第3平板部材130C及び第4平板部材130Dが分割ケース112V3内の壁面側に、それぞれある。
【0081】
この際の圧縮スプリング131A、131B、131C、131D、131E、131F、131G、131Hの付勢力・圧力(単位面積当たりのばね荷重)の関係は、131A=131B>131C=131D>131E=131F>131G=131Hとなるように設定されている。即ち、インク供給経路Bの下流側から上流側に向かう(換言すればインク供給口122から遠ざかる)につれて、あるいはインク供給経路Bの上流側に配置されているもの程、上記各圧縮スプリングの付勢力・圧力が小さくなるように設定されている。
【0082】
これにより、より小さい付勢力・圧力で、インク袋111におけるインク供給経路Bの上流側から下流側に向かインクのスムーズな移動が可能になると共に、第3平板部材130C及び第4平板部材130D、並びに第1平板部材130A及び第2平板部材130Bの略平行な変位を実現して、分割ケース112V3内に収納されたインク収容部分111c及び分割ケース112V2内に収納されたインク収容部分111bを略平坦状に効率的に押し潰すことが可能となる。
【0083】
上述したとおり、第5実施形態に係るインクカートリッジによれば、ケース内を略3分割する構成にしたので、より効率的なインク移動を実現することが可能になる。また、落下による衝撃や輸送時の振動をより一層抑制することができる。これによりインク袋(液体収容袋)の破損を防止すると共に、インク袋(液体収容袋)内のインク(液体)残量を減らすことができる。
【0084】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上記実施形態や実施例等に記載した技術事項を適宜組み合わせたものであってもよい。
【0085】
図1に示す画像形成装置では、インクカートリッジ10を縦置きで使用する場合で説明したが、第4及び第5実施形態で説明したように、インクカートリッジ10、10Aは横置きで使用する場合であってもよいことは無論である。
【0086】
本発明に係る押圧部は、板部材と、押圧手段としてのばね等の弾性部材との組み合わせに限らず、液体収納袋(インク袋)を押圧することができるような構成であれば何でもよい。弾性部材には、ばねの他に弾性ゴム等が含まれる。
また、本発明に係る板部材は、第1~第4平板部材に限らず、液体収容部分に接触する面が少なくとも平坦面で形成されていればよい。
【0087】
上記した第1実施形態においては、画像形成装置がプリンタ構成のもので説明したが、これに限らず、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プロッタ等の機能を持つ複合機などにも同様に適用することができる。また、サブタンク方式で用いるインクカートリッジで説明したが、これに限るものでもない。
【0088】
本発明の実施の形態に適宜記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0089】
1 装置本体
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
4 カートリッジ装填部
10、10A インクカートリッジ(液体カートリッジ・液体収容器の一例)
33 キャリッジ
34 記録ヘッド(液体吐出ヘッドの一例)
35 サブタンク
36 インク供給チューブ
51 搬送ベルト
111 インク袋(液体収容袋の一例)
111a、111b、111c インク収容部分(液体収容部分の一例)
112V1、112V2、112V3 分割ケース
112 ケース(筺体)
112A 第1ケース(第1筐体)
112B 第2ケース(第2筺体)
113A、113B、113C、113D 突起壁(突起部の一例)
121 袋本体
122 インク供給口部(液体供給口部の一例)
125A 第1押圧部(押圧部の一例)
125B 第2押圧部(押圧部の一例)
125C 第3押圧部(押圧部の一例)
125D 第4押圧部(押圧部の一例)
130A 第1平板部材(板部材の一例)
130B 第2平板部材(板部材の一例)
130C 第3平板部材(板部材の一例)
130D 第4平板部材(板部材の一例)
131A~131H 圧縮スプリング(押圧手段、弾性部材の一例)
A インク供給方向(液体供給方向の一例)
B インク供給経路(液体供給経路の一例)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】