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特許7073812画像形成装置、設定値入力受付方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】画像形成装置、設定値入力受付方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/61 20180101AFI20220517BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
G06F8/61
G06F3/12 303
G06F3/12 330
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018049977
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019160226
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】広川 立磨
【審査官】今城 朋彬
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-079348(JP,A)
【文献】特開2009-238207(JP,A)
【文献】特開2008-167417(JP,A)
【文献】特開2017-144649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/60-8/65
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のアプリケーションが導入された画像形成装置であって、
前記アプリケーションの設定画面を表示して前記アプリケーションに対する設定値の入力を受け付ける設定受付手段と、
前記設定受付手段が前記アプリケーションの設定画面を表示するために利用する情報を格納する格納手段と、
追加のアプリケーションを導入するための処理を行う導入手段と、
前記追加のアプリケーションの設定画面を表示するために利用される情報を前記格納手段に追加する、前記追加のアプリケーションにより実現される追加手段と、
を有し、
前記設定受付手段は、前記格納手段に追加された前記追加のアプリケーションの設定画面を表示するために利用される情報に基づき、既存のアプリケーションの設定構造に前記追加のアプリケーションの設定構造を統合し、前記追加のアプリケーションに対する設定値の入力を受け付けるための設定画面を含む画面を表示すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記追加手段は、
前記追加のアプリケーションが導入されたことに応じて、当該追加のアプリケーションの設定画面を表示するために利用される情報を前記格納手段に追加すること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記追加手段は、前記追加のアプリケーションの設定画面を表示するために利用される情報として、複数の前記アプリケーションの設定画面の間の画面遷移における前記追加のアプリケーションの設定画面の配置箇所を示す配置箇所情報を、前記格納手段に追加し、
前記設定受付手段は、前記配置箇所情報に基づき、前記追加のアプリケーションの設定画面を含む複数の前記アプリケーションの設定画面の間の画面遷移を制御すること
を特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記追加手段は、前記追加のアプリケーションの設定画面の複数の配置箇所のそれぞれを示す配置箇所情報を、前記格納手段に追加し、
前記設定受付手段は、前記複数の配置箇所情報に基づき、前記追加のアプリケーションの設定画面を含む複数の前記アプリケーションの設定画面の間の画面遷移において、前記追加のアプリケーションの設定画面を前記複数の配置箇所情報のそれぞれが示す配置箇所に表示すること
を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記追加手段は、前記追加のアプリケーションの設定画面を表示するために利用される情報として、前記追加のアプリケーションの設定画面に表示する設定項目を示す表示項目情報を、前記格納手段に追加し、
前記設定受付手段は、前記表示項目情報が示す表示設定項目を含む前記追加のアプリケーションの設定画面を表示し、表示した設定項目に対する設定値の入力を受け付けること
を特徴とする請求項1乃至3何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記設定受付手段は、前記格納手段が格納する前記アプリケーション又は前記追加のアプリケーションの設定画面を表示するために利用する情報として、親子関係を持ち、種類が構造又は設定の要素の情報に基づいて、前記設定画面を選択させるために利用する選択画面を表示して前記設定画面の選択を受け付けるか、又は、前記設定画面を表示して前記設定値の入力を受け付けること
を特徴とする請求項1乃至3何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記設定受付手段は、前記要素の表示位置を示す画面テンプレートと、前記構造の要素及び前記設定の要素の設定種別毎に設けられ、前記要素の表示位置に表示する描画テンプレートと、を利用して、前記設定画面及び前記選択画面を生成して表示すること
を特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記追加手段は、前記追加のアプリケーションに対する設定値の入力を受け付けるための設定画面を、複数の前記配置箇所に配置するように前記配置箇所情報を前記格納手段に追加すること
を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項9】
1つ以上のアプリケーションが導入された画像形成装置において実行される設定値入力受付方法であって、
追加のアプリケーションを導入するための処理を行う導入ステップと、
前記アプリケーションの設定画面を表示して前記アプリケーションに対する設定値の入力を受け付ける設定受付手段が前記アプリケーションの設定画面を表示するために利用する情報を格納する格納手段に、前記追加のアプリケーションの設定画面を表示するために利用される情報を前記格納手段に追加する、前記追加のアプリケーションにより実現される追加ステップと、
を有し、
前記設定受付手段は、前記格納手段に追加された前記追加のアプリケーションの設定画面を表示するために利用される情報に基づき、既存のアプリケーションの設定構造に前記追加のアプリケーションの設定構造を統合し、前記追加のアプリケーションに対する設定値の入力を受け付けるための設定画面を含む画面を表示すること
を特徴とする設定値入力受付方法。
【請求項10】
1つ以上のアプリケーションが導入された画像形成装置を、
前記アプリケーションの設定画面を表示して前記アプリケーションに対する設定値の入力を受け付ける設定受付手段、
前記設定受付手段が前記アプリケーションの設定画面を表示するために利用する情報を格納する格納手段、
追加のアプリケーションを導入するための処理を行う導入手段、
前記追加のアプリケーションの設定画面を表示するために利用される情報を前記格納手段に追加する、前記追加のアプリケーションにより実現される追加手段、
として機能させ、
前記設定受付手段は、前記格納手段に追加された前記追加のアプリケーションの設定画面を表示するために利用される情報に基づき、既存のアプリケーションの設定構造に前記追加のアプリケーションの設定構造を統合し、前記追加のアプリケーションに対する設定値の入力を受け付けるための設定画面を含む画面を表示すること
を特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、設定値入力受付方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置にはスキャンやコピー等の様々な機能が搭載されている。このような画像形成装置では、スキャンやコピー等の予め搭載されている機能を実行するために必要な設定値を入力できるように、設定値の入力画面を構成するようシステムプログラムが作成されていた。従来、このような画像形成装置では、新たな機能を追加しようとしてアプリケーションプログラム等の追加プログラムを開発してインストールした際に、その追加した機能の実行に新たな設定値の入力が必要となる場合、その追加した機能を実行するための設定値を入力できるようシステムプログラムを変更する必要があった。
【0003】
例えば新しい設定値を必要とするアプリケーションプログラム等の追加プログラムが新たにインストールされた場合でも、システムプログラムの変更を必要としないように、システムプログラムと動的に連携可能に構成され、追加機能の実行に必要な設定値を入力するための情報が記述されたプラグインプログラムは従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置は新しい設定値を必要とするアプリケーションプログラム等の追加プログラムを新たにインストールする場合に、その追加プログラムに対応したプラグインプログラムを開発しなければならないという問題があった。また、従来の画像形成装置はプラグインプログラムのインストールの手間が掛かるという問題があった。
【0005】
本発明の一実施形態は、アプリケーションの設定を受け付ける設定画面に追加のアプリケーションの設定を容易に追加できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態は、1つ以上のアプリケーションが導入された画像形成装置であって、前記アプリケーションの設定画面を表示して前記アプリケーションに対する設定値の入力を受け付ける設定受付手段と、前記設定受付手段が前記アプリケーションの設定画面を表示するために利用する情報を格納する格納手段と、追加のアプリケーションを導入するための処理を行う導入手段と、前記追加のアプリケーションの設定画面を表示するために利用される情報を前記格納手段に追加する、前記追加のアプリケーションにより実現される追加手段と、を有し、前記設定受付手段は、前記格納手段に追加された前記追加のアプリケーションの設定画面を表示するために利用される情報に基づき、既存のアプリケーションの設定構造に前記追加のアプリケーションの設定構造を統合し、前記追加のアプリケーションに対する設定値の入力を受け付けるための設定画面を含む画面を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、アプリケーションの設定を受け付ける設定画面に追加のアプリケーションの設定を容易に追加できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例のハードウェア構成図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置の一例の機能構成図である。
図3】設定値格納部に格納されている設定値及び設定情報の一例の構成図である。
図4】システムプログラムが有する設定構造の一例のイメージ図である。
図5】システムプログラムが生成する設定画面の画面遷移を表した一例のイメージ図である。
図6】本実施形態に係る画像形成装置に追加のアプリケーションがインストールされてから設定機能が設定画面を表示するまでの一例のシーケンス図である。
図7】設定構造を記述したデータの一例の構成図である。
図8】画面描画処理の一例のフローチャートである。
図9】描画テンプレートの一例のイメージ図である。
図10】画面テンプレートの一例のイメージ図である。
図11】画面描画処理の一例のイメージ図である。
図12】画像形成装置を構成する操作部及び本体部の一例のハードウェア構成図である。
図13】本実施形態に係る画像形成装置の他の例の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
[第一の実施形態]
<ハードウェア構成>
《画像形成装置》
本実施形態に掛かる画像形成装置1は、例えば図1に示すハードウェア構成により実現される。図1は本実施形態に係る画像形成装置の一例のハードウェア構成図である。図1の画像形成装置1は、コントローラ601、操作パネル602、外部I/F603、通信I/F604、プリンタ605及びスキャナ606などを備える。
【0011】
コントローラ601はCPU611、RAM612、ROM613、NVRAM614及びHDD615などを備える。ROM613は、各種プログラムやデータが格納されている。RAM612はプログラムやデータを一時保持する。NVRAM614は、例えば設定情報等が格納されている。また、HDD615は各種プログラムやデータが格納されている。
【0012】
CPU611は、ROM613やNVRAM614、HDD615などからプログラムやデータ、設定情報等をRAM612上に読み出し、処理を実行することで、画像形成装置1全体の制御や機能を実現する。
【0013】
操作パネル602はユーザからの入力を受け付ける入力部と、表示を行う表示部とを備えている。外部I/F603は外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体603aなどがある。これにより、画像形成装置1は外部I/F603を介して記録媒体603aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体603aにはICカード、フレキシブルディスク、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリ等がある。
【0014】
通信I/F604は、画像形成装置1をネットワークに接続させる為のインタフェースである。これにより、画像形成装置1は通信I/F604を介してデータ通信を行うことができる。プリンタ605は印刷データを用紙に印刷する印刷装置である。スキャナ606は原稿から画像データ(電子データ)を読み取る読取装置である。
【0015】
なお、図1のハードウェア構成は一例であって、プリンタ605及びスキャナ606の一方が無い構成や、プリンタ605及びスキャナ606以外の画像形成処理を行う機能を有する構成、それらを組み合わせた構成など、様々な構成が含まれる。
【0016】
<機能構成>
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は本実施形態に係る画像形成装置の一例の機能構成図である。図2の機能構成図では本実施形態の説明に不要な構成について省略している。
【0017】
図2に示す画像形成装置1は、インストーラ10、既存のアプリケーション12A~12C、追加のアプリケーション12E、設定機能を有するシステムプログラム14、設定値格納部16、テンプレート格納部18及び機能制御部20を有する。なお、既存のアプリケーション12A~12C、及び、追加のアプリケーション12Eの両方を示す場合は、アプリケーション12と総称する。
【0018】
インストーラ10はアプリケーションプログラムを画像形成装置1に導入するプログラムの一例である。既存のアプリケーション12A~12Cは画像形成装置1に導入済みのアプリケーションプログラムの一例である。
【0019】
追加のアプリケーション12Eは、インストーラ10のインストールにより追加で画像形成装置1に導入されたアプリケーションプログラムの一例である。本実施形態において追加のアプリケーション12Eは、システムプログラム14が設定画面を表示するために利用する設定値と設定情報とを設定値格納部16に書き込む。また、アプリケーション12Eは、設定値格納部16に格納されている設定値及び設定情報に基づいて、所定の機能を提供する。
【0020】
設定値格納部16は、追加のアプリケーション12Eが書き込んだアプリケーション12Eの設定値及び設定情報の他、既存のアプリケーション12A~12Cの設定値及び設定情報が格納されている。設定機能を有するシステムプログラム14はユーザに設定機能を提供するプログラムの一例である。システムプログラム14は設定値格納部16に格納されているアプリケーション12の設定値及び設定情報に基づき、設定画面を生成して表示する。
【0021】
テンプレート格納部18は後述の画面描画処理を行うためのテンプレート情報(後述する図9の描画テンプレート及び図10の画面テンプレート)が格納されている。機能制御部20はアプリケーション12と連携して、設定値格納部16に格納されている設定値及び設定情報に基づいて、画面形成機能を提供する。
【0022】
例えばコピー機能を利用するためのアプリケーション12の指示に応じて、機能制御部20は設定値及び設定情報として設定された優先給紙トレーから用紙を取得してコピーを実行する。
【0023】
図3は設定値格納部に格納されている設定値及び設定情報の一例の構成図である。図3の設定値及び設定情報100は既存のアプリケーション12A~12Cの設定値及び設定情報を示している。図3の設定値及び設定情報102は追加のアプリケーション12Eの設定値及び設定情報を示している。
【0024】
図3の設定値及び設定情報は項目として、設定オーナ、ID、設定種別、入力範囲、タイトル、設定値、配置箇所を有している。設定オーナは、その設定値及び設定情報に対応するアプリケーション12を示す。IDは図3の設定値及び設定情報を識別する識別情報の一例である。設定種別は数値型、文字列型、択一選択型など、設定値の種別を示す。
【0025】
入力範囲は設定値の範囲を示す。タイトルは、設定画面においてユーザに、その設定値を識別させるためのタイトルである。設定値は、その設定値及び設定情報に設定されている設定値であって、設定画面に表示する設定値を示す。配置箇所は、その設定値及び設定情報を配置する箇所が、後述する設定構造における位置で表されている。
【0026】
例えば図3に示したID「E001」の配置箇所「その他の設定>アプリケーションE設定」は、設定構造上の構造「アプリケーションE設定」の項目「E001」であることを示している。図3に示したID「E003」の配置箇所は、設定構造上の構造「アプリケーションE設定」及び「省エネ設定」の項目「E003」であることを示している。このように、一つの設定値及び設定情報の項目を、複数の配置箇所に配置することも可能である。
【0027】
システムプログラム14は図4に示すような設定構造を有している。図4はシステムプログラムが有する設定構造の一例のイメージ図である。図4に示すように、設定構造は構造と項目とがツリー構造で表されている。なお、図4の設定構造は図3の設定値及び設定情報に対応している。図4において項目112は図3のID「E003」の設定値及び設定情報により配置された項目である。また、図4において構造110及び項目114~118は図3のID「E001」「E002」及び「E003」の設定値及び設定情報により配置された構造及び項目である。
【0028】
なお、システムプログラム14は既存のアプリケーション12A~12Cの設定構造を基本となる設定構造として予め保持し、設定機能の起動時、図3の設定値及び設定情報102に対応する追加の設定構造(構造110及び項目112~118)を統合するようにしてもよい。例えばシステムプログラム14は、JSON(JavaScript Object Notation)などのデータ記述言語で記述された図4に示すような設定構造をデータとして保持している。
【0029】
図3の設定値及び設定情報及び図4の設定構造の場合、システムプログラム14は例えば図5に示すように画面遷移する設定画面を生成し、表示する。図5はシステムプログラムが生成する設定画面の画面遷移を表した一例のイメージ図である。例えば、図4の構造「システム設定」に対応する設定画面1030に、この構造「システム設定」の「子」である構造「省エネ設定」及び構造「管理者設定」のそれぞれに対応するボタンが表示される。「省エネ設定」ボタンが選択されると、図4の構造「省エネ設定」に対応する設定画面1040が表示される。この設定画面1040には、構造「省エネ設定」の「子」である項目「B002」及び項目「E003」のそれぞれに対応する設定項目が表示される。図5の設定画面1000及び1030は追加のアプリケーション12Eによる構造や項目の追加が行われていない。
【0030】
図5の設定画面1010は、追加のアプリケーション12Eによる構造110の追加が行われている。図5の設定画面1020は、追加のアプリケーション12Eによる項目114~118の追加が行われている。図5の設定画面1040は追加のアプリケーション12Eによる項目112の追加が行われている。
【0031】
このように、本実施形態に掛かる画像形成装置1では、インストールされた追加のアプリケーション12Eが設定値格納部16に、追加のアプリケーション12Eの設定値及び設定情報を書き込む。インストールされた追加のアプリケーション12Eが設定値格納部16に書き込む設定値及び設定情報は、図3に示したように、設定画面を生成して表示するために必要な情報である。
【0032】
設定機能を提供するシステムプログラム14は、設定値格納部16に書き込まれている設定値及び設定情報を読み出して、既存のアプリケーション12A~12C及び追加のアプリケーション12Eの設定画面1000~1040を生成し、表示する。本実施形態によればシステムプログラム14を変更することなく、既存のアプリケーション12A~12Cの設定機能に、追加のアプリケーション12Eの設定機能を追加できる。
【0033】
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の処理の詳細について説明する。図6は本実施形態に係る画像形成装置に追加のアプリケーションがインストールされてから設定機能が設定画面を表示するまでの一例のシーケンス図である。
【0034】
ステップS11においてインストーラ10は、追加のアプリケーション12Eのインストール操作を受け付ける。ステップS12に進み、インストーラ10はアプリケーション12Eをインストールする。ステップS13に進み、インストーラ10はシステムプログラム14にアプリケーション12Eのインストールを通知する。
【0035】
ステップS14に進み、システムプログラム14はアプリケーション12Eに設定値格納要求を行う。システムプログラム14から設定値格納要求を受信したアプリケーション12EはステップS15に進み、アプリケーション12Eの設定値、設定情報を設定値格納部16に書き込む。
【0036】
例えば図3の例では、設定値格納部16に既存のアプリケーション12A~12Cの設定値及び設定情報100が格納されており、ステップS15の処理により、追加のアプリケーション12Eの設定値及び設定情報102が追加される。ステップS16に進み、アプリケーション12Eはシステムプログラム14に設定値格納応答を返す。
【0037】
ステップS17においてシステムプログラム14は、設定機能を起動する操作を受け付ける。ステップS18に進み、システムプログラム14は設定値格納部16に格納されている図3のアプリケーション12の設定値及び設定情報を読み出す。システムプログラム14はステップS19に進み、既存のアプリケーション12A~12Cの設定構造に追加のアプリケーション12Eの設定構造を統合する。例えば図4の例では構造110及び項目114~118が設定構造に統合される。
【0038】
ステップS19の処理により、システムプログラム14が保持する例えばJSONで記述された設定構造は図7に示すように更新される。図7は設定構造を記述したデータの一例の構成図である。
【0039】
なお、JSONは名前(Key)と値(Value)とのペアの集まりであり、「{ }」で括る構成をオブジェクトといい、「[ ]」で括る構成を配列と呼ぶ。例えば図7のオブジェクト200の「"id":"settings:system:eco"」の場合は「id」が名前(Key)となり、「settings:system:eco」が値(Value)となる。
【0040】
また、オブジェクト200は、省エネ設定画面(構造)を定義する。また、オブジェクト200の「children」の値は、2つの設定項目(項目)を定義する配列となる。このようにオブジェクト200の「children」の値に記載された配列構造のオブジェクト204及び206が「子」を表す。さらに、オブジェクト208は、アプリケーションE設定画面(構造)を定義し、オブジェクト208の「children」の値は、3つの設定項目(項目)を定義する配列となる。また、複数のオブジェクトの従属関係により、複数のオブジェクトのそれぞれにより定義される画面の画面遷移の関係を表す。例えば、オブジェクト210の「children」の値にオブジェクト200が記載されていることは、オブジェクト210により定義された画面から、オブジェクト200により定義された画面に遷移できることを表す。
【0041】
なお、図3の設定値及び設定情報の項目「配置箇所」には、図7のオブジェクト200の場合に「"id":"settings:system:eco"」の値「settings:system:eco」が格納される。図7の例では「"type":"category"」付きのオブジェクト200が「構造」であり、付いていないオブジェクト204及び206が「項目」となる。図7の例では「項目」がIDの昇順に並ぶ。設定項目の詳細は、図3の設定値及び設定情報の対応するレコードに格納されている。このように、各設定画面の従属関係(画面遷移の関係)は図7の設定構造のように定義される。
【0042】
図6のステップS20に戻り、システムプログラム14はステップS19で統合された例えば図7のような設定構造から例えば設定画面1000を生成する。ステップS21に進み、システムプログラム14は設定画面1000を表示する。
【0043】
ステップS22で設定画面1000の「その他の設定」が選択されると、ステップS23に進み、システムプログラム14はステップS19で統合された例えば図7のような設定構造から例えば設定画面1010を生成する。ステップS24に進み、システムプログラム14は設定画面1010を表示する。
【0044】
ステップS25で設定画面1010の「アプリケーションE設定」が選択されると、ステップS26に進み、システムプログラム14は設定値格納部16から設定画面1020を生成して表示するために必要な情報を読み出す。ステップS27に進み、システムプログラム14はステップS19で統合された例えば図7のような設定構造と、ステップS26で読み出した設定値及び設定情報から例えば設定画面1020を生成する。ステップS28に進み、システムプログラム14は設定画面1020を表示する。
【0045】
図6のシーケンス図に示したように、システムプログラム14は「children」の値を描画対象とする。すなわち、本実施形態では「子」の「子」の値が描画対象外となる。例えば設定画面1000を生成するとき、システムプログラム14は設定画面1000のオブジェクトの「children」の値に記載されている「システム設定」と「コピー設定」と「スキャナ設定」と「その他の設定」とが描画対象となる。一方、設定画面1030のオブジェクトの「children」の値に記載されている「省エネ設定」と「管理者設定」とが描画の対象となる。
【0046】
以上、図6のシーケンス図では選択された設定画面を順次生成する例を示したが、全ての設定画面を一遍に生成しておいてもよい。また、図7の設定構造はJSONの他、XML(eXtensible Markup Language)やHTML(HyperText Markup Language)などの他のフォーマットにより設定画面を定義するようにしてもよい。
【0047】
ステップS20、S23及びステップS27における設定画面の生成は、例えば図8のフローチャートに示す手順で行われる。図8は、画面描画処理の一例のフローチャートである。図8の画面描画処理では、テンプレート格納部18に格納されている図9の描画テンプレート及び図10の画面テンプレートを利用して設定画面を描画する。
【0048】
ステップS51に進み、システムプログラム14は図10の画面テンプレートの「画面タイトル表示位置」に「親」の「title」の値を描画する。ステップS52~S57の処理は「子」の数だけ繰り返される。
【0049】
ステップS52においてシステムプログラム14は「子」の要素(オブジェクト)の種類が構造であるか項目であるかを判定する。構造であれば、システムプログラム14はステップS53に進み、要素の種類「構造」の図9の描画テンプレートを図10の画面テンプレートに対して描画する。
【0050】
構造でなければステップS54に進み、システムプログラム14は「子」の要素の設定種別を判定する。システムプログラム14は「子」の要素の設定種別が「数値型」であればステップS55に進み、要素の種類「設定」及び設定種別「数値型」に対応する描画テンプレートを図10の画面テンプレートに対して描画する。
【0051】
システムプログラム14は「子」の要素の設定種別が「文字列型」であればステップS56に進み、要素の種類「設定」及び設定種別「文字列型」に対応する描画テンプレートを図10の画面テンプレートに対して描画する。システムプログラム14は「子」の要素の設定種別が「択一選択型」であればステップS57に進み、要素の種類「設定」及び設定種別「択一選択型」に対応する描画テンプレートを図10の画面テンプレートに対して描画する。
【0052】
図8に示した画面描画処理の具体例は、例えば図11に示すように行われる。図11は画面描画処理の一例のイメージ図である。図11のイメージ図は図7のオブジェクト208に基づき、設定画面1020を描画する処理を示している。
【0053】
システムプログラム14は画面テンプレート300の「画面タイトル表示位置」に設定構造304の「親」の「title」の値「アプリケーションE設定」を描画する。また、システムプログラム14は設定構造304の「子」の要素を順番に読み出す。システムプログラム14は読み出した「子」の要素の設定種別に対応する描画テンプレート302を画面テンプレートに対して描画する。
【0054】
例えばシステムプログラム14は「子」であるID「E001」の要素の設定種別に対応する設定種別「数値型」の描画テンプレートを読み出し、画面テンプレート300に描画し、すなわち、設定画面1020の「リセットタイマー」設定項目を描画する。また、システムプログラム14は「子」であるID「E002」の要素の設定種別に対応する設定種別「択一選択型」の描画テンプレートを読み出し、画面テンプレート300に描画し、すなわち、設定画面1020の「デフォルトカラーモード」設定項目を描画する。さらに、システムプログラム14は「子」であるID「E003」の要素の設定種別に対応する設定種別「択一選択型」の描画テンプレートを読み出し、画面テンプレート300に描画し、すなわち、設定画面1020の「アプリケーションE省エネ優先設定」設定項目を描画する。
【0055】
結果、システムプログラム14は、システムプログラム14を変更することなく、追加のアプリケーション12Eの設定画面1020を生成し、画像形成装置1に搭載されたWebブラウザなどに表示させることができる。
【0056】
また、設定画面1010の画面描画処理の具体例は、例えば図7のオブジェクト212に基づき、以下のように行われる。
【0057】
システムプログラム14は画面テンプレートの「画面タイトル表示位置」に「title」の値「その他の設定」を描画する。また、システムプログラム14は「子」の要素を順番に読み出し、「子」の要素の設定種別に対応する描画テンプレートを画面テンプレートに対して描画する。
【0058】
例えば、「子」の要素「アプリケーションA設定」の設定種別は「構造」であると判定し(ステップS52)、要素の種類「構造」に対応する描画テンプレートを図10の画面テンプレートに対して描画し(ステップS53)、すなわち、設定画面1010の「アプリケーションA設定」ボタンを描画する。続いて、次の「子」の要素「アプリケーションE設定」の設定種別は「構造」であると判定し(ステップS52)、同じように、要素の種類「構造」に対応する描画テンプレートを図10の画面テンプレートに対して描画し(ステップS53)、すなわち、設定画面1010の「アプリケーションE設定」ボタンを描画する。
【0059】
結果、システムプログラム14は、システムプログラム14を変更することなく、追加のアプリケーション12Eの設定画面1020を表示させるためのボタンを含む設定画面1010を生成し、画像形成装置1に搭載されたWebブラウザなどに表示させることができる。なお、Webブラウザは表示機能を持つプログラムの一例である。
【0060】
[他の実施形態]
例えば図1の画像形成装置1は操作部として機能する装置と本体部として機能する装置のように、複数の装置から構成されてもよい。図12は、画像形成装置を構成する操作部及び本体部の一例のハードウェア構成図である。
【0061】
図12に示すように、操作部710は、CPU711、ROM712、RAM713、フラッシュメモリ714、操作パネル715、接続I/F716、通信I/F717を有しており、各要素は、バス718を介して相互に接続されている。
【0062】
CPU711は、RAM713をワークエリアとしてROM712またはフラッシュメモリ714に記憶された各種プログラムを実行することにより、操作部710全体を制御するとともに、各種機能を実現する。フラッシュメモリ714は、不揮発性記憶媒体であり、CPU711が実行する各種プログラムや各種データを記憶する。
【0063】
操作パネル715は、ユーザが各種操作を行うための表示・操作部及びハードウェアキーを有する。操作パネル715の表示・操作部は、更に、画像形成装置1の内部状態を表示することができる。接続I/F716は、通信路730を介して本体部720と通信するためのインタフェースである。ここでは、USB規格のインタフェースが用いられるものとする。通信I/F717は、ネットワークを介して通信するためのインタフェースである。
【0064】
本体部720は、CPU721、ROM722、RAM723、HDD724、エンジン部725、接続I/F726、通信I/F727を有しており、各要素は、バス728を介して相互に接続されている。
【0065】
CPU721は、RAM723をワークエリアとしてROM722またはHDD724に記憶された各種プログラムを実行することにより、本体部720全体を制御するとともに、各種機能を実現する。HDD724は、不揮発性記憶媒体であり、CPU721が実行する各種プログラムや各種データを記憶する。
【0066】
エンジン部725は、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能等の画像処理機能を実現するための情報処理を行うハードウェアである。エンジン部725は、例えば、原稿をスキャンして読み取るスキャナ、用紙等のシート材への印刷を行うプロッタ、ファクシミリ通信を行う通信部を有する。更に、印刷済みのシート材を仕分けるフィニッシャや、原稿を自動給送するADF(自動原稿給送装置)等が含まれていてもよい。また、接続I/F726は通信路730を介して操作部710と通信するためのインタフェースである。ここでは、USB規格のインタフェースが用いられるものとする。通信I/F727は、ネットワークを介して通信するためのインタフェースである。
【0067】
次に、図12に示すような操作部710と本体部720とが分かれたハードウェア構成の画像形成装置1の機能構成について説明する。図13は本実施形態に係る画像形成装置の他の例の機能構成図である。図13の機能構成図では本実施形態の説明に不要な構成について省略している。
【0068】
図13の画像形成装置1は、インストーラ10、既存のアプリケーション12A~12C、追加のアプリケーション12E及び設定機能を有するシステムプログラム14、が操作部710に設けられている。また、図13の画像形成装置1は設定値格納部16、テンプレート格納部18及び機能制御部20が本体部720に設けられている。インストーラ10、既存のアプリケーション12A~12C、追加のアプリケーション12E、設定機能を有するシステムプログラム14、設定値格納部16、テンプレート格納部18及び機能制御部20の処理内容は図2と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
なお、機能制御部20以外のインストーラ10、既存のアプリケーション12A~12C、追加のアプリケーション12E、設定機能を有するシステムプログラム14、設定値格納部16及びテンプレート格納部18は、操作部710及び本体部720のどちらに設けられてもよい。
【0070】
(まとめ)
以上、本実施形態によれば、既存のアプリケーション12A~12Cの画面遷移する設定画面に、追加のアプリケーション12Eの設定を容易に追加できる。
【0071】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 画像形成装置
10 インストーラ
12A~12C 既存のアプリケーション
12E 追加のアプリケーション
14 システムプログラム
16 設定値格納部
18 テンプレート格納部
20 機能制御部
100 既存のアプリケーションの設定値及び設定情報
102 追加のアプリケーションの設定値及び設定情報
110 構造
112~118 項目
200、204、206及び208 オブジェクト
300 画面テンプレート
302 描画テンプレート
304 設定構造
710 操作部
720 本体部
1000、1010、1020、1030及び1040 設定画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【文献】特開2017-144649号公報
図1
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