(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】仲介装置、機器監視システム、仲介方法
(51)【国際特許分類】
H04L 67/1008 20220101AFI20220517BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
H04L67/1008
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2018051523
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 賢
【審査官】今川 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-079465(JP,A)
【文献】特開2013-003711(JP,A)
【文献】国際公開第2016/121293(WO,A1)
【文献】特開2007-329798(JP,A)
【文献】特開2002-318643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/1008
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の機器から取得した機器に関する機器情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する仲介装置であって、
機器から機器情報を取得する他の仲介装置の状態を監視する監視手段と、
前記監視手段が前記他の仲介装置の状態を監視した結果、前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、前記他の仲介装置が監視していた機器を監視するための設定情報に基づいて、前記他の仲介装置が監視していた機器の監視を引き継ぐ監視引き継ぎ手段と、を有し、
前記監視引き継ぎ手段は、前記監視手段が監視した前記他の仲介装置の状態から前記他の仲介装置の異常レベルを判断し、前記異常レベルに応じた処理を行い、
前記監視引き継ぎ手段は、前記監視手段が監視した前記他の仲介装置の前記異常レベルが所定のレベルの場合、前記他の仲介装置を異常から回復させる処理を行うことを特徴とする仲介装置。
【請求項2】
前記監視引き継ぎ手段は、前記他の仲介装置から状態を示す情報を取得する際はプル通信で取得し、前記他の仲介装置を異常から回復させる処理を行う際はプッシュ通信で行うことを特徴とする
請求項1に記載の仲介装置。
【請求項3】
監視対象の機器から取得した機器に関する機器情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する仲介装置であって、
機器から機器情報を取得する他の仲介装置の状態を監視する監視手段と、
前記監視手段が前記他の仲介装置の状態を監視した結果、前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、前記他の仲介装置が監視していた機器を監視するための設定情報に基づいて、前記他の仲介装置が監視していた機器の監視を引き継ぐ監視引き継ぎ手段と、を有し、
前記監視引き継ぎ手段は、前記監視手段が監視した前記他の仲介装置の状態から前記他の仲介装置の異常レベルを判断し、
前記他の仲介装置の前記異常レベルと異常レベルに応じた処理が予め対応付けられており、
前記異常レベルに応じた処理は外部から変更可能であり、
前記監視手段が監視した前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、前記監視引き継ぎ手段は、前記異常レベルに対応付けられた処理を行うことを特徴とする仲介装置。
【請求項4】
前記他の仲介装置に異常が生じた場合に、前記他の仲介装置が前記情報処理装置に送信していた前記機器に関する機器情報のうち引き継いで前記情報処理装置に送信する機器情報が予め設定されており、
前記仲介装置が引き継いで前記情報処理装置に送信する機器情報は外部から変更可能であることを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載の仲介装置。
【請求項5】
監視対象の機器から取得した機器に関する機器情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する仲介装置であって、
機器から機器情報を取得する他の仲介装置の状態を監視する監視手段と、
前記監視手段が前記他の仲介装置の状態を監視した結果、前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、前記他の仲介装置が監視していた機器を監視するための設定情報に基づいて、前記他の仲介装置が監視していた機器の監視を引き継ぐ監視引き継ぎ手段と、を有し、
前記監視手段は、前記設定情報として、前記機器と通信するための通信プロトコルと前記通信プロトコルで設定されるパラメータを管理しており、
前記監視引き継ぎ手段は、前記他の仲介装置の異常の発生前又は異常の発生後に前記設定情報を取得し、前記他の仲介装置が監視していた機器と通信するための前記通信プロトコルと前記パラメータを使って、前記他の仲介装置が監視していた機器から機器情報を取得することを特徴とする仲介装置。
【請求項6】
前記通信プロトコル及び前記パラメータは外部から追加、変更又は削除されることが可能であることを特徴とする
請求項5に記載の仲介装置。
【請求項7】
監視対象の機器と、前記機器から取得した機器に関する機器情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する仲介装置とを有する機器監視システムであって、
機器から機器情報を取得する他の仲介装置の状態を監視する監視手段と、
前記監視手段が前記他の仲介装置の状態を監視した結果、前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、前記他の仲介装置が監視していた機器を監視するための設定情報に基づいて、前記他の仲介装置が監視していた機器の監視を引き継ぐ監視引き継ぎ手段と、を有し、
前記監視引き継ぎ手段は、前記監視手段が監視した前記他の仲介装置の状態から前記他の仲介装置の異常レベルを判断し、前記異常レベルに応じた処理を行い、
前記監視引き継ぎ手段は、前記監視手段が監視した前記他の仲介装置の前記異常レベルが所定のレベルの場合、前記他の仲介装置を異常から回復させる処理を行うことを特徴とする機器監視システム。
【請求項8】
監視対象の機器と、前記機器から取得した機器に関する機器情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する仲介装置とを有する機器監視システムであって、
機器から機器情報を取得する他の仲介装置の状態を監視する監視手段と、
前記監視手段が前記他の仲介装置の状態を監視した結果、前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、前記他の仲介装置が監視していた機器を監視するための設定情報に基づいて、前記他の仲介装置が監視していた機器の監視を引き継ぐ監視引き継ぎ手段と、を有し、
前記監視引き継ぎ手段は、前記監視手段が監視した前記他の仲介装置の状態から前記他の仲介装置の異常レベルを判断し、
前記他の仲介装置の前記異常レベルと異常レベルに応じた処理が予め対応付けられており、
前記異常レベルに応じた処理は外部から変更可能であり、
前記監視手段が監視した前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、前記監視引き継ぎ手段は、前記異常レベルに対応付けられた処理を行うことを特徴とする機器監視システム。
【請求項9】
監視対象の機器と、前記機器から取得した機器に関する機器情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する仲介装置とを有する機器監視システムであって、
機器から機器情報を取得する他の仲介装置の状態を監視する監視手段と、
前記監視手段が前記他の仲介装置の状態を監視した結果、前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、前記他の仲介装置が監視していた機器を監視するための設定情報に基づいて、前記他の仲介装置が監視していた機器の監視を引き継ぐ監視引き継ぎ手段と、を有し、
前記監視手段は、前記設定情報として、前記機器と通信するための通信プロトコルと前記通信プロトコルで設定されるパラメータを管理しており、
前記監視引き継ぎ手段は、前記他の仲介装置の異常の発生前又は異常の発生後に前記設定情報を取得し、前記他の仲介装置が監視していた機器と通信するための前記通信プロトコルと前記パラメータを使って、前記他の仲介装置が監視していた機器から機器情報を取得することを特徴とする機器監視システム。
【請求項10】
監視対象の機器から取得した機器に関する機器情報を、ネットワークを介して情報処理装置に送信する仲介装置が行う仲介方法であって、
監視手段が、機器から機器情報を取得する他の仲介装置の状態を監視するステップと、
前記監視手段が前記他の仲介装置の状態を監視した結果、前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、監視引き継ぎ手段が、前記他の仲介装置が監視していた機器を監視するための設定情報に基づいて、前記他の仲介装置が監視していた機器の監視を引き継ぐステップと、を有し、
前記監視引き継ぎ手段は、前記監視手段が監視した前記他の仲介装置の状態から前記他の仲介装置の異常レベルを判断し、前記異常レベルに応じた処理を行い、
前記監視引き継ぎ手段は、前記監視手段が監視した前記他の仲介装置の前記異常レベルが所定のレベルの場合、前記他の仲介装置を異常から回復させる処理を行うことを特徴とする仲介方法。
【請求項11】
監視対象の機器から取得した機器に関する機器情報を、ネットワークを介して情報処理装置に送信する仲介装置が行う仲介方法であって、
監視手段が、機器から機器情報を取得する他の仲介装置の状態を監視するステップと、
前記監視手段が前記他の仲介装置の状態を監視した結果、前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、監視引き継ぎ手段が、前記他の仲介装置が監視していた機器を監視するための設定情報に基づいて、前記他の仲介装置が監視していた機器の監視を引き継ぐステップと、を有し、
前記監視引き継ぎ手段は、前記監視手段が監視した前記他の仲介装置の状態から前記他の仲介装置の異常レベルを判断し、
前記他の仲介装置の前記異常レベルと異常レベルに応じた処理が予め対応付けられており、
前記異常レベルに応じた処理は外部から変更可能であり、
前記監視手段が監視した前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、前記監視引き継ぎ手段は、前記異常レベルに対応付けられた処理を行うことを特徴とする仲介方法。
【請求項12】
監視対象の機器から取得した機器に関する機器情報を、ネットワークを介して情報処理装置に送信する仲介装置が行う仲介方法であって、
監視手段が、機器から機器情報を取得する他の仲介装置の状態を監視するステップと、
前記監視手段が前記他の仲介装置の状態を監視した結果、前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、監視引き継ぎ手段が、前記他の仲介装置が監視していた機器を監視するための設定情報に基づいて、前記他の仲介装置が監視していた機器の監視を引き継ぐステップと、を有し、
前記監視手段は、前記設定情報として、前記機器と通信するための通信プロトコルと前記通信プロトコルで設定されるパラメータを管理しており、
前記監視引き継ぎ手段は、前記他の仲介装置の異常の発生前又は異常の発生後に前記設定情報を取得し、前記他の仲介装置が監視していた機器と通信するための前記通信プロトコルと前記パラメータを使って、前記他の仲介装置が監視していた機器から機器情報を取得することを特徴とする仲介方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仲介装置、機器監視システム、及び、仲介方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続されている様々な機器の状態を監視するシステムが知られている。例えば、複合機では常駐しているスレッド数や印刷枚数のカウンタ情報等がクラウドサーバに送信され(最終的には複合機を監視するアプリシステム等に送信される)、異常の検知や課金等に利用されている。また、産業機械・医療機器などにおいても正常に動作しているかどうかなどの状態がクラウドサーバにより監視される場合がある。更に、近年ではネットワークに接続できない「モノ」にカメラなどのセンサ(通信装置がついている)を取り付けてクラウドサーバから監視したり制御したりする取り組みもある。このような「モノ」の通信をIOT(Internet of Things)という。
【0003】
しかしながら、機器が直接インターネット上のクラウドサーバに接続されている場合、各機器がクラウドサーバとの通信機能や通信のセキュリティを確保する機能を有する必要がありコストがかかる。また、これらの対応が困難な機器又はセンサ(通信装置)も存在する。
【0004】
このため、機器があるLAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)内にクラウドサーバとの通信を仲介する仲介装置を設置するという対策が取られる場合がある。仲介装置は、クラウドサーバとの通信やセキュリティに関する処理を一括で担うため、各機器又はセンサ(通信装置)にかかるコストを削減できる。
【0005】
しかしながら、仲介装置がダウンしてしまった場合(故障・ファームウェア更新・リブート処理中)、機器とクラウドサーバとの通信が遅延する又は途絶えてしまう、という不都合が生じる。
【0006】
このような不都合に対して、代替の装置を用意する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、サーバとの定期通信を代行する情報処理装置3bを情報処理装置3cが監視し、代行が正常に行われていなければ、それに対処する情報処理システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、依然として、機器とクラウドサーバとの通信が遅延する又は途絶えてしまう、という不都合が生じるおそれがあるという問題がある。すなわち、代行が正常に行われていないことが検知された場合に、情報処理装置3bに代わる装置が存在しなければ、代行等の対処が不可能となり、遅延等が生じてしまう。また、このような遅延はユーザの利便性を低下させるおそれもある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、仲介装置に異常が生じても情報の仲介に生じる不都合を抑制する仲介装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、監視対象の機器から取得した機器に関する機器情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する仲介装置であって、機器から機器情報を取得する他の仲介装置の状態を監視する監視手段と、前記監視手段が前記他の仲介装置の状態を監視した結果、前記他の仲介装置に異常があると判断した場合、前記他の仲介装置が監視していた機器を監視するための設定情報に基づいて、前記他の仲介装置が監視していた機器の監視を引き継ぐ監視引き継ぎ手段と、を有し、
前記監視引き継ぎ手段は、前記監視手段が監視した前記他の仲介装置の状態から前記他の仲介装置の異常レベルを判断し、前記異常レベルに応じた処理を行い、前記監視引き継ぎ手段は、前記監視手段が監視した前記他の仲介装置の前記異常レベルが所定のレベルの場合、前記他の仲介装置を異常から回復させる処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
仲介装置に異常が生じても情報の仲介に生じる不都合を抑制する仲介装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の機器監視システムの動作の概略を説明する図の一例である。
【
図2】本実施形態に係わる機器監視システムの概略構成を説明するための概要図である。
【
図3】仲介装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】複合機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】機器監視システムが有する、アプリシステム、クラウドサーバ、仲介装置、及び、機器の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【
図6】データベース部に記憶された機器接続定義を説明する図の一例である。
【
図7】機器監視システムにおいて仲介装置が他の仲介装置を監視する手順を示すシーケンス図の一例である。
【
図8】産業機械管理システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、機器監視システム、仲介装置、及び仲介装置が行う仲介方法について図面を参照しながら説明する。
【0013】
<動作の概略>
本実施形態の機器監視システムは、ローカルエリアネットワーク内に設置される仲介装置が故障やファーム更新又はリブートにより一時的に停止した場合に備えて複数の仲介装置を有する。複数の仲介装置はそれぞれクラウドサーバと機器との通信を仲介しながら、相互に状態を監視している。
【0014】
図1は本実施形態の機器監視システム100の動作の概略を説明する図の一例である。まず、
図1(a)に基づいて説明する。
(1)仲介装置30aは機器10aとクラウドサーバ50との通信を仲介し、仲介装置30bは機器10b、10cとクラウドサーバ50との通信を仲介している。
(2)また、仲介装置30aは仲介装置30bの状態を監視し、仲介装置30bは仲介装置30aの状態を監視している。
【0015】
仲介装置30aが停止した場合を
図1(b)に基づいて説明する。
(3)仲介装置30bは仲介装置30aが停止したことを検出する。
(4)仲介装置30bは、仲介装置30aが通信を仲介していた機器10aの監視に必要な情報を取得し(又は仲介装置30aが停止する前に取得しておく)、機器10aの監視に必要な情報を用いて機器10aとクラウドサーバ50との通信を仲介する。
【0016】
したがって、仲介装置30aが停止した場合には、仲介装置30bが仲介を引き継ぐので、機器10aとクラウドサーバ50の間の通信の安定性・可用性を向上させることができる。
【0017】
<用語について>
監視対象の機器は、監視のために何らかの情報が取得される機器であればよい。また、取得された情報に基づく処理は行われても行われなくてもよい。監視することを、観察や管理と称してもよい。更に機器は、装置、機械、計器、器具(機具)、機関、電子機器、設備等と呼ばれていてもよい。
【0018】
機器に関する機器情報は、機器から取得される又は取得され得る情報であればよい。仲介装置の状態は、仲介装置がその時そうなっている様子である。例えばメモリ使用量などの内部状態があるが、内部状態だけなく温度や姿勢など物理的な状態を含んでもよい。
【0019】
異常とは、普通とは違った状態をいう。別状と称してもよい。仲介とは両方の間で便宜を図ることをいうが、例えば、情報通信のなかだちをすることをいう。情報を変更することなく転送する他、何らかの加工を施して転送してもよい。
【0020】
引き継ぐとは処理を受け継ぐことをいう。引き継ぎ前と全く同じ処理を行う他、一部の処理のみを受け継ぐことも含む。
【0021】
<システム構成例>
図2は、本実施形態に係わる機器監視システム100の概略構成を説明するための概要図である。機器監視システム100は、複数の機器10(10a~10f)、複数の仲介装置30(30a~30c)、クラウドサーバ50、及び、1つ以上のアプリシステム60(60a~60c)等を有している。仲介装置30とアプリシステム60はインターネットなどのネットワークNを介してクラウドサーバ50と接続されている。
【0022】
また、仲介装置30と機器10はLAN9(9a、9b)に接続されており、LAN9とクラウドサーバ50との間には、ファイアウォール8が設けられている。
図2では複数のLAN9が図示されているが、LAN9は1つでもよい。また、1つの施設(企業等)に複数のLAN9が敷設されていてもよいし、施設ごとにLAN9が敷設されていてもよい。LAN9aには2つの仲介装置30a、30bが配置され、3つの機器10a~10cが配置されている。LAN9bには1つの仲介装置30cが配置され、3つの機器10d~10fが配置されている。しかしながら、この配置は一例に過ぎない。本実施形態では、複数の仲介装置30a、30bを有するLAN9aを想定して説明する。
【0023】
ファイアウォール8は、インターネットなどのネットワークを通じて仲介装置30に侵入した第三者により不正が行われないように、外部との境界を流れるデータを監視し、不正なアクセスの検出及び遮断を行う装置である。
【0024】
機器10は、クラウドサーバ50により監視される被監視装置である。メンテナンスやカウンタ検針が必要であれば本実施形態の機器10となりうる。例えば、複合機、プロジェクタ、電子黒板、及び、テレビ会議端末が機器10となりうる。
【0025】
例えば、複合機について説明する。複合機は、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能等の各機能のうちの少なくとも二つ以上の機能を有する。複合機は、MFP(Multi Function Peripherals)、AIO(All In One)とも呼ばれる。また、本実施形態の複合機はプリンタ等、複数の機能のうち1つのみを有する機器でもよい。例えば、画像形成装置、印刷装置、スキャナ装置、ファクシミリ装置等でもよい。
【0026】
本実施形態の機器10は、仲介装置30から定期的な機器情報の取得要求を受信した場合に、サプライ状態情報、ジャム情報、カウンタ情報、アプリのバージョン情報、エラー情報、及び、機器設定情報等を仲介装置30に送信する。
【0027】
また、機器10は、人感センサなど元々ネットワーク機能を備えてなかった「モノ」でもよい。人感センサにZigBee(登録商標)などの低機能な通信装置を備えることで、様々な「モノ」が機器監視システム100の監視対象となる。
【0028】
仲介装置30は、ファイアウォール8で保護されたLAN9内に設置され、機器10とクラウドサーバ50との通信を仲介する情報処理装置である。例えば、クラウドサーバ50からの指示を受けて機器10にアクセスしたり、機器10からのアラート通知(異常通知)をクラウドサーバ50に通知したりする。また、予め設定されたスケジュール情報に基づき機器10の機器情報の取得、機器10の死活監視を行う。仲介装置30は、LAN9内に複数設置されることがあり、その場合に相互に状態を監視しサービス提供を継続する。
【0029】
仲介装置30の具体例としては、PC(Personal Computer)、サーバ装置など一般的な情報処理装置でよい。また、機器10の1つが仲介装置30として機能を提供してもよい。
【0030】
クラウドサーバ50は、アプリシステム60、仲介装置30及び機器10の通信経路情報(これらの関連付け)をデータベースとして保持しており、アプリシステム60と機器10との間の双方向通信をサポートする。したがって、アプリシステム60はこのアプリシステム60で使用される機器10と通信することができる。
【0031】
なお、クラウドサーバ50はクラウドコンピューティングに対応している。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。
【0032】
アプリシステム60は、クラウドサーバ50が提供する機器10へのアクセス手段を使って個別のサービス(ソリューション)を提供する。例えば、ログ収集サービス、カウンタ収集サービス、又は、機器10のメンテナンスサービスなどがあげられる。アプリシステム60にはアカウントが登録されており、アカウント情報(IDとパスワード)により認証されたサービス提供者が上記のサービスを提供する。サービス提供者の一例としては例えばカスタマーエンジニアが挙げられる。
【0033】
アプリシステム60もクラウドコンピューティングに対応していることが好適である。
【0034】
<ハードウェア構成例>
<<仲介装置>>
図3は、仲介装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。仲介装置30は、CPU101、メモリ102、ストレージ103、ネットワークI/F(インタフェース)104、電源105、及び、その他I/O106のハードウェア要素を有している。
【0035】
CPU101は、Central Processing Unit(中央演算装置)の略称であり、クラウドサーバ50や機器10との通信など機器監視に関する仲介装置30の全体的な制御を行う。メモリ102は、CPU101が上記の処理を行うための一時記憶領域を提供する主記憶装置である。主記憶装置は揮発性であり、電源が切れるとメモリ上にあるデータは失われる。
【0036】
ストレージ103は、電源が切れても保存しておきたいデータを格納するための不揮発性の記憶領域である。一般的に、SDカードやHDD、SSDなどが知られているが、実現方法はこれらに限られない。ネットワークI/F104は、クラウドサーバ50及び機器10と通信するための物理的な通信インタフェースを提供する。有線で通信する場合はLANポート、無線で通信する場合はWi-Fi、3G、LTE、4G、5G、Zigbee、EnOcean、又は、Bluetooth Low Energy(登録商標)などがあげられる。
【0037】
電源105は、仲介装置30を駆動するための動力源であり、ACアダプタなどを利用してコンセントから電力が供給される。その他I/O106は、USB、ハードウェアキー(ボタン)、仲介装置30の状態通知用のLED、及び、液晶ディスプレイなど様々な入出力インタフェースである。
【0038】
なお、アプリシステム60とクラウドサーバ50のハードウェア構成は
図3の仲介装置30と同様の情報処理装置の機能を有するか、又は、仲介装置30と相違があるとしても本実施形態の説明上、支障がないものとする。
【0039】
<<機器>>
図4を用いて機器10の一例として複合機のハードウェア構成例を説明する。
図4は複合機のハードウェア構成の一例を示す図である。この複合機は、コントローラ7と、操作パネル20と、エンジン部(Engin)24とを主体に構成され、コントローラ7とエンジン部24とがPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続され、コントローラ7と操作パネル20とが所定の信号線を介して接続されている。
【0040】
コントローラ7は、複合機全体の制御、即ち、描画処理や、通信処理や、操作パネル20に対する操作入力及び表示処理などの各種処理を制御するものであり、本実施形態では、CPU11、システムメモリ(MEM-P)12、ノースブリッジ(NB)13、サウスブリッジ(SB)14、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16、ローカルメモリ(MEM-C)17、ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)103等を有している。
【0041】
なお、ノースブリッジ(NB)13とASIC16は、AGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続されており、MEM-P12は、ROM(Read Only Memory)12aと、RAM(Random Access Memory)12bを有している。
【0042】
CPU11は、複合機全体を統括的に制御するものであり、MEM-P12、NB13、SB14からなるチップセットを介して他の機器10と接続される。
【0043】
MEM-P12は、プログラムやデータの格納用及び展開用のメモリ、プリンタの描画用のメモリ等として用いられるシステムメモリである。なお、ROM12aが、プログラムやデータの格納用のメモリとして用いられる読み出し専用のメモリであり、RAM12bが、プログラムやデータの展開用のメモリやプリンタの描画用のメモリなどとして用いられる書き込み/読み出し用のメモリである。
【0044】
NB13は、CPU11と、MEM-P12、SB14、ASIC16等を接続するためのブリッジであり、MEM-P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタ及びAPターゲットとを有する。
【0045】
SB14は、NB13と、PCIデバイス、周辺デバイス等とを接続するためのブリッジである。なお、このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
【0046】
AGP15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用バスインタフェースであり、MEM-P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にする。
【0047】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP15、PCIバス、HDD19及びMEM-C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
【0048】
また、このASIC16は、PCIターゲットと、AGPマスタと、このASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM-C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部24との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットなどから構成される。
【0049】
更に、このASIC16には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)21、USB(Universal Serial Bus)22、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース23が接続されると共に、操作パネル20が信号線を介して接続されている。
【0050】
MEM-C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファ等として用いられるローカル
メモリである。ハードディスク装置(HDD)19は、画像データ、プログラム、フォントデータ、フォーム等の蓄積を行うためのストレージである。
【0051】
操作パネル20は、押しボタンやタッチパネルなどで構成され、前記タッチパネルには、機器である複合機の各種機能を利用するための操作方法や機能ボタンを表示すると共に、前記機能ボタンなどを介してユーザからの操作入力を受け付けるためのユーザインタフェースである。
【0052】
<機能について>
図5は、機器監視システム100が有する、アプリシステム60、クラウドサーバ50、仲介装置30、及び、機器10の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【0053】
<<アプリシステム>>
アプリシステム60は、ユーザI/F61、データアクセス部62、送信部63、受信部64、及び、データベース部65を有する。アプリシステム60が有するこれらの各機能は、
図3に示したストレージ103からメモリ102に展開されたプログラムをCPU101が実行することにより実現されている機能又は手段である。なお、このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されてもよいし、USBメモリや光記憶媒体などの可搬性の記憶媒体に記憶された状態で配布されてもよい。
【0054】
ユーザI/F61は、監視対象の機器10、及び、仲介装置30の状態や情報を、ユーザが使用する端末装置(ブラウザソフトウェア)に提供する。ユーザI/F61は例えばWebサーバの機能を有し、HTML等で記述された画面情報をユーザに提供する。また、ユーザI/F61は監視対象の機器10、及び、仲介装置30の状態や情報を一覧表示し、ユーザによる詳細を確認する操作に応じて、機器10に対して情報取得や制御などを命令するボタンを備えた画面を提供する。
【0055】
データアクセス部62は、データベース部65から永続化された機器情報等を取り出し加工して、ユーザI/F61を介してユーザの端末装置に提供する。また、データアクセス部62はクラウドサーバ50からの通知をデータベース部65に保存する。更に、アプリシステム60が提供するサービスの障害を検知した際に、通報するあて先をデータベース部65から取り出すことも行う。
【0056】
送信部63はユーザからの要求を受けてクラウドサーバ50にその要求を転送する。あて先としては、クラウドサーバ50、仲介装置30、又は機器10の3種類があり得る。送信の目的は情報の取得や制御などである。受信部64は、クラウドサーバ50からの通知を受信する。クラウドサーバ50、仲介装置30及び機器10が送信元となり得る。受信されるのは機器情報、異常通知、及び、制御の結果などである。
【0057】
データベース部65は、ユーザ情報を記憶すると共に、アプリシステム60が提供するサービス(機器)の障害を検知した際に障害を通報するあて先情報を記憶している。
【0058】
【表1】
表1(a)はユーザ情報が管理する情報を模式的に示す。ユーザ情報には、ユーザID、パスワード、及び、アカウントIDが対応付けて登録されている。ユーザIDはアプリシステム60からみたユーザを特定又は識別するための識別情報である。このユーザはアプリシステム60を利用する者なので一般ユーザというよりもカスタマーエンジニアなどが想定される。パスワードはユーザであることを証明するために秘密にされている情報である。アカウントIDはクラウドサーバ50から見てユーザを特定又は識別するための識別情報である。
【0059】
表1(b)はあて先情報が管理する情報を模式的に示す。あて先情報には、機器10又は仲介装置30の識別情報、電話番号、及び、メールアドレスが対応付けて登録されている。機器10又は仲介装置30の識別情報は、アプリシステム60に関連する機器10及びこの機器10の機器情報を仲介する仲介装置30の識別情報である。電話番号とメールアドレスは、機器10又は仲介装置30に異常が生じた場合の連絡先(例えば、カスタマーエンジニア)である。
【0060】
なお、
図5に示すアプリシステム60が有する機能は本実施形態の説明に使用される主な機能を示したに過ぎず、
図5に示す他、各アプリシステム60に特化したレポート集計機能、データ解析機能、又は表示手段などを持っていてもよい。
【0061】
また、表1に示した情報は、ユーザがアプリシステム60に対し任意のタイミングに少なくとも変更可能であり、更に追加、又は削除できてよい。
【0062】
<<クラウドサーバ>>
クラウドサーバ50は、ルート制御部51、2つの受信部52,55、及び、2つの送信部53,54を有する。クラウドサーバ50が有するこれらの各機能は、
図3に示したストレージ103からメモリ102に展開されたプログラムをCPU101が実行することにより実現されている機能又は手段である。なお、このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されてもよいし、USBメモリや光記憶媒体などの可搬性の記憶媒体に記憶された状態で配布されてもよい。
【0063】
ルート制御部51は、データベース部56に記憶されている、ユーザのアカウントとアプリシステム60の関連付け、アプリシステム60と仲介装置30の関連付け、及び、仲介装置30と機器10の関連付けを使用して、アプリシステム60からの要求の内容によりアプリシステム60からの要求を適切な仲介装置30又は機器10に振り分ける。同様に、機器10又は仲介装置30からの通知も適切なアプリシステム60に振り分ける。またルート制御部51は、それらの関連情報の追加・削除も行う。
【0064】
送信部53は、アプリシステム60に対する通知を送信し、送信部54は機器10又は仲介装置30に対する要求を送信する。受信部52はアプリシステム60からの要求を受信し、受信部55は機器10又は仲介装置30からの通知を受信する。
【0065】
データベース部56は、ユーザのアカウントとアプリシステム60の関連付け、アプリシステム60と仲介装置30の関連付け、及び、仲介装置30と機器10の関連付けに必要な情報を記憶している。
【0066】
【表2】
表2(a)はユーザのアカウントとアプリシステム60の関連付けの一例を示す。表2(a)ではアカウントIDとアプリシステム60が対応付けられている。表2(b)はアプリシステム60と仲介装置30の関連付けの一例を示す。表2(b)ではアプリシステム60と仲介装置IDが対応付けられている。表2(c)は仲介装置30と機器10の関連付けの一例を示す。表2(c)では仲介装置IDと機器IDが対応付けられている。したがって、ユーザがアプリシステム60にログインしてアプリシステム60からクラウドサーバ50に要求を送信させると、仲介装置IDと機器IDが特定されユーザは仲介装置30又は機器10と通信できる。逆に仲介装置30からクラウドサーバ50への通知がある場合、機器10、アプリシステム60及びアカウント(ユーザ)を特定できる。
【0067】
なお、表2に示した情報は、ユーザがアプリシステム60とクラウドサーバ50を介して任意のタイミングに少なくとも変更可能であり、更に追加、又は削除できてよい。
【0068】
<<仲介装置>>
仲介装置30は、スケジューラ31、機器プロトコル選択部32、デバイス一覧管理部33、コマンド実行部34、システム状態管理部35、2つの送信部37,38、2つの受信部36,39、及び、データベース部40を有する。仲介装置30が有するこれらの各機能は、
図3に示したストレージ103からメモリ102に展開されたプログラムをCPU101が実行することにより実現されている機能又は手段である。なお、このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されてもよいし、USBメモリや光記憶媒体などの可搬性の記憶媒体に記憶された状態で配布されてもよい。
【0069】
スケジューラ31は、仲介装置30の内部の時計で事前に設定されたスケジュール情報に基づき、監視対象の機器10から機器情報を取得しクラウドサーバ50へ通知する。また、機器10がネットワーク通信可能であるか確認する(疎通確認又は死活監視)等の定期動作を行う。本実施形態では、これに加えて定期的な仲介装置30の状態取得・異常検知を行う。状態取得の場合には他の仲介装置30から状態をプル(pull)するプル通信となる。異常検知は、他の仲介装置30に処理をプッシュ(push)するプッシュ通信となる。push通信とは、装置Aが要求される前に装置Bに情報を送信する通信形態をいい、pull通信とは装置Aが要求された場合に装置Bに情報を送信する通信形態をいう。状態取得は定期的に行い正常な仲介装置から行うためプル通信が確実であり、状態通知は異常になったタイミングで即対処するためにプッシュ通信が適切である。このように併用することで両方のメリットを享受できる効果がある。
【0070】
スケジューラ31は更に、異常が生じた仲介装置30の機器監視を引き継いだ後、異常が生じた仲介装置30が監視していた機器10から機器情報を取得する。
【0071】
機器プロトコル選択部32は、機器情報の取得、検索、及び疎通確認等を実行するための通信パラメータをデータベース部40で管理する。管理される通信パラメータを機器接続定義という。詳細を
図6に示す。監視対象の機器10が追加される場合には、通信パラメータも新たに設定される。また、監視対象の機器10が削除される場合には、通信パラメータも削除される。
【0072】
通信プロトコルは、HTTP、SNMP(Simple Network Management Protocol)、ICMP(Ping)などが使用されるが、これらの通信プロトコルに限らない。例えば、HTTPであれば、通信パラメータとして、リソースURI、メソッド、ヘッダ・クエリ・ボディパラメータがある。また、SNMPであれば、コマンド種別(Get/GetBulk)、バージョン、コミュニティ名、OID(オブジェクト識別子)がある。仲介装置30間の通信プロトコルについても機器プロトコル選択部32で通信パラメータを管理する。
【0073】
デバイス一覧管理部33は、機器10と通信するための機器ID、機器種別、及び、機器10のIPアドレスをデータベース部40で管理する。仲介装置30も機器10の1つとしてデバイス一覧管理部33により管理される。
【0074】
コマンド実行部34は、クラウドサーバ50からの要求の内容を解釈し要求に応じた機器10への制御を実行する。システム状態管理部35は、メモリ不足、ディスク不足、ディスク書き込みエラーなどシステム異常状態を検知し、クラウドサーバ50への異常通知や機器10の自動復旧を行う。また、他の仲介装置30に対しても同様の状態管理を行い、異常レベルに応じて回復処理や通知処理を行う。
【0075】
送信部38はクラウドサーバ50からの要求を機器10に送信し、また、送信部37は機器10からの異常通知をクラウドサーバ50に送信する、といった通信制御を行う。通信方法は、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)等を使用できるが通信ができればHTTPSに限らない。
【0076】
受信部36はクラウドサーバ50からの要求を受信し、また、受信部39は機器10からの異常通知を受信する、といった通信制御を行う。通信手段は、HTTPSを使用できるが通信ができればHTTPSに限らない。
【0077】
データベース部40は、仲介装置30が管理する機器10の情報、仲介装置30の異常時の処理、仲介装置30の状態とレベルの対応、自機に異常が生じた場合の引き継ぎ事項、及び、機器10と通信するための通信パラメータ(
図6参照)などの設定情報を永続化して記憶する。
【0078】
【表3】
表3(a)は、仲介装置30が管理する機器10の情報を模式的に示す。表3(a)に示すように、この情報には、監視対象の機器10の機器ID、機器種別、IPアドレス、及び、監視項目等が記憶されている。したがって、仲介装置30は機器IDとIPアドレスに基づいて監視項目である機器情報を取得できる。表3(a)のような設定が、他の機器10、及び、仲介装置30が監視する他の仲介装置30についても登録されている。
【0079】
監視項目はユーザがアプリシステム60から変更可能である。例えば、常駐スレッドの状態、メモリ使用量、ディスク使用量、証明書の期限、通信キュー、常時セッションの状態などの中から必要な監視項目を選択することで、通信のオーバーヘッドを削減できる。また不要な情報が少なくなるため見やすくなる。
【0080】
表3(b)は仲介装置30の異常時の処理の一例を示す。表3(b)では異常レベルが3段階に区分されており、レベル1<レベル2<レベル3の順に異常の程度が高い。なお、3段階の区分は一例に過ぎない。レベル1の場合は経過観察され、レベル2の場合は回復処理(リブート等)が行われ、回復しない場合にクラウドサーバ50に通知される。レベル3の場合は即時、クラウドサーバ50に通知される。機器10についても表3(b)のような異常時の処理が設定されている。異常レベルを判断することで、適切な対応が可能になる。また、異常レベルと処理の関係はアプリシステムから変更可能であるため、機器や仲介装置の個別の運用にあわせて柔軟な対応ができる。
【0081】
表3(c)は、仲介装置30の状態と異常レベルの対応を説明する表である。表3に示すように、仲介装置30がどのような状態の場合にレベル1~3と判断されるかが設定されている。表3(c)の設定は一例であり、また、仲介装置30ごと又は機器10ごとに異なってよい。
【0082】
表3(d)は自機に異常が生じた場合の引き継ぎ事項の一例を示す。自機である仲介装置30に異常が生じた場合、異常が生じた仲介装置30を監視する仲介装置30の負荷が引き継ぎのため高くなる。このため、機器10の状態監視を引き継いだ仲介装置30の負荷が高くなりすぎないように、引き継いだ後も最低限、監視すべき機器情報が設定されている。引き継ぎした仲介装置30が機器10から取得する機器情報は、異常が生じた仲介装置30が引き継ぎ前に機器10から取得していた機器情報と同じか又はより少ない。抗す得ることで、代行中の仲介装置の負荷を低減できる。
【0083】
なお、表3に示した情報は、ユーザがアプリシステム60とクラウドサーバ50を介して任意のタイミングに少なくとも変更可能であり、更に追加、又は削除できてよい。
【0084】
<<機器>>
機器10は、デバイス情報・状態管理部201、データベース部209、受信部202、及び送信部203を有する。機器10が有するこれらの各機能は、
図4に示したHDD19からRAM12bに展開されたプログラムをCPU11が実行することにより実現されている機能又は手段である。なお、このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されてもよいし、USBメモリや光記憶媒体などの可搬性の記憶媒体に記憶された状態で配布されてもよい。
【0085】
デバイス情報・状態管理部201は、仲介装置30からの要求に応じて機器10の機器情報を応答して送信する制御を行う。一方で、機器10からのトリガによる異常検知などの通知を仲介装置30に送信する制御も行う。
【0086】
受信部202は、仲介装置30からの要求を受信する。送信部203は機器10からの通知を仲介装置30に送信する。データベース部209は、機器10の設定に関する情報や状態値を永続化して記憶している。
【0087】
なお、図示する機器10の機能は主な機能を示したに過ぎず、本実施形態の説明で直接関係しない機能については記載されていない。たとえば、機器10が複合機の場合、プリンタ、コピー、スキャナ、FAX機能などを有している。
【0088】
<機器接続定義>
図6は、データベース部40に記憶された機器接続定義を説明する図の一例である。機器接続定義は、仲介装置30が他の仲介装置30又は機器10と通信できる通信プロトコルを定義した情報である。
図6は、仲介装置30と仲介装置30の間の通信プロトコルの例を示す。
【0089】
図6(a)は、仲介装置30が他の仲介装置30と通信できる通信プロトコルは、HTTPとSNMPの2つであることを示している。また、HTTPを使用した場合のボディ部はJSONであることが登録されている。
【0090】
また、HTTP通信する際には、メソッドやリソースURI、ヘッダ、ボディというパラメータを指定する必要があるため、
図6(a)ではそれらのパラメータが設定されている。
図6(a)は、仲介装置30が他の仲介装置30から状態取得(GET /state)する場合のパラメータを示している。
【0091】
図6(a)のメソッドはGET、リソースは/state(相対パス)、デバイスは仲介装置30、アクションは状態取得である。HTTPリクエストはHTTPリクエスト行、HTTPヘッダ、及び、データ本体(Body)を有するが、
図6(a)ではヘッダとボディが不要であることが登録されている。したがって、機器プロトコル選択部32はリクエスト行だけを作成する。
【0092】
図6(b)は、仲介装置30が他の仲介装置30から状態を取得する「GET /state」に加えて、仲介装置30が他の仲介装置30から機器情報を取得する「GET /property」のパラメータが加えられた例を示している。
【0093】
このように通信プロトコルとパラメータが機器10及び仲介装置30ごとに設定されていることで仲介装置30に異常が生じた場合に、機器情報の仲介を引き継いだ仲介装置30が機器10と通信できる。
【0094】
なお、機器接続定義は、仲介装置30ごとに又は機器10ごとにIDを指定して設定されてもよい。
【0095】
このような通信パラメータの追加はアプリシステム60が行うことができる。通信パラメータをアプリシステム60からの命令で追加できるようにすることで、仲介装置30のファームウェアを更新せずに機器通信定義を容易に拡張できる。当然、通信パラメータの削除又は変更も可能である。
【0096】
すなわち、仲介装置30が様々な機器10のログを取得する場合において、ファームウェアを更新せずに上記に示す通信パラメータを設定するだけで対応が可能となる。
【0097】
<動作手順>
図7は、機器監視システム100において仲介装置30が他の仲介装置30を監視する手順を示すシーケンス図の一例である。
【0098】
S1:仲介装置30aのスケジューラ31は例えば定期的に仲介装置30bの状態を監視する。仲介装置30bのシステム状態管理部35は正常であると判断される状態情報を仲介装置30aに通知する。
【0099】
S2:仲介装置30bのスケジューラ31は例えば定期的に仲介装置30aの状態を監視する。仲介装置30aのシステム状態管理部35は正常であると判断される状態情報を仲介装置30bに通知する。
【0100】
ステップS1,S2の通信は、相互に仲介装置30の状態を監視するための通信である。push通信でもpull通信でもよい。
【0101】
状態取得で監視される項目(仲介装置の状態)の一例は以下のとおりである。
・常駐スレッドの起動状態
・メモリ使用量
・ディスク使用量
・証明書の期限
・通信情報キューの使用状態
・常時セッションの接続状態
S3:仲介装置30bのスケジューラ31は例えば定期的に仲介装置30aの状態を監視する。仲介装置30aのシステム状態管理部35は異常であると判断される状態情報を仲介装置30bに通知したものとする。
【0102】
S4:仲介装置30aのシステム状態管理部35は状態取得で取得した値に応じて異常のレベルを判定する。異常のレベルの判定基準についてはユーザがアプリシステム60を介して設定で変えられるものとする。例えば、メモリ使用率が80%以上で異常とみなすか、90%以上で異常とみなすかは設定で変えられる。また、例えば、異常レベルは3段階(経過観察、回復処理必要、回復処理不能)で判断される。異常レベルのバリエーションの一例については表3(c)に示した。
【0103】
S4-1:異常レベルが経過観察の場合、仲介装置30bのシステム状態管理部35は特に何もしない。回復処理必要の場合、仲介装置30bのシステム状態管理部35はリブート等の回復処理要求を仲介装置30aに対して送信する。回復すればカスタマーエンジニアが現地対応しなくてよいのでコスト減になる。
【0104】
なお、仲介装置30aが自身で自動復旧した場合には、監視している仲介装置30bにそのことを通知して多重に回復処理が行われないようにすることができる。自身で回復処理が行われなかった場合(仲介装置30aから通知がない場合)には、仲介装置30bのシステム状態管理部35が回復処理要求を異常状態にある仲介装置30aに送信する。
【0105】
また、仲介装置30bのシステム状態管理部35は仲介装置30aのサービスレベルを考慮することが好ましい。サービスレベルとは処理負荷の程度である。すなわち、仲介装置30aのサービスレベルが低(一定以下)である場合に回復処理を要求して正常状態に戻るか試行する。これにより、仲介装置30aが印刷などのジョブを行っていないか、又は、投入されたジョブが少ない場合に回復処理できるので、ジョブの消失を抑制しやすくなる。
【0106】
S5:異常状態にある仲介装置30aのシステム状態管理部35はこの要求を受けて回復処理を試みる。
【0107】
S6:仲介装置30aの送信部38は回復処理の結果を回復処理要求元の仲介装置30bに通知する。
【0108】
S7:回復処理で仲介装置30aが復旧しなかった場合、仲介装置30bのシステム状態管理部35は設定情報引き継ぎ要求を仲介装置30aに送信する。これにより、仲介装置30bは表3(a)の機器10の情報、表3(d)の自機に異常が生じた場合の引き継ぎ事項、及び
図6の接続定義情報を取得できる。更に、スケジュールも取得することが好ましい。なお、設定情報を引き継ぐ結果、仲介装置30bが監視できる機器10の数の上限をオーバーする可能性があるが、非常時であるため一時的なオーバーは許容される。1部分しか引き継げない場合はサービスが提供できていない状態になるが、一時的なオーバーが許容されると、異常状態にある仲介装置30の処理を完全に代行できる。
【0109】
図7からは明らかでないが、仲介装置30bのスケジューラ31は、表3(a)の機器10の情報、表3(d)の引き継ぎ事項、及び、接続定義情報により、仲介装置30aが監視していた機器10の監視を引き継ぐ。すなわち、接続定義情報に設定されている機器10との通信に必要な通信プロトコルとパラメータで機器10と通信する。
【0110】
ステップS7のように異常が検知されてから設定情報を引き継ぐのでなく、事前に(相互の監視中に)設定情報引き継ぎ要求をして、これらの設定情報を取得しておいてもよい。すなわち、設定情報の引き継ぎは他の仲介装置の異常の発生前又は異常の発生後のどちらでもよい。
【0111】
S8:設定情報を引き継いだ仲介装置30bのシステム状態管理部35は送信部37を介して、仲介装置30aが異常状態にあることをクラウドサーバ50に通知する。
【0112】
S8-1:クラウドサーバ50の受信部55は仲介装置30aの異常通知を受信し、ルート制御部51が表2(b)で仲介装置30aと関連付けられているアプリシステム60に異常通知を転送する。
【0113】
S8-1-1:アプリシステム60の受信部64は異常通知を受信し、データアクセス部62が事前に登録されたデータベース部65のあて先情報から通報先を参照してサービス担当者に通報処理を行う。これにより現地対応できる。
【0114】
S8-2、S8-2-1:処理の内容は、S8-1、S8-1-1と同様である。このように、クラウドサーバ50は複数のアプリシステム60に同時に(並行して)通報することができる。すなわち、クラウドサーバ50のルート制御部51には異常状態を通知するアプリシステム60を事前に複数、設定できる。
【0115】
なお、ステップS4-1の回復処理要求とステップS7の設定情報引き継ぎ要求の処理順を入れ替えることができる。先に引き継ぎした場合、回復処理で仲介装置30aが回復すると処理が無駄になる可能性があるが、異常により仲介装置30bが設定情報を仲介装置30aから取得できない場合のサービス信頼性が向上する。一方、先に回復処理が行われた場合には仲介装置30aが一時停止するが早急に回復処理が行われることとし、回復した場合には無駄な設定情報引き継ぎ要求を行わなくて済むという効果がある。
【0116】
<他の被管理装置について>
本実施形態では複合機を被管理装置の例として説明したが、管理対象となる被管理装置は、医療分野における医用撮像カメラ、産業機械分野における工作機械などであってもよい。
【0117】
図8は、本実施形態に係る産業機械管理システム400の構成例を示すブロック図である。産業機械管理システム400は、遠隔管理される複数の産業機械300aと、センサ300b(撮像装置、集音装置)と、それら機器10と同じLAN9に接続された仲介装置30と、仲介装置30にファイアウォール8とネットワークNを介して接続されたクラウドサーバ50を備える。このクラウドサーバ50がネットワークNを介して仲介装置30と同じLAN9上で接続された機器10を遠隔管理するものである。なお、撮像装置、集音装置等のセンサ300bは、産業機械300a自体又はその周囲に取り付けられ、産業機械300aの情報を取得できるよう構成されている。
【0118】
ここで、ファイアウォール8やクラウドサーバ50は、複数設置されている場合も考えられる。また、1つのファイアウォール8の中に、複数の仲介装置30が設置されている場合も考えられる。
【0119】
このように、機器監視システム100における被管理装置は、複合機に限られず、ネットワーク家電、自動販売機、医療機器、産業機械、電源装置、空調システム、ガス・水道・電気等の計量システム等に通信機能を持たせた機器であってもよい。例えば、産業機械としては、加工装置、検査装置、搬送装置、ピッキング装置、などである。また、これら機器の周辺に設置され機器の状態を把握するための撮像装置や集音装置であってもよい。産業機械は、当該機器の識別情報、当該機器の稼働状況や異常動作の有無、消耗品の交換時期に関する情報、当該機器による検査結果等を、データ形式又は画像形式等の種々の情報伝達手段を用いて管理装置に送信する。
【0120】
例えば、医療機器としては、眼底検査装置、X線検査装置、血圧計、体脂肪計、視力計、ペースメーカなどである。医療機器は、当該機器の識別情報、当該機器の稼働状況や異常動作の有無、当該機器による測定結果等を、データ形式又は画像形式等の種々の情報伝達手段を用いて管理装置に送信する。
【0121】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の機器監視システム100は、仲介装置30が停止した場合には、他の仲介装置30が仲介を引き継ぐので、機器10とクラウドサーバ50の間の通信の安定性・可用性を向上させることができる。
【0122】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0123】
例えば、上記の実施形態では1つのLAN9に2つの仲介装置30があったが、1つのLAN9に3つ以上の仲介装置が存在してもよい。この場合、3つ以上の仲介装置が数珠状に監視してもよいし、1つの仲介装置30が2つの仲介装置を監視してもよい。
【0124】
また、上記の実施形態では、1つのLAN内の2つの仲介装置30が互いに監視したが、異なるLANを跨いで2つの仲介装置が互いに監視してもよい。
【0125】
なお、スケジューラ31は監視手段の一例であり、システム状態管理部35は監視引き継ぎ手段の一例である。
【符号の説明】
【0126】
8 ファイアウォール
10 機器
30 仲介装置
31 スケジューラ
32 機器プロトコル選択部
33 デバイス一覧管理部
34 コマンド実行部
35 システム状態管理部
50 クラウドサーバ
60 アプリシステム
100 機器監視システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】