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特許7073958機器管理装置、機器管理システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】機器管理装置、機器管理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/06 20220101AFI20220517BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20220517BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220517BHJP
【FI】
H04L67/06
G06Q10/00 300
G06Q50/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018137251
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2020013517
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】黄 頌友
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-049822(JP,A)
【文献】特開2013-236264(JP,A)
【文献】特開2017-073068(JP,A)
【文献】特開2012-175376(JP,A)
【文献】特開2006-340239(JP,A)
【文献】特開2016-186684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/06
G06Q 10/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象機器からデータを収集する複数の仲介装置と通信する通信部と、
送信スケジュールにしたがって前記仲介装置から送信される前記データに基づいて計算処理を行う計算処理部と、
前記計算処理部の負荷を監視して前記負荷が規定値を超えた高負荷期間を抽出する負荷状態監視部と、
前記高負荷期間に受信した前記データと、当該データの送信元の前記仲介装置とを、高負荷原因として特定する高負荷原因特定部と、
前記高負荷原因に基づいて新たな送信スケジュールを作成する新スケジュール作成部と、
を有する機器管理装置。
【請求項2】
前記仲介装置は、前記送信スケジュールを保持し、前記送信スケジュールに基づいて前記データを送信するものであって、
前記仲介装置に、前記新スケジュール作成部により作成された前記新たな送信スケジュールを配布する新スケジュール配布部をさらに有する請求項1に記載の機器管理装置。
【請求項3】
前記新スケジュール作成部は、前記高負荷期間に受信した前記データの一部を、前記高負荷期間以外の低負荷期間に分散させることにより、前記新たな送信スケジュールを作成する請求項1又は2に記載の機器管理装置。
【請求項4】
前記管理対象機器は、画像形成装置であり、
記データは、前記画像形成装置の稼働情報を収集したデータである請求項1ないし3いずれか1項に記載の機器管理装置。
【請求項5】
前記通信部は、インターネットを介して前記管理対象機器と通信する請求項1ないし4いずれか1項に記載の機器管理装置。
【請求項6】
前記計算処理部は、CPU及びメモリを使用して前記計算処理を行うものであって、
前記負荷状態監視部が監視する前記負荷は、前記計算処理に使用する前記CPUと前記メモリの少なくともいずれかの使用率である請求項1ないし5いずれか1項に記載の機器管理装置。
【請求項7】
前記負荷状態監視部が監視する前記負荷は、前記計算処理部による前記計算処理時におけるハードウェア及び/又はネットワークのI/O負荷である請求項1ないし5いずれか1項に記載の機器管理装置。
【請求項8】
管理対象機器からデータを収集する複数の仲介装置と、前記仲介装置を介して前記管理対象機器を管理する機器管理装置と有する機器管理システムであって、
前記機器管理装置は、
前記仲介装置と通信する通信部と、
送信スケジュールにしたがって前記仲介装置から送信される前記データに基づいて計算処理を行う計算処理部と、
前記計算処理部の負荷を監視して前記負荷が規定値を超えた高負荷期間を抽出する負荷状態監視部と、
前記高負荷期間に受信した前記データと、当該データの送信元の前記仲介装置とを、高負荷原因として特定する高負荷原因特定部と、
前記高負荷原因に基づいて新たな送信スケジュールを作成する新スケジュール作成部と、
を有する機器管理システム。
【請求項9】
複数の管理対象機器からデータを収集する複数の仲介装置を介して前記管理対象機器を管理する機器管理装置により実行されるプログラムであって、
前記機器管理装置に、
送信スケジュールにしたがって前記仲介装置から送信される前記データに基づいて計算処理を行う計算処理部と、
前記計算処理部の負荷を監視して前記負荷が規定値を超えた高負荷期間を抽出する負荷状態監視部と、
前記高負荷期間に受信した前記データと、当該データの送信元の前記仲介装置とを、高負荷原因として特定する高負荷原因特定部と、
前記高負荷原因に基づいて新たな送信スケジュールを作成する新スケジュール作成部と、
の機能を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器管理装置、機器管理システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続された複数の管理対象機器(例えば、複合機等の画像処理装置)の管理を効率的に行うために、機器管理装置(管理サーバ)により管理対象機器を一元管理する機器管理システムが知られている。
【0003】
機器管理システムでは、機器管理装置は、各管理対象機器から稼働情報を取得して、各管理対象機器の継続稼働に影響する要因(故障の有無、用紙やトナー等の消耗品の残量など)を一元管理する。このような機器管理システムでは、機器管理装置の稼働情報は、仲介装置により収集され、収集データとして、インターネット等を介して機器管理装置へ送信される。
【0004】
例えば、各仲介装置は、機器管理装置への稼働情報の通知、及び機器管理装置側からの指示の確認のために、定期的に(例えば、1時間に1回)機器管理装置にポーリングを実施する。リモート点検の実施などで機器管理装置側から各機器管理装置の稼働情報を取得する場合には、機器管理装置は、各仲介装置からのポーリングに応答して仲介装置に稼働情報の収集データの送信を要求する。機器管理装置は、各仲介装置から受信した稼働情報に基づいて計算処理(診断処理)を行い、各管理対象機器の状態を点検する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の機器管理システムでは、1つの機器管理装置に、多数の仲介装置が接続されるので、特定の時間帯に各仲介装置から機器管理装置に収集データが集中して送信されることがある。このように、機器管理装置において、データ受信量が多い時間帯では、上記計算処理の負荷が増大し、パフォーマンス(計算速度)が低下する可能性がある。一方、仲介装置からのデータ受信量が少ない時間帯では、計算リソースが有効に活用されない。
【0006】
そこで、特許文献1に記載のように、計算負荷を分散するために複数のPC(Personal Computer)を接続し、各PCのパフォーマンス値に基づいて最適な処理の分配を行うことが考えられる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を機器管理装置に適用とした場合、パフォーマンスは向上するが、機器管理装置のデータ受信量は時間帯によって大きく異なることに変わりはなく、データ受信量が少ない時間帯における計算リソースを有効に活用することはできない。
【0008】
開示の技術は、上記事情に鑑みてこれを解決すべくなされたものであり、データ受信量が少ない時間帯における計算リソースを有効に活用することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の技術は、管理対象機器からデータを収集する複数の仲介装置と通信する通信部と、送信スケジュールにしたがって前記仲介装置から送信される収集データに基づいて計算処理を行う計算処理部と、前記計算処理部の負荷を監視して前記負荷が規定値を超えた高負荷期間を抽出する負荷状態監視部と、前記高負荷期間に受信した前記収集データと、当該収集データの送信元の前記仲介装置とを、高負荷原因として特定する高負荷原因特定部と、前記高負荷原因に基づいて新たな送信スケジュールを作成する新スケジュール作成部と、を有する機器管理装置である。
【発明の効果】
【0010】
データ受信量が少ない時間帯における計算リソースの活用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る機器管理システムの全体構成を例示する図である。
図2】管理対象機器のハードウェア構成を例示する図である。
図3】機器管理装置のハードウェア構成を例示する図である。
図4】管理対象機器及び仲介装置の主要な機能構成を例示するブロック図である。
図5】送信スケジュール記憶部に記憶された送信スケジュールを例示する図である。
図6】機器管理装置の主要な機能構成を例示するブロック図である。
図7】稼働情報記憶部に記憶された稼働情報を例示する図である。
図8】高負荷期間の抽出方法を説明する図である。
図9】高負荷原因の特定方法を説明する図である。
図10】高負荷原因の記録態様を例示する図である。
図11】新スケジュールの作成方法を説明する図である。
図12】機器管理システムの動作を説明するシーケンス図である。
図13】変形例に係る機器管理システムの動作を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る機器管理装置、機器管理システム、及びプログラムの一実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る機器管理システム1の全体構成を例示する図である。図1に示すように、機器管理システム1は、機器管理装置10と、複数の仲介装置20と、複数の管理対象機器30とを含む。
【0014】
機器管理装置10は、例えば、サーバ装置であって、サービスセンタ(管理センタ)に設置されている。管理対象機器30及び仲介装置20は、例えば、機器利用者(ユーザ)側のオフィス等の設置環境に設置されている。図1には、3つの設置環境A~Cを例示している。
【0015】
管理対象機器30としては、種々の電子装置に通信機能を設けた通信装置が考えられ、例えば、デジタル複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)等の画像形成装置や、ネットワーク家電、自動販売機、医療機器、電源装置、空調システム、ガス・水道・電気等の計量システム等に通信機能を持たせた通信装置が考えられる。また、複数の管理対象機器30として、種類の異なる機器が混在していてもよい。
【0016】
本実施形態では、管理対象機器30を画像形成装置とする。画像形成装置が実行する画像形成動作として、コピー機能によるコピー動作、プリンタ機能によるプリント動作、ファクシミリ機能によるファクス動作、スキャナ機能によるスキャン動作などがある。
【0017】
コピー動作は、原稿画像を読み取ってそれを用紙等の記録媒体上にコピーする動作である。プリント動作は、パーソナルコンピュータ等の端末装置から受信した画像データにより用紙上に画像を印刷する動作である。ファクス動作は、原稿画像を読み取り、読み取った画像データを外部のファクシミリ装置等へファクス送信する動作、及び、外部のファクシミリ装置等からファクス受信した画像データに基づき、用紙等の記録媒体上に画像を記録する動作である。スキャン動作は、原稿画像を読み取り、読み取った画像データをメモリに記憶する動作である。
【0018】
各設置環境において、1つの仲介装置20には、1又は複数の管理対象機器30が、LAN(Local Area Network)によって接続されている。
【0019】
また、機器管理装置10は、インターネット等のネットワークNを介して、各仲介装置20と接続されている。機器管理装置10は、仲介装置20を介して各管理対象機器30を集中的に遠隔管理する。具体的には、機器管理装置10は、各管理対象機器30の機器状態の監視や診断、各管理対象機器30から通知される通知内容の解析、カウンタの自動検針など(いわゆるリモート点検)を行う。
【0020】
各設置環境には、セキュリティ面を考慮してファイアウォールが設置されていてもよい。また、管理対象機器30と仲介装置20との間、及び仲介装置20と管理対象機器30との間では、SSL(Secure Socket Layer)通信等の暗号化通信でデータが送受信される。
【0021】
なお、仲介装置の機能を管理対象機器に組み込むことにより、管理対象機器を、仲介器を介さずに機器管理装置10に直接接続することも可能である。
【0022】
[ハードウェア構成]
次に、管理対象機器30のハードウェア構成について説明する。図2は、MFPとしての管理対象機器30のハードウェア構成を例示する図である。
【0023】
図2に示すように、管理対象機器30は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、外部記憶装置104と、エンジン部105と、操作表示部106と、通信I/F107とを有する。これらの各部は、システムバス108を介して接続されている。
【0024】
CPU101は、ROM102等に記憶されているプログラムをRAM103に読み出して実行し、管理対象機器30の動作を統括的に制御する。
【0025】
ROM102は、管理対象機器30により用いられるプログラム等を記憶するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。また、ROM102は、管理対象機器30に設定されている情報、後述する稼働情報等の各種情報を保持する。
【0026】
RAM103は、CPU101の演算用のワークエリアとして使用される揮発性メモリである。
【0027】
外部記憶装置104は、画像データ及び印刷データ等の各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。
【0028】
エンジン部105は、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能等を実現するハードウェア装置である。また、エンジン部105は、用紙やトナー等の消耗品の残量を検出するセンサや、印刷枚数(出力枚数)をカウントするカウンタや、各種エラーを検出するセンサなどを有している。これらのセンサやカウンタは、稼働情報の取得に用いられる。
【0029】
操作表示部106は、例えば、タッチパネル等であり、管理対象機器30に対する指示の入力を受け付けるとともに、管理対象機器30の状態等の情報を表示する装置である。なお、操作表示部106を、操作部と表示部とに分離してもよい。
【0030】
通信I/F107は、LAN等に接続して、仲介装置20とデータ通信するためのインタフェースである。
【0031】
次に、機器管理装置10のハードウェア構成について説明する。仲介装置20のハードウェア構成は、機器管理装置10と同様であるので、図示を省略する。
【0032】
図3は、機器管理装置10のハードウェア構成を例示する図である。機器管理装置10は、管理対象機器30から仲介装置20を介して取得する稼働情報に基づいて、各管理対象機器30を遠隔管理する装置である。
【0033】
図3に示すように、機器管理装置10は、CPU201、RAM202、ROM203、HDD204、機器I/F205、ネットワークI/F208を有し、これらはバス209を介して互いに接続されている。また、機器I/F205には、表示部206及び操作部207が接続されている。
【0034】
CPU201は、機器管理装置10全体の動作を統括的に制御する。RAM202は、CPU201が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM203には、ファームウェア等のプログラムが格納されている。
【0035】
HDD204には、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラム等が格納される。HDD204は、機器管理装置10の各種機能を実現するために必要なファイルやデータ等を格納する。また、HDD204は、管理対象機器30の管理に用いる管理プログラムや、管理対象機器30から取得された稼働情報等のデータを記憶する。
【0036】
機器I/F205は、表示部206及び操作部207をバス209に接続するためのインタフェースである。表示部206は、各種の情報を表示するための視覚的ユーザインタフェースであり、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などで構成される。操作部207は、キーボードやマウス等、ユーザが機器管理装置10に対して各種の情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0037】
ネットワークI/F208は、機器管理装置10をネットワークNに接続するためのインタフェースである。
【0038】
ROM203に格納されたプログラムや、HDD204やRAM202にロードされたプログラムに従ってCPU201が演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、機能ブロックが構成される。
【0039】
なお、機器管理装置10により用いられるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、記録メディア等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。
【0040】
[機能構成]
次に、管理対象機器30及び仲介装置20の機能構成について説明する。図4は、管理対象機器30及び仲介装置20の主要な機能構成を例示するブロック図であり、本実施形態に関わる特徴的な部分のみを示している。
【0041】
図4に示すように、管理対象機器30は、稼働情報記憶部300と、通信部301と、送受信制御部302とを有する。これらは、CPU101がプログラムを実行することで実現される機能部である。
【0042】
稼働情報記憶部300は、管理対象機器30の稼働情報を、上述のエンジン部105から取得して記憶する。この稼働情報には、用紙やトナー等の消耗品の残量値、印刷枚数のカウント値、エラー情報などが含まれる。
【0043】
通信部301は、仲介装置20の通信部401との間で通信を行う。
【0044】
送受信制御部302は、稼働情報記憶部300と通信部301とに接続されており、仲介装置20との間におけるデータの送受信を制御する。具体的には、送受信制御部302は、仲介装置20から通信部301を介して稼働情報の送信要求指示を受信し、受信した送信要求指示に応じた稼働情報を稼働情報記憶部300から取得する。また、送受信制御部302は、稼働情報記憶部300から取得した稼働情報を、通信部301を介して仲介装置20に送信する。
【0045】
仲介装置20は、稼働情報収集部400と、通信部401と、送受信制御部402と、送信スケジュール記憶部403とを有する。これらは、CPUがプログラムを実行することで実現される機能部である。
【0046】
稼働情報収集部400は、仲介装置20に接続された各管理対象機器30から稼働情報を収集して、収集データとして記憶する。例えば、稼働情報収集部400には、収集した稼働情報の内容が、その種類(用紙の残量値、トナーの残量値、印刷枚数のカウント値など)とともに、管理対象機器30の識別情報(管理対象機器ID)に対応づけられて記憶される。
【0047】
通信部401は、管理対象機器30の通信部301との間で通信を行う。また、通信部401は、ネットワークNを介して、機器管理装置10の通信部500(図6参照)との間で通信を行う。
【0048】
送受信制御部402は、稼働情報収集部400、通信部401、及び送信スケジュール記憶部403に接続されている。送受信制御部402は、管理対象機器30及び機器管理装置10との間におけるデータの送受信を制御する。具体的には、送受信制御部402は、管理対象機器30に稼働情報の送信要求指示を送信し、これに応じて管理対象機器30から受信した稼働情報を稼働情報収集部400に記憶させる。
【0049】
また、送受信制御部402は、送信スケジュール記憶部403に記憶されている送信スケジュールにしたがって、稼働情報収集部400に記憶された稼働情報の収集データを、管理対象機器IDとともに機器管理装置10に送信する。
【0050】
送信スケジュール記憶部403には、仲介装置20から機器管理装置10へ定期的に送信する必要がある稼働情報(用紙の残量値、トナーの残量値、印刷枚数のカウント値など)に関する送信スケジュールが記憶されている。
【0051】
図5は、送信スケジュール記憶部403に記憶された送信スケジュールを例示する図である。図5に示すように、例えば、送信スケジュールは、管理対象機器IDに、稼働情報の種類及び送信時刻が対応付けられたものである。
【0052】
なお、送受信制御部402は、故障時のエラー情報やアラーム通報等については、送信スケジュールにはしたがわずに、機器管理装置10へ随時送信する。
【0053】
詳しくは後述するが、送信スケジュール記憶部403に記憶された送信スケジュールは、機器管理装置10から送信される新スケジュールによって適宜更新される。
【0054】
次に、機器管理装置10の機能構成について説明する。
【0055】
図6は、機器管理装置10の主要な機能構成を例示するブロック図であり、本実施形態に関わる特徴的な部分のみを示している。
【0056】
図6に示すように、機器管理装置10は、通信部500と、送受信制御部501と、稼働情報記憶部502と、計算処理部503と、負荷状態監視部504と、スケジューリング部505とを有する。これらは、CPU101がプログラムを実行することで実現される機能部である。
【0057】
通信部500は、ネットワークNを介して、各仲介装置20の通信部401との間で通信を行う。
【0058】
送受信制御部501は、通信部500、稼働情報記憶部502、及びスケジューリング部505に接続されている。送受信制御部501は、各仲介装置20との間におけるデータの送受信を制御する。具体的には、送受信制御部501は、各仲介装置20から送信される稼働情報の収集データを受信して、稼働情報記憶部502に記憶させる。また、送受信制御部501は、後述する新スケジュール作成部505cにより作成される新スケジュールを各仲介装置20に送信する。
【0059】
稼働情報記憶部502は、各仲介装置20から受信した収集データに含まれる稼働情報を、稼働情報を受信した仲介装置20の識別情報(仲介装置ID)に対応付けて記憶する。
【0060】
図7は、稼働情報記憶部502に記憶された稼働情報を例示する図である。図7に示すように、稼働情報記憶部502には、例えば、稼働情報を受信した仲介装置20の仲介装置IDに、管理対象機器ID、稼働情報の種類、内容、受信開始時刻、及び受信終了時刻が対応付けられて記憶される。
【0061】
図6に戻り、計算処理部503は、CPU101及びメモリ(RAM103)を使用して計算処理を行うものであって、稼働情報記憶部502に記憶された稼働情報に基づいて、各管理対象機器30の状態の診断等を行うための計算処理を行う。
【0062】
負荷状態監視部504は、計算処理部503が計算処理に用いる計算リソースの負荷状態を監視する。ここで、負荷状態監視部504が監視する負荷として、CPU負荷(計算処理に使用するCPU101の使用率)や、メモリの消費量(計算処理に使用するRAM103の使用率)が挙げられる。また、負荷状態監視部504は、計算処理部503による計算処理時におけるハードウェア及び/又はネットワークのI/O負荷などを監視してもよい。負荷状態監視部504は、CPU101の使用率を監視することが好ましいが、複数種の負荷を同時に監視してもよい。
【0063】
また、負荷状態監視部504は、負荷状態記録部504aと、高負荷期間抽出部504bとを有している。負荷状態記録部504aは、計算リソースの負荷の状態を一定時間ごとに記録する。高負荷期間抽出部504bは、負荷状態記録部504aにより記録された記録データに基づいて高負荷期間を抽出する。具体的には、図8に例示するように、負荷が規定値Tを超えた期間を高負荷期間として抽出する。なお、高負荷期間以外の期間を低負荷期間という。また、各高負荷期間は、一日のうちの時刻を用いて、例えば、高負荷開始時刻と高負荷終了時刻とにより規定する。
【0064】
スケジューリング部505は、現行スケジュール記憶部505aと、高負荷原因特定部505bと、新スケジュール作成部505cと、新スケジュール配布部505dとを有する。
【0065】
現行スケジュール記憶部505aは、現行の送信スケジュール(以下、現行スケジュールという。)を記憶している。この現行スケジュールは、すべての仲介装置20の送信スケジュール記憶部403に記憶されている各送信スケジュールを統合したものである。
【0066】
高負荷原因特定部505bは、稼働情報記憶部502に記憶された稼働情報を参照し、高負荷期間抽出部504bにより抽出された各高負荷期間内に受信した稼働情報と、その稼働情報の送信元の仲介装置20を、高負荷原因として特定する。具体的には、図9に例示するように、種類ごとに受信される各稼働情報の受信期間のうち、高負荷期間に少なくとも一部が重複しているものを抽出する。
【0067】
そして、図10に例示するように、高負荷原因特定部505bは、高負荷原因として、高負荷期間と、その高負荷期間に稼働情報を受信した仲介装置20の管理対象機器IDと、稼働情報の種類、受信期間(受信開始時刻及び受信終了時刻)とを対応付けて記録する。
【0068】
新スケジュール作成部505cは、高負荷原因特定部505bにより特定された高負荷原因に基づき、負荷を低減するための新たな送信スケジュール(以下、新スケジュールという。)を作成する。具体的には、図11に例示するように、新スケジュール作成部505cは、高負荷期間に受信した稼働情報の一部が、次回の受信時には低負荷期間に受信されるように送信時刻の再設定を行うことにより、新スケジュールを作成する。
【0069】
なお、新スケジュール作成部505cは、新スケジュールを作成する際に、同一の管理対象機器30から得られた稼働情報に含まれる複数種の情報のうち、一部(例えば、半分)の種類を低負荷期間に分散させてもよい。
【0070】
新スケジュール配布部505dは、新スケジュール作成部505cにより新スケジュールが作成された場合に、現行スケジュール記憶部505aに記憶された現行スケジュールを新スケジュールに置き換える。
【0071】
そして、新スケジュール配布部505dは、新スケジュールを、送受信制御部501及び通信部500を介して、各仲介装置20に配布する。なお、新スケジュール配布部505dは、送信スケジュールの更新が不要な仲介装置20に対しては、新スケジュールの配布は行わない。
【0072】
[動作]
次に、機器管理システム1の動作を説明する。図12は、機器管理システム1の動作を説明するシーケンス図である。図12では、仲介装置20及び管理対象機器30の動作をそれぞれ1つのシーケンスで示しているが、実際には、複数の仲介装置20及び複数の管理対象機器30がそれぞれ並行して動作する。
【0073】
図12に示すように、まず、機器管理装置10において、負荷状態監視部504が負荷の監視を開始する(ステップS10)。この負荷の監視を開始後、負荷状態記録部504aは、負荷の状態を一定時間ごとに記録し、高負荷期間抽出部504bが、一定時間ごとに高負荷期間の抽出処理を行う。
【0074】
次に、各仲介装置20は、各管理対象機器30に対して稼働情報送信要求を送信する(ステップS11)。各管理対象機器30は、仲介装置20から稼働情報送信要求を受信すると、当該仲介装置20へ稼働情報記憶部300に記憶された稼働情報を送信する(ステップS12)。仲介装置20は、自身に接続された各仲介装置20から送信された稼働情報を収集して、収集データとして稼働情報収集部400に記憶させる(ステップS13)。
【0075】
仲介装置20は、送信スケジュール記憶部403に記憶された送信スケジュールに規定された送信時刻に基づき、規定の送信時刻となった場合に(ステップS14でY)、稼働情報の収集データを機器管理装置10に送信する(ステップS15)。機器管理装置10は、稼働情報の収集データを受信すると、受信通知を送信元の仲介装置20へ送信し(ステップS16)、受信した稼働情報の収集データを稼働情報記憶部502に記憶させて保存する(ステップS17)。
【0076】
次に、機器管理装置10において、計算処理部503により計算処理が行われる(ステップS18)。そして、スケジューリング部505により再スケジュール処理が行われる(ステップS19)。この再スケジュール処理では、高負荷原因特定部505bによる高負荷原因の特定、及び新スケジュール作成部505cによる新スケジュールの作成が行われる。新スケジュール作成部505cにより作成された新スケジュールは、新スケジュール配布部505dにより、各仲介装置20に配布される(ステップS19)。
【0077】
また、機器管理装置10は、計算処理による診断結果に基づき、診断結果の報告や、各管理対象機器30の稼働を維持するためのアクション(例えば、テクニカルコールセンタやサービス拠点への通知)などを行う。
【0078】
[効果]
本実施形態に係る機器管理システム1によれば、高負荷期間の負荷を低負荷期間に分散させるように、送信スケジュールの再スケジュール処理を行うので、データ受信量が少ない時間帯における計算リソースを有効に活用することができる。また、この結果、パフォーマンス(計算速度)の低下が抑制される。
【0079】
[変形例]
次に、上記実施形態に係る機器管理システム1の変形例について説明する。
【0080】
上記実施形態では、各仲介装置20が送信スケジュールを保持し、各仲介装置20が送信スケジュールに基づいて収集データを機器管理装置10に送信している。これに対して、本変形例では、機器管理装置10が保持する送信スケジュールに基づき、機器管理装置10から各仲介装置20に収集データの送信を要求する。したがって、本変形例では、各仲介装置20は、送信スケジュールを保持する必要はない。
【0081】
本変形例に係る機器管理システムの構成は、仲介装置20において送信スケジュール記憶部403が不要であること以外は、上記実施形態に係る機器管理システム1の構成と同様である。
【0082】
図13は、本変形例に係る機器管理システムの動作を説明するシーケンス図である。図13において、ステップS30~S33は、上記実施形態におけるステップS10~S13と同様であるので、説明は省略する。
【0083】
本変形例では、ステップS33の後、機器管理装置10は、現行スケジュール記憶部505aに記憶された送信スケジュールに規定された送信時刻に基づき、規定の送信時刻となった場合に(ステップS34でY)、該当する仲介装置20に収集データの送信要求を送信する(ステップS35)。仲介装置20は、機器管理装置10から送信要求を受信すると、稼働情報収集部400に記憶された稼働情報の収集データを機器管理装置10に送信する(ステップS36)。
【0084】
この後のステップS37~S39については、上記実施形態におけるステップS17~S19と同様であるので、説明は省略する。なお、本変形例では、機器管理装置10が収集データの送信スケジュールを管理するので、新スケジュールを各仲介装置20に配布する必要はない。
【0085】
再スケジュール処理により、現行スケジュール記憶部505aに記憶された送信スケジュールが新スケジュールで置き換えられる。この後、機器管理装置10は新スケジュールに基づいて送信スケジュールを管理する。
【0086】
なお、上記実施形態では、仲介装置20が管理対象機器30から稼働情報を収集する構成を例示しているが、仲介装置20が収集するデータは稼働情報には限られない。すなわち、本発明は、仲介装置が1又は複数の機器管理装置からデータを収集し、機器管理装置が1又は複数の仲介装置により収集されたデータに基づいて計算処理を行う機器管理システムに適用可能である。
【0087】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0088】
1 機器管理システム
10 機器管理装置
20 仲介装置
30 管理対象機器
300 稼働情報記憶部
301 通信部
302 送受信制御部
400 稼働情報収集部
401 通信部
402 送受信制御部
403 送信スケジュール記憶部
500 通信部
501 送受信制御部
502 稼働情報記憶部
503 計算処理部
504 負荷状態監視部
504a 負荷状態記録部
504b 高負荷期間抽出部
505 スケジューリング部
505a 現行スケジュール記憶部
505b 高負荷原因特定部
505c 新スケジュール作成部
505d 新スケジュール配布部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【文献】特開2008-191881号公報
図1
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図10
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図12
図13