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特許7074393異なる歪み状態を有するフィン構造を含む半導体構造を作製するための方法及び関連する半導体構造
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  • 特許-異なる歪み状態を有するフィン構造を含む半導体構造を作製するための方法及び関連する半導体構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】異なる歪み状態を有するフィン構造を含む半導体構造を作製するための方法及び関連する半導体構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8234 20060101AFI20220517BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20220517BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20220517BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20220517BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20220517BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20220517BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220517BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20220517BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
H01L27/088 B
H01L27/092 C
H01L27/12 B
H01L29/78 627D
H01L29/78 613A
H01L27/088 331E
H01L29/78 626C
H01L29/78 618A
H01L29/78 618B
H01L29/78 301Y
H01L29/78 301H
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020140933
(22)【出願日】2020-08-24
(62)【分割の表示】P 2015177550の分割
【原出願日】2015-09-09
(65)【公開番号】P2020202391
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2020-09-23
(31)【優先権主張番号】14/489,817
(32)【優先日】2014-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598054968
【氏名又は名称】ソイテック
【氏名又は名称原語表記】Soitec
【住所又は居所原語表記】Parc Technologique des fontaines chemin Des Franques 38190 Bernin, France
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100154656
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 英彦
(72)【発明者】
【氏名】ビシュ‐イェン グエン
(72)【発明者】
【氏名】マリアム サダカ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ マルヴィル
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-094229(JP,A)
【文献】特開2005-353701(JP,A)
【文献】特開2004-320000(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0220594(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0090934(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0269595(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101404257(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8234
H01L 21/8238
H01L 21/02
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 27/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板、
前記ベース基板の表面上の埋め込み酸化物層、
前記ベース基板とは反対側の前記埋め込み酸化物層上の歪み主半導体層、及び
前記埋め込み酸化物層とは反対側の前記歪み主半導体層上のエピタキシャルベース層
を含む、多層基板を用意するステップであって、前記歪み主半導体層は、50nm以下の平均の層厚を有し、前記エピタキシャルベース層は、前記エピタキシャルベース層が、下に重なる前記歪み主半導体層の結晶格子の歪みを保持することができる特定の層厚を有する、ステップと、
第1の領域内の前記歪み主半導体層の歪み状態が第2の領域内の前記歪み主半導体層の歪み状態と異なるように、元素を前記多層基板の前記第2の領域内の前記エピタキシャルベース層から前記多層基板の前記第2の領域内の前記歪み主半導体層へは拡散させずに、元素を前記多層基板の前記第1の領域内の前記エピタキシャルベース層から前記多層基板の前記第1の領域内の前記歪み主半導体層へ拡散させ、前記第1の領域内の前記歪み主半導体層の前記拡散させた元素の濃度を高くするステップと、
前記多層基板の前記第1の領域内の前記歪み主半導体層の一部をそれぞれが備える第1の複数のトランジスタチャネル構造、及び前記多層基板の前記第2の領域内の前記歪み主半導体層の一部をそれぞれが備える第2の複数のトランジスタチャネル構造を形成するステップと、
を含む、半導体構造を作製する方法。
【請求項2】
歪みシリコンを含むように前記歪み主半導体層を選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
引張り歪みシリコンを含むように前記歪み主半導体層を選択するステップをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
SiGe1-xを含むように前記エピタキシャルベース層を選択するステップであって、xが0.01~0.99であるステップをさらに含み、元素を前記エピタキシャルベース層から前記歪み主半導体層へ拡散させるステップが、前記多層基板の前記第1の領域内の前記歪み主半導体層へゲルマニウムを拡散させるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
第1の複数のトランジスタチャネル構造を形成するステップ及び前記第2の複数のトランジスタチャネル構造を形成するステップが、前記歪み主半導体層を貫いてエッチングするステップ及びそれぞれが前記歪み主半導体層の一部を備え、それぞれがフィンFETで使用するためにサイズが調整され、構成されているフィン構造を規定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
元素を前記エピタキシャルベース層から前記多層基板の前記第1の領域内の前記歪み主半導体層へ拡散させるステップが、前記多層基板の前記第1の領域内の前記歪み主半導体層の歪みを緩和するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
元素を前記エピタキシャルベース層から前記多層基板の前記第1の領域内の前記歪み主半導体層へ拡散させるステップが、前記多層基板の前記第1の領域内の前記歪み主半導体層の圧縮歪みを引き起こすステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
元素を前記エピタキシャルベース層から前記多層基板の前記第1の領域内の前記歪み主半導体層へ拡散させるステップが、前記第1の領域内の前記歪み主半導体層内の正孔移動度を増加させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
元素を前記エピタキシャルベース層から前記多層基板の前記第1の領域内の前記歪み主半導体層へ拡散させるステップが、前記多層基板の前記第1の領域内の前記歪み主半導体層に対する凝縮プロセスを実行するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多層基板の前記第1の領域内の前記歪み主半導体層に対する凝縮プロセスを実行するステップが、前記多層基板の前記第1の領域内の前記歪み主半導体層の一部を酸化させるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の複数のトランジスタチャネル構造を備える複数のp型FETトランジスタを形成するステップ、及び前記第2の複数のトランジスタチャネル構造を備える複数のn型FETトランジスタを形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
多層基板を含む半導体構造であって、
ベース基板、
前記ベース基板の表面上の埋め込み酸化物層、及び、
前記ベース基板とは反対側の前記埋め込み酸化物層上の主半導体層であって、前記多層基板の第1の領域内の前記主半導体層の一部が、yが0.20~0.99であるSiGe1-yを含み、前記多層基板の第2の領域内の前記主半導体層の一部が引張り歪みSiを含む、主半導体層
備え、
前記主半導体層は、50nm以下の平均の層厚を有し
記多層基板の前記第1の領域内の前記主半導体層の前記一部が、前記多層基板の前記第2の領域内の前記主半導体層の前記一部の結晶学的な歪みと異なる結晶学的な歪みを有する、
半導体構造。
【請求項13】
前記多層基板の前記第1の領域内の前記主半導体層の一部をそれぞれが備える第1の複数のp型FETトランジスタ、及び前記多層基板の前記第2の領域内の前記主半導体層の一部をそれぞれが備える第2の複数のn型FETトランジスタをさらに備える、請求項12に記載の半導体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、半導体基板上の共通の層内に異なる応力状態を有するn型金属酸化膜半導体(NMOS)電界効果トランジスタ及びp型金属酸化膜半導体(PMOS)電界効果トランジスタを作製するために使用することができる方法、半導体構造、及びそのような方法を使用して作製されたデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]マイクロプロセッサ及びメモリデバイスなどの半導体デバイスは、その集積回路の基本的な主要な動作構造として固体トランジスタを用いる。半導体構造及びデバイスで通常用いられる1つのタイプのトランジスタは、電界効果トランジスタ(FET)であり、一般にソースコンタクト、ドレインコンタクト、及び1つ又は複数のゲートコンタクトを含む。半導体のチャネル領域は、ソースコンタクトとドレインコンタクトとの間に延在する。1つ又は複数のpn接合は、ソースコンタクトとゲートコンタクトとの間に規定される。ゲートコンタクトは、チャネル領域の少なくとも一部に隣接して位置し、チャネル領域の導電度は、電界の存在によって変えられる。したがって、ゲートコンタクトに電圧を印加することによってチャネル領域内に電界がもたらされる。したがって、例えば、電流は、電圧がゲートコンタクトに印加されたときは、チャネル領域を通ってソースコンタクトからドレインコンタクトへトランジスタを通って流れることができ、ゲートコンタクトへの印加電圧がない場合は、ソースコンタクトからドレインコンタクトへトランジスタを通って流れることができない。
【0003】
[0003]最近、「フィン」と呼ばれる、ディスクリートの、細長いチャネル構造を用いた電界効果のトランジスタ(FET)が開発された。そのようなトランジスタは、しばしば当技術分野で「フィンFET」と呼ばれる。多くの様々な構成のフィンFETが当技術分野で提案された。
【0004】
[0004]細長いチャネル構造又はフィンFETのフィンは、n型又はp型のいずれかにドープされることがある半導体材料を含む。また、n型半導体材料が引張り応力の状態にある場合は、n型にドープされた半導体材料の導電度を改善することができ、p型半導体材料が圧縮応力の状態にある場合は、p型半導体材料の導電度を改善することができることが実証された。
【0005】
[0005]現在、22nm未満の断面寸法をするフィンFETが使用されている。そのようなフィンFETは、トランジスタの静電性能を改善する、及びランダムなドーパント揺らぎに関連付けられた問題を回避する完全に空乏化された(ドープされていない)チャネルを用いる場合がある。トランジスタのチャネル領域に引張り歪みを導入することによって、n型FETの電子移動度を改善することができること、及びトランジスタのチャネル領域に圧縮歪みを導入することによって、p型FETの正孔移動度を改善することができることが示された。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本概要は、簡略化された形態で概念の一選択を紹介するために提供される。これらの概念については、以下の本開示の例示的な実施形態の詳細な説明においてさらに詳細に説明される。本概要は、特許請求される主たる特徴又は本質的な特徴を特定することは意図されておらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図されていない。
【0007】
[0007]一部の実施形態において、本開示は、半導体構造を作製する方法を含む。ベース基板、ベース基板の表面上の埋め込み酸化物層、ベース基板とは反対側の埋め込み酸化物層上の歪み主半導体層、及び埋め込み酸化物層とは反対側の歪み半導体層上のエピタキシャルベース層を含む多層基板が用意される。元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第2の領域内の歪み主半導体層へは拡散させずに、元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第1の領域内の歪み主半導体層へ拡散させ、第1の領域内の主半導体層の歪み状態が第2の領域内の主半導体層の歪み状態と異なるように、拡散させた元素の濃度を第1の領域内の主半導体層内で高くする。多層基板の第1の領域内の主半導体層の一部をそれぞれが備える第1の複数のトランジスタチャネル構造が形成され、多層基板の第2の領域内の主半導体層の一部をそれぞれが備える第2の複数のトランジスタチャネル構造が形成される。
【0008】
[0008]さらなる実施形態において、本開示は、ベース基板、ベース基板の表面上の埋め込み酸化物層、ベース基板とは反対側の埋め込み酸化物層上の歪み主半導体層、及び埋め込み酸化物層とは反対側の歪み半導体層上のエピタキシャルベース層を含む多層基板が設けられた半導体構造を作製する方法を含む。多層基板の第1の領域が第1のマスク層でマスクされ、エピタキシャルベース層の一部が多層基板の第2の領域から除去される。多層基板の第1の領域から第1のマスク層が除去され、多層基板の第2の領域が第2のマスク層でマスクされる。元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第1の領域内の歪み主半導体層へ拡散させ、元素を多層基板の第2の領域内の歪み主半導体層へは拡散させずに多層基板の第1の領域内の主半導体層の歪み状態を変える。多層基板の第1の領域内の主半導体層の一部をそれぞれが備える第1の複数のトランジスタチャネル構造が形成され、多層基板の第2の領域内の主半導体層の一部をそれぞれが備える第2の複数のトランジスタチャネル構造が形成される。
【0009】
[0009]さらなる実施形態において、本開示は、ベース基板、ベース基板の表面上の埋め込み酸化物層、及びベース基板とは反対側の埋め込み酸化物層上の主半導体層を備える多層基板を含む、半導体構造を含む。多層基板の第1の領域内の主半導体層の一部は、yが約0.20~約0.99であるSiGe1-yを含み、多層基板の第2の領域内の主半導体層の一部は、引張り歪みSiを含む。多層基板の第1の領域内の主半導体層の一部は、多層基板の第2の領域内の主半導体層の一部の結晶学的な歪みと異なる結晶学的な歪みを有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書は、本発明の実施形態と考えられるものを特に指摘し、明確に特許請求する特許請求の範囲によって締めくくられているが、本開示の実施形態の利点については、添付の図面に関連して読むと、本開示の実施形態のある例についての説明からより容易に確認することができる。
図1図4は、本開示の実施形態により用いられてもよい多層基板の作製を示す簡略化された概略断面図である。
図1】バルク材料、エピタキシャルベース層、及び歪み主半導体層を含むドナー基板へのイオンの注入を示す図であり、注入されたイオンがエピタキシャルベース層内に脆弱ゾーンを形成する。
図2図1のドナー基板のレシーバ基板への接合を示す図である。
図3】脆弱ゾーンに沿ったドナー基板の分離を示す図である。
図4図3に示すような脆弱ゾーンに沿ったドナー基板の分離によって形成された多層基板を示す図である。
図5図4の多層基板の第1の領域をカバーする第1のマスク層を示す図であり、多層基板の別の第2の領域はカバーされておらず、第1のマスク層を貫いて露出する。
図6】多層基板の第2の領域の主半導体層の上からエピタキシャルベース層の一部を除去した後の、図5の半導体構造を示す図であり、エピタキシャルベース層の別の一部は、多層基板の第1の領域において図5の第1のマスク層の下の主半導体層上にそのまま残っている。
図7】多層基板の第1の領域から第1のマスク層を除去し、多層基板の第2の領域の主半導体層上に第2のマスク層を設けることによって形成された構造である。
図8A】多層基板の第1の領域の一部の拡大図であり、1つ又は複数の元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第1の領域の主半導体層へ拡散させて、多層基板の第1の領域の主半導体層内の歪み状態を変えるために使用される凝縮プロセスを示す。
図8B】多層基板の第1の領域の一部の拡大図であり、1つ又は複数の元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第1の領域の主半導体層へ拡散させて、多層基板の第1の領域の主半導体層内の歪み状態を変えるために使用される凝縮プロセスを示す。
図8C】多層基板の第1の領域の一部の拡大図であり、1つ又は複数の元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第1の領域の主半導体層へ拡散させて、多層基板の第1の領域の主半導体層内の歪み状態を変えるために使用される凝縮プロセスを示す。
図9図7の構造の主半導体層を貫いてエッチングすることによって形成された複数のフィン構造を示す図である。
図10】フィンFETトランジスタの例示的な構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0022]本明細書に提示された説明図は、いかなる特定の半導体構造、デバイス、システム、又は方法の実際の図であることは意図されておらず、本開示の実施形態を説明するために使用される、単に理想化された表現である。
【0012】
[0023]本明細書に使用されるどんな項目も、以下の特許請求の範囲及びそれらの法的な均等物によって規定されるような本発明の実施形態の範囲を限定すると考えられるべきではない。いかなる特定の項目に記載される概念も、本明細書全体を通して他の段落において全体的に適用可能である。
【0013】
[0024]説明及び特許請求の範囲における第1及び第2という用語は、同様の要素を識別するために使用される。
【0014】
[0025]本明細書で使用するように、用語「フィン」、「フィン構造」は、長さ、幅及び高さを有する半導体材料の細長い、3次元の有限で境界のある容積を意味し、長さは幅よりも大きい。フィンの幅及び高さは、一部の実施形態ではフィンの長さに沿って変わってもよい。
【0015】
[0026]半導体デバイスを作製するために使用することができる方法について、図を参照して以下で説明する。以下でさらに詳細に論じるように、本方法は、一般にベース基板、ベース基板の表面上の埋め込み酸化物(BOX)層、ベース基板とは反対側のBOX層上の歪み主半導体層、及びBOX層とは反対側の歪み半導体層上のエピタキシャルベース層を含む多層基板を用意するステップを含む。本明細書において以下で論じるように、エピタキシャルベース層は、あらかじめ主半導体層をエピタキシャル成長させた層を備えてもよい。多層基板を用意した後、多層基板は、主半導体層内に異なる歪み状態の領域が存在するように、主半導体層の別の領域の歪み状態を変えずに、主半導体層のある領域の歪み状態を変えるように処理されてもよい。その場合、n型トランジスタ構造を、電子移動度を増加させるのに好ましい歪み状態を示す主半導体層の領域(複数可)に作製することができ、p型トランジスタ構造を、正孔移動度を増加させるのに好ましい歪み状態を示す主半導体層の領域(複数可)に作製することができる。
【0016】
[0027]図1図4を参照して、多層基板を提供するために使用することができる方法の例示的な実施形態について以下に開示する。図1は、バルク材料102、バルク材料102上のエピタキシャルベース層104、及びバルク材料102の反対側のエピタキシャルベース層104の側の歪み半導体層106を含むドナー基板100を示す。
【0017】
[0028]バルク材料102は、例えば、半導体材料(例えば、シリコン、炭化シリコン、ゲルマニウム、III-V半導体材料など)、セラミック材料(例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、炭化シリコンなど)又は金属材料(例えば、モリブデンなど)のダイ又はウェーハを含んでもよい。バルク材料102は、一部の実施形態では単結晶又は多結晶の微細構造を有してもよい。他の実施形態では、バルク材料102は、非晶質であってもよい。バルク材料102は、例えば、約400μm~約900μmの範囲にある厚さ(例えば、約750μm)を有してもよい。
【0018】
[0029]エピタキシャルベース層104及び主半導体層106などの、バルク材料102の上に重なる層は、いくつかの異なるプロセス、例えば、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、物理的気相堆積(PLD)、気相エピタキシー(VPE)、及び分子線エピタキシー(MBE)などのいずれかを使用して、基板上に堆積又はエピタキシャル「成長」させることができる。
【0019】
[0030]一部の実施形態では、以下でさらに詳細に論じるように、エピタキシャルベース層104は、次の処理中に上に重なる主半導体層106の結晶格子の歪みを保持するのを支援するために使用することができる材料を含んでもよい。したがって、やはり以下でさらに詳細に論じるように、エピタキシャルベース層104は、エピタキシャルベース層104が次の処理中に上に重なる主半導体層106の結晶格子の歪みを保持することができるように選択された組成及び/又は層厚を有することができる。
【0020】
[0031]主半導体層106は、例えば、歪みシリコン(Si)、歪みゲルマニウム(Ge)、歪みシリコンゲルマニウム(SiGe)、又は歪みIII-V半導体材料の層を備えることができる。したがって、歪み主半導体層106は、歪み半導体層106が平衡状態で独立したバルク形態で存在する場合、それぞれの歪み半導体層106の結晶構造が通常示す緩和した格子定数を上回る(伸長歪み)、又は下回る(圧縮歪み)格子定数を示す結晶構造を有することができる。主半導体層106は、約50nm以下、さらには約35nm以下の平均の層厚を有することができるが、より厚い層の歪み半導体材料も本開示の実施形態において用いられてもよい。
【0021】
[0032]任意選択で、バルク材料102上のエピタキシャルベース層104及び主半導体層106のエピタキシャル成長を促進するように、1つ又は複数のバッファ層108がバルク材料102とエピタキシャルベース層104との間に設けられてもよい。
【0022】
[0033]限定されない具体例として、ドナー基板100のバルク材料102は、単結晶シリコン基板を含んでもよく、エピタキシャルベース層104は、SiGe1-x(ここでxは約0.01~約0.99、又はより詳細には約0.20~約0.80である)を含んでもよく、主半導体層106は、歪みシリコン(sSi)又は歪みSiGe1-y(ここでyは約0.20~約0.99である)を含んでもよい。一部の実施形態では、エピタキシャルベース層104のSiGe1-xは、少なくとも実質的に緩和したSiGe1-xを含んでもよい。言いかえれば、一部の実施形態では、エピタキシャルベース層104のSiGe1-xは、結晶学的な歪みが少なくとも実質的になくてもよい。
【0023】
[0034]SiGe1-z(ここでzの値はバルク材料102から遠ざかるにつれ徐々に階段状に又は連続的に増加する)を含む1つ又は複数のバッファ層108が、バルク材料102のシリコンとSiGe1-xエピタキシャルベース層104との間に設けられてもよい。
【0024】
[0035]SiGe1-xエピタキシャルベース層104のxの値は、上に重なる主半導体層106のSi又はSiGe1-yに所望のレベルの歪みを与えるように選択されてもよい。当技術分野で知られているように、SiとGeとの間にはおよそ4.2%の格子不整がある。したがって、SiGe1-xエピタキシャルベース層104中のGeの量は、少なくとも部分的にSiGe1-xエピタキシャルベース層104の格子定数の値、したがって上に重なるエピタキシャル主半導体層106のSi又はSiGe1-yの結晶格子の結晶学的な歪みの量を決定する。
【0025】
[0036]エピタキシャルベース層104及び主半導体層106は、その結晶構造における緩和発生及び局所欠陥の形成を回避するようにそれぞれの臨界厚さ未満の厚さを有することができる。
【0026】
[0037]図1のドナー基板100を形成、又は別の方法で用意した後に、主半導体層106及び少なくともエピタキシャルベース層104の一部は、例えば、当技術分野でSMARTCUT(商標)プロセスと呼ばれるものを使用して、レシーバ基板110に移しかえられてもよい(図2)。SMARTCUT(商標)プロセスは、例えば、Bruelによる米国特許第RE39,484号(2007年2月6日申請)、Asparらによる米国特許第6,303,468号(2001年10月16日申請)、Asparらによる米国特許第6,335,258号(2002年1月1日申請)、Moriceauらによる米国特許第6,756,286号(2004年6月29日申請)、Asparらによる米国特許第6,809,044号(2004年10月26日申請)、及びAsparらによる米国特許第6,946,365号(2005年9月20日)に記載され、それらの全開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0027】
[0038]複数のイオン(例えば、水素、ヘリウム、又は不活性ガスイオン)が、ドナー基板100へ注入されてもよい。例えば、イオンは、図1で方向指示矢印109によって表わされるように、ドナー基板100の側に置かれたイオン源からドナー基板100へ注入されてもよい。イオンは、ドナー基板100の主表面に実質的に垂直な方向に沿ってドナー基板100へ注入されてもよい。当技術分野で知られているように、イオンがドナー基板100へ注入される深さは、少なくとも一部は、イオンがドナー基板100へ注入されるエネルギーの関数である。一般に、より少ないエネルギーで注入されたイオンは、比較的より浅い深さに注入されるが、より高いエネルギーで注入されたイオンは、比較的より深い深さに注入される。
【0028】
[0039]イオンは、ドナー基板100内の望ましい深さにイオンを注入するように選択された所定のエネルギーによってドナー基板100へ注入され得る。1つの特定の非限定的な例として、イオンは、脆弱ゾーンがドナー基板100内に形成されるように、ドナー基板100内の選択された深さに配置されてもよい。当技術分野で知られているように、当然のことながら、少なくとも一部のイオンは、所望の注入深さ以外の深さに注入されることがあり、ドナー基板100の表面からのドナー基板100内への深さの関数としてのイオンの濃度のグラフは、望ましい注入深さに最大値を有する略ベル形の(対称又は非対称の)曲線を示すことがある。
【0029】
[0040]ドナー基板100へ注入されると、イオンは、ドナー基板100内に(図1の破線として示される)脆弱ゾーン112を規定することができる。脆弱ゾーン112は、ドナー基板100の最大のイオン濃度の面に位置がそろった(例えば、その面を中心とした)層又は領域をドナー基板100内に備えることができる。脆弱ゾーン112は、ドナー基板100が次のプロセスで劈開又は破砕され得る面をドナー基板100内に規定することができる。図1に示すように、脆弱ゾーン112は、エピタキシャルベース層104を備えるドナー基板の実質的に均質の領域内に配置されてもよい。
【0030】
[0041]ドナー基板100内に脆弱ゾーン112を形成した後に、ドナー基板100は、直接分子接合プロセスを使用して、図2に示されるようにレシーバ基板110に接合されてもよい。
【0031】
[0042]直接分子接合プロセスは、ドナー基板100とレシーバ基板110との間の直接原子結合を形成することができる。ドナー基板100とレシーバ基板110との間の原子結合の性質は、ドナー基板100及びレシーバ基板110のそれぞれの表面の材料の組成に依存する。
【0032】
[0043]一部の実施形態では、ドナー基板100の接合面とレシーバ基板110の接合面との間の直接接合は、比較的滑らかな表面を有するようにドナー基板100の接合面及びレシーバ基板110の接合面のそれぞれを形成し、続いて接合面を互いに当接させ、両者間で接合波の伝搬を起こすことによって確立され得る。例えば、ドナー基板100の接合面及びレシーバ基板110の接合面のそれぞれは、約2ナノメートル(2.0nm)以下、約1ナノメートル(1.0nm)以下、さらには約4分の1ナノメートル(0.25nm)以下の二乗平均表面粗さ(RMS)を有するように形成されてもよい。ドナー基板100の接合面及びレシーバ基板110の接合面のそれぞれは、機械研磨作業及び化学的エッチ作業の少なくとも1つを使用して平滑化されてもよい。例えば、化学機械平坦化(CMP)作業を使用して、ドナー基板100の接合面及びレシーバ基板110の接合面のそれぞれの表面粗さを平坦化及び/又は低減することができる。
【0033】
[0044]接合面を平らにした後に、接合面は、任意選択で、当技術分野で知られているプロセスを使用して洗浄及び/又は活性化されてもよい。そのような活性化プロセスを使用して、接合プロセスを容易にするように、及び/又は結果としてより強固な接合の形成が生じるように接合面の表面の化学的性質を変えることができる。
【0034】
[0045]接合面を、互いに直接物理的に接触させてもよく、接合界面を横切る局所領域に圧力を印加してもよい。原子間結合は、局所的な圧力領域の近くで開始されてもよく、接合波が接合面間の界面を横切って伝播することができる。
【0035】
[0046]任意選択で、アニールプロセスを使用して接合を強化することができる。そのようなアニールプロセスは、摂氏約100度(100℃)~摂氏約400度(400℃)の温度の炉の中で、約2分(2分)~約15時間(15時間)、接合したドナー基板100及びレシーバ基板110を加熱するステップを含んでもよい。
【0036】
[0047]ドナー基板100及びレシーバ基板110の1つ又は両方の接合面が絶縁層114の表面を備えるように、接合プロセスに先立って絶縁層114(例えば、酸化物(例えば、SiO、Alなど)、窒化物、又は酸窒化物など)がドナー基板100及びレシーバ基板110の1つ又は両方に設けられてもよい。したがって、そのような実施形態では、直接分子接合プロセスは、酸化物と酸化物、又は酸化物とシリコン、若しくは酸化物とSiGeの直接分子接合プロセスを備えてもよい。
【0037】
[0048]絶縁層114は、しばしば当技術分野で「埋め込み酸化物層」又は「BOX」と呼ばれるものを備えることができる。絶縁層114は、結晶であっても非晶質であってもよい。絶縁層114は、接合構造において、例えば、約10nm~約50nmの平均の層厚(接合に先立ってドナー基板100及びレシーバ基板110の両方に堆積させる場合は、両方の絶縁層114の厚さを含んでもよい)を有することができるが、より厚い又はより薄い絶縁層114も本開示の実施形態において用いることができる。
【0038】
[0049]図3を参照すると、ドナー基板100をレシーバ基板110に接合した後に、ドナー基板100は、脆弱ゾーン112(図1及び図2)に沿って劈開されてもよい。ドナー基板100は、ドナー基板100を加熱することによって、及び/又はドナー基板100に機械的力を印加することによって脆弱ゾーン112に沿って劈開又は破砕されてもよい。
【0039】
[0050]図3に示すようにドナー基板100を破砕すると、多層基板120のベース基板を規定するレシーバ基板110、多層基板120の埋め込み酸化物層を規定する絶縁層114、ベース基板110とは反対側の埋め込み酸化物層114上の主半導体層106、及び埋め込み酸化物層114とは反対側の主半導体層106上のエピタキシャルベース層104の少なくとも一部を含む多層基板120が提供される。
【0040】
[0051]図4に示す多層基板120は、次の処理のために図4に示す向きから反転されている。
【0041】
[0052]多層基板120のエピタキシャルベース層104の厚さは、ドナー基板100(図1)内の脆弱ゾーン112の場所(すなわち、深さ)を制御することによって、及び/又は図3を参照して前述したように、脆弱ゾーン112に沿ってドナー基板100を破砕した後に、多層基板120のエピタキシャルベース層104の一部を選択的に薄くすることによって選択的に制御されてもよい。例えば、一部の実施形態では、エピタキシャルベース層104の厚さを、例えば、脆弱ゾーン112に沿ってドナー基板100を破砕した後に機械研磨作業及び化学的エッチ作業の少なくとも1つを使用して、選択的に低減させることができる。例えば、化学機械平坦化(CMP)プロセスを使用して、ドナー基板100を脆弱ゾーン112に沿って破砕した後にエピタキシャルベース層104の厚さを所定の、選択された厚さにすることができる。また、そのような処理は、結果としてエピタキシャルベース層104の露出した主表面の表面粗さを低減させ、エピタキシャルベース層104をより均一の厚さにすることができ、これもまた望ましい場合がある。
【0042】
[0053]図5を参照すると、第1のマスク層122を、多層基板120の第1の領域124A内のエピタキシャルベース層104及び主半導体層106上に堆積させる、又は別の方法で設けることができる。マスク層122は、多層基板120の第2の領域124B内のエピタキシャルベース層104及び主半導体層106をカバーしなくてもよい。多層基板120上に第1のマスク層122を少なくとも実質的に連続して堆積させ、続いて、多層基板120の第2の領域124Bのマスク層122を除去するためにパターニングすることができ、それによってエピタキシャルベース層104及び主半導体層106が、多層基板120の第2の領域124B内の第1のマスク層122を貫いて露出する。
【0043】
[0054]第1のマスク層122は、単一層のマスク材料を含んでもよく、又は複数層のマスク材料を含んでもよい。第1のマスク層122の組成は、以下で論じるように、多層基板120の第2の領域124B内のマスク層122を後でエッチングし除去するために使用されるエッチング液によるエッチングに耐性があるように選択されてもよい。例えば、第1のマスク層122は、酸化物(例えば、SiO、Alなど)、窒化物(例えば、Si)、又は酸窒化物(例えば、シリコン酸窒化物)を含んでもよい。非限定的な例として、エピタキシャルベース層104がSiGe1-xを含み、主半導体層106が引張り歪みシリコン(sSi)を含む実施形態では、第1のマスク層122は、窒化物の層が第1の酸化物の層と第2の酸化物の層との間にはさまれるように、第1の酸化物(例えば、SiO)の層、エピタキシャルベース層104の反対側の第1の酸化物の層の側の窒化物(例えば、Si)の層、及び第1の酸化物の層の反対側の窒化物の層の側の第2の酸化物(例えばSiO)の層を含む多層マスク構造を備えることができる。
【0044】
[0055]図6を参照すると、第1のマスク層122によって多層基板120の第1の領域124A内のエピタキシャルベース層104及び主半導体層106をマスクした後に、エピタキシャルベース層104の露出した部分が多層基板120の第2の領域124Bから除去されてもよい。エッチングプロセスを使用して、エピタキシャルベース層104を第2の領域124Bの主半導体層106上から除去することができる。
【0045】
[0056]エピタキシャルベース層104を第2の領域124Bの主半導体層106から除去するために使用されるエッチングプロセスは、ウェットエッチングプロセス又はドライエッチングプロセス(例えば、反応性イオンエッチング(RIE)プロセス)を備えてもよい。エッチングプロセスは、等方性又は異方性エッチングプロセスを備えてもよい。エッチング液は、エピタキシャルベース層104がエッチングプロセスによって優先的に除去され、主半導体層106がエッチング停止層として働くように、主半導体層106に対してエピタキシャルベース層104を選択的にエッチングするように選択されてもよい。他の実施形態では、主半導体層106を実質的に除去することなくエピタキシャルベース層104を選択的に除去するエッチング液が利用可能でない場合は、エピタキシャルベース層104が除去されると、エッチングプロセスを単に終了させてもよい。
【0046】
[0057]非限定的な例として、エピタキシャルベース層104がSiGe1-xを含み、主半導体層106が引張り歪みシリコン(sSi)を含む実施形態では、ドライ反応性イオンエッチング(RIE)プロセスを使用してエピタキシャルベース層104を除去することができる。エッチング液として、塩素(例えば、Cl)、フッ素(例えば、CF又はSF)、及び/又は臭素(例えば、HBr)反応性ガスを含む、ハロゲンを主成分とするケミストリーをそのようなドライRIEプロセスで使用することができる。RIEエッチングプロセスのエッチング速度は、RIEエッチングチャンバ内のガス比、圧力、及びバイアスパワーの調節によって選択的に制御されてもよい。例えば、そのようなRIEエッチングプロセスを開示し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Marcelo S.B.Castroらの、Selective and Anisotropic Dry Etching of Ge over Si、Journal of Integrated Circuits and Systems 2013年、vol.8、no.2、pp.104-109を参照されたい。
【0047】
[0058]次いで、エピタキシャルベース層104を多層基板120の第2の領域124B内の下層にある主半導体層106から除去した後、マスク層134を多層基板120から除去することができる。
【0048】
[0059]図7を参照すると、第2のマスク層126を、多層基板120の第2の領域124B内の露出した主半導体層106上に堆積させる、又は別の方法で形成することができる。第2のマスク層126は、多層基板120の第1の領域124A内のエピタキシャルベース層104及び主半導体層106をカバーしなくてもよい。第2のマスク層124を多層基板120上に少なくとも実質的に連続して堆積させ、続いて、エピタキシャルベース層104及び主半導体層106が多層基板120の第1の領域124A内の第1のマスク層122を貫いて露出するように、多層基板120の第1の領域124Aのマスク層122を除去するようにパターニングされてもよい。
【0049】
[0060]第2のマスク層126は、単一層のマスク材料を含んでもよく、又は複数層のマスク材料を含んでもよい。図8A~8Cを参照して以下で説明するように、第2のマスク層126の組成は、後で多層基板120の第1の領域124A内のエピタキシャルベース層104及び主半導体層106に対して行われる原子拡散プロセス中に第2のマスク層126が露出する可能性がある環境条件に耐性があるように選択されてもよい。例えば、第2のマスク層126は、酸化物(例えば、SiO、Alなど)、窒化物(例えば、Si)、又は酸窒化物(例えば、シリコン酸窒化物)を含んでもよい。非限定的な例として、エピタキシャルベース層104がSiGe1-xを含み、主半導体層106が引張り歪みシリコン(sSi)を含む実施形態では、第2のマスク層126は、酸化物(例えばSiO)の層、エピタキシャルベース層104の反対側の酸化物の層の側の窒化物(例えば、Si)の層を含む多層マスク構造を備えてもよい。
【0050】
[0061]第2のマスク層126によって多層基板120の第2の領域124B内の主半導体層106をマスクした後に、凝縮プロセス(しばしば「熱混合」プロセスと呼ばれる)又は別のタイプのプロセスを使用して、多層基板120の第2の領域124B内の主半導体層106の歪みのレベルに対して、選択的に第1の領域124A内の主半導体層106の引張り歪みを低減させる、及び/又は圧縮歪みを増加させるように、元素を第1の領域124A内のエピタキシャルベース層104から下層にある主半導体層106へ拡散させることができる。第2のマスク層126が存在することによって、及び第2の領域124Bのエピタキシャルベース層104が存在しないことによって、第2の領域124B内の主半導体層106への元素の拡散を防止することができ、それによって多層基板120の第1の領域124Aに対して行われる凝縮プロセス中に主半導体層106の歪みが維持される。言いかえれば、凝縮プロセスは、多層基板120の第2の領域124Bに対してではなく、多層基板120の第1の領域124Aに対してのみ行われ得る。そのような凝縮プロセスについて図8A~8Cを参照して以下で説明する。
【0051】
[0062]図8Aは、第1の領域124A内の図6に示す多層基板120の一部の拡大図である。凝縮プロセスは、主半導体層106を第2の領域124B内でマスクして、多層基板120を酸化雰囲気(例えば、ドライO)中で高温(例えば、約900℃~約1150℃)の炉の中で酸化プロセスにかけることを含んでもよい。図8Bを参照すると、酸化プロセスは、結果として多層基板120の表面に酸化物層136を形成することができ、元素をエピタキシャルベース層104から多層基板120の第1の領域124A内の主半導体層106へ拡散させることができる。時間とともに、エピタキシャルベース層104の元素が、成長する酸化物層136内に取り込まれ及び/又は拡散し、下層にある主半導体層106内に取り込まれるつれ、エピタキシャルベース層104と主半導体層106との間の境界又は界面は、区別がつかなくなることがある。
【0052】
[0063]主半導体層106が引張り歪みシリコン(sSi)を含み、エピタキシャルベース層104がSiGe1-xを含む実施形態では、酸化物層136は、二酸化シリコン(SiO)を含むことができ、SiGe1-xエピタキシャルベース層104のゲルマニウムは、主半導体層106の歪みシリコン(sSi)へ拡散することができ、それによってsSi歪み半導体層106を、歪みSiGe1-y主半導体層106に変換する。酸化物層136は、エピタキシャルベース層104の表面に形成され、エピタキシャルベース層104を分解することによって多層基板120内へ、及び主半導体層106内へと厚さが成長することができる。図8Cに示すように、酸化物層136の厚さがゲルマニウム凝縮プロセス中に成長するにつれ、歪みSiGe1-y主半導体層106中に所望の濃度のゲルマニウムを有する主半導体層106が達成されるまで、主半導体層106の厚さは減少し、主半導体層106中のゲルマニウムの濃度が増加する。ゲルマニウムの主半導体層106への拡散は、結果として主半導体層106内のいかなる引張り歪みも減少させることができ、主半導体層106内の圧縮歪みの生成につながることがある。凝縮プロセスの後、第1の領域124A内の主半導体層106は、第2の領域124B内の主半導体層106の引張り歪みよりも小さい引張り歪みの状態にあってもよく、第1の領域124A内の主半導体層106は、引張り又は圧縮歪みがない少なくとも実質的に緩和状態にあってもよく、又は第1の領域124A内の主半導体層106は、圧縮歪みの状態にあってもよい。
【0053】
[0064]酸化物層136は、凝縮プロセスを行った後に、多層基板120の第1の領域124A内の主半導体層106の上から任意選択で除去されてもよい。酸化物層136は、例えば、ウェット又はドライエッチングプロセスを使用して除去されてもよい。
【0054】
[0065]図8A図8Cを比較することによってわかるように、凝縮プロセスは、結果として多層基板120の第1の領域124A内の主半導体層106の厚さの減少をもたらすことがある。一部の実施形態では、凝縮プロセスを行い、酸化物層136を除去した後、追加の半導体材料を多層基板120の第2の領域124B内の主半導体層106上にエピタキシャル成長させずに、追加の半導体材料を多層基板120の第1の領域124A内の主半導体層106上に選択的にエピタキシャル成長させることができる。追加の半導体材料は、多層基板120の第1の領域124A内の主半導体層106の下層にある半導体材料と同じ組成及び歪み状態を有することができる。追加の半導体材料の選択エピタキシャル成長を使用して、第1の領域124A内の主半導体層106の厚さが、凝縮プロセスにかけられていない第2の領域124B内の主半導体層106の厚さと少なくとも実質的に等しくなるように、多層基板120の第1の領域124A内の主半導体層106を厚くすることができる。
【0055】
[0066]凝縮プロセスは、結果として多層基板120の第1の領域124A内の主半導体層106内の正孔移動度を改善することができ、このことは、多層基板120の第1の領域124A内の主半導体層106の領域を備えるトランジスタチャネル構造を有する平面FETトランジスタ又はフィンFETトランジスタなどのPMOSトランジスタの形成にとって望ましい場合がある。多層基板120の第2の領域124B内の主半導体層106は、依然として引張り歪みの状態のままであってもよく、このことは、多層基板120の第2の領域124B内の主半導体層106の領域を備えるトランジスタチャネル構造を有する平面FETトランジスタ又はフィンFETトランジスタなどのNMOSトランジスタの形成にとって望ましい場合がある。
【0056】
[0067]したがって、図9を参照して、多層基板120を用意した後、多層基板120をエッチングして、それぞれが主半導体層106の一部を備えることができるフィン構造132を規定することができる。フィン構造132のそれぞれは、フィンFETで使用するためにサイズが調整され、構成されてもよい。
【0057】
[0068]エッチングプロセスは、例えば、多層基板120上にマスク層を堆積させ、エピタキシャルベース層104及び主半導体層106内へと並びにそれらを貫いてエッチングをすることが望まれる位置に開口部を含むようにマスク層をパターニングし、次いで、パターニングされたマスク層を貫いて主半導体層106をエッチングすることによって行われてもよい。そのようなフィン構造132を形成するための当技術分野で知られている他のプロセス、例えば、当技術分野で側壁像転写プロセスとも呼ばれるスペーサ規定ダブルパターニング(SDDP)プロセスが用いられてもよい。
【0058】
[0069]エッチングプロセスは、ウェットエッチングプロセス又はドライエッチングプロセス(例えば、反応性イオンエッチング(RIE)プロセス)を備えてもよい。エッチングプロセスは、略垂直の側壁を有するフィン構造132を提供するように異方性エッチングプロセスを備えてもよい。エッチング液は、BOX層114がエッチング停止層として働くことができるように、エピタキシャルベース層104及び主半導体層106を、下層にあるBOX層114に対して選択的にエッチングするように選択されてもよい。
【0059】
[0070]非限定的な例として、主半導体層106が第2の領域124B内の引張り歪みシリコン(sSi)及び第1の領域124A内の圧縮歪みSiGe1-yを含む実施形態では、エッチング液として塩素(例えば、Cl)、フッ素(例えば、CF又はSF)、及び/又は臭素(例えば、HBr)反応性ガスを含む、ハロゲンを主成分とするケミストリーを使用するドライ反応性イオンエッチング(RIE)プロセスを用いることができる。
【0060】
[0071]フィン構造132は、p型フィンFETトランジスタのフィンであることが意図された第1の複数のフィン132A、及びn型フィンFETトランジスタのフィンであることが意図された第2の複数のフィン132Bを含むことができる。第1の複数のフィン132Aのそれぞれは、多層基板120の第1の領域124A内の主半導体層106の一部を備えることができ、第2の複数のフィン132Bのそれぞれは、多層基板120の第2の領域124B内の主半導体層106の一部を備えることができる。結果として、第1の複数のフィン構造132Aは、第2の複数のフィン構造132Bに対して異なる歪み状態にあってもよい。特に、第2の複数のフィン構造132Bは、引張り歪みの状態にあってもよく、第1の複数のフィン構造132Aは、引張り歪みが(第2の複数のフィン構造132Bに対して)低減した状態、引張り若しくは圧縮歪みが少なくとも実質的にない緩和状態、又は圧縮歪みの状態にあってもよい。
【0061】
[0072]一部の実施形態では、フィン構造132は、フィン構造132の材料が自発的に又は高温での次の処理中に緩和する限界寸法未満の1つ又は複数の寸法(例えば、長さ、幅、又は高さ)を有してもよい。一部の実施形態では、フィン構造132は、約30nm以下、約20nm以下、又はさらには約15nm以下の平均フィン幅W(図10参照)を有するように形成されてもよい。
【0062】
[0073]上記の方法では、エピタキシャルベース層104は、図1を参照して説明したように、主半導体層106が歪み状態となるように、主半導体層106を最初にエピタキシャル成長させるベース層として使用されてもよく、図8A~8Cを参照して説明したように、凝縮プロセスにおいて主半導体層106の一部の歪み状態を変えるように引き続いて使用されてもよい。
【0063】
[0074]上記のように、第1の複数のフィン構造132A及び第2の複数のフィン構造132Bは、図9を参照して説明したように、共通のマスク及びエッチングプロセスにおいて形成されてもよい。
【0064】
[0075]本明細書に記載された方法によって形成された結果として得られる構造は、ベース基板110とは反対側の共通の面内の埋め込み酸化物層114上に配置された第1の複数のフィン構造132A及び第2の複数のフィン構造132Bを含む。第1の複数のフィン構造132Aのそれぞれは、2つ以上の元素(例えば、シリコン及びゲルマニウム)を含む凝縮された主半導体層106を備える。第2の複数のフィン構造132Bのそれぞれは、凝縮されていない主半導体層106を備える。さらに、第2の複数のフィン構造132Bのフィン構造132は、第1の複数のフィン構造132Aのフィン構造132の結晶学的な歪みとは異なる結晶学的な歪みを有する。例えば、第2の複数のフィン構造132Bのフィン構造132は、引張り歪みの状態にあってもよく、第1の複数のフィン構造132Aのフィン構造132は、引張り歪みが低減した状態、緩和した歪み状態(すなわち、歪みがない)、又は圧縮歪みの状態にあってもよい。
【0065】
[0076]上記のように、第1の複数のフィン構造132A及び第2の複数のフィン構造132Bを形成した後に、第1の複数のフィン構造132Aを備える第1の複数のPMOSフィンFETトランジスタが形成されてもよく、第2の複数のフィン構造132Bを備える第2の複数のNMOSフィンFETトランジスタが形成されてもよい。
【0066】
[0077]図10は、本開示の実施形態による第1の複数のフィン構造132A及び/又は第2の複数のフィン構造132Bを使用して作製することができるフィンFETトランジスタ構成の非限定的な簡略化された例示的な実施形態を示す。フィンFETの様々な構成が当技術分野で知られており、本開示の実施形態に従って用いられてもよく、図10に示されるフィンFET構造は、単にそのようなフィンFET構造の例として述べられていることに留意されたい。
【0067】
[0078]図10に示すように、フィンFETトランジスタ140は、ソース領域142、ドレイン領域144、及びソース領域142とドレイン領域144との間に延在するチャネルを備える。チャネルは、第1のフィン構造132A又は第2のフィン構造132Bなどのフィン132によって規定され、フィン132を備える。一部の実施形態では、ソース領域142及びドレイン領域144は、フィン構造132の長手方向の端部を含み、又はこの長手方向の端部によって規定されてもよい。導電性のゲート146は、ソース領域142とドレイン領域144との間のフィン構造132の少なくとも一部の上を延在し、フィン構造132の少なくとも一部に隣接する。ゲート146は、誘電体材料148によってフィン構造132から分離されてもよい。ゲート146は、多層構造を含んでもよく、半導体及び/又は導電層を含んでもよい。導電性シリサイドなどの金属、金属化合物、又は両方を含む低抵抗体層を、ソース領域142及び/又はドレイン領域144上に堆積させて、電気コンタクトを形成することができる。
【0068】
[0079]チャネルの引張り応力は、NMOSフィンFETトランジスタの性能を向上させ、しきい電圧を低減させることができ、一方、チャネルの引張り応力の低減(例えば、引張り応力がより小さい、引張り若しくは圧縮応力がない、又は圧縮応力)は、PMOSフィンFETトランジスタの性能を向上させ、しきい電圧を低減させることができるのが有利である。機能によっては、歪みデバイスは、高性能が必要なため有益な場合もあり、性能はそれほど重要ではなく、高いしきい電圧が有益である場合もある。本開示の実施形態によって、製造業者は、異なるレベルの応力及び歪みを、共通のフィンFETトランジスタの面内にある同じデバイスの異なるフィンFETトランジスタの結晶格子内に選択的に取り込むことができる。
【0069】
[0080]上記で開示した方法及び構造は、フィンFET構造に関連して記載されたが、本開示のさらなる実施形態がフィンFET構造以外の従来のFET構造の形成を含むことができ、複数の従来のp型CMOS FETトランジスタを多層基板120の第1の領域124A内の主半導体層106を使用して作製することができ、複数の従来のn型CMOS FETトランジスタを多層基板120の第2の領域124B内の主半導体層106を使用して作製することができることに留意されたい。
【0070】
[0081]本開示のさらなる非限定的な例示的な実施形態について以下に述べる。
【0071】
[0082]
実施形態1
ベース基板、ベース基板の表面上の埋め込み酸化物層、ベース基板とは反対側の埋め込み酸化物層上の歪み主半導体層、及び埋め込み酸化物層とは反対側の歪み半導体層上のエピタキシャルベース層を含む、多層基板を用意するステップと、第1の領域内の主半導体層の歪み状態が第2の領域内の主半導体層の歪み状態と異なるように、元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第2の領域内の歪み主半導体層へは拡散させずに、元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第1の領域内の歪み主半導体層へ拡散させ、第1の領域内の主半導体層の拡散させた元素の濃度を高くするステップと、多層基板の第1の領域内の主半導体層の一部をそれぞれが備える第1の複数のトランジスタチャネル構造、及び多層基板の第2の領域内の主半導体層の一部をそれぞれが備える第2の複数のトランジスタチャネル構造を形成するステップとを含む、半導体構造を作製する方法。
【0072】
[0083]
実施形態2
歪みシリコンを含むように歪み半導体層を選択するステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0073】
[0084]
実施形態3
引張り歪みシリコンを含むように歪み半導体層を選択するステップをさらに含む、実施形態2に記載の方法。
【0074】
[0085]
実施形態4
SiGe1-xを含むようにエピタキシャルベース層を選択するステップであって、xが約0.01~約0.99であるステップをさらに含み、元素をエピタキシャルベース層から歪み主半導体層へ拡散させるステップが、多層基板の第1の領域内の歪み主半導体層へゲルマニウムを拡散させるステップを含む、ステップをさらに含む、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0075】
[0086]
実施形態5
第1の複数のトランジスタチャネル構造を形成するステップ及び第2の複数のトランジスタチャネル構造を形成するステップが、主半導体層を貫いてエッチングするステップ、及びそれぞれが主半導体層の一部を備え、それぞれがフィンFETで使用するためにサイズが調整され、構成されているフィン構造を規定するステップを含む、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0076】
[0087]
実施形態6
多層基板を用意するステップが、歪み半導体層をドナー基板上のエピタキシャルベース層にエピタキシャル成長させてドナー構造を形成するステップと、ドナー構造にイオンを注入し、ドナー構造内に脆弱ゾーンを形成するステップと、ドナー構造を、ベース基板を備えるレシーバ基板に接合するステップと、脆弱ゾーンに沿ってドナー構造を劈開して、歪み半導体層及びエピタキシャルベース層をベース基板に移しかえるステップと、を含む、実施形態1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0077】
[0088]
実施形態7
ドナー構造をレシーバ基板に接合するステップが、ドナー構造及びレシーバ基板の1つ又は両方に酸化物層を設けるステップ、及び直接接合プロセスを使用してドナー構造をレシーバ基板に接合するステップを含む、実施形態6に記載の方法。
【0078】
[0089]
実施形態8
エピタキシャルベース層を備えるドナー基板の実質的に均質の領域内に脆弱ゾーンを配置するステップをさらに含む、実施形態6又は実施形態7に記載の方法。
【0079】
[0090]
実施形態9
元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第1の領域内の歪み主半導体層へ拡散させるステップが、多層基板の第1の領域内の主半導体層の歪みを緩和するステップを含む、実施形態1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0080】
[0091]
実施形態10
元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第1の領域内の歪み主半導体層へ拡散させるステップが、多層基板の第1の領域内の主半導体層の圧縮歪みを引き起こすステップを含む、実施形態1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
[0092]
実施形態11
元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第1の領域内の歪み主半導体層へ拡散させるステップが、第1の領域内の主半導体層内の正孔移動度を増加させるステップを含む、実施形態1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0082】
[0093]
実施形態12
元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第1の領域内の歪み主半導体層へ拡散させるステップが、多層基板の第1の領域内の主半導体層に対する凝縮プロセスを実行するステップを含む、実施形態1~11のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
[0094]
実施形態13
多層基板の第1の領域内の主半導体層に対する凝縮プロセスを実行するステップが、多層基板の第1の領域内の主半導体層の一部を酸化させるステップを含む、実施形態12に記載の方法。
【0084】
[0095]
実施形態14
第1の複数のトランジスタチャネル構造を備える複数のp型FETトランジスタを形成するステップ、及び第2の複数のトランジスタチャネル構造を備える複数のn型FETトランジスタを形成するステップをさらに含む、実施形態1~13のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
[0096]
実施形態15
ベース基板、ベース基板の表面上の埋め込み酸化物層、ベース基板とは反対側の埋め込み酸化物層上の歪み主半導体層、及び埋め込み酸化物層とは反対側の歪み半導体層上のエピタキシャルベース層を含む、多層基板を用意するステップと、第1のマスク層によって多層基板の第1の領域をマスクし多層基板の第2の領域からエピタキシャルベース層の一部を除去するステップと、多層基板の第1の領域から第1のマスク層を除去し第2のマスク層によって多層基板の第2の領域をマスクするステップと、元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第1の領域内の歪み主半導体層へ拡散させ、元素を多層基板の第2の領域内の歪み主半導体層へは拡散させずに多層基板の第1の領域内の主半導体層の歪み状態を変えるステップと、多層基板の第1の領域内の主半導体層の一部をそれぞれが備える第1の複数のトランジスタチャネル構造、及び多層基板の第2の領域内の主半導体層の一部をそれぞれが備える第2の複数のトランジスタチャネル構造を形成するステップと、を含む、半導体構造を作製する方法。
【0086】
[0097]
実施形態16
引張り歪みシリコンを含むように歪み半導体層を選択するステップをさらに含む、実施形態15に記載の方法。
【0087】
[0098]
実施形態17
少なくとも実質的に緩和したSiGe1-xを含むようにエピタキシャルベース層を選択するステップであって、xが約0.01~約0.99であるステップをさらに含み、元素をエピタキシャルベース層から多層基板の第1の領域内の歪み主半導体層へ拡散させるステップが、多層基板の第1の領域内の歪み主半導体層へゲルマニウムを拡散させるステップを含む、実施形態15又は実施形態16に記載の方法。
【0088】
[0099]
実施形態18
第1の複数のトランジスタチャネル構造を備える複数のp型FETトランジスタを形成するステップ、及び第2の複数のトランジスタチャネル構造を備える複数のn型FETトランジスタを形成するステップをさらに含む、実施形態15~17のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
[0100]
実施形態19
ベース基板、ベース基板の表面上の埋め込み酸化物層、及びベース基板とは反対側の埋め込み酸化物層上の主半導体層であって、多層基板の第1の領域内の主半導体層の一部が、yが約0.20~約0.99であるSiGe1-yを含み、多層基板の第2の領域内の主半導体層の一部が引張り歪みSiを含む、主半導体層と、を備え、多層基板の第1の領域内の主半導体層の一部が、多層基板の第2の領域内の主半導体層の一部の結晶学的な歪みと異なる結晶学的な歪みを有する、多層基板を含む半導体構造。
【0090】
[0101]
実施形態20
多層基板の第1の領域内の主半導体層の一部をそれぞれが備える第1の複数のp型FETトランジスタ、及び多層基板の第2の領域内の主半導体層の一部をそれぞれが備える第2の複数のn型FETトランジスタをさらに備える、実施形態19に記載の半導体構造。
【0091】
[0102]上記の本開示の例示的な実施形態は、これらの実施形態が、添付された特許請求の範囲及びそれらの法的な均等物によって規定される本発明の実施形態の単に例であるため、本発明の範囲を限定しない。いずれの等価な実施形態も、本発明の範囲内にあることが意図されている。実際、本明細書に示され、記載されたものに加えて、記載された要素の代替の有用な組合せなどの、本開示の様々な変更形態が本記載から当業者には明らかになるであろう。言いかえれば、本明細書に記載された1つの例示的な実施形態の1つ又は複数の特徴は、本開示のさらなる実施形態を提供するために本明細書に記載された別の例示的な実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わされてもよい。そのような変更形態及び実施形態も、添付された特許請求の範囲の範囲内にあることが意図されている。
【符号の説明】
【0092】
100 ドナー基板
102 バルク材料
104 エピタキシャルベース層
106 歪み半導体層
108 バッファ層
109 矢印
110 レシーバ基板
112 脆弱ゾーン
114 埋め込み酸化物層
120 多層基板
122 マスク層
124A 第1の領域
124B 第2の領域
126 マスク層
136 酸化物層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10