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特許7074756化学ねじを用いた、好ましくはプラスチックでできている接着接合挿入部品の瞬時予備固定
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  • 特許-化学ねじを用いた、好ましくはプラスチックでできている接着接合挿入部品の瞬時予備固定 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】化学ねじを用いた、好ましくはプラスチックでできている接着接合挿入部品の瞬時予備固定
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/48 20060101AFI20220517BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220517BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20220517BHJP
   B29C 65/70 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
B29C65/48
C09J201/00
C09J5/06
B29C65/70
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019532032
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2017082703
(87)【国際公開番号】W WO2018109045
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】16204166.9
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】ウルス ラインエッガー
(72)【発明者】
【氏名】デニス スベイ
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-160435(JP,A)
【文献】特開平02-258234(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04431991(DE,A1)
【文献】特開2011-046373(JP,A)
【文献】国際公開第2016/205251(WO,A1)
【文献】特開昭59-223777(JP,A)
【文献】実開昭61-198186(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00- 65/82
B32B 1/00- 43/00
C09J 1/00-201/10
B62D 17/00- 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、基材1と、基材2と、前記基材1及び2間に配置されている熱硬化性接着剤とを含むアセンブリを製造する方法:
(i)基材1を基材2上に、前記基材1及び2間に空洞があるように置く工程、
(ii)流動性の熱硬化性接着剤を前記基材1及び2間の前記空洞中に注入する工程、及び
(iii)前記基材1又は2の前記流動性の熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%未満の部分においてのみ、前記流動性の熱硬化性接着剤に熱を加えて、前記接着剤を硬化させる工程。
【請求項2】
以下を含む、基材1と、基材2と、前記基材1及び2間に配置されている熱硬化性接着剤とを含むアセンブリを製造する方法:
)膨張性の熱硬化性接着剤を基材2上に置く工程であって、前記膨張性の硬化性接着剤は、25℃で自己接着性である、工程、
ii)基材1を、前記基材1が前記膨張性の熱硬化性接着剤と接触するか、又は膨張時に前記熱硬化性接着剤で満たされる間隙が前記膨張性の熱硬化性接着剤と前記基材2との間にあるように、前記基材2上の前記膨張性の熱硬化性接着剤の上に置く工程、及び
(iii)前記基材1又は2の前記膨張性の熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%未満の部分においてのみ、前記膨張性の熱硬化性接着剤に熱を加えて、前記接着剤を硬化させる工程。
【請求項3】
前記熱は、前記基材1又は2の、前記流動性の熱硬化性接着剤又は前記膨張性の熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の30%未満の部分においてのみ、前記熱硬化性接着剤に加えられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱は、前記基材1又は2の、前記流動性の熱硬化性接着剤又は前記膨張性の熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の2つ以上の独立した領域に加えられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記熱は、誘導、赤外線又はマイクロ波によって加えられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
(iv)さらなる基材3を前記基材2及び3間に空洞があるようにして前記基材2上に置く工程と、
(v)流動性の熱硬化性接着剤を、工程(iv)の前記基材2及び3間の前記空洞中に注入する工程と
をさらに含み、
工程(iii)における前記熱は、前記流動性の熱硬化性接着剤を硬化させるために、前記基材1又は2及び前記基材2又は3の、前記流動性の熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%未満の部分においてのみ、基材1及び2並びに基材2及び3間の前記流動性の熱硬化性接着剤のそれぞれに加えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基材1は、金属基材である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記基材1は、異形材の形状を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記基材2は、押出又は成形されたキャリアである、請求項1及び3~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記熱硬化性接着剤は、エポキシ又はポリウレタン系接着剤である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
車両の製造のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
熱硬化性接着剤と、基材1と、基材2との前記アセンブリは、前記アセンブリをe-コート流体に浸すことと、前記アセンブリをe-コートオーブンに挿入することとを含む電着工程にかけられ、前記接着剤は、前記オーブン内で完全に硬化される、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、基材1と、基材2と、基材1及び基材2間に配置されている熱硬化性接着剤とを含むアセンブリであって、熱硬化性接着剤は、熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%未満の部分においてのみ硬化される、アセンブリに関する。接着剤が後の段階で最終的に硬化されるか又は完全に硬化され得る一方、接着剤の部分硬化は、固定後に実施される処理のさらなる工程中に基材が所定の位置に堅固に保持されることを確実にする。本出願は、対応するアセンブリを製造するいくつかの方法及び車両の製造におけるこれらの方法の使用にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車又は車両製造の分野において、異形材などの多くの部品は、強化を提供するためのプラスチック構成部品で満たされる空洞を有することが一般的である。これらのプラスチック構成部品は、通常、異形材のさらなる処理中に変位を避けるために金属異形材上に接着剤によって固定される。
【0003】
通常、中空異形材は、錆発生に対するそれらの抵抗性を改善するためにe-コートプロセスにかけられる。e-コートプロセスは、とりわけ、金属部品をe-コート浴に浸すことと、その後、e-コートオーブン内でコートを乾燥させかつ固定することとを含む。
【0004】
製造プロセス内において、e-コートプロセス前にプラスチック構成部品を異形材中に挿入することが望ましいことがあり得る。これは、通常、1つ又は複数の接着剤ビーズを異形材上に適用し、プラスチック構成部品を接着剤ビーズ上に配置し、必要に応じてさらなる接着剤ビードをプラスチック構成部品上に適用し、その後、さらなるプレートを異形材上に置き、このようにして異形材及び上方プレートと、その間のプラスチック構成部品とのサンドイッチを形成することによって達成され得、それぞれの接着剤部分は、プラスチック構成部品、異形材及びカバープレート間に配置される。アセンブリの製造後、アセンブリは、通常、さらに処理及び移動され、その結果、プラスチック構成部品は、さらなる処理中に変位され得る。そのため、状況に応じて、通常、接着剤を硬化させるか、又は他に充填異形材のさらなる処理前にプラスチック構成部品を固定することが必要である。
【0005】
従来技術で行われているような硬化は、時間がかかり、かつ特にe-コーティングプロセス中、このプロセスで通常使用される接着剤を硬化させるのに十分である温度に材料がさらされるという事実を考えると、エネルギー集約的である。しかしながら、上に説明されたように、異形材は、組み立て後及びe-コーティング前に処理されるため、接着剤が硬化されていない場合に変位の重大なリスクがある。
【0006】
したがって、組み立て及びその後の従来技術のe-コーティングプロセスのためのエネルギー必要量及び時間的要件を最小限にする技術が必要とされている。
【0007】
プラスチック構成部品を異形材中に一時的に固定するという解決策は、クリップによる固定である。この解決策は、残念ながら、クリップが係合し得る、周囲のシート金属における穴が必要とされるという欠点がある。これは、用途に応じて、対応する穴をもたらすための1つ又は複数の処理工程が追加されなければならないであろうという欠点を有する。加えて、通常の車両製造において、上で考察されたようなプラスチック部品は、多くの場合、ロボットによって異形材に適用される。経験から、ロボットに、クリップを用いてそのようなプラスチック部品を鋼セクション中に固定させることは、そのような固定の精度が非常に高いわけではないため、非常に困難であることが知られている。
【0008】
加えて、穴の要件は、材料中の弱点がもたらされるため、衝突性能での異形材の強度にとって欠点を有する。プラスチック構成部品などの強化材での金属異形材の充填は、通常、異形材の強度を増加させることを目的とするため、この技術は、衝突におけるそれらの良好な性能のために超高強度鋼、ホウ素入り鋼で多くの場合に用いられる。これらの材料にとって、改善された強度性能を材料に提供しようと試みる場合に穴をもたらすことは、逆効果であろう。
【0009】
プラスチック構成部品を金属異形材中に固定するための第2の手段は、金属ブラケットを用いる固定である。この種の固定は、追加の金属ブラケットをプラスチック部品上に固定することにより、又はブラケットをプラスチック部品中に直接注入することにより実施される。したがって、プラスチック部品が異形材中に挿入される場合、固定は、金属ブラケットと本体のシート金属との間の溶接点によって達成される。しかしながら、この技術は、衝突事象におけるそれらの良好な性能のために使用される超高強度鋼又はホウ素入り鋼などの材料上の溶接点が鋼の構造を局部的に変化させ、材料中に局部的な弱点をもたらすため、上で考察されたものと同じ欠点を有する。加えて、この解決策は、プラスチック部品上で製造されかつ組み立てられなければならない追加の構成部品が必要とされるという欠点もある。最後に、ブラケットは、それら自体、この方法を商業的に効果が少ないものにする追加の製造コストを表す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記から明らかであるように、異形材でのプラスチック構成部品の固定方法であって、異形材材料に穴又は溶接点をもたらす必要性をなくす方法が必要とされている。
【0011】
一層多くのアルミニウムが、車両の重量を最小限にし、したがってガソリン消費を減らすため、車両の製造のために車両産業で使用されていることから、これは、特に当てはまる。鋼と比較すると、アルミニウムは、例えば、衝突事故でより容易に変形し得る材料であるため、物理的安定性が増加したプラスチック強化アルミニウム異形材の提供が一層重要になっている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本出願は、これらの必要性に対処するものである。
【0013】
本発明は、したがって、金属異形材内にプラスチック構成部品を固定して、車両製造内での異形材のさらなる処理を可能にするのに十分である好適な固定手段であって、追加の穴及び/又は溶接点を金属部品上にもたらす必要性を回避して、材料での局部的な脆弱点の発生という問題を未然に防ぐ手段を提供するという課題に基づく。他方では、本出願の方法は、例えば、異形材のe-コート処理前に、接着剤の全体ではなくその小部分のみが硬化され、その結果、硬化された部品が、例えば後にe-コートプロセスにおいて接着剤が完全に硬化されるまで、プラスチック構成部品を異形材に十分に固定する「化学ねじ」に非常に類似した役割を果たすという点においてエネルギー効果的である。
【0014】
したがって、本出願の一態様は、基材1と、基材2と、基材1及び2間に配置されている熱硬化性接着剤とを含むアセンブリであって、熱硬化性接着剤は、熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%未満の部分においてのみ硬化される、アセンブリに関する。
【0015】
そのようなアセンブリの製造のために用いられる方法は、特に限定されない。しかしながら、第1の好ましい代替形態では、本方法は、
(i)少なくとも1つの熱硬化性接着剤ビードを基材1上に置く工程と、
(ii)さらなる基材2を、基材1及び2がビードの反対側にあるように熱硬化性接着剤ビード上に置く工程と、
(iii)熱硬化性接着剤のビードによって覆われた表面全体の50%未満の部分においてのみ、熱硬化性接着剤に熱を加えて、接着剤を硬化させる工程と
を含む。
【0016】
第2の好ましい代替形態では、本方法は、
(i)基材1を基材2上に、基材1及び2間に空洞があるように置く工程と、
(ii)流動性の熱硬化性接着剤を基材1及び2間の空洞中に注入する工程と、
(iii)流動性接着剤によって覆われた表面全体の50%の部分においてのみ、流動性の熱硬化性接着剤に熱を加えて、接着剤を硬化させる工程と
を含む。
【0017】
第1の代替形態よりも優れているこの方法の利点は、それが、圧延鋼材又はアルミニウム押出異形材などの閉じた異形材の製造を可能にすることである。用語「流動性」は、それが適用される温度における接着剤が、注入されかつ空洞を満たすことができるのに十分に流動性を有さなければならないことを意味する。周囲温度よりも高い温度(50~80℃など)で接着剤が注入されることは、十分に本出願の範囲内であるため、これは、接着剤が周囲温度(25℃)で流動性を有さなければならないことを必ずしも意味しない。流動性の熱硬化性接着剤の好適な粘度は、さらなる説明において提供される。
【0018】
第3の好ましい代替形態では、本方法は、
(i)基材1を基材2上に置く工程であって、基材2は、この基材の少なくとも1つの側面上に熱硬化性接着剤の層を有し、基材2は、基材1と基材2上の硬化性接着剤との間の直接接触があるように基材1上に置かれる、工程と、
(ii)熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%の部分においてのみ、硬化性接着剤に熱を加えて、接着剤を硬化させる工程と
を含む。
【0019】
この方法は、例えば、異なる設備において基材2上に接着剤を適用し、かつ次にその上に接着剤が適用された状態で基材を最終組み立て設備に輸送することが可能であるため、接着剤を基材1上に適用するという別個の工程が最終プロセス段階において全く必要とされないという利点を有する。
【0020】
第4の好ましい代替形態では、本方法は、
(i)膨張性の熱硬化性接着剤を基材2上に置く工程であって、膨張性の硬化性接着剤は、25℃で自己接着性である、工程と、
(ii)基材1を、基材1が膨張性の熱硬化性接着剤と接触するか、又は膨張時に熱硬化性接着剤で満たされる間隙が膨張性の熱硬化性接着剤と基材2との間にあるように、基材2上の膨張性の熱硬化性接着剤の上に置く工程と、
(iii)熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%の部分においてのみ、膨張性の熱硬化性接着剤に熱を加えて、接着剤を硬化させる工程と
を含む。
【0021】
上に述べられたような用語「自己接着性」は、50gの固有重量の試料の表面が、親指でプレスされて1秒間にわたって5kgの圧力を加えられる場合、前記試料が少なくとも5秒間にわたって持ち上げられ得るように、接着剤が周囲温度で表面粘着性を有することを意味する。
【0022】
上記方法は、2つの基材間の間隙が非膨張状態での熱硬化性接着剤よりも大きいが、膨張時に膨張性の熱硬化性接着剤で閉じ込められるのに十分に小さい、アセンブリの製造のために特に有利である。加えて、本方法は、間隙が非常に小さいため、それが非膨張状態での膨張性の熱硬化性接着剤で実質的に閉じ込められるが、接着剤が完全に硬化されていないさらなる処理工程中、材料の接着性が固定を確実にするのに十分ではない、アセンブリの製造のために有利である。
【0023】
上に示されたように、硬化性接着剤は、その一部においてのみ硬化される。これは、例えば、接着剤が糸の形態で適用される場合、糸の長さの半分未満が工程(iii)中の加熱によって硬化されることを意味する。接着剤が流動性接着剤として適用される場合、その一部の硬化は、表面全体が硬化しないことを意味し、ここで、表面のいくらかの領域において接着剤が流動性形態で存在するが、他の領域ではそれが硬化された形態で存在するように、2つの基材間に接着剤が存在する。しかしながら、この部分が連続部分でなければならないという限定はなく、反対に、本出願の好ましい実施形態では、この部分は、接着剤糸の場合、接着剤の個別の硬化部分間に同じ又は異なる長さの非硬化部分を有し得る不連続部分である。
【0024】
「熱硬化性接着剤」は、加熱によって硬化され得る接着剤である。通常、その未硬化形態の熱硬化性接着剤は、粘着性ペースト又は触っても非粘着性のいずれかであり、加熱時にのみ基材への接合及び接着を達成するのに十分に湿潤化される。
【0025】
上記において、それが「熱硬化性接着剤のビードによって覆われる表面全体の百分率」に言及する場合、この表面は、ビードが最長伸長を有するビードの寸法に適用される。例えば、ビードが糸である場合、表面の50%は、糸の長さの50%に対応する。ビードがシートである場合、ビードによって覆われる表面全体の50%は、シートの寸法の50%に対応する。
【0026】
上記において、それが「熱硬化性接着剤の流動性接着剤によって覆われた表面全体の百分率」に言及する場合、この表面は、第3の次元よりも長い伸長を有する、接着剤で閉じ込められる2つの次元の空間に適用される。例えば、流動性接着剤が10cm幅及び50cm長さの間隙で1cm高さの空間を満たすために使用される場合、表面は、幅及び長さによって画定される。
【0027】
基材2が基材の少なくとも1つの側面上に熱硬化性接着剤の層を有する上述の場合、接着剤は、その少なくとも1つの側面上で基材の表面全体を覆い得るが、接着剤が基材の側面の一部を覆うにすぎないことも可能である。さらに、接着剤が基材の側面上に広がり得る場合、例えば接着剤がシートの形態である場合、それが基材のエッジ上に広がり得ることが可能である。
【0028】
上記において、基材2が「熱硬化性接着剤ビード上に」置かれることが示される場合、これは、(基材2の方向から見られる)接着剤ビードの表面が好ましくは少なくとも70%だけ、より好ましくは少なくとも80%だけ、さらにより好ましくは少なくとも90%だけ、最も好ましくは100%だけ覆われるように、基材2が熱硬化性接着剤ビード上に配置されることを意味する。最後の場合、熱硬化性接着剤ビードは、基材1、ヘッド硬化性及び基材2のサンドイッチが基材2の方向から見られる場合に目に見えない。
【0029】
上記において、流動性の熱硬化性接着剤が基材1及び2間の空洞中に注入されることが示される場合、これは、(基材2の方向から見られる)接着剤表面がそれぞれ基材1及び2の表面の好ましくは少なくとも70%だけ、より好ましくは少なくとも80%だけ、さらにより好ましくは少なくとも90%だけ、最も好ましくは少なくとも95%だけを覆うように、流動性の熱硬化性接着剤が注入されることを意味する。
【0030】
上述の方法のために、どのようにして空洞が発生するかは特に重要でない。例えば、基材2は、それが突起部によって基材1と接触する突起部を有し得、したがって非接触部分に空洞を形成することが可能である。加えて、スペーサーを基材1及び2間に挿入して空洞を発生させることが可能であり、それは、両方の基材が実質的に平坦である場合に有利である。
【0031】
本出願の好ましい実施形態では、熱は、それぞれ上に示されたようなビード、流動性の熱硬化性接着剤、熱硬化性接着剤又は膨張性の熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満の部分においてのみ、熱硬化性接着剤に加えられる。他方では、基材1及び2上の熱硬化性接着剤の十分な固定を達成するために、硬化された材料の部分が、その後の処理中に基材の適切な固定を確保するのに十分であることが確実にされなければならない。したがって、熱は、それぞれビード、流動性の熱硬化性接着剤、熱硬化性接着剤又は膨張性の熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の0.5%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらにより好ましくは3%以上の部分における熱硬化性接着剤に加えられることが合理的である。
【0032】
本出願の実施において、「ビード」は、任意の形状のビードであり、球形又は円形ビーズに限定されない。例えば、ビードは、糸の形態を有し得、又は長方形若しくは三角形形状を有することができるであろう。
【0033】
本出願の実施において、本方法中、熱は、それぞれビード、流動性の熱硬化性接着剤、熱硬化性接着剤又は膨張性の熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の2つ以上の独立した領域に加えられることが好ましく、なぜなら、これは、ビード表面全体の大部分を硬化させなければならないことなく十分な固定を確保するためである。熱を加える手段に関して、本出願の方法は、この手段が接着剤の表面全体の一部のみの加熱を可能にしなければならないことを除いて特に限定されない。熱硬化性接着剤を熱硬化させるための適切かつ好ましい方法は、誘導、赤外線、マイクロ波又は超音波による適用である。これらのうち、誘導が点又は円形状の誘導源によって接着剤の非常に小さい部分の選択的加熱を可能にするため、誘導が特に好ましい。
【0034】
基材1及び2のいずれかが金属系基材である場合、加熱は、好ましくは、間接加熱、例えば誘導によって金属を加熱し、したがって熱を接着剤に移すことによって適用される。
【0035】
本出願のさらに好ましい実施形態では、上述の第1の代替形態による方法は、工程(i)~(iii)の次に(iv)少なくとも1つの熱硬化性接着剤ビードを、基材1に面する側面の反対側にある基材2の側面上に置く工程、(v)さらなる基材3を、基材2及び3がビードの反対側にあるように、工程(iv)において置かれた熱硬化性接着剤ビード上に置く工程を含み、ここで、工程(iii)における熱は、接着剤を硬化させるために、それぞれのビーズ全体面積の50%未満の部分においてのみ、熱硬化性接着剤ビーズのそれぞれに加えられる。そのような方法は、基材1及び3が外層を形成し、接着剤がその間の基材2と共にこれらの外層間に挟まれているサンドイッチ構造を提供する。
【0036】
この方法では、基材1及び2間の接着剤が基材2及び3間の接着剤の適用前に硬化されるかどうか、又はこれらの接着剤が同時に硬化されるかどうかは、決定的に重要ではない。したがって、一実施形態では、接着剤は、工程(iii)において同時に硬化される。別の実施形態では、基材1及び2間の接着剤は、基材2及び3間の接着剤の硬化前、好ましくは接着剤を基材2及び3間に置く前に硬化される。
【0037】
同じく、さらなる基材4、5、6などを有する多層アセンブリの製造のために本方法を用いることが可能である。この場合、工程(iv)~(vi)は、基材2の代わりとして、基材4、6など、及び基材3の代わりとして基材5、7などを使用して単に繰り返すことができる。
【0038】
本方法が上述の第2の代替形態に従う場合、本方法は、(iv)さらなる基材3を、基材2及び3間に空洞があるように基材2上に置く工程と、(v)流動性の熱硬化性接着剤を、基材2及び3(iv)間の空洞中に注入する工程とを含み、ここで、工程(iii)における熱は、接着剤を硬化させるために、流動性の熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%未満の部分においてのみ、それぞれ基材1及び2並びに2及び3間の流動性の熱硬化性接着剤のそれぞれに加えられる。
【0039】
本発明方法の好ましい応用分野は、車両製造におけるものであるため、基材1は、金属基材、特にアルミニウム又は冷間圧延鋼材若しくはハイドロフォームドスチールなどの鋼基材、さらにより好ましくは超高強度鋼又はホウ素入り鋼であることが好ましい。
【0040】
類似の材料は、存在する場合、基材3、5、7などについて好ましい。
【0041】
基材2(及び存在する場合には4、6など)に関して、この基材は、押出若しくは成形キャリア又は任意の熱成形キャリア、より好ましくは押出又は成形プラスチックキャリアであることが好ましい。対応するプラスチックキャリアの製造のための好適な材料には、例えば、ポリアミド及びポリブチレンテレフタレート、並びに200℃まで、好ましくは220℃までの温度で安定である他の軽量材料(すなわち1g/cm以下、好ましくは0.5g/cm以下の密度を有する)が含まれる。
【0042】
本方法の上述の第4の好ましい代替形態のために、基材2は、好ましくは、基材1について上に示されたような材料である。
【0043】
本出願の実施において、基材1は、例えば、平坦な底部と、好ましくは約80°~約135°の角度(この角度は、底部プレートと、上方に突出する側面部との間で決定される)で底部から上方に伸びる2つの側面部とを有するU字形などの異形材の形状を有することがさらに好ましい。
【0044】
そのような場合の基材3は、平坦な基材であり得るか、又は同様にU形状若しくは他の形状を有することができる。
【0045】
基材2は、基材1及び存在する場合には基材3の空洞を十分に満たし、かつ基材1により又は基材1及び3間に形成される内部容積の好ましくは少なくとも50容積%、より好ましくは少なくとも60容積%、さらにより好ましくは少なくとも70容積%を満たす任意の形状を有することができる。正確な容積は、非常に重要ではないが、容積は、アセンブリが例えばe-コートプロセスにかけられる場合に十分な強化を確保するのに適切であるべきである。
【0046】
熱硬化性接着剤は、好ましくは、120℃~220℃、より好ましくは160℃~200℃の範囲の硬化温度を有する。
【0047】
第1及び第2の代替形態で考察されたような本発明方法の好ましい実施形態では、熱硬化性接着剤は、エポキシ系又はポリウレタン系接着剤である。
【0048】
好適な熱硬化性エポキシ系接着剤は、少なくとも1つのエポキシ樹脂Aと、温度の上昇によって活性化される、エポキシ樹脂のための少なくとも1つの硬化剤Bとを含む。特に、それは、一成分エポキシ樹脂組成物である。
【0049】
熱硬化性接着剤がエポキシ樹脂組成物である場合、それは、1分子当たり平均2個以上のエポキシ基を有する少なくとも1つのエポキシ樹脂を含有する。エポキシ基は、好ましくは、グリシジルエーテル基の形態をとる。1分子当たり平均2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂は、好ましくは、液体エポキシ樹脂又は固体エポキシ樹脂である。用語「固体エポキシ樹脂」は、エポキシの技術分野の当業者に非常によく知られており、「液体エポキシ樹脂」とは対照的に用いられる。固体樹脂のガラス転移温度は、室温を超え、それは、固体樹脂が室温で細かく砕かれて、注げる粉末を与え得ることを意味する。
【0050】
好ましい固体エポキシ樹脂は、式(I)を有する。
【化1】
【0051】
置換基R’及びR’’は、ここで、それぞれ独立してH又はCHのいずれかである。
【0052】
加えて、添字sは、1.5超、とりわけ1.5~12、好ましくは2~12の値である。
【0053】
この種の固体エポキシ樹脂は、例えば、Dow、又はHuntsman、又はMomentiveから商業的に入手可能である。
【0054】
1超~1.5の範囲の添字sを有する式(I)の化合物は、半固体エポキシ樹脂と当業者によって呼ばれる。本発明のために、それらは、同じく固体樹脂であると考えられる。しかしながら、より狭い意味での固体エポキシ樹脂、すなわち1.5超の値を有する添字sを有する式(I)の固体エポキシ樹脂が好ましい。
【0055】
好ましい液体エポキシ樹脂は、式(II)を有する。
【化2】
【0056】
置換基R’’’及びR’’’’は、ここで、それぞれ独立してH又はCHのいずれかである。加えて、添字rは、0~1の値である。好ましくは、rは、0~0.2未満の値である。
【0057】
液体樹脂は、したがって、好ましくは、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノールF及びビスフェノールA/F(表現「A/F」は、ここで、それらの製造における反応剤として使用されるアセトンとホルムアルデヒドとの混合物を意味する)のジグリシジルエーテルである。そのような液体樹脂は、例えば、Araldite(登録商標)GY 250、Araldite(登録商標)PY 304、Araldite(登録商標)GY 282(Huntsman)、又はD.E.R.TM331若しくはD.E.R.TM330(Dow)、又はEpikote 828(Momentive)として入手可能である。
【0058】
好ましくは、エポキシ樹脂は、式(II)の液体エポキシ樹脂である。さらにより好ましい実施形態では、熱硬化性エポキシ樹脂は、式(II)の少なくとも1つの液体エポキシ樹脂及び式(I)の少なくとも1つの固体エポキシ樹脂を両方とも含む。
【0059】
1分子当たり平均2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、エポキシ樹脂接着剤の総重量を基準として好ましくは10重量%~85重量%、とりわけ15重量%~70重量%、より好ましくは15重量%から60重量%である。
【0060】
熱硬化性エポキシ樹脂接着剤は、エポキシ樹脂のための少なくとも1つの潜在性硬化剤をさらに含む。潜在性硬化剤は、室温で本質的に不活性であり、硬化反応を開始させる高温、典型的には70℃以上の温度で活性化される。エポキシ樹脂のための標準的な潜在性硬化剤を使用することが可能である。エポキシ樹脂のための潜在性窒素含有硬化剤が好ましい。
【0061】
好適な潜在性硬化剤の例は、ジシアンジアミド、グアナミン類、グアニジン類、アミノグアニジン類及びそれらの誘導体;置換ウレア、とりわけ3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチルウレア(クロルトルロン)又はフェニルジメチルウレア類、とりわけp-クロロフェニル-N,N-ジメチルウレア(モヌロン)、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア(フェヌロン)若しくは3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチルウレア(ジウロン)並びにイミダゾアール類及びアミン錯体である。
【0062】
特に好ましい潜在性硬化剤は、ジシアンジアミドである。
【0063】
潜在性硬化剤の割合は、エポキシ樹脂接着剤の総重量を基準として好ましくは0.5重量%~12重量%、より好ましくは1重量%~8重量%である。
【0064】
別の好ましい実施形態では、熱硬化性接着剤又は流動性の熱硬化性接着剤は、ホット硬化ポリウレタン組成物である。
【0065】
ホット硬化ポリウレタン組成物は、当業者に公知であり、異なる硬化メカニズムを有することができる。
【0066】
第1の実施形態では、固体のイソシアネート基末端ポリウレタンポリマーに加えて、さらに少なくとも1つのアルジミン、特にポリアルジミンを硬化剤として有するポリウレタン組成物が使用される。温度を上げること及びそれによって引き起こされるポリウレタンポリマーの軟化により、特に湿気の形態の水がポリウレタン組成物に入り込み、それによってアルジミンの加水分解、したがってアミンの放出を引き起こすことができ、アミンは、その後、イソシアネート基と反応し、組成物の硬化をもたらす。
【0067】
例えば、そのような好適なホット硬化ポリウレタン組成物は、その完全な開示が参照により本明細書に包含される国際公開第2008/059056 A1号パンフレットに記載されている。
【0068】
第2の実施形態では、イソシアネート基末端ポリウレタンポリマーに加えて、さらに少なくとも1つの硬化剤を有するポリウレタン組成物を使用することができ、その硬化剤は、イソシアネート反応基を含有し、ブロックされた形態で存在する。ブロックは、化学タイプ又は物理タイプのものであり得る。好適な化学的にブロックされた硬化剤の例は、錯体形成によって金属に結合したポリアミン、特にメチレンジアニリン(MDA)と塩化ナトリウムとの錯体化合物である。そのような錯体化合物は、通常、分子式(MDA)・NaClで記載される。好適なタイプは、商品名Caytur(登録商標)21において、ジエチルヘキシルフタレート中の分散系としてChemtura Corp.,USAから入手可能である。この錯体は、より高い温度で増加した速度で80~160℃に加熱されたときに分解し、活性硬化剤としてのメチレンジアニリンを放出する。
【0069】
物理的にブロックされた硬化剤の例は、マイクロカプセル化硬化剤である。二価又は多価アルコール、短鎖ポリエステルポリオール、脂肪族、脂環式及び芳香族アミノアルコール、ジカルボン酸のヒドラジド、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、エーテル基含有脂肪族ポリアミン、例えば名称Jeffamine(登録商標)(Huntsman International LLC,USA製)で入手可能なポリオキシアルキレンポリアミン、芳香族ポリアミンがマイクロカプセル化形態での硬化剤としての使用に特に好適である。脂肪族、脂環式及び芳香族ポリアミン、特にエタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
【0070】
マイクロカプセル化形態での使用に好適な硬化剤の詳細なリストは、例えば、その完全な開示が参照により本明細書に包含される国際公開第2009/016106 A1号パンフレットで14ページにおいて第25行から開始して見出すことができる。
【0071】
これらの硬化剤のマイクロカプセル化は、共通の方法の1つに従って、例えば噴霧乾燥、表面重合、液滴形成、浸漬又は遠心分離法、流動床法、真空カプセル化、静電気マイクロカプセル化によって行うことができる。得られたマイクロカプセルは、0.1~100μm、好ましくは0.3~50μmの粒径を有する。マイクロカプセルのサイズは、一方ではそれらが加熱されるときに効果的に開き、他方では、硬化後に熱硬化性接着剤の最適均質性、したがって付着強度が得られるように寸法を合わせられる。加えて、それらは、熱硬化性接着剤の接着特性にいかなる不利な影響も及ぼさない可能性がある。カプセルシェルのための材料は、カプセル化される硬化剤に溶けず、50~150℃の融点を有するポリマーであり得る。好適なポリマーについての例としては、炭化水素ワックス、ポリエチレンワックス、ワックスエステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はいくつかのそのようなポリマーの混合物が挙げられる。
【0072】
第3の実施形態では、それらのイソシアネート基が熱的に不安定なブロッキング基、例えばカプロラクタムと反応されるか、又はそれらのイソシアネート基が熱的に不安定なウレトジオンへと二量化されたイソシアネート基末端ポリウレタンポリマーを使用することができる。
【0073】
第4の実施形態では、上に記載されたようなヒドロキシル基末端ポリウレタンポリマー及び/又は少なくとも1つのポリマーポリオールに加えて、さらに少なくとも1つのカプセル化又は表面不活性化ポリイソシアネートを含むポリウレタン組成物を硬化剤として使用することができる。カプセル化又は表面不活性化ポリイソシアネートは、当業者に公知であり、例えば、それらの開示が本明細書に包含される欧州特許第0 204 970号明細書又は欧州特許第0 922 720号明細書に記載されている。上記は、好適なポリイソシアネートである。
【0074】
熱硬化性接着剤がポリウレタン組成物である場合、その製造のための成分、特にポリイソシアネート及びポリオールは、好ましくは、ポリウレタンが、室温よりも上である、特に23~95℃の範囲である融点を有するように、それらの分子量及びそれらの官能性に関して選択されなければならない。
【0075】
本発明方法の上述の第1の代替形態では、熱硬化性接着剤は、ポリウレタン組成物に基づく場合、好ましくは、室温で固体稠度(solid consistency)を有する一成分ホット硬化ポリウレタン組成物である。
【0076】
本発明方法の上述の第1の代替形態では、熱硬化性接着剤は、最も好ましくは一成分のホット硬化エポキシ樹脂組成物である。
【0077】
本発明方法の第2の態様に関して、アクリレート系接着剤を用いることも可能である。そのような接着剤は、それが、重合反応に入り込む樹脂Aとして、アクリル基又はメタクリル基を含有する少なくとも1つの二官能性又は多官能性モノマー、及びまたアクリル基又はメタクリル基を含有する少なくとも1つの一官能性モノマーを含むことを特徴とする。アクリル基又はメタクリル基を含有する好適な二官能性又は多官能性モノマーの例は、脂肪族ポリエーテルポリウレタン及びポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ノボラック、二価及び多価の脂肪族、脂環式及び芳香族アルコール、グリコール及びフェノール類のアクリレート及びメタクリレートである。アクリル基又はメタクリル基を含有する一官能性モノマーの例は、メチルアクリレート及びメタクリレート、エチルアクリレート及びメタクリレート、ヘキシルアクリレート及びメタクリレート、ドデシルアクリレート及びメタクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート及びメタクリレート、並びにまた2-ヒドロキシエチルアクリレート及びメタクリレート、並びに2-ヒドロキシプロピルアクリレート及びメタクリレートなどのヒドロキシル含有アクリレート及びメタクリレートである。
【0078】
硬化剤Bとしてアクリレート組成物は、ブロックされた形態で存在し、アクリレート又はメタクリレートモノマーの重合を開始させる熱開始剤を含む。好適な熱開始剤の例は、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド及びデカノイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド;ジプロピルペルオキシジカーボネートなどのペルオキシジカーボネート;ジ-tert-ブチルペルオキシオキサレートなどのペルオキシオキサレート;並びに次亜硝酸ジ-tert-ブチルなどの次亜硝酸エステルである。ベンゾイルペルオキシドが好ましい。ブロックされた熱開始剤、より具体的にはベンゾイルペルオキシドは、好ましくは、マイクロカプセル化形態である。マイクロカプセル化された有機過酸化物の製造は、例えば、欧州特許第0 730 493 B1号明細書に記載されている。
【0079】
好適なアクリレート接着剤は、例えば、国際公開第02/070620 A1号パンフレット及びその中に明記されている文献に記載されている。それらは、メチルメタクリレート及びテトラヒドロフルフリルメタクリレートなどのメタクリルエステル並びにまた脂肪族ポリウレタンアクリレート、ポリブタジエン-アクリロニトリルコポリマー(商品名HYCAR(登録商標)VTBNX)など、アクリル酸と反応したエラストマー又はコア-シェルポリマーからなる。メタクリレートとエラストマーとの混合物から本質的になるさらなる好適な系は、例えば、米国特許第3,890,407号明細書、米国特許第4,106,971号明細書及び米国特許第4,263,419号明細書に記載されている。特に好適な開始剤は、有機過酸化物、とりわけ第三級アミン及び/又は遷移金属の錯体若しくは塩などの触媒と組み合わせたベンゾイルペルオキシドである。第三級アミンの例は、N,N-ジメチルベンジルアミン及びN-アルキルモルホリンである。遷移金属の錯体又は塩の例は、ニッケル、コバルト及び銅の錯体又は塩である。
【0080】
本発明方法の上述の第3の代替形態のための好適な硬化性接着剤には、米国特許第5,266,133号明細書に記載されているものなど、例えばエチレン-α,β-エチレン性不飽和カルボン酸コポリマーをベースとする膨張性バッフル材料が含まれる。本発明方法のこの代替形態のための他の好適な硬化性接着剤には、例えば、米国特許第6,387,470号明細書に記載されている混合ポリスチレン/エポキシバッフル材料が含まれる。さらに、他の膨張性の硬化性接着剤も、それらが加熱すると膨張でき、及び周囲温度(25℃)でそれらが本質的に触っても非粘着性である一方、加熱するとそれらが基材への接合を確実にするのに十分に粘着性になるという基本的要件を満たす限り、この代替形態に使用することができる。
【0081】
本発明方法の上述の第4の代替形態のための好適な膨張性の熱硬化性接着剤として、ポリウレタン系衝撃改質剤及びカルボキシル-又はエポキシド-末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーで補完されている、液体エポキシ樹脂及び対応する硬化剤をベースとする接着剤を挙げることができる。これらの硬化性接着剤は、好ましくは、室温で形状の非常にわずかな変化を示すにすぎず、硬化状態ではそれらが高い接着性及び高い衝撃強度を示すのに対して、非硬化状態では高い表面粘着性を発現させる。
【0082】
熱硬化性接着剤は、追加の成分が通常熱硬化性接着剤に使用されるため、それらを含むことができる。
【0083】
特に、熱硬化性接着剤は、好ましくは、少なくとも1つの強靱化剤を含む。強靱化剤は、この用語が本明細書で用いられる場合、0.1~50重量%、特に0.5~40重量%などの少量でも靱性の著しい増加を提供し、その結果、マトリックスがひび割れするか又は壊れる前により高い曲げ、引張、衝突又は衝撃応力に耐えることができる、添加剤を意味する。
【0084】
強靱化剤は、固体強靱化剤又は液体強靱化剤のいずれかであり得る。
【0085】
固体強靱化剤は、第1の実施形態では、有機イオン交換層状鉱物である。そのような強靱化剤は、例えば、米国特許第5,707,439号明細書又は米国特許第6,197,849号明細書に記載されている。
【0086】
とりわけ好適であるそのような固体強靱化剤は、用語有機粘土又はナノクレイで当業者によく知られており、例えばグループ名Tixogel(登録商標)若しくはNanofil(登録商標)(Siidchemie)、Cloisite(登録商標)(Southern Clay Products)、又はNanomer(登録商標)(Nanocor、Inc.)、又はGaramite(登録商標)(Southern Clay Products)で商業的に入手可能である。
【0087】
固体強靱化剤は、第2の実施形態では、ブロックコポリマーである。ブロックコポリマーは、例えば、メタクリル酸エステルと、オレフィン二重結合を有する少なくとも1つの他のモノマーとのアニオン重合又は制御フリーラジカル重合から得られる。二重結合がヘテロ原子又は少なくとも1つの他の二重結合と直接共役しているものが、オレフィン二重結合を有するモノマーとして特に好ましい。特に好適なモノマーは、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル及び酢酸ビニルを含む群から選択される。例えば、GE Plasticsから名称GELOY 1020で入手可能なアクリレート/スチレン/アクリル酸(ASA)コポリマーが好ましい。
【0088】
とりわけ好ましいブロックコポリマーは、メタクリル酸メチルエステル、スチレン及びブタジエンから誘導されるブロックコポリマーである。そのようなブロックコポリマーは、例えば、Arkemaからグループ名SBMでトリブロックコポリマーとして入手可能である。
【0089】
固体強靱化剤は、第3の実施形態では、コア/シェルポリマーである。コア/シェルポリマーは、弾性コアポリマーと、硬質シェルポリマーとからなる。特に好適なコア/シェルポリマーは、硬質の熱可塑性ポリマーから製造された硬質シェルに囲まれている弾性アクリレート又はブタジエンポリマーから製造されたコアからなる。このコア/シェル構造は、ブロックコポリマーの分離によって自然発生的に形成されるか、又はラテックス重合若しくは懸濁重合、引き続くグラフト化によって決定されるかのいずれかである。好ましいコア/シェルポリマーは、Atofinaから商品名ClearstrengthTM、Rohm and HaasからParaloidTM又はZeonからF-351TMで入手可能である「MBSポリマー」である。
【0090】
既に乾燥ポリマーラテックスの形態であるコア/シェルポリマー粒子がとりわけ好ましい。例は、ポリシロキサンコアと、アクリレートシェルとを有するWacker製のGENIOPERL M23A、Eliokemによって製造されるNEPシリーズの放射線架橋ゴム粒子、又はLanxess製のNanoprene、又はRohm and Haas製のParaloid EXILである。
【0091】
コア/シェルポリマーの他の同等の例は、Nanoresins AG,Germanyによって名称AlbidurTMで販売されている。
【0092】
固体強靱化剤は、第4の実施形態では、カルボキシル化固体ニトリルゴムと、過剰のエポキシ樹脂との固体反応生成物である。
【0093】
液体強靱化剤は、好ましくは、ポリウレタンポリマーをベースとする液体ゴム又は液体強靱化剤である。
【0094】
第1の実施形態では、液体ゴムは、カルボキシル基、若しくは(メタ)アクリレート基、若しくはエポキシ基末端のアクリロニトリル/ブタジエンコポリマーであるか、又はその誘導体である。
【0095】
そのような液体ゴムは、例えば、Nanoresins AG,Germany又はEmerald Performance Materials LLCから名称HyproTM(以前はHycar(登録商標))CTBN及びCTBNX及びETBNで商業的に入手可能である。好適な誘導体は、特に、Struktol Company(Schill&Seilacher Group,Germany)により、好ましくはPolydis(登録商標)36xx製品ラインからのPolydis(登録商標)製品ラインとして、又はAlbipox製品ライン(Nanoresins,Germany)として商業的に市場に出ているものなど、エポキシ基を有するエラストマー変性ポリマーである。
【0096】
第2の実施形態では、この液体ゴムは、液体エポキシ樹脂と完全に混和性であり、エポキシ樹脂マトリックスの硬化中に微液滴へと分離するにすぎないポリアクリレート液体ゴムである。そのようなポリアクリレート液体ゴムは、例えば、Rohm and Haasから名称20208-XPAで入手可能である。
【0097】
第3の実施形態では、この液体ゴムは、カルボキシル基又はエポキシ基末端のポリエーテルアミドである。そのようなポリアミドは、特に、例えば独国特許第2123033号明細書の実施例13と併せて実施例15に記載されているように、Huntsman又はHexionによって名称Jeffamine(登録商標)で市場に出されているものなどのアミノ末端ポリエチレンエーテル又はポリプロピレンエーテルと、ジカルボン酸無水物との反応、引き続くエポキシ樹脂との反応から合成される。ヒドロキシ安息香酸又はヒドロキシ安息香酸エステルをジカルボン酸無水物の代わりに使用することができる。
【0098】
当然のことながら、液体ゴムの混合物、特にカルボキシル末端若しくはエポキシ末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー又はそれらの誘導体の混合物が使用できることは、当業者に明らかである。
【0099】
強靱化剤は、好ましくは、非ブロックト若しくはブロックトポリウレタンポリマー、液体ゴム、エポキシ樹脂変性液体ゴム及びコア/シェルポリマーからなる群から選択される。
【0100】
好ましい実施形態では、熱硬化性接着剤は、ポリウレタン系強靱化剤を含むエポキシ系接着剤である。
【0101】
本発明の根底にある研究中、熱硬化性接着剤中のポリ塩化ビニルの存在は、引張剪断接着強度及び破面の外観の観点からあまり良くない特性を提供することが観察された。したがって、ポリ塩化ビニルを添加物として含有する接着剤(例えば、Henkel製のTerokal 8026など)は、本発明に使用することができるが、熱硬化性接着剤は、実質的な量のポリ塩化ビニルを含有せず、すなわち、熱硬化性接着剤は、約10重量%以下のポリ塩化ビニル構成要素、好ましくは約5重量%以下のポリ塩化ビニル構成要素、さらにより好ましくは約1重量%以下のポリ塩化ビニル構成要素を含有することが好ましい。最も好ましくは、本発明アセンブリ及び方法における熱硬化性接着剤は、ポリ塩化ビニル構成要素を欠いている。
【0102】
本発明に特に有利に使用することができる熱硬化性接着剤には、他方では、Sika製のSikaPower 490/B3などのエポキシ-ポリウレタン系接着剤又はDow製のBetamate 1480などのエポキシ系接着剤が含まれる。
【0103】
熱硬化性接着剤は、有利には、少なくとも1つの充填材も含み得る。好ましくは、それは、雲母、滑石、カオリン、ウォラストナイト、長石、閃長岩、緑泥石、ベントナイト、モンモリロナイト、炭酸カルシウム(沈澱又は粉砕)、ドロマイト、石英、ケイ酸(火成又は沈澱)、クリストバライト、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、中空セラミック球、中空ガラス球、中空有機球、ガラス球、色顔料である。充填材は、当業者に公知である有機被覆及びまた非被覆の商業的に入手可能な形態の両方を意味する。別の例としては、例えば、米国特許第6,322,890号明細書に記載されており、かつその内容が参照により本明細書に包含されるものなどの官能化アルモキサンが挙げられる。
【0104】
有利には、充填材の割合は、全熱硬化性接着剤の重量を基準として合計1~60重量%、好ましくは5~50重量%、特に10~35重量%になる。
【0105】
追加の成分として、熱硬化性接着剤は、例えば、ヒュームドシリカ又はナノクレイなどのチクソトロピーゲル化剤(thixotropic set-up agent)、強度調整剤、反応性希釈剤及び当業者に公知の他の成分も含み得る。
【0106】
典型的には、本発明方法の上述の第1及び第2の代替形態による熱硬化性接着剤は、組成物の発泡をもたらす化学発泡剤又はいかなる他の試剤も全く含まない。
【0107】
他方では、本発明方法の第3及び第4の代替形態の硬化性接着剤は、好ましくは、10重量%以下、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.1~3重量%の範囲の量で化学又は物理発泡剤を含む。好ましい発泡剤は、加熱すると、より具体的には100~200℃の温度に加熱するとガスを放出する化学発泡剤である。これらは、例えば、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド又はテトラゾール類などの発熱性発泡剤であり得る。分解時にエネルギーを放出するアゾジカルボンアミド及びオキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)が好ましい。例えば、重炭酸ナトリウム/クエン酸混合物などの吸熱性発泡剤も好適である。この種の化学発泡剤は、例えば、Chemturaから名称CelogenTMで入手可能である。Akzo Nobelによって商品名ExpancelTMで販売されるこの種の物理発泡剤も同じく好適である。
【0108】
特に好適な発泡剤は、Akzo Nobelから商品名ExpancelTM又はChemturaからCelogenTMで入手可能なこの種のものである。
【0109】
本発明方法の上述の第2の代替形態では、接着剤は、好ましくは、処理を容易にするために及び2つの基材が組み立てられるときに正確な適用を確保するために、40~60℃の温度で約100~1500Pasの低~中程度の粘度を有する。室温及び10~30℃の温度範囲において、粘度は、好ましくは、中程度~高であり、500~5000Pasの範囲である。これは、正確な密封を得るため、及びそれが注入された空洞から注入接着剤が浸出しないことを確実にするためである。
【0110】
本発明方法の上述の第4の代替形態では、接着剤は、好ましくは、1000μm間隙、測定プレート径:25mm(プレート/プレート)、変形0.01~5Hzの、加熱できるプレートを有するレオメーターを用いてオシログラフにより測定されるときに、8000~16000Pasの範囲である30℃での粘度を有する。
【0111】
本出願に関連して、できるだけ短い時間で及び接着剤を十分に硬化させるできるだけ低い温度に接着剤を加熱し、硬化させる手段によって熱が加えられることが好ましい。時間に関して、重大な制約はないが、熱は、好ましくは、10分以下、より好ましくは5分以下、最も好ましくは1分以下の時間にわたって加えられることが好ましい。
【0112】
本発明方法中に接着剤が加熱される温度は、接着剤の硬化メカニズムに依存する。しかしながら、100~250℃、好ましくは160~180℃の温度が本発明方法に関連して好ましいものとして示され得る。
【0113】
上に示されたアセンブリに関して、基材1は、異形材であり、及び基材2は、異形材中の空洞の少なくとも50容積%、より好ましくは少なくとも60容積%、最も好ましくは空洞の少なくとも70容積%を満たす押出又は成形キャリアであることが好ましい。他方では、接着剤ビードもいくらかの空間を必要とするであろうことから、押出又は成形キャリアが異形材を全体として満たすことは必要ではない。そのため、本出願に関連して、押出又は成形キャリアは、異形材中の空洞の95容積%以下、より好ましくは90容積%以下、さらにより好ましくは異形材中の空洞の80容積%以下を満たすことが好ましい。
【0114】
上記のアセンブリ内において、それは、基材1の反対側にある基材2の側面上における基材3と、基材2及び基材3間に配置されている熱硬化性接着剤とを含み、ここで、基材2及び基材3間に配置されている熱硬化性接着剤は、熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%未満の部分においてのみ硬化されることがさらに好ましい。基材1、2及び3の性質並びに熱硬化性接着剤ビードの組成に関して、本発明方法に関連して上に提供された情報が適用され、逆も同様である。
【0115】
例えば、両方ともU字型を有するため、内容積が基材1及び3の両方によって画定される場合、上の容積百分率は、この容積に適用され、逆も同様である。
【0116】
上で説明されたように、本発明方法及びアセンブリは、本出願のさらなる態様が、車両の製造において、第1~第4の代替形態で上に記載されたように、方法の使用に向けられるように車両製造において特に有用である。この使用に関して、熱硬化性接着剤と、基材1と、基材2とのアセンブリは、アセンブリをe-コート流体に浸すことと、接着剤が完全に硬化されるe-コートオーブンにアセンブリを挿入することとを含む電着工程にかけられることが特に好ましい。上記において、「接着剤と、基材1と、基材2とのアセンブリ」に言及される場合、このアセンブリは、上記の方法の(iii)において示されたように接着剤を硬化させるために、熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%未満の部分においてのみ、熱硬化性接着剤に熱が加えられる、アセンブリである。
【0117】
上記の方法、アセンブリ及び使用は、プラスチック部品の挿入及び接着剤の適用が、消費者の組み立てプロセスにおいて早期に、すなわち金属部品がe-コートプロセスにかけられる前に多段階で実現できるという利点を提供する。本発明は、したがって、ロボットによる部品の取り扱いさえも可能であるように、生産ラインにおいてプラスチック部品の変位なしに部品を移動させることができるほど十分に頑丈である有効な予備固定を提供する。全体部分ではなくその小部分のみが赤外線、マイクロ波又は誘導などの定時熱源で加熱されなければならないため、予備固定のために必要とされるエネルギーが低い。したがって、予備固定のエネルギー必要量は、最小限にされ、それは、接着剤の最終完全硬化のために下流のe-コートプロセス中に提供されるエネルギーを利用することを可能にする。そのため、本発明方法は、ホワイトボディ用途、すなわち塗装前及び可動部品(ドア、フード及びトランクの蓋並びに泥よけ)、モーター、シャーシサブアセンブリ又はトリム(ガラス、シート、内張り、エレクトロニクスなど)が枠組み構造に組み立てられる前の用途向けに特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1A】U字形基材1と、長方形基材2(灰色)と、2つの基材間に配置された2つの熱硬化性接着剤ビーズとからなる本出願によるアセンブリを示す。この図のアイテムBは、硬化形態の接着剤付きの同じアセンブリを示す。
図2A】U字形基材1と、長方形基材2(灰色)と、平面基材3とを有する本出願の第2の実施形態を示し、ここで、接着剤ビーズは、基材2及びU字形基材1間並びに基材2及び線状基材3間の配置されている。アイテムBでは、それぞれの接着剤は、硬化されている。
図3】その2つの小部分(矢印)でのみ加熱硬化にかけられる2つの基材間の伸びた接着剤ビード(淡灰色)を示す。熱は、図3のアイテムBで暗灰色として示される部分においてのみ接着剤を硬化させる。
【発明を実施するための形態】
【0119】
下記において、本出願は、実施例によって説明されるが、それは、例示目的のみを意図される。そのため、本出願は、後に例証される実施形態に限定されない。
【実施例
【0120】
実施例1:
本発明のコンセプトを試験するために、異なる接着剤を異なるパラメータでの誘導によってアルミニウム上で予備硬化させた。得られた生成物を引張剪断接着強度及び反応性の比較にかけた。加えて、予備硬化及びその後の完全硬化が接着接合の安定性に影響を及ぼすかどうかを研究した。
【0121】
次の材料を接着剤として使用した。
a)SikaPower-490B3,Ch:0011082913/1445(Sika Italy,Cerano)
b)Betamate 1480(Dow)
c)Terokal 8026(Henkel)
【0122】
さらなる試験パラメータは、次の通りであった。
基材:AA6016 TiZr
洗浄:なし、供給されたまま
適用:RT
接着剤フィルムの寸法:25×10×0.3mm
横行速度:10mm/分
誘導開始温度:50℃
予備硬化:誘導装置EW2
【0123】
誘導試験の具体的なパラメータを次表に提供する。
【0124】
【表1】
【0125】
それぞれの温度は、各試料の底部側で測定した。
【0126】
初期硬化後、それぞれの試料は、表2に示されるような引張剪断接着強度値を提供した。
【0127】
【表2】
【0128】
表2の結果は、170℃の温度が試験した接着剤で十分な取り扱い強さ(2MPa超)をもたらして、アルミニウム上でプロセスセキュア誘導予備硬化を提供することを示す。より高い予備硬化温度(180℃以上)及び少なくとも60秒の保持時間で全ての接着剤がさらにより高い強度を提供する。Terokal 8026とは対照的に、Sika-Power-490B3及びBetamate 1480は、両方とも破面のより良好な外観を示す。
【0129】
初期硬化に基づき、試料を、自動車車体プロセスの塗装オーブンでの典型的な条件である175℃で25分間硬化させた。完全硬化後に得られた引張剪断接着強度値を次表3に示す。
【0130】
【表3】
【0131】
結果は、180℃以上での予備硬化について、誘導により予備硬化させた試料と、予備硬化にかけなかった試料との間に相違を認めることができなかったことを示す。
本発明の態様として、以下の態様を挙げることができる:
《態様1》
基材1と、基材2と、前記基材1及び2間に配置されている熱硬化性接着剤とを含むアセンブリであって、前記熱硬化性接着剤は、前記熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%未満の部分においてのみ硬化される、アセンブリ。
《態様2》
前記基材1は、異形材であり、及び前記基材2は、前記異形材中の空洞の少なくとも50容積%を好ましくは満たす押出キャリア又は成形キャリアである、態様1に記載のアセンブリ。
《態様3》
前記基材1の反対側にある前記基材2の側面上の基材3と、前記基材2及び前記基材3間に配置されている熱硬化性接着剤とをさらに含み、前記基材2及び前記基材3間に配置されている熱硬化性接着剤ビードは、前記熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%未満の部分においてのみ硬化される、態様1又は2に記載のアセンブリ。
《態様4》
以下を含む、態様1~3のいずれか一項に記載のアセンブリを製造する方法:
(i)少なくとも1つの熱硬化性接着剤ビードを基材1上に置く工程、
(ii)さらなる基材2を、前記基材1及び2が前記ビードの反対側にあるように前記熱硬化性接着剤ビード上に置く工程、及び
(iii)前記熱硬化性接着剤の前記ビードによって覆われた表面全体の50%未満の部分においてのみ、前記熱硬化性接着剤に熱を加える工程。
《態様5》
以下を含む、態様1~3のいずれか一項に記載のアセンブリを製造する方法:
(i)基材1を基材2上に、前記基材1及び2間に空洞があるように置く工程、
(ii)流動性の熱硬化性接着剤を前記基材1及び2間の前記空洞中に注入する工程、及び
(iii)前記流動性接着剤によって覆われた表面全体の50%の部分においてのみ、前記流動性の熱硬化性接着剤に熱を加えて、前記接着剤を硬化させる工程。
《態様6》
以下を含む、態様1~3のいずれか一項に記載のアセンブリを製造する方法:
(i)基材1を基材2上に置く工程であって、前記基材2は、前記基材の少なくとも1つの側面上に熱硬化性接着剤の層を有し、前記基材2は、前記基材1と前記基材2上の前記硬化性接着剤との間の直接接触があるように前記基材1上に置かれる、工程、及び
(ii)前記熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%の部分においてのみ、前記硬化性接着剤に熱を加えて、前記接着剤を硬化させる工程。
《態様7》
以下を含む、態様1に記載のアセンブリを製造する方法:
(iv)膨張性の熱硬化性接着剤を基材2上に置く工程であって、前記膨張性の硬化性接着剤は、25℃で自己接着性である、工程、
(v)基材1を、前記基材1が前記膨張性の熱硬化性接着剤基材と接触するか、又は膨張時に前記熱硬化性接着剤で満たされる間隙が前記膨張性の熱硬化性接着剤と前記基材2との間にあるように、前記基材2上の前記膨張性の熱硬化性接着剤の上に置く工程、及び
(vi)前記熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の50%の部分においてのみ、前記膨張性の熱硬化性接着剤に熱を加えて、前記接着剤を硬化させる工程。
《態様8》
熱は、それぞれ前記ビード、前記流動性接着剤又は前記熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満の部分においてのみ、前記熱硬化性接着剤に加えられる、態様4~7のいずれか一項に記載の方法。
《態様9》
熱は、それぞれ前記ビード、前記流動性接着剤又は前記熱硬化性接着剤によって覆われた表面全体の2つ以上の独立した領域に加えられる、態様4~8のいずれか一項に記載の方法。
《態様10》
前記熱は、誘導、赤外線又はマイクロ波によって加えられる、態様4~9のいずれか一項に記載の方法。
《態様11》
(iv)少なくとも1つの熱硬化性接着剤ビードを、前記基材1に面する側面の反対側にある基材2の側面上に置く工程と、
(v)さらなる基材3を、前記基材2及び3が前記ビードの反対側にあるように、工程(iv)において置かれた前記熱硬化性接着剤ビード上に置く工程と
をさらに含み、
工程(iii)における前記熱は、前記接着剤を硬化させるために、前記それぞれのビードの表面全体の50%未満の部分においてのみ、前記熱硬化性接着剤ビードのそれぞれに加えられる、態様4又はその従属態様に記載の方法。
《態様12》
前記基材1は、金属基材、好ましくはアルミニウム又は鋼基材である、態様4~11のいずれか一項に記載の方法。
《態様13》
前記基材1は、異形材の形状を有する、態様4~12のいずれか一項に記載の方法。
《態様14》
前記基材2は、押出キャリア又は成形キャリア、好ましくは押出プラスチックキャリア又は成形プラスチックキャリアである、態様4~6又は8~14のいずれか一項に記載の方法。
《態様15》
前記熱硬化性接着剤は、エポキシ又はポリウレタン系接着剤である、態様4~14のいずれか一項に記載の方法。
《態様16》
車両の製造における、態様4~15のいずれか一項に記載の方法の使用。
《態様17》
熱硬化性接着剤と、基材1と、基材2との前記アセンブリは、前記アセンブリをe-コート流体に浸すことと、前記アセンブリをe-コートオーブンに挿入することとを含む電着工程にかけられ、前記接着剤は、前記オーブン内で完全に硬化される、態様16に記載の使用。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3