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特許7074776感光性転写材料及びその製造方法、樹脂パターンの製造方法、並びに、回路配線の製造方法
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  • 特許-感光性転写材料及びその製造方法、樹脂パターンの製造方法、並びに、回路配線の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】感光性転写材料及びその製造方法、樹脂パターンの製造方法、並びに、回路配線の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20220517BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220517BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20220517BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20220517BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220517BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220517BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20220517BHJP
   H05K 3/00 20060101ALN20220517BHJP
【FI】
G03F7/11
G03F7/004 512
G03F7/039 601
B32B3/30
B32B7/023
B32B27/00 M
B32B27/20 Z
H05K3/00 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019567948
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2018048463
(87)【国際公開番号】W WO2019146380
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2018009701
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 進二
(72)【発明者】
【氏名】漢那 慎一
(72)【発明者】
【氏名】両角 一真
(72)【発明者】
【氏名】篠田 克己
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-211555(JP,A)
【文献】特開2003-186185(JP,A)
【文献】特開2010-126633(JP,A)
【文献】特開2006-243272(JP,A)
【文献】特開2003-215794(JP,A)
【文献】特開2002-341525(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132401(WO,A1)
【文献】特開2004-086089(JP,A)
【文献】特表2011-522284(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0255100(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00-7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーフィルム上に、感光層と、中間層と、粘着性層と、仮支持体と、をこの順に有し、
前記中間層が粒子を含み、
前記粒子の平均粒子径が10nm~200nmであり、
前記中間層と前記粘着性層とが接触しており、
前記中間層と前記粘着性層とが剥離可能であり、
前記中間層と前記粘着性層とを剥離した後の前記中間層の表面が前記粒子により形成された凹凸を有する
感光性転写材料。
【請求項2】
前記粒子が、シリカ粒子、アルミナ粒子、及び、有機ポリマー粒子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粒子を含む、請求項1に記載の感光性転写材料。
【請求項3】
前記中間層の全質量に対する前記粒子の含有量が、1質量%~80質量%である、請求項1又は請求項2に記載の感光性転写材料。
【請求項4】
前記感光層が、酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマー、及び、光酸発生剤を含有する、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
【請求項5】
前記感光層が、酸基を有するバインダーポリマー、重合性化合物、及び、光重合開始剤を含有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
【請求項6】
前記中間層が、中間層用バインダーポリマーとして、変性セルロース樹脂、ポリビニルアルコール、及び、ポリビニルピロリドンよりなる群から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
【請求項7】
カバーフィルム上に、感光層形成用組成物を付与して感光層を形成する工程と、
前記感光層上に、少なくとも粒子を含む中間層形成用組成物を付与して中間層を形成する工程と、
粘着性層を有する仮支持体を、前記粘着性層が前記中間層に接するように貼り合わせる工程と、を含み、
前記粒子の平均粒子径が10nm~200nmである、
感光性転写材料の製造方法。
【請求項8】
請求項1~請求項のいずれか1項に記載の感光性転写材料における前記カバーフィルムを剥離する工程と、
前記カバーフィルムが剥離された、前記感光性転写材料における前記感光層側の最外層を、導電性層を有する支持体に接触させて貼り合わせる工程と、
前記仮支持体及び前記粘着性層と、前記中間層と、を剥離する工程と、
前記中間層に露光マスクを接触させ、前記露光マスクを介して前記感光層をパターン露光する工程と、
前記感光層を現像して樹脂パターンを形成する工程と、をこの順で含む
樹脂パターンの製造方法。
【請求項9】
請求項1~請求項のいずれか1項に記載の感光性転写材料における前記カバーフィルムを剥離する工程と、
前記カバーフィルムが剥離された、前記感光性転写材料における前記感光層側の最外層を、導電性層を有する支持体に接触させて貼り合わせる工程と、
前記仮支持体及び前記粘着性層と、前記中間層と、を剥離する工程と、
前記中間層に露光マスクを接触させ、前記露光マスクを介して前記感光層をパターン露光する工程と、
前記感光層を現像して樹脂パターンを形成する工程と、
形成された前記樹脂パターンをマスクとして前記導電性層をエッチング処理する工程と、をこの順で含む
回路配線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、感光性転写材料及びその製造方法、樹脂パターンの製造方法、並びに、回路配線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量型入力装置などのタッチパネルを備えた表示装置(有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置など)では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分及び取り出し配線部分の配線などの導電性層パターンがタッチパネル内部に設けられている。
一般的にパターン化した層の形成には、必要とするパターン形状を得るための工程数が少ないといったことから、感光性転写材料を用いて任意の基板上に設けた感光性樹脂組成物の層(「感光層」ともいう。)に対して、所望のパターンを有するマスクを介して露光した後に現像する方法が広く使用されている。
【0003】
このような感光性転写材料の製造方法として、例えば、特開2008-076952号公報には、支持体上に、感光性樹脂層、中間層およびカバーフィルムをこの順に有する感光性樹脂転写材料の製造方法であって、支持体上に、着色剤、結合剤および感光性樹脂を含む感光性樹脂層形成用塗布液を塗布する感光性樹脂層塗布工程と、カバーフィルム上に熱可塑性樹脂を含む中間層形成用塗布液を塗布する中間層塗布工程と、上記支持体の感光性樹脂層形成用塗布液が塗布された面と、上記カバーフィルムの中間層形成用塗布液が塗布された面とを貼り合わせて感光性樹脂転写材料を得る貼り合わせ工程とを含み、上記中間層塗布工程と貼り合わせ工程との間に、上記中間層形成用塗布液が塗布されたカバーフィルムを加熱する加熱工程を更に含む、感光性樹脂転写材料の製造方法が記載されている。
特開2004-086089号公報には、少なくとも1層の感光性接着層と感光性蛍光体層を支持体とカバーフィルムとの間に有し、かつ上記感光性蛍光体層と上記支持体との間に熱可塑性樹脂からなるクッション層を設けた構成であって、上記感光性蛍光体層に含まれる水溶性感光性樹脂が、感光性成分付加基としてローダニン骨格からなるアジド化合物を0.5~3.0モル%含有する重合度300~1100の変性ポリビニルアルコールであり、上記感光性接着層に含まれる水溶性感光性樹脂が、感光性成分付加基としてローダニン骨格からなるアジド化合物を1.5~5.0モル%含有する重合度1100~3000の変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする蛍光体転写フィルムが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
感光性転写材料を用いて基板上に感光層を形成する際において、感光性転写材料を基板に貼り付けることにより、基板と、感光層と、仮支持体とをこの順に少なくとも有する積層体が形成される。このような積層体を露光した後に、上記感光層を現像することにより樹脂パターンが形成される。
ここで、得られる樹脂パターンの解像度の向上、仮支持体中の異物による影響の排除等を目的として、上記露光において、上記仮支持体を剥離した後に、積層体の仮支持体が剥離された側の面に、パターンを有するマスクを接触させて露光(「コンタクト露光」ともいう。)を行うことが検討されている。
上記のような、マスクを仮支持体の剥離後の積層体に接触させて露光を行う場合には、マスクが積層体の表面に張り付いてしまい、一度接触させたマスクが移動しにくくなり、マスクの位置合わせが困難となる場合があった。
本開示において、上述の一度接触させたマスクが移動しにくくなる、という状態を「対マスク滑り性が低い(劣る)」ともいい、一度接触させたマスクの再度の移動が容易であることを、「対マスク滑り性が高い(優れる)」ともいう。
【0005】
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、コンタクト露光時の対マスク滑り性に優れる感光性転写材料及びその製造方法を提供することである。
また、本開示の他の一実施形態が解決しようとする課題は、上記感光性転写材料を用いた樹脂パターンの製造方法、及び、回路配線の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> カバーフィルム上に、感光層と、中間層と、粘着性層と、仮支持体と、をこの順に有し、上記中間層が粒子を含み、上記中間層と上記粘着性層とが接触しており、上記中間層と上記粘着性層とが剥離可能であり、上記中間層と上記粘着性層とを剥離した後の上記中間層の表面が上記粒子により形成された凹凸を有する感光性転写材料。
<2> 上記粒子が、シリカ粒子、アルミナ粒子、及び、有機ポリマー粒子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粒子を含む、上記<1>に記載の感光性転写材料。
<3> 上記粒子の平均粒子径が10nm~200nmである、上記<1>又は<2>に記載の感光性転写材料。
<4> 上記中間層の全質量に対する上記粒子の含有量が、1質量%~80質量%である、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<5> 上記感光層が、酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマー、及び、光酸発生剤を含有する、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<6> 上記感光層が、酸基を有するバインダーポリマー、重合性化合物、及び、光重合開始剤を含有する上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<7> 上記中間層が、中間層用バインダーポリマーとして、変性セルロース樹脂、ポリビニルアルコール、及び、ポリビニルピロリドンよりなる群から選ばれた少なくとも1種を含む、上記<1>~<6>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<8> カバーフィルム上に、感光層形成用組成物を付与して感光層を形成する工程と、上記感光層上に、少なくとも粒子を含む中間層形成用組成物を付与して中間層を形成する工程と、粘着性層を有する仮支持体を、上記粘着性層が上記中間層に接するように貼り合わせる工程と、を含む感光性転写材料の製造方法。
<9> 上記<1>~<7>のいずれか1つに記載の感光性転写材料における上記カバーフィルムを剥離する工程と、上記カバーフィルムが剥離された、上記感光性転写材料における上記感光層側の最外層を、導電性層を有する支持体に接触させて貼り合わせる工程と、上記仮支持体及び上記粘着性層と、上記中間層と、を剥離する工程と、上記中間層に露光マスクを接触させ、上記露光マスクを介して上記感光層をパターン露光する工程と、上記感光層を現像して樹脂パターンを形成する工程と、をこの順で含む樹脂パターンの製造方法。
<10> 上記<1>~<7>のいずれか1つに記載の感光性転写材料における上記カバーフィルムを剥離する工程と、上記カバーフィルムが剥離された、上記感光性転写材料における上記感光層側の最外層を、導電性層を有する支持体に接触させて貼り合わせる工程と、上記仮支持体及び上記粘着性層と、上記中間層と、を剥離する工程と、上記中間層に露光マスクを接触させ、上記露光マスクを介して上記感光層をパターン露光する工程と、上記感光層を現像して樹脂パターンを形成する工程と、形成された上記樹脂パターンをマスクとして上記導電性層をエッチング処理する工程と、をこの順で含む回路配線の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、コンタクト露光時の対マスク滑り性に優れる感光性転写材料及びその製造方法を提供することができる。
また、本開示の他の一実施形態によれば、上記感光性転写材料を用いた樹脂パターンの製造方法、及び、回路配線の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示に係る感光性転写材料の層構成の一例を示す概略図である。
図2図2は、パターンAを示す概略図である。
図3図3は、パターンBを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の内容について説明する。なお、添付の図面を参照しながら説明するが、符号は省略する場合がある。
また、本開示において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本開示において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表す。
更に、本開示において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本開示における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
【0010】
(感光性転写材料)
本開示に係る感光性転写材料は、カバーフィルム上に、感光層と、中間層と、粘着性層と、仮支持体と、をこの順に有し、上記中間層が粒子を含み、上記中間層と上記粘着性層とが接触しており、上記中間層と上記粘着性層とが剥離可能であり、上記中間層と上記粘着性層とを剥離した後の上記中間層の表面が上記粒子により形成された凹凸を有する。
【0011】
本発明者らは、特開2008-076952号公報又は特開2004-086089号公報に記載の転写フィルムを用いてコンタクト露光を行った場合、対マスク滑り性が低く、一度マスクを接触させた後に位置合わせのためにマスク位置を変更することが困難である場合があることを見出した。
【0012】
そこで本発明者らは、鋭意検討した結果、上述の本開示に係る感光性転写材料を用いた場合には、コンタクト露光時の対マスク滑り性に優れることを見出した。
上記効果が得られる詳細な機序は不明であるが、以下のように推測している。
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体の剥離時に粘着性層と中間層との界面で剥離する。そのため、コンタクト露光時にはマスクと中間層とが接触することとなる。
ここで、本開示に係る中間層の表面は、中間層に含まれる粒子により形成された凹凸を有するため、中間層と一度接触した後でもマスクが滑りやすくなり、対マスク滑り性に優れると考えられる。
このような、コンタクト露光時の対マスク滑り性に優れる感光性転写材料を用いることにより、コンタクト露光時のマスクの位置合わせが容易となり、目標とする位置に感光層によるパターンが形成されやすくなると考えられる。
【0013】
以下、本開示に係る感光性転写材料について、詳細に説明する。
【0014】
図1は、本開示に係る感光性転写材料の層構成の一例を概略的に示している。図1に示す感光性転写材料100は、仮支持体10と、粘着性層18と、中間層12と、感光層14と、カバーフィルム16とがこの順に積層されている。
中間層12は粒子を含有し、中間層12の粘着性層18との界面における中間層12の表面には、粒子による凹凸が形成されている(不図示)。
以下、本開示に係る感光性転写材料の構成材料等について説明する。
【0015】
<仮支持体>
仮支持体は、粘着性層、中間層及び感光層を支持する支持体であり、感光層等の転写後、露光前に粘着性層と共に剥離される。
本開示に用いられる仮支持体は、光透過性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
仮支持体としては、ガラス基板、樹脂フィルム、紙等が挙げられ、強度及び可撓性等の観点から、樹脂フィルムが特に好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
【0016】
仮支持体の厚みは、特に限定されず、5μm~200μmの範囲が好ましく、取扱い易さ、汎用性などの点で、10μm~150μmの範囲がより好ましい。
仮支持体の厚みは、支持体としての強度、配線形成用基板との貼り合わせに求められる可撓性などの観点から、材質に応じて選択すればよい。
【0017】
仮支持体の好ましい態様については、例えば、特開2014-85643号公報の段落0017~段落0018に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
【0018】
<粘着性層>
粘着性層は、仮支持体の剥離時に仮支持体と共に剥離される。
仮支持体と粘着性層の界面において剥離され難くするため、仮支持体と粘着性層との剥離力は、0.001N/25mm以上であることが好ましい。
また、粘着性層と感光層の界面において剥離可能とするため、粘着性層と感光層との剥離力は、0.5N/25mm以下であることが好ましい。
上記剥離力は、室温環境(23℃)下で引張速度300mm/minにて180°剥離試験を行うことにより測定される。
【0019】
粘着性層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる
例えば、公知の粘着剤又は接着剤を含む層が挙げられる。
【0020】
〔粘着剤〕
粘着剤の例としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。また、粘着剤の例として、「剥離紙・剥離フィルムおよび粘着テープの特性評価とその制御技術」、情報機構、2004年、第2章に記載のアクリル系粘着剤、紫外線(UV)硬化型粘着剤、シリコーン粘着剤等が挙げられる。なお、アクリル系粘着剤とは、(メタ)アクリルモノマーの重合体(すなわち、(メタ)アクリルポリマー)を含む粘着剤をいう。
粘着剤を含む場合には、更に、粘着付与剤が含まれていてもよい。
【0021】
〔接着剤〕
接着剤としては、例えば、ウレタン樹脂接着剤、ポリエステル接着剤、アクリル樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル樹脂接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、ポリアミド接着剤、シリコーン接着剤等が挙げられる。接着強度が比較的高く、また、熱架橋又は光架橋構造を導入することで接着強度のコントロールが容易である、という観点から、ウレタン樹脂接着剤又はアクリル樹脂接着剤が好ましい。
【0022】
〔粘着性層の形成方法〕
粘着性層の形成方法としては、特に限定されず、粘着性層が形成された仮支持体を、粘着性層と中間層とが接するようにラミネートする方法、粘着性層を単独で中間層に接するようにラミネートする方法、上記粘着剤又は接着剤を含む組成物を中間層上に塗布する方法等が挙げられる。
粘着性層が形成された仮支持体としては、市販のものを使用してもよく、例えば、E-MASK AW303D、E-MASK RP207(共に日東電工(株)製)、パナプロテクトHP25、パナプロテクトMK38S(共にパナック(株)製)、等が挙げられる。
【0023】
〔粘着性層の特性〕
本開示に係る感光性転写材料における粘着性層の厚さとしては、粘着力とハンドリング性の両立の点で、5μm~100μmが好ましい。
粘着性層の厚さは0.01μm以上50μm以下が好ましく、0.1μm以上20μm以下がより好ましく、0.2μm以上10μm以下が最も好ましい。
粘着性層の厚さが0.01μm以上である場合、ラミネート時に粒子が感光層に埋没することが抑制され、マスクコンタクトの際の良好な滑り性が発現されやすい場合がある。また、50μm以下である場合、粘着性層と感光層の剥離性が良好となる場合がある。
【0024】
<中間層>
本開示に係る感光性転写材料における中間層は、粒子を含む。
また、本開示に係る感光性転写材料は、上記中間層と上記粘着性層とが接触しており、上記中間層と上記粘着性層とが剥離可能であり、上記中間層と上記粘着性層とを剥離した後の上記中間層の表面が上記粒子により形成された凹凸を有する。
中間層と粘着性層とが接触しているとは、中間層と粘着性層の少なくとも一部が接触していることを意味し、中間層と粘着性層の全体が接触していてもよく、少なくともコンタクト露光においてマスクと中間層が接触する部分において、中間層と粘着性層とが接触していることが好ましい。
【0025】
〔凹凸〕
中間層と粘着性層とを剥離した後の中間層の表面が粒子により形成された凹凸を有するとは、上記剥離後の中間層の表面に、粒子の形状に由来する凹凸が形成されていることを意味する。
中間層が後述する中間層用バインダーポリマーを含有する場合、上記凹凸は、中間層用バインダーポリマーによる層から粒子が露出することにより形成されていてもよいし、中間層用バインダーポリマーにより粒子の一部又は全部が被覆されることにより形成されていてもよい。
また、本開示において、上記剥離後の中間層の表面が粒子により形成された凹凸を有することは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて上記剥離後の中間層の表面を観察することにより確認可能である。
【0026】
〔粒子〕
中間層に含まれる粒子としては、対マスク滑り性の観点から、金属酸化物粒子、又は、有機ポリマー粒子であることが好ましく、シリカ粒子、アルミナ粒子及び有機ポリマー粒子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粒子を含むことがより好ましい。
シリカ粒子(屈折率:1.4~1.5)、アルミナ粒子(屈折率:1.6~1.65)及び有機ポリマー粒子(屈折率:1.4~1.7)は、その屈折率が、感光層に含まれる樹脂等の有機物(屈折率:1.4~1.6)の屈折率と近いため、光の散乱が抑制されレジストパターンの直線性が良好となることから好ましい。
【0027】
-金属酸化物粒子-
本開示における金属酸化物粒子の金属には、B、Si、Ge、As、Sb、Te等の半金属も含まれるものとする。
金属酸化物粒子としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、W、Zn、B、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Te等の原子を含む酸化物粒子が好ましく、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン複合酸化物、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、インジウム/スズ酸化物、又は、アンチモン/スズ酸化物がより好ましく、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン複合酸化物、又は、酸化ジルコニウムが更に好ましく、シリカ、又は、アルミナが特に好ましい。
【0028】
-有機ポリマー粒子-
有機ポリマー粒子としては例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル酸系モノマーの単独重合体及び共重合体、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートのようなセルロース系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニル系共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールのようなビニル系ポリマー及びビニル化合物の共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドのような縮合系ポリマー、ブタジエン-スチレン共重合体のようなゴム系熱可塑性ポリマー、エポキシ化合物のような光重合性若しくは熱重合性化合物を重合、架橋させたポリマー、メラミン化合物等を挙げることができる。
これらの中でも、有機ポリマー粒子としては、アクリル樹脂粒子が好ましく挙げられ、ポリメチルメタクリレート粒子がより好ましく挙げられる。
【0029】
-表面処理-
本開示において用いられる粒子は、分散安定性付与のために表面を有機材料又は無機材料で処理することもできる。上記粒子は、表面が親水性の粒子であることが好ましい。例えば、表面が疎水性の粒子の表面を親水化処理した粒子を用いる等が挙げられる。
【0030】
-粒子径-
上記粒子の平均粒子径は、対マスク滑り性を向上する観点から、10nm~200nmであることが好ましく、20nm~150nmであることがより好ましく、30nm~100nmであることが更に好ましく、50nm~80nmであることが特に好ましい。
粒子の平均粒子径は、中間層の切片を透過型電子顕微鏡を用いて観察される粒子の直径を20個測定し、算術平均値として求めることができる。
【0031】
上記中間層は、粒子を1種単独で含有してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記中間層の全質量に対する上記粒子の含有量は、対マスク滑り性の観点から、1質量%~80質量%であることが好ましく、2質量%~30質量%であることがより好ましく、5質量%~10質量%であることが更に好ましい。
【0032】
〔中間層用バインダーポリマー〕
本開示において用いられる中間層は、中間層用バインダーポリマーを更に含むことが好ましい。
中間層用バインダーポリマーは、水溶性又はアルカリ可溶性のポリマーであることが好ましい。
なお、本開示において、「水溶性」とは、25℃においてpH7.0の水への溶解度が0.1質量%以上であることを意味し、「アルカリ可溶性」とは、25℃においてpH8.5以上のアルカリ水溶液水への溶解度が0.1質量%以上であることを意味する。
また、上記「水溶性又はアルカリ可溶性であり」とは、水溶性か、アルカリ可溶性のいずれかであっても、水溶性かつアルカリ可溶性であってもよい。
【0033】
中間層用バインダーポリマーとしては、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m-クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p-クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m-/p-混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m-,p-,又はm-/p-混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂、ピロガロールアセトン樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、変性セルロース樹脂、ヒドロキシ基を有するアクリル樹脂(例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体又は共重合体)、デンプン類、グリコーゲン類、キチン類、アガロース類、カラギーナン類、プルラン類、アラビアガム、ソヤガム、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルピロリドン、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
【0034】
これらの中でも、バインダーポリマーとしては、粒子の分散性及びパターン形成性の観点から、変性セルロース樹脂、及び、ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましく、感光層がポジ型感光層の場合、変性セルロース樹脂であることがより好ましい。変性セルロース樹脂であることにより、パターンの変形及び劣化を防止できるためより好ましい。
また、変性セルロース樹脂としては、粒子の分散性及びパターン形成性の観点から、ヒドロキシアルキル化セルロース又はカルボキシアルキルセルロースが好ましい。
ヒドロキシアルキル化セルロースとしては、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリヒドロキシエチル化セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリオキザール化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等が好ましく挙げられる。
カルボキシアルキルセルロースとしては、カルボキシメチルセルロース、および、カルボキシエチルセルロース等が好ましく挙げられる。
中でも、粒子の分散性及びパターン形成性の観点から、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースよりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであることがより好ましい。
また、感光層がネガ型感光層の場合、中間層用バインダーポリマーとしては、粒子の分散性、パターン形成性の観点から、ポリビニルアルコールを含むことが好ましい。ポリビニルアルコールを含むことで、感度が向上し、パターンの品質が向上するため、より好ましい。
更に、感光層がネガ型感光層である場合、感光層と中間層の密着性の観点からは、中間層用バインダーポリマーとして、ポリビニルピロリドンを含むことが好ましい。
【0035】
中間層用バインダーポリマーの重量平均分子量は、粒子の分散性、パターン形成性、露光後の現像液への溶解性及び転写性の観点から、1,000以上であることが好ましく、2,000~100,000であることがより好ましく、10,000~50,000であることが更に好ましい。
【0036】
上記中間層は、中間層用バインダーポリマーを1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよい。
中間層中の中間層用バインダーポリマーの含有量は、中間層と感光層との密着性、パターン形成性、露光後の現像液への溶解性及び転写性の観点から、中間層の全質量に対し、10質量%以上98質量%以下であることが好ましく、20質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上90質量%以下であることが更に好ましく、65質量%以上85質量%以下であることが特に好ましい。
【0037】
〔その他の添加剤〕
本開示における上記中間層は、上記粒子及び上記中間層用バインダーポリマーに加え、必要に応じて公知の添加剤を含むことができる。
その他の添加剤としては、後述する感光層に用いられるその他の添加剤が好適に挙げられる。
【0038】
〔中間層の平均膜厚〕
上記中間層の平均膜厚は、パターン形成性の観点から、0.3μm~10μmが好ましく、0.3μm~5μmがより好ましく、0.3μm~2μmが更に好ましい。
膜厚は触針式表面形状測定器(たとえば米国ブルカー・エイエックスエス社製Dektak)又は、3次元光学プロファイラー(たとえばZygo社製 NewView)を用いて、膜の一部を剥がし取り段差部分を膜厚として測定することができる。
また、上記中間層の平均膜厚は、後述する感光層の平均膜厚より薄いことが好ましい。
【0039】
〔中間層の形成方法〕
中間層の形成方法は、特に制限はないが、各成分、及び、溶剤(好ましくは、水系溶剤)を所定の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解して調製した中間層を形成するための中間層形成用組成物を、後述する感光層上に塗布することにより形成することができる。例えば、各成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、得られた溶液を所定の割合で混合して組成物を調製することもできる。以上の如くして調製した組成物は、孔径5μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
水系溶剤としては、水、アルコール類等の水溶性溶剤が挙げられる。
【0040】
中間層形成用組成物の塗布方法は特に限定されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法で塗布することができる。
なお、感光層上に後述のその他の層を形成した上に、中間層を塗布することもできる。
【0041】
<感光層>
本開示に係る感光性転写材料は、感光層を有する。
また、本開示における感光層は、ポジ型感光層であっても、ネガ型感光層であってもよい。
ポジ型感光層である場合、感光層は、化学増幅ポジ型感光層であることが好ましい。
後述するオニウム塩、オキシムスルホネート化合物等の光酸発生剤は、活性放射線(活性光線)に感応して生成される酸が、酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマー中の保護された酸基の脱保護に対して触媒として作用するので、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られる。
一方、活性放射線に感応する光酸発生剤としてナフトキノンジアジド化合物(「NQD」ともいう。)を用いた場合、逐次型光化学反応によりカルボキシ基を生成するが、その量子収率は必ず1以下であり、化学増幅型には該当しない。
【0042】
上記感光層がポジ型感光層である場合、上記感光層は、パターン形成性の観点から、バインダーポリマー、及び、光酸発生剤を含有することが好ましい。また、上記バインダーポリマーは、パターン形成性の観点から、酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマーを含有することが好ましく、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体を含有することがより好ましい。
また、上記感光層がネガ型感光層である場合、上記感光層は、パターン形成性の観点から、酸基を有するバインダーポリマー、重合性化合物、及び、光重合開始剤を含有することが好ましい。
上記感光層がネガ型感光層である場合、例えば、特開2016-224162号公報に記載の感光性樹脂組成物層をネガ型感光層として用いてもよい。
【0043】
〔酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体を含む重合体成分〕
本開示における感光層がポジ型感光層である場合、上記感光層は酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマーを含むことが好ましい。
上記酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマーは、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位(「構成単位A」ともいう。)を有する重合体(「特定重合体」ともいう。)であることが好ましい。
また、上記ポジ型感光層は、構成単位Aを有する重合体に加え、他の重合体を含んでいてもよい。本開示においては、構成単位Aを有する重合体及び他の重合体をあわせて、「重合体成分」ともいう。
上記特定重合体は、露光により生じる触媒量の酸性物質の作用により、特定重合体中の酸分解性基で保護された酸基が脱保護反応を受け酸基となり、現像液による現像が可能となる。
以下に構成単位Aの好ましい態様について説明する。
【0044】
上記感光層は、更に、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体以外の重合体を含んでいてもよい。
また、上記重合体成分に含まれる全ての重合体がそれぞれ、後述する酸基を有する構成単位を少なくとも有する重合体であることが好ましい。
また、上記感光層は、更に、これら以外の重合体を含んでいてもよい。本開示における上記重合体成分は、特に述べない限り、必要に応じて添加される他の重合体を含めたものを意味するものとする。なお、後述する架橋剤及び分散剤に該当する化合物は、高分子化合物であっても、上記重合体成分に含まないものとする。
【0045】
特定重合体は、付加重合型の樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位を有する重合体であることがより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレンに由来する構成単位、ビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
【0046】
上記感光層は、現像液への溶解性及び転写性の観点から、上記構成単位Aとして下記式A1で表される構成単位A1を有する重合体を含むことが好ましく、上記構成単位Aとして下記式A1で表される構成単位A1を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である特定重合体を含むことが好ましく、上記構成単位Aとして下記式A1で表される構成単位A1、及び、後述する酸基を有する構成単位Bを有し、かつガラス転移温度が90℃以下である特定重合体を含むことが更に好ましい。
上記感光層に含まれる特定重合体は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
【0047】
-構成単位A-
上記重合体成分は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位Aを少なくとも有する重合体を含むことが好ましい。上記重合体成分が構成単位Aを有する重合体を含むことにより、極めて高感度な化学増幅ポジ型の感光層とすることができる。
本開示における「酸分解性基で保護された酸基」は、酸基及び酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。具体的な酸基としては、カルボキシ基、及び、フェノール性水酸基が好ましく挙げられる。また、酸分解性基で保護された酸基としては、酸により比較的分解し易い基(例えば、式A1で表される構成単位A1において-CR3132(OR33)基で保護されたエステル基、テトラヒドロピラニルエステル基、又は、テトラヒドロフラニルエステル基等のアセタール系官能基)、酸により比較的分解し難い基(例えば、tert-ブチルエステル基等の第三級アルキルエステル基、tert-ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基)を用いることができる。
これらの中でも、上記酸分解性基としては、アセタールの形で保護された構造を有する基であることが好ましい。
【0048】
<<構成単位A1>>
上記酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位Aは、感度及び解像度の観点から、下記式A1で表される構成単位A1であることが好ましい。
【0049】
【化1】

【0050】
式A1中、R31及びR32はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR31及びR32のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R33はアルキル基又はアリール基を表し、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R34は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
【0051】
式A1中、R31又はR32がアルキル基の場合、炭素数は1~10のアルキル基が好ましい。R31又はR32がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R31及びR32は、それぞれ、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
式A1中、R33は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。
また、R31~R33におけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式A1中、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式A1中、Xは単結合又はアリーレン基を表し、単結合が好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。
上記式A1で表される構成単位A1は、酸分解性基で保護されたカルボキシ基を有する構成単位である。特定重合体が式A1で表される構成単位A1を含むことで、パターン形成時の感度に優れ、また、解像度より優れる。
【0052】
式A1中、R34は水素原子又はメチル基を表し、特定重合体のガラス転移温度(Tg)をより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
より具体的には、特定重合体に含まれる構成単位A1の全量に対し、式AにおけるR34が水素原子である構成単位は20質量%以上であることが好ましい。
なお、構成単位A1中の、式A1におけるR34が水素原子である構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C-核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
【0053】
式A1で表される構成単位A1の中でも、下記式A2で表される構成単位が、パターン形成時の感度を更に高める観点からより好ましい。
【0054】
【化2】

【0055】
式A2中、R34は水素原子又はメチル基を表し、R35~R41はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。
式A2中、R34は水素原子が好ましい。
式A2中、R35~R41は、水素原子が好ましい。
【0056】
式A1で表される、酸分解性基で保護されたカルボキシ基を有する構成単位A1の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、R34は水素原子又はメチル基を表す。
【0057】
【化3】

【0058】
<<構成単位A3>>
また、上記構成単位Aとしては、パターン形状の変形抑制の観点から、下記式A3で表される構成単位A3が好ましい。
【0059】
【化4】

【0060】
式A3中、RB1及びRB2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともRB1及びRB2のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、RB3はアルキル基又はアリール基を表し、RB1又はRB2と、RB3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、RB4は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又は二価の連結基を表し、RB12は置換基を表し、nは0~4の整数を表す。
【0061】
式A3中、RB1又はRB2がアルキル基の場合、炭素数1~10のアルキル基が好ましい。RB1又はRB2がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。RB1及びRB2は、それぞれ、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
式A3中、RB3は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。
また、RB1~RB3におけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式A3中、RB1又はRB2と、RB3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、RB1又はRB2と、RB3とが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式A3中、Xは単結合又は二価の連結基を表し、単結合又はアルキレン基、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、-O-又はこれらの組み合わせが好ましく、単結合がより好ましい。アルキレン基は、直鎖状でも分岐を有していても環状構造を有していてもよく、置換基を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1~10が好ましく、1~4がより好ましい。Xが-C(=O)O-を含む場合、-C(=O)O-に含まれる炭素原子と、RB4が結合した炭素原子とが直接結合する態様が好ましい。Xが-C(=O)NR-を含む場合、-C(=O)NR-に含まれる炭素原子と、RB4が結合した炭素原子とが直接結合する態様が好ましい。Rはアルキル基又は水素原子を表し、炭素数1~4のアルキル基又は水素原子が好ましく、水素原子がより好ましい。
式A3中、RB1~RB3を含む基(すなわち、-O-CRB1B2(ORB3)基)と、Xとは、互いにパラ位で結合することが好ましい。
式A3中、RB12は置換基を表し、アルキル基又はハロゲン原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。
式A3中、nは0~4の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0062】
式A3中、RB4は水素原子又はメチル基を表し、特定重合体のTgをより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
より具体的には、特定重合体に含まれる構成単位Aの全含有量に対し、式A3におけるRB4が水素原子である構成単位は20質量%以上であることが好ましい。
なお、構成単位A中の、式A3におけるRB4が水素原子である構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C-核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
【0063】
式A3で表される構成単位の中でも、パターン形状の変形抑制の観点から、下記式A4で表される構成単位がより好ましい。
【0064】
【化5】

【0065】
式A4中、RB4は水素原子又はメチル基を表し、RB5~RB11はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、RB12は置換基を表し、nは0~4の整数を表す。
式A4中、RB4は水素原子が好ましい。
式A4中、RB5~RB11は、水素原子が好ましい。
式A4中、RB12は置換基を表し、アルキル基又はハロゲン原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。
式A4中、nは0~4の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0066】
式A4で表される構成単位A4の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、RB4は水素原子又はメチル基を表す。
【0067】
【化6】

【0068】
<<構成単位Aの含有量>>
特定重合体に含まれる構成単位Aは、1種であっても、2種以上であってもよい。
特定重合体における構成単位Aの含有量は、特定重合体の全質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、20質量%~90質量%であることがより好ましく、30質量%~70質量%であることが更に好ましい。
特定重合体における構成単位Aの含有量(含有割合:質量比)は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
また、全ての重合体成分を構成単位(モノマー単位)に分解したうえで、構成単位Aの割合は、重合体成分の全質量に対して、5質量%~80質量%であることが好ましく、10質量%~80質量%であることがより好ましく、30質量%~70質量%であることが特に好ましい。
【0069】
〔構成単位B〕
上記特定重合体は、酸基を有する構成単位Bを含むことが好ましい。
構成単位Bは、保護基、例えば、酸分解性基で保護されていない酸基、すなわち、保護基を有さない酸基を含む構成単位である。特定重合体が構成単位Bを含むことで、パターン形成時の感度が良好となり、パターン露光後の現像工程においてアルカリ性の現像液に溶けやすくなり、現像時間の短縮化を図ることができる。
本明細書における酸基とは、pKaが12以下のプロトン解離性基を意味する。酸基は、通常、酸基を形成しうるモノマーを用いて、酸基を含む構成単位(構成単位B)として、重合体に組み込まれる。感度向上の観点から、酸基のpKaは、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。また、酸基のpKaは、-5以上であることが好ましい。
【0070】
特定重合体が、構成単位Aと、保護基で保護されていない酸基を有する構成単位Bとを共重合成分として含み、ガラス転移温度を90℃以下とすることで、特定重合体を含有するポジ型感光層は、転写性、カバーフィルムからの剥離性を良好なレベルに維持しつつ、パターン形成時の解像度及び感度がより良好となる。
【0071】
上記酸基としては、カルボキシ基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、スルホニルイミド基等が例示される。中でも、カルボン酸基及びフェノール性水酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基が好ましい。
特定重合体への酸基を有する構成単位の導入は、酸基を有するモノマーを共重合させることで行うことができる。
構成単位Bである、酸基を含む構成単位は、スチレンに由来する構成単位若しくはビニル化合物に由来する構成単位に対して酸基が置換した構成単位、又は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位であることがより好ましい。
【0072】
構成単位Bとしては、カルボン酸基を有する構成単位、又は、フェノール性水酸基を有する構成単位が、パターン形成時の感度がより良好となるという観点から好ましい。
構成単位Bを形成しうる酸基を有するモノマーは既述の例に限定されない。
【0073】
特定重合体に含まれる構成単位Bは、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
特定重合体は、特定重合体の全質量に対し、酸基を有する構成単位(構成単位B)を0.1質量%~20質量%含むことが好ましく、0.5質量%~15質量%含むことがより好ましく、1質量%~10質量%含むことが更に好ましい。上記範囲であると、パターン形成性がより良好となる。
特定重合体における構成単位Bの含有量(含有割合:質量比)は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
【0074】
〔その他の構成単位〕
特定重合体は、既述の構成単位A及び構成単位B以外の、他の構成単位(以下、構成単位Cと称することがある。)を、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
構成単位Cを形成するモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、脂肪族環式骨格を有する基、その他の不飽和化合物を挙げることができる。
構成単位Cの種類及び含有量の少なくともいずれかを調整することで、特定重合体の諸特性を調整することができる。特に、構成単位Cを適切に使用することで、特定重合体のTgを90℃以下に容易に調整することができる。
特定重合体は、構成単位Cを1種のみ含んでもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0075】
構成単位Cは、具体的には、スチレン、tert-ブトキシスチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、又は、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートなどを重合して形成される構成単位を挙げることができる。その他、特開2004-264623号公報の段落0021~段落0024に記載の化合物を挙げることができる。
【0076】
また、構成単位Cとしては、芳香環を有する構成単位、又は、脂肪族環式骨格を有する構成単位が、得られる転写材料の電気特性を向上させる観点で好ましい。これら構成単位を形成するモノマーとして、具体的には、スチレン、tert-ブトキシスチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及び、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、構成単位Cとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート由来の構成単位が好ましく挙げられる。
【0077】
また、構成単位Cを形成するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、密着性の観点で好ましい。中でも、炭素数4~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが密着性の観点でより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、及び、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。
【0078】
構成単位Cの含有量は、特定重合体の全質量に対し、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。下限値としては、0質量%でもよいが、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。上記範囲であると、解像度及び密着性がより向上する。
【0079】
特定重合体が、構成単位Cとして、上記構成単位Bにおける酸基のエステルを有する構成単位を含むことも、現像液に対する溶解性、及び、上記感光層の物理物性を最適化する観点から好ましい。
中でも、特定重合体は、構成単位Bとして、カルボン酸基を有する構成単位を含み、更に、カルボン酸エステル基を含む構成単位Cを共重合成分として含むことが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸由来の構成単位Bと、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル又は(メタ)アクリル酸n-ブチル由来の構成単位(c)とを含む重合体がより好ましい。
以下、本開示における特定重合体の好ましい例を挙げるが、本開示は以下の例示に限定されない。なお、下記例示化合物における構成単位の比率、重量平均分子量は、好ましい物性を得るために適宜選択される。
【0080】
【化7】

【0081】
〔重合体のガラス転移温度:Tg〕
本開示における特定重合体のガラス転移温度(Tg)は、90℃以下であることが好ましい。Tgが90℃以下であることで、上記感光層は高い密着性を有し、転写性により優れる。
上記Tgは、60℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。
また、上記Tgの下限値には特に制限はないが、-20℃以上が好ましく、-10℃以上がより好ましい。特定重合体のTgが-20℃以上であることで、良好なパターン形成性が維持され、また、例えば、カバーフィルムを用いる場合、カバーフィルムを剥離する際の剥離性低下が抑制される。
更に、本開示における上記重合体成分全体のガラス転移温度(Tg)は、転写性の観点から、90℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。
【0082】
重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定することができる。
具体的な測定方法は、JIS K 7121(1987年)又はJIS K 6240(2011年)に記載の方法に順じて行った。本開示におけるガラス転移温度は、補外ガラス転移開始温度(以下、Tigと称することがある)を用いている。
ガラス転移温度の測定方法をより具体的に説明する。
ガラス転移温度を求める場合、予想される重合体のTgより約 50℃低い温度にて装置が安定するまで保持した後、加熱速度:20℃/分で、ガラス転移が終了した温度よりも約30℃高い温度まで加熱し,DTA曲線又はDSC曲線を描かせる。
補外ガラス転移開始温度(Tig)、すなわち、本明細書におけるガラス転移温度Tgは、DTA曲線又はDSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度として求める。
【0083】
重合体のTgを、既述の好ましい範囲に調整する方法としては、例えば、目的とする重合体の各構成単位の単独重合体のTgと各構成単位の質量比より、FOX式を指針にして、目的とする特定重合体のTgを制御することが可能である。
FOX式について、第1の構成単位と第2の構成単位とを含む共重合体を一例として以下説明する。
共重合体に含まれる第1の構成単位の単独重合体のTgをTg1、第1の構成単位の共重合体における質量分率をW1とし、第2の構成単位の単独重合体のTgをTg2とし、第2の構成単位の共重合体における質量分率をW2としたときに、第1の構成単位と第2の構成単位とを含む共重合体のTg0(K)は、以下の式にしたがって推定することが可能である。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)
既述のFOX式を用いて、共重合体に含まれる各構成単位の種類と質量分率を調整して、所望のTgを有する共重合体を得ることができる。
また、重合体の重量平均分子量を調整することにより、重合体のTgを調整することも可能である。
【0084】
〔重合体の分子量:Mw〕
特定重合体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、60,000以下であることが好ましい。特定重合体の重量平均分子量が60,000以下であることで、感光層の溶融粘度を低く抑え、基板と貼り合わせる際において低温(例えば130℃以下)での貼り合わせを実現することができる。
また、特定重合体の重量平均分子量は、2,000~60,000であることが好ましく、3,000~50,000であることがより好ましい。
なお、重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定することができ、測定装置としては、様々な市販の装置を用いることができ、装置の内容、及び、測定技術は当業者に公知である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量の測定は、測定装置として、HLC(登録商標)-8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super HZM-M(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ4000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ3000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ2000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)をそれぞれ1本、直列に連結したものを用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いることができる。
また、測定条件としては、試料濃度を0.2質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、示差屈折率(RI)検出器を用いて行うことができる。
検量線は、東ソー(株)製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-40」、「F-20」、「F-4」、「F-1」、「A-5000」、「A-2500」及び「A-1000」の7サンプルのいずれかを用いて作製できる。
【0085】
特定重合体の数平均分子量と重量平均分子量との比(分散度)は、1.0~5.0が好ましく、1.05~3.5がより好ましい。
【0086】
〔特定重合体の製造方法〕
特定重合体の製造方法(合成法)は特に限定されないが、一例を挙げると、式A1で表される構成単位A1を形成するための重合性単量体、酸基を有する構成単位Bを形成するための重合性単量体、更に必要に応じて、その他の構成単位Cを形成するための重合性単量体を含む有機溶剤中、重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
【0087】
本開示における上記感光層は、基板に対して良好な密着性を発現させる観点から、感光層の全固形分に対し、上記重合体成分を50質量%~99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%~98質量%の割合で含むことがより好ましい。
また、上記感光層は、基板に対して良好な密着性を発現させる観点から、感光層の全固形分に対し、上記特定重合体を50質量%~99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%~98質量%の割合で含むことがより好ましい。
【0088】
〔他の重合体〕
上記感光層は、重合体成分として、特定重合体に加え、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲において、構成単位Aを含まない重合体(「他の重合体」と称する場合がある。)を更に含んでいてもよい。上記感光層が他の重合体を含む場合、他の重合体の配合量は、全重合体成分中、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
【0089】
上記感光層は、特定重合体に加え、他の重合体を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
他の重合体として、例えばポリヒドロキシスチレンを用いることができ、市販されている、SMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、及び、SMA 3840F(以上、サートマー社製)、ARUFON UC-3000、ARUFON UC-3510、ARUFON UC-3900、ARUFON UC-3910、ARUFON UC-3920、及び、ARUFON UC-3080(以上、東亞合成(株)製)、並びに、Joncryl 690、Joncryl 678、Joncryl 67、及び、Joncryl 586(以上、BASF社製)等を用いることもできる。
【0090】
〔光酸発生剤〕
本開示における感光層がポジ型感光層である場合、上記感光層は光酸発生剤を含有することが好ましい。
本開示において使用される光酸発生剤としては、紫外線、遠紫外線、X線、及び、荷電粒子線等の放射線(活性光線ともいう。)を照射することにより酸を発生することができる化合物である。
本開示において使用される光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300nm~450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
本開示で使用される光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光酸発生剤が特に好ましい。pKaの下限値は特に定めないが、例えば、-10.0以上であることが好ましい。
【0091】
光酸発生剤としては、イオン性光酸発生剤と、非イオン性光酸発生剤とを挙げることができる。
また、光酸発生剤としては、感度及び解像度の観点から、後述するオニウム塩化合物、及び、後述するオキシムスルホネート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
【0092】
非イオン性光酸発生剤の例として、トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、感度、解像度、及び、密着性の観点から、光酸発生剤がオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。これら光酸発生剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。トリクロロメチル-s-トリアジン類、及び、ジアゾメタン誘導体の具体例としては、特開2011-221494号公報の段落0083~段落0088に記載の化合物が例示できる。
【0093】
オキシムスルホネート化合物、すなわち、オキシムスルホネート構造を有する化合物としては、下記式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物が好ましい。
【0094】
【化8】

【0095】
式(B1)中、R21は、アルキル基又はアリール基を表し、*は他の原子又は他の基との結合部位を表す。
【0096】
式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物は、いずれの基も置換されてもよく、R21におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐構造を有していても、環構造を有していてもよい。許容される置換基は以下に説明する。
21のアルキル基としては、炭素数1~10の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。R21のアルキル基は、炭素数6~11のアリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、シクロアルキル基(7,7-ジメチル-2-オキソノルボルニル基などの有橋式脂環基を含む、好ましくはビシクロアルキル基等)、又は、ハロゲン原子で置換されてもよい。
21のアリール基としては、炭素数6~18のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。R21のアリール基は、炭素数1~4のアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれた1つ以上の基で置換されてもよい。
【0097】
式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物は、特開2014-85643号公報の段落0078~段落0111に記載のオキシムスルホネート化合物であることも好ましい。
【0098】
イオン性光酸発生剤の例として、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、第四級アンモニウム塩類等を挙げることができる。これらのうち、オニウム塩化合物が好ましく、トリアリールスルホニウム塩類及びジアリールヨードニウム塩類が特に好ましい。
【0099】
イオン性光酸発生剤としては特開2014-85643号公報の段落0114~段落0133に記載のイオン性光酸発生剤も好ましく用いることができる。
【0100】
光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記感光層における光酸発生剤の含有量は、感度、解像度の観点から、上記感光層の全質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。
【0101】
〔重合性化合物〕
本開示における感光層がネガ型感光層である場合、上記感光層は重合性化合物を含有することが好ましい。
重合性化合物としては、エチレン性不飽和化合物が好ましい。
エチレン性不飽和化合物は、上記感光層の感光性(すなわち、光硬化性)及び硬化膜の強度に寄与する成分である。
また、エチレン性不飽和化合物は、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
【0102】
上記感光層は、エチレン性不飽和化合物として、2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
ここで、2官能以上のエチレン性不飽和化合物とは、一分子中にエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物を意味する。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0103】
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、より具体的には、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学工業(株)製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業(株)製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N、新中村化学工業(株)製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N、新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、2官能のエチレン性不飽和化合物としては、ビスフェノール構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物も好適に用いられる。
ビスフェノール構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物としては、特開2016-224162号公報の段落0072~段落0080に記載の化合物が挙げられる。
具体的には、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン等が好ましく挙げられる。
【0104】
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物、等が挙げられる。
【0105】
ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
【0106】
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標)DPCA-20、新中村化学工業(株)製A-9300-1CL等)、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業(株)製ATM-35E、A-9300、ダイセル・オルネクス社製 EBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製A-GLY-9E等)等も挙げられる。
【0107】
エチレン性不飽和化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(好ましくは3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物)も挙げられる。
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル(株)製)、UA-32P(新中村化学工業(株)製)、UA-1100H(新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0108】
また、エチレン性不飽和化合物は、現像性向上の観点から、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
酸基としては、例えば、リン酸基、スルホン酸基、及び、カルボキシ基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、酸基を有する3~4官能のエチレン性不飽和化合物(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(PETA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価=80mgKOH/g~120mgKOH/g))、酸基を有する5~6官能のエチレン性不飽和化合物(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(DPHA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価=25mgKOH/g~70mgKOH/g))、等が挙げられる。
これら酸基を有する3官能以上のエチレン性不飽和化合物は、必要に応じ、酸基を有する2官能のエチレン性不飽和化合物と併用してもよい。
【0109】
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。
カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成(株)製)、アロニックスM-520(東亞合成(株)製)、又は、アロニックスM-510(東亞合成(株)製)を好ましく用いることができる。
【0110】
酸基を有するエチレン性不飽和化合物は、特開2004-239942号公報の段落0025~段落0030に記載の酸基を有する重合性化合物であることも好ましい。この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
【0111】
本開示に用いられる重合性化合物の重量平均分子量(Mw)としては、200~3,000が好ましく、250~2,600がより好ましく、280~2,200が更に好ましく、300~2,200が特に好ましい。
また、上記感光層に用いられる重合性化合物のうち、分子量300以下の重合性化合物の含有量の割合は、上記感光層に含有されるすべてのエチレン性不飽和化合物に対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0112】
重合性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記感光層における重合性化合物の含有量は、上記感光層の全質量に対し、1質量%~70質量%が好ましく、10質量%~70質量%がより好ましく、20質量%~60質量%が更に好ましく、20質量%~50質量%が特に好ましい。
【0113】
また、上記感光層が2官能のエチレン性不飽和化合物と3官能以上のエチレン性不飽和化合物とを含有する場合、2官能のエチレン性不飽和化合物の含有量は、上記感光層に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物に対し、10質量%~90質量%が好ましく、20質量%~85質量%がより好ましく、30質量%~80質量%が更に好ましい。
また、この場合、3官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、上記感光層に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物に対し、10質量%~90質量%が好ましく、15質量%~80質量%がより好ましく、20質量%~70質量%が更に好ましい。
また、この場合、2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、2官能のエチレン性不飽和化合物と3官能以上のエチレン性不飽和化合物との総含有量に対し、40質量%以上100質量%未満であることが好ましく、40質量%~90質量%であることがより好ましく、50質量%~80質量%であることが更に好ましく、50質量%~70質量%であることが特に好ましい。
【0114】
また、上記感光層が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含有する場合、上記感光層は、更に単官能エチレン性不飽和化合物を含有してもよい。
更に、上記感光層が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含有する場合、上記感光層に含有されるエチレン性不飽和化合物において、2官能以上のエチレン性不飽和化合物が主成分であることが好ましい。
具体的には、上記感光層が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含有する場合において、2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、上記感光層に含有されるエチレン性不飽和化合物の総含有量に対し、60質量%~100質量%が好ましく、80質量%~100質量%がより好ましく、90質量%~100質量%が特に好ましい。
【0115】
また、上記感光層が、酸基を有するエチレン性不飽和化合物(好ましくは、カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物又はそのカルボン酸無水物)を含有する場合、酸基を有するエチレン性不飽和化合物の含有量は、上記感光層に対し、1質量%~50質量%が好ましく、1質量%~20質量%がより好ましく、1質量%~10質量%が更に好ましい。
【0116】
〔酸基を有するバインダーポリマー〕
本開示における感光層がネガ型感光層である場合、上記感光層は、酸基を有するバインダーポリマーを含有することが好ましい。
酸基を有するバインダーポリマーとしては、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。
酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基等が挙げられる。
中でも、酸基としては、カルボキシ基が好ましく挙げられる。
上記酸基を有するバインダーポリマーは、特に制限はないが、アルカリ現像性の観点から、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であることが特に好ましい。
【0117】
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂(以下、特定重合体Aと称することがある。)としては、上記酸価の条件を満たす限りにおいて特に制限はなく、公知の樹脂から適宜選択して用いることができる。
例えば、特開2011-95716号公報の段落0025に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるアルカリ可溶性樹脂、特開2010-237589号公報の段落0033~段落0052に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、特開2016-224162号公報の段落0053~段落0068に記載のバインダーポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂等が、本開示における特定重合体Aとして好ましく用いることができる。
ここで、(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の少なくとも一方を含む樹脂を指す。
(メタ)アクリル樹脂中における(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計割合は、30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましい。
【0118】
特定重合体Aにおける、カルボキシ基を有するモノマーの共重合比の好ましい範囲は、ポリマー100質量%に対して、5質量%~50質量%であり、より好ましくは10質量%~40質量%、更に好ましくは12質量%~30質量%の範囲内である。
特定重合体Aは、反応性基を有していてもよく、反応性基を特定重合体Aに導入する手段としては、水酸基、カルボキシ基、一級、二級アミノ基、アセトアセチル基、スルホン酸などに、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート、イソシアネ-ト、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、カルボン酸無水物などを反応させる方法が挙げられる。
特定重合体Aとしては、以下に示す化合物Aが好ましい。なお、以下に示す各構成単位の含有比率は目的に応じて適宜変更することができる。
【0119】
【化9】

【0120】
本開示に用いられる酸基を有するバインダーポリマーの酸価は、アルカリ現像性の観点から、60mgKOH/g~200mgKOH/gであることが好ましく、60mgKOH/g~150mgKOH/gであることがより好ましく、60mgKOH/g~110mgKOH/gであることが更に好ましい。
本開示において、酸価は、JIS K0070(1992年)に記載の方法に従って、測定された値を意味する。
【0121】
酸基を有するバインダーポリマーの重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、1万以上がより好ましく、2万~10万が更に好ましい。
【0122】
また、上記酸基を有するバインダーポリマーは、上記特定重合体A以外にも、任意の膜形成樹脂を目的に応じて適宜選択して用いることができる。例えば、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂などを好ましく挙げることができる。
【0123】
酸基を有するバインダーポリマーは、1種単独で使用しても、2種以上を含有してもよい。
上記感光層における酸基を有するバインダーポリマーの含有量は、感光性の観点から、上記感光層の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上70質量%以下であることが更に好ましい。
【0124】
〔光重合開始剤〕
本開示における感光層がネガ型感光層である場合、上記感光層は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、紫外線、可視光線等の活性光線を受けて、重合性化合物(エチレン性不飽和化合物)の重合を開始する。
光重合開始剤としては特に制限はなく、公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤」ともいう。)、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤(以下、「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」ともいう。)、N-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤(以下、「N-フェニルグリシン系光重合開始剤」ともいう。)等が挙げられる。
【0125】
光重合開始剤は、オキシム系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤及びN-フェニルグリシン系光重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、オキシム系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤及びN-フェニルグリシン系光重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0126】
また、光重合開始剤としては、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことも好ましい。なお、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体は、下記式PIで示される化合物であってもよい。
【0127】
【化10】

【0128】
式PI中、X及びXのうち少なくとも1つは塩素原子であることが好ましい。Ar、Ar、Ar及びArが、それぞれ独立に置換基を有する場合、置換基の数は1~5であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。また、Ar、Ar、Ar及びArが、それぞれ独立に置換基を有する場合、その置換位置は特に限定されず、オルト位又はパラ位であることが好ましい。p及びqは、それぞれ独立に、1~5の整数であり、1~3の整数であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
【0129】
式PIで示される化合物としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。なお、2つの2,4,5-トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。
【0130】
また、光重合開始剤としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落0031~0042、特開2015-014783号公報の段落0064~0081に記載された重合開始剤を用いてもよい。
【0131】
光重合開始剤の市販品としては、1-[4-(フェニルチオ)]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-02、BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン(商品名:IRGACURE 379EG、BASF社製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:IRGACURE 907、BASF社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(商品名:IRGACURE 127、BASF社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1(商品名:IRGACURE 369、BASF社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(商品名:IRGACURE 1173、BASF社製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:IRGACURE 184、BASF社製)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:IRGACURE 651、BASF社製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(商品名:Lunar 6、DKSHジャパン(株)製)、2,2′-ビス(2-クロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)(商品名:B-CIM、Hampford社製)などが挙げられる。
【0132】
光重合開始剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記感光層における光重合開始剤の含有量は、特に制限はないが、上記感光層の全質量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましい。
また、光重合開始剤の含有量は、感光層の全質量に対し、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0133】
〔その他の添加剤〕
本開示における感光層は、上記成分以外にも、必要に応じて公知の添加剤を含むことができる。
【0134】
-界面活性剤-
本開示における感光層は、膜厚均一性の観点から界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系(非イオン系)、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(登録商標、DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(登録商標、旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)、及び、SH-8400(東レ・ダウコーニング(株)製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤として、下記式I-1で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
【0135】
【化11】

【0136】
式(I-1)中、R401及びR403はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R402は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R404は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す質量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、sは1以上10以下の整数を表し、*は他の構造との結合部位を表す。
【0137】
Lは、下記式(I-2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(I-2)におけるR405は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100質量%であることが好ましい。
【0138】
【化12】

【0139】
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
【0140】
その他、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009-237362号公報の段落0060~段落0071に記載の界面活性剤も用いることができる。
【0141】
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の添加量は、上記感光層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、0.001質量%~10質量%であることがより好ましく、0.01質量%~3質量%であることが更に好ましい。
【0142】
-重合禁止剤-
本開示に係る感光層がネガ型感光層である場合、上記感光層は、重合禁止剤を少なくとも1種含有してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0018に記載された熱重合防止剤を用いることができる。
中でも、フェノチアジン、フェノキサジン又は4-メトキシフェノールを好適に用いることができる。
【0143】
上記感光層が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、上記感光層の全質量に対して、0.01質量%~3質量%が好ましく、0.01質量%~1質量%がより好ましく、0.01質量%~0.8質量%が更に好ましい。
【0144】
-溶剤-
上記感光層は、溶剤を含んでいてもよい。
また、上記感光層を形成する感光層形成用組成物は、上記感光層を容易に形成するため、一旦溶剤を含有させて感光層形成用組成物の粘度を調節し、溶剤を含む感光層形成用組成物を塗布及び乾燥して、上記感光層を好適に形成することができる。
本開示に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、及び、ラクトン類等が例示できる。また、溶剤の具体例としては特開2011-221494号公報の段落0174~段落0178に記載の溶剤も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0145】
また、既述の溶剤に、更に必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、又は、炭酸プロピレン等の溶剤を添加することもできる。
溶剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を使用してもよい。
本開示に用いることができる溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種を併用することがより好ましい。溶剤を2種以上使用する場合には、例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とジアルキルエーテル類との併用、ジアセテート類とジエチレングリコールジアルキルエーテル類との併用、又は、エステル類とブチレングリコールアルキルエーテルアセテート類との併用が好ましい。
【0146】
また、溶剤としては、沸点130℃以上160℃未満の溶剤、沸点160℃以上の溶剤、又は、これらの混合物であることが好ましい。
沸点130℃以上160℃未満の溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、プロピレングリコールメチル-n-ブチルエーテル(沸点155℃)、及び、プロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル(沸点131℃)が例示できる。
沸点160℃以上の溶剤としては、3-エトキシプロピオン酸エチル(沸点170℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点176℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点213℃)、3-メトキシブチルエーテルアセテート(沸点171℃)、ジエチレングリコールジエチエルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点220℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、及び、1,3-ブチレングリコールジアセテート(沸点232℃)が例示できる。
【0147】
感光層形成用組成物を塗布する際における溶剤の含有量は、感光層形成用組成物中の全固形分100質量部あたり、50質量部~1,900質量部であることが好ましく、100質量部~900質量部であることがより好ましい。
また、上記感光層における溶剤の含有量は、上記感光層の全質量に対し、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
【0148】
-可塑剤-
本開示における感光層は、可塑性を改良する目的で、可塑剤を含有してもよい。
上記可塑剤は、酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマー、又は、酸基を有するバインダーポリマーよりも重量平均分子量が小さいことが好ましい。
可塑剤の重量平均分子量は、可塑性付与の観点から500以上10,000未満が好ましく、700以上5,000未満がより好ましく、800以上4,000未満が更に好ましい。
可塑剤は、特定重合体と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に限定されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は下記構造を有することが好ましい。
【0149】
【化13】

【0150】
上記式中、Rは炭素数2~8のアルキレン基であり、nは1~50の整数を表し、*は他の原子との結合部位を表す。
【0151】
なお、例えば、上記構造のアルキレンオキシ基を有する化合物(「化合物X」とする。)であっても、化合物X、特定重合体及び光酸発生剤を混合して得た化学増幅ポジ型感光層形成用組成物が、化合物Xを含まずに形成した化学増幅ポジ型感光層形成用組成物に比べて可塑性が向上しない場合は、本開示における可塑剤には該当しない。例えば、任意に添加される界面活性剤は、一般に感光層形成用組成物に可塑性をもたらす量で使用されることはないため、本開示における可塑剤には該当しない。
【0152】
上記可塑剤としては、例えば、下記構造を有する化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0153】
【化14】

【0154】
可塑剤の含有量は、密着性の観点から、上記感光層の全質量に対して、1質量%~50質量%であることが好ましく、2質量%~20質量%であることがより好ましい。
上記感光層は、可塑剤を1種のみを含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
【0155】
-増感剤-
本開示における感光層がポジ型感光層である場合、上記感光層は、増感剤を更に含むことができる。
増感剤は、活性光線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、及び、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。
増感剤を含有させることで、露光感度を向上させることができる。
【0156】
増感剤としては、アントラセン誘導体、アクリドン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、及び、ジスチリルベンゼン誘導体よりなる群からえらばれた化合物が好ましく、アントラセン誘導体がより好ましい。
アントラセン誘導体としては、アントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジクロロアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9-ヒドロキシメチルアントラセン、9-ブロモアントラセン、9-クロロアントラセン、9,10-ジブロモアントラセン、2-エチルアントラセン、又は、9,10-ジメトキシアントラセンが好ましい。
【0157】
上記増感剤としては、国際公開第2015/093271号の段落0139~段落0141に記載の化合物を挙げることができる。
【0158】
本開示における感光層は、増感剤を1種単独で含有しても、2種以上を併用してもよい。
増感剤の含有量は、上記感光層の全質量に対して、0質量%~10質量%であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましい。
【0159】
-増感色素-
本開示における感光層がネガ型感光層である場合、上記感光層は、増感色素を更に含むことができる。
【0160】
増感色素としては、例えば、公知の増感色素、染料、又は顔料などが挙げられる。増感色素は、1種単独であってよく、又は2種以上であってもよい。
【0161】
増感色素としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン化合物、トリアジン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物、及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。
【0162】
染料又は顔料としては、例えばフクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS,パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)などが挙げられる。
【0163】
染料としては、発色系染料を用いることができる。発色系染料とは、光照射によって発色する機能を有する化合物である。例えばロイコ染料及びフルオラン染料が挙げられる。これらのうちロイコ染料が好ましい。
【0164】
増感色素の含有量は、目的により適宜選択できるが、光源に対する感度の向上、重合速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上などの観点から、感光層の全質量に対し、0.01質量%~5質量%の範囲が好ましく、0.05質量%~1質量%の範囲がより好ましい。
【0165】
-水素供与体-
本開示における感光層がネガ型感光層である場合、上記感光層は、水素供与体を更に含むことができる。
【0166】
水素供与体としては、露光部の反応時に光重合開始剤に対して水素を与えることができるであれば特に制限なく、例えば、ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]メタン、ビス[4-(ジエチルアミノ)フェニル]メタン、ロイコクリスタルバイオレット等が挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0167】
感光層が水素供与体を含む場合、その含有量は、感光層の全質量に対して、0.01質量%~10質量%であることが好ましく、0.05質量%~5質量%であることがより好ましく、0.1質量%~2質量%であることが更に好ましい。
【0168】
-塩基性化合物-
本開示における感光層がポジ型感光層である場合、上記感光層は、塩基性化合物を更に含むことが好ましい。
塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられる塩基性化合物の中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、及び、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの具体例としては、特開2011-221494号公報の段落0204~段落0207に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0169】
具体的には、脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリ-n-プロピルアミン、ジ-n-ペンチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、及び、ジシクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、及び、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2-フェニルピリジン、4-フェニルピリジン、N-メチル-4-フェニルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4-メチルイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8-オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4-メチルモルホリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、及び、1,8-ジアザビシクロ[5.3.0]-7-ウンデセン、N-シクロヘキシル-N’-[2-(4-モルホリニル)エチル]チオ尿素などが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-n-ブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、テトラ-n-ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ-n-ブチルアンモニウムアセテート、及び、テトラ-n-ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
【0170】
上記塩基性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
塩基性化合物の含有量は、上記感光層の全質量に対して、0.001質量%~5質量%であることが好ましく、0.005質量%~3質量%であることがより好ましい。
【0171】
-ヘテロ環状化合物-
本開示における感光層は、ヘテロ環状化合物を含むことができる。
本開示におけるヘテロ環状化合物には、特に制限はない。例えば、以下に述べる分子内にエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基含有ヘテロ環状化合物、その他、各種環状エーテル、環状エステル(ラクトン)などの含酸素モノマー、環状アミン、オキサゾリンといった含窒素モノマー、更には珪素、硫黄、リンなどのd電子をもつヘテロ環モノマー等を添加することができる。
【0172】
感光層中におけるヘテロ環状化合物の添加量は、ヘテロ環状化合物を添加する場合には、上記感光層の全質量に対し、0.01質量%~50質量%であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましく、1質量%~5質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、密着性及びエッチング耐性の観点で好ましい。ヘテロ環状化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
【0173】
分子内にエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0174】
分子内にエポキシ基を有する化合物は市販品として入手できる。例えば、JER828、JER1007、JER157S70(三菱化学(株)製)、JER157S65((株)三菱ケミカルホールディングス製)など、特開2011-221494号公報の段落0189に記載の市販品などが挙げられる。
その他の市販品として、ADEKA RESIN EP-4000S、同EP-4003S、同EP-4010S、同EP-4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC-2000、NC-3000、NC-7300、XD-1000、EPPN-501、EPPN-502(以上、(株)ADEKA製)、デナコールEX-611、EX-612、EX-614、EX-614B、EX-622、EX-512、EX-521、EX-411、EX-421、EX-313、EX-314、EX-321、EX-211、EX-212、EX-810、EX-811、EX-850、EX-851、EX-821、EX-830、EX-832、EX-841、EX-911、EX-941、EX-920、EX-931、EX-212L、EX-214L、EX-216L、EX-321L、EX-850L、DLC-201、DLC-203、DLC-204、DLC-205、DLC-206、DLC-301、DLC-402、EX-111,EX-121、EX-141、EX-145、EX-146、EX-147、EX-171、EX-192(以上ナガセケムテック製)、YH-300、YH-301、YH-302、YH-315、YH-324、YH-325(以上、新日鐵住金化学(株)製)セロキサイド2021P、2081、2000、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177((株)ダイセル製)などが挙げられる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0175】
分子内にエポキシ基を有する化合物の中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂がより好ましく挙げられ、脂肪族エポキシ樹脂が特に好ましく挙げられる。
【0176】
分子内にオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT-201、OXT-211、OXT-212、OXT-213、OXT-121、OXT-221、OX-SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
【0177】
また、オキセタニル基を含む化合物は、単独で又はエポキシ基を含む化合物と混合して使用することが好ましい。
【0178】
本開示における感光層においては、ヘテロ環状化合物がエポキシ基を有する化合物であることが、エッチング耐性及び線幅安定性の観点から好ましい。
【0179】
-アルコキシシラン化合物-
上記感光層は、アルコキシシラン化合物を含有してもよい。アルコキシシラン化合物としては、トリアルコキシシラン化合物が好ましく挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ-グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ-クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン又はγ-メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが更に好ましく、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0180】
-その他の成分-
本開示における感光層には、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、着色剤、熱ラジカル重合開始剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を更に加えることができる。
その他の成分の好ましい態様については特開2014-85643号公報の段落0165~段落0184にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
【0181】
-感光層の平均膜厚-
上記感光層の平均膜厚は、転写性(ラミネート性)の観点から、1.0μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましく、2.0μm以上が更に好ましい。また、上記感光層の平均膜厚は、製造適性の観点から、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。
【0182】
-感光層の形成方法-
各成分、及び、溶剤を任意の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解して感光層を形成するための感光層形成用組成物を調製することができる。例えば、各成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、得られた溶液を所定の割合で混合して組成物を調製することもできる。以上の如くして調製した組成物は、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
【0183】
感光層形成用組成物をカバーフィルム上に塗布し、乾燥させることで、仮支持体上に感光層を有する本開示に係る感光性転写材料を得ることができる。
塗布方法は特に限定されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法で塗布することができる。
また、カバーフィルム上に後述のその他の層を形成した上に、感光層を形成することもできる。
【0184】
<カバーフィルム>
また、本開示に係る感光性転写材料は、カバーフィルムを有する。
カバーフィルムとしては、樹脂フィルム、紙等が挙げられ、強度及び可撓性等の観点から、樹脂フィルムが特に好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
【0185】
カバーフィルムの厚さは特に限定されず、例えば、1μm~2mmのものが好ましく挙げられる。
【0186】
<その他の層>
本開示に係る感光性転写材料は、上記仮支持体、粘着性層、中間層、感光層及びカバーフィルム以外の層(以下、「その他の層」と称することがある)を有していてもよい。その他の層としては、コントラストエンハンスメント層、剥離層等を挙げることができる。
【0187】
-コントラストエンハンスメント層-
本開示に係る感光性転写材料は、上記感光層に加え、コントラストエンハンスメント層を有することができる。
コントラストエンハンスメント層(Contrast Enhancement Layer;CEL)は、露光前には露光波長に対する吸収が大きいが、露光されるに伴って次第に吸収が小さくなる、すなわち、光の透過率が高くなる材料(光消色性色素成分と称する)を含有する層である。光消色性色素成分としては、ジアゾニウム塩、スチルバゾリウム塩、アリールニトロソ塩類等が知られている。被膜形成成分としては、フェノール系樹脂等が用いられる。
その他、コントラストエンハンスメント層としては、特開平6-97065号公報の段落0004~段落0051、特開平6-332167号公報の段落0012~段落0055、フォトポリマーハンドブック、フォトポリマー懇話会編、工業調査会(1989)、フォトポリマー・テクノロジー、山岡、永松編、(株)日刊工業新聞社(1988)に記載の材料を用いることができる。
【0188】
-剥離層-
カバーフィルムと感光層の剥離性の向上のため、カバーフィルムと感光層の間に剥離層を有していてもよい。
剥離層としては、特に限定されず、転写フィルム等の分野で公知の剥離層を使用することが可能である。
剥離層としては、例えば、熱可塑性樹脂を含む層が挙げられ、特許第4502784号公報の段落0026に記載の熱可塑性樹脂層等が剥離層として好適に用いられる。
剥離層の形成方法は、特に限定されず、特開2014-85643号公報の段落0189~段落0193に記載の熱可塑性樹脂を含む組成物をカバーフィルムに塗布する等の方法により形成すればよい。また、予め剥離層が形成されたカバーフィルムを入手して使用してもよい。
カバーフィルムと感光層の間に剥離層を有する場合、感光層を形成する工程において、感光層は剥離層上に形成されることも好ましい。
【0189】
(感光性転写材料の製造方法)
本開示に係る感光性転写材料の製造方法は、
カバーフィルム上に、感光層形成用組成物を付与して感光層を形成する工程(感光層形成工程)と、
上記感光層上に、少なくとも粒子を含む中間層形成用組成物を付与して中間層を形成する工程(中間層形成工程)と、
粘着性層を有する仮支持体を、上記粘着性層が上記中間層に接するように貼り合わせる工程(仮支持体貼り合わせ工程)と、を含むことが好ましい。
上記感光性転写材料の製造方法における感光層形成用組成物及び中間層形成用組成物としては、感光性転写材料において説明した上述のものが好ましく用いられる。
本開示に係る感光性転写材料の製造方法によれば、粘着性層と中間層とを剥離した後に、中間層の表面に粒子により形成される凹凸を有する感光性転写材料が得られやすい。
また、本開示に係る感光性転写材料の製造方法は、本開示に係る感光性転写材料を得るための方法であることが好ましい。
【0190】
<感光層形成工程>
本開示に係る感光性転写材料の製造方法は、カバーフィルム上に、感光層形成用組成物を付与して感光層を形成する工程を含むことが好ましい。
感光層形成用組成物を付与する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いればよく、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法が挙げられる。
その他、感光層の形成方法としては、上述の通りである。
【0191】
<中間層形成工程>
本開示に係る感光性転写材料の製造方法は、上記感光層上に、少なくとも上記粒子を含む中間層形成用組成物を付与して中間層を形成する工程を含むことが好ましい。
中間層形成用組成物を付与する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いればよく、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法が挙げられる。
その他、中間層の形成方法としては、上述の通りである。
【0192】
<仮支持体貼り合わせ工程>
本開示に係る感光性転写材料の製造方法は、粘着性層を有する仮支持体を、上記粘着性層が上記中間層に接するように貼り合わせる工程を含むことが好ましい。
仮支持体を貼り合わせる工程としては、特に限定されず、公知の方法を用いればよいが、例えば、粘着性層と中間層とが接するように仮支持体をラミネートする方法が挙げられる。
本開示における「ラミネート」とは、中間層と粘着性層との間に気泡が入りにくいよう、中間層に接触するように粘着性層を有する仮支持体を貼り合わせることを指し、気泡の混入の抑制、及び中間層と粘着性層の密着性の向上の点からは、加熱及び加圧の少なくとも一方を使用した貼り合わせであることが好ましい。
【0193】
中間層に接触するように粘着性層を有する仮支持体をラミネートする際に用いられる装置としては、ラミネータ、真空ラミネータ、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネータ等の公知のラミネータを使用することができる。
ラミネータはゴムローラーなどの任意の加熱可能なローラーを備え、加圧及び加熱ができるものであることが好ましい。
【0194】
ラミネートする際の温度は、特に限定されないが、仮支持体の温度を、60℃~150℃としうる温度であることが好ましく、65℃~130℃としうる温度であることがより好ましく、70℃~100℃としうる温度であることが特に好ましい。
【0195】
<その他の工程>
本開示に係る感光性転写材料の製造方法は、更にその他の工程を含んでもよい。
その他の工程としては、上述の感光性転写材料に含まれるその他の層を形成する工程が挙げられる。
上記その他の層の形成方法としては、特に限定されず、公知の方法により形成すればよい。
【0196】
(樹脂パターンの製造方法、及び、回路配線の製造方法)
本開示に係る樹脂パターンの製造方法は、特に制限はないが、本開示に係る感光性転写材料における上記カバーフィルムを剥離する工程と、上記カバーフィルムが剥離された、上記感光性転写材料における上記感光層側の最外層を、導電性層を有する支持体に接触させて貼り合わせる工程と、上記仮支持体及び上記粘着性層と、上記中間層と、を剥離する工程と、上記中間層に露光マスクを接触させ、上記露光マスクを介して上記感光層をパターン露光する工程と、上記感光層を現像して樹脂パターンを形成する工程と、をこの順で含むことが好ましい。
また、本開示に係る回路配線の製造方法は、本開示に係る感光性転写材料を用いた回路配線の製造方法であれば、特に制限はないが、本開示に係る感光性転写材料における上記カバーフィルムを剥離する工程と、上記カバーフィルムが剥離された、上記感光性転写材料における上記感光層側の最外層を、導電性層を有する支持体に接触させて貼り合わせる工程と、上記仮支持体及び上記粘着性層と、上記中間層と、を剥離する工程と、上記中間層に露光マスクを接触させ、上記露光マスクを介して上記感光層をパターン露光する工程と、上記感光層を現像して樹脂パターンを形成する工程と、形成された上記樹脂パターンをマスクとして上記導電性層をエッチング処理する工程と、をこの順で含むことが好ましい。
なお、本開示における感光性転写材料における「感光層側の最外層」とは、仮支持体、粘着性層、中間層、及び、感光層をこの順で有している本開示に係る感光性転写材料での感光層側の最外層であることは言うまでもない。
また、上記支持体を「基材」ともいい、また、上記導電性層を有する支持体を「基板」ともいう。
【0197】
従来、感光層は感光システムの違いから、活性光線を照射した部分が像として残るネガ型と、活性光線を照射していない部分を像として残すポジ型とに分けられる。ポジ型では活性光線を照射することにより、例えば活性光線を照射されて酸を発生する感光剤などを用いて露光部の溶解性を高めるため、パターン露光時点では露光部及び未露光部がいずれも硬化せず、得られたパターン形状が不良であった場合には全面露光などによって基板を再利用(リワーク)できる。そのため、いわゆるリワーク性に優れる観点からは、ポジ型が好ましい。また、残存した感光層を再度露光して異なるパターンを作製する、という技術はポジ型の感光層でなければ実現できないため、本開示に係る樹脂パターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法において、ポジ型の感光層を用いる場合には、露光を2回以上行う態様も好ましく挙げられる。
【0198】
<カバーフィルム剥離工程>
本開示に係る樹脂パターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、本開示に係る感光性転写材料における上記カバーフィルムを剥離する工程(カバーフィルム剥離工程)を含むことが好ましい。
剥離方法としては、特に制限はなく、公知の方法により剥離すればよい。例えば、仮支持体の一部を指又はピンセット等の器具を用いて把持して剥離する方法が挙げられる。
【0199】
<貼り合わせ工程>
本開示に係る樹脂パターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、上記カバーフィルムが剥離された、上記感光性転写材料における上記感光層側の最外層を、導電性層を有する支持体に接触させて貼り合わせる工程(貼り合わせ工程)を含むことが好ましい。
上記貼り合わせ工程においては、上記導電性層と、上記感光層側の最外層とが接触するように、基板とカバーフィルムが剥離された感光性転写材料とを圧着することが好ましい。上記態様によれば、露光及び現像後のパターン形成された感光層を、導電性層をエッチングする際のエッチングレジストとして好適に用いることができる。
基板とカバーフィルムが剥離された感光性転写材料とを圧着する方法としては、特に制限はなく、公知の転写方法、及び、ラミネート方法を用いることができる。
具体的には、上記感光性転写材料の感光層側の最外層と導電性層が接するように基板と上記感光性転写材料とを重ね、ロール等による加圧、又は、加圧及び加熱することに行う方法が好ましく挙げられる。貼り合わせには、ラミネータ、真空ラミネータ、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネータ等の公知のラミネータを使用することができる。
上記貼り合わせ工程における圧着圧力及び温度は、特に制限はなく、貼り合せる支持体の表面の材質、例えば、導電性層及び感光層の材質、搬送速度、並びに、使用する圧着機等に応じ、適宜設定することができる。また、感光性転写材料の感光層上にカバーフィルムを有する場合は、感光層からカバーフィルムを除去した後、圧着すればよい。
上記基材が樹脂フィルムである場合、ロールツーロールでの圧着を行ってもよい。
【0200】
〔支持体(基材)〕
支持体としては、ガラス基材又はフィルム基材であることが好ましく、フィルム基材であることがより好ましい。本開示に係る回路配線の製造方法は、タッチパネル用配線である場合、支持体がシート状樹脂組成物であることが特に好ましい。
また、支持体は透明であることが好ましい。
支持体の屈折率は、1.50~1.52であることが好ましい。
支持体は、ガラス基材等の透光性基材で構成されていてもよく、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラスなどを用いることができる。また、上述の透明基材としては、特開2010-86684号公報、特開2010-152809号公報及び特開2010-257492号公報に用いられている材料を好ましく用いることができる。
基材としてフィルム基材を用いる場合は、光学的に歪みが少ない基材、及び、透明度が高い基材を用いることがより好ましく、具体的な素材には、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマーをあげることができる。
【0201】
〔導電性層〕
導電性層としては、一般的な配線又はタッチパネル配線に用いられる任意の導電性層を挙げることができる。支持体は、1つの導電層を有していてもよく、複数の導電層を有していてもよい。
導電性層の材料としては、金属及び金属酸化物などを挙げることができる。
金属酸化物としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、SiO等を挙げることができる。金属としては、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等を挙げることができる。
【0202】
支持体が複数の導電層を有する場合、本開示に係る樹脂パターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、複数の導電性層のうち少なくとも一つの導電性層が金属酸化物を含むことが好ましい。
導電性層としては、静電容量型タッチパネルに用いられる視認部のセンサーに相当する電極パターン又は周辺取り出し部の配線であることが好ましい。
【0203】
〔基板〕
本開示に用いられる基板(配線形成用基板)は、基材の表面に導電性層を有する基板であることが好ましい。導電性層をパターンニングすることで配線を形成する。本例では、PETなどのフィルム基材に金属酸化物、金属などの複数の導電性層が設けられたものであることが好ましい。
【0204】
<仮支持体剥離工程>
本開示に係る樹脂パターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、上記仮支持体及び上記粘着性層と、上記中間層と、を剥離する工程(仮支持体剥離工程)を含むことが好ましい。
上記仮支持体剥離工程における仮支持体を剥離する方法は、特に制限はなく、公知の方法により剥離すればよい。
【0205】
<露光工程>
本開示に係る樹脂パターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、上記中間層に露光マスクを接触させ、上記露光マスクを介して上記感光層をパターン露光する工程(露光工程)を含むことが好ましい。
中間層に露光マスクを接触させて露光を行うことにより、感光層とマスクとの距離が小さくなるためパターンの解像度が向上する、仮支持体中の異物による影響を排除できる等の利点がある。
上記露光工程では、中間層及び感光層が少なくとも形成された基材に対し、パターンを有するマスクを介して、活性光線を照射することが好ましい。
感光層がポジ型である場合には、本工程において、光酸発生剤が分解し酸が発生する。発生した酸の触媒作用により、感光層中に含まれる酸分解性基が分解されて、酸基、例えば、カルボキシ基又はフェノール性水酸基が生成する。
感光層がネガ型である場合には、本工程において、重合性化合物が重合する。
本開示において、マスクにおけるパターンの詳細な配置及び具体的サイズは、特に限定されない。本開示において製造される回路基板を有する入力装置を備えた表示装置(例えば、タッチパネル)の表示品質を高め、また、取り出し配線の占める面積をできるだけ小さくしたいことから、パターンの少なくとも一部(特にタッチパネルの電極パターン及び取り出し配線の部分)は、100μm以下の細線であることが好ましく、70μm以下の細線であることがより好ましい。
【0206】
活性光線としては、可視光、紫外光、及び、電子線が挙げられるが、可視光又は紫外光が好ましく、紫外線が特に好ましい。
活性光線による露光光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、発光ダイオード(LED)光源、エキシマレーザー発生装置などを用いることができ、g線(436nm)、i線(365nm)、h線(405nm)などの波長300nm以上450nm以下の波長を有する活性光線が好ましく使用できる。また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター、バンドパスフィルターのような分光フィルターを通して照射光を調整することもできる。
露光装置としては、ミラープロジェクションアライナー、ステッパー、スキャナー、プロキシミティ、コンタクト、マイクロレンズアレイ、レーザー露光など各種方式の露光機を用いることができる。
露光量は、使用する感光層に応じ、適宜選択すればよいが、5mJ/cm~200mJ/cmであることが好ましく、10mJ/cm~100mJ/cmであることがより好ましい。
また、露光後にパターンの矩形性、直線性を向上させる目的で、現像前に熱処理を行うことも好ましい。いわゆるPEB(Post Exposure Bake)と呼ばれる工程により、露光時に感光層中で生じた定在波によるパターンエッジの荒れを低減することが可能である。
【0207】
<現像工程>
本開示に係る樹脂パターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、上記感光層を現像して樹脂パターンを形成する工程(現像工程)を含むことが好ましい。
感光層がポジ型である場合、感光層における露光部が現像により除去される。また、感光層がネガ型である場合、感光層における未露光部が現像により除去される。
また、現像工程においては、感光層の現像により除去される部分と共に中間層も除去されてもよい。
上記現像工程における露光された上記感光層の現像は、現像液を用いて行うことができる。
現像液としては、上記感光層を現像することができれば特に制限はなく、例えば、特開平5-72724号公報に記載の現像液など、公知の現像液を使用することができる。なお、現像液は上記感光層の除去される部分が溶解型の現像挙動をする現像液が好ましい。現像液としては、アルカリ水溶液が好ましく、例えば、pKa=7~13の化合物を0.05mol/L(リットル)~5mol/Lの濃度で含むアルカリ水溶液がより好ましい。現像液は、更に、水と混和性を有する有機溶剤、界面活性剤等を含有してもよい。本開示において好適に用いられる現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載の現像液が挙げられる。
【0208】
現像方式としては、特に制限はなくパドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、ディップ現像等のいずれでもよい。ここで、シャワー現像について説明すると、露光後の感光層及び中間層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、露光部分を除去することができる。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。現像液の液温度は20℃~40℃が好ましい。
また、露光後すぐ現像してもよいが、露光から現像までの時間が、露光から、0.5時間~数時間程度経過していてもよい。
また、本開示に係る樹脂パターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、現像後、水等により洗浄する工程、得られたパターンを有する支持体を乾燥する工程等、公知の工程を含んでいてもよい。
【0209】
更に、現像して得られたパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していてもよい。
ポストベークの加熱は8.1kPa以上の環境下で行うことが好ましく、50.66kPa以上の環境下で行うことがより好ましい。一方、121.6kPa以下の環境下で行うことが好ましく、111.46kPa以下の環境下で行うことがより好ましく、101.3kPa以下の環境下で行うことが特に好ましい。
ポストベークの温度は、80℃~250℃であることが好ましく、110℃~170℃であることがより好ましく、130℃~150℃であることが特に好ましい。
ポストベークの時間は、1分間~30分間であることが好ましく、2分間~10分間であることがより好ましく、2分間~4分間であることが特に好ましい。
ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよい。
【0210】
本開示に係る樹脂パターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法における各工程時における上記支持体の搬送速度は、特に制限はないが、露光時を除いて、0.5m/min~10m/minであることが好ましく、露光時を除いて、2.0m/min~8.0m/minであることがより好ましい。
【0211】
<エッチング工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、形成された上記樹脂パターンをマスクとして上記導電性層をエッチング処理する工程(エッチング工程)を含むことが好ましい。
上記エッチング工程では、上記現像工程により上記感光層から形成されたパターンを、エッチングレジストとして使用し、上記導電性層のエッチング処理を行う。
上記導電性層のエッチングは、特開2010-152155号公報の段落0048~段落0054等に記載の方法、公知のプラズマエッチング等のドライエッチングによる方法など、公知の方法でエッチングを適用することができる。
例えば、エッチングの方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプ又はアルカリ性タイプのエッチング液を適宜選択すればよい。
酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸、シュウ酸、又は、リン酸等の酸性成分単独の水溶液、酸性成分と塩化第2鉄、フッ化アンモニウム、又は、過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、又は、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのような有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
【0212】
エッチング液の温度は特に限定されないが、45℃以下であることが好ましい。本開示において、エッチングマスク(エッチングパターン)として使用されるパターンは、45℃以下の温度域における酸性及びアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮することが好ましい。したがって、エッチング工程中に上記パターンが剥離することが防止され、上記パターンの存在しない部分が選択的にエッチングされることになる。
【0213】
上記エッチング工程後、工程ラインの汚染を防ぐために、必要に応じて、エッチングされた上記導電性層を有する支持体を洗浄する工程(洗浄工程)、及び、エッチングされた上記導電性層を有する支持体を乾燥する工程(乾燥工程)を行ってもよい。洗浄工程については、例えば常温(10℃~35℃)で純水により10秒~300秒間基板を洗浄することが挙げられる。乾燥工程については、例えばエアブローを使用し、エアブロー圧(0.1kg/cm~5kg/cm程度)を適宜調整して乾燥を行えばよい。
【0214】
<エッチングレジスト剥離工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記エッチング工程の後に、上記感光層を剥離液を用いて剥離する工程(エッチングレジスト剥離工程)を含むことが好ましい。
上記エッチング工程の終了後、パターン形成された上記感光層が残存している。上記感光層が不要であれば、残存する全ての上記感光層を除去すればよい。
剥離液を用いて剥離する方法としては、例えば、好ましくは30℃~80℃、より好ましくは50℃~80℃にて撹拌中の剥離液に上記感光層などを有する基材を5分~30分間浸漬する方法が挙げられる。
剥離液としては、例えば、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の無機アルカリ成分、又は、第三級アミン若しくは第四級アンモニウム塩等の有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、又は、これらの混合溶液に溶解させた剥離液が挙げられる。剥離液を使用し、スプレー法、シャワー法、又は、パドル法等により剥離してもよい。
【0215】
また、本開示に係る回路配線の製造方法は、必要に応じ、露光工程、現像工程及びエッチング工程を2回以上繰り返してもよい。
本開示における露光工程、現像工程及びその他の工程の例としては、特開2006-23696号公報の段落0035~段落0051に記載の方法を、本開示においても好適に用いることができる。
【0216】
本開示に係る樹脂パターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、他の任意の工程を含んでもよい。例えば、以下のような工程が挙げられるが、これらの工程に限定されない。
【0217】
<可視光線反射率を低下させる工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、導電性層の表面、例えば、支持体上に有する導電性層の一部又は全ての表面の可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含むことが可能である。
可視光線反射率を低下させる処理としては、酸化処理などを挙げることができる。例えば、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、黒化することにより、可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014-150118号公報の段落0017~段落0025、並びに、特開2013-206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048及び段落0058に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
【0218】
<エッチングされた上記導電性層を有する支持体上に絶縁膜を形成する工程、及び、絶縁膜上に新たな導電性層を形成する工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記導電性層を有する支持体上、例えば、形成した配線(エッチングされた上記導電性層)上に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜上に新たな導電性層を形成する工程とを含むことも好ましい。
絶縁膜を形成する工程については、特に制限はなく、公知の永久膜を形成する方法を挙げることができる。また、絶縁性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの絶縁膜を形成してもよい。
絶縁膜上に新たな導電性層を形成する工程については、特に制限はない。導電性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの新たな導電性層を形成してもよい。
【0219】
また、本開示に係る回路配線の製造方法は、上記新たな導電性層を、上記と同様な方法によりエッチングレジストを形成してエッチングしてもよいし、別途、公知の方法によりエッチングしてもよい。
本開示に係る回路配線の製造方法により得られる配線基板は、上記基板上に1層のみの配線を有していても、2層以上の配線を有していてもよい。
【0220】
また、本開示に係る回路配線の製造方法は、支持体が両方の表面にそれぞれ複数の導電性層を有し、支持体の両方の表面に形成された導電性層に対して逐次又は同時に回路形成することも好ましい。このような構成により、支持体の一方の表面に第一の導電パターン(第一の配線)、もう一方の表面に第二の導電パターン(第二の配線)を形成した配線、好ましくはタッチパネル用配線を形成することができる。
【0221】
(配線及び配線基板)
本開示に係る配線は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された配線である。また、上記配線としては、回路配線が好ましく挙げられる。
本開示に係る配線基板は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された配線を有する基板である。
本開示に係る配線基板の用途は限定されないが、例えば、タッチパネル用配線基板であることが好ましい。
【0222】
(入力装置及び表示装置)
本開示に係る回路配線の製造方法により製造される配線を備えた装置として、入力装置が挙げられる。
本開示に係る入力装置は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造される配線を少なくとも有する入力装置であればよく、静電容量型タッチパネルであることが好ましい。
本開示に係る表示装置は、本開示に係る入力装置を備えることが好ましい。本開示に係る表示装置は、有機EL表示装置、及び、液晶表示装置等の画像表示装置であることが好ましい。
【0223】
(タッチパネル、及び、タッチパネル表示装置)
本開示に係るタッチパネルは、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された配線を少なくとも有するタッチパネルである。また、本開示に係るタッチパネルは、透明基板と、電極と、絶縁層又は保護層とを少なくとも有することが好ましい。
本開示に係るタッチパネル表示装置は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された配線を少なくとも有するタッチパネル表示装置であり、本開示に係るタッチパネルを有するタッチパネル表示装置であることが好ましい。
本開示に係るタッチパネル及び本開示に係るタッチパネル表示装置のおける検出方法としては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式、及び、光学方式など公知の方式いずれでもよい。中でも、静電容量方式が好ましい。
【0224】
タッチパネル型としては、いわゆる、インセル型(例えば、特表2012-517051号公報の図5図6図7図8に記載のもの)、いわゆる、オンセル型(例えば、特開2013-168125号公報の図19に記載のもの、特開2012-89102号公報の図1又は図5に記載のもの)、OGS(One Glass Solution)型、TOL(Touch-on-Lens)型(例えば、特開2013-54727号公報の図2に記載のもの)、その他の構成(例えば、特開2013-164871号公報の図6に記載のもの)、各種アウトセル型(いわゆる、GG、G1・G2、GFF、GF2、GF1、G1Fなど)を挙げることができる。
【0225】
本開示に係るタッチパネル及び本開示に係るタッチパネル表示装置としては、“最新タッチパネル技術”(2009年7月6日、(株)テクノタイムズ社発行)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”(2004年12月、シーエムシー出版)、FPD International 2009 Forum T-11講演テキストブック、Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
【実施例
【0226】
以下に実施例を挙げて本開示の実施形態を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本開示の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
【0227】
(実施例1)
<感光性樹脂組成物1の調製>
下記成分を混合し、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、感光性樹脂組成物1(感光層形成用組成物)を得た。
プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセタート(PGMEA):425.1質量部
重合体A-1:236.0質量部
光酸発生剤B-1:5.0質量部
界面活性剤E-1:0.1質量部
塩基性化合物F-1:0.5質量部
【0228】
〔重合体A-1の合成例〕
3つ口フラスコにPGMEA(75.0質量部)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。ATHF(25.0質量部)、MAA(10.0質量部)、CHMA(35.0質量部)、CHA(30.0質量部)、V-601(4.1質量部)、及びPGMEA(75.0質量部)を加えた溶液を、90℃±2℃の温度範囲内に維持した3つ口フラスコ溶液中に2時間かけて滴下した。滴下終了後,90℃±2℃の温度範囲内にて2時間撹拌することで、重合体A-1(固形分濃度40.0質量%)を得た。
重合体A-1は、酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマーである。
【0229】
ATHF:アクリル酸テトラヒドロフラン-2-イル(合成品)
MAA:メタクリル酸(東京化成工業(株)製)
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業(株)製)
CHA:アクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業(株)製)
V-601:ジメチル 2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製)
【0230】
-ATHFの合成-
3つ口フラスコにアクリル酸(72.1質量部、1.0モル当量)、及びヘキサン(72.1質量部)を加え20℃に冷却した。カンファースルホン酸(0.0070質量部、0.03ミリモル当量)、及び2-ジヒドロフラン(70.1質量部、1.0モル当量)を滴下した後に、20℃±2℃で1.5時間撹拌した後、35℃まで昇温して2時間撹拌した。ヌッチェにキョーワード200(水酸化アルミニウム吸着剤、協和化学工業(株)製)、キョーワード1000(ハイドロタルサイト系吸着剤、協和化学工業(株)製)の順に敷き詰めた後、反応液をろ過することでろ過液を得た。得られたろ過液にヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、0.0012質量部)を加えた後、40℃で減圧濃縮することで、アクリル酸テトラヒドロフラン-2-イル(ATHF)140.8質量部を無色油状物として得た(収率99.0%)。
【0231】
〔光酸発生剤〕
光酸発生剤B-1:下記に示す構造の化合物(特開2013-047765号公報の段落0227に記載の化合物であり、段落0204に記載の方法に従って合成した。)
【0232】
【化15】

【0233】
〔界面活性剤〕
界面活性剤E-1:下記に示す構造の化合物
【0234】
【化16】

【0235】
〔塩基性化合物〕
塩基性化合物F-1:下記に示す構造の化合物
【0236】
【化17】

【0237】
<中間層形成用組成物1の調製>
下記成分を混合し、孔径5.0μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、中間層形成用組成物1を得た。
水:930.0質量部
メタノール:930.0質量部
重合体A-11:95.0質量部
粒子G-1:25.0質量部
界面活性剤E-11:0.05質量部
【0238】
〔重合体(中間層用バインダーポリマー)〕
重合体A-11:メトローズ60SH-03(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業(株)製)
【0239】
〔粒子〕
粒子G-1:スノーテックス(登録商標)OYL(シリカ粒子、平均粒子径50nm~80nm、固形分20質量%、日産化学工業(株)製)
【0240】
〔界面活性剤〕
界面活性剤E-11:メガファックF-444(DIC(株)製)
【0241】
<感光性転写材料の作製>
カバーフイルムとなる厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの上に感光性樹脂組成物1を、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が3.0μmとなるように塗布した。上記塗布後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、感光層を形成した。上記感光層の形成後、上記感光層上に中間層形成用組成物1を乾燥膜厚が1.0μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、感光層上に中間層を有するフィルムAを作製した。
また、ウレタン系粘着剤を含む粘着性層付き仮支持体として日東電工(株)製 E-MASK AW303DをフィルムBとして準備した。
最後にフィルムAの中間層とフィルムBの粘着性層とが接触するようにフィルムAとフィルムBとを90℃、5m/minの速度で熱ラミネートして、感光性転写材料を作製した。
【0242】
<樹脂パターンの作製>
作製した感光性転写材料を、カバーフイルムを剥離した後、線圧0.6MPa、線速度(ラミネート速度)3.6m/minのラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートした。
その後、粘着性層のついた仮支持体を剥離し、感光性転写材料の感光層とガラス製の線幅3~20μmのラインアンドスペースのパターン(Duty比 1:1)を有するマスクを、露光位置(アライメント)を調整しながらコンタクトさせ、上記マスクを介して超高圧水銀灯で露光後、30分静置した後に現像し、樹脂パターンを形成した。現像は28℃の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で40秒行った。
【0243】
<回路配線パターンの作製>
パターン形成した試料を銅エッチング液(Cu-02:関東化学(株)製)により23℃で30秒エッチングし、4質量%水酸化ナトリウム溶液を用いてレジスト剥離を行うことで回路配線パターンを作製した。
【0244】
(実施例2)
中間層形成用組成物1における粒子G-1の添加量を50.0質量部(粒子G-1の固形分は20質量%であるため、中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0245】
(実施例3)
中間層形成用組成物1における粒子G-1の添加量を100.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は20質量%)とし、重合体A-11の含有量を80質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0246】
(実施例4)
中間層形成用組成物1における粒子G-1の添加量を200.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は40質量%)とし、重合体A-11の含有量を60質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0247】
(実施例5)
中間層形成用組成物1における粒子G-1の添加量を300.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は60質量%)とし、重合体A-11の含有量を40質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0248】
(実施例6)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-2に変更し、添加量を50.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-2:スノーテックスOL(シリカ粒子、平均粒子径:40nm~50nm、固形分20質量%、日産化学工業(株)製)
【0249】
(実施例7)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-3に変更し、添加量を25.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-3:スノーテックスO-40(シリカ粒子、平均粒子径:20nm~25nm、固形分40質量%、日産化学工業(株)製)
【0250】
(実施例8)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-4に変更し、添加量を200.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は40質量%)とし、重合体A-11の含有量を60質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-4:スノーテックスO(シリカ粒子、平均粒子径:10nm~15nm、固形分20質量%、日産化学工業(株)製)
【0251】
(実施例9)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-5に変更し、添加量を200.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を60質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-5:スノーテックスZL(シリカ粒子、平均粒子径:70nm~100nm、固形分40質量%、日産化学工業(株)製)
【0252】
(実施例10)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-6に変更し、添加量を25.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-6:スノーテックスMP-2040(シリカ粒子、平均粒子径:170nm~230nm、固形分40質量%、日産化学工業(株)製)
【0253】
(実施例11)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-7に変更し、添加量を66.7質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-7:シーホスターKE-W10 (アモルファスシリカ粒子、平均粒子径:100nm、固形分15質量%、(株)日本触媒製)
【0254】
(実施例12)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-8に変更し、添加量を200.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-8:ソリオスターSP01-150 (有機無機複合化合物粒子、平均粒子径:150nm、固形分5質量%、(株)日本触媒製)
【0255】
(実施例13)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-9に変更し、添加量を117.6質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-9:エポスターMX030W (アクリル系架橋物粒子、平均粒子径:40nm、固形分10質量%、(株)日本触媒製)
【0256】
(実施例14)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-10に変更し、添加量を117.6質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-10:エポスターMX050W (アクリル系架橋物粒子、平均粒子径:70nm、固形分10質量%、(株)日本触媒製)
【0257】
(実施例15)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-11に変更し、添加量を117.6質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-11:エポスターMX100W (アクリル系架橋物粒子、平均粒子径:150nm、固形分10質量%、(株)日本触媒製)
【0258】
(実施例16)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-12に変更し、添加量を66.7質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-12:SokenMP-1451 (非架橋アクリル粒子、平均粒子径:150nm、綜研化学(株)製)を固形分量が15質量%となるように水と混合し、ペイントシェーカーを用いて分散した。
【0259】
(実施例17)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-13に変更し、添加量を37.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-13:タフチックF-167 (架橋ポリメタクリル酸メチル粒子、平均粒子径:300nm、固形分27質量%、東洋紡(株)製)
【0260】
(実施例18)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-14に変更し、添加量を66.7質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-14:トスパール120 (シロキサン粒子、平均粒子径:2000nm、モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を固形分量が15質量%となるように水と混合し、ペイントシェーカーを用いて分散した。
【0261】
(実施例19)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-15に変更し、添加量を66.7質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-15:トレパールEP (エポキシ樹脂粒子、平均粒子径:200nm~300nm、東レ(株)製)を固形分量が15質量%となるように水と混合し、ペイントシェーカーを用いて分散した。
【0262】
(実施例20)
中間層形成用組成物1における粒子G-1を粒子G-16に変更し、添加量を50.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-11の含有量を90質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-16:アルミナゾルAS-200(アルミナ粒子、平均粒子径:7nm~15nm、固形分10質量%、日産化学工業(株)製)
【0263】
(実施例21)
重合体A-11を重合体A-12に変更し、粒子G-1の添加量を50.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、更に粒子G-4を添加し、添加量を150.0質量部(中間層形成用組成物1の全固形分における粒子の含有量は30質量%)とし、重合体A-12の含有量を60質量部とした以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
重合体A-12:Nisso HPC-SSL(ヒドロキシプロピルセルロース、日本曹達社製)
【0264】
(実施例22)
仮支持体E-MASK AW303DをE-MASK RP207(アクリル系粘着剤を含む粘着性層付き仮支持体、日東電工(株)製)に変更した以外は、実施例21と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0265】
(実施例23)
仮支持体E-MASK AW303DをパナプロテクトHP25(アクリル系粘着剤を含む粘着性層付き仮支持体、パナック(株)製)に変更する以外は実施例21と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0266】
(実施例24)
仮支持体E-MASK AW303DをパナプロテクトMK38S(アクリル系粘着剤を含む粘着性層付き仮支持体、パナック(株)製)に変更する以外は実施例21と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0267】
(実施例25)
感光性樹脂組成物1を感光性樹脂組成物2に変更し、中間層形成用組成物1を中間層形成用組成物2に変更した以外は実施例1と同様の方法により感光性転写材料を作製し、更に樹脂パターンの作製、配線パターンの作製を行った。
【0268】
<感光性樹脂組成物2の調製>
下記成分を混合し、孔径5.0μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、感光性樹脂組成物を得た。
PGMEA:453.6質量部
重合体A-2:125.0質量部
重合性化合物C-1:30.0質量部
重合性化合物C-2:20.0質量部
光重合開始剤 B-CIM:4.0質量部
増感色素 PYR-1:0.1質量部
水素供与体 LCV:0.65質量部
染料MKG:0.03質量部
【0269】
〔重合体A-2の合成例〕
3つ口フラスコにPGMEA(75.0質量部)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。MAA(20.0質量部)、BzMA(80.0質量部)、V-601(4.1質量部)、PGMEA(75.0質量部)を加えた溶液を、90℃±2℃の温度範囲内に維持した3つ口フラスコ溶液中に2時間かけて滴下した。滴下終了後,90℃±2℃の温度範囲内にて2時間撹拌することで、重合体A-2(固形分濃度40.0質量%)を得た。
重合体A-2は、酸基を有するバインダーポリマーである。
【0270】
BzMA:メタクリル酸ベンジル(東京化成工業(株)製)
【0271】
〔重合性化合物〕
重合性化合物C-1:FA-324M(日立化成(株)製、製品名):2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン
重合性化合物C-2:FA-3200MY(日立化成(株)製、製品名):2,2-ビス(4-(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン(エチレンオキサイド平均12mol及びプロピレンオキサイド平均4mol付加物)
【0272】
〔光重合開始剤〕
光重合開始剤 B-CIM(Hampford社製、製品名):2,2′-ビス(2-クロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)
【0273】
〔増感色素〕
増感色素 PYR-1(日本化学工業(株)製):1-フェニル-3-(4-メトキシスチリル)-5-(4-メトキシフェニル)ピラゾリン
【0274】
〔水素供与体〕
水素供与体 LCV(山田化学(株)製、製品名):ロイコクリスタルバイオレット
【0275】
〔染料〕
染料 MKG(大阪有機化学工業(株)製、製品名):マラカイトグリーン
【0276】
<中間層形成用組成物2の調製>
下記成分を混合し、孔径5.0μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、中間層形成用組成物2を得た。
水:915.0質量部
メタノール:915.0質量部
重合体A-13:63.3質量部
重合体A-14:31.65質量部
粒子G-17:12.5質量部
界面活性剤E-11:0.05質量部
【0277】
〔重合体(中間層用バインダーポリマー)〕
重合体A-13:クラレポバール PVA-205(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製)
重合体A-14:ポリビニルピロリドン(PVP-) K-30 (ポリビニルピロリドン、(株)日本触媒製)
【0278】
〔粒子〕
粒子G-17:スノーテックスYL(シリカ粒子、平均粒子径50nm~80nm、固形分40質量%、日産化学工業(株)製)
【0279】
(実施例26)
粒子G-17の添加量を25.0質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13の含有量を60質量部、重合体A-14の含有量を30質量部とした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0280】
(実施例27)
粒子G-17の添加量を50.0質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は20質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を80質量部とし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0281】
(実施例28)
粒子G-17の添加量を100.0質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は40質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を60質量部とし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0282】
(実施例29)
粒子G-17の添加量を150.0質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は60質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を40質量部とし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0283】
(実施例30)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-18に変更し、添加量を33.3質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量部とし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-18:スノーテックス30L(シリカ粒子、平均粒子径:10nm~15nm、固形分30質量%、日産化学工業(株)製)
【0284】
(実施例31)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-19に変更し、添加量を20.0質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-19:スノーテックス50(シリカ粒子、平均粒子径:20nm~25nm、固形分48質量%、日産化学工業(株)製)
【0285】
(実施例32)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-20に変更し、添加量を133.3質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は40質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を60質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
粒子G-20:スノーテックス30(シリカ粒子、平均粒子径:10nm~15nm、固形分30質量%、日産化学工業(株)製)
【0286】
(実施例33)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-5に変更し、添加量を25.0質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0287】
(実施例34)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-6に変更し、添加量を25.0質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0288】
(実施例35)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-7に変更し、添加量を66.7質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0289】
(実施例36)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-8に変更し、添加量を200.0質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0290】
(実施例37)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-9に変更し、添加量を117.6質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0291】
(実施例38)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-10に変更し、添加量を117.6質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0292】
(実施例39)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-11に変更し、添加量を117.6質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0293】
(実施例40)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-12に変更し、添加量を66.7質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0294】
(実施例41)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-13に変更し、添加量を37.0質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0295】
(実施例42)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-14に変更し、添加量を66.7質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0296】
(実施例43)
中間層形成用組成物2における粒子G-17を粒子G-15に変更し、添加量を66.7質量部(中間層形成用組成物2の全固形分における粒子の含有量は10質量%)とし、重合体A-13と重合体A-14の合計含有量を90質量%となるようにし、重合体A-13と重合体A-14の含有比を重合体A-13:重合体A-14=2:1(質量比)となるようにした以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0297】
(実施例44)
仮支持体E-MASK AW303DをE-MASK RP207(粘着性層を有する仮支持体、日東電工(株)製)に変更した以外は、実施例26と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0298】
(実施例45)
仮支持体E-MASK AW303DをパナプロテクトHP25(アクリル系粘着剤を含む粘着性層付き仮支持体、パナック(株)製)に変更する以外は実施例26と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0299】
(実施例46)
仮支持体E-MASK AW303DをパナプロテクトMK38S(アクリル系粘着剤を含む粘着性層付き仮支持体、パナック(株)製)に変更する以外は実施例26と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0300】
(比較例1)
中間層形成用組成物1の調製において粒子G-1を添加しない以外は、実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0301】
(比較例2)
中間層形成用組成物2の調製において粒子G-17を添加しない以外は、実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0302】
(比較例3)
仮支持体として日東電工(株)製 E-MASK AW303Dの代わりに、粘着性層を有しない厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0303】
(比較例4)
仮支持体として日東電工(株)製 E-MASK AW303Dの代わりに、粘着性層を有しない厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は実施例25と同様にして感光性転写材料を作製し、樹脂パターン及び回路配線パターンを形成した。
【0304】
(評価)
<凹凸の形成の評価>
各実施例又は比較例において作製した感光性転写材料を、カバーフィルムを剥離したのち、線圧0.6MPa、線速度(ラミネート速度)3.6m/minのラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートした。その後、仮支持体及び粘着性層を剥離し、感光層表面の凹凸の形成をSEMで確認した。凹凸が形成されているものを「あり」とし、凹凸が形成されていないもの、又は凹凸がつぶれて膜中に押し込まれているものを「なし」と評価した。
評価結果は表1又は表2に記載した。
【0305】
<対マスク滑り性の評価>
各実施例又は比較例において作製した感光性転写材料を、カバーフィルムを剥離した後、線圧0.6MPa、線速度(ラミネート速度)3.6m/minのラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートした。
その後、仮支持体及び粘着性層を剥離し、感光性転写材料の中間層と、線幅3μm~20μmのラインアンドスペースのパターン(Duty比 1:1)を有するガラス製のマスクと、を接触(コンタクト)させ、新東化学(株)製 静摩擦計 Heidon 10を用いて静摩擦係数を算出した。評価結果は表1又は表2に記載した。評価結果が3~5であることが好ましく、4又は5であることがより好ましく、5であることが更に好ましい。
静摩擦係数が小さいほど、コンタクト露光時の対マスク滑り性に優れ、マスクを中干渉に接触させた後の位置合わせが容易となると考えられる。
【0306】
〔評価基準〕
5:静摩擦係数が0.3未満
4:静摩擦係数が0.3以上0.5未満
3:静摩擦係数が0.5以上1.0未満
2:静摩擦係数が1.0以上1.6未満
1:静摩擦係数が1.6以上
【0307】
<直線性の評価>
作製した感光性転写材料を、カバーフィルムを剥離したのち、線圧0.6MPa、線速度(ラミネート速度)3.6m/minのラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートした。
その後、仮支持体及び粘着性層を剥離し、感光性転写材料の中間層とガラス製の線幅10μmのラインアンドスペースのパターン(Duty比 1:1)を有するマスクをコンタクトさせ、上記マスクを介して線幅10μmのラインアンドスペースのパターンの現像後の線幅が10μmとなる露光量で、超高圧水銀灯でghi線(435nm、405nm、365nm)により露光後、30分静置した後に現像した。現像は28℃の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で40秒行うことで樹脂パターンを作製した。
上記樹脂パターンを形成した試料を銅エッチング液(Cu-02:関東化学(株)製)により23℃で30秒エッチングし、4質量%水酸化ナトリウム溶液を用いてレジスト剥離を行うことで配線パターンを作製した。配線パターンの線幅を100点測定し、LWR(線幅の標準偏差)を算出し、配線の直線性を評価した。評価結果は表1又は表2に記載した。1~5の中で、数値が大きいほど配線パターンの直線性に優れると評価され、好ましい。
【0308】
〔評価基準〕
5:LWRが150nm未満
4:LWRが150nm以上200nm未満
3:LWRが200nm以上300nm未満
2:LWRが300nm以上500nm未満
1:LWRが500nm以上
【0309】
<配線の評価>
各実施例又は比較例において作製した感光性転写材料を、カバーフィルムを剥離したのち、線圧0.6MPa、線速度(ラミネート速度)3.6m/minのラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートした。
その後、仮支持体及び粘着性層を剥離し、感光性転写材料の中間層とガラス製の線幅3μm~20μmのラインアンドスペースのパターン(Duty比 1:1)、および、アライメントマークを有するマスクを、露光位置(アライメント)を調整しながらコンタクトさせ、上記マスクを介して超高圧水銀灯で露光後、30分静置したのちに現像した。現像は28℃の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で40秒行うことで樹脂パターンを作製した。
さらに、パターン形成した試料を銅エッチング液(Cu-02:関東化学(株)製)により23℃で30秒エッチングし、4質量%水酸化ナトリウム溶液を用いてレジスト剥離を行うことでアライメントマークを有する配線パターンを作製した。
金属配線パターンのアライメントマークの位置を確認し、目標の位置通りに作製できているものを「良好」、目標位置からずれが発生しているものを「不良」とした。評価結果は表1又は表2に記載した。
「目標の位置通り」とは、目標からの誤差が50μm以内のことをいう。
【0310】
【表1】
【0311】
【表2】
【0312】
表1又は表2中、粒子の含有量の記載は、中間層の全質量に対する粒子の含有量を示している。
表1に記載の結果から、本願実施例に係る感光性転写材料は、コンタクト露光時の対マスク滑り性に優れ、また、得られる配線が目的の位置に形成されていることから、コンタクト露光時の位置合わせが容易であることがわかる。
また、比較例1又は比較例2においては、中間層が粒子を含有しないことにより、コンタクト露光時の対マスク滑り性に劣り、その結果、得られる配線の評価においても、金属配線が目標の位置通りに作製されていないことがわかる。
比較例3又は比較例4においては、粘着性層を有しない仮支持体を用いており、このような仮支持体を用いた場合には仮支持体と中間層とが密着せず、感光性転写材料を製造することができないため、対マスク滑り性、配線の直線性、及び配線の評価を行うことが不可能であった。
【0313】
(実施例101)
100μm厚PET基材上に、第2層の導電性層として酸化インジウムスズ(ITO)をスパッタリングで150nm厚にて成膜し、その上に第1層の導電性層として銅を真空蒸着法で200nm厚にて成膜して、回路形成基板とした。
銅層上に実施例1で作製した感光性転写材料をラミネートした(線圧0.8MPa、線速度3.0m/min、ロール温度90℃)。仮支持体及び粘着性層を剥離して、一方向に導電性層パッドが連結された構成を持つ図2に示すパターン(以下、「パターンA」とも称する。)を設けたフォトマスクを用いてコンタクト露光した。
なお、図2に示すパターンAは、実線部SL及びグレー部Gが遮光部であり、点線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後仮支持体を剥離し、現像、水洗を行ってパターンAを得た。次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu-02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO-02)を用いてITO層をエッチングすることで、銅(実線部SL)とITO(グレー部G)とが共にパターンAで描画された基板を得た。
【0314】
次いで、アライメントを合わせた状態で図3に示すパターン(以下、「パターンB」とも称する。)の開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光し、現像、水洗を行った。
なお、図3に示すパターンBは、グレー部Gが遮光部であり、点線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後、Cu-02を用いて銅層をエッチングし、残った感光層を剥離液(10質量%水酸化ナトリウム水溶液)を用いて剥離し、配線基板を得た。
これにより、配線基板を得た。顕微鏡で観察したところ、剥がれ、欠けなどは無く、きれいなパターンであった。
【0315】
2018年1月24日に出願された日本国特許出願2018-009701号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図1
図2
図3