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  • 特許-鉄道車両の使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】鉄道車両の使用方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/32 20060101AFI20220517BHJP
   F16C 33/62 20060101ALI20220517BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20220517BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20220517BHJP
   H02K 5/16 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
F16C33/32
F16C33/62
F16C19/06
H02K5/173 A
H02K5/16 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021023912
(22)【出願日】2021-02-18
(62)【分割の表示】P 2020057136の分割
【原出願日】2009-09-25
(65)【公開番号】P2021089075
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2021-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】303058328
【氏名又は名称】東芝マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高尾 実
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特許第6334745(JP,B2)
【文献】特開2009-197873(JP,A)
【文献】特開2002-154877(JP,A)
【文献】特開2004-245247(JP,A)
【文献】特開2009-190959(JP,A)
【文献】特開平1-210618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/32
F16C 33/62
F16C 19/06
H02K 5/16
H02K 5/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータモータを具備する鉄道車両の使用方法であって、
前記鉄道車両は、
パルス幅変調駆動のインバータ制御回路を有し、前記インバータモータの駆動周波数を50Hz以上2000Hz以下に制御する制御回路と、
前記制御回路から1m以内の位置に設置された転がり軸受と、を具備し、
前記転がり軸受は、
SUJ2材からなる内輪と、
SUJ2材からなる外輪と、
電気抵抗値が1010Ω・cm以上である絶縁性のベアリングボールを含む、複数のベアリングボールと、を備え、
前記絶縁性のベアリングボールは、
金属部材と、
前記金属部材の表面に設けられた溶射膜と、を有し、
前記絶縁性のベアリングボールの個数をP(個)、前記転がり軸受の使用環境での最高回転数をM(rpm)、前記インバータモータの駆動周波数をF(Hz)としたとき、P×M≧60Fを満たし、且つ前記Pが6以上の整数であることにより、電食の発生を抑制する、鉄道車両の使用方法。
【請求項2】
前記電食は、前記内輪、前記外輪、前記ベアリングボール、および前記内輪が固定される回転軸からなる群より選ばれる少なくとも一つの部材の腐食である、請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
前記制御回路は、前記インバータモータの駆動周波数を50Hz以上1000Hz以下に制御する、請求項1または請求項2に記載の使用方法。
【請求項4】
前記溶射膜の厚さは、2μm以上300μm以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の使用方法。
【請求項5】
前記絶縁性のベアリングボールの前記電気抵抗値は、1012Ω・cm以上であり、
前記金属部材は、SUJ2材からなる、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の使用方法または鉄道車両の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータは、直流電力を交流電圧に変換する装置或いは装置の一部のことをインバータと呼ぶ。バッテリー電源の交流変換装置、直流電気鉄道のインバータ装置などである。一方、日本においては相数・電圧・周波数の異なる交流を得るために、商用電源の単相交流、三交流を、一旦整流器で直流に変換してから、再度交流にするための、整流器(コンバータ)とインバータを組合せ、同一パッケージに収容した電力変換装置全体をインバータと呼ぶことも多い。エレベータ、ポンプ、ファン、鉄道車両、電気自動車、エアコンディショナー、冷蔵庫や工場など使用される機器類、サーバー、パソコンなどのバックアップ電源装置、自動車用12V電源で家庭用100V機器を使う車載用インバータ、太陽光発電におけるパワーコンディショナーなど家電から大型機器まで様々な電器装置の出力の制御を可能としている。
従来、インバータに近接するベアリング(軸受)部材、特にベアリングボールには軸受鋼(SUJ2等)の金属が用いられていた。
【0003】
一方、インバータは、高周波電流を用いてインバータ制御回路を制御していることからEDM電流(金属表面を放電現象により破壊してしまう電流)や高周波循環電流が発生し易かった。特に、軸受鋼等の金属では電食という現象が発生し軸受寿命が低くなり信頼性のある回転駆動を提供できずにいた。
このような不具合を解決するために近年はモータのシャフトをアースしたり、モータの外周に電磁ノイズを遮蔽する金属を着けたりすることが試みられるようになっていた。例えば、特開2006-328273号公報(特許文献1)では、軸受内に導電性グリースを充填してアース効果を得ている。しかしながら、導電性グリースは経時変化や液漏れなどの問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-328273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、どちらも軸受またはモータに何らかの付属品を取り付ける必要があった。付属品の取付は作業工程を増やすため、製造工程を繁雑にしていた。
本発明は上記したような問題を解決するためになされたものであって、50Hz以上で駆動するインバータにおいて、EMD電流や高周波循環電流の発生により電食現象の発生を抑制したインバータ近傍に使用する軸受を提供するものである。また、電食現象の発生を抑制してあるので、インバータおよびそれを用いた電器機器の信頼性をも向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、インバータモータを具備する鉄道車両の使用方法であって、鉄道車両は、パルス幅変調駆動のインバータ制御回路を有し、インバータモータの駆動周波数を50Hz以上2000Hz以下に制御する制御回路と、制御回路から1m以内に設置された転がり軸受と、を具備し、転がり軸受は、SUJ2材からなる内輪と、SUJ2材からなる外輪と、電気抵抗値が1010Ω・cm以上である絶縁性のベアリングボールを含む、複数のベアリングボールと、を備え、絶縁性のベアリングボールは、金属部材と、金属部材の表面に設けられた溶射膜と、を有し、絶縁性のベアリングボールの個数をP(個)、転がり軸受の使用環境での最高回転数をM(rpm)、インバータモータの駆動周波数をF(Hz)としたとき、P×M≧60Fを満たし、且つPが6以上の整数であることにより、電食の発生を抑制する。上記転がり軸受を具備する電器機器は、工場等で使用される機器、サーバー、パソコン、エレベータ、ポンプ、ファン、家電、電気自動車、鉄道車両のいずれか1種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インバータ近傍で使用する軸受において、複数個の転動体の中に電気抵抗値10Ω・cm以上のものを用いているので、EMD電流や高周波循環電流の発生を抑制できる。そのため、50Hz以上の駆動周波数を有する電流によりインバータ制御回路を駆動させても、アース効果を得るための部材を取り付ける必要がない。その結果、軸受およびモータの組立工程を簡素化することができ、その上で、モータの信頼性をも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の軸受の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のインバータ近傍で使用する転がり軸受は、50Hz以上の周波数で稼働するインバータにおいて、転がり軸受は複数の転動体を有し、少なくとも1つ以上の転動体は絶縁性セラミックスまたは絶縁コーティングにより電気抵抗値が10Ω・cm以上としたものであることを特徴とするものである。
インバータは、直流を交流に変換するインバータ制御回路を有している。交流はプラスとマイナスが周期的に変化するものであり、この周期的変化が周波数となる。インバータは、周波数の変化に応じて回転速度を制御する方式である。複数のギアを組合せて回転数を制御する方式と比べて、ギアチェンジのような複雑な構成部品を要しないので軽量化できる。
【0010】
インバータの周波数が大きくなればなるほどプラスマイナスの変化速度が速くなる。このプラスマイナスの変化時にインバータ制御回路周辺には電磁誘導が生じる。この電磁誘導は、金属部品などの導電体を伝って軸受内部に伝わっていく。伝わった電磁誘導は、EMD電流または/および高周波循環電流となる。EMD電流または/および高周波循環電流が発生すると軸受に使われている回転軸および転動体(ベアリングボール)にも伝わっていく。このとき、回転軸および転動体が軸受鋼(SUJ2)などの導電部材であると、EMD電流または/および高周波循環電流により電食現象が発生する。電食現象により、回転軸または転動体が腐食され、均一な回転運動を維持できなくなる。特に、稼働周波数50Hz以上のインバータ近傍で使用する軸受けには電食現象が生じ易かった。
それに対し、本発明ではインバータ近傍で使用する軸受に用いられる複数個の転動体のうち、少なくとも1つ以上の転動体は絶縁性セラミックスまたは絶縁コーティングにより電気抵抗値が10Ω・cm以上としたものを用いている。
また、電気抵抗値が10Ω・cm以上の転動体の数は多ければ多いほど良く、すべての転動体が電気抵抗値が10Ω・cm以上であることが好ましい。また、電気抵抗値は1010Ω・cm以上であることが好ましい。また、電気抵抗値の測定は2端子法による電気抵抗測定器により測定するものとする。
【0011】
電気抵抗値10Ω・cm以上の絶縁性の転動体を用いることにより、EMD電流または/および高周波循環電流が回転軸および転動体に伝わることを防ぐことができる。
このような絶縁性を有する転動体としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、酸化ケイ素、フッ素樹脂、エンジニアリング樹脂から選ばれる少なくとも1種以上を主成分とするものが挙げられる。
酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、酸化ケイ素の少なくとも1種を主成分とするセラミックスは、必要に応じ、焼結助剤を添加し、焼結したセラミックス焼結体が挙げられる。また、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、酸化ケイ素のセラミックス焼結体は、いずれも電気抵抗値10Ω・cm以上の絶縁体(絶縁性セラミックス焼結体)である。この絶縁性を低下させないように焼結助剤を選定するものとする。セラミックス焼結体の中で、酸化イットリウムを焼結助剤として使った窒化ケイ素焼結体は摺動特性が優れているので好ましい。
【0012】
また、電気抵抗値10Ω・cm以上の転動体としては、金属部材の表面に、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化クロム、フッ素樹脂、エンジニアリング樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の溶射膜を施したものも挙げられる。
金属部材では前述の通り電食現象が生じてしまうが、絶縁性の溶射膜を設けることにより、絶縁性セラミックス焼結体と同等の絶縁性を維持することができる。溶射膜の膜厚は2~300μmの範囲が好ましい。溶射膜の膜厚が2μm未満では膜?れが生じる可能性があり、300μmを超えるとそれ以上の効果が得られない。また、これら溶射膜は軸受鋼(SUJ2)となじみが良いので優れた接合強度が得られる。
【0013】
なお、絶縁性セラミックス焼結体と絶縁性溶射膜とを比較すると、溶射膜は成膜工程が必要であるため製造工程が煩雑である。また、膜厚の均一制御が必要である。従って、絶縁性セラミックス焼結体からなる転動体の方が好ましい。
図1に軸受の一例を示した。図中、1は軸受、2は転動体(ベアリングボール)、3は内輪、4は外輪である。内輪が回転軸に固定され軸受として機能する。また、外輪、内輪、回転軸は軸受鋼(SUJ2)により形成されている。
通常、軸受には転動体が8~20個使われている。前述のような絶縁性を有する転動体を少なくとも1個以上使えば、50Hz以上で稼働するインバータ近傍に使用される軸受において電食を抑制することができる。
また、複数個の転動体のうち、何個を絶縁性にすべきかについては、電気抵抗値が10Ω・cm以上の転動体の個数をP(個)、軸受の回転数をM(rpm)、インバータの駆動周波数をF(Hz)としたとき、P×M≧60F、を満たすことが好ましい。なお、軸受の回転数M(rpm)とは使用環境での最高回転数である。
【0014】
本発明においては、すべての転動体を電気抵抗値が10Ω・cm以上の絶縁性を具備するものを使うことが好ましい。しかしながら、絶縁性の転動体は軸受鋼(SUJ2)でできたものと比べて高価である。そのため、複数個の転動体のうち、一部を軸受鋼製転動体に置き換えるとコストダウンに効果的である。このとき、P×M≧60Fを満たす関係であれば電食を効果的に抑制することができる。
例えば、軸受の回転数Mが5000rpm、インバータの駆動周波数Fが200Hzのとき、P×5000≧60×200、P≧2.4、よって3個以上を電気抵抗値10Ω・cm以上のものにすれば電食を効果的に防ぐことができる。
【0015】
軸受に搭載される転動体(ベアリングボール)の数は任意ではあるが、通常8~20個の範囲内である。例えば、駆動周波数3000Hz、回転数5000rpmのとき、P×M≧60F→P×5000≧60×3000→P≧36となり、P値が転動体の個数以上になるときは、すべての転動体が電気抵抗値10Ω・cm以上の絶縁性転動体を使うものとする。
【0016】
また、電食が起きると内輪または回転軸といった転動体と接する箇所、または転動体自身が削れてしまう。その結果、安定した回転運動が提供できなくなる。また、安定した回転運動か否かの判定には回転時の音を測定する方法が効果的である。例えば、一定の回転速度における摺動音が電食されると摺動音が大きくなる。
また、インバータの駆動周波数が4000Hz以下であることが好ましい。絶縁性を有する転動体を使うことにより電食を効果的に防ぐことが可能となるが、あまり周波数が高くなり過ぎると転動体の絶縁性だけでは電食抑制効果が不十分になるおそれがある。そのため、絶縁性転動体を使うときは、駆動周波数50~4000Hzのインバータ近傍で使用する軸受に好適である。より好ましくは50~1000Hzである。
【0017】
インバータは、このような軸受と制御回路を組合せて構成される。制御回路には、AC/DCコンバータ、インバータ制御回路、スイッチング素子としてのサイリスタやIGBT素子などが挙げられる。インバータ制御回路は、PWM(パルス幅変調)駆動が一般的に用いられている。本発明のインバータ用軸受は電食の発生を抑制しているので、インバータ制御回路と軸受を、例えば1m以内の近傍に設置しても電食による影響を受け難い。従って、制御回路と軸受の配置による制約を受けない。そのため、エアコンディショナーや洗濯機などの家電から、電気自動車や鉄道車両など、様々な電器機器のインバータ近傍で適用できる。言い換えれば、電食による影響を受けない信頼性の高い電器機器を提供することができる。なお、1m以内の近傍とは、インバータモータの軸受およびインバータモータの近くに配置される軸受の両方を含むものとする。
【実施例
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を参照して説明する。
(実施例1~4、比較例1)
内輪(内径5cm)、外輪(外径8cm)に直径1cmの転動体(ベアリングボール)を8個組込んだインバータ用軸受を製造した。内輪および外輪は軸受鋼(SUJ2)で構成した。
転動体は、SUJ2製球体(電気抵抗値10Ω・cm)と、窒化ケイ素焼結体製球体(電気抵抗値1012Ω・cm以上)をそれぞれ用意し、表1に示す割合で用いた。
このようなインバータ用軸受をインバータモータに組込み電器機器用インバータモータを製造した。各インバータモータの電食試験を行った。軸受をインバータモータに組込んだ(インバータと軸受は1m以内に配置)。
インバータモータの電食の測定は、周波数100Hz、外輪側にて回転速度7000rpmで連続400時間稼動させた際に、マイクロフォン(ピックアップセンサー)で音の強さを測定し、そのセンサ出力が30dBを上回る場合を振動「有」とし、25dBを上回り30dB以下を振動「ややあり」、25dB未満の場合を振動「無」とした。なお、モータ稼働1時間後の摺動音はいずれも25dB未満であった。測定の結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
表1から分かる通り、本実施例の転がり軸受を用いた場合には、いずれの場合にも振動が低く抑えられ、電食も発生しなかったことが確認された。これは実施例に係る軸受は、P×M≧60Fとして、P×7000≧60×100からP≧0.9となる。よって、絶縁性転動体を1個以上使ったものはいずれも電食が防止された。
【0021】
(実施例5~8、比較例2)
内輪(内径8cm)、外輪(外径10cm)に直径1cmの転動体(ベアリングボール)を12個組込んだインバータモータ用軸受を製造した。内輪および外輪は軸受鋼(SUJ2)で構成した。
転動体は、SUJ2製球体(電気抵抗値10Ω・cm)と、窒化ケイ素焼結体製球体(電気抵抗値1012Ω・cm以上)をそれぞれ用意し、表2に示す割合で用いた。
次にインバータモータの駆動周波数を800Hz、回転速度を8000rpmに変えた以外は実施例1と同様のインバータモータを製造した。同様に振動の増加の有無で電食の有無を確認した。なお、軸受をインバータモータに組込んだ(インバータと軸受は1m以内に配置)。その結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
表から分かる通り、P×M≧60Fとして、P×8000≧60×800、P≧6、となる。この条件を満たす実施例6~8には電食は確認されなかったが、満たさない実施例5ではやや有となった。
【0024】
(実施例9~12)
実施例1において絶縁性転動体として、SUJ2に酸化アルミニウム溶射膜(膜厚3μm)を設けた電気抵抗値1010Ω・cm以上のものを用い、同様の測定を行った。なお、インバータモータと軸受は1m以内に配置した。その結果を表3に示す。
【0025】
【表3】
【0026】
絶縁性転動体として電気抵抗値1010Ω・cmのものであっても有効に活用できた。
【0027】
(実施例13~15)
窒化珪素焼結体(電気抵抗値1012Ω・cm以上)を実施例13、エンジニアリング樹脂(電気抵抗値1013Ω・cm)を実施例14、酸化クロム溶射膜(膜厚100μm)を施したSUJ2球(電気抵抗値10Ω・cm以上)を実施例15として表4に示す条件でインバータ用軸受を構成し、実施例1と同様の方法で電食の有無を測定した。転動体の直径は1cmに統一し、軸受は転動体の全個数が16個のものを用いた。なお、インバータモータと軸受は1m以内に配置した。その結果を表4に示す。
【0028】
【表4】
【0029】
P×M≧60Fから実施例13はP≧36、実施例14はP≧20、実施例15はP≧40となる。いずれもP値が転動体の全個数より大きいためすべてが絶縁性転動体でなければならなかった。
【符号の説明】
【0030】
1…軸受
2…転動体(ベアリングボール)
3…内輪
4…外輪
図1