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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】光反応装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/12 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
B01J19/12 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020531198
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2019024967
(87)【国際公開番号】W WO2020017246
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2018134050
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「創薬基盤推進研究事業」「技術供与のため、光フローハロゲン化技術の高度化実用化を目指した研究」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】特許業務法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 強
(72)【発明者】
【氏名】則常 雅彦
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特表平03-500531(JP,A)
【文献】特開2017-127283(JP,A)
【文献】特表2002-512209(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02248835(GB,A)
【文献】国際公開第2016/056371(WO,A1)
【文献】特表2004-523607(JP,A)
【文献】特開2003-200043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/12
B81B 7/02
C02F 1/30-32
C07B 61/00
C07C 209/80、253/30、255/50
C12M 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反応性化合物を含有する反応対象液を流しながら、前記反応対象液に光を照射することにより、光反応させる光反応装置において、
前記光を透過する第1板状部材と、前記第1板状部材と隙間をもって対面した第2板状部材とを有し、前記第1板状部材と前記第2板状部材とにより1組の対向した面が画定された扁平流路が内部に形成されている反応部と、
前記第1板状部材の前記第2板状部材側とは反対側に配され、前記光を射出する複数の光源が面状に配された光源ユニットと、
前記反応部の温度を光源ユニット側から調節する光源側温調機構と
を備え
前記光源側温調機構は、
前記第1板状部材の前記光源ユニット側に、前記第1板状部材と隙間をもって対面した状態で配され、かつ、前記光を透過する第3板状部材と、
前記第3板状部材と前記第1板状部材との間に伝熱媒体を供給する光源側供給部と、
を有する光反応装置。
【請求項2】
光反応性化合物を含有する反応対象液を流しながら、前記反応対象液に光を照射することにより、光反応させる光反応装置において、
前記光を透過する第1板状部材と、前記第1板状部材と隙間をもって対面した第2板状部材とを有し、前記第1板状部材と前記第2板状部材とにより1組の対向した面が画定された扁平流路が内部に形成されている反応部と、
前記第1板状部材の前記第2板状部材側とは反対側に配され、前記光を射出する複数の光源が面状に配された光源ユニットと、
前記反応部の温度を光源ユニット側から調節する光源側温調機構と
前記反応部の温度を前記光源ユニット側とは反対側から調節する背面側温調機構と、
を備え、
前記背面側温調機構は、
前記第2板状部材の前記第1板状部材とは反対側に、前記第2板状部材と隙間をもって対面した状態で配される第4板状部材と、
前記第2板状部材と前記第4板状部材との間に伝熱媒体を供給する背面側供給部と、
を有する光反応装置。
【請求項3】
前記第2板状部材は、前記光を反射する請求項1または2に記載の光反応装置。
【請求項4】
前記第1板状部材と前記第2板状部材とは、起立した姿勢で配される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光反応装置。
【請求項5】
前記扁平流路は、前記反応部の下部に前記反応対象液の供給口として開口し、かつ、前記反応部の上部に排出口として開口している請求項4に記載の光反応装置。
【請求項6】
前記扁平流路の前記反応対象液の流れ方向に直交する断面において、長手方向の長さをWPとし、短手方向の長さをTPとするときに、WP/TPで求める比が少なくとも3である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光反応装置。
【請求項7】
前記反応部の温度を前記光源ユニット側とは反対側から調節する背面側温調機構を備える請求項1に記載の光反応装置。
【請求項8】
前記背面側温調機構は、
前記第2板状部材の前記第1板状部材とは反対側に、前記第2板状部材と隙間をもって対面した状態で配される第4板状部材と、
前記第2板状部材と前記第4板状部材との間に伝熱媒体を供給する背面側供給部と、
を有する請求項7に記載の光反応装置。
【請求項9】
光反応性化合物を含有する反応対象液を流しながら、前記反応対象液に光を照射することにより、光反応させる光反応方法において、
前記光を透過する第1板状部材と、前記第1板状部材と隙間をもって対面した第2板状部材とにより1組の対向した面が画定された扁平流路を内部に備える反応部の前記扁平流路に、前記反応対象液を供給し、
前記扁平流路内を流れている前記反応対象液に対し、前記第1板状部材の前記第2板状部材側とは反対側に配され、前記光を射出する複数の光源が面状に配された光源ユニットにより前記光を照射し、
前記第1板状部材の前記光源ユニット側に、前記第1板状部材と隙間をもって対面した状態で配され、かつ、前記光を透過する第3板状部材と、前記第3板状部材と前記第1板状部材との間に伝熱媒体を供給する光源側供給部とを有する光源側温調機構により前記光源ユニット側から前記反応部の温度を調節する光反応方法。
【請求項10】
光反応性化合物を含有する反応対象液を流しながら、前記反応対象液に光を照射することにより、光反応させる光反応方法において、
前記光を透過する第1板状部材と、前記第1板状部材と隙間をもって対面した第2板状部材とにより1組の対向した面が画定された扁平流路を内部に備える反応部の前記扁平流路に、前記反応対象液を供給し、
前記扁平流路内を流れている前記反応対象液に対し、前記第1板状部材の前記第2板状部材側とは反対側に配され、前記光を射出する複数の光源が面状に配された光源ユニットにより前記光を照射し、
前記光源ユニット側から前記反応部の温度を調節し、
前記反応部の温度を前記光源ユニット側とは反対側から調節する背面側温調機構であって、前記第2板状部材の前記第1板状部材とは反対側に、前記第2板状部材と隙間をもって対面した状態で配される第4板状部材と、前記第2板状部材と前記第4板状部材との間に伝熱媒体を供給する背面側供給部とを有する前記背面側温調機構により前記光源ユニット側とは反対側から前記反応部の温度を調節する光反応方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光反応装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光の照射により光反応させる光反応装置として、光反応を連続的に行う装置が知られている。この装置は、光反応性化合物を含有する反応対象液を流しながら、流れている反応対象液に光を照射することにより、光反応を行う。
【0003】
例えば、特許文献1にはマイクロ反応器と、非原料ガスを供給するガス供給部と、液体原料を供給する液体原料供給部とを備え、光分解反応を行う装置が記載されている。マイクロ反応器は、内面に光触媒層が設けられ、液体原料が流れるマイクロ流路を備える。マイクロ流路は、光透過性材料により構成され、断面が矩形、円形、楕円、または多角形などである。マイクロ流路は、流路径が10~2000μmであり、断面が矩形の場合の長辺の長さ/短辺の長さ、及び断面が円の場合の長直径/短直径は、1~20程度とされている。
【0004】
特許文献2の光反応装置は、ポーラスシリコンの層がマイクロ流路の内面に設けられた反応部と、マイクロ流路に原料液体を送り込む送り込み手段と、ポーラスシリコン層に光を照射する光照射手段とを備える。マイクロ流路は数10~数1000μm程度の微細な径の流路とされており、幅50μm~1000μm、深さ10μm~1000μmが好ましいと記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、チューブが螺旋状に巻き付けられている透明で円筒状の内部容器と、円筒容器に接触しないように配される光源と、内部容器と光源との間に配される冷却管とを備える光反応装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-233606号公報
【文献】特開2011-161416号公報
【文献】特開2009-219947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3のいずれの装置においても処理量を増加させる場合には、光反応に必要な照射時間を確保しながら反応対象液の流量を大きくするために、光源を大きくし、かつ、マイクロ流路またはチューブを長くするといった装置の大型化が必要になる。しかし、この手法は圧力損失が大きくなってしまうため、処理量の向上には限界がある。
【0008】
そこで、本発明は、装置の大型化を抑えながらも処理量が向上する光反応装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、反応部と、光源ユニットと、光源側温調機構とを備え、光反応性化合物を含有する反応対象液を流しながら、反応対象液に光を照射することにより、光反応させる。反応部は、光を透過する第1板状部材と、第1板状部材と隙間をもって対面した第2板状部材とを有する。反応部は、第1板状部材と第2板状部材とにより1組の対向した面が画定された扁平流路が内部に形成されている。光源ユニットは、第1板状部材の第2板状部材側とは反対側に配されており、光を射出する複数の光源が面状に配されている。光源側温調機構は、反応部の温度を光源ユニット側から調節する。光源側温調機構は、第3板状部材と、光源側供給部とを有する。第3板状部材は、第1板状部材の光源ユニット側に、第1板状部材と隙間をもって対面した状態で配され、かつ、光を透過する。光源側供給部は、第3板状部材と第1板状部材との間に伝熱媒体を供給する。
【0010】
また、本発明は、反応部と、光源ユニットと、光源側温調機構と、背面側温調機構とを備え、光反応性化合物を含有する反応対象液を流しながら、反応対象液に光を照射することにより、光反応させる。反応部は、光を透過する第1板状部材と、第1板状部材と隙間をもって対面した第2板状部材とを有する。反応部は、第1板状部材と第2板状部材とにより1組の対向した面が画定された扁平流路が内部に形成されている。光源ユニットは、第1板状部材の第2板状部材側とは反対側に配されており、光を射出する複数の光源が面状に配されている。光源側温調機構は、反応部の温度を光源ユニット側から調節する。背面側温調機構は、反応部の温度を光源ユニット側とは反対側から調節し、第2板状部材の第1板状部材とは反対側に、第2板状部材と隙間をもって対面した状態で配される第4板状部材と、第2板状部材と第4板状部材との間に伝熱媒体を供給する背面側供給部とを有する。
【0011】
第2板状部材は、光を反射することが好ましい。
【0012】
第1板状部材と第2板状部材とは、起立した姿勢で配されることが好ましい。
【0013】
扁平流路は、反応部の下部に反応対象液の供給口として開口し、かつ、反応部の上部に排出口として開口していることが好ましい。
【0014】
扁平流路の反応対象液の流れ方向に直交する断面において、長手方向の長さをWPとし、短手方向の長さをTPとするときに、WP/TPで求める比が少なくとも3であることが好ましい。
【0015】
反応部の温度を光源ユニット側とは反対側から調節する背面側温調機構を備えることが好ましい。
【0016】
背面側温調機構は、第4板状部材と、背面側供給部とを有することが好ましい。第4板状部材は、第2板状部材の第1板状部材とは反対側に、第2板状部材と隙間をもって対面した状態で配される。背面側供給部は、第2板状部材と第4板状部材との間に伝熱媒体を供給する。
【0017】
本発明の光反応方法は、光反応性化合物を含有する反応対象液を流しながら、反応対象液に光を照射することにより、光反応させる。光反応方法は、反応部の内部に備えられる扁平流路に反応対象液を供給し、扁平流路内を流れている反応対象液に光を照射し、第1板状部材の光源ユニット側に、第1板状部材と隙間をもって対面した状態で配され、かつ、光を透過する第3板状部材と、第3板状部材と第1板状部材との間に伝熱媒体を供給する光源側供給部とを有する光源側温調機構により光源ユニット側から反応部の温度を調節する。扁平流路は、光を透過する第1板状部材と、第1板状部材と隙間をもって対面した第2板状部材とにより1組の対向した面が画定されている。光は、第1板状部材の第2板状部材側とは反対側に配され、光を射出する複数の光源が面状に配された光源ユニットにより、反応対象液に照射される。また、本発明の光反応方法は、第2板状部材の前記第1板状部材とは反対側に、第2板状部材と隙間をもって対面した状態で配される第4板状部材と、第2板状部材と第4板状部材との間に伝熱媒体を供給する背面側供給部とを有する背面側温調機構により前記光源ユニット側とは反対側から前記反応部の温度を調節する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、装置の大型化を抑えながらも処理量が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】光反応装置の概略斜視図である。
図2】光源の平面図である。
図3】光反応装置の一部断面図であり、(A)は反応対象液の流れ方向に直交する断面図であり、(B)は反応対象液の流れ方向に沿った断面図である。
図4】扁平流路の説明図である。
図5】比WP/TPと収率との関係を示すグラフである。
図6】光反応装置の説明図である。
図7】別の光反応装置の説明図である。
図8】別の光反応装置の説明図である。
図9】光反応の例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1において、本発明の一実施形態である光反応装置10は、光反応性化合物を含有する反応対象液11(図3参照)を流しながら、反応対象液11に光を照射することにより、光反応を連続的に行う。光反応装置10は、光源ユニット13と、反応ユニット14とを備える。
【0021】
光源ユニット13は、反応対象液11に光を照射するためのものである。光源ユニット13は、板状に形成されており、一方の表面13aが光を射出する射出面となっている。以下、射出面に符号13aを付す。光源ユニット13は、射出面13aが、反応対象液11を流す方向(以下、流れ方向と称する)Xと平行となる状態に配する。この例では、流れ方向Xを鉛直方向上向きとしているので、射出面13aが鉛直方向となる状態に光源ユニット13を垂直に起立した姿勢(垂直姿勢)で設けてある。光源ユニット13の詳細は、別の図面を参照して後述する。なお、流れ方向Xに直交する方向を幅方向Yとし、流れ方向Xと幅方向Yとの両方に直交する方向を厚み方向Zとする。
【0022】
反応ユニット14は、ユニット本体21と、送液部22と、回収部23と、冷却器24とを備える。ユニット本体21は概ね直方体状に形成されているが、形状はこの例に限定されない。ユニット本体21のハウジング27には、光源ユニット13からの光を内部へ案内するための開口27aが形成されている。ユニット本体21は、開口27aが光源ユニット13と対向する状態に、配される。なお、開口27aは矩形としているが、開口の形状はこの例に限られない。
【0023】
ユニット本体21の内部には、反応対象液11と水28(図3参照)との各流路が形成されている。送液部22と回収部23とはユニット本体21に接続しており、送液部22は反応対象液11をユニット本体21へ供給し、回収部23は光反応を経た反応対象液11をユニット本体21から回収する。この例では、反応対象液11の流れ方向Xを前述のように鉛直方向上向きとしているから、送液部22はユニット本体21の下部、具体的にはハウジング27の底面に形成された供給口S1に、回収部23はユニット本体21の上部、具体的にはハウジング27の天面に形成された排出口D1(図3(B)参照)に、接続させている。
【0024】
冷却器24は、配管L1~配管L6によりユニット本体21と接続している。冷却器24は、水28をユニット本体21へ供給し、ユニット本体21を経た水28を回収し、冷却した後に再びユニット本体21へ供給する。このように、冷却器24は、水28をユニット本体21へ供給する供給部と、ユニット本体21から回収する回収部と、冷却する冷却部との機能を併せもつ。これにより、水28は冷却器24とユニット本体21とを循環し、この循環によりユニット本体21内における反応対象液11は温度を調節されるから、光が照射され続けてもユニット本体21の温度が上昇せず、光反応がより進みやすい。なお、反応ユニット14の詳細については、別の図面を用いて後述する。
【0025】
冷却器24に接続している配管L1は、分岐部PS1において配管L2と配管L3とに分岐している。配管L2はユニット本体21の光源ユニット13側に、配管L3はユニット本体21の光源ユニット13側とは反対側(以下、背面側と称する)に接続している。配管L2及び配管L3の接続位置は、光源ユニット13の下部であることが好ましく、本例でもそのようにしている。ハウジング27の下部に形成されている供給口S2と供給口S3(図3参照)とは、配管L5と配管L6との接続部である。
【0026】
また、冷却器24に接続している配管L4は、分岐部PS2において配管L5と配管L6とに分岐している。配管L5はユニット本体21の光源ユニット13側に、配管L6はユニット本体21の背面側に接続している。配管L5及び配管L6の接続位置は、光源ユニット13の上部であることが好ましく、本例でもそのようにしている。ハウジング27の上部に形成されている排出口D2と供給口D3(図3参照)とは、配管L4と配管L5との接続部である。
【0027】
図2に示すように、光源ユニット13は、複数の光源17と、これら光源17を支持する支持板18とを有する。支持板18の一面に複数の光源17が面状に配されることにより、面状の射出面13aが形成されており、本例の射出面13aは平面状である。なお、この例では、各光源17が支持板18に埋め込まれ、各光源17と支持板18とが面一となっている。しかし、光源17の支持板18への設置態様は、射出面13aを面状に形成していればこの例に限られず、例えば、各光源17は支持板18の表面から突出した状態に設けられていてもよい。
【0028】
光源17は、この例ではLED(Light Emitting Diode,発光ダイオード)であり、複数の光源17は図2に示すように正方配列としている。しかし、光源は、LEDに限られず、光反応させる光反応性化合物に応じて適宜選択される。光源は、例えば、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどでもよい。複数の光源17は、正方配列に限られず、例えばマトリックス配列などの他の規則的な配列でもよいし、不規則な配し方であってもよい。また、光源17は、図2においては、列数(紙面横方向)を16列、行数(紙面縦方向)を15行として描いてあるが、光源17の列数及び行数もこの例に限定されない。光源ユニット13は、各光源17のオンとオフ及びオンの場合の出力調節を行うコントローラ(図示無し)を備えており、反応対象液11に対する照度を調節する。
【0029】
幅方向Yにおける射出面13aの光が射出される領域の長さ(以下、射出幅と称する)WEは、特に限定されない。しかし、反応ユニット14における受光領域をより大きく確保する観点では、幅方向Yにおける開口27aの長さ(以下、開口幅と称する)W27a(図1参照)と同じまたは開口幅W27aよりも大きいことが好ましく、この例では開口幅W27aよりも大きくしている。なお、本例では、幅方向Yに並んだ複数の光源17の一端のひとつから他端のひとつまでの長さを射出幅WEとしている。
【0030】
図3に示すように、反応ユニット14は、反応対象液11及び/または水28の流路を形成するための板状の部材及びハウジング27等が組み合わされて構成されている。具体的には、光源ユニット13側から、第3板状部材43、第1板状部材41、第2板状部材42、第4板状部材44の順で配され、互いに隙間をもって対面しており、互いに平行な状態、かつ垂直姿勢でハウジング27の内部に設けられている。なお、互いの対向面のなす角が0.06°以内であれば平行と見なしてよい。第1板状部材41~第4板状部材44は、反応対象液11及び/または水28の流路を形成するためのものであり、そのため、反応対象液11及び/または水28が漏れ出さない状態に、ハウジング27の内壁に固定されている。また、第1板状部材41~第4板状部材44は、反応対象液11及びまたは水28の圧力によって破壊しない十分な強度としている。
【0031】
第1板状部材41と第2板状部材42とは、反応対象液11を平面状(平膜状)に流すためのものであり、ハウジング27とともに、反応対象液11を反応させる反応部47を構成する。隙間をもって互いに対面している第1板状部材41と第2板状部材42とは、XY平面におけるサイズが概ね同じに形成されており、幅方向Yにおける長さよりも互いの間隔が小さく、これにより、断面が扁平な扁平流路P1を反応対象液11の流路として反応部47の内部に形成している。したがって、扁平流路P1は幅方向Yにおける長さ(以下、流路幅と称する)WPが厚み方向Zにおける長さ(以下、流路厚みと称する)TPよりも大きい面状(平面状)の流路となっている。このように、第1板状部材41と第2板状部材42とは、扁平流路P1の1組の対向面を画定し、互いの対向面41a,42aとハウジング27の内壁面とが扁平流路P1の壁面となっている。
【0032】
前述の供給口S1と排出口D1とは、図3(B)に示すように、第1板状部材41と第2板状部材42との間に形成されている。供給口S1と排出口D1とは幅方向Yに延びたスリット状に形成されており、これらの開口面積(YZ平面での面積)及び形状は、扁平流路のYZ平面における断面の面積及び形状と同じにしてある。これにより、反応対象液11の流れは幅方向Yに延びた形状に成形され、扁平流路P1に案内された後、扁平流路P1から排出される。なお、この例では、供給口S1により、反応対象液11の幅方向Yに延びた形状に成形しているが、供給口S1よりも上流、すなわち送液部22側で幅方向Yに延びた形状に成形してもよい。
【0033】
第1板状部材41と第2板状部材42とハウジング27とで囲まれる扁平流路P1には、例えば流れ方向Xに延びた部材など、扁平流路P1を仕切る仕切り部材は設けられていない(非設置)。つまり扁平流路P1はひとつの空間として形成されており、これにより、反応対象液11は、流れを幅方向Yで分割されることなく反応部47の内部を流れる。扁平流路P1の内部に仕切り部材がある場合に比べて、仕切り部材の体積分の容積が反応対象液11の流れ領域として確保され、すなわち体積効率が高い。また、仕切り部材がある場合には、仕切り部材近傍における反応対象液11の流速の減少があるが、扁平流路P1は仕切り部材が非設置であるから仕切り部材に起因する流速の減少が無い。このように、装置の大型化が抑えられながらも大きな処理量が確保される。
【0034】
扁平流路P1よりも光源ユニット13側に配される第1板状部材41と第3板状部材43とは、光源17からの光を透過する素材から形成されている。
【0035】
第1板状部材41と第3板状部材43との素材は、光源ユニット13からの光を透過するものであれば特に限定されない。例えば、ガラス、アクリル樹脂、塩化ビニルなどが挙げられる。特に第1板状部材41は、反応対象液に侵されない素材とし、本例では第1板状部材41と第3板状部材43とは、ともにガラスとしている。
【0036】
光源ユニット13からの光が扁平流路P1の幅方向Yにおいて全域かつ均一に照射されるために、扁平流路P1の流路幅WPは開口幅W27a以下であることが好ましく、本例では開口幅W27aと同じにしてある。
【0037】
第2板状部材42は、第1板状部材41同様に反応対象液に侵されない素材で形成しており、さらに、光源ユニット13からの光を反射する素材で形成されていることが好ましい。本例でもそのようにしており、具体的には、ハステロイ(登録商標)で形成している。なお、第2板状部材42は、少なくとも対向面42aが光を反射すればよい。したがって、例えば第2板状部材42を厚み方向Zにおいて複層の構造とし、対向面42aを成す層に光を反射する素材を用いてもよい。このような例として、例えば、対向面42aを成す素材に鏡面をもつアルミ箔などを用いる態様がある。なお、扁平流路P1を画定するハウジング27の内面も同様に、光を反射する素材で形成することが好ましい。
【0038】
第1板状部材41の光源ユニット13側に配された第3板状部材43と、第2板状部材42の背面側に配された第4板状部材44とは、前述の冷却器24(図1参照)とともに、反応部47の温度を調節する温調機構48(図1参照)を構成している。第3板状部材43と冷却器24とは、光源ユニット13側から調節する光源側の温調機構(以下、光源側温調機構と称する)である。また、第4板状部材44と冷却器24とは、背面側から調節する背面側の温調機構(以下、背面側温調機構と称する)である。
【0039】
このように、この例では、ひとつの冷却器24が光源側温調機構と背面側温調機構とのいずれも構成しているが、光源側温調機構と背面側温調機構とを、それぞれ別個の冷却器で構成してもよい。そのため、冷却器の個数等に応じて、冷却器とユニット本体21とを接続する配管の態様は適宜変更され、個々の冷却器により第3板状部材43と第1板状部材41との間及び第4板状部材44と第2板状部材42との間に水28が供給される。なお、冷却器24を加熱器(図示無し)に置き換えてもよく、冷却器24と加熱器とは対象とする反応の必要温度によって使い分ければよい。
【0040】
第3板状部材43は、第1板状部材41と隙間をもって対面した状態で配されることにより、互いの隙間に水28の流路(以下、水流路と称する)P2を、扁平流路P1と同様に扁平に形成している。第4板状部材44も同様に、第2板状部材42と隙間をもって対面した状態で配されることにより、互いの隙間に水流路P3を扁平に形成している。第2板状部材42と第4板状部材44とハウジング27との各下部には貫通孔が水28の供給口S2,S3として、及び第2板状部材42と第4板状部材44とハウジング27との各上部には貫通孔が水28の排出口D2,D3としてそれぞれ形成されている。水流路P2は供給口S2と排出口D2と接続し、水流路P3は供給口S3と排出口D3とに接続する。水流路は、この例に限られず、例えばチューブ(図示無し)を第1板状部材41の光源側表面に接した状態に配し、チューブ内を水流路としてもよい。
【0041】
ハウジング27は、背面側にも開口27aと同様の開口27bが形成されている。しかし、この例では光の照射に背面側は寄与しないから、開口27bは無くてもよいし、第4板状部材44をハウジング27と一体に形成していてもよい。
【0042】
水流路P2と水流路P3との流路幅WP、流路厚みTP、及び流路長LPは特に限定されない。ただし、反応部47内をより確実に温度調節する観点では、流路幅WP及び流路長LPは、扁平流路P1の流路幅WP及び流路長LPと同じまたはそれらよりも大きくすることが好ましい。本例では、水流路P2と水流路P3とは同容積に形成しており、これらは、流路幅WPが扁平流路P1よりも大きく、流路長LPが扁平流路と同じにしている。なお、図3においては、図の煩雑化を避けるため、流路幅WPと流路厚みTPと流路長LPとは、扁平流路P1についてのみ図示してある。
【0043】
扁平流路P1の流路厚みTPは、0.1mm以上20mm以下の範囲内であることが好ましい。扁平流路P1の流路厚みTPは、0.5mm以上10mm以下の範囲内であることがより好ましく、1mm以上6mm以下の範囲内であることがさらに好ましい。なお、本例では扁平流路P1の流路厚みTPを6mmとしている。
【0044】
扁平流路P1の流路長LPを流路幅WPで除した値、すなわちLP/WPで求める比は、大きくとも300であることが好ましい。LP/WPで求める比は大きくても100以下であることがより好ましく、大きくても50であることがさらに好ましい。なお、本例では32としている。
【0045】
水28は、伝熱媒体の一例である。伝熱媒体の他の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0046】
第2板状部材42の対向面42aとハウジング27の扁平流路P1を画定する内壁面とが、光を反射しない場合、または反射率が低い場合には、扁平流路P1のうち、図4に示すように対向面42a及びハウジング27の内壁面に近いほど、光の照射量が小さい領域(以下、低照射領域と称する)ALとなる。すなわち、幅方向Yの端部のうち、厚み方向Zにおいて射出面13aから遠い領域ほど、光の照射量が小さくなる。この低照射領域ALの幅方向Yにおける長さ(以下、低照射領域幅と称する)WLは、流路厚みTPを一定とした場合には、一定である。そのため、流路幅WPが大きいほど、流路幅WPに対する低照射領域幅WLの割合WL/WPは小さく、よって、扁平流路P1を流れる反応対象液11により多くの照射量で光が照射されるから好ましい。なお、図4においては、便宜上、ユニット本体21のうち第2板状部材42とハウジング27の一部のみを描いており、また、供給口S1と排出口D1との図示は略してある。
【0047】
さらに、扁平流路P1の幅方向Yにおける各端部では、反応対象液11はハウジング27の内壁面の抵抗を受けた状態で流れる。そのため、幅方向Yにおける端部では、一方の端部と他方の端部との間の中央部よりも流速が小さくなる。したがって、扁平流路P1のうち、壁面の抵抗を受ける領域の割合を小さくするほど、処理量が大きくなり、また、流速が幅方向Yにおいて均一な領域の割合が大きいことになるから目的とする生成物の収率も高くなる。
【0048】
そこで、上記の低照射領域幅WLと、幅方向Yにおける端部の抵抗との影響をできるだけ小さくするために、WP/TPで求める比は少なくとも3であることが好ましく、本例では10.4としている。WP/TPで求める比は、3以上1000以下の範囲内であることがより好ましく、上記の各影響をより確実に抑える観点で、5以上750以下の範囲内であることがさらに好ましく、10以上500以下の範囲内であること特に好ましい。
【0049】
上記構成の作用を説明する。送液部22により供給される反応対象液11は、ユニット本体21の第1板状部材41と第2板状部材42との間を、この例では鉛直方向上向きを流れ方向Xとして流れる。扁平流路P1は、射出面13aと平行の面状の流路であるから、反応対象液11の流れは射出面13aに対面した平面状(平膜状)となっている。そのため、チューブ内を流すなどのような従来の手法に比べて、装置の大型化を避けながらも、より大流量で反応対象液11を流すことができるから、光反応させる反応対象液11の処理量が多くなる。また、平面状の流れに対して光が面状に照射されるから、扁平流路P1を通過する間の反応対象液11の全域において光反応が進み、その結果、光反応により得られる生成物の収率も向上する。
【0050】
例えば、扁平流路P1と同体積中に、チューブを面状に敷き詰めた場合と比べて、扁平流路P1はチューブ自体が占める体積分大きな容積をもつから、その分、流量が多く確保される。さらに、長いチューブの内壁の抵抗を受けずに済むから、圧力損失も小さくなり、大きな流速が確保され、かつ、扁平流路P1内での反応対象液11の流速はチューブ内での流速に比べて均一である。なお、扁平流路P1の流路幅WPを62.5mm、流路厚みTPを6mm、流れ方向Xにおける長さ(以下、流路長と称する)LPを2000mmとした扁平流路P1での処理量と、これと同体積中に面状に敷き詰めたチューブ(内径が4mm、厚みが1mm)での処理量とを、光反応の反応率が概ね同じになる状態において比較したところ、前者は後者の約2.9倍であることが確認されている。
【0051】
第1板状部材41と第2板状部材42とが起立した姿勢、具体的には垂直姿勢であり、さらには下部から反応対象液11が供給されるから、扁平流路P1の空気が排出口D1から排除されやすい。例えば、反応対象液11の供給を開始した場合には、扁平流路P1内にあった空気が反応対象液11の液面の上昇に伴い抜けやすく、また、扁平流路P1内の反応対象液11に気泡があっても気泡がぬけやすい。そのため、気泡の混在によって反応対象液の流れが乱れることも抑制される。
【0052】
第3板状部材43と第1板状部材41とは光を透過するから、第1板状部材41の第2板状部材42側とは反対側に配された光源ユニット13からの光は、開口27aにおいて露呈した第3板状部材43と、さらには第1板状部材41とを介して、扁平流路P1を通過中の反応対象液11に照射される。互いに対向する射出面13aと反応対象液11の流れとはともに面状に形成されているから、反応対象液11の全体にわたり光が効果的に照射され、これにより光反応が確実に進む。
【0053】
第2板状部材42は光を反射するから、扁平流路P1内の反応対象液11を透過した光が第2板状部材42の対向面42aで反射し、再び反応対象液11に照射される。その結果、光反応がより進みやすい。
【0054】
冷却器24で温度調節された水28は供給口S2,S3から水流路P2,P3に案内され、平面状(平膜状)に流れた後に、排出口D2,D3から排出される。排出された水28は、再び冷却器24により温度を調節される。水流路P2は、扁平流路P1と同様に扁平な流路として形成されているから、水28の流量がより大きく確保されるから、反応部47がより効果的に冷却される。
【0055】
第3板状部材43と第4板状部材44とが第1板状部材41と第2板状部材42と同様に垂直姿勢であるから、水流路P2、P3の空気が排出口D2,D3から排除されやすい。そのため、冷却効果がより確実に維持される。
【0056】
比WP/TPで求める比が3以上であるから、光反応がより効果的に進み、高い収率で目的とする生成物が得られる。なお、図5に示すように、比WP/TPと収率との間には相関性がある。比WP/TPが0に近い場合には、収率が極めて低く、比WP/TPが大きくなるに従い収率は漸増し、やがて微増または一定になる。漸増する収率が一定になる比WP/TPが3である。したがって、比WP/TPは3以上であることが好ましいと言える。
【0057】
扁平流路P1の流路厚みTPが1mm以上であるから、1mm未満である場合に比べて、流量が大きくても低い圧力損失で処理することができる。また、扁平流路P1の流路厚みTPが20mm以下であることにより、20mmを超える場合に比べて、扁平流路P1の最深部(射出面13aからの距離が最も大きい箇所)まで十分な照度で光が照射される。また、扁平流路P1はLP/WPが300以下であるから、300を超える場合に比べて、流量が大きくても低い圧力損失で処理することができる。
【0058】
上記の例は、第1板状部材41及び第2板状部材42を垂直姿勢で配した場合であるが、垂直姿勢に限られず、水平姿勢でもよい。ただし、前述の空気の排除効果を得る観点では、起立した状態である方が水平姿勢であるよりも好ましい。具体的には、図6に示すように、第1板状部材41と水平ラインHLとのなす角θ(ただし、0°≦θ≦180°,単位は°である)は0°<θ<180°であることが好ましく、0°<θ≦90°であることがより好ましい。第2板状部材42は第1板状部材41と平行に配するから、第2板状部材42の水平ラインHLとのなす角も上記なす角θと同じである。また、第3板状部材43,第4板状部材44,光源17の射出面13aのそれぞれと水平ラインHLとのなす角も上記なす角θと同じである。なお、上記なす角θは、図6に示すように、第1板状部材41の背面側表面と水平ラインHLとのなす角である。
【0059】
上記の例では、光源ユニット13からの光すなわち照射光を反射する第2板状部材42を用いているが、光を透過する第2板状部材を用いてもよい。図7のユニット本体61は、第2板状部材42の代わりに、照射光を透過する第2板状部材62を備える。なお、図7においては、前述の例と同じ部材等については同じ符号を付し、説明を略す。
【0060】
本例の第2板状部材62は、第1板状部材41及び第3板状部材43と同様にガラス製である。さらにユニット本体61は、照射光を反射する反射板を第2板状部材62の背面側に設けており、これにより扁平流路P1を流れる反応対象液11に対する照射量を向上させている。なお、反射板の代わりに、例えば前述のアルミ箔などを用いてもよい。この場合には、第4板状部材44は、反射板63の背面側表面と隙間をもって設けるから、第2板状部材62との間にも反射板63を介して隙間を設けてあることになる。このようにして、第4板状部材44は反射板63を介して第2板状部材62との間に水流路P3を形成する。
【0061】
上記の各例は、扁平流路P1に対して一方向から光を照射する例であるが、光は複数の方向から照射してもよい。例えば、背面側からも光を照射する態様もある。図8に示す光反応装置70は、ユニット本体21の代わりにユニット本体71を備え、かつ、2つの光源ユニット13A,13Bを備える。光源ユニット13A,13Bのそれぞれは、光源ユニット13と同じであるので、説明は略す。以下の説明において、これら2つの光源ユニットを区別しない場合には光源ユニット13と記載する。また、図8においては、前述の例と同じ部材等については同じ符号を付し、説明を略す。
【0062】
ユニット本体71は、ユニット本体21における第2板状部材42の代わりに前述の第2板状部材62を備え、第4板状部材44の代わりに第4板状部材74を備える。この例では、ハウジング27の開口27aに加えて開口27bも光を扁平流路P1に案内するための開口として利用する。光源ユニット13Aと開口27aとが対向する状態に、かつ、光源ユニット13Bと開口27bとが対向する状態に、ユニット本体71と光源ユニット13Aと光源ユニット13Bとが配される。
【0063】
本例の第4板状部材74は、第1板状部材41及び第3板状部材43と同様にガラス製である。第4板状部材74のこれ以外の構成は、第4板状部材44と同様である。第4板状部材74は、第2板状部材42に隙間をもって対面する第4板状部材44と同様に、第2板状部材62に隙間をもって対面している。これにより、水流路P3が第2板状部材62と第4板状部材74とにより扁平に形成される。
【0064】
光の照射量が上記の各例の2倍になるから、光反応の進み具合の観点では、この例の扁平流路P1の流路厚みTPは上記の各例の2倍である0.2mm以上40mm以下の範囲内であってもよい。
【0065】
上記の光反応装置は、各種の光反応に用いることができる。光反応の例としては、ハロゲン化、還元、環化、クロスカップリング、トリフルオロメチル化などがある。
【0066】
ハロゲン化としては、例えば図9に示す光反応が一例として挙げられる。この反応では、まず、光反応化合物としてのo-トルニトリルを試薬としてのN-ブロモスクシンイミド(NBS)と共に、溶媒としてのアセトニトリルに溶解することにより反応対象液11とする。この反応対象液11を、20℃に温度を調節しながら波長が365nmの光をLEDにより照射する。光反応装置10を用いることにより反応生成物としてのα-ブロモ-o-トルニトリルが81%の収率で得られる。
【符号の説明】
【0067】
10 光反応装置
11 反応対象液
13 光源ユニット
13a 射出面
14 反応ユニット
17 光源
18 支持板
21,61,71 ユニット本体
22 送液部
23 回収部
24 冷却器
27 ハウジング
27a 開口
28 水
41 第1板状部材
42,62 第2板状部材
43 第3板状部材
44,74 第4板状部材
47 反応部
48 温調機構
63 反射板
AL 低照射領域
D1~D3 排出口
LP 流路長
P1 扁平流路
P2,P3 水流路
S1~S3 供給口
TP 流路厚み
W27a 開口幅
WE 射出幅
WP 流路幅
X 流れ方向
Y 幅方向
Z 厚み方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9