(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】冷却装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20220519BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20220519BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220519BHJP
B65H 29/52 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G15/20 505
G03G15/00 460
B65H29/52
(21)【出願番号】P 2018067357
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】緑川 瑠樹
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-343879(JP,A)
【文献】特開2007-131380(JP,A)
【文献】特開2006-293134(JP,A)
【文献】特開2003-223092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0206408(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/20
G03G 15/00
B65H 29/52
G03G 15/16
G03G 15/08
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの搬送路に対向して設けられ、搬送路へ風を送るためのダクトと、ダクトを
、送気口が搬送路に
向くように対向する対向位置と、
前記送気口が向いていた搬送路から退避した退避位置との間で移動させる移動機構と、シートの搬送路を開放する開閉カバーとを有する冷却装置において、
前記ダクトは前記開閉カバーと別体であり、前記開閉カバー
の開閉の回動支点とは異なる支点で前記開閉カバーとは独立して
前記ダクトを移動可能なように、前記移動機構を構成したことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
請求項1の冷却装置であって、
互いに相対向しながら互いの間の搬送路部分を通過するシート材の互いに逆の面に向けて風を送る二つの前記ダクトを設け、これら前記ダクトの一方を前記移動機構によって移動させるようにしたことを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
シートの搬送路に対向して設けられ、搬送路へ風を送るためのダクトと、ダクトを搬送路に対向する対向位置と退避位置との間で移動させる移動機構と、シートの搬送路を開放する開閉カバーとを有する冷却装置において、
前記ダクトを前記開閉カバーとは独立して移動可能なように、前記移動機構を構成し、
互いに相対向しながら互いの間の搬送路部分を通過するシート材の互いに逆の面に向けて風を送る二つの前記ダクトを設け、これら前記ダクトの一方を前記移動機構によって移動させるようにしたことを特徴とする冷却装置。
【請求項4】
請求項2又は3の冷却装置において、
二つの前記ダクトのそれぞれに、風を送り出すための複数の送風口を設け、且つ互いの前記ダクトの送風口の位置をずらしたことを特徴とする冷却装置。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか一の冷却装置において、
前記ダクトに対して気流移動方向の上流側で連通する連通管に、送り込まれてくる気流を受け入れる受入部と、前記受入部から分岐して一方の前記ダクトに連通する第一連通部と、前記受入部から分岐して他方の前記ダクトに連通する第二連通部とを設けたことを特徴とする冷却装置。
【請求項6】
請求項1
乃至5の何れか一の冷却装置であって、
前記開閉カバーが、シートの片面または両面をガイドするガイド部材を有するものであることを特徴とする冷却装置。
【請求項7】
請求項
6の冷却装置であって、
前記ガイド部材が、搬送路において前記ダクトとの対向位置よりもシート搬送方向下流側の位置でシートをガイドするものであり、
前記移動機構が、前記ダクトを前記対向位置から前記退避位置に移動させる過程で、前記ダクトのうちの搬送路に対向する部位をシート搬送方向下流側へ移動させるものであることを特徴とする冷却装置。
【請求項8】
請求項1
乃至7の何れか一の冷却装置において、
前記ダクトに対して気流移動方向の上流側で連通する連通管と、前記ダクトとのうち、少なくとも何れか一方における連通口の周囲に弾性部材を固定し、前記移動機構によって前記ダクトを前記退避位置から前記対向位置に移動させるのに伴って、前記ダクトと、前記移動機構によって移動されない前記連通管とを、前記弾性部材を介して連結させるようにしたことを特徴とする冷却装置。
【請求項9】
請求項
8の冷却装置において、
前記ダクトを付勢手段によって付勢して、前記ダクトと前記連通管との間に介在する前記弾性部材を押圧するように、前記移動機構を構成したことを特徴とする冷却装置。
【請求項10】
請求項
9の冷却装置において、
前記付勢手段によって付勢される前記ダクトを突き当てられて位置決めする位置決め部材を設けたことを特徴とする冷却装置。
【請求項11】
請求項1
乃至10の何れか一の冷却装置において、
前記ダクトの外形を、前記ダクトの近傍でシート材に搬送力を付与する搬送ローラの曲面に沿って湾曲させた形状にしたことを特徴とする冷却装置。
【請求項12】
請求項1
乃至11の何れか一の冷却装置において、
前記ダクトにおける前記搬送路との対向面をシート材の搬送方向に沿わせて延在させたことを特徴とする冷却装置
。
【請求項13】
請求項1
乃至12の何れか一の冷却装置において、
前記開閉カバーを回動可能に保持する保持体を設け、前記開閉カバーの回動軸線よりも前記ダクトに近い位置にある回動軸線を中心にして前記ダクトを回動させて前記対向位置と前記退避位置との間で移動させるように、前記移動機構を構成したことを特徴とする冷却装置。
【請求項14】
シート材に画像を記録する画像記録手段と、これによって記録された画像をシート材に定着せしめる定着手段と、定着手段から送り出されたシート材を冷却する冷却手段とを備える画像形成装置において、
前記冷却手段として、請求項1
乃至13の何れか一の冷却装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、次のような冷却装置を搭載した画像形成装置が知られている。即ち、シートの搬送路に対向して設けられ、搬送路へ風を送るためのダクトと、ダクトを搬送路に対向する対向位置と退避位置との間で移動させる移動機構(例えば滑り軸受け115a、固定軸117、トーションばね118などからなるもの)と、シートの搬送路を開放する開閉カバー(例えば開閉カバー212)とを有する冷却装置である。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、送風ダクトと、移動機構としての開閉扉とを有する冷却装置を備えている。この冷却装置は、互いに対向する上ガイド板と下ガイド板との間を経由する搬送路内におけるそれらガイド板の近傍で搬送されるシート材としての用紙に向けて、送風ダクトから風を送る。送風ダクト、上ガイド板、及び下ガイド板は、画像形成装置の外装カバーの一部になっている回動可能な開閉扉に保持されており、開閉扉が回動軸を中心にして開かれる方向に回転すると、開閉扉と一体になって回転する。これにより、送風ダクト及び上下ガイド板が退避位置に退避して、搬送路の全域のうち、送風ダクトとの対向領域及びこれよりもシート搬送方向下流側領域を開放する。開閉扉は、画像形成装置の外装カバーの一部として機能しているとともに、搬送路における前記対向領域及び前記シート搬送方向下流側領域を開放する開閉カバーとして機能している。かかる構成では、送風ダクトが前記対向位置で固定されることによる前記対向領域からのジャム紙の除去作業性の悪化を防止することができるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、送風ダクトを開閉カバーとともに搬送路の近傍から退避させるためには、送風ダクトをその用紙搬送方向の長さ程度の回動半径ではなく、開閉カバー全体の長さをも含む大きな回動半径で回動させる必要がある。このため、装置を大型化してしまうという課題があった。更には、大きな回動半径で回動する送風ダクトと、回動しない他の部品との接触を避ける必要があることから、レイアウト自由度を低下させてしまうという課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、シートの搬送路に対向して設けられ、搬送路へ風を送るためのダクトと、ダクトを、送気口が搬送路に向くように対向する対向位置と、前記送気口が向いていた搬送路から退避した退避位置との間で移動させる移動機構と、シートの搬送路を開放する開閉カバーとを有する冷却装置において、
前記ダクトは前記開閉カバーと別体であり、前記開閉カバーの開閉の回動支点とは異なる支点で前記開閉カバーとは独立して前記ダクトを移動可能なように、前記移動機構を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ダクトを搬送路の対向位置と待避位置との間で移動させることによる装置の大型化やレイアウト自由度の低下を抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】同複写機のプリンター及び給排紙装置の内部構成の概略を、複写機の前側から示す構成図。
【
図3】同複写機の定着装置6と搬送冷却ユニットとを示す斜視図。
【
図4】同搬送冷却ユニットを搬送中の用紙とともに示す横断面図。
【
図5】同搬送冷却ユニットと排紙路の周囲とを示す断面図。
【
図6】同搬送冷却ユニット内での用紙のジャムを説明するための断面図。
【
図8】同複写機における開閉カバーとその周囲とを示す断面図。
【
図9】同複写機の外装カバーの変形例を示す断面図。
【
図10】上送風ダクトを退避位置に移動させている状態の同搬送冷却ユニットを示す横断面図。
【
図12】同搬送冷却ユニットの長手方向の一端部(複写機前側の方の端部)を示す部分斜視図。
【
図13】同搬送冷却ユニットの一部を示す分解斜視図。
【
図14】同搬送冷却ユニットの前側板及びその周辺を部分的に示す部分斜視図。
【
図15】同搬送冷却ユニットの後側板及びその周辺を部分的に示す部分斜視図。
【
図16】同上送風ダクト及び同搬送冷却ユニットの下送風ダクトの長手方向の一端部を、連通管及び送気ファンとともに示す斜視図。
【
図17】同上送風ダクトの長手方向における他端部を、後側板の一部とともに示す部分斜視図。
【
図18】退避位置から対向位置に移動してきた同上送風ダクトと、その周囲とを示す断面図。
【
図19】同上送風ダクトの位置決めを説明するための部分斜視図。
【
図20】同プリンターから引き出し可能な用紙搬送部のフレームと、同搬送冷却ユニットの一部とを示す部分斜視図。
【
図21】同送気ファンを同連通管とともに示す分解斜視図。
【
図22】同送気ファン及び同連通管の受入部を、
図21とは異なったアングルから示す分解斜視図。
【
図23】同送気ファンをファン保持部とともに示す斜視図。
【
図24】同送気ファンの一部を、定着装置の長手方向における一端部とともに示す部分斜視図。
【
図25】同用紙搬送部の前側端部を示す分解斜視図。
【
図26】同上送風ダクト及び同下送風ダクトの長手方向の一端部を、同連通管とともに示す分解斜視図。
【
図27】同上送風ダクト及び同下送風ダクトの長手方向における一端部を、同連通管とともに複写機の左側面側から示す側面図。
【
図28】同上送風ダクトの長手方向における一端部を、同連結管とともに示す平面図。
【
図29】板金フレームの受け台に固定された同下送風ダクトの長手方向における一端部を、同上送風ダクトの長手方向における一端部、及び同連通管とともに示す斜視図。
【
図30】同上送風ダクト及び同下送風ダクトと、同連通管との連結部を示す縦断面図。
【
図31】同搬送冷却ユニットの一部を示す分解斜視図。
【
図32】同従動ローラへの用紙の巻き付きを説明するための説明図。
【
図33】同搬送冷却ユニット内における用紙の挙動を説明するための説明図。
【
図34】同上送風ダクト及び同下送風ダクトを示す斜視図。
【
図35】同上送風ダクトや同下送風ダクトによる周囲部材の冷却効果を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を画像形成装置としての複写機に適用した一実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。
図1は、実施形態に係る複写機を示す外観斜視図である。この複写機は、電子写真方式によって画像を形成するプリンター1と、給排紙装置200と、自動原稿搬送装置を搭載したスキャナー300と、操作表示部400とを備えている。
【0009】
シート材としての用紙に画像を形成するプリンター1は、画像形成部2と、用紙搬送部100とを有している。用紙搬送部100は、図示のように、プリンター1の画像形成部2を含む本体に対してスライド移動して本体から引き出されるようになっている。
【0010】
同図においては、複写機を左斜め前側から示している。同図における矢印F方向は、複写機内部において複写機の前側に向かう方向を示している。また、矢印Re方向は、複写機内部において複写機の後側に向かう方向を示している。また、矢印Ri方向は、複写機内部において複写機の右側に向かう方向を示している。また、矢印L方向は、複写機内部において複写機の左側に向かう方向を示している。
【0011】
図2は、この複写機のプリンター1及び給排紙装置200の内部構成の概略を、複写機の前側から示す構成図である。プリンター1の画像形成部2は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)のトナー像を作像するための作像ユニット3Y,3M,3C,3Kを有しており、これらは複写機の左右方向に所定のピッチで並んでいる。なお、数字の符号の後に付されているY,M,C,Kという添字は、Y,M,C,K用の部材や装置であることを示すものである。
【0012】
画像形成部2は、Y,M,C,K用の作像ユニット3Y,3M,3C,3Kの他に、これらの下方に配設された転写ユニット15を有している。
【0013】
Y,M,C,K用の作像ユニット3Y,3M,3C,3Kは、互いに使用するトナーの色が異なっている点の他が、ほぼ同様の構成になっている。以下、Yトナー像を作像するための作像ユニット3Yを例にして、作像ユニットの構成について説明する。
【0014】
Y用の作像ユニット3Yは、ドラム状の感光体4Yを有している。また、感光体4Yの周囲に配設された、帯電器5Y、露光装置6Y、現像装置7Y、ドラムクリーニング装置8Yなども有している。
【0015】
作像ユニット3Yにおいては、感光体4Yが図中反時計回り方向に回転駆動され、帯電器5Yとの対向位置で帯電器5Yによって周面がトナーの帯電極性と同じ極性に一様に高圧帯電せしめられる。一様帯電後の感光体4Y表面は、画像情報に基づいて変調されるレーザー光を出射する露光装置6Yによって光走査される。この光走査によって露光された感光体4Yの表面箇所は、電位を減衰させて静電潜像を担持する。
【0016】
この静電潜像は、現像装置7YによってYトナーが選択的に付着せしめられることで、現像されてYトナー像となる。このYトナー像は、感光体4Yの回転に伴って、感光体4Yと、後述する中間転写ベルト16との当接によるY用の一次転写ニップに進入する。
【0017】
転写ユニット15は、無端状の中間転写ベルト16を、これのループ内側に配設された複数のローラに掛け回して張架しながら、何れか一つのローラの回転駆動によって図中矢印A方向に無端移動せしめる。
【0018】
中間転写ベルト16のループ内側に配設された複数のローラのうち、Y用の一次転写ローラ17Yは、Y用の感光体4Yとの間に中間転写ベルト16を挟み込んでいる。これにより、Y用の感光体4Yと中間転写ベルト16の外周面との当接によるY用の一次転写ニップが形成されている。
【0019】
Y用の一次転写ローラ17Yには、トナーの帯電極性とは逆極性の一次転写バイアスが印加される。これにより、Y用の一次転写ニップには、Y用の感光体4Y上のYトナー像を感光体側からベルト表面側に向けて静電移動させる一次転写電界が形成される。Y用の感光体4Y上のYトナー像は、Y用の一次転写ニップにおいて、一次転写電界やニップ圧の作用によって中間転写ベルト16の外周面に一次転写される。
【0020】
Y用の一次転写ニップを通過した後の感光体4Yの表面には、中間転写ベルト16に一次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ドラムクリーニング装置8Yによって感光体4Yの表面から除去される。
【0021】
M,C,K用の作像ユニット3M,3C,3Kにおいても、Y用の作像ユニット3Yと同様の電子写真プロセスにより、感光体4M,4C,4Kの表面にMトナー像,Cトナー像,Kトナー像を作像する。
【0022】
中間転写ベルト16のループ内には、Y用の一次転写ローラ17Yの他に、M,C,K用の一次転写ローラ17M,17C,17Kが配設されており、M,C,K用の感光体4Y,4M,4C,4Kとの間に中間転写ベルト16を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト16の外周面と、M,C,K用の感光体4M,4C,4Kとの当接によるM,C,K用の一次転写ニップが形成されている。
【0023】
中間転写ベルト16の外周面に一次転写されたYトナー像には、M,C,K用の一次転写ニップにおいてMトナー像,Cトナー像,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト16の外周面には四色重ね合わせトナー像が形成される。
【0024】
中間転写ベルト16の下方には、二次転写ローラ103が配設されており、中間転写ベルト16のループ内に配設された二次転写対向ローラ18との間に中間転写ベルト16を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト16の外周面と二次転写ローラ103との当接による二次転写ニップが形成されている。この二次転写ニップには、トナーの帯電極性と同極性の二次転写バイアスが印加される二次転写対向ローラ18と、電気的に接地された二次転写ローラ103との間に二次転写電界が形成されている。
【0025】
中間転写ベルト16の外周面に形成された四色重ね合わせトナー像は、中間転写ベルト16の無端移動に伴って、二次転写ニップに進入する。
【0026】
複写機の給排紙装置200は、プリンター1の用紙搬送部100の下方に、給紙バンク201や給紙カセット202を有している。そして、給紙バンク201や給紙カセット202から供給搬送路203内に送り出した用紙Pを、供給搬送路203に沿って配設された複数の搬送ローラ対によって上方に向けて搬送する。そして、供給搬送路203の末端付近に設けられた受け渡しローラ対204により、プリンター1の用紙搬送部100の給紙路101内に受け渡す。
【0027】
供給搬送路203から給紙路101に受け渡された用紙Pは、給紙路101に沿って配設された複数の搬送ローラ対によって搬送され、給紙路101の末端付近に配設されたレジストローラ対102のレジストニップに突き当たってスキューが補正される。その後、レジストローラ対102の回転駆動により、中間転写ベルト16上の四色重ね合わせトナー像に同期するタイミングで、二次転写ニップに向けて送り出される。
【0028】
二次転写ニップで中間転写ベルト16上の四色重ね合わせトナー像に密着された用紙Pには、二次転写電界やニップ圧の作用によって四色重ね合わせトナー像が二次転写される。これにより、白色の用紙P上にフルカラー画像が形成される。
【0029】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト16の外周面には、用紙Pに二次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ベルトクリーニング装置19によって中間転写ベルト16から除去される。
【0030】
プリンター1の用紙搬送部100は、給紙路101、レジストローラ対102、二次転写ローラ103の他に、転写後搬送路104、用紙搬送ベルトユニット105、定着装置106、搬送冷却ユニット110などを有している。
【0031】
二次転写ニップを通過した用紙Pは、転写後搬送路104に送り出される。この転写後搬送路104は、用紙搬送ベルトユニット105、定着装置106、及び搬送冷却ユニット110を経由する。
【0032】
転写後搬送路104に送り出された用紙Pは、まず、用紙搬送ベルトユニット105によって複写機の右側から左側に向けて搬送された後、定着装置106内に送り込まれる。
【0033】
定着装置106は、ハロゲンランプ等の熱源を内包する106aと、これに向けて押圧される加圧ローラ106bとの当接による定着ニップを形成している。定着装置106内に送り込まれた用紙Pは、定着ニップに進入して加熱及び加圧される。これにより、用紙Pの表面にフルカラー画像が定着せしめられる。
【0034】
定着装置106を通過した用紙Pは、搬送冷却ユニット110を経由した後、給排紙装置200の左側端部に送り込まれる。
【0035】
給排紙装置200の左側端部には、切替爪205、排紙路206、排紙ローラ対207、返送路209、スイッチバック路210などが配設されている。また、給排紙装置200における給紙バンク201の上方には、再供給路211が配設されている。
【0036】
プリンター1の用紙搬送部100の搬送冷却ユニット110から給排紙装置200の左側端部に受け渡された用紙Pは、切替爪205によってその後の搬送先が選択される。用紙Pの片面だけに画像を形成する片面モードや、用紙のPの両面に画像を形成する両面モードにおける両面プリント終了時には、用紙Pの搬送先として排紙路206が選択される。排紙路206に送り込まれた用紙Pは、排紙ローラ対207を経由した後、機外に排出されてスタックトレイ208上にスタックされる。
【0037】
一方、両面モードにおける片面プリント終了時には、用紙Pの搬送先として返送路209が選択される。返送路209に送り込まれた用紙Pは、スイッチバック路210に進入した後、スイッチバックによって上下反転せしめられて再供給路211に送り込まれる。そして、再供給路211を経由した後、給紙路101に再び送り込まれる。その後、二次転写ニップでもう一方の面にもフルカラー画像が二次転写された後、定着装置106、搬送冷却ユニット110、排紙路206、排紙ローラ対207を順次経由した後、機外へと排出される。
【0038】
定着装置106を経由した用紙Pは、高温になっている。プリント速度の高速化が進められる近年においては、用紙Pが高温のままで搬送されると、用紙P上の画像が乱されたり、用紙P同士が貼り付くブロッキング現象を引き起こしたりし易くなってきている。
【0039】
搬送冷却ユニット110は、定着装置106から送り出されてくる用紙Pを搬送しながら冷却するものである。
【0040】
図3は、定着装置106と、搬送冷却ユニット110とを示す斜視図である。同図の矢印で示されるように、搬送冷却ユニット110は、定着装置106から排出された直後の用紙を搬送しながら冷却できるように、定着装置106に取り付けられる。
【0041】
図4は、搬送冷却ユニット110を搬送中の用紙Pとともに示す横断面図である。搬送冷却ユニット110は、回転駆動する駆動ローラ111と、これに押圧される従動ローラ112との当接によって搬送ニップを形成しており、搬送ニップに挟み込んだ用紙Pに対して搬送力を付与する。
【0042】
また、搬送冷却ユニット110は、上側ニップガイド部材113、下側ニップガイド部材114、上送風ダクト115、下送風ダクト116なども有している。定着装置(106)から送り出された直後の用紙Pを、上側ニップガイド部材113と下側ニップガイド部材114との間に通して前述の搬送ニップに向けて案内する。
【0043】
搬送ニップを通過した用紙Pは、ダクトとしての上送風ダクト115から送り出される風を上面に吹き付けられるとともに、ダクトとしての下送風ダクト116から送り出される風を下面に吹き付けられる。これにより、定着装置(106)で加熱された用紙Pが両面側から冷却される。
【0044】
図5は、搬送冷却ユニット110と、排紙路206の周囲とを示す断面図である。プリンター(1)の用紙搬送部(100)の搬送冷却ユニット110は、図示のように、給排紙装置(200)の排紙路206の近傍に配設されている。
【0045】
排紙路206は、開閉カバー212と、排紙下ガイド部材213及び切替爪205との間に形成されている。この排紙路206内で用紙Pのジャムが発生した場合、その用紙Pを排紙路206から取り除くことを可能にするために、開閉カバー212は回動軸212aを中心にして回動できるようになっている。図示の状態の開閉カバー212を、回動軸212aを中心にして図中反時計回り方向に回転させることで、排紙路206を露出させて排紙路206内の用紙Pを取り除くことが可能になる。
【0046】
用紙Pのジャムは、
図6に示されるように、排紙路206の手前の搬送冷却ユニット110内でも発生し得る。この種のジャムが発生した場合に、用紙Pを搬送冷却ユニット110内から容易に取り除けるように、転写後搬送路104との対向位置にある図示の上送風ダクト115を、排紙路206から遠ざけた退避位置に移動可能にすることが望ましい。
【0047】
特許文献1に記載の画像形成装置においては、送風ダクトの近傍に存在するガイド部材を送風ダクトとともに移動させることで、送風ダクトの真下でジャムした用紙を取り除けるようにしている。かかる構成をこの複写機に採用すると、
図7に示されるように、開閉カバー212の回動軸212aを中心にして、上送風ダクト115を開閉カバー212とともに回転移動させることになる。すると、図中点線で示されるように、開閉カバー212を単体で回転移動させる場合に比べて、回動半径を拡大させてしまうことから、装置を大型化してしまう。更には、大きな回動半径で回動する上送風ダクト115や開閉カバー212と、回動しない他の部品との接触を避ける必要があることから、レイアウト自由度を低下させてしまう。この複写機では、搬送冷却ユニット110における上送風ダクト115以外の部分を、図中矢印M方向に移動させて同部分と上送風ダクト115との干渉を避ける必要がある。そのためには、定着装置(106)も同方向に移動させなければならず、構成を複雑化させてしまう。
【0048】
次に、この複写機の特徴的な構成について説明する。
図8は、開閉カバー212とその周囲とを示す断面図である。この複写機では、開閉カバー212を上送風ダクト115と一体的に回動させず、開閉カバー212を上送風ダクト115とは別に回動させて排紙路206を開放するようになっている。
【0049】
開閉カバー212は、シートの片面をガイドする排紙上ガイド部材212bを有する。開閉カバー212を開くことによって排紙上ガイド部材212bが移動し、上送風ダクト115よりもシート搬送方向下流側における排紙路206を開放(露出)することができる。ユーザーは、上送風ダクト115付近で滞留したジャムシートをシート搬送方向下流側から引き抜くことで、ジャムシートを容易に除去することができる。
【0050】
排紙上ガイド部材212bは、排紙路206において上送風ダクト115との対向位置よりもシート搬送方向下流側の位置でシートをガイドするものである。上送風ダクト115が
図8において破線で示される対向位置から実線で示される退避位置に移動すると、上送風ダクト115のうちの排紙路206に対向する部位(
図8において破線で示す上送風ダクト115のうちの下面)がシート搬送方向下流側(
図8において左上方向)へ移動するように構成されている。ユーザーが開閉カバー212を開いた後、ジャムシートをシート搬送方向下流側へ引き抜こうとすると、上送風ダクト115は、そのジャムシートの動きに追従してシート搬送方向下流側に移動する。上送風ダクト115がジャムシートの移動を妨げづらいので、ジャムシートをより容易に除去することができる。
【0051】
なお、この複写機では、開閉カバー212に対して複写機の外装カバーとしての機能を担わせていない。開閉カバー212に外装カバーとしての機能も兼用させる場合には、
図9に示されるように、開閉カバー212を単独で回動させるのではなく、排紙下ガイド部材213などと一体的に、回動軸250を中心にして回動させるようにすればよい。
【0052】
すなわち、開閉カバー212は、シートの両面のそれぞれをガイドする排紙上ガイド部材212b及び排紙下ガイド部材213を有する。開閉カバー212を開くことによって排紙上ガイド部材212b及び排紙下ガイド部材213が移動し、上送風ダクト115よりもシート搬送方向下流側における排紙路206を開放(露出)することができる。ユーザーは、上送風ダクト115付近で滞留したジャムシートをシート搬送方向下流側から引き抜くことで、ジャムシートを容易に除去することができる。
【0053】
図10は、上送風ダクト115を退避位置に移動させている状態の搬送冷却ユニット110を示す横断面図である。上送風ダクト115は、図中点線で示される対向位置と、図中実線で示される上送風ダクト115が存在する退避位置との間で移動することが可能である。このように、上送風ダクト115を、排紙下ガイド部材213及び開閉カバー212に設けられた排紙上ガイド部材212bから独立させて移動させるようにしている。かかる構成では、上送風ダクト115をそれらガイド部材と一体的に移動させる構成に比べて、より短い移動距離で上送風ダクト115をジャム紙除去可能な位置まで待避させることができる。これにより、上送風ダクト115を対向位置と待避位置との間で移動させることによる装置の大型化を抑えることができる。
【0054】
また、上送風ダクト115を開閉カバー212及びガイド部材と一体的に移動させる場合に比べて、上送風ダクト115を移動させる方向の自由度が向上したことで、レイアウト自由度の低下を抑えることもできている。更には、搬送冷却ユニット110の上送風ダクト115以外の部分や、定着装置(106)を
図7の矢印M方向に移動させなくても、上送風ダクト115を退避位置に移動させることが可能になったことから、構成の複雑化を回避することもできている。
【0055】
図11は、上送風ダクト115を示す斜視図である。上送風ダクト115の長手方向における両端部のそれぞれには、滑り軸受けが設けられている。
【0056】
図12は、搬送冷却ユニット110の長手方向の一端部(複写機前側の方の端部)を示す部分斜視図である。また、
図13は、搬送冷却ユニット110の一部を示す分解斜視図である。搬送冷却ユニット110の板金フレーム119は、前側板119aと、後側板119bと、底板119cとを具備している。なお、上述した下側ニップガイド部材(
図4の114)も、板金フレーム119に一体形成されている。
【0057】
下送風ダクト116は、板金フレーム119の底板119cの上面に固定される。
【0058】
駆動ローラ111や従動ローラ112は、前側板119aに設けられた軸受けと、後側板119bに設けられた軸受けとによって回転可能に受けられている。
【0059】
板金フレーム119の後側板119bの背面には、駆動ローラ111に駆動力を伝達するための駆動伝達機構120が固定される。
図12において、従動ローラ112の上方には、固定軸117が配設されている。この固定軸117は、
図13では便宜上、描画が省略されているが、板金フレーム119の前側板119aと後側板119bとの間を架け渡すように両側板に固定されている。
【0060】
上送風ダクト115は、長手方向の両端部のそれぞれに設けられた滑り軸受け115aの中に固定軸117が挿入された状態で、固定軸117上によって回動可能に保持されている。付勢手段としてのトーションばね118も固定軸117によって保持されており、このトーションばね118は、
図12の矢印で示されるように、上送風ダクト115を下送風ダクト116に向けて付勢している。
【0061】
図14は、前側板119a及びその周辺を部分的に示す部分斜視図である。また、
図15は、後側板119b及びその周辺を部分的に示す部分斜視図である。
図14に示されるように、固定軸117の長手方向の一端には、軸本体よりも小さな外径の小径端117aが設けられている。この小径端117aの外径は、前側板119aに設けられた貫通穴の内径よりも僅かに小さくなっている。また、小径端117aの内周面には、雌ネジが切られている。なお、固定軸117の軸本体の外径は、前側板119aに設けられた貫通穴の内径よりも大きくなっている。
【0062】
固定軸117の一端側は、小径端117aを前側板119aの中に挿入した状態で、前側板119aの外側から小径端117aの中に差し込まれる雄ネジ121によって前側板119aに固定される。
【0063】
固定軸117の他端側においては、
図15に示されるように、後側板119bよりも外側に突出している軸端部に設けられた溝に対し、留め輪122が嵌め込まれる。これにより、固定軸117の長手方向の動きが規制され、固定軸117は前側板119aと後側板119bとの間から抜けることなく、両側板に固定される。また、固定軸117の長手方向における両端部のそれぞれに保持されるトーションばね118は、上送風ダクト115を図中矢印D方向に付勢する。この矢印D方向は、下送風ダクト(116)に向かう方向である。
【0064】
上送風ダクト115の長手方向における両端部のそれぞれを矢印D方向に付勢する。これにより、通紙時に用紙Pが上送風ダクト115に接触したときに、用紙Pの搬送力によって上送風ダクト115を下送風ダクト(116)から遠ざける方向にがたつかせてしまうことを防止することができる。
【0065】
搬送冷却ユニット110においては、上送風ダクト115の滑り軸受け115a、固定軸117、トーションばね118等が、上送風ダクト115を対向位置と待避位置との間で移動させる移動機構を構成している。
【0066】
なお、本実施形態においては、ユーザーの手動操作によって上送風ダクト115が対向位置と待避位置との間で受動的に移動可能なように、移動機構を構成しているが、移動機構の形態はこれに限られない。たとえば、固定軸117を中心として上送風ダクト115を回転させるためのモータなどの駆動手段を設け、駆動手段により上送風ダクト115が対向位置と待避位置との間で能動的に移動可能なように、移動機構を構成してもよい。
【0067】
図16は、上送風ダクト115及び下送風ダクト116の長手方向の一端部を、連通管123及び送気ファン124とともに示す斜視図である。搬送冷却ユニット(110)は、同図に示される連通管123及び送気ファン124を有している。
【0068】
連通管123は、受入部123aと、第一連通部123bと、第二連通部123cとを有しており、受入部123aが送気ファン124の排気部に固定されている。これにより、シロッコファンからなる送気ファン124の排気口と、連通管123の受入部123aの受入口とが連通しており、送気ファン124からの排気が連通管123の受入部123a内に送り込まれる。
【0069】
連通管123の第一連通部123b及び第二連通部123cのそれぞれは、受入部123aから分岐している。これにより、受入部123a内に送り込まれた気流が、第一連通部123b内に進入するものと、第二連通部123cに進入するものとに分けられる。
【0070】
連通管123の第一連通部123bは、上送風ダクト115の一端に連結されている。これにより、上送風ダクト115と連通管123の第一連通部123bとが互いに連通している。連通管123の受入部123aを経て第一連通部123bの中に進入した気流は、上送風ダクト115内に送り込まれた後、上送風ダクト115の送気口から送り出される。すなわち、搬送冷却ユニット110は、上送風ダクト115の送気口から、シート材としての用紙Pに向けて、冷却媒体としての空気を噴出する。
【0071】
連通管123の第二連通部123cは、下送風ダクト116の一端に連結されている。これにより、下送風ダクト116と連通管123の第二連通部123cとが互いに連通している。連通管123の受入部123aを経て第二連通部123cの中に侵入した気流は、下送風ダクト116内に送り込まれた後、下送風ダクト116の送気口から送り出される。すなわち、搬送冷却ユニット110は、下送風ダクト116の送気口から、シート材としての用紙Pに向けて、冷却媒体としての空気を噴出する。
【0072】
かかる構成では、一つの送気ファン124(送風源)により、上送風ダクト115と下送風ダクト116との両方向に気流を送ることで、二つの送風源を用いる場合に比べて、低コスト化及び装置小型化を図ることができる。
【0073】
図17は、上送風ダクト115の長手方向における他端部を、後側板119bの一部とともに示す部分斜視図である。後側板119bには、位置決め部材126が固定されている。同図に示されていない前側板(119a)にも同様の位置決め部材126が固定されている。一方、上送風ダクト115の長手方向における他端面には、円筒状のボス部115bが突設せしめられている。上送風ダクト115において、同図に示されていない長手方向における一端面にも、同様のボス部115bが突設せしめられている。
【0074】
図14、
図15に示されるようにトーションばね118によって図中矢印D方向に付勢される上送風ダクト115は、
図18に示されるように、ボス部115bを位置決め部材126に突き当てることで、板金フレーム(119)に対して位置決めされる。この位置決めにより、用紙Pに向けて送風を行うための対向位置(転写後搬送路104との対向位置)と、退避位置との間で可動な上送風ダクト115を対向位置において正規の姿勢をとらせる。これにより、上送風ダクト115の対向位置における姿勢の変動による冷却性能の低下を防止することができる。
【0075】
この搬送冷却ユニット110では、
図19に示されるように、ジャムによって複雑に折れ曲がった用紙Pが、上送風ダクト115を、回動軸たる固定軸117を中心にして図中時計回り方向に回転移動させて、図中点線で示される対向位置から自然に待避させる。これにより、用紙Pを上送風ダクト115と下送風ダクト116との間に密に詰まらせることによる装置の破損を防止することができる。
【0076】
ユーザーは、同図に示される用紙Pの先端部を指でつまんで引っ張ることで、用紙Pを容易に上送風ダクト115の下から取り除くことができる。同時に、上送風ダクト115をトーションばね(118)の付勢力によって付勢させて、正規の対向位置に自動で位置決めすることができる。
【0077】
図20は、プリンター1から引き出し可能な用紙搬送部(100)のフレーム107と、搬送冷却ユニット110の一部とを示す部分斜視図である。用紙搬送部(100)のフレーム107には、外気を取り入れるための吸気口107bが設けられている。また、フレーム107には、ファン保持部107aが突設せしめられている。このファン保持部107aには、保持部材108を介して、搬送冷却ユニット110の吸気ダクト128及び送気ファン124が固定されている。
【0078】
吸気ダクト128の一端は、送気ファン124の吸気部に連結されている。また、吸気ダクト128の他端は、開口をフレーム107の吸気口107bに対向させている。
【0079】
吸気ダクト128は、プリンター1から引き出し可能な用紙搬送部(100)のフレーム107に取り付けられるため、用紙搬送部の引き出し動作や押し込み動作に追従して複写機の前後方向に動く。
【0080】
プリンター1のプリントジョブ中には、用紙搬送部(100)がプリンター1の内部に押し込まれている。この状態で送気ファン124が回転すると、送気ファン124の吸気部に吸引力が発生する。この吸引力により、外気が図中点線で示されるようにフレーム107の吸気口107b内に吸引され、吸気ダクト128を経由して送気ファン124内に取り込まれる。その後、送気ファン124の排気部から排気されてから、連通管123を経由して上送風ダクト115内や下送風ダクト(116)内に送り込まれる。
【0081】
定着装置(
図2の106)や搬送冷却ユニット110をメンテナンスするときには、用紙搬送部(
図2の100)をプリンター1内から引き出した後、定着装置及び搬送冷却ユニット110を用紙搬送部内から取り出す。このとき、送気ファン124及び吸気ダクト128は用紙搬送部のフレーム107に固定されたままで、用紙搬送部内からは取り出されない。これに対し、吸気ダクト128に連結していた連通管123は、搬送冷却ユニット110と一体となって用紙搬送部内から取り出される。
【0082】
図21は、送気ファン124を連通管123とともに示す分解斜視図である。送気ファン124の排気部124aにおける排気口の周囲には、スポンジ等の弾性部材127が貼り付けられている。連通管123の受入部123aは、この弾性部材127を介して送気ファン124の排気部124aに連結される。受入部123aと排気部124aとの間に弾性部材127を介在させることで、受入部123aと排気部124aとの連結部における密閉性を向上させることができる。
【0083】
図22は、送気ファン124及び連通管123の受入部123aを、
図21とは異なったアングルから示す分解斜視図である。同図において、点線で示される直線は、定着装置(106)及び搬送冷却ユニット110の用紙搬送部(100)に対する着脱方向(以下、ユニット着脱方向という)を示している。
【0084】
図22に示されるように、連通管123の受入部123aの端部は、ユニット着脱方向に対して角度δの傾斜が設けられている。また、送気ファン124の排気部124aにも、ユニット着脱方向に対して角度δの傾斜が設けられている。このように傾斜が設けられていることで、弾性部材127を介して送気ファン124の排気部124aに連結していた連通管123を、排気部124aから容易に分離することができる。よって、搬送冷却ユニット110を定着装置(106)に搭載したままの状態で、他部材との干渉することなく用紙搬送部(100)内からスムーズに取り出すことができる。
【0085】
図23は、送気ファン124をファン保持部107aとともに示す斜視図である。図示のように、送気ファン124には、光学センサー129が取り付けられている。
【0086】
図24は、送気ファン124の一部を、定着装置106の長手方向における一端部とともに示す部分斜視図である。定着装置106の一端部には、係止レバー106cが取り付けられている。この係止レバー106cは、プリンター1の用紙搬送部(100)のフレーム107に対する定着装置106の係止操作や係止解除操作を行うためのものである。図示のように、係止レバー106cが略水平方向に延在する姿勢になっているときには、定着装置106が用紙搬送部のフレーム107に係止される。また、係止レバー106cが、送気ファン124に固定された光学センサー129によって検知される。
【0087】
一方、係止レバー106cを図中矢印G方向に回転させて略鉛直方向に延在する姿勢にすると、定着装置106のフレーム107に対する係止が解除されて、定着装置106が用紙搬送部(100)のフレーム107から取り外し可能になる。また、係止レバー106cが送気ファン124に固定された光学センサー129との対向位置から待避することから、光学センサー129が係止レバー106cを検知しなくなる。すると、光学センサー129が制御部に向けて非検知信号を送信する。制御部は、非検知信号を受信すると、定着装置106が取り外されている旨のメッセージを操作表示部に表示させて、ユーザーからのプリント命令に基づくプリントジョブを実行しないようにする。
【0088】
図25は、プリンター1の用紙搬送部100の前側端部を示す分解斜視図である。定着装置106は、図中点線矢印で示されるように、用紙搬送部100のフレーム107上にセットされる。同時に、定着装置106に搭載された搬送冷却ユニット110もフレーム107上にセットされる。
【0089】
送気ファン124に固定された光学センサー129は、ハーネス130を介して制御部と電気接続されている。この複写機とは異なり、光学センサー129を定着装置106又は搬送冷却ユニット110に固定した場合には、定着装置106を用紙搬送部100のフレーム107上から取り出すときに、次のような作業が必要になる。即ち、フレーム107に固定する必要のあるハーネス130のコネクター130aを光学センサー129から取り外して、ハーネス130を光学センサー129から分離する作業である。これに対し、この複写機のように、光学センサー129を送気ファン124などのフレーム107に固定される部材に固定すると、前述の作業を行うことなく、定着装置106及び搬送冷却ユニット110をフレーム107上から取り出すことが可能になる。これにより、定着装置106及び搬送冷却ユニット110の取り出し作業性を向上させることができる。
【0090】
なお、光学センサー129としては、透過型光学センサーからなるものを用いているが、係止レバー106cに反射面を設けて、反射型光学センサーからなるものを用いてもよい。また、光学センサー129の代わりに、磁気的、電気的、又は機械的に係止レバー106cを検知するセンサーを用いてもよい。
【0091】
図26は、上送風ダクト115及び下送風ダクト116の長手方向の一端部を、連通管123とともに示す分解斜視図である。図示のように、上送風ダクト115において、連通管123の第一連通部123bと連通する連通口の周囲には、スポンジ等からなる弾性部材131が貼り付けられている。上送風ダクト115は、この弾性部材131を介して連通管123の第一連通部123bに連結される。
【0092】
下送風ダクト116や連通管123は、搬送冷却ユニット110の板金フレーム(119)の底板(119c)に固定されて動かないのに対し、上送風ダクト115は、固定軸(117)を中心にして回動する。上送風ダクト115が上述したように板金フレームに対して位置決めされたときに、弾性部材131を介して連通管123の第一連通部123bに連結することで、上送風ダクト115と第一連通部123bとの連通部における気密性を向上させることができる。
【0093】
なお、上送風ダクト115に弾性部材131を固定する代わりに、連通管123の第一連通部123bに弾性部材131を固定してもよい。また、上送風ダクト115と第一連通部123bとの両方に弾性部材131を固定してもよい。
【0094】
図27は、上送風ダクト115及び下送風ダクト116の長手方向における一端部を、連通管123とともに複写機の左側面側から示す側面図である。同図において、点線で示される直線は、鉛直方向に延びている。上送風ダクト115における第一連通部123bとの連結側の端は、上送風ダクト115の固定軸(117)を中心にした回動に伴って、鉛直方向に移動する。上送風ダクト115の前記端には、鉛直方向に対して角度δの傾斜が設けられている。また、第一連通部123bにおける上送風ダクト115との連結側の端にも、鉛直方向に対して角度δの傾斜が設けられている。このように傾斜が設けられていることで、退避位置に退避していた上送風ダクト115がトーションばね(118)の付勢力によって対向位置に付勢されて位置決めされるときに、上送風ダクト115をスムーズに第一連通部123bに連結することができる。
【0095】
図28は、上送風ダクト115の長手方向における一端部を、連通管123とともに示す平面図である。同図において、点線で示される直線は、複写機の前後方向に延びている。図示のように、上送風ダクト115における第一連通部123bとの連結側の端には、複写機前後方向に対して角度θの傾斜が設けられている。また、第一連通部123bにおける上送風ダクト115との連結側の端にも、複写機前後方向に対して角度θの傾斜が設けられている。
【0096】
図29は、板金フレームの受け台119dに固定された下送風ダクト116の長手方向における一端部を、上送風ダクト115の長手方向における一端部、及び連通管123とともに示す斜視図である。下送風ダクト116は、搬送冷却ユニット110の板金フレーム(119)の受け台119dに対して図中矢印H方向に押圧された状態で、ネジ止め等によって固定されている。また、連通管123も板金フレームに対して図中矢印H方向に押圧されて、ネジ止め等によって固定されている。
【0097】
連通管123や下送風ダクト116は、板金フレームに動かないように固定されていることから、両者を嵌合によって連結すれば、弾性部材を介在させなくても高い密封性を維持することが可能である。
【0098】
図30は、上送風ダクト115及び下送風ダクト116と、連通管123との連結部を示す縦断面図である。下送風ダクト116における連通管123の第二連通部123cとの連結側の端部には、図示のように段差が設けられている。また、第二連通部123cにおける下送風ダクト116との連結側の端部にも、段差が設けられている。下送風ダクト116や連通管123を板金フレームに固定している状態では、図示のように、下送風ダクト116の端部の段差と、第二連通部123cの端部の段差とを噛み合わせるようにして下送風ダクト116と第二連通部123cとを嵌合させている。
【0099】
メンテナンス等のために、連通管123を板金フレームから取り外すときには、連通管123をダクト長手方向に移動させる操作は必要はなく、固定を解除した連通管123を板金フレームから持ち上げるだけでよい。これにより、連通管123の取り外し作業性を向上させることができている。
【0100】
また、連通管123を取り外した状態で、下送風ダクト116も板金フレームから取り外すときには、上送風ダクト115を退避位置に退避させることで、上送風ダクト115に邪魔されることなく、下送風ダクト116を容易に取り外すことができる。
【0101】
図31は、搬送冷却ユニット110の一部を示す分解斜視図である。搬送冷却ユニット110の駆動ローラ111は、ローラ部111cが軸部材111aに圧入されている。軸部材111aの端部には、軸溝111bが設けられている。軸部材111aの端部は、板金フレーム119の後側板119bに固定されたベアリング136に挿入された状態で、軸溝111bに留め輪219が嵌め込まれる。これにより、軸部材111aの端部が回転可能に受けられる。軸部材111aの逆側の端部も同様にして回転可能に受けられる。これにより、駆動ローラ111は板金フレーム119の前側板と後側板119bとの間から抜け出ないようになっている。この状態で、駆動伝達機構がモーターから受けた動力を駆動ローラ111に伝えることで駆動ローラ111を回転させ、圧縮ばね133で押圧される軸受134によって駆動ローラ111に向けて加圧される従動ローラ112と当接してニップを形成する。
【0102】
図32は、従動ローラ112への用紙Pの巻き付きを説明するための説明図である。従動ローラ112は、定着装置106の下流側近傍に配設されていることから、定着装置106の熱を受け易い。また、高温に加熱された直後であって冷却される前の用紙Pが密着せしめられる。これらの結果、従動ローラ112は昇温し易く、表面平滑性の高い用紙Pが従動ローラ112と駆動ローラ111との当接によるニップに進入したときに、従動ローラ112に巻き付くおそれがある。特に、定着装置106の定着ニップを通過した用紙Pが熱やニップ圧の影響でカールしている場合には、図示のように従動ローラ112に巻き付いた用紙Pが従動ローラ112に連れ回ってしまうおそれもある。
【0103】
図33は、この複写機の搬送冷却ユニット110内における用紙Pの挙動を説明するための説明図である。この搬送冷却ユニット110においては、上送風ダクト115の外形を、上送風ダクト115の近傍で用紙Pに搬送力を付与する搬送ローラとしての従動ローラ112の曲面に沿って湾曲させた形状にしている。これにより、図示のように、上送風ダクト115を従動ローラ112に近接させて配設することを可能にして、カールした用紙Pを上送風ダクト115の用紙搬送方向上流側の端部115cに突き当て易くしている。このため、従動ローラ112への用紙Pの巻き付きを抑えることができる。
【0104】
上送風ダクト115及び下送風ダクト116のそれぞれについては、互いの対向面を両ダクト間に形成される用紙Pの搬送路に沿わせて延在させた面にしている。これにより、前記対向面を、用紙Pを搬送路に沿って案内するガイド部材として機能させて、用紙Pのジャムの発生を抑えることができる。
【0105】
図34は、上送風ダクト115及び下送風ダクト116を示す斜視図である。上送風ダクト115における下送風ダクト116との対向面には、用紙Pの搬送方向と直交する方向に並ぶ複数の送風口115dを設けている。また、下送風ダクト116における上送風ダクト115との対向面にも、用紙Pの搬送方向と直交する方向に並ぶ複数の送風口116aを設けている。それぞれの送風口115d、116aの数を増やし過ぎると送り出される風の流速低下によって冷却効率を低下させてしまうことから、送風口115d、116a、の数を適切な値に留める必要がある。
【0106】
そこで、この搬送冷却ユニット110では、図示のように、上送風ダクト115の送風口115dの位置と、下送風ダクト116の送風口116aの位置とを互いにずらしている。かかる構成では、送風口115d、116aの数を適切な値に留めつつ、用紙Pの全域に気流を万遍なく吹き付けて用紙Pを効率良く冷却することができる。
【0107】
上送風ダクト115における複数の送風口115dの配設ピッチと、下送風ダクト116における複数の送風口116aの配設ピッチとについては、互いに同じにしている。これにより、様々なサイズの用紙Pに対し、その全域に気流を均等に吹き付けることができる。
【0108】
図35は、上送風ダクト115や下送風ダクト116による周囲部材の冷却効果を説明するための説明図である。用紙Pを両ダクト間に通紙させていないときには、互いのダクトから送り出した風を衝突させて図示のように周囲に勢い良く吹き付ける。両ダクトよりも用紙Pの搬送方向の上流側では、気流を駆動ローラ111や従動ローラ112に吹き付けることで、それらローラを効率良く冷却することができる。加えて、両ローラへの用紙Pの巻き付きや、両ローラへのトナー固着を抑えることもできる。更には、樹脂製の上側ニップガイド部材113にも気流を吹き付けて、上側ニップガイド部材113を効率良く冷却することもできる。
【0109】
なお、上側ニップガイド部材113については、両ダクトから送られてくる気流を用紙Pの搬送方向の上流側に流入させないような障壁となる形状にしている。これにより、両ダクトからの気流を定着装置106に当ててしまうことによる定着効率の低下を防止することができる。
【0110】
両ダクトよりも用紙Pの搬送方向の下流側では、樹脂製の切替爪205、樹脂製の開閉カバー212、ローラ231、ローラ232に気流を吹き付けて、それらを効率良く冷却することができる。
【0111】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、シートの搬送路に対向して設けられ、搬送路(例えば転写後搬送路104及び排紙路206)へ風を送るためのダクト(例えば上送風ダクト115)と、ダクトを搬送路に対向する対向位置と退避位置との間で移動させる移動機構と、シートの搬送路を開放する開閉カバーとを有する冷却装置において、前記ダクトを前記開閉カバーとは独立して移動可能なように、前記移動機構を構成したことを特徴とするものである。
【0112】
第1態様においては、ダクトを、シートの搬送路を開放する開閉カバーと一体的に移動させる構成に比べて、より短い移動距離でダクトをジャムシート除去可能な退避位置まで待避させることができる。このため、ダクトの移動距離を短くした分だけ、ダクトを対向位置と待避位置との間で移動させることによる装置の大型化やレイアウト自由度の低下を抑えることができる。
【0113】
[第2態様]
第2態様は、第1態様であって、前記開閉カバーが、シートの片面または両面をガイドするガイド部材(例えば排紙上ガイド部材212b)を有するものであることを特徴とするものである。
【0114】
第2態様においては、開閉カバーを開くのに伴って、シートの片面または両面をガイドするガイド部材も移動させることで、ダクトの近傍におけるジャムシートの除去を容易化することができる。
【0115】
[第3態様]
第3態様は、第2態様であって、前記ガイド部材が、搬送路において前記ダクトとの対向位置よりもシート搬送方向下流側の位置でシートをガイドするものであり、前記移動機構が、前記ダクトを前記対向位置から前記退避位置に移動させる過程で、前記ダクトのうちの搬送路に対向する部位をシート搬送方向下流側へ移動させるものであることを特徴とするものである。
【0116】
第3態様においては、ユーザーが開閉カバーを開いた後、シート搬送方向下流側へ引き抜かれようとするジャムシートの動きに追従させてダクト115をシート搬送方向下流側に移動させる。ダクトがジャムシートの移動を妨げづらいので、ジャムシートの除去を容易化することができる。
【0117】
[第4態様]
第4態様は、第1、第2又は第3態様において、前記ダクトに対して冷却媒体移動方向の上流側で連通する連通管(例えば連通管123)と、前記ダクトとのうち、少なくとも何れか一方における連通口の周囲に弾性部材(例えば弾性部材131)を固定し、前記移動機構によって前記ダクトを前記退避位置から前記対向位置に移動させるのに伴って、前記ダクトと、前記移動機構によって移動されない前記連通管とを、前記弾性部材を介して連結させるようにしたことを特徴とするものである。
【0118】
第4態様では、退避位置から対向位置に移動してきたダクトと、固定位置にある連通管との連通部における密閉性を弾性部材によって高めることで、ダクトと連通管との隙間から冷却媒体を漏らしてしまうことによる冷却効率の低下を抑えることができる。
【0119】
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記ダクトを付勢手段(例えばトーションばね118)によって付勢して、前記ダクトと前記連通管との間に介在する前記弾性部材を押圧するように、前記移動機構を構成したことを特徴とするものである。
【0120】
かかる構成では、弾性部材を付勢手段による付勢力で押圧することで、対向位置にあるダクトと連通管との連通部の密閉性を更に高めることができる。
【0121】
[第6態様]
第6態様は、第5態様において、前記付勢手段によって付勢される前記ダクトを突き当てられて位置決めする位置決め部材を設けたことを特徴とするものである。
【0122】
第6態様においては、対向位置にあるダクトを位置決め部材によって位置決めすることで、ダクトのガタツキや、位置ずれによる冷却効率の低下を防止することができる。
【0123】
[第7態様]
第7態様は、第1、第2、第3、第4、第5又は第6態様において、前記ダクトの外形を、前記ダクトの近傍でシート材に搬送力を付与する搬送ローラ(例えば従動ローラ112)の曲面に沿って湾曲させた形状にしたことを特徴とするものである。
【0124】
第7態様においては、湾曲した形状のダクトを搬送ローラに近接させて配設してダクトの搬送ローラ側の端部を搬送ローラからのシート材の分離を促す分離爪として機能させて、搬送ローラへのシート材の巻き付きを抑えることができる。
【0125】
[第8態様]
第8態様は、第1、第2、第3、第4、第5、第7又は第7態様において、前記ダクトにおける前記搬送路との対向面をシート材の搬送方向に沿わせて延在させたことを特徴とするものである。
【0126】
第8態様においては、ダクトを、シート材の搬送路に沿った移動をガイドするガイド部材として機能させて、ダクトとの対向位置におけるシート材のジャムの発生を抑えることができる。
【0127】
[第9態様]
第9態様は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7又は第8態様において、互いに相対向しながら互いの間の搬送路部分を通過するシート材の互いに逆の面に向けて風を送る二つの前記ダクトを設け、これら前記ダクトの一方を前記移動機構によって移動させるようにしたことを特徴とするものである。
【0128】
第9態様においては、シート材を両面側から効率良く冷却することができる。更には、シート材が通過していないときには、一方のダクトから送り出した風と、他方のダクトから送り出した風とを衝突させて周囲部材に吹き付けることで、周囲部材の昇温を抑えることもできる。
【0129】
[第10態様]
第10態様は、第9態様において、二つの前記ダクトのそれぞれに、風を送り出すための複数の送風口を設け、且つ互いのダクトの送風口の位置をずらしたことを特徴とするものである。
【0130】
第10態様においては、送風口の数を増やしすぎることによる冷却効率の低下を防止しつつ、シート材の全域に渡って風を万遍なく吹き付けることができる。
【0131】
[第11態様]
第11態様は、第9又は第10態様において、前記ダクトに対して気流移動方向の上流側で連通する連通管に、送り込まれてくる気流を受け入れる受入部(例えば受入部123a)と、前記受入部から分岐して一方の前記ダクトに連通する第一連通部(例えば第一連通部123b)と、前記受入部から分岐して他方の前記ダクトに連通する第二連通部(例えば第二連通部123c)とを設けたことを特徴とするものである。
【0132】
第11態様においては、一つの送風手段(例えば送気ファン124)によって二つのダクトのそれぞれに気流を送り込むことで、低コスト化及び装置小型化を図ることができる。
【0133】
[第12態様]
第12態様は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10又は第11態様において、前記開閉カバーを回動可能に保持する保持体(例えば回動軸212a)を設け、前記開閉カバーよりも前記ダクトに近い位置にある回動軸線(例えば固定軸117の中心)を中心にして前記ダクトを回動させて前記対向位置と前記退避位置との間で移動させるように、前記移動機構を構成したことを特徴とするものである。
【0134】
第12態様においては、回動機構という簡単な機構により、ダクトを対向位置と待避位置との間で移動させることができる。
【0135】
[第13態様]
第13態様は、シート材に画像を記録する画像記録手段(例えば画像形成部2)
と、これによって記録された画像をシート材に定着せしめる定着手段(例えば定着装置106)と、定着手段から送り出されたシート材を冷却する冷却手段(例えば搬送冷却ユニット110)とを備える画像形成装置(例えば複写機)において、前記冷却手段として、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11又は第12態様を用いたことを特徴とするものである。
【符号の説明】
【0136】
P:用紙(シート材)
2:画像形成部(画像記録手段)
104:転写後搬送路(搬送路の一部)
106:定着装置(定着手段)
110:搬送冷却ユニット(冷却装置)
112:従動ローラ(搬送ローラ)
115:上送風ダクト(ダクト)
115a:滑り軸受け(移動機構の一部)
115d:送風口
116:下送風ダクト(ダクト)
116a:送風口
117:固定軸(移動機構の一部)
118:トーションばね(移動機構の一部、付勢手段)
123:連通管
123a:受入部
123b:第一連通部
123c:第二連通部
126:位置決め部材
131:弾性部材
205:切替爪
206:排紙路(搬送路の一部)
212:開閉カバー
212a:回動軸(保持体)
212b:排紙上ガイド部材(ガイド部材)
213:排紙下ガイド部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0137】