(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
G03G21/00 510
(21)【出願番号】P 2018181337
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】杉山 浩之
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 和親
(72)【発明者】
【氏名】花島 透
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅志
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 明博
(72)【発明者】
【氏名】井上 龍次
(72)【発明者】
【氏名】毛塚 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】田中 正人
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-268390(JP,A)
【文献】特開2008-158196(JP,A)
【文献】特開2006-293141(JP,A)
【文献】特開2010-197586(JP,A)
【文献】特開2011-064764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体にリフレッシュ用潜像を形成して現像装置で現像するリフレッシュ工程を実行する画像形成装置において、
リフレッシュトナー像通過経路上の近接部材に対向する部分をトナー付着用領域に含む第一リフレッシュ用潜像と、前記対向する部分を前記トナー付着用領域に含まない第二リフレッシュ用潜像との間で、前記リフレッシュ工程で用いるリフレッシュ用潜像の選択を可能としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
操作部を有する請求項1の画像形成装置において、
前記操作部の操作に基づいて前記選択を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
ネットワークに接続される請求項1の画像形成装置において、
前記ネットワークに接続された他の機器から前記ネットワークを介して受け取る選択指示情報に基づいて選択を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1の画像形成装置において、
関連情報の取得手段と、前記取得手段の取得情報に基づいて前記選択を行う選択手段とを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
前記関連情報は、画像を形成するシートの種類と前記シートの厚さの少なくとも一つの情報であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4の画像形成装置において、
前記関連情報は、装着されている脱着可能な画像形成ユニットの種類の情報であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4の画像形成装置において、
前記関連情報は、環境の情報であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一に記載の画像形成装置において、
二種以上のリフレッシュ工程を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
各リフレッシュ工程で用いる前記第一リフレッシュ用潜像と前記第二リフレッシュ用潜像の複数の組み合わせの中から前記二種以上のリフレッシュ工程で用いる組み合わせを選択可能としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8または9の画像形成装置において、
前記二種以上のリフレッシュ工程は、所定以下の画像面積率の画像形成量に基づいて実行時期が決定される工程と、所定以下のサイズの画像形成量に基づいて実行時期が決定される工程とを含むことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、潜像担持体にリフレッシュ用潜像を形成して現像装置で現像するリフレッシュ工程を実行する画像形成装置が知られている。
例えば特許文献1に記載の画像形成装置は、リフレッシュ用潜像を現像装置で現像して得たリフレッシュトナー像が通過する領域に近接して配置された分離爪などの近接部材を備えている。そして、リフレッシュ用潜像として、この近接部材に対向しない非近接領域からなるリフレッシュ用潜像を形成し、この潜像の終端部に上記近接部材に対向する領域を含むリフレッシュ用潜像終端部を形成する。これにより、リフレッシュ工程時に近接部材にトナーを付着せずに劣化したトナーを吐き出すとともに、リフレッシュ工程で生じたトナー担持体上の帯電ムラを解消でき、鮮明な画像を形成可能である旨記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
リフレッシュ工程は、現像装置をリフレッシュしたり、潜像担持体の表面をリフレッシュしたりといった種々の目的で実行される。特許文献1に記載のリフレッシュ用潜像を用いるのみでは、鮮明な画像を形成できないおそれが残っていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、潜像担持体にリフレッシュ用潜像を形成して現像装置で現像するリフレッシュ工程を実行する画像形成装置において、リフレッシュトナー像通過経路上の近接部材に対向する部分をトナー付着用領域に含む第一リフレッシュ用潜像と、前記対向する部分を前記トナー付着用領域に含まない第二リフレッシュ用潜像との間で、前記リフレッシュ工程で用いるリフレッシュ用潜像の選択を可能としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、従来よりも鮮明な画像を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図5】トナーリフレッシュ制御のパターンの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を画像形成装置であるモノクロ電子写真装置に適用した実施形態について説明する。
図1はモノクロ電子写真装置の中央断面概略構成図である。モノクロ電子写真装置1は、機枠体のほぼ中央部に装置本体に対して脱着可能な画像形成ユニットとしてのプロセスカートリッジ2を配置している。プロセスカートリッジ2内部の潜像担持体であるドラム形状の感光体3の上方に位置する装置本体内には感光体3に潜像を形成するための光書込装置4を配置している。感光体3の下方に位置する装置本体内には転写装置5を設置している。
【0008】
プロセスカートリッジ2の下方の装置本体内には給紙搬送装置6が配置されている。この給紙搬送装置6の、記録材あるいは記録媒体である用紙(シート)を積載・収容する給紙カセット7から給紙ローラ8にて給紙された用紙が、レジストローラ対9で感光体3上に担持されたトナー像とのタイミングをとって搬送され、転写装置5と感光体3との間を通される。この通過中に転写装置5の転写電界によって感光体3表面に形成されたトナー像を用紙に転写する。トナー像が転写された用紙は、定着装置10へ導かれて記録材にトナー像を熱と圧力によって溶融定着させる。排紙ローラ11によりモノクロ電子写真装置1の上面の排紙トレイ12に排紙される。
【0009】
用紙両面にプリントを行う場合は、用紙片面にトナー像を定着した用紙を、排紙ローラ11の逆転によりスイッチバックさせて用紙反転部13に送り込み、用紙の表裏を反転させてからレジストローラ対9へと再給紙する。再給紙された用紙裏面に感光体3からトナー像が転写され、その裏面画像を定着装置10で定着することにより、表裏両面に画像を担持する用紙を、排紙トレイ12に排出することで、両面プリントが完成する。
【0010】
図2はプロセスカートリッジ2(帯電、現像、クリーニング)、光書込装置4,転写装置5、定着装置10の概略図である。上記プロセスカートリッジ2の感光体3が図示しない駆動手段によって図中反時計方向に回転駆動される。その感光体3の表面が帯電装置20の帯電ローラ20aによって所定の極性(通常負極性)に一様に帯電される。帯電された感光体表面には、光書込装置4からのレーザー光が照射され、これによって感光体3表面に所望の静電潜像が形成される。このように形成された静電潜像に現像装置21のトナー担持体(現像剤担持体)である現像ローラ21aから黒トナーが付与され、トナー像として可視化される。この現像ローラ21aにはトナーの帯電極性と同極性(帯電が負極性であれば負極性)の現像バイアス電圧が印加され、いわゆる反転現像がされる。図示の例では一成分トナーが用いられ供給ローラ21bで現像ローラ21aにトナーが供給され、規制ブレード21cで薄層かされて現像に用いられる。
【0011】
また、転写装置5の転写ローラ5aが図中時計回りに走行駆動され、用紙Pが転写ローラ5aを通過する際に感光体3からトナー像が転写される。この際の転写ローラ5aに印加されるバイアスはトナーと逆極性である(トナーが負極性でれば転写電圧は正極性)。トナー像を転写した後の感光体3表面に付着する残留トナーは、クリーニング装置22のクリーニングブレード22aによって感光体ドラム表面から除去され次の画像形成に備える。
【0012】
クリーニング装置22の上流には感光体表面に先端が軽く接触する分離爪23が設けている。この分離爪23は後述するリフレッシュトナー像であるリフレッシュパターンの通過経路である現像からクリーニングまで感光体表面移動経路上に位置する。また、転写ローラ5aを通過した直後の用紙の下面に対応するように除電針ユニット24が設けられている。この除電針ユニット24は複数の除電針の間を仕切りリブ24aと、除電針ホルダ24bとを有している。分離爪23や除電針ユニット24は転写ローラ5aと感光体3の間で紙の分離の機能を補助するためのものである。特に、紙を搬送し中間転写を介さずに直接転写するシステムでは有用である。
【0013】
図3は除電針ユニット24周辺の拡大斜視図である。この図では複数のリブ24aの間の除電針24cも現れている。この除電針ユニット24の下流にはトナー像が転写された用紙を定着装置10へ導くための下ガイド板25が設けられている。この下ガイド板25の表面には搬送方向に延びる搬送リブ25a1,25a2・・・25nが複数形成されている。
【0014】
図2に戻り、定着装置10の入り口には上下の紙ガイド部材26a、26bも設けられている。そして、この定着装置10の加熱ローラ10aと加圧ローラ10bとが転写装置5から送りだされてきた用紙Pを下ガイド板25に押し付けるように湾曲させるように配置されている。このような配置であることも関係し、感光体3と転写ローラ5aとが接触する転写ニップを受けた用紙Pの後端Paは、特に、除電針ユニット24の除電針ホルダ24bの上端部27(
図4参照)や下ガイド板25のリブ25aに押し付けられるようにしてガイドされる。
【0015】
図4は、実施形態に係るプリンタの電気回路の一部を示すブロック図である。メイン制御部30には、書込制御部31、光書込装置4、現像装置21、転写装置5,プロセスモータ3a、給紙搬送装置6の電装部が接続されている。操作部32,通信コントロール装置33、チップ読取回路34も接続されている。このチップ読取回路34はプロセスカートリッジ2に備えられているICチップ35の情報を読み取るためのものである。
【0016】
次にトナーリフレッシュ制御について説明する。
現像器内のトナーを定期的にリフレッシュしてトナーを新鮮な状態に保つリフレッシュ制御は、用紙Pがない状態で行う。所定のリフレッシュ量に相当する幅および時間、光書き込み装置106によってレーザー光を照射し、感光体3表面に静電潜像を形成する。静電潜像には現像ローラ21aからトナーが現像されるため、現像装置からトナーがリフレッシュできる。リフレッシュ制御中(リフレッシュ工程)は転写ローラ5aには、感光体3表面のトナー像のトナー帯電極性と同極性の転写電圧が印加され、これによって感光体ドラム表面のトナー像は転写ローラを汚すことなく、クリーニングブレード22aによって感光体ドラムから除去され廃トナーとなって廃トナー収容部に収容される。
【0017】
このリフレッシュ制御に起因して用紙端面汚れが生じるおそれがある。
図2のように分離爪124はクリーニング装置22より上流側に位置するため、リフレッシュ動作の際にリフレッシュトナー像が転写ニップを通過した後、分離爪124と接触する。すると、トナーが飛散し搬送経路に蓄積する。
【0018】
リフレッシュトナーを多く設定するような制御条件下で、且つ紙の厚紙のように紙のコシが強い紙や、高抵抗紙を使用するユーザーについては、飛散したトナーが用紙端面を汚すコバ面汚れが発生する。近年プリンターは小型化の要求が高まっており、各ユニットや搬送経路も小型化した設計となっている。本体を小型化すると、このような課題が顕在化しやすいシステムとなりやすい。
【0019】
本実施例でも、小径感光体ドラム(直径30mm)に対して紙の出口側に分離爪23を設け、紙の巻き込みを防止している。また分離爪23の下方には紙の搬送の補助部材(リブ25a)や除電針ホルダ24bが分離爪に近接して配置されている。このため分離爪で飛散したトナーが近接したリブ25aや除電針ホルダ24bを汚し、その後通過した紙の端面を汚し、コバ面汚れとなる。
図3中にXで示す領域は分離爪23の直下の領域を示す。ここに最も近いリブ25a1が他のリブ25aよりも汚れが多い。幅方向に延びる除電針ホルダ24bの上端部27の内でも領域Xでの汚れが多い。ここのリブ25a1や除電針ホルダ24bの上端部のうち領域Xにある部分でこすられた用紙の端面の汚れが目立つものとなる。
【0020】
図5は、本発明で実施するトナーリフレッシュ制御のパターンを説明する図である。
図5(a)に示すリフレッシュパターン1(Pa)は、従来から一般的にトナーリフレッシュとして実施されているベタパターンである。トナーリフレッシュパターン1の幅Wについては、感光体ドラム軸方向の潜像書き込み幅や帯電幅の全領域でトナー付着用領域となる画像パターンを描くことが一般的である。また副走査方向の長さであるトナーリフレッシュ長さLについては、現像ローラ21aの1周長さの整数倍の長さに設定しているものもあるが、トナーリフレッシュの用途に応じて可変とすることが一般的である。本実施例では、幅は書き込み幅全域である300mm、長さは使われ方により可変する動作としている。
【0021】
図5(b)に示すリフレッシュパターン2は、感光体3に近接する近接部材に対向する主走査方向の領域のパターンをマスクした非近接領域からなるパターン(Pb1、Pb2、Pb3)である。この非近接領域からなるパターンが、上記対向する領域部分を前記トナー付着用領域に含まない第二リフレッシュ用潜像である。これに対し上述のリフレッシュパターン1が上記対向する領域部分をトナー付着用領域に含む第一リフレッシュ用潜像である。
【0022】
本実施例では、リフレッシュパターン2において、2か所分離爪を設けた感光体ユニットに対して分離爪の位置のパターンをマスクしている。パターンのマスク幅Gは10mmとしており、このマスクする幅が分離爪や書き込みの位置精度より狭く設定してしまうと、分離爪位置をリフレッシュパターンが通過する可能性があり、用紙端面の汚れが発生してしまう。特に分離爪と下ガイド板のリブや除電針ホルダの上部との距離が7ミリ程度というように小さい場合には汚れが生じ易い。上記距離が20ミリ以下、特に10ミリ以下、さらには5ミリ以下というように狭くなるほど汚れが生じやすく、本発明は、このような距離の装置に特に有用である。
【0023】
また上記幅が広すぎる場合、クリーニングブレード22aに入力されるトナーが感光体軸方向において、入力されない部分が多くなり、後述する感光体メダカの不具合を発生しやすくなる。10mmほどの短い幅であれば、クリーニングブレード22aでトナー入力されていない部分も、周りの入力されている部分のトナーが回り込むため不具合が発生しにくくなる。
【0024】
本実施例では、以上の2つのパターンを切り替えて使用できることに特徴がある。トナーリフレッシュパターンの主走査方向に対して、感光体ドラムに近接する分離爪位置のパターン書き込みをマスクした場合、トナーリフレッシュパターンが分離爪を通過する際に発生するトナー飛散を抑え、用紙の端面(コバ面)汚れを防止することが可能となる。一方でパターンをマスクした場合、感光体メダカ等の副作用が発生する可能性がある。リフレッシュパターンをマスクすることで発生する不具合(感光体メダカ等)の発生を抑えるため、使用するリフレッシュパターンを従来のマスクしていない全面リフレッシュパターンに切り替えられるようにする。
【0025】
リフレッシュパターンをマスクしたことによるコバ面汚れ対策効果と、マスクした場合に懸念される副作用(感光体メダカ等)とがトレードオフになっていることを考慮し、最適なリフレッシュパターンに設定できるようにする。パターンをマスクしないことによる用紙の端面(コバ面)汚れと、パターンをマスクしたことによる副作用が発生する条件が異なるため、お客様の使われ方に応じて最適なリフレッシュパターンに設定する。
【0026】
トナーリフレッシュ制御として、以下の3種類がある。
(1)「低画像リフレッシュ」
低画像での使用による現像器内のトナー劣化を防止する目的でリフレッシュ動作を行う低画像リフレッシュ。使用するユーザーの画像面積率が低ければ低いほど、高頻度や高面積のトナーリフレッシュを行う。例えば面積率で2~3%といった低画像面積率の画像形成を連続して行うと、現像ローラ上のトナーの入れ替えが生じにくく現像ローラ上でトナーが劣化ししてまう。二成分現像剤を用いる現像装置では現像器内の現像剤中のトナーの入れ替えが生じにくく、現像器内の現像剤中のトナー劣化が生じてしまう。これを回避するため、例えば、低画像面積率の累積形成枚数(画像形成量)が10枚に達する毎に実行する(実行時期が10枚毎)。
【0027】
(2)「一定距離リフレッシュ」
クリーニングブレードに定期的にトナーを入力し感光体メダカやクリーニング不良を防止する一定距離での一定距離リフレッシュ。感光体メダカとはトナーの添加剤であるシリカや紙に含まれる炭酸カルシウムなどが感光体3の表面に付着・固定化し、これらが固定化した箇所では光書込によっても電位低下が起こりにくく画像上の白抜けを生じる。これらの付着固定が副走査方向に延びる流線形状でしかも、メダカが群れをなしているように複数集合して生じる。この結果、上記画像上の白抜けも流線形状ものが複数集合した形で生じ、メダカが群れをなしているように見えることから感光体メダカとよばれる。
【0028】
感光体にトナーを入力させ、クリーニングブレード22aによるトナーを用いた感光体表面の摺擦により感光体表面の付着部を除去することが目的であるため、一定距離でトナーリフレッシュを行う。例えば、50枚~100枚の範囲の実行する(実行時期が50枚~100枚毎)。使われ方に寄らず一定距離でリフレッシュを行うため、低頻度で実施するような設計にすることが望ましい。
【0029】
(3)「小サイズリフレッシュ」
小サイズ通紙時に紙が通紙しない端部に、紙による感光体表面の研磨効果がないため、感光体メダカが発生しやすい。このことから小サイズ紙使用時、小サイズリフレッシュ(端部メダカ対策)を実施し、クリーニングブレード22aによるトナーを用いた感光体表面の摺擦により感光体表面の付着部を除去する。例えば小さいサイズの累積枚数が100枚になる毎に実行する(実行時期が100枚毎)。
【0030】
それぞれで、対策する課題が異なる。例えば低画像トナー吐き出しは現像ローラ上、あるいは現像器内のトナー劣化防止であるため、マスクすることによるデメリット(感光体メダカの発生)は小さい。また、必要なタイミングも異なる。例えば低画像リフレッシュは、低印字ユーザーに頻繁に入るが、高印字ユーザーには入らない。小サイズ吐き出しは小サイズの紙印刷時のみ実施する。そして、それぞれの課題とコバ面汚れの悪化条件も異なる。例えばコバ面汚れは厚紙や高抵抗紙で発生しやすい。厚紙だと腰が強く下ガイド板25のリブ25aなどに強くこすられて汚れ易い。紙の電気抵抗が高いと帯電しているトナーが静電気的に付着して汚れ易い。炭酸カルシウム等添加剤が多い紙は感光体メダカを生じやすいが、電気抵抗は低いためコバ面汚れは生じにくい。以上より最適なケースでリフレッシュパターンをマスクすることで、コバ面汚れとメダカ等副作用の防止を両立させることが可能となる。
【0031】
図6はパターンの設定の場合分けの一例を示す図である。ユーザーまたはサービスマンがお客様の使用されている用紙/環境を確認し、本体操作部32(
図4参照)から設定を入力し、リフレッシュパターンを切り替えることができるようにする。例えば、厚紙や高抵抗紙を多く使用するお客様に対しては、コバ面汚れが発生しやすいため設定1を選択しておくが、炭酸カルシム等紙粉の多いお客様には感光体メダカが懸念されるため、一定距離リフレッシュをマスクしないように設定する、設定2を選択する。この設定1,2に応じ、光書込装置4を制御する書込制御部31(
図4参照)の制御を切り替える。
【0032】
ユーザーが設定する場合は、設定にあたりユーザーが設定1と設定2の何れかを選びやすいよう、設定1をユーザーが使用する紙種名、紙サイズ、紙厚の名前に設定登録できるようにしておくことが望ましい。例えば、紙厚に対しては106g/m2以上の紙厚を厚紙と表記し、105g/m2以下の紙は普通紙と表記し、厚紙が設定1としてマスクしたパターンとする。
また炭酸カルシウム量においても10%超える紙種においてはメダカ発生の可能性が高まるため、設定2のリフレッシュマスクしないパターンを使用するのが望ましい。炭酸カルシウムの多い紙を「高白色紙」と表記したり、使用する紙種の銘柄を登録してもよい。
【0033】
また一定距離リフレッシュは画像面積率等の条件に寄らずにリフレッシュを実行するため、低画像リフレッシュに比べて頻度が低く設定されることが一般的である。このためデフォルト条件は、一定距離リフレッシュについてリフレッシュパターンをマスクしている設定1とし、マスク箇所での感光体メダカの発生などの不具合発生した場合には、設定2に設定する運用としてもよい。
【0034】
また、この設定の変更は、ユーザーやサービスマン以外に、遠隔操作で変更できるように設定しておくこともできる。近年、プリンターをネットワークで接続しておくことで、ログ情報を取得し使用状況の把握や、内部パラメータを遠隔操作で変更できるソフトウェアを搭載している機種が一般的になっている。本実施形態でも内部パラメータで設定可能としておく。そして、プロセスカートリッジの緊急交換時の処置内容や、お客様の使われ方をログ情報から確認し、パターンの変更が必要な場合、遠隔操作で設定を変更(他の機器から前記ネットワークを介して受け取る選択指示情報に基づいて選択)して対策できるようにする。これにより、サービスマンの訪問回数の低減や、ダウンタイムの低減ができる。この遠隔操作のための通信に、通信コントロール装置33(
図4参照)を用いる。
【0035】
図7は、使われ方を判定し、リフレッシュパターンを自動で切り替える場合のフローについて説明する図です。はじめに、このフローは、印刷JOBの終わりに実行する。トナーリフレッシュはJOBエンド時にリフレッシュの有無の判定と、リフレッシュ実行の一連の動作で行う。
【0036】
まず、ユーザーのこれまでに使用された平均画像面積率の情報を取得し(S1)、低画像のユーザーに画像面積率リフレッシュが必要か判定する(S2)。要の場合は、分離爪位置をマスクしたトナーリフレッシュを実行する(S3)。否の場合は、次に走行距離を確認し(S4)、一定距離リフレッシュが必要か判定する(S5)。
【0037】
一定距離リフレッシュが要の場合、次に紙種や環境情報を取得し(S6)、分離爪位置のマスクの有無を判定する(S7)。紙種の判定について、厚紙は紙のコシが強いためコバ面汚れの悪化条件である。厚紙2はリフレッシュパターンをマスクしたリフレッシュパターンとし(S3)、普通紙はリフレッシュパターンをマスクなしのものとする(S8)。もちろん紙種や紙サイズに応じてパターン切替を行ってもよい。
【0038】
次に環境情報を判断してリフレッシュパターンを変更する。高温高湿環境では、機内の熱等で感光体メダカが発生しやすいためマスクしないパターンとする。低温度低湿環境では、紙の抵抗が高くなり、静電的に用紙端面を汚すため、リフレッシュパターンをマスクする(S3)。パターンを変更する絶対湿度の境界としては、感光体メダカが発生する絶対湿度である、例えば絶対湿度15g/m3を挙げられる。絶対湿度15g/m3以下の場合はリフレッシュパターンをマスクしたパターンを選択する(S3)。
【0039】
低画像トナーリフレッシュも定量吐き出しも否の場合トナーリフレッシュ制御は実施しない(S9)。 以上より、リフレッシュパターンの分離爪位置をマスクしコバ面汚れを対策できる。コバ面汚れが良く、副作用が大きい条件のみマスク無しでトナーリフレッシュを行うことで両立が可能となる。以上の平均画像面積率(S1)、走行距離(S4)、紙種、環境情報(S6)が使用するリフレッシュ用潜像を自動選択するのに使用する関連情報である。
【0040】
図8は、プロセスカートリッジ種類、使われ方を判定し、リフレッシュパターンを自動で切り替える場合のフローについて説明する図です。
プロセスカートリッジの紙分離機能を紙サイズや紙種紙厚に応じた設定とするために、分離爪の数や位置が互いに異なる複数種のプロセスカートリッジを用意する。このプロセスカートリッジ種類に応じてパターンのマスクする位置や数を自動で変更する。特に薄紙を使用しないユーザー等、プロセスカートリッジの分離爪が不要なユーザーに対しては、リフレッシュパターンのマスク無しでもコバ面汚れが発生しないため、マスクすることによる不具合も発生しないため、フローが簡略化できる。
【0041】
図8は、例として次の2種類のプロセスカートリッジを用意しておくことを想定したフローを示す。プロセスカートリッジ1は紙の分離機能を持たせるために感光体ドラム近傍に分離爪を配置させたプロセスカートリッジである。プロセスカートリッジ2は分離爪を配置していないプロセスカートリッジである。
【0042】
カートリッジがプリンター本体にセットされた時に、プロセスカートリッジ2内のICチップ35であるIDチップの情報をチップ読取回路34で読み込み(
図3参照)、セットされているカートリッジが、カートリッジ1であるかカートリッジ2であるか判定する(S10)。プロセスカートリッジ1の場合、
図7と同じフロー(カートリッジ1サブルーチン)(S11)を実施し、トナーリフレッシュパターンを自動選択する。プロセスカートリッジ2の場合、リフレッシュパターン作成時にパターンマスク無し設定とする(S23,S28,S29)。ここで、
図7におけるフロートのS4,S5、S8,S9に、
図8におけるS24,S25,S28,S29が対応する。以上より、用紙端面の汚れと、パターンをマスクすることによる副作用、紙の分離不良について最適な条件を設定することができる。
【0043】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、潜像担持体(例えば感光体3)にリフレッシュ用潜像(例えばPa)を形成して現像装置(例えば現像装置21)で現像するリフレッシュ工程を実行する画像形成装置(例えばモノクロ電子写真装置1)において、リフレッシュトナー像通過経路上の近接部材(例えば分離爪23)に対向する部分をトナー付着用領域(例えばPa)に含む第一リフレッシュ用潜像(例えばPa)と、前記対向する部分を前記トナー付着用領域に含まない第二リフレッシュ用潜像(例えばPb)との間で、前記リフレッシュ工程で用いるリフレッシュ用潜像の選択を可能としたことを特徴とするものである。
【0044】
特許文献1の発明では、リフレッシュ用潜像として、近接部材に対向しない非近接領域からなるリフレッシュ用潜像に連続して終端部に上記近接部材に対向する領域を含むリフレッシュ用潜像終端部を有するリフレッシュ用潜像を用いるのみであるため、用紙端面(コバ面)の汚れが発生しやすい紙種や環境では、終端部分のトナーが感光体近傍の分離爪によって飛散し用紙端面(コバ面)の汚れが発生する。
これに対し第1態様においては、第一リフレッシュ用潜像(例えばPa)と、第二リフレッシュ用潜像(例えばPb)との間で、前記リフレッシュ工程で用いるリフレッシュ用潜像の選択を可能とであるので、用紙端面(コバ面)の汚れが発生しやすい紙種や環境などでは、第二リフレッシュ用潜像を選択して用紙端面(コバ面)の汚れの発生を防止するとともに、用紙端面(コバ面)の汚れが発生しにくい紙種や環境などで、第一リフレッシュ用潜像を選択して第二リフレッシュ用潜像を使用することによる感光体メダカなどの不具合を回避することもできる。よって、従来よりも鮮明な画像を形成することが可能となる。
【0045】
[第2態様]
第2態様は、操作部(例えば)を有する第1態様において、前記操作部の操作に基づいて前記選択を行うことを特徴とするものである。これによれば操作部を用いて操作によって適切なリフレッシュ用潜像を選択できる。
【0046】
[第3態様]
第3態様は、ネットワーク(例えば)に接続される第1態様において、前記ネットワークに接続された他の機器から前記ネットワークを介して受け取る選択指示情報に基づいて選択を行うことを特徴とするものである。これによれば、遠隔操作によって適切なリフレッシュ用潜像を選択できる。
【0047】
[第4態様]
第4態様は、第1態様において、関連情報の取得手段と、前記取得手段の取得情報に基づいて前記選択を行う選択手段とを設けたことを特徴とするものである。これよれば、自動で適切なリフレッシュ潜像を選択できる。
【0048】
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記関連情報は、画像を形成するシートの種類と前記シートの厚さの少なくとも一つの情報であることを特徴とするものである。これによれは、腰の強さなどの用紙端面(コバ面)の汚れやすさに応じて適切にリフレッシュ潜像を選択できる。
【0049】
[第6態様]
第6態様は、第4態様において、前記関連情報は、装着されている脱着可能な画像形成ユニット(例えばプロセスカートリッジ2)の種類の情報であることを特徴とするものである。これによれば、画像形成ユニットにおける分離爪などの近接部材の位置や数の情報を関連情報し、これらに応じた第二リフレッシュ用潜像を形成できる。問題にすべき近接部材が存在しない場合には第一のリフレッシュ用潜像のみを選択するようもぎきる。
【0050】
[第7態様]
第7態様は、第4態様において、前記関連情報は、環境の情報であることを特徴とするものである。これによれば、温度湿度といった環境に応じて適切にリフレッシュ潜像を選択できる。
【0051】
[第8態様]
第8態様は、第1乃至第7態様の何れか一の態様において、二種以上のリフレッシュ工程を有することを特徴とするものである。これによれば、それぞれのリフレッシュ工程の狙いやヒントに応じて適切なリフレッシュ潜像を選択できる。
【0052】
[第9態様]
第9態様は、第8態様において、各リフレッシュ工程で用いる前記第一リフレッシュ用潜像と前記第二リフレッシュ用潜像の複数の組み合わせの中から前記二種以上のリフレッシュ工程で用いる組み合わせを選択可能としたことを特徴とするものである。これによれば、予め定めておいた複数の組み合わせから選択することにより、適切なリフレッシュ潜像を選択できる。
【0053】
[第10態様]
第10態様は、第8または第9態様において、前記二種以上のリフレッシュ工程は、所定以下の画像面積率の画像形成量に基づいて実行時期が決定される工程と、所定以下のサイズの画像形成量に基づいて実行時期が決定される工程とを含むことを特徴とするものである。これによれば、所定以下のサイズを形成することによる感光体メダカなどの不具合を防止できる適切なリフレッシュ潜像を選択できる。
【符号の説明】
【0054】
1 :モノクロ電子写真装置
2 :プロセスカートリッジ
3 :感光体
3a :プロセスモータ
4 :光書込装置
5 :転写装置
5a :転写ローラ
6 :給紙搬送装置
7 :給紙カセット
8 :給紙ローラ
9 :レジストローラ対
10 :定着装置
10a :加熱ローラ
10b :加圧ローラ
11 :排紙ローラ
12 :排紙トレイ
13 :用紙反転部
20 :帯電装置
20a :帯電ローラ
21 :現像装置
21a :現像ローラ
21b :供給ローラ
21c :規制ブレード
22 :クリーニング装置
22a :クリーニングブレード
23 :分離爪
24 :除電針ユニット
24a :リブ
24b :除電針ホルダ
24c :除電針
25 :下ガイド板
25a :リブ
25a1 :搬送リブ
25a2 :搬送リブ
26a :紙ガイド部材
26b :紙ガイド部材
27 :上端部
30 :メイン制御部
31 :書込制御部
32 :操作部
33 :通信コントロール装置
34 :チップ読取回路
35 :ICチップ
106 :光書き込み装置
124 :分離爪
G :マスク幅
JOB :印刷
P :用紙
Pa :後端
X :領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】