(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220519BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
G05D1/02 T
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2020121082
(22)【出願日】2020-07-15
(62)【分割の表示】P 2016048339の分割
【原出願日】2016-03-11
【審査請求日】2020-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】山本 昌司
(72)【発明者】
【氏名】露木 孝範
(72)【発明者】
【氏名】山根 千佳
(72)【発明者】
【氏名】曽根 冬馬
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-75254(JP,A)
【文献】特開平8-53207(JP,A)
【文献】特開平10-1217(JP,A)
【文献】特開平3-213255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/12
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送し移載作業を行う走行装置と、
前記走行装置に設けられ、該走行装置の物品有無を検知する検知手段と、
前記走行装置との間で物品の移載作業を行うステーションと、
前記ステーションに設けられ、前記物品を移載するための移載手段と、
前記走行装置及び前記ステーションと通信可能な通信手段とを備えた搬送システムであって、
前記検知手段は、前記走行装置の前記物品の移載方向の両側に設けられており、
2つの検知手段のいずれか一方の検知手段の検知結果に基づいて、前記移載手段の駆動が制御され、前記走行装置
と前記ステーション
との間で物品の移載を行うことを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送システムにおいて、
前記走行装置から前記ステーションへ物品の移載を行うとき、
前記移載手段は、
2つの検知手段のうち、前記ステーション側の検知手段がOFFの場合に駆動を停止することを特徴とする搬送システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の搬送システムにおいて、
前記ステーションとして、前記走行装置に物品を供給するための物品供給ステーションと、前記走行装置から物品が移載される物品移載ステーションとを有しており、
前記通信手段は、前記物品移載ステーションの稼動情報を受信し、前記物品供給ステーションの物品を前記物品移載ステーションに搬送する必要があると判断した場合に、前記走行装置に前記物品供給ステーションへの走行開始要求情報を送信することを特徴とする搬送システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一
に記載の搬送システムにおいて、
前記走行装置を複数台有しており、
前記通信手段と各走行装置との通信を中継する中継通信手段を有することを特徴とする搬送システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一に記載の搬送システムにおいて、
前記走行装置が走行する走行案内線に沿って、複数の前記ステーションが設けられており、
前記通信手段は前記走行装置に物品搬送に関する情報を送信可能であり、該物品搬送に関する情報として、複数の前記ステーションのうち、前記走行装置に物品を供給するため物品供給ステーションの位置に関する情報と、前記走行装置から物品が移載される物品移載ステーションの位置に関する情報とが含まれることを特徴とする搬送システム。
【請求項6】
請求項5に記載の搬送システムにおいて、
前記物品はケースに収納されており、
前記物品搬送に関する情報として、複数の前記ステーションのうち、前記走行装置に前記ケースを回収させるための回収ステーションの位置に関する情報が含まれることを特徴とする搬送システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一に記載の搬送システムにおいて、
前記通信手段は、
前記走行装置の走行情報を該走行装置から受信可能であり、
前記走行装置から前記移載手段への物品の供給情報を前記ステーションから受信可能であり、
物品搬送に関する動作を制御する搬送動作制御情報を前記走行装置に送信可能であることを特徴とする搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、無人搬送車に設けられた移載装置に物品を載せて、ある場所から他の場所に物品を移送する搬送システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、係る自動搬送システムであって、無人搬送車が走行案内線上を走行し、走行案内線沿いに設けたステーションに停止して、無人搬送車の搬送車側移載装置と、ステーションの地上側移載装置との間で、物品の移載作業を行うものが記載されている。搬送車側移載装置と地上側移載装置とには、それぞれ物品の有無を検知するための物品検出センサーが設けられている。そして、無人搬送車がステーションに到着したら、各物品検出センサーの検出結果に基づいて、無人搬送車とステーションとの間で通信手段により通信を行ない、搬送車側移載装置及び地上側移載装置の駆動を制御して、搬送車側移載装置と地上側移載装置との間で物品の移載作業を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記搬送車側移載装置と前記地上側移載装置との両方に各物品検出センサーを設ける必要があるため、コストアップを招いてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、物品を搬送し移載作業を行う走行装置と、前記走行装置に設けられ、該走行装置の物品有無を検知する検知手段と、前記走行装置との間で物品の移載作業を行うステーションと、前記ステーションに設けられ、前記物品を移載するための移載手段と、前記走行装置及び前記ステーションと通信可能な通信手段とを備えた搬送システムであって、前記検知手段は、前記走行装置の前記物品の移載方向の両側に設けられており、2つの検知手段のいずれか一方の検知手段の検知結果に基づいて、前記移載手段の駆動が制御され、前記走行装置と前記ステーションとの間で物品の移載を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上、本発明によれば、低コスト化を図りつつ、物品の自動搬送を行うことができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】移載装置に設けられたローラーコンベアの上面図。
【
図5】無人搬送車で実施される制御の一例を示すフローチャート。
【
図6】AGVサーバーPCで実施される制御の一例を示すフローチャート。
【
図7】部材倉庫で実施される制御の一例を示すフローチャート。
【
図8】ラインで実施される制御の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
図2は、本発明の一実施形態係る自動走行装置としての無人搬送車(AGV)100の概略構成図である。無人搬送車100は、走行面である路面(床面)上に予め付されている走行案内線1に沿って自動走行する。なお、本実施形態では、走行案内線1が黄緑色の路面に貼付けられた所定幅の黒ビニールテープである場合について説明するが、後述の撮影装置で撮影して識別可能なものであればよく、走行案内線1の材料、色、形成方法等は特定のものに限定されるものではない。
【0009】
無人搬送車100の前輪107は、車軸を中心に車輪が自由回転するとともに、車軸支持枠が垂直軸を中心に回動可能なキャスタである。後輪108は、駆動源としての駆動モーター106で回転駆動される駆動輪である。駆動モーター106は、PC101によりモーター制御部を介して制御可能となっている。無人搬送車100には、バッテリー収納ケース102があり、その内部に駆動モーター106に給電する電源としてのバッテリー(蓄電池)が入っている。また、無人搬送車100の直前の路面を撮影する撮像手段としての撮影装置104が、その視野中心線の対路面角度を所定角度(例えば35度)にして設置されている。また、撮影装置104の視野中心線が路面と交わる位置を照明装置105が照明する。照明装置105の光源は例えば蛍光灯である。撮影装置104には、USBカメラと偏光レンズとを有する。偏光レンズは、USBカメラのレンズの前に装着してあり、路面及び走行案内線1の表面反射光(照り返し)を遮断し、撮影画面のハレーションやハイライトを抑止する。
【0010】
無人搬送車100には、コンピュータ装置であるPC(パーソナルコンピュータ)101が設けられている。撮影装置104のUSBカメラは、PC101のUSBポートに接続されている。なお、PC101としては、例えば市販されているノートパソコンやタブレットパソコンなどを用いることができる。無人搬送車100上のPC101は、無人搬送車100の自動走行や自動停車等の動作を制御するための制御プログラムが予め組み込まれており、その制御プログラムを読み込んで実行する。例えば、無人搬送車100が路面上の走行案内線1に沿って倣い走行するための各種制御を実行することができる。また、
図2に示すように、無人搬送車(AGV)100の上には、移載装置110が設置されている。
【0011】
図4は、走行案内線1を路面に貼り付けて構成した運行経路の一例を単純化して示した説明図である。この例では、番地10をスタート点に定め、無人搬送車(AGV)100の走行方向を図中右側と定めている。また、この例では、走行方向に関して、部材搬送における荷積点や荷卸点などに番地を定めている。これらの番地を定めた地点には、走行案内線1に対し無人搬送車走行方向で右側に、所定形状の番地マークが予め付されている。この番地マークは、撮影装置104のUSBカメラを用いて検出され、PC101に読み込まれる。なお、番地マークの近くに、後述する運行予定表における当該番地を表現する識別コードを表すコード標識を対応付けて設けても良い。路面上の走行案内線1や番地マークやコード標識などは、例えば市販の幅19[mm]の黒ビニールテープを貼付することで付すことができる。
図4における運行経路は、同一構造及び同一機能の複数の無人搬送車100(本実施形態においては、二台の無人搬送車:AGV001及びAGV002)を同時に運行させることが可能となっている。
【0012】
図3は、移載装置110に設けられたローラーコンベア130の上面図である。この移載装置110は、無人搬送車進行方向で対をなす支持板121,122に、軸方向両端部それぞれが回転可能に軸支された複数のローラー131a,131b,131c,131d,131e,131fで構成されるローラーコンベア130を備えている。各ローラー131の軸方向両端部には、それぞれ駆動伝達ベルト134,135が掛けまわされるプーリー132a,132b,132c,132d,132e,132f,133a,133b,133c,133d,133e,133fが設けられている。複数のローラー131のうちの無人搬送車進行方向に対して右端に位置するローラー131aは、移載用モーター136で回転駆動可能となっている。そして、このローラー131aを回転駆動することで各プーリー132,133と駆動伝達ベルト134,135とを介して他のローラー131b,131c,131d,131e,131fを回転させることができる。移載用モーター136は、無人搬送車100のPC101によりモーター制御部を介して制御可能となっており、正転および逆転が可能となっている。移載用モーター136を正転させたときには、無人搬送車進行方向に対して右から左に部材が移動するようにローラーコンベア130が駆動する(ローラーコンベア正転方向)。移載用モーター136を逆転させたときには、無人搬送車進行方向に対して左から右に部材が移動するようにローラーコンベア130が駆動する(ローラーコンベア逆転方向)。
【0013】
例えば、部材倉庫またはラインが無人搬送車進行方向に対して左側に位置する場合、部材倉庫またはラインに無人搬送車100の移載装置110から部材などを移すとき(部材供給時)には、移載用モーター136を正転させる。また、部材倉庫またはラインから無人搬送車100の移載装置110に部材などを移すとき(部材回収時)には、移載用モーター136を逆転させる。一方、部材倉庫またはラインが無人搬送車進行方向に対して右側に位置する場合、部材倉庫またはラインに無人搬送車100の移載装置110から部材などを移すとき(部材供給時)には、移載用モーター136を逆転させる。また、部材倉庫またはラインから無人搬送車100の移載装置110に部材などを移すとき(部材回収時)には、移載用モーター136を正転させる。
【0014】
また、移載装置110には、ローラーコンベア130上における部材有無を検知するための部材有無検知手段として、第一光電センサー111と第二光電センサー112とが設けられている。第一光電センサー111は、無人搬送車進行方向に対して右側の端に配置されており、第二光電センサー112は、無人搬送車進行方向に対して左側の端に配置されている。そして、ローラーコンベア130上で各光電センサーの対向位置に部材がある場合は、各光電センサーがONとなり、前記対向位置に部材がない場合には、各光電センサーがOFFとなる。また、各光電センサーの検知結果は、部材有無検知信号としてPC101に送信される。
【0015】
図1は、本実施形態に係る自動搬送システムの構成図である。部材倉庫300は、第一部材倉庫300Aと第二部材倉庫300Bと第三部材倉庫300Cとからなり、ライン400が使用する部材を置いておく部材置場である。そして、各部材倉庫300A,300B,300Cに設けられた移載装置であるベルトコンベア310A,310B,310C毎に、異なる部材をストックするブロックである。この部材倉庫300には、人により部材が供給され、部材倉庫300内の部材が空になることはないものとする。ライン400は、第一ライン400Aと第二ライン400Bと第三ライン400Cと第四ライン400Dとからなり、無人搬送車100から受け取った部材を加工して製品を作るブロックである。各ライン400A,400B,400C,400Dには、無人搬送車100との間で部材などの受け渡しを行う移載装置であるベルトコンベア410A,410B,410C,410Dが設けられている。無人搬送車100は、部材倉庫300から受け取った部材をライン400へ供給する役目を担っている。また、部材を収納していた空箱をライン400から回収し部材倉庫300へ搬送する役目も担っている。
【0016】
AGV側搬送システムは、無人搬送車100として第一無人搬送車(AGV001)100Aと第二無人搬送車(AGV002)100Bとを有し、第一無人搬送車100Aと第二無人搬送車100Bとを一括管理するAGVサーバーPC150を備える。第一無人搬送車100A及び第二無人搬送車100Bそれぞれに設けられたPC101とAGVサーバーPC150とは、無線LAN(IEEE802.11)で通信可能となっている。自動搬送制御装置200は、AGVサーバーPC150とシリアルIFで通信可能に接続されている。また、自動搬送制御装置200は、部材倉庫300に設けられた部材倉庫コントローラ320ともシリアルIFで通信可能に接続されており、ライン400に設けられたラインコントローラ420とはLANで通信可能に接続されている。そして、自動搬送制御装置200は、部材倉庫コントローラ320及びラインコントローラ420とAGVサーバーPC150との間で、情報を接続する役目を持っている。AGVサーバーPC150から自動搬送制御装置200に送信される情報は、部材倉庫300またはライン400への無人搬送車100の到着信号や、無人搬送車100のローラーコンベア130上における部材有無情報や、無人搬送車100の走行情報などである。部材倉庫300の部材倉庫コントローラ320及びライン400のラインコントローラ420から自動搬送制御装置200に送信される情報は、部材の供給信号や、空箱の回収信号や、部材倉庫300及びライン400の稼動情報などである。
【0017】
図4は、無人搬送車100が走行するコースレイアウトである。無人搬送車100は番地10で待機していて行き先が1の場合は、番地10からスタートし番地11で第一部材倉庫300Aから部材を受け取り、番地13で第一ライン400Aへ部材を供給し、番地14で第二ライン400Bから空箱を回収する。
【0018】
表1は、第一無人搬送車100Aの運行予定表の一例を示したものである。表2は、第二無人搬送車100Bの運行予定表の一例を示したものである。表3は、表1及び表2にアルファベットで表されたアクションのパラメータ及び意味を示したものである。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
表4は、第一無人搬送車100Aの到着信号定義表を示すものであり、第一無人搬送車100Aからの番地情報を元にAGVサーバーPC150側がセットするものである。
【0023】
【0024】
表5は、第一無人搬送車100Aの制御信号定義表を示すものであり、ライン400側が第一無人搬送車100Aに対してセットするものである。
【0025】
【0026】
表6は、第二無人搬送車100Bの到着信号定義表を示すものであり、第二無人搬送車100Bからの番地情報を元にAGVサーバーPC150側がセットするものである。
【0027】
【0028】
表7は、第二無人搬送車100Bの制御信号定義表を示すものであり、ライン400側が第二無人搬送車100Bに対してセットするものである。
【0029】
【0030】
以下、第一無人搬送車100Aを用いた部材の自動搬送について説明する。なお、第二無人搬送車100Bを用いた部材の自動搬送について、上述した運行予定表と到着信号定義表と制御信号定義表とを、第一無人搬送車100Aに対応したものに替えて第二無人搬送車100Bに対応したものを使用すれば良いので、その説明は省略する。
【0031】
第一無人搬送車100Aのスタート地点は、
図4に示す番地10とする。まず、第一無人搬送車100Aの撮影装置104を用いて検知した番地10の情報を、PC101からAGVサーバーPC150に通知する。AGVサーバーPC150は、番地10の情報を受けると、表4の到着信号定義表に示す、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-0」、アドレス「1000-1」、アドレス「1000-2」、アドレス「1000-3」をOFFにする。
【0032】
ラインコントローラ420は、第一ライン400Aの稼動情報を監視しており、第一部材倉庫300Aにある部材を第一ライン400Aに供給する必要があると判断すると、自動搬送制御装置200のアドレス「2000-0」をONにする。これにより、適切なタイミングで、第一部材倉庫300Aから第一ライン400Aに部材を自動搬送するための「行き先1」への無人搬送車100の走行開始要求を出すことができる。
【0033】
AGVサーバーPC150は、自動搬送制御装置200を定期的に監視しており、アドレス「2000-0」がONであれば、第一無人搬送車100Aへ「行き先1」への走行開始要求を送信する。これにより、第一無人搬送車100Aは、表1に示す第一無人搬送車100Aの運行予定表から「行き先1」の運行ルートを選択し走行を開始する。
【0034】
番地10から走行案内線1上を走行する第一無人搬送車100Aが、撮影装置104により最初の番地を読んだら、運行予定表の「行き先1」の運行ルートで最初に定義された番地が選択され、番地11と認識する。選択結果は、「11:NA,11:NCO:1,11:NZ」なので、まず、「11:NA」を実行する。つまり、移載開始と解釈して番地11で第一無人搬送車100Aが停止する。また、番地11の情報をPC101からAGVサーバーPC150に通知する。
【0035】
AGVサーバーPC150は、番地11は移載命令なので到着通知要と判断し、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-0」をONにする。
【0036】
番地11に設置された第一部材倉庫300Aに設けた部材倉庫コントローラは、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-0」がONのとき、第一部材倉庫300Aのベルトコンベア310Aを部材搬出方向に回転させる。
【0037】
表1の運行予定表から、「11:NA」を実行した後、次も同じ番地11が定義されているので、「11:NCO:1」を続けて実行する。つまり、無人搬送車100のローラーコンベアモーターを逆転し、第一光電センサー111がOFFからONになったらローラーコンベアモーターの逆転動作を停止する。
【0038】
表1の運行予定表から、「11:NCO:1」を実行した後、次も同じ番地11が定義されているので、「11:NZ」を続けて実行する。つまり、移載終了なので第一無人搬送車100Aの走行を開始し、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-0」をOFFにする。なお、部材倉庫コントローラは、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-4」を監視しており、第一光電センサー111がONになると、第一部材倉庫300Aのベルトコンベア310Aの回転を停止させる。
【0039】
以上により、自動搬送制御装置200を介して無人搬送車100のローラーコンベア130と第一部材倉庫300Aのベルトコンベア310Aとが同期動作して、第一部材倉庫300Aにある部材が無人搬送車100に受け渡される。
【0040】
表1の運行予定表から、「11:NZ」を実行した後、番地11から走行案内線1上を走行する第一無人搬送車100Aが、撮影装置104により次の番地を読んだら、運行予定表で番地11の次に定義された番地が選択され、番地12と認識する。番地12での選択結果は「12:-」なので、番地12の情報をPC101からAGVサーバーPC150に通知だけを実行し、その他は何も実行しない。AGVサーバーPC150は、番地12は移載命令ではないので到着通知不要と判断し、自動搬送制御装置200の制御を行わず、第一無人搬送車100Aは番地12を通過する。
【0041】
表1の運行予定表から、「12:-」を実行した後、番地12から走行案内線1上を走行する第一無人搬送車100Aが、撮影装置104により次の番地を読んだら、運行予定表で番地12の次に定義された番地が選択され、番地13を認識する。番地13での選択結果は「13:NA,13:NCS:2,13:NZ」なので、まず、「13:NA」を実行する。つまり、移載開始と解釈して番地13で第一無人搬送車100Aが停止する。また、番地13の情報をPC101からAGVサーバーPC150に通知する。AGVサーバーPC150は、番地13は移載命令なので到着通知要と判断し、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-2」をONにする。
【0042】
ラインコントローラ420は、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-2」がONのとき、第一ライン400Aの移載装置であるベルトコンベア410Aを第一無人搬送車100Aから部材を搬入する部材搬入方向に回転させる。
【0043】
表1の運行予定表から、「13:NA」を実行した後、次も同じ番地13が定義されているので、「13:NCS:2」を続けて実行する。つまり、無人搬送車100のローラーコンベアモーターを正転し、第二光電センサー112がONからOFFになったらローラーコンベアモーターの正転動作を停止する。
【0044】
表1の運行予定表から、「13:NCS:2」を実行した後、次も同じ番地13が定義されているので、「13:NZ」を続けて実行する。つまり、移載終了なので第一無人搬送車100Aの走行を開始し、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-2」をOFFにする。なお、ラインコントローラ420は、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-5」を監視しており、第二光電センサー112がOFFになると、第一ライン400Aのベルトコンベア410Aの回転を停止させる。
【0045】
以上により、自動搬送制御装置200を介して無人搬送車100のローラーコンベア130と第一ライン400Aのベルトコンベア410Aとが同期動作して、無人搬送車100にある部材が第一ライン400Aに供給される。
【0046】
表1の運行予定表から、「13:NZ」を実行した後、番地13から走行案内線1上を走行する第一無人搬送車100Aが、撮影装置104により次の番地を読んだら、運行予定表で番地13の次に定義された番地が選択され、番地14と認識する。番地14での選択結果は「14:NA,14:NCO:1,14:NZ」なので、まず、「14:NA」を実行する。すなわち、移載開始と解釈し番地14で第一無人搬送車100Aが停止する。また、番地14の情報をPC101からAGVサーバーPC150に通知する。AGVサーバーPC150は、番地14は移載命令なので到着通知要と判断し、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-3」をONにする。
【0047】
ラインコントローラ420は、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-3」がONのとき、第二ライン400Bの移載装置であるベルトコンベア410Bを第一無人搬送車100Aに部材を搬出する部材搬出方向に回転させる。
【0048】
表1の運行予定表から、「14:NA」を実行した後、次も同じ番地14が定義されているので、「14:NCO:1」を続けて実行する。つまり、無人搬送車100のローラーコンベアモーターを逆転し、第一光電センサー111がOFFからONになったらローラーコンベアモーターの逆転動作を停止する。
【0049】
表1の運行予定表から、「14:NCO:1」を実行した後、次も同じ番地14が定義されているので、「14:NZ」を続けて実行する。つまり、移載終了なので第一無人搬送車100Aの走行を開始し、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-3」をOFFにする。なお、ラインコントローラ420は、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-4」を監視しており、第一光電センサー111がONになると第二ライン400Bのベルトコンベア410Bの回転を停止させる。
【0050】
以上により、自動搬送制御装置200を介して無人搬送車100のローラーコンベア130と第二ライン400Bのベルトコンベア410Bとが同期動作して、第二ライン400Bにある空箱を第一無人搬送車100Aに回収させることができる。
【0051】
ここで、上述した番地14での処理において、次のような処理も実行可能である。まず、「14:NA」を実行し、移載開始と解釈して番地14で第一無人搬送車100Aが停止する。また、番地14の情報をPC101からAGVサーバーPC150に通知する。AGVサーバーPC150は、表4に示す第一無人搬送車100Aの到着信号定義表から、番地14は移載命令なので到着通知要と判断し、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-3」をONにする。
【0052】
ラインコントローラ420は、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-3」がONでも、表5に示す第一無人搬送車100Aの制御信号表からアドレス「2000-2」がONのときは、第二ライン400Bのベルトコンベア410Bを回転させない。
【0053】
表1の運行予定表から「14:NA」を実行した後、次も同じ番地14に「14:NCO:1」が定義されているが、上述したようにアドレス「2000-2」がONのときは、「14:NCO:1」は実行しない。その後、次も同じ番地14が定義されているので「14:NZ」を続けて実行する。つまり、移載終了なので第一無人搬送車100Aの走行を開始し、表4に示す第一無人搬送車100Aの到着信号定義表から、自動搬送制御装置200のアドレス「1000-3」をOFFにする。
【0054】
以上により、自動搬送制御装置200を介して第二ライン400Bのベルトコンベア410Bの稼動情報を収集して、無人搬送車100から第二ライン400Bへの搬入動作をSkipさせることができる。
【0055】
また、無人搬送車100から自動搬送制御装置200へ送る走行情報としては、コースアウトやハードエラーなどのエラー情報があり、ラインコントローラ420はエラー情報があると作業を一時停止し、エラー情報がなくなると作業再開させるものである。
【0056】
次に、本実施形態に係る自動搬送システムにおいて、無人搬送車100、AGVサーバーPC150、部材倉庫300及びライン400で実施される制御の一例を示す。
【0057】
図5は、無人搬送車100で実施される制御の一例を示すフローチャートである。まず、無人搬送車100の走行を開始し(S1)、撮影装置104で番地マークを検知したら(S2でYes)、光電センサー情報と走行情報とに関する信号をAGVサーバーPC150に送信する(S3)。その送信した信号から移載命令である場合には(S4でYes)、運行予定表から「NA」を実行し(S5でYes)、その番地で無人搬送車100を停止させるとともに、番地情報をAGVサーバーPC150に送信する(S6)。その後、運行予定表から「NCO」を実行し、搬送可否制御信号禁止でなければ(S8でNo)、ローラーコンベア130を逆転させ(S9)、第一光電センサー111がONになったら(S10でYes)、ローラーコンベア130を停止させる。その後、運行予定表から「NCS」を実行し(S11)、搬送可否制御信号禁止でなければ(S12でNo)、ローラーコンベア130を正転させ(S13)、第二光電センサー112がOFFになったら(S14でYes)、ローラーコンベア130を停止させる。その後、運行予定表から「NZ」を実行し、移載終了なので無人搬送車100の走行を開始する。
【0058】
図6は、AGVサーバーPC150で実施される制御の一例を示すフローチャートである。まず、番地情報かつ移載命令に関する信号を受信したか判断する(S1)。番地情報かつ移載命令に関する信号を受信した場合には(S1でYes)、番地情報を自動搬送制御装置200にセットする(S2)。一方、番地情報かつ移載命令に関する信号を受信していない場合は(S1でNo)、光電センサー情報に関する信号を受信したか判断する(S3)。光電センサー情報に関する信号を受信した場合には(S3でYes)、光電センサー情報を自動搬送制御装置200にセットする(S4)。一方、光電センサー情報に関する信号を受信していない場合は(S3でNo)、エラー情報に関する信号を受信したか判断する(S5)。エラー情報に関する信号を受信した場合には(S5でYes)、エラー情報を自動搬送制御装置200にセットする(S6)。エラー情報に関する信号を受信していない場合には(S5でNo)、再度、番地情報かつ移載命令に関する信号を受信したか判断し、以後、上述した同様の処理を繰り返し実行する。
【0059】
図7は、部材倉庫300で実施される制御の一例を示すフローチャートである。まず、部材倉庫300に部材がなければ(S1でNo)、部材なし情報を部材倉庫コントローラ320にセットする(S2)。また、部材倉庫300に部材を回収する余裕があるか判断する(S3)。部材を回収する余裕がなければ(S3でNo)、回収不可情報を部材倉庫コントローラ320にセットする(S4)。また、エラー(異常)が発生した場合には(S5でYes)、エラー情報を部材倉庫コントローラ320にセットする。次に、ベルトコンベア310の回転要求があれば(S7でYes)、指定のベルトコンベア310の回転を開始する(S8)。そして、ベルトコンベア310の停止要求があれば(S9でYes)、指定のベルトコンベア310の回転を停止させる(S10)。
【0060】
図8は、ライン400で実施される制御の一例を示すフローチャートである。まず、ライン400に部材がなければ(S1でNo)、部材なし情報をラインコントローラ420にセットする(S2)。また、ライン400に空箱がある場合には(S3でYes)、空箱あり情報をラインコントローラ420にセットする(S4)。次に、ベルトコンベア410の正転要求があれば(S5でYes)、指定のベルトコンベア410を正転させる(S6)。逆に、ベルトコンベア410の逆転要求があれば(S7でYes)、指定のベルトコンベア410を逆転させる(S8)。一方、ベルトコンベア410の正転要求及び逆転要求のどちらもなく、ライン400が停止状態である場合には(S9でYes)、ライン停止情報をラインコントローラ420にセットする(S10)。ライン停止状態から復帰させる場合には(S11でYes)、ライン復帰情報をラインコントローラ420にセットする(S12)。
【0061】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
物品の移載作業を行うための移載装置110などの搬送車側移載手段を有し、走行案内線1などの走行案内線上を走行する無人搬送車100などの無人搬送車と、前記搬送車側移載手段との間で物品の移載作業を行うためのベルトコンベア310,410などの地上側移載手段を有する、前記走行案内線沿いに設けられた部材倉庫300やライン400などのステーションと、前記搬送車側移載手段に設けられ、該搬送車側移載手段の物品有無を検知する第一光電センサー111や第二光電センサー112などの物品有無検知手段と、前記無人搬送車に設けられ、前記搬送車側移載手段の駆動制御を行うモーター制御部103などの搬送車側移載駆動制御手段と、前記ステーションに設けられ、前記地上側移載手段の駆動制御を行う部材倉庫コントローラ320やラインコントローラ420などの地上側移載駆動制御手段と、前記無人搬送車及び前記ステーションと通信可能な自動搬送制御装置200などの通信手段とを備えた自動搬送システムであって、少なくとも物品有無検知手段の検知結果に基づいて、前記搬送車側移載駆動制御手段が前記搬送車側移載手段の駆動制御を行ない、前記通信手段は、前記ステーションへの前記無人搬送車の到着情報と、前記搬送車側移載手段の物品有無に関する情報とを、前記無人搬送車から受信し、前記地上側移載駆動制御手段が前記地上側移載手段の駆動制御を行うための駆動制御情報を前記ステーションに送信することを特徴とする。
これよれば、ステーションに物品有無検知手段を設けることなく、地上側移載手段の駆動制御を行うことが可能なため、物品有無検知手段の数を減らせる分、低コスト化を図りつつ、物品の自動搬送を行うことができる。
(態様B)
(態様A)において、前記通信手段は、前記無人搬送車の走行中に、前記ステーションの稼動情報を受信して、前記無人搬送車に前記ステーションへの物品の搬送可否に関する情報を送信する。これによれば、上記実施形態について説明したように、前記ステーションへの物品供給ができない状況のときは、無人搬送車からの物品の自動搬送をスキップすることができる。よって、前記ステーションの状況に応じた最適な物品の自動搬送を実現することができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、前記ステーションとして、前記無人搬送車に物品を供給するための部材倉庫300などの物品供給ステーションと、前記無人搬送車から物品が移載されるライン400などの物品移載ステーションとを有しており、前記通信手段は、前記物品移載ステーションの稼動情報を受信し、前記物品供給ステーションの物品を前記物品移載ステーションに搬送する必要があると判断した場合に、前記無人搬送車に前記物品供給ステーションへの走行開始要求情報を送信。これによれば、適切なタイミングで物品の自動搬送を行うことができる。
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)のいずれかにおいて、前記無人搬送車を複数台有しており、前記通信手段と各無人搬送車との通信を中継するAGVサーバーPC150などの中継通信手段を有する。これによれば、簡単な構成で複数台の無人搬送車を用いて、物品の自動搬送を行うことができる。
(態様E)
(態様A)乃至(態様D)において、前記走行案内線に沿って、複数の前記ステーションが設けられており、前記通信手段は前記無人搬送車に物品搬送に関する情報を送信可能であり、該物品搬送に関する情報として、複数の前記ステーションのうち、前記無人搬送車に物品を供給するため物品供給ステーションの位置に関する情報と、前記無人搬送車から物品が移載される物品移載ステーションの位置に関する情報とが含まれる。これによれば、適切な位置で物品の移載動作を実行することができる。
(態様F)
(態様E)において、前記物品はケースに収納されており、前記物品搬送に関する情報として、複数の前記ステーションのうち、前記無人搬送車に前記ケースを回収させるための回収ステーションの位置に関する情報が含まれる。これによれば、空になったケースを無人搬送車によって回収することができる。
(態様G)
(態様A)乃至(態様F)のいずれかにおいて、前記通信手段は、前記無人搬送車の走行情報を該無人搬送車から受信可能であり、前記搬送車側移載手段から前記地上側移載手段への物品の供給情報を前記ステーションから受信可能であり、物品搬送に関する動作を制御する搬送動作制御情報を前記無人搬送車に送信可能である。これによれば、無人搬送車とステーションとを通信手段を介して相互に情報伝達可能とし、簡単な構成で無人搬送者とステーション間での物品の自動搬送を実現することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 走行案内線
100 無人搬送車
100A 第一無人搬送車
100B 第二無人搬送車
102 バッテリー収納ケース
104 撮影装置
105 照明装置
106 駆動モーター
107 前輪
108 後輪
110 移載装置
111 第一光電センサー
112 第二光電センサー
121 支持板
122 支持板
130 ローラーコンベア
131 ローラー
132 プーリー
133 プーリー
134 駆動伝達ベルト
135 駆動伝達ベルト
136 移載用モーター
150 AGVサーバーPC
200 自動搬送制御装置
300 部材倉庫
300A 第一部材倉庫
300C 第三部材倉庫
300B 第二部材倉庫
310A ベルトコンベア
310B ベルトコンベア
310C ベルトコンベア
320 部材倉庫コントローラ
400 ライン
400A 第一ライン
400B 第二ライン
400C 第三ライン
400D 第四ライン
410A ベルトコンベア
410B ベルトコンベア
410C ベルトコンベア
410D ベルトコンベア
420 ラインコントローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】