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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】温度検出装置および温度検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/00 20060101AFI20220519BHJP
   G01K 7/01 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
G01K7/00 321G
G01K7/01 M
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020152443
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2021193365
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2020-09-11
(31)【優先権主張番号】109119150
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】507185945
【氏名又は名称】創意電子股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8, Li-Hsin Rd.6, Hsinchu Science Park, Hsinchu, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】汪 鼎豪
(72)【発明者】
【氏名】劉 湘偉
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206126(JP,A)
【文献】特開2014-071110(JP,A)
【文献】特開2017-003457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/00
G01K 7/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の条件に基づいて周囲温度に対応する第1の検出結果を生成し、前記第1の条件と異なる第2の条件に基づいて周囲温度に対応する第2の検出結果を生成するように構成されたセンサであって、前記第1の検出結果は前記第2の検出結果と異なる、センサと、
前記センサに接続され、前記第1の検出結果と前記第2の検出結果をデジタルコード値に変換してから除算して商値を取得し、前記商値に従って前記周囲温度に対応する出力デジタルコード値を生成するように構成されたアナログ-デジタル変換器と、
を備え、
前記センサは、第1の電流源と、第1のダイオード回路と、第2の電流源と、互いに並列に接続された複数の第2のダイオード回路と、を備え、前記第1の電流源と前記第1のダイオード回路の構成により前記第1の条件としての第1の検出感度を提供し、前記第2の電流源と互いに並列に接続された前記複数の第2のダイオード回路の構成により前記第2の条件としての第2の検出感度を提供する、
ことを特徴とする温度検出装置。
【請求項2】
前記アナログ-デジタル変換器は、
前記センサに結合され、前記第1の検出結果を第1のデジタルコード値に変換し、前記第2の検出結果を第2のデジタルコード値に変換し、前記第1のデジタルコード値と前記第2のデジタルコード値を除算して前記商値を取得する演算ユニット、
を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の温度検出装置。
【請求項3】
前記アナログ-デジタル変換器は、
前記商値に対応する前記出力デジタルコード値を記録するように構成されたルックアップテーブルを備え、前記アナログ-デジタル変換器は、前記商値と前記ルックアップテーブルに従って前記出力デジタルコード値を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の温度検出装置。
【請求項4】
前記アナログデジタル変換器は、前記商値と前記ルックアップテーブルに従って温度値を生成し、前記温度値および前記ルックアップテーブルに従って前記出力デジタルコード値を生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の温度検出装置。
【請求項5】
前記第1のダイオード回路は第1のバイポーラトランジスタを備え前記第1のバイポーラトランジスタのベースが前記第1のバイポーラトランジスタのコレクタ、前記アナログ-デジタル変換器、および前記第1の電流源に結合され、前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタが基準低電位に結合されており
前記複数の第2のダイオード回路のそれぞれは第2のバイポーラトランジスタを備え前記第2のバイポーラトランジスタのベースが前記第2のバイポーラトランジスタのコレクタ、前記アナログ-デジタル変換器、および前記第2の電流源に結合され、前記第2のバイポーラトランジスタのエミッタがそれぞれ基準低電位に結合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の温度検出装置。
【請求項6】
前記第1の電流源によって提供される電流値は、前記第2の電流源によって提供される電流値よりも大きい、
ことを特徴とする請求項5に記載の温度検出装置。
【請求項7】
前記アナログ-デジタル変換器はMビットのアナログ-デジタル変換器であり、Mは12より大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の温度検出装置。
【請求項8】
センサを介して、第1の条件に基づいて周囲温度に対応する第1の検出結果を生成し、前記第1の条件と異なる第2の条件に基づいて前記周囲温度に対応する第2の検出結果を生成するステップであって、前記第1の検出結果が前記第2の検出結果と異なる、ステップと、
前記第1の検出結果と前記第2の検出結果をデジタルコード値に変換してから除算して商値を取得し、前記商値に従って前記周囲温度に対応する出力デジタルコード値を生成するステップと、
を含
前記センサは、第1の電流源と、第1のダイオード回路と、第2の電流源と、互いに並列に接続された複数の第2のダイオード回路と、を備え、前記第1の電流源と前記第1のダイオード回路の構成により前記第1の条件としての第1の検出感度を提供し、前記第2の電流源と互いに並列に接続された前記複数の第2のダイオード回路の構成により前記第2の条件としての第2の検出感度を提供する、ことを特徴とする温度検出方法。
【請求項9】
前記第1の検出結果と前記第2の検出結果をデジタルコード値に変換してから除算して前記商値を得るステップは、
前記第1の検出結果を第1のデジタルコード値に変換し、前記第2の検出結果を第2のデジタルコード値に変換し、前記第1のデジタルコード値と前記第2のデジタルコード値を除算して前記商値を得るステップ、
を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の温度検出方法。
【請求項10】
前記商値に従って前記周囲温度に対応する出力デジタルコード値を生成するステップは、
前記商値に対応する前記出力デジタルコード値を記録するように構成されたルックアップテーブルを提供するステップと、
前記商値と前記ルックアップテーブルに従って前記出力デジタルコード値を生成するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の温度検出方法。
【請求項11】
前記商値と前記ルックアップテーブルに従って前記出力デジタルコード値を生成するステップは、
前記商値と前記ルックアップテーブルに従って温度値を生成し、前記温度値と前記ルックアップテーブルに従って前記出力デジタルコード値を生成するステップ、
を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の温度検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温度検出装置および温度検出方法に関し、特に、高精度の温度検出装置および温度検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に言えば、温度検出装置は、センサにより温度を検出して温度に対応する単一のアナログ信号を生成する。アナログ信号は、変換回路を介してデジタル信号に変換される。しかしながら、上記の方法は、変換回路が受ける電源の電圧変動のためにデジタル信号にオフセットを生じる可能性がある。デジタル信号のオフセットを改善するために、台湾特許第I460409号(特許文献1)は、温度補正ユニットによって電圧変動を排除することを開示している。しかしながら、上記の補正方法は、温度検出装置の設計の複雑さを増す可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】台湾特許第I460409号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、温度検出装置の検出精度を改善するとともに温度検出の複雑さを低減することができる温度検出装置および温度検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によって提供される温度検出装置は、センサとアナログ-デジタル変換器を含む。センサは、第1の条件に基づいて周囲温度に対応する第1の検出結果を生成し、第1の条件とは異なる第2の条件に基づいて周囲温度に対応する第2の検出結果を生成するように構成される。第1の検出結果は第2の検出結果と異なる。アナログ-デジタル変換器はセンサに結合されている。アナログ-デジタル変換器は、第1の検出結果と第2の検出結果を除算して商値を取得し、その商値に従って周囲温度に対応する出力デジタルコード値を生成するように構成される。
【0006】
本開示によって提供される温度検出方法は、以下のステップを含む。第1の条件に基づいて周囲温度に対応する第1の検出結果を生成する。第1の条件とは異なる第2の条件に基づいて周囲温度に対応する第2の検出結果を生成する。第1の検出結果は第2の検出結果と異なる。第1の検出結果と第2の検出結果に対して除算を行い、商値を得る。その商値に従って周囲温度に対応する出力デジタルコード値を生成する。
【0007】
上記に基づいて、本開示では、センサは、周囲温度に応答して第1の検出結果および第2の検出結果を提供する。第1の検出結果は第2の検出結果とは異なるので、除算演算によって電源の電圧変動を除去することができ、それによって本開示では温度検出精度が改善される。加えて、本開示では、追加の温度補正手段は必要ない。したがって、温度検出の複雑さが低減され得る。
【0008】
本開示の特徴および利点を明確かつ理解しやすくするために、以下で、添付の図面を参照していくつかの実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態1による温度検出装置の概略装置図である。
図2】本開示の実施形態2による温度検出装置の概略装置図である。
図3】本開示の一実施形態によるセンサの概略回路図である。
図4】本開示の一実施形態による、第1の検出結果、第2の検出結果、およびピーク基準値の温度傾向図である。
図5】本開示の実施形態3による温度検出装置の概略装置図である。
図6】本開示の一実施形態による商値と温度値の関係図である。
図7】本開示の一実施形態による出力デジタルコード値と温度値の関係図である。
図8】本開示の一実施形態による温度検出方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のいくつかの実施形態を図面とともに以下で詳細に説明する。以下の説明で参照される構成要素の参照記号について、異なる図面において同じ参照記号を有する構成要素は同じまたは類似の構成要素と見なされる。これらの実施形態は、本開示の一部にすぎず、本開示のすべての実施形態を開示するわけではない。より正確には、これらの実施形態は、本開示の特許出願の範囲に含まれる装置および方法の一例にすぎない。
【0011】
図1を参照するに、図1は、本開示の実施形態1による温度検出装置の概略装置図である。本実施形態では、温度検出装置100は、センサ110およびアナログ-デジタル変換器120を含む。センサ110は、第1の条件に基づいて周囲温度に対応する第1の検出結果VSEN1を生成する。センサ110はさらに、第2の条件に基づいて周囲温度に対応する第2の検出結果VSEN2を生成する。本実施形態では、第1の検出結果VSEN1および第2の検出結果VSEN2は、それぞれアナログ電圧信号である。しかしながら、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の検出結果VSEN1および第2の検出結果VSEN2は、それぞれアナログ電流信号である。本実施形態では、第1の条件は第2の条件と異なるため、第1の検出結果は第2の検出結果と異なる。例えば、第1の条件および第2の条件は、それぞれ、センサ110の第1の検出感度および第2の検出感度である。センサ110の第1の検出感度は、第2の検出感度とは異なるように設計される。例えば、第1の条件の検出感度は、第2の条件の検出感度よりも大きくなるように設計される。別の例では、第1の状態の検出感度は、第2の状態の検出感度よりも小さくなるように設計される。アナログ-デジタル変換器120は、第1の検出結果VSEN1と第2の検出結果VSEN2を受け取るためにセンサ110に結合される。アナログ-デジタル変換器120は、第1の検出結果VSEN1と第2の検出結果VSEN2を除算して商値Qを取得し、その商値Qに従って周囲温度に対応する出力デジタルコード値DOUTを生成する。
【0012】
ここで、温度検出装置100は、センサ110によって、第1の条件に基づいた周囲温度に対応する第1の検出結果VSEN1を提供し、第2の条件に基づいた周囲温度に対応する第2の検出結果VSEN2を提供する、ということについて言及することに価値がある。本開示では、第1の条件は第2の条件と異なるため、電源の電圧変動は周囲温度に対応する出力デジタルコード値DOUTを生成するための除算演算によって除去され得る。したがって、温度検出装置100の検出精度を向上させることができる。さらに、温度検出装置100は、追加の温度補正手段を必要としない。したがって、温度検出装置100の設計の複雑さが低減され得る。
【0013】
図2を参照するに、図2は、本開示の実施形態2による温度検出装置の概略装置図である。本実施形態では、温度検出装置200は、センサ110とアナログデジタル変換器220を含む。アナログデジタル変換器220は、演算ユニット221を含む。演算ユニット221は、センサ110に結合される。演算ユニット221は、センサ110から第1の検出結果VSEN1および第2の検出結果VSEN2を受け取る。演算ユニット221は、第1の検出結果VSEN1を第1のデジタルコード値D1に変換し、第2の検出結果VSEN2を第2のデジタルコード値D2に変換する。演算ユニット221は、第1のデジタルコード値D1を第2のデジタルコード値D2で除算して商値Qを求める。
【0014】
本実施形態では、演算ユニット221は、アナログ-デジタル変換器220内でピーク基準電圧値(例えば、VREFP)に基づいて第1の検出結果VSEN1を第1のデジタルコード値D1に変換し、第2の検出結果VSEN2を第2のデジタルコード値D2に変換することができる。例えば、演算ユニット221は、式(1)に従って第1の検出結果VSEN1を第1のデジタルコード値D1に変換し、式(2)に従って第2の検出結果VSEN2を第2のデジタルコード値D(2に変換することができる。
【0015】
D1=VSEN1/(VREFP±ΔV)×2 式(1)
D1=VSEN1/(VREFP±ΔV)×2 式(2)
【0016】
ここで、nはアナログ-デジタル変換器220のビット数に等しい。ピーク基準電圧値は、周囲温度またはプロセスの差(すなわち、±ΔV)により変化し得るため、第1のデジタルコード値D1と第2のデジタルコード値D2はオフセットされ得ることに留意されたい。したがって、演算ユニット221は、第1のデジタルコード値D1と第2デジタルコード値D2を式(3)に従って除算して商値Qを得る。式(3)において、商値Qは、第1のデジタルコード値D1を第2のデジタルコード値D2で除算した演算結果である。いくつかの実施形態では、商値Qは、第2のデジタルコード値D2を第1のデジタルコード値D1で除算した演算結果としてもよい。
【0017】
【数1】
式(3)
【0018】
ここで、式(3)による演算によって、演算ユニット221は、ピーク基準電圧値とピーク基準電圧値の変動(すなわち、VREFP±ΔV)を除去することができる、といことを言及することに価値がある。このようにして、温度検出装置200の検出精度を改善することができる。さらに、温度検出装置200は、追加の温度補正手段を必要としない。したがって、温度検出装置200の設計の複雑さを低減することができる。
【0019】
図1および図3を一緒に参照すると、図3は、本開示の一実施形態によるセンサの概略回路図である。本実施形態では、センサ110は、第1の電流源IS1と第1のバイポーラトランジスタQ1を含む。第1のバイポーラトランジスタQ1のベースは、第1のバイポーラトランジスタQ1のコレクタ、アナログ-デジタル変換器120および第1の電流源IS1に結合される。第1のバイポーラトランジスタQ1のエミッタは、基準低電位(例えば、接地)に結合される。本実施形態では、センサ110は、第1の電流源IS1と第1のバイポーラトランジスタQ1の構成によって、第1の条件を提供することができる。第1のバイポーラトランジスタQ1のベースおよびコレクタは両方とも、センサ110の第1の出力端として使用される。センサ110は、第1の出力端を介して第1の検出結果VSEN1をアナログ-デジタル変換器120に提供する。本実施形態では、第1のバイポーラトランジスタQ1は、NPNバイポーラトランジスタにより実装される。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1のバイポーラトランジスタQ1はダイオードと置き換えてもよい。例えば、ダイオードのアノードは、第1の電流源IS1およびアナログ-デジタル変換器120に結合される。ダイオードのアノードは、センサ110の第1の出力端として使用される。ダイオードのカソードは基準低電位に結合される。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1のバイポーラトランジスタQ1は、任意のN型電界効果トランジスタと置き換えてもよい。例えば、N型電界効果トランジスタのゲートは、N型電界効果トランジスタのドレイン、第1の電流源IS1、およびアナログ-デジタル変換器120に結合される。N型電界効果トランジスタのゲートとドレインの両方が、センサ110の第1の出力端として使用される。N型電界効果トランジスタのソースは、基準低電位に結合される。
【0022】
本実施形態では、センサ110はさらに、第2の電流源IS2と第2のバイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mを含む。第2のバイポーラトランジスタQ2_1のベースは、第2のバイポーラトランジスタQ2_1のコレクタ、アナログデジタル変換器120および第2の電流源IS2に結合される。第2のバイポーラトランジスタQ2_1のエミッタは、基準低電位に結合される。第2のバイポーラトランジスタQ2_2のベースは、第2のバイポーラトランジスタQ2_2のコレクタ、アナログデジタル変換器120および第2の電流源IS2に結合される。第2のバイポーラトランジスタQ2_2のエミッタは、基準低電位に結合され、以下同様である。つまり、第2バイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mは、ダイオード接続され、互いに並列に接続される。本実施形態では、センサ110は、第2電流源IS2と第2バイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mの構成により、第1の条件とは異なる第2の条件を提供することができる。
【0023】
第2のバイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mのベースおよびコレクタは両方とも、センサ110の第2の出力端として使用される。センサ110は、第2の出力端から第2の検出結果VSEN2を第2のアナログデジタル変換器120に提供する。本実施形態では、第2のバイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mは、それぞれNPNバイポーラトランジスタにより実装される。
【0024】
いくつかの実施形態では、第2のバイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mは、それぞれダイオードと置き換えてもよい。例えば、複数のダイオードのアノードは、一緒に第の電流源ISおよびアナログデジタル変換器120に結合される。複数のダイオードのアノードは、一緒にセンサ110の第2の出力端として使用される。複数のダイオードのカソードは、一緒に基準低電位に結合される。
【0025】
いくつかの実施形態では、第2のバイポーラトランジスタQ2_1~Q2_mは、任意のN型電界効果トランジスタと置き換えてもよい。例えば、複数のN型電界効果トランジスタのゲートは、それぞれ、複数のN型電界効果トランジスタのドレイン、第の電流源IS、およびアナログ-デジタル変換器120に結合される。複数のN型電界効果トランジスタのゲートとドレインは両方とも、センサ110の第2の出力端として使用される。複数のN型電界効果トランジスタのソースは、基準低電位に結合される。
【0026】
説明の便宜上、本実施形態における第1のバイポーラトランジスタQ1は1つである。本開示における第1のバイポーラトランジスタの数は複数であってもよく、第1のバイポーラトランジスタの数は第2のバイポーラトランジスタの数よりも少ない。本開示における第1のバイポーラトランジスタの数は、本実施形態に限定されない。
【0027】
図2図3および図4を一緒に参照すると、図4は、本開示の一実施形態による、第1の検出結果、第2の検出結果、およびピーク基準値の温度傾向図である。アナログ?デジタル変換器220のピーク基準電圧値VREFPは、周囲温度またはプロセスの差(すなわち、±ΔV)のために変化し得る。図3の設計に基づいて、第1の検出結果VSEN1および第2の検出結果VSEN2は、温度の上昇とともに減少し得る。さらに、第1の検出結果VSEN1の変化量は、第2の検出結果VSEN2の変化量よりも大きい(本開示はこれに限定されない)。したがって、図3の設計に基づいて、第1の検出結果VSEN1の変化量は、第2の検出結果VSEN2の変化量よりも大きい。例えば、周囲温度T1では、周囲温度T1に対応する差が第2の検出結果VSEN2と第1の検出結果VSEN1との間に生じる。周囲温度T2では、周囲温度T2に対応する差が第2の検出結果VSEN2と第1の検出結果VSEN1との間に生じる。周囲温度T3では、周囲温度T3に対応する差が第2の検出結果VSEN2と第1の検出結果VSEN1との間に生じる。周囲温度T1、T2、およびT3に対応する差は互いに異なる(例えば、周囲温度T3に対応する差>周囲温度T2に対応する差>周囲温度T1に対応する差)。したがって、アナログデジタル変換器220の演算ユニット221は、除算演算により、周囲温度T1、T2、T3に関する商Qを求めることができる。ピーク基準電圧値VREFPおよびピーク基準電圧値VREFPの変動(すなわち、VREFP±ΔV)は商値Qから除去されるので、商値Qは、ピーク基準電圧値VREFPの影響によりオフセットされない。
【0028】
本実施形態では、第1の電流源IS1によって提供される電流値は、第2の電流源IS2によって提供される電流値よりも大きくすることができる。このようにすると、第1の検出結果VSEN1の変化量は、第2の検出結果VSEN2の変化量よりもはるかに大きくなり、周囲温度T1、T2、およびT3に対する温度検出装置200の認識効果が向上する。
【0029】
図5図6および図7を一緒に参照すると、図5は、本開示の実施形態3による温度検出装置の概略装置図である。図6は、本開示の一実施形態による商値と温度値の関係図である。図7は、本開示の一実施形態による、出力デジタルコード値および温度値の関係図である。本実施形態では、温度検出装置300は、センサ110およびアナログデジタル変換器320を含む。アナログデジタル変換器320は、ルックアップテーブル322を含む。本実施形態では、第1の条件は第2の条件と同じではなく、第1の検出結果VSEN1の変化量が第2の検出結果VSEN2の変化量より大きくなるように構成されている。したがって、アナログデジタル変換器320は、第1の検出結果VSEN1を第2の検出結果VSEN2で除算して、商値Qを生成する。図6に示す関係図において、温度(すなわち、周囲温度)が上昇すると、商値Qは減少する。しかしながら、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、アナログデジタル変換器320は、第2の検出結果VSEN2を第1の検出結果VSEN1で除算して商値Qを生成することができる。したがって、図6に示す関係図において、温度(すなわち、周囲温度)が上昇すると、商Qも上昇する。
【0030】
アナログデジタル変換器320は、商値Qとルックアップテーブル322に従って出力デジタルコード値DOUTを生成することができる。本実施形態では、商値Qと温度値との関係(例えば、図6)および温度値と出力デジタルコード値DOUTとの関係(例えば、図7)をルックアップテーブル322として使用することができる。言い換えると、ルックアップテーブル322は、商値Qに対応する温度値と、温度値に対応する出力デジタルコード値DOUTも記録している。したがって、アナログデジタル変換器320は、商値Qとルックアップテーブル322に従って温度値を生成し、その温度値とルックアップテーブル322に従って出力デジタルコード値DOUTを生成することができる。
【0031】
図6に示す傾向が単調であることを確実にし、検出分解能を向上させるために、アナログ-デジタル変換器320のビット数は12よりも大きくする必要である。例えば、アナログ-デジタル変換器320は16ビットの出力デジタルコード値DOUTを出力し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、アナログデジタル変換器320は、演算ユニット(実施形態2の演算ユニット221)をさらに含む。これらの実施形態では、アナログ-デジタル変換器320は、上記の式(1)~式(3)によって商値Qを得ることができる。
【0033】
図1図8を一緒に参照すると、図8は本開示の一実施形態による温度検出方法のフローチャートである。ステップS110において、周囲温度に対応する第1の検出結果VSEN1を第1の条件に基づいて生成し、周囲温度に対応する第2の検出結果VSEN2を第2の条件に基づいて生成する。ステップS120において、第1の検出結果VSEN1と第2の検出結果VSEN2を除算して商値Qを求め、商値Qに応じて周囲温度に対応する出力デジタルコード値DOUTを生成する。ステップS120はアナログ-デジタル変換器120によって実行することができる。図8の温度検出方法のフローは、実施形態2による温度検出装置200及び実施形態3による温度検出装置300にも適用可能であることに注意されたい。ステップS110及びステップS120の実装の詳細は、図1図7の複数の実施形態において十分に教示されており、ここでは繰り返されない。
【0034】
要約すると、本開示により提供される温度検出装置および温度検出方法では、センサは、第1の条件に基づいて周囲温度に対応する第1の検出結果を生成し、第2の条件に基づいて周囲温度に対応する第2の検出結果を生成する。第1の検出結果は第2の検出結果と異なるため、本開示では除算演算によって電源の電圧変動を除去して温度検出精度を改善することができる。さらに、本開示では追加の温度補正手段が必要とされない。したがって、温度検出装置の設計の複雑さを減らすことができる。
【0035】
本開示は上記の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は本開示を限定することを意図するものではない。当業者は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができる。したがって、本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に従うべきである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本開示の温度検出装置および温度検出方法は、温度検出に適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
100,200,300:温度検出装置
110:センサ
120,220,320:アナログ-デジタル変換器
221:演算ユニット
322:ルックアップテーブル
D1:第1のデジタルコード値
D2:第2のデジタルコード値
DOUT:出力デジタルコード値
IS1:第1の電流値
IS2:第2の電流値
Q:商値
Q1:第1のバイポーラトランジスタ
Q2_1~Q_m:第2のバイポーラトランジスタ
S110,S120:ステップ
T1,T2,T3:周囲温度
REFP:ピーク基準電圧値
VSEN1:第1の検出結果
VSEN2:第2の検出結果
ΔV:ピーク基準電圧値の変化
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8