(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】光ラインセンサユニット
(51)【国際特許分類】
H04N 1/191 20060101AFI20220520BHJP
H04N 1/028 20060101ALI20220520BHJP
G03B 27/54 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
H04N1/191
H04N1/028 Z
G03B27/54 A
(21)【出願番号】P 2018131246
(22)【出願日】2018-07-11
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】510192019
【氏名又は名称】株式会社ヴィーネックス
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【氏名又は名称】吉本 力
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【氏名又は名称】新宅 将人
(72)【発明者】
【氏名】龍満 和明
(72)【発明者】
【氏名】則包 英治
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-005093(JP,A)
【文献】特開平04-067030(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158840(WO,A1)
【文献】特開平08-095173(JP,A)
【文献】特開2012-146285(JP,A)
【文献】特開2008-211456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 - 1/207
H04N 1/024- 1/036
G03B 27/52 -27/56
27/66 -27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を副走査方向に沿って搬送される紙葉類を前記副走査方向に直交する主走査方向に沿ってスキャンする光ラインセンサユニットであって、
紙葉類を照明する照明光源として用いられるライン光源と、
照明された紙葉類からの光を導くレンズアレイと、
前記主走査方向に沿って並べて配置された複数の受光素子を有し、前記レンズアレイを通過した光を前記複数の受光素子で受光する受光部と、
前記ライン光源から前記レンズアレイまでの光路上に配置され、前記受光部の受光領域内であって、かつ前記主走査方向における紙葉類の画像を読み取る読取領域の外側に設けられ、前記ライン光源からの光の一部を反射させて前記レンズアレイに導く反射部材とを備え、
前記反射部材の前記副走査方向の少なくとも一方には、前記ライン光源からの光を通過させて前記搬送路における前記レンズアレイの略焦点に導く光通過領域が形成されて
おり、前記光通過領域は、幅が前記主走査方向に沿って前記読取領域側に向かうほど広がるように形成されていることを特徴とする光ラインセンサユニット。
【請求項2】
前記読取領域の端
部での前記受光素子による受光強度が、前記反射部材がある場合とない場合と
で一致することを特徴とする請求項1に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項3】
前記
読取領域と前記反射部材との境界位置よりも前記主走査方向において外側の領域に設けられた複数の前記受光素子の受光強度の総和を、前記反射部材がある場合にS
p、前記反射部材がない場合にS
nとしたとき、S
p/S
n>2であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項4】
前記反射部材における前記読取領域側の副走査方向側端部は、当該端部に対向する位置における前記レンズアレイの焦点と、当該端部に対向する位置における前記ライン光源の出射面の前記レンズアレイ側の端点とを結ぶ直線に対して、前記レンズアレイ側に位置していることを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項5】
前記ライン光源は、前記レンズアレイに対して前記副走査方向の両側に2つ設けられており、
前記光通過領域は、前記レンズアレイに対して前記副走査方向の両側に形成されていることを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項6】
前記ライン光源は、前記レンズアレイに対して前記副走査方向の一方側に1つ設けられており、
前記光通過領域は、前記レンズアレイに対して前記副走査方向の一方側に形成されていることを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項7】
前記反射部材は、少なくとも2層からなる多層構造を有しており、
前記反射部材における前記ライン光源側の層は、紫外光を反射し、
前記反射部材における前記搬送路側の層は、可視光及び赤外光を反射することを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項8】
前記反射部材は、金属酸化物、二酸化ケイ素又はフッ素樹脂の少なくとも1種を含有する材料により形成されていることを特徴とする請求項1~
7のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項9】
前記反射部材の厚みは、0.3mm以下であることを特徴とする請求項1~
8のいずれか一項に記載の光ラインセンサユニット。
【請求項10】
搬送路を副走査方向に沿って搬送される紙葉類を前記副走査方向に直交する主走査方向に沿ってスキャンする光ラインセンサユニットであって、
紙葉類を照明する照明光源として用いられるライン光源と、
照明された紙葉類からの光を導くレンズアレイと、
前記主走査方向に沿って並べて配置された複数の受光素子を有し、前記レンズアレイを通過した光を前記複数の受光素子で受光する受光部と、
前記ライン光源から前記レンズアレイまでの光路上に配置され、前記受光部の受光領域内であって、かつ前記主走査方向における紙葉類の画像を読み取る読取領域の外側に設けられ、前記ライン光源からの光の一部を反射させて前記レンズアレイに導く反射部材とを備え、
前記反射部材の前記副走査方向の少なくとも一方には、前記ライン光源からの光を通過させて前記搬送路における前記レンズアレイの略焦点に導く光通過領域が形成され、
前記反射部材は、少なくとも2層からなる多層構造を有しており、
前記反射部材における前記ライン光源側の層は、紫外光を反射し、
前記反射部材における前記搬送路側の層は、可視光及び赤外光を反射することを特徴とする光ラインセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路を副走査方向に沿って搬送される紙葉類を前記副走査方向に直交する主走査方向に沿ってスキャンする光ラインセンサユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な画像読取装置には、紙葉類に対して可視光を照射するための可視光源が備えられている。この可視光源からの光量を補正するために、可視光の反射率が高い基準反射板(反射部材)が用いられる場合がある(例えば、下記特許文献1及び2参照)。
【0003】
紙幣や有価証券等の真偽判別に使用される光ラインセンサユニットにおいては、真偽判別性能の向上を目的として、可視光源に加え紫外光源や赤外光源が備えられている(例えば、下記特許文献3参照)。従来の基準反射板は紫外光の反射率が低いため、この種の光ラインセンサユニットに使用した場合には、紫外光源に対して精度よく光量を補正することができないという問題があった。また、従来の基準反射板は、紫外光に対する耐光性もなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-81696号公報
【文献】特開2008-72584号公報
【文献】特開2016-5093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、紫外域、可視域及び近赤外域に亘って高い反射率を有する基準反射板の材質及び構造を鋭意検討した結果、各波長域において光量補正の精度を向上することができるような材質及び構造を見出すに至った。しかし、依然として、受光部における紙葉類の画像を読み取る領域(読取領域)の受光量が主走査方向の端部において低下したり、そのような受光量の低下に基づいて読取領域全体の光量が不均一になったりするという問題が生じていた。
【0006】
光ラインセンサユニットにおいて、基準反射板は、受光部の受光領域内(読取可能な領域内)における紙葉類の読み取りの妨げにならない位置に配置される。具体的には、受光部の受光領域の内側であって、かつ、読取領域(有効読取領域)の主走査方向の外側に基準反射板が配置される。本願発明者は、この基準反射板の存在が、受光部の読取領域の主走査方向端部における受光量の低下に影響を与えていると考え、さらに鋭意検討を加えた結果、基準反射板の形状を適宜変更することで受光量の低下を防止することができることを見出すに至った。
【0007】
本願発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、受光部の読取領域の受光量が主走査方向の端部において低下するのを防止することができる光ラインセンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本願発明に係る光ラインセンサユニットは、搬送路を副走査方向に沿って搬送される紙葉類を前記副走査方向に直交する主走査方向に沿ってスキャンする光ラインセンサユニットであって、ライン光源と、レンズアレイと、受光部と、反射部材とを備える。前記ライン光源は、紙葉類を照明する照明光源として用いられる。前記レンズアレイは、照明された紙葉類からの光を導く。前記受光部は、前記主走査方向に沿って並べて配置された複数の受光素子を有し、前記レンズアレイを通過した光を前記複数の受光素子で受光する。前記反射部材は、前記ライン光源から前記レンズアレイまでの光路上に配置され、前記受光部の受光領域内であって、かつ前記主走査方向における紙葉類の画像を読み取る読取領域の外側に設けられ、前記ライン光源からの光の一部を反射させて前記レンズアレイに導く。前記反射部材の前記副走査方向の少なくとも一方には、前記ライン光源からの光を通過させて前記搬送路における前記レンズアレイの略焦点に導く光通過領域が形成されている。
【0009】
このような構成によれば、反射部材の副走査方向の少なくとも一方に形成された光通過領域を介して、ライン光源からの光を搬送路におけるレンズアレイの略焦点に導くことができる。これにより、受光部の読取領域の主走査方向の端部において、ライン光源から焦点に向かう光が反射部材により遮られるのを抑制することができる。したがって、受光部の読取領域の受光量が主走査方向の端部において低下するのを防止することができる。
【0010】
(2)前記読取領域の端部近傍での前記受光素子による受光強度が、前記反射部材がある場合とない場合とで略一致することが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、反射部材を配置した場合であっても、読取領域の端部近傍での受光素子による受光強度が低下しない。したがって、受光部の読取領域の受光量が主走査方向の端部において低下するのを確実に防止することができる。
【0012】
(3)前記境界位置よりも前記主走査方向において外側の領域に設けられた複数の前記受光素子の受光強度の総和を、前記反射部材がある場合にSp、前記反射部材がない場合にSnとしたとき、Sp/Sn>2であることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、境界位置よりも主走査方向において外側の領域では、反射部材からの反射光を十分な強度で受光部により受光することができる。
【0014】
(4)前記光通過領域は、前記主走査方向に沿って略均一、又は、前記主走査方向に沿って前記読取領域側に向かうほど広がるように形成されていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、光通過領域を介してライン光源からの光を搬送路におけるレンズアレイの略焦点に良好に導くことができる。特に、光通過領域が主走査方向に沿って読取領域側に向かうほど広がるように形成されている場合には、反射部材からの反射光を十分な強度で受光部により受光し、かつ、受光部の読取領域の受光量が主走査方向の端部において低下するのを効果的に防止することができる。
【0016】
(5)前記反射部材における前記読取領域側の副走査方向側端部は、当該端部に対向する位置における前記レンズアレイの焦点と、当該端部に対向する位置における前記ライン光源の出射面の前記レンズアレイ側の端点とを結ぶ直線に対して、前記レンズアレイ側に位置していてもよい。
【0017】
このような構成によれば、反射部材における読取領域側の副走査方向側端部が、ライン光源から焦点に向かう光を遮ることがないため、受光部の読取領域の受光量が主走査方向の端部において低下するのを効果的に防止することができる。
【0018】
(6)前記ライン光源は、前記レンズアレイに対して前記副走査方向の両側に2つ設けられていてもよい。この場合、前記光通過領域は、前記レンズアレイに対して前記副走査方向の両側に形成されていることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、ライン光源がレンズアレイに対して副走査方向の両側に2つ設けられた構成(両側照射)において、各ライン光源から焦点に向かう光が反射部材により遮られるのを防止することができる。
【0020】
(7)前記ライン光源は、前記レンズアレイに対して前記副走査方向の一方側に1つ設けられていてもよい。この場合、前記光通過領域は、前記レンズアレイに対して前記副走査方向の一方側に形成されていることが好ましい。
【0021】
このような構成によれば、ライン光源がレンズアレイに対して副走査方向の一方側に1つ設けられた構成(片側照射)において、当該ライン光源から焦点に向かう光が反射部材により遮られるのを防止することができる。
【0022】
(8)前記反射部材は、少なくとも2層からなる多層構造を有していてもよい。この場合、前記反射部材における前記ライン光源側の層は、紫外光を反射し、前記反射部材における前記搬送路側の層は、可視光及び赤外光を反射することが好ましい。
【0023】
このような構成によれば、紫外光を反射部材の前記ライン光源側の層により反射させて受光部で受光することができるとともに、可視光及び赤外光を反射部材の前記搬送路側の層により反射させて受光部で受光することができる。これにより、紫外光、可視光及び赤外光をそれぞれ反射部材で反射させることができるため、広い波長域に亘って光量の補正を行うことが可能になる。
【0024】
(9)前記反射部材は、金属酸化物、二酸化ケイ素又はフッ素樹脂の少なくとも1種を含有する材料により形成されていることが好ましい。
【0025】
このような構成によれば、広い波長域の光を反射部材で良好に反射させることができるため、広い波長域に亘って光量の補正を行うことが可能になる。
【0026】
(10)前記反射部材の厚みは、0.3mm以下であることが好ましい。
【0027】
このような構成によれば、レンズアレイと反射部材間の距離が大きくなり、ライン光源から出射され反射部材に到達し、反射部材で反射される光が増加するため、受光部の受光量が増加する。
【発明の効果】
【0028】
本願発明によれば、ライン光源から焦点に向かう光が反射部材により遮られるのを抑制することができるため、受光部の読取領域の受光量が主走査方向の端部において低下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光ラインセンサユニットの構成例を示す概略断面図である。
【
図2】
図1に示される光ラインセンサユニットにおけるライン光源の外観を概略的に示す斜視図である。
【
図4】基準反射板の取付位置を示すための光ラインセンサユニットの斜視図である。
【
図5】基準反射板の取付位置を示すための光ラインセンサユニットの部分平面図である。
【
図6A】
図5の基準反射板の形状の第1変形例を示した光ラインセンサユニットの部分平面図である。
【
図6B】
図5の基準反射板の形状の第2変形例を示した光ラインセンサユニットの部分平面図である。
【
図7】受光部の各受光素子における受光量の一例を示した図である。
【
図8】基準反射板の具体的構造の一例を示した断面図である。
【
図9】本発明の別実施形態に係る光ラインセンサユニットの構成例を示す概略断面図である。
【
図10】
図9の光ラインセンサユニットにおける基準反射板の取付位置を示すための光ラインセンサユニットの部分平面図である。
【
図11】
図10の基準反射板の形状の変形例を示した光ラインセンサユニットの部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<光ラインセンサユニット>
図1は、本発明の一実施形態に係る光ラインセンサユニットの構成例を示す概略断面図である。
【0031】
この光ラインセンサユニットは、筐体16と、紙葉類を照明するための2つのライン光源10と、それらのライン光源10から光が照射された搬送路20上の紙葉類からの光を導くためのレンズアレイ11と、基板13に実装されレンズアレイ11により導かれた透過光を受光する受光部12とを備えている。紙葉類は搬送路20に沿って一方向x(副走査方向)に搬送される。
これらの筐体16、ライン光源10、受光部12、レンズアレイ11は、y方向(主走査方向)、すなわち
図1における紙面に対して垂直な方向に延びていて、
図1はその断面を示している。
【0032】
2つのライン光源10は、それぞれ搬送路20にある紙葉類に向けて光を出射することにより紙葉類を照明する照明光源である。各ライン光源10から出射される光は、搬送路20上の共通の焦点21近傍に導かれ紙葉類を照明する。出射される光の種類は可視光及び紫外光であり、さらに赤外光が出射されることもある。
紫外光は300nm~400nmのピーク波長を有するもので、赤外光は1500nmまでのピーク波長を有するものである。
これらの光のうち少なくとも紫外光は、他の光と時間的に重ならないようにして(すなわち時間的にスイッチングされながら)発光される。赤外光は、可視光と時間的に重なって発光されることもあり、時間的に重ならないようにして発光されることもある。
【0033】
各ライン光源10から出射された光は、保護ガラス14を透過して搬送路20上の焦点21近傍に導かれ紙葉類を照明する。に集光される。保護ガラス14は、必ずしも必要ではなく省略することもできるが、使用中のごみ(紙葉類の搬送時に発生する紙粉等のダスト)の飛散や傷つきからライン光源10やレンズアレイ11を保護するために設置することが望ましい。
保護ガラス14の材質はライン光源10から出射される光を透過させるものであれば良く、例えばアクリル樹脂やシクロオレフィン系樹脂などといった透明の樹脂であってもよい。ただし、本発明の実施の形態では、白板ガラス、ホウケイ酸ガラスなど特に紫外光を透過させるものを使用するのが好ましい。
【0034】
レンズアレイ11は、照明された紙葉類からの光(反射光又は蛍光など)を受光部12へと導いて結像する光学素子であり、セルフォックレンズアレイ(登録商標:日本板硝子製)などのロッドレンズアレイを用いることができる。本発明の実施の形態では、レンズアレイ11の倍率は等倍に設定されている。レンズアレイ11は、2つのライン光源10の間に設けられている。各ライン光源10からの照射光に基づく紙葉類からの光は、共通のレンズアレイ11の同軸上を通過し、受光部12に集光される。
搬送路20から受光部12までの任意の位置に、受光部12に紫外光が入らないように、紫外光を反射又は吸収することにより遮断する紫外光遮断フィルタ(図示せず)を設けることが好ましい。例えば、レンズアレイ11の表面に紫外光遮断フィルタを取り付け、紫外光を遮断する機能を持たせてもよい。本明細書で「光を遮断する」とは、光を反射又は吸収して、透過させないことをいう。
【0035】
受光部12は、紙葉類からの光を受けて光電変換により電気出力として画像を読み取る複数の受光素子を含んで構成されている。複数の受光素子は、主走査方向に沿って並べて配置されている。レンズアレイ11を通過した紙葉類からの光を各受光素子で受光することにより、副走査方向に沿って搬送される紙葉類を主走査方向に沿ってスキャンすることができる。各受光素子の材質・構造は特に規定されるものではなく、アモルファスシリコン、結晶シリコン、CdS、CdSeなどを用いたフォトダイオードやフォトトランジスタを配置したものであってもよい。またCCD(Charge Coupled Device)リニアイメージセンサであってもよい。さらに受光部12として、フォトダイオードやフォトトランジスタ、駆動回路及び増幅回路を一体としたIC(Integrated Circuit)を複数個並べた、いわゆるマルチチップ方式のリニアイメージセンサを用いることもできる。
【0036】
<ライン光源>
図2は、
図1に示される光ラインセンサユニットにおけるライン光源10の外観を概略的に示す斜視図である。
図3は、ライン光源10の側面図である。なお、
図2ではライン光源10を上下反転して示している。また、
図3ではカバー部材2の図示は省略している。
ライン光源10は、長手方向L(主走査方向y)に沿って延びる透明な導光体1と、長手方向Lの一方の端面付近に設けられた光源部3と、長手方向Lの他方の端面付近に設けられた光源部4と、導光体1の各側面を保持するためのカバー部材2とを有している。導光体1における底側面と左右側面との間には、光拡散パターン形成面1gが斜めに形成されている。光源部3及び光源部4から導光体1の端面1e,1fに入射され導光体1の中を進む光は、光拡散パターン形成面1gに形成された光拡散パターンPにより拡散・屈折し、導光体1の光出射側面1dから出射される。また好ましくは、導光体1の端面1e,1fにそれぞれ光学フィルタ6,7が設けられている。
【0037】
導光体1は、アクリル樹脂などの光透過性の高い樹脂、あるいは光学ガラスで形成してもよいが、本発明の実施の形態では紫外光を用いるため、導光体1の材料として、紫外光に対する減衰が比較的少ないフッ素系樹脂あるいはシクロオレフィン系樹脂が好ましい。
導光体1は、細長い柱状であり、その長手方向Lに直交する断面は、長手方向Lのどの切り口においても、実質的に同じ形状、同じ寸法をしている。また導光体1のプロポーション、すなわち導光体1の長手方向Lの長さと、その長手方向Lに直交する断面の高さHとの比率は10よりも大きく、好ましくは30よりも大きい。例えば導光体1の長さが200mmであれば、その長手方向Lに直交する断面の高さHは5mm程度である。
【0038】
導光体1の光出射側面1d(
図2における導光体1の下面、
図3における導光体1の上面に相当)は、レンズの集光効果を持たせるために外向きに滑らかな凸の曲線状に形成されている。しかし光出射側面1dは必ずしも凸状に形成されていなくてもよく、平面形状であってもよい。この場合、光出射側面1dに対向するように、導光体1から出射した光を集光するレンズを配置するとよい。
【0039】
光拡散パターン形成面1g上の光拡散パターンPは、一定の幅を維持して、導光体1の長手方向Lに沿って一直線状に延びている。この光拡散パターンPの長手方向Lに沿った寸法は、イメージセンサの読取長(つまり受光部12の読取領域の幅)よりも長くなるように形成されている。
この光拡散パターンPは、導光体1の光拡散パターン形成面1gに彫刻された複数のV字状の溝により構成されている。この複数のV字状の溝の各々は、導光体1の長手方向Lに直交する方向に延びるよう形成されており、互いに同じ長さを有している。複数のV字状の溝は、断面が例えば二等辺三角形状を有していてもよい。
【0040】
この光拡散パターンPにより、導光体1の端面1e,1fから入射され、導光体1の内部を長手方向Lに伝搬する光を屈折・拡散させ、長手方向Lに沿ってほぼ一様の明るさで光出射側面1dから照射することができる。これにより、導光体1の長手方向Lの全体において紙葉類に照射される光をほぼ一定とすることができ、照度むらを無くすことができる。
【0041】
なお、光拡散パターンPの溝のV字形状は一例であり、照度むらが顕著にならない限り、V字形に代えてU字形にするなど任意に変更することができる。光拡散パターンPの幅も一定の幅を維持する必要はなく、導光体1の長手方向Lに沿って幅が変化するものであってもよい。溝の深さや溝の開口幅についても、適宜変更することができる。
カバー部材2は、導光体1の長手方向Lに沿った細長い形状であり、導光体1の光出射側面1dを除く側面を覆うことができる。カバー部材2は、断面がほぼU字状の凹部を有しており、導光体1をこの凹部の中に挿入することができる。
【0042】
カバー部材は、不透明であり、反射率が高い素材(例えば白色素材)を用いて形成される。例えばカバー部材2は、導光体1の光出射側面1d以外の側面より漏れ出す光を再び導光体1内に反射させるために、反射率の高い白色樹脂の成形品、又はその白色樹脂を塗布した樹脂の成形品であってもよい。または、カバー部材2をステンレスやアルミニウムなどの金属体で形成してもよい。
【0043】
一方の光源部3は可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光を発光する光源であり、例えば近赤外、赤、緑、青の各波長の光を発する複数のLED(Light Emitting Diode)が用いられる。また、赤、緑、青を混在した白色光を発する場合、赤、緑、青の3色を同時点灯してもよいし、LED光源の封止剤に蛍光剤を混入し、蛍光による白色光を出してもよい。
他方の光源部4は、導光体1に対して紫外光を発光する光源であり、300nm~400nmの紫外光LED光源等が使用可能である。好ましくは330nm~380nmの範囲にピーク発光波長を有する紫外発光ダイオードが用いられる。
【0044】
光源部3と光源部4には、基板5に実装されるための端子31が形成されていて、この端子31を基板5に差込み、半田付けなどで接合することにより、それぞれ駆動電源(図示せず)に電気的に接続される。駆動電源は、光源部3に電圧を印加する電極端子と光源部4に電圧を印加する電極端子とを選択することにより、光源部3及び光源部4を同時に、若しくは時間的に切り替えて発光させることができる回路構成となっている。また光源部3に内蔵された複数のLEDのうち任意のLEDを選択して同時に、若しくは時間的に切り替えて発光させることもできる。
【0045】
以上の構成により、コンパクトな構成で、光源部3が設置される端面1eから可視光又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を導光体1に入射することができ、光源部4が設置される端面1fから紫外光を導光体1に入射することができる。これにより、光源部3から発光される光、又は光源部4から発光される光を、導光体1の光出射側面1dから出射することができる。
【0046】
好ましくは、導光体1の光源部3が設置される端面1eには、420nm以上の赤外光及び可視光を透過させ、400nm未満の紫外光を反射又は吸収することにより遮断するフィルタ6が設けられている。また、導光体1の光源部4が設置される端面1fには、400nm未満の紫外光を透過させ、420nm以上の赤外光及び可視光を反射又は吸収することにより遮断するフィルタ7が設けられている。
【0047】
フィルタ6,7は、特に限定するものではなく目的とする波長域を遮断するものであれば材質・構造を問わない。例えば光を反射させるフィルタであれば、ガラス表面に透過率や屈折率の異なる金属酸化物もしくは誘電体の薄膜を多層蒸着することで得られる干渉波フィルタ(バンドパスフィルタ)が好ましい。
光を反射させる干渉波フィルタとしては、例えば、酸化珪素と五酸化タンタルなどを採用し、それぞれの透過率や屈折率及び膜厚を調整して多層蒸着することにより所望のバンドパスフィルタ特性を確保することで得られる。なお、当然ながら通常の光学関連産業用に従来から生産されているバンドパスフィルタで、要求性能を満足するものであれば採用に際して特に制限はない。
【0048】
フィルタ6,7に干渉波フィルタを用いる場合、前記干渉波フィルタのみでは目的とする透過域を調整出来ない場合は、さらにその上に金属又はその酸化物、窒化物、フッ化物の薄膜を用いたフィルムを重ねることで所望の波長特性を確保することが可能である。
フィルタ6が紫外光を吸収するフィルタであれば、有機系の紫外光吸収剤を透明フィルムに混入あるいはコーティングした紫外光吸収フィルムであってもよい。また、干渉波フィルタで、例えば、酸化珪素と酸化チタンなどを採用し、それぞれの透過率や屈折率及び膜厚を調整して多層蒸着することにより紫外光を反射、吸収両機能により遮断することで所望波長特性を確保してもよい。
【0049】
またフィルタ7が可視光、赤外光を吸収するフィルタであれば、紫外光を通過させ可視光、赤外光をカットする物質をフィルムの中に添加してもよい。
なお、フィルタ6,7の導光体1への設置方法は任意であり、導光体1の端面1e,1fに塗布又は蒸着により被覆してもよい。またフィルム状もしくは板状のフィルタ6,7を用意し、導光体1の端面1e,1fに密着させて、もしくは端面1e,1fから一定の距離をおいて取り付けてもよい。
【0050】
<基準反射板> 基準反射板17は、ライン光源10から出射される光を反射させる反射部材として機能するものである。
図4は、基準反射板17の取付位置を示すための光ラインセンサユニットの斜視図である。
図5は、基準反射板17の取付位置を示すための光ラインセンサユニットの部分平面図である。
図5では、筐体16を省略して示している。以下では、
図1、
図4及び
図5を用いて、基準反射板17の形状及び取付位置について具体的に説明する。
【0051】
紙葉類の画像を読み取るための主走査方向yに沿った線状の読取領域を、
図4に”W”で示す。紙葉類は、読取領域Wの内側において搬送される。基準反射板17は、受光部12の受光領域R(受光素子が光を読み取ることが可能な主走査方向yに沿った線状の領域をいう)の内側であって、かつ、読取領域Wの外側に設けられている。例えば基準反射板17は、読取領域Wから外れた、レンズアレイ11の両端部の直上の位置に設けられている。レンズアレイ11は前述したように倍率が1、正立のレンズであるので、このレンズアレイ11の両端部は、光学的に、受光部12の受光領域Rの両端部に相当する。
【0052】
受光領域Rの両端部において、ライン光源10から出射される光の一部は基準反射板17に当たり、反射する。基準反射板17からの反射光は、レンズアレイ11を通過し、受光部12により受光される。このように、基準反射板17は、ライン光源10からレンズアレイ11までの光路上に配置されている。基準反射板17からの反射光を受光部12で受光することにより、その受光量のデータに基づいて、紙葉類の画像を補正することができる。例えば、基準反射板17からの反射光の受光量と、予め定められた基準値との比率を算出し、紙葉類からの光(反射光又は蛍光など)を受光部12で受光したときの光量に対して上記比率を用いた演算を行うことにより、光量の補正を行うことができる。
【0053】
基準反射板17を設置する位置は限定されないが、
図1に示すように、保護ガラス14の内面に配置されていることが好ましい。基準反射板17は、保護ガラス14の外面に配置することもできるが、この場合は、搬送される紙葉類と接触するおそれがあるため、基準反射板17を保護ガラス面に埋め込むなどの処置が必要である。
【0054】
本実施形態では、基準反射板17の副走査方向xの幅が従来よりも狭く形成されている。これにより、
図5に示すように、基準反射板17に対して副走査方向xの両側に、各ライン光源10からの光の光通過領域18が形成されている。すなわち、基準反射板17に対する副走査方向xの両側では、各ライン光源10から搬送路20に向かう光が完全に遮られるのではなく、光通過領域18を介して搬送路20に光が通過可能となっている。
【0055】
光通過領域18を通過した各ライン光源10からの光は、搬送路20におけるレンズアレイ11の略焦点21の位置に導かれる。略焦点21とは、焦点21だけでなく、焦点21の近傍の領域も含む概念である。本実施形態では、レンズアレイ11が主走査方向yに延びているため、レンズアレイ11の焦点21の位置は、主走査方向yに沿って直線上に形成されている。基準反射板17は、レンズアレイ11と焦点21との間に配置されており、基準反射板17に対して副走査方向xの両側に対称的に光通過領域18が形成されている。
【0056】
このように、本実施形態では、レンズアレイ11に対して副走査方向xの両側に2つのライン光源10が設けられ、レンズアレイ11に対して副走査方向xの両側に光通過領域18が形成されている。一方のライン光源10からの光は、一方の光通過領域18を通過して略焦点21へと導かれ、他方のライン光源10からの光は、他方の光通過領域18を通過して略焦点21へと導かれる。これにより、受光部12の受光領域Rの主走査方向yの端部において、ライン光源10から焦点21に向かう光が基準反射板17により遮られるのを抑制することができる。したがって、受光部12の読取領域Wの受光量が主走査方向yの端部において低下するのを防止することができる。
【0057】
基準反射板17の保護ガラス面への取り付け方法は限定されないが、例えばテープ状のものを貼り付けても良く、保護ガラス面に印刷しても良く、ペースト状のものを塗布してもよい。基準反射板17の形状も限定されない。この例では、基準反射板17は、主走査方向yに沿って長尺な長方形状に形成されている。基準反射板17の副走査方向xの幅は、例えばレンズアレイ11の副走査方向xの幅と同一であるが、レンズアレイ11の副走査方向xの幅よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。また、基準反射板17の形状は、他の任意の形状であってもよい。
【0058】
図6Aは、
図5の基準反射板17の形状の第1変形例を示した光ラインセンサユニットの部分平面図である。この例では、基準反射板17の形状は
図5の例と同様に矩形状であるが、基準反射板17の副走査方向xの幅が
図5の例よりも広い。すなわち、各光通過領域18の副走査方向xの幅が、
図5の例よりも狭い。このような形状であっても、基準反射板17に対する副走査方向xの両側に、各ライン光源10からの光を通過させて略焦点21に導く光通過領域18が形成されていればよい。
【0059】
図6Bは、
図5の基準反射板17の形状の第2変形例を示した光ラインセンサユニットの部分平面図である。この例では、基準反射板17の形状が台形状に形成されている。
図5や
図6Aの例では、各光通過領域18が主走査方向yに沿って略均一な幅で形成されているが、
図6Bの例では、主走査方向yに沿って読取領域W側に向かうほど広がるように各光通過領域18が形成されている。
【0060】
図6Bの例のように、光通過領域18が主走査方向yに沿って読取領域W側に向かうほど広がるように形成されている場合には、基準反射板17からの反射光を十分な強度で受光部12により受光し、かつ、受光部12の読取領域Wの受光量が主走査方向yの端部において低下するのを効果的に防止することができる。すなわち、基準反射板17の読取領域W側においては、光通過領域18の副走査方向xの幅が比較的広く、ライン光源10から焦点21に向かう光が基準反射板17により遮られにくいため、受光部12の読取領域Wの受光量が低下するのを防止することができる。一方、基準反射板17の読取領域W側とは反対側においては、光通過領域18の副走査方向xの幅が比較的狭く、基準反射板17からの反射光が多くなるため、基準反射板17からの反射光を十分な強度で受光部12により受光することができる。
【0061】
光通過領域18が主走査方向yに沿って読取領域W側に向かうほど広がるような構成としては、
図6Bのように基準反射板17が台形状に形成された構成に限られるものではない。基準反射板17の他の形状としては、例えば読取領域W側に向かって先細りする三角形状の他、読取領域W側に段差面や傾斜面を有する形状など、他の任意の形状であってもよい。
【0062】
図7は、受光部12の各受光素子における受光量の一例を示した図で、搬送路20に紙葉類(基準白媒体)が搬送されている状態での受光部12の各受光素子(各画素)における受光量の実測値(センサ出力値)を示す。
図7において、実線は基準反射板17を設けない場合、一点鎖線は光通過領域18のある基準反射板17(本発明に係る)を設けた場合、破線は光通過領域18のない基準反射板17(従来の構成)を設けた場合、を示している。
【0063】
この例では、受光部12の1~10画素目までの受光素子に対向する位置に、基準反射板17が設けられており、読取領域Wは11画素目以後である。
【0064】
図7に示すように、読取領域Wの端部である11~15画素目の受光素子による受光強度は、基準反射板17がない場合(実線)に比べ、従来の構成の基準反射板17がある場合(点線)は大きく低下している。対して、本発明に係る基準反射板17がある場合(一点鎖線)は、基準反射板17がない場合(実線)に略一致している。つまり、基準反射板17を配置した場合であっても、読取領域Wの端部の受光素子による受光強度が低下しない。したがって、受光部12の読取領域Wの受光量が主走査方向yの端部において低下するのを確実に防止することができる。
【0065】
境界位置19よりも主走査方向yにおいて外側の領域に設けられた複数の受光素子(10画素目までの受光素子)の受光強度の総和を、本発明に係る基準反射板17がある場合(一点鎖線)にSp、基準反射板17がない場合(実線)にSnとしたとき、Sp/Sn>2であることが好ましい。この場合、境界位置19よりも主走査方向yにおいて外側の領域では、基準反射板17からの反射光を十分な強度で受光部12により受光することができる。
【0066】
基準反射板17の読取領域W側の副走査方向x側端部(境界位置19における副走査方向x側端部)は、
図1に示すように、当該端部に対向する位置におけるレンズアレイ11の焦点21と、当該端部に対向する位置におけるライン光源10の光出射側面1d(出射面)のレンズアレイ11側の端点22とを結ぶ直線23に対して、レンズアレイ11側に位置している。端点22は、レンズアレイ11の光出射側面1dとカバー部材2とのレンズアレイ11側の境界に位置しており、導光体1における端点22よりもレンズアレイ11側からは光が出射されない。
【0067】
すなわち、基準反射板17の読取領域W側の副走査方向x側端部において、当該端部に対向する位置におけるライン光源10の光出射側面1dから焦点21に向かう光は、当該端部に遮られることなく、全て焦点21に到達する。このように、基準反射板17における読取領域W側の端部が、ライン光源10から焦点21に向かう光を遮ることがないため、受光部12の読取領域Wの受光量が主走査方向yの端部において低下するのを効果的に防止することができる。なお、レンズアレイ11の光出射側面1dとカバー部材2とのレンズアレイ11側とは反対側の境界には、端点22´が位置している。2つの端点22,22´の間で、ライン光源10の光出射側面1dから焦点21に向かう光は、遮られることなく全て焦点21に到達する。
【0068】
図8は、基準反射板17の具体的構造の一例を示した断面図である。基準反射板17は、1層で形成されていてもよいし、
図8のように複数層(例えば2層)からなる多層構造を有していてもよい。
図8の例では、基準反射板17におけるライン光源10側(導光体1側)の第1層171が、硫酸バリウム又は酸化ジルコニウムにより形成されており、基準反射板17における搬送路20側(保護ガラス14側)の第2層172が、酸化チタンにより形成されている。
【0069】
基準反射板17の第1層171は、硫酸バリウム又は酸化ジルコニウムに限らず、紫外光を反射する他の材料により形成されていてもよい。また、基準反射板17の第2層172は、酸化チタンに限らず、可視光及び赤外光を反射する他の材料により形成されていてもよい。基準反射板17は、金属酸化物、二酸化ケイ素又はフッ素樹脂の少なくとも1種を含有する材料により形成されていることが好ましい。金属酸化物としては、例えば硫酸バリウム、酸化ジルコニウム又は酸化アルミニウムなどを例示することができるが、これに限らない。フッ素樹脂としては、PTFE(polytetrafluoroethylene)などを例示することができるが、これに限らない。基準反射板17は、例えば上記材料を含有するインクが保護ガラス14上にシルク印刷で順次積層されることにより形成されてもよい。ただし、フッ素樹脂は印刷できないため、例えばテープ状のフッ素樹脂を保護ガラス14に貼り付けるなどしてもよい。
【0070】
本実施形態では、紫外光を基準反射板17の第1層171により反射させて受光部12で受光することができるとともに、可視光及び赤外光を基準反射板17の第2層172により反射させて受光部12で受光することができる。これにより、紫外光、可視光及び赤外光をそれぞれ基準反射板17で反射させることができるため、広い波長域に亘って光量の補正を行うことが可能になる。ただし、基準反射板17は3層以上で構成されていてもよく、その場合、最もレンズアレイ11側(搬送路20側とは反対側)の層が、紫外光を反射する材料により形成されていることが好ましい。
【0071】
基準反射板17の厚みは、0.3mm以下であることが好ましい。これにより、レンズアレイ11と基準反射板17間の距離が大きくなり、ライン光源10から出射され基準反射板17に到達し、基準反射板17で反射される光が増加するため、受光部12での受光量が増加する。
【0072】
<別実施形態>
図9は、本発明の別実施形態に係る光ラインセンサユニットの構成例を示す概略断面図である。
図10は、
図9の光ラインセンサユニットにおける基準反射板17の取付位置を示すための光ラインセンサユニットの部分平面図である。
図10では、筐体16を省略して示している。
【0073】
本実施形態では、上記実施形態のようにライン光源10がレンズアレイ11に対して副走査方向xの両側に2つ設けられた構成ではなく、レンズアレイ11に対して副走査方向xの一方側に1つだけライン光源10が設けられている。そのため、ライン光源10からの光を通過させて略焦点21に導く光通過領域18についても、本実施形態では、レンズアレイ11に対して副走査方向xの一方側にのみ形成されている。本実施形態では、ライン光源10の数、並びに、基準反射板17の形状及び配置のみが上記実施形態とは異なり、他の構成は上記実施形態と同様であるため、同様の構成については図に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0074】
本実施形態において、基準反射板17に対する副走査方向xの一方側では、ライン光源10から搬送路20に向かう光が完全に遮られるのではなく、光通過領域18を介して搬送路20に光が通過可能となっている。光通過領域18を通過したライン光源10からの光は、搬送路20におけるレンズアレイ11の略焦点21の位置に導かれる。これにより、受光部12の受光領域Rの主走査方向yの端部において、ライン光源10から焦点21に向かう光が基準反射板17により遮られるのを抑制することができる。したがって、受光部12の読取領域Wの受光量が主走査方向yの端部において低下するのを防止することができる。
【0075】
基準反射板17の読取領域W側の端部(境界位置19における端部)は、
図9に示すように、当該端部に対向する位置におけるレンズアレイ11の焦点21と、当該端部に対向する位置におけるライン光源10の光出射側面1d(出射面)のレンズアレイ11側の端点22とを結ぶ直線23に対して、レンズアレイ11側に位置している。このように、基準反射板17における読取領域W側の端部が、ライン光源10から焦点21に向かう光を遮ることがないため、受光部12の読取領域Wの受光量が主走査方向yの端部において低下するのを効果的に防止することができる。
【0076】
本実施形態では、基準反射板17に対する副走査方向xの他方側にはライン光源10が設けられていないため、当該他方側に光通過領域18は不要である。そのため、当該他方側における基準反射板17の形状は任意である。
【0077】
図11は、
図10の基準反射板17の形状の変形例を示した光ラインセンサユニットの部分平面図である。この例では、基準反射板17の形状が台形状に形成されている。このように、光通過領域18は、基準反射板17に対して副走査方向xの両側に対称的に形成されている必要はなく、基準反射板17は焦点21に対して非対称な形状であってもよい。ただし、基準反射板17の形状は、矩形状や台形状に限らず、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 導光体
2 カバー部材
3 光源部
4 光源部
10 ライン光源
11 レンズアレイ
12 受光部
14 保護ガラス
16 筐体
17 基準反射板
18 光通過領域
19 境界位置
20 搬送路
21 焦点
22、22´ 端点
23 直線