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特許7076701ブロック共重合体及びその製造方法、ならびに相分離構造を含む構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】ブロック共重合体及びその製造方法、ならびに相分離構造を含む構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/442 20060101AFI20220523BHJP
   C08G 77/392 20060101ALI20220523BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20220523BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
C08G77/442
C08G77/392
B05D7/24 302Y
B05D7/24 302J
H01L21/30 502D
H01L21/30 502R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018039127
(22)【出願日】2018-03-05
(65)【公開番号】P2019151769
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-12-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・高分子学会予稿集66巻2号〔2017〕、発表番号2ESA05 発行日:平成29年9月6日 公益社団法人 高分子学会 ・第66回高分子討論会 公益社団法人高分子学会主催 開催場所:国立大学法人愛媛大学 開催日:平成29年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 晃義
(72)【発明者】
【氏名】川名 大助
(72)【発明者】
【氏名】瀬下 武広
(72)【発明者】
【氏名】早川 晃鏡
(72)【発明者】
【氏名】ドン レイ
(72)【発明者】
【氏名】小田島 凛
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-133026(JP,A)
【文献】特開2015-129261(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0046415(US,A1)
【文献】特開2016-166323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00- 77/62
C08F251/00-283/00
C08F283/02-289/00
C08F291/00-297/08
C08G 81/00- 85/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(u1-1)で表される構成単位(u11)の繰り返し構造を有する重合体からなる第1ブロック、及び、ケイ素原子を含む構成単位(u2)の繰り返し構造を有する重合体からなる第2ブロックを備えたブロック共重合体であって、
前記第2ブロックは、
下記一般式(u2-1-1)で表される構成単位(u21)の繰り返し構造を有する重合体からなるブロック(b21)と、
ジメチルシロキサンから誘導される構成単位(u221)の繰り返し構造を有する重合体からなるブロック(b22)と、
を含み、
前記ブロック(b22)は、前記第1ブロックと前記ブロック(b21)との間に位置している、ブロック共重合体。
【化1】
[式中、R P111 は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。R P112 は、置換基を有していてもよい芳香族環式基である。]
【化2】
[式中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基である。R P213 は、2価の連結基である。R P214 は、下記式(R P214 -1-9)で表される基である。]
【化3】
[式中、np1は1~10の整数である。*は、前記R P213 に結合する結合手を示す。]
【請求項2】
数平均分子量が5000~2000000である、請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項3】
前記ブロック(b22)の含有割合は、前記第1ブロックと前記ブロック(b21)と前記ブロック(b22)との総量(100モル%)に対して、1~50モル%である、請求項1又は2に記載のブロック共重合体。
【請求項4】
下記一般式(u1-1)で表される構成単位(u11)の繰り返し構造を有する重合体からなる第1ブロックを調製する工程(a)と、
前記工程(a)で調製された第1ブロックに、ジメチルシロキサンを付加重合させて、第1ブロックとブロック(b22)とが結合したブロック共重合前駆体を調製する工程(b)と、
前記工程(b)で調製されたブロック共重合前駆体に、下記一般式(u2-1-1)で表される構成単位(u21)を誘導する単量体(m21)を付加重合させて、第1ブロックとブロック(b21)との間にブロック(b22)が位置したブロック共重合体を調製する工程(c)と、
を有し、
前記工程(c)において、前記ブロック共重合前駆体に前記単量体(m21)を付加重合させる際の反応温度を、前記工程(b)で前記第1ブロックにジメチルシロキサンを付加重合させる際の反応温度に比べて低い温度に設定する、請求項1~3のいずれか一項に記載のブロック共重合体の製造方法。
【化4】
[式中、R P111 は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。R P112 は、置換基を有していてもよい芳香族環式基である。]
【化5】
[式中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基である。R P213 は、2価の連結基である。R P214 は、下記式(R P214 -1-9)で表される基である。]
【化6】
[式中、np1は1~10の整数である。*は、前記R P213 に結合する結合手を示す。]
【請求項5】
基板上に、請求項1~のいずれか一項に記載のブロック共重合体を含む層を形成する工程(i)と、
前記のブロック共重合体を含む層を相分離させる工程(ii)と、
を有する、相分離構造を含む構造体の製造方法。
【請求項6】
前記工程(i)は、基板上に、下地剤を塗布して下地剤層を形成し、当該下地剤層上に、請求項1~のいずれか一項に記載のブロック共重合体を含む層を形成する操作を含む、請求項に記載の相分離構造を含む構造体の製造方法。
【請求項7】
前記工程(i)の前に、基板上に、ガイドパターンを形成する工程を有する、請求項又はに記載の相分離構造を含む構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック共重合体及びその製造方法、ならびに相分離構造を含む構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)のさらなる微細化に伴い、より繊細な構造体を加工する技術が求められている。このような要望に対して、互いに非相溶性のブロック同士を結合させたブロック共重合体の自己組織化により形成される相分離構造を利用して、より微細なパターンを形成する試みが始まっている。(例えば、特許文献1参照。)。
ブロック共重合体の相分離構造を利用するためには、ミクロ相分離により形成される自己組織化ナノ構造を、特定の領域のみに形成し、かつ、所望の方向へ配列させることが必須となる。これらの位置制御及び配向制御を実現するために、ガイドパターンによって、相分離パターンを制御するグラフォエピタキシーや、基板の化学状態の違いによって相分離パターンを制御するケミカルエピタキシー等のプロセスが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
ブロック共重合体は相分離により規則的な周期構造を形成する。この周期構造は、ポリマー成分の体積比等により、シリンダー(柱状)、ラメラ(板状)、スフィア(球状)と変化し、その周期は分子量に依存することが知られている。
シリンダー形状が垂直に配向した垂直シリンダー形状や、水平に配向した水平シリンダー形状や、ラメラ形状が垂直に配向した垂直ラメラ形状を微細パターンとして形成する試みがされている。例えば、特許文献2では、ポリスチレンと、シロキサン誘導体とかなるブロック共重合体の側鎖末端に極性基を導入することにより、パターンの垂直配向性を向上する試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-36491号公報
【文献】特開2016-166323号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE),第7637巻,第76370G-1(2010年).
【文献】Annu. Rev. Phys. Chem. 41 525 (1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の方法では、パターンの垂直配向性は向上するものの、エッチング後のラフネス向上に改善の余地があった。
非特許文献2には、ブロックAとブロックBから構成されるブロック共重合体中のブロックAとブロックBの界面厚(t)が、以下の式(1)の関係を満たすことが記載されている。
【0007】
【化1】
[式中、tは、ブロックAとブロックBから構成されるブロック共重合体中のブロックAとブロックBとの界面厚を表す。aは、モノマーの大きさを示すパラメータである。χは、相互作用パラメータであり、この値が大きいほど、相分離性能が高いことを意味する。]
【0008】
上記式(1)に示される通り、相互作用パラメータχが大きいほど、界面厚tが小さくなる。
例えば、ブロックAとブロックBから構成されるブロック共重合体を用いたパターニングにおいては、ドライエッチング等により片方のブロックを選択的に除去するため、ブロックAとブロックBとの界面がパターンのエッジ部に相当することになる。
ブロックAとブロックBとの界面には、ブロックAを構成する成分とブロックBを構成する成分とが混在している。界面における成分のばらつきがエッチング後のラフネスの要因となりうるため、界面厚tを小さくすることでラフネスの改善が期待される。
一般に相互作用パラメータχの大きなジブロック共重合体では、界面厚tが小さくなる一方で、ブロック間の表面自由エネルギー差も大きくなる。このため、相分離構造形成のための熱アニーリング処理時に、表面自由エネルギーの小さなブロックがブロック共重合体膜表面に偏析し、それに伴い微細加工に適した垂直配向パターンが形成しにくいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、自己組織化リソグラフィ用として好適なブロック共重合体及びその製造方法、ならびに相分離構造を含む構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様は、ケイ素原子を含まない構成単位(u1)の繰り返し構造を有する重合体からなる第1ブロック、及び、ケイ素原子を含む構成単位(u2)の繰り返し構造を有する重合体からなる第2ブロックを備えたブロック共重合体であって、
前記第2ブロックは、
下記一般式(u2-1)で表される構成単位(u21)の繰り返し構造を有する重合体からなるブロック(b21)と、
前記構成単位(u21)以外のケイ素原子を含む構成単位(u22)の繰り返し構造を有する重合体からなるブロック(b22)と、
を含み、
前記ブロック(b22)は、前記第1ブロックと前記ブロック(b21)との間に位置している、ブロック共重合体である。
【0011】
【化2】
[式中、RP211は、極性基を有する有機基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。RP212は、極性基を有する有機基である。]
【0012】
本発明の第二の態様は、下記一般式(u1-1)で表される構成単位(u11)の繰り返し構造を有する重合体、又はα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位(u12)の繰り返し構造を有する重合体からなる第1ブロックを調製する工程(a)と、
前記工程(a)で調製された第1ブロックに、シロキサン又は下記一般式(m2-2-2)で表される単量体(m222)を付加重合させて、第1ブロックとブロック(b22)とが結合したブロック共重合前駆体を調製する工程(b)と、
前記工程(b)で調製されたブロック共重合前駆体に、下記一般式(u2-1)で表される構成単位(u21)を誘導する単量体(m21)を付加重合させて、第1ブロックとブロック(b21)との間にブロック(b22)が位置したブロック共重合体を調製する工程(c)と、
を有し、
前記工程(c)において、前記ブロック共重合前駆体に前記単量体(m21)を付加重合させる際の反応温度を、前記工程(b)で前記第1ブロックにシロキサン又は前記単量体(m222)を付加重合させる際の反応温度に比べて低い温度に設定する、ブロック共重合体の製造方法である。
【0013】
【化3】
[式中、RP111は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。RP112は、置換基を有していてもよい芳香族環式基である。
Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基である。RP221は、2価の連結基である。RP222は、ケイ素原子を有する有機基である。
P211は、極性基を有する有機基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。RP212は、極性基を有する有機基である。]
【0014】
本発明の第三の態様は、基板上に、前記第一の態様のブロック共重合体を含む層を形成する工程(i)と、
前記のブロック共重合体を含む層を相分離させる工程(ii)と、
を有する、相分離構造を含む構造体の製造方法である。
【0015】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH-COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「ヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレン誘導体」とは、スチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものを意味する。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1~5が好ましく、1が最も好ましい。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自己組織化リソグラフィ用として好適なブロック共重合体及びその製造方法、ならびに相分離構造を含む構造体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る、相分離構造を含む構造体の製造方法の一実施形態例を説明する概略工程図である。
図2】任意工程の一実施形態例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
≪ブロック共重合体≫
本実施形態にかかるブロック共重合体は、ケイ素原子を含まない構成単位(u1)の繰り返し構造を有する重合体からなる第1ブロック、及び、ケイ素原子を含む構成単位(u2)の繰り返し構造を有する重合体からなる第2ブロックを備える。
本実施形態において、「ブロック共重合体」とは、複数種類のブロック(同種の構成単位が繰り返し結合した部分構成成分)が結合した高分子である。ブロック共重合体を構成するブロックは、2種類であってもよく、3種類以上であってもよい。
【0019】
<第1ブロック>
本実施形態において、第1ブロックは、ケイ素原子を含まない構成単位(u1)の繰り返し構造を有する重合体からなるものであれば限定されず、例えば下記一般式(u1-1)で表される構成単位(u11)の繰り返し構造を有する重合体、又はα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位(u12)の繰り返し構造を有する重合体からなるブロックが挙げられる。
【0020】
【化4】
[式中、RP111は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。RP112は、置換基を有していてもよい芳香族環式基である。]
【0021】
(構成単位(u11))
前記一般式(u1-1)中、RP111は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。
P111のアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数1~5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
P111のハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げらる。
なかでも、RP111としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子好ましく、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基又は水素原子好ましく、メチル基又は水素原子が最も好ましい。
【0022】
前記一般式(u1-1)中、RP112は、置換基を有していてもよい芳香族環式基である。
P112の芳香族環式基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、ピリジル基等が挙げられる。なかでも、RP112の芳香族環式基としては、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
P112の芳香族環式基が有していてもよい置換基としては、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
炭素数1~5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
ハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。
【0023】
(構成単位(u12))
本実施形態において、構成単位(u12)としては、アクリル酸メチルから誘導される構成単位、アクリル酸エチルから誘導される構成単位、アクリル酸プロピルから誘導される構成単位、アクリル酸n-ブチルから誘導される構成単位、アクリル酸t-ブチルから誘導される構成単位、アクリル酸シクロヘキシルから誘導される構成単位、アクリル酸オクチルから誘導される構成単位、アクリル酸ノニルから誘導される構成単位、アクリル酸ヒドロキシエチルから誘導される構成単位、アクリル酸ヒドロキシプロピルから誘導される構成単位、アクリル酸ベンジルから誘導される構成単位、アクリル酸アントラセンから誘導される構成単位、アクリル酸グリシジルから誘導される構成単位、アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメタンから誘導される構成単位、メタクリル酸メチルから誘導される構成単位、メタクリル酸エチルから誘導される構成単位、メタクリル酸プロピルから誘導される構成単位、メタクリル酸n-ブチルから誘導される構成単位、メタクリル酸t-ブチルから誘導される構成単位、メタクリル酸シクロヘキシルから誘導される構成単位、メタクリル酸オクチルから誘導される構成単位、メタクリル酸ノニルから誘導される構成単位、メタクリル酸ヒドロキシエチルから誘導される構成単位、メタクリル酸ヒドロキシプロピルから誘導される構成単位、メタクリル酸ベンジルから誘導される構成単位、メタクリル酸アントラセンから誘導される構成単位、メタクリル酸グリシジルから誘導される構成単位、メタクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメタンから誘導される構成単位などが挙げられる。
これらのなかでも、構成単位(u12)としては、アクリル酸メチルから誘導される構成単位、アクリル酸エチルから誘導される構成単位、アクリル酸t-ブチルから誘導される構成単位、メタクリル酸メチルから誘導される構成単位、メタクリル酸エチルから誘導される構成単位、メタクリル酸t-ブチルから誘導される構成単位が好ましい。
【0024】
<第2ブロック>
本実施形態において、第2ブロックは、下記一般式(u2-1)で表される構成単位(u21)の繰り返し構造を有する重合体からなるブロック(b21)と、前記構成単位(u21)以外のケイ素原子を含む構成単位(u22)の繰り返し構造を有する重合体からなるブロック(b22)と、を含み、前記ブロック(b22)は、前記第1ブロックと前記ブロック(b21)との間に位置している。
【0025】
【化5】
[式中、RP211は、極性基を有する有機基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。RP212は、極性基を有する有機基である。]
【0026】
(構成単位(u21))
前記一般式(u2-1)中、RP211は、極性基を有する有機基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。
P211の「極性基を有する有機基」における有機基としては、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
【0027】
・・RP211における脂肪族炭化水素基
該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0028】
・・・直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基
該直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1~20(好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6)のアルキル基が挙げられる。前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基などの炭素数2~20(好ましくは炭素数2~10、より好ましくは炭素数2~6)のアルケニル基が挙げられる。前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基などの炭素数2~20(好ましくは炭素数2~10、より好ましくは炭素数2~6)のアルキニル基が挙げられる。
【0029】
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1~5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
【0030】
・・・構造中に環を含む脂肪族炭化水素基
前記の構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、例えば、脂環式炭化水素基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの3~8員環のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などの3~8員環のシクロアルケニル基;アダマンチル基、ノルボルニル基などの炭素数4~20(好ましくは炭素数7~12)の橋架け環式炭化水素基などが挙げられる。
【0031】
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、-O-、-C(=O)-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-O-が好ましい。
【0032】
・・RP211における芳香族炭化水素基
該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5~30であることが好ましく、5~20がより好ましく、6~15がさらに好ましく、6~12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキル基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基)等が挙げられる。前記アリール基またはヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0033】
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
【0034】
P211の「極性基を有する有機基」における極性基としては、-OH、-C(=O)OH、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-SH、-SOH、-S-、-C(=S)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-O-、-NH、-N=、-NH-、-C(=O)NH-、等が挙げられる。
【0035】
前記一般式(u2-1)中、RP211のアルキル基としては、RP211における脂肪族炭化水素基としてのアルキル基と同様のものが挙げられる。
P211のハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げらる。
【0036】
前記構成単位(u21)は、下記一般式(u2-1-1)で表される構成単位であることが好ましい。
【0037】
【化6】
[式中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基である。RP213は、2価の連結基である。RP214は、極性基を有する有機基である。]
【0038】
前記一般式(u2-1-1)中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基である。
Rの炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げらる。
なかでも、Rとしては、メチル基又は水素原子が好ましい。
【0039】
前記一般式(u2-1-1)中、RP213は、2価の連結基である。2価の連結基としては特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
【0040】
・置換基を有していてもよい2価の炭化水素基:
P213が置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
【0041】
・・RP213における脂肪族炭化水素基
該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0042】
・・・直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基
該直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1~10であることが好ましく、1~6がより好ましく、1~4がさらに好ましく、1~3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]、ペンタメチレン基[-(CH-]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0043】
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1~5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
【0044】
・・・構造中に環を含む脂肪族炭化水素基
該構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3~20であることが好ましく、3~12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0045】
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、-O-、-C(=O)-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-O-が好ましい。
【0046】
・・RP213における芳香族炭化水素基
該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5~30であることが好ましく、5~20がより好ましく、6~15がさらに好ましく、6~12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アリール基またはヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0047】
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
【0048】
・ヘテロ原子を含む2価の連結基:
P213がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、-O-、-C(=O)-O-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-、-NH-C(=NH)-(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-O-、一般式-Y21-O-Y22-、-Y21-O-、-Y21-C(=O)-O-、-C(=O)-O-Y21-、-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-、-Y21-O-C(=O)-Y22-または-Y21-S(=O)-O-Y22-で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0~3の整数である。]等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-C(=O)-、-NH-、-NH-C(=NH)-の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1~10であることが好ましく、1~8であることがさらに好ましく、1~5であることが特に好ましい。
一般式-Y21-O-Y22-、-Y21-O-、-Y21-C(=O)-O-、-C(=O)-O-Y21-、-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-、-Y21-O-C(=O)-Y22-または-Y21-S(=O)-O-Y22-中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1~3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-で表される基において、m”は0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-で表される基としては、式-Y21-C(=O)-O-Y22-で表される基が特に好ましい。なかでも、式-(CHa’-C(=O)-O-(CHb’-で表される基が好ましい。該式中、a’は、1~10の整数であり、1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1~10の整数であり、1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
【0049】
P213としては、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1~3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であることが更に好ましい。
【0050】
前記一般式(u2-1-1)中、RP214は、極性基を有する有機基であり、前記一般式(u2-1)中のRP211の極性基を有する有機基と同様のものが挙げられる。
P214の極性基を有する有機基としては、下記一般式(RP214-1)で表される基、下記一般式(RP214-2)で表される基又は下記一般式(RP214-3)で表される基が好ましい。
【0051】
【化7】
[式中、Rは-OH、-C(=O)OH、又は構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基を表す。Rは-SH、-SOH、又は構造中に-S-、-C(=S)-、-S(=O)-、-S(=O)-若しくは-S(=O)-O-を含む炭化水素基を表す。Rは-NH、又は構造中に-N=、-NH-若しくは-C(=O)NH-を含む炭化水素基を表す。]
【0052】
前記一般式(RP214-1)中、Rは-OH、-C(=O)OH、又は構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基を表す。
の「構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基」における炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基が挙げられる。
【0053】
の「構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基」における環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
の「構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基」における芳香族炭化水素基は、前記式(u1-1-1)中のRP13における2価の芳香族炭化水素基で挙げた芳香族炭化水素環、または2以上の芳香環を含む芳香族化合物から水素原子を1つ除いたアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
の「構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基」における環状の脂肪族炭化水素基は、前記式(u1-1-1)中のRP13における2価の脂肪族炭化水素基で挙げたモノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基が挙げられ、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
【0054】
の「構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基」における環状の炭化水素基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0055】
の「構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基」における鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1~20であることが好ましく、1~15であることがより好ましく、1~10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3~20であることが好ましく、3~15であることがより好ましく、3~10が最も好ましい。具体的には、例えば、1-メチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基などが挙げられる。
【0056】
の「構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基」における鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2~10であることが好ましく、2~5がより好ましく、2~4がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1-メチルプロペニル基、2-メチルプロペニル基などが挙げられる。
【0057】
の「構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基」における鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記Rの「構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基」における環式基等が挙げられる。
【0058】
前記一般式(RP214-1)で表される基としては、下記化学式(RP214-1-1)~(RP214-1-9)で表される基が好ましい。下記化学式(RP214-1-9)中、np1は1~10の整数である。
【0059】
【化8】
【0060】
前記一般式(RP214-2)中、Rは-SH、-SOH、又は構造中に-S-、-C(=S)-、-S(=O)-、-S(=O)-若しくは-S(=O)-O-を含む炭化水素基を表す。
の「構造中に-S-、-C(=S)-、-S(=O)-、-S(=O)-若しくは-S(=O)-O-を含む炭化水素基」における炭化水素基としては、前記一般式(RP15-1)中のRの「構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基」における炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0061】
前記一般式(RP214-2)で表される基としては、下記化学式(RP214-2-1)~(RP214-2-12)で表される基が好ましい。
【0062】
【化9】
【0063】
前記一般式(RP214-3)中、Rは-NH、又は構造中に-N=、-NH-若しくは-C(=O)NH-を含む炭化水素基を表す。
の「構造中に-N=、-NH-若しくは-C(=O)NH-を含む炭化水素基」における炭化水素基としては、前記一般式(RP214-1)中のRの「構造中に-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-若しくは-OHを含む炭化水素基」における炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0064】
前記一般式(RP214-3)で表される基としては、下記化学式(RP214-3-1)~(RP214-3-12)で表される基が好ましい。
式(RP214-3-2)中、RP2140は、任意の有機基を表す。RP2140の有機基としては特に限定されないが、例えば前記一般式(u2-1)中の「極性基を有する有機基」における有機基と同様のものが挙げられる。
【0065】
【化10】
【0066】
前記一般式(u2-1-1)中のRP214は、前記化学式(RP214-1-1)~(RP214-1-9)、前記化学式(RP214-2-1)~(RP214-2-12)及び前記化学式(RP214-3-1)~(RP214-3-12)のいずれかで表される基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0067】
構成単位(u21)の具体例を以下に示す。
【0068】
【化11】
【0069】
【化12】
【0070】
【化13】
【0071】
【化14】
【0072】
以下に、一般式(1-1-2)で表される構造の具体例を記載する。
【0073】
【化15】
【0074】
【化16】
【0075】
【化17】
【0076】
【化18】
【0077】
(構成単位(u22))
構成単位(u22)としては、前記構成単位(u21)以外のケイ素原子を含む構成単位であれば特に限定されないが、シロキサンから誘導される構成単位(221)又は下記一般式(u2-2-2)で表される構成単位(u222)であることが好ましく、シロキサンから誘導される構成単位(221)であることがより好ましい。
【0078】
【化19】
[式中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基である。RP221は、2価の連結基である。RP222は、ケイ素原子を有する有機基である。]
【0079】
(構成単位(221))
構成単位(221)としては、たとえば、ジメチルシロキサンから誘導される構成単位、ジエチルシロキサンから誘導される構成単位、ジフェニルシロキサンから誘導される構成単位、メチルフェニルシロキサンから誘導される構成単位等が挙げられる。
なかでも、構成単位(u221)としては、ジメチルシロキサンから誘導される構成単位が好ましい。
【0080】
(構成単位(222))
前記一般式(u2-2-2)中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基であり、前記一般式(u2-1-1)中のRと同様である。
なかでも、Rとしては、メチル基又は水素原子が好ましい。
【0081】
前記一般式(u2-2-2)中、RP221は、2価の連結基である。RP221の2価の連結基としては、前記一般式(u2-1-1)中のRP213の2価の連結基と同様のものが挙げられる。なかでも、RP221の2価の連結基としては、ヘテロ原子を含む2価の連結基又は2価の芳香族炭化水素基が好ましく、-O-、-C(=O)-O-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-、-NH-C(=NH)-(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-O-、一般式-Y21-O-Y22-、-Y21-O-、-Y21-C(=O)-O-、-C(=O)-O-Y21-、-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-、-Y21-O-C(=O)-Y22-または-Y21-S(=O)-O-Y22-で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0~3の整数である。]、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基又はフェナントレニレン基がより好ましく、-C(=O)-O-又はフェニレン基が更に好ましい。
【0082】
前記一般式(u2-2-2)中、RP222は、ケイ素原子を有する有機基である。RP222としては、特に限定されないが、下記化学式(RP222-1)~(RP222-3)のいずれかで表される有機基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0083】
【化20】
[式中、Rは、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。複数のRはそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。]
【0084】
前記一般式(RP222-3)中、Rの置換基を有していてもよい1価の炭化水素基としては、前記一般式(u2-1)中のRP211の説明において例示した置換基を有していてもよい1価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。なかでも、Rとしては、エチル基又はイソブチル基が好ましい。
【0085】
本実施形態において、ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)が5000~2000000であることが好ましく、5000~1000000であることがより好ましく、5000~500000であることがさらに好ましい。
またブロック共重合体の分散度(Mw/Mn)は1.0~3.0が好ましく、1.0~1.5がより好ましく、1.0~1.3がさらに好ましい。なお、Mwは質量平均分子量を示す。
【0086】
本実施形態において、前記ブロック(b22)の含有割合は、前記第1ブロックと前記ブロック(b21)と前記ブロック(b22)との総量(100モル%)に対して、1~50モル%であることが好ましく、1~45モル%であることがより好ましく、1~40モル%であることが更に好ましい。
前記ブロック(b22)の含有割合が上記範囲内である場合、前記第1ブロックと前記ブロック(b22)との界面厚を小さくしやすくなり、ドライエッチング後のパターンのラフネスを低減できる。
また、前記第1ブロックの含有割合は、前記第1ブロックと前記ブロック(b21)と前記ブロック(b22)との総量(100モル%)に対して、25~85モル%であることが好ましく、30~80モル%であることがより好ましく、40~70モル%であることが更に好ましい。
また、前記ブロック(b21)の含有割合は、前記第1ブロックと前記ブロック(b21)と前記ブロック(b22)との総量(100モル%)に対して、5~45モル%が好ましく、10~40モル%がより好ましく、15~35モル%が更に好ましい。
【0087】
本実施形態のブロック共重合体は、相分離構造形成用樹脂組成物として好適に用いることができる。相分離形成用樹脂組成物として用いる場合には、本実施形態のブロック共重合体を有機溶剤に溶解して作製することが好ましい。
【0088】
・有機溶剤
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、樹脂を主成分とする膜組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジクロロエタン、n-プロピルクロライド、n-ブチルクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;γ-ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノン(メチルアミルケトン)などのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、クロロホルム、2-ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2、さらに好ましくは3:7~7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2、さらに好ましくは3:7~7:3である。
【0089】
また、相分離構造形成用樹脂組成物中の有機溶剤として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶剤との混合溶媒と、γ-ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30~95:5とされる。
相分離構造形成用樹脂組成物中の有機溶剤の使用量は特に限定されるものではなく、塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはブロック共重合体の固形分濃度が0.2~70質量%、好ましくは0.2~50質量%の範囲内となる様に用いられる。
【0090】
本実施形態のブロック共重合体は、相分離により規則的な周期構造の構造体を形成することができるので、自己組織化リソグラフィ用として好適である。
本実施形態のブロック共重合体は、前記第1ブロック及び前記第2ブロックを備え、前記第2ブロックは前記ブロック(b21)と前記ブロック(b22)とを含む。
前記ブロック(b21)及び前記ブロック(b22)は、いずれもケイ素原子を含む。そのため、本実施形態のブロック共重合体を用いて相分離構造を形成した場合、酸素プラズマ等を用いたドライエッチング処理を行うことで、前記第1ブロックを選択的に除去することができる。
前記ブロック(b22)は、前記第1ブロックと前記ブロック(b21)との間に位置している。そのため、本実施形態のブロック共重合体を用いて相分離構造を形成し、ドライエッチング処理を行ってパターンを形成した場合、前記第1ブロックと前記ブロック(b22)との界面がパターンのエッジ部分に相当する。前記ブロック(b22)は、前記第1ブロックに対し高い斥力相互作用を有する。そのため、前記第1ブロックと前記ブロック(b22)との界面厚を小さくすることができ、ドライエッチング後のパターンのラフネスを低減できると推測される。
また、前記第1ブロックと前記ブロック(b21)とは、表面自由エネルギー差が小さい。そのため、本実施形態のブロック共重合体を用いて相分離構造を形成する際に、熱アニーリングにより垂直配向パターンを形成しやすいと推測される。
【0091】
≪ブロック共重合体の製造方法≫
本実施形態のブロック共重合体の製造方法は、下記一般式(u1-1)で表される構成単位(u11)の繰り返し構造を有する重合体、又はα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位(u12)の繰り返し構造を有する重合体からなる第1ブロックを調製する工程(a)と、前記工程(a)で調製された第1ブロックに、シロキサン又は下記一般式(m2-2-2)で表される単量体(m222)を付加重合させて、第1ブロックとブロック(b22)とが結合したブロック共重合前駆体を調製する工程(b)と、前記工程(b)で調製されたブロック共重合前駆体に、下記一般式(u2-1)で表される構成単位(u21)を誘導する単量体(m21)を付加重合させて、第1ブロックとブロック(b21)との間にブロック(b22)が位置したブロック共重合体を調製する工程(c)とを有する。
【0092】
【化21】
[式中、RP111は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。RP112は、置換基を有していてもよい芳香族環式基である。Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基である。RP221は、2価の連結基である。RP222は、ケイ素原子を有する有機基である。RP211は、極性基を有する有機基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。RP212は、極性基を有する有機基である。]
【0093】
前記一般式(u1-1)中、RP111及びRP112は、前記と同様である。
前記一般式(m2-2-2)中、R、RP221及びRP222は、前記一般式(u2-2-2)中のR、RP221及びRP222と同様である。
前記一般式(u2-1)中、RP211及びRP212は、前記と同様である。
【0094】
(工程(a))
工程(a)では、第1ブロックを調製する。第1ブロックを調製する方法は特に限定されず、公知の重合方法を用いることができる。例えば、構成単位(u11)を誘導するモノマー又は構成単位(u12)を誘導するモノマーを、sec-ブチルリチウム(SecBuLi)等のリビングアニオン重合開始剤の存在下、有機溶媒中で重合反応させることができる。反応温度は特に限定されないが、第1ブロックの分散度が狭くなるような温度が好ましい。
【0095】
(工程(b))
工程(b)では、前記工程(a)で調製された第1ブロックに、シロキサン又は前記単量体(m222)を付加重合させて、第1ブロックとブロック(b22)とが結合したブロック共重合前駆体を調製する。工程(b)における付加重合反応は、リビングアニオン重合等の公知の方法で行うことができる。工程(b)の反応温度は特に限定されないが、、ブロック共重合体前駆体の分散度及び工程(c)における反応温度を考慮して、0℃~80℃で行うことが好ましく、5℃~60℃で行うことがより好ましく、10℃~40℃で行うことが更に好ましい。
【0096】
(工程(c))
工程(c)では、前記工程(b)で調製されたブロック共重合前駆体に、前記単量体(m21)を付加重合させて、第1ブロックとブロック(b21)との間にブロック(b22)が位置したブロック共重合体を調製する。
工程(c)において、前記ブロック共重合前駆体に前記単量体(m21)を付加重合させる際の反応温度を、前記工程(b)で前記第1ブロックにシロキサン又は前記単量体(m222)を付加重合させる際の反応温度に比べて低い温度に設定する。これにより、工程(b)の後に残留したシロキサン又は前記単量体(m22)が反応するのに優先して前記単量体(m21)の付加重合反応を進めることができる。その結果、第1ブロックとブロック(b21)との間にブロック(b22)が位置したブロック共重合体を調製することができる。
前記ブロック共重合前駆体に前記単量体(m21)を付加重合させる際の反応温度は、シロキサン又は前記単量体(m22)が反応しない温度が好ましい。具体的には、前記ブロック共重合前駆体に前記単量体(m21)を付加重合させる際の反応温度は、前記工程(b)で前記第1ブロックにシロキサン又は前記単量体(m222)を付加重合させる際の反応温度に比べて20℃以上低い温度が好ましく、30℃以上低い温度がより好ましく、40℃以上低い温度が更に好ましい。
【0097】
工程(a)、(b)及び(c)の重合反応において用いる溶媒は特に限定されないが、各工程で用いられる化合物が溶解可能で、かつ、それら化合物と反応しないものであればよく、例えば、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0098】
なお、本実施形態においては、前記工程(c)に替えて、前記工程(b)で調製されたブロック共重合前駆体に、下記一般式(u2-1’)で表される構成単位(u21’)を誘導する単量体(m21’)を付加重合させて、第1ブロックとブロック(b21’)との間に、ブロック(b22)が位置したブロック共重合体を調製する工程(c-1)と、工程(c-1)で調製されたブロック共重合体に、極性基を有する有機基を含む化合物を反応させる工程(c-2)とを行うことにより、第1ブロックとブロック(b22)とが結合したブロック共重合前駆体を調製することもできる。この場合、工程(c-1)において、前記ブロック共重合前駆体に前記単量体(m21’)を付加重合させる際の反応温度を、前記工程(b)で前記第1ブロックにシロキサン又は前記単量体(m222)を付加重合させる際の反応温度に比べて低い温度に設定する。
【0099】
【化22】
[式中、RP211’は、反応性基を含む有機基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。RP212’は、反応性基を含む有機基である。]
【0100】
(工程(c-1))
工程(c-1)では、前記工程(b)で調製されたブロック共重合前駆体に、下記一般式(u2-1’)で表される構成単位(u21’)を誘導する単量体(m21’)を付加重合させて、第1ブロックとブロック(b21’)との間に、ブロック(b22)が位置したブロック共重合体を調製する。
【0101】
前記一般式(u2-1’)中、RP211’は、反応性基を含む有機基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子である。
「反応性基を含む有機基」は、反応性基自体も包含する。
反応性基とは、化学反応によって他の部位と反応することができる基を意味する。
反応性基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、オキシラニル基、オキセタニル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、チアシクロプロピル基、スルファニル基、イソシアナト基、アミノ基及びウレイド基が挙げられる。なかでも、反応性基としては、ビニル基、アリル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。
P211’における有機基としては特に限定されないが、例えば前記一般式(u2-1)中のRP211’における置換基を有していてもよい1価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
P211’のアルキル基又はハロゲン化アルキル基としては、前記一般式(u2-1)中のRP211のアルキル基又はハロゲン化アルキル基と同様である。
なかでも、RP211’としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又は水素原子好ましく、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基又は水素原子好ましく、メチル基又は水素原子が最も好ましい。
【0102】
前記一般式(u2-1’)中、RP212’は、反応性基を含む有機基である。
P212’の反応性基を含む有機基は、前記RP211’の反応性基を含む有機基と同様のものが挙げられる。
なかでも、RP212’としては、ビニル基、ビニル基を有する有機基、アリル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0103】
工程(c-1)において、前記ブロック共重合前駆体に前記単量体(m21’)を付加重合させる際の反応温度を、前記工程(b)で前記第1ブロックにシロキサン又は前記単量体(m222)を付加重合させる際の反応温度に比べて低い温度に設定する。これにより、工程(b)の後に残留したシロキサン又は前記単量体(m22)が反応するのに優先して前記単量体(m21’)の付加重合反応を進めることができる。その結果、第1ブロックとブロック(b21’)との間にブロック(b22)が位置したブロック共重合体を調製することができる。
【0104】
(工程(c-2))
工程(c-2)では、工程(c-1)で調製されたブロック共重合体に、極性基を有する有機基を含む化合物を反応させる。これにより、ブロック(b21’)の構成単位(u21’)において、RP211’又はRP212’の反応性基を含む有機基に極性基が導入され、第1ブロックとブロック(b22)とが結合したブロック共重合前駆体を調製することができる。
極性基を有する有機基を含む化合物としては、前記一般式(u2-1)中のRP211又はRP212の極性基を有する有機基を含む化合物であれば特に限定されない。例えば、チオール基と極性基を有する有機基とを有する化合物を用いた場合、エン・チオール反応により、RP211’又はRP212’の反応性基を含む有機基に極性基が導入することができる。
【0105】
≪相分離構造を含む構造体の形成方法≫
本実施形態のブロック共重合体を用いた相分離構造を含む構造体の形成方法について説明する。
相分離構造を含む構造体の製造方法は、基板上に、本実施形態のブロック共重合体を含む層を形成する工程(i)と、当該ブロック共重合体を含む層を相分離させる工程(ii)と、を有する。
本実施形態の相分離構造を含む構造体の製造方法においては、前記工程(i)の前に、下地剤を塗布し、下地剤層を形成する工程(以下、「下地剤層形成工程」)を有することが好ましい。
以下、かかる相分離構造を含む構造体の製造方法について、図1を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0106】
図1は、相分離構造を含む構造体の製造方法の一実施形態例を示す。
まず、基板1上に下地剤を塗布して、下地剤層2を形成する(図1(I))。
次に、下地剤層2上に、上述した本実施形態のブロック共重合体を塗布して、ブロック共重合体を含む層(BCP層)3を形成する(図1(II);以上、工程(i))。
次に、加熱してアニール処理を行い、BCP層3を、相3aと相3bとに相分離させる(図1(III);工程(ii))。
かかる本実施形態の製造方法、すなわち、工程(i)及び工程(ii)を有する製造方法によれば、下地剤層2が形成された基板1上に、相分離構造を含む構造体3’が製造される。
【0107】
[工程(i)]
工程(i)では、基板1上に、ブロック共重合体を用いて、BCP層3を形成する。
【0108】
基板は、その表面上にブロック共重合体を塗布し得るものであれば、その種類は特に限定されない。
基板としては、例えば、シリコン、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属からなる基板、ガラス、酸化チタン、シリカ、マイカ等の無機物からなる基板、アクリル板、ポリスチレン、セルロース、セルロースアセテート、フェノール樹脂等の有機化合物からなる基板などが挙げられる。
基板の大きさや形状は、特に限定されるものではない。基板は必ずしも平滑な表面を有する必要はなく、様々な材質や形状の基板を適宜選択することができる。例えば、曲面を有する基板、表面が凹凸形状の平板、薄片状などの様々な形状のものを多様に用いることができる。
基板の表面には、無機系および/または有機系の膜が設けられていてもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
【0109】
基板1にBCP層3を形成する前に、基板1の表面を洗浄してもよい。基板の表面を洗浄することにより、相分離構造形成用樹脂組成物又は下地剤の基板1への塗布を、より良好に行うことができる。
洗浄処理としては、従来公知の方法を利用でき、例えば酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理、オゾン酸化処理、酸アルカリ処理、化学修飾処理等が挙げられる。例えば、基板を硫酸/過酸化水素水溶液等の酸溶液に浸漬させた後、水洗し、乾燥させる。その後、当該基板の表面に、BCP層3又は下地剤層2を形成する。
【0110】
BCP層3を形成する前に、基板1を中性化処理することが好ましい。
中性化処理とは、基板表面を、ブロック共重合体を構成するいずれのポリマーとも親和性を有するように改変する処理をいう。中性化処理を行うことにより、相分離によって特定のポリマーからなる相のみが基板表面に接することを抑制することができる。例えば、BCP層3を形成する前に、基板1表面に、用いるブロック共重合体の種類に応じた下地剤層2を形成しておくことが好ましい。これに伴い、BCP層3の相分離によって、基板1表面に対して垂直方向に配向したシリンダー状又はラメラ状の相分離構造が形成しやすくなる。
【0111】
具体的には、基板1表面に、ブロック共重合体を構成するいずれのポリマーとも親和性を有する下地剤を用いて下地剤層2を形成する。
下地剤には、ブロック共重合体を構成するポリマーの種類に応じて、薄膜形成に用いられる従来公知の樹脂組成物を適宜選択して用いることができる。
かかる下地剤としては、例えば、ブロック共重合体を構成する各ポリマーの構成単位をいずれも有する樹脂を含有する組成物や、ブロック共重合体を構成する各ポリマーと親和性の高い構成単位をいずれも有する樹脂を含有する組成物等が挙げられる。
例えば、PS-PMMAブロック共重合体を用いる場合、下地剤としては、PSとPMMAとの両方を含む樹脂組成物や、芳香環等と親和性が高い部位と、極性の高い官能基等と親和性の高い部位と、の両方を含む化合物又は組成物を用いることが好ましい。
PSとPMMAとの両方を含む樹脂組成物としては、例えば、PSとPMMAとのランダムコポリマー、PSとPMMAとの交互ポリマー(各モノマーが交互に共重合しているもの)等が挙げられる。
【0112】
また、PSと親和性が高い部位と、PMMAと親和性の高い部位と、の両方を含む組成物としては、例えば、モノマーとして、少なくとも、芳香環を有するモノマーと極性の高い置換基を有するモノマーとを重合させて得られる樹脂組成物が挙げられる。芳香環を有するモノマーとしては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基を有するモノマー、又はこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基を有するモノマーが挙げられる。また、極性の高い置換基を有するモノマーとしては、カルボキシ基、水酸基、シアノ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等を有するモノマーが挙げられる。
また、下地剤としては、例えば、熱重合性樹脂組成物、ポジ型レジスト組成物やネガ型レジスト組成物等の感光性樹脂組成物も挙げられる。
【0113】
これらの下地剤層は、常法により形成することができる。
下地剤を基板1上に塗布して下地剤層2を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により形成できる。
たとえば、下地剤を、スピンコート又はスピンナーを用いる等の従来公知の方法により基板1上に塗布して塗膜を形成し、乾燥させることにより、下地剤層2を形成できる。
塗膜の乾燥方法としては、下地剤に含まれる溶媒を揮発させることができればよく、さらに基板上に固定化できればよく、たとえばベークする方法等が挙げられる。この際、ベーク温度は、80~300℃が好ましく、90~270℃がより好ましく、100~250℃がさらに好ましい。ベーク時間は、30~500秒間が好ましく、30~250秒間がより好ましい。
塗膜の乾燥後における下地剤層2の厚さは、3~100nm程度が好ましく、5~50nm程度がより好ましい。
【0114】
次いで、下地剤層2の上に、複数種類のブロックが結合したブロック共重合体を含む層(BCP層)3を形成する。
下地剤層2の上にBCP層3を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えばスピンコート又はスピンナーを用いる等の従来公知の方法により、下地剤層2上に樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させる方法が挙げられる。
【0115】
樹脂組成物の塗膜の乾燥方法としては、例えば60~150℃が好ましく、80~130℃がより好ましく、ベーク時間は、例えば10~3000秒間が好ましく、20~120秒間がより好ましい。
【0116】
BCP層3の厚さは、相分離が起こるために充分な厚さであればよく、基板1の種類、又は、形成される相分離構造の構造周期サイズもしくはナノ構造体の均一性等を考慮すると、10~100nmが好ましく、15~80nmがより好ましい。
【0117】
[工程(ii)]
工程(ii)では、基板1上に形成された、ブロック共重合体を含む層3を相分離させる。
工程(i)後の基板1を加熱してアニール処理を行うことにより、ブロック共重合体の選択除去によって、基板1表面の少なくとも一部が露出するような相分離構造が形成する。すなわち、基板1上に、相3aと相3bとに相分離した相分離構造を含む構造体3’が製造される。
アニール処理の温度条件は、用いるブロック共重合体のガラス転移温度以上であり、かつ、熱分解温度未満で行うことが好ましい。例えば、本実施形態のブロック共重合体を用いる場合は40~350℃が好ましく、50~300℃がより好ましく、70~120℃が特に好ましい。加熱時間は、30~3600秒間が好ましく、120~600秒間がより好ましい。
また、アニール処理は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
【0118】
以上説明した本実施形態の、相分離構造を含む構造体の製造方法によれば、ブロック共重合体の相分離性能が高められ、既存のリソグラフィー技術に比べて、より微細な構造体を良好な形状で形成できる。
加えて、基板表面に、位置及び配向性がより自在にデザインされたナノ構造体を備える基板を製造し得る。例えば、形成される構造体は、基板との親和性を適切に制御することで、基板表面に対して垂直方向に配向したシリンダー状又はラメラ状の相分離構造をとりやすい。
【0119】
[任意工程]
本発明の第2の態様に係る、相分離構造を含む構造体の製造方法は、上述した実施形態に限定されず、工程(i)~(ii)以外の工程(任意工程)を有してもよい。
かかる任意工程としては、BCP層3のうち、前記ブロック共重合体を構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去する工程(以下「工程(iii)」という。)、ガイドパターン形成工程等が挙げられる。
【0120】
・工程(iii)について
工程(iii)では、下地剤層2の上に形成されたBCP層3のうち、前記ブロック共重合体を構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相(相3a、相3b)を選択的に除去する。これにより、微細なパターン(高分子ナノ構造体)が形成される。
【0121】
ブロックからなる相を選択的に除去する方法としては、BCP層に対して酸素プラズマ処理を行う方法、水素プラズマ処理を行う方法等が挙げられる。
尚、以下において、ブロック共重合体を構成するブロックのうち、選択的に除去されないブロックをPブロック、選択的に除去されるブロックをPブロックという。例えば、本実施形態のブロック共重合体を含む層を相分離した後、該層に対して酸素プラズマ処理や水素プラズマ処理等を行うことにより、第2ブロックからなる相が選択的に除去される。この場合、第1ブロック部分がPブロックであり、第2ブロック部分がPブロックである。
【0122】
図2は、工程(iii)の一実施形態例を示す。
図2に示す実施形態においては、工程(ii)で基板1上に製造された構造体3’に、酸素プラズマ処理を行うことによって、相3aが選択的に除去され、離間した相3bからなるパターン(高分子ナノ構造体)が形成されている。この場合、相3bがPブロックからなる相であり、相3aがPブロックからなる相である。
【0123】
上記のようにして、BCP層3の相分離によってパターンが形成された基板1は、そのまま使用することもできるが、さらに加熱することにより、基板1上のパターン(高分子ナノ構造体)の形状を変更することもできる。
加熱の温度条件は、用いるブロック共重合体のガラス転移温度以上であり、かつ、熱分解温度未満が好ましい。また、加熱は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
【0124】
・ガイドパターン形成工程について
本発明の第2の態様に係る、相分離構造を含む構造体の製造方法においては、下地剤層上にガイドパターンを設ける工程(ガイドパターン形成工程)を有してもよい。これにより、相分離構造の配列構造制御が可能となる。
例えば、ガイドパターンを設けない場合に、ランダムな指紋状の相分離構造が形成されるブロック共重合体であっても、下地剤層表面にレジスト膜の溝構造を設けることにより、その溝に沿って配向した相分離構造が得られる。このような原理で、下地剤層2上にガイドパターンを設けてもよい。また、ガイドパターンの表面が、ブロック共重合体を構成するいずれかのポリマーとも親和性を有することにより、基板表面に対して垂直方向に配向したシリンダー状又はラメラ状の相分離構造が形成しやすくなる。
【0125】
ガイドパターンは、例えばレジスト組成物を用いて形成できる。
ガイドパターンを形成するレジスト組成物は、一般的にレジストパターンの形成に用いられるレジスト組成物やその改変物の中から、ブロック共重合体を構成するいずれかのポリマーと親和性を有するものを適宜選択して用いることができる。該レジスト組成物としては、レジスト膜露光部が溶解除去されるポジ型パターンを形成するポジ型レジスト組成物、レジスト膜未露光部が溶解除去されるネガ型パターンを形成するネガ型レジスト組成物のいずれであってもよいが、ネガ型レジスト組成物であることが好ましい。ネガ型レジスト組成物としては、例えば、酸発生剤成分と、酸の作用により有機溶剤を含有する現像液への溶解性が酸の作用により減少する基材成分とを含有し、該基材成分が、酸の作用により分解して極性が増大する構成単位を有する樹脂成分、を含有するレジスト組成物が好ましい。
ガイドパターンが形成された下地剤層上に樹脂組成物が流し込まれた後、相分離を起こすためにアニール処理が行われる。このため、ガイドパターンを形成するレジスト組成物としては、耐溶剤性及び耐熱性に優れたレジスト膜を形成し得るものであることが好ましい。
【実施例
【0126】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0127】
[合成例1:PS-b-PDMS-b-PMVSの合成]
Ar雰囲気下でTHF10mlを反応容器に仕込み、-78℃に冷却する。所定量のSecBuLi(ヘキサン・シクロヘキサン混合溶液)とスチレン0.40gを添加後、-78℃のまま30分撹拌を行った。その後、ヘキサメチルシクロトリシロキサン0.40gを添加した後、液温を20℃に変更し、48時間撹拌を行った。その後、液温を-20℃に変更した後、トリメチルトリビニルシクロトリシロキサン0.40gを添加し、さらに48時間撹拌を行った後、トリメチルシリルクロリド0.20gを添加し、反応溶液をメタノール200mlに注ぎ、析出した固体を濾過にて回収した。回収した固体を乾燥し、PS-b-PDMS-b-PMVS(以下、「ブロック共重合体(1’)」)0.60gを得た。得られたブロック共重合体(1’)のMnは15000、PDIは1.10(GPC換算)、得られたポリマーの繰り返しユニットの比は、スチレン:ジメチルシロキサン:メチルビニルシロキサン(n:l:m)=60:15:25(mol比)(H-NMR)であった。
【0128】
【化23】
【0129】
[合成例2]
合成例1と同様にして、PS-b-PDMS-b-PMVS(以下、「ブロック共重合体(2’)」)を合成した。
得られたブロック共重合体(2’)のMnは18800、PDIは1.23(GPC換算)、得られたポリマーの繰り返しユニットの比は、スチレン:ジメチルシロキサン:メチルビニルシロキサン(n:l:m)=52:18:30(mol比)(H-NMR)であった。
【0130】
【化24】
【0131】
[合成例3]
合成例1と同様にして、PS-b-PDMS-b-PMVS(以下、「ブロック共重合体(3’)」)を合成した。
得られたブロック共重合体(3’)のMnは25100、PDIは1.22(GPC換算)、得られたポリマーの繰り返しユニットの比は、スチレン:ジメチルシロキサン:メチルビニルシロキサン(n:l:m)=46:35:19(mol比)(H-NMR)であった。
【0132】
【化25】
【0133】
[実施例1:PS-b-PDMS-b-PMHxOHSの合成]
ブロック共重合体(1’)0.10gとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.007gと6-メルカプト-1-ヘキサノール0.54gとTHF0.8mlを反応容器に仕込み、Ar置換を行った後、凍結脱気を3回行った。65℃で4時間撹拌を行った後、アイスバス及び液体窒素で速やかに冷却し、反応溶液を純水100mlに注ぎ、析出した固体を濾過にて回収した。純水への再沈殿操作を3回繰り返し行った。回収した固体を乾燥し、PS-b-PDMS-b-PMHxOHS(下記構造式で表される、スチレンのブロックとジメチルシロキサンのブロックとシロキサン誘導体Aのブロックからなるブロック共重合体。以下、「ブロック共重合体(1)」)0.11gを得た。得られたブロック共重合体(1)のMnは13400、PDIは1.12(GPC換算)、スチレン:ジメチルシロキサン:シロキサン誘導体A=60:15:25(mol比)(H-NMR)であった。
【0134】
【化26】
【0135】
[実施例2]
ブロック共重合体(2’)0.10gとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.009gと3-メルカプト-1-プロパノール0.45gとTHF0.8mlを反応容器に仕込み、Ar置換を行った後、凍結脱気を3回行った。65℃で4時間撹拌を行った後、アイスバス及び液体窒素で速やかに冷却し、反応溶液を純水100mlに注ぎ、析出した固体を濾過にて回収した。純水への再沈殿操作を3回繰り返し行った。回収した固体を乾燥し、下記構造式で表される、スチレンのブロックとジメチルシロキサンのブロックとシロキサン誘導体Bのブロックからなるブロック共重合体。以下、「ブロック共重合体(2)」)1.1gを得た。得られたブロック共重合体(2)のMnは16100、PDIは1.16(GPC換算)、スチレン:ジメチルシロキサン:シロキサン誘導体B=52:18:30(mol比)(H-NMR)であった。
【0136】
【化27】
【0137】
[実施例3]
ブロック共重合体(3’)0.10gとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.006gと3-メルカプト-1-プロパノール0.29gとTHF0.8mlを反応容器に仕込み、Ar置換を行った後、凍結脱気を3回行った。65℃で4時間撹拌を行った後、アイスバス及び液体窒素で速やかに冷却し、反応溶液を純水100mlに注ぎ、析出した固体を濾過にて回収した。純水への再沈殿操作を3回繰り返し行った。回収した固体を乾燥し、下記構造式で表される、スチレンのブロックとジメチルシロキサンのブロックとシロキサン誘導体Bのブロックからなるブロック共重合体。以下、「ブロック共重合体(3)」)1.1gを得た。得られたブロック共重合体(3)のMnは21800、PDIは1.17(GPC換算)、スチレン:ジメチルシロキサン:シロキサン誘導体B=46:35:19(mol比)(H-NMR)であった。
【0138】
【化28】
【0139】
[実施例4:相分離構造の形成]
8インチのシリコンウェーハ上に、下地剤として、PGMEAを用いて1.0質量%の濃度に調整した樹脂組成物(メタクリル酸メチル/メタクリル酸=95/5からなるMw43400、Mw/Mn1.77の共重合体)を、スピンナーを用いて塗布し、200℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚20nmの下地剤層を基板上に形成した。
次いで、下地剤層の基板密着部以外の部分を溶剤(PGMEA)で除去し、下地剤層上にブロック共重合体(1)の溶液(溶媒;PGMEA)をスピンコート(回転数7500rpm、60秒)した。
ブロック共重合体(1)を含む層(以下、「相分離構造形成用樹脂組成物層」と記載する)の塗布膜厚は、16~20nmとした。
相分離構造形成用樹脂組成物が塗布された基板を、減圧雰囲気下、130℃で12時間加熱させてアニールすることにより、相分離構造を形成させた。
その後、ブロックの選択的除去処理を行い、ラインアンドスペースパターンを形成した。
【0140】
<垂直配向性の評価>
実施例1において形成されたパターンをの表面を走査型電子顕微鏡SU8000(日立ハイテクノロジーズ社製)で観察し、以下の評価基準に従って垂直配向性を評価した。その結果を表1に示す。
○:基板に垂直な相分離構造が確認された。
×:基板に垂直な相分離構造が確認できなかった。
【0141】
<ラフネスの評価>
ブロック共重合体溶液より減圧下で溶媒を除去し、さらに真空下で110℃で24時間加熱を行うことでフィルム状のサンプルを得た。酸化ルテニウムによる染色処理を行った後、TEMによる観察を行し、以下の基準に従ってラフネスを評価した。
○:ライン同士がつながってしまうブリッジが観察されなかった。
×:ブリッジが観察された。
【0142】
[実施例5、6]
ブロック共重合体(1)の代わりに、ブロック共重合体(2)又はブロック共重合体(3)を用いたこと以外は、実施例4と同様に相分離構造を形成させた。その後、ブロックの選択的除去処理を行い、ライン&スペースパターンを形成した。形成されたパターンについて、実施例4と同様にして垂直配向性及びラフネスを評価した。その結果を表1に示す。
【0143】
[比較例1~3]
ブロック共重合体(1)の代わりに、下記に示すブロック共重合体(4)、(1’)又は(5)を用いたこと以外は、実施例4と同様に相分離構造を形成させた。その後、ブロックの選択的除去処理を行い、ライン&スペースパターンを形成した。形成されたパターンについて、実施例4と同様にして垂直配向性及びラフネスを評価した。その結果を表1に示す。
【0144】
【化29】
【0145】
【表1】
表1に示す結果から、本発明を適用した実施例1~3のブロック共重合体垂直配向性が良好で、かつ、ラフネスも改善されていることが確認された。
図1
図2