(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】冷凍喫食用焼成食品
(51)【国際特許分類】
A21D 13/00 20170101AFI20220523BHJP
A21D 13/32 20170101ALI20220523BHJP
A21D 15/02 20060101ALI20220523BHJP
A23L 3/36 20060101ALI20220523BHJP
A21D 8/02 20060101ALI20220523BHJP
A23G 9/46 20060101ALI20220523BHJP
A23G 9/48 20060101ALI20220523BHJP
A21D 13/44 20170101ALN20220523BHJP
A21D 13/50 20170101ALN20220523BHJP
【FI】
A21D13/00
A21D13/32
A21D15/02
A23L3/36 A
A21D8/02
A23G9/46
A23G9/48
A21D13/44
A21D13/50
(21)【出願番号】P 2021153676
(22)【出願日】2021-09-21
【審査請求日】2021-09-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】飯原 美穂
(72)【発明者】
【氏名】溝田 年伸
(72)【発明者】
【氏名】平生 智子
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/188694(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/058956(WO,A1)
【文献】特開昭58-086035(JP,A)
【文献】特開2019-154439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D
A23G
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粉を含み、気泡を含有する、冷凍喫食用焼成食品であって、
水分が11.0質量%以上32.5質量%以下であり、かつ、
比重が0.23g/cm
3以上0.36g/cm
3以下であ
り、
冷凍喫食用焼成食品の中央断面で観察される、1mm
2
当たりの気泡の数が、0.29個以上1.30個以下である、冷凍喫食用焼成食品。
【請求項2】
冷凍喫食用焼成食品の中央断面で観察される気泡の面積の割合が、37%以上62%以下である、
請求項1に記載の冷凍喫食用焼成食品。
【請求項3】
冷凍喫食用焼成食品の中央断面で観察される気泡膜の厚さが、0.25mm以上0.46mm以下である、
請求項1
又は2に記載の冷凍喫食用焼成食品。
【請求項4】
冷凍喫食用焼成食品の中央断面で観察される全気泡のうち、長径が1mm以上3mm以
下である気泡の割合が、57%以上92%以下である、
請求項1~
3の何れか一項に記載の冷凍喫食用焼成食品。
【請求項5】
冷凍喫食用焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率が、0.6以上5.6以下である、
請求項1~
4の何れか一項に記載の冷凍喫食用焼成食品。
【請求項6】
冷凍状態である、請求項1~
5の何れか一項に記載の冷凍喫食用焼成食品。
【請求項7】
請求項1~
6の何れか一項に記載の冷凍喫食用焼成食品と、クリーム、カスタードクリーム、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓、フローズンヨーグルト、ゼリー、杏仁豆腐、ムース、ババロア、プリン、ようかん、チョコレート、キャラメル、ジャム、あん、及びソースから選ばれる少なくとも一種のトッピング食材とを含む、冷凍喫食用複合食品。
【請求項8】
前記トッピング食材の水分が、30質量%以上70質量%以下である、
請求項
7に記載の冷凍喫食用複合食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍喫食用焼成食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、冷凍状態で喫食可能な、スポンジ菓子等の焼成食品が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、冷凍温度まで冷却後に食する焼成食品において、ヒドロキシプロピル基を有する加工澱粉を加えて焼成したことを特徴とする焼成食品が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、生地全体中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して、-10℃のSFCが20~75%、20℃のSFCが3~20%である油脂150~300重量部、HLBが11以上の乳化剤0.2~6.0重量部(乾燥重量)、単糖及び/又は二糖80~200重量部(乾燥重量)、全卵30~60重量部(乾燥重量)含有し、生地全体中の水分が20~35重量%、グルテンが1.7重量%以下である冷凍向けスポンジ菓子用生地が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-51159号公報
【文献】特開2020-25490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、冷凍状態における食感が良好な、冷凍喫食用焼成食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、焼成食品中の水分と、比重を調整することによって、冷凍状態での食感が良好な冷凍喫食用焼成食品が得られることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、穀粉を含み、気泡を含有する、冷凍喫食用焼成食品であって、水分が11.0質量%以上32.5質量%以下であり、かつ、比重が0.23g/cm3以上0.36g/cm3以下である、冷凍喫食用焼成食品である。
上記特徴を有する冷凍喫食用焼成食品は、冷凍状態での食感が良好である。
【0009】
また、本発明の好ましい形態では、冷凍喫食用焼成食品の中央断面で観察される気泡の面積の割合が、37%以上62%以下である。
【0010】
また、本発明の好ましい形態では、冷凍喫食用焼成食品の中央断面で観察される、1mm2当たりの気泡の数が、0.29個以上1.30個以下である。
【0011】
また、本発明の好ましい形態では、冷凍喫食用焼成食品の中央断面で観察される気泡膜の厚さが、0.25mm以上0.46mm以下である。
【0012】
また、本発明の好ましい形態では、冷凍喫食用焼成食品の中央断面で観察される全気泡のうち、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合が、57%以上92%以下である。
【0013】
また、本発明の好ましい形態では、冷凍喫食用焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率が、0.6以上5.6以下である。
【0014】
また、本発明の好ましい形態では、冷凍喫食用焼成食品は、冷凍状態である。
【0015】
また、本発明は、前記本発明の冷凍喫食用焼成食品と、クリーム、カスタードクリーム、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓、フローズンヨーグルト、ゼリー、杏仁豆腐、ムース、ババロア、プリン、ようかん、チョコレート、キャラメル、ジャム、あん、及びソースから選ばれる少なくとも一種のトッピング食材とを含む、冷凍喫食用複合食品でもある。
【0016】
また、本発明の好ましい形態では、トッピング食材の水分が、30質量%以上70質量%以下である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る冷凍喫食用焼成食品は、冷凍状態での食感が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、特許請求の範囲に記載された範囲内において適宜変更が可能である。
【0020】
[冷凍喫食用焼成食品]
本明細書において、「冷凍喫食用」とは、消費者に冷凍状態で喫食させることを前提とする製品をさす。すなわち、本発明に係る焼成食品は、冷凍した後、解凍せずに食することを目的とする製品である。
ここで、「解凍せずに食する」とは、好ましくは、消費者が冷菓を食する際にとる行動に準ずるものであり、冷凍庫から取り出して、好ましくは30分以内、より好ましくは15分以内、さらに好ましくは10分以内に食することを意味する。
また、「冷凍喫食用」とは、その包装、又は広告等に、冷凍状態で喫食することを示唆、誘導する表示をするものを含む。当該表示には、「冷凍庫から取り出してすぐ」、「冷凍のまま」、「冷菓(アイス)感覚」のような表示のほか、解凍することを許容するとしても、冷凍のままでも食することを示唆、誘導する表示を含む。
また、本発明に係る冷凍喫食用焼成食品は、冷凍状態で流通、及び保管されるもののほか、チルド、冷蔵、常温で流通、保管され、店舗や家庭において、冷凍されるものも含む。
【0021】
本発明は、焼成食品である。焼成食品の例として、カップケーキ、フィナンシェ、カステラ、スポンジケーキ、シフォンケーキ、ドーナッツ、ホットケーキ、ブッセ、マドレーヌ、マフィンが挙げられる。
【0022】
[焼成食品の原料]
本発明に係る冷凍喫食用焼成食品(以下、単に「焼成食品」という。)には、穀粉を含み気泡を含有する焼成食品に通常用いられる原料を用いることができる。
【0023】
本発明に係る冷凍喫食用焼成食品は、穀粉を含有する。穀粉として、公知の原料を適宜使用することができる。例えばイネ科穀物、豆類、擬穀類、芋類、根菜、木の実等から得られる穀粉原料を使用することができる。より具体的な穀粉として、例えば小麦、米、大麦、ライ麦、トウモロコシ、ひえ、大豆、そば、タピオカ、ジャガイモ、栗等を加工して得られる穀粉を挙げることができる。これらは一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの穀粉の中で、小麦粉が特に好ましい。
原料における穀粉の含有量は、通常、10~30質量%程度、好ましくは15~25質量%である。
【0024】
本発明に係る焼成食品は、原料として油脂を含むことが好ましい。
油脂としては、例えば植物油、動物油、魚油等が挙げられるが、特に植物油を好ましく用いることができる。
より具体的には、大豆油、サフラワー(菜種)油、ひまわり油、パーム油、ココナッツ油、ごま油、亜麻仁油、ひまし油、オリーブ油、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、グレープシード油、椿油、米胚芽油、小麦胚芽油、中鎖脂肪酸油(MCT)、スクワレン、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、乳脂(バター)、硬化油、ラード、各種バター等が挙げられる。
より好ましくは、常温(25℃)で液体またはペースト状の植物油を好ましく用いることができ、特に好ましくは、大豆油、サフラワー(菜種)油、ひまわり油、パーム油、ココナッツ油、ごま油、亜麻仁油、ひまし油、オリーブ油、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、グレープシード油、椿油、米胚芽油、小麦胚芽油が挙げられる。
原料における油脂の含有量は、通常、4~45質量%程度、好ましくは10~30質量%であり、さらに好ましくは12~25質量%である。
【0025】
本発明に係る焼成食品は、卵を含むことが好ましく、特に鶏卵を好ましく用いることができる。また、全卵を用いることが好ましい。
原料における卵の含有量は、通常、20~50質量%程度、好ましくは30~45質量%である。
【0026】
本発明に係る焼成食品は、原料として甘味料を含むことが好ましい。
甘味料の具体例としては、例えば砂糖、還元水あめ、トレハロース、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、オリゴ糖、ショ糖、蜂蜜、水飴、ブドウ糖果糖液糖、マルチトール、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、高甘度甘味料等が挙げられる。中でも、砂糖、トレハロース、還元水あめを用いることが好ましい。
砂糖の含有量は、通常、12~30質量%程度、好ましくは15~24質量%である。
トレハロースの含有量は、通常、5~15質量%程度、好ましくは8~10質量%である。
還元水あめの含有量は、通常、5~10質量%程度、好ましくは8~12質量%である。
高甘度甘味料として、例えば、アスパルテーム、アセスルファムKを用いることができる。高甘度甘味料の含有量は、通常、0.01~0.30質量%程度、好ましくは0.02~0.20質量%である。
【0027】
本発明に係る焼成食品は、原料として膨張剤を含むことが好ましい。
膨張剤の具体例としては、ベーキングパウダー、重曹、炭酸水素アンモニウム、イースト等が挙げられるが、ペーキングパウダーを特に好ましく用いることができる。
原料における膨張剤の含有量は、通常、0.1質量%以上3.0質量%以下程度、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以上0.4質量%以下である。
【0028】
また、原材料における油脂の質量に対する全卵の質量の比率は、好ましくは5~9倍、好ましくは6~8倍である。
【0029】
本発明に係る焼成食品は、必要に応じて、焼成食品に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない範囲内において、その他の添加剤を含有してもよい。
その他の添加剤としては、例えば、加工デンプン、乳化剤、乳、乳製品、調味料、野菜、増粘安定剤、香料、酸化防止剤、着色料等が挙げられる。これらの添加剤は、一種類のみで使用してもよいし、二種類を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
本発明に係る焼成食品は、原料として加工デンプンを含むことが好ましい。
加工デンプンの原料デンプンとしては、公知の原料を適宜採用することができる。例えばタピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米デンプン、甘藷デンプン、小麦デンプン、サゴデンプン、マメデンプン等が挙げられる。これらは一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらの原料デンプンの中で、タピオカデンプンが食感により優れる観点から好ましい。
【0031】
加工デンプンとしては、酢酸デンプン、リン酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム等のエステル化デンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン等のエステル化架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム等のエーテル化デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン等のエーテル化・エステル化・架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン等のエステル化・酸化デンプン、酸化デンプン、2つ以上の加工を行ったデンプンが挙げられる。
原料における加工デンプンの含有量は、通常、2~6質量%程度、好ましくは3~5質量%である。
【0032】
乳化剤の具体例としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート、レシチン等が挙げられるが、特にグリセリン脂肪酸エステルを好ましく用いることができる。グリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、例えばポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセライド、有機酸モノグリセライド、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは一種類のみであってもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、乳化剤は、乳化油脂の形態で用いてもよい。乳化油脂とは、油脂及び乳化剤を、糖類、水等の混合物中に分散させたものである。
原料における乳化剤の含有量は通常、0.5~4.0質量%程度、好ましくは0.5~2.5質量%である。
【0033】
乳としては、牛乳が挙げられる。また、乳製品として、脱粉乳、全粉乳、濃縮ホエイ、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、チーズが挙げられる。
乳、及び乳製品の含有量は、乳固形分として通常、0.5~7.0質量%程度、好ましくは1.0~5.0質量%である。
【0034】
調味料の具体例としては、例えば食塩、各種アミノ酸、醤油、味噌、ソース、酢、みりん、ケチャップ、マヨネーズ、カレー粉等が挙げられる。
【0035】
野菜の具体例としては、タマネギ、トマト、ホウレンソウ、ブロッコリー、カボチャ、ニンジン等が挙げられる。
また、野菜を乾燥させた、乾燥野菜を用いることもできる。
【0036】
[焼成食品の水分]
本発明に係る焼成食品の水分は、11.0質量%以上32.5質量%以下である。
本発明に係る焼成食品の水分は、より好ましくは16.0質量%以上、さらに好ましくは23.0質量%以上である。また、本発明に係る焼成食品の水分は、より好ましくは32.0質量%以下、さらに好ましくは27.0質量%以下である。
また、好ましくは、本発明に係る焼成食品の水分は、冷凍状態において、上記範囲内にある。
ここで、冷凍状態とは、-18℃以下で少なくとも120分以上冷凍された状態、及び組織の全部又は一部が当該状態を概ね維持している状態をいう。より具体的には、前記冷凍後に、冷凍庫から25℃の室温に取り出して、10分以内又は5分以内の状態をいう(以下、本明細書における各数値の定義において同じ)。
【0037】
焼成食品の水分は、減圧乾燥法にて測定することができる。
具体的には、焼成食品を減圧乾燥器内に入れ、70℃で10hPaに減圧し、300分間乾燥させ、水分を除去し、減圧乾燥前後の質量から、焼成食品の水分(質量%)を測定する。
測定時は、サンプルの表面積を増やすため、焼成食品を切り刻んでから測定をすることが好ましい。また、切り刻んだ焼成食品と海砂とを混合して測定することが好ましい。
なお、水分の測定は、冷凍状態で測定を開始することが好ましい。具体的には、冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内に測定を開始することが好ましい。
冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、上記の時間内の何れかの時点に測定を開始すれば、冷凍状態における水分を測定することができる。
【0038】
焼成食品の水分は、焼成時間、焼成温度、焼成前の生地の水分の含有量等を調整することによって調整することができる。
【0039】
焼成時間を長くすると、焼成食品の水分は減少する傾向にあり、焼成時間を短くすると、焼成食品の水分は増加する傾向にある。
焼成時間を、好ましくは8~22分、より好ましくは9~20分の範囲内で調整することで、焼成食品の水分を上記範囲内にすることができる。
【0040】
焼成温度を高くすると、焼成食品の水分は減少する傾向にあり、焼成温度を低くすると、焼成食品の水分の含有量は増加する傾向にある。
焼成温度を、好ましくは140~210℃の範囲内で調整することで、焼成食品の水分を上記範囲内にすることができる。
【0041】
焼成前の生地の水分を多くすると、焼成食品の水分は増加する傾向にあり、焼成前の生地の水分を少なくすると、焼成食品の水分は減少する傾向にある。
焼成前の生地の水分は、原料として入れる水や、卵等の水分を含む原料の量によって調整することができる。
ここで、焼成前の生地と、焼成後の焼成食品の水分を比較すると、焼成によって、水分が2~18質量%程度減少する。焼成前の生地の水分を13~40質量%の範囲内で調整することで、焼成食品の水分を上記範囲内にすることができる。
【0042】
[焼成食品の比重]
本発明に係る焼成食品の比重は、0.23g/cm3以上0.36g/cm3以下である。
本発明に係る焼成食品の比重は、より好ましくは0.25g/cm3以上、0.27g/cm3以上である。また、本発明に係る焼成食品の比重は、より好ましくは0.33g/cm3以下、0.31g/cm3以下である。
また、好ましくは、本発明に係る焼成食品の水分は、冷凍状態において、上記範囲内にある。
【0043】
焼成食品の比重は、焼成食品の重さを焼成食品の容積で割ることで測定することができる。
簡易的な測定方法として、焼成食品の複数個所を、円柱形、角柱形など、容積を測定しやすい形で抜き取り、抜き取った部分の重さと容積を測定することで、比重を算出することができる。
より具体的には、まず、焼成食品の2か所から、直径3cmの型抜きで円柱形を抜き取り、それぞれの重さを測定する。次に、抜き取った部分の高さと底面積から容積を算出する。抜き取った部分の重さの合計を、抜き取った部分の容積の合計で割ったものを、比重とすることができる。
焼成食品の比重の測定は、冷凍状態で行うことが好ましい。具体的には、冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内に測定を行うことが好ましい。
冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、上記の時間内の何れかの時点で測定をすれば、冷凍状態における比重を測定することができる。
【0044】
焼成食品の比重は、焼成時間、焼成温度、原料の混合方法、焼成前の生地の比重、膨張剤や乳化剤の量を調整することによって調整することができる。
【0045】
焼成時間を長くすると、焼成食品の比重は減少する傾向にあり、焼成時間を短くすると、焼成食品の比重は増加する傾向にある。
焼成時間を、好ましくは8~22分、より好ましくは9~20分の範囲内で調整することで、焼成食品の比重を上記範囲内にすることができる。
【0046】
焼成温度を高くすると、焼成食品の比重は減少する傾向にあり、焼成温度を低くすると、焼成食品の比重は増加する傾向にある。
焼成温度を、好ましくは140~210℃の範囲内で調整することで、焼成食品の比重を上記範囲内にすることができる。
【0047】
また、焼成食品の比重を上記範囲内とするためには、穀粉以外の原材料を混合してホイップする、ホイップ工程を備えることが好ましい。また、ホイップ工程で得られるクリーム状の混合液の比重は0.28~0.42g/cm3となるように調整することが好ましい。
【0048】
クリーム状の混合液に、穀粉を加えてさらに混合することで、生地が得られる。その生地を焼成することによって、焼成食品が得られる。
ここで、焼成前の生地と、焼成後の焼成食品とを比較すると、焼成によって比重は0.01~0.05g/cm3程度減少する。焼成前の生地の比重を、0.20~0.50g/cm3、より好ましくは0.26~0.40g/cm3となるように調整することで、焼成食品の比重を上記範囲内とすることができる。
【0049】
焼成食品の比重は、膨張剤の量を調整することによっても調整することができる。
例えば、原料として膨張剤を0.1質量%以上3.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下程度含むことによって、焼成食品の比重を上記範囲内とすることができる。
【0050】
[焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率]
本発明に係る焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率は、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.9以上、さらに好ましくは1.2以上である。また、本発明に係る焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率は、好ましくは5.6以下、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下である。
また、好ましくは、本発明に係る焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率は、冷凍状態において、上記範囲内にある。
【0051】
焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率は、焼成食品中の水分(質量%)と、焼成食品の油脂(質量%)をそれぞれ測定し、焼成食品中の水分(質量%)を焼成食品中の油脂(質量%)で割り、焼成食品中の水分/油脂を算出することができる。
焼成食品中の水分(質量%)の測定方法は上述の通りである。
焼成食品中の油脂(質量%)は、酸分解法にて測定することができる。具体的には、焼成食品中の油脂を塩酸による酸加水分解によって遊離、分散させ、溶媒としてジエチルエーテル及び石油エーテルを用いて脂質を抽出して、焼成食品中の油脂(質量%)を測定することができる。
焼成食品に含まれる油脂(質量%)は、冷凍状態で測定を開始することが好ましい。具体的には、冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出して10分以内、より好ましくは5分以内に測定を開始することが好ましい。
冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、上記の時間内の何れかの時点測定をすれば、冷凍状態における焼成食品に含まれる油脂(質量%)を測定することができる。
【0052】
ここで、焼成食品の油脂は、好ましくは4.5質量%以上、より好ましくは10.0質量%以上である。また、焼成食品の油脂は、好ましくは32.0質量%以下、より好ましくは25.0質量%以下である。
また、好ましくは、焼成食品の油脂は、冷凍状態において、上記範囲内にある。
【0053】
焼成食品の油脂は、原料として含まれる油脂の量によって調整することができる。
【0054】
また、焼成食品の水分の好ましい範囲、及び調整方法は前述の通りである。
焼成食品に含まれる水分、及び油脂を調整することによって、焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率を調整することができる。
【0055】
すなわち、焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率は、焼成時間、焼成温度、焼成前の生地に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率を調整することによって調整することができる。
【0056】
焼成時間を長くすると、焼成食品中の水分は減少する傾向にあり、それに伴い焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率は減少する傾向にある。また、焼成時間を短くすると、焼成食品中の水分量は増加する傾向にあり、それに伴い焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率は増加する傾向にある。
焼成時間を、好ましくは8~22分、より好ましくは9~20分の範囲内で調整することで、焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率を上記範囲内にすることができる。
【0057】
焼成温度を高くすると、焼成食品中の水分は減少する傾向にあり、それに伴い焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率は減少する傾向にある。また、焼成温度を低くすると、焼成食品中の水分は増加する傾向にあり、それに伴い焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率は増加する傾向にある。
焼成温度を、好ましくは140~210℃の範囲内で調整することで、焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率を上記範囲内にすることができる。
【0058】
焼成前の生地に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率と、焼成食品に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率とを比較すると、1~2.5程度減少する。焼成前の生地に含まれる油脂の質量に対する水分の質量の比率を3~15程度とすることで、焼成食品の含有量を上記範囲内にすることができる。
【0059】
[焼成食品の中央断面の観察]
本明細書において、焼成食品を縦に二分割した際の断面を「中央断面」と呼ぶ。
図1に、本発明に係る焼成食品の中央断面を示す。なお、
図1に示す焼成食品の大きさは、横55mm、高さ45mmである。
焼成食品の中央断面を撮影し、画像解析を行うことによって、中央断面の状態を観察することができる。画像解析は、例えばC-CELL(Calibre Control International社製)を用いて行うことができる。
【0060】
<焼成食品の中央断面で観察される気泡の面積の割合>
本発明に係る焼成食品の中央断面で観察される気泡の面積の割合(以下、単に「気泡の面積割合」という)は、好ましくは37%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは45%以上である。
また、本発明に係る焼成食品の気泡の面積割合は、好ましくは62%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは55%以下である。
また、本発明に係る焼成食品の気泡の面積割合は、冷凍状態において、上記範囲内にある。
【0061】
気泡の面積割合は、焼成食品を縦に二分割し、その断面(中央断面)を撮影して、画像解析によって中央断面全体で観察される気泡部分と気泡以外の部分をそれぞれマッピングすることで測定することができる。すなわち、気泡の面積割合は以下の式で表される。
気泡の面積割合(%)=(気泡の面積/中央断面の面積)×100
気泡の面積割合の測定は、冷凍状態で行うことが好ましい。具体的には、冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内に測定を行うことが好ましい。
冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、上記の時間内の何れかの時点で測定をすれば、冷凍状態における気泡の面積割合を測定することができる。
【0062】
気泡の面積割合は、焼成時間、焼成温度、原料の混合方法、焼成前の生地の比重、膨張剤の種類や量を調整することによって調整することができる。
【0063】
焼成時間を長くすると、気泡の面積割合は大きくなる傾向にあり、焼成時間を短くすると、気泡の面積割合は小さくなる傾向にある。
焼成時間を、好ましくは8~22分、より好ましくは10~15分の範囲内で調整することで、気泡の面積割合を上記範囲内にすることができる。
【0064】
焼成温度を高くすると、気泡の面積割合は大きくなる傾向にあり、焼成温度を低くすると、気泡の面積割合は小さくなる傾向にある。
焼成温度を、好ましくは140~210℃、より好ましくは160~200℃の範囲内で調整することで、気泡の面積割合を上記範囲内にすることができる。
【0065】
焼成前の生地に含まれる水分を多くすると、気泡の面積割合は多くなる傾向にある。焼成前の生地に含まれる水分を少なくすると、気泡の面積割合は少なくなる傾向にある。
焼成前の生地に含まれる水分を13質量%以上40質量%以下とすることで、気泡の面積割合を上記範囲内にすることができる。
【0066】
また、焼成食品の気泡の面積割合を上記範囲内とするためには、穀粉以外の原材料を混合してホイップする、ホイップ工程を備えることが好ましい。また、ホイップ工程で得られるクリーム状の混合液の比重が小さいほど、気泡の面積割合は大きくなる傾向にある。クリーム状の混合液の比重は0.28g/cm3以上0.42g/cm3以下となるように調整することで、気泡の面積割合を上記範囲内とすることができる。
【0067】
クリーム状の混合液に、穀粉を加えてさらに混合することで、生地が得られる。その生地を焼成することによって、焼成食品が得られる。焼成前の生地の比重が小さいほど、気泡の面積割合は大きくなる傾向にある。焼成前の生地の比重を、好ましくは0.20g/cm3以上0.50g/cm3以下、より好ましくは0.26g/cm3以上0.40g/cm3以下となるように調整することで、気泡の面積割合を上記範囲内とすることができる。
【0068】
焼成食品の気泡の面積割合は、膨張剤の量、乳化剤の量を調整することによっても調整することができる。
例えば、原料として膨張剤を好ましくは0.1質量%以上3.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%程度含むこと、乳化剤を好ましくは0.5質量%以上4.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上2.5質量%以下程度含むことによって、気泡の面積割合を上記範囲内とすることができる。
【0069】
<焼成食品の中央断面で観察される、1mm2当たりの気泡の数>
本発明に係る焼成食品の中央断面で観察される、1mm2当たりの気泡の数(以下、単に「1mm2当たりの気泡の数」という)は、好ましくは0.29個以上、より好ましくは0.50個以上、さらに好ましくは0.70個以上、特に好ましくは0.90個以上である。
また、本発明に係る焼成食品の1mm2当たりの気泡の数は、好ましくは1.30個以下、より好ましくは1.20個以下、さらに好ましくは1.10個以下、より好ましくは1.00個以下である。
また、好ましくは、本発明に係る焼成食品の1mm2当たりの気泡の数は、冷凍状態において、上記範囲内にある。
【0070】
また、1mm2当たりの気泡の数は、焼成食品を縦に二分割し、その断面(中央断面)を撮影した。画像解析によって中央断面全体で観察される気泡の数をカウントし、中央断面の面積で割ることで、1mm2当たりの気泡の数を測定することができる。
すなわち、1mm2当たりの気泡の数は、以下の式で表される。
1mm2当たりの気泡の数=中央断面全体の気泡の数/中央断面全体の面積(mm2)
1mm2当たりの気泡の数の測定は、冷凍状態で行うことが好ましい。具体的には、冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内に測定を行うことが好ましい。
冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、上記の時間内の何れかの時点で測定をすれば、冷凍状態における焼成食品の1mm2当たりの気泡の数を測定することができる。
【0071】
1mm2当たりの気泡の数は、焼成時間、焼成温度、原料の混合方法、焼成前の生地の比重、膨張剤の種類や量を調整することによって調整することができる。
【0072】
焼成時間を長くすると、1mm2当たりの気泡の数は多くなる傾向にあり、焼成時間を短くすると、1mm2当たりの気泡の数は少なくなる傾向にある。
焼成時間を、好ましくは8~22分、より好ましくは10~13分の範囲内で調整することで、1mm2当たりの気泡の数を上記範囲内にすることができる。
【0073】
焼成温度を高くすると、1mm2当たりの気泡の数は多くなる傾向にあり、焼成温度を低くすると、1mm2当たりの気泡の数は少なくなる傾向にある。
焼成温度を、好ましくは140~210℃、より好ましくは180~200℃の範囲内で調整することで、1mm2当たりの気泡の数を上記範囲内にすることができる。
【0074】
焼成前の生地に含まれる水分を多くすると、1mm2当たりの気泡の数は多くなる傾向にある。焼成前の生地に含まれる水分を少なくすると、1mm2当たりの気泡の数は少なくなる傾向にある。
焼成前の生地に含まれる水分を13質量%以上40質量%以下とすることで、1mm2当たりの気泡の数を上記範囲内にすることができる。
【0075】
また、1mm2当たりの気泡の数を上記範囲内とするためには、穀粉以外の原材料を混合してホイップする、ホイップ工程を備えることが好ましい。ホイップ工程で得られるクリーム状の混合液の比重が小さいほど、1mm2当たりの気泡の数は大きくなる傾向にある。クリーム状の混合液の比重は0.28g/cm3以上0.42g/cm3以下となるように調整することで、1mm2当たりの気泡の数を上記範囲内にすることができる。
【0076】
クリーム状の混合液に、穀粉を加えてさらに混合することで、生地が得られる。その生地を焼成することによって、焼成食品が得られる。焼成前の生地の比重が小さいほど、1mm2当たりの気泡の数は大きくなる傾向にある。焼成前の生地の比重を、好ましくは0.20g/cm3以上0.50g/cm3以下、より好ましくは0.26g/cm3以上0.40g/cm3以下となるように調整することで、1mm2当たりの気泡の数を上記範囲内とすることができる。
【0077】
1mm2当たりの気泡の数は、膨張剤や量、乳化剤の量を調整することによっても調整することができる。
例えば、原料として膨張剤を、好ましくは0.1質量%以上3.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下程度含むこと、乳化剤を好ましくは0.5質量%以上4.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以上2.5質量%以下含むことによって、1mm2当たりの気泡の数を上記範囲内とすることができる。
【0078】
<中央断面で観察される気泡膜の厚さ>
気泡膜とは、気泡の周辺を覆う膜状の生地部分のことである。
本発明に係る焼成食品の中央断面で観察される気泡膜の厚さ(以下、単に「気泡膜の厚さ」という)は、好ましくは0.25mm以上、より好ましくは0.28mm以上、さらに好ましくは0.30mm以上である。
また、本発明に係る焼成食品の気泡膜の厚さは、好ましくは0.46mm以下、より好ましくは0.40mm以下、さらに好ましくは0.35mm以下である。
また、好ましくは、本発明に係る焼成食品の気泡膜の厚さは、冷凍状態において、上記範囲内にある。
【0079】
また、気泡膜の厚さは、焼成食品を縦に二分割し、その断面(中央断面)を撮影し、画像解析によって測定することができる。
気泡膜の厚さの測定は、冷凍状態で行うことが好ましい。具体的には、冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内に測定を行うことが好ましい。
冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、上記の時間内の何れかの時点で測定すれば、冷凍状態における気泡膜の厚さを測定することができる。
【0080】
気泡膜の厚さは、焼成時間、焼成温度、原料の混合方法、焼成前の生地の比重、膨張剤の種類や量を調整することによって調整することができる。
【0081】
焼成時間を長くすると、気泡膜の厚さは薄くなる傾向にあり、焼成時間を短くすると、気泡膜の厚さは厚くなる傾向にある。
焼成時間を、好ましくは8~22分、より好ましくは10~13分の範囲内で調整することで、気泡膜の厚さを上記範囲内にすることができる。
【0082】
焼成温度を高くすると、気泡膜の厚さは薄くなる傾向にあり、焼成温度を低くすると、気泡膜の厚さは厚くなる傾向にある。
焼成温度を、好ましくは140~210℃、より好ましくは180~200℃の範囲内で調整することで、気泡膜の厚さを上記範囲内にすることができる。
【0083】
焼成前の生地に含まれる水分を多くすると、気泡膜の厚さは薄くなる傾向にある。焼成前の生地に含まれる水分を少なくすると、気泡膜の厚さは厚くなる傾向にある。
焼成前の生地に含まれる水分を13質量%以上40質量%以下とすることで、気泡膜の厚さを上記範囲内にすることができる。
【0084】
また、気泡膜の厚さを上記範囲内とするためには、穀粉以外の原材料を混合してホイップする、ホイップ工程を備えることが好ましい。また、ホイップ工程で得られるクリーム状の混合液の比重が小さいほど、気泡膜の厚さは薄くなる傾向にある。クリーム状の混合液の比重は0.28g/cm3以上0.42g/cm3以下となるように調整することで、気泡膜の厚さを上記範囲内にすることができる。
【0085】
クリーム状の混合液に、穀粉を加えてさらに混合することで、生地が得られる。その生地を焼成することによって、焼成食品が得られる。焼成前の生地の比重が小さいほど、気泡膜の厚さは薄くなる傾向にある。焼成前の生地の比重を、好ましくは0.20g/cm3以上0.50g/cm3以下、より好ましくは0.26g/cm3以上0.42g/cm3以下となるように調整することで、気泡膜の厚さを上記範囲内とすることができる。
【0086】
気泡膜の厚さは、膨張剤の量、乳化剤の量を調整することによっても調整することができる。
例えば、原料として膨張剤を0.1質量%以上3.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下程度含むこと、乳化剤を好ましくは0.5質量%以上4.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以上2.5質量%以下含むことによって、気泡膜の厚さを上記範囲内とすることができる。
【0087】
<焼成食品の中央断面で観察される全気泡のうち、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合>
本発明に係る焼成食品の中央断面で観察される全気泡のうち、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合(以下、単に「長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合」という)は、好ましくは57%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上である。
本発明に係る焼成食品の長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は、好ましくは92%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。
また、好ましくは、本発明に係る焼成食品の長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は、冷凍状態において上記範囲内にある。
【0088】
また、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は、焼成食品を縦に二分割し、その断面(中央断面)を撮影し、画像解析によって気泡の長径を測定し、長径1mm以上3mm以下の気泡の割合を求めた。すなわち、長径1mm以上3mm以下の気泡の割合は、以下の式で表される。
長径1mm以上3mm以下の気泡の割合=(中央断面全体の長径1mm以上3mm以下の気泡の数/中央断面全体の全ての気泡の数)×100
長径1mm以上3mm以下の気泡の割合の測定は、冷凍状態で行う。具体的には、冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内に測定を行うことが好ましい。
冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、上記の時間内の何れかの時点で測定をすれば、冷凍状態における長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合を測定することができる。
【0089】
長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は、焼成時間、焼成温度、原料の混合方法、焼成前の生地の比重、膨張剤の種類や量を調整することによって調整することができる。
【0090】
焼成時間を長くすると、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は多くなる傾向にあり、焼成時間を短くすると、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は少なくなる傾向にある。
焼成時間を、好ましくは8~22分、より好ましくは12~16分の範囲内で調整することで、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合を上記範囲内にすることができる。
【0091】
焼成温度を高くすると、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は多くなる傾向にあり、焼成温度を低くすると、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は少なくなる傾向にある。
焼成温度を、好ましくは140~210℃、より好ましくは180~210℃の範囲内で調整することで、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合を上記範囲内にすることができる。
【0092】
焼成前の生地に含まれる水分を多くすると、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は少なくなる傾向にある。焼成前の生地に含まれる水分を少なくすると、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は多くなる傾向にある。
焼成前の生地に含まれる水分を13質量%以上40質量%以下とすることで、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合を上記範囲内にすることができる。
【0093】
また、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合を上記範囲内とするためには、穀粉以外の原材料を混合してホイップする、ホイップ工程を備えることが好ましい。ホイップ工程で得られるクリーム状の混合液の比率が小さいほど、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は多くなる傾向にある。ホイップ工程で得られるクリーム状の混合液の比重は0.28g/cm3以上0.42g/cm3以下となるように調整することで、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合を上記範囲内にすることができる。
【0094】
クリーム状の混合液に、穀粉を加えてさらに混合することで、生地が得られる。その生地を焼成することによって、焼成食品が得られる。焼成前の生地の比重が小さいほど、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は多くなる傾向がある。焼成前の生地の比重を、0.20g/cm3以上0.50g/cm3以下、より好ましくは0.26g/cm3以上0.40g/cm3以下となるように調整することで、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合を上記範囲内とすることができる。
【0095】
長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合は、膨張剤の量、乳化剤の量を調整することによっても調整することができる。
例えば、原料として膨張剤を、好ましくは0.1質量%以上3.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下程度含むこと、乳化剤を好ましくは0.5質量%以上4.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以上2.5質量%以下含むことによって、長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合を上記範囲内とすることができる。
【0096】
<中央断面で観察される全気泡の長径の平均値>
本発明に係る焼成食品の中央断面で観察される全気泡の長径の平均値(以下、単に長径の平均値という)は、好ましくは1.00mm以上、より好ましくは1.20mm以上、さらに好ましくは1.40mm以上である。
本発明に係る焼成食品の長径の平均値は、好ましくは3.01mm以下、より好ましくは2.50mm以下、さらに好ましくは2.00mm以下である。
また、好ましくは、本発明に係る焼成食品の長径の平均値は、冷凍状態において、上記範囲内にある。
【0097】
また、長径の平均値は、また、焼成食品を縦に二分割し、その断面(中央断面)を撮影した。画像解析によって気泡の長径を測定し、その平均値を求めることで測定できる。
長径の平均値の測定は、冷凍状態で行うことが好ましい。具体的には、冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内に測定を行うことが好ましい。
冷凍庫から25℃以下の室温環境に取り出してから、上記の時間内の何れかの時点で測定をすれば、冷凍状態における長径の平均値を測定することができる。
【0098】
長径の平均値は、焼成時間、焼成温度、原料の混合方法、焼成前の生地の比重、膨張剤の種類や量を調整することによって調整することができる。
【0099】
焼成時間を長くすると、長径の平均値は大きくなる傾向にあり、焼成時間を短くすると、長径の平均値は小さくなる傾向にある。
焼成時間を、好ましくは8~22分、より好ましくは9~15分、さらに好ましくは10~12.5分とすることで、長径の平均値を上記範囲内にすることができる。
【0100】
焼成温度を高くすると、長径の平均値は大きくなる傾向にあり、焼成温度を低くすると、長径の平均値は小さくなる傾向にある。
焼成温度を、好ましくは140~210℃、より好ましくは180~210℃、さらに好ましくは190~205℃とすることで、長径の平均値を上記範囲内にすることができる。
【0101】
焼成前の生地に含まれる水分を多くすると、生地の粘度が低くなり、撹拌しやすくなるため長径の平均値は小さくなる傾向にある。焼成前の生地に含まれる水分を少なくすると、長径の平均値は大きくなる傾向にある。
焼成前の生地に含まれる水分を、好ましくは13~40質量%、より好ましくは28~40質量%とすることで、長径の平均値を上記範囲内にすることができる。
【0102】
また、長径の平均値を上記範囲内とするためには、穀粉以外の原材料を混合してホイップする、ホイップ工程を備えることが好ましい。また、ホイップ工程で得られるクリーム状の混合液の比重が小さいほど、長径の平均値は小さくなる。クリーム状の混合液の比重は、好ましくは0.28g/cm3以上0.42g/cm3以下、より好ましくは0.30g/cm3以上0.35g/cm3以下となるように調整することで、長径の平均値を上記範囲内にすることができる。
【0103】
クリーム状の混合液に、穀粉を加えてさらに混合することで、生地が得られる。その生地を焼成することによって、焼成食品が得られる。焼成前の生地の比重が小さいほど、長径の平均値は大きくなる。焼成前の生地の比重を、好ましくは0.20g/cm3以上0.50g/cm3以下、より好ましくは0.36g/cm3以上0.43g/cm3以下となるように調整することで、長径の平均値を上記範囲内とすることができる。
【0104】
長径の平均値は、膨張剤の量、乳化剤の量を調整することによっても調整することができる。
例えば、原料として膨張剤を0.1質量%以上0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下程度含むこと、乳化剤を0.3~2.5質量%含むことによって、長径の平均値を上記範囲内とすることができる。
【0105】
[焼成食品の大きさ・形]
本発明に係る焼成食品は、好ましくは35mm3以上600mm3以下、より好ましくは41m3以上480mm3以下、さらに好ましくは48mm3以上330mm3以下である。
また、本発明に係る焼成食品は、好ましくは、縦・横・高さのうち少なくともいずれかが、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上である。
また、本発明に係る焼成食品の重さは、好ましくは10g以上240g以下、より好ましくは12g以上210g以下、さらに好ましくは12g以上180g以下である。
【0106】
また、本発明に係る焼成食品の形状は、特に限定されないが、例えば、円柱型、多角柱型(特に三角柱型、四角柱型、五角柱型等)、紡錘形、ドーナツ型、貝殻型、星形等とすることができる
【0107】
[冷凍喫食用複合食品]
本発明に係る焼成食品は、クリーム、カスタードクリーム、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓、フローズンヨーグルト、ゼリー、杏仁豆腐、ムース、ババロア、プリン、ようかん、チョコレート、キャラメル、ジャム、あん、及びソースから選ばれる少なくとも一種のトッピング食材と組み合わせて、冷凍喫食用複合食品(以下、「複合食品」という。)とすることもできる。
【0108】
複合食品は、焼成食品とトッピング食材とが接していることが好ましい。
複合食品の形態としては、例えばトッピング食材を焼成食品で包んだもの、焼成食品に挟んだもの、焼成食品の内部に充填したもの、焼成食品の上に載せたもの等が挙げられる。
【0109】
トッピング食材の水分は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。また、トッピング食材の水分は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
【0110】
[焼成食品の製造方法]
本発明の焼成食品は、常法で製造することができ、例えば、以下の方法によって製造することができる。
まず、穀粉、膨張剤等を含む粉体以外の原材料を混合してホイップすることで、クリーム状の混合液が得られる(ホイップ工程)。クリーム状の混合液の比重は、好ましくは0.30g/cm3以上0.40g/cm3以下、さらに好ましくは0.31g/cm3以上0.37g/cm3以下となるように調整する。
ホイップ工程における撹拌時間は、好ましくは80秒以上200秒以下である。撹拌時間が短すぎると大きい気泡ができ、不均質な気泡ができてしまい、膜厚が厚くなりすぎてしまう。一方、撹拌時間が長すぎると乳化が崩れ、気泡の合一が生じ、気泡が大きくなる。また、焼成時に十分に膨らまず、粗い舌ざわり・触感になってしまう。
次に、クリーム状の混合液に穀粉を加え、混合することで生地が得られる。生地の比重は、好ましくは0.35g/cm3以上0.43g/cm3以下、さらに好ましくは0.37g/cm3以上0.41g/cm3以下となるように調整する。穀粉を加えた後の撹拌時間は、好ましくは15秒以上40秒以下である。
撹拌には、キッチンエイド(株式会社エフ・エム・アイ社製)を用いることができる。撹拌時間の合計は、100秒から220秒で、好ましくは130秒から190秒以下の範囲内で調整する。
撹拌時間を上記範囲内とすることで、焼成食品の中央断面で観察される、気泡の面積の割合、1mm2当たりの気泡の数、気泡膜の厚さ、全気泡のうち長径が1mm以上3mm以下である気泡の割合を、好ましい範囲にすることができる。
得られた生地を焼成することで、本発明に係る焼成食品が得られる。焼成する際には、生地を5~30g程度に分けて、型に入れることが好ましい。型として、例えば直径50~100mm、高さ20~80mmの型を好ましく用いることができる。焼成の際には、好ましくはオーブンにて上下から加熱する。焼成温度は通常140℃以上210℃以下、好ましくは160℃以上200℃以下、より好ましくは165℃以上195℃以下、焼成時間は通常9分以上20分以下、好ましくは8分以上15分以下、の範囲内である。
【0111】
得られた焼成食品は、常温まで冷却した後、冷凍温度下まで冷却されることが好ましい。常温までの冷却は、自然冷却によって冷却してもよいし、風を当てて冷却してもよい。また、冷凍温度とは、0℃以下であれば特に限定されないが、好ましくは-10℃以下、より好ましくは-18℃以下、さらに好ましくは-30℃以下である。
【0112】
[冷凍状態である冷凍喫食用焼成食]
本発明に係る冷凍喫食用焼成食品は、好ましくは冷凍状態である。
【実施例】
【0113】
[製造例]
表1に記載の原材料のうち小麦粉及び膨張剤以外の原材料を、常法により起泡させながら撹拌、混合し、クリーム状の混合液を得た。
次に、クリーム状の混合液に小麦粉及び膨張剤を加え、混合して、生地を得た。生地の比重は、表2に記載の数値となるように、混合条件を変えることで調整した。
撹拌には、好ましくはキッチンエイド(株式会社エフ・エム・アイ社製)を用いた。撹拌時間は、100秒以上220秒以下の範囲内で調整した。
焼成前の生地の比重は、容積50mLのカップに、焼成前の生地を摺り切り入れて、その重さを計ることで算出した。
得られた生地を底の直径50mm、上面の直径55mm、高さ25mmの紙製の型に18gずつ流し込み、オーブンにて上下から加熱し、気泡を含有する焼成食品を得た。焼成温度は140~210℃、焼成時間は9~20分の範囲内で調整した。
【0114】
【0115】
[試験例1]
製造例に記載の方法において、焼成食品の比重、及び焼成食品中の水分(質量%)の異なる焼成食品を作製した(表2~表5)。
焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)は、焼成時間を9~20分、焼成温度140~210℃の範囲内で調整することによって調整した。
【0116】
焼成食品の比重は、焼成時間と焼成温度を調整することによって調整した。焼成時間が長いほど、比重は小さくなる。また、焼成温度が高いほど、比重は小さくなる。
【0117】
焼成食品中の水分(質量%)は、焼成時間と焼成温度を調整することによって調整した。焼成時間が長いほど、焼成食品中の水分(質量%)は少なくなる。また、焼成温度が高いほど、焼成食品中の水分(質量%)は少なくなる。
【0118】
得られた焼成食品について、以下の評価項目について評価した。
【0119】
・食感(歯切れ)
焼成後、常温(25℃、以下同じ。)付近まで冷ました後、-18℃の冷凍庫で8時間冷凍させた焼成食品を、冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して1分以内に、5名の専門パネラーが試食し、歯切れについて評価した。評価基準は以下の通りである。
4:噛んだ際に柔らかく歯が入り、非常に良い
3:噛んだ際にやや柔らかく歯が入り、良い
2:噛んだ際にやや硬さがあるものの、問題なく歯が入るレベル
1:噛んだ際に、歯が入りにくい、または入らず悪い
上記の評価の平均点から、以下のように◎~×の評価をつけた。
◎:3.5点以上
〇:2.5~3.5点
△:1.5~2.5点
×:1.5点以下
なお、同一サンプルの評価において、全パネラー間で2点以上の差がつくことはなかった。
【0120】
・食感(ねちゃつき・口残り)
焼成後、常温付近まで冷ました後、-18℃の冷凍庫で8時間冷凍させた焼成食品を、冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して1分以内に、5名の専門パネラーが試食し、ねちゃつき、口残りについて評価した。評価基準は以下の通りである。
4:ねちゃつきなどが全くなく、非常に心地よい食感
3:ねちゃつきなどがほぼなく、心地よい食感
2:ねちゃつきがややあって、やや口残り食感
1:ねちゃつきがあって悪く口残りする
上記の評価の平均点から、以下のように◎~×の評価をつけた。
◎:3.5点以上
〇:2.5~3.5点
△:1.5~2.5点
×:1.5点以下
なお、同一サンプルの評価において、全パネラー間で2点以上の差がつくことはなかった。
【0121】
・冷凍状態での固さ
焼成後、常温付近まで冷ました後、-18℃の冷凍庫で8時間冷凍させた焼成食品を、冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して1分以内に5名の専門パネラーが、手で触れて、硬さについて評価した。評価基準は以下の通りである。
4:触った際に非常に柔らかく、非常に良い
3:触った際に、やや柔らかく良い
2:触った際に、やや硬さがあるものの、問題ないレベル
1:触った際に硬くて悪い
上記の評価の平均点から、以下のように◎~×の評価をつけた。
◎:3.5点以上
〇:2.5~3.5点
△:1.5~2.5点
×:1.5点以下
なお、同一サンプルの評価において、全パネラー間で2点以上の差がつくことはなかった。
【0122】
・外観・成型状態
焼成後、常温付近まで冷ました後、-18℃の冷凍庫で8時間冷凍させた焼成食品を、冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して1分以内に、5名の専門パネラーが目視により、外観・成型状態について評価した。評価基準は以下の通りである。
4:均一に浮き、膨らみがあり、表面、内面がきれいに安定している
3:ほぼ均一に浮き、膨らみがあり、表面・内面が安定している
2:やや不均一に浮き、膨らみ部分があり、表面、内面がやや粗い
1:不均一に浮き、膨らみ部分があり、また表面や内面に氷、水残りがある
上記の評価の平均点から、以下のように◎~×の評価をつけた。
◎:3.5点以上
〇:2.5~3.5点
△:1.5~2.5点
×:1.5点以下
なお、同一サンプルの評価において、全パネラー間で2点以上の差がつくことはなかった。
【0123】
・保存安定性(製造後、14日冷凍保存後の外観・食感)
焼成後、常温付近まで冷ました後、-18の冷凍庫内で14日間保存した。その後、冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して1分以内の焼成食品について、5名の専門パネラーが、目視及び試食にて保存安定性について評価した。評価基準は以下の通りである。
4:外観に変化がなく、また食感も柔らかく、口どけが良い
3:外観にほぼ変化がなく、また食感もやや柔らかく、口どけがやや良い
2:外観に霜焼けなど少し変化があり、食感も部分的に硬く口残りする
1:外観に霜焼けなど変化があり、食感も硬く口残りする
上記の評価の平均点から、以下のように◎~×の評価をつけた。
◎:3.5点以上
〇:2.5~3.5点
△:1.5~2.5点
×:1.5点以下
なお、同一サンプルの評価において、全パネラー間で2点以上の差がつくことはなかった。
【0124】
焼成後、常温付近まで冷ました後、-18℃の冷凍庫で8時間冷凍させ、その後冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内の焼成食品について、焼成食品の比重と、焼成食品中の水分(質量%)を測定した。
【0125】
焼成食品の比重の測定方法は以下の通りである。
まず、焼成食品の2か所から、直径3cmの型抜きで円柱形を抜き取り、それぞれの重さを測定した。次に、高さと底面積から容積を算出した。重さを容積で割ったものを、比重とした。測定は、焼成食品を冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内に行った。
【0126】
焼成食品の水分(質量%)は、減圧乾燥法にて測定した。減圧乾燥前の質量は、冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内に測定した。
具体的には、焼成食品を切り刻み、海砂を入れて混合し減圧乾燥器内に入れ、70℃で10hPaに減圧し、300分間乾燥させ、水分を除去した。減圧乾燥前後の質量から、焼成食品の水分(質量%)を測定した。
【0127】
結果を表2~5に示す。
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
焼成食品中の水分が11.0質量%以上32.5質量%以下であり、かつ、比重が0.23g/cm3以上0.36g/cm3以下である、実施例1-1~1-25の焼成食品は、食感評価の2項目に×がなく、かつ、食感評価の2項目のうち少なくとも一つが〇以上の評価であり、冷凍状態でも食感が良好であった。
【0133】
[試験例2]
製造例に記載の方法において、焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、焼成食品中の油脂(質量%)、及び焼成食品中の油脂の質量に対する水分の質量の比率(焼成食品中の水分/油脂)の異なる焼成食品を作製した(表6、表7)。
焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、焼成食品中の水分/油脂は、焼成時間を9~20分、焼成温度140~210℃の範囲内で調整することによって調整した。
焼成時間が長いほど、焼成食品中の焼成食品中の水分は少なくなり、それに伴い焼成食品中の水分/油脂も小さくなる。また、焼成温度が高いほど、焼成食品中の水分は少なくなり、それに伴い焼成食品中の水分/油脂も小さくなる。
【0134】
得られた焼成食品について、試験例1と同様の評価項目について評価した。
また、焼成後、常温付近まで冷ました後、-18℃の冷凍庫で8時間冷凍させ、その後冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内の焼成食品について、焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、焼成食品中の油脂(質量%)を測定した。
焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)の測定方法は、試験例1と同様である。
また、焼成食品中の油脂(質量%)は、酸分解法にて測定した。具体的には、焼成食品中の油脂を塩酸による酸加水分解によって遊離、分散させ、溶媒としてエチルエーテル及び石油エーテルを用いて脂質を抽出して、焼成食品中の油脂(質量%)を測定した。測定は、焼成食品を冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内に開始した。
また、焼成食品中の水分(質量%)を焼成食品中の油脂(質量%)で割り、焼成食品中の水分/油脂を算出した。
【0135】
結果を表6、表7に示す。
【0136】
【0137】
【0138】
実施例2-1~2-14の焼成食品は、食感評価の2項目に×がなく、かつ、食感評価の2項目のうち少なくとも一つが〇以上の評価であり、冷凍状態でも食感が良好であった。
【0139】
[試験例3]
製造例に記載の方法において、焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合の異なる焼成食品を作製した(表8、表9)。
焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合は、焼成時間を10~15分、焼成温度160~200℃の範囲内で調整することによって調整した。
焼成時間が長いほど、気泡の面積割合は大きくなる。また、焼成温度が高いほど、気泡の面積割合は大きくなる。
【0140】
得られた焼成食品について、試験例1と同様の評価項目について評価した。
また、焼成後、常温付近まで冷ました後、-18℃の冷凍庫8時間冷凍させ、その後冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内の焼成食品について、焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合を測定した。
焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)の測定方法は、試験例1と同様である。
また、焼成食品の気泡の面積割合の測定方法は以下の通りである。
焼成食品を縦に二分割し、その断面(中央断面)を撮影した。C-CELL( Calibre Control International株式会社)による画像解析によって中央断面全体で観察される気泡部分と気泡以外の部分をそれぞれマッピングし、中央断面全体で観察される気泡の面積の割合(気泡の面積割合(%))を測定した。すなわち、気泡の面積割合は以下の式で表される。
気泡の面積割合(%)=(気泡の面積/中央断面の面積)×100 なお、測定は、焼成食品を冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内に行った。
結果を表8、表9に示す。
【0141】
【0142】
【0143】
実施例3-1~3-10の焼成食品は、食感評価の2項目に×がなく、かつ、食感評価の2項目のうち少なくとも一つが〇以上の評価であり、冷凍状態でも食感が良好であった。
【0144】
[試験例4]
製造例に記載の方法において、焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合、1mm2当たりの気泡の数の異なる焼成食品を作製した(表10、表11)。
焼成食品の比重、気泡の面積割合、1mm2当たりの気泡の数、1mm2当たりの気泡の数は、焼成時間を10~13分、焼成温度180~210℃の範囲内で調整することによって調整した。
焼成時間が長いほど、1mm2当たりの気泡の数は多くなる。また、焼成温度が高いほど、1mm2当たりの気泡の数は多くなる。
【0145】
得られた焼成食品について、試験例1と同様の評価項目について評価した。
また、焼成後、常温付近まで冷ました後、-18℃の冷凍庫で8時間冷凍させ、その後冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内の焼成食品について、焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合、1mm2当たりの気泡の数を測定した。
焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)の測定方法は、試験例1と同様である。
また、気泡の面積割合の測定方法は試験例3と同様である。
また、1mm2当たりの気泡の数の測定方法は以下の通りである。
焼成食品を縦に二分割し、その断面(中央断面)を撮影した。C-CELL(Calibre Control International社製)による画像解析によって中央断面全体で観察される気泡の数をカウントし、中央断面の面積で割ることで、1mm2当たりの気泡の数を測定した。
すなわち、1mm2当たりの気泡の数は、以下の式で表される。
1mm2当たりの気泡の数=中央断面全体の気泡の数/中央断面全体の面積(mm2) なお、測定は、焼成食品を冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内に行った。
結果を表10、表11に示す。
【0146】
【0147】
【0148】
実施例4-1~4-10の焼成食品は、食感評価の2項目に×がなく、かつ、食感評価の2項目のうち少なくとも一つが〇以上の評価であり、冷凍状態でも食感が良好であった。
【0149】
[試験例5]
製造例に記載の方法において、焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合、1mm2当たりの気泡の数、気泡膜の厚さの異なる焼成食品を作製した(表12、表13)。
焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合、1mm2当たりの気泡の数、気泡膜の厚さは、焼成時間を10~13分、焼成温度180~200℃の範囲内で調整することによって調整した。
焼成時間が長いほど、気泡膜の厚さは薄くなる。また、焼成温度が高いほど、気泡膜の厚さは薄くなる。
【0150】
得られた焼成食品について、試験例1と同様の評価項目について評価した。
また、焼成後、常温付近まで冷ました後、-18℃の冷凍庫で8時間冷凍させ、その後冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内の焼成食品について、焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合、1mm2当たりの気泡の数、気泡膜の厚さを測定した。
焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)の測定方法は、試験例1と同様である。
また、気泡の面積割合の測定方法は、試験例3と同様である。
また、1mm2当たりの気泡の数の測定方法は試験例4と同様である。
また、気泡膜の厚さの測定方法は以下の通りである。
焼成食品を縦に二分割し、その断面(中央断面)を撮影した。C-CELL(株式会社 Calibre Control International社製)による画像解析によって気泡膜の厚さを測定した。
なお、測定は、焼成食品を冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内に行った。
結果を表12、表13に示す。
【0151】
【0152】
【0153】
実施例5-1~5-8の焼成食品は、食感評価の2項目に×がなく、かつ、食感評価の2項目のうち少なくとも一つが〇以上の評価であり、冷凍状態でも食感が良好であった。
【0154】
[試験例6]
製造例に記載の方法において、焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合、1mm2当たりの気泡の数、気泡膜の厚さ、長径1mm以上3mm以下の気泡の割合の異なる焼成食品を作製した(表14、表15)。
焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合、1mm2当たりの気泡の数、気泡膜の厚さ、長径1mm以上3mm以下の気泡の割合は、焼成時間を12~16分、焼成温度180~210℃の範囲内で調整することによって調整した。
焼成時間が長いほど、長径1mm以上3mm以下の気泡の割合は多くなり、また、焼成温度が高いほど、長径1mm以上3mm以下の気泡の割合は多くなる。
【0155】
得られた焼成食品について、試験例1と同様の評価項目について評価した。
また、焼成後、常温付近まで冷ました後、-18℃の冷凍庫で8時間冷凍させ、その後冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内の焼成食品について、焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合、1mm2当たりの気泡の数、気泡膜の厚さ、長径1mm以上3mm以下の気泡の割合を測定した。
焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)の測定方法は、試験例1と同様である。
また、気泡の面積割合の測定方法は、試験例3と同様である。
また、1mm2当たりの気泡の数の測定方法は試験例4と同様である。
また、気泡膜の厚さの測定方法は試験例5と同様である。
また、長径1mm以上3mm以下の気泡の割合の測定方法は以下の通りである。
焼成食品を縦に二分割し、その断面(中央断面)を撮影した。C-CELL(Calibre Control International社製)による画像解析によって気泡の長径を測定し、中央断面全体の気泡の数のうち、長径1mm以上3mm以下の気泡の割合を求めた。
すなわち、長径1mm以上3mm以下の気泡の割合は、以下の式で表される。
長径1mm以上3mm以下の気泡の割合=(中央断面全体の長径1mm以上3mm以下の気泡の数/中央断面全体の全ての気泡の数)×100 なお、測定は、焼成食品を冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内に行った。
結果を表14、表15に示す。
【0156】
【0157】
【0158】
実施例6-1~6-8の焼成食品は、食感評価の2項目に×がなく、かつ、食感評価の2項目のうち少なくとも一つが〇以上の評価であり、冷凍状態でも食感が良好であった。
【0159】
[試験例7]
製造例に記載の方法において、焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合、気泡の平均長径の異なる焼成食品を作製した(表16、表17)。
焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合、気泡の平均長径は、焼成時間を9~15分、焼成温度180~210℃の範囲内で調整することによって調整した。
焼成時間が長いほど、気泡の平均長径は大きくなる傾向にある。また、焼成温度が高いほど、気泡の平均長径は大きくなる傾向にある。
【0160】
得られた焼成食品について、試験例1と同様の評価項目について評価した。
また、焼成後、常温付近まで冷ました後、-18℃の冷凍庫で8時間冷凍させ、その後冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内の焼成食品について、焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)、気泡の面積割合、気泡の平均長径を測定した。
焼成食品の比重、焼成食品中の水分(質量%)の測定方法は、試験例1と同様である。
また、気泡の面積割合の測定方法は、試験例3と同様である。
また、気泡の平均長径の測定方法は以下の通りである。
焼成食品を縦に二分割し、その断面(中央断面)を撮影した。C-CELL(Calibre Control International社製)による画像解析によって気泡の長径を測定し、その平均値を求めた。
なお、測定は、焼成食品を冷凍庫から室温(25℃)環境に取り出して5分以内に行った。
結果を表16、表17に示す。
【0161】
【0162】
【0163】
実施例7-1~7-11の焼成食品は、食感評価の2項目に×がなく、かつ、食感評価の2項目のうち少なくとも一つが〇以上の評価であり、冷凍状態でも食感が良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明によって、冷凍喫食用焼成食品を提供することができる。
【要約】 (修正有)
【課題】冷凍状態における食感が良好な、冷凍喫食用焼成食品を提供する。
【解決手段】穀粉を含み、気泡を含有する、冷凍喫食用焼成食品であって、水分が11.0質量%以上32.5質量%以下であり、かつ、比重が0.23g/cm3以上0.36g/cm3以下である、冷凍喫食用焼成食品。
【選択図】なし