(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】色変換フィルム、これを含むバックライトユニット及びディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20220524BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220524BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220524BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20220524BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220524BHJP
【FI】
G02B5/20
G02F1/13357
F21S2/00 431
F21V9/32
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020537218
(86)(22)【出願日】2019-11-11
(86)【国際出願番号】 KR2019015238
(87)【国際公開番号】W WO2020101299
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2020-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0138417
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ミン、スン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ドン モク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ナリ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジ ホ
(72)【発明者】
【氏名】オー、ヒエ ミ
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-079148(JP,A)
【文献】特表2018-512614(JP,A)
【文献】特表2017-529405(JP,A)
【文献】特開2003-118258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02F 1/13357
F21S 2/00
F21V 9/32
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム;
前記基材フィルム上に備えられた色変換層;及び
前記色変換層上に備えられた相変換粘着層を含み、
前記相変換粘着層は、粘着性樹脂マトリックス及び相変化素材を含み、
前記相変化素材は、有機単分子、高分子及び無機塩水和物からなる群より選択される少なくとも一つであり、
前記相変化素材は、30℃~80℃で固体-液体相変化(solid-liquid phase transition)が起きるものであ
り、
前記相変化素材は、微細カプセル構造からなり、
前記微細カプセル構造は、シェル及びコアを含む、
色変換フィルム。
【請求項2】
前記相変化素材の含量は、前記相変換粘着層100重量部に対し10~80重量部である、請求項1に記載の色変換フィルム。
【請求項3】
前記シェルは、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒド、ポリウレタン樹脂、ポリ尿素樹脂、エポキシ樹脂、ゼラチン及びポリアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも一つであり、
前記コアは、有機単分子、高分子及び無機塩水和物からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項
1または2に記載の色変換フィルム。
【請求項4】
前記有機単分子は、パラフィン系化合物、脂肪酸系化合物、アルコール系化合物及びカーボネート系化合物からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項1~
3のいずれか一項に記載の色変換フィルム。
【請求項5】
前記高分子は、ポリエチレングリコール(poly(ethylene glycol))、ポリプロピレンオキシド(poly(propylene oxide), PPO)、ポリテトラヒドロフラン(polytetrahydrofuran, PTHF)を含む群より選択される少なくとも一つである、請求項1~
4のいずれか一項に記載の色変換フィルム。
【請求項6】
前記無機塩水和物は、LiNO
3・3H
2O、Na
2SO
4・10H
2O、NaCH
3COO・3H
2O、CaBr
2・6H
2O、Na
2HPO
4・12H
2O、Zn(NO
3)
2・nH
2O、Na
2S
2O
3・5H
2O及びCd(NO
3)
2・4H
2Oを含む群より選択される少なくとも一つである、請求項1~
5のいずれか一項に記載の色変換フィルム。
【請求項7】
前記粘着性樹脂マトリックスは、カチオン重合性粘着成分、ラジカル硬化型粘着成分、又はこれらの混合物である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の色変換フィルム。
【請求項8】
前記相変換粘着層上に保護フィルムをさらに含むものである、請求項1~
7のいずれか一項に記載の色変換フィルム。
【請求項9】
前記色変換層は、有機蛍光染料を含み、
前記有機蛍光染料は、ボディピー系、アクリジン系、キサンテン系、アリールメタン系、クマリン系、多環芳香族炭化水素系、多環ヘテロ芳香族系、ペリレン系、ピロール系及びピレン系誘導体のうちいずれか一つ以上を含むものである、請求項1~
8のいずれか一項に記載の色変換フィルム。
【請求項10】
基材フィルムを準備するステップ;
前記基材フィルム上に色変換層を形成するステップ;及び
前記色変換層上に粘着性樹脂マトリックス及び相変化素材を含む相変換粘着層を形成するステップを含み、
前記相変化素材は、有機単分子、高分子及び無機塩水和物からなる群より選択される少なくとも一つであり、
前記相変化素材は、30℃~80℃で固体-液体相変化(solid-liquid phase transition)が起きるものであ
り、
前記相変換粘着層を形成するステップは、
前記色変換層上に粘着性樹脂マトリックス、溶媒及び相変化素材を含む相変化溶液をコーティングして、相変換粘着層を形成するステップ;及び
前記相変換粘着層を熱硬化又は光硬化するステップを含む、
色変換フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記色変換層を形成するステップは、
樹脂、溶媒及び有機蛍光染料が混合された樹脂溶液を準備するステップ;
前記樹脂溶液を前記基材フィルム上にコーティングして、色変換層を形成するステップ;及び
前記基材フィルム上にコーティングされた前記色変換層を乾燥するステップを含む、請求項10に記載の色変換フィルムの製造方法。
【請求項12】
請求項1~
9のいずれか一項に記載の色変換フィルムを含むバックライトユニット。
【請求項13】
請求項
12に記載のバックライトユニットを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2018年11月12日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0138417の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に組み含まれる。
【0002】
本明細書は、色変換フィルム、これを含むバックライトユニット及びディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、テレビなどLCDディスプレイの色域(color gamut)の改善のために、多様な素材を用いた色変換フィルムの開発がなされてきている。
【0004】
一般に、色変換フィルムは、光と共に熱、酸素などによって劣化(degradation)が加速化して、耐久性が低下する問題がある。そのため、これらの影響を低減できる素材の選択と構造の改善が要求されてきている。
【0005】
特に、色変換フィルムは、ディスプレイ駆動中に発生するバックライトなどの熱に露出するしかないため、耐熱特性の向上が必須である。
【0006】
従来は、蛍光体の作用基置換と高耐熱性樹脂の導入などを通じて、熱安定性を向上する方案が試みられてきたが、熱が色変換層に伝達されること自体は防ぐことができず、耐熱性の向上が制限的であった。したがって、熱によるフィルムの劣化を防ぐことができる新たな技術が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書は、色変換フィルム、これを含むバックライトユニット及びディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の一実施態様は、基材フィルム;上記基材フィルム上に備えられた色変換層;及び上記色変換層上に備えられた相変換粘着層を含み、上記相変換粘着層は、粘着性樹脂マトリックス及び相変化素材を含み、上記相変化素材は、有機単分子、高分子及び無機塩水和物からなる群より選択される少なくとも一つである、色変換フィルムを提供する。
【0009】
本明細書のもう一つの実施態様は、基材フィルムを準備するステップ;上記基材フィルム上に色変換層を形成するステップ;及び上記色変換層上に粘着性樹脂マトリックス及び相変化素材を含む相変換粘着層を形成するステップを含み、上記相変化素材は、有機単分子、高分子及び無機塩水和物からなる群より選択される少なくとも一つである、色変換フィルムの製造方法を提供する。
【0010】
本明細書のもう一つの実施態様は、上述した色変換フィルムを含むバックライトユニットを提供する。
【0011】
本明細書のもう一つの実施態様は、上述したバックライトユニットを含むディスプレイ装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本明細書の一実施態様に係る色変換フィルムは、ディスプレイの駆動中に発生する熱が上記相変化粘着層内の相変化素材によって吸収されるため、熱による色変換フィルムの劣化を減少させることができる。
【0013】
また、本明細書の一実施態様に係る色変換フィルムは、相変化素材が色変換層とは別途の層に含まれているため、相変化時に生じ得る体積変化又は相変化素材の漏出を最小限におさえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本明細書の一実施態様に係る色変換フィルムの模式図である。
【
図2】本明細書の一実施態様に係るバックライトユニットの構造を例示した模式図である。
【
図3】本明細書の一実施態様に係るバックライトユニットの構造を例示した模式図である。
【
図4】本明細書の一実施態様に係るディスプレイ装置の構造を例示した模式図である。
【
図5】本明細書の一実施態様に係る色変換フィルムと比較例のフィルムとの輝度スペクトルを示したグラフである。
【
図6】本明細書の一実施態様に係る実施例及び比較例によって製造された色変換フィルムの繰り返し駆動耐久性を評価したグラフである。
【符号の説明】
【0015】
10:基材フィルム
20:色変換層
30:相変換粘着層
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0017】
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているというとき、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0018】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0019】
本明細書の一実施態様は、基材フィルム;上記基材フィルム上に備えられた色変換層;及び上記色変換層上に備えられた相変換粘着層を含み、上記相変換粘着層は、粘着性樹脂マトリックス及び相変化素材を含み、上記相変化素材は、有機単分子、高分子及び無機塩水和物からなる群より選択される少なくとも一つである、色変換フィルムを提供する。
【0020】
上記相変化素材は、一定の温度範囲内で相変化を起こすことによってで熱を吸収し、このような熱吸収を通じて、色変換層に熱が伝達されることを防止することができる。具体的に、上記相変化素材は、30℃~80℃で固体-液体相変化が起こり得る。30℃より低い温度で相変化が起きる場合、色変換フィルムの駆動温度範囲で熱吸収による安定化効果が大きくないことがあり、80℃より高い温度で相変化を起こす場合、相変化素材の熱吸収能力が低下して、色変換層へ多くの熱が伝達されて劣化することがある。
【0021】
本明細書の一実施態様によれば、上記相変換粘着層は、相変化素材及び粘着物質から構成されることができる。上記粘着物質は、通常、粘着層に使用されることができる物質であれば、特に限定されるものではない。
【0022】
本明細書の一実施態様によれば、上記相変化素材の含量は、上記相変換粘着層100重量部に対し10~80重量部であってもよい。10重量部未満の含量を投入する場合、相変換粘着層の熱吸収能力が低下して、耐久性向上の効果が微弱であり、80重量部超過の含量を投入する場合、コーティング液の粘度が低くて、工程性が低下し得る。
【0023】
本明細書の一実施態様によれば、上記相変化素材の含量は、上記粘着性樹脂マトリックス100 重量部に対し5重量部以上100重量部以下であってもよい。具体的に、5重量部以上、10重量部以上、15重量部以上、20重量部以上、25重量部以上、30重量部以上、35重量部以上、40重量部以上、45重量部以上、又は50重量部以上であってもよく、95重量部以下、90重量部以下、85重量部以下、80重量部以下、75重量部以下、又は70重量部以下であってもよい。
【0024】
本明細書の一実施態様によれば、上記相変化素材は、微細カプセル構造からなり、上記微細カプセル構造は、シェル及びコアを含むことができる。
【0025】
また、本明細書の一実施態様によれば、上記シェルは、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒド、ポリウレタン樹脂、ポリ尿素樹脂、エポキシ樹脂、ゼラチン及びポリアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも一つであり、上記コアは、有機単分子、高分子及び無機塩水和物からなる群より選択される少なくとも一つであってもよい。
【0026】
本明細書の一実施態様によれば、上記有機単分子は、パラフィン系化合物、脂肪酸系化合物、アルコール系化合物及びカーボネート系化合物からなる群より選択される少なくとも一つであってもよい。
【0027】
上記パラフィン系化合物は、特に限定されるものではないが、n-ノナデカン(n-nonadecane)、 n-エイコサン(n-eicosane)、n-ヘンイコサン(n-heneicosane)、n-ドコサン(n-docosane)、n-トリコサン(n-tricosane)、n-テトラコサン(n-tetracosane)、n-ペンタコサン(n-pentacosane)、n-ヘキサコサン(n-hexacosane)、n-ヘプタコサン(n-heptacosane)及びn-オクタコサン(n-octacosane)を含む群より選択される少なくとも一つであってもよい。
【0028】
また、上記脂肪酸系化合物は、特に限定されるものではないが、カプリン酸(capric acid)、ラウリン酸(lauric acid)及びミリスチン酸(myristic acid)を含む群より選択される少なくとも一つであってもよい。
【0029】
また、上記アルコール系化合物は、特に限定されるものではないが、1-ドデカノール(1-dodecanol)及び1-テトラデカノール(1-tetradecanol)を含む群より選択される少なくとも一つであってもよい。
【0030】
また、上記カーボネート系化合物は、特に限定されるものではないが、テトラデシルカーボネート(tetradecyl carbonate)、ヘキサデシルカーボネート(hexadecyl carbonate)及びオクタデシルカーボネート(octadecyl carbonate)を含む群より選択される少なくとも一つであってもよい。
【0031】
本明細書の一実施態様によれば、上記高分子は、ポリエチレングリコール(poly(ethylene glycol))、ポリプロピレンオキシド(poly(propylene oxide), PPO)、ポリテトラヒドロフラン(polytetrahydrofuran, PTHF)を含む群より選択される少なくとも一つであってもよい。
【0032】
本明細書の一実施態様によれば、上記無機塩水和物は、LiNO3・3H2O、Na2SO4・10H2O、NaCH3COO・3H2O、CaBr2・6H2O、Na2HPO4・12H2O、Zn(NO3)2・nH2O、Na2S2O3・5H2O及びCd(NO3)2・4H2Oを含む群より選択される少なくとも一つであってもよい。
【0033】
本明細書の一実施態様において、上記粘着性樹脂マトリックスを構成する成分は、当該技術分野に知られている粘着成分が使用されることができる。例えば、上記粘着性樹脂マトリックスは、カチオン重合性粘着成分、ラジカル硬化性粘着成分、又はこれらの混合物であってもよい。
【0034】
本明細書の一実施態様において、上記粘着性樹脂マトリックスは、カチオン重合性粘着成分を含む。
【0035】
上記カチオン重合性粘着成分は、カチオン重合反応によって硬化された粘着成分を含み、当該技術分野に知られているカチオン重合性組成物によって形成されることができる。
【0036】
本明細書の一実施態様において、上記カチオン重合性組成物は、カチオン性光重合開始剤を含む。 上記カチオン性光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射によって、カチオン(cation)種やルイス酸を作り出す化合物であって、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨウ素アルミニウム塩、芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩及び鉄-アレーン錯体などが挙げられるが、これにのみ限定されるものではない。
【0037】
カチオン重合性組成物中のカチオン性光重合開始剤以外の成分は、当該技術分野に使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、上記カチオン重合性組成物には、エポキシ化合物のようなカチオン重合性化合物、及び、必要によって、バインダー樹脂、反応性樹脂、添加剤などが追加で使用されることができる。例えば、上記カチオン重合性組成物は、組成物100重量部を基準にカチオン重合性化合物(例えば、エポキシ化合物)5~90重量部;及びカチオン性光重合開始剤0.5~20重量部を含み、必要によって、粘度を維持するか、ウェッティング性(wetting)を向上するための添加剤をさらに含むことができる。
【0038】
本明細書の一実施態様において、上記カチオン重合性組成物は、樹脂、カチオン性光開始剤(cationic photo initiator)及び粘着付与剤を含むことができる。上記樹脂としては、ゴム(rubber)系樹脂が使用されることができる。上記カチオン性光重合開始剤の含量は、必要によって定められることができ、例えば、樹脂100重量部に対し30~100重量部で含まれることができる。上記粘着付与剤は、樹脂100重量部に対し30~40重量部で含まれることができる。また、必要によって、当該技術分野に知られている添加剤がさらに添加されることができる。
【0039】
本明細書の一実施態様において、上記カチオン重合性粘着成分は、UV照射の際に追加でラジカルを発生させる物質を含まないことが好ましい。
【0040】
本明細書の一実施態様において、上記粘着性色変換層は、カチオン重合性組成物;及び有機蛍光体を基材上に塗布した後、カチオン重合をすることにより形成されることができる。
【0041】
本明細書の一実施態様において、上記粘着性樹脂マトリックスは、ラジカル硬化型粘着成分を含む。上記ラジカル硬化型粘着成分は、ラジカル硬化によって硬化した粘着成分を含み、当該技術分野に知られているラジカル硬化型組成物によって形成されることができる。上記ラジカル硬化型組成物は、ラジカル重合性化合物及びラジカル開始剤を含み、必要によって、ゴム系接着樹脂などをさらに含むことができる。上記組成物は、必要によって溶媒を含むこともできるが、ラジカル重合性化合物及びラジカル開始剤を含む組成物が溶液状態の場合には、別途の溶媒が使用されないこともある。
【0042】
上記ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合反応を通じて重合される化合物であって、ラジカル重合性単量体又は重合体が使用されることができる。ラジカル重合性化合物としては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させたウレタンアクリレート、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、マレイミド類、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、(メタ)アクリルアルデヒド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニル-2-ピロリドン又はトリアリルイソシアヌレートなどが使用されることができる。
【0043】
上記ラジカル開始剤は、ラジカル重合性化合物の重合を促進し、硬化速度を向上するために使用されることができる。ラジカル開始剤の種類としては、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤などがあるが、これにのみ限定されるものではない。必要によって、上記ラジカル硬化型組成物は、追加の添加剤をさらに含むことができる。添加剤としては、酸化防止剤、オリゴマー及び付着増進剤などがあるが、これにのみ限定されるものではない。
【0044】
本明細書の一実施態様において、ラジカル硬化型組成物100重量部に対し、ラジカル重合性化合物の含量は80~99.5重量部、ラジカル開始剤は0.5重量部~20重量部で含まれることができる。
【0045】
本明細書の一実施態様において、上記ラジカル硬化型粘着成分は、ラジカル硬化型組成物が硬化しながら発生するラジカルが有機蛍光体に及ぼす影響を防止するために、重量平均分子量が300g/mol以上のラジカル重合性化合物を使用することができる。
【0046】
上記重量平均分子量が300g/mol以上のラジカル重合性化合物は、単量体であってもよく、重合体であってもよく、これらの混合物であってもよい。上記重量平均分子量が300g/mol以上のラジカル重合性単量体又は重合体は、比較的に分子量が大きいことから、UV硬化後にラジカルが生成されても有機蛍光体と反応しないため、色変換フィルムの光特性を低下させないことができる。このとき、重量平均分子量が300g/mol以上であるものはラジカル重合性化合物であって、有機蛍光体の物性に影響を及ぼさない他の成分は重量平均分子量が制限されない。
【0047】
本明細書の一実施態様によれば、上記相変換粘着層上に保護フィルムをさらに含むことができる。
【0048】
図1には、本明細書の一実施態様に係る色変換フィルムを示す。具体的に、基材フィルム10上に色変換層20がコーティングされ、その上に相変換粘着層30をコーティングした色変換フィルムを示す。
【0049】
本明細書の一実施態様において、上記樹脂は、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂をいずれも含み、その種類が特に限定されるものではないが、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなポリ(メタ)アクリル系、ポリカーボネート系(PC)、ポリスチレン系(PS)、ポリエチレン系、ポリエチレングリコール系、ポリアリーレン系(PAR)、ポリウレタン系(TPU)、スチレン-アクリロニトリル系(SAN)、ポリビニリデンフルオライド系(PVDF)、改質ポリビニリデンフルオライド系(modified-PVDF)などが使用されることができる。
【0050】
本明細書の一実施態様において、上記樹脂は、透明な特性を示すことができる。ここで、透明とは、可視光線透過率が75%以上であることを意味する。
【0051】
本明細書の一実施態様において、上記溶媒は、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジン、ブチルアセテート、n-プロピルアセテート、エチルアセテート、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はこれらの組み合わせであってもよい。より具体的に、上記溶媒は、上述した溶媒を単独又は2種間混合して使用することができる。
【0052】
本明細書の一実施態様において、上記有機蛍光染料は、近紫外線で可視光線領域で選択される光を吸収して、吸収した光と異なる波長の光を出射する染料が使用されることができる。
【0053】
本明細書の一実施態様において、上記有機蛍光染料は、ボディピー系、アクリジン系、キサンテン系、アリールメタン系、クマリン系、多環芳香族炭化水素系、多環ヘテロ芳香族系、ペリレン系、ピロール系及びピレン系誘導体のうちいずれか一つ以上を含む。具体的に、上記有機蛍光染料は、上述した物質のうち一つ又は2種を含む。より具体的に、上記有機蛍光染料は、ボディピー系有機蛍光染料を使用する。
【0054】
本明細書の一実施態様において、上記有機蛍光染料は、モル吸光係数(molecular absorption coefficient)が50,000M-1cm-1~150,000M-1cm-1である。
【0055】
本明細書の一実施態様において、上記基材フィルムの厚さは、1μm~100μmである。より具体的に、10μm~90μmであってもよく、好ましくは20μm~80μmである。
【0056】
本明細書の一実施態様において、上記有機蛍光染料は、上記樹脂内に分散した形態で存在する。
【0057】
上記有機蛍光染料の含量は、上記樹脂100重量部を基準に0.005重量部~2重量部である。
【0058】
本明細書の一実施態様において、上述した実施態様に係る色変換フィルムは、さらに光拡散粒子を含む。輝度を向上するために、従来使用される光拡散フィルムの代わりに、光拡散粒子を色変換フィルムの内部に分散させることで、別途の光拡散フィルムを使用することに比べて、貼付工程を省略できるだけでなく、より高い輝度を示すことができる。
【0059】
光拡散粒子としては、上記樹脂より屈折率の高い粒子が使用されることができ、例えば、TiO2、シリカ、ボロシリケイト、アルミナ、サファイア、空気又は他のガス、空気又はガス充填された中空ビード又は粒子(例えば、空気/ガス充填されたガラス又はポリマー);ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アクリル、メチルメタクリレート、スチレン、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、又はメラミン及びホルムアルデヒド樹脂をはじめとするポリマー粒子;又はこれらの組み合わせを含む。
【0060】
上記光拡散粒子の粒径は、0.1μm~5μmであってもよい。光拡散粒子の含量は、必要によって定められることができ、例えば、上記樹脂固形分100重量部に対し約1重量部~30重量部であってもよい。
【0061】
本明細書の一実施態様において、上記色変換フィルムの厚さは、2μm~200μmである。
【0062】
本明細書の一実施態様において、上記色変換フィルムは、2μm~20μmの薄い厚さでも高い輝度を示すことができる。これは単位体積上に含まれる蛍光体分子の含量が、量子ドットに比べて高いからである。例えば、有機蛍光染料の含量が樹脂固形分に対し0.5wt%が適用された5μm厚さの色変換フィルムは、青色バックライトユニット(blue BLU)600nitの輝度を基準に4000nit以上の高い輝度を示すことができる。
【0063】
本明細書の一実施態様において、色変換フィルムは、基材フィルム;及び上記基材フィルム上に備えられた色変換層を含む。
【0064】
本明細書の一実施態様において、上記基材フィルムは、上記色変換フィルムの製造時に支持体としての機能を果たすことができる。上記基材フィルムは、透明であり、支持体としての機能を果たすことができるものであれば、その種類や厚さが限定されず、当該技術分野に知られているものなどを使用することができる。ここで、透明とは、可視光線透過率が70%以上であることを意味する。例えば、上記基材フィルムとしては、PETフィルムが使用されることができる。
【0065】
必要な場合、上記基材フィルムは、バリアフィルムで代替されるか、バリアフィルムが基材フィルムの一面又は両面に備えられることができる。
【0066】
上記バリアフィルムとしては、水分又は酸素を遮断できるフィルムであれば、特に限定されず、当該技術分野に知られているものなどを使用することができる。例えば、上記バリアフィルムとしては、水分及び酸素のうち少なくとも一つの透過度が10-1cc/m2/day以下のバリア層を含む。例えば、上記バリア層は、水分又は酸素遮断性を付与するアルミニウム酸化物又は窒化物、及びイオン性金属酸化物を含むことができる。上記バリアフィルムは、バッファ層として、ゾル-ゲル系、アクリル系、エポキシ系及びウレタン系コーティング液組成物の中から選択された1種以上からなるバッファ層をさらに含むこともできる。
【0067】
一例として、上記バリアフィルムは、基材フィルムの一面又は両面に備えられた有機・無機ハイブリッドコーティング層、無機物層及び有機シランで表面改質された無機ナノ粒子を含む保護コーティング層を含むことができる。ここで、無機物層は、金属酸化物又は窒化物からなることができる。上記無機ナノ粒子は、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウムのナノ粒子であってもよい。上記有機・無機ハイブリッドコーティング層は、有機シランを含むゾル状のコーティング組成物を熱又はUVによって硬化させて形成することができ、上記ゾル状のコーティング溶液組成物は、有機シランとともに、場合によって適切な添加剤、溶媒、重合触媒などを含むことができる。
【0068】
本明細書の一実施態様において、上記色変換フィルムの一面に粘着又は接着層が備えられていてもよい。具体的に、基材フィルムが備えられていない色変換層の一面に粘着又は接着層が備えられることができる。上記粘着又は接着層を構成する成分は、当業界で使用される物質であれば、制限なく使用可能である。
【0069】
本明細書のもう一つの実施態様は、基材フィルムを準備するステップ;上記基材フィルム上に色変換層を形成するステップ;及び上記色変換層上に粘着性樹脂マトリックス及び相変化素材を含む相変換粘着層を形成するステップを含み、上記相変化素材は、有機単分子、高分子及び無機塩水和物からなる群より選択される少なくとも一つである、色変換フィルムの製造方法を提供する。
【0070】
本明細書の一実施態様において、上記色変換層を形成するステップは、樹脂、溶媒及び有機蛍光染料が混合された樹脂溶液を準備するステップ;上記樹脂溶液を上記基材フィルム上にコーティングして、色変換層を形成するステップ;及び上記基材フィルム上にコーティングされた上記色変換層を乾燥するステップを含むことができる。
【0071】
本明細書の一実施態様において、上記相変換粘着層を形成するステップは、上記色変換層上に粘着性樹脂マトリックス、溶媒及び相変化素材を含む相変化溶液をコーティングして、相変換粘着層を形成するステップ;及び上記相変換粘着層を熱硬化又は光硬化するステップを含むことができる。
【0072】
本明細書の一実施態様は、基材フィルムを準備するステップ;樹脂、溶媒及び有機蛍光染料が混合された樹脂溶液を準備するステップ;上記樹脂溶液を上記基材フィルム上にコーティングして、色変換層を形成するステップ;上記基材フィルム上にコーティングされた上記色変換層を乾燥するステップ;上記乾燥された色変換層上に粘着性樹脂マトリックス、溶媒及び相変化素材を含む相変化溶液をコーティングして、相変換粘着層を形成するステップ;及び上記相変換粘着層を熱硬化又は光硬化するステップを含む、色変換フィルムの製造方法を提供する。
【0073】
本明細書の一実施態様において、基材フィルムを準備するステップは、基材フィルムを押出又はコーティングして製造するか、製造された基材フィルムを購入して準備することができる。
【0074】
上記樹脂溶液中には上述した有機蛍光染料が溶解されているから、有機蛍光染料が溶液中に均質に分布するようになる。これは別途の分散工程を要する量子ドットフィルムの製造工程とは異なる。
【0075】
本明細書の一実施態様において、上記有機蛍光染料が溶解された樹脂溶液は、溶液中に上述した有機蛍光染料と樹脂が溶けている状態であれば、その製造方法は特に限定されない。
【0076】
一例によれば、上記有機蛍光染料が溶解された樹脂溶液は、有機蛍光染料を溶媒に溶かして第1溶液を準備し、上記樹脂を溶媒に溶かして第2溶液を準備し、上記第1溶液と第2溶液とを混合する方法によって製造されることができる。上記第1溶液と第2溶液とを混合するとき、均質に混ぜることが好ましい。しかし、これに限定されず、溶媒に有機蛍光染料と上記樹脂とを同時に添加して溶かす方法、溶媒に有機蛍光染料を溶かし、次に上記樹脂を添加して溶かす方法、溶媒に上記樹脂を溶かし、次に有機蛍光染料を添加して溶かす方法などが使用されることができる。
【0077】
上記溶液中に含まれる有機蛍光染料は、上述した通りである。
【0078】
本明細書の一実施態様において、上記溶液中に含まれている上記樹脂の代わりに、熱可塑性樹脂で硬化可能なモノマー又は熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂で硬化可能なモノマーの混合が使用されることができる。例えば、上記熱可塑性樹脂で硬化可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル系モノマーがあり、これはUV硬化によって樹脂マトリックス材料として形成されることができる。このように硬化可能なモノマーを使用する場合、必要によって硬化に必要な開始剤がさらに添加されることができる。
【0079】
上記第1溶液と第2溶液を使用する場合、これらのそれぞれの溶液に含まれる溶媒は、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1溶液と上記第2溶液とで互いに異なる種類の溶媒が使用される場合にも、これら溶媒は互いに混合できるように相溶性を有することが好ましい。
【0080】
上記溶液中に含まれる溶媒の種類は、上述した通りである。
【0081】
本明細書の一実施態様において、上記溶液中に含まれる樹脂として上記熱可塑性樹脂で硬化可能なモノマーを使用する場合、上記乾燥の前に又は乾燥と同時に硬化、例えばUV硬化を行うことができる。
【0082】
有機蛍光染料を樹脂と共に押出してフィルム化する場合には、当該技術分野に知られている押出方法を用いることができ、例えば、有機蛍光染料をポリカーボネート系(PC)、ポリ(メタ)アクリル系、スチレン-アクリロニトリル系(SAN)のような樹脂を共に押出することにより、色変換層を製造することができる。
【0083】
本明細書の一実施態様において、上記のように製造された色変換層上に粘着又は接着層を形成することができる。粘着又は接着層は、粘着又は接着層形成用組成物を塗布した後、重合又は硬化することにより形成されることもでき、上記色変換層上に粘着又は接着シートを貼り付ける方式で形成されることもできる。上記粘着又は接着シートは、色変換層との貼付後に重合又は硬化されることもできるが、必要によって貼付の前に重合又は硬化されることもできる。上記硬化としては、UV硬化が使用されることができる。硬化条件は、上記組成物の成分及び組成比によって決定されることができる。
【0084】
本明細書において、上記「硬化」とは、熱及び/又は光に露出させることで相変換粘着層内に含まれた成分の化学的又は物質的作用または反応によって、粘着性能を発現できる状態に変わる過程を意味する。例えば、上記相変換粘着層が硬化の前には液相で存在し、硬化後には固相に変わることができる。
【0085】
本明細書の一実施態様において、上記粘着又は接着層形成用組成物に光拡散粒子を分散させることにより、粘着又は接着層内に光拡散粒子を分散させることができる。このとき、光拡散粒子を直接粘着又は接着層形成用組成物に分散させることもでき、光拡散粒子を別途の溶媒に分散させた分散液を粘着又は接着層形成用組成物と混合することにより、光拡散粒子の分散度を高めることができる。必要な場合、光拡散粒子を溶媒中に分散するために、ソニケーター(sonicator)やシェーカー(shaker)を用いることができる。
【0086】
本明細書のもう一つの実施態様は、上述した色変換フィルムを含むバックライトユニットを提供する。上記バックライトユニットは、上記色変換フィルムを含むことを除き、当該技術分野に知られているバックライトユニットの構成を有することができる。
【0087】
図2及び
図3には、本明細書の一実施態様に係るバックライトユニットの構造を例示した。
図2によれば、導光板と反射板との間に上述した実施態様に係る色変換フィルムが備えられる。
図3によれば、導光板の反射板に対向する面の反対面に、上述した実施態様に係る色変換フィルムが備えられる。
図2及び3には、光源と光源を取り囲む反射板とを含む構成を例示したが、このような構造に限定されるものではなく、当該技術分野に知られているバックライトユニットの構造によって変形されることができる。また、光源は、サイドライト型だけでなく直下型が使用されることもでき、反射板や反射層は、必要によって省略されるか他の構成で代替されることもできる。
【0088】
本明細書のもう一つの実施態様は、上述したバックライトユニットを含むディスプレイ装置を提供する。例えば、上記ディスプレイ装置は、ディスプレイモジュール及びバックライトユニットを含む。
図4には、本明細書の一実施態様に係るディスプレイ装置の構造を例示した。
図4によれば、導光板の反射板に対向する面の反対面に、上述した実施態様に係る色変換フィルムが備えられ、色変換フィルムの上部にディスプレイモジュールが備えられる。しかし、ディスプレイ装置の構造はこれにのみ限定されるものではなく、上述したバックライトユニットを構成要素として含むものであれば、その構造が特に限定されない。必要によって、ディスプレイモジュールとバックライトユニットとの間に追加のフィルム、例えば光拡散フィルム、集光フィルム、輝度向上フィルムなどがさらに備えられることができる。
【0089】
上記ディスプレイ装置は、特に限定されず、例えば、テレビ、コンピュータのモニター、ノートパソコン、携帯電話であってもよい。
【実施例】
【0090】
以下、本明細書を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。ところが、本明細書に係る実施例は、種々の異なる形態に変形されることができ、本出願の範囲が以下に述べる実施例に限定されるものとは解釈されない。本出願の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0091】
<実施例1>
アクリレート系粘着剤を溶媒キシレン(Xylene)に溶かし、硬化開始剤を添加して、第1溶液を製造した。相変化素材(Poly(ethylene glycol), PEG)を溶媒キシレンに溶かして、第2溶液を製造した。上記アクリレート系粘着剤100重量部に対し、上記相変化素材の含量が70重量部になるように、上記第1溶液と第2溶液とを均質に混合して、粘着液を製造した。この粘着液を保護フィルム上にコーティングし熱硬化して、相変換粘着層を製造した。
【0092】
下記構造式の緑色蛍光体と赤色蛍光体とをモル比50:1で溶媒キシレン(Xylene)に溶かして、第3溶液を製造した。
<緑色蛍光体>
【化1】
<赤色蛍光体>
【化2】
【0093】
熱可塑性樹脂(PMMA)を溶媒キシレンに溶かして、第4溶液を製造した。上記熱可塑性樹脂100重量部に対し、上記緑色及び赤色蛍光体の含量が0.45重量部、TiO2粒子が10重量部になるように、上記第3溶液と第4溶液とを均質に混合した。この溶液をPET基材にコーティングした後に乾燥して、色変換層を製造した。このとき、TiO2粒子は、上記第3または第4溶液のうちいずれか一つに追加して混合するか、TiO2粒子を含む第5溶液を製造するか、第3または第4溶液の混合時にTiO2粒子を投入することができる。
【0094】
上記相変換粘着層を上記色変換層側にラミネーションして、色変換フィルムを製造した。
【0095】
<実施例2>
上記相変化素材として微細カプセル相変化素材(Miki Riken社、PMCD-32SP)を、上記アクリレート系粘着剤100重量部に対し70重量部になるように使用したことを除き、実施例1と同一に進行して、色変換フィルムを製造した。
【0096】
<比較例1>
アクリレート系粘着剤17重量部をキシレン(Xylene)に溶かし、硬化開始剤を添加して、粘着液を製造した。この粘着液を保護フィルム上にコーティングし熱硬化して、粘着層を製造した。
【0097】
実施例1と同一な緑色及び赤色蛍光体をモル比50:1で溶媒キシレン(Xylene)に溶かして、第1溶液を製造した。
【0098】
熱可塑性樹脂(PMMA)を溶媒キシレンに溶かして、第2溶液を製造した。パウダー状の相変化素材(Poly(ethylene glycol), PEG)を溶媒キシレンに溶かして、第3溶液を製造した。上記熱可塑性樹脂100重量部に対し、上記緑色及び赤色蛍光体の含量が0.45重量部、上記相変化素材の含量が70重量部、TiO2粒子が10重量部になるように、上記第1溶液と第2溶液、第3溶液を均質に混合した。この溶液をPET基材にコーティングした後に乾燥して、色変換層を製造した。このとき、TiO2粒子は、上記第1~第3溶液のうちいずれか一つに追加して混合するか、TiO2粒子を含む第4溶液を製造するか、第1~第3溶液の混合時にTiO2粒子を投入することができる。
【0099】
上記粘着層を上記色変換層側にラミネーションして、色変換フィルムを製造した。
【0100】
<比較例2>
上記相変化素材を使用しないことを除き、実施例1と同一に進行して、相変化素材を使用していない色変換フィルムを製造した。
【0101】
実施例1と比較例2によって製造された色変換フィルムの発光スペクトルを分光放射輝度計(TOPCON社のSR series)で測定した。具体的に、製造された色変換フィルムをLED青色バックライト(最大発光波長450nm)と導光板とを含むバックライトユニットの導光板の一面に積層し、色変換フィルム上にプリズムシートとDBEFフィルムとを積層した後、フィルムの輝度スペクトルを測定し、その結果を
図5に示す。また、色変換フィルムの輝度(brightness)及び量子効率(QY)を測定した結果を、下記表1に示す。
図5と表1によれば、相変化素材を色変換フィルムに投入しても、光特性が大きく低下しないことが確認できる。
【0102】
【0103】
実施例及び比較例によって製造された色変換フィルムの繰り返し駆動耐久性を評価した。具体的には、製造された色変換フィルムを、LED青色バックライト(最大発光波長450nm)と導光板とを含むバックライトユニットの導光板の一面に積層し、色変換フィルム上にプリズムシートとDBEFフィルム、反射板を積層した。ディスプレイの駆動による熱発生状況を模写するために、上記積層構造をホットプレート上に置いて、60℃に加熱及びバックライトを24時間駆動し、その後24時間常温冷却及びバックライト遮断を10サイクル間繰り返した。各サイクル後の色変換フィルムの発光スペクトルを分光放射輝度計で測定して光特性の変化を分析し、その結果を
図6と表2に示す。比較例1によって製造された色変換フィルムは、初駆動時に相変化素材が液化して色変換フィルムの外部に漏れ出たため、追加の駆動耐久性評価を進行することができなかったが、実施例1によって製造された色変換フィルムは、高い相変化素材の含量にもかかわらず、別途の漏出現象がみられず、向上した耐久性を示した。
【0104】