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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】多極コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20220524BHJP
   H01R 13/24 20060101ALI20220524BHJP
   H01R 13/10 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
H01R13/42 G
H01R13/24
H01R13/10 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017186139
(22)【出願日】2017-09-27
(65)【公開番号】P2019061871
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】日本電産リード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100143373
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 裕人
(74)【代理人】
【識別番号】100154933
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 利博
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】裴 子容
(72)【発明者】
【氏名】山下 宗寛
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-142015(JP,A)
【文献】特開2010-114067(JP,A)
【文献】特開2004-061180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/10-13/11
13/24
13/42
31/06
33/07
G01R 1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1端子のそれぞれと複数の第2端子のそれぞれとを電気的に接続する多極コネクタであって、
円筒状に形成された筒本体部、及び該筒本体部から径方向外側に突出する突出部、を有する筒部と、
前記筒部の内部に収容されて該筒部に保持される接触子と、
板状であって、前記筒本体部が収容される複数の貫通孔、が形成されたベース部と、
を備え、
前記貫通孔は、前記ベース部の拡がる面方向に垂直な方向から視た仮想的な格子の交点に対応する位置に設けられ、
前記ベース部の一方の面には、前記貫通孔から前記格子の対角位置を結ぶ対角方向に延び、前記突出部が載置される溝部が形成され、
前記格子の対角方向に沿って隣接する二つの前記貫通孔の中心間の距離は、前記中心から前記突出部の先端までの距離の2倍よりも長く、
前記ベース部に収容された状態の複数の前記筒部における前記溝部側の端部を覆うカバー部を更に備え、
ベース部側に形成され、前記筒部の外周面を覆う第1孔部と、
前記第1孔部と連続して形成され、前記接触子の筒状体の外周面を覆う第2孔部と、
前記第2孔部と連続して形成され、前記接触子のプランジャーの外周面を覆う第3孔部と、
前記第3孔部と連続して形成され、前記プランジャーと接触する前記第2端子の先端部が挿入される第4孔部と、
が形成され、
前記第1孔部、前記第2孔部、前記第3孔部、及び前記第4孔部は、平面視で同心状に形成されていることを特徴とする、多極コネクタ。
【請求項2】
請求項に記載の多極コネクタにおいて、
前記第2孔部の内周面は、前記筒状体の外周面と接触し、
前記第3孔部の内周面は、前記プランジャーの外周面と間隔をあけて設けられていることを特徴とする、多極コネクタ。
【請求項3】
請求項又は請求項に記載の多極コネクタにおいて、
前記カバー部における前記ベース部と反対側の表面と前記第4孔部の内周面との境界部分には、面取り部が形成されていることを特徴とする、多極コネクタ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の多極コネクタにおいて、
前記筒部は、2つの前記突出部を有し、
一方の前記突出部は、他方の前記突出部に対して、平面視における前記筒本体部の中心軸を挟んで対向する位置に形成されていることを特徴とする、多極コネクタ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の多極コネクタにおいて、
前記筒本体部の外周面と前記貫通孔の内周面との間には、隙間が形成されていることを特徴とする、多極コネクタ。
【請求項6】
請求項項に記載の多極コネクタにおいて、
前記筒本体部には、該筒本体部の一部分が径方向外側へ膨出する膨出部が形成されていることを特徴とする、多極コネクタ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の多極コネクタにおいて、
前記筒部には、該筒部の長手方向に延びて該筒部を周方向において分断するスリット部が形成されていることを特徴とする、多極コネクタ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の多極コネクタにおいて、
前記突出部は、前記筒本体部の一部が径方向外側へ切り起こされた状態の切り起こし部であることを特徴とする、多極コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の第1端子と複数の第2端子とを電気的に接続する多極コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されるコネクタは、複数の第1端子と複数の第2端子とを電気的に接続する多極コネクタである。この多極コネクタは、細長い筒状に形成された筒本体と、筒本体の内部に収容されて筒本体と導通状態となる接触子とを有する接触子ユニットを複数、備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-98090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示される多極コネクタでは、接触子ユニットの筒本体(筒部)が保持部(ベース部)に圧入されることにより保持されている。言い換えれば、接触子ユニットは、保持部の貫通孔の内周面に対する摩擦力によって、貫通孔の内部で保持されている。しかしこの構成では、保持部に対する接触子ユニットの保持力が不十分となる場合もある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、接触子ユニットの筒部をベース部に対して確実に保持させることが可能な多極コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る多極コネクタは、複数の第1端子のそれぞれと複数の第2端子のそれぞれとを電気的に接続する多極コネクタであって、円筒状に形成された筒本体部、及び該筒本体部から径方向外側に突出する突出部、を有する筒部と、前記筒部の内部に収容されて該筒部に保持される接触子と、前記筒本体部が収容され、平面視で格子の交点に対応する位置に設けられた貫通孔、が形成されたベース部と、を備え、前記ベース部には、平面視で前記格子の対角位置を結ぶ対角方向に延び、前記突出部が載置される溝部が形成されている。
【0007】
この構成によれば、筒部をベース部の貫通孔に収容すると、筒部の突出部がベース部に形成された溝部に載置される。このような構成にすると、筒部の突出部が溝部によって下方から受けられるため、筒部の位置がそれよりも下方へずれたり、筒部が下方へ抜け落ちたりすることがない。
【0008】
従って、この構成によれば、接触子ユニットの筒部をベース部に対して確実に保持させることが可能な多極コネクタを提供できる。
【0009】
また、この構成によれば、格子の対角位置を結ぶ対角方向に溝部が延びている。こうすると、例えば格子の列方向或いは行方向に沿って延びる溝部を形成した場合と比べて、格子間の溝部の長さを十分に確保できる。これにより、突出部の突出量を十分に確保でき、突出部と溝部との接触範囲を大きくできるため、突出部が溝部によってしっかりと受け止められる。すなわち、この構成によれば、十分なストッパ構造を有する多極コネクタを提供できる。また、この構成によれば、対角方向に隣接する筒部の突出部の間のクリアランスを十分に広げることができるため、突出部同士がぶつかって溝部から浮いてしまうことを防止できる。
【0010】
ところで、上述した特許文献1に開示されるコネクタでは、保持体(ベース部に相当)の上端面からプランジャーの先端部のみが露出した状態となっている。そうすると、メンテナンス等によりコネクタを保持体から抜き取る場合、保持体の上側からプランジャーの先端部を把持して引き抜くことはできないため、保持体の下側から抜き取る必要がある。しかしこの場合であっても、プランジャーの先端部が貫通孔内部を通過する際に貫通孔の内壁にぶつけてしまう可能性がある。すなわち、特許文献1に開示されるコネクタは、メンテナンス性の観点で好ましくない。
【0011】
この点につき、この構成によれば、多極コネクタにおいて接触子ユニット(筒部に接触子が挿入されたもの)を交換する必要が生じた場合等に接触子ユニットをベース部から取り外す際、筒本体部におけるベース部の上端面から露出した部分(具体的には、筒本体部における突出部よりも上側の部分)を把持して上側へ引き抜くことにより、接触子のプランジャー先端部を破損することなく接触子ユニットをベース部から容易に抜き取ることができる。これにより、多極コネクタのメンテナンス性を高めることができる。
【0012】
好ましくは、前記筒部は、2つの前記突出部を有し、一方の前記突出部は、他方の前記突出部に対して、平面視における前記筒本体部の中心軸を挟んで対向する位置に形成されている。
【0013】
この構成によれば、2つの突出部が周方向に間隔をあけて設けられるため、2つの突出部の間隔が狭い場合と比べて、接触子ユニットをベース部に対して安定して保持させることができる。
【0014】
好ましくは、前記筒本体部の外周面と前記貫通孔の内周面との間には、隙間が形成されている。
【0015】
この構成によれば、筒部をベース部の貫通孔に収容した状態において、筒本体部の外周面と貫通孔の内周面との間に隙間が形成される。言い換えれば、筒部をベース部に保持させるために、筒部をベース部に圧入する必要がない。従って、この構成によれば、組立に必要な圧入回数を低減できるため、容易に組み立てることができる多極コネクタを提供できる。
【0016】
更に好ましくは、前記筒本体部には、該筒本体部の一部分が径方向外側へ膨出する膨出部が形成されている。
【0017】
この構成によれば、筒部がベース部に収容された状態において、膨出部をベース部の貫通孔の内周面に押し付け可能なように形成することができる。これにより、一旦ベース部へ挿入された接触子ユニットがベース部から抜け落ちてしまうことを防止できる。しかも、この構成によれば、膨出部は、筒部の長手方向における一部分のみに形成されているため、大きな力を加えることなく筒部を貫通孔に挿入することができる。
【0018】
好ましくは、前記筒部には、該筒部の長手方向に延びて該筒部を周方向において分断するスリット部が形成されている。
【0019】
この構成によれば、例えば一例としてプレス加工によって板状の部材を円筒状に丸めることが可能になるため、筒部を容易に形成することができる。
【0020】
好ましくは、前記突出部は、前記筒本体部の一部が径方向外側へ切り起こされた状態の切り起こし部である。
【0021】
この構成によれば、筒部の一部を切り起こすことによって、突出部を比較的容易に形成することができる。
【0022】
好ましくは、前記多極コネクタは、前記ベース部に収容された状態の複数の前記筒部における前記溝部側の端部を覆うカバー部を更に備える。
【0023】
この構成によれば、カバー部によって筒部の端部を覆うことができるため、接触子ユニットがベース部から抜けてしまうことを防止できる。
【0024】
更に好ましくは、前記カバー部には、ベース部側に形成され、前記筒部の外周面を覆う第1孔部と、前記第1孔部と連続して形成され、前記接触子の筒状体の外周面を覆う第2孔部と、前記第2孔部と連続して形成され、前記接触子のプランジャーの外周面を覆う第3孔部と、前記第3孔部と連続して形成され、前記プランジャーと接触する前記第2端子の先端部が挿入される第4孔部と、が形成され、前記第1孔部、前記第2孔部、前記第3孔部、及び前記第4孔部は、平面視で同心状に形成されている。
【0025】
この構成によれば、接触子ユニットがベース部に収容された状態において、筒部、筒状体、及びプランジャーのそれぞれの中心軸が互いにずれている場合であっても、カバー部をベース部に固定することによって、筒部、筒状体、及びプランジャーを同心状に配置することができる。言い換えれば、この構成によれば、接触子ユニットの各部位を正常な位置に配置することができる。
【0026】
更に好ましくは、前記第2孔部の内周面は前記筒状体の外周面と接触し、前記第3孔部の内周面は前記プランジャーの外周面と間隔をあけて設けられている。
【0027】
この構成によれば、筒状体の外周面を第2孔部の内周面で保持することにより、筒状体の位置決めを行うことができる。また、プランジャーの外周面と第3孔部の内周面との間隔があいているため、プランジャーをスムーズに進退させることができる。
【0028】
好ましくは、前記カバー部における前記ベース部と反対側の表面と前記第4孔部の内周面との境界部分には、面取り部が形成されている。
【0029】
この構成によれば、面取り部によって第2端子をプランジャー先端部へ誘い込むことができるため、第2端子を確実にプランジャーへ案内することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一つの態様によれば、接触子ユニットの筒部をベース部に対して確実に保持させることが可能な多極コネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、実施形態に係る多極コネクタの部分断面図である。
図2図2は、多極コネクタの一部を上方から視た図である。
図3図3は、図2におけるガイドプレートの図示を省略した図である。
図4A図4Aは、プローブの正面図である。
図4B図4Bは、プローブの縦断面図である。
図5図5は、ソケットの正面図である。
図6A図6Aは、図5のVIA-VIA線における断面図である。
図6B図6Bは、図5のVIB-VIB線における断面図である。
図6C図6Cは、図5のVIC-VIC線における断面図である。
図6D図6Dは、図5のVID-VID線における断面図である。
図7A図7Aは、ベースプレートの一部を上方から視た図である。
図7B図7Bは、図7AのVIIB-VIIB線における断面図であって、溝部の断面形状を説明するための図である。
図8図8は、キャリアから切断される前のソケットの状態を示す図である。
図9図9は、図8のIX―IX線における断面図である。
図10図10は、櫛状ソケットの正面図である。
図11図11は、変形例に係るソケットの正面図である。
図12図12は、変形例に係る多極コネクタを上方から視た図である。
図13A図13Aは、図12のXIIIA-XIIIA線における断面図である。
図13B図13Bは、図12のXIIIB-XIIIB線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。また、各図において図示した多極コネクタ1の各部位は模式的に示したものである。
【0033】
〔実施形態〕
図1は、本発明の実施形態に係る多極コネクタ1の部分断面図である。また、図2は、多極コネクタ1の一部を上方から視た図である。また、図3は、図2におけるガイドプレート5の図示を省略した図である。図1では、ベースプレート3及びガイドプレート5のみを断面図で示し、接触子ユニット2については側方から視た図を示している。なお、本明細書では、各図における上下方向は接触子ユニット2の長手方向を基準として規定しており、プランジャー12の先端側を上側又は上方とし、プローブ10の長手方向におけるプランジャー12の先端と反対側を下側又は下方とする。また、図1は、図2のI-I線における断面図である。
【0034】
図1に示す多極コネクタ1は、複数の第1端子Aのそれぞれと複数の第2端子Bのそれぞれとを電気的に接続するものである。多極コネクタ1では、図1の下方側に第一の接続対象である接続切替ユニットの第1端子Aが接続され、図1の上方側に第二の接続対象である検査治具用コネクタの第2端子Bが接続される。これにより、第1端子Aと第2端子Bとが電気的に接続される。
【0035】
接続切替ユニットは、基板に設けられた配線パターンの電気特性を検査する基板検査装置に用いられるいわゆるスキャナ装置であって、検査装置本体の検査用の電源部、電圧検出部及び電流検出部を備えた検査ユニットと、第二の接続対象である検査治具用コネクタに設けられたプローブとの間の電気的な接続関係を切り替えるものである。
【0036】
接続切替ユニットは、複数のスイッチング素子を有する基板ユニットからなっている。接続切替ユニットには、各スイッチング素子に接続された電極ピン等からなる複数の第1端子Aが所定ピッチで配設されている。第1端子Aは、図中、多極コネクタ1の下方に配設された図略の接続切替ユニットから多極コネクタ1側(図1の上方側)に向けて突設されている。そして、接続切替ユニットが多極コネクタ1に取り付けられることにより、接触子ユニット2の基端部(図1における接触子ユニット2の下端部)と、接続切替ユニットの第1端子Aとが電気的に接続されるようになっている。
【0037】
検査治具用コネクタには、電極ピン等からなる複数本の第2端子Bが所定ピッチで配設されている。第2端子Bは、検査対象となる配線パターン等の検査点に圧接される検査治具の各プローブに、それぞれ導線を介して接続されている。第2端子Bは、図中、多極コネクタ1の上方に配設された検査治具用コネクタから多極コネクタ1側(図1の下方側)に向けて突設されている。そして、検査治具用コネクタが多極コネクタ1に取り付けられることにより、接触子ユニット2の先端部と、検査治具用コネクタの第2端子Bとが電気的に接続されるようになっている。
【0038】
なお、多極コネクタ1は、接続切替ユニットと検査治具用のコネクタとの間を中継するものに限られず、その他の種々の用途に適用可能である。すなわち、多極コネクタ1の下方側に接続される接続対象は、接続切替ユニットに設けられた第1端子Aに限られない。また、多極コネクタ1の上方側に接続される接続対象は、検査治具用コネクタに設けられた第2端子Bに限られない。
【0039】
[多極コネクタの全体構成]
多極コネクタ1は、複数の接触子ユニット2と、ベースプレート3(ベース部)と、ガイドプレート5(カバー部)とを備えている。多極コネクタ1は、複数の接触子ユニット2がベースプレート3に形成されたベースプレート貫通孔4に挿入される。その状態において、詳しくは後述するが、接触子ユニット2に形成された突出部25がベースプレート3の溝部30によって下側から受けられる。その後、それら複数の接触子ユニット2がガイドプレート5によって上側からカバーされる。
【0040】
[接触子ユニットの構成]
接触子ユニット2は、プローブ10(接触子)と、ソケット20(筒部)とを備えている。プローブ10は、ソケット20の内部に収容されてソケット20に保持される。
【0041】
図4Aは、プローブ10の正面図、図4Bは、プローブ10の縦断面図である。プローブ10は、筒状体11と、プランジャー12と、コイルばね13とを備えている。
【0042】
筒状体11は、上下方向に延びる略円筒状に形成されている。筒状体11は、上方に開口する上開口部11aが形成されている一方、下側に形成された底部11bには下方に開口する下開口部11cが形成されている。上開口部11aを介してプランジャー12の先端部が上下方向に進退する。下開口部11cは、図1に示す第1端子Aが挿入可能な大きさに形成されている。また、筒状体11の上下方向における中途部分には、内側に窄まって縮径した縮径部11dが形成されている。
【0043】
プランジャー12は、上下方向に細長い中実棒状に形成されている。プランジャー12は、上下方向に延びる本体部12aと、本体部12aの下端部から径方向外側へ膨出する膨出部12bとを有している。本体部12a及び膨出部12bは、それぞれ、単一の部材の一部分である。膨出部12bの外径は、縮径部11dの内径よりも大きい。これにより、プランジャー12が筒状体11から上方へ抜けてしまうことを防止できる。
【0044】
コイルばね13は、プランジャー12を上方へ付勢するための付勢部材である。コイルばね13では、その下端部が筒状体11の底部11bに接触している一方、その上端部がプランジャー12の膨出部12bに接触している。これにより、コイルばね13は、プランジャー12を上方へ付勢することができる。
【0045】
図5は、ソケット20の正面図である。図6Aは、図5のVIA-VIA線における断面図である。図6Bは、図5のVIB-VIB線における断面図である。図6Cは、図5のVIC-VIC線における断面図である。図6Dは、図5のVID-VID線における断面図である。
【0046】
ソケット20は、上下方向に延びる円筒状に形成されている。ソケット20の内部には、プローブ10における下側の部分が収容されている。
【0047】
ソケット20は、筒本体部21と、第1端子用バネ22と、プローブ用バネ23と、プローブストッパ24と、突出部25とを有している。これら21~25は、それぞれ、単一の部材の一部分である。ソケット20は、導電性を有する金属材料で形成されている。
【0048】
筒本体部21は、上下方向に細長い円筒状に形成されている。筒本体部21の外径は、詳しくは後述するベースプレート3に形成されたベースプレート貫通孔4の内径よりも僅かに小さい。これにより、接触子ユニット2がベースプレート貫通孔4に挿入された状態では、筒本体部21とベースプレート貫通孔4との間には僅かな隙間ができる。また、筒本体部21の内径は、プローブ10の筒状体11の外径よりも僅かに大きい。これにより、プローブ10をソケット20内へ挿入させることができる。
【0049】
また、ソケット20の筒本体部21には、該筒本体部21の長手方向に延びて該筒本体部21を周方向において分断する隙間によって形成されたスリット部21aが形成されている。これは、長方形状の板状部材を丸めて筒本体部21を形成することにより、形成される部分である。
【0050】
第1端子用バネ22は、筒本体部21における下端部分に形成されている。第1端子用バネ22は、図6Dに示すように、筒本体部21の周方向において等間隔となるように3つ、形成されている。
【0051】
第1端子用バネ22は、片持ち梁状の板バネである。具体的には、第1端子用バネ22は、その一部(下側の部分)が筒本体部21と繋がり且つその他の部分が筒本体部21と切り離された状態で、内側にやや折り曲げられることにより形成される。これにより、第1端子用バネ22は、先端部22aが筒本体部21の内周面よりも内側に位置する板バネとして機能する。
【0052】
プローブ用バネ23は、筒本体部21における第1端子用バネよりも上側の部分に形成されている。プローブ用バネ23は、図6Bに示すように、筒本体部21の周方向において等間隔となるように3つ、形成されている。
【0053】
プローブ用バネ23は、両持ち梁状の板バネである。具体的には、プローブ用バネ23は、筒本体部21の周方向に離間する互いに平行な2本のスリット23a,23aの間の部分が内側にやや押し込まれることにより形成される。これにより、プローブ用バネ23は、上下方向における中央部分が筒本体部21の内周面よりも内側に位置する板バネとして機能する(図6B参照)。
【0054】
プローブストッパ24は、ソケット20に挿入されたプローブ10の上下方向の位置決めを行うためのものである。プローブストッパ24は、上下方向において、第1端子用バネ22とプローブ用バネ23との間に設けられている。プローブストッパ24は、図6Cに示すように、筒本体部21の周方向において等間隔となるように3つ、形成されている。
【0055】
プローブストッパ24は、筒本体部21における第1端子用バネ22とプローブ用バネ23との間の部分が内側へ切り起こされることによって形成される。具体的には、プローブストッパ24は、上下方向に垂直な方向に直線状に切り欠かれたスリット24aよりもやや下側の部分が内側に押し込まれることにより形成される。
【0056】
なお、図5に示す例では、それぞれ3つ形成された第1端子用バネ22、プローブ用バネ23、及びプローブストッパ24が、上下方向において重なる位置に形成されている例を挙げて説明した。しかし、これに限らず、第1端子用バネ22、プローブ用バネ23、及びプローブストッパ24は、上下方向においてずれた位置に形成されていてもよい。
【0057】
突出部25は、筒本体部21における上側の部分から径方向外側へ突出するように形成されている。突出部25は、図6Aに示すように、筒本体部21の周方向において等間隔となるように2つ、形成されている。言い換えれば、突出部25は、筒本体部21の中心軸を挟んで対向する位置に形成されている。
【0058】
突出部25は、筒本体部21における上側の部分が外側へ切り起こされることにより形成される。具体的には、突出部25は、上下方向に垂直な方向に切り欠かれた直線状のスリットよりもやや上側の部分が外側へ押し出されることにより形成される。言い換えれば、突出部25は、筒本体部21の一部が径方向外側へ切り起こされた状態の切り起こし部26として設けられている。突出部25の下端は、上下方向に対して水平な水平面に沿うように形成される。
【0059】
上述した第1端子用バネ22、プローブ用バネ23、プローブストッパ24、及び突出部25は、筒本体部21がプレス加工によって丸められる前の板状の状態において形成される。これにより、これら22~25を切り起こしによって容易に形成することができる。
【0060】
また、接触子ユニット2の組立工程では、プローブ10の下端部(底部11b側の部分)が、ソケット20の上側の開口部20aを介してソケット20内へ挿入される。プローブ10は、底部11bがプローブストッパ24に突き当たるまでソケット20内へ挿入される。これにより、ソケット20に対するプローブ10の上下方向における位置決めが行われ、接触子ユニット2の組立工程が完了する。なお、この状態において、プローブ10は、3つのプローブ用バネ23で挟まれた状態となる。これにより、プローブ10とソケット20とが電気的に接続されるとともに、ソケット20内でプローブ10が3つのプローブ用バネ23によって保持される。プローブ用バネ23は、上述のように両持ち梁状に形成されているため、比較的強固にプローブ10を保持することができる。
【0061】
[ベースプレートの構成]
図7Aは、ベースプレート3の一部を上方から視た図である。また、図7Bは、図7AのVIIB-VIIB線における断面図であって、溝部の断面形状を説明するための図である。
【0062】
ベースプレート3は、上下方向に所定の厚みを有する板状に形成された絶縁性の部材である。ベースプレート3は、例えば一例として上方から視て矩形状に形成されている。ベースプレート3は、該ベースプレート3に形成された複数のベースプレート貫通孔4のそれぞれに挿入された接触子ユニット2を保持するためのものである。
【0063】
ベースプレート3には、平面視で(ベースプレートの拡がる方向に垂直な方向から視て)格子Kの交点Pに対応する位置に、ベースプレート貫通孔4が形成されている。ベースプレート貫通孔4は、ベースプレート3を上下方向に(厚み方向に)貫通している。ベースプレート貫通孔4は、その横方向断面が円形状となるように形成されている。なお、上述した格子Kは、実際にベースプレート3に描かれているものではなく、説明の便宜上の仮想線である。
【0064】
各貫通孔4は、格子Kの各交点Pを中心として断面が円形状となるように形成されている。ベースプレート3には、例えば一例として、1列に64個形成されたベースプレート貫通孔4が64列、形成されている。この例では、ベースプレート3には、4096個のベースプレート貫通孔4が形成される。なお、図7Aでは、それらのベースプレート貫通孔4のうちの一部が図示されている。
【0065】
ベースプレート3の上面には、ベースプレート貫通孔4の配列方向(列方向又は行方向)に対して斜め方向に延びる複数の溝部30が形成されている。
【0066】
[溝部の形状]
溝部30は、ベースプレート3の上面に形成されている。溝部30は、ベースプレート貫通孔4の配列方向(列方向又は行方向)に対して斜め方向に延びるように形成されている。より具体的には、溝部30は、平面視で格子Kの対角位置を結ぶ対角方向(本実施形態の場合、45度)に延びる溝状に形成されている。各溝部30は、上記対角方向に隣接する2つのベースプレート貫通孔4の間に形成されている。この溝部30には、多極コネクタ1が組み立てられた状態において(図1に示す状態において)、各ソケット20に形成された突出部25が載置される。
【0067】
各溝部30は、図7Bを参照して、底部31及び一対の側壁部32を有している。底部31は、平坦状に形成されている。各側壁部32は、底部31の幅方向両端部のそれぞれから底部31に垂直な方向に延びるように形成されている。
【0068】
溝部30の長さL30は、突出部25の長さL25(図6A参照)の2倍よりも長い。このように突出部25の長さを設定することで、図3に示すように各接触子ユニット2を貫通孔4に挿入させた状態において、対角方向に隣接する突出部25同士が溝部30内において互いにぶつかってしまうことを防止できる。また、溝部30の幅W30は、突出部25の幅w25(図6A参照)よりも大きい。これにより、突出部25が溝部30からはみ出してしまうことを防止できる。
【0069】
[ガイドプレートの構成]
ガイドプレート5は、ベースプレート3と同様、上下方向に所定の厚みを有する板状に形成された絶縁性の部材である。ガイドプレート5は、例えば一例として上方から視て矩形状に形成され、ベースプレート3と同じ大きさに形成されている。ガイドプレート5は、ベースプレート3に保持された複数の接触子ユニット2を上側から押えるためのものである。すなわち、ガイドプレート5は、ベースプレート3に収容された状態の複数のソケット20における溝部30側の端部を覆う。ガイドプレート5は、例えばねじ止め等によってベースプレート3に対して固定される。
【0070】
ガイドプレート5には、ベースプレート3に形成されたベースプレート貫通孔4と同数のガイドプレート貫通孔40が形成されている。ガイドプレート貫通孔40は、ベースプレート貫通孔4と対応する位置に形成されている。具体的には、ガイドプレート貫通孔40は、ガイドプレート5がベースプレート3に対して固定された状態で(図1に示す状態で)、上方から視てベースプレート貫通孔4と重なる位置に設けられている。
【0071】
各ガイドプレート貫通孔40は、図1を参照して、第1孔部41と、第2孔部42と、第3孔部43と、第4孔部44とを有している。各孔部41~44とも、上下方向に延びるように形成され、上下方向に垂直な断面形状が円形状となるように形成されている。各孔部41~44の平面視における中心点は、各格子Kの交点Pと概ね一致している。各孔部41~44は、平面視で同心状に形成されている。
【0072】
第1孔部41は、図1に示すように、4つの孔部41~44のうち最もベースプレート3側に形成された孔部である。第1孔部41は、ソケット20の外周面における上端部分を覆っている。第1孔部41の内径は、ソケット20の外径よりも大きい。これにより、第1孔部41の内周面とソケット20の外周面における上端部分との間には、隙間が形成される。
【0073】
第2孔部42は、第1孔部41よりも上側の部分に、該第1孔部41と連続して形成されている。第2孔部42は、筒状体11の外周面における上端部分を覆っている。第2孔部42の内径は、筒状体11の外径と概ね同じである。これにより、第2孔部42の内周面と筒状体11の外周面における上端部分とが概ね密着する。
【0074】
第3孔部43は、第2孔部42よりも上側の部分に、該第2孔部42と連続して形成されている。第3孔部43は、プランジャー12の外周面の上下方向における途中部分を覆っている。第3孔部43の内径は、プランジャー12の外径よりも大きい。これにより、第3孔部43の内周面とプランジャー12の外周面との間には、隙間が形成される。
【0075】
第4孔部44は、第3孔部43よりも上側の部分に、該第3孔部43と連続して形成されている。第4孔部44の内径は、第2端子Bの外径よりも大きい。これにより、第2端子Bがプランジャー12に接触した状態において、第2端子Bと第4孔部44との間には隙間が形成される。
【0076】
[キャリアから切断される前のソケット]
図8は、キャリア50,51から切断される前のソケット20の状態を示す図である。また、図9は、図8のIX―IX線における断面図である。ソケット20は、キャリア50,51から切断される前の状態において、ソケット20の長手方向の両側に設けられたキャリア50,51によって、繋ぎ部52,53を介して支持されている。具体的には、ソケット20の上側の部分(突出部25が設けられている側の部分)は、上側繋ぎ部52を介して上側キャリア50によって支持されている。一方、ソケット20の下側の部分(突出部25が設けられていない側の部分)は、下側繋ぎ部53を介して下側キャリア51によって支持されている。
【0077】
図8に示す状態では、隣接するソケット20の中心軸同士の間隔d1が、図7Aを参照して、隣接するベースプレート貫通孔4の中心点同士の間隔d2と同じである。また、図9に示すように、ソケット20に形成された一対の突出部25を結ぶ直線Lsは、キャリア50,51の長手方向Lcに対して斜め方向に延びている。具体的には、上記直線Lsは、キャリア50,51の長手方向Lcに対して45度の角度となっている。こうすると、ソケット20をベースプレート3に挿入する際に、以下のようにして、複数のソケット20を効率的にベースプレート貫通孔4に挿入することが可能になる。
【0078】
具体的には、図8に示す状態から、下側キャリア51及び下側繋ぎ部53を各ソケット20から切り離す。そうすると、図10に示すように、複数のソケット20が上端部のみで互いに連結された状態となり、下端部側は互いに切り離された状態となる。このように形成された、上側キャリア50側のみで繋がった櫛状ソケット8において、各ソケット20を対応する各ベースプレート貫通孔4に上下方向に揃えた状態で、各ソケット20を各貫通孔4に挿入する。上述のように、隣接するソケット20の中心軸同士の間隔d1と、隣接するベースプレート貫通孔4の中心点同士の間隔d2とは同じであるため、各ソケット20を一度にスムーズに各貫通孔4に挿入することができる。これにより、複数のソケット20をまとめてベースプレート貫通孔4に挿入することができるため、多極コネクタ1の組立時間を短縮化できる。
【0079】
ところで、例えば互いに切り離された個々のソケット20を各ベースプレート貫通孔4に挿入しようとすると、その都度、一対の突出部25の向きを溝部30の向きに揃える必要がある。この点につき、本実施形態によれば、図8における複数のソケット20の配列方向に対する一対の突出部25が延びる方向と、複数の貫通孔4の配列方向(図7Aにおける左右方向)に対する溝部30が延びる方向とは、同じ45度である。こうすると、櫛状ソケット8の各ソケット20を各貫通孔4に挿入することにより、各ソケット20の突出部25が溝部30に収容されるため、組立時間を短縮化できる。
【0080】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る多極コネクタ1によれば、ソケット20をベースプレート3の貫通孔4に収容すると、突出部25が、ベースプレート3に形成された溝部30に載置される。よって、多極コネクタ1によると、ソケット20の突出部25が溝部30によって下方から受けられるため、ソケット20の位置がそれよりも下方へずれたり、ソケット20が下方へ抜け落ちたりすることがない。これにより、ソケット20をベースプレート3に対して保持することができる。
【0081】
従って、多極コネクタ1によれば、接触子ユニットの筒部をベース部に対して確実に保持させることが可能な多極コネクタを提供できる。
【0082】
また、多極コネクタ1によれば、ソケット20をベースプレート貫通孔4に収容した状態において、筒本体部21の外周面とベースプレート貫通孔4の内周面との間に隙間が形成される。言い換えれば、ソケット20をベースプレート3に保持させるために、ソケット20をベースプレート3に圧入する必要がない。すなわち、多極コネクタ1によれば、組立に必要な圧入回数を低減可能な多極コネクタを提供できる。
【0083】
また、多極コネクタ1によれば、格子Kの対角位置を結ぶ対角方向に溝部30が延びている。こうすると、例えば格子Kの列方向或いは行方向に沿って延びる溝部を形成した場合と比べて、格子間の溝部の長さを十分に確保できる。これにより、突出部25の突出量を十分に確保でき、突出部25と溝部30との接触範囲を大きくできるため、突出部25が溝部30によってしっかりと受け止められる。すなわち、この構成によれば、十分なストッパ構造を有する多極コネクタを提供できる。またこの構成によれば、対角方向に隣接するソケット20の突出部25の間のクリアランスを十分に広げることができるため、突出部同士がぶつかって溝部から浮いてしまうことを防止できる。
【0084】
ところで、上述した特許文献1に開示されるコネクタでは、保持体(ベース部に相当)の上端面からプランジャーの先端部のみが露出した状態となっている。そうすると、メンテナンス等によりコネクタを保持体から抜き取る場合、保持体の上側からプランジャーの先端部を把持して引き抜くことはできないため、保持体の下側から抜き取る必要がある。しかしこの場合であっても、プランジャーの先端部が貫通孔内部を通過する際に貫通孔の内壁にぶつけてしまう可能性がある。すなわち、特許文献1に開示されるコネクタは、メンテナンス性の観点で好ましくない。
【0085】
この点につき、多極コネクタ1によれば、接触子ユニット2を交換する必要が生じた場合等に接触子ユニット2をベースプレート3から取り外す際、筒本体部21におけるベースプレート3の上端面から露出した部分(具体的には、筒本体部21における突出部25よりも上側の部分)を把持して上側へ引き抜くことにより、プランジャー12の先端部を破損することなく接触子ユニット2をベースプレート3から容易に抜き取ることができる。これにより、多極コネクタのメンテナンス性を高めることができる。
【0086】
また、多極コネクタ1によれば、ソケット20の外周面とベースプレート貫通孔4の内周面との間に隙間(空気層)が形成されているため、隣接する接触子ユニット2の間のクロストーク(信号の漏れ)を低減できる。
【0087】
また、多極コネクタ1によれば、2つの突出部25が周方向に間隔をあけて設けられるため、2つの突出部の間隔が狭い場合と比べて、接触子ユニット2をベースプレート3に対して安定して保持させることができる。
【0088】
また、多極コネクタ1によれば、プレス加工によって板状の部分を円筒状に丸めることにより、ソケット20を容易に形成することができる。
【0089】
また、多極コネクタ1によれば、プレス加工によって板状の部分を円筒状に丸めてソケット20を形成する前に、その板状の部分の一部を切り起こすことにより突出部25を形成することができる。言い換えれば、多極コネクタ1によれば、突出部25を比較的容易に形成することができる。同様に、多極コネクタ1によれば、切り起こしによって形成される他の部分(第1端子用バネ22、プローブ用バネ23、及びプローブストッパ24)についても、容易に形成することができる。
【0090】
また、多極コネクタ1によれば、ガイドプレート5によってソケット20の端部を覆うことができるため、接触子ユニット2がベースプレート3から抜けてしまうことを防止できる。
【0091】
また、多極コネクタ1によれば、接触子ユニット2がベースプレート3に収容された状態において、ソケット20、筒状体11、及びプランジャー12のそれぞれの中心軸が互いにずれている場合であっても、ガイドプレート5をベースプレート3に固定することによって、ソケット20、筒状体11、及びプランジャー12を同心状に配置することができる。言い換えれば、多極コネクタ1によれば、接触子ユニット2の各部位を正常な位置に配置することができる。
【0092】
また、多極コネクタ1によれば、筒状体11の外周面を第2孔部42の内周面で保持することにより、筒状体11の位置決めを行うことができる。また、プランジャー12の外周面と第3孔部43の内周面との間隔があいているため、プランジャー12をスムーズに進退させることができる。
【0093】
(変形例1)
図11は、変形例1に係るソケット28の正面図である。本変形例1のソケット28には、膨出部29が形成されている。膨出部29は、ソケット28の長手方向における一部分、具体的には、突出部25よりもやや下側の部分が、ソケット28の全周に亘って外側に僅かに膨出した部分である。膨出部29は、その外径がベースプレート貫通孔4よりも大きくなるように形成されている。
【0094】
上述の構成により、接触子ユニット2をベースプレート貫通孔4に挿入した際に膨出部29が圧入されるため、ベースプレート3からソケット28が抜けてしまうことを防止できる。しかも、ソケット28においてベースプレート貫通孔4に圧入される部分(膨出部29)は、ソケット28の長手方向における一部分のみである。従って、ソケット28を貫通孔4に挿入する際にベースプレート3に過剰な負荷がかかってしまうことを防止できる。
【0095】
しかも、膨出部29は、突出部25よりもやや下側の部分、すなわちソケット28が貫通孔4に挿入された状態における貫通孔4の上端部分に形成されている。例えば、膨出部29がソケットの下端部に形成されていると、当該ソケットを貫通孔4に挿入する際、貫通孔4に圧入された膨出部を奥まで圧入する必要があるため、ソケット20の挿入に時間がかかってしまう。この点につき、本変形例1のように、膨出部29を突出部25のやや下側に形成することで、貫通孔4に対するソケット28の挿入が完了する間際に膨出部29を圧入できるため、ソケット28の挿入時間を短縮することができる。
【0096】
(変形例2)
図12は、変形例2に係る多極コネクタ1aを上方から視た図である。また、図13Aは、図12のXIIIA-XIIIA線における断面図である。また、図13Bは、図12のXIIIB-XIIIB線における断面図である。
【0097】
本変形例では、ガイドプレート5aにおける上面(ベースプレート3と反対側の表面)と第4孔部44の内周面との境界部分に面取り部5bが形成されている。これにより、第2端子Bをプランジャー12へ向かって案内することができる。
【0098】
しかも、本変形例2では、図12における上下方向又は左右方向において隣接する第4孔部44の面取り部5b同士が、線状の部分6を挟んで隣接している。このように面取り部5bを形成することで、大きく面取りを行うことが可能となるため、第2端子Bをプランジャー12側へより適切に案内することができる。
【符号の説明】
【0099】
1,1a 多極コネクタ
3 ベースプレート
4 ベースプレート貫通孔(貫通孔)
10 プローブ(接触子)
20 ソケット(筒部)
21 筒本体部
25 突出部
30 溝部
A 第1端子
B 第2端子
K 格子
P 交点
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B