(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法、および画像形成プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220524BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220524BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B41J29/42 F
H04N1/00 002B
(21)【出願番号】P 2018048237
(22)【出願日】2018-03-15
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 穂高
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-074147(JP,A)
【文献】特開2007-276119(JP,A)
【文献】特開2011-207227(JP,A)
【文献】特開2015-220728(JP,A)
【文献】特開2010-188649(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0018230(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
B41J 5/00 - 5/52
B41J 21/00 - 21/18
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
H04N 1/00
G06F 3/09 - 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを実行して印刷データを媒体に印刷する画像形成装置であって、
ユーザから1または複数の前記印刷ジョブの選択を受け付ける操作パネルと、
前記画像
形成装置の消耗品に関する状態を検知するセンサと、
前記印刷ジョブを実行する時点における前記消耗品に関する状態を示す情報と、前記印刷データの印刷条件とに基づいて、前記ユーザから選択された前記印刷ジョブについて、前記消耗品について節約設定するための節約設定画面を前記操作パネルに表示し、前記ユーザにより設定された前記消耗品の節約設定にしたがって前記印刷ジョブを実行し、前記印刷データを前記媒体に印刷する制御部と、
ネットワークと接続するための通信部と、を備え、
前記制御部は、前記印刷データの印刷条件として、カラー印刷の有無または/および両面印刷の有無を前記印刷ジョブから読み取り、読み取った前記カラー印刷の有無または/および両面印刷の有無に関する節約設定画面を前記操作パネルに表示し、前記ユーザにより設定された前記消耗品の節約設定にしたがって前記印刷ジョブを実行するとともに、前記印刷ジョブを前記ネットワーク経由で実行する場合において、前記通信部から得られる回線速度または/および前記印刷データの大きさを読み取り、前記ネットワーク経由での印刷が一定以上の時間がかかるか否かを判定し、前記ネットワーク経由での印刷が一定以上の時間がかかると判定した場合、前記カラー印刷の有無または/および両面印刷の有無に関する節約設定画面を前記操作パネルに表示する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記センサは、前記消耗品に関する状態を示す情報としてトナー残量を検知し、
前記制御部は、前記印刷ジョブを実行する時点における前記トナー残量と、前記印刷データの印刷条件とに基づいて、前記節約設定画面を前記操作パネルに表示し、前記ユーザにより設定された前記消耗品の節約設定にしたがって前記印刷ジョブを実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記印刷ジョブを実行するための印刷ジョブ実行画面であって、前記節約設定にしたがって前記印刷ジョブを実行するための節約実行キーと、前記節約設定を行わずに前記印刷ジョブを実行するための実行キーとを表示した前記印刷ジョブ実行画面を前記操作パネルに表示し、前記ユーザから前記節約実行キーまたは前記実行キーのいずれかの選択を受け付けて、前記印刷ジョブを実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記節約実行キーを、節約設定する項目ごとに1または複数設定した前記印刷ジョブ実行画面に表示し、前記ユーザから前記節約実行キーのいずれかの選択を受け付けて、前記印刷ジョブを実行する、
ことを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ユーザごとに、前記節約設定画面を前記操作パネルに表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
印刷ジョブを実行して印刷データを媒体に印刷する画像形成装置で行われる画像形成方
法であって、
制御部が、センサにより検知された、前記印刷ジョブを実行する時点における前記画像
形成装置の消耗品に関する状態を示す情報と、前記印刷データの印刷条件とに基づいて、ユーザにより操作パネルから選択された1または複数の前記印刷ジョブについて、前記消耗品について節約設定するための節約設定画面を前記操作パネルに表示し、
前記制御部が、前記ユーザにより設定された前記消耗品の節約設定にしたがって前記印刷ジョブを実行し、前記印刷データを前記媒体に印刷する
場合において、
前記制御部は、前記印刷データの印刷条件として、カラー印刷の有無または/および両面印刷の有無を前記印刷ジョブから読み取り、読み取った前記カラー印刷の有無または/および両面印刷の有無に関する節約設定画面を前記操作パネルに表示し、前記ユーザにより設定された前記消耗品の節約設定にしたがって前記印刷ジョブを実行するとともに、前記印刷ジョブをネットワーク経由で実行する場合において、前記ネットワークと接続するための通信部から得られる回線速度または/および前記印刷データの大きさを読み取り、前記ネットワーク経由での印刷が一定以上の時間がかかるか否かを判定し、前記ネットワーク経由での印刷が一定以上の時間がかかると判定した場合、前記カラー印刷の有無または/および両面印刷の有無に関する節約設定画面を前記操作パネルに表示する、
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
コンピュータに、
センサにより検知された、印刷ジョブを実行する時点における画像
形成装置の消耗品に関する状態を示す情報と、前記印刷ジョブを実行して媒体に印刷する印刷データの印刷条件とに基づいて、ユーザにより操作パネルから選択された1または複数の前記印刷ジョブについて、前記消耗品について節約設定するための節約設定画面を前記操作パネルに表示する処理と、
前記ユーザにより設定された前記消耗品の節約設定にしたがって前記印刷ジョブを実行し、前記印刷データを前記媒体に印刷する処理と、
前記印刷データの印刷条件として、カラー印刷の有無または/および両面印刷の有無を前記印刷ジョブから読み取り、読み取った前記カラー印刷の有無または/および両面印刷の有無に関する節約設定画面を前記操作パネルに表示し、前記ユーザにより設定された前記消耗品の節約設定にしたがって前記印刷ジョブを実行する処理と、
前記印刷ジョブをネットワーク経由で実行する場合において、前記ネットワークと接続するための通信部から得られる回線速度または/および前記印刷データの大きさを読み取り、前記ネットワーク経由での印刷が一定以上の時間がかかるか否かを判定し、前記ネットワーク経由での印刷が一定以上の時間がかかると判定した場合、前記カラー印刷の有無または/および両面印刷の有無に関する節約設定画面を前記操作パネルに表示する処理と、
を実行させることを特徴とする画像形成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、および画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷時におけるトナーの使用量を設定する様々な技術が存在する。例えば、特許文献1では、使用者によって設定されているトナーセーブの条件に基づき、トナーセーブを実行するか否かを判断する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1では、所定の条件下ではユーザに選択権を与えずに自動的にトナーセーブされてしまう。このため、ユーザが意図していない設定に従って画像を印刷してしまう可能性があるという問題があった。
本発明は、ユーザが意図した設定に従って印刷データの印刷が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかる画像形成装置は、印刷ジョブを実行して印刷データを媒体に印刷する画像形成装置であって、ユーザから1または複数の前記印刷ジョブの選択を受け付ける操作パネルと、前記画像処理装置の消耗品に関する状態を検知するセンサと、前記印刷ジョブを実行する時点における前記消耗品に関する状態を示す情報と、前記印刷データの印刷条件とに基づいて、前記ユーザから選択された前記印刷ジョブについて、前記消耗品について節約設定するための節約設定画面を前記操作パネルに表示し、前記ユーザにより設定された前記消耗品の節約設定にしたがって前記印刷ジョブを実行し、前記印刷データを前記媒体に印刷する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ユーザが意図した設定に従って印刷データの印刷が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】操作パネルの操作画面に表示されるジョブリスト表示画面の例を示す図である。
【
図6】節約設定判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、画像形成装置、画像形成方法、および画像形成プログラムの実施の形態を詳細に説明する。以下に説明するように、印刷ジョブを蓄積して印刷する印刷制御システムにおいて、出力時に印刷条件の設定(カラー・面・部数等)を変更するに際して、出力する時点のMFP(Multifunction Peripheral)のCapability情報(トナー量、用紙等)に基づいて、ユーザごとに節約設定の表示有無・デフォルトの設定を変更でき、また、複数の蓄積ジョブを一括印刷する場合、複数ジョブに対して一括で節約設定の適用・非適用を決定することが特徴になっている。
【0008】
図1は、本実施形態に係る印刷制御システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、印刷制御システム1は、画像処理装置100と、情報処理装置200と、印刷管理サーバ300とが、インターネット等の通信回線網であるネットワークNを介して接続される。
画像処理装置100は、印刷機能を含む画像処理機能を有する機器であり、例えば、MFPやLP(Laser Printer)などである。情報処理装置200は、情報処理機能を有する機器であり、例えば、PC(Personal Computer)などである。印刷管理サーバ300は、画像処理装置100から印刷するジョブを管理するサーバ装置などである。
【0009】
本実施形態に係る印刷制御システム1では、ユーザに対して、次のような印刷サービスが提供される。例えば、情報処理装置200から印刷管理サーバ300に対して印刷ジョブが送信され、印刷管理サーバ300に印刷ジョブが蓄積される。当該印刷ジョブには、実際に画像形成装置100から印刷される印刷データのほか、その印刷データを印刷する際の印刷条件(例えば、カラー印刷やモノクロ印刷といった印刷属性、片面印刷や両面印刷といった印刷面、印刷方向や印刷部数等の印刷データの印刷条件に関する情報)が含まれる。
その後、画像処理装置100は、当該画像処理装置100の操作パネル120に表示された操作画面を介してユーザがログインすると、印刷管理サーバ300に蓄積された上記ログインしたユーザの印刷ジョブの一覧を取得し、上記操作画面に表示する。そして、当該画像処理装置100は、上記ログインしたユーザから、印刷ジョブの中から選択指定及び実行指示された印刷ジョブを出力し、印刷する。
【0010】
図2は、本実施形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成例を示す図である。なお、
図2には、画像処理装置100がMFPであった場合の例が示されている。
図2に示すように、画像処理装置100は、コントローラ110、操作パネル120、プロッタ130、及びスキャナ140、トナー残量検知センサ150、用紙残量検知センサ160などを備え、それぞれが相互にバスBなどにより電気的に接続されている。
操作パネル120は、表示部及び入力部を備えており、機器情報などの各種情報をユーザに提供したり、動作設定や動作指示などの各種ユーザ操作を受け付けたりする。プロッタ130は、画像形成部を備えており、用紙に出力画像を形成する。出力画像を形成する方式には、例えば、電子写真プロセスやインクジェット方式などがある。スキャナ140は、原稿を光学的に読み取り、読み取り画像を生成する。
【0011】
コントローラ110は、CPU(Central Processing Unit)111、記憶装置112、ネットワークI/F113、及び外部記憶I/F114などを備えており、それぞれが相互にバスBで接続されている。
CPU111は、プログラムを実行することで装置全体を制御する。また、記憶装置112は、上記プログラムや各種データ(例えば「画像データ」)を格納し保持する。記憶装置212には、例えば、揮発性のメモリであるRAM(Random Access Memory)、不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)、及び大容量の記憶領域を備えたHDD(Hard Disk Drive)などがある。RAMは、CPU111のワークエリア(プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリア)として機能する。ROMやHDDは、プログラムや各種データの格納先として用いられる。これにより、画像処理装置100では、CPU111がROMに格納されたプログラムをRAM上に読み出し、プログラムを実行する。
【0012】
なお、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでUSB(Universal Serial Bus)メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供したり、インターネット等のネットワークに接続された他のコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより、提供または配布するように構成してもよい。
ネットワークI/F113は、画像処理装置100をネットワークなどの所定のデータ伝送路であるネットワークNに接続するためのインタフェースである。これにより、画像処理装置100は、ネットワークI/F113を介して、情報処理装置200や印刷管理サーバ300とデータ通信を行うことができる。
【0013】
外部記憶I/F114は、外部記憶装置にあたる記録媒体114aを接続するためのインタフェースである。記録媒体114aには、例えば、SDメモリカード(SD memory card)やUSBメモリ(Universal Serial Bus memory)などがある。これにより、画像処理装置100は、外部記憶I/F114を介して、記録媒体114aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
トナー残量検知センサ150は、例えば、圧電センサ、透過光センサなどを用いることができ、画像処理装置100のトナーの残量を検知する。
紙残量検知センサ160は、例えば、フォトセンサ、リミットスイッチ等に、図示しない発光素子と受光素子間の光を遮断することで紙を検出する状態検出部材である移動可能なフィラーを組み合わせた検知手段から構成され、画像処理装置100の用紙の残量を検知する。
【0014】
図3は、操作パネル120の操作画面に表示されるジョブリスト表示画面の例を示す図である。当該ジョブリスト表示画面は、ユーザが画像処理装置100にログインし、ログイン後に表示されるユーザ一覧の中から当該ユーザが選択された後に表示され、印刷ジョブを実行するための画面(印刷ジョブ実行画面)である。当該ジョブリスト表示画面には、ログインしたユーザが印刷管理サーバ300に蓄積した印刷ジョブの一覧が表示される。具体的には、ジョブリスト表示画面301として、印刷ジョブの一覧を示すジョブリスト3011と、ジョブリスト3011の中から印刷を実行するジョブを選択する選択キー3012と、印刷ジョブを実行する際の各種設定や当該設定を変更するための設定変更キー3013と、後述する節約設定を行わずに印刷ジョブを実行して印刷するスタート(実行)キー3014とを含んでいる。
図3では、選択キー3012が操作されて4つの印刷ジョブが選択された後、いずれかの印刷ジョブを削除する状態を示している。印刷ジョブは1件ごとに選択可能であり、ユーザからスタートキー3014の押下を受け付けると、コントローラ110は、選択された印刷ジョブについて、設定された印刷条件にしたがって印刷ジョブを実行する。なお、節約設定が有効で、設定可能なジョブが含まれる場合は、後述の節約設定画面を表示する。
【0015】
図4は、節約設定画面の例を示す図である。当該画面は、上記操作画面に含まれるジョブリスト3011の中から印刷ジョブが選択され、スタートキー3014が押下されると表示される。
図4に示すように、節約設定画面401には、ログインしたユーザが実行した印刷ジョブについて、印刷時の節約設定が可能であることを示すポップアップ画面が表示される。具体的には、上記ポップアップ画面として、節約を促すメッセージ4011と、節約設定可能な設定項目4012と、印刷を実行する印刷実行キー4013と、印刷の実行をキャンセルするキャンセルキー4014とを含む画面が表示される。
【0016】
設定項目4012は、ユーザにより選択されることで当該設定の有効・無効が切り替え可能である。コントローラ110は、設定項目4012から上記設定が有効である旨の受け取り、印刷実行キー4013が押下されると、有効であるとして節約設定された条件で印刷ジョブを実行する。
図4では、節約設定可能な項目として、カラー抑制、印刷面抑制の2つの設定が可能であり、前者の設定が有効にされていることを示している。
このように、本実施例では、
図3に示したスタートキー3014が押下された後に節約設定画面401が表示され、当該節約設定画面401において、再度印刷実行キー4013が押下されることにより、実際の印刷が開始される。このため、ユーザに必ず節約設定の確認をさせることが可能となる。
【0017】
なお、
図4に示した節約設定可能な項目の設定や変更は、
図3に示したスタートキー3014が押下される前にも変更可能である。例えば、コントローラ110は、ユーザから
図3に示したジョブリスト表示画面301に表示される設定変更キー3013の押下を受け付けると、設定可能な項目と、当該項目の設定値とを対応付けた設定項目一覧を表示し、ユーザが当該設定項目一覧の中から選択した項目の設定値を設定し、または変更することができる。このように、事前に節約設定がされている場合は、コントローラ110は、
図4に示した節約設定画面401を表示しないように制御する。さらに、
図4に示した節約設定画面に表示される各項目の設定(例えば、ONまたはOFF)のデフォルト値は、管理者が任意に選択し、変更可能とする。
【0018】
また、本実施例では、印刷ジョブの出力時の設定(例えば、出力時のカラー印刷、印刷面、部数等の印刷設定)の設定や変更を行う場合において、節約設定可能な項目として、カラー抑制、印刷面抑制等の印刷条件を例示した。しかし、印刷ジョブを出力する時点における画像処理装置100の消耗品に関する状態(例えば、トナー残量、用紙残量等のCapability情報)に基づいて、ユーザごとに節約設定の表示有無やデフォルト値の設定を変更してもよい。すなわち、コントローラ110は、ログインしたユーザごとに、出力する印刷ジョブの印刷属性(例えば、カラー印刷またはモノクロ印刷)と、各種センサにより検知された情報に基づいて判断した、印刷ジョブが出力される時点の画像処理装置100の上記消耗品に関する状態とを読み取り、当該印刷ジョブを出力する時点で節約が必要である項目(例えば、カラー抑制、印刷面抑制)を節約設定項目として操作パネル120の操作画面に表示し、当該ユーザに提示してもよい。
【0019】
さらに、コントローラ110は、印刷ジョブをネットワーク経由で実行する場合には、ネットワークI/F113等のネットワークに接続するための通信部から得られる回線速度や、印刷ジョブで出力される印刷データの大きさを読み取り、ネットワーク経由での印刷に一定以上の時間がかかったり、一定以上の回線負荷がかかるか否かを判定し、上記時間がかかったり、上記回線負荷がかかると判定した場合には、印刷ジョブが出力される時点の画像処理装置100の状態として処理能力が低下する可能性があると判断し、例えば、カラー抑制、印刷面抑制)を節約設定項目として操作パネル120の操作画面に表示し、ユーザに提示してもよい。
なお、
図3に示したように、印刷ジョブが複数選択され、一括印刷する場合には、コントローラ110は、選択した複数ジョブに対して、一括して節約設定の適用または非適用を決定することができる。
【0020】
また、
図3では、スタートキー3014が押下された後に節約設定画面401を表示することとした。しかし、
図3に示す節約スタート(実行)キー3015をスタートキー3014に並列して表示し、ユーザに選択させた上で印刷ジョブを実行してもよい。これにより、スタートキー3014を押した後に節約するか否かを設定した後に再度指示をすることなく、1回の操作で通常通り印刷するか、または節約して印刷するかを選択することが可能となる。さらに、節約スタートキー3015としては、具体的な節約項目に対応するスタートキーを表示してもよい。例えば、節約スタートキー3015として、「両面印刷スタート」、あるいは「トナーセーブスタート」のようなスタートキーを、節約項目ごとに1または複数設定し、表示してもよい。
【0021】
図5は、節約設定有効時の印刷シーケンス図である。
図5に示すように、まず、情報処理装置200が、ユーザUから印刷ジョブの指定を受け付けると(S501)、当該印刷ジョブを画像形成装置100に送信し、印刷ジョブが蓄積される(S502、S503)。以下では、印刷ジョブが情報処理装置200から画像形成装置100に直接送信される場合について示しているが、実際には、情報処理装置200から印刷管理サーバ300に対して印刷ジョブが送信され、印刷管理サーバ300に印刷ジョブが蓄積され、画像処理装置100を操作してユーザUがログインすると、印刷管理サーバ300に蓄積されたユーザUの印刷ジョブの一覧が取得される。
【0022】
その後、画像形成装置100は、ユーザUからログイン操作およびユーザ選択操作を受け付けると(S504)、画像形成装置100のコントローラ110は、印刷ジョブの一覧を含むジョブリスト表示画面301を表示する(S505)。コントローラ110は、上記ジョブリスト表示画面301に表示された印刷ジョブの一覧の中から出力する印刷ジョブの選択を受け付け(S506)、スタートキー3014の押下を受け付けると(S507)、節約設定判定処理を実行する(S508)。節約設定判定処理では、印刷ジョブの一覧の中からユーザUにより選択された印刷ジョブについて、スタートキー3014が押下されると、コントローラ110が、選択された印刷ジョブの印刷属性や、その時点における画像形成装置100のCapabilityをチェックする。コントローラ110は、上記チェックにより節約可能な設定があるか否かを判定し、節約可能な設定があると判定した場合、
図4に示した節約設定画面401を表示する(S5081)。ユーザUにより節約設定の適用可否が選択され(S5082)、印刷実行キー4013が押下されると(S5083)、コントローラ110は、節約設定の有効・無効に基づいて印刷ジョブの印刷属性を変更する(S5084)。節約設定判定処理の詳細については、
図6を用いて後述する。
画像形成装置100のコントローラ110は、節約設定判定処理を実行すると、その判定結果に基づいて節約設定された印刷ジョブ、あるいは上記判定結果に基づいて節約設定されなかった印刷ジョブを送信し、印刷を実行する(S509)。
【0023】
図6は、節約設定判定処理の処理手順を示すフローチャートである。節約設定判定処理では、画像形成装置100の印刷時点のcapabilityや、印刷ジョブの印刷属性に応じて節約設定画面の表示を制御する。
画像形成装置100のコントローラ110は、選択された印刷ジョブの印刷属性を含む印刷条件をチェックする(S601)。例えば、コントローラ110は、上記印刷ジョブがカラー印刷またはモノクロ印刷にいずれであるかを印刷ジョブから読み取る。続いて、コントローラ110は、当該印刷ジョブの印刷時に節約可能な設定があるか否かを判定する(S602)。節約設定が可能な項目については、画像形成装置100にあらかじめ定めておけばよい。
コントローラ110は、当該印刷ジョブの印刷時に節約可能な設定があると判定した場合(S602;Yes)、画像形成装置100のcapabilityをチェックする(S603)。当該チェックでは、例えば、コントローラ110は、トナー残量検知センサ150、用紙残量検知センサ160により検知された、その時点の画像処理装置100のトナー残量、用紙残量を読み取る。一方、コントローラ110は、当該印刷ジョブの印刷時に節約可能な設定がないと判定した場合(S602;No)、S617に進み、そのまま印刷を実行する。
【0024】
S603の処理を実行すると、コントローラ110は、S601におけるチェック結果に基づいて、印刷ジョブがカラー印刷を行う印刷ジョブであるか否かを判定する(S604)。コントローラ110は、印刷ジョブがカラー印刷を行う印刷ジョブであると判定した場合(S604;Yes)、さらに、S603におけるチェック結果に基づいて、現時点における画像形成装置100の各色(Y、M、C、K)のトナー残量をチェックする(S605)。
画像形成装置100のコントローラ110は、各色のトナー残量が所定の閾値以下であるか否かを判定し(S606)、各色のトナー残量が所定の閾値以下であると判定した場合(S606;Yes)、各色のトナー残量が少ないと判断し、節約設定可能な項目として、トナー節約(モノクロ変更)の表示をONにする(S607)。一方、コントローラ110は、各色のトナー残量が所定の閾値よりも大きいと判定した場合(S606;No)、節約設定可能な項目として、トナー節約(モノクロ変更)の表示をOFFにした後(S608)、画像形成装置100の紙残量をチェックする(S609)。
【0025】
コントローラ110は、画像形成装置100の紙残量が所定の閾値以下であるか否かを判定し(S610)、画像形成装置100の紙残量が所定の閾値以下であると判定した場合(S610;Yes)、画像形成装置100の紙残量が少ないと判断し、節約設定可能な項目として、紙節約(両面・集約変更)の表示をONにする(S611)。一方、コントローラ110は、画像形成装置100の紙残量が所定の閾値よりも大きいと判定した場合(S610;No)、節約設定可能な項目として、紙節約(両面・集約変更)の表示をOFFにした後(S612)、当該印刷ジョブについてチェックした項目の設定状況をチェックする(S613)。
画像形成装置100のコントローラ110は、S613のチェック結果に基づいて、節約設定可能な項目として、少なくとも1つ以上がONとなっているか否かを判定し(S614)、少なくとも1つ以上がONとなっていると判定した場合(S614;Yes)、
図4に示した節約設定画面401を表示する(S615)。このとき表示される節約設定画面401には、S613のチェックにおいてONとなっていると判定された節約設定可能な項目についての設定値(例えば、白黒印刷にチェック)が設定されたポップアップ画面が表示される。
【0026】
コントローラ110は、ユーザUから上記節約設定画面401に表示された節約設定可能な項目について、設定の可否の選択操作を受け付けて、適用された設定に従って印刷ジョブの印刷条件を変更し(S616)、変更した印刷条件にしたがって印刷ジョブを実行する(S617)。一方、コントローラ110は、少なくとも1つ以上がONとなっていないと判定した場合(S614;No)、節約設定画面401を表示することなく、印刷ジョブを実行する(S617)。
このように、本実施例では、印刷ジョブ出力時の画像形成装置100のトナー残量や用紙残量をはじめ、印刷ジョブを実行する時点における画像形成装置100の消耗品に関する状態を示すCapability情報と、印刷ジョブを実行するときの印刷データの印刷条件とに基づいて、節約が必要と思われる項目(例えば、トナー残量、用紙残枚数等の消耗品)と、印刷ジョブの印刷条件(例えば、カラー印刷やモノクロ印刷などの印刷属性)を確認し、確認結果に基づいて節約設定画面を表示し、ユーザに選択を促す。したがって、画像形成装置100で印刷を実行するために必要なリソースの状態に応じた節約設定画面を表示することができるとともに、通常通り印刷したいユーザの利便性を損なうことなく、印刷コストを抑制することができ、容易な節約設定やその変更が可能となる。
【0027】
すなわち、操作パネル120が、印刷ジョブを実行して印刷データを媒体に印刷する画像形成装置100において、ユーザから1または複数の印刷ジョブの選択を受け付け、センサ(例えば、トナー残量検知センサ150、用紙残量検知センサ160)が、画像処理装置100の消耗品に関する状態を検知し、コントローラ110が、印刷ジョブを実行する時点における消耗品に関する状態を示す情報と、印刷データの印刷条件とに基づいて、ユーザから選択された印刷ジョブについて、消耗品について節約設定するための節約設定画面401を操作パネル120に表示し、ユーザにより設定された消耗品の節約設定にしたがって印刷ジョブを実行し、印刷データを媒体に印刷する。したがって、ユーザが意図した設定(印刷条件や画像形成装置100の消耗品に関する状態)に従って印刷データの印刷が可能となる。
【0028】
また、ネットワークと接続するためのネットワークI/F113を備え、コントローラ110が、印刷ジョブをネットワーク経由で実行する場合において、ネットワークI/F113から得られる回線速度または/および印刷データの大きさを読み取り、ネットワーク経由での印刷が一定以上の時間がかかるか否かを判定し、ネットワーク経由での印刷が一定以上の時間がかかると判定した場合、カラー印刷の有無または/および両面印刷の有無に関する節約設定画面401を操作パネル120に表示する。したがって、ネットワーク負荷や印刷時間を考慮した節約設定が可能となる。
【0029】
また、コントローラ110が、印刷ジョブを実行するための印刷ジョブ実行画面であって、節約設定にしたがって印刷ジョブを実行するための節約スタートキー3015と、節約設定を行わずに印刷ジョブを実行するためのスタートキー3014とを表示した印刷ジョブ実行画面(ジョブリスト表示画面301)を操作パネル120に表示し、ユーザから節約スタートキー3015またはスタートキー3014のいずれかの選択を受け付けて、印刷ジョブを実行する。したがって、ユーザは、一度の操作で通常通り印刷するか、または節約して印刷するかを選択することが可能となる。
【0030】
また、コントローラ110は、節約スタートキー3015を、節約設定する項目ごとに1または複数設定した上記印刷ジョブ実行画面に表示し、ユーザから節約スタートキー3015のいずれかの選択を受け付けて、印刷ジョブを実行する。したがって、ユーザは、一度の操作で節約項目ごとに設定した節約設定にしたがって印刷を実行することができる。
また、コントローラ110は、ユーザごとに、節約設定画面401を操作パネル120に表示する。したがって、複数のユーザのそれぞれについて、節約設定画面401を表示することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 印刷制御システム
100 画像処理装置
110 コントローラ
120 操作パネル
130 プロッタ
140 スキャナ
150 トナー残量検知センサ
160 用紙残量検知センサ
200 情報処理装置
300 印刷管理サーバ
N ネットワーク
B バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】