(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】画像形成方法、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41M 5/00 20060101AFI20220524BHJP
C09D 11/36 20140101ALI20220524BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
B41M5/00 100
C09D11/36
B41J2/01 125
B41J2/01 401
B41J2/01 121
B41M5/00 120
(21)【出願番号】P 2018051409
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡
(72)【発明者】
【氏名】坂口 裕美
(72)【発明者】
【氏名】梁川 宜輝
(72)【発明者】
【氏名】遠山 郁
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 亮太
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-020548(JP,A)
【文献】特開2017-114129(JP,A)
【文献】特開2015-183089(JP,A)
【文献】特開2017-114001(JP,A)
【文献】特開2011-051735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00-5/52
C09D 11/00-11/54
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に、色材及び有機溶剤を含むインクを付与するインク付与工程と、
前記記録媒体の、前記インクが付与された面が、25℃以上に加温された接触部材と接触する接触工程と、を含み、
前記インク付与工程後、かつ、前記接触工程前の、前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が、100μg/cm
2以下であり、
前記接触工程において、前記記録媒体の、前記インクが付与された面に対し、0.020kg/cm
2以上0.030kg/cm
2以下の圧力が加わることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記インクが付与された前記記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が、75μg/cm
2以下である請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記インクが付与された前記記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が、40μg/cm
2以下である請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記インクが付与された前記記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が、5μg/cm
2以上40μg/cm
2以下である請求項3に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記インク付与工程と、前記接触工程と、の間に、乾燥工程を含む請求項1から4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)に応じて、前記記録媒体を搬送する搬送速度を変化させる請求項1から4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が少ない場合は、前記記録媒体の搬送速度を速くし、
前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が多い場合は、前記記録媒体の搬送速度を遅くする請求項6に記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記記録媒体の搬送速度を制御することにより、前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)を制御する請求項1から7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記接触工程において、前記記録媒体は25℃以上に加温された複数の接触部材と接触し、
前記接触工程が、前記記録媒体の、前記インクが付与された面が25℃以上に加温された接触部材が接触する工程と、前記記録媒体の、前記インクが付与された面の裏面が25℃以上に加温された接触部材が接触する工程と、を有する請求項1から8のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記インク付与工程において、前記記録媒体に前記インクを、4.8×10
-4mL/cm
2以上1.1×10
-3mL/cm
2以下の付与量で付与し、
前記接触工程において、前記記録媒体の、前記インクが付与された面が、設定温度80℃以上150℃以下の温度に加温された前記接触部材と
0.1秒間以上
0.6秒間以下の時間接触し、形成した画像部の25℃におけるタック力が、80nN以上110nN以下である請求項1から9のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項11】
連続する記録媒体を巻き取る巻取工程と、
前記記録媒体に、色材及び有機溶剤を含むインクを付与するインク付与工程と、
前記記録媒体の、前記インクが付与された面が、25℃以上に加温された接触部材と接触する工程と、前記記録媒体の、前記インクが付与された面の裏面が、25℃以上に加温された接触部材と接触する工程と、を有する接触工程、を含み、
前記インク付与工程後、かつ、前記接触工程前の、前記インクが付与された前記記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が、100μg/cm
2
以下であり、
前記接触工程において、前記記録媒体の、前記インクが付与された面に対し、0.020kg/cm
2
以上0.030kg/cm
2
以下の圧力が加わることを特徴とする画像形成方法。
【請求項12】
記録媒体に対して、色材及び有機溶剤を含むインクを付与するインク付与手段と、
前記記録媒体の、前記インクが付与された面に接触する接触部材と、を有し、
前記接触部材が、25℃以上に加温され、
前記インクが付与された前記記録媒体の、単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が100μg/cm
2
以下である場合に、
前記インクが付与された面に0.020kg/cm
2
以上0.030kg/cm
2
以下の圧力を加えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録媒体に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。
近年、産業用途において、インクジェット記録方式を利用した画像形成方法が広まっている。特に、インクジェット技術の向上により、高速印刷が可能となってきている。そこで、高速印刷を行うインクジェット記録に対応するため、乾燥性、及び定着性に優れたインクを用いた画像形成方法が望まれている。
【0003】
記録媒体の溶媒付与面に接触するローラーを有する、乾燥装置を備える画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、耐ブロッキング性に優れ、白抜けによる画像剥がれを抑制できる画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明の画像形成方法は、記録媒体に、色材及び有機溶剤を含むインクを付与するインク付与工程と、前記記録媒体の、前記インクが付与された面が、25℃以上に加温された接触部材と接触する接触工程と、を含み、前記インク付与工程後、かつ、前記接触工程前の、前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が、100μg/cm2以下であり、前記接触工程において、前記記録媒体の、前記インクが付与された面に対し、0.020kg/cm2以上0.030kg/cm2以下の圧力が加わる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、耐ブロッキング性に優れ、白抜けによる画像剥がれを抑制できる画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、連続紙を用いる画像形成装置の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、接触部材としてのローラーと記録媒体との角度を示す模式図である。
【
図3】
図3は、記録媒体におけるインクを付与された面と接触するローラー、及びインクを付与された面とは反対の面と接触するローラーを備えた場合の、ローラーの配置の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、画像を有する連続紙(ロール紙)の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の画像を有する連続紙(ロール紙)の側面図である。
【
図6】
図6は、記録媒体に白抜けが発生した場合の一例を示す写真である。
【
図7】
図7は、画像表面のタック力の測定において得られるフォースカーブを表す図である。
【
図8】
図8は、原子間力顕微鏡において、球状のプローブを備えるカンチレバーの一例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、以下のことを見出した。
インク中に樹脂エマルジョンが含まれる場合、従来からの課題である定着性を向上させることができるが、定着性を向上させることができる樹脂は弾性が高く、記録媒体上の画像部に残存する有機溶剤により、樹脂が可塑化されて接着力が高くなる。これにより、画像形成後にローラーを用いて画像部を定着させる場合や、ロール紙に印刷した後に巻き取る場合など、画像部に圧力がかかるタイミングで、貼り付き(ブロッキング)が生じてしまうという問題がある。また、画像がローラーや他の記録媒体に転写してしまい、画像剥がれが生じ、更に画像が白抜けになってしまうという問題がある。
【0009】
具体的には、
図1に示すように、給紙部1、連続紙である記録媒体2、接触部材であるローラー3、インク吐出部4、加温部5、及び巻き取り部6を有する画像形成装置を用いる場合、記録媒体2上の画像は、加温部5により加温されたローラーを通過する際や巻き取る際に、画像面の横方向及び縦方向に圧力がかかり、画像面と重なる記録媒体や接触するローラーに画像が転写して画像剥がれが生じてしまったり、擦過傷が発生してしまったりするという問題がある。
【0010】
そこで、本発明者らは、記録媒体上における、付与されたインクに含まれる有機溶剤の量を100μg/cm2以下とすることにより、樹脂の可塑化を抑制し、記録媒体に対する画像の定着性を維持できるため、加温された接触部材への画像転写を抑制し、画像剥がれが生じることを抑制することができることを見出した。
また、本発明者らは、インクを付与された面に対する圧力を0.020kg/cm2以上とすることにより、画像の定着性、耐擦性、及びインクの乾燥性を向上させることができ、また、画像が前記圧力で加温された接触部材と均一に接触することにより、記録媒体上の画像部に残存する有機溶剤が揮発し、画像剥がれが生じることを抑制することができることを見出した。
更に、本発明者らは、インクを付与された面に対する圧力を0.030kg/cm2以下とすることにより、画像部と加温された接触部材との接触が適度であるため、記録媒体上の画像部に残存する有機溶剤が加温された接触部材に転写し、画像剥がれが生じることを抑制することができることを見出した。
【0011】
(画像形成方法、及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、記録媒体に、色材及び有機溶剤を含むインクを付与するインク付与工程と、前記記録媒体の、前記インクが付与された面が、25℃以上に加温された接触部材と接触する接触工程と、を含み、前記インク付与工程後、かつ、前記接触工程前の、前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が、100μg/cm2以下であり、前記接触工程において、前記記録媒体の、前記インクが付与された面に対し、0.020kg/cm2以上0.030kg/cm2以下の圧力が加わり、乾燥工程を含むことが好ましい。
本発明の画像形成装置は、記録媒体に対して、色材及び有機溶剤を含むインクを付与するインク付与手段と、前記記録媒体の、前記インクが付与された面に接触する接触部材と、を有し、前記接触部材が、25℃以上に加温され、前記インクが付与された前記記録媒体の、単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が100μg/cm2以下である場合に、前記インクが付与された面に0.020kg/cm2以上0.030kg/cm2以下の圧力を加え、乾燥手段を含むことが好ましい。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により、好適に実施されることができる。
【0012】
[記録媒体上の有機溶剤の量]
記録媒体上の、付与されたインクに含まれる有機溶剤の量としては、100μg/cm2以下であり、75μg/cm2以下が好ましく、40μg/cm2以下がより好ましく、5μg/cm2以上40μg/cm2以下が特に好ましい。前記有機溶剤の量が100μg/cm2以下であると、樹脂の可塑化を抑制し、記録媒体に対する画像の定着性を維持できるため、加温された接触部材への画像転写を抑制することができ、画像剥がれが生じることを抑制することができる。
【0013】
記録媒体上における、付与されたインクに含まれる有機溶剤の量は、特にインク中の樹脂や溶剤の種類等の影響を受ける。
記録媒体上の有機溶剤の量を実現可能な一例としての樹脂の種類や含有量等については、以降で詳細に説明する。
【0014】
[加温された接触部材からの圧力]
記録媒体上のインクを付与された面(画像部)は、圧力がかけられる。なお、本発明において、圧力とは、単位面積(1cm2)当たりにかかる質量(kg)を意味する。
記録媒体上のインクを付与された面に対する圧力としては、0.020kg/cm2以上0.030kg/cm2以下であり、0.023kg/cm2以上0.027kg/cm2以下が好ましい。
前記圧力が0.020kg/cm2以上であると、画像の定着性、耐擦性、及びインクの乾燥性を向上させることができる。また、画像が前記圧力で加温された接触部材と均一に接触することにより、記録媒体上の画像部に残存する有機溶剤を揮発させることができ、画像剥がれが生じることを抑制することができる。前記圧力が0.030kg/cm2以下であると、画像部と加温された接触部材との接触が適度であるため、記録媒体上の画像部に残存する有機溶剤が加温された接触部材に転写し、画像剥がれが生じることを抑制することができる。
【0015】
<インク付与工程、及びインク付与手段>
インク付与工程は、記録媒体にインクを付与して画像を形成する工程である。
インク付与手段は、記録媒体にインクを付与して画像を形成する手段である。
インク付与工程は、インク付与手段により好適に実施することができる。
【0016】
記録媒体に対するインクの付与量としては、4.8×10-4mL/cm2以上1.1×10-3mL/cm2以下が好ましく、8.0×10-4mL/cm2以上1.0×10-3mL/cm2以下がより好ましい。
【0017】
<<インク>>
インク付与工程、及びインク付与手段におけるインクとしては、色材、及び有機溶剤を含有し、顔料分散体、樹脂、滑剤、水を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0018】
-色材-
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
【0019】
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
【0020】
顔料を分散してインクを得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT-100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0021】
-顔料分散体-
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
【0022】
-有機溶剤-
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
【0023】
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
【0024】
樹脂を用いる場合には、アミド溶剤、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、プロピレングリコールモノメチルエーテルを含むことが好ましい。
アミド溶剤としては、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミドなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、樹脂による造膜性を促進し、耐擦性を向上させる点から、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミドなどのアミド溶剤がより好ましい。
【0025】
有機溶剤の沸点としては、180℃以上300℃以下が好ましい。有機溶剤の沸点が180℃以上であると、乾燥時の蒸発速度を適切に調節することができる。また、十分なレベリング性により画像の表面の凹凸を小さくするため、光沢性を向上できる。有機溶剤の沸点が300℃以下であると、インクの乾燥性を向上させることができる。
【0026】
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0027】
アミド溶剤の含有量としては、インク全量に対して、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0028】
連続して画像形成する際の吐出安定性の向上、及び高温時でも蒸気圧が高く良好な乾燥性を得られる点から、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールを含むことが好ましい。
ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコールの含有量としては、インク全量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上6質量%以下がより好ましい。前記含有量が1質量%以下であると、吐出安定性を向上させることができる。前記含有量が10質量%以下であると、記録媒体上の画像部に残存する有機溶剤の量が少ないため、樹脂の可塑化を抑制し、定着性を維持できるため、加温された接触部材への画像転写を抑制することができる。
【0029】
-樹脂-
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
--ウレタン樹脂粒子--
前記樹脂粒子の中でも、ウレタン樹脂粒子は、タック力が大きく、耐ブロッキング性を低下させてしまうため、他の樹脂粒子と混合して使用することが好ましい。
しかしながら、ウレタン樹脂粒子のタック力の強さは、画像を強固に形成させ、定着性を向上させることができる。また、ガラス転移温度(Tg)が-20℃以上70℃以下のウレタン樹脂粒子は、インクにより画像を形成した際に特に大きなタック力を持ち、定着性をより向上させることができる。
【0031】
ウレタン樹脂粒子としては、例えば、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子、ポリエステルウレタン樹脂粒子、ポリエーテルウレタン樹脂粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐擦性の点から、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子が好ましい。
なお、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子とは、その構造中にポリカーボネート構造を有していればよく、ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子も含む意味である。
【0032】
ウレタン樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)としては、-20℃以上70℃以下が好ましい。ウレタン樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)が、-20℃以上70℃以下であると、タック力が高く成膜性がよいため、良好な耐擦性を示す。
【0033】
--アクリル樹脂粒子--
前記樹脂粒子の中でも、アクリル樹脂粒子は、吐出安定性に優れ、またコスト面でも低価格であるため、広く使用されている。
しかし、耐擦性が劣ることから、弾性を持つウレタン樹脂粒子と混合して使用することが好ましい。
【0034】
アクリル樹脂粒子としては、例えば、アクリルシリコーン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐擦性の点から、アクリルシリコーン樹脂粒子が好ましい。
【0035】
スチレンアクリル樹脂粒子は、例えば、乳化重合、分散重合、懸濁重合、粉砕又は溶液/バルク重合、その後の後乳化などにより製造することができる。
スチレンアクリル樹脂粒子は、適宜市販品を使用してもよい。
スチレンアクリル樹脂粒子の市販品としては、例えば、商品名:J-352、J-390、J-450、J-511、J-734、J-741、J-775、J-840、J-7100、J-7600、HPD-71、HRC-1645、JDX-5050、PDX-6102B(以上、BASF社製)、商品名:UC-3900(東亞合成株式会社製)などが挙げられる。
【0036】
ウレタン樹脂粒子の含有量(質量%)と、アクリル樹脂粒子の含有量(質量%)との質量比(ウレタン樹脂粒子/アクリル樹脂粒子)としては、0.03以上0.7以下が好ましく、0.23以上0.46以下がより好ましい。
【0037】
前記質量比(ウレタン樹脂粒子/アクリル樹脂粒子)が0.03以上0.7以下であるインクで形成したインク付着膜を、フーリエ変換赤外吸収スペクトル法(以下、「FTIR」とも称することがある)により測定したとき、スペクトル692cm-1から707cm-1までの領域と、スペクトル710cm-1以上740cm-1以下の間の最小点及びスペクトル660cm-1以上690cm-1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積A、並びに、スペクトル1,731cm-1から1,750cm-1までの領域と、スペクトル1,660cm-1以上1,690cm-1以下の間の最小点及びスペクトル1,760cm-1以上1,790cm-1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積Bの面積比(B/A)が、0.3以上1.0以下が好ましく、0.51以上1.0以下がより好ましく、0.6以上1.0以下が特に好ましい。前記面積比(B/A)が0.3以上1.0以下であると、ウレタン樹脂粒子による耐擦性の向上効果と、アクリル樹脂粒子による耐ブロッキング性の向上効果とを両立することができる。
【0038】
前記インク付着膜のフーリエ変換赤外吸収スペクトル法での測定は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計のATR(Attenated Total Reflection:全反射減衰)法を用いることができる。
具体的には、インクの付着量が1.12mg/cm2(700mg/A4)で、紙(商品名:Lumi Art Gloss 130gsm、Stora Enso社製)上に形成した画像の表面を、装置名:Spectrum One(パーキンエルマー社製)を用い、ダイヤモンド圧子によるATR法により測定したスペクトルから判定することができる。
【0039】
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0040】
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
【0041】
-滑剤-
インクは、滑剤を含有することが好ましい。インクが滑剤を含有することにより、耐擦性を向上させることができる。また、滑剤と樹脂とを併用することにより、光沢性を向上させることができる。
滑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワックスなどが挙げられる。
ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックスなどが挙げられる。
【0042】
ポリエチレンワックスとしては、適宜市販品を使用してもよい。
ポリエチレンワックスの市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンワックス(商品名:アクアペトロDP2502C、東洋アドレ株式会社製)、ポリエチレンワックス(商品名:アクアペトロDP2401、東洋アドレ株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
滑剤の含有量としては、インク全量に対して、0.05質量%以上2質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上0.45質量%以下がさらに好ましく、0.15質量%以上0.45質量%以下が特に好ましい。前記含有量が0.05質量%以上2質量%以下であると、耐擦性、及び光沢性を向上させることができる。前記含有量が0.05質量%以上0.45質量%以下であると、インクの保存安定性、及び吐出安定性を向上させることができる。
【0044】
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0045】
-水-
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%~60質量%がより好ましい。
【0046】
水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、精製水、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
-添加剤-
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
【0048】
--界面活性剤--
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0049】
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
[一般式(S-1)]
【化1】
(但し、一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社)、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK-33、BYK-387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
【0050】
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2~16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
[一般式(F-1)]
【化2】
上記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
[一般式(F-2)]
C
nF
2n+1-CH
2CH(OH)CH
2-O-(CH
2CH
2O)
a-Y
上記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はCmF
2m+1でmは1~6の整数、又はCH
2CH(OH)CH
2-CmF
2m+1でmは4~6の整数、又はCpH
2p+1でpは1~19の整数である。nは1~6の整数である。aは4~14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF-470、F-1405、F-474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR、キャプストーンFS-30、FS-31、FS-3100、FS-34、FS-35(いずれも、Chemours社製);FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF-136A,PF-156A、PF-151N、PF-154、PF-159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS-3100、FS-34、FS-300、株式会社ネオス製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF-151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
【0051】
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0052】
--消泡剤--
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
【0053】
--防腐防黴剤--
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
【0054】
--防錆剤--
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0055】
--pH調整剤--
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
【0056】
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
【0057】
<<記録媒体>>
記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙などが挙げられる。
【0058】
記録媒体を搬送する搬送速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、記録媒体上に残存する有機溶剤の量に応じて、変化させることが好ましい。また、記録媒体の搬送速度を制御することにより、記録媒体上の有機溶剤の量を制御することが好ましい。
具体的には、記録媒体上の有機溶剤の量が少ない場合は、記録媒体の搬送速度を速くすることが好ましい。記録媒体上の有機溶剤の量が少ない場合に記録媒体の搬送速度を速くすることにより、生産性を向上することができる。
また、記録媒体上における有機溶剤の量が多い場合は、記録媒体の搬送速度を遅くすることが好ましい。記録媒体上における有機溶剤の量が多い場合に記録媒体の搬送速度を遅くすることにより、記録媒体上の画像部が乾燥部での温風や加温された接触部材に接触する時間が長くなるため、画像面に残存する有機溶剤の量を少なくすることができ、画像剥がれを抑制することができる。
【0059】
記録媒体上の画像部に残存する有機溶剤の量は、種々の乾燥方法により、低減することができる。
記録媒体を乾燥させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、記録媒体における画像形成部、記録媒体における画像非形成部(画像形成部の裏面等)等に加温させた接触部材を直接接触させる伝熱乾燥、画像部に温風を当てる温風乾燥、遠赤外線による乾燥などが挙げられる。
これらの中でも、記録媒体における画像形成部に加温させた接触部材を直接接触させる伝熱乾燥は、伝熱効率が高いため、乾燥効率に優れる点で好ましい。
【0060】
通常、インク付与工程直後の画像部は、多量に有機溶剤が残存する。そこで、最初に、画像部が記録媒体に接触しない、記録媒体における画像非形成部等に加温させた接触部材を直接接触させる伝熱乾燥、画像部に温風を当てる温風乾燥、遠赤外線による乾燥などを行った後、記録媒体における画像形成部に加温させた接触部材を直接接触させる伝熱乾燥を行うことが好ましい。これにより、残存する有機溶剤の量を更に低減させることができる。
【0061】
記録媒体上の画像部に残存する有機溶剤の量としては、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いて、以下のようにして測定することができる。
まず、バイアル瓶に、テトラヒドロフランを計り取る。次に、画像面を拭き取るための布ワイパーを前記バイアル瓶に入る大きさに切削する。次に、加温ローラーに接触させる前のベタ画像を切り出す。次に、切削した布ワイパーに前記バイアル瓶内のテトラヒドロフランを少量染み込ませ、切り出したベタ画像を拭き取る。拭き取った布ワイパーを前記バイアル瓶に入れて蓋をし、放置する。その後、テトラヒドロフラン中に含まれる有機溶剤の濃度をガスクロマトグラフ質量分析計で測定することにより、記録媒体上における、付与されたインクに含まれる有機溶剤の量を求めることができる。
ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)としては、例えば、装置名:GSMS-TQ8050、GC-2010plusAF/AOC(以上、株式会社島津製作所製)などが挙げられる。
【0062】
記録媒体としては、例えば、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面側に設けられた塗工層と、を有し、更に必要に応じてその他の層を有してなる記録媒体などが挙げられる。
【0063】
前記支持体と前記塗工層を有する記録媒体は、一般にコート紙と呼ばれ、インクの浸透性が低いメディアとして知られている。コート紙のような浸透性が低いメディアに色材を強固に定着させることは難しく、耐擦性が悪くなってしまうことが多いが、画像のタック力が80nN以上110nN以下であれば、画像形成後に3.5kg/cm2以上8.0kg/cm2以下の圧力をかけてもブロッキングが起こらず、さらに光沢性が高い画像が得られるため特に好ましい。
【0064】
前記支持体と前記塗工層を有する記録媒体においては、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録媒体への転移量は、2mL/m2以上35mL/m2以下が好ましく、2mL/m2以上10mL/m2以下がより好ましい。
前記接触時間100msでの前記インク及び純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
動的走査吸液計にて測定した接触時間400msにおける純水の前記記録媒体への転移量は、3mL/m2以上40mL/m2以下が好ましく、3mL/m2以上10mL/m2以下がより好ましい。
前記接触時間400msでの転移量が少ないと、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。前記接触時間100ms及び400msにおける純水の前記記録媒体への転移量は、いずれも記録媒体の塗工層を有する側の面において測定することができる。
【0065】
ここで、前記動的走査吸収液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88頁~92頁、空閑重則)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置である。前記動的走査吸液計は、吸液の速度をキャピラリー中のメニスカスの移動から直読する、試料を円盤状とし、この上で吸液ヘッドをらせん状に走査する、予め設定したパターンに従って走査速度を自動的に変化させ、1枚の試料で必要な点の数だけ測定を行う、という方法によって測定を自動化したものである。
紙試料への液体供給ヘッドはテフロン(登録商標)管を介してキャピラリーに接続され、キャピラリー中のメニスカスの位置は光学センサで自動的に読み取られる。具体的には、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水又はインクの転移量を測定することができる。
接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量としては、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めることができる。
【0066】
-支持体-
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが挙げられる。
【0067】
前記紙としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材パルプ、古紙パルプなどが用いられる。
前記木材パルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、NBSP、LBSP、GP、TMPなどが挙げられる。
【0068】
前記古紙パルプの原料としては、財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。
具体的には、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙等のプリンタ用紙;PPC用紙等のOA古紙;アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗工紙;上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗工紙、などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
前記古紙パルプは、一般的に、以下の4工程の組合せから製造することができる。
(1)離解は、古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵は、古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びゴミをスクリーン、クリーナー等により除去する。
(3)脱墨は、繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、又は洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白は、酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
前記古紙パルプを混合する場合、全パルプ中の古紙パルプの混合比率は、記録後のカール対策から40%以下が好ましい。
【0070】
前記支持体に使用される内添填料としては、例えば、白色顔料として従来公知の顔料が用いられる。
前記白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のような白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような有機顔料、などが挙げられる。 これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0071】
前記支持体を抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、例えば、中性抄紙に用いられる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤などが挙げられる。これらの中でも、中性ロジンサイズ剤又はアルケニル無水コハク酸が特に好適である。前記アルキルケテンダイマーは、そのサイズ効果が高いことから添加量は少なくて済むが、記録用紙(記録媒体)表面の摩擦係数が下がり滑りやすくなるため、インクジェット記録時の搬送性の点からは好ましくない場合がある。
【0072】
-塗工層-
前記塗工層は、顔料及びバインダー(結着剤)を含有してなり、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。なお、本発明において塗工層とは、上記の通り顔料及びバインダー(結着剤)を含有していればよく、実際に塗工されて設けられたものか否か等の形成方法は問わないものを意味する。
【0073】
前記顔料としては、無機顔料、もしくは無機顔料と有機顔料を併用したものを用いることができる。
前記無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クロライトなどが挙げられる。これらの中でも、カオリンは光沢発現性に優れており、オフセット印刷用の用紙に近い風合いとすることができる点から特に好ましい。
【0074】
前記カオリンには、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、表面改質等によるエンジニアードカオリン等があるが、光沢発現性を考慮すると、粒子径が2μm以下の割合が80質量%以上の粒子径分布を有するカオリンが、カオリン全体の50質量%以上を占めていることが好ましい。
【0075】
前記カオリンの含有量は、前記バインダー100質量部に対して、50質量部以上が好ましい。前記含有量が、50質量部以上であると、光沢性を向上できる。前記含有量の上限は特に制限はないが、カオリンの流動性、特に高せん断力下での増粘性を考慮すると、塗工適性の点から、90質量部以下が好ましい。
【0076】
前記有機顔料としては、例えば、スチレン-アクリル共重合体粒子、スチレン-ブタジエン共重合体粒子、ポリスチレン粒子、ポリエチレン粒子等の水溶性ディスパージョンがある。これら有機顔料は2種以上が混合されてもよい。
前記有機顔料の添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下が好ましい。前記有機顔料は、光沢発現性に優れていることと、その比重が無機顔料と比べて小さいことから、嵩高く、高光沢で、表面被覆性の良好な塗工層を得ることができる。前記含有量が2質量部以上であると、前記効果を向上でき、20質量部以下であると、塗工液の流動性に優れ、塗工操業性を向上でき、コスト面からも経済的である。
【0077】
前記有機顔料には、その形態において、密実型、中空型、ドーナツ型等があるが、光沢発現性、表面被覆性及び塗工液の流動性のバランスを鑑み、前記有機顔料の平均粒子径は、0.2μm以上3.0μm以下が好ましく、空隙率40%以上の中空型がより好ましい。
【0078】
前記バインダーとしては、水性樹脂を使用するのが好ましい。
前記水性樹脂としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の少なくともいずれかを好適に用いられる。
前記水溶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールの変性物;ポリウレタン;ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、四級化したビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムの共重合体等のポリビニルピロリドンの変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等セルロース;カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースの変性物;ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、メラミン樹脂、又はこれらの変性物、ポリエステルとポリウレタンの共重合体等の合成樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、又は各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、インク吸収性の観点から、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルとポリウレタンの共重合体、などが好ましい。
【0079】
前記水分散性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、ポリビニルエーテル、シリコーン-アクリル系共重合体、などが挙げられる。また、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等の架橋剤を含有してよいし、N-メチロールアクリルアミドなどの単位を含む共重合体で自己架橋性を持つものでもよい。これら水性樹脂の複数を同時に用いることも可能である。
前記水性樹脂の含有量としては、顔料100質量部に対して、2質量部以上100質量部以下が好ましく、3質量部以上50質量部以下がより好ましい。前記含有量は、記録媒体の吸液特性が所望の範囲に入るように決定される。
【0080】
前記着色剤として水分散性の着色剤を使用する場合には、カチオン性有機化合物は必ずしも配合する必要はないが、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択使用することができる。例えば、水溶性インク中の直接染料や酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と反応して不溶な塩を形成する1級~3級アミン、4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマーなどが挙げられ、これらの中でも、オリゴマー又はポリマーが好ましい。
【0081】
前記カチオン性有機化合物としては、例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン縮合物、ポリ(メタクリル酸トリメチルアミノエチル・メチル硫酸塩)、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ポリ(ジアリルアミン塩酸塩・二酸化イオウ)、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリ(アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩)、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・塩化アンモニウム・尿素・ホルムアルデヒド縮合物、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・二酸化イオウ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・ジアリルアミン塩酸塩誘導体)、アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、アクリル酸塩・アクリルアミド・ジアリルアミン塩酸塩共重合物、ポリエチレンイミン、アクリルアミンポリマー等のエチレンイミン誘導体、ポリエチレンイミンアルキレンオキサイド変性物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ポリアリルアミン塩酸塩等の低分子量のカチオン性有機化合物と他の比較的高分子量のカチオン性有機化合物、例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)等とを組み合わせて使用することが好ましい。併用により、単独使用の場合よりも画像濃度を向上させ、フェザリングが更に低減される。
【0082】
前記カチオン性有機化合物のコロイド滴定法(ポリビニル硫酸カリウム、トルイジンブルー使用)によるカチオン当量は3meq/g以上8meq/g以下が好ましい。前記カチオン当量がこの範囲であれば上記乾燥付着量の範囲で良好な結果が得られる。
ここで、前記コロイド滴定法によるカチオン当量の測定に当たっては、カチオン性有機化合物を固形分0.1質量%となるように蒸留水で希釈し、pH調整は行わないものとする。
【0083】
前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量としては、0.3g/m2以上2.0g/m2以下が好ましい。前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量が0.3g/m2以上であると、充分な画像濃度向上し、フェザリング低減の効果を向上できる。
【0084】
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれも使用することができる。これらの中でも、非イオン界面活性剤が特に好ましい。前記界面活性剤を添加することにより、画像の耐水性が向上するとともに、画像濃度が高くなり、ブリーディングが改善される。
【0085】
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙られる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0086】
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビトール、ショ糖などが挙げられる。
また、エチレンオキサイド付加物については、水溶性を維持できる範囲にて、エチレンオキサイドの一部をプロピレンオキサイドあるいはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに置換したものも有効である。置換率は50%以下が好ましい。
前記非イオン界面活性剤のHLB(親水性/親油性比)としては、4以上15以下が好ましく、7以上13以下がより好ましい。
【0087】
前記界面活性剤の含有量としては、前記カチオン性有機化合物100質量部に対して、0質量部以上10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上1.0質量部以下がより好ましい。
【0088】
前記塗工層には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲にて、更に必要に応じて、その他の成分を添加することができる。前記その他の成分としては、アルミナ粉末、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤が挙げられる。
【0089】
前記塗工層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記支持体上に塗工層液を含浸又は塗布する方法により行うことができる。 前記塗工層液の含浸又は塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレス、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機で塗工することも可能であるが、コストの点から、抄紙機に設置されているコンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレスなどで含浸又は付着させ、オンマシンで仕上げてもよい。
前記塗工層液の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、固形分で、0.5g/m2以上20g/m2以下が好ましく、1g/m2以上15g/m2以下がより好ましい。
前記含浸又は塗布の後、必要に応じて乾燥させてもよく、この場合の乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃以上250℃以下程度が好ましい。
【0090】
前記記録媒体は、更に支持体の裏面にバック層、支持体と塗工層との間、また、支持体とバック層間にその他の層を形成してもよく、塗工層上に保護層を設けることもできる。これらの各層は単層であっても複数層であってもよい。
【0091】
<接触工程、及び接触手段>
接触工程は、記録媒体におけるインクを付与された面が、常温よりも高い温度に加温された接触部材と接触する工程である。
接触手段は、記録媒体におけるインクを付与された面が、常温よりも高い温度に加温された接触部材と接触する手段である。
接触工程は、接触手段により好適に実施することができる。
【0092】
<<加温された接触部材>>
加温された接触部材とは、25℃以上の温度に加温された接触部材を意味する。
接触部材としては、例えば、ローラーなどが挙げられる。
ローラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱ローラー、搬送ローラー、小径ローラーなどが挙げられる。
加温としては、接触部材自体に加熱する機構を備えていてもよいし、その他の乾燥手段からの対流熱により接触部材が温められてもよい。また、乾燥装置に接触部材を備える機構であってもよい。
【0093】
加温された接触部材の温度としては、加温された接触部材の設定温度において、25℃以上であり、40℃以上が好ましく、画像の乾燥性の点から、80℃以上150℃以下がより好ましい。加温される接触部材の温度が80℃以上であると、記録媒体上の画像部に残存する有機溶剤によるブロッキングを抑制することができる。加温される接触部材の温度が150℃以下であると、記録媒体上の画像部に残存する有機溶剤による樹脂の可塑化を抑制するため、加温される接触部材への画像転写を抑制することができる。
【0094】
加温された接触部材の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレスなどの金属などが挙げられる。加温される接触部材の種類を金属にすることにより、熱応答性に優れるため、短時間で加温される接触部材の温度を所望の温度に制御することができる。
【0095】
加温された接触部材の本数としては、本数が多いほど、記録媒体上の画像部に残存する有機溶剤の量を低減することができる。ただし、加温された接触部材の本数を過度に多くしてしまうと、接触部材や他の記録媒体への画像の転写を誘発するだけでなく、加温部の大型化につながってしまうため、加温された接触部材の本数を適宜選択することが好ましい。
【0096】
加温される接触部材としては、記録媒体のインクを付与された面と接触してもよく、記録媒体のインクを付与された面と反対の面と接触してもよい。また、記録媒体のインクを付与された面と接触する接触部材と、記録媒体のインクを付与された面と反対の面と接触する接触部材とを両方備えてもよい。これにより、加温される接触部材を含む画像形成装置を小型化することができる。
【0097】
記録媒体のインクを付与された面と接触する接触部材と、記録媒体のインクを付与された面と反対の面と接触する接触部材とを両方備える場合、これらの接触部材は交互に配置されることが好ましい。この点について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は、接触部材としてのローラーと記録媒体との角度を示す模式図である。
図3は、記録媒体におけるインクを付与された面と接触するローラー、及びインクを付与された面とは反対の面と接触するローラーを両方備え、
図2において、ローラーの中心から記録媒体上の張力Tを接線方向とする半径がなす角度θを180°とした場合のローラーの配置の一例を示す模式図である。
図3において、ローラー31を通過した後に、インク吐出部4において、ローラー31の内側の面に画像が形成される。その後、形成された画像は、ローラー32、34、36の外側を通過し、ローラー33、35の内側を通過して搬送される。即ち、ローラー32、34、36は、記録媒体のインクを付与された面と反対の面と接触し、ローラー33、35は、記録媒体のインクを付与された面と接触する。
【0098】
一般的に知られている画像記録方法の場合、記録媒体における画像非形成面から加温して画像を乾燥させた後、再度画像形成面を加温して画像を乾燥させる場合、画像が温められることにより、加温された接触部材へ転写してしまうという問題がある。
これに対し、本発明では、記録媒体のインクを付与された面が接触部材33、35と接触するが、記録媒体上における、付与されたインクに含まれる有機溶剤の量を100μg/cm2以下とし、インクを付与された面に対する圧力を、0.020kg/cm2以上0.030kg/cm2以下とすることにより、画像が接触部材や他の記録媒体に転写してしまい画像剥がれが生じることを抑制することができる。
【0099】
加温された接触部材と画像部との接触時間としては、接触部材と記録媒体がなす、前記角度θ、記録媒体の搬送速度、加温された接触部材の本数などに応じて、適宜選択することができるが、耐ブロッキング性の点から、1.0秒間以上6.0秒間以下が好ましい。
【0100】
記録媒体上のインクを付与された面(画像部)は、圧力がかけられる。記録媒体上のインクを付与された面に対する圧力としては、記録媒体に圧力が加わるものであればよく、その方法としては能動的であっても、受動的であってもよい。例えば、加温された接触部材からの圧力、1つ又は複数の押圧ローラーから押されることによる圧力、連続紙をロール状に巻くことにより発生する圧力などが挙げられる。これらの中でも、加温された接触部材による圧力が好ましく、記録媒体に最初に接する、記録媒体の画像非形成面への加温された接触部材の接触によりにかかる圧力がより好ましい。
【0101】
記録媒体が連続紙である場合に、インクを付与した後の連続紙をロール状に巻くことにより生じる圧力としては、例えば、巻取り装置を用いて連続紙をロール状に巻き取る巻取工程において、巻取り装置が連続紙を巻き取る張力により、連続紙上の画像に圧力が加わることが好ましい。連続紙を巻き取る巻取工程において、連続紙にかかる張力により、かかる画像への圧力があれば、本発明の効果を得ることができる。
【0102】
ロール状の連続紙にかかる圧力としては、例えば、ロール状の連続紙の写真や情報等から、ロール状の連続紙の直径、高さ、質量を参考にして算出することができる。
紙幅が広く、坪量が大きい連続紙ほど、張力をかける必要あるため、接触する加温されたローラーに対して、強く画像部が押し当てられ、画像が転写しやすい傾向がある。
【0103】
圧力の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜、公知の装置を選択することができ、例えば、力/圧力分布計測装置(装置名:面圧分布測定システムI-SCAN、ニッタ株式会社製)、センサーシートとしてI-SCAN#5027(ニッタ株式会社製)を用いることができる。
【0104】
ロール状の連続紙にかかる圧力の測定方法は、例えば、以下のようにして求めることができる(
図4、及び
図5)。
まず、ロール状に連続紙12を巻き取り、空洞10を有する紙管11の外側から20cmの位置に、圧力を測定するセンサーシート13を設置する。次に、センサーシート13を、連続紙12の横幅方向に位置を変えた3点に設置し、3点の測定点を設ける。その後、連続紙13の巻き取りを継続し、前記3点の測定点から見て10cm紙が重なる状態とした段階での圧力を測定し、3点の圧力の平均値を、画像にかかる圧力とすることができる。
【0105】
圧力は、複数の工程においてかけられてもよいし、1工程のみにおいてかけられてもよい。また、圧力は記録媒体の少なくとも一部に加わっていればよく、記録媒体の全体に加わっていることが好ましい。
【0106】
[画像剥がれ]
記録媒体がセルロース層の上に炭酸カルシウムを含む層(例えば、コート層など)を有し、加温された接触部材へ画像が転写してしまった場合、
図6に示すように、直径:100μm程度の白抜けが観察されることがある。白抜けが発生する場合、白抜けの深さが3μmから20μm程度となり、コート層を破断する。したがって、画像に白抜けが多いほど、目視により、画像剥がれの発生と判断されやすくなる。
【0107】
[白抜け面積率]
画像の白抜け面積率は、例えば、以下のようにして求めることができる。
まず、スキャナーを用いて画像をスキャンする。次に、スキャンした画像ファイルを、画像処理ソフトウェアにより、白抜け箇所、及び非白抜け箇所に2値化して解析することにより、画像面に対する「白抜け面積率」を算出することができる。
スキャナーとしては、例えば、装置名:ES-G11000(セイコーエプソン株式会社製)などを用いることができる。また、画像処理ソフトウェアとしては、例えば、ImageJ(Fiji)などを用いることができる。
スキャンの測定条件としては、例えば、以下の条件により測定できる。
-測定条件-
モード:プロフェッショナルモード
イメージタイプ:24bit カラー
記録解像度:800dpi×800dpi
ファイル形式:TIFF
証左設定(カラー):色補正なし
【0108】
[タック力]
インクを用いて形成された画像の25℃におけるタック力としては、80nN以上110nN以下が好ましく、85nN以上100nN以下がより好ましい。前記タック力が80nN以上であると、画像の結着力を向上でき、膜強度が増加するため、定着性を向上させることができる。前記タック力が110nN以下であると、画像部に圧力が加わった際に接触面との間に働く力が画像を保つための膜強度を調整でき、画像が破壊されることを防止できるため、画像剥がれを抑制することができる。
【0109】
画像のタック力としては、例えば、原子間力顕微鏡(以下、「AFM」とも称することがある。)を用いて、以下のようにして求めることができる。
画像は、各種インクジェットプリンタにて記録媒体上に出力された画像を使用することができる。AFMのプローブを画像に接触させ、100nm押し込んだ後にプローブを引き上げ、画像から離れる際のカンチレバーのしなりをモニターし、
図7のようなフォースカーブを得る。その変位量xに、
図8に示すようなカンチレバー20のバネ定数kを掛けて得られる値(F=kx)をタック力とすることができる。なお、カンチレバー20としては、球状の酸化シリコーンをプローブ21として備えるカンチレバー20を使用することができる。
原子間力顕微鏡としては、例えば、装置名:SPM-9500J3(株式会社島津製作所製)などを用いることができる。
測定条件としては、例えば、測定温度:23℃、相対湿度:35%、プローブ径:3.5μm、測定モード:フォースカーブ測定、測定周波数:1Hzとすることができる。
【0110】
<乾燥工程、及び乾燥手段>
画像形成方法において、インク付与工程と、接触工程との間に、乾燥工程を含むことが好ましい。乾燥工程は、記録媒体上の有機溶剤を乾燥させる工程である。
画像形成装置において、乾燥手段を有することが好ましい。乾燥手段は、記録媒体上の有機溶剤を乾燥させる手段である。
乾燥工程は、乾燥手段により好適に実施することができる。
具体的な乾燥手段としては、前述した乾燥手段などを用いることができ、例えば、温風乾燥、赤外線照射、紫外線照射、高周波誘電加熱、常温での自然乾燥などを用いることができる。
【0111】
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
【実施例】
【0112】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0113】
(顔料分散体の作製例)
<シアン顔料分散体の作製>
ピグメントブルー15:3(大日精化工業株式会社製、クロモファインブルー)20g、下記構造式(1)の化合物20mmol、及びイオン交換水200mLを、室温(25℃)環境下、Silversonミキサー(6,000rpm)で混合し、スラリーを得た。得られたスラリーのpHが4より高い場合は、硝酸20mmolを添加した。30分間後に、少量のイオン交換高純水に溶解された亜硝酸ナトリウム(20mmol)を上記混合物にゆっくりと添加した。更に、撹拌しながら60℃に加温し、1時間反応させた。ピグメントブルーに下記構造式(1)の化合物を付加した改質顔料を生成した。次いで、NaOH水溶液によりpHを10に調整することにより、30分間後に改質顔料分散体を得た。少なくとも1つのジェミナルビスホスホン酸基又はジェミナルビスホスホン酸ナトリウム塩と結合した顔料を含んだ分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜を用いた限外濾過を行い、更に超音波分散を行い、シアン顔料分散体(顔料固形分:15質量%)を作製した。
【0114】
【0115】
(ポリウレタン樹脂エマルジョンの作製例1)
<ポリウレタン樹脂エマルジョン1の作製>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサン二酸、及びチタン(IV)テトライソプロポキシド(樹脂成分に対して、1質量%)1,000ppmを入れ、アルコールとカルボン酸とのモル比(アルコール/カルボン酸)=1.5、並びに、1,6-ヘキサンジオールにおけるアルコール成分:10mol%、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールにおけるアルコール成分:90mol%に調製した。その後、4時間かけて200℃まで昇温した。次に、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、1,334Pa以上2,000Pa以下(10mmHg以上15mmHg以下)の減圧下で5時間反応させ、中間体ポリエステルを得た。
次に、前記中間体ポリエステルとイソホロンジイソシアネートとのモル比(前記中間体ポリエステル/イソホロンジイソシアネート)が2.0となるように、前記中間体ポリエステル、及びイソホロンジイソシアネートを別の冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に入れた。その後、酢酸エチルを加えて前記中間体ポリエステルの濃度が48質量%となるように希釈した後、100℃で5時間反応させた。その後、大量の水を加えて反応を停止させ、ポリウレタン樹脂粒子1の分散液であるポリウレタン樹脂エマルジョン1(固形分濃度:10質量%)を得た。
得られたポリウレタン樹脂粒子1のガラス転移温度(Tg)を示差走査熱量計(装置名:Thermo plus EVO2/DSC、株式会社リガク製)を用いて測定したところ、-16℃であった。
【0116】
(ポリウレタン樹脂エマルジョンの作製例2)
<ポリウレタン樹脂エマルジョン2の作製>
ポリウレタン樹脂エマルジョンの作製例1において、1,6-ヘキサンジオール、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールとし、1,6-ヘキサンジオールにおけるアルコール成分:50mol%、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールにおけるアルコール成分:50mol%となるように変更した以外は、ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例1と同様にして、ポリウレタン樹脂粒子2の分散液であるポリウレタン樹脂エマルジョン2(固形分濃度:10質量%)を得た。
得られたポリウレタン樹脂粒子2のガラス転移温度(Tg)を示差走査熱量計(装置名:Thermo plus EVO2/DSC、株式会社リガク製)を用いて測定したところ、-49℃であった。
【0117】
(ポリウレタン樹脂エマルジョンの作製例3)
<ポリウレタン樹脂エマルジョン3の作製>
ポリウレタン樹脂エマルジョンの作製例1において、1,6-ヘキサンジオール、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールとし、1,6-ヘキサンジオールにおけるアルコール成分:30mol%、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールにおけるアルコール成分:70mol%となるように変更した以外は、ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例1と同様にして、ポリウレタン樹脂粒子3の分散液であるポリウレタン樹脂エマルジョン3(固形分濃度:10質量%)を得た。
得られたポリウレタン樹脂粒子3のガラス転移温度(Tg)を示差走査熱量計(装置名:Thermo plus EVO2/DSC、株式会社リガク製)を用いて測定したところ、-32℃であった。
【0118】
(インクの調製例1)
<インク1の調製>
シアン顔料分散体18.0質量%、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(商品名:Proglyde、ダウ・ケミカル・カンパニー社製)5.0質量%、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(商品名:dowanol DPnP、ダウ・ケミカル・カンパニー社製)7.0質量%、1,2-プロパンジオール25.0質量%、ポリウレタン樹脂エマルジョン1 4.0質量%、スチレンアクリル樹脂エマルジョン(商品名:JDX-5050、BASF社製)1.0質量%、界面活性剤として、ポリエーテル変性シロキサンコポリマー(商品名:TEGO WET270、エボニック社製)1.0質量%、滑剤として、ポリエチレンワックス(商品名:アクアペトロDP2502C、東洋アドレ株式会社製)0.3質量%、及び合計が100質量%となるように精製水を残量加え、混合、撹拌した後、ポリプロピレンフィルター(商品名:プロファイルスター、日本ポール株式会社製、平均孔径:1.5μm)で濾過して、インク1を作製した。
【0119】
(インク2~24)
<インク2~24の調製>
インクの調製例1において、組成を下記表1~表4に示すように変更した以外は、インクの調整例1と同様にして、インク2~24を作製した。なお、下記表1~表4中の各樹脂エマルジョンの含有量は、エマルジョンとしての量である。
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
なお、前記表1~表4において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
【0125】
<有機溶剤>
・ジプロピレングリコールジメチルエーテル(商品名:Proglyde DMM、ダウ・ケミカル・カンパニー社製、沸点:175℃)
・ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(商品名:dowanol DPnP、ダウ・ケミカル・カンパニー社製、沸点:213℃)
・1,2-プロパンジオール(東京化成工業株式会社製、沸点:188℃)
・1,3-プロパンジオール(東京化成工業株式会社製、沸点:214℃)
・1,2-ブタンジオール(東京化成工業株式会社製、沸点:194℃)
・1,3-ブタンジオール(東京化成工業株式会社製、沸点:207℃)
・3-メチル-1,3-ブタンジオール(株式会社クラレ製、沸点:203℃)
・グリセリン(阪本薬品工業株式会社製、沸点:290℃)
【0126】
<樹脂>
・スチレンアクリル樹脂エマルジョン(商品名:JDX-5050、BASF社製)
【0127】
<滑剤>
・ポリエチレンワックスエマルジョン(商品名:アクアペトロDP2502C、東洋アドレ株式会社製)
【0128】
<界面活性剤>
・ポリエーテル変性シロキサンコポリマー(商品名:TEGO WET270、エボニック社製)
【0129】
(実施例1~19、及び比較例1~5)
[画像の形成]
インクジェットプリンティングシステム(装置名:RICOH Pro VC60000、株式会社リコー製)に、記録媒体としてロール紙(商品名:Lumi Art Gloss、Stora Enso社製、坪量:130g/m2、紙幅:521mm)をセットし、1,200dpi×1,200dpiの記録解像度、及び表5に示す付与量で得られたインク1~24を付与し、ベタ画像を形成した。次に、前記ロール紙のベタ画像に対し、温風乾燥、前記記録媒体の画像非形成面への加温ローラー(直径:40mm)の接触、及び前記記録媒体の画像形成面への加温ローラー(直径:40mm)の接触を順次行い、ベタ画像を乾燥させた。また、巻き取り装置(装置名:Rewinding module RW6、Hunkeler社製)を用いて、前記ロール紙を巻き取った。
なお、温風乾燥の設定温度、並びに、加温ローラーの設定温度、本数、記録媒体との接触角度、及び記録媒体との接触時間は、表5に示す通りである。
【0130】
[加温されたローラーからの圧力]
加温ローラーによりベタ画像にかかる圧力は、記録媒体に最初に接する、記録媒体の画像非形成面への加温ローラーの接触により、ベタ画像にかかる圧力として、力/圧力分布計測装置(装置名:面圧分布測定システムI-SCAN、ニッタ株式会社製)、センサーシートとしてI-SCAN#5027(ニッタ株式会社製)を用いて、測定した。
図4及び
図5に示すように、ロール状に連続紙12を巻き取り、空洞10を有する紙管11の外側から20cmの位置に、圧力を測定するセンサーシート13を設置した。センサーシート13を、連続紙12の横幅方向に位置を変えた3点に設置することにより、3点の測定点を設けた。その後、連続紙13の巻き取りを継続し、前記3点の測定点から見て10cm紙が重なる状態とした段階での圧力を測定し、3点の圧力の平均値を、画像にかかる圧力とした。
【0131】
[記録媒体上における有機溶剤の量]
9mL容量バイアル瓶に、テトラヒドロフラン(東京化成工業社製、試薬特級)2.000g(測定誤差:±0.050g以内)を計り取った。次に、画像面を拭き取るための布ワイパー(ベンコット(登録商標)、商品名:BEMCOT S-2、旭化成株式会社製)を9mL容量バイアル瓶に入る大きさに切削した。次に、加温ローラーに接触させる前のベタ画像を、4cm四方に切り出した。次に、切削した布ワイパーに9mL容量バイアル瓶内のテトラヒドロフランを少量染み込ませ、4cm四方に切り出したベタ画像を拭き取った。拭き取った布ワイパーを9mL容量バイアル瓶に入れて蓋をし、1時間放置した。その後、テトラヒドロフラン中に含まれる有機溶剤の濃度をガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS、装置名:GC-2010plusAF/AOC、株式会社島津製作所製)で測定した。
【0132】
次に、以下のようにして、「耐ブロッキング性、及び白抜けのなさ」、「画像剥がれ」、「白抜け面積率」、及び「タック力」を評価した。その結果を下記表1~表4に示す。
【0133】
<耐ブロッキング性、及び白抜けのなさ>
前記ベタ画像を2枚ずつ用意し、それぞれベタ画像を内側にして貼り付け、温度:40℃、相対湿度:50%の環境下に24時間置いた。その後、ベタ画像同士の張り付き、及びベタ画像同士の転写の有無を目視にて判断し、下記評価基準に基づいて、「耐ブロッキング性、及び白抜けのなさ」を評価した。なお、評価「3」以上が実施可能レベルである。また、評価「2」以下は、品質が著しく落ちるレベルである。
-評価基準-
6:ベタ画像同士が貼り付かず、ベタ画像同士の転写がなく、ベタ画像が視覚的に均一である
5:ベタ画像同士が貼り付かず、ベタ画像同士の転写がないが、ベタ画像に10μm未満の微小な白抜けがある
4:ベタ画像同士が貼り付かず、ベタ画像同士の転写がないが、ベタ画像に10μm以上20μm未満の微小な白抜けがある
3:ベタ画像同士が貼り付かず、ベタ画像同士の転写がないが、ベタ画像に20μm以上の微小な白抜けがある
2:ベタ画像同士が貼り付き、ベタ画像が著しく欠ける
1:ベタ画像同士が貼り付き、ベタ画像が著しく欠け、紙も著しく欠損する
0:ベタ画像同士が貼り付き、剥がれない
【0134】
<画像剥がれ>
得られたベタ画像を目視し、白抜けによる画像剥がれの発生の有無を判断し、下記評価基準に基づいて、「白抜けによる画像剥がれ」を評価した。
-評価基準-
○:ベタ画像が白抜けし、画像剥がれが発生している
×:ベタ画像が白抜けせず、画像剥がれは発生していない
【0135】
<白抜け面積率>
得られたベタ画像を、スキャナー(装置名:ES-G11000、セイコーエプソン株式会社製)を用いて、以下の測定条件でスキャンした。次に、スキャンした画像ファイルを、画像処理ソフトウェア ImageJ(Fiji)により、白抜け箇所、及び非白抜け箇所に2値化して解析し、画像面に対する「白抜け面積率」を算出し、下記評価基準に基づいて、「白抜け面積率」を評価した。なお、評価「△」以上が実施可能レベルである。
-測定条件-
モード:プロフェッショナルモード
イメージタイプ:24bit カラー
記録解像度:800dpi×800dpi
ファイル形式:TIFF
証左設定(カラー):色補正なし
-評価基準-
◎:白抜け面積率が、0.000%である
○:白抜け面積率が、0.000%を超え0.002以下である
△:白抜け面積率が、0.002%を超え0.004以下である
×:白抜け面積率が、0.004を超える
【0136】
<タック力>
ベタ画像のタック力は、原子間力顕微鏡(AFM、装置名:SPM-9500J3、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。このとき、プローブとしての球状の酸化シリコーンを備えるカンチレバー(カンチレバーのバネ定数:0.29N/m)を使用した。
【0137】
【0138】
本発明の態様としては、例えば、以下の通りである。
前記<1> 記録媒体に、色材及び有機溶剤を含むインクを付与するインク付与工程と、
前記記録媒体の、前記インクが付与された面が、25℃以上に加温された接触部材と接触する接触工程と、を含み、
前記インク付与工程後、かつ、前記接触工程前の、前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が、100μg/cm2以下であり、
前記接触工程において、前記記録媒体の、前記インクが付与された面に対し、0.020kg/cm2以上0.030kg/cm2以下の圧力が加わることを特徴とする画像形成方法である。
<2> 前記インクが付与された前記記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が、75μg/cm2以下である前記<1>に記載の画像形成方法である。
<3> 前記インクが付与された前記記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が、40μg/cm2以下である前記<2>に記載の画像形成方法である。
<4> 前記インクが付与された前記記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が、5μg/cm2以上40μg/cm2以下である前記<3>に記載の画像形成方法である。
<5> 前記圧力が、0.023kg/cm2以上0.027kg/cm2以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<6> 加温された接触部材の温度が、40℃以上である前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<7> 加温された接触部材の温度が、80℃以上150℃以下である前記<6>に記載の画像形成方法である。
<8> 前記インク付与工程と、前記接触工程と、の間に、乾燥工程を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<9> 前記記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)に応じて、前記記録媒体を搬送する搬送速度を変化させる前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<10> 前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が少ない場合は、前記記録媒体の搬送速度を速くし、
前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が多い場合は、前記記録媒体の搬送速度を遅くする前記<9>に記載の画像形成方法である。
<11> 前記記録媒体の搬送速度を制御することにより、前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)を制御する前記<1>から<10>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<12> 前記接触工程において、前記記録媒体は25℃以上に加温された複数の接触部材と接触し、
前記接触工程が、前記記録媒体の、前記インクが付与された面が25℃以上に加温された接触部材が接触する工程と、前記記録媒体の、前記インクが付与された面の裏面が25℃以上に加温された接触部材が接触する工程と、を有する前記<1>から<11>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<13> 前記インク付与工程において、前記記録媒体に前記インクを、4.8×10-4mL/cm2以上1.1×10-3mL/cm2以下の付与量で付与し、
前記接触工程において、前記記録媒体の、前記インクが付与された面が、設定温度80℃以上150℃以下の温度に加温された前記接触部材と1.0秒間以上6.0秒間以下の時間接触し、形成した画像部の25℃におけるタック力が、80nN以上110nN以下である前記<1>から<12>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<14> 記録媒体に、色材及び有機溶剤を含むインクを付与するインク付与工程と、
前記記録媒体の、前記インクが付与された面が、25℃以上に加温された接触部材と接触する接触工程と、を含み、
前記インク付与工程後、かつ、前記接触工程前の、前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる前記有機溶剤の量(A)に応じて、前記記録媒体を搬送する搬送速度を変化させ、
前記接触工程において、前記記録媒体の、前記インクが付与された面に対し、0.020kg/cm2以上0.030kg/cm2以下の圧力が加わることを特徴とする画像形成方法である。
<15> 前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる前記有機溶剤の量(A)が少ない場合は、前記記録媒体の搬送速度を大きくし、
前記インクが付与された記録媒体の単位面積あたりに含まれる前記有機溶剤の量(A)が多い場合は、前記記録媒体の搬送速度を小さくする前記<14>に記載の画像形成方法である。
<16> 連続する記録媒体を巻き取る巻取工程と、
前記記録媒体に、色材及び有機溶剤を含むインクを付与するインク付与工程と、
前記記録媒体の、前記インクが付与された面が、25℃以上に加温された接触部材と接触する工程と、前記記録媒体の、前記インクが付与された面の裏面が、25℃以上に加温された接触部材と接触する工程と、を有する接触工程、を含み、
前記インク付与工程後、かつ、前記接触工程前の、前記インクが付与された前記記録媒体の単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が、100μg/cm2以下であり、
前記接触工程において、前記記録媒体の、前記インクが付与された面に対し、0.020kg/cm2以上0.030kg/cm2以下の圧力が加わることを特徴とする画像形成方法である。
<17> 記録媒体に対して、色材及び有機溶剤を含むインクを付与するインク付与手段と、
前記記録媒体の、前記インクが付与された面に接触する接触部材と、を有し、
前記接触部材が、25℃以上に加温され、
前記インクが付与された前記記録媒体の、単位面積あたりに含まれる有機溶剤の量(A)が100μg/cm2以下である場合に、
前記インクが付与された面に0.020kg/cm2以上0.030kg/cm2以下の圧力を加えることを特徴とする画像形成装置である。
【0139】
前記<1>から<16>のいずれかに記載の画像形成方法、及び前記<17>に記載の画像形成装置によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0140】