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特許7077772アンテナ装置及びアンテナ装置付き窓ガラス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】アンテナ装置及びアンテナ装置付き窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/32 20060101AFI20220524BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
H01Q1/32 A
B60J1/00 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018098245
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2019205044
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛資
(72)【発明者】
【氏名】北出 聡太郎
(72)【発明者】
【氏名】田畑 耕司
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 昇
(72)【発明者】
【氏名】才田 栄治
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-212624(JP,A)
【文献】特開2013-026697(JP,A)
【文献】特開2006-197184(JP,A)
【文献】特開2016-025604(JP,A)
【文献】特開2006-186488(JP,A)
【文献】特開2006-165933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-1/52
B60J 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓ガラス用のガラスアンテナと、
前記ガラスアンテナに接続される筐体とを備え、
前記ガラスアンテナは、給電用の第1の電極と、給電用の第2の電極と、アース用の第3の電極と、前記第1の電極に接続される第1のアンテナと、前記第2の電極に接続される第2のアンテナと、前記第3の電極に接続されるアースエレメントと、を有し、
前記筐体は、前記第1の電極に接続される給電用の第1の端子と、前記第2の電極に接続される給電用の第2の端子と、前記第3の電極に接続されるアース用の第3の端子と、前記第1の端子及び前記第3の端子に接続される第1のアンプと、前記第2の端子及び前記第3の端子に接続される第2のアンプとを有し、
前記第1のアンテナは、水平方向に開口するように折り返された第1の折り返しエレメントを含み、
前記第2のアンテナは、前記第1の折り返しエレメントと向き合って開口するように折り返された第2の折り返しエレメントを含み、
前記アースエレメントは、前記第1の折り返しエレメントと前記第2の折り返しエレメントとの少なくとも一方の折り返しエレメントの内側に延在する部分エレメントを含む、アンテナ装置。
【請求項2】
前記アースエレメントは、L字状又はT字状のエレメントを含む、請求項に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1の折り返しエレメントは、
前記第1の電極の左側で窓ガラスの左右方向に延在する第1の部分エレメントと、
前記第1の部分エレメントの下側で前記窓ガラスの上下方向に延在する第2の部分エレメントと、
前記第2の部分エレメントの右側で前記左右方向に延在する第3の部分エレメントとを含み、
前記第2の折り返しエレメントは、
前記第2の電極の右側で前記左右方向に延在する第4の部分エレメントと、
前記第4の部分エレメントの下側で前記上下方向に延在する第5の部分エレメントと、
前記第5の部分エレメントの左側で前記左右方向に延在する第6の部分エレメントとを含む、請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第2のアンテナは、
前記第6の部分エレメントの上側で前記上下方向に延在する第7の部分エレメントと、
前記第7の部分エレメントに接続され、前記第7の部分エレメントの上側で前記左右方向に延在する第8の部分エレメントとを含む、請求項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第2のアンテナは、
前記第2の電極に接続され、前記第4の部分エレメントの上側で前記左右方向に延在する第9の部分エレメントを含む、請求項3又は4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
車両の窓ガラス用のガラスアンテナと、
前記ガラスアンテナに接続される筐体とを備え、
前記ガラスアンテナは、給電用の第1の電極と、給電用の第2の電極と、アース用の第3の電極と、前記第1の電極に接続される第1のアンテナと、前記第2の電極に接続される第2のアンテナとを有し、
前記筐体は、前記第1の電極に接続される給電用の第1の端子と、前記第2の電極に接続される給電用の第2の端子と、前記第3の電極に接続されるアース用の第3の端子と、前記第1の端子及び前記第3の端子に接続される第1のアンプと、前記第2の端子及び前記第3の端子に接続される第2のアンプとを有し、
前記第1のアンテナは、水平方向に開口するように折り返された第1の折り返しエレメントを含み、
前記第2のアンテナは、前記第1の折り返しエレメントと向き合って開口するように折り返された第2の折り返しエレメントを含み、
前記第1の折り返しエレメントは、
前記第1の電極の左側で窓ガラスの左右方向に延在する第1の部分エレメントと、
前記第1の部分エレメントの下側で前記窓ガラスの上下方向に延在する第2の部分エレメントと、
前記第2の部分エレメントの右側で前記左右方向に延在する第3の部分エレメントとを含み、
前記第2の折り返しエレメントは、
前記第2の電極の右側で前記左右方向に延在する第4の部分エレメントと、
前記第4の部分エレメントの下側で前記上下方向に延在する第5の部分エレメントと、
前記第5の部分エレメントの左側で前記左右方向に延在する第6の部分エレメントとを含み、
前記第2のアンテナは、
前記第6の部分エレメントの上側で前記上下方向に延在する第7の部分エレメントと、
前記第7の部分エレメントに接続され、前記第7の部分エレメントの上側で前記左右方向に延在する第8の部分エレメントとを含む、アンテナ装置。
【請求項7】
前記第2のアンテナは、
前記第2の電極に接続され、前記第4の部分エレメントの上側で前記左右方向に延在する第9の部分エレメントを含む、請求項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記ガラスアンテナは、前記第3の電極に接続されるアースエレメントを更に有する、請求項6又は7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記アースエレメントは、前記第1の折り返しエレメントと前記第2の折り返しエレメントとの少なくとも一方の折り返しエレメントの内側に延在する部分エレメントを含む、請求項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナは、2チャンネルのダイバーシティアンテナである、請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
車両の窓ガラス用のガラスアンテナと、
前記ガラスアンテナに接続される筐体とを備え、
前記ガラスアンテナは、給電用の第1の電極と、給電用の第2の電極と、アース用の第3の電極と、前記第1の電極に接続される第1のアンテナと、前記第2の電極に接続される第2のアンテナとを有し、
前記筐体は、前記第1の電極に接続される給電用の第1の端子と、前記第2の電極に接続される給電用の第2の端子と、前記第3の電極に接続されるアース用の第3の端子と、前記第1の端子及び前記第3の端子に接続される第1のアンプと、前記第2の端子及び前記第3の端子に接続される第2のアンプとを有し、
前記第1のアンテナは、水平方向に開口するように折り返された第1の折り返しエレメントを含み、
前記第2のアンテナは、前記第1の折り返しエレメントと向き合って開口するように折り返された第2の折り返しエレメントを含み、
前記第1のアンテナは、前記第1の電極と前記第3の電極とを使用する双極タイプであり、
前記第2のアンテナは、前記第2の電極と前記第3の電極とを使用する双極タイプであり、
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナは、同じメディアに対応する2チャンネルのダイバーシティアンテナとして使用できる、アンテナ装置。
【請求項12】
前記ガラスアンテナは、前記第3の電極に接続されるアースエレメントを更に有する、請求項11に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記第1の折り返しエレメントと前記第2の折り返しエレメントとのうち少なくとも一方の折り返しエレメントの一部に、少なくとも一つのループエレメントが形成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記第3の電極は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する、請求項1から13のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナは、地上デジタルテレビ放送に対応する、請求項1から14のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
車両用の窓ガラスと、前記窓ガラスに少なくとも一つ取り付けられる請求項1から15のいずれか一項に記載のアンテナ装置とを備える、アンテナ装置付き窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置及びアンテナ装置付き窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給電用の電極とアース用の電極とを有する双極タイプのアンテナを車両の窓ガラスに複数備えるガラスアンテナが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-197184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、アンテナからの信号を増幅するアンプを搭載する筐体をアンテナと同じ数だけ用意する必要がある。そのため、アンプを搭載する筐体を設置するスペースの確保が難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本開示は、アンプを搭載する筐体を設置するスペースの確保が容易なアンテナ装置及びアンテナ装置付き窓ガラスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
車両の窓ガラス用のガラスアンテナと、
前記ガラスアンテナに接続される筐体とを備え、
前記ガラスアンテナは、給電用の第1の電極と、給電用の第2の電極と、アース用の第3の電極と、前記第1の電極に接続される第1のアンテナと、前記第2の電極に接続される第2のアンテナと、前記第3の電極に接続されるアースエレメントと、を有し、
前記筐体は、前記第1の電極に接続される給電用の第1の端子と、前記第2の電極に接続される給電用の第2の端子と、前記第3の電極に接続されるアース用の第3の端子と、前記第1の端子及び前記第3の端子に接続される第1のアンプと、前記第2の端子及び前記第3の端子に接続される第2のアンプとを有し、
前記第1のアンテナは、水平方向に開口するように折り返された第1の折り返しエレメントを含み、
前記第2のアンテナは、前記第1の折り返しエレメントと向き合って開口するように折り返された第2の折り返しエレメントを含み、
前記アースエレメントは、前記第1の折り返しエレメントと前記第2の折り返しエレメントとの少なくとも一方の折り返しエレメントの内側に延在する部分エレメントを含む、アンテナ装置を提供する。
【0007】
また、本開示は、
車両用の窓ガラスと、前記窓ガラスに少なくとも一つ取り付けられる当該アンテナ装置とを備える、アンテナ装置付き窓ガラスを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、アンプを搭載する筐体を設置するスペースの確保が容易なアンテナ装置及びアンテナ装置付き窓ガラスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態のアンテナ装置付き窓ガラスの構成例を示す図である。
図2】第2の実施形態のアンテナ装置付き窓ガラスの構成例を示す図である。
図3】第3の実施形態のアンテナ装置付き窓ガラスの構成例を示す図である。
図4】第4の実施形態のアンテナ装置付き窓ガラスの構成例を示す図である。
図5】第5の実施形態のアンテナ装置付き窓ガラスの構成例を示す図である。
図6】第6の実施形態のアンテナ装置付き窓ガラスの構成例を示す図である。
図7】第1のアンテナ及び第2のアンテナの指向性の測定例を示す図である。
図8】ループエレメントが有る場合と無い場合との第1のアンテナのアンテナ利得の測定例を示す図である。
図9】ループエレメントが有る場合と無い場合との第2のアンテナのアンテナ利得の測定例を示す図である。
図10】アースエレメントが有る場合と無い場合との第1のアンテナのアンテナ利得の測定例を示す図である。
図11】アースエレメントが有る場合と無い場合との第2のアンテナのアンテナ利得の測定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示に係る実施形態について説明する。なお、各形態において、平行、直角、水平、垂直、上下、左右などの方向には、本発明の効果を損なわない程度のずれが許容される。また、アンテナエレメントの角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。
【0011】
図1は、第1の実施形態のアンテナ装置付き窓ガラスの構成例を示す図である。図1には、アンテナ装置11付きの窓ガラス1が示されている。アンテナ装置11は、車両用の窓ガラス1に取り付けられた状態で使用される。アンテナ装置11は、窓ガラス1に設けられるガラスアンテナ5と、ガラスアンテナ5に接続される筐体20とを備える。
【0012】
図1は、ガラスアンテナ5と筐体20との相互の接続箇所を明示するため、ガラスアンテナ5と筐体20とを離して示しているが、筐体20は、ガラスアンテナ5に接続された状態で使用される。また、図1は、窓ガラス1のガラス面を対向して見たときの視点で窓ガラス1を示し、より詳しくは、車両のフランジ2に取り付けられた窓ガラス1を車内側からの視点(車内視)で示している。
【0013】
また、第1の向きX1及び第2の向きX2は、水平方向に平行な互いに逆向きの方向を表す。第3の向きY1及び第4の向きY2は、水平方向に直角な垂直方向に平行な互いに逆向きの方向を表す。窓ガラス1の左右方向Xは、水平方向に平行であり、窓ガラス1の上下方向Yは、水平方向に直角な垂直方向に平行である。
【0014】
窓ガラス1の外形形状は、略四角形であるが、略三角形等の他の形状でもよい。上縁1aは、窓ガラス1の上側のガラス縁を表し、下縁1dは、窓ガラス1の下側(上縁1a側とは反対側)のガラス縁を表す。左縁1bは、窓ガラス1の左側のガラス縁を表し、右縁1cは、窓ガラス1の右側(左縁1b側とは反対側)のガラス縁を表す。左縁1bは、上縁1a及び下縁1dの左側に隣接するガラス縁であり、右縁1cは、上縁1a及び下縁1dの右側に隣接するガラス縁である。
【0015】
窓ガラス1は、車両の前部に設置されるフロントガラスでもよいし、車両の後部に設置されるリアガラスでもよいし、車両の側部に設置されるサイドガラスでもよい。
【0016】
ガラスアンテナ5は、車両の窓ガラス用のガラスアンテナの一例である。本実施形態のガラスアンテナ5は、給電用の第1の電極31と、給電用の第2の電極41と、アース用の第3の電極51と、第1の電極31に接続される第1のアンテナ3と、第2の電極41に接続される第2のアンテナ4とを有する。
【0017】
給電用の第1の電極31は、同軸ケーブル26の内部導体(信号線)が筐体20内の第1のアンプ21を介して接続されるいわゆるホット側の給電部である。
【0018】
給電用の第2の電極41は、同軸ケーブル27の内部導体(信号線)が筐体20内の第2のアンプ22を介して接続されるいわゆるホット側の給電部である。第2の電極41は、第1の電極31に近接して配置されている。
【0019】
図示の形態では、第1の電極31と第2の電極41とは、互いに左右方向Xに離隔して配置されており、第2の電極41は、第1の電極31の右方向に位置する。
【0020】
アース用の第3の電極51は、アンプ21,22の共通グランドが接続されるいわゆるグランド側の給電部である。アンプ21,22の共通グランドは、同軸ケーブル26,27の夫々の外部導体に接続される。同軸ケーブル26,27の夫々の外部導体は、車両の金属ボディにアース接続される。同軸ケーブル26、27は、夫々、一端が筐体20に接続され、他端が不図示のチューナに接続される。
【0021】
第1のアンテナ3は、第1の電極31をホット側の電極とし第3の電極51をアース側の電極とする双極タイプのアンテナである。第2のアンテナ4は、第2の電極41をホット側の電極とし第3の電極51をアース側の電極とする双極タイプのアンテナである。
【0022】
第1のアンテナ3及び第2のアンテナ4の夫々の形状は、周波数が300MHz~3GHzのUHF(Ultra High Frequency)帯の電波の送受に適している。UHF帯の電波には、470MHz~720MHzの地上デジタルテレビ放送波などが含まれる。第1のアンテナ3及び第2のアンテナ4は、UHF帯の周波数帯域内で共振する。
【0023】
筐体20は、第1の電極31に接続される給電用の第1の端子23と、第2の電極41に接続される給電用の第2の端子24と、第3の電極51に接続されるアース用の第3の端子25とを有する。また、筐体20は、第1の端子23及び第3の端子25に接続される第1のアンプ21と、第2の端子24及び第3の端子25に接続される第2のアンプ22とを有する。筐体20は、コネクタとも称される。
【0024】
第1の端子23は、第1の電極31に導電的に接続できるように筐体20から露出して形成されており、筐体20の内部で第1のアンプ21の信号入力部に接続される。第1のアンプ21の信号入力部は、第1の端子23にフィルタ等の内部回路を介して接続されてもよい。
【0025】
第2の端子24は、第2の電極41に導電的に接続できるように筐体20から露出して形成されており、筐体20の内部で第2のアンプ22の信号入力部に接続される。第2のアンプ22の信号入力部は、第2の端子24にフィルタ等の内部回路を介して接続されてもよい。
【0026】
第3の端子25は、第3の電極51に導電的に接続できるように筐体20から露出して形成されており、筐体20の内部でアンプ21,22の共通グランドに接続される。アンプ21,22の共通グランドは、例えば、アンプ21,22が実装される基板のグランドパターンである。
【0027】
第1のアンプ21は、第1の端子23から入力される信号を第3の端子25の電位(つまり、共通グランドの電位)を基準に増幅して出力する回路である。第1の端子23から入力される信号は、第1のアンテナ3から第1の電極31を介して第1の端子23に入力される信号に相当する。第1のアンプ21により増幅された信号は、同軸ケーブル26を介して、不図示のチューナに供給される。
【0028】
第2のアンプ22は、第2の端子24から入力される信号を第3の端子25の電位(つまり、共通グランドの電位)を基準に増幅して出力する回路である。第2の端子24から入力される信号は、第2のアンテナ4から第2の電極41を介して第2の端子24に入力される信号に相当する。第2のアンプ22により増幅された信号は、同軸ケーブル27を介して、不図示のチューナに供給される。
【0029】
このように、本実施形態のアンテナ装置11では、一つの筐体20内にアンプ21,22が搭載されており、アンプ21のグランドとアンプ22のグランドとが、筐体20内で接続されている。そして、窓ガラス1のガラス面上には、ホット側の第1の電極31とアース側の第3の電極51とを使用する双極タイプの第1のアンテナ3と、ホット側の第2の電極41とアース側の第3の電極51とを使用する双極タイプの第2のアンテナ4とが配置されている。つまり、第3の電極51は、第1のアンテナ3と第2のアンテナ4とに共通のアース側の電極として使用される。そして、第3の電極51は、第3の端子25に介して、第1のアンプ21のグランドと第2のアンプ22のグランドに接続されている。
【0030】
つまり、本実施形態のアンテナ装置11では、第1のアンテナ3からの信号を増幅する第1のアンプ21と、第2のアンテナ4からの信号を増幅する第2のアンプ22とが、一つの筐体20に搭載されている。よって、双極タイプのアンテナが2つあっても、一つの筐体20でそれらの各アンテナからの信号を夫々増幅できるので、アンプを搭載する筐体がアンテナと同じ数だけ必要な形態に比べて、筐体20を設置するスペースを容易に確保できる。また、アース側の端子が第3の端子25で共通化されているので、アース側の端子を各アンテナ用に夫々必要な形態に比べて、筐体20の小型化が可能となり、その結果、筐体20の設置スペースの確保が容易になる。
【0031】
第1のアンテナ3と第2のアンテナ4とが同じメディア(例えば、地上デジタルテレビ放送)に対応する場合、アンテナ装置11を2チャンネルのダイバーシティアンテナ装置として使用できる。また、アンテナ装置11を2つ用意することで、2つのアンテナ装置11を4チャンネルのダイバーシティアンテナ装置として使用できる。このような、4チャンネルのダイバーシティアンテナ装置は、12セグメント放送等のハイビジョン放送への対応を容易にする。
【0032】
例えば、一方のアンテナ装置11をフロントガラスの左上ガラス面に取り付け、もう一方のアンテナ装置11をフロントガラスの右上ガラス面に取り付けることで、4チャンネルのダイバーシティアンテナ装置を提供できる。他の取り付け位置の組合せによる4チャンネルのダイバーシティアンテナ装置としては、他にも幾つか挙げられる。例えば、一方のアンテナ装置11を一つの窓ガラスに取り付け、もう一方のアンテナ装置11を同じ窓ガラス又は別の窓ガラスに取り付ける組合せ、一方のアンテナ装置11をもう一方の窓ガラスに取り付け、アンテナ装置11とは別のアンテナ装置を同じ窓ガラス又は別の窓ガラスに取り付ける組合せ、もしくは、一方のアンテナ装置11を左サイドガラスのガラス面に取り付け、もう一方のアンテナ装置11を右サイドガラスのガラス面に取り付ける組合せにより4チャンネルのダイバーシティアンテナ装置を実現できる。
【0033】
また、本実施形態では、第1のアンテナ3は、水平方向に開口する第1の開口部を形成するように折り返された第1の折り返しエレメント33を含み、第2のアンテナ4は、第1の折り返しエレメント33の第1の開口部と向き合って開口する第2の開口部を形成するように折り返された第2の折り返しエレメント43を含む。つまり、第1の開口部は、水平方向に平行な第1の向きX1に開口し、第2の開口部は、水平方向に平行な第2の向きX2に開口する。
【0034】
このように、第1の折り返しエレメント33と第2の折り返しエレメント43とが水平方向に相互に向き合うように開口していることで、地上デジタルテレビ放送波等の水平偏波の電波の受信感度(アンテナ利得)が向上する。また、両折り返しエレメントは、折り返し形状を有するため、第1のアンテナ3と第2のアンテナ4を夫々コンパクトに形成できる。
【0035】
一般的には、2つのアンテナを近づけて配置すると、各アンテナの特性が同様になり、2つのアンテナが1つのアンテナとして動作する懸念がある。つまり、ダイバーシティ効果が低下するおそれがある。しかし、本実施形態では、第1の折り返しエレメント33と第2の折り返しエレメント43とが水平方向に相互に向き合うように開口していることで、お互いの干渉が小さくなり、ダイバーシティ効果の低下が抑制される。
【0036】
第1の折り返しエレメント33は、第1の向きX1に向けて開口しているので、第1の向きX1側のアンテナ利得が高くなり、第2の折り返しエレメント43は、第2の向きX2に向けて開口しているので、第2の向きX2側のアンテナ利得が高くなる。よって、第1の向きX1側のアンテナ利得と第2の向きX2側のアンテナ利得とを補完し合うことになるので、ダイバーシティ効果が向上する。さらに、第1の折り返しエレメント33と第2の折り返しエレメント43とが水平方向に相互に向き合うように開口していることで、電波を受信するタイミングが第1のアンテナ3と第2のアンテナ4とで異なり、スペースダイバーシティ効果も得られる。
【0037】
本実施形態では、第1の折り返しエレメント33は、第1の電極31の左側で左右方向Xに延在する第1の部分エレメント33aと、第1の部分エレメント33aの下側で上下方向Yに延在する第2の部分エレメント33bと、第2の部分エレメント33bの右側で左右方向Xに延在する第3の部分エレメント33cとを含む。第2の折り返しエレメント43は、第2の電極41の右側で左右方向Xに延在する第4の部分エレメント43aと、第4の部分エレメント43aの下側で上下方向Yに延在する第5の部分エレメント43bと、第5の部分エレメント43bの左側で左右方向Xに延在する第6の部分エレメント43cとを含む。
【0038】
本実施形態では、第1の部分エレメント33aは、一端が第1の電極31に接続されており、他端が第2の部分エレメント33bの一端に接続されている。第1の部分エレメント33aは、第1の電極31に接続される右端から左方に直線的に延伸し、左方への延伸の終端部である左端まで延伸する。第2の部分エレメント33bは、一端が第1の部分エレメント33aの他端に接続されており、他端が第3の部分エレメント33cの一端に接続されている。第2の部分エレメント33bは、第1の部分エレメント33aの左端に接続される上端から下方に直線的に延伸し、下方への延伸の終端部である下端まで延伸する。第3の部分エレメント33cは、一端が第2の部分エレメント33bの他端に接続されており、他端が第6の部分エレメント43cの左端に非接触で対向している。第3の部分エレメント33cは、第2の部分エレメント33bの下端に接続される左端から右方に直線的に延伸し、右方への延伸の終端部である右端まで延伸する。
【0039】
また、本実施形態では、第4の部分エレメント43aは、一端が第2の電極41に接続されており、他端が第5の部分エレメント43bの一端に接続されている。第4の部分エレメント43aは、第2の電極41に接続される左端から右方に直線的に延伸し、右方への延伸の終端部である右端まで延伸する。第5の部分エレメント43bは、一端が第4の部分エレメント43aの他端に接続されており、他端が第6の部分エレメント43cの一端に接続されている。第5の部分エレメント43bは、第4の部分エレメント43aの右端に接続される上端から下方に直線的に延伸し、下方への延伸の終端部である下端まで延伸する。第6の部分エレメント43cは、一端が第5の部分エレメント43bの他端に接続されており、他端が第3の部分エレメント33cの左端に非接触で対向している。第6の部分エレメント43cは、第5の部分エレメント43bの下端に接続される右端から左方に直線的に延伸し、左方への延伸の終端部である左端まで延伸する。
【0040】
第1の部分エレメント33aの長さa3及び第4の部分エレメント43aの長さa4は、夫々、ガラスアンテナ5が受信する電波の周波数帯の中心の周波数の波長をλとする場合、(1/4)×λ×α×0.7以上(1/4)×λ×α×1.7以下であると好適である。このような長さに設定されることで、UHF帯(特に、地上デジタルテレビ放送波の周波数帯)のアンテナ利得が向上する。αは、ガラスの波長短縮率(例えば、0.64)を表す。例えば、地上デジタルテレビ放送波の周波数帯が470MHz~710MHzである場合、その周波数帯の中心の周波数は、590MHzである。
【0041】
第2の部分エレメント33bの長さと第3の部分エレメント33cの長さとの和を長さb3とし、第5の部分エレメント43bの長さと第6の部分エレメント43cの長さとの和を長さb4とする。長さb3,b4は、夫々、ガラスアンテナ5が受信する電波の周波数帯の中心の周波数の波長をλとした場合、(1/4)×λ×α×0.7以上(1/2)×λ×α以下であることが、UHF帯のアンテナ利得向上の点で好ましい。αは、ガラスの波長短縮率(例えば、0.64)を表す。例えば、ガラスアンテナ5が受信する電波の周波数帯が地上デジタルテレビ放送波の周波数帯470MHz~710MHzである場合、その周波数帯の中心の周波数は、590MHzである。
【0042】
図2は、第2の実施形態のアンテナ装置付き窓ガラスの構成例を示す図である。図2には、アンテナ装置12付きの窓ガラス1が示されている。第2の実施形態のうち上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0043】
第2の実施形態では、第1の折り返しエレメント33と第2の折り返しエレメント43とのうち少なくとも一方の折り返しエレメントの一部に、少なくとも一つのループエレメントが形成されている。このようなループエレメントが形成されていると、ループエレメントが一部に形成されている折り返しエレメントを含むアンテナのインピーダンスが低下する。よって、ループエレメントが一部に形成されている折り返しエレメントを含むアンテナの利得が向上する。
【0044】
図2に示す形態では、第1のループエレメント32が第1の折り返しエレメント33の一部に形成され、第2のループエレメント42が第2の折り返しエレメント43の一部に形成されている。したがって、第1のループエレメント32を一部に含む第1のアンテナ3及び第2のループエレメント42を一部に含む第2のアンテナ4の夫々のインピーダンスが低下するので、第1のアンテナ3及び第2のアンテナ4の夫々のアンテナ利得が向上する。
【0045】
図2に示す形態では、第1のループエレメント32は、第1の電極31と第1の部分エレメント33aと第2の部分エレメント33bと部分エレメント32aとによってループ状に形成されている。第2のループエレメント42は、第2の電極41と第4の部分エレメント43aと第5の部分エレメント43bと部分エレメント42aとによってループ状に形成されている。
【0046】
図3は、第3の実施形態のアンテナ装置付き窓ガラスの構成例を示す図である。図3には、アンテナ装置13付きの窓ガラス1が示されている。第3の実施形態のうち上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0047】
第3の実施形態では、第3の電極51は、第1の電極31と第2の電極41との間に位置する。第3の電極51をこのように位置させることで、端子23~25を互いにより近づけることができるので、筐体20の小型化が更に容易になる。図示の形態では、第3の電極51は、第1の電極31及び第2の電極41の配置位置に対して、上縁1a寄りに位置する。なお、「第3の電極51は、第1の電極31と第2の電極41との間に位置する」とは、左右方向Xに一直線上に並んで配置する場合と、上記のように、例えば第3の電極51が左右方向Xよりも上下方向Yにずれて配置する場合も含む。
【0048】
図4は、第4の実施形態のアンテナ装置付き窓ガラスの構成例を示す図である。図4には、アンテナ装置14付きの窓ガラス1が示されている。第4の実施形態のうち上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0049】
第4の実施形態では、ガラスアンテナ5は、第3の電極51に接続されるアースエレメント53を有する。アースエレメント53を設けることで、ガラスアンテナ5のアンテナ利得が向上する。アースエレメント53は、第1の折り返しエレメント33と第2の折り返しエレメント43との少なくとも一方の折り返しエレメントの内側に延在する部分エレメントを含むことで、ガラスアンテナ5のアンテナ利得がより向上する。
【0050】
第1の折り返しエレメント33がその内側に延在する部分エレメントと容量結合することで、第1のアンテナ3のインピーダンスを下げる効果がある。例えば、同軸ケーブル26のインピーダンスが50Ωである場合、第1のアンテナ3のインピーダンスを50Ωに近づける効果があるので、第1のアンテナ3のアンテナ利得が向上する。同様に、第2の折り返しエレメント43がその内側に延在する部分エレメントと容量結合することで、第2のアンテナ4のインピーダンスを下げる効果がある。例えば、同軸ケーブル27のインピーダンスが50Ωである場合、第2のアンテナ4のインピーダンスを50Ωに近づける効果があるので、第2のアンテナ4のアンテナ利得が向上する。
【0051】
例えば、アースエレメント53は、L字状又はT字状のエレメントを含む。図4に示す形態では、アースエレメント53は、第1の折り返しエレメント33の内側に延在するように配置されるL字状エレメントを含む。このL字状エレメントは、第3の電極51の下側で上下方向Yに延在する部分エレメント53aと、第3の部分エレメント33cの上側で左右方向Xに延在する部分エレメント53bとを含む。部分エレメント53bは、第3の部分エレメント33cと容量結合可能な距離で近接している。
【0052】
アースエレメント53の長さは、ガラスアンテナ5が受信する電波の周波数帯の中心の周波数の波長をλとする場合、(1/4)×λ×α×0.7以上(1/4)×λ×α×1.7以下であると好適である。このような長さに設定されることで、UHF帯(特に、地上デジタルテレビ放送波の周波数帯)のアンテナ利得が向上する。αは、ガラスの波長短縮率(例えば、0.64)を表す。例えば、地上デジタルテレビ放送波の周波数帯が470MHz~710MHzである場合、その周波数帯の中心の周波数は、590MHzである。このような範囲内でアースエレメント53の長さを調整することで、第1のアンテナ3及び第2のアンテナ4のインピーダンスを調整できる。
【0053】
図5は、第5の実施形態のアンテナ装置付き窓ガラスの構成例を示す図である。図5には、アンテナ装置15付きの窓ガラス1が示されている。第5の実施形態のうち上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0054】
第5の実施形態では、第2のアンテナ4は、第2の折り返しエレメント43の内側で延在する補助エレメント46を含む。補助エレメント46の形状は、図示のようなT字状に限られず、L字状などの他の形状でもよい。第2のアンテナ4がこのような補助エレメント46を含むことで、第2のアンテナ4のアンテナ利得の周波数特性をフラット(周波数依存性の少ない同等の利得レベル)に近づけることができる。
【0055】
図示の補助エレメント46は、第7の部分エレメント46aと、第8の部分エレメント46bとを含む。第7の部分エレメント46aは、第6の部分エレメント43cに接続され、第6の部分エレメント43cの上側で上下方向Yに延在する。第8の部分エレメント46bは、第7の部分エレメント46aに接続され、第7の部分エレメント46aの上側で左右方向Xに延在する。
【0056】
図6は、第6の実施形態のアンテナ装置付き窓ガラスの構成例を示す図である。図6には、アンテナ装置16付きの窓ガラス1が示されている。第6の実施形態のうち上述の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。
【0057】
また、第6の実施形態では、第2のアンテナ4は、第2の電極41に接続され、第4の部分エレメント43aの上側で左右方向Xに延在する第9の部分エレメント45を含む。第2のアンテナ4がこのような第9の部分エレメント45を含むことで、第2のアンテナ4のアンテナ利得が向上する。
【0058】
また、第6の実施形態では、第2のループエレメント42は、第4の部分エレメント43aと第5の部分エレメント43bと第6の部分エレメント43cと部分エレメント42bとによってループ状に形成されている。このような第2のループエレメント42によって、第2のアンテナ4のアンテナ利得が向上する。
【0059】
また、第6の実施形態では、ガラスアンテナ5は、第3の電極51に接続されるアースエレメント52を有する。アースエレメント52を設けることで、ガラスアンテナ5のアンテナ利得が向上する。アースエレメント52は、第1の折り返しエレメント33と第2の折り返しエレメント43との少なくとも一方の折り返しエレメントの内側に延在する部分エレメントを含むことで、ガラスアンテナ5のアンテナ利得がより向上する。少なくとも一方の折り返しエレメントがその内側に延在する部分エレメントと容量結合することで、ガラスアンテナ5のアンテナ利得が向上する。
【0060】
アースエレメント52は、第1の折り返しエレメント33及び第2の折り返しエレメント43の内側に延在するように配置されるT字状エレメントを含む。このT字状エレメントは、第3の電極51の下側で上下方向Yに延在する部分エレメント52aと、第3の部分エレメント33c及び第6の部分エレメント43cの上側で左右方向Xに延在する部分エレメント52bとを含む。部分エレメント52bは、第3の部分エレメント33c及び第6の部分エレメント43cと容量結合可能な距離で近接している。
【0061】
なお、第6の実施形態では、第9の部分エレメント45を含む構成例を示したが、本実施形態では、第9の部分エレメント45に加え、第5の実施形態に含まれる補助エレメント46を併せ持つ構成でもよい。第9の部分エレメント45および補助エレメント46を備える場合、第2のアンテナ4は、ループ形状を含む構成でもよく、ループ形状を含まない構成でもよい。
【0062】
<実施例>
次に、実際の車両のフロントガラスの左上ガラス面に取り付けたアンテナ装置15(図5参照)について、地上デジタルテレビ放送波の帯域におけるアンテナ利得の測定結果を示す。
【0063】
実施例(図7~11)が示すアンテナ利得(ゲイン)の数値は、水平面内の車両全周範囲において所定の角度毎に測定されたアンテナ利得の平均値を示す。
【0064】
また、本実施例において、特に断りのない限り、図5に示されるアンテナ装置15の各部の寸法は、単位をmmとすると、
a3:100
b3:100
a4:145
b4:160
アースエレメント53の長さ:120
(部分エレメント53aの長さ:20)
(部分エレメント53bの長さ:100)
第7の部分エレメント46aの長さ:10
第8の部分エレメント46bの長さ:100
である。アースエレメント53の長さは、第3の電極51との接続点からL字の先端までの導体長である。
【0065】
図7は、実施例における第1のアンテナ3及び第2のアンテナ4の521MHzの水平偏波での指向特性図を示す。第1のアンテナ3の指向性は、車両進行方向に対して斜め右寄りにピークがあり、第2のアンテナ4の指向性は、車両進行方向に対して斜め左寄りにピークがあることがわかる。つまり、第1のアンテナ3と第2のアンテナ4は互いの開口部が向き合うように配置されているので、ダイバーシティ効果が良くなる。
【0066】
図8は、第1のループエレメント32が有る場合と無い場合との第1のアンテナ3のアンテナ利得の測定例を示す図である。第1のループエレメント32が無い場合とは、図5に示すガラスアンテナ5から部分エレメント32aを削除した形態を示す。図9は、第2のループエレメント42が有る場合と無い場合との第2のアンテナ4のアンテナ利得を示す図である。第2のループエレメント42が無い場合とは、図5に示すガラスアンテナ5から部分エレメント42aを削除した形態を示す。図8,9に示されるように、ループエレメントを設けることによって、第1のアンテナ3も第2のアンテナ4も、地上デジタルテレビ放送波の帯域全体に亘ってアンテナ利得が向上する。
【0067】
図10は、アースエレメント53が有る場合と無い場合との第1のアンテナ3のアンテナ利得の測定例を示す図である。図11は、アースエレメント53が有る場合と無い場合との第2のアンテナ4のアンテナ利得を示す図である。アースエレメント53が無い場合とは、図5に示すガラスアンテナ5からアースエレメント53を削除した形態を示す。図10,11に示されるように、アースエレメント53を設けることによって、第1のアンテナ3も第2のアンテナ4も、地上デジタルテレビ放送波の帯域のうち低周波帯でのアンテナ利得が向上する。
【0068】
以上、アンテナ装置及びアンテナ装置付き窓ガラスを実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0069】
例えば、エレメントの「端部」は、エレメントの延伸の始点又は終点であってもよいし、その始点又は終点手前の導体部分である始点近傍又は終点近傍であってもよい。また、エレメント同士の接続部は、曲率を有して接続されていてもよい。
【0070】
また、アンテナエレメント及び電極は、例えば、導電性金属を含有するペースト(例えば、銀ペースト等)を窓ガラスの車内側表面にプリントして焼付けることによって形成される。しかし、アンテナエレメント及び電極の形成方法は、この方法に限定されない。例えば、アンテナエレメント又は電極は、銅等の導電性物質を含有する線状体又は箔状体を窓ガラスの車内側表面又は車外側表面に設けることによって形成されてもよい。あるいは、アンテナエレメント又は電極は、窓ガラスに接着剤等により貼付されてもよく、窓ガラス自体の内部に設けられてもよい。
【0071】
電極の形状は、端子23~25の形状に応じて決められるとよい。例えば、正方形、略正方形、長方形、略長方形などの方形状や多角形状が実装上好ましい。なお、円、略円、楕円、略楕円などの円状でもよい。
【0072】
また、アンテナエレメントと電極との少なくともいずれかを形成する導体層を合成樹脂製フィルムの内部又はその表面に設け、導体層付き合成樹脂製フィルムを窓ガラスの車内側表面又は車外側表面に設置する構成が採用されてもよい。さらに、アンテナエレメントが形成されたフレキシブル回路基板を窓ガラスの車内側表面又は車外側表面に設置する構成が採用されてもよい。
【0073】
また、窓ガラスの周縁のガラス面上に形成された隠蔽膜の上に、電極及びアンテナエレメントの一部分又は全体が配置されてもよい。隠蔽膜の具体例として、黒色セラミックス膜等のセラミックスが挙げられる。この場合、窓ガラスの車外側から見ると、隠蔽膜により隠蔽膜上に設けられている部分が車外から見えなくなり、デザインの優れた窓ガラスとなる。
【符号の説明】
【0074】
1 窓ガラス
2 フランジ
3 第1のアンテナ
4 第2のアンテナ
5 ガラスアンテナ
11~16 アンテナ装置
20 筐体
21 第1のアンプ
22 第2のアンプ
23 第1の端子
24 第2の端子
25 第3の端子
31 第1の電極
32 第1のループエレメント
33 第1の折り返しエレメント
41 第2の電極
42 第2のループエレメント
43 第2の折り返しエレメント
45 第9の部分エレメント
46 補助エレメント
51 第3の電極
52,53 アースエレメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11