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特許7078215金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体および金属箔積層板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体および金属箔積層板
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20220524BHJP
   C08L 79/00 20060101ALI20220524BHJP
   C08G 59/50 20060101ALI20220524BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20220524BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20220524BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
C08L63/00 A
C08L79/00 B
C08G59/50
C08K5/17
C08K3/36
B32B15/08 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020526329
(86)(22)【出願日】2019-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2019004223
(87)【国際公開番号】W WO2019199033
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0041697
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0071076
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0036078
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0036079
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シム、チャンボ
(72)【発明者】
【氏名】ミン、ヒュンスン
(72)【発明者】
【氏名】シム、ヒ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、ファヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、セウンヒュン
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-193614(JP,A)
【文献】特開2015-063040(JP,A)
【文献】特開2011-195742(JP,A)
【文献】特開昭63-275624(JP,A)
【文献】国際公開第2010/035445(WO,A1)
【文献】特開2015-017247(JP,A)
【文献】特開2011-213784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
B23B 1/00- 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式1の熱応力因子が25Mpa以下である金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体であり、
前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体が熱硬化性樹脂組成物および繊維基材を含み、
前記熱硬化性樹脂組成物は、アミン化合物、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂および無機充填剤を含み、
前記アミン化合物は、芳香環に、
スルホン基;および
ハロゲン基で置換された炭素数1~20のアルキル基
からなる群より選ばれた1種以上の官能基を1以上含む芳香環ジアミン化合物を含み、
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂およびビスマレイミド樹脂を含み、
前記熱可塑性樹脂は、アクリルゴムを含み、
前記無機充填剤は、平均粒径が相異する2種以上の無機充填剤を含み、
前記2種以上の無機充填剤のうち少なくとも1種が平均粒径が0.1μm~100μmであるシリカであり、
他の1種が平均粒径が1nm~90nmであるシリカであり、
前記熱硬化性樹脂組成物は、前記アミン化合物100重量部に対して前記熱硬化性樹脂400重量部以下で含み、
前記熱硬化性樹脂組成物は、下記数式1により計算される当量比が1.4以上を満たしており、
前記熱硬化性樹脂組成物は、前記熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂およびアミン化合物の総和100重量部に対して前記無機充填剤50重量部~150重量部を含む、金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体
[一般式1]
熱応力因子(Thermal Stress Factor)
=∫[貯蔵弾性率(Storage Modulus)*熱膨張係数]dT
前記一般式1において、
前記熱応力因子、貯蔵弾性率および熱膨張係数は、それぞれ30℃~260℃の範囲で定義されるか測定される値である。
[数式1]
当量比=前記アミン化合物に含有された総活性水素当量/前記熱硬化性樹脂に含有された総硬化性官能基当量。
【請求項2】
前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体が有する前記一般式1の熱応力因子の範囲が10~25Mpaである、
請求項1に記載の金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂組成物は、230℃以下のガラス転移温度を有する、
請求項1又は2に記載の金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体。
【請求項4】
前記アミン化合物は、2~5個のアミン基を含む芳香族アミン化合物を含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体。
【請求項5】
前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の30℃および180℃における貯蔵弾性率が、それぞれ16Gpa以下である、
請求項1からのいずれか1項に記載の金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体。
【請求項6】
前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の260℃における貯蔵弾性率が、8Gpa以下である、
請求項に記載の金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体。
【請求項7】
前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の熱膨張係数が5~12ppm/℃である、
請求項1からのいずれか1項に記載の金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体。
【請求項8】
シート形状を有する請求項1からのいずれか1項に記載の金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体;および
前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の少なくとも一面に形成された金属箔;
を含む
金属箔積層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
【0002】
本出願は2018年4月10日付韓国特許出願第10-2018-0041697号、2018年6月20日付韓国特許出願第10-2018-0071076号、2019年3月28日付韓国特許出願第10-2019-0036079号、および2019年3月28日付韓国特許出願第10-2019-0036078号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれている。
【0003】
本発明は、金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体および金属箔積層板に関し、より詳細にはプリプレグ段階または半硬化状態で優れた流れ性を有し、低いガラス転移温度およびモジュラス、低い熱膨張率を実現することができ、反り(Warpage)現象を最小化できる金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体およびそれを含む金属箔積層板に関する。
【背景技術】
【0004】
従来の印刷回路基板に使われる銅張積層板(copper clad laminate)は、ガラス繊維(Glass Fabric)の基材を前記熱硬化性樹脂のワニスに含浸した後半硬化させるとプリプレグになり、それを再び銅箔と共に加熱加圧して製造する。このような銅張積層板に回路パターンを構成し、その上にビルドアップ(build-up)する用途にプリプレグが再び使われる。
【0005】
最近、電子機器、通信機器、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの高性能化、薄型化、軽量化の加速により半導体パッケージに対しても薄型化が求められ、これに伴い半導体パッケージ用印刷回路基板に対しても薄型化の必要性が大きくなっている。
【0006】
しかし、薄型化過程で印刷回路基板の剛性が減少する問題が発生する共に、チップと印刷回路基板との間の熱膨張率差によって半導体パッケージの反り(Warpage)問題が発生している。このような反り現象はリフローのような高温工程を経ることにより印刷回路基板が元に戻らない現象により、さらに深化する。
【0007】
そこで、反り現象を改善するために基板の熱膨張率を低くする技術に対する研究が進行されており、例えばプリプレグにフィラーを高含量で充填する技術が提案されているが、単にプリプレグにフィラーを高含量で充填する場合、プリプレグの流れ性が減少する限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、プリプレグ段階または半硬化状態で優れた流れ性を有し、低いガラス転移温度およびモジュラス、低い熱膨張率を実現することができ、反り(Warpage)現象を最小化できる半導体パッケージ用金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体を含む金属箔積層板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書においては、下記一般式1の熱応力因子が25Mpa以下である金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体が提供される。
【0011】
[一般式1]
熱応力因子(Thermal Stress Factor)
=∫[貯蔵弾性率(Storage Modulus)*熱膨張係数]dT
【0012】
前記一般式1において、前記熱応力因子、貯蔵弾性率および熱膨張係数は、それぞれ30℃~260℃の範囲で定義されるか測定される値である。
【0013】
また、本明細書においては、シート形状を有する前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体;および前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の少なくとも一面に形成された金属箔;を含む金属箔積層板が提供される。
【0014】
以下、発明の具体的な実施形態による金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体および金属箔積層板についてより詳細に説明する。
【0015】
発明の一実施形態によれば、下記一般式1の熱応力因子が25Mpa以下である金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体が提供される。
【0016】
[一般式1]
熱応力因子(Thermal Stress Factor)
=∫[貯蔵弾性率(Storage Modulus)*熱膨張係数]dT
【0017】
前記一般式1において、前記熱応力因子、貯蔵弾性率および熱膨張係数は、それぞれ30℃~260℃の範囲で定義されるか測定される値である。
【0018】
上述したように、半導体パッケージの薄型化過程で半導体チップと印刷回路基板との間の熱膨張率差によって半導体パッケージの反り(Warpage)問題が発生し、このような反り現象はリフローのような高温工程を経ることによりさらに深化するが、これを改善するために基板の熱膨張率を低くする方法のみが知られている実情である。
【0019】
そこで、本発明者らはプリプレグとそれを硬化して形成される金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体と金属箔積層板に対する研究を重ねて、30℃~260℃の温度範囲で前記一般式1で定義される熱応力因子値が25Mpa以下、または10~25Mpa、または12~21Mpaである金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体が反り(Warpage)発生を防止できることを実験により確認して発明を完成した。
【0020】
より具体的には、前記一般式1の熱応力因子(Thermal Stress Factor)は、30℃から260℃まで1℃単位で各温度における熱膨張係数と貯蔵弾性率を乗じた後すべて合計して得られる数値である。
【0021】
それぞれの温度における熱膨張係数は、金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の変形率と関連し、それぞれの温度における貯蔵弾性率は、金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の変形力(応力またはStress)に対する変形率の比と関連する。そして、このようなそれぞれの温度における熱膨張係数と貯蔵弾性率を乗じた値は金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の変形力(応力またはStress)と関連し、これにより、30℃から260℃まで1℃単位で各温度における熱膨張係数と貯蔵弾性率を乗じた後すべて合計して得られる数値である前記一般式1の熱応力因子(Thermal Stress Factor)は30℃から260℃までの総変形力(応力またはStress)を示し、金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体で製造されたプリント配線板が半導体パッケージに加える変形力(応力またはStress)を示すので、半導体パッケージの反り(Warpage)を直接または間接的に示す因子となる。
【0022】
上述したように、前記実施形態の金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体は、プリプレグを硬化して形成されることができる。例えば、銅張積層板の銅箔層をエッチングして得られた結果物を「金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体」と称する。これは上述したように熱硬化性樹脂組成物を熱風乾燥して得られたプリプレグが高温で硬化して形成されたものである。
【0023】
このような金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体は、30℃~260℃の温度範囲で前記一般式1で定義される熱応力因子値が25Mpa以下、または10~25Mpa、または12~21Mpaであり得、これにより、反り(Warpage)現象を最小化することができる。
【0024】
前記実施形態の金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体と等しい水準またはより低い水準の熱膨張係数を有する従来の金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体であっても前記一般式1で定義される熱応力因子値が25Mpa以下、または10~25Mpa、または12~21Mpaである条件を満足しない場合、それを用いて製造された半導体パッケージは相対的に高い反りが発生することが確認された。
【0025】
一方、前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の30℃および180℃における貯蔵弾性率がそれぞれ16Gpa以下であり得、具体的には前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の30℃における貯蔵弾性率は12Gpa~16Gpaであり得、前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の180℃における貯蔵弾性率は7Gpa~12Gpaであり得る。
【0026】
前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の30℃および180℃のように相対的に低い温度範囲で16Gpa以下の低い貯蔵弾性率を有するが、これにより、同一熱膨張係数で相対的に低い熱応力因子を有し得るので、30℃および180℃のように低い温度範囲で半導体パッケージの反りが相対的に低い特徴を有し得る。
【0027】
また、前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の260℃における貯蔵弾性率が、8Gpa以下、または5~8Gpaの貯蔵弾性率を有し得る。前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体が260℃で上述した貯蔵弾性率を有することで、これにより同一熱膨張係数で相対的に低い熱応力因子を有し得るので、260℃で半導体パッケージの反りが相対的に低い特徴を有することができる。
【0028】
すなわち、30℃から260℃までの温度範囲で相対的に低い熱応力因子(Thermal Stress Factor)を有し得るので、30℃から260℃までの温度範囲で半導体パッケージの反り(warpage)が低い特徴を有することができる。
【0029】
前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の熱膨張係数は、12ppm/℃以下、または5~12ppm/℃、または10ppm/℃以下、または4~10ppm/℃であり得る。上述したように、前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体は、低い熱膨張係数を有し、かつ上述した一般式1の熱応力因子が25Mpa以下であるため、前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体を用いて製造された半導体パッケージは相対的に低い水準の反り(Warpage)のみを示すことができる。
【0030】
一方、前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体は、熱硬化性樹脂組成物および繊維基材を含み得る。
【0031】
より具体的には、前記熱硬化性樹脂組成物は、1)スルホン基;カルボニル基;ハロゲン基;ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキル基;ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数6~20のアリール基;ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数2~30のヘテロアリール基;およびニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキレン基;からなる群より選ばれた1種以上の官能基を1以上含むアミン化合物、2)熱硬化性樹脂、3)熱可塑性樹脂、および4)無機充填剤を含み得る。
【0032】
また、前記熱硬化性樹脂組成物は、230℃以下のガラス転移温度を有し得る。
【0033】
前記熱硬化性樹脂組成物が上述した強力な電子求引性基(Electron Withdrawing Group,EWG)を含むアミン化合物を含むことにより相対的に低くなった反応性を示し、これにより、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化反応を容易に制御できるようにする。
【0034】
特に、前記熱硬化性樹脂組成物は、前記アミン化合物100重量部に対して前記熱硬化性樹脂含有量を400重量部以下で含み、高い含有量で投入されたフィラーによる影響なしに熱硬化性樹脂がより十分な水準に均一に硬化が可能なように誘導し、最終的に製造される製品の信頼性が向上することができ、靱性(Toughness)のような機械的物性も増加させることができ、ガラス転移温度230℃以下に低下させることができる。
【0035】
従来には前記アミン硬化剤100重量部に対して前記熱硬化性樹脂含有量を400重量部以下で含ませるような、アミン硬化剤を相対的に過量に添加時熱硬化性樹脂の過度な硬化によって流れ性および成形性が減少する限界があった。
【0036】
しかし、上述したように電子求引性基(Electron Withdrawing Group,EWG)を含んで反応性が減少した特定のアミン硬化剤を過量添加しても、硬化剤の反応性減少によって、熱硬化性樹脂の硬化速度が急激に上昇することを抑制することができ、半導体パッケージ用樹脂組成物やそれより得られるプリプレグ状態での長期間保管時にも高い流れ性を示して優れた成形性を有することができる。
【0037】
前記熱硬化性樹脂組成物は、前記アミン硬化剤100重量部に対して前記熱硬化性樹脂含有量を400重量部以下、または150重量部~400重量部、または180重量部~300重量部、または180重量部~290重量部、または190重量部~290重量部であり得る。前記アミン硬化剤または熱硬化性樹脂が2種以上の混合物である場合、アミン硬化剤混合物100重量部に対して熱硬化性樹脂混合物含有量も400重量部以下、または150重量部~400重量部、または180重量部~300重量部、または180重量部~290重量部、または190重量部~290重量部であり得る。
【0038】
前記アミン硬化剤100重量部に対して前記熱硬化性樹脂含有量を400重量部超過で過度に増加する場合、硬化密度の増加および高含量で投入されたフィラーの影響で熱硬化性樹脂がより十分な水準まで均一に硬化することは難しく、最終的に製造される製品の信頼性が減少し得、靱性(Toughness)のような機械的物性も減少し得る。
【0039】
一方、前記熱硬化性樹脂組成物は、下記数式1により計算される当量比が1.4以上、または1.4~2.5、または1.45~2.5、または1.45~2.1、または1.45~1.8、または1.49~1.75であることを満す。
【0040】
[数式1]
当量比=前記アミン硬化剤に含有された総活性水素当量/前記熱硬化性樹脂に含有された総硬化性官能基当量
【0041】
より具体的には、前記数学式1において、前記アミン硬化剤に含有された総活性水素当量は、前記アミン硬化剤の総重量(単位:g)を前記アミン硬化剤の活性水素単位当量(g/eq)で除した値を意味する。
【0042】
前記アミン硬化剤が2種以上の混合物である場合、それぞれの化合物ごとに重量(単位:g)を活性水素単位当量(g/eq)で除した値を求め、それを合計した値で前記数式1のアミン硬化剤に含有された総活性水素当量を求める。
【0043】
前記アミン硬化剤に含有された活性水素は、アミン硬化剤に存在するアミノ基(-NH)に含まれた水素原子を意味し、前記活性水素が熱硬化性樹脂の硬化性官能基との反応により硬化構造を形成し得る。
【0044】
また、前記数学式1において、前記熱硬化性樹脂に含有された総硬化性官能基当量は、前記熱硬化性樹脂の総重量(単位:g)を前記熱硬化性樹脂の硬化性官能基単位当量(g/eq)で除した値を意味する。
【0045】
前記熱硬化性樹脂が2種以上の混合物である場合、それぞれの化合物ごとに重量(単位:g)を硬化性官能基単位当量(g/eq)で除した値を求め、それを合計した値で前記数式1の熱硬化性樹脂に含有された総硬化性官能基当量を求める。
【0046】
前記熱硬化性樹脂に含有された硬化性官能基は、前記アミン硬化剤の活性水素との反応により硬化構造を形成する官能基を意味し、前記熱硬化性樹脂種類によって硬化性官能基の種類も変わり得る。
【0047】
例えば、前記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合、前記エポキシ樹脂に含有された硬化性官能基はエポキシ基になり、前記熱硬化性樹脂としてビスマレイミド樹脂を使用する場合、前記ビスマレイミド樹脂に含有された硬化性官能基はマレイミド基になる。
【0048】
すなわち、前記熱硬化性樹脂組成物が前記数式1で計算される当量比が1.4以上を満たすことは、すべての熱硬化性樹脂に含有された硬化性官能基が硬化反応を起こす程度の十分な水準のアミン硬化剤が含まれていることを意味する。したがって、前記熱硬化性樹脂組成物で前記数式1で計算される当量比が1.4未満に減少する場合、高含量で投入されたフィラーの影響により熱硬化性樹脂がより十分な水準まで均一に硬化することが難しく、最終的に製造される製品の信頼性が減少し得、機械的物性も減少し得る短所がある。
【0049】
前記アミン化合物は、スルホン基;カルボニル基;ハロゲン基;ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキル基;ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数6~20のアリール基;ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数2~30のヘテロアリール基;およびニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキレン基;からなる群より選ばれた1種以上の官能基を1以上含み、2~5個のアミン基を含む芳香族アミン化合物であり得る。
【0050】
より具体的には、前記アミン化合物は、下記化学式1~3からなる群より選ばれた1種以上の化合物を含み得る。
【0051】
[化学式1]
【化1】
【0052】
前記化学式1において、Aはスルホン基、カルボニル基、または炭素数1~10のアルキレン基であり、X~Xはそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基、水素原子、ハロゲン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、または炭素数2~20のヘテロアリール基であり、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、または炭素数2~20のヘテロアリール基であり、nは1~10の整数であり得る。
【0053】
前記炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、および炭素数2~20のヘテロアリール基はそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基およびハロゲン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基で置換され得る。
【0054】
[化学式2]
【化2】
【0055】
前記化学式2において、Y~Yはそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基、水素原子、ハロゲン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、または炭素数2~20のヘテロアリール基であり、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、または炭素数2~20のヘテロアリール基であり、mは1~10の整数であり、前記炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、および炭素数2~20のヘテロアリール基はそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基およびハロゲン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基で置換され得る。
【0056】
[化学式3]
【化3】
【0057】
前記化学式3において、Z~Zはそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基、水素原子、ハロゲン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、または炭素数2~20のヘテロアリール基であり、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、または炭素数2~20のヘテロアリール基であり、前記炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、および炭素数2~20のヘテロアリール基はそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基およびハロゲン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基で置換され得る。
【0058】
前記アルキル基は、アルカン(alkane)に由来した1価の官能基であり、例えば、直鎖状、分枝状または環状として、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどであり得る。前記アルキル基に含まれている一つ以上の水素原子はそれぞれ置換基で置換可能である。
【0059】
前記アルキレン基は、アルカン(alkane)に由来した2価の官能基であり、例えば、直鎖状、分枝状または環状として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などであり得る。前記アルキレン基に含まれている一つ以上の水素原子はそれぞれ前記アルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0060】
前記アリール基は、アレーン(arene)に由来した1価の官能基であり、例えば、単環式または多環式であり得る。具体的には、単環式アリール基としてはフェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、スチルベニル基などであり得るが、これに限定されるものではない。多環式アリール基としてはナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などあり得るが、これに限定されるものではない。このようなアリール基のうち一つ以上の水素原子はそれぞれ前記アルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0061】
前記ヘテロアリール基は、異種原子としてO、NまたはSを含むヘテロ環基であって、炭素数は特に限定されないが、炭素数2~30であり得る。ヘテロ環基の例としてはチオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、トリアジン基、アクリジル基、ピリダジン基、キノリニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基およびジベンゾフラン基などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。このようなヘテロアリール基のうち一つ以上の水素原子はそれぞれ前記アルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0062】
前記「置換」という用語は、化合物内の水素原子の代わりに他の官能基が結合することを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば、限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なってもよい。
【0063】
より具体的には、前記化学式1は、下記化学式1-1で表される化合物を含み得る。
【0064】
[化学式1-1]
【化4】
【0065】
前記化学式1-1において、A、X~X、R、R'、RおよびR'、nに対する内容は、前記化学式1で上述した内容を含む。
【0066】
前記化学式1-1の具体的な例としては、4,4'-diaminodiphenyl sulfone(化学式1-1においてAはスルホン基、X~X、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子であり、nは1である。)、bis(4-aminophenyl)methanone(化学式1-1においてAはカルボニル基、X、X、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子であり、nは1である。)、4,4'-(perfluoropropane-2,2-diyl)dianiline(化学式1-1においてAはperfluoropropane-2,2-diyl、X~X、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子であり、nは1である。)、4,4'-(2,2,2-trifluoroethane-1,1-diyl)dianiline(化学式1-1においてAは2,2,2-trifluoroethane-1,1-diyl、X~X、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子であり、nは1である。)などが挙げられる。
【0067】
また、前記化学式2は、下記化学式2-1で表される化合物を含み得る。
【0068】
[化学式2-1]
【化5】
【0069】
前記化学式2-1において、Y~Y、R、R'、RおよびR'、mに対する内容は、前記化学式2で上述した内容を含む。
【0070】
前記化学式2-1の具体的な例としては2,2',3,3',5,5',6,6'-octafluorobiphenyl-4,4'-diamine(化学式2-1においてY~Yはハロゲンとしてフルオロ基、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子であり、mは1である。)、2,2'-bis(trifluoromethyl)biphenyl-4,4'-diamine(YおよびYはそれぞれトリフルオロメチル基であり、Y、Y、Y、Y、Y、Yは水素原子、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子であり、mは1である。)などが挙げられる。
【0071】
また、前記化学式3は、下記化学式3-1で表される化合物を含み得る。
【0072】
[化学式3-1]
【化6】
【0073】
前記化学式3-1において、Z~Z、R、R'、RおよびR'に対する内容は、前記化学式3で上述した内容を含む。
【0074】
前記化学式3-1の具体的な例としては2,3,5,6-tetrafluorobenzene-1,4-diamine(化学式3-1においてZ~Zはハロゲンとしてフルオロ基、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子である。)などが挙げられる。
【0075】
前記熱硬化性樹脂組成物は、アミン化合物、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、および無機充填剤を含み得る。
【0076】
前記成分の含有量が大きく限定されるものではないが、前記熱硬化性樹脂組成物から製造される最終製品の物性などを考慮して上述した成分を含み得、これら成分間の含有量比率などは後述するとおりである。
【0077】
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含み得る。前記エポキシ樹脂としては通常半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物に使用されるものを制限なしに使用することができ、その種類は限定されず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタンエポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂、およびジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂とナフタレン系エポキシ樹脂の混合物からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0078】
具体的には、前記エポキシ樹脂は、下記化学式5で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂、下記化学式6で表されるノボラック型エポキシ樹脂、下記化学式7で表されるフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、下記化学式8で表されるテトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、下記化学式9と10で表されるナフタレン型エポキシ樹脂、下記化学式11で表されるビフェニル型エポキシ樹脂、および下記化学式12で表されるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂からなる群より選ばれた1種以上を使用することができる。
【0079】
[化学式5]
【化7】
【0080】
前記化学式5において、
Rは
【化8】
であり、
nは0または1~50の整数である。
【0081】
より具体的には、前記化学式5のエポキシ樹脂はRの種類によって、それぞれビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、またはビスフェノールS型エポキシ樹脂であり得る。
【0082】
[化学式6]
【化9】
【0083】
前記化学式6において、
RはHまたはCHであり、
nは0または1~50の整数である。
【0084】
より具体的には、前記化学式6のノボラック型エポキシ樹脂はRの種類によって、それぞれフェノールノボラック型エポキシ樹脂またはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂であり得る。
【0085】
[化学式7]
【化10】
【0086】
[化学式8]
【化11】
【0087】
[化学式9]
【化12】
【0088】
[化学式10]
【化13】
【0089】
[化学式11]
【化14】
【0090】
前記化学式11において、
nは0または1~50の整数である。
【0091】
[化学式12]
【化15】
【0092】
前記化学式12において、nは0または1~50の整数である。
【0093】
一方、前記熱硬化性樹脂は、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂およびビスマレイミド-トリアジン樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂をさらに含み得る。
【0094】
前記ビスマレイミド樹脂は、通常半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物に使用されるものを制限なしに使用することができ、その種類は限定されない。好ましい一例としては、前記ビスマレイミド樹脂は、下記化学式13で表されるジフェニルメタン型ビスマレイミド樹脂、下記化学式14で表されるフェニレン型ビスマレイミド樹脂、下記化学式15で表されるビスフェノールA型ジフェニルエーテルビスマレイミド樹脂、および下記化学式16で表されるジフェニルメタン型ビスマレイミドおよびフェニルメタン型マレイミド樹脂のオリゴマーで構成されたビスマレイミド樹脂からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0095】
[化学式13]
【化16】
【0096】
前記化学式13において、
およびRはそれぞれ独立して、H、CHまたはCである。
【0097】
[化学式14]
【化17】
【0098】
[化学式15]
【化18】
【0099】
[化学式16]
【化19】
【0100】
前記化学式16において、
nは0または1~50の整数である。
【0101】
また、前記シアネート系樹脂の具体的な例としてシアネートエステル樹脂が挙げられ、通常半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物に使用されるものを制限なしに使用することができ、その種類は限定されない。
【0102】
好ましい一例としては、前記シアネートエステル樹脂は、下記化学式17で表されるノボラック型シアネート樹脂、下記化学式18で表されるジシクロペンタジエン型シアネート樹脂、下記化学式19で表されるビスフェノール型シアネート樹脂およびそれらの一部トリアジン化したプレポリマーが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
【0103】
[化学式17]
【化20】
【0104】
前記化学式17において、
nは0または1~50の整数である。
【0105】
[化学式18]
【化21】
【0106】
前記化学式18において、
nは0または1~50の整数である。
【0107】
[化学式19]
【化22】
【0108】
前記化学式19において、
Rは
【化23】
である。
【0109】
より具体的には、前記化学式19のシアネート樹脂は、Rの種類によって、それぞれビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、ビスフェノールF型シアネート樹脂、またはビスフェノールM型シアネート樹脂であり得る。
【0110】
そして、前記ビスマレイミド樹脂としてはビスマレイミド-トリアジン樹脂などが挙げられ、前記ビスマレイミド-トリアジン樹脂は通常半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物に使用されるものを制限なしに使用することができ、その種類は限定されない。
【0111】
一方、前記熱可塑性樹脂は、プリプレグの硬化後、靱性(Toughness)を増加させる効果があり、熱膨張係数および弾性率を低くして半導体パッケージの反り(Warpage)を緩和させる役割をすることができる。前記熱可塑性樹脂の具体的な例としては(メタ)アクリレート系高分子が挙げられる。
【0112】
前記(メタ)アクリレート系高分子の例は、大きく限定されるものではなく、例えば(メタ)アクリレート系単量体由来の繰り返し単位と(メタ)アクリロニトリル由来の繰り返し単位が含まれるアクリル酸エステル共重合体;またはブタジエン由来の繰り返し単位が含まれるアクリル酸エステル共重合体であり得る。例えば、前記(メタ)アクリレート系高分子は、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどの単量体をそれぞれ1~40重量%の範囲内(単量体全体の総重量に対して)で使用して共重した共重合体であり得る。
【0113】
前記(メタ)アクリレート系高分子は、500,000~1,000,000の重量平均分子量を有することができる。前記(メタ)アクリレート系高分子の重量平均分子量が小さすぎると、硬化後、金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の靱性(Toughnes)増加や熱膨張率および弾性率減少に効果が減少して技術的に不利である。また、前記(メタ)アクリレート系高分子の重量平均分子量が大きすぎると、プリプレグの流れ性を減少させ得る。
【0114】
前記熱可塑性樹脂は、最終製品の用途および特性などを考慮して使用される含有量を定め、例えば、前記半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物は前記熱硬化性樹脂100重量部に対して前記熱可塑性樹脂10~200重量部を含み得る。
【0115】
一方、前記熱硬化性樹脂組成物は、上述したアミン化合物を含み得、前記アミン化合物以外の追加的な硬化剤をさらに含むこともできる。
【0116】
より具体的には、前記熱硬化性樹脂組成物は、前記アミン化合物と相異する第2のアミン化合物、酸無水物系樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート系樹脂、フェノールノボラック樹脂およびベンゾオキサジン樹脂からなる群より選ばれる1種以上の硬化剤をさらに含み得る。
【0117】
前記熱硬化性樹脂組成物は、無機充填剤を含み得る。
【0118】
前記無機充填剤は、通常半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物に使用されるものを制限なしに使用することができ、具体的な例としては、シリカ、アルミニウムトリヒドロキシド、マグネシウムヒドロキシド、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、ほう酸亜鉛、スズ酸亜鉛、アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、ガラス短繊維、ガラス微粉末および中空ガラスが挙げられ、それらからなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0119】
前記熱硬化性樹脂組成物は、前記熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂およびアミン化合物の総和100重量部に対して無機充填剤30~300重量部、または30~200重量部、または50~150重量部を含み得る。前記無機充填剤の含有量が小さすぎると熱膨張係数が増加してリフロー(reflow)工程時の反り現象が深化し、印刷回路基板の剛性が減少する問題がある。
【0120】
また、前記表面処理された充填剤を使用時、ナノ粒径の小さいサイズとマイクロ粒径の大きいサイズを共に使用してパッキング密度(packing density)を高めて充填率を高めることができる。
【0121】
前記無機充填剤は、平均粒径が相異する2種以上の無機充填剤を含み得る。具体的には、前記2種以上の無機充填剤のうち少なくとも1種が平均粒径が0.1μm~100μmである無機充填剤であり、他の1種が平均粒径が1nm~90nmである無機充填剤であり得る。
【0122】
前記平均粒径が0.1μm~100μmである無機充填剤100重量部に対して前記平均粒径が1nm~90nmである無機充填剤含有量が1重量部~30重量部であり得る。
【0123】
前記無機充填剤は、耐湿性、分散性を向上させる観点からシランカップリング剤で表面処理されたシリカを使用することができる。
【0124】
前記無機充填剤を表面処理する方法は、シランカップリング剤を表面処理剤として用いてシリカ粒子を乾式または湿式で処理する方法が用いられる。例えば、シリカ粒子100重量部を基準に0.01~1重量部のシランカップリング剤を使用して湿式方法でシリカを表面処理して使用することができる。
【0125】
具体的には、前記シランカップリング剤としては3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランおよびN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノシランカップリング剤、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランのようなエポキシシランカップリング剤、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのようなビニルシランカップリング剤、N-2-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランヒドロクロリドのような陽イオンシランカップリング剤およびフェニルシランカップリング剤が挙げられ、シランカップリング剤は単独で使用することができ、または必要に応じて少なくとも二つのシランカップリング剤を組み合わせて使用することができる。
【0126】
より具体的には、前記シラン化合物は芳香族アミノシランまたは(メタ)アクリルシランを含み得、前記平均粒径が0.1μm~100μmである無機充填剤としては芳香族アミノシランが処理されたシリカを使用することができ、前記平均粒径が1nm~90nmである無機充填剤としては(メタ)アクリルシランが処理されたシリカを使用することができる。前記芳香族アミノシランが処理されたシリカの具体的な例としてはSC2050MTO(Admantechs社)が挙げられ、前記(メタ)アクリルシランが処理されたシリカの具体的な例としてはAC4130Y(Nissan chemical社)が挙げられる。前記(メタ)アクリルはアクリルまたはメタクリルをいずれも含む意味で使用された。
【0127】
そして、前記プリプレグ製造過程で前記熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて溶剤を添加して溶液として使用することができる。前記溶剤としては樹脂成分に対して良好な溶解性を示すものであれば、その種類は特に限定されず、アルコール系、エーテル系、ケトン系、アミド系、芳香族炭化水素系、エステル系、ニトリル系などを使用することができ、それらは単独または2種以上併用した混合溶剤を使用することもできる。また、前記溶媒の含有量はプリプレグの製造時ガラス繊維に樹脂組成物を含浸できる程度であれば、特に限定されない。
【0128】
また、前記熱硬化性樹脂組成物は、樹脂組成物固有の特性を損なわない限り、その他熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂およびそれらのオリゴマーおよびエラストマーのような多様な高分子化合物、その他難燃性化合物または添加剤をさらに含むこともできる。これらは通常使用されるものから選ばれるものであれば、ば特に限定しない。
【0129】
例えば、添加剤としては紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、顔料、染料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤などがあり、目的に合致するように混合して使用することも可能である。
【0130】
前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体は、前記半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物が硬化状態で繊維基材に含浸されていることを意味する。
【0131】
前記繊維基材はその種類を特に限定しないが、ガラス繊維基材、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維などのポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維などのポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、フッ素樹脂繊維などを主成分とする織布または不織布で構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、リンターとクラフトパルプの混抄紙などを主成分とする紙基材などが使用され、好ましくガラス繊維基材を使用する。前記ガラス繊維基材はプリプレグの強度が向上して吸収率を低下させ得、また、熱膨張係数を小さくすることができる。
【0132】
前記ガラス繊維基材は、多様な印刷回路基板物質用に使用されるガラス基材から選ぶことができる。その例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Tガラス、NEガラスおよびLガラス、Qガラスのようなガラス繊維を含むが、これに限定されるものではない。必要に応じて意図した用途または性能に応じて、前記ガラス基材物質を選択することができる。ガラス基材形態は典型的に織布、不織布、ロービング(roving)、チョップドストランドマット(chopped strand mat)またはサーフェースマット(surfacing mat)である。前記ガラス基材の厚さは特に限定されないが、約0.01~0.3mmなどが用いられる。前記物質のうち、ガラス繊維物質が強度および水分吸収特性の面からさらに好ましい。
【0133】
また、前記プリプレグを製造する方法は、特に限定されず、この分野に良く知られた方法によって製造されることができる。例えば、前記プリプレグの製造方法は、含浸法、各種コーターを用いるコーティング法、スプレー噴射法などを用いることができる。
【0134】
前記含浸法の場合、ワニスを製造した後、前記繊維基材をワニスに含浸する方法でプリプレグを製造することができる。
【0135】
すなわち、前記プリプレグの製造条件などは、特に制限しないが、前記半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物に溶剤を添加したワニス状態で使用することが好ましい。前記樹脂ワニス用溶剤は前記樹脂成分と混合可能で良好な溶解性を有するものであれば、特に限定しない。その具体的な例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノンのようなケトン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのような芳香族ハイドロカーボン、およびジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドのようなアミド、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブのような脂肪族アルコールなどがある。
【0136】
また、前記プリプレグの製造時、使用された溶剤が80重量%以上揮発することが好ましい。そのため、製造方法や乾燥条件などにおいても制限はなく、乾燥時の温度は約80℃~200℃、時間はワニスのゲル化時間との均衡のために特に制限はない。また、ワニスの含浸量はワニスの樹脂固形分と基材の総量に対してワニスの樹脂固形分が約30~80重量%であることが好ましい。
【0137】
また、発明の他の実施形態によれば、シート形状を有する上述した金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体;および前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の少なくとも一面に形成された金属箔;を含む金属箔積層板が提供されることができる。
【0138】
前記金属箔は銅箔;アルミニウム箔;ニッケル、ニッケル-リン、ニッケル-スズ合金、ニッケル-鉄合金、鉛または鉛-スズ合金を中間層とし、その両面に互いに異なる厚さの銅層を含む3層構造の複合箔;またはアルミニウムと銅箔を複合した2層構造の複合箔を含む。
【0139】
好ましい一例によれば、前記金属箔は銅箔やアルミニウム箔が用いられ、約2~200μmの厚さを有するものを用いるが、その厚さは約2~35μmであることが好ましい。好ましくは、前記金属箔としては銅箔を用いる。また、前記金属箔としてニッケル、ニッケル-リン、ニッケル-スズ合金、ニッケル-鉄合金、鉛、または鉛-スズ合金などを中間層とし、その両面に0.5~15μmの銅層と10~300μmの銅層を設けた3層構造の複合箔またはアルミニウムと銅箔を複合した2層構造の複合箔を用いることもできる。
【0140】
このように製造された金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体を含む金属積層板は、片面または両面または多層印刷回路基板の製造に用いることができる。前記金属箔積層板を回路加工して片面または両面または多層印刷回路基板を製造することができ、前記回路加工は一般的な片面、両面または多層印刷回路基板製造工程において行われる方法を適用することができる。
【発明の効果】
【0141】
本発明によれば、プリプレグ段階または半硬化状態で優れた流れ性を有し、低いガラス転移温度およびモジュラス、低い熱膨張率を実現することができ、反り(Warpage)現象を最小化できる半導体パッケージ用金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体と、前記金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体を含む金属箔積層板が提供されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0142】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
【0143】
<実施例および比較例:半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体および銅張積層板>
【0144】
(1)半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物の製造
【0145】
下記表1および表2の組成に従い、各成分をメチルエチルケトンに固形分40%に合わせて投入して混合した後、400rpm速度で一日間常温攪拌して実施例および比較例の半導体パッケージ用樹脂組成物(樹脂ワニス)を製造した。具体的には前記実施例で製造された樹脂組成物の具体的な組成は下記表1に記載されたとおりであり、前記比較例で製造された樹脂組成物の具体的な組成は下記表2に記載されたとおりである。
【0146】
(2)プリプレグ、金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体および銅張積層板の製造
【0147】
前記製造された半導体パッケージ用樹脂組成物(樹脂ワニス)を厚さ13μmのガラス繊維(Nittobo社製、T-glass #1010)に含浸させた後、170℃の温度で2~5分間熱風乾燥して18μmのプリプレグを製造した。
【0148】
前記で製造されたプリプレグ2枚を積層した後、その両面に銅箔(厚さ12μm、Mitsui社製)を位置させて積層し、220℃および35kg/cmの条件で100分間硬化させて銅張積層板を製造した。
【0149】
<実験例:実施例および比較例で得られた半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体および銅張積層板の物性測定>
【0150】
前記実施例および比較例で得られた半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体および銅張積層板の物性を下記方法で測定し、その結果を表1および2に示した。
【0151】
1.熱膨張係数(CTE)
【0152】
前記実施例および比較例で得られた銅張積層板の銅箔層をエッチングして除去した後、MD方向に試験片を製作し、TMA(TA Instruments,Q400)を用いて、30℃から260℃まで昇温速度10℃/min条件で測定した後、50℃で150℃範囲の測定値を熱膨張係数として記録した。
【0153】
この時、銅張積層板の銅箔層をエッチングして得られた結果物を「金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体」といい、これは上述したように熱硬化性樹脂組成物を熱風乾燥して得られたプリプレグが高温で硬化して形成されたものである。
【0154】
2.ガラス転移温度(Tg)
【0155】
前記実施例および比較例で得られた銅張積層板の銅箔層をエッチングして除去した後、MD方向に試験片(金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体)を製作し、DMA(TA Instruments,Q800)を用いて引張モードで5℃/分の昇温条件で25℃から300℃まで測定してtan deltaのピーク温度をガラス転移温度とした。
【0156】
3.貯蔵弾性率の測定(Storage Modulus)
【0157】
前記実施例および比較例で得られた銅張積層板の銅箔層をエッチングして除去した後、MD方向に試験片(金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体)を製作し、DMA(TA Instruments,Q800)を用いて引張モードで5℃/分の昇温条件で25℃から300℃まで貯蔵弾性率を測定した。
【0158】
4.回路パターン充填性
【0159】
前記実施例および比較例で得られたプリプレグを、回路パターン(パターン高さ7um、残銅率50%)の両面に位置させ、その上に銅箔(厚さ12μm、Mitsui社製)を位置させ、220℃および35kg/cmの条件で100分間プレスした後、両面の銅箔をエッチングし、次の基準下に回路パターン充填性を評価した。
○:Void発生なし
X:Void発生
【0160】
5.引張伸び率(Tensile Elongation)の測定
【0161】
前記実施例および比較例で得られたプリプレグを、ガラス繊維のMDおよびTD方向が一致するように15枚を積層し、220℃および35kg/cmの条件で100分間プレスした後、IPC-TM-650(2.4.18.3)により、Universal Testing Machine(Instron 3365)装備を用いてMD方向の引張伸び率を測定した。
【0162】
6.半導体パッケージの反り(Warpage測定)
【0163】
前記実施例および比較例で得られた銅張積層板で銅箔の一部を通常のエッチング法により配線を加工してプリント配線板を製造した(厚さ90um)。製造されたプリント配線板に半導体チップ(11.5mmx11.5mmx厚さ80um)を搭載して半導体パッケージ(14.5mmx14.5mmx厚さ390um)を製造した。製造された半導体パッケージに対して反り測定装置(AKROMETRIX社のTHERMOIRE PS100)を用いてShadow Moire測定理論に基づいて反りを測定した。反りは前記の半導体パッケージを30℃から260℃まで測定し、その後30℃まで冷却した時、反りの最大値と最小値の差で求め、次のような基準の下に半導体パッケージの反りを評価した。
○:反りの最大値と最小値差が170um以下
X:反りの最大値と最小値差が170um以上
【0164】
7.熱応力因子(Thermal Stress Factor)の計算
【0165】
前記得られた熱膨張係数と貯蔵弾性率に基づいて30℃から260℃まで1℃単位で各温度における熱膨張係数と貯蔵弾性率を乗じた後、すべて合計して下記一般式1の熱応力因子(Thermal Stress Factor)を測定(計算)した。
【0166】
[一般式1]
熱応力因子(Thermal Stress Factor、単位:MPa)
=∫[貯蔵弾性率(Storage Modulus)*熱膨張係数]dT
【0167】
[表1]
実施例の半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物の組成および金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の物性確認(単位:g)
【0168】
【表1】
【0169】
[表2]
比較例の半導体パッケージ用熱硬化性樹脂組成物の組成および金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体の物性確認(単位:g)
【0170】
【表2】
【0171】
*DDS:4,4'-diaminodiphenyl sulfone
【0172】
*TFB:2,2'-bis(trifluoromethyl)benzidine;2,2'-Bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine
【0173】
*DDM:4,4'-diaminodiphenyl methane
【0174】
*XD-1000:エポキシ樹脂(Nippon kayaku社)
【0175】
*NC-3000H:エポキシ樹脂(Nippon kayaku社)
【0176】
*HP-6000:エポキシ樹脂(DIC社)
【0177】
*BMI-2300:ビスマレイミド系樹脂(DAIWA KASEI社)
【0178】
*Acrylic rubber B(Mw 800,000):PARACRON KG-3015P(Negami chemical industrial Co.,LTD社)
【0179】
*Acrylic rubber C(Mw 600,000):PARACRON KG-3113(Negami chemical industrial Co.,LTD社)
【0180】
*当量比:下記数式1により計算される
[数式1]
熱硬化性樹脂に対するアミン化合物当量比
=(DDSの総活性水素当量+TFBの総活性水素当量+DDMの総活性水素当量)/{(XD-1000の総エポキシ当量+NC-3000Hの総エポキシ当量+HP-6000の総エポキシ当量)+(BMI-2300の総マレイミド当量)}
【0181】
前記数学式1において、DDSの総活性水素当量はDDSの総重量(g)をDDSの活性水素単位当量(62g/eq)で除した値であり、
TFBの総活性水素当量はTFBの総重量(g)をTFBの活性水素単位当量(80g/eq)で除した値であり、
DDMの総活性水素当量はDDMの総重量(g)をDDMの活性水素単位当量(49.5g/eq)で除した値であり、
XD-1000の総エポキシ当量はXD-1000の総重量(g)をXD-1000のエポキシ単位当量(253g/eq)で除した値であり、
NC-3000Hの総エポキシ当量はNC-3000Hの総重量(g)をNC-3000Hのエポキシ単位当量(290g/eq)で除した値であり、
HP-6000の総エポキシ当量はHP-6000の総重量(g)をHP-6000のエポキシ単位当量(250g/eq)で除した値であり、
BMI-2300の総マレイミド当量はBMI-2300の総重量(g)をBMI-2300のマレイミド単位当量(179g/eq)で除した値である。
【0182】
前記表1に示すように、実施例のように電子求引性基(Electron Withdrawing Group,EWG)を有するアミン化合物を含むプリプレグから形成された金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体は230℃以下のガラス転移温度を有し、10ppm/℃以下の低い熱膨張率を有しながらも優れた回路パターン充填性を有することが確認された。
【0183】
すなわち、実施例のように電子求引性基(Electron Withdrawing Group,EWG)を有するアミン化合物100重量部に対して290重量部以下の熱硬化性樹脂を含み、熱硬化性樹脂当量基準のアミン化合物当量比率である当量比が1.4以上を満足し、かつ無機添加剤の添加量を熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂およびアミン化合物の総和100重量部に対して50重量比で150重量部の無機添加剤を含む場合、半導体パッケージングに適した熱的特性、優れた低熱膨張特性、流れ性および機械的物性を確保できることを確認した。
【0184】
一方、実施例で得られたそれぞれの金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体に対する熱応力因子が21Mpa以下であることが確認されるが、このような熱応力因子を有する金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体を使用して製造された半導体パッケージは相対的に低い水準の反り(Warpage)のみを示すことが確認された。
【0185】
これに対し、比較例で得られたそれぞれの金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体に対する熱応力因子が25Mpa超であり、このような高い熱応力因子を有する金属箔積層板用熱硬化性樹脂複合体を使用して製造された半導体パッケージは相対的に高い反りが発生することが確認された。