(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】液晶配向剤組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、およびこれを用いた液晶配向膜
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1337 20060101AFI20220524BHJP
C08G 73/14 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
G02F1/1337 525
C08G73/14
(21)【出願番号】P 2019543790
(86)(22)【出願日】2019-01-04
(86)【国際出願番号】 KR2019000160
(87)【国際公開番号】W WO2019143053
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2019-08-16
(31)【優先権主張番号】10-2018-0007958
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンク
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ジュン ホ
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-040950(JP,A)
【文献】特開2015-215591(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0049699(KR,A)
【文献】特開2001-296525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
C08G 73/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上を含み、少なくとも一末端に1級アミノ基が結合した重合体;および
下記の化学式1で表される末端改質剤化合物を含み、
前記ポリイミド繰り返し単位は、下記の化学式4で表される繰り返し単位を含み、
前記ポリアミック酸エステル繰り返し単位は、下記の化学式5で表される繰り返し単位を含み、
ポリアミック酸繰り返し単位は、下記の化学式6で表される繰り返し単位を含む、
液晶配向剤組成物:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
R
1は下記の化学式2で表される線状有機官能基、または下記の化学式3で表される環状有機官能基のうちの1つであり、
[化学式2]
【化2】
前記化学式2において、
R
2は-O-、-CO-、-S-、-CONH-、-COO-、-O(CH
2)
zO-、-OCO-(CH
2)
z-OCO-、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニレン基のうちの1つであり、
Zは1~10の整数であり、
[化学式3]
【化3】
前記化学式3において、
C
1は置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数4~20のヘテロアリーレン基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニレン基のうちの1つであり、
[化学式4]
【化10】
[化学式5]
【化11】
[化学式6]
【化12】
前記化学式4~6において、
R
3およびR
4のうちの少なくとも1つが炭素数1~10のアルキルであり、残りは水素であり、
X
1~X
3は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、4価の有機基であり、
Y
1~Y
3は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、下記の化学式7-1で表される2価の有機基である。
[化学式7-1]
【化13】
【請求項2】
前記化学式2で表される線状有機官能基は、下記の化学式2-1で表される官能基グループのうちのいずれか1つである、
請求項1に記載の液晶配向剤組成物:
[化学式2-1]
【化4】
【請求項3】
前記化学式3で表される環状有機官能基は、下記の化学式3-1で表される官能基グループのうちのいずれか1つである、
請求項1に記載の液晶配向剤組成物:
[化学式3-1]
【化5】
【請求項4】
前記化学式1で表される末端改質剤化合物の含有量は、液晶配向剤組成物の全体重量を基準として0.1重量%~20重量%である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶配向剤組成物。
【請求項5】
前記化学式1で表される末端改質剤化合物は、下記の化学式1-1で表される化合物~下記の化学式1-4で表される化合物の少なくとも1つを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の液晶配向剤組成物:
[化学式1-1]
【化6】
[化学式1-2]
【化7】
[化学式1-3]
【化8】
[化学式1-4]
【化9】
。
【請求項6】
前記X
1~X
3はそれぞれ独立して、下記の化学式8で表される4価の有機基のうちの1つである、
請求項1に記載の液晶配向剤組成物:
[化学式8]
【化14】
前記化学式8において、
R
5~R
10はそれぞれ独立して、水素または炭素数1~6のアルキル基であり、
L
1は単結合、-O-、-CO-、-COO-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CR
11R
12-、-(CH
2)
t-、-O(CH
2)
tO-、-COO(CH
2)
tOCO-、-CONH-、フェニレン、またはこれらの組み合わせからなる群より選ばれたいずれか1つであり、
前記R
11およびR
12はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、またはハロアルキル基であり、
tは1~10の整数である。
【請求項7】
前記重合体は、ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上を含み、少なくとも一末端に1級アミノ基が結合し、前記1級アミノ基に下記の化学式9で表される官能基が置換された第2重合体をさらに含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の液晶配向剤組成物:
[化学式9]
【化15】
前記化学式9において、
R
1は請求項1で定義した通りである。
【請求項8】
前記第2重合体は、下記の化学式10、化学式11、および化学式12からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位を含む、
請求項7に記載の液晶配向剤組成物:
[化学式10]
【化16】
[化学式11]
【化17】
[化学式12]
【化18】
前記化学式10~12において、
p、q、およびrはそれぞれ独立して、1~50000の整数であり、
R
1'は請求項1で定義したR
1であり、
R
3'およびR
4'のうちの少なくとも1つが炭素数1~10のアルキルであり、残りは水素であり、
X
1'~X
3'は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、4価の有機基であり、
Y
1'~Y
3'は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、下記の化学式7-1で表される2価の有機基である。
[化学式7-1]
【化19】
【請求項9】
ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上を含み、少なくとも一末端に1級アミノ基が結合した重合体;および
下記の化学式1で表される末端改質剤化合物を含み、
前記重合体は、ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上を含み、少なくとも一末端に1級アミノ基が結合し、前記1級アミノ基に下記の化学式9で表される官能基が置換された第2重合体をさらに含み、
前記第2重合体は、下記の化学式10、化学式11、および化学式12からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位を含む、
液晶配向剤組成物:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
R
1は下記の化学式2で表される線状有機官能基、または下記の化学式3で表される環状有機官能基のうちの1つであり、
[化学式2]
【化2】
前記化学式2において、
R
2は-O-、-CO-、-S-、-CONH-、-COO-、-O(CH
2)
zO-、-OCO-(CH
2)
z-OCO-、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニレン基のうちの1つであり、
Zは1~10の整数であり、
[化学式3]
【化3】
前記化学式3において、
C
1は置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数4~20のヘテロアリーレン基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニレン基のうちの1つであり、
[化学式9]
【化15】
前記化学式9において、
R
1は
、前記化学式2で表される線状有機官能基、または前記化学式3で表される環状有機官能基のうちの1つであり、
[化学式10]
【化16】
[化学式11]
【化17】
[化学式12]
【化18】
前記化学式10~12において、
p、q、およびrはそれぞれ独立して、1~50000の整数であり、
R
1'は
、前記化学式2で表される線状有機官能基、または前記化学式3で表される環状有機官能基のうちの1つであり、
R
3'およびR
4'のうちの少なくとも1つが炭素数1~10のアルキルであり、残りは水素であり、
X
1'~X
3'は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、4価の有機基であり、
Y
1'~Y
3'は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、下記の化学式7-1で表される2価の有機基である。
[化学式7-1]
【化19】
【請求項10】
前記第2重合体は、全体液晶配向剤組成物対比0.5重量%~40重量%含有される、
請求項8または9に記載の液晶配向剤組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の液晶配向剤組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階;
前記塗膜を乾燥する段階;
前記乾燥した塗膜に光を照射したりラビング処理して配向処理する段階;および
前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階
を含む、
液晶配向膜の製造方法。
【請求項12】
前記塗膜を乾燥する段階は、50℃~150℃の温度で進行させる、
請求項11に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項13】
前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階は、180℃~300℃の温度で進行させる、
請求項11または12に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか一項に記載の液晶配向剤組成物の配向硬化物を含む、
液晶配向膜。
【請求項15】
請求項14に記載の液晶配向膜を含む
液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2018年1月22日付の韓国特許出願第10-2018-0007958号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、長期保管時にも変色性が低くて、液晶配向膜への適用時に優れた光透過度を示すことができ、向上した配向性および電気的特性を実現することができる液晶配向剤組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、およびこれを用いた液晶配向膜および液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0003】
液晶表示素子において、液晶配向膜は、液晶を一定の方向に配向させる役割を担っている。具体的には、液晶配向膜は、液晶分子の配列に方向子(director)の役割を果たして、電場(electric field)によって液晶が動いて画像を形成する時、適当な方向決めをする。液晶表示素子において均一な輝度(brightness)と高い明暗比(contrast ratio)を得るためには、液晶を均一に配向することが必須である。
【0004】
従来、液晶を配向させる方法の一つとして、ガラスなどの基板にポリイミドのような高分子膜を塗布し、この表面をナイロンやポリエステルのような繊維を用いて一定の方向に擦るラビング(rubbing)方法が利用された。しかし、ラビング方法は、繊維質と高分子膜とが摩擦する時、微細な埃や静電気(electrical discharge:ESD)が発生しかねず、液晶パネルの製造時、深刻な問題点を引き起こすことがある。
【0005】
前記ラビング方法の問題点を解決するために、最近は、摩擦でない光照射によって高分子膜に異方性(非等方性、anisotropy)を誘導し、これを利用して液晶を配列する光配向法が研究されている。
【0006】
前記光配向法に使用可能な材料としては多様な材料が紹介されており、なかでも、液晶配向膜の良好な諸性能のためにポリイミドが主に使用されている。しかし、ポリイミドは、溶媒溶解性に劣り、溶液状態でコーティングして配向膜を形成させる製造工程上に直に適用するには困難があった。
【0007】
したがって、溶解性に優れたポリアミック酸またはポリアミック酸エステルのような前駆体形態でコーティングをした後、200℃~230℃の温度で熱処理工程を経てポリイミドを形成させ、これに光照射を実行して配向処理をする。
【0008】
しかし、最近、液晶表示素子の要求性能が向上し、低電力ディスプレイが要求されるにつれ、高温環境での電気的高信頼性と高い光透過率および保存安定性が重要視されている。
【0009】
そこで、長期保管時にも変色性が低くて、液晶配向膜への適用時に優れた光透過度を示すことができ、向上した配向性および電気的特性を実現することができる液晶配向剤組成物の開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、長期保管時にも変色性が低くて、液晶配向膜への適用時に優れた光透過度を示すことができ、向上した配向性および電気的特性を実現することができる液晶配向剤組成物に関する。
【0011】
また、本発明は、前記液晶配向剤組成物を用いた液晶配向膜の製造方法を提供する。
【0012】
さらに、本発明は、前記製造方法で製造される液晶配向膜およびこれを含む液晶表示素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本明細書では、ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上を含み、少なくとも一末端に1級アミノ基が結合した重合体;および下記の化学式1で表される末端改質剤化合物を含む液晶配向剤組成物を提供する。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
R
1は下記の化学式2で表される線状有機官能基、または下記の化学式3で表される環状有機官能基のうちの1つであり、
[化学式2]
【化2】
前記化学式2において、
R
2は-O-、-CO-、-S-、-CONH-、-COO-、-O(CH
2)
zO-、-OCO-(CH
2)
z-OCO-、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニレン基のうちの1つであり、Zは1~10の整数であり、
[化学式3]
【化3】
前記化学式3において、
C
1は置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数4~20のヘテロアリーレン基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニレン基のうちの1つである。
【0014】
本明細書ではまた、前記液晶配向剤組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階;前記塗膜を乾燥する段階;前記乾燥した塗膜に光を照射したりラビング処理して配向処理する段階;および前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階を含む液晶配向膜の製造方法が提供される。
【0015】
本明細書ではさらに、液晶配向膜の製造方法により製造された、液晶配向膜とこれを含む液晶表示素子が提供される。
【0016】
以下、発明の具体的な実施形態による液晶配向剤組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、およびこれを用いた液晶配向膜についてより詳細に説明する。
【0017】
I.液晶配向剤組成物
発明の一実施形態によれば、ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上を含む重合体;および前記化学式1で表される末端改質剤化合物を含む液晶配向剤組成物が提供できる。
【0018】
本発明者らは、前記一実施形態の液晶配向剤組成物のように、ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上を含む重合体と共に、添加される末端改質剤化合物が化学式1のようなモノ無水物構造を有することによって、重合体に含有された主鎖末端に存在する1級アミノ基と反応して主鎖末端をモノカルボン酸で置換させることができ、これにより、末端改質剤化合物を添加する前に比べて、液晶配向剤組成物から得られた液晶配向膜で高い光透過率を有することができ、液晶配向膜が設けられた液晶セルでより向上した電気的信頼性および配向特性を実現することができることを、実験を通して確認して、発明を完成した。
【0019】
このように、前記液晶配向剤組成物に含まれている末端改質剤化合物によって、重合体の主鎖末端の1級アミノ基が後述する化学式9の官能基などで置換されることによって、末端アミノ基の酸化を防止して液晶配向膜で高い光透過率を有することができ、液晶配向膜が設けられた液晶セルでより向上した電気的信頼性および配向特性を実現することができる。
【0020】
特に、前記末端改質剤化合物は、内部に化学式2で表される線状有機官能基、または下記の化学式3で表される環状有機官能基を含むことができ、より好ましくは、ベンゾフラン(Benzofuran)に由来する2価の有機官能基を含む化学構造的特徴により、液晶配向膜で高い光透過率を有することができ、液晶配向膜が設けられた液晶セルでより向上した電気的信頼性および配向特性を実現することができる。
【0021】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0022】
本明細書において、特別な制限がない限り、次の用語は下記のように定義される。
【0023】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0024】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0025】
本明細書において、「置換」という用語は、化合物内の水素原子の代わりに他の官能基が結合することを意味し、置換される位置は、水素原子の置換される位置つまり、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一であるか、異なっていてもよい。
【0026】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;1級アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アルアルキル基;アルアルケニル基;アルキルアリール基;アルコキシシリルアルキル基;アリールホスフィン基;またはN、O、およびS原子のうちの1個以上を含むヘテロ環基からなる群より選ばれた1個以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換もしくは非置換であることを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。つまり、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。
【0027】
本明細書において、
【化4】
は、他の置換基に連結される結合を意味し、直接結合は、Lで表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
【0028】
本明細書において、アルキル基は、アルカン(alkane)に由来する1価の官能基で、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、前記直鎖アルキル基の炭素数は特に限定されないが、1~20のものが好ましい。また、前記分枝鎖アルキル基の炭素数は3~20である。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,6-ジメチルヘプタン-4-イルなどがあるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書において、シクロアルキル基は、シクロアルカン(cycloalkane)に由来する1価の官能基で、単環式または多環式であってもよく、特に限定されないが、炭素数は3~20である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~10である。具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプチルなどがあるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書において、アリール基は、アレーン(arene)に由来する1価の官能基で、特に限定されないが、炭素数6~20のものが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。前記アリール基が、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素でない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的には、前記異種原子は、O、N、Se、およびSなどからなる群より選ばれる原子を1以上含むことができる。炭素数は特に限定されないが、炭素数4~20のものが好ましく、前記ヘテロアリール基は、単環式または多環式であってもよい。ヘテロ環基の例としては、チオフェン基、フラニル基、ピロール基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリニル基(phenanthroline)、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基、アジリジル基、アザインドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリン基(purine)、プテリジル基(pteridine)、ベータカルボリニル基、ナフチリジル基(naphthyridine)、ターピリジル基、フェナジニル基、イミダゾピリジル基、ピロピリジル基、アゼピン基、ピラゾリル期、およびジベンゾフラニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30のものが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどがあるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書において、前記アルケニル基は、アルケン(alkene)に由来する1価の官能基で、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~20である。もう一つの実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~10である。もう一つの実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~6である。具体例としては、ビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブタジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において、シリル基は、シラン(silane)に由来する1価の官能基で、例えば、シリコン原子に3個のアルキル基またはアリール基が結合した構造を有することができる。前記アルキル基またはアリール基に関する内容は上述した通りである。前記シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書において、アルキレン基は、アルカン(alkane)に由来する2価の官能基で、これらは、2価の官能基であることを除けば、前述したアルキル基の説明が適用可能である。例えば、直鎖状、または分枝状であって、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基などになってもよい。
【0036】
本明細書において、アルケニレン基は、アルケン(alkene)に由来する2価の官能基で、これらは、2価の官能基であることを除けば、前述したアルケニル基の説明が適用可能である。例えば、直鎖状、または分枝状であって、
【化5】
などになってもよい。
【0037】
本明細書において、シクロアルケニレン基は、シクロアルケン(cycloalkene)に由来する2価の官能基で、これらは、環状の官能基であることを除けば、前述したアルケニル基の説明が適用可能である。例えば、
【化6】
などになってもよい。
【0038】
本明細書において、アリーレン基は、アレーン(arene)に由来する2価の官能基で、これらは、2価の官能基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。例えば、直鎖状、または分枝状であって、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基などになってもよい。
【0039】
本明細書において、ヘテロアリーレン基は、2価の官能基であることを除けば、前述したヘテロアリール基の説明が適用可能であり、例えば、
【化7】
などになってもよい。
【0040】
本明細書において、多価有機基(multivalent organic group)は、任意の化合物に結合した複数の水素原子が除去された形態の残基で、例えば、2価の有機基、3価の有機基、4価の有機基が挙げられる。一例として、シクロブタンに由来する4価の有機基は、シクロブタンに結合した任意の水素原子4個が除去された形態の残基を意味する。
【0041】
本明細書において、直接結合または単結合は、当該位置にいかなる原子または原子団も存在せず、結合線で連結されることを意味する。具体的には、化学式中、L1、L2で表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
【0042】
(1)重合体
前記重合体は、ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上を含むことができる。つまり、前記重合体は、ポリアミック酸繰り返し単位1種、ポリアミック酸エステル繰り返し単位1種、ポリイミド繰り返し単位1種、またはこれらの2種以上の繰り返し単位が混合された共重合体を含むことができる。
【0043】
前記ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位は、前記重合体の主鎖を形成することができる。
【0044】
具体的には、前記ポリイミド繰り返し単位は、下記の化学式4で表される繰り返し単位を含み、前記ポリアミック酸エステル繰り返し単位は、下記の化学式5で表される繰り返し単位を含み、ポリアミック酸繰り返し単位は、下記の化学式6で表される繰り返し単位を含むことができる。
[化学式4]
【化8】
[化学式5]
【化9】
[化学式6]
【化10】
前記化学式4~6において、X
1~X
3は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、4価の有機基であってもよい。前記X
1~X
3はポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、またはポリイミドの合成時に使用されるテトラカルボン酸ジ無水物化合物に由来する官能基であってもよい。
【0045】
より具体的には、前記X
1~X
3はそれぞれ独立して、下記の化学式8で表される4価の有機基のうちの1つであってもよい。
[化学式8]
【化11】
前記化学式8において、R
5~R
10はそれぞれ独立して、水素または炭素数1~6のアルキル基であり、L
1は、単結合、-O-、-CO-、-COO-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CR
11R
12-、-(CH
2)
t-、-O(CH
2)
tO-、-COO(CH
2)
tOCO-、-CONH-、フェニレン、またはこれらの組み合わせからなる群より選ばれたいずれか1つであり、前記R
11およびR
12はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、またはハロアルキル基であり、tは1~10の整数である。
【0046】
より好ましくは、前記X
1~X
3はそれぞれ独立して、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物に由来する、下記の化学式8-1の有機基であってもよい。
[化学式8-1]
【化12】
【0047】
一方、前記化学式4~6において、Y1~Y3は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、2価の有機基であってもよい。前記Y1~Y3はポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、またはポリイミドの合成時に使用されるジアミン化合物に由来する官能基であってもよい。
【0048】
具体例として、前記Y
1~Y
3は下記の化学式7で表される2価の有機基であってもよい。
[化学式7]
【化13】
前記化学式7において、Q
1~Q
8のうちの少なくとも1つは窒素であり、残りは炭素であり、Dは-NR'-または-O-であり、R'は水素または炭素数1~6のアルキル基である。
【0049】
前記化学式7で表される有機基において、Q
1~Q
4のうちの少なくとも1つは窒素であり、残りは炭素であり、Q
5~Q
8は炭素であり、Dは-NR'-であってもよい。より好ましくは、前記化学式7において、Q
1~Q
4のうちのQ
2が窒素であり、残りは炭素であり、Q
5~Q
8は炭素であり、Dは-NH-である、下記の化学式7-1が挙げられる。
[化学式7-1]
【化14】
【0050】
より具体的には、前記化学式7は、下記の化学式7-a~化学式7-cで表される官能基が挙げられる。
[化学式7-a]
【化15】
[化学式7-b]
【化16】
[化学式7-c]
【化17】
【0051】
このように、前記化学式7で表される官能基を含むことによって、前記一実施形態の液晶配向剤用重合体が適用された液晶ディスプレイ素子は、高い電圧保持率および液晶配向性を実現することができる。
【0052】
また、前記化学式4~6において、R3およびR4のうちの少なくとも1つが炭素数1~10のアルキルであり、残りは水素であってもよい。
【0053】
一方、前記重合体は、少なくとも一末端に1級アミノ基が結合することができる。つまり、前記重合体は、上述した化学式4~6で表される繰り返し単位を主鎖に含み、前記主鎖の両末端のいずれか1つ以上に1級アミノ基(-NH2)が結合した状態で存在することができる。
【0054】
前記重合体の少なくとも一末端に1級アミノ基を結合させる方法の例が大きく限定されたわけではなく、例えば、前記重合体の製造に使用される反応単量体のジアミン化合物とテトラカルボン酸無水物化合物のうち、ジアミン化合物のモル含有量をテトラカルボン酸無水物化合物のモル含有量より過剰に添加する方法を使用することができる。
【0055】
一方、前記重合体は、ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上を含み、少なくとも一末端に1級アミノ基が結合し、前記1級アミノ基に下記の化学式9で表される官能基が置換された第2重合体をさらに含んでもよい。
[化学式9]
【化18】
前記化学式9において、R
1は前記化学式1で定義した通りである。
【0056】
具体的には、前記第2重合体は、前記一実施形態の液晶配向剤組成物に含まれているポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上を含み、少なくとも一末端に1級アミノ基が結合した重合体に対して、前記化学式1で表される末端改質剤化合物が反応して、末端1級アミノ基を改質させた反応結果物に相当すると考えられる。
【0057】
つまり、前記重合体の少なくとも一末端に結合した1級アミノ基に含有された2個の水素原子のうち少なくとも1つ以上の水素原子が前記化学式9で表される官能基によって置換されていてもよい。
【0058】
これにより、前記第2重合体は、下記の化学式10、化学式11、および化学式12からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位を含むことができる。
[化学式10]
【化19】
[化学式11]
【化20】
[化学式12]
【化21】
前記化学式10~12において、R
1'は前記化学式2で表される線状有機官能基、または化学式3で表される環状有機官能基のうちの1つであってもよい。
【0059】
また、前記化学式10~12において、p、q、およびrはそれぞれ独立して、1~50000の整数である。
【0060】
さらに、前記化学式10~12において、X1'~X3'は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、4価の有機基であってもよい。前記X1'~X3'はポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、またはポリイミドの合成時に使用されるテトラカルボン酸ジ無水物化合物に由来する官能基であってもよい。
【0061】
より具体的には、前記X1'~X3'はそれぞれ独立して、前記化学式8で表される4価の有機基のうちの1つであってもよい。
【0062】
また、前記化学式10~12において、Y1'~Y3'は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、2価の有機基であってもよい。前記Y1'~Y3'はポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、またはポリイミドの合成時に使用されるジアミン化合物に由来する官能基であってもよい。具体例として、前記Y1'~Y3'は前記化学式7で表される2価の有機基であってもよい。
【0063】
さらに、前記化学式10~12において、R3'およびR4'のうちの少なくとも1つが炭素数1~10のアルキルであり、残りは水素であってもよい。
【0064】
また、前記第2重合体は、下記の化学式13、化学式14、および化学式15からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位をさらに含んでもよい。前記化学式13、化学式14、および化学式15からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位は、前記第2重合体の主鎖を形成することができる。
[化学式13]
【化22】
[化学式14]
【化23】
[化学式15]
【化24】
前記化学式13~15において、R
5およびR
6のうちの少なくとも1つが炭素数1~10のアルキルであり、残りは水素であり、X
4~X
6は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、4価の有機基であり、Y
4~Y
6は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、前記化学式7で表される2価の有機基である。
【0065】
より具体的には、前記X4~X6はそれぞれ独立して、前記化学式8で表される4価の有機基のうちの1つであってもよい。
【0066】
前記第2重合体は、全体液晶配向剤組成物対比0.5重量%~40重量%含有される。つまり、前記液晶配向剤組成物には、少なくとも一末端に1級アミノ基が結合した第1重合体および末端改質剤と共に、少なくとも一末端に前記化学式9で表される官能基が結合した第2重合体が混合されている。
【0067】
前記第2重合体が全体液晶配向剤組成物対比0.5重量%未満と過度に減少する場合、重合体末端の改質の程度がわずかで、液晶配向剤組成物の光透過度、電気特性の向上が十分に実現されにくい。また、前記第2重合体が全体液晶配向剤組成物対比40重量%超過と過度に増加する場合、分子の繰り返し単位数が減少して重合体固有の配向性質および電気的特性が低下する限界がある。
【0068】
(2)末端改質剤化合物
前記一実施形態の液晶配向剤組成物は、上述した重合体のほか、末端改質剤化合物を含むことができ、前記末端改質剤化合物は、前記化学式1で表される特定の化学構造を有することができる。前記末端改質剤化合物の物理/化学的特性は、上述した化学式1の特定の構造に起因すると考えられる。
【0069】
具体的には、前記化学式1のような環状モノジカルボン酸無水物構造の場合、重合体末端に存在する1級アミノ基と高い反応性を有し、1級アミノ基に結合した水素原子を、後述する化学式9の官能基で容易に置換させることができる。
【0070】
これにより、末端に1級アミノ基が結合した重合体は、末端の化学構造が化学式9の官能基に変化するにつれ、全く異なる物理的、化学的性質を示し、このような変化した物理、化学的性質は、高温環境での電気的高信頼性と高い光透過率を実現するのに適する。
【0071】
具体的には、前記化学式1において、R1は前記化学式2で表される線状有機官能基、または前記化学式3で表される環状有機官能基のうちの1つであってもよい。
【0072】
前記化学式2で表される線状有機官能基において、R2は-O-、-CO-、-S-、-CONH-、-COO-、-O(CH2)zO-、-OCO-(CH2)z-OCO-、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニレン基のうちの1つであり、Zは1~10の整数である。
【0073】
より具体的には、前記化学式2のR2において、前記置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基は、i)非置換の炭素数1~10のアルキレン基、またはii)ハロゲン、炭素数1~20のアルキル基、および炭素数1~20のアルコキシシリルアルキル基からなる群より選ばれた1種以上の置換基で置換された炭素数1~20のアルキレン基を含むことができる。
【0074】
また、前記化学式2のR2において、前記置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニレン基は、i)非置換の炭素数2~10のアルケニレン基、またはii)炭素数1~20のアルキル基で置換された炭素数2~10のアルケニレン基を含むことができる。
【0075】
前記化学式2で表される線状有機官能基の具体例としては、下記の化学式2-1で表される官能基グループのうちのいずれか1つが挙げられる。
[化学式2-1]
【化25】
【0076】
一方、前記化学式3で表される環状有機官能基において、C1は置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数4~20のヘテロアリーレン基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニレン基のうちの1つである。
【0077】
具体的には、前記化学式3のC1において、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基は、i)非置換の炭素数3~10のシクロアルキレン基、またはii)炭素数1~20のアルキル基で置換された炭素数3~10のシクロアルキレン基を含むことができる。
【0078】
また、前記化学式3のC1において、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基は、i)非置換の炭素数6~10のアリーレン基、またはii)ハロゲンで置換された炭素数6~10のアリーレン基を含むことができる。
【0079】
さらに、前記化学式3のC1において、置換もしくは非置換の炭素数4~20のヘテロアリーレン基は、非置換の炭素数4~10のヘテロアリーレン基を含むことができる。
【0080】
そして、前記化学式3のC1において、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニレン基は、i)非置換の炭素数3~10のシクロアルケニレン基、またはii)炭素数1~20のアルキル基で置換された炭素数3~10のシクロアルケニレン基を含むことができる。
【0081】
前記化学式3で表される環状有機官能基の具体例としては、下記の化学式3-1で表される官能基グループのうちのいずれか1つが挙げられる。
[化学式3-1]
【化26】
【0082】
より好ましくは、前記化学式1で表される末端改質剤化合物は、下記の化学式1-1で表される化合物~下記の化学式1-4で表される化合物を含むことができる。
[化学式1-1]
【化27】
[化学式1-2]
【化28】
[化学式1-3]
【化29】
[化学式1-4]
【化30】
【0083】
前記化学式1で表される末端改質剤化合物は、前記液晶配向剤組成物の全体重量を基準として0.1重量%~20重量%含有される。前記末端改質剤化合物の含有量が過度に多くなると、分子の繰り返し単位数が減少して重合体固有の配向性質および電気的特性が低下する限界がある。
【0084】
反面、前記末端改質剤化合物の含有量が過度に小さくなると、前記液晶配向剤用重合体の末端1級アミノ基の改質による光透過度および電気的特性の向上効果が十分に実現されにくいことがある。
【0085】
II.液晶配向膜の製造方法
また、本発明は、前記一実施形態の液晶配向剤組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階(段階1);前記塗膜を乾燥する段階(段階2);前記乾燥した塗膜に光を照射したりラビング処理して配向処理する段階(段階3);および前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階(段階4)を含む、液晶配向膜の製造方法を提供する。
【0086】
前記段階1は、上述した液晶配向剤組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階である。前記液晶配向剤組成物に関する内容は、前記一実施形態で上述した内容をすべて含む。
【0087】
前記液晶配向剤組成物を基板に塗布する方法は特に限定されず、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどの方法が利用できる。
【0088】
そして、前記液晶配向剤組成物は、有機溶媒に溶解または分散させたものであってもよい。前記有機溶媒の具体例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、2-ピロリドン、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチルウレア、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,3-ジメチル-イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグリム、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。これらは、単独で使用されてもよく、混合して使用されてもよい。
【0089】
また、前記液晶配向剤組成物は、有機溶媒のほか、他の成分を追加的に含んでもよい。非制限的な例として、前記液晶配向剤組成物が塗布された時、膜厚さの均一性や表面平滑性を向上させたり、あるいは液晶配向膜と基板との密着性を向上させたり、あるいは液晶配向膜の誘電率や導電性を変化させたり、あるいは液晶配向膜の緻密性を増加させることができる添加剤が追加的に含まれてもよい。このような添加剤としては、各種溶媒、界面活性剤、シラン系化合物、誘電体、または架橋性化合物などが例示される。
【0090】
前記段階2は、前記液晶配向剤組成物を基板に塗布して形成された塗膜を乾燥する段階である。
【0091】
前記塗膜の乾燥段階は、ホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などの加熱手段によって実施可能であり、50℃~150℃、または50℃~100℃の温度で行うことができる。
【0092】
前記段階3は、前記乾燥した塗膜に光を照射したりラビング処理して配向処理する段階である。
【0093】
前記配向処理する段階において、光照射は、150nm~450nmの波長の偏光した紫外線を照射するものであってもよい。この時、露光の強度は、液晶配向剤用重合体の種類によって異なり、10mJ/cm2~10J/cm2のエネルギー、好ましくは30mJ/cm2~2J/cm2のエネルギーを照射することができる。
【0094】
前記紫外線としては、石英ガラス、ソーダライムガラス、ソーダライムフリーガラスなどの透明基板の表面に誘電異方性の物質がコーティングされた基板を用いた偏光装置、微細にアルミニウムまたは金属ワイヤが蒸着された偏光板、または石英ガラスの反射によるブルースター偏光装置などを通過または反射する方法で偏光処理された紫外線の中から選ばれた偏光紫外線を照射して配向処理をする。この時、偏光した紫外線は、基板面に垂直に照射することもでき、特定の角度に入射角を傾斜して照射することもできる。このような方法によって、液晶分子の配向能力が塗膜に与えられる。
【0095】
また、前記配向処理する段階において、ラビング処理は、ラビング布を用いる方法を使用することができる。より具体的には、前記ラビング処理は、金属ローラにラビング布の生地を付けたラビングローラを回転させながら、熱処理段階後の塗膜の表面を一方向にラビングすることができる。
【0096】
前記段階4は、前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階である。この時、前記熱処理は、ホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などの加熱手段によって実施可能であり、180℃~300℃、または200℃~300℃の温度で行うことができる。
【0097】
III.液晶配向膜
また、本発明は、上述した液晶配向膜の製造方法により製造された液晶配向膜を提供する。具体的には、前記液晶配向膜は、前記一実施形態の液晶配向剤組成物の配向硬化物を含むことができる。前記配向硬化物とは、前記一実施形態の液晶配向剤組成物の配向工程および硬化工程を経て得られる物質を意味する。
【0098】
上述のように、ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上を含み、少なくとも一末端に1級アミノ基が結合した重合体;および前記化学式1で表される末端改質剤化合物を含む液晶配向剤組成物を用いると、高い光透過率を有し、優れた配向性および電気的特性を有する液晶配向膜を製造することができる。
【0099】
前記液晶配向膜の厚さが大きく限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1000μmの範囲内で自由に調節可能である。前記液晶配向膜の厚さが特定の数値だけ増加または減少する場合、液晶配向膜で測定される物性も一定の数値だけ変化できる。
【0100】
IV.液晶表示素子
また、本発明は、上述した液晶配向膜を含む液晶表示素子を提供する。
【0101】
前記液晶配向膜は、公知の方法によって液晶セルに導入され、前記液晶セルは同様に、公知の方法によって液晶表示素子に導入される。前記液晶配向膜は、前記一実施形態の液晶配向剤組成物から製造され、優れた諸物性と共に優れた安定性を実現することができる。これにより、高い信頼度を示すことができる液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0102】
本発明によれば、長期保管時にも変色性が低くて、液晶配向膜への適用時に優れた光透過度を示すことができ、向上した配向性および電気的特性を実現することができる液晶配向剤組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、およびこれを用いた液晶配向膜および液晶表示素子が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0103】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0104】
<製造例:ジアミンの製造>
【0105】
製造例1
【化31】
18.3g(100mmol)の2-クロロ-5-ニトロピリジン(2-chloro-5-nitropyridine、化合物1)、12.5g(98.6mmol)のパラフェニレンジアミン(p-PDA、化合物2)を、200mLのジメチルスルホキシド(Dimethylsulfoxide、DMSO)に完全に溶かした後、23.4g(200mmol)のトリエチルアミン(trimethylamine、TEA)を添加し、常温で12時間撹拌した。反応が終結すると、反応物を500mLの水入りの容器に投入し、1時間撹拌した。これをろ過して得られた固体を200mLの水と200mLのエタノールで洗浄して、16g(61.3mmol)の化合物3を合成した。(収率:60%)
【0106】
【化32】
前記化合物3を、エチルアセテート(ethylacetate、EA)とTHFを1:1で混合した200mLの溶液に溶かした後、0.8gのパラジウム(Pd)/炭素(C)を投入し、水素環境下で12時間撹拌した。反応終了後、セライトパッドにろ過したろ液を濃縮して、11gの化合物4のジアミン(N-4-Aminophenyl-2,5-pyridinediamine、p-IDA)を製造した。(収率:89%)
【0107】
<実施例:液晶配向剤組成物および液晶配向膜の製造>
【0108】
実施例1
【0109】
(1)液晶配向剤組成物の製造
前記製造例1のジアミン(N-4-Aminophenyl-2,5-pyridinediamine)12g(60mmol)を、NMPに溶かした後、3,3',4,4'-Biphenyltetracarboxylic acid dianhydride16g(57mmol)を25℃で4時間撹拌して、末端に1級アミノ基(-NH
2)が結合した液晶配向剤用重合体を合成した。この後、末端改質剤として、下記の化学式aで表される(3aR,7aS)-Hexahydro-2-benzofuran-1,3-dione0.92g(6mmol)を添加し、20時間撹拌して、液晶配向剤組成物を製造した。
[化学式a]
【化33】
【0110】
(2)液晶配向膜の製造
厚さ60nm、面積1cm×1cmのITO電極がパターン化され、2.5cm×2.7cmの大きさを有する四角形のガラス基板上に、スピンコーティング方式で前記実施例1の(1)で得られた液晶配向剤組成物を塗布した。次に、液晶配向剤組成物が塗布された基板を80℃のホットプレート上に置き、2分間乾燥した。この後、線偏光子付きの露光器を用いて、254nmの紫外線を0.25J/cm2の露光量で照射して配向処理させ、230℃のオーブンで15分間焼成(硬化)して、厚さ0.1μmの液晶配向膜を製造した。
【0111】
実施例2
前記末端改質剤として、(3aR,7aS)-Hexahydro-2-benzofuran-1,3-dioneの代わりに、下記の化学式bで表される5-methyl-tetrahydroisobenzofuran-1,3-dioneを添加したことを除けば、前記実施例1と同様の方法で液晶配向剤組成物および液晶配向膜を製造した。
[化学式b]
【化34】
【0112】
実施例3
前記末端改質剤として、(3aR,7aS)-Hexahydro-2-benzofuran-1,3-dioneの代わりに、下記の化学式cで表されるDihydrofuran-2,5-dioneを添加したことを除けば、前記実施例1と同様の方法で液晶配向剤組成物および液晶配向膜を製造した。
[化学式c]
【化35】
【0113】
実施例4
前記末端改質剤として、(3aR,7aS)-Hexahydro-2-benzofuran-1,3-dioneの代わりに、下記の化学式dで表される5-Methylhexahydroisobenzofuran-1,3-dioneを添加したことを除けば、前記実施例1と同様の方法で液晶配向剤組成物および液晶配向膜を製造した。
[化学式d]
【化36】
【0114】
<比較例:液晶配向剤組成物および液晶配向膜の製造>
【0115】
比較例1
前記末端改質剤の(3aR,7aS)-Hexahydro-2-benzofuran-1,3-dioneを添加しないことを除けば、前記実施例1と同様の方法で液晶配向剤組成物および液晶配向膜を製造した。
【0116】
比較例2
前記末端改質剤として、(3aR,7aS)-Hexahydro-2-benzofuran-1,3-dioneの代わりに、下記の化学式eで表される5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-6-メチルヘキサヒドロ-2-ベンゾフラン-1,3-ジオンを用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で液晶配向剤組成物および液晶配向膜を製造した。
[化学式e]
【化37】
【0117】
<実験例:実施例および比較例で得られた液晶配向剤組成物および液晶配向膜の物性の測定>
前記実施例および比較例で得られた液晶配向剤組成物、または液晶配向膜、そしてこれを用いて製造された液晶配向セルから物性を下記の方法で測定し、その結果を表1に示した。
【0118】
具体的な液晶配向セルの製造方法は次の通りである。上板/下板にそれぞれ用いられる2つのガラス基板上に形成された液晶配向膜が互いに対向して配向方向が互いに並ぶように整列させた後、上下板を貼り合わせ、シーリング剤を用いて硬化させることによって空きセルを製造した。そして、前記空きセルに液晶を注入し、注入口をシーリング剤で密封して、液晶配向セルを製造した。
【0119】
1.AC残像
液晶配向セルの上板および下板に偏光板を互いに垂直となるように付着させた。前記偏光板付きの液晶セルを7,000cd/m2のバックライト上に付着させ、ブラック状態の輝度を輝度明るさ測定装備のPR-880装備を用いて測定した。そして、前記液晶セルを常温、交流電圧5Vで24時間駆動した。この後、液晶セルの電圧をオフした状態で上述したのと同一にブラック状態の輝度を測定した。液晶セルの駆動前に測定された初期輝度(L0)と駆動後に測定された後の輝度(L1)との間の差を、初期輝度(L0)値で割り、100を乗じて輝度変動率を計算した。このように計算された輝度変動率は0%に近いほど、配向安定性に優れていることを意味する。このような輝度変化率の測定結果により、次の基準下で残像水準を評価した。
優秀:輝度変動率が10%未満である
普通:輝度変動率が10%~20%である
【0120】
2.電圧保持率(voltage holding ratio、VHR)の長期信頼性
前記液晶配向セルに対して、測定装備としてTOYO corporationの6254C装備を用いて、1Hz、60℃の温度で初期電圧保持率(V0)を測定した。そして、同一の装備、同一の条件で120時間保管後、1Hz、60℃の温度で電圧保持率(V1)を測定し、下記の数式1により電圧保持率の変化率を計算して、長期信頼性を評価した。
[数式1]
VHR変化率(%)=初期VHR(V0)-保管後のVHR(V1)
【0121】
3.長期色変化
前記実施例および比較例の液晶配向剤組成物を常温(25℃)、湿度40%以内の条件で120時間保管した後、前記実施例1の(2)に記載の方法で第1液晶配向膜を製造した。
【0122】
また、前記実施例および比較例の液晶配向剤組成物を常温(25℃)、湿度40%以内の条件で120時間保管せず、直ちに前記実施例1の(2)に記載の方法で第2液晶配向膜を製造した。
【0123】
この後、前記第1液晶配向膜と第2液晶配向膜それぞれに対して、JASCO Asia Portal V-770 UV-VIS-NIR Spectrophotometer装備を用いて400nmの波長における透過度を測定し、下記の数式2により透過度変化率を計算して長期色変化を評価した。
[数式2]
透過度変化率(%)=第2液晶配向膜の透過度-第1液晶配向膜の透過度
【0124】
【表1】
*p-IDA:N-4-Aminophenyl-2,5-pyridinediamine
【0125】
前記表1に示されるように、液晶配向剤組成物内にポリイミドまたはその前駆体重合体と共に、適用される末端改質剤として化学式a~化学式dを用いた実施例の液晶配向剤組成物は、これから得られた配向セルの輝度変動率が10%未満と優れた配向安定性を示し、長期保管時にもVHRの変化率が1.3%~2.4%と低くなって優れた電気的信頼性を示し、長期保管時にも配向膜の透過度変化率が0.1%~0.7%と低くなって配向膜の信頼性に優れていることが確認された。
【0126】
これに対し、末端改質剤が全く含有されない比較例1の液晶配向剤組成物は、長期保管時のVHRの変化率が7.2%と、実施例に比べて非常に高くなり、長期保管による電気的信頼性が不良であることが明らかになり、長期保管時の配向膜の透過度変化率も3.4%に増加して配向膜の信頼性も減少することを確認した。
【0127】
特に、化学式eのようにジ無水物構造の添加剤を適用した比較例2の液晶配向剤組成物では、長期保管時のVHRの変化率が13.4%と、実施例だけでなく、比較例1に比べても非常に高くなって、長期保管による電気的信頼性が非常に不良であることが明らかになり、長期保管時の配向膜の透過度変化率も1.1%と、実施例に比べて増加して配向膜の信頼性も減少することを確認した。
【0128】
したがって、単に液晶配向剤組成物に末端改質剤を添加するだけでなく、化学式a~化学式dで表される特定の化学構造の末端改質剤を添加してこそ、長期保管時にも変色性が低くて、液晶配向膜への適用時に優れた光透過度を示すことができ、向上した配向性および電気的特性を安定的に実現することができると考えられる。