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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】MIMO受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20220524BHJP
   H03M 13/27 20060101ALI20220524BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALI20220524BHJP
   H04J 11/00 20060101ALI20220524BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
H04B7/06 982
H03M13/27
H04B7/0413 300
H04J11/00 B
H04L27/26 310
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017126988
(22)【出願日】2017-06-29
(65)【公開番号】P2019012876
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-04-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(73)【特許権者】
【識別番号】591053926
【氏名又は名称】一般財団法人NHKエンジニアリングシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】鴨田 浩和
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 健治
(72)【発明者】
【氏名】居相 直彦
(72)【発明者】
【氏名】濱住 啓之
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 一彦
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-033696(JP,A)
【文献】特開2013-059012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H03M 13/27
H04B 7/0413
H04J 11/00
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信アンテナから送信されたOFDM信号を、複数の受信アンテナを介して受信するMIMO受信装置において、
前記複数の受信アンテナのそれぞれに対応した受信アンテナ系統毎に、前記OFDM信号における周波数領域の信号から制御信号を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記制御信号に含まれるパイロット信号に基づいて伝搬路応答を推定し、前記周波数領域の信号及び前記伝搬路応答に基づいてMIMO検出を行い、前記複数の送信アンテナのそれぞれに対応した送信アンテナ系統毎のキャリアシンボルを生成するMIMO検出部と、
前記送信アンテナ系統毎に、前記MIMO検出部により生成された前記キャリアシンボルから、FECブロックを単位としたキャリアシンボルを抽出し、前記送信アンテナ系統毎の前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボルを合成する合成部と、
前記合成部により合成された前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボルを復号し、前記送信アンテナ系統毎のビット誤り率を算出して前記送信アンテナ系統毎の特性を得るための前記FECブロックを復元する復号部と、
前記復号部により復元された前記FECブロックのぺイロードから送信対象の情報を抽出する情報抽出部と、
を備えたことを特徴とするMIMO受信装置。
【請求項2】
請求項に記載のMIMO受信装置において、
前記合成部は、
前記抽出部により抽出された前記制御信号に含まれるオン/オフ制御信号がオンを示している場合、前記MIMO検出部により生成された前記送信アンテナ系統毎の全ての前記キャリアシンボルに対し、シンボル毎にデインターリーブを行い、前記送信アンテナ系統毎に、前記デインターリーブ後の前記キャリアシンボルを出力し、
前記オン/オフ制御信号がオフを示している場合、前記MIMO検出部により生成された前記送信アンテナ系統毎の前記キャリアシンボルを出力するデインターリーブ部と、
前記送信アンテナ系統毎に、前記デインターリーブ部により出力された前記キャリアシンボルから、前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボルを抽出するキャリアシンボル抽出部と、
前記キャリアシンボル抽出部により抽出された前記送信アンテナ系統毎の前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボルを合成するブロック合成部と、
を備えたことを特徴とするMIMO受信装置。
【請求項3】
請求項またはに記載のMIMO受信装置において、
前記合成部は、
前記抽出部により抽出された前記制御信号に含まれる第1切り替え制御信号が前記FECブロックを示している場合、前記送信アンテナ系統毎に、前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボル、及び、伝搬路を含む前記送信アンテナ系統の特性を判断するための所定のテスト信号からなるテスト用キャリアシンボルのうち、前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボルを選択し、前記送信アンテナ系統毎の前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボルを合成し、
前記第1切り替え制御信号が前記テスト用キャリアシンボルを示している場合、前記送信アンテナ系統毎に、前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボル及び前記テスト用キャリアシンボルのうち、前記テスト用キャリアシンボルを選択し、前記テスト用キャリアシンボルに基づいて、前記送信アンテナ系統毎の特性を判断するためのデータを算出する、ことを特徴とするMIMO受信装置。
【請求項4】
請求項またはに記載のMIMO受信装置において、
前記情報抽出部は、
前記復号部により復元された前記FECブロックの前記ぺイロードから、前記送信対象の情報、または伝搬路を含む前記送信アンテナ系統の特性を判断するためのテスト信号を含むテスト情報を抽出し、
前記抽出部により抽出された前記制御信号に含まれる第2切り替え制御信号が前記送信対象の情報を示している場合、前記FECブロックの前記ぺイロードから抽出した前記送信対象の情報を出力し、
前記第2切り替え制御信号が前記テスト情報を示している場合、前記FECブロックの前記ぺイロードから抽出した前記送信アンテナ系統毎の前記テスト情報に基づいて、前記送信アンテナ系統毎の特性を判断するためのデータを算出する、ことを特徴とするMIMO受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル信号の伝送方式に係わり、特に、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output:多入力多出力)技術を用いてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)信号を伝送する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線通信システムでは、MIMO技術を用いることにより、複数のアンテナから同一周波数の搬送波にて情報を伝送することができ、伝送容量を増大することができる。複数のアンテナから異なる情報を伝送することができるため、送信対象の情報が1つのストリームである場合には、何らかの手段によって、そのストリームを複数のアンテナへ振り分けることが必要となる。
【0003】
図10は、送信対象の情報が格納されたFEC(Forward Error Correction:前方誤り訂正)ブロック群を説明する図である。無線伝送システムのMIMO送信装置は、図10に示すFECブロック#1,#2,#3,#4,・・・のFECブロック群を順次構成し、FECブロックのビット列をサブキャリア変調方式に応じたキャリアシンボルに変換し、これを複数のアンテナへ振り分ける。
【0004】
図11は、FECブロックの構成例を説明する図であり、内符号としてLDPC符号が用いられ、外符号としてBCH符号が用いられる場合を示している。このFECブロックは、ヘッダ、ペイロード、BCH符号パリティ、スタッフビット及びLDPC(Low Density Parity Check:低密度パリティ検査)符号パリティにより構成される。FECブロック長は44,880ビットである。FECブロックのペイロードには、送信対象の情報が格納される。
【0005】
送信対象の情報を複数のアンテナへ振り分ける技術としては、特許文献1の手法、非特許文献1の手法等が提案されている。特許文献1の手法は、水平偏波及び垂直偏波を用いた2入力2出力のMIMO伝送を行う無線通信システムにおいて、キャリアシンボル毎に、交互に2系統のアンテナへ振り分けるものである。
【0006】
具体的には、MIMO送信装置は、奇数番目のキャリアシンボルを第1系統のアンテナへ振り分け、偶数番目のキャリアシンボルを第2系統のアンテナへ振り分ける。これにより、送信対象の情報がそれぞれの偏波に振り分けられるから、偏波間に特性の差があったとしても、その影響を分散させることができ、誤り訂正の効果を発揮させることができる。
【0007】
また、非特許文献1の手法は、特許文献1の手法と同様に、水平偏波及び垂直偏波を用いた2入力2出力のMIMO伝送を前提としている。非特許文献1の手法は、2系統のアンテナに対応する2つのOFDMサブキャリアにキャリアシンボルを順番に並べた後、2系統のアンテナへ振り分けるものである。
【0008】
図12は、非特許文献1の手法を説明する図である。MIMO送信装置は、図12に示すように、FECブロック#1,#2,#3,#4,・・・のFECブロック群のキャリアシンボルを、2系統のアンテナに対応する2つのOFDMサブキャリアに順番に並べる。
【0009】
MIMO送信装置は、FECブロック群のキャリアシンボルを順番に並べた後、シンボル毎に、周波数及び偏波間インターリーブを行う。周波数及び偏波間インターリーブは、2系統のアンテナに対応する全てのOFDMサブキャリアを対象としたインターリーブである。
【0010】
図12の例では、第1番目のシンボルにおいて、FECブロック#1,#2の全てのキャリアシンボル、及び、FECブロック#3の全てのキャリアシンボルのうち先行する一部のキャリアシンボルを対象として、インターリーブが行われる。また、第2番目のシンボルにおいて、FECブロック#3の全てのキャリアシンボルのうち後続のキャリアシンボル、FECブロック#4の全てのキャリアシンボル等を対象として、インターリーブが行われる。
【0011】
MIMO送信装置は、インターリーブ後のキャリアシンボルを、第1系統のアンテナ及び第2系統のアンテナへ振り分け、図12に示すように、第1アンテナ系統のOFDM信号及び第2アンテナ系統のOFDM信号としてそれぞれ送信する。
【0012】
インターリーブの処理により、キャリアシンボルが偏波間(アンテナ間)で並び替えられる(順番を入れ替えられる)。これにより、偏波間に大きな特性の差があったとしても、その影響を分散させることができ、安定した伝送を実現することができる。また、この手法は、特許文献1の手法よりも特性が良いことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2016-149740号公報
【非特許文献】
【0014】
【文献】朝倉慎悟、“偏波間伝送路特性差による特性劣化の改善策”、NHK技研R&D、No.136、pp.16-23、2012年11月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
MIMO技術を用いた無線伝送システムを構成するMIMO送信装置及びMIMO受信装置においては、その開発、製造及び運用の際に、伝搬状況を確認したり、発生した障害を切り分けたりする必要がある。そのためには、複数の送信アンテナ系統(高周波部及び伝搬路を含む系統)毎に特性を得ることが有用である。
【0016】
しかしながら、前述の特許文献1の手法及び非特許文献1の手法では、MIMO受信装置にて復調したデータから、送信アンテナ系統毎の特性を得ることができず、どの送信アンテナ系統に問題があるのかを判断することができない。なぜならば、MIMO送信装置から送信対象の情報が複数の送信アンテナ系統に分散して送信されることから、復調したデータは、複数の送信アンテナ系統を介して得られたデータだからである。
【0017】
このように、復調したデータから送信アンテナ系統毎の特性を得ることが可能となるように、MIMO送信装置において、キャリアシンボルを複数の送信アンテナ系統へ振り分ける手法が所望されていた。
【0018】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、MIMO技術を用いた無線伝送システムにおいて、送信アンテナ系統毎の特性を得ることが可能なMIMO受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記課題を解決するために、請求項のMIMO受信装置は、複数の送信アンテナから送信されたOFDM信号を、複数の受信アンテナを介して受信するMIMO受信装置において、前記複数の受信アンテナのそれぞれに対応した受信アンテナ系統毎に、前記OFDM信号における周波数領域の信号から制御信号を抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された前記制御信号に含まれるパイロット信号に基づいて伝搬路応答を推定し、前記周波数領域の信号及び前記伝搬路応答に基づいてMIMO検出を行い、前記複数の送信アンテナのそれぞれに対応した送信アンテナ系統毎のキャリアシンボルを生成するMIMO検出部と、前記送信アンテナ系統毎に、前記MIMO検出部により生成された前記キャリアシンボルから、FECブロックを単位としたキャリアシンボルを抽出し、前記送信アンテナ系統毎の前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボルを合成する合成部と、前記合成部により合成された前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボルを復号し、前記送信アンテナ系統毎のビット誤り率を算出して前記送信アンテナ系統毎の特性を得るための前記FECブロックを復元する復号部と、前記復号部により復元された前記FECブロックのぺイロードから送信対象の情報を抽出する情報抽出部と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
また、請求項のMIMO受信装置は、請求項に記載のMIMO受信装置において、前記合成部が、前記抽出部により抽出された前記制御信号に含まれるオン/オフ制御信号がオンを示している場合、前記MIMO検出部により生成された前記送信アンテナ系統毎の全ての前記キャリアシンボルに対し、シンボル毎にデインターリーブを行い、前記送信アンテナ系統毎に、前記デインターリーブ後の前記キャリアシンボルを出力し、前記オン/オフ制御信号がオフを示している場合、前記MIMO検出部により生成された前記送信アンテナ系統毎の前記キャリアシンボルを出力するデインターリーブ部と、前記送信アンテナ系統毎に、前記デインターリーブ部により出力された前記キャリアシンボルから、前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボルを抽出するキャリアシンボル抽出部と、前記キャリアシンボル抽出部により抽出された前記送信アンテナ系統毎の前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボルを合成するブロック合成部と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
また、請求項のMIMO受信装置は、請求項またはに記載のMIMO受信装置において、前記合成部が、前記抽出部により抽出された前記制御信号に含まれる第1切り替え制御信号が前記FECブロックを示している場合、前記送信アンテナ系統毎に、前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボル、及び、伝搬路を含む前記送信アンテナ系統の特性を判断するための所定のテスト信号からなるテスト用キャリアシンボルのうち、前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボルを選択し、前記送信アンテナ系統毎の前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボルを合成し、前記第1切り替え制御信号が前記テスト用キャリアシンボルを示している場合、前記送信アンテナ系統毎に、前記FECブロックを単位とした前記キャリアシンボル及び前記テスト用キャリアシンボルのうち、前記テスト用キャリアシンボルを選択し、前記テスト用キャリアシンボルに基づいて、前記送信アンテナ系統毎の特性を判断するためのデータを算出する、ことを特徴とする。
【0026】
また、請求項のMIMO受信装置は、請求項またはに記載のMIMO受信装置において、前記情報抽出部が、前記復号部により復元された前記FECブロックの前記ぺイロードから、前記送信対象の情報、または伝搬路を含む前記送信アンテナ系統の特性を判断するためのテスト信号を含むテスト情報を抽出し、前記抽出部により抽出された前記制御信号に含まれる第2切り替え制御信号が前記送信対象の情報を示している場合、前記FECブロックの前記ぺイロードから抽出した前記送信対象の情報を出力し、前記第2切り替え制御信号が前記テスト情報を示している場合、前記FECブロックの前記ぺイロードから抽出した前記送信アンテナ系統毎の前記テスト情報に基づいて、前記送信アンテナ系統毎の特性を判断するためのデータを算出する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明によれば、MIMO技術を用いた無線伝送システムにおいて、送信アンテナ系統毎の特性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態によるMIMO送信装置の構成例を示すブロック図である。
図2】キャリアシンボルをFECブロック単位に2系統に振り分ける処理の例、及びOFDMフレームのデータキャリアに割り当てる処理の例を説明する図である。
図3】本発明の実施形態によるMIMO受信装置の構成例を示すブロック図である。
図4】実施例1のMIMO送信装置に備えた振り分け部の構成例を示すブロック図である。
図5】実施例1のMIMO受信装置に備えた合成部の構成例を示すブロック図である。
図6】実施例2のMIMO送信装置に備えた振り分け部の構成例を示すブロック図である。
図7】実施例2のMIMO受信装置に備えた合成部の構成例を示すブロック図である。
図8】実施例3のMIMO送信装置に備えたFECブロック構成部の構成例を示すブロック図である。
図9】実施例3のMIMO受信装置に備えたパケット抽出部の構成例を示すブロック図である。
図10】送信対象の情報が格納されたFECブロック群を説明する図である。
図11】FECブロックの構成例を説明する図である。
図12】非特許文献1の手法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明は、キャリアシンボルを、FECブロックを単位として、複数の送信アンテナ系統に振り分けることを特徴とする。これにより、受信側では、復調したデータを解析することで、送信アンテナ系統毎の特性を得ることができ、問題のある送信アンテナ系統を判断することができる。以下、水平偏波及び垂直偏波を用いた2入力2出力のMIMO伝送を行う番組素材用無線伝送装置(FPU:Field Pick-up Unit)の例を挙げて説明する。
【0030】
〔MIMO送信装置〕
まず、MIMO送信装置について説明する。図1は、本発明の実施形態によるMIMO送信装置の構成例を示すブロック図である。このMIMO送信装置1は、FECブロック構成部10、BCH符号化部11、エネルギー拡散部12、LDPC符号化部13、ビットインターリーブ部14、シンボルマッピング部15、振り分け部16、時間インターリーブ部17-1,17-2、TMCC信号等生成部18、OFDMフレーム構成部19-1,19-2、IFFT及びGI付加部20-1,20-2、直交変調部21-1,21-2、高周波部22-1,22-2及び偏波共用アンテナ23を備えている。
【0031】
時間インターリーブ部17-1から高周波部22-1及び偏波共用アンテナ23(高周波部22-1側(水平偏波)の送信アンテナ)を介して後述する偏波共用アンテナ30(後述する高周波部31-1側(水平偏波)の受信アンテナ)までの系統を第1送信アンテナ系統とする。また、時間インターリーブ部17-2から高周波部22-2及び偏波共用アンテナ23(高周波部22-2側(垂直偏波)の送信アンテナ)を介して後述する偏波共用アンテナ30(後述する高周波部31-2側(垂直偏波)の受信アンテナ)までの系統を第2送信アンテナ系統とする。
【0032】
FECブロック構成部10は、圧縮符号化された映像及び音声が多重されたMPEG-2 TS(Transport Stream:トランスポートストリーム)のTSパケットを入力する。そして、FECブロック構成部10は、188バイト長のTSパケットからその先頭の同期バイト(1バイト長)を取り除き、187バイト長のTSパケットをFECブロックのペイロードに順次格納する。FECブロック構成部10は、ペイロードに対してヘッダを付加し、図11に示したFECブロックを構成し、ヘッダ及びペイロードを含むFECブロックをBCH符号化部11に出力する。
【0033】
TSは、188バイトの固定長のTSパケットによる連続したストリームである。FECブロックは、図11のとおり、ヘッダ、ペイロード、BCH符号パリティ、スタッフビット及びLDPC符号パリティから構成され、その長さは44,880ビットである。ヘッダは、FECブロック構成部10により生成され、ペイロードには、FECブロック構成部10により187バイト長のTSパケットが格納される。また、BCH符号パリティは、後述するBCH符号化部11により付加され、スタッフビットは、後述するエネルギー拡散部12により付加され、LDPC符号パリティは、後述するLDPC符号化部13により付加される。
【0034】
BCH符号化部11は、FECブロック構成部10からヘッダ及びペイロードを含むFECブロックを入力し、ヘッダ及びペイロードについて、外符号であるBCH符号を用いて符号化し、BCH符号パリティを生成する。そして、BCH符号化部11は、ヘッダ及びペイロードに対してBCH符号パリティを付加し、ヘッダ、ペイロード及びBCH符号パリティを含むFECブロックをエネルギー拡散部12に出力する。
【0035】
エネルギー拡散部12は、BCH符号化部11からヘッダ、ペイロード及びBCH符号パリティを含むFECブロックを入力し、ヘッダ、ペイロード及びBCH符号パリティに対し、6ビット長のスタッフビットを付加する。そして、エネルギー拡散部12は、ヘッダ、ペイロード、BCH符号パリティ及びスタッフビットに対し、ビット0または1が長く連続することがないようにエネルギー拡散を施し、エネルギー拡散後のFECブロックをLDPC符号化部13に出力する。
【0036】
LDPC符号化部13は、エネルギー拡散部12からFECブロックを入力する。そして、LDPC符号化部13は、FECブロックに含まれるエネルギー拡散後のヘッダ、ペイロード、BCH符号パリティ及びスタッフビットについて、内符号であるLDPC符号を用いて符号化し、LDPC符号化パリティを生成する。LDPC符号化部13は、エネルギー拡散後のヘッダ、ペイロード、BCH符号パリティ及びスタッフビットに対してLDPC符号パリティを付加し、44,880ビット長のFECブロックを構成する。LDPC符号化部13は、FECブロックをビットインターリーブ部14に出力する。
【0037】
ビットインターリーブ部14は、LDPC符号化部13からFECブロックを入力し、LDPC復号の性能を向上させるため、FECブロックに対し、サブキャリア変調方式に応じたビットインターリーブを施す。そして、ビットインターリーブ部14は、ビットインターリーブ後のFECブロックのビット列をシンボルマッピング部15に出力する。
【0038】
シンボルマッピング部15は、ビットインターリーブ部14からFECブロックのビット列を入力し、サブキャリア変調方式に応じて、FECブロックのビット列をシンボルマッピングし、44,880/log2M個のキャリアシンボルを生成する。Mは変調多値数を示す。そして、シンボルマッピング部15は、キャリアシンボルを振り分け部16に出力する。
【0039】
振り分け部16は、シンボルマッピング部15からキャリアシンボルを入力し、キャリアシンボルをFECブロック単位に2系統(2偏波)に振り分ける。これにより、FECブロック単位のキャリアシンボルが第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統にそれぞれ振り分けられる。
【0040】
振り分け部16は、振り分け処理の後、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを、OFDMフレームのデータキャリアに割り当てる。また、振り分け部16は、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルも、OFDMフレームのデータキャリアに割り当てる。そして、振り分け部16は、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを時間インターリーブ部17-1に出力し、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを時間インターリーブ部17-2に出力する。振り分け部16の詳細については後述する。
【0041】
図2は、キャリアシンボルをFECブロック単位に2系統に振り分ける処理の例、及びOFDMフレームのデータキャリアに割り当てる処理の例を説明する図である。図2の例では、奇数番目のFECブロック#1,#3,・・・が第1送信アンテナ系統に振り分けられ、偶数番目のFECブロック#2,#4,・・・が第2送信アンテナ系統に振り分けられる。そして、奇数番目のFECブロック#1,#3,・・・が第1送信アンテナ系統のOFDM信号として送信され、偶数番目のFECブロック#2,#4,・・・が第2送信アンテナ系統のOFDM信号として送信される。
【0042】
また、第1送信アンテナ系統の第1番目のシンボルにおいて、FECブロック#1の全てのキャリアシンボル、及びFECブロック#3の全てのキャリアシンボルのうち先行する一部のキャリアシンボルが、OFDMフレームのデータキャリアに割り当てられる。第2送信アンテナ系統の第1番目のシンボルにおいて、FECブロック#2の全てのキャリアシンボル、及びFECブロック#4の全てのキャリアシンボルのうち先行する一部のキャリアシンボルが、OFDMフレームのデータキャリアに割り当てられる。第2番目以降のシンボルについても、図2に示すとおり、キャリアシンボルがOFDMフレームのデータキャリアに割り当てられる。
【0043】
尚、振り分け部16は、振り分け及び割り当て処理の後、図示しないオン/オフ制御信号に従って、シンボル毎に、第1送信アンテナ系統のキャリアシンボル及び第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルの全てに対し、周波数及び偏波間インターリーブを行う。
【0044】
具体的には、振り分け部16は、オン/オフ制御信号がオフを示している場合、周波数及び偏波間インターリーブの処理を行わない。この場合、振り分け部16は、前述のとおり、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを時間インターリーブ部17-1に出力する。また、振り分け部16は、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを時間インターリーブ部17-2に出力する。これにより、受信側は、FECブロック単位の復調したデータを解析することで、送信アンテナ系統毎の特性を得ることができる。
【0045】
一方、振り分け部16は、オン/オフ制御信号がオンを示している場合、周波数及び偏波間インターリーブの処理を行う。この場合、振り分け部16は、インターリーブ後のキャリアシンボルを時間インターリーブ部17-1,17-2に出力する。これにより、マルチパス波による周波数選択性フェージングがある場合、または偏波間の受信電力差がある場合にも、誤りを分散させることで、受信側における誤り訂正の性能を引き出すことができ、伝送特性を向上させることができる。
【0046】
つまり、周波数及び偏波間インターリーブの処理が行われる場合、FECブロック単位の送信対象の情報は、第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統にそれぞれ分配するから、その誤りを分散させることができる。これにより、受信側は、復調したデータを解析することで、両送信アンテナ系統を合わせた総合的な特性を得ることができる。
【0047】
時間インターリーブ部17-1は、振り分け部16から第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力し、キャリアシンボルに対し、時間軸方向にキャリア毎に異なる遅延時間を与える時間インターリーブを施す。これにより、瞬間的に受信電力が低くなるフェージングによる誤りを分散させることで、受信側の誤り訂正復号による元信号の復元が容易となる。時間インターリーブ部17-1は、時間インターリーブ後のキャリアシンボルをOFDMフレーム構成部19-1に出力する。
【0048】
時間インターリーブ部17-2は、振り分け部16から第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力し、時間インターリーブ部17-1と同じ処理を行い、時間インターリーブ後のキャリアシンボルをOFDMフレーム構成部19-2に出力する。
【0049】
TMCC信号等生成部18は、TMCC信号、AC信号、パイロット信号等を生成し、これらの信号をOFDMフレーム構成部19-1,19-2に出力する。
【0050】
TMCC信号は、OFDMフレームの同期をとるための同期信号、サブキャリア変調方式等を受信側へ伝えるための情報等である。このTMCC信号には、周波数及び偏波間インターリーブを行うか否かを示すオン/オフ制御信号、FECブロック振り分けの際にテスト信号を切り替えるための切り替え制御信号、及びパケット埋め込みの際にテスト信号を切り替えるための切り替え制御信号が含まれる。これらのオン/オフ制御信号及び切り替え制御信号の詳細については後述する。
【0051】
AC信号は、ユーザが付加的な情報を伝送する際に用いる信号である。パイロット信号は、受信側では既知の信号として用いられ、受信したパイロット信号から伝搬路応答を推定するために用いる信号である。水平偏波及び垂直偏波で直交する信号系列とすることで、受信側はMIMO検出を行うことができる。
【0052】
OFDMフレーム構成部19-1は、時間インターリーブ部17-1から第1送信アンテナ系統の時間インターリーブ後のキャリアシンボルを入力すると共に、TMCC信号等生成部18からTMCC信号、AC信号、パイロット信号等を入力する。そして、OFDMフレーム構成部19-1は、キャリアシンボルに、TMCC信号、AC信号、パイロット信号等を付加し、OFDMフレームを構成する。OFDMフレーム構成部19-1は、OFDMフレームをIFFT及びGI付加部20-1に出力する。
【0053】
OFDMフレーム構成部19-2は、時間インターリーブ部17-2から第2送信アンテナ系統の時間インターリーブ後のキャリアシンボルを入力すると共に、TMCC信号等生成部18からTMCC信号、AC信号、パイロット信号等を入力する。そして、OFDMフレーム構成部19-2は、OFDMフレーム構成部19-1と同じ処理を行い、OFDMフレームをIFFT及びGI付加部20-2に出力する。これにより、水平及び垂直偏波用それぞれのOFDMフレームが構成される。
【0054】
IFFT及びGI付加部20-1は、OFDMフレーム構成部19-1から第1送信アンテナ系統のOFDMフレームを入力する。そして、IFFT及びGI付加部20-1は、OFDMフレームを1シンボル毎にIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)することにより、周波数領域の信号を時間領域の信号に変換する。IFFT及びGI付加部20-1は、IFFT変換の後、時間領域の信号にGI(Guard Interval:ガードインターバル)を付加し、IFFT及びGI付加後の時間領域の信号を直交変調部21-1に出力する。
【0055】
IFFT及びGI付加部20-2は、OFDMフレーム構成部19-2から第2送信アンテナ系統のOFDMフレームを入力し、IFFT及びGI付加部20-1と同じ処理を行い、IFFT及びGI付加後の時間領域の信号を直交変調部21-2に出力する。
【0056】
直交変調部21-1は、IFFT及びGI付加部20-1から第1送信アンテナ系統の時間領域の信号を入力し、時間領域の信号に対し直交変調を施し、中間周波数信号を得て、中間周波数信号を高周波部22-1に出力する。
【0057】
直交変調部21-2は、IFFT及びGI付加部20-2から第2送信アンテナ系統の時間領域の信号を入力し、直交変調部21-1と同じ処理を行い、中間周波数信号を高周波部22-2に出力する。
【0058】
高周波部22-1は、直交変調部21-1から第1送信アンテナ系統の中間周波数信号を入力し、中間周波数信号をマイクロ波帯の無線周波数に変換する。高周波部22-2は、直交変調部21-2から第2送信アンテナ系統の中間周波数信号を入力し、高周波部22-1と同じ処理を行う。
【0059】
そして、高周波部22-1,22-2により変換された無線周波数の信号は、偏波共用アンテナ23から水平及び垂直偏波のOFDM信号として送信される。偏波共用アンテナ23は、水平偏波のOFDM信号を送信する第1送信アンテナ系統のアンテナと、垂直偏波のOFDM信号を送信する第2送信アンテナ系統のアンテナとにより構成される。
【0060】
以上のように、本発明の実施形態のMIMO送信装置1によれば、振り分け部16は、キャリアシンボルをFECブロック単位に2系統に振り分け、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルをOFDMフレームのデータキャリアに割り当てると共に、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルをOFDMフレームのデータキャリアに割り当てる。そして、第1送信アンテナ系統にて生成された無線周波数の信号及び第2送信アンテナ系統にて生成された無線周波数の信号は、偏波共用アンテナ23から、それぞれ水平偏波のOFDM信号及び垂直偏波のOFDM信号として送信される。
【0061】
これにより、MIMO技術を用いた無線伝送システムにおいて、受信側は、FECブロック単位の復調したデータを解析することで、アンテナ系統毎の特性を得ることができ、問題のあるアンテナ系統を判断することができる。
【0062】
〔MIMO受信装置〕
次に、MIMO受信装置について説明する。図3は、本発明の実施形態によるMIMO受信装置の構成例を示すブロック図である。このMIMO受信装置2は、偏波共用アンテナ30、高周波部31-1,31-2、直交復調部32-1,32-2、GI除去及びFFT部33-1,33-2、TMCC信号等抽出部34、MIMO検出部35、時間デインターリーブ部36-1,36-2、合成部37、LLR(Log-Likelihood Ratio:対数尤度比)算出部38、ビットデインターリーブ部39、LDPC復号部40、エネルギー逆拡散部41、BCH復号部42及びパケット抽出部43を備えている。MIMO受信装置2は、基本的に、図1に示したMIMO送信装置1に対して逆の処理を行う。
【0063】
MIMO受信装置2は、MIMO送信装置1から送信された第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統の無線周波数の信号である水平及び垂直偏波のOFDM信号を、偏波共用アンテナ30を介して受信する。偏波共用アンテナ30は、水平偏波のOFDM信号を受信する第1受信アンテナ系統のアンテナと、垂直偏波のOFDM信号を受信する第2受信アンテナ系統のアンテナとにより構成される。
【0064】
高周波部31-1は、偏波共用アンテナ30から第1受信アンテナ系統のOFDM信号を入力し、無線周波数の信号を中間周波数信号に変換し、中間周波数信号を直交復調部32-1に出力する。高周波部31-2は、偏波共用アンテナ30から第2受信アンテナ系統のOFDM信号を入力し、高周波部31-1と同じ処理を行い、中間周波数信号を直交復調部32-2に出力する。高周波部31-1,31-2による処理は、図1に示した高周波部22-1,22-2による処理に対応している。
【0065】
直交復調部32-1は、高周波部31-1から第1受信アンテナ系統の中間周波数信号を入力し、中間周波数信号に対し直交復調を施し、直交復調後の信号をGI除去及びFFT部33-1に出力する。直交復調部32-2は、高周波部31-2から第2受信アンテナ系統の中間周波数信号を入力し、直交復調部32-1と同じ処理を行い、直交復調後の信号をGI除去及びFFT部33-2に出力する。直交復調部32-1,32-2による処理は、図1に示した直交変調部21-1,21-2による処理に対応している。
【0066】
GI除去及びFFT部33-1は、直交復調部32-1から第1受信アンテナ系統の直交復調後の信号を入力する。そして、GI除去及びFFT部33-1は、直交復調後の信号からGIを除去し、GIを除去した信号を1シンボル毎にFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)することにより、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。GI除去及びFFT部33-1は、周波数領域の信号をTMCC信号等抽出部34及びMIMO検出部35に出力する。
【0067】
GI除去及びFFT部33-2は、直交復調部32-2から第2受信アンテナ系統の直交復調後の信号を入力し、GI除去及びFFT部33-1と同じ処理を行い、周波数領域の信号をTMCC信号等抽出部34及びMIMO検出部35に出力する。GI除去及びFFT部33-1,33-2による処理は、図1に示したIFFT及びGI付加部20-1,20-2による処理に対応している。
【0068】
TMCC信号等抽出部34は、GI除去及びFFT部33-1から第1受信アンテナ系統の周波数領域の信号を入力すると共に、GI除去及びFFT部33-2から第2受信アンテナ系統の周波数領域の信号を入力する。そして、TMCC信号等抽出部34は、第1受信アンテナ系統の周波数領域の信号及び第2受信アンテナ系統の周波数領域の信号からTMCC信号、AC信号、パイロット信号等を抽出し、TMCC信号、AC信号、パイロット信号等を所定の構成部に出力する(図示せず)。
【0069】
具体的には、TMCC信号等抽出部34は、パイロット信号をMIMO検出部35に出力する。また、TMCC信号等抽出部34は、TMCC信号から、周波数及び偏波間インターリーブを行うか否かを示すオン/オフ制御信号、FECブロック振り分けの際にテスト信号を切り替えるための切り替え制御信号、及びパケット埋め込みの際にテスト信号を切り替えるための切り替え制御信号をそれぞれ抽出する。
【0070】
TMCC信号等抽出部34は、オン/オフ制御信号を合成部37に出力する。また、TMCC信号等抽出部34は、TMCC信号から、FECブロック振り分けの際にテスト信号を切り替えるための切り替え制御信号を抽出した場合、当該切り替え制御信号を合成部37に出力する。TMCC信号等抽出部34は、TMCC信号から、パケット埋め込みの際にテスト信号を切り替えるための切り替え制御信号を抽出した場合、当該切り替え制御信号をパケット抽出部43に出力する。TMCC信号等抽出部34による処理は、図1に示したTMCC信号等生成部18の処理に対応している。
【0071】
MIMO検出部35は、GI除去及びFFT部33-1から第1受信アンテナ系統の周波数領域の信号を入力すると共に、GI除去及びFFT部33-2から第2受信アンテナ系統の周波数領域の信号を入力する。また、MIMO検出部35は、TMCC信号等抽出部34から第1受信アンテナ系統のパイロット信号及び第2受信アンテナ系統のパイロット信号を入力する。
【0072】
MIMO検出部35は、第1受信アンテナ系統のパイロット信号及び第2受信アンテナ系統のパイロット信号に基づいて、伝搬路応答を推定する。そして、MIMO検出部35は、第1受信アンテナ系統の周波数領域の信号、第2受信アンテナ系統の周波数領域の信号及び伝搬路応答に基づいて、MIMO検出を行うことで、伝搬路で混ざった交差偏波成分をキャンセルする。MIMO検出部35は、送信アンテナ系統毎の送信シンボルの推定値(水平偏波の送信シンボル推定値及び垂直偏波の送信シンボル推定値)を得る。MIMO検出には、例えば、演算量の少ないゼロフォーシング方式が用いられる。
【0073】
MIMO検出部35は、送信アンテナ系統毎の送信シンボル推定値を、それぞれ第1送信アンテナ系統のキャリアシンボル及び第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルとして時間デインターリーブ部36-1,36-2に出力する。
【0074】
時間デインターリーブ部36-1は、MIMO検出部35から第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力し、キャリアシンボルに対し、時間デインターリーブを施す。そして、時間デインターリーブ部36-1は、時間デインターリーブ後のキャリアシンボルを合成部37に出力する。
【0075】
時間デインターリーブ部36-2は、MIMO検出部35から第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力し、時間デインターリーブ部36-1と同じ処理を行い、時間デインターリーブ後のキャリアシンボルを合成部37に出力する。時間デインターリーブ部36-1,36-2による処理は、図1に示した時間インターリーブ部17-1,17-2による処理に対応している。
【0076】
合成部37は、時間デインターリーブ部36-1から第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力すると共に、時間デインターリーブ部36-2から第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力する。
【0077】
合成部37は、第1送信アンテナ系統のキャリアシンボル(OFDMフレームのデータキャリア)から、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを抽出する。また、合成部37は、第2送信アンテナ系統のキャリアシンボル(OFDMフレームのデータキャリア)から、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを抽出する。
【0078】
合成部37は、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボル及び第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを、FECブロック単位に交互に並べることで合成する。そして、合成部37は、合成後のFECブロック単位のキャリアシンボルをLLR算出部38に出力する。合成部37による処理は、図1に示した振り分け部16による処理に対応している。合成部37の詳細については後述する。
【0079】
尚、合成部37は、第1送信アンテナ系統のキャリアシンボル及び第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力した後、図示しないオン/オフ制御信号に従って、第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルの全てに対し、シンボル毎に、周波数及び偏波間デインターリーブを行う。
【0080】
具体的には、合成部37は、オン/オフ制御信号がオフを示している場合、周波数及び偏波間デインターリーブの処理を行わない。この場合、合成部37は、前述のとおり、FECブロック単位のキャリアシンボルを抽出する処理及び合成する処理を行う。これにより、第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルは、FECブロック単位の信号であり、第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルも、FECブロック単位の信号である。つまり、当該MIMO受信装置2は、FECブロック単位の復調したデータを解析することで、送信アンテナ系統毎の特性を得ることができる。
【0081】
一方、合成部37は、オン/オフ制御信号がオンを示している場合、周波数及び偏波間デインターリーブの処理を行う。この場合、合成部37は、デインターリーブ後のキャリアシンボルを抽出する処理及び合成する処理を行う。第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルは、FECブロック単位の信号ではない。第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルも同様である。これにより、当該MIMO受信装置2は、復調したデータを解析することで、送信アンテナ系統全体の特性を得ることができる。
【0082】
LLR算出部38は、合成部37から合成後のFECブロック単位のキャリアシンボルを入力し、LDPC復号に用いるために、軟判定値としてビット毎の対数尤度比を算出する。そして、LLR算出部38は、ビット毎の対数尤度比をビットデインターリーブ部39に出力する。
【0083】
ビットデインターリーブ部39は、LLR算出部38からビット毎の対数尤度比を入力し、ビット毎の対数尤度比に対し、ビットデインターリーブを施す。そして、ビットデインターリーブ部39は、ビットデインターリーブ後のビット毎の対数尤度比をLDPC復号部40に出力する。ビットデインターリーブ部39による処理は、図1に示したビットインターリーブ部14による処理に対応している。
【0084】
LDPC復号部40は、ビットデインターリーブ部39からビットデインターリーブ後のビット毎の対数尤度比を入力し、ビット毎の対数尤度比に基づいてLDPC復号を行う。LDPC復号部40は、FECブロックに含まれるヘッダ、ペイロード、BCH符号パリティ、スタッフビット及びLDPC符号パリティのうちLDPC符号パリティを用いて、ヘッダ、ペイロード、BCH符号パリティ及びスタッフビットに対するパリティチェックを行い、誤りを訂正する。そして、LDPC復号部40は、FECブロックに含まれるヘッダ、ペイロード、BCH符号パリティ及びスタッフビットのLDPC復号結果をエネルギー逆拡散部41に出力する。LDPC復号部40による処理は、図1に示したLDPC符号化部13による処理に対応している。
【0085】
エネルギー逆拡散部41は、LDPC復号部40から、FECブロックに含まれるヘッダ、ペイロード、BCH符号パリティ及びスタッフビットのLDPC復号結果を入力する。そして、エネルギー逆拡散部41は、ビット毎のLDPC復号結果に対し、エネルギー逆拡散を施し、エネルギー逆拡散後の信号から6ビット長のスタッフビットを除去する。エネルギー逆拡散部41は、FECブロックに含まれるヘッダ、ペイロード及びBCH符号パリティの信号をBCH復号部42に出力する。エネルギー逆拡散部41による処理は、図1に示したエネルギー拡散部12による処理に対応している。
【0086】
BCH復号部42は、エネルギー逆拡散部41から、FECブロックに含まれるヘッダ、ペイロード及びBCH符号パリティの信号を入力する。そして、BCH復号部42は、FECブロックに含まれるヘッダ、ペイロード及びBCH符号パリティのうちBCH符号パリティを用いて、ヘッダ及びペイロードに対してパリティチェックを行って誤りを訂正することで、BCH復号を行う。BCH復号部42は、FECブロックに含まれるヘッダ及びペイロードをパケット抽出部43に出力する。BCH復号部42による処理は、図1に示したBCH符号化部11による処理に対応している。
【0087】
パケット抽出部43は、BCH復号部42からFECブロックに含まれるヘッダ及びペイロードを入力し、FECブロックのペイロードからTSパケットを抽出する。パケット抽出部43は、TSパケットに同期バイトを付加し、188バイト長のMPEG-2 TSのTSパケットを復元し、これを出力する。パケット抽出部43による処理は、図1に示したFECブロック構成部10による処理に対応している。
【0088】
以上のように、本発明の実施形態のMIMO受信装置2によれば、合成部37は、第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルから、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを抽出し、第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルから、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを抽出する。そして、合成部37は、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボル及び第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを、FECブロック単位に交互に並べることで合成する。
【0089】
これにより、MIMO技術を用いた無線伝送システムにおいて、MIMO受信装置2は、FECブロック単位の復調したデータを解析することで、送信アンテナ系統毎の特性を得ることができ、問題のある送信アンテナ系統を判断することができる。
【0090】
したがって、MIMO送信装置1及びMIMO受信装置2の開発または製造後の試験を効率良く行うことができ、低コスト化を図ることができる。また、運用においても、MIMO送信装置1及びMIMO受信装置2の障害を切り分けたり、伝搬状況を評価したりすることを迅速に行うことができ、事業運営の効率化を図ることができる。
【0091】
〔実施例1〕
次に、実施例1のMIMO送信装置1及びMIMO受信装置2について説明する。実施例1では、送信アンテナ系統毎の特性を得るために、FECブロック単位のキャリアシンボルを2つの送信アンテナ系統へ振り分ける。
【0092】
(振り分け部16/実施例1)
まず、実施例1のMIMO送信装置1に備えた振り分け部16について説明する。図4は、実施例1のMIMO送信装置1に備えた振り分け部16の構成例を示すブロック図である。この振り分け部16は、ブロック振り分け部50、データキャリア割り当て部51-1,51-2、及び、周波数及び偏波間インターリーブ部52を備えている。
【0093】
ブロック振り分け部50は、シンボルマッピング部15からキャリアシンボルを入力し、キャリアシンボルを、FECブロック単位に交互に、第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統に振り分ける。OFDMフレームの先頭のFECブロックが第1送信アンテナ系統に振り分けられる場合、奇数番目のFECブロックが第1送信アンテナ系統に振り分けられ、偶数番目のFECブロックが第2送信アンテナ系統に振り分けられる。
【0094】
ブロック振り分け部50は、第1送信アンテナ系統に振り分けたFECブロック単位のキャリアシンボルをデータキャリア割り当て部51-1に出力する。また、ブロック振り分け部50は、第2送信アンテナ系統に振り分けたFECブロック単位のキャリアシンボルをデータキャリア割り当て部51-2に出力する。
【0095】
データキャリア割り当て部51-1は、ブロック振り分け部50から、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを入力し、FECブロック単位のキャリアシンボルを、OFDMフレームのデータキャリアに順番に割り当てる。そして、データキャリア割り当て部51-1は、OFDMフレームのデータキャリアに割り当てたキャリアシンボルを周波数及び偏波間インターリーブ部52に出力する。
【0096】
データキャリア割り当て部51-2は、ブロック振り分け部50から、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを入力し、データキャリア割り当て部51-1と同じ処理を行う。そして、データキャリア割り当て部51-2は、OFDMフレームのデータキャリアに割り当てたキャリアシンボルを周波数及び偏波間インターリーブ部52に出力する。
【0097】
周波数及び偏波間インターリーブ部52は、データキャリア割り当て部51-1から、OFDMフレームのデータキャリアに割り当てた第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力する。また、周波数及び偏波間インターリーブ部52は、データキャリア割り当て部51-2から、OFDMフレームのデータキャリアに割り当てた第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力する。さらに、周波数及び偏波間インターリーブ部52は、予め設定されたオン/オフ制御信号を入力する。
【0098】
周波数及び偏波間インターリーブ部52は、オン/オフ制御信号がオンを示している場合、シンボル毎に、第1送信アンテナ系統のキャリアシンボル及び第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルを結合する。そして、周波数及び偏波間インターリーブ部52は、シンボル毎に、第1送信アンテナ系統のキャリアシンボル及び第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルの全てに対し、周波数及び偏波間インターリーブを行う。すなわち、周波数及び偏波間インターリーブ部52は、シンボル毎に、第1送信アンテナ系統のキャリアシンボル及び第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルの全てに対し、その順番を第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統全体で入れ替える処理を行う。
【0099】
周波数及び偏波間インターリーブ部52は、周波数及び偏波間インターリーブ後の全てのキャリアシンボルを2系統に分割し、周波数及び偏波間インターリーブ後の第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルを時間インターリーブ部17-1に出力する。また、周波数及び偏波間インターリーブ部52は、周波数及び偏波間インターリーブ後の第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルを時間インターリーブ部17-2に出力する。
【0100】
一方、周波数及び偏波間インターリーブ部52は、オン/オフ制御信号がオフを示している場合、データキャリア割り当て部51-1から入力した第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルをそのまま時間インターリーブ部17-1に出力する。また、周波数及び偏波間インターリーブ部52は、データキャリア割り当て部51-2から入力した第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルをそのまま時間インターリーブ部17-2に出力する。
【0101】
予め設定されたオン/オフ制御信号は、TMCC信号の一部として、MIMO受信装置2へ送信される。
【0102】
(合成部37/実施例1)
次に、実施例1のMIMO受信装置2に備えた合成部37について説明する。図5は、実施例1のMIMO受信装置2に備えた合成部37の構成例を示すブロック図である。この合成部37は、周波数及び偏波間デインターリーブ部60、キャリアシンボル抽出部61-1,61-2及びブロック合成部62を備えている。合成部37は、図4に示した振り分け部16に対して逆の処理を行う。
【0103】
図5に示す合成部37を備えた実施例1のMIMO受信装置2は、図4に示した振り分け部16を備えたMIMO送信装置1から送信された第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統のOFDM信号を受信する。
【0104】
周波数及び偏波間デインターリーブ部60は、時間デインターリーブ部36-1から第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力し、時間デインターリーブ部36-2から第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力する。また、周波数及び偏波間デインターリーブ部60は、TMCC信号等抽出部34からオン/オフ制御信号を入力する。このオン/オフ制御信号は、受信TMCC信号から得られた信号である。
【0105】
周波数及び偏波間デインターリーブ部60は、オン/オフ制御信号がオンを示している場合、シンボル毎に、第1送信アンテナ系統のキャリアシンボル及び第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルを結合する。そして、周波数及び偏波間デインターリーブ部60は、シンボル毎に、第1送信アンテナ系統のキャリアシンボル及び第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルの全てに対し、周波数及び偏波間デインターリーブを行う。すなわち、周波数及び偏波間デインターリーブ部60は、シンボル毎に、第1送信アンテナ系統のキャリアシンボル及び第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルの全てに対し、その順番を第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統全体で元に戻す処理を行う。
【0106】
周波数及び偏波間デインターリーブ部60は、周波数及び偏波間デインターリーブ後の第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルをキャリアシンボル抽出部61-1に出力する。また、周波数及び偏波間デインターリーブ部60は、周波数及び偏波間デインターリーブ後の第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルをキャリアシンボル抽出部61-2に出力する。
【0107】
一方、周波数及び偏波間デインターリーブ部60は、オン/オフ制御信号がオフを示している場合、時間デインターリーブ部36-1から入力した第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルをそのままキャリアシンボル抽出部61-1に出力する。また、周波数及び偏波間デインターリーブ部60は、時間デインターリーブ部36-2から入力した第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルをそのままキャリアシンボル抽出部61-2に出力する。周波数及び偏波間デインターリーブ部60による処理は、図4に示した周波数及び偏波間インターリーブ部52による処理に対応している。
【0108】
キャリアシンボル抽出部61-1は、周波数及び偏波間デインターリーブ部60から第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力する。そして、キャリアシンボル抽出部61-1は、第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルから(OFDMフレームのデータキャリアから)、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを抽出する。キャリアシンボル抽出部61-1は、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルをブロック合成部62に出力する。
【0109】
キャリアシンボル抽出部61-2は、周波数及び偏波間デインターリーブ部60から第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力する。そして、キャリアシンボル抽出部61-2は、キャリアシンボル抽出部61-1と同じ処理を行い、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルをブロック合成部62に出力する。キャリアシンボル抽出部61-1,61-2による処理は、図4に示したデータキャリア割り当て部51-1,51-2による処理に対応している。
【0110】
ブロック合成部62は、キャリアシンボル抽出部61-1から第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを入力すると共に、キャリアシンボル抽出部61-2から第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを入力する。
【0111】
ブロック合成部62は、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボル及び第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを、FECブロック単位に交互に並べることで合成する。そして、ブロック合成部62は、合成後のFECブロック単位のキャリアシンボルをLLR算出部38に出力する。ブロック合成部62による処理は、図4に示したブロック振り分け部50による処理に対応している。
【0112】
以上のように、実施例1のMIMO受信装置2において、図5に示した合成部37の後段のBCH復号部42は、限られた数ではあるが、誤りのあったビット数を検出することができ、簡易的に、LDPC復号後のビット誤り率を測定することができる。
【0113】
したがって、オン/オフ制御信号がオフを示しており、周波数及び偏波間デインターリーブ部60にて周波数及び偏波間デインターリーブが行われない場合、送信アンテナ系統毎のキャリアシンボルは、それぞれFECブロック単位の信号である。つまり、送信アンテナ系統毎に、復調データからビット誤り率を算出することができ、送信アンテナ系統毎の特性を得ることが可能となる。
【0114】
一方、オン/オフ制御信号がオンを示しており、周波数及び偏波間デインターリーブ部60にて周波数及び偏波間デインターリーブが行われる場合、送信アンテナ系統毎のキャリアシンボルは、それぞれFECブロック単位の信号ではない。つまり、復調データから算出したビット誤り率に基づいて、両送信アンテナ系統を合わせた総合的な特性を得ることができる。
【0115】
〔実施例2〕
次に、実施例2のMIMO送信装置1及びMIMO受信装置2について説明する。実施例2では、送信アンテナ系統毎の特性を得るために、FECブロック単位のキャリアシンボルを2つの送信アンテナ系統へ振り分けると共に、キャリアシンボルとテスト信号とを切り替えて送信する。
【0116】
(振り分け部16/実施例2)
まず、実施例2のMIMO送信装置1に備えた振り分け部16について説明する。図6は、実施例2のMIMO送信装置1に備えた振り分け部16の構成例を示すブロック図である。この振り分け部16は、ブロック振り分け部50、テスト信号生成部53、テスト信号切り替え部54-1,54-2、データキャリア割り当て部51-1,51-2、及び、周波数及び偏波間インターリーブ部52を備えている。
【0117】
図4に示した実施例1のMIMO送信装置1に備えた振り分け部16と図6に示す実施例2のMIMO送信装置1に備えた振り分け部16とを比較する。両振り分け部16は、ブロック振り分け部50、データキャリア割り当て部51-1,51-2、及び、周波数及び偏波間インターリーブ部52を備えている点で共通する。一方、実施例2のMIMO送信装置1に備えた振り分け部16は、実施例1のMIMO送信装置1に備えた振り分け部16の構成に加え、さらにテスト信号生成部53及びテスト信号切り替え部54-1,54-2を備えている点で相違する。図6において、図4と共通する部分には図4と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0118】
テスト信号生成部53は、予め設定されたテスト信号のキャリアシンボルを生成し、これを第1送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルとしてテスト信号切り替え部54-1に出力する。また、テスト信号生成部53は、第2送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルをテスト信号切り替え部54-2に出力する。
【0119】
テスト信号は、MIMO受信装置2においても既知の信号であり、伝搬路を含む送信アンテナ系統毎の特性を判断するために用いられる。例えば、ビット誤り率を算出するためのITU-T O.151のPNコード(生成多項式x23+X18+1)が用いられる。テスト信号切り替え部54-1に出力する第1送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルと、テスト信号切り替え部54-2に出力する第2送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルとは、同じデータであってもよいし、異なるデータであってもよい。
【0120】
テスト信号切り替え部54-1は、ブロック振り分け部50から、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを入力すると共に、テスト信号生成部53から第1送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルを入力する。また、テスト信号切り替え部54-1は、予め設定された切り替え制御信号を入力する。切り替え制御信号は、ブロック振り分け部50によりFECブロックが振り分けられた際に、FECブロック単位のキャリアシンボルとテスト用キャリアシンボルとを切り替えるため信号である。
【0121】
テスト信号切り替え部54-1は、切り替え制御信号がFECブロックを示している場合、ブロック振り分け部50から入力した第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを選択し、これをデータキャリア割り当て部51-1に出力する。一方、テスト信号切り替え部54-1は、切り替え制御信号がテスト信号を示している場合、テスト信号生成部53から入力した第1送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルを選択し、これをデータキャリア割り当て部51-1に出力する。
【0122】
テスト信号切り替え部54-2は、ブロック振り分け部50から、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルを入力すると共に、テスト信号生成部53から第2送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルを入力する。また、テスト信号切り替え部54-2は、予め設定された切り替え制御信号を入力する。この切り替え制御信号は、テスト信号切り替え部54-1が入力する切り替え制御信号と同じである。
【0123】
テスト信号切り替え部54-2は、テスト信号切り替え部54-1と同じ処理を行い、切り替え制御信号に従って、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルまたは第2送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルをデータキャリア割り当て部51-2に出力する。
【0124】
通常の運用では、テスト信号切り替え部54-1,54-2において、ブロック振り分け部50から入力した第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルが選択される。
【0125】
データキャリア割り当て部51-1は、テスト信号切り替え部54-1から、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルまたは第1送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルを入力し、入力したキャリアシンボルをOFDMフレームのデータキャリアに順番に割り当てる。データキャリア割り当て部51-2は、テスト信号切り替え部54-2から、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルまたは第2送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルを入力し、データキャリア割り当て部51-1と同じ処理を行う。
【0126】
予め設定された切り替え制御信号は、TMCC信号の一部として、MIMO受信装置2へ送信される。
【0127】
(合成部37/実施例2)
次に、実施例2のMIMO受信装置2に備えた合成部37について説明する。図7は、実施例2のMIMO受信装置2に備えた合成部37の構成例を示すブロック図である。この合成部37は、周波数及び偏波間デインターリーブ部60、キャリアシンボル抽出部61-1,61-2、テスト信号切り替え部63-1,63-2、テスト信号判定部64及びブロック合成部62を備えている。合成部37は、図6に示した振り分け部16に対して逆の処理を行う。
【0128】
図5に示した実施例1のMIMO受信装置2に備えた合成部37と図7に示す実施例2のMIMO受信装置2に備えた合成部37とを比較すると、両合成部37は、周波数及び偏波間デインターリーブ部60、キャリアシンボル抽出部61-1,61-2及びブロック合成部62を備えている点で共通する。一方、実施例2のMIMO受信装置2に備えた合成部37は、実施例1のMIMO受信装置2に備えた合成部37の構成に加え、さらにテスト信号切り替え部63-1,63-2及びテスト信号判定部64を備えている点で相違する。図7において、図5と共通する部分には図5と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0129】
実施例2のMIMO受信装置2は、実施例2のMIMO送信装置1から送信された第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統のOFDM信号を受信する。
【0130】
キャリアシンボル抽出部61-1は、周波数及び偏波間デインターリーブ部60から第1送信アンテナ系統のキャリアシンボルを入力する。そして、キャリアシンボル抽出部61-1は、入力したキャリアシンボルから、FECブロック単位のキャリアシンボルまたはFEC単位のテスト用キャリアシンボルを抽出する。キャリアシンボル抽出部61-1は、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルまたは第1送信アンテナ系統のFEC単位のテスト用キャリアシンボルをテスト信号切り替え部63-1に出力する。
【0131】
キャリアシンボル抽出部61-2は、キャリアシンボル抽出部61-1と同じ処理を行い、第2送信アンテナ系統のキャリアシンボルから、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルまたは第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のテスト用キャリアシンボルを抽出する。そして、キャリアシンボル抽出部61-2は、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルまたは第2送信アンテナ系統のFEC単位のテスト用キャリアシンボルをテスト信号切り替え部63-2に出力する。
【0132】
テスト信号切り替え部63-1は、キャリアシンボル抽出部61-1から第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルまたは第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のテスト用キャリアシンボルを入力する。また、テスト信号切り替え部63-1は、TMCC信号等抽出部34から切り替え制御信号を入力する。この切り替え制御信号は、受信TMCC信号から得られた信号である。
【0133】
テスト信号切り替え部63-1は、切り替え制御信号がFECブロックを示している場合、第1送信アンテナ系統のFECブロックのキャリアシンボルをブロック合成部62に出力する。一方、テスト信号切り替え部63-1は、切り替え制御信号がテスト信号を示している場合、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のテスト用キャリアシンボルをテスト信号判定部64に出力する。
【0134】
テスト信号切り替え部63-2は、キャリアシンボル抽出部61-2から第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルまたは第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のテスト用キャリアシンボルを入力する。また、テスト信号切り替え部63-2は、TMCC信号等抽出部34から切り替え制御信号を入力する。この切り替え制御信号は、テスト信号切り替え部63-1が入力する切り替え制御信号と同じである。
【0135】
テスト信号切り替え部63-2は、テスト信号切り替え部63-1と同じ処理を行い、切り替え制御信号に従って、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のキャリアシンボルをブロック合成部62に出力する。または、テスト信号切り替え部63-2は、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のテスト用キャリアシンボルをテスト信号判定部64に出力する。テスト信号切り替え部63-1,63-2による処理は、図6に示したテスト信号切り替え部54-1,54-2による処理に対応している。
【0136】
テスト信号判定部64は、テスト信号切り替え部63-1から第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のテスト用キャリアシンボルを入力する。また、テスト信号判定部64は、テスト信号切り替え部63-2から第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のテスト用キャリアシンボルを入力する。
【0137】
テスト信号判定部64は、第1送信アンテナ系統のFECブロック単位のテスト用キャリアシンボルからビットデータを生成するためのデマッピングを行う。そして、テスト信号判定部64は、生成したビットデータ及び予め設定されたテスト信号のビットデータに基づいて、第1送信アンテナ系統のビット誤り率を算出する。また、テスト信号判定部64は、第2送信アンテナ系統のFECブロック単位のテスト用キャリアシンボルからビットデータを生成するためのデマッピングを行う。そして、テスト信号判定部64は、生成したビットデータ及び予め設定されたテスト信号のビットデータに基づいて、第2送信アンテナ系統のビット誤り率を算出する。
【0138】
以上のように、オン/オフ制御信号がオフを示しており、かつ切り替え制御信号がテスト信号を示している場合、第1送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルは、第1送信アンテナ系統を介して送信され、第2送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルは、第2送信アンテナ系統を介して送信される。つまり、実施例2のMIMO受信装置2において、テスト信号判定部64は、送信アンテナ系統毎にビット誤り率を算出することができ、送信アンテナ系統毎の特性を得ることが可能となる。
【0139】
一方、オン/オフ制御信号がオンを示しており、かつ切り替え制御信号がテスト信号を示している場合、第1送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルは、第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統に分散される。第2送信アンテナ系統のテスト用キャリアシンボルも同様である。つまり、テスト信号判定部64は、両送信アンテナ系統を合わせた総合的なビット誤り率を算出することができ、総合的な特性を得ることができる。
【0140】
テスト信号判定部64により算出されるビット誤り率は、LDPC符号及びBCH符号の誤り訂正を考慮しない値となる。前述の実施例1のMIMO受信装置2に備えたBCH復号部42においても、ビット誤り率を算出することは可能であるが、伝搬路等の送信アンテナ系統の状況等が悪く、誤り訂正が不可能な場合には、ビット誤り率を算出することができない。これに対し、実施例2のMIMO受信装置2に備えたテスト信号判定部64は、伝搬路等の送信アンテナ系統の状況等が悪い場合であっても、ビット誤り率を算出することができるから、実施例1よりも、送信アンテナ系統毎の特性を確実に得ることができる。
【0141】
〔実施例3〕
次に、実施例3のMIMO送信装置1及びMIMO受信装置2について説明する。実施例3では、送信アンテナ系統毎の特性を得るために、映像及び音声信号とテスト信号とを切り替えてFECブロックのペイロードに格納し、FECブロック単位のキャリアシンボルを2つの送信アンテナ系統へ振り分けて送信する。
【0142】
(FECブロック構成部10、振り分け部16/実施例3)
まず、実施例3のMIMO送信装置1に備えたFECブロック構成部10について説明する。図8は、実施例3のMIMO送信装置1に備えたFECブロック構成部10の構成例を示すブロック図である。このFECブロック構成部10は、テスト信号生成部70-1,70-2、及び、TSパケット切り替え及び埋め込み部71を備えている。
【0143】
テスト信号生成部70-1は、予め設定されたテスト信号を含むTSパケットを生成し、これを第1送信アンテナ系統のテスト用TSパケットとしてTSパケット切り替え及び埋め込み部71に出力する。テスト信号生成部70-2は、テスト信号生成部70-1と同じ処理を行い、第2送信アンテナ系統のテスト用TSパケットをTSパケット切り替え及び埋め込み部71に出力する。
【0144】
テスト信号は、MIMO受信装置2においても既知の信号であり、伝搬路を含む送信アンテナ系統毎の特性を判断するために用いられる。例えば、ビット誤り率を算出するためのITU-T O.151のPNコード(生成多項式x23+X18+1)が用いられる。テスト信号生成部70-1が用いるテスト信号と、テスト信号生成部70-2が用いるテスト信号とは、同じデータであってもよいし、異なるデータであってもよい。
【0145】
TSパケット切り替え及び埋め込み部71は、圧縮符号化された映像及び音声が多重されたMPEG-2 TSのTSパケットを入力する。また、TSパケット切り替え及び埋め込み部71は、テスト信号生成部70-1,70-2から第1送信アンテナ系統のテスト用TSパケット及び第2送信アンテナ系統のテスト用TSパケットを入力すると共に、予め設定された切り替え制御信号を入力する。切り替え制御信号は、TSパケット切り替え及び埋め込み部71によりTSパケットがFECブロックに埋め込まれる際に、映像及び音声信号のTSパケットとテスト用TSパケットとを切り替えるための信号である。
【0146】
TSパケット切り替え及び埋め込み部71は、切り替え信号が映像及び音声信号を示している場合、圧縮符号化された映像及び音声が多重されたMPEG-2 TSのTSパケットを選択し、その先頭の同期バイト(1バイト長)を取り除き、187バイト長のTSパケットをFECブロックのペイロードに順次格納する。
【0147】
一方、TSパケット切り替え及び埋め込み部71は、切り替え信号がテスト信号を示している場合、第1送信アンテナ系統のテスト用TSパケット及び第2送信アンテナ系統のテスト用TSパケットを選択する。そして、TSパケット切り替え及び埋め込み部71は、その先頭の同期バイト(1バイト長)を取り除き、187バイト長のTSパケット(第1送信アンテナ系統のテスト用TSパケットまたは第2送信アンテナ系統のテスト用TSパケット)をFECブロックのペイロードに順次格納する。
【0148】
具体的には、TSパケット切り替え及び埋め込み部71は、FECブロック毎に交互に、第1送信アンテナ系統の187バイト長のテスト用TSパケットまたは第2送信アンテナ系統の187バイト長のテスト用TSパケットを、FECブロックのペイロードに順次格納する。例えば、第1送信アンテナ系統のテスト用TSパケットがOFDMフレームの先頭のFECブロックに格納される場合、第1送信アンテナ系統の187バイト長のテスト用TSパケットが奇数番目のFECブロックに格納される。また、第2送信アンテナ系統の187バイト長のテスト用TSパケットが偶数番目のFECブロックに格納される。
【0149】
TSパケット切り替え及び埋め込み部71は、ペイロードに対してヘッダを付加し、図11に示したFECブロックを構成する。TSパケット切り替え及び埋め込み部71は、ヘッダ及びペイロードを含む映像及び音声信号のFECブロック、またはヘッダ及びペイロードを含むテスト信号のFECブロックをBCH符号化部11に出力する。
【0150】
通常の運用では、圧縮符号化された映像及び音声が多重されたMPEG-2 TSのTSパケットが選択され、映像及び音声信号のFECブロックが構成される。
【0151】
予め設定された切り替え制御信号は、TMCC信号の一部として、MIMO受信装置2へ送信される。
【0152】
実施例3のMIMO送信装置1に備えた振り分け部16は、実施例1のMIMO送信装置1に備えた図4の振り分け部16と同じであるから、ここでは説明を省略する。
【0153】
(合成部37、パケット抽出部43/実施例3)
次に、実施例3のMIMO受信装置2に備えた合成部37及びパケット抽出部43について説明する。実施例3のMIMO受信装置2に備えた合成部37は、実施例1のMIMO受信装置2に備えた図5の合成部37と同じであるから、ここでは説明を省略する。
【0154】
図9は、実施例3のMIMO受信装置2に備えたパケット抽出部43の構成例を示すブロック図である。このパケット抽出部43は、TSパケット抽出部80、TSパケット分配部81及びテスト信号判定部82-1,82-2を備えている。
【0155】
TSパケット抽出部80は、BCH復号部42からFECブロックに含まれるヘッダ及びペイロードを入力し、FECブロックのペイロードからTSパケットを抽出する。そして、TSパケット抽出部80は、TSパケットの先頭に同期バイトを付加し、元の188バイト長のTSパケットを復元し、TSパケットをTSパケット分配部81に出力する。
【0156】
TSパケット分配部81は、TSパケット抽出部80からTSパケットを入力すると共に、TMCC信号等抽出部34から切り替え制御信号を入力する。この切り替え制御信号は、受信TMCC信号から得られた信号である。
【0157】
TSパケット分配部81は、切り替え信号に従って、映像及び音声信号のTSパケットとテスト信号のTSパケットとを分配する。具体的には、TSパケット分配部81は、切り替え制御信号が映像及び音声信号を示している場合、入力したTSパケットを映像及び音声信号のTSパケットとして、そのまま出力する。一方、TSパケット分配部81は、切り替え制御信号がテスト信号を示している場合、FECブロック毎に交互に、第1送信アンテナ系統のテスト用TSパケット及び第2送信アンテナ系統のテスト用TSパケットに振り分ける。TSパケット分配部81は、第1送信アンテナ系統のテスト用TSパケットをテスト信号判定部82-1に出力し、第2送信アンテナ系統のテスト用TSパケットをテスト信号判定部82-2に出力する。
【0158】
テスト信号判定部82-1は、TSパケット分配部81から第1送信アンテナ系統のテスト用TSパケットを入力し、第1送信アンテナ系統のテスト用TSパケットからテスト信号を抽出する。そして、テスト信号判定部82-1は、抽出したテスト信号及び予め設定されたテスト信号に基づいて、ビット誤り率を算出する。
【0159】
ここで、オン/オフ制御信号がオフを示しており、MIMO送信装置1に備えた振り分け部16の周波数及び偏波間インターリーブ部52においてインターリーブが行われていない場合、テスト信号判定部82-1により、第1送信アンテナ系統のビット誤り率が算出される。一方、オン/オフ制御信号がオンを示しており、MIMO送信装置1に備えた振り分け部16の周波数及び偏波間インターリーブ部52においてインターリーブが行われている場合、テスト信号判定部82-1により、第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統を合わせたビット誤り率が算出される。
【0160】
テスト信号判定部82-2は、TSパケット分配部81から第2送信アンテナ系統のテスト用TSパケットを入力し、第2送信アンテナ系統のテスト用TSパケットからテスト信号を抽出する。そして、テスト信号判定部82-2は、抽出したテスト信号及び予め設定されたテスト信号に基づいて、ビット誤り率を算出する。
【0161】
ここで、オン/オフ制御信号がオフを示しており、MIMO送信装置1に備えた振り分け部16の周波数及び偏波間インターリーブ部52においてインターリーブが行われていない場合、テスト信号判定部82-2により、第2送信アンテナ系統のビット誤り率が算出される。一方、オン/オフ制御信号がオンを示しており、MIMO送信装置1に備えた振り分け部16の周波数及び偏波間インターリーブ部52においてインターリーブが行われている場合、テスト信号判定部82-2により、第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統を合わせたビット誤り率が算出される。
【0162】
以上のように、オン/オフ制御信号がオフを示しており、かつ切り替え制御信号がテスト信号を示している場合、第1送信アンテナ系統のテスト用TSパケットは、第1送信アンテナ系統を介して送信され、第2送信アンテナ系統のテスト用TSパケットは、第2送信アンテナ系統を介して送信される。つまり、テスト信号判定部82-1,82-2は、送信アンテナ系統毎にビット誤り率を算出することができ、送信アンテナ系統毎の特性を得ることが可能となる。
【0163】
一方、オン/オフ制御信号がオンを示しており、かつ切り替え制御信号がテスト信号を示している場合、第1送信アンテナ系統のテスト用TSパケットは、2つの送信アンテナ系統に分散され、第2送信アンテナ系統のテスト用TSパケットも同様である。つまり、テスト信号判定部82-1,82-2は、両送信アンテナ系統を合わせた総合的なビット誤り率を算出することができ、総合的な特性を得ることができる。
【0164】
テスト信号判定部82-1,82-2により算出されるビット誤り率は、LDPC符号及びBCH符号の誤り訂正を考慮した値(誤り訂正後の値)となる。前述の実施例1のMIMO受信装置2に備えたBCH復号部42においても、ビット誤り率を算出することは可能であるが、伝搬路等の送信アンテナ系統の状況等が悪く、誤り訂正が不可能な場合には、ビット誤り率を算出することができない。これに対し、実施例3のMIMO受信装置2に備えたテスト信号判定部82-1,82-2は、伝搬路等の送信アンテナ系統の状況等が悪く、誤り訂正が不可能な場合であっても、既知のテスト信号を用いているためビット誤り率を算出することができるから、実施例1よりも、送信アンテナ系統毎の特性を確実に得ることができる。
【0165】
また、前述の実施例2のMIMO受信装置2に備えたテスト信号判定部64においても、ビット誤り率を算出することは可能であるが、LDPC符号及びBCH符号の誤り訂正を考慮したビット誤り率を算出することができない。これに対し、実施例3のMIMO受信装置2に備えたテスト信号判定部82-1,82-2は、LDPC符号及びBCH符号の誤り訂正を考慮したビット誤り率を算出することができるから、実施例2とは異なり、実際の運用と同じ状況での特性を得ることができる。
【0166】
以上、実施例1,2,3を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例1,2,3に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、MIMO受信装置2のLDPC復号部40は、所定の設定に従い、LDPC復号処理を行わないようにしてもよい。また、BCH復号部42は、所定の設定に従い、BCH復号処理を行わないようにしてもよい。これにより、MIMO受信装置2は、LDPC符号及びBCH符号の誤り訂正前(LDPC復号及びBCH復号を行う前)のビット誤り率、LDPC符号の誤り訂正後かつBCH符号の誤り訂正前のビット誤り率、及び、LDPC符号及びBCH符号の誤り訂正後のビット誤り率をそれぞれ算出することができる。
【0167】
また、前記実施例1,2,3では、MIMO送信装置1に備えた振り分け部16のブロック振り分け部50は、キャリアシンボルを、1つのFECブロックを単位として交互に、第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統に振り分けるようにした。これに対し、ブロック振り分け部50は、キャリアシンボルを、所定数(複数)のFECブロックを単位として交互に、第1送信アンテナ系統及び第2送信アンテナ系統に振り分けるようにしてもよい。
【0168】
また、前記実施例1,2,3では、送信アンテナ系統を2、受信アンテナ系統を2とした2入力2出力のMIMO伝送を行う無線通信システムを例に挙げて説明した。本発明は、2入力2出力のMIMO伝送に限定するものではなく、他の数の送信アンテナ系統及び受信アンテナ系統によるMIMO伝送にも適用可能である。
【符号の説明】
【0169】
1 MIMO送信装置
2 MIMO受信装置
10 FECブロック構成部
11 BCH符号化部
12 エネルギー拡散部
13 LDPC符号化部
14 ビットインターリーブ部
15 シンボルマッピング部
16 振り分け部
17 時間インターリーブ部
18 TMCC信号等生成部
19 OFDMフレーム構成部
20 IFFT及びGI付加部
21 直交変調部
22,31 高周波部
23,30 偏波共用アンテナ
32 直交復調部
33 GI除去及びFFT部
34 TMCC信号等抽出部
35 MIMO検出部
36 時間デインターリーブ部
37 合成部
38 LLR算出部
39 ビットデインターリーブ部
40 LDPC復号部
41 エネルギー逆拡散部
42 BCH復号部
43 パケット抽出部
50 ブロック振り分け部
51 データキャリア割り当て部
52 周波数及び偏波間インターリーブ部
53,70 テスト信号生成部
54,63 テスト信号切り替え部
60 周波数及び偏波間デインターリーブ部
61 キャリアシンボル抽出部
62 ブロック合成部
64,82 テスト信号判定部
71 TSパケット切り替え及び埋め込み部
80 TSパケット抽出部
81 TSパケット分配部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12