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  • 特許-画像測定機およびプログラム 図1
  • 特許-画像測定機およびプログラム 図2
  • 特許-画像測定機およびプログラム 図3
  • 特許-画像測定機およびプログラム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】画像測定機およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20220524BHJP
   G06F 3/04883 20220101ALI20220524BHJP
【FI】
G01B11/02 H
G06F3/0488 130
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018003148
(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公開番号】P2019124476
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】張 玉武
(72)【発明者】
【氏名】小松 浩一
(72)【発明者】
【氏名】石山 拓
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-049152(JP,A)
【文献】特開2014-096035(JP,A)
【文献】特開平04-105005(JP,A)
【文献】特開2016-173703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G06F 3/01
G06F 3/048-3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物を撮像し、タッチパネルディスプレイに表示された前記測定対象物の撮像画像に基づき、前記測定対象物の寸法や形状を測定する画像測定機であって、
前記タッチパネルディスプレイに対して接触入力されたジェスチャに応じ前記タッチパネルディスプレイから出力された信号から、当該ジェスチャに対応するコマンドを特定し、当該コマンドの実行対象の前記画像測定機の部位に対して当該コマンドを実行する制御手段を備え、
前記ジェスチャは2点以上の同時接触状態で行われるジェスチャであり、
前記コマンドには、前記画像測定機の部位に物理的な移動・運動をさせるコマンドが含まれる
ことを特徴とする画像測定機。
【請求項2】
前記2点以上の同時接触状態で行われるジェスチャは、タップ、ダブルタップ、ロングタップ、フリック、スワイプ、又はローテートであることを特徴とする請求項1に記載の画像測定機。
【請求項3】
コンピュータを請求項1又は2に記載の制御手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルディスプレイからコマンドをタッチ入力する画像測定機およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物を撮像して得られる画像を用いて、測定対象物の寸法や形状を測定及び評価する測定装置として画像測定機が用いられる。画像測定機では、撮像した測定対象物の画像に含まれる測定対象図形のエッジ情報(位置座標など)を取得し、エッジ情報に基づいて測定対象物の形状や寸法の評価を行う。
【0003】
近年、タッチパネルディスプレイの普及に伴い、ディスプレイなどに触れることで操作できる直感的に使いやすいユーザインタフェースとして、いわゆるタッチインタフェースが広く利用されるようになってきており、画像測定機にも応用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
タッチインタフェースにおける入力操作では、タップ、ダブルタップ、ロングタップ、フリック、スワイプ、ローテートなど、タッチインタフェース上における指の動作や接触状態が異なるさまざまなジェスチャを利用してコマンド入力を実現している。ジェスチャは、1本の指で行うものが多い。
【0005】
画像測定機へのコマンド入力にタッチインタフェースを採用する場合、画像測定機で使用されるコマンドの中には、コマンドの実行によりステージの移動やフォーカスなど装置の物理的な移動や運動を伴うものがある。このようなコマンド入力に対して1本の指で行うジェスチャを割り当てると、タッチパネルディスプレイへの意図せぬ接触により誤ってコマンドが入力され、最悪の場合、測定対象物と装置とが接触するなどの事故が生じる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-173703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような問題に鑑みて、本発明は、タッチパネルディスプレイへの意図せぬ接触による誤動作が生じにくい画像測定機およびプログラムを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像測定機は、測定対象物を撮像し、タッチパネルディスプレイに表示された前記測定対象物の撮像画像に基づき、測定対象物の寸法や形状を測定する画像測定機であって、タッチパネルディスプレイに対して接触入力されたジェスチャに応じタッチパネルディスプレイから出力された信号から、当該ジェスチャに対応するコマンドを特定し、当該コマンドの実行対象の画像測定機の部位に対して当該コマンドを実行する制御手段を備え、ジェスチャは2点以上の同時接触状態で行われるジェスチャであることを特徴とする。
【0009】
コマンドは、例えば、画像測定機の部位に何らかの物理的な移動・運動をさせるコマンドである。
【0010】
また、2点以上の同時接触状態で行われるジェスチャは、例えば、タップ、ダブルタップ、ロングタップ、フリック、スワイプ、又はローテートなどである。
【0011】
制御手段の機能をプログラムに記述し、コンピュータにより実行することで、制御手段の機能を実現してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、タッチパネルディスプレイへの意図せぬ接触による誤動作が生じにくい画像測定機およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】画像測定機の全体構成の一例を示す図である。
図2】コンピュータシステムの機能ブロックを示す図である。
図3】タッチパネルディスプレイに表示される表示画面の例を示す図である。
図4】2指でのタッチパネルディスプレイへの同時接触状態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0015】
〔画像測定機の構成〕
図1は、画像測定機の全体構成の一例を示している。画像測定機1は、ステージ100と、筐体110と、コンピュータシステム140とを備える。ステージ100は、その上面が水平面と一致するように配置され、当該上面に測定対象物Wが載置される。ステージ100は、モータ、又は、ハンドル101若しくは102の回転操作により、少なくともX軸方向及びY軸方向に移動可能とされる。筐体110は、透過照明や落射照明などの照明装置を含む光学系や撮像素子を内包するとともに、モータ又はハンドル112の回転操作により、筐体110自身を光学系及び撮像素子とともにZ軸方向に移動可能とする。
【0016】
コンピュータシステム140は、ステージ100や筐体110を制御して測定対象物Wの撮像画像を取得したり、ユーザに操作環境を提供したりする。コンピュータシステム140は、例えばコンピュータ本体141、キーボード142、マウス143、及びタッチパネルディスプレイ144を備える。コンピュータ本体141は、制御ボード等の回路(ハードウェア)及びCPUで実行されるプログラム(ソフトウェア)によってステージ100や筐体110の動作を制御する。また、コンピュータ本体141は、ステージ100や筐体110から出力される信号に基づき測定対象物Wの情報を取得・演算し、演算結果をタッチパネルディスプレイ144に表示する処理を行う。キーボード142及びマウス143は、コンピュータ本体141に対する入力手段である。タッチパネルディスプレイ144は、コンピュータ本体が出力する画像を表示する表示手段として機能するほか、画面に対する接触による操作を検出しコンピュータ本体141に入力する入力手段としても機能する。
【0017】
図2はコンピュータシステム140の機能ブロック図を示している。コンピュータシステム140の機能ブロックとしては、CPU(Central Processing Unit)211、インタフェース212、出力部213、入力部214、主記憶部215及び副記憶部216が設けられる。
【0018】
CPU211は、各種プログラムの実行によって各部を制御する。インタフェース212は、例えば、ステージ100や筐体110から送られる情報をコンピュータシステム140に取り込む、コンピュータシステム140から情報をステージ100や筐体110へ送る、コンピュータシステム140をLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)に接続する等の役割を持つ、外部機器との情報入出力を行う部分である。
【0019】
出力部213は、コンピュータシステム140で処理した結果を出力する。出力部213は、例えば、図1に示すタッチパネルディスプレイ144や、プリンタなどが用いられる。入力部214は、オペレータから情報を受け付ける。入力部214には、例えば、図1に示すキーボード142、マウス143、タッチパネルディスプレイ144などが用いられる。また、入力部214は、記録媒体MMに記録された情報を読み取る機能を含む。
【0020】
主記憶部215には、例えばRAM(Random Access Memory)が用いられる。主記憶部215の一部として、副記憶部216の一部が用いられてもよい。副記憶部216には、例えばHDD(Hard disk drive)やSSD(Solid State Drive)が用いられる。副記憶部216は、ネット測定対象物を介して接続された外部記憶装置であってもよい。これらの記憶部に、画像表示プログラムや本発明における制御手段の機能が記述された制御プログラムが記憶され、これらのプログラムがCPUに読み出され実行されることで制御手段の機能等が実現される。
【0021】
図3は、画像表示プログラムの実行によってタッチパネルディスプレイ144に表示されるメインウインドウMWの例を示す図である。メインウインドウMWの中には、撮像された測定対象物Wの撮像画像WGが表示されるワークウインドウWWを含む、必要に応じた複数のウインドウが表示される。
【0022】
〔タッチパネルディスプレイへのジェスチャの接触入力に対する動作〕
コンピュータ本体141のCPU211で実行される制御プログラムは、タッチパネルディスプレイ144に対して接触入力されたジェスチャに応じてタッチパネルディスプレイ144から出力された信号から、当該ジェスチャに対応するコマンドを特定し、当該コマンドの実行対象の画像測定機1のステージ100や筐体110などの部位に対して当該コマンドを実行する。
【0023】
入力されるジェスチャは、2点以上(例えば指であれば2指以上)のタッチパネルディスプレイ144への同時接触状態で行われるジェスチャであり、具体的には例えば、タップ、ダブルタップ、ロングタップ、フリック、スワイプ、又はローテートなどが挙げられるが、2点以上の同時接触で行われるものであれば、その他のジェスチャでも構わない。図4は、2指でのタッチパネルディスプレイ144への同時接触状態の例を示す図である。
【0024】
ジェスチャに対応するコマンドは任意であるが、2点以上の同時接触が要求されることで、タッチパネルへの意図せぬ接触によりコマンドが入力されて誤動作する危険性が軽減されるため、入力に際しての安全性が求められるコマンドへの適用が好適である。例えば、画像測定機1のステージ100や筐体110などの部位に物理的な移動・運動をさせるコマンドなどが挙げられる。
【0025】
ジェスチャに対するコマンドの割り当て方として、具体的には次のような例が挙げられる。
(1) タッチパネルディスプレイ144に表示された測定対象物Wの撮像画像WG上において2点以上の同時接触状態でX軸又はY軸方向に行うスワイプに対して、ステージ100をX軸又はY軸方向に移動させるモータの駆動コマンドをそれぞれ割り当てる。
(2) タッチパネルディスプレイ144に表示された測定対象物Wの撮像画像WG上において2点以上の同時接触状態で行うタップに対して、撮像画像WGがワークウインドウWWの中心に表示されるようにステージ100を移動させるモータの駆動コマンドを割り当てる。
(3) タッチパネルディスプレイ144に表示された測定対象物Wの撮像画像WG上において2点以上の同時接触状態で行うダブルタップに対して、筐体110の光学系に対しオートフォーカスを実行させるコマンドを割り当てる。
(4) タッチパネルディスプレイ144に表示された測定対象物Wの撮像画像WG上において2点以上の同時接触状態で行うローテートに対して、筐体110の光学系をZ軸方向に低速で移動させるモータの駆動コマンドを割り当てる。
【0026】
このような対応関係は、例えば、副記憶部216に記憶しておき制御プログラムの実行時に参照にしてもよいし、制御プログラム自体に書き込んでおいてもよい。
【0027】
なお、以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。すなわち、本発明において表現されている技術的思想の範囲内で適宜変更が可能であり、その様な変更や改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含む。
【符号の説明】
【0028】
1…画像測定機
100…ステージ
101、102、112…ハンドル
110…筐体
140…コンピュータシステム
141…コンピュータ本体
142…キーボード
143…マウス
144…タッチパネルディスプレイ
211…CPU
212…インタフェース
213…出力部
214…入力部
215…主記憶部
216…副記憶部
MM…記録媒体
MW…メインウインドウ
W…測定対象物
WW…ワークウインドウ
WG…撮像画像
図1
図2
図3
図4