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特許7078616エッチング用組成物およびこれを用いた半導体素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-23
(45)【発行日】2022-05-31
(54)【発明の名称】エッチング用組成物およびこれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20220524BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20220524BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220524BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20220524BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20220524BHJP
   H01L 27/11556 20170101ALI20220524BHJP
   H01L 21/8239 20060101ALI20220524BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20220524BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20220524BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
H01L21/308 E
H01L21/306 E
H01L29/78 371
H01L27/11556
H01L27/105 449
H01L21/90 K
H01L21/90 P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019522278
(86)(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 KR2017015497
(87)【国際公開番号】W WO2018124705
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2016-0178754
(32)【優先日】2016-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0178757
(32)【優先日】2016-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0178590
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0178591
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】321001986
【氏名又は名称】ソウルブレイン シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】パク,チェ-ワン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジョン-フン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジン-ウク
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-029717(JP,A)
【文献】特開2014-099480(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0037766(KR,A)
【文献】特開2000-058500(JP,A)
【文献】特開2012-222330(JP,A)
【文献】特開2013-128109(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0092872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/308
H01L 21/306
H01L 21/336
H01L 27/11556
H01L 21/8239
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無機酸と、
下記化学式1-1で表される第1添加剤と、
溶媒と
を含む窒化膜エッチング用組成物。
[化学式1-1
(上記化学式1-1にて、
前記XはNHであり、
前記R~Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルキルカルボニル基、炭素数1~20のアルキルカルボニルオキシ基、および炭素数1~10のシアノアルキル基からなる群より選択されるいずれか一つでる。)
【請求項2】
前記第1無機酸は、硫酸、硝酸、リン酸、ケイ酸、フッ酸、ホウ酸、塩酸、過塩素酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つである、請求項1記載の窒化膜エッチング用組成物。
【請求項3】
前記エッチング用組成物は、前記第1添加剤を0.01~15重量%、前記第1無機酸を70~99重量%、および、残部の溶媒を含むものである、請求項1記載の窒化膜エッチング用組成物。
【請求項4】
前記エッチング用組成物は、第2無機酸とシラン化合物とを反応させて調製されたシラン無機酸塩を含む第2添加剤を、さらに含むものである、請求項1記載の窒化膜エッチング用組成物。
【請求項5】
前記エッチング用組成物は、前記エッチング用組成物の全体に対して、前記第2添加剤を0.01~15重量%で含むものである、請求項に記載の窒化膜エッチング用組成物。
【請求項6】
請求項1によるエッチング用組成物を用いて行われる窒化膜エッチング工程を含む半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記エッチング工程は、酸化膜に対して窒化膜を選択的にエッチングするものであり、
前記の窒化膜のエッチング工程は、50~300℃の温度で行われるものである、請求項に記載の半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング用組成物、特に酸化膜のエッチングレートを最小限に抑えながらも、窒化膜を選択的に除去することができる高選択比のエッチング用組成物およびこのエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含む半導体素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程において、シリコン酸化膜(SiO)などの酸化膜およびシリコン窒化膜(SiN)などの窒化膜は、代表的な絶縁膜であって、それぞれ単独で、または1層以上の膜が交互に積層されて使用される。また、このような酸化膜および窒化膜は、金属配線などの導電性パターンを形成するためのハードマスクとしても使用される。
【0003】
前記窒化膜を除去するためのウェットエッチング工程においては、通常、リン酸(phosphoric acid)と脱イオン水(deionized water)との混合物が使用されている。前記脱イオン水は、エッチングレートの減少および酸化膜に対するエッチング選択性の変化を防止するために添加されるものだが、供給される脱イオン水の量の微細な変化によっても窒化膜エッチング除去工程に不具合が生じる問題がある。また、リン酸は、強酸として腐食性を有しており、取り扱いが難しい。
【0004】
これを解決するために、従来、リン酸(HPO)にフッ酸(HF)または硝酸(HNO)などを含むエッチング用組成物を用いて窒化膜を除去する技術が公知となっているが、むしろ窒化膜と酸化膜のエッチング選択比を阻害する結果を招いた。また、リン酸とケイ酸塩、またはケイ酸を含むエッチング用組成物を利用する技術も知られているが、ケイ酸やケイ酸塩は基板に影響を与え得るパーティクルを誘発し、むしろ半導体製造工程に適していないという問題がある。
【0005】
図1および図2は、フラッシュメモリ素子の素子分離工程を示す工程断面図である。
【0006】
まず、図1に示すように、基板10上に、トンネル酸化膜11、ポリシリコン膜12、バッファ酸化膜13およびパッド窒化膜14をこの順に形成した後、ポリシリコン膜12、バッファ酸化膜13およびパッド窒化膜14を選択的にエッチングしてトレンチを形成する。続いて、トレンチをギャップフィルするまでSOD酸化膜15を形成した後、パッド窒化膜14を研磨停止膜としてSOD酸化膜15のCMP工程を実施する。
【0007】
次に、図2に示すように、リン酸溶液を用いたウェットエッチングによってパッド窒化膜14を除去した後、洗浄工程によってバッファ酸化膜13を除去する。これにより、フィールド領域に素子分離膜15Aが形成される。しかし、このような窒化膜除去のためのウェットエッチング工程でリン酸を用いる場合、窒化膜と酸化膜とのエッチング選択比の低下により、窒化膜だけでなくSOD酸化膜までエッチングされ、有効酸化膜高さ(Effective Field Oxide Height、EFH)を調節することが難しくなる。これにより、窒化膜を除去するために十分なウェットエッチング時間が確保できなかったり、追加の工程が必要となったりするのであり、変化を誘発して素子特性に悪影響を及ぼすことになる。
【0008】
したがって、半導体製造工程において、酸化膜に対して窒化膜を選択的にエッチングしながらも、パーティクル発生などの問題のない高選択比のエッチング用組成物が求められるというのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、酸化膜のエッチングレートを最小限に抑えながら、窒化膜を選択的に除去することができ、素子特性に悪影響を及ぼすパーティクル発生などの問題点を持たない、高選択比のエッチング用組成物、および、これを用いた半導体素子の製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例によると、第1無機酸、下記化学式1で表される第1添加剤、及び溶媒を含むエッチング用組成物を提供することができる。
【0011】
[化学式1]
【0012】
前記化学式1において、前記Xは、OまたはNであり得る。
【0013】
前記R~Rは、互いに独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルキルカルボニル基、炭素数1~20のアルキルカボニルオキシ基および炭素数1~10のシアノアルキル基からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。
【0014】
前記n11は0または1であり得、前記n11が0である場合、前記R~Rのうちの少なくとも2つ以上は、炭素数1~20のアルコキシ基であり得る。
【0015】
前記第1無機酸は、硫酸、硝酸、リン酸、ケイ酸、フッ酸、ホウ酸、塩酸、過塩素酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。
【0016】
前記エッチング用組成物は、前記第1添加剤0.01~15重量%、前記第1無機酸70~99重量%、および残部の溶媒を含むものであり得る。
【0017】
前記エッチング用組成物は、第2無機酸とシラン化合物とを反応させて調製されたシラン無機酸塩を含む第2添加剤をさらに含むものであり得る。
【0018】
前記エッチング用組成物は、前記エッチング用組成物の全体に対して、前記第2添加剤を0.01~15重量%で含むものであり得る。
【0019】
本発明の他の一実施例によると、前記によるエッチング用組成物を用いて行われるエッチング工程を含む半導体素子の製造方法を提供することができる。
【0020】
前記エッチング工程は、酸化膜に対して窒化膜を選択的にエッチングするものであり、前記の窒化膜のエッチング工程は50~300℃の温度で行われるものであり得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るエッチング用組成物は、酸化膜に対する窒化膜のエッチング選択比が高い特徴を有するので、酸化膜のエッチングレートを調節して、EFHを容易に調節することができる。
【0022】
また、本発明のエッチング用組成物を用いると、窒化膜除去の際に酸化膜の膜質損傷や酸化膜のエッチングによる電気的特性の低下を防止し、パーティクルの発生を防止して、素子特性を向上させることができる。
【0023】
したがって、本発明は、酸化膜に対して窒化膜の選択的除去が要求される半導体製造工程、例えば、フラッシュメモリ素子の素子分離工程、3Dフラッシュメモリ素子のパイプチャネル(pipe channel)形成工程、相変化メモリのダイオード形成工程などといった様々な工程に広く適用され、プロセス効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、従来技術によるフラッシュメモリ素子の素子分離工程を示す工程断面図(1)である。
図2図2は、従来技術によるフラッシュメモリ素子の素子分離工程を示す工程断面図(2)である。
図3図3は、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含むフラッシュメモリ素子の素子分離工程を説明するための工程断面図(1)である。
図4図4は、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含むフラッシュメモリ素子の素子分離工程を説明するための工程断面図(2)である。
図5図5は、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含むフラッシュメモリ素子の素子分離工程を説明するための工程断面図(3)である。
図6図6は、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含むフラッシュメモリ素子のパイプチャネル形成工程を説明するための工程断面図(1)である。
図7図7は、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含むフラッシュメモリ素子のパイプチャネル形成工程を説明するための工程断面図(2)である。
図8図8は、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含むフラッシュメモリ素子のパイプチャネル形成工程を説明するための工程断面図(3)である。
図9図9は、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含むフラッシュメモリ素子のパイプチャネル形成工程を説明するための工程断面図(4)である。
図10図10は、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含むフラッシュメモリ素子のパイプチャネル形成工程を説明するための工程断面図(5)である。
図11図11は、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含むフラッシュメモリ素子のパイプチャネル形成工程を説明するための工程断面図(6)である。
図12図12は、本発明の他の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含む相変化メモリにおけるダイオード形成工程を説明するための工程断面図(1)である。
図13図13は、本発明の他の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含む相変化メモリにおけるダイオード形成工程を説明するための工程断面図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるので、特定の実施例を例示して詳細な説明に詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変換、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0026】
本発明で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含んでいる。本発明において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0027】
本発明の一実施例に係るエッチング用組成物は、第1無機酸、下記化学式1で表される第1添加剤、および溶媒を含む。
【0028】
[化学式1]

【0029】
前記化学式1において、前記XはOまたはNであり得る。
【0030】
前記R~Rは、互いに独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルキルカルボニル基、炭素数1~20のアルキルカボニルオキシ基および炭素数1~10のシアノアルキル基からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。
【0031】
前記n11は0または1でありうるのであり、前記n11が0である場合に、前記R~Rのうち少なくとも2以上は、炭素数1~20のアルコキシ基であり得る。
【0032】
前記n11が0である場合は下記化学式2で表されうるのであり、前記n11が1である場合は下記化学式3で表され得る。
【0033】
[化学式2]
【0034】
[化学式3]
【0035】
前記化学式2および3において、前記X、R~Rは前記化学式1で定義されたものと同様に定義され得る。
【0036】
前記化学式1で表される第1添加剤は、前記の構造を有することにより、高温のエッチング工程中に発生するシリコンイオンの成長方向の制御と、シリコンイオンのエンドキャッピングとにより、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜のエッチングレートおよび選択比を向上させることができる。また、シリコンイオンの線形成長構造を制御して、エッチング工程中に発生するシリコンパーティクルの数を減少させることができるのであり、シリコンイオンのエンドキャッピングにより、シリコンイオンの自己結合および反応を防止し、シリコンウェーハの歩留まりを向上させることができる。
【0037】
前記第1添加剤の含有量は、前記のエッチング用組成物の全体の重量に対して、0.01~15重量%、好ましくは0.1~15重量%、より好ましくは0.1~10重量%、さらに好ましくは0.1~5重量%であり得る。前記第1添加剤の含有量が0.01重量%未満である場合は、窒化膜に対する高いエッチング選択比を得ることができず、15重量%を超過する場合は、含有量の増加によるそれ以上の効果の上昇を期待し難く、むしろ添加剤の熱分解が効果を減少させ得る。
【0038】
一方、前記エッチング用組成物は、前記第1添加剤とともに、下記のような第2添加剤をさらに含むことができる。
【0039】
前記第2添加剤は、第2無機酸とシラン化合物とを反応させて調製されたシラン無機酸塩を含むことができる。前記シラン無機酸塩は、酸化膜のエッチングレートを調節して、有効酸化膜高さ(Effective Field Oxide Height、 EFH)の調整を容易にしうる。
【0040】
一実施例において、前記シラン無機酸塩は、前記第2無機酸と前記シラン化合物とを反応させて調製することができる。前記シラン無機酸塩は、前記第2無機酸と前記シラン化合物とを反応させて調製することによって、単一の化学式の構造ではなく、様々な化学式の構造を有するシラン無機酸塩が混合されたものであり得る。すなわち、前記第2添加剤は、互いに異なる化学式の構造を有する少なくとも2種以上のシラン無機酸塩の混合物を含むことができる。しかし、本発明はこれらに限定されるものではなく、前記第2添加剤は、1種のシラン無機酸塩だけを含むこともできる。
【0041】
前記第2無機酸は、硫酸、発煙硫酸、硝酸、リン酸、無水リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであり、好ましくは硫酸、硝酸、リン酸であり得る。
【0042】
前記シラン化合物は、下記化学式10で表される化合物、化学式20で表される化合物およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。
【0043】
[化学式10]
【0044】
前記化学式10において、前記R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記R~Rのうち少なくとも一つは、ハロゲン原子または炭素数1~10のアルコキシ基である。
【0045】
前記ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基であり得、好ましくはフルオロ基またはクロロ基であり得る。
【0046】
具体的に、前記化学式10で表される化合物は、ハロシランまたはアルコキシシラン化合物であり得る。
【0047】
前記ハロシラン化合物は、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリプロピルクロロシラン、トリメチルフルオロシラン、トリエチルフルオロシラン、トリプロピルフルオロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジプロピルジクロロシラン、ジメチルジフルオロシラン、ジエチルジフルオロシラン、ジプロピルジフルオロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、メチルトリフルオロシラン、エチルトリフルオロシラン、プロピルトリフルオロシランおよびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。
【0048】
前記アルコキシシラン化合物は、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルトリエトキシシラン(MTEOS)、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン(PrTMOS)、プロピルトリエトキシシラン(PrTEOS)、プロピルトリプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリプロピルプロポキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、[3-(2-アミノエチル)アミノプロピル]トリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。
【0049】
[化学式20]
【0050】
前記化学式20において、前記R~R10はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記R~R10のうちの少なくとも一つは、ハロゲン原子または炭素数1~10のアルコキシ基であり、前記nは1~10の整数である。
【0051】
前記ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基であり得、好ましくはフルオロ基またはクロロ基であり得る。
【0052】
具体的には、前記化学式20で表される化合物は、クロロジメチルシロキシ-クロロジメチルシラン、クロロジエチルシロキシ-クロロジメチルシラン、ジクロロメチルシロキシ-クロロジメチルシラン、ジクロロエチルシロキシ-クロロジメチルシラン、トリクロロシロキシ-クロロジメチルシラン、フルオロジメチルシロキシ-クロロジメチルシラン、ジフルオロメチルシロキシ-クロロジメチルシラン、トリフルオロシロキシ-クロロジメチルシラン、メトキシジメチルシロキシ-クロロジメチルシラン、ジメトキシジメチルシロキシ-クロロジメチルシラン、トリメトキシシロキシ-クロロジメチルシラン、エトキシジメチルシロキシ-クロロジメチルシラン、ジエトキシメチルシロキシ-クロロジメチルシラン、トリエトキシシロキシ-クロロジメチルシラン、クロロジメチルシロキシ-ジクロロメチルシラン、トリクロロシロキシ-ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシロキシ-トリクロロシラン、ジクロロメチルシロキシ-トリクロロシラン、またはトリクロロシロキシ-トリクロロシラン等であり得る。
【0053】
前記シラン無機酸塩は、前記第2無機酸に前記シラン化合物を添加した後、20~300℃、好ましくは50~200℃の温度で反応させて調製することができる。この際、前記反応は、空気および水分を除去しながら行うことができる。前記反応温度が20℃未満である場合、前記シラン化合物が結晶化したり、低い反応速度により前記シラン化合物が気化したりし得るのであり、300℃を超える場合、前記第2無機酸が蒸発し得る。
【0054】
前記第2無機酸と前記シラン化合物とについては、前記第2無機酸100重量部に対して、前記シラン化合物0.001~50重量部、好ましくは0.01~30重量部を反応させることができる。前記シラン化合物の反応量が0.01重量部未満である場合は、前記シラン化合物の小さい含量比により選択比の実現が難しくなりうるのであり、50重量部を超過する場合は、前記シラン化合物が析出したり、非定型構造が生成したりし得る。
【0055】
前記反応時に発生する揮発性副産物は、減圧下で蒸留によって除去することができる。前記反応生成物を精製して前記シラン無機酸塩を分離した後、これを前記エッチング用組成物に添加することもでき、前記反応生成物を精製せず前記エッチング用組成物に添加することも可能である。
【0056】
前記反応は、非プロトン性溶剤の存在下または不存在下で行うことができるが、非プロトン性溶剤を使用する場合には、10013mbarで120℃までの沸点または沸騰範囲を有する溶剤または溶剤混合物を好ましく使用することができる。前記溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル;塩素化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロエチレン;炭化水素、例えば、ペンタン、n-ヘキサン、ヘキサン異性体の混合物、ヘプタン、オクタン、ベンジン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン;ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK);エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸プロピル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、二硫化炭素およびニトロベンゼン、またはこれらの溶剤の混合物であり得る。
【0057】
前記のように、前記シラン無機酸塩は、前記第2無機酸と前記シラン化合物とを反応させて調製することにより、単一の化学式の構造ではなく、様々な化学式構造を有するシラン無機酸塩が混合されたものであり得る。すなわち、前記シラン無機酸塩は、前記第2無機酸と前記シラン化合物とが交互に反応されたものであり得、前記シラン化合物のハロゲン原子の数および位置に応じて、直鎖状または分枝状に反応された、様々な化学式の構造を有するシラン無機酸塩の混合物であり得る。
【0058】
前記様々な化学式の構造を有するシラン無機酸塩を具体的に例示すると、下記の化学式の通りである。しかし、本発明のシラン無機酸塩が、下記の化学式の構造に限定されるものではない。
【0059】
[化学式51]
【0060】
[化学式52]
【0061】
[化学式53]
【0062】
[化学式54]
【0063】
[化学式55]
【0064】
[化学式56]
【0065】
[化学式57]
【0066】
[化学式61]
【0067】
[化学式62]
【0068】
[化学式63]
【0069】
[化学式64]
【0070】
[化学式65]
【0071】
[化学式66]
【0072】
[化学式67]
【0073】
[化学式71]
【0074】
[化学式72]
【0075】
[化学式73]
【0076】
[化学式74]
【0077】
[化学式75]
【0078】
[化学式76]
【0079】
[化学式77]
【0080】
前記の化学式51~57、61~67および71~77において、前記R1-1~R1-8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つで、前記ハロゲン原子はフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基であり得、好ましくはフルオロ基またはクロロ基であり得る。
【0081】
前記シラン無機酸塩の含有量は、前記エッチング用組成物の全体の重量に対して、0.01~15重量%、好ましくは0.1~15重量%、より好ましくは0.1~10重量%、さらに好ましくは0.1~5重量%であり得る。前記シラン無機酸塩の含有量が0.01重量%未満である場合、窒化膜に対する高いエッチング選択比を得ることができず、15重量%を超過する場合は含有量の増加によるそれ以上の効果上昇を期待し難く、むしろパーティクルの発生などの問題が生じることもありうる。
【0082】
一実施例において、前記シラン無機酸塩は、ポリリン酸と、前記化学式10で表されるシラン化合物とを反応させて調製することができる。ここで、前記シラン無機酸塩は下記化学式100で表され得る。
【0083】
[化学式100]
【0084】
前記化学式100において、前記Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つで、前記ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基であり得、好ましくはフルオロ基またはクロロ基であり得る。
【0085】
前記nは1~4の整数であり、前記mは1~10の整数である。
【0086】
前記R~Rは、それぞれ独立して水素原子である。ただし、任意選択的に、前記R~Rからなる群より選択される一つの水素は、下記化学式120で表される置換基で置換され得る。
【0087】
[化学式120]
【0088】
前記化学式120において、前記Rのうちのいずれか一つは前記化学式100との連結基であり、残りはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つである。すなわち、前記Rが4つの場合、1つは前記化学式100との連結基であり、残りの3つはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。また、前記Rが1つである場合、前記Rは前記化学式100との連結基である。
【0089】
前記nは0~3の整数であり、前記mは1~10の整数である。
【0090】
前記化学式120において、前記R~Rは、それぞれ独立して水素であるか、または第2の、化学式120で表される置換基で置換されるものであり得る。すなわち、前記R~Rの位置に、第2の、化学式120で表される置換基が置換されうるのであり、また、第2の化学式120で表される置換基における前記R~Rの位置に、第3の、化学式120で表示される置換基が、さらに置換されうる。
【0091】
これは、前記シラン無機酸塩が、前記ポリリン酸と前記シラン化合物とを反応させて調製されたものだからである。すなわち、前記ポリリン酸と前記シラン化合物とが反応して、前記化学式100で表される化合物が生成され、前記化学式100で表される化合物において、前記ポリリン酸から由来された部分の前記R~R位置のヒドロキシ基と、反応出発物質である前記シラン化合物とがさらに反応することができ、次いで、前記化学式100で表される化合物と反応した前記シラン化合物と、反応出発物質である前記ポリリン酸がさらに反応することができ、このような反応は継続的に行われうる。
【0092】
前記継続的な反応進行の結果による前記シラン無機酸塩の結果を例示すると、次の通りである。
【0093】
前記化学式100において、前記nは1であり、前記mは1であり、前記R~Rがいずれも水素である場合を例示すると、下記化学式101の通りである。ここで、R1-1~R1-3の定義は前記Rの定義と同一である。
【0094】
[化学式101]
【0095】
下記化学式102で表される化合物は、前記mが2であることを除いては、前記化学式101で表される化合物と同一の場合である。
【0096】
[化学式102]
【0097】
前記化学式100において、前記nは2であり、前記mは1であり、前記R~Rがいずれも水素である場合を例示すると、下記化学式103の通りである。ここで、R1-1~R1-2の定義は前記Rの定義と同一である。
【0098】
[化学式103]
【0099】
前記化学式100において、前記nは1であり、前記mは1であり、前記RおよびRが水素であり、前記Rに、前記化学式120で表される置換基が置換された場合を例示すると、下記化学式104の通りである。前記化学式120において、前記nは0であり、前記Rのうちの一つは前記化学式100との連結基である。ここで、R1-1~R1-6の定義は前記Rの定義と同一である。下記化学式104で表される化合物は、前記化学式100で表される化合物における前記Rの置換基を有する前記ポリリン酸から由来した部分と、反応出発物質である前記シラン化合物とが再び反応して生成された結果物である。
【0100】
[化学式104]
【0101】
前記化学式100において、前記nは1であり、前記mは1であり、前記RおよびRが水素であり、Rに、前記化学式120で表される置換基が置換された場合を例示すると、下記化学式105の通りである。前記化学式120において、前記nは1であり、前記mは1であり、前記Rのうちの一つは前記化学式100との連結基であり、R~Rはいずれも水素原子である。ここで、R1-1~R1-5の定義は前記Rの定義と同一である。下記化学式105で表される化合物は、前記化学式100で表される化合物において、前記ポリリン酸から由来した部分における前記Rの位置のヒドロキシ基と、反応出発物質である前記シラン化合物とが再び反応し、次いで、前記化学式100で表される化合物と反応した前記シラン化合物と、反応出発物質である前記ポリリン酸とが再び反応して生成された結果物である。
【0102】
[化学式105]
【0103】
下記化学式106および化学式107で表される化合物は、前記化学式120で表される置換基が、前記化学式100のRの位置ではなく、それぞれRおよびRの位置に変更されたことを除けば、前記化学式105で表される化合物と同一である。
【0104】
[化学式106]
【0105】
[化学式107]
【0106】
前記化学式100において、前記nは1であり、前記mは1であり、前記RおよびRが水素であり、Rに、前記化学式120で表される置換基が置換され、前記化学式120で表される置換基のRの位置に、第2の化学式120で表される置換基が置換された場合を例示すると、下記化学式108の通りである。前記化学式120において、前記nは1であり、前記mは1であり、前記Rのうちの一つは、前記化学式100との連結基であり、R~Rは水素原子である。ここで、R1-1~R1-7の定義は、前記Rの定義と同一である。下記化学式108で表される化合物は、前記化学式107で表される化合物における、右端の、前記ポリリン酸から由来した部分のヒドロキシ基と、反応出発物質である前記シラン化合物とがさらに反応し、次いで、前記化学式107で表される化合物と反応した前記シラン化合物と、反応出発物質である前記ポリリン酸とが再び反応して生成された結果物である。
【0107】
[化学式108]
【0108】
本発明は、前記化学式101~108に例示された化合物に限定されるものではなく、前記化合物を参考にして様々な変形が可能である。
【0109】
一方、前記ポリリン酸と反応して前記化学式100で表されるシラン無機酸塩を調製することができる前記シラン化合物は、前記化学式10で表される化合物であり得る。前記化学式10で表される化合物については前記の通りである。
【0110】
前記ポリリン酸は、リン酸原子を2個含むピロリン酸であるか、またはリン酸原子を3個以上含むポリリン酸であり得る。
【0111】
前記ポリリン酸と前記シラン化合物とを反応させて前記シラン無機酸塩を調製する方法は、前記第2無機酸と前記シラン化合物とを反応させて前記シラン無機酸塩を調製する方法において、前記第2無機酸の代わりに前記ポリリン酸を使用することを除いては同一である。
【0112】
一実施例において、前記シラン無機酸塩は、リン酸、無水リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの第2無機酸と、前記化学式20で表されるシロキサン化合物を反応させて調製されたシロキサン無機酸塩であり得る。
【0113】
ここで、前記シロキサン無機酸塩は下記化学式200で表され得る。
【0114】
[化学式200]
【0115】
前記化学式200において、前記R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基であり得、好ましくはフルオロ基またはクロロ基であり得る。
【0116】
前記nは0~3の整数であり、前記nは0~2の整数であり、前記mは、0または1の整数であり、n+n+m≧1を満足する。すなわち、前記化学式200は、前記リン酸などの第2無機酸に由来する原子団を少なくとも1つは含む。
【0117】
前記lは1~10の整数であり、前記O~Oはそれぞれ独立して0~10の整数である。
【0118】
前記R~R11はそれぞれ独立して水素である。ただし、選択的に前記R~R11からなる群より選択されるいずれか一つの水素は、下記化学式220で表される置換基で置換され得る。
【0119】
[化学式220]
【0120】
前記化学式220において、前記複数のR12および前記複数のR13のうちのいずれか一つは、前記化学式200との連結基であり、残りは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つである。すなわち、前記R12が2つであり、前記R13が1つである場合、そのうちの1つは前記化学式200との連結基であり、残りの2つはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。また、前記R12が1つで、前記R13が0個である場合、前記R12は前記化学式200との連結基である。
【0121】
前記nは0~3の整数であり、前記nは0~2の整数であり、前記mは0または1の整数である。前記lは1~10の整数であり、前記O~Oはそれぞれ独立して0~10の整数である。
【0122】
前記R~R11は、それぞれ独立して、水素であるか、または第2の化学式220で表される置換基で置換されるものであり得る。すなわち、前記R~R11の位置に前記第2の化学式220で表される置換基が置換され、前記第2の化学式220で表される置換基における前記R~R11の位置に、第3の、化学式220で表される置換基がさらに置換されることもありうる。
【0123】
これは、前記シロキサン無機酸塩が、前記第2無機酸と前記シロキサン化合物とを反応させて調製されたものだからである。すなわち、前記第2無機酸と前記シロキサン化合物とが反応して前記化学式200で表される化合物が生成されるのであり、前記化学式200で表される化合物にあって、前記第2無機酸から由来した部分における前記R~R11位置のヒドロキシ基と、反応出発物質である前記シロキサン化合物とがさらに反応することができ、次いで前記化学式200で表される化合物と反応した前記シロキサン化合物と、反応出発物質である前記第2無機酸とが、再び反応することができ、これらの反応は継続的に行われうる。
【0124】
前記継続的な反応進行の結果による前記シロキサン無機酸塩の結果を例示すると、次の通りである。
【0125】
前記化学式200において、前記nは1であり、前記nは0であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記O~Oは0であり、前記R~R11がいずれも水素である場合を例示すると、下記化学式201の通りである。ここで、R1-1~R1-2の定義は前記Rの定義と同一であり、R2-1~R2-2の定義は前記Rの定義と同一である。
【0126】
[化学式201]
【0127】
下記化学式202で表される化合物は、前記nが1である場合を除いては、前記化学式202で表される化合物と同一である。
【0128】
[化学式202]
【0129】
下記化学式203で表される化合物は、前記OおよびOが1である場合を除いては、前記化学式201で表される化合物と同一である。
【0130】
[化学式203]
【0131】
下記化学式204で表される化合物は、前記lが2である場合を除いては前記化学式202で表される化合物と同一である。
【0132】
[化学式204]
【0133】
前記化学式200において、前記nおよびnが2であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記O~Oは0であり、前記R~R11がいずれも水素である場合を例示すると、下記化学式205の通りである。
【0134】
[化学式205]
【0135】
前記化学式200において、前記nは1であり、前記nは1であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記O~Oは0であり、前記R、RおよびR11が水素であり、Rに、前記化学式220で表される置換基が置換された場合を例示すると、下記化学式206の通りである。前記化学式220において、前記nおよびnは0であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記R12のうちのいずれか一つは前記化学式200との連結基である。ここで、R1-1~R1-7の定義は前記Rの定義と同一であり、前記R2-1の定義は前記Rの定義と同一である。下記化学式206で表される化合物は、前記化学式200で表される化合物にあって、前記第2無機酸から由来した部分における前記Rの位置のヒドロキシ基と、反応出発物質である前記シロキサン化合物とが、再び反応して生成された結果物である。
【0136】
[化学式206]
【0137】
前記化学式200において、前記nは1であり、前記nは1であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記O~Oは0であり、前記R、RおよびR11が水素であり、前記Rに、前記化学式220で表される置換基が置換された場合を例示すると、下記化学式207の通りである。前記化学式220において、前記nとnは1であり、前記mは0であり、前記OおよびOは0であり、前記R12のうちのいずれか一つは前記化学式200との連結基であり、前記R、R、RおよびR11は水素である。ここで、R1-1~R1-3、R2-1、R2-2、R3-1、およびR3-2の定義は、それぞれ前記R、R、Rの定義と同一である。下記化学式207で表される化合物は、前記化学式200で表される化合物にあって、前記第2無機酸から由来した部分における前記Rの位置のヒドロキシ基と、反応出発物質である前記シロキサン化合物とがさらに反応し、次いで、前記化学式200で表される化合物と反応した前記シロキサン化合物と、反応出発物質である前記第2無機酸とが、再び反応して生成された結果物である。
【0138】
[化学式207]
【0139】
下記化学式208で表される化合物は、前記化学式220で表される置換基が、前記化学式207の前記R1-3の位置で前記化学式200と結合されたことを除けば、前記化学式207で表される化合物と同一の場合である。
【0140】
[化学式208]
【0141】
前記化学式200において、前記nは1であり、前記nは1であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記O~Oは0であり、前記R、R、RおよびR11が水素であり、前記Rに、第1の化学式220で表される置換基が置換され、前記第1の化学式220で表される置換基のRに、第2の化学式220で表される置換基が置換された場合を例示すると、下記化学式209の通りである。前記第1の化学式220において、前記nおよびnは1であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記OおよびOは0であり、前記R12のうちのいずれか一つは前記化学式200との連結基であり、前記R、R、およびR11は水素であり、前記Rは前記第2の化学式220で表される置換基である。前記第2の化学式220で、前記nおよびnは1であり、前記mは0であり、前記lは1であり、前記OおよびOは0であり、前記R12のうちのいずれか一つは前記第1の化学式220との連結基であり、前記R、R、RおよびR11は水素である。ここで、R1-1~R1-4、R2-1~R2-3およびR3-1~R3-3の定義は、それぞれ前記R、R、およびRの定義と同一である。
【0142】
下記化学式209で表される化合物は、前記化学式207で表される化合物における右端の、前記第2無機酸から由来した部分と、反応出発物質である前記シロキサン化合物とがさらに反応し、次いで、前記化学式207で表される化合物と反応した前記シロキサン化合物と、反応出発物質である前記第2無機酸とが、再び反応して生成された結果物である。
【0143】
[化学式209]
【0144】
下記化学式210で表される化合物は、前記第2の化学式220で表される置換基が、前記化学式209における前記R1-4の位置で前記化学式200と結合されたことを除けば、前記化学式209で表される化合物と同一の場合である。
【0145】
[化学式210]
【0146】
本発明は、前記化学式201~210に例示された化合物に限定されるものではなく、前記化合物を参考にして様々な変形が可能である。
【0147】
一実施例において、前記シラン無機酸塩は、硫酸、発煙硫酸、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの第2無機酸と、前記化学式20で表されるシロキサン化合物とを反応させて調製されたシロキサン無機酸塩であり得る。
【0148】
ここで、前記シロキサン無機酸塩は下記化学式230で表示され得る。
【0149】
[化学式230]
【0150】
前記化学式230において、前記R21~R22は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基であり得、好ましくはフルオロ基またはクロロ基であり得る。
【0151】
前記nは0~3の整数であり、前記nは0~2の整数であり、前記mは0または1の整数であり、n+n+m≧1を満足する。すなわち、前記化学式230は、前記硫酸などの第2無機酸に由来する原子団を少なくとも1つは含んでいる。
【0152】
前記lは1~10の整数である。
【0153】
前記R23~R25はそれぞれ独立して水素である。ただし、選択的に前記R23~R25からなる群より選択される一つの水素は、下記化学式250で表される置換基で置換され得る。
【0154】
[化学式250]
【0155】
前記化学式250において、前記複数のR26および前記複数のR27のうちのいずれか一つは、前記化学式230との連結基であり、残りは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つである。すなわち、前記R26が2つであり、前記R27が1つである場合、そのうちの1つは前記化学式230との連結基であり、残りの2つはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。また、前記R26が1つであり、前記R27が0個の場合、前記R26は前記化学式230との連結基である。
【0156】
前記nは0~3の整数であり、前記nは0~2の整数であり、前記mは0または1の整数であり、前記lは1~10の整数である。
【0157】
前記R23~R25はそれぞれ独立して水素であるか、または第2の化学式250で表される置換基が置換されるものであり得る。すなわち、前記R23~R25の位置に、前記第2の化学式250で表される置換基が置換されうるのであり、前記第2の化学式250で表される置換基における前記R23~R25の位置に、第3の化学式250で表される置換基がさらに置換されることもありうる。
【0158】
前記の継続的な反応進行の結果による前記シロキサン無機酸塩の結果を、前記化学式201~化学式210の場合と同様に例示すると、下記化学式231~化学式239の通りである。ここで、下記化学式231~化学式239において、R11-1~R11-7、R12-1~R12-3およびR13-1~R13-3の定義は、それぞれ前記R11、R12、およびR13の定義と同一である。
【0159】
[化学式231]
【0160】
[化学式232]
【0161】
[化学式233]
【0162】
[化学式234]
【0163】
[化学式235]
【0164】
[化学式236]
【0165】
[化学式237]
【0166】
[化学式238]
【0167】
[化学式239]
【0168】
本発明は、前記化学式231~239に例示された化合物に限定されるものではなく、前記化合物を参考にして様々な変形が可能である。
【0169】
一実施例において、前記シラン無機酸塩は、硝酸を含む第2無機酸と、前記化学式20で表されるシロキサン化合物とを反応させて調製されたシロキサン無機酸塩であり得る。
【0170】
ここで、前記シロキサン無機酸塩は下記化学式260で表され得る。
【0171】
[化学式260]
【0172】
前記化学式260において、前記R31~R32は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記ハロゲン原子は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基であり得、好ましくはフルオロ基またはクロロ基であり得る。
【0173】
前記nは0~3の整数であり、前記nは0~2の整数であり、前記mは0または1の整数であり、n+n+m≧1を満足する。すなわち、前記化学式260は、前記硝酸を含む第2無機酸に由来する原子団を少なくとも1つは含んでいる。
【0174】
前記lは1~10の整数である。
【0175】
前記R33~R35は、それぞれ独立して水素である。ただし、任意選択的に、前記R33~R35からなる群より選択されるいずれか一つの水素は、下記化学式280で表される置換基で置換され得る。
【0176】
[化学式280]
【0177】
前記化学式280において、前記複数のR36および前記複数のR37のうちのいずれか一つは前記化学式260との連結基であり、残りは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つである。すなわち、前記R36が2つであり、前記R37が1ある場合、そのうちの1つは前記化学式260との連結基であり、残りの2つは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。また、前記R36が1つであり、前記R37が0個の場合には、前記R36が前記化学式260との連結基である。
【0178】
前記nは0~3の整数であり、前記nは0~2の整数であり、前記mは0または1の整数であり、前記lは1~10の整数である。
【0179】
前記R33~R35は、それぞれ独立して水素であるか、または第2の化学式280で表される置換基が置換されるものであり得る。すなわち、前記R33~R35の位置に、前記第2の化学式280で表される置換基が置換されうるのでり、前記第2の化学式280で表される置換基における前記R33~R35の位置に、第3の化学式280で表される置換基が、さらに置換されることもありうる。
【0180】
前記の継続的な反応進行の結果による前記シロキサン無機酸塩の結果を、前記化学式201~化学式210の場合と同様に例示すると、下記化学式261~化学式269の通りである。ここで、下記化学式261~化学式269において、R21-1~R21-7、R22-1~R22-3およびR23-1~R23-3の定義は、それぞれ前記R21、R22およびR23の定義と同一である。
【0181】
[化学式261]
【0182】
[化学式262]
【0183】
[化学式263]
【0184】
[化学式264]
【0185】
[化学式265]
【0186】
[化学式266]
【0187】
[化学式267]
【0188】
[化学式268]
【0189】
[化学式269]
【0190】
本発明は、前記化学式261~化学式269に例示された化合物に限定されるものではなく、前記化合物を参考にして様々な変形が可能である。
【0191】
一方、前記第2無機酸と反応して前記化学式200で表されるシロキサン無機酸塩を調製することができる前記シロキサン化合物は、上記化学式20で表される化合物であり得る。前記化学式20で表される化合物については、前記の通りである。
【0192】
前記第2無機酸と前記シロキサン化合物とを反応させて前記シロキサン無機酸塩を調製する方法は、前記第2無機酸と前記シラン化合物とを反応させて前記シラン無機酸塩を調製する方法において、前記シラン化合物の代わりに前記シロキサン化合物を使用することを除いては同一である。
【0193】
また、前記第2添加剤は、下記化学式300で表されるアルコキシシラン化合物を含むことができる。
【0194】
[化学式300]
【0195】
前記化学式300において、前記R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアミノアルキル基、炭素数1~10のアミノアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記R~Rのうちの少なくとも一つは、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアミノアルキル基または炭素数1~10のアミノアルコキシ基である。
【0196】
具体的に、前記化学式300で表されるアルコキシシラン化合物は、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルトリエトキシシラン(MTEOS)、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン(PrTMOS)、プロピルトリエトキシシラン(PrTEOS)、プロピルトリプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリプロピルプロポキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、[3-(2-アミノエチル)アミノプロピル]トリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであり得、また、前記化学式300で表されるアルコキシシラン化合物は、ブチル(メトキシ)ジメチルシラン、3-シアノプロピルジメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキシルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、4-アミノブチルジメチルメトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、トリメチルペンチルシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、トリス(ジメチルアミノ)シランおよびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであることもあり得る。
【0197】
また、前記第2添加剤は、下記化学式350で表されるシロキサン化合物を含むことができる。
【0198】
[化学式350]
【0199】
前記化学式350において、前記R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアミノアルキル基、炭素数1~10のアミノアルコキシ基および炭素数6~30のアリール基からなる群より選択されるいずれか一つであり、前記R~Rのうちの少なくとも一つは、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアミノアルキル基、または炭素数1~10のアミノアルコキシ基であり、前記nは1~4の整数である。
【0200】
具体的には前記化学式350で表されるシロキサン化合物は、トリス(トリメチルシロキシ)シラン(tris(trimethylsiloxy)silane)、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン(tetrakis(trimethylsiloxy)silane)、(アミノプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン((aminopropyl)tris(trimethylsiloxy)silane)、(アミノプロピル)トリス(ジエチルアミノシロキシ)シラン((aminopropyl)tris(diethylaminosiloxy)silane)、(アミノプロピル)トリス(メチルエチルアミノシロキシ)シラン((aminopropyl)tris(methylethylaminosiloxy)silane)、トリス(トリメチルシロキシ)メチルシラン(tris(trimethylsiloxy)methylsilane)、トリス(ジエチルアミノシロキシ)メチルシラン(tris(diethylaminosiloxy)methylsilane)、トリス(メチルエチルアミノシロキシ)メチルシラン(tris(methylethylaminosiloxy)methylsilane)、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。
【0201】
前記化学式300で表されるアルコキシシラン化合物、または前記化学式350で表されるシロキサン化合物において、シリコン原子と酸素原子の結合は不安定なのでその結合が切れやすい。しかし、前記化学式300で表されるアルコキシシラン化合物、または前記化学式350で表されるシロキサン化合物がアミノ基を含む場合、前記アミノ基を含む原子団はシリコン原子と酸素原子との結合を安定化させることができる。つまり、不安定なシリコン原子と酸素原子との結合が切れることにより発生し得る、反応副産物の生成を最小限に抑えることができる。したがって、エッチング工程の間に生成されるパーティクルを最小化することができ、パーティクルによって後続工程において発生し得る不具合を最小化することができる。
【0202】
また、前記化学式300で表されるアルコキシシラン化合物、または前記化学式350で表されるシロキサン化合物に含まれている酸素は、酸化膜の表面に結合して酸化膜を保護することができる。一例として、前記化学式300で表されるアルコキシシラン化合物、または前記化学式350で表されるシロキサン化合物に含まれている酸素は、酸化膜の表面にて水素結合され、窒化物がエッチングされる間に酸化膜がエッチングされることを最小化することができる。したがって、酸化膜に対する窒化物のエッチング選択性を増加させることができる。
【0203】
また、前記第2添加剤は、下記化学式400で表されるオキシム化合物を含むことができる。前記エッチング用組成物が、前記化学式400で表されるオキシムシラン化合物を含む場合、シリコン酸化膜のエッチングレートを最小化し、満足すべき、シリコン窒化膜のエッチングレートおよびエッチング速度を確保することができる。つまり、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜層が混在する場合、前記シリコン酸化膜に対してエッチングの影響をほとんど及ばさずに、前記シリコン窒化膜のみをエッチングする効果を得ることができる。また、前記化学式400で表されるオキシム化合物を、前記化学式300で表されるアルコキシシラン化合物または前記化学式350で表されるシロキサン化合物と一緒に使用する場合は、それらの溶解度を増加させ得る。
【0204】
[化学式400]
【0205】
前記化学式400において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルキルカルボニル基、炭素数1~20のアルキルカルボニルオキシ基、および炭素数1~10のシアノアルキル基からなる群より選択されるいずれか一つである。
【0206】
具体的に、前記のオキシム化合物は、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、アセトアルデヒドオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、シクロデカノンオキシム、およびこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つであり得る。
【0207】
また、前記第2添加剤は、下記化学式500で表されるオキシムシラン化合物を含むことができる。前記エッチング用組成物が前記化学式500で表されるオキシムシラン化合物を含む場合、シリコン酸化膜のエッチングレートを最小化し、満足すべき、シリコン窒化膜のエッチングレートおよびエッチング速度を確保することができる。つまり、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜層が混在する場合、前記シリコン酸化膜に対してエッチングの影響をほとんど及ばさずに、前記シリコン窒化膜のみをエッチングする効果を得ることができる。また、通常のエッチング用組成物に比べて高いエチングレートと選択比を得ることができ、長時間使用してもシリコン窒化膜のエッチングレートが低下する問題が発生しないので、シリコン窒化膜の選択的エッチングを必要とする半導体素子の製造の際、効果的に適用され得る。
【0208】
[化学式500]
【0209】
前記化学式500において、前記R~Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアリールアルキル基および炭素数1~20のアルキルカルボニル基からなる群より選択されるいずれか一つである。
【0210】
より具体的には、前記R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ビニル基、アセチル基、ベンジル基、またはフェニル基であり得る。
【0211】
前記化学式500において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアリールアルキル基および炭素数1~20のアルキルカルボニル基からなる群より選択されるいずれか一つであるか、または前記RおよびRは炭素数3~12のアルキル基として互いに結合して脂環族環を形成することができる。
【0212】
より具体的には、前記RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェニル基であるか、または、前記RとRとが互いに融合されてシクロヘキシル基を形成することもできる。
【0213】
前記化学式500において、前記x、y、zはそれぞれ独立して0~3の整数であり、x+y+zは0~3の整数である。
【0214】
具体的に、前記オキシムシラン化合物は、ジ(エチルケトキシム)シラン、モノ(エチルケトキシム)シラン、トリス(エチルケトキシム)シラン、テトラ(エチルケトキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(アセトキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトキシム)シラン、ジメチルジ(メチルエチルケトキシム)シラン、トリメチル(メチルエチルケトキシム)シラン、テトラ(メチルエチルケトキシムシルラン)、テトラ(メチルイソブチルケトキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルビニルジ(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルトリス(メチルイソブチルケトキシム)シランおよびフェニルトリス(メチルエチルケトキシム)シランからなる群より選択されるいずれか一つであり得る。
【0215】
一方、前記第1無機酸は、窒化膜をエッチングするエッチング剤として添加されるものであり、前記窒化膜をエッチングできるものであればいずれも使用可能である。例えば硫酸、硝酸、リン酸、ケイ酸、フッ酸、ホウ酸、塩酸、過塩素酸、および混合物からなる群より選択されるいずれか一つを使用することができる。前記第1無機酸は、前記溶媒と予め混合した水溶液の状態で、前記第1添加剤と混合することができる。
【0216】
好ましくは、前記酸化膜に対する前記窒化膜のエッチング選択比を得るために、前記第1無機酸にはリン酸を使用することができる。前記リン酸は、前記エッチング用組成物内に水素イオンを提供して、エッチングを促進させる役割を果たせる。前記第1無機酸として前記リン酸を使用する場合、前記エッチング用組成物は、硫酸を添加物としてさらに含むことができる。前記硫酸は、前記リン酸を第1無機酸として含むエッチング用組成物の沸点を上昇させて窒化膜のエッチングに助けとなり得る。
【0217】
前記第1無機酸の含有量は、前記エッチング用組成物の総重量に対して70~99重量%、好ましくは70~90重量%、より好ましくは75~85重量%であり得る。前記第1無機酸が70重量%未満で含まれる場合、窒化膜が容易に除去されないのであり得、パーティクルが発生するおそれがあり、99重量%を超えて含まれる場合、窒化膜に対する高い選択比を得ることができない。
【0218】
前記エッチング用組成物は、前述の成分を除いた含有量で溶媒を含むことができる。前記溶媒は、具体的に、水または脱イオン水などであり得る。
【0219】
前記エッチング用組成物は、前記エッチング用組成物の全体に対して、アンモニウム系化合物を0.01~20重量%でさらに含むことができる。前記エッチング用組成物が、前記アンモニウム系化合物をさらに含む場合、前記エッチング用組成物を長期間使用しても、エッチングレートの低下や選択比の変化が発生せず、エッチングレートを一定に維持する効果がある。
【0220】
前記アンモニウム系化合物が0.01重量%未満で添加される場合、長期間使用時に選択度を維持する効果が減少し、20重量%を超えて添加される場合、窒化膜とシリコン酸化膜のエッチングレートが変化するようになり、選択度が変化し得る。
【0221】
前記アンモニウム系化合物は、アンモニア水、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、フッ化アンモニウムから選択されるいずれかまたは二つ以上の混合物を利用することができる。また、前記アンモニウム系化合物は、前記化合物に限定されるものではなく、アンモニウムイオン有するすべての化合物を含む。例えば、前記アンモニウム系化合物は、NHとHClとを一緒に使用することもできる。
【0222】
前記エッチング用組成物は、前記エッチング用組成物全体に対して、フッ素系化合物を0.01~1重量%でさらに含むことができる。前記フッ素系化合物が0.01重量%未満で添加される場合、窒化膜のエッチングレートが小さくなり窒化膜の除去が容易でないことがあり、1重量%を超える場合、窒化膜のエッチングレートは大幅に向上するが、酸化膜もエッチングされてしまうという欠点がある。
【0223】
前記フッ素系化合物は、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムから選択されるいずれかまたは二つ以上の混合物を利用することができる。より好ましくは、フッ化水素アンモニウムを使用することが、長期使用時に選択比を維持できるため好ましい。
【0224】
一方、前記エッチング用組成物は、エッチング性能を向上させるために、当業界で通常使用される任意の添加剤をさらに含むことができる。添加剤としては、界面活性剤、金属イオン封鎖剤、防腐剤などを使用することができる。
【0225】
前記エッチング用組成物は、前記シラン無機酸塩を含むことにより、著しく高い、酸化膜に対する窒化膜のエッチング選択比を示すので、窒化膜のエッチング工程に使用することができる。
【0226】
したがって、エッチング工程において、酸化膜のエッチングを最小化してEFHを容易に調節することができる。また、エッチングによる窒化膜の選択的除去の際に酸化膜の膜質損傷や酸化膜のエッチングによる電気的特性の低下を防止し、パーティクル発生が防止され、素子特性を向上させることができる。
【0227】
本発明の他の一実施例に係る半導体素子の製造方法は、前記エッチング用組成物を用いて行われるエッチング工程を含む。
【0228】
一実施例において、このようなエッチング工程は窒化膜をエッチングすることを特徴とし、特に酸化膜に対して窒化膜を選択的にエッチングすることを特徴とする。
【0229】
前記窒化膜は、シリコン窒化膜、例えばSiN膜、SiON膜などを含むことができる。
【0230】
また、前記酸化膜は、シリコン酸化膜、例えば、SOD(Spin On Dielectric)膜、HDP(High Density Plasma)膜、熱酸化膜(thermaloxide)、BPSG(Borophosphate Silicate Glass)膜、PSG(Phospho Silicate Glass)膜、BSG(Boro Silicate Glass)膜、PSZ(Polysilazane)膜、FSG(Fluorinated Silicate Glass)膜、LP-TEOS(Low Pressure Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜、PETEOS(Plasma Enhanced Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜、HTO(High Temperature Oxide)膜、MTO(Medium Temperature Oxide)膜、USG(Undopped Silicate Glass)膜、SOG(Spin On Glass)膜、APL(Advanced Planarization Layer)膜、ALD(Atomic Layer Deposition)膜、PE-酸化膜(Plasma Enhanced oxide)、O3-TEOS(O3-Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜、およびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも一つ以上の膜であり得る。
【0231】
前記エッチング用組成物を利用するエッチング工程は、当業界に周知のウェットエッチング法、例えば、浸漬法、噴射法などにより行うことができる。
【0232】
前記エッチング工程の際、工程温度は、50~300℃、好ましくは100~200℃の範囲であり得、適正温度は他の工程とその他の要因を考慮して、必要に応じて変更され得る。
【0233】
このように、前記エッチング用組成物を用いて行われるエッチング工程を含む半導体素子の製造方法によると、窒化膜と酸化膜とが交互に積層されるか混在している場合、窒化膜に対する選択的エッチングが可能である。また、従来のエッチング工程における問題であったパーティクルの発生を防止して、工程の安定性および信頼性を確保することができる。
【0234】
したがって、このような方法は、半導体素子の製造工程において、酸化膜に対して窒化膜の選択的エッチングを必要とする様々な過程に効率よく適用することができる。
【0235】
図3~5は、本発明の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含むフラッシュメモリ素子の素子分離工程を説明するための工程断面図である。
【0236】
図3を参照すると、基板20上にトンネル酸化膜21、ポリシリコン膜22、バッファ酸化膜23、およびパッド窒化膜24を順に形成する。
【0237】
次いで、フォトおよびエッチングの工程により、パッド窒化膜24、バッファ酸化膜23、ポリシリコン膜22、およびトンネル酸化膜21を選択的にエッチングして、基板20の素子分離領域を露出させる。
【0238】
続いて、パッド窒化膜24をマスクとして利用して、露出された基板20を選択的にエッチングして表面から所定の深さを有するトレンチ25を形成する。
【0239】
図4を参照すると、トレンチ25をギャップフィルするまで、基板20の全面に化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition、CVD)などを用いて酸化膜26を形成する。
【0240】
引き続き、パッド窒化膜24を研磨停止膜として、酸化膜26に化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)工程を行う。
【0241】
続いて、ドライエッチングにより洗浄工程を行う。
【0242】
図5を参照すると、本発明に係るエッチング用組成物を利用するウェットエッチング工程によりパッド窒化膜24を選択的に除去した後、洗浄工程によりバッファ酸化膜23を除去する。これにより、フィールド領域に素子分離膜26Aが形成される。
【0243】
図5に示すように、本発明においては、酸化膜に対する窒化膜のエッチング選択比の高い、高選択比のエッチング用組成物を利用することにより、STIパターンにギャップフィルされた酸化膜についてのエッチングは最小化しつつ、十分な時間の間に、窒化膜を完全に選択的に除去することができる。これにより、有効酸化膜高さ(EFH)を容易に制御することができ、酸化膜の損傷やエッチングによる電気的特性の低下やパーティクルの発生を防止して、素子特性を向上させることができる。
【0244】
前記実施例は、フラッシュメモリ素子について説明したが、本発明による高選択比のエッチング用組成物は、DRAM素子の素子分離工程にも無論適用可能である。
【0245】
図6~11は、本発明の他の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含むフラッシュメモリ素子のチャネル形成工程を説明するための工程断面図である。
【0246】
図6を参照すると、基板30上にパイプチャネルを形成するための窒化膜32が埋め込まれたパイプゲート電極膜31を形成する。パイプゲート電極膜31をなす第1および第2導電膜31Aおよび31Bは、例えば、不純物がドープされたポリシリコンを含むことができる。
【0247】
より具体的には、基板30上に第1導電膜31Aを形成し、第1導電膜31A上に窒化膜を蒸着し、該窒化膜をパターニングして、パイプチャネルを形成するための窒化膜32を形成した後、窒化膜32によって露出される第1導電膜31A上に第2導電膜31Bを形成する。該第1および第2導電膜31Aおよび31Bが、パイプゲート電極膜31を形成する。
【0248】
次いで、前記工程の結果物の上に、垂直方向に積層される複数のメモリセルを形成するために、第1層間絶縁膜33および第1ゲート電極膜34を交互に積層する。以下、説明の便宜のために、第1層間絶縁膜33および第1ゲート電極膜34が交互に積層された構造物を、セルゲート構造物CGSということとする。
【0249】
ここで、第1層間絶縁膜33は、複数層のメモリセル間の分離のためのもので、例えば、酸化膜を含むことができるのであり、第1ゲート電極膜34は、例えば、不純物がドープされたポリシリコンを含むことができる。本実施例では、6層の第1ゲート電極膜34が示されているが、これに限定されるものではない。
【0250】
続いて、セルゲート構造物(CGS)を選択的にエッチングして窒化膜32を露出させる一対の第1および第2ホールH1、H2を形成する。第1および第2ホールH1、H2は、メモリセルのチャネル形成のための空間である。
【0251】
図7を参照すると、第1および第2ホールH1、H2内に埋め込まれる窒化膜35を形成する。この窒化膜35は、後述するトレンチ形成工程(図3cを参照)にて、第1および第2ホールH1、H2によって第1ゲート電極膜34が露出されている場合に発生し得る損傷を防止するためのものである。
【0252】
図8を参照すると、複数層の第1ゲート電極膜34が、第1および第2ホールH1、H2のそれぞれごとに分離されるように、一対の第1および第2ホールH1、H2の間のセルゲート構造物(CGS)を、選択的にエッチングして、トレンチSを形成する。
【0253】
図9を参照すると、トレンチS内に埋め込まれる犠牲膜36を形成する。
【0254】
図10を参照すると、前記工程の結果物上に、選択トランジスタの形成のために第2層間絶縁膜37、第2ゲート電極膜38および第2層間絶縁膜37を順次形成する。以下、説明の便宜のために、第2層間絶縁膜37、第2ゲート電極膜38および第2層間絶縁膜37の積層構造物を、選択ゲート構造物SGSということとする。
【0255】
第2層間絶縁膜37は、例えば、酸化膜を含むことができるのであり、第2ゲート電極膜38は、例えば、不純物がドープされたポリシリコンを含むことができる。
【0256】
続いて、選択ゲート構造物SGSを選択的にエッチングして、一対の第1および第2ホールH1、H2に埋め込まれた窒化膜35を露出させる、第3および第4ホールH3、H4を形成する。第3および第4ホールH3、H4は、選択トランジスタのチャネルが形成される領域である。
【0257】
図11を参照すると、第3および第4ホールH3、H4によって露出される窒化膜35およびその下部の窒化膜32を、本発明に係るエッチング用組成物を利用するウェットエッチング工程によって選択的に除去する。
【0258】
本工程の結果、メモリセルのチャネル膜が形成される一対のセルチャネルホールH5、H6と、セルチャネルホールH5、H6下部に配置されこれらを相互接続させるパイプチャネルホールH7が形成される。ここで、本発明に係る高選択比のエッチング用組成物を利用することにより、酸化膜の損失もなく、十分な時間の間に窒化膜を完全に選択的に除去して、プロファイルの損失もなく、パイプチャネルを正確に形成することができる。また、従来に問題とされたパーティクルの発生を防止することができ、工程の安定性および信頼性を確保することができる。
【0259】
以後、後続の工程、例えば、フローティングゲートの形成工程およびコントロールゲートの形成工程などを行い、フラッシュメモリ素子を形成する。
【0260】
図12および13は、本発明の他の一実施例に係るエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含む相変化メモリ素子におけるダイオードの形成工程を説明するための工程断面図である。
【0261】
図12を参照すると、基板40上に、導電領域41を露出する開口部を有する絶縁構造物が提供される。導電領域41は例えば、n不純物の領域であり得る。
【0262】
次いで、開口部を一部埋めるようにポリシリコン膜42を形成した後、不純物をイオン注入してダイオードを形成する。
【0263】
続いて、ポリシリコン膜42の上にチタンシリサイド膜43を形成する。チタンシリサイド膜43は、チタン膜を形成した後、ポリシリコン膜42と反応するように熱処理することによって形成することができる。
【0264】
続いて、チタンシリサイド膜43の上にチタン窒化膜44および窒化膜45を順に形成する。
【0265】
続いて、ハードマスクを用いたドライエッチング工程を行い、形成されているダイオード同士の間の孤立された空間に酸化膜46を形成した後、CMP工程を行って、それぞれ分離された下部電極の1次構造を形成する。
【0266】
図13を参照すると、前記工程の結果物に、本発明に係るエッチング用組成物を利用するウェットエッチング工程を実施し、上部の窒化膜45を選択的に除去する。このように、窒化膜除去の際、本発明に係る高選択比のエッチング用組成物を利用することにより、酸化膜を損失することなく、十分な時間の間に、窒化膜を完全に選択的除去することができる。また、酸化膜の膜質損傷や、酸化膜のエッチングに起因する電気的特性の低下、およびパーティクル発生を防止して、素子特性を向上させることができる。
【0267】
続いて、窒化膜45が除去された空間にチタンを蒸着して下部電極を形成する。
【0268】
前述した工程の外にも、本発明のエッチング用組成物を用いて行われるエッチング工程を含む半導体素子の製造方法は、特に、窒化膜の選択的除去が要求される工程に、例えば、窒化膜と酸化膜とが交互に積層されるか混在されている場合で、窒化膜に対する選択的エッチングが要求される工程に、効率的に適用可能である。
【0269】
(実施形態)
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるよう、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0270】
[調製例:エッチング用組成物の調製]
<実施例1>
第1無機酸としてリン酸(85%水溶液)を99重量%、第1添加剤としてジメチルジメトキシシラン1重量%を混合して、エッチング用組成物を調製した。
【0271】
<実施例2>
第1無機酸としてリン酸(85%水溶液)を98重量%、第1添加剤としてジエチルジエトキシシラン2重量%を混合して、エッチング用組成物を調製した。
【0272】
<実施例3>
第1無機酸としてリン酸(85%水溶液)を99.5重量%、第1添加剤としてヘキサメチルジシロキサン0.5重量%を混合して、エッチング用組成物を調製した。
【0273】
<実施例4>
第1無機酸としてリン酸(85%水溶液)を99重量%、第1添加剤としてヘキサメチルジシラザン1重量%を混合して、エッチング用組成物を調製した。
【0274】
<実施例5>
第1無機酸としてリン酸(85%水溶液)を98.5重量%、第1添加剤としてジエチルジエトキシシランを1重量%、第2添加剤として、前記化学式53においてR1-1がメチル基である下記化学式53-1で表される添加剤0.5重量%を混合して、エッチング用組成物を調製した。
【0275】
[化学式53-1]
【0276】
<実施例6>
第1無機酸としてリン酸(85%水溶液)を98.8重量%、第1添加剤としてジメチルジメトキシシランを1重量%、第2添加剤として、前記化学式53-1で表される添加剤0.2重量%を混合して、エッチング用組成物を調製した。
【0277】
<実施例7>
第1無機酸としてリン酸(85%水溶液)を99重量%、第1添加剤としてヘキサメチルジシロキサンを0.5重量%、第2添加剤として、前記化学式53-1で表される添加剤0.5重量%を混合して、エッチング用組成物を調製した。
【0278】
<実施例8>
第1無機酸としてリン酸(85%水溶液)を98.8重量%、第1添加剤としてヘキサメチルジシラザンを1質量%、第2添加剤として、前記化学式53-1で表される添加剤0.2重量%を混合して、エッチング用組成物を調製した。
【0279】
<比較例1>
第1添加剤および第2添加剤を含まず、第1無機酸としてリン酸(85%水溶液)100重量%を用いて、エッチング用組成物を調製した。
【0280】
<比較例2>
第1添加剤を含まず、第1無機酸としてリン酸(85%水溶液)99.5重量%、第2添加剤として前記化学式53-1で表される添加剤0.5重量%を用いてエッチング用組成物を調製した。
【0281】
<比較例3>
第1添加剤を含まず、第1無機酸としてリン酸(85%水溶液)99.8重量%、第2添加剤として前記化学式53-1で表される添加剤0.2重量%を用いてエッチング用組成物を調製した。
【0282】
【表1】
【0283】
[実験例1:調製されたエッチング用組成物の選択比の測定]
前記実施例および比較例において調製されたエッチング用組成物を用いて、157℃の工程温度で窒化膜および酸化膜に対するエッチングを実施し、薄膜の厚さ測定装置であるエリプソメトリー(NANO VIEW、SEMG-1000)を用いて、窒化膜および酸化膜のエッチングレートおよび選択比を測定し、表2に示した。エッチングレートは、各膜を300秒間エッチングした後、各膜のエッチング処理前の膜厚とエッチング処理後の膜厚の差をエッチング時間(分)で割って算出した値であり、選択比は、酸化膜のエッチング速度に対する窒化膜のエッチング速度の比を示す。
【0284】
また、実際の高温リン酸工程を模写するために、前記調製されたエッチング用組成物に窒化シリコン膜を任意で溶かし、溶液内のシリコン濃度を高める前処理を行った。前記工程を行うと、窒化シリコン膜がエッチングされる際、溶液内のシリコン濃度が高くなり、これによってシリコン酸化膜のエッチングレートがさらに低下する。前記溶液内のシリコン濃度がそれぞれ50ppm、100ppm、150ppm、および200ppmになるまで、前記の前作業を行ってから、前記エッチングを実施しており、その結果を下記表2および表3に示した。
【0285】
【表2】
【0286】
【表3】
【0287】
前記表2および3に示すように、第1添加剤を含む実施例1~8と、第1添加剤を含まない比較例1~3の酸化膜に対する窒化膜のエッチング選択比を比較してみると、実施例1~8の選択比が、より高いものとして示されていることが確認できた。特に第2添加剤をさらに含む実施例5~8の選択比は、223~6512と、著しく高い値を示すことが確認できた。
【0288】
前記本発明は、前述の実施例および添付の図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形および変更が可能であることは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとり明らかである。
【符号の説明】
【0289】
20、30、40:基板
21:トンネル酸化膜
22:ポリシリコン膜
23:バッファ酸化膜
24:パッド窒化膜
25:トレンチ
26:酸化膜
26A:素子分離膜
31:パイプゲート電極膜
32、35:窒化膜
33:第1層間絶縁膜
34:第1ゲート電極膜
36:犠牲膜
37:第2層間絶縁膜
38:第2ゲート電極膜
41:導電領域
42:ポリシリコン膜
43:チタンシリサイド膜
44:チタン窒化膜
45:窒化膜
46:酸化膜
【産業上の利用可能性】
【0290】
本発明は、エッチング用組成物、特に酸化膜のエッチングレートを最小限に抑えながら窒化膜を選択的に除去することができる高選択比のエッチング用組成物およびこのエッチング用組成物を用いたエッチング工程を含む半導体素子の製造方法を提供する。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13