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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】着色硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/22 20060101AFI20220525BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20220525BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20220525BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220525BHJP
   G03F 7/032 20060101ALI20220525BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220525BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220525BHJP
   C09B 57/04 20060101ALN20220525BHJP
   C09B 11/28 20060101ALN20220525BHJP
【FI】
C09B67/22 Z
C09B67/46 A
C09B67/20 J
G03F7/004 505
G03F7/032
G02B5/20 101
G02F1/1335 505
C09B57/04
C09B11/28 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018057778
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2018168365
(43)【公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】P 2017066450
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】中山 智博
(72)【発明者】
【氏名】栂井 学
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-140348(JP,A)
【文献】特開2007-112919(JP,A)
【文献】特開2009-120777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00 - 69/10
G03F 7/004
G03F 7/032
G02B 5/20
G02F 1/1335
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、
着色剤として、下記式(IA)で表される化合物及びキサンテン化合物を含む着色硬化性樹脂組成物。
【化1】

[式(IA)中、
1a は、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH 2 -及び該複素環基が環を構成しない-CH 2 -を含むときの該-CH 2 -は、-O-、-CO-、-S(O) 2 -又は-NR na -に置き換わっていてもよい。ただし、-CH 2 -が置き換わることで-COOH又は-S(O) 2 OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO 2 - 及び-S(O) 2 - からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
2a ~R 5a は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO 2 - 又は-S(O) 2 - を表し、該炭化水素基に含まれる-CH 2 -及び該複素環基が環を構成しない-CH 2 -を含むときの該-CH 2 -は、-O-、-CO-、-S(O) 2 -又は-NR na -に置き換わっていてもよい。ただし、-CH 2 -が置き換わることで-COOH又は-S(O) 2 OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO 2 - 及び-S(O) 2 - からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。R 2a とR 3a 、R 3a とR 4a 、及び、R 4a とR 5a 、の少なくとも1組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH 2 -を含むときの該-CH 2 -は、-O-、-CO-、-S(O) 2 -又は-NR na -に置き換わっていてもよい。ただし、-CH 2 -が置き換わることで-COOH又は-S(O) 2 OHを形成することはない。また、該環は、-CO 2 - 及び-S(O) 2 - からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
na は、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基及び該複素環基は、-CO 2 - 及び-S(O) 2 - からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。R na が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
6a 及びR 8a は、互いに独立に、-CO-OR na2 、-CO-NH(R na2 )、-CO-N(R na2 2 又は-CO-R na2 を表す。
na2 は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH 2 -及び該複素環基が環を構成しない-CH 2 -を含むときの該-CH 2 -は、-O-、-CO-、-S(O) 2 -又は-NR na10 -に置き換わっていてもよい。ただし、-CH 2 -が置き換わることで-COOH及び-S(O) 2 OHを形成することはない。また該炭化水素基又は複素環基は、-CO 2 - を少なくとも1つ有する。R na2 が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
na10 は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を表し、R na10 が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
7a 及びR 9a は、シアノ基を表す。
b+ は、ヒドロン又はb価の金属イオンを表す。M b+ が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
bは、1~6のいずれかの整数を表す。
aaは、2~10のいずれかの整数を表す。
maは、M b+ の個数を表す。
naは、na=b×ma/aaの関係を満たす数である。]
【請求項2】
前記キサンテン化合物が、式(X1)で表される化合物である請求項1に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【化2】

[式(X1)中、R31~R34は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6~10の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基又は式(iix)で表される基を表し、
*-R50-Si(R293 (iix)
[式(iix)中、R29は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基を表し、複数のR29は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
50は、炭素数1~10のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する-CH2-は、-O-、-CO-、-NR41-、-OCO-、-COO-、-OCONH-、-NHCOO-、-CONH-または-NHCO-で置換されていてもよい。
*は、窒素原子との結合手を表す。]
31~R34において、該飽和炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-、-CO-、-NR41-、-OCO-、-COO-、-OCONH-、-NHCOO-、-CONH-又は-NHCO-で置換されていてもよく、R31及びR32は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R33及びR34は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
35は、-OH、-SO3 -、-SO3H、-SO3 -+、-CO2H、-CO2 -+、-CO240、-SO338又は-SO2NR3940を表す。
36及びR37は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
mは、0~5の整数を表す。mが2以上のとき、複数のR35は同一でも異なってもよい。
kは、0又は1の整数を表す。
Xは、ハロゲン原子を表す。
+は、+N(R414、Na+又はK+を表し、4つのR41は同一でも異なっていてもよい。
38は、炭素数1~20の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
39及びR40は、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-、-CO-、-NR41-、-OCO-、-COO-、-OCONH-、-NHCOO-、-CONH-または-NHCO-で置換されていてもよく、R39及びR40は、互いに結合して窒素原子を含む3~10員環の複素環を形成していてもよい。
41は、水素原子又は炭素数1~20の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数6~10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【請求項3】
さらに溶剤を含む請求項1又は2に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1~のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項5】
請求項4に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
着色硬化性樹脂組成物は、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置及びプラズマディスプレイ等の表示装置に使用されるカラーフィルタの製造に用いられている。着色硬化性樹脂組成物は、所望の色調等を得るために、色の異なる2種以上の着色剤を含むことがある。
【0003】
例えば、特開2013-140348号公報(特許文献1)には、着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、着色剤が、式(1a)で表される化合物と、黄色顔料、オレンジ色顔料及び赤色顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料とを含む赤色着色硬化性樹脂組成物が記載されており、黄色顔料として、ピグメントイエロー139が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-140348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から知られる上記の着色硬化性樹脂組成物よりも、コントラストの高い着色硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の発明を含む。
[1]着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、
着色剤として、下記式(I)で表される化合物及びキサンテン化合物を含む着色硬化性樹脂組成物。
【化1】

[式(I)中、
aは、式(I)で表される化合物が有する-CO2 -及び-S(O)2-の合計数を表し、
a)aが1~10のいずれかの整数である場合、
XはCR89を表し、
1は、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
2~R9は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2 -又は-S(O)2-を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、及び、R8とR9の少なくとも1組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また、該環は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
naは、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。Rnaが複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
b+は、ヒドロン又はb価の金属イオンを表す。Mb+が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。Mb+がヒドロンのとき、該ヒドロンは前記-CO2 -又は-S(O)2-と一緒になって-CO2H及びS(O)2OHとして存在する。
bは、1~6のいずれかの整数を表す。
mは、Mb+の個数を表す。
nは、n=b×m/aの関係を満たす数である。
b)aが0である場合、
nは1を表し、かつmは0を表す。
1は、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
2~R5は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
2とR3、R3とR4、及び、R4とR5の少なくとも一組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
6は、-CO-ORnb1、-CO-NH2、-CO-NH(Rnb1)、-CO-N(Rnb12、-CO-H、-CO-Rnb1又は-S(O)2-Rnb1を表す。
ただし、R6が-CO-NH(Rnb1)を表す場合、R2~R5は、(ib)及び(iib)の少なくとも一方を充足する。
(ib)R2~R5の少なくとも一つが、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
(iib)R2とR3、R3とR4、及び、R4とR5からなる群から選ばれる少なくとも一組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。R2~R5のうち環を形成しないものは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
7は、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。またR7は、R6及びR7が結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。
Xは、式(1a)で表される基を表す。
【化2】

[式(1a)中、R17b~R18bは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
17bとR18bは、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
*1は、イソインドリン環との結合手を表す。]
nbは、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表す。Rnbが複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
nb1は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb10-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。Rnb1が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
nb10は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表す。Rnb10が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。]
[2]式(1a)で表される基が、式(2a)で表される基である[1]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【化3】

[式(2a)中、R19b~R20bは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
nbは、前記と同じ意味を表す。
*2は、イソインドリン環との結合手を表す。]
[3]式(I)で表される化合物が、式(II)で表される化合物である[1]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【化4】

[式(II)中、
11は、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
12~R15は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
12とR13、R13とR14、及び、R14とR15は、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-、-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。該環は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
16は、-CO-ORna1、-CO-NH2、-CO-NH(Rna1)、-CO-N(Rna12、-CO-H、-CO-Rna1又は-S(O)2-Rna1を表す。
ただし、R16が-CO-NH(Rna1)を表す場合、R12~R15は、(ix)及び(iix)の少なくとも一方を充足する。
(ix)R12~R15の少なくとも一つが、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
(iix)R12とR13、R13とR14、及び、R14とR15の少なくとも一組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また該環は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。R12~R15のうち環を形成しないものは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH及び-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
1は、式(1a-x)で表される基を表す。
【化5】

[式(1a-x)中、R21~R22は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
21とR22とは、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。該環は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
*1は、イソインドリン環との結合手を表す。]
naは、前記と同じ意味を表す。
na1は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna10-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH及び-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。Rna1が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
na10は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を表し、Rna10が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
axは、式(II)で表される化合物が有する-CO2 -及び-S(O)2-の合計数であり、0~10のいずれかの整数を表す。
MXbx+は、ヒドロン又はbx価の金属イオンを表す。MXbx+が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。MXbx+がヒドロンのとき、該ヒドロンは前記-CO2 -又は-S(O)2-と一緒になって-CO2H及びS(O)2OHとして存在する。
bxは、1~6のいずれかの整数を表す。
axが0のときmxは0であり;axが0以外のとき、mxは、MXb+の個数を表す。
axが0のときnxは0であり;axが0以外のとき、nxは、nx=bx×mx/axの関係を満たす数である。]
[4]式(1a-x)で表される基が、式(2a-x)で表される基である[3]に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【化6】

[式(2a-x)中、R23~R24は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH及び-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
naは、前記と同じ意味を表す。
*2は、イソインドリン環との結合手を表す。]
[5]前記キサンテン化合物が、式(X1)で表される化合物である[1]~[4]のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【化7】

[式(X1)中、R31~R34は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6~10の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基又は式(iix)で表される基を表し、
*-R50-Si(R293 (iix)
[式(iix)中、R29は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基を表し、複数のR29は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
50は、炭素数1~10のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する-CH2-は、-O-、-CO-、-NR41-、-OCO-、-COO-、-OCONH-、-NHCOO-、-CONH-または-NHCO-で置換されていてもよい。
*は、窒素原子との結合手を表す。]
31~R34において、該飽和炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-、-CO-、-NR41-、-OCO-、-COO-、-OCONH-、-NHCOO-、-CONH-又は-NHCO-で置換されていてもよく、R31及びR32は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R33及びR34は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
35は、-OH、-SO3 -、-SO3H、-SO3 -+、-CO2H、-CO2 -+、-CO240、-SO338又は-SO2NR3940を表す。
36及びR37は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
mは、0~5の整数を表す。mが2以上のとき、複数のR35は同一でも異なってもよい。
kは、0又は1の整数を表す。
Xは、ハロゲン原子を表す。
+は、+N(R414、Na+又はK+を表し、4つのR41は同一でも異なっていてもよい。
38は、炭素数1~20の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
39及びR40は、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-、-CO-、-NR41-、-OCO-、-COO-、-OCONH-、-NHCOO-、-CONH-または-NHCO-で置換されていてもよく、R39及びR40は、互いに結合して窒素原子を含む3~10員環の複素環を形成していてもよい。
41は、水素原子又は炭素数1~20の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数6~10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
[6]さらに溶剤を含む[1]~[5]のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
[8][7]記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、コントラストの高いカラーフィルタを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含む。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに溶剤を含むことが好ましい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、レベリング剤を含んでもよい。
本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0009】
<着色剤(A)>
前記着色剤は、式(I)で表される化合物及びキサンテン化合物を含む。
【0010】
【化8】
【0011】
[式(I)中、
aは、式(I)で表される化合物が有する-CO2 -及び-S(O)2-の合計数を表し、
a)aが1~10のいずれかの整数である場合、
XはCR89を表し、
1は、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
2~R9は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2 -又は-S(O)2-を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、及び、R8とR9の少なくとも1組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また、該環は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
naは、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。Rnaが複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
b+は、ヒドロン又はb価の金属イオンを表す。Mb+が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。Mb+がヒドロンのとき、該ヒドロンは前記-CO2 -又は-S(O)2-と一緒になって-CO2H及びS(O)2OHとして存在する。
bは、1~6のいずれかの整数を表す。
mは、Mb+の個数を表す。
nは、n=b×m/aの関係を満たす数である。
b)aが0である場合、
nは1を表し、かつmは0を表す。
1は、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
2~R5は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
2とR3、R3とR4、及び、R4とR5の少なくとも一組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
6は、-CO-ORnb1、-CO-NH2、-CO-NH(Rnb1)、-CO-N(Rnb12、-CO-H、-CO-Rnb1又は-S(O)2-Rnb1を表す。
ただし、R6が-CO-NH(Rnb1)を表す場合、R2~R5は、(ib)及び(iib)の少なくとも一方を充足する。
(ib)R2~R5の少なくとも一つが、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
(iib)R2とR3、R3とR4、及び、R4とR5からなる群から選ばれる少なくとも一組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。R2~R5のうち環を形成しないものは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
7は、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。またR7は、R6及びR7が結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。
Xは、式(1a)で表される基を表す。
【化9】

[式(1a)中、R17b~R18bは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
17bとR18bは、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
*1は、イソインドリン環との結合手を表す。]
nbは、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表す。Rnbが複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
nb1は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb10-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。Rnb1が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
nb10は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表す。Rnb10が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。]
【0012】
式(I)で表される化合物は、a(すなわち式(I)で表される化合物が有する-CO2 -及び-S(O)2-の合計数)が1~10のいずれかの整数である態様1に記載の式(IA)で表される化合物と、aが0である態様2に記載の式(IB)で表される化合物とを包含する。
【0013】
態様1:式(IA)で表される化合物。
【0014】
【化10】
【0015】
[式(IA)中、
1aは、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
2a~R9aは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2 -又は-S(O)2-を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R6aとR7a、及び、R8aとR9aの少なくとも1組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また、該環は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
naは、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。Rnaが複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
b+は、ヒドロン又はb価の金属イオンを表す。Mb+が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
bは、1~6のいずれかの整数を表す。
aaは、1~10のいずれかの整数を表す。
maは、Mb+の個数を表す。
naは、na=b×ma/aaの関係を満たす数である。]
【0016】
態様2:式(IB)で表される化合物。
【0017】
【化11】
【0018】
[式(IB)中、
1bは、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
2b~R5bは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。R2bとR3b、R3bとR4b、及び、R4bとR5bの少なくとも一組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
6bは、-CO-ORnb1、-CO-NH2、-CO-NH(Rnb1)、-CO-N(Rnb12、-CO-Rnb1又は-S(O)2-Rnb1を表す。
ただし、R6bが-CO-NH(Rnb1)を表す場合、R2b~R5bは、(ib)及び(iib)の少なくとも一方を充足する。
(ib)R2b~R5bの少なくとも一つが置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
(iib)R2bとR3b、R3bとR4b、及び、R4bとR5bからなる群から選ばれる少なくとも一組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。R2b~R5bのうち環を形成しないものは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
7bは、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。またR7bは、R6b及びR7bが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。
bは、式(1a)で表される基を表す。
【0019】
【化12】
【0020】
[式(1a)中、R17b~R18bは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、以外の置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
17bとR18bは、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
*1は、イソインドリン環との結合手を表す。]
nbは、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表す。Rnbが複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
nb1は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb10-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。Rnb1が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
nb10は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表す。Rnb10が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。]
【0021】
式(IB)で表される化合物に含まれる-CO2H及び-S(O)2OHの合計数は0である。以下、-CO2 -及び-S(O)2-を「ヒドロン結合性基」という場合がある。
【0022】
態様2において、式(1a)で表される基には、式(2a)で表される基が含まれる。
【0023】
【化13】
【0024】
[式(2a)中、R19b~R20bは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
nbは、前記と同じ意味を表す。
*2は、イソインドリン環との結合手を表す。]
【0025】
なお炭化水素基に含まれる-CH2-が-O-、-CO-、-S(O)2-、-NRna-又は-NRnb-等に置き換わって形成される基の炭素数は、-O-、-CO-、-S(O)2-、-NRna-又は-NRnb-等で置換される前の炭素数として計数する。
本明細書において「置換基」は、-COOH及び-S(O)2OHを含まない。また「置換基」は、-CH2-が、-O-、-CO-、-S(O)2-、-NRna-又は-NRnb-に置き換わることで形成される基を含まない。-CH2-が、-O-、-CO-又は-S(O)2-、-NRna-に置き換わることで形成される基を、以下、「基(Z1)」という場合がある。-CH2-が、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わることで形成される基を、以下、「基(Z2)」という場合がある。
【0026】
式(I)で表される化合物は、式(II)で表される化合物であることが好ましい。
【0027】
【化14】
【0028】
[式(II)中、
11は、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
12~R15は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
12とR13、R13とR14、及び、R14とR15は、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-、-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。該環は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
16は、-CO-ORna1、-CO-NH2、-CO-NH(Rna1)、-CO-N(Rna12、-CO-H、-CO-Rna1又は-S(O)2-Rna1を表す。
ただし、R16が-CO-NH(Rna1)を表す場合、R12~R15は、(ix)及び(iix)の少なくとも一方を充足する。
(ix)R12~R15の少なくとも一つが、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
(iix)R12とR13、R13とR14、及び、R14とR15の少なくとも一組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。また該環は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。R12~R15のうち環を形成しないものは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH及び-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
1は、式(1a-x)で表される基を表す。
【化15】

[式(1a-x)中、R21~R22は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
21とR22とは、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。該環は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
*1は、イソインドリン環との結合手を表す。]
naは、前記と同じ意味を表す。
na1は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna10-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH及び-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。Rna1が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
na10は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を表し、Rna10が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
axは、式(II)で表される化合物が有する-CO2 -及び-S(O)2-の合計数であり、0~10のいずれかの整数を表す。
MXbx+は、ヒドロン又はbx価の金属イオンを表す。MXbx+が複数個存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。MXbx+がヒドロンのとき、該ヒドロンは前記-CO2 -又は-S(O)2-と一緒になって-CO2H及びS(O)2OHとして存在する。
bxは、1~6のいずれかの整数を表す。
axが0のときmxは0であり;axが0以外のとき、mxは、MXb+の個数を表す。
axが0のときnxは0であり;axが0以外のとき、nxは、nx=bx×mx/axの関係を満たす数である。]
【0029】
式(1a-x)で表される基には、式(2a-x)で表される基が含まれる。
【0030】
【化16】
【0031】
[式(2a-x)中、R23~R24は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH及び-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
naは、前記と同じ意味を表す。
*2は、イソインドリン環との結合手を表す。]
【0032】
式(II)で表される化合物は、式(IIB)で表される化合物であってもよい。
【0033】
【化17】
【0034】
[式(IIB)中、
11bは、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
12b~R15bは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
12bとR13b、R13bとR14b、及び、R14bとR15bは、各々が結合する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
16bは、-CO-ORnb1、-CO-NH2、-CO-NH(Rnb1)、-CO-N(Rnb12、-CO-H、-CO-Rnb1又は-S(O)2-Rnb1を表す。
ただし、R16bが-CO-NH(Rnb1)を表す場合、R12b~R15bは、(ixb)及び(iixb)の少なくとも一方を充足する。
(ixb)R12b~R15bの少なくとも一つが、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
(iixb)R12bとR13b、R13bとR14b、及び、R14bとR15bの少なくとも一組は、各々が結合する炭素原子と一緒になって結合して置換基を有していてもよい環を形成しており、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH及び-S(O)2OHを形成することはない。R12b~R15bのうち環を形成しないものは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
1bは、式(1a-xb)で表される基を表す。
【化18】

[式(1a-xb)中、R21b~R22bは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
21bとR22bとは、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、該環が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
*1は、イソインドリン環との結合手を表す。]
nb、Rnb1は、前記と同じ意味を表す。]
【0035】
式(IIB)で表される化合物が有する-CO2H及び-S(O)2OHの合計数は0である。
【0036】
式(1a-xb)で表される基には、式(2a-xb)で表される基が含まれる。
【0037】
【化19】
【0038】
[式(2a-xb)中、R23b~R24bは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH又は-S(O)2OHを形成することはない。
nbは、前記と同じ意味を表す。
*2は、イソインドリン環との結合手を表す。]
【0039】
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna及びRnbで表される炭素数1~40の炭化水素基、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される炭素数1~35の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基であってもよく、該脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和であってもよく、鎖状又は脂環式であってもよい。
【0040】
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される飽和又は不飽和鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基及びイコシル基等の直鎖状アルキル基等;イソプロピル基、(2-メチル)プロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、(2-エチル)ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、(1-メチル)ペンチル基、(2-メチル)ペンチル基、(1-エチル)ペンチル基、(3-エチル)ペンチル基、イソヘキシル基、(5-メチル)ヘキシル基、(2-エチル)ヘキシル基、及び(3-エチル)ヘプチル基等の分枝鎖状アルキル基等;ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、イソプロペニル基、(1-メチル)エテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、(1-(2-プロペニル))エテニル基、(1,2-ジメチル)プロペニル基及び2-ペンテニル基等のアルケニル基;等が挙げられる。
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rna10、Rnb及びRnb10で表される飽和又は不飽和鎖状炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20であり、さらに好ましくは1~15であり、さらにより好ましくは1~10であり、さらにより一層好ましくは1~8であり、特に好ましくは1~5である。Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される飽和又は不飽和鎖状炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~28であり、より好ましくは1~18であり、さらに好ましくは1~13であり、さらにより好ましくは1~8であり、さらにより一層好ましくは1~6であり、特に好ましくは1~3である。
【0041】
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される飽和又は不飽和脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、1-メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、1-メチルシクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、1,2-ジメチルシクロヘキシル基、1,3-ジメチルシクロヘキシル基、1,4-ジメチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、2,4-ジメチルシクロヘキシル基、2,5-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、3,4-ジメチルシクロヘキシル基、3,5-ジメチルシクロヘキシル基、2,2-ジメチルシクロヘキシル基、3,3-ジメチルシクロヘキシル基、4,4-ジメチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基、2,4,6-トリメチルシクロヘキシル基、2,2,6,6-テトラメチルシクロヘキシル基及び3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル基、4-ペンチルシクロヘキシル基、4-オクチルシクロヘキシル基、4-シクロヘキシルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;シクロヘキセニル基(例えばシクロヘキサ-2-エン、シクロヘキサ-3-エン)、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基;ノルボルナン基、アダマンチル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3~30であり、より好ましくは3~20であり、さらに好ましくは4~20であり、さらにより好ましくは4~15であり、より一層好ましくは5~15であり、特に好ましくは5~10であり、中でも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基であることがとりわけ好ましい。
【0042】
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される飽和又は不飽和炭化水素基は、上記に挙げた鎖状炭化水素基及び脂環式炭化水素基を組合わせた基であってもよく、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、シクロブチルエチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基等の1つ以上の脂環式炭化水素基が結合したアルキル基が挙げられる。その炭素数は、好ましくは4~30であり、より好ましくは4~20であり、さらに好ましくは4~15である。
【0043】
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、o-イソプロピルフェニル基、m-イソプロピルフェニル基、p-イソプロピルフェニル基、o-tert-ブチルフェニル基、m-tert-ブチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、メシチル基、2,6-ビス(2-プロピル)フェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-1-ナフチル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基及びアントリル基等の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~20であり、さらに好ましくは6~15である。
【0044】
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される芳香族炭化水素基は、芳香族炭化水素環を有する炭化水素基である限り特に限定されず上記に挙げた鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基の少なくとも一つを、上記に挙げた芳香族炭化水素基と組み合わせた基であってもよく、ベンジル基、2-メチルベンジル基、3-メチルベンジル基、4-メチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、1-メチル-1-フェニルエチル基等のアラルキル基;フェニルエテニル基(フェニルビニル基)等のアリールアルケニル基;フェニルエチニル基等のアリールアルキニル基;ビフェニリル基、ターフェニリル基等の1つ以上のフェニル基が結合したフェニル基;シクロヘキシルメチルフェニル基、ベンジルフェニル基、(ジメチル(フェニル)メチル)フェニル基;等が挙げられ、その炭素数は、好ましくは7~30であり、より好ましくは7~20であり、さらに好ましくは7~15である。
【0045】
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される炭化水素基は、1価の置換基、又は2価の置換基を有していてもよい。2価の置換基は、2つの結合手が同じ炭素原子に結合して二重結合を形成するのが好ましい。
該1価の置換基としては、
メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基及びブチルチオ基等の炭素数1~10のアルキルスルファニル基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;
ニトロ基;
シアノ基;
トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロフェニル基等の水素原子の全てをフッ素原子が置換した炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10の炭化水素基;
*-CO-SH;
*-CO-S-CH3、*-CO-S-CH2CH3、*-CO-S-CH2-CH2-CH3、*-CO-S-CH2-CH2-CH2-CH3等のアルキル基(該アルキル基の炭素数は1~10)と結合した硫黄原子と結合したカルボニル基;
*-CO-S-C65等のアリール基(該アリール基の炭素数は6~20)と結合した硫黄原子と結合したカルボニル基;
*-OP(O)(ORnb22
*-Si(Rnb2)(Rnb3)(Rnb4);等が挙げられる。
前記式中、Rnb2、Rnb3、Rnb4は、同一であってもよく異なっていてもよく、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-、-Nnb10-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH及び-S(O)2OHを形成することはない。Rnb10は、前記と同じである。Rnb2、Rnb3、Rnb4の具体例及び好ましい範囲は、炭素数が36以上となる例を含まない以外は、R1と同じである。
【0046】
2価の置換基としては、チオキソ基、イミノ基、炭素数1~20(好ましくは炭素数1~10)のアルキル基が置換したイミノ基、炭素数6~20のアリール基が置換したイミノ基等が挙げられる。アルキル基が置換したイミノ基としては、CH3-N=、CH3-CH2-N=、CH3-(CH22-N=、CH3-(CH23-N=等が挙げられる。アリール基が置換したイミノ基としては、C65-N=等が挙げられる。
【0047】
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される炭化水素基の置換基としては、
ハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;水素原子の全てをフッ素原子が置換した炭素数1~20の炭化水素基;チオカルボニル基;*-OP(O)(ORnb22;*-Si(Rnb2)(Rnb3)(Rnb4);等が好ましく、
ハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;水素原子の全てをフッ素原子が置換した炭素数1~20の炭化水素基;チオカルボニル基;等がより好ましく、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子;ニトロ基;シアノ基;水素原子の全てをフッ素原子が置換した炭素数1~10の炭化水素基;チオカルボニル基;等がより好ましい。
【0048】
式(I)においてaが1~10の整数である場合において、或いは式(IA)又は式(II)で表される化合物において、炭化水素基は、-CH2-が、-O-、-CO-、-S(O)2-、-NRna-に置き換わることで形成される基(すなわち基(Z1))を有していてもよい。また式(I)においてaが0である場合において、或いは式(IB)又は式(IIB)で表される化合物において、炭化水素基は、-CH2-が、-O-、-CO-、-S(O)2-、又は-NRnb-に置き換わることで形成される基(すなわち基(Z2))を有していてもよい。
基(Z1)、基(Z2)としては、
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、(2-エチル)ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、フェニルオキシ基、及びo-トリルオキシ基等の炭素数が1~20、より好ましくは炭素数1~10の炭化水素基が片側に結合したオキシ基;
エポキシ基;
ホルミル基;
アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、tert-ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、(2-エチル)ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、ベンゾイル基等の炭素数が2~22、好ましくは炭素数が2~12のアシル基(好ましくはアルカノイル基);
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、(2-エチル)ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基及びオクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基、o-トリルオキシカルボニル基等の炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10の炭化水素基が結合したオキシカルボニル基;
アミノ基;
N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N,N-ジプロピルアミノ基、N-イソプロピルアミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基、N-ブチルアミノ基、N,N-ジブチルアミノ基、N-イソブチルアミノ基、N,N-ジイソブチルアミノ基、N-sec-ブチルアミノ基、N,N-ジsec-ブチルアミノ基、N-tert-ブチルアミノ基、N,N-ジtert-ブチルアミノ基、N-ペンチルアミノ基、N,N-ジペンチルアミノ基、N-(1-エチルプロピル)アミノ基、N,N-ジ(1-エチルプロピル)アミノ基、N-ヘキシルアミノ基、N,N-ジヘキシルアミノ基、N-(2-エチル)ヘキシルアミノ基、N,N-ジ(2-エチル)ヘキシルアミノ基、N-ヘプチルアミノ基、N,N-ジヘプチルアミノ基、N-オクチルアミノ基、N,N-ジオクチルアミノ基、N-ノニルアミノ基、N,N-ジノニルアミノ基、N-フェニルアミノ基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-エチルメチルアミノ基、N,N-プロピルメチルアミノ基、N,N-イソプロピルメチルアミノ基、N,N-ブチルメチルアミノ基、N,N-tert-ブチルメチルアミノ基及びN,N-フェニルメチルアミノ基等の1つ又は2つの炭素数1~10、好ましくは炭素数1~20の炭化水素基で置換されたアミノ基;
スルファモイル基;
N-メチルスルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、N-エチルスルファモイル基、N,N-ジエチルスルファモイル基、N-プロピルスルファモイル基、N,N-ジプロピルスルファモイル基、N-イソプロピルスルファモイル基、N,N-ジイソプロピルスルファモイル基、N-ブチルスルファモイル基、N,N-ジブチルスルファモイル基、N-イソブチルスルファモイル基、N,N-ジイソブチルスルファモイル基、N-sec-ブチルスルファモイル基、N,N-ジsec-ブチルスルファモイル基、N-tert-ブチルスルファモイル基、N,N-ジtert-ブチルスルファモイル基、N-ペンチルスルファモイル基、N,N-ジペンチルスルファモイル基、N-(1-エチルプロピル)スルファモイル基、N,N-ジ(1-エチルプロピル)スルファモイル基、N-ヘキシルスルファモイル基、N,N-ジヘキシルスルファモイル基、N-(2-エチル)ヘキシルスルファモイル基、N,N-ジ(2-エチル)ヘキシルスルファモイル基、N-ヘプチルスルファモイル基、N,N-ジヘプチルスルファモイル基、N-オクチルスルファモイル基、N,N-ジオクチルスルファモイル基、N,N-オクチルメチルスルファモイル基、N-ノニルスルファモイル基、N,N-ジノニルスルファモイル基、N-フェニルスルファモイル基、N,N-ジフェニルスルファモイル基、N,N-エチルメチルスルファモイル基、N,N-プロピルメチルスルファモイル基、N,N-イソプロピルメチルスルファモイル基、N,N-ブチルメチルスルファモイル基、N,N-tert-ブチルメチルスルファモイル基及びN,N-フェニルメチルスルファモイル基等の1つ又は2つの炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10の炭化水素基で置換されたスルファモイル基;
ホルミルアミノ基;
アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブタノイルアミノ基、2,2-ジメチルプロパノイルアミノ基、ペンタノイルアミノ基、ヘキサノイルアミノ基、(2-エチル)ヘキサノイルアミノ基、ヘプタノイルアミノ基、オクタノイルアミノ基、ノナノイルアミノ基、デカノイルアミノ基、ウンデカノイルアミノ基、ドデカノイルアミノ基、ヘンイコサノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等の炭素数1~22、好ましくは炭素数1~12のアルカノイルアミノ基;
ヒドロキシ基;
ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、(2-エチル)ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等の炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアルカノイルオキシ基;
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、(2-エチル)ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、ノニルスルホニル基、デシルスルホニル基、フェニルスルホニル基及びp-トリルスルホニル基等の炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10の炭化水素基が置換したスルホニル基;
カルバモイル基;
N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、N,N-ジエチルカルバモイル基、N-プロピルカルバモイル基、N,N-ジプロピルカルバモイル基、N-イソプロピルカルバモイル基、N,N-ジイソプロピルカルバモイル基、N-ブチルカルバモイル基、N,N-ジブチルカルバモイル基、N-イソブチルカルバモイル基、N,N-ジイソブチルカルバモイル基、N-sec-ブチルカルバモイル基、N,N-ジsec-ブチルカルバモイル基、N-tert-ブチルカルバモイル基、N,N-ジtert-ブチルカルバモイル基、N-ペンチルカルバモイル基、N,N-ジペンチルカルバモイル基、N-(1-エチルプロピル)カルバモイル基、N,N-ジ(1-エチルプロピル)カルバモイル基、N-ヘキシルカルバモイル基、N,N-ジヘキシルカルバモイル基、N-(2-エチル)ヘキシルカルバモイル基、N,N-ジ(2-エチル)ヘキシルカルバモイル基、N-ヘプチルカルバモイル基、N,N-ジヘプチルカルバモイル基、N-オクチルカルバモイル基、N,N-ジオクチルカルバモイル基、N-ノニルカルバモイル基、N,N-ジノニルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基、N,N-ジフェニルカルバモイル基、N,N-エチルメチルカルバモイル基、N,N-プロピルメチルカルバモイル基、N,N-イソプロピルメチルカルバモイル基、N,N-ブチルメチルカルバモイル基、N,N-tert-ブチルメチルカルバモイル基及びN,N-フェニルメチルカルバモイル基等の1つ又は2つの炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10の炭化水素基で置換されたカルバモイル基;
*-COCORnb2
*-OCON(Rnb22
*-N(Rnb2)COORnb2;等が挙げられる。
前記式中、Rnb2は、同一であってもよく異なっていてもよく、上記と同じ意味を表す。
【0049】
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される複素環基は、単環であってもよいし多環であってもよく、好ましくは環の構成要素としてヘテロ原子を含む複素環である。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子等が挙げられる。
【0050】
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される複素環基の炭素数は、好ましくは2~30であり、より好ましくは3~22であり、さらに好ましくは3~20であり、さらにより好ましくは3~18であり、より一層好ましくは3~15であり、特に好ましくは3~14である。
【0051】
窒素原子のみをヘテロ原子として含む複素環としては、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等の単環系飽和複素環;2,5-ジメチルピロール等のピロール、2-メチルピラゾール、3-メチルピラゾール等のピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール等の5員環系不飽和複素環;ピリジン、ピリダジン、6-メチルピリミジン等のピリミジン、ピラジン、1,3,5-トリアジン等の6員環系不飽和複素環;インダゾール、インドリン、イソインドリン、インドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、5,6,7,8-テトラヒドロ(3-メチル)キノキサリン、3-メチルキノキサリン等のキノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、ベンゾピラゾール、ベンゾピペリジン等の縮合二環系複素環;カルバゾール、アクリジン、フェナジン等の縮合三環系複素環;下記式で表される環等が挙げられる。
【0052】
【化20】

(式中、*は結合手を表す)
【0053】
酸素原子のみをヘテロ原子として含む複素環としては、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1-シクロペンチルジオキソラン等の単環系飽和複素環;1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン、1,4-ジオキサスピロ[4.5]ノナン等の二環系飽和複素環;α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等のラクトン系複素環;2,3-ジメチルフラン、2,5-ジメチルフラン等のフラン等の5員環系不飽和複素環;2H-ピラン、4H-ピラン等の6員環系不飽和複素環;1-ベンゾフラン、4-メチルベンゾピラン等のベンゾピラン、ベンゾジオキソール、クロマン、イソクロマン等の縮合二環系複素環;キサンテン、ジベンゾフラン等の縮合三環系複素環;等が挙げられる。
【0054】
硫黄原子のみをヘテロ原子として含む複素環としては、ジチオラン等の5員環系飽和複素環;チアン、1,3-ジチアン、2-メチル1,3-ジチアン等の6員環系飽和複素環;3-メチルチオフェン、2-カルボキシチオフェン等のチオフェン、4H-チオピラン、ベンゾテトラヒドロチオピラン等のベンゾチオピラン等の5員環系不飽和複素環;ベンゾチオフェン等の縮合二環系複素環等;チアントレン、ジベンゾチオフェン等の縮合三環系複素環;等が挙げられる。
【0055】
窒素原子及び酸素原子をヘテロ原子として含む複素環としては、モルホリン、2-ピロリドン、2-メチル-2-ピロリドン、2-ピペリドン、2-メチル-2-ピペリドン等の単環系飽和複素環;4-メチルオキサゾール等のオキサゾール、2-メチルイソオキサゾール、3-メチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール等の単環系不飽和複素環;ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサジン、ベンゾジオキサン、ベンゾイミダゾリン等の縮合二環系複素環;フェノキサジン等の縮合三環系複素環;等が挙げられる。
【0056】
窒素原子及び硫黄原子をヘテロ原子として含む複素環としては、3-メチルチアゾール、2,4-ジメチルチアゾール等のチアゾール等の単環系複素環;ベンゾチアゾール等の縮合二環系複素環;フェノチアジン等の縮合三環系複素環;等が挙げられる。
【0057】
上記複素環基は、上記に挙げた炭化水素基を組合わせた基であってもよく、例えば、テトラヒドロフリルメチル基、メチルテトラヒドロフリル基等が挙げられる。
なお、上記の複素環の結合位は、各環に含まれる任意の水素原子が脱離した部分である。
【0058】
1~R9、R1a~R9a、R11~R15、R21~R24で表される複素環基は、環を構成しない-CH2-を含むとき、該-CH2-が、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-で置換されていてもよい。-CH2-が置換されている場合、R1~R9、R1a~R9a、R11~R15、R21~R24で表される複素環基は、上記基(Z1)を含む。
1~R5、R7、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24bで表される複素環基は、環を構成しない-CH2-を含むとき、該-CH2-が、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-で置換されていてもよい。-CH2-が置換されている場合、R1~R5、R7、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24bで表される複素環基は、上記基(Z2)を含む。
【0059】
また前記複素環が、その構成元素として窒素原子を含んでいる場合、この窒素原子には、上述したR1が結合していてもよい。
【0060】
2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、R8とR9、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R21とR22、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R6aとR7a、R8aとR9a、R2bとR3b、R3bとR4b、R4bとR5b、R6bとR7b、R12bとR13b、R13bとR14b、R14bとR15b、R17bとR18b、又はR21bとR22bが結合して環を形成する場合、この環は、炭化水素環であってもよく、複素環であってもよい。炭化水素環としては、脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環などが挙げられる。
【0061】
脂肪族炭化水素環には、シクロプロパン環、メチルシクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、メチルシクロヘキサン環、1,1-ジメチルシクロヘキサン環、1,2-ジメチルシクロヘキサン環、1,3-ジメチルシクロヘキサン環、1,4-ジメチルシクロヘキサン環、シクロオクタン環、1,3,5-トリメチルシクロヘキサン環、1,1,3,3-テトラメチルシクロヘキサン環、ペンチルシクロヘキサン環、オクチルシクロヘキサン環、シクロヘキシルシクロヘキサン環等のシクロアルカン環;シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環等のシクロアルケン環;ノルボルナン、アダマンタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。脂肪族炭化水素環の炭素数は、例えば、3~30であり、好ましくは3~20であり、より好ましくは4~20であり、さらにより好ましくは4~15であり、より一層好ましくは5~15であり、特に好ましくは5~10である。
【0062】
芳香族炭化水素環には、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、イソプロピルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、メシチレン、1,5-ビス(2-プロピル)ベンゼン、ナフタレン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、フルオレン、フェナントレン、アントラセン;等が挙げられる。芳香族炭化水素基の炭素数は、例えば、6~30であり、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~15である。
【0063】
2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、R8とR9、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R21とR22、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R6aとR7a、R8aとR9a、R2bとR3b、R3bとR4b、R4bとR5b、R6bとR7b、R12bとR13b、R13bとR14b、R14bとR15b、R17bとR18b、又はR21bとR22bが結合して形成する環は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、R1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される炭化水素基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0064】
2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、R8とR9、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R21とR22、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R6aとR7a又はR8aとR9aが結合して形成する環が、環を構成しない-CH2-を含むとき、該-CH2-が、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-で置換されていてもよい。-CH2-が置換されている場合、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、R8とR9、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R21とR22、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R6aとR7a又はR8aとR9aが結合して形成する環は、上記基(Z1)を含む。
【0065】
2とR3、R3とR4、R4とR5、R2bとR3b、R3bとR4b、R4bとR5b、R6bとR7b、R12bとR13b、R13bとR14b、R14bとR15b、R17bとR18b、又はR21bとR22bが結合して形成する環が、環を構成しない-CH2-を含むとき、該-CH2-が、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-で置換されていてもよい。-CH2-が置換されている場合、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R2bとR3b、R3bとR4b、R4bとR5b、R6bとR7b、R12bとR13b、R13bとR14b、R14bとR15b、R17bとR18b、又はR21bとR22bが結合して形成する環は、上記基(Z2)を含む。
【0066】
またR2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、R8とR9、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R21とR22、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R6aとR7a、R8aとR9a、R2bとR3b、R3bとR4b、R4bとR5b、R6bとR7b、R12bとR13b、R13bとR14b、R14bとR15b、R17bとR18b、又はR21bとR22bが結合して複素環を形成する場合、この複素環が上記R1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される複素環と同様の複素環を形成してもよい。R2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、R8とR9、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R2bとR3b、R3bとR4b、R4bとR5b、R6bとR7b、R12bとR13b、R13bとR14b、又はR14bとR15bとが結合して複素環を形成する場合、該複素環基は、R2~R5、R2a~R5a、R2b~R5b、R12~R15又はR12b~R15bが結合するベンゼン環と共に2環以上の環構造を有している。この2環以上の環構造を有する複素環としては、例えば、下記式の構造を有する複素環が挙げられる。
【0067】
【化21】
【0068】
(式中のベンゼン環は、式(I)で表される化合物が有するイソインドリン構造中のベンゼン環に相当する)
【0069】
2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、R8とR9、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R21とR22、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R6aとR7a、R8aとR9a、R2bとR3b、R3bとR4b、R4bとR5b、R6bとR7b、R12bとR13b、R13bとR14b、R14bとR15b、R17bとR18b、又はR21bとR22bが結合して複素環を形成する場合、該複素環は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、R1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される炭化水素基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0070】
2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、R8とR9、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R21~R24、R21とR22、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R6aとR7a又はR8aとR9aが結合して形成する複素環が、環を構成しない-CH2-を含むとき、該-CH2-が、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-で置換されていてもよい。-CH2-が置換されている場合、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、R8とR9、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R21とR22、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R6aとR7a又はR8aとR9aが結合して形成する複素環は、上記基(Z1)を含む。
【0071】
2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、R2bとR3b、R3bとR4b、R4bとR5b、R6bとR7b、R12bとR13b、R13bとR14b、R14bとR15b、R17bとR18b、又はR21bとR22bが結合して形成する複素環が、環を構成しない-CH2-を含むとき、該-CH2-が、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-で置換されていてもよい。-CH2-が置換されている場合、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R6とR7、R2bとR3b、R3bとR4b、R4bとR5b、R6bとR7b、R12bとR13b、R13bとR14b、R14bとR15b、R17bとR18b、又はR21bとR22bが結合して形成する複素環は、上記基(Z2)を含む。
【0072】
また前記複素環が、その構成元素として窒素原子を含んでいる場合、この窒素原子には、上述したR1bが結合していてもよい。
【0073】
1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1及びRnb1で表される複素環基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、R1~R9、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1及びRnb1で表される炭化水素基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。また前記複素環が、その構成元素として窒素原子を含んでいる場合、この窒素原子には、上記に挙げた炭化水素基が置換基として結合していてもよい。
【0074】
1a~R9aの少なくとも1つ、好ましくはR6a~R9aの少なくとも1つ、より好ましくはR6a及びR7aの一方とR8a及びR9aの一方は、炭化水素基であることが好ましい。R1a~R9a、R11~R16又はR21~R24が炭化水素基の場合、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH及び-S(O)2OHを形成することはない。またR6a及びR7aの一方とR8a及びR9aの一方が、炭化水素基であって、該炭化水素基に含まれる-CH2-が置き換わっている場合、R6a及びR7aの他方とR8a及びR9aの他方は、CN、COO-、S(O)2-からなる群から選ばれる1種であることが好ましく、CNであることがより好ましい。-CH2-が置き換わった基としては、例えば、-CO-ORna2(この基は、-CH2-CH2-Rna2の2つの-CH2-がそれぞれ-CO-、-O-で置き換わった基である)、-CO-NH2(この基は、-CH2-CH2-Hの2つの-CH2-がそれぞれ-CO-と-NH-で置き換わった基である)、-CO-NH(Rna2)(この基は、-CH2-CH2-Rna2の2つの-CH2-がそれぞれ-CO-と-NH-で置き換わった基である)、-CO-N(Rna22(この基は、-CH2-CH2-Rna2の2つの-CH2-がそれぞれ-CO-と-NRna2-で置き換わった基である)、-CO-H(この基は、-CH2-Hの-CH2-が-CO-で置き換わった基である)、-CO-Rna2(この基は、-CH2-Rna2の-CH2-が-CO-で置き換わった基である)又は-S(O)2-Rna2(この基は、-CH2-Rna2の-CH2-が-S(O)2-で置き換わった基である)などが挙げられる。
【0075】
na2は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna10-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH及び-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基又は複素環基は、-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。Rna10は、前記と同じである。Rna2の具体例及び好ましい範囲は、炭素数が36以上となる例を含まない以外は、R1aと同じである。Rna2を複数含む場合、これらは同一であってもよく、異なっていてもよい。)。
【0076】
na2は、基(Z1)を有していてもよい。Rna2が有していてもよい好ましい基(Z1)としては、塩素原子などのハロゲン原子;スルファモイル基;ヒドロキシ基;メトキシ基などの炭素数1~10の炭化水素基が片側に結合したオキシ基;メトキシカルボニル基などの炭素数1~10の炭化水素基が結合したオキシカルボニル基;-SO2NH2などが好ましい。またRna2は、-CO2 -、-S(O)2-などを有していてもよい。
【0077】
1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24bが炭化水素基の場合、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb-に置き換わっていてもよい。-CH2-が置き換わった基としては、例えば、-CO-ORnb5、-CO-NH2、-CO-NH(Rnb5)、-CO-N(Rnb52、-CO-H、-CO-Rnb5又は-S(O)2-Rnb5などが挙げられる。
nb5は、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-及び該複素環基が環を構成しない-CH2-を含むときの該-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRnb10-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH及び-S(O)2OHを形成することはない。Rnb10は、前記と同じである。Rnb5の具体例及び好ましい範囲は、炭素数が36以上となる例を含まない以外は、Rnb1と同じである。Rnb5を複数含む場合、これらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0078】
-CO-ORna1、-CO-ORna2、-CO-ORnb1、-CO-ORnb5としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、(2-エチル)ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、ウンデシルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基及びイコシルオキシカルボニル基等の炭素数1~35の炭化水素基が結合したオキシカルボニル基等が好ましく、より好ましくは炭素数1~10の炭化水素基が結合したオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0079】
-CO-NH(Rna1)、-CO-NH(Rna2)、-CO-NH(Rnb1)、-CO-NH(Rnb5)、-CO-N(Rna12、-CO-N(Rna22、-CO-N(Rnb12、-CO-N(Rnb52としては、N-メチルカルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、N-プロピルカルバモイル基、N-イソプロピルカルバモイル基、N-ブチルカルバモイル基、N-イソブチルカルバモイル基、N-sec-ブチルカルバモイル基、N-tert-ブチルカルバモイル基、N-ペンチルカルバモイル基、N-(1-エチルプロピル)カルバモイル基、N-ヘキシルカルバモイル基、N-(2-エチル)ヘキシルカルバモイル基、N-ヘプチルカルバモイル基、N-オクチルカルバモイル基、N-ノニルカルバモイル基、N-デシルカルバモイル基、N-ウンデシルカルバモイル基、N-ドデシルカルバモイル基、N-イコシルカルバモイル基及びN-フェニルカルバモイル基等の1つの炭素数1~35の炭化水素基で置換されたカルバモイル基等;
N,N-ジメチルカルバモイル基、N,N-エチルメチルカルバモイル基、N,N-ジエチルカルバモイル基、N,N-プロピルメチルカルバモイル基、N,N-ジプロピルカルバモイル基、N,N-イソプロピルメチルカルバモイル基、N,N-ジイソプロピルカルバモイル基、N,N-tert-ブチルメチルカルバモイル基、N,N-ジイソブチルカルバモイル基、N,N-ジsec-ブチルカルバモイル基、N,N-ジtert-ブチルカルバモイル基、N,N-ブチルメチルカルバモイル基、N,N-ジブチルカルバモイル基、N,N-ブチルオクチルカルバモイル基、N,N-ジペンチルカルバモイル基、N,N-ジ(1-エチルプロピル)カルバモイル基、N,N-ジヘキシルカルバモイル基、N,N-ジ(2-エチル)ヘキシルカルバモイル基、N,N-ジヘプチルカルバモイル基、N,N-オクチルメチルカルバモイル基、N,N-ジオクチルカルバモイル基、N,N-ジノニルカルバモイル基、N,N-デシルメチルカルバモイル基、N,N-ウンデシルメチルカルバモイル基、N,N-ドデシルメチルカルバモイル基、N,N-イコシルメチルカルバモイル基、N,N-フェニルメチルカルバモイル基及びN,N-ジフェニルカルバモイル基等の2つの炭素数1~35の炭化水素基で置換されたカルバモイル基等が好ましく、より好ましくは1つ又は2つの炭素数1~10の炭化水素基で置換されたカルバモイル基等が挙げられる。-CO-NH(Rna2)、-CO-N(Rna22において、前記1つ又は2つの炭化水素基で置換されたカルバモイル基では、該炭化水素基が-COO-を有していてもよい。
【0080】
-CO-Rna1、-CO-Rna2、-CO-Rnb1、-CO-Rnb5としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、(2-エチル)ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ヘンイコサノイル基、ベンゾイル基、フェニルメチルカルボニル基、フェニルエチルカルボニル基及びフェニルプロピルカルボニル基等の炭化水素基であって炭素数が1~35の基が結合したカルボニル基が好ましく、好ましくは炭化水素基であって炭素数が1~10の基が結合したカルボニル基等が挙げられる。-CO-Rna1、-CO-Rna2、-CO-Rnb1、-CO-Rnb5において、炭化水素基が結合したカルボニル基では、該炭化水素基が、塩素原子などのハロゲン原子;スルファモイル基;ヒドロキシ基;メトキシ基などの炭素数1~10の炭化水素基が片側に結合したオキシ基;メトキシカルボニル基などの炭素数1~10の炭化水素基が結合したオキシカルボニル基;などを有していてもよい。-CO-Ra1、-CO-Rna2において、炭化水素基が結合したカルボニル基では、該炭化水素基が-COO-、S(O)2-などを有していてもよい。また-CO-Rna1、-CO-Rna2、-CO-Rnb1、-CO-Rnb5としては、ホルミル基も好ましい。
【0081】
-S(O)2-Rna1、-S(O)2-Rna2、-S(O)2-Rnb1、-S(O)2-Rnb5としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、(2-エチル)ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、ノニルスルホニル基、デシルスルホニル基、ウンデシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、イコシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p-トリルスルホニル基等の炭素数1~35の炭化水素基が結合したスルホニル基等が好ましく、より好ましくは炭素数1~10の炭化水素基が結合したスルホニル基等が挙げられる。
【0082】
2とR3、R3とR4、R4とR5、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R2bとR3b、R3bとR4b、R4bとR5b、R12bとR13b、R13bとR14b、及びR14bとR15bが形成する環は、式(I)、式(IA)、式(IB)、式(II)又は式(IIB)のイソインドリン骨格のベンゼンと縮合している。R2とR3、R3とR4、R4とR5、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R2bとR3b、R3bとR4b、R4bとR5b、R12bとR13b、R13bとR14b、及びR14bとR15bが形成する環と前記ベンゼン環との縮合環構造としては、インデン、ナフタレン、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、N-メチルフタルイミド、N-(1-フェニルエチル)フタルイミド及びテトラセン等の炭化水素系縮環構造及びその部分還元体(例えば、9,10-ジヒドロアントラセン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンなど);インドール、イソインドール、インダゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン等の含窒素縮合複素環及びその部分還元体;3-ヒドロベンゾフラン2-オン等の含酸素縮合複素環及びその部分還元体が挙げられる。
【0083】
6とR7が形成する環又はR8とR9が形成する環は、式(I)のイソインドリン骨格のエキソメチレン(C=CH2)と結合している。またR6aとR7aとが形成する環又はR8aとR9aとが形成する環は、式(IA)のイソインドリン骨格のエキソメチレン(C=CH2)と結合している。R6とR7が形成する環、R8とR9が形成する環、R6aとR7aとが形成する環、又はR8aとR9aとが形成する環をこのエキソメチレン(C=CH2)を含んだ構造として挙げると、例えば、下記群Aの様なカルボニル基とエキソメチレンとカルボニル基とがこの順で並ぶ構造が例示できる。**は、イソインドリン骨格との結合手を表す。
【0084】
[群A]
【化22】
【0085】
[式中、R25及びR26は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~35の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、又は水素原子を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、-S(O)2-又は-NRna-に置き換わっていてもよい。ただし、-CH2-が置き換わることで-COOH及び-S(O)2OHを形成することはない。また該炭化水素基及び該複素環基は、置換基として-CO2 -及び-S(O)2-からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。R25、R26の具体例及び好ましい例としては、前記R1aのうち、炭素数が36以上の例を除いた例が挙げられる。]
【0086】
21とR22とが形成する環は、式(II)のイソインドリン骨格のエキソメチレン(C=CH2)と結合しており、R21とR22が形成する環をこのエキソメチレン(C=CH2)を含んだ構造として挙げると、例えば、下記群Bの様なカルボニル基とエキソメチレンとカルボニル基とがこの順で並ぶ構造が例示できる。**は、イソインドリン骨格との結合手を表す。
【0087】
[群B]
【化23】
【0088】
[式中、R23及びR24は、前記と同じ。]
17bとR18bとが形成する環は、式(IB)のイソインドリン骨格のエキソメチレン(C=CH2)と結合している。また、R21bとR22bとが形成する環は、式(IIB)のイソインドリン骨格のエキソメチレン(C=CH2)と結合している。R17bとR18bとが形成する環又はR21bとR22bが形成する環をこのエキソメチレン(C=CH2)を含んだ構造として挙げると、例えば、下記群Cの様なカルボニル基とエキソメチレンとカルボニル基とがこの順で並ぶ構造が例示できる。**は、イソインドリン骨格との結合手を表す。
【0089】
[群C]
【化24】
【0090】
[式中、R23b及びR24bは、前記と同じ意味を表す。]
【0091】
2とR3、R3とR4、R4とR5、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R2bとR3b、R3bとR4b、R4bとR5b、R12bとR13b、R13bとR14b、及びR14bとR15bが形成する環は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、R11~R15、R21~R24、R1a~R9a、R1b~R5b、R7b、R11b~R15b、R17b~R24b、Rna、Rnb、Rna1、Rna10、Rnb1及びRnb10で表される炭化水素基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0092】
12~R15、R21~R22、R2a~R9a、R2b~R5b、R7b、R12b~R15b、R17b~R18b、R21b~R22bで表されるハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくは、塩素原子、臭素原子である。
【0093】
b+、MXbx+は、ヒドロン又はLi+、Na+、K+などの1価の金属イオン、2価以上の金属陽イオンであるのが好ましく、ヒドロン又は2価以上の金属陽イオンであるのがより好ましく、ヒドロンが最も好ましい。2価以上の金属陽イオンであってもよい。2価以上の金属陽イオンとしては、元素の周期律表の2族~15族の金属の陽イオンが挙げられ、好ましくは、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Cd2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+、Hg2+、Fe2+、Co2+、Sn2+、Pb2+及びMn2+等の2価の金属陽イオン;Al3+、Fe3+及びCr3+等の3価の金属陽イオン;Sn4+、Mn4+、Ce4+等の4価の金属陽イオンが挙げられ、より好ましくはMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+、Fe2+、Co2+、Sn2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cr3+、Sn4+及びMn4+が挙げられ、さらに好ましくはMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+、Cu2+、Fe2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cr3+及びMn4+が挙げられる。なおMb+がヒドロンである場合、該ヒドロンは、-CO2 -又は-S(O)2-と結合し、-COOH又は-S(O)2OHとして存在する。
【0094】
a、axは、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5であり、最も好ましくは2~4である。
【0095】
式(I)で表される化合物は、式(IA)又は式(IB)で表される。
式(IA)で表される化合物としては、R1a~R9a、Rna2、Mb+、aが以下の通りであるものが好ましい。
1aとしては、水素原子が好ましい。
2a~R5aとしては、水素原子;ブチル基等の炭素数1~10のアルキル基;メトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等のアルキル基に含まれる水素原子の全てがフッ素原子に置き換わった基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;-CO2 -;-S(O)2-等が好ましい。
6aとしては、-COO-、-CO-ORna2、-CO-NH2、-CO-NH(Rna2)、-CO-N(Rna22、-CO-H、-CO-Rna2又は-S(O)2-Rna2が好ましく、-CO-ORna2、-CO-NH2、-CO-NH(Rna2)、-CO-N(Rna22又は-CO-Rna2がより好ましい。
7aとしては、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2 -又は-S(O)2-が好ましく、シアノ基がより好ましい。
8a及びR9aが、各々が結合する炭素原子と一緒になって環を形成しない場合、R8aとしては、-COO-、-CO-ORna2、-CO-NH2、-CO-NH(Rna2)、-CO-N(Rna22、-CO-H、-CO-Rna2又は-S(O)2-Rna2が好ましく、-CO-ORna2、-CO-NH2、-CO-NH(Rna2)、-CO-N(Rna22又は-CO-Rna2がより好ましく、R9aとしては、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2 -又は-S(O)2-が好ましく、シアノ基がより好ましい。この場合、R6aとR8aとは、同一の基であることが好ましい。
8a及びR9aが、各々が結合する炭素原子と一緒になって環を形成する場合、群Aの構造を形成することが好ましく、式(QQ18)で表される環を形成することが好ましい。式(QQ18)において、R25及びR26としては、水素原子が好ましい。
8a及びR9aは、環を形成しないことも好ましい。
na2としては、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数1~10のアルキル基;フェニル基、トルイル基、エチルフェニル基等の炭素数6~10の芳香族炭化水素基;ベンジル基(フェニルメチル基ともいう)、2-メチルベンジル基、3-メチルベンジル基、4-メチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等の鎖状炭化水素基と芳香族炭化水素基を組み合わせた基であって炭素数7~15の基;等が好ましく、これらの基は、-CO2 -、-S(O)2-;を有していてもよく、置換基として、メトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;メトキシカルボニル基等の炭素数1~10の炭化水素基が結合したオキシカルボニル基;スルファモイル基;ヒドロキシ基;塩素原子等のハロゲン原子;を有していてもよく、-CO2 -、-S(O)2-を有するのが好ましい。
b+としては、ヒドロン、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+、Cu2+、Fe2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cr3+及びMn4+からなる群から選ばれる一種が好ましく、ヒドロンがさらに好ましい。
aとしては、1~5のいずれかの整数が好ましく、2がさらに好ましい。
【0096】
式(IB)で表される化合物としては、R1b~R7b、R17b~R20b、Rnb1、Rnb5が以下の通りであるものが好ましい。
1bとしては、水素原子が好ましい。
2b~R5bとしては、水素原子;ブチル基等の炭素数1~10のアルキル基;メトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等のアルキル基に含まれる水素原子の全てがフッ素原子に置き換わった基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基等が好ましい。
6bとしては、-CO-ORnb1、-CO-NH2、-CO-NH(Rnb1)、-CO-N(Rnb12又は-CO-Rnb1が好ましい。
7bとしては、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2 -又は-S(O)2-が好ましく、シアノ基がより好ましい。
17b及びR18bが、各々が結合する炭素原子と一緒になって環を形成しない場合、R17bとしては、-CO-ORnb5、-CO-NH2、-CO-NH(Rnb5)、-CO-N(Rnb52、-CO-H、-CO-Rnb5又は-S(O)2-Rnb5が好ましく、-CO-ORnb5、-CO-NH2、-CO-NH(Rnb5)、-CO-N(Rnb52又は-CO-Rnb5がより好ましく、R18bとしては、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基が好ましく、シアノ基がより好ましい。この場合、R6bとR17bとは、同一の基であることが好ましい。
17b及びR18bが、各々が結合する炭素原子と一緒になって環を形成する場合、群Cの構造を形成するものが好ましく、式(2a)で表される環を形成することがより好ましい。式(2a)において、R19b及びR20bとしては、水素原子が好ましい。
17b及びR18bは、環を形成しないことも好ましい。
nb1、Rnb5としては、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数1~10のアルキル基;フェニル基、トルイル基、エチルフェニル基等の炭素数6~10の芳香族炭化水素基;フェニルメチル基、フェニルエチル基等の鎖状炭化水素基と芳香族炭化水素基を組み合わせた基であって炭素数7~15の基;等が好ましく、これらの基は、置換基として、メトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;メトキシカルボニル基等の炭素数1~10の炭化水素基が結合したオキシカルボニル基;スルファモイル基;ヒドロキシ基;塩素原子等のハロゲン原子;を有していてもよい。
【0097】
式(II)で表される化合物としては、R11~R16、R21~R22、Rna1、Rna2、MXbx+、axが以下の通りであるものが好ましい。
11としては、水素原子が好ましい。
12~R15としては、水素原子;ブチル基等の炭素数1~10のアルキル基;メトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等のアルキル基に含まれる水素原子の全てがフッ素原子に置き換わった基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;-CO2 -;-S(O)2-等が好ましい。
16としては、-CO-ORna1、-CO-NH2、-CO-NH(Rna1)、-CO-N(Rna12又は-CO-Rna1が好ましい。
21及びR22が、各々が結合する炭素原子と一緒になって環を形成しない場合、R21としては、-CO-ORna2、-CO-NH2、-CO-NH(Rna2)、-CO-N(Rna22、-CO-H、-CO-Rna2又は-S(O)2-Rna2が好ましく、-CO-ORna2、-CO-NH2、-CO-NH(Rna2)、-CO-N(Rna22又は-CO-Rna2がより好ましく、R22としては、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-CO2 -又は-S(O)2-が好ましく、シアノ基がより好ましい。この場合、R16とR21とは、同一の基であることが好ましい。
21及びR22が、各々が結合する炭素原子と一緒になって環を形成する場合、群Bの構造を形成することが好ましく、式(2a-x)で表される環を形成することがより好ましい。式(2a-x)において、R23及びR24としては、水素原子が好ましい。
21及びR22は、環を形成しないことも好ましい。
na1、Rna2としては、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数1~10のアルキル基;フェニル基、トルイル基、エチルフェニル基等の炭素数6~10の芳香族炭化水素基;フェニルメチル基、フェニルエチル基等の鎖状炭化水素基と芳香族炭化水素基を組み合わせた基であって炭素数7~15の基;等が好ましく、これらの基は、置換基として、-CO2 -;-S(O)2-;メトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;メトキシカルボニル基等の炭素数1~10の炭化水素基が結合したオキシカルボニル基;スルファモイル基;ヒドロキシ基;塩素原子等のハロゲン原子;を有していてもよい。
MXbx+としては、ヒドロン、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+、Cu2+、Fe2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Cr3+及びMn4+からなる群から選ばれる一種が好ましい。
axとしては、1~10のいずれかの整数が好ましく、1~5のいずれかの整数がより好ましい。
【0098】
式(IIB)で表される化合物としては、R11b~R16b、R21b~R24b、Rnb1、Rnb5が以下の通りであるものが好ましい。
11bとしては、水素原子が好ましい。
12b~R15bとしては、水素原子;ブチル基等の炭素数1~10のアルキル基;メトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等のアルキル基に含まれる水素原子の全てがフッ素原子に置き換わった基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基等が好ましい。
16bとしては、-CO-ORnb1、-CO-NH2、-CO-NH(Rnb1)、-CO-N(Rnb12又は-CO-Rnb1が好ましい。
21b及びR22bが、各々が結合する炭素原子と一緒になって環を形成しない場合、R21bとしては、-CO-ORnb5、-CO-NH2、-CO-NH(Rnb5)、-CO-N(Rnb52、-CO-H、-CO-Rnb5又は-S(O)2-Rnb5が好ましく、-CO-ORnb5、-CO-NH2、-CO-NH(Rnb5)、-CO-N(Rnb52又は-CO-Rnb5がより好ましく、R22bとしては、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基が好ましく、シアノ基がより好ましい。この場合、R16bとR21bとは、同一の基であることが好ましい。
21b及びR22bが、各々が結合する炭素原子と一緒になって環を形成する場合、群Cの構造を形成することが好ましく、式(2a-xb)で表される環を形成することがより好ましい。式(2a-xb)において、R23b及びR24bとしては、水素原子が好ましい。
21b及びR22bは、環を形成しないことも好ましい。
nb1、Rnb5としては、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数1~10のアルキル基;フェニル基、トルイル基、エチルフェニル基等の炭素数6~10の芳香族炭化水素基;フェニルメチル基、フェニルエチル基等の鎖状炭化水素基と芳香族炭化水素基を組み合わせた基であって炭素数7~15の基;等が好ましく、これらの基は、置換基として、メトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;メトキシカルボニル基等の炭素数1~10の炭化水素基が結合したオキシカルボニル基;スルファモイル基;ヒドロキシ基;塩素原子等のハロゲン原子;を有していてもよい。
【0099】
-CO-ORna1、-CO-ORna2、-CO-ORnb1、-CO-ORnb5としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルキル基の炭素数が1~10の炭化水素基(特にアルキル基)が結合したオキシカルボニル基が好ましい。
【0100】
-CO-Rna1、-CO-Rna2、-CO-Rnb1、-CO-Rnb5としては、ベンゾイル基などの炭素数6~10の芳香族環が結合したカルボニル基;エチルカルボニル基、ブチルカルボニル基などの炭素数1~10のアルキル基が結合したカルボニル基;フェニルメチル基、フェニルエチル基などの炭素数1~10の芳香族環が結合した炭素数1~10のアルキル基が結合したカルボニル基が好ましい。また-CO-Rna1、-CO-Rna2のRna1、Rna2は、置換基として、-CO2 -;-S(O)2-;メトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;メトキシカルボニル基等の炭素数1~10の炭化水素基が結合したオキシカルボニル基;スルファモイル基;ヒドロキシ基;塩素原子等のハロゲン原子;を有していてもよく、該芳香族環が結合したカルボニル基;アルキル基が結合したカルボニル基;芳香族環が結合したアルキル基が結合したカルボニル基などの炭素原子には、-CO2 -;-S(O)2-;メトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;メトキシカルボニル基等の炭素数1~10の炭化水素基が結合したオキシカルボニル基;スルファモイル基;ヒドロキシ基;塩素原子等のハロゲン原子;等が結合していてもよい。
-CO-NH(Rna1)、-CO-NH(Rna2)、-CO-NH(Rnb1)、-CO-NH(Rnb5)としては、メチルアミノカルボニル基などの炭素数1~10のアルキル基が結合したアミノカルボニル基が好ましい。また該アルキル基が結合したアミノカルボニル基、芳香族炭化水素環が結合したアミノカルボニル基などの炭素原子には、-CO2 -が結合していてもよい。
-CO-N(Rna12、-CO-N(Rna22、-CO-N(Rnb12、-CO-N(Rnb52としては、ジメチルアミノカルボニル基などの炭素数1~10のアルキル基が2つ結合したアミノカルボニル基が好ましい。
【0101】
式(I)で表される化合物としては、式(P)
【0102】
【化25】
【0103】
[式中、L1p及びL2pは、互いに独立に炭素数1~10の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-NH-に置き換わっていてもよい。Rpは、水素原子又は置換基を表し、pは1~4のいずれかの整数を表す。]
【0104】
式(I)、(IA)、(IB)、(II)又は式(IIB)で表される化合物の具体例としては、例えば、式(Ia)で表される化合物において、R31、L1、L2、R32、B12、n、m及びMb+の組合せが表1~表4の何れかである化合物、並びに、式(Ib)で表される化合物において、R33、L3、B12、n、m及びMb+の組合せが表5~表6の何れかである化合物が挙げられる。なお、R31、R32、R33は、式(HH1)~式(HH18)で表されるいずれかの部分構造を表す。B12は、式(BB1)~式(BB9)で表されるいずれかの部分構造を表す。
【0105】
【化26】

(式中、波線は、E体及びZ体の両方を含むことを示す)
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
【表5】
【0111】
【表6】
【0112】
【化27】
【0113】
【化28】
【0114】
表に示した化合物のうち、化合物番号28~31、37~40、46~49、73~76、82~85、91~94、136~139、154~157、190~193、199~202、208~211、244~247、298~301の化合物が好ましい。
【0115】
式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)とも記す)においてR1が水素原子である化合物(以下、化合物(I-H)とも記す)は、式(pt1)で表される化合物(以下、フタロニトリル化合物という場合がある)を式(pt2)で表される化合物(以下、アルコキシド化合物という場合がある)と反応させた後、式(pt3)で表される化合物(以下、化合物(pt3)という場合がある)及び式(pt4)で表される化合物(以下、化合物(pt4)という場合がある)と酸の存在下でさらに反応させることで製造できる。
【0116】
【化29】
【0117】
[式(pt1)~式(pt8)、式(I-H)、式(I-M)、及び式(I-R)中、R1~R7、X、Mb+、a、m、及びnは、前記と同一の意味を表す。R41、R42は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。M1、M2は、互いに独立に、アルカリ金属原子を表す。LG1、LG2は、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、クロロメチルスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。]
【0118】
41、R42で表される炭素数1~20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。
1、M2で表されるアルカリ金属原子としては、リチウム原子、ナトリウム原子及びカリウム原子が挙げられる。
【0119】
式(pt2)で表されるアルコキシド化合物の使用量は、式(pt1)で表されるフタロニトリル化合物1モルに対して、通常、0.1~10モルであり、好ましくは0.2~5モルであり、より好ましくは0.3~3モルであり、さらに好ましくは0.4~2モルである。
【0120】
化合物(pt3)及び化合物(pt4)の使用量の合計は、式(pt1)で表されるフタロニトリル化合物1モルに対して、通常、2~20モルであり、好ましくは2~10モルであり、より好ましくは2~6モルであり、さらに好ましくは2~4モルである。なお化合物(pt3)と化合物(pt4)は、同じであってもよい。
【0121】
酸としては、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、硝酸、フルオロスルホン酸、リン酸等の無機酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸等のスルホン酸;酢酸、クエン酸、ギ酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸及び酒石酸等のカルボン酸が挙げられ、好ましくは塩化水素、臭化水素、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸及びカルボン酸が挙げられ、より好ましくは酢酸が挙げられる。
酸の使用量は、フタロニトリル化合物1モルに対して、通常1~20モルであり、好ましくは1~10モルであり、より好ましくは1~8モルであり、さらに好ましくは1~6モルである。
【0122】
フタロニトリル化合物、アルコキシド化合物、化合物(pt3)及び化合物(pt4)の反応は、通常、溶媒の存在下に実施される。溶媒としては、水;アセトニトリル等のニトリル溶媒;メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール及び1-オクタノール等のアルコール溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;アセトン等のケトン溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素溶媒;塩化メチレン及びクロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;N,N-ジメチルホルムアルデヒド及びN-メチルピロリドン等のアミド溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒が挙げられ、好ましくは水、ニトリル溶媒、アルコール溶媒、エーテル溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、芳香族炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、アミド溶媒及びスルホキシド溶媒が挙げられ、より好ましくは水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-オクタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアルデヒド、N-ジメチルアセトアルデヒド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン及び1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン及びジメチルスルホキシドが挙げられ、さらに好ましくは水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-オクタノール、アセトン、塩化メチレン、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアルデヒド、N-ジメチルアセトアルデヒド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン及び1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノンN-メチルピロリドン及びジメチルスルホキシドが挙げられ、とりわけ好ましくは水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、2-プロパノール、N-メチルピロリドン及びジメチルスルホキシドが挙げられる。溶媒の使用量は、フタロニトリル化合物1質量部に対して、通常1~1000質量部である。
【0123】
フタロニトリル化合物、アルコキシド化合物、化合物(pt3)及び化合物(pt4)の反応温度は、通常0~200℃であり、好ましくは0~100℃であり、より好ましくは0~50℃である。反応時間は、通常0.5~300時間である。
【0124】
式(pt6)で表される化合物(以下、化合物(pt6)という場合がある)の使用量は、化合物(I-H)1モルに対し、通常、1~10モルであり、好ましくは1~5モルであり、より好ましくは1~3モルであり、さらに好ましくは1~2モルである。
【0125】
また化合物(pt6)を反応させる場合、塩基が共存することが好ましい。塩基としては、トリエチルアミン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、ピペリジン等の有機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド等の金属アルコキシド、ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム及びフェニルリチウム等の有機金属化合物;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられる。
【0126】
塩基の使用量は、化合物(I-H)1モルに対し、通常1~10モルであり、好ましくは1~5モルであり、より好ましくは1~3モルであり、さらに好ましくは1~2モルである。
【0127】
また化合物(pt6)の反応は、通常、溶媒の存在下に実施される。溶媒は、前記と同じ範囲から選択できる。
【0128】
溶媒の使用量は、化合物(I)においてR1が水素原子ではない化合物(以下、化合物(I-R)とも記す)1質量部に対して、通常1~1000質量部である。化合物(pt6)の反応温度は、通常-90~200℃であり、好ましくは-80~100℃であり、より好ましくは0~50℃である。反応時間は、通常0.5~300時間である。
【0129】
化合物(I-R)がスルホ基を有していない場合、化合物(I-R)と発煙硫酸又はクロロスルホン酸等のスルホ化剤と反応させることによって、スルホ基を導入することができる。
【0130】
発煙硫酸中のSO3の使用量は、化合物(I-R)1モルに対し、通常1~50モルであり、好ましくは5~40モルであり、より好ましくは5~30モルであり、さらに好ましくは5~25モルである。発煙硫酸中の硫酸の使用量は、化合物(I-R)1モルに対し、通常1~200モルであり、好ましくは10~100モルであり、より好ましくは10~75モルであり、さらに好ましくは10~50モルである。
【0131】
クロロスルホン酸の使用量は、化合物(I-R)1モルに対し、通常1~500モルであり、好ましくは10~300モルであり、より好ましくは10~200モルであり、さらに好ましくは10~150モルである。
【0132】
スルホ化の反応温度は、通常-20~200℃であり、好ましくは-10~100℃であり、より好ましくは0~50℃である。反応時間は、通常0.5~300時間である。
【0133】
化合物(I-R)が、カルボキシ基又はスルホ基を有する場合、式(pt7)で表される化合物と式(pt8)で表される化合物とを反応させて、金属Mb+を含む化合物(I)(以下、化合物(I-M)とも記す)を製造してもよい。
【0134】
反応混合物から、化合物(I)を取り出す方法は特に限定されず、公知の種々の方法で取り出すことができる。例えば、反応終了後、反応混合物をろ過することによって化合物(I)を取り出すことができる。また、ろ過した後、得られた残渣を溶媒で洗浄しても良い。また、ろ過した後、カラムクロマトグラフィー、再結晶又は昇華精製してもよい。
【0135】
本発明の着色硬化性樹脂組成物において、化合物(I)の含有率は、固形分の総量100質量%中、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、よりいっそう好ましくは1質量%以上、とりわけ好ましくは2質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下、よりいっそう好ましくは50質量%以下、とりわけ好ましくは30質量%以下である。
また、化合物(I)の含有率は、着色剤(A)の総量100質量%中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、よりいっそう好ましくは5質量%以上、とりわけ好ましくは10質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、よりいっそう好ましくは60質量%以下である。
本明細書において「固形分の総量」とは、本発明の着色組成物又は着色硬化性樹脂組成物から溶剤(E)を除いた成分の合計量をいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
【0136】
前記キサンテン化合物(x)は、分子内にキサンテン骨格を有する化合物を含む染料である。キサンテン染料(Aa)としては、例えば、C.I.アシッドレッド51(以下、C.I.アシッドレッドの記載を省略し、番号のみの記載とする。他も同様である。)、52、87、92、94、289、388、C.I.アシッドバイオレット9、30、102、C.I.ベーシックレッド1(ローダミン6G)、2、3、4、8、10、11、C.I.ベーシックバイオレット10(ローダミンB)、11、C.I.ソルベントレッド130、218、C.I.モーダントレッド27、C.I.リアクティブレッド36(ローズベンガルB)、スルホローダミンG、特開2010-32999号公報に記載のキサンテン染料及び特許第4492760号公報に記載のキサンテン染料等が挙げられる。キサンテン化合物(x)としては、有機溶剤に溶解するもの(すなわちキサンテン染料)が好ましい。
【0137】
前記キサンテン化合物(x)は、530nm以上580nm以下の波長域に吸収を有するものであることが好ましい。また、前記キサンテン化合物(x)は、615nm以上の波長域の光を透過するものであることが好ましい。
【0138】
これらの中でも、キサンテン化合物(x)としては、式(X1)で表される化合物(以下、「化合物(X1)」という場合がある。)であることが好ましい。化合物(X1)は、その互変異性体であってもよい。
キサンテン化合物(x)中の化合物(X1)の含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、100質量%であることが好ましい。
【0139】
【化30】
【0140】
[式(X1)中、R31~R34は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6~10の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基又は式(iix)で表される基を表し、
*-R50-Si(R293 (iix)
[式(iix)中、R29は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基を表し、複数のR29は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
50は、炭素数1~10のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する-CH2-は、-O-、-CO-、-NR41-、-OCO-、-COO-、-OCONH-、-NHCOO-、-CONH-または-NHCO-で置換されていてもよい。
*は、窒素原子との結合手を表す。]
31~R34において、該飽和炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-、-CO-、-NR41-、-OCO-、-COO-、-OCONH-、-NHCOO-、-CONH-又は-NHCO-で置換されていてもよく、R31及びR32は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R33及びR34は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
35は、-OH、-SO3 -、-SO3H、-SO3 -+、-CO2H、-CO2 -+、-CO240、-SO338又は-SO2NR3940を表す。
36及びR37は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
mは、0~5の整数を表す。mが2以上のとき、複数のR35は同一でも異なってもよい。
kは、0又は1の整数を表す。
Xは、ハロゲン原子を表す。
+は、+N(R414、Na+又はK+を表し、4つのR41は同一でも異なっていてもよい。
38は、炭素数1~20の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
39及びR40は、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-、-CO-、-NR41-、-OCO-、-COO-、-OCONH-、-NHCOO-、-CONH-または-NHCO-で置換されていてもよく、R39及びR40は、互いに結合して窒素原子を含む3~10員環の複素環を形成していてもよい。
41は、水素原子又は炭素数1~20の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数6~10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0141】
式(X1)において、-SO3 -が存在する場合、その合計数は1である。
【0142】
31~R34で表される芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、プロピルフェニル基及びブチルフェニル基等が挙げられる。前記芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~10である。
【0143】
31~R34で表される芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、-OH、-OR38、-SO3 -、-SO3H、-SO3 -+、-CO2H、-CO238、-SR38、-SO238、-SO338又は-SO2NR3940が挙げられ、これらの置換基が芳香族炭化水素基に含まれる水素原子を置換していることが好ましい。置換基としては、-SO3 -、-SO3H、-SO3 -+及び-SO2NR3940が好ましく、-SO3 -+及び-SO2NR3940がより好ましい。
-SO3 -+としては、-SO3 -+N(R414が好ましい。
【0144】
-OR38としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基及びイコシルオキシ基等のアルキルオキシ基等が挙げられる。
【0145】
-CO238としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基及びイコシルオキシカルボニル基等のアルキルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0146】
-SR38としては、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、ブチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基、デシルスルファニル基及びイコシルスルファニル基等のアルキルスルファニル基等が挙げられる。
-SO238としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、デシルスルホニル基及びイコシルスルホニル基等のアルキルスルホニル基等が挙げられる。
-SO338としては、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロポキシスルホニル基、tert-ブトキシスルホニル基、ヘキシルオキシスルホニル基及びイコシルオキシスルホニル基等のアルキルオキシスルホニル基等が挙げられる。
【0147】
-SO2NR3940としては、スルファモイル基;
N-メチルスルファモイル基、N-エチルスルファモイル基、N-プロピルスルファモイル基、N-イソプロピルスルファモイル基、N-ブチルスルファモイル基、N-イソブチルスルファモイル基、N-sec-ブチルスルファモイル基、N-tert-ブチルスルファモイル基、N-ペンチルスルファモイル基、N-(1-エチルプロピル)スルファモイル基、N-(1,1-ジメチルプロピル)スルファモイル基、N-(1,2-ジメチルプロピル)スルファモイル基、N-(2,2-ジメチルプロピル)スルファモイル基、N-(1-メチルブチル)スルファモイル基、N-(2-メチルブチル)スルファモイル基、N-(3-メチルブチル)スルファモイル基、N-シクロペンチルスルファモイル基、N-ヘキシルスルファモイル基、N-(1,3-ジメチルブチル)スルファモイル基、N-(3,3-ジメチルブチル)スルファモイル基、N-ヘプチルスルファモイル基、N-(1-メチルヘキシル)スルファモイル基、N-(1,4-ジメチルペンチル)スルファモイル基、N-オクチルスルファモイル基、N-(2-エチルヘキシル)スルファモイル基、N-(1,5-ジメチルヘキシル)スルファモイル基、N-(1,1,2,2-テトラメチルブチル)スルファモイル基等のN-1置換スルファモイル基;
N,N-ジメチルスルファモイル基、N,N-エチルメチルスルファモイル基、N,N-ジエチルスルファモイル基、N,N-プロピルメチルスルファモイル基、N,N-イソプロピルメチルスルファモイル基、N,N-tert-ブチルメチルスルファモイル基、N,N-ブチルエチルスルファモイル基、N,N-ビス(1-メチルプロピル)スルファモイル基、N,N-ヘプチルメチルスルファモイル基等のN,N-2置換スルファモイル基等が挙げられる。
【0148】
31~R34及びR38~R41で表される飽和炭化水素基としては、、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基等の炭素数1~20(好ましくは炭素数1~10)の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基等の炭素数3~20(好ましくは炭素数3~10)の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基等の炭素数3~20(好ましくは炭素数3~10)の脂環式飽和炭化水素基が挙げられる。該飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10である。
【0149】
31~R34で表される飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、置換基としての炭素数6~10の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は-CO2Hで置換されていてもよい。R31~R34の飽和炭化水素基の水素原子を置換していてもよい炭素数6~10の芳香族炭化水素基としては、R31~R34で表される芳香族炭化水素基として例示した基と同様の基が挙げられる。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0150】
38で表される飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、置換基としてのハロゲン原子で置換されていてもよい。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0151】
39及びR40で表される飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、置換基としてのヒドロキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0152】
41で表される飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、置換基としての炭素数6~10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。R41の飽和炭化水素基の水素原子を置換していてもよい炭素数6~10の芳香族炭化水素基としては、R31~R34で表される芳香族炭化水素基として例示した基と同様の基が挙げられる。
【0153】
31~R34、R39~R40で表される飽和炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-、-CO-、-NR41-、-OCO-、-COO-、-OCONH-、-NHCOO-、-CONH-または-NHCO-で置換されていてもよい。
該飽和炭化水素基を構成する-CH2-が-O-で置換された基としては、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0154】
【化31】
【0155】
該飽和炭化水素基を構成する-CH2-が-CO-で置換された基としては、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0156】
【化32】
【0157】
該飽和炭化水素基を構成する-CH2-が-NR41-で置換された基としては、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0158】
【化33】
【0159】
該飽和炭化水素基を構成する-CH2-が-OCO-で置換された基としては、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0160】
【化34】
【0161】
該飽和炭化水素基を構成する-CH2-が-COO-で置換された基としては、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0162】
【化35】
【0163】
該飽和炭化水素基を構成する-CH2-が-OCONH-で置換された基としては、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0164】
【化36】
【0165】
該飽和炭化水素基を構成する-CH2-が-NHCOO-で置換された基としては、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0166】
【化37】
【0167】
該飽和炭化水素基を構成する-CH2-が-CONH-で置換された基としては、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0168】
【化38】
【0169】
該飽和炭化水素基を構成する-CH2-が-NHCO-で置換された基としては、以下のものが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0170】
【化39】
【0171】
38で表される飽和炭化水素基に含まれる水素原子を置換していてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子、臭素原子、フッ素原子が好ましい。
【0172】
31及びR32が一緒になって形成する環、並びにR33及びR34が一緒になって形成する環としては、以下のものが挙げられる。
【0173】
【化40】
【0174】
39及びR40は、窒素原子と一緒に3~10員含窒素複素環を表してもよい。該複素環としては、以下のものが挙げられる。
【0175】
【化41】
【0176】
35としては、-CO2H、-CO2 -+、-CO238、-SO3 -、-SO3 -+、-SO3H又は-SO2NHR39が好ましく、、-CO2H、-CO2 -+、-CO238、-SO3 -、-SO3 -+、-SO3H又は-SO2NHR39がより好ましく、-SO3 -、-SO3 -+、-SO3H又は-SO2NHR39がさらに好ましい。
35は、キサンテン骨格の9位に結合するフェニル基のキサンテン骨格からみたオルト位及び/又はパラ位に結合していることが好ましく、オルト位に結合していることがより好ましい。
mは、好ましくは1~4の整数であり、より好ましくは1~2の整数であり、さらに好ましくは1である。
【0177】
36及びR37における炭素数1~6のアルキル基としては、上記で挙げた直鎖状又は分岐鎖状飽和炭化水素基のうち、炭素数1~6のものが挙げられる。
中でも、R36、R37としては、水素原子が好ましい。
【0178】
41で表される飽和炭化水素基に含まれる水素原子が炭素数6~10の芳香族炭化水素基に置換された基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルブチル基等の炭素数7~11のアラルキル基が挙げられる。
【0179】
またR31~R34は、下記式(ii)で表される基を表していてもよい。
*-R50-Si(R293 (ii)
[R29は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基を表し、複数のR29は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
50は炭素数1~10のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する-CH2-は、-O-、-CO-、-NR41-、-OCO-、-COO-、-OCONH-、-NHCOO-、-CONH-または-NHCO-で置換されていてもよい。
*は窒素原子との結合手を表す。]
【0180】
29で表される炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
【0181】
29で表される炭素数1~4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基が挙げられる。
29としては、ヒドロキシ基または炭素数1~4のアルコキシ基が好ましく、より好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
【0182】
50で表される炭素数1~10のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;1-メチルエタン-1,2-ジイル基、1-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、1-メチルブタン-1,4-ジイル基、2-メチルブタン-1,4-ジイル基、2-メチルペンタン-1,5-ジイル基、2-メチルヘプタン-1,7-ジイル基、2-エチルヘキサン-1,6-ジイル基等の分岐鎖状アルカンジイル基;等が挙げられる。アルカンジイル基の炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~4である。
【0183】
50で表されるアルカンジイル基を構成する-CH2-は、-O-、-CO-、-NR41-、-OCO-、-COO-、-OCONH-、-NHCOO-、-CONH-または-NHCO-で置換されていてもよい。
【0184】
式(ii)で表される基としては、下記式で表される基が挙げられる。
【0185】
【化42】
【0186】
【化43】
【0187】
50で表されるアルカンジイル基を構成する-CH2-が-O-で置換された基としては、下記で表される基が挙げられる(*は結合手を表す)。
【0188】
【化44】
【0189】
【化45】
【0190】
50で表されるアルカンジイル基を構成する-CH2-が-CO-で置換された基としては、以下の式で表される基が挙げられる(*は結合手を表す)。
【0191】
【化46】
【0192】
【化47】
【0193】
50で表されるアルカンジイル基を構成する-CH2-が-NR41-で置換された基としては、下記で表される基が挙げられる(*は結合手を表す)。
【0194】
【化48】
【0195】
【化49】
【0196】
50で表されるアルカンジイル基を構成する-CH2-が-OCO-で置換された基としては、下記で表される基が挙げられる(*は結合手を表す)。
【0197】
【化50】
【0198】
【化51】
【0199】
50で表されるアルカンジイル基を構成する-CH2-が-COO-で置換された基としては、下記で表される基が挙げられる(*は結合手を表す)。
【0200】
【化52】
【0201】
【化53】
【0202】
50で表されるアルカンジイル基を構成する-CH2-が-OCONH-で置換された基としては、下記で表される基が挙げられる(*は結合手を表す)。
【0203】
【化54】
【0204】
【化55】
【0205】
50で表されるアルカンジイル基を構成する-CH2-が-NHCOO-で置換された基としては、下記で表される基が挙げられる(*は結合手を表す)。
【0206】
【化56】
【0207】
【化57】
【0208】
50で表されるアルカンジイル基を構成する-CH2-が-CONH-で置換された基としては、下記で表される基が挙げられる(*は結合手を表す)。
【0209】
【化58】
【0210】
【化59】
【0211】
50で表されるアルカンジイル基を構成する-CH2-が-NHCO-で置換された基としては、下記で表される基が挙げられる(*は結合手を表す)。
【0212】
【化60】
【0213】
【化61】
【0214】
式(iix)で表される基は、式(ix)で表される基であることが好ましい。
【0215】
【化62】
【0216】
[式(ix)中、
m1は1~8の整数を表す。
42は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、複数のR42は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
*は窒素原子との結合手を表す。]
【0217】
m1は好ましくは1~6、より好ましくは1~5、更に好ましくは1~4である。
【0218】
42で表される炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
42としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基がより好ましい。
【0219】
式(ix)で表される基としては、下記式(ix-1)~(ix-12)で表される基が挙げられる。式(ix)で表される基としては、式(ix-2)で表される基、式(ix-3)で表される基、式(ix-5)で表される基、式(ix-6)で表される基が好ましく、より好ましくは式(ix-3)で表される基である。
【0220】
【化63】
【0221】
+は、+N(R414、Na+又はK+であり、好ましくは+N(R414である。
前記+N(R414としては、4つのR41のうち、少なくとも2つが炭素数5~20の1価の飽和炭化水素基であることが好ましい。また、4つのR41の合計炭素数は20~80が好ましく、20~60がより好ましい。
【0222】
Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子であり、塩素原子または臭素原子が好ましく、より好ましくは塩素原子である。
【0223】
kは0または1であり、より好ましくは0である。
【0224】
式(X1)で表される化合物としては、R31~R37が以下の通りであるものが好ましい。
31~R34は、以下の(x1)~(x4)のいずれかを満たすことが好ましく、(x1)又は(x4)を満たすことが好ましい。
(x1)R31~R33は、置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基であり、R34は、式(iix)で表される基である
(x2)R31及びR33は、置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基であり、R32及びR34は、式(iix)で表される基である
(x3)R31及びR33は、置換基を有していてもよい炭素数6~10の芳香族炭化水素基であり、R32及びR34は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基である
(x4)R31~R34は、置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基である
35は、-SO3 -、-SO3 -+、-SO3H又は-SO2NHR39であることが好ましい。
mは、1~2の整数であることが好ましい。
36及びR37は、水素原子であることが好ましい。
aは、0であることが好ましい。
【0225】
式(X1)で表される化合物としては、下記式(IX-1)~(IX-177)で表される化合物が挙げられる。式中、R40は、炭素数1~20の1価の飽和炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6~12の分岐鎖状アルキル基を表し、より好ましくは2-エチルヘキシル基を表す。
式(X1)で表される化合物としては、化合物(IX-1)~(IX-4)、(IX-13)~(IX-16)、(IX-25)~(IX-28)、(IX-37)~(IX-40)、(IX-49)~(IX-116)、(IX-117)、(IX-119)~(IX-122)、(IX-124)~(IX-147)、(IX-150)~(IX-156)、(IX-160)~(IX-177)が好ましく、化合物(IX-1)~(IX-4)、(IX-13)~(IX-16)、(IX-25)~(IX-28)、(IX-50)、(IX-51)、(IX-53)、(IX-54)、(IX-119)、(IX-121)、(IX-122)、(IX-124)~(IX-147)、(IX-150)~(IX-156)、(IX-160)~(IX-167)がより好ましい。
【化64】
【0226】
【化65】
【0227】
【化66】
【0228】
【化67】
【0229】
【化68】
【0230】
【化69】
【0231】
【化70】
【0232】
【化71】
【0233】
【化72】
【0234】
【化74】
【0235】
【化75】
【0236】
【化76】
【0237】
【化77】
【0238】
【化78】
【0239】
【化79】
【0240】
【化80】
【0241】
【化81】
【0242】
【化82】
【0243】
【化83】
【0244】
【化84】
【0245】
【化85】
【0246】
【化86】
【0247】
【化87】
【0248】
【化88】
【0249】
前記キサンテン化合物の含有量は、化合物(I)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上、よりいっそう好ましくは10質量部以上、とりわけ好ましくは20質量部以上であり、好ましくは600質量部以下、より好ましくは500質量部以下、さらに好ましくは450質量部以下である。
さらに、化合物(I)とキサンテン化合物の合計の含有率は、着色剤の総量100質量%中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりいっそう好ましくは90質量%以上、とりわけ好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
【0250】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)として、化合物(I)及びキサンテン化合物以外の着色剤(以下、着色剤(A1)という場合がある)を含んでいてもよい。着色剤(A1)には、1種又は2種以上の着色剤が含まれていてもよい。
【0251】
着色剤(A1)は、染料であっても顔料であってもよい。染料としては、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists 出版)及び染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料、ニトロ染料及びフタロシアニン染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。これらの染料は、2種以上を併用してもよい。
【0252】
具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられる。C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.ソルベントイエロー14、15、23、24、25、38、62、63、68、79、81、82、83、89、94、98、99、162;
C.I.ダイレクトイエロー2、4、28、33、34、35、38、39、43、44、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、132、136、138、141;
C.I.ディスパースイエロー51、54、76;
C.I.リアクティブイエロー2、76、116;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、149、162、169、173;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、41、54、56、99;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、33、34、35、37、40、42、44、50、57、66、73、76、80、88、91、95、97、98、103、106、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、155、158、160、172、176、182、183、195、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.ソルベントレッド24、49、90、91、111、118、119、122、124、125、127、130、132、143、145、146、150、151、155、160、168、169、172、175、181、207、222、227、230、245、247;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、29、30、32、33、36、37、38、39、41、42、43、45、46、48、52、53、56、62、63、71、74、76、78、85、86、88、90、94、95;
C.I.アシッドバイオレット34;
C.I.ディスパースバイオレット26、27;
C.I.ソルベントバイオレット11、13、14、26、31、36、37、38、45、47、48、51、59、60;
C.I.ソルベントブルー14、18、35、36、45、58、59、59:1、63、68、69、78、79、83、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139;
C.I.アシッドブルー25、27、40、45、78、80、112;
C.I.ダイレクトブルー40;
C.I.ディスパースブルー1、14、56、60;
C.I.ソルベントグリーン1、3、5、28、29、32、33;
C.I.アシッドグリーン3、5、9、25、27、28、41;
C.I.ベーシックグリーン1;
C.I.バットグリーン1等。
【0253】
顔料としては、公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyersand Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。2種以上を組合せてもよい。
具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等のオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265、266、268、269、273等の赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59の緑色顔料が挙げられる。
【0254】
着色剤(A1)としては、赤色染料及び赤色顔料(これらを総称して「赤色着色剤」という場合がある。)、黄色染料及び黄色顔料(これらを総称して「黄色着色剤」という場合がある。)が好ましい。
【0255】
赤色染料としては、上記染料のうち、色相が赤または橙色に分類されている染料が挙げられ、赤色顔料としては、上記顔料のうち、色相が赤または橙色に分類されている顔料が挙げられる。
赤色顔料の中でも、アントラキノン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド177、208、242、254、269;ピグメントオレンジ38、43が好ましく、C.I.ピグメントレッド177、254がより好ましい。
【0256】
黄色染料としては、上記染料のうち、色相が黄に分類されている染料が挙げられ、黄色顔料としては、上記顔料のうち、色相が黄に分類されている顔料が挙げられる。
【0257】
着色剤(A1)の量は、化合物(I)100質量部に対して、0質量部以上10000質量部以下、好ましくは9000質量部以下、より好ましくは8000質量部以下、さらに好ましくは5000質量部以下、よりいっそう好ましくは1000質量部以下、とりわけ好ましくは500質量部以下である。
【0258】
(3)分散剤
着色剤(A)は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された着色剤誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による着色剤(A)表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。着色剤(A)の粒径は、略均一であることが好ましい。着色剤(A)は、分散剤を含有させて分散処理を行うことで、着色剤(A)が分散液の中で均一に分散した状態にすることができる。
【0259】
分散剤としては、界面活性剤等が挙げられ、カチオン系、アニオン系、ノニオン系及び両性のいずれの界面活性剤であってもよい。具体的にはポリエステル系、ポリアミン系及びアクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。これらの分散剤は、単独で又は二種以上を組合せて用いてもよい。分散剤としては、商品名で表すと、KP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(登録商標)(ゼネカ(株)製)、EFKA(登録商標)(BASF社製)、アジスパー(登録商標)(味の素ファインテクノ(株)製)及びDisperbyk(登録商標)(ビックケミー社製)、BYK(登録商標)(ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0260】
分散剤を用いる場合、分散剤の使用量は、着色剤(A)100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上50質量部以下である。分散剤の使用量が前記の範囲にあると、より均一な分散状態の着色剤(A)含有液が得られる傾向がある。
【0261】
着色硬化性樹脂組成物中、着色剤(A)の含有量は、固形分の総量中、通常1質量%以上90質量%以下であり、好ましくは1質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上75質量%以下である。
【0262】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体(a)(以下「単量体(a)」という場合がある)に由来する構造単位を有する重合体であることが好ましい。
樹脂(B)は、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「単量体(b)」という場合がある)に由来する構造単位、及びその他の構造単位を有する共重合体であることが好ましい。
その他の構造単位としては、単量体(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、単量体(a)及び単量体(b)とは異なる。以下「単量体(c)」という場合がある)に由来する構造単位、エチレン性不飽和結合を有する構造単位等が挙げられる。
【0263】
単量体(a)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びo-、m-、p-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸及び1,4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン及び5-カルボキシエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物;
フマル酸及びメサコン酸を除く上記不飽和ジカルボン酸の無水物等のカルボン酸無水物;
こはく酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕及びフタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α-(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸及び無水マレイン酸等が好ましい。
【0264】
単量体(b)は、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。単量体(b)は、炭素数2~4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることが好ましい。
単量体(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)(以下「単量体(b1)」という場合がある)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下「単量体(b2)」という場合がある)及びテトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下「単量体(b3)」という場合がある)等が挙げられる。
【0265】
単量体(b1)としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)(以下「単量体(b1-1)」という場合がある)及び脂環式不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-2)(以下「単量体(b1-2)」という場合がある)が挙げられる。
【0266】
単量体(b1-1)としては、グリシジル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体が好ましい。単量体(b1-1)としては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチルビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン及び2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0267】
単量体(b1-2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド(登録商標)2000;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマー(登録商標)A400;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマー(登録商標)M100;(株)ダイセル製)、式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物等が挙げられる。
【0268】
【化89】
【0269】
[式(BI)及び式(BII)中、Ra及びRbは、水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
a及びXbは、互いに独立に、単結合、*-Rc-、*-Rc-O-、*-Rc-S-又は*-Rc-NH-を表す。
cは、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0270】
式(BI)で表される化合物としては、式(BI-1)~式(BI-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(BI-1)、式(BI-3)、式(BI-5)、式(BI-7)、式(BI-9)及び式(BI-11)~式(BI-15)で表される化合物が好ましく、式(BI-1)、式(BI-7)、式(BI-9)及び式(BI-15)で表される化合物がより好ましい。
【0271】
【化90】
【0272】
式(BII)で表される化合物としては、式(BII-1)~式(BII-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられ、中でも、好ましくは式(BII-1)、式(BII-3)、式(BII-5)、式(BII-7)、式(BII-9)及び式(BII-11)~式(BII-15)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(BII-1)、式(BII-7)、式(BII-9)及び式(BII-15)で表される化合物が挙げられる。
【0273】
【化91】
【0274】
式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物は、それぞれ単独で用いても、式(BI)で表される化合物と式(BII)で表される化合物とを併用してもよい。これらを併用する場合、式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物の含有比率はモル基準で、好ましくは5:95~95:5であり、より好ましくは10:90~90:10であり、さらに好ましくは20:80~80:20である。
【0275】
単量体(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-9-イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル及びイタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン及び5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物;
N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート及びN-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体;
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン及びp-メトキシスチレン等のビニル基含有芳香族化合物;(メタ)アクリロニトリル等のビニル基含有ニトリル;塩化ビニル及び塩化ビニリデン等のハロゲン化炭化水素;(メタ)アクリルアミド等のビニル基含有アミド;酢酸ビニル等のエステル;1,3-ブタジエン、イソプレン及び2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等のジエン;等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、ビニルトルエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-9-イル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン及びベンジル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0276】
エチレン性不飽和結合を有する構造単位は、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する構造単位である。このような構造単位を有する樹脂は、単量体(a)や単量体(b)に由来する構造単位を有する重合体に、単量体(a)や単量体(b)が有する基と反応可能な基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体を付加させることにより得ることができる。
このような構造単位としては、(メタ)アクリル酸単位にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた構造単位、無水マレイン酸単位に2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを付加させた構造単位及びグリシジル(メタ)アクリレート単位に(メタ)アクリル酸を付加させた構造単位等が挙げられる。また、これらの構造単位がヒドロキシ基を有する場合は、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位も、エチレン性不飽和結合を有する構造単位として挙げられる。
【0277】
単量体(a)に由来する構造単位を有する重合体は、例えば、重合開始剤の存在下、重合体の構造単位を構成する単量体を溶剤中で重合することにより製造できる。重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、前述の溶剤(E)等が挙げられる。
【0278】
なお、得られた重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
必要に応じて、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等を使用してもよい。
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物及び5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等が挙げられる。
【0279】
樹脂(B)としては、具体的に、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/ビニルトルエン共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/トリシクロ[5.2.1.02,6]デセニル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体並びに特開平9-106071号公報、特開2004-29518号公報及び特開2004-361455号公報の各公報記載の樹脂等が挙げられる。
中でも、樹脂(B)としては、単量体(a)に由来する構造単位及び単量体(b)に由来する構造単位を含む共重合体が好ましい。
樹脂(B)は2種以上を組合せてもよく、この場合は、樹脂(B)は、少なくとも、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/ビニルトルエン共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート共重合体から選ばれる1以上を含むことが好ましい。
【0280】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは5,000~50,000であり、さらに好ましくは5,000~30,000である。樹脂(B)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1~6であり、より好ましくは1.2~4である。
【0281】
樹脂(B)の固形分酸価は、好ましくは20~170mg-KOH/gであり、より好ましくは60~150mg-KOH/g、さらに好ましくは70~135mg-KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0282】
着色硬化性樹脂組成物中、樹脂(B)の含有量は、化合物(I)100質量部に対して、例えば、1~1200質量部であり、好ましくは50~1000質量部であり、より好ましくは100~800質量部である。
また着色硬化性樹脂組成物中、樹脂(B)の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは7~99質量%であり、より好ましくは13~99質量%であり、さらに好ましくは17~95質量%である。
【0283】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等であり、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0284】
エチレン性不飽和結合を1つ有する重合性化合物としては、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドン等、並びに、上述の単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)が挙げられる。
【0285】
エチレン性不飽和結合を2つ有する重合性化合物としては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル及び3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0286】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0287】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下であり、より好ましくは250以上1,500以下である。
【0288】
重合性化合物(C)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物中、固形分の総量に対して、7~65質量%であることが好ましく、より好ましくは13~60質量%であり、さらに好ましくは17~55質量%である。
【0289】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤(D)としては、O-アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物及びアシルホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。
【0290】
O-アシルオキシム化合物としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン及びN-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン等が挙げられる。また、O-アシルオキシム化合物として、イルガキュアOXE01、OXE02(以上、BASF社製)及びN-1919(ADEKA社製)、下記式(d)で表される化合物
【化92】

等の市販品を用いてもよい。中でも、O-アシルオキシム化合物としては、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン及びN-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミンがより好ましい。
【0291】
アルキルフェノン化合物としては、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン及び2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペニルフェニル)プロパン-1-オンのオリゴマー、α,α-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。アルキルフェノン化合物として、イルガキュア369、907、379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0292】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6-75372号公報、特開平6-75373号公報等参照)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照)及び4,4’,5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているビイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照)等が挙げられる。
【0293】
トリアジン化合物としては、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン及び2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0294】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0295】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン及び2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン及びカンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル及びチタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組合せて用いることが好ましい。
【0296】
重合開始剤(D)は、好ましくはアルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O-アシルオキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む重合開始剤であり、より好ましくはO-アシルオキシム化合物を含む重合開始剤である。
【0297】
重合開始剤(D)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物中の固形分の総量中、好ましくは0.001~40質量%であり、より好ましくは0.01~30質量%である。
【0298】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに重合開始助剤(D1)、レベリング剤(F)などを含んでもよい。
【0299】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物(C)の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組合せて用いられる。重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0300】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン及び4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、好ましくは4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。また、アミン化合物として、EAB-F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0301】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン及び2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0302】
チオキサントン化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン及び1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0303】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン及びナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0304】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量中、好ましくは0.001~30質量%であり、より好ましくは0.01~20質量%である。
【0305】
<溶剤(E)>
溶剤(E)としては、例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤及びジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0306】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0307】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソール等が挙げられる。
【0308】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0309】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロン等が挙げられる。
【0310】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。
アミド溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの溶剤は、2種以上を併用してもよい。
溶剤(E)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物の総量中、好ましくは65~95質量%であり、より好ましくは70~90質量%である。
【0311】
着色剤(A)を溶剤(E)に分散させて着色分散液を調製する場合、着色硬化性樹脂組成物に含有される樹脂(B)の一部又は全部、好ましくは一部を予め含んでいてもよい。樹脂(B)を予め含ませておくことで、着色組成物にした時の分散安定性をさらに改善できる。
【0312】
<レベリング剤(F)>
レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0313】
前記のフッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0314】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0315】
レベリング剤(F)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.001質量%以上0.2質量%以下であり、好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.007質量%以上0.07質量%以下、最も好ましくは0.007質量%以上0.05質量%以下である。尚、この含有量に、前記顔料分散剤の含有量は含まれない。レベリング剤(F)の含有量が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの平坦性を良好にすることができる。
【0316】
<その他の成分>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0317】
<着色硬化性樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、例えば、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、並びに必要に応じて用いられる溶剤(E)、レベリング剤(F)、重合開始助剤(D1)及びその他の成分を混合することにより調製できる。
化合物(I)、キサンテン化合物、及び必要に応じて用いられる着色剤(A1)としての顔料は、予め溶剤(E)の一部又は全部と混合し、顔料の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させることが好ましい。この際、必要に応じて前記顔料分散剤、樹脂(B)の一部又は全部を配合してもよい。このようにして得られた顔料分散液に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、着色硬化性樹脂組成物を調製できる。
【0318】
特に、化合物(I)及びキサンテン化合物以外の着色剤である着色剤(A1)を含む場合、予め化合物(I)と溶剤(E)とを含む化合物(I)含有液と、着色剤(A1)と溶剤(E)とを含む着色剤(A1)含有液を調製した後、該化合物(I)含有液及び該着色剤(A1)含有液を使用して着色硬化性樹脂組成物を調製してもよい。化合物(I)含有液又は着色剤(A1)含有液は、化合物(I)又は着色剤(A1)を溶剤(E)に分散させて混合することにより調製できる。化合物(I)含有液又は着色剤(A1)含有液は、着色硬化性樹脂組成物に含有される溶剤(E)の一部又は全部を含んでいてもよい。
混合後の着色硬化性樹脂組成物を、孔径0.1~10μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
【0319】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、前記着色硬化性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて着色組成物層を形成し、フォトマスクを介して該着色組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記着色組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜を本発明のカラーフィルタとすることができる。
作製するカラーフィルタの膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、0.1~30μm、好ましくは0.1~20μm、さらに好ましくは0.5~6μmである。
【0320】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0321】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な着色組成物層を得る。
塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30~120℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間~60分間であることが好ましく、30秒間~30分間であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50~150Paの圧力下、20~25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
着色組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とするカラーフィルタの膜厚に応じて適宜選択すればよい。
【0322】
次に、着色組成物層は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。
露光に用いられる光源としては、250~450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと着色組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。
【0323】
露光後の着色組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、着色組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.03~5質量%である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後は、水洗することが好ましい。
【0324】
さらに、得られた着色パターンに、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、150~250℃が好ましく、160~235℃がより好ましい。ポストベーク時間は、1~120分間が好ましく、10~60分間がより好ましい。
【0325】
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、特にコントラストに優れたカラーフィルタを作製することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例
【0326】
以下、実施例によって本発明の着色硬化性樹脂組成物について、より詳細に説明する。
例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
以下の合成例において、化合物は、質量分析(LC;Agilent製1200型、MASS;Agilent製LC/MSD型)又は元素分析(VARIO-EL;エレメンタール(株)製)で同定した。
【0327】
合成例1
フタロニトリル(東京化成工業(株)製)3部とメタノール300部を混合した。得られた混合物の温度を5℃以下に保ちながら、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(和光純薬工業(株)製)2.71部を、30分かけて滴下し、5℃で6時間撹拌した。得られた混合物の温度を5℃以下に保ちながら、酢酸14部を加えた。得られた混合物に、5-シアノ-4-オキソ-ペンタン酸(Journal of Organic Chemistry,1992,57(18),5005-5013に記載の方法に準じて合成)12部を加え、45℃で26時間撹拌した。得られた混合物をろ過し、残渣を水300部、メタノール300部、N,N-ジメチルホルムアミド15部の順で洗浄した。得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(I-1)で表される化合物(化合物番号136。以下、化合物(I-1)という場合がある。)を7.4部得た(収率80%)。
【0328】
【化93】
【0329】
<式(I-1)で表される化合物(化合物番号136)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 394
Exact Mass: 393
【0330】
合成例2
合成例1の5-シアノ-4-オキソ-ペンタン酸12部を4-(2-シアノアセチル)安息香酸(US2680731に記載の方法に準じて合成)14部としたこと以外は合成例1と同様の方法で合成を行い、式(I-2)で表される化合物(化合物番号46。以下、化合物(I-2)という場合がある。)を10部得た(収率83%)。
【0331】
【化94】
【0332】
<式(I-2)で表される化合物(化合物番号46)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 490
Exact Mass: 489
【0333】
合成例3
(1) o-シアノアセチルフェニル酢酸の合成
2-(2-メトキシ-2-オキソエチル)安息香酸(WO2015/100363に記載の方法に準じて合成)18部をTHF540部に溶解させた。得られた混合物の温度を-50℃以下に保ちながら、1mol/L リチウムビス(トリメチルシリル)アミドのヘキサン溶液(関東化学(株)製)371部を、120分かけて滴下し、30分間撹拌した。-50℃以下に保ちながら、アセトニトリル(関東化学(株)製)23部を90分かけて滴下し、25℃まで昇温し、25℃で6時間撹拌した。反応液を水洗し、酢酸エチル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、残査を酢酸エチル/n-ヘキサン(体積比2/1)で再沈殿により精製し、o-シアノアセチルフェニル酢酸13部を得た(収率69%)。
(2) 式(I-3)で表される化合物(化合物番号73)の合成
フタロニトリル(東京化成工業(株)製)3部とメタノール300部を混合した。得られた混合物の温度を5℃以下に保ちながら、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(和光純薬工業(株)製)2.71部を、30分かけて滴下し、5℃で6時間撹拌した。得られた混合物の温度を5℃以下に保ちながら、酢酸14部を加えた。得られた混合物に、o-シアノアセチルフェニル酢酸11部を加え、45℃で26時間撹拌した。得られた混合物をろ過し、残渣を水300部、メタノール300部、N,N-ジメチルホルムアミド15部の順で洗浄した。得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(I-3)で表される化合物(化合物番号73。以下、化合物(I-3)という場合がある。)を9部得た(収率71%)。
【0334】
【化95】
【0335】
<式(I-3)で表される化合物(化合物番号73)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 518
Exact Mass: 517
【0336】
合成例4
(1) 4-カルボキシ-1-(4-シアノ-3-オキシブチル)ベンゼンの合成
4-カルボキシ-1-ベンゼンプロピオン酸メチル(WO2005/012220に記載の方法に準じて合成)30.0部をTHF900部に溶解させた。得られた混合物の温度を-50℃以下に保ちながら、1mol/L リチウムビス(トリメチルシリル)アミドのヘキサン溶液(関東化学(株)製)576部を、120分かけて滴下し、30分間撹拌した。-50℃以下に保ちながら、アセトニトリル(関東化学(株)製)36部を90分かけて滴下し、25℃まで昇温し、25℃で6時間撹拌した。反応液を水洗し、酢酸エチル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後溶媒を留去し、残査を酢酸エチル/n-ヘキサン(体積比2/1)で再沈殿により精製し、4-カルボキシ-1-(4-シアノ-3-オキシブチル)ベンゼン26.6部を得た(収率85%)。
(2) 式(I-4)で表される化合物(化合物番号154)の合成
合成例1の5-シアノ-4-オキソ-ペンタン酸12部を4-カルボキシ-1-(4-シアノ-3-オキシブチル)ベンゼン12部としたこと以外は合成例1と同様の方法で合成を行い、式(I-4)で表される化合物(化合物番号154。以下、化合物(I-4)という場合がある。)を7.7部得た(収率60%)。
【0337】
【化96】
【0338】
<式(I-4)で表される化合物(化合物番号154)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 546
Exact Mass: 545
【0339】
合成例5
(1) p-シアノアセチルフェニル酢酸の合成
合成例3(1)の2-(2-メトキシ-2-オキソエチル)安息香酸を4-(2-メトキシ-2-オキソエチル)安息香酸に変えた以外は同様に合成を行った。p-シアノアセチルフェニル酢酸13部を得た(収率70%)。
(2) 式(I-5)で表される化合物(化合物番号82)の合成
合成例3(2)のo-シアノアセチルフェニル酢酸をp-シアノアセチルフェニル酢酸に変えた以外は合成例3(2)と同様に合成を行った。式(I-5)で表される化合物(化合物番号82。以下、化合物(I-5)という場合がある。)を8.7部得た(収率68%)。
【0340】
【化97】
【0341】
<式(I-5)で表される化合物(化合物番号82)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 518
Exact Mass: 517
【0342】
合成例6
4-(トリフルオロメチル)フタロニトリル(特開平6-41137に記載の方法に準じて合成)4.6部とメタノール300部を混合した。得られた混合物の温度を5℃以下に保ちながら、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(和光純薬工業(株)製)2.71部を、30分かけて滴下し、5℃で6時間撹拌した。得られた混合物の温度を5℃以下に保ちながら、酢酸14部を加えた。得られた混合物に3-(2-シアノアセチル)安息香酸(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2010,20(3), 922-926に記載の方法に準じて合成)14.2部を加え、45℃で26時間撹拌した。得られた混合物をろ過し、残渣を水300部、メタノール300部、N,N-ジメチルホルムアミド15部の順で洗浄した。得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(I-6)で表される化合物(化合物番号40。以下、化合物(I-6)という場合がある。)を7.7部得た(収率59%)。
【0343】
【化98】
【0344】
<式(I-6)で表される化合物(化合物番号40)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 558
Exact Mass: 557
【0345】
合成例7
式(xx1)で表される化合物40.6部と、ジエチルアミン(東京化成工業(株)製)8部とを1-メチル-2-ピロリドン50部の存在下、遮光条件下混合し、30℃で3時間攪拌した。得られた反応液を室温まで冷却後、水400部、35%塩酸20部の混合液中に添加し室温で1時間攪拌したところ、結晶が析出した。析出した結晶を吸引濾過の残渣として取得後乾燥し、式(xx2)で表される化合物44部を得た。
【0346】
【化99】
【0347】
次いで、式(xx2)で表される化合物44部とトリメトキシ[3-(メチルアミノ)プロピル]シラン(東京化成工業(株)製)21.4部とを1-メチル-2-ピロリドン50部の存在下、100℃で、5時間加熱した。得られた反応液を室温まで冷却後、ろ過し、水100部で洗浄し、得られた結晶を乾燥し、式(X-1)で表される化合物(化合物(X-1)という場合がある。)52部を得た。
【0348】
【化100】
【0349】
<式(X-1)で表される化合物の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= [M+H]+ 599.2
Exact Mass: 598.1
【0350】
合成例8
式(xx2)で表される化合物5.0部、N-メチルピロリドン(和光純薬工業(株)製)35部を室温で混合し、混合物にジプロピルアミン(東京化成工業(株)製)3.4部を20℃を超えない温度で滴下し、80℃に昇温して3時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、濃塩酸3.4部を加え、得られた混合物を飽和食塩水315部に投入した。得られた析出物を吸引濾過の残渣として取得し、イオン交換水630部で洗浄後乾燥し、式(X-3)で表される化合物(化合物(X-3)という場合がある。)3.9部を得た。収率は69%であった。
【0351】
【化101】
【0352】
<式(X-3)で表される化合物の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]+ 507.7
Exact Mass: 506.7
【0353】
合成例9
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート280部を入れ、攪拌しながら80℃まで加熱した。次いで、アクリル酸38部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物289部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート125部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)33部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート235部に溶解した混合溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間同温度で保持した後、室温まで冷却して、固形分35.0%の共重合体(樹脂B1)の溶液を得た。得られた樹脂B1の重量平均分子量は8,800、分散度は2.1、固形分換算の酸価は77mg-KOH/gであった。
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
【0354】
合成例10
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート371部を入れ、攪拌しながら85℃まで加熱した。次いで、アクリル酸54部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物225部、ビニルトルエン(異性体混合物)81部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80部の混合溶液を4時間かけて滴下した。一方、重合開始剤2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)30部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート160部に溶解した溶液を5時間かけて滴下した。開始剤溶液の滴下終了後、4時間同温度で保持した後、室温まで冷却して、固形分37.5%の共重合体(樹脂B3)の溶液を得た。得られた樹脂B3の重量平均分子量は10,600、分散度は2.0、固形分換算の酸価は112mg-KOH/gであった。
【0355】
樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim-pack GPC-80M
カラム温度;40℃
【0356】
実施例1~11
(1) 着色硬化性樹脂組成物の調製
表7に示す成分を混合し、ビーズミルを用い式(I)で表される化合物を分散させた分散液を調製した。
【0357】
【表7】

別途、表8に示す成分を混合し、キサンテン化合物含有組成物を調製した。表中、化合物(X-2)は、C.I.ソルベントレッド130を意味する。
【0358】
【表8】
【0359】
さらに、表9に示す成分を混合し、ビーズミルを用いて顔料を分散させた顔料分散液を得た。
【0360】
【表9】
【0361】
次いで、表10に示す成分を混合して着色硬化性組成物を得た。
【0362】
【表10】

ただし、各記号は、それぞれ以下の化合物を表す。
(A-1):C.I.ピグメントレッド254
(B-1):樹脂B1(固形分換算)
(B-2):樹脂B3(固形分換算)
(C-1):ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業(株)製「A9550」)
(D-1):式(d)で表される化合物(常州強力電子新材料(株)製)
【化102】

(E-1):4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコールともいう)
(E-2):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(F-1):ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製)
【0363】
(2) 着色塗膜の作製
5cm角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、着色硬化性樹脂組成物を、ポストベーク後の膜厚が約2~4μmになるようにスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして、着色組成物層を形成した。放冷後、基板上に形成された着色組成物層に、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、80mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。光照射後、オーブン中、230℃で30分間ポストベークを行い、着色塗膜を得た。
【0364】
(3) 膜厚測定
得られた着色塗膜について、膜厚を、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製))を用いて測定した。
【0365】
(4) 色度評価
得られた着色塗膜について、測色機(OSP-SP-200;オリンパス(株)製)を用いて分光を測定し、C光源の特性関数を用いてCIEのXYZ表色系におけるxy色度座標(x、y)と刺激値Yとを測定した。Yの値が大きいほど明度が高いことを表す。
【0366】
(5) コントラスト評価
得られた着色塗膜について、コントラスト計(CT-1:壺坂電機(株)、色彩色差計BM-5A:トプコン社製、光源:F-10、偏光フィルム:壺坂電機(株))を用いてコントラストを測定した。尚、測定時のブランク値は30,000である。
【0367】
結果を表11に示す。
【0368】
【表11】
【産業上の利用可能性】
【0369】
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、特にコントラストに優れたカラーフィルタを作製することができる。