(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】CMP研磨パッドコンディショナ
(51)【国際特許分類】
B24B 53/017 20120101AFI20220525BHJP
B24B 53/12 20060101ALI20220525BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220525BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
B24B53/017 A
B24B53/12 Z
H01L21/304 622M
C09K3/14 550D
C09K3/14 550F
(21)【出願番号】P 2020536627
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(86)【国際出願番号】 US2018067707
(87)【国際公開番号】W WO2019133724
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-08-26
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】511300927
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ フロリダ リサーチ ファウンデーション,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF FLORIDA RESEARCH FOUNDATION, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シン, ラジブ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】シン, ディーピカー
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-272543(JP,A)
【文献】特表2001-510738(JP,A)
【文献】特表2011-514848(JP,A)
【文献】特開2006-130586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/00 - 53/14
H01L 21/304
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨(CMP)パッドコンディショナであって、
金属、セラミック又は金属-セラミック材料を含むコンディショナ基板を含み、
前記コンディショナ基板は、複数のダイヤモンド粒子を含む多結晶ダイヤモンド膜で被覆されたパターン化された表面を有し、
前記多結晶ダイヤモンド膜
上で最も高い粒子の少なくとも80パーセントが(111)配向から20度以内の配向を有する、化学機械研磨(CMP)パッドコンディショナ。
【請求項2】
前記複数のダイヤモンド粒子を含まない部分が前記コンディショナ基板上に存在する、請求項1に記載のCMPパッドコンディショナ。
【請求項3】
化学機械研磨(CMP)パッドコンディショナの処理方法であって、
(i) コンディショナ基板であって、金属、セラミック又は金属-セラミック材料を含み、該コンディショナ基板上に多結晶ダイヤモンド膜を有するパターン化された表面を有する
コンディショナ基板と、
(ii)水性媒体及び3,000Kg/mm
2を超える
ビッカース硬度を有する複数の硬質スラリー粒子を含むスラリーと
を含む前記CMPパッドコンディショナを提供することと、
研磨パッドを使用してCMP装置において前記多結晶ダイヤモンド膜を研磨することと
を含み、
前記研磨の後に、
前記多結晶ダイヤモンド膜上で最も高い粒子の少なくとも80パーセントが(111)配向から20度以内の配向を有する
、
方法。
【請求項4】
前記複数の硬質スラリー粒子がダイヤモンド粒子を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ダイヤモンド粒子の平均径が10ミクロン~200ミクロンの範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記スラリー中の前記ダイヤモンド粒子の濃度が1重量%~20重量%の間である、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記研磨パッドが、50kg/m
2
を超えるビッカース硬度を有する金属又はセラミック材料を含む、請求項3~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記研磨パッドが、銅、鋼、又は少なくとも2つの金属を含む金属合金を含む、請求項3~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記スラリーの粘度が、2センチポアズ~1,500センチポアズの範囲である、請求項3~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
3,000Kg/mm
2
未満の硬度、10nm~10ミクロンの径、及び1~60重量パーセントの濃度を有するアルミナ又はシリカから選択される二次粒子をさらに含む、請求項3~9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は、化学機械研磨(CMP)に使用される研磨パッドを調整するパッドコンディショナに関する。
【背景技術】
【0002】
CMP研磨パッドコンディショナ(CMPパッドコンディショナ)は、CMP工程で広く使用され、ポリマー材料を通常含む研磨パッドの表面を再生する。CMPパッドコンディショナは一般に、その上に固定された複数の表面突出部を含む金属基板を含む。
【0003】
製品ウェハに施される製造研磨工程の実施時に、CMP研磨パッド、通常は研磨粒子を含むスラリー、及び研磨される基板(例えば、ウェハ)表面の連続的なトライボロジー相互作用により、CMP研磨パッドがより滑らかになり、仕上がりにグレージングが生じることがある。これにより、CMP除去速度の経時的な変化がもたらされ、研磨工程に他の変化が生じる可能性がある。研磨パッドのこの性能低下に対処するために、一般に金属であるパッドコンディショナ基板に付着したダイヤモンド又は他の硬質材料の突出表面を備えるCMPパッドコンディショナが、CMP研磨パッドに擦り付けられる。
【0004】
CMPパッドコンディショナの表面の突出した(ダイヤモンドなどの)硬質材料は、一般に、金属を含むコンディショナ基板の表面上に複数のダイヤモンド粒子又は他の硬質粒子を物理的に付着させることによって、又は、コンディショナ基板上に多結晶ダイヤモンド膜又は他の硬質材料膜(炭化物、窒化物、酸化物又はこれらの組合せなど)を成膜させることによって、例えば、化学蒸着又は物理蒸着によってパターン化されたコンディショナ基板上又はパターン化されていないコンディショナ基板上に膜を形成することによって、作製される。硬質材料層の堆積後に、焼結工程を使用可能である。突出した硬質材料粒子は、コンディショナ基板の上面に機械的及び/又は化学的に結合するようになる。
【0005】
ダイヤモンド又は他の硬質粒子をコンディショナ基板に物理的に付着させる場合、ダイヤモンド粒子又は他の硬質粒子の径は10ミクロン~5mm、ダイヤモンド粒子又は他の硬質粒子の表面密度は10/cm2~100,000/cm2と様々である。突出粒子間、又はパターン化された突出表面間の平均距離は、1ミクロン~10mmと様々である。付着した硬質粒子又はパターン化された硬質表面の高さは、1ミクロン~3mmと様々である。パターン化された領域に堆積されるダイヤモンド膜又は他の硬質材料膜の場合、(突出部の底部又は上部から測定される)突出部の面積は、1μ2~100mm2と様々である。
【0006】
パターン化されたコンディショナ基板配置では、パターンが本質的に粗さをもたらす。パターン化されていないCMPパッドコンディショナの配置に関しては、CMPパッドコンディショナは、金属又はセラミックのコンディショナ基板上に、突出したダイヤモンド粒子を備えるダイヤモンド層などの硬質材料から構成されるブランケット粗膜を有し得る。パターン化されていないにもかかわらず、例えば、化学蒸着(CVD)によって非常に粗い形態を有するダイヤモンド層を堆積させることで、基板がパターン化されていなくても粗い表面が可能であり、粗さはダイヤモンド膜の厚さと共に増加する。例えば、CVDによる成長直後のダイヤモンド膜の(例えば、粗さプロファイルの算術平均であるRaによって定量化される)粗さは、1nm~200μmの範囲で変化し、通常は0.1μmより大きい。
【0007】
パッド調整は、製品ウェハの研磨に使用される研磨パッドに対してCMPパッドコンディショナによって実行される工程である。典型的なCMPウェハ研磨工程では、高分子研磨パッドは、研磨パッドと製品ウェハ(基板)のトライボロジー作用により、グレージングする(すなわち、粗さを失う)。これは、CMP除去速度及び/又はウェハ研磨工程の均一性の低下につながり得る。従って、研磨パッドの粗さは、CMPパッドコンディショナを使用して定期的に回復される。CMPパッドコンディショナは、製造ロットの研磨ランの後で、又は機械的付着による製造研磨ランにおいて同時に、スラリーと共に研磨パッドに擦り付けられる。
【0008】
パッド調整時に生じる、研磨パッドとCMPパッドコンディショナとの間の摩擦作用によるトライボロジー作用によって、一般に、研磨パッドの表面にスクラッチが生じる。このスクラッチ処理によって、研磨パッドの粗さが有利に増加し、ウェハ研磨工程の経時的な変化が減少する。しかし、時間の経過とともに、CMPコンディショナパッドの突出したダイヤモンド表面又はパターン化されていない粗い表面は、スラリーと研磨パッドの化学的機械的作用により鈍くなり、その結果、研磨パッドの再調整能力が低下する可能性がある。これが発生すると、CMPパッドコンディショナは、その設計目的であるパッド調整の工程において効果的に機能しない。CMPパッドコンディショナは、その表面が鈍くなると交換されるのが慣例である。
【発明の概要】
【0009】
本概要は、本開示の性質と内容を簡潔に示す。これは、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないという理解の下で提出される。
【0010】
開示される実施形態には、製造使用後のCMPパッドコンディショナを形成又は再使用するためのCMPベースの方法が含まれ、この方法によって、初期の製造時(新しい)状態の元のCMPパッドコンディショナと比較してパッド調整用のさらに有用な表面特徴を有する、開示されるCMPパッドコンディショナがもたらされる。製造使用後のCMPパッドコンディショナの表面は、本明細書で「コンディショナ再調整ステップ」と呼ばれる工程において、CMP装置内で研磨される。CMPパッドコンディショナの処理方法には、CMPパッドコンディショナ、並びにスラリー及び研磨パッドを含むCMP装置を提供することが含まれる。CMPパッドコンディショナは、本明細書で「コンディショナ基板」と呼ばれる、コンディショナ基板の上面に結合され3,000Kg/mm2を超えるビッカース硬度を有する複数の硬質コンディショナ粒子をその上に有する基板、又はパターン化された基板であるコンディショナ基板上に3,000Kg/mm2を超えるビッカース硬度を有する硬質膜を含む。コンディショナ基板は、金属、セラミック、又は金属-セラミック複合材料を含む。スラリーは、水性媒体と、3,000Kg/mm2を超える硬度を有する複数の硬質スラリー粒子とを含む。
【0011】
研磨パッドは一般に、鋼、銅、真鍮などの金属、シリカ、アルミナなどのセラミック材料を含み、ビッカース硬度は50Kg/mm2を超える。CMPパッドコンディショナの表面の開示される研磨の後、複数の硬質コンディショナ粒子は、本明細書に定義され、光学的又は機械的な形状測定法によって測定される、最大20ミクロンの平均突出間平坦度(PPF)を有し、突出部の先端から5ミクロン以内、又は少なくとも80%の突出部について先端を起点に突出部の平均寸法の20%以内にある、研削先端範囲(CER)の値により測定される最も鋭い縁部を有する。突出内平坦度(WIPF)は少なくとも20ミクロン以下であり、本明細書に定義されるWIPFは、突出部の先端から2ミクロン以内の任意の点から、突出部の最高点までの高さの差であり、一般に5ミクロン以下である。
【0012】
CMPパッドコンディショナが多結晶ダイヤモンド表面を含む場合の再調整研磨ステップの後、表面粗さも、最も高い粒子の少なくとも80パーセントが(111)の配向から20度以内の配向を有する一方で、最も低い粒子の少なくとも50パーセントが谷領域において(100)及び(110)の粒子から20度以内の粒子を含む、独特の特徴を有する。最も高い粒子は、本明細書では、光学高さ形状測定法又は他の適切な方法によって測定されるピーク-バレー(PV)範囲の上部20パーセントにある高さを有する粒子により定義され、最も低い粒子は、本明細書では、光学形状測定法又は他の方法によって測定される場合のPV範囲の下部20%にある粒子により定義される。対照的に、再調整されていない表面は、粒子のランダムな配向を示すか、複数の最も高い粒子が(111)の配向を含まない表面を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】コンディショナ基板上に結合された様々な形状のダイヤモンド突出部の表面特徴を示す概略図であり、突出の平坦度パラメータであるPFF及びWIPFが本明細書でどのように定義されるかについても示す図である。
【
図2A】開示されるパッド調整後にパッド調整基板表面に結合されたダイヤモンド粒子の先端の描写を等倍で示す図である。
【
図2B】このダイヤモンド粒子のCER及びくさび角度の描写を約1,000倍の倍率で示す図である。
【
図3A】
図3Bに示される標準的なダイヤモンド突出部ベースのコンディショナと比較される、金属、セラミック、又は金属-セラミック複合コンディショナ基板上のダイヤモンド又は他の硬質材料突出部を含む開示されるパッドコンディショナの概略図である。
図3Aは、突出部の最も鋭い先端が、水平面と垂直面との交差によって形成され、突出部の縁部にあり、従って、突出部の先端から5ミクロン以内に位置することを示す。
【
図3B】
図3Bに示される標準のCMPパッドコンディショナでは、最も鋭い表面は、突出部の縁部又はその近傍に位置しない。また、
図3Bに示される最も鋭い表面は、水平面と垂直面の交差によって形成されない。
【
図4】開示されるCMPパッドコンディショナの再調整後の、その上にダイヤモンド表面膜を有するパターン化されたコンディショナ基板の概略図である。ダイヤモンド膜の厚さは0.1ミクロン~200ミクロンと様々であり、水平面の表面粗さ(Ra)は一般に200nm未満で、先端のCER値は5ミクロン以下である。
【
図5A】開示されるパッド再調整前の、コンディショナ基板上に複数の突出したダイヤモンド粒子を有するCMPパッドコンディショナの表面上に結合された突出ダイヤモンド粒子のうちの1つについての走査画像であり、ファセット縁部又は角部が観察できない画像である(倍率は200倍)。
【
図5B】開示されるCMPパッドコンディショナ再調整後の、コンディショナ基板の表面上の突出したダイヤモンド粒子の走査画像であり、それぞれの角部が観察可能ないくつかのファセット縁部が存在する平坦なファセット面を示す画像である。(倍率は200倍)、2つのダイヤモンド粒子が示されている。
【
図6A】開示される研磨前のCMPパッドコンディショナのダイヤモンド膜に関して光学形状測定法により得られた表面粗さのプロットと、その粗さパラメータを示す図であり、ここでRt(最低点と最高点の高さの差)は約2.54ミクロンであり、Raは約100nmであることがわかる。
【
図6B】開示されるCMPパッドコンディショナ再調整工程後の平坦な表面の表面粗さを示し、表面粗さのRa値が0.22ミクロンであり、粗さのPV高さが6ミクロンであることを示す図である。
【
図7A】開示されるコンディショナ再調整ステップ後の、開示されるパターン化されたコンディショナ基板上の異なる厚さのダイヤモンド膜に関して走査型白色光二次元(2D)干渉法により得られた画像を示す図である。研磨後のダイヤモンド膜の厚さは100ミクロンである。
【
図7B】同一の膜に関して走査型白色光3D干渉法により得られた画像を示す図である。
【
図7C】30ミクロンのダイヤモンド膜に関して走査型2D光学形状測定法により得られた画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して説明され、類似の参照番号は、類似又は同等の要素を示すために図面全体にわたって使用される。図は一定の縮尺で描かれておらず、特定の機能を説明するためにのみ提供される。本開示のいくつかの態様について、例示的な適用例を参照して以下に説明する。
【0015】
本開示における主題の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細、関係、及び方法が示されていることを理解されたい。しかしながら、関連分野の当業者であれば、本発明の実施形態は、1つ以上の具体的な詳細を用いずに、すなわち他の方法を用いて実施され得ることを容易に認識するであろう。他の例では、主題を不明瞭にしないために、よく知られている構造又は動作は詳細に示されていない。本発明の実施形態は、いくつかの動作が異なる順序で、及び/又は他の動作又はイベントと同時に発生する可能性があるので、図示された動作又はイベントの順序には限定されない。さらに、本開示に従って方法を実装するために、図示されたすべての動作又はイベントが必要とされるわけではない。
【0016】
本開示の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例に示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、そこに包含されるありとあらゆる下位範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲は、最小値0と最大値10の間の(及びそれらを含む)ありとあらゆる下位範囲、すなわち0以上の最小値及び10以下の最大値を有するありとあらゆる下位範囲、例えば1~5を含み得る。
【0017】
開示される実施形態には、一般にプレートの形態であるコンディショナ基板の上面に結合(機械的及び/又は化学的に結合)されたダイヤモンド粒子などの突出した硬質材料粒子を含むCMPパッドコンディショナの表面を、コンディショナ再調整ステップにおいて製造使用後に成形研磨又は再調整するように処理する方法が含まれる。コンディショナ基板は、金属、セラミック、又は金属-セラミック複合材料を含み、これはパターン化された、又はパターン化されていないコンディショナ基板であり得る。開示される方法におけるCMPパッドコンディショナは、一般に、一例ではダイヤモンド粒子などの硬質スラリー粒子を含むスラリーを使用する従来のCMP装置によって研磨される。
【0018】
開示されるCMPパッドコンディショナは、典型的には、3,000Kg/mm2を超えるビッカース硬度を有するダイヤモンド粒子又は他の硬質材料が埋め込まれた表面を有するコンディショナ基板を含む。ダイヤモンド粒子は、通常、最大又は最小寸法で1ミクロン~5,000ミクロンの範囲の径を有し、突出表面の表面積は、コンディショナの全面積の0.01%の表面被覆からCMPパッドコンディショナの全面積の100%と様々である。上述のように、CMPパッドコンディショナの突出表面は、金属、金属合金、セラミック、又は金属-セラミックなどの、その上にビッカース硬度が3,000g/mm2を超える硬質材料の膜があるコンディショナ基板材料のパターン化されていない表面又はパターン化された表面を使用する薄膜蒸着法によって、ダイヤモンド膜又は硬質膜によって形成することもできる。ダイヤモンド粒子は、(111)、(100)又は(110)結晶面から任意の角度となる範囲の配向を有する任意の結晶配向を有し得る。
【0019】
パッドコンディショナ表面上の、硬度が3,000Kg/mm2を超えるダイヤモンド膜又はその他の硬質材料膜は、一般に、厚さが0.5ミクロン以上(0.5μm~400μmなど)の単一層である。ダイヤモンド又は他の硬質粒子の機械的付着の場合、ダイヤモンド粒子の径は1ミクロン~5mmの範囲で変化し、硬質粒子の表面密度は10/cm2~100,000/cm2と様々である。突出粒子間の平均距離は、1ミクロン~10mmと様々である。硬質粒子の高さは、1ミクロン~3mmと様々である。パターン化されたコンディショナ基板の突出表面上のダイヤモンド膜の場合、突出部の高さは1ミクロン~10,000ミクロンの範囲で変化し、突出部の面積は1μm2~100mm2と様々である。
【0020】
コンディショナ再調整ステップを含む開示される方法で使用されるスラリーの硬質粒子表面の例は、少なくとも3,000Kg/mm2のビッカース硬度を有し、窒化ホウ素、炭化ホウ素、炭化ケイ素、アルミナ、ダイヤモンド、酸化物、金属の特定の窒化物及び炭化物、又はこれら材料の混合物を含む。スラリーの硬質粒子の平均径は、5nm~5,000μmsの範囲で変化し、通常は1μm~5,000μmsと様々である。スラリー中の硬質粒子の濃度は、0.1重量パーセント~80重量パーセントと様々である。任意選択で、研磨スラリーは、ダイヤモンド粒子と、シリカ、アルミナ、チタニアなど、2,000Kg/mm2未満の硬度を有する少なくとも1つの他の粒子材料との混合物を含有し得る。
【0021】
CMP装置は、ポリマー、セラミック、又は金属を含むCMP研磨パッドを有し得る。ポリマーパッドの例としては、ポリウレタン、PVC、及びポリカーボネートが挙げられ、研磨パッドのショアA又はショアD硬度は、5~100と様々である。金属CMP研磨パッドの例としては、鋼、鋳鉄、銅、スズ、及びこれらの金属の1つを含むアルミニウム合金が挙げられる。セラミックCMP研磨パッドの例としては、アルミナ、ガラス、酸化物、窒化物、金属の炭化物及びそれらの混合物が挙げられる。金属研磨パッドのビッカース硬度は50Kg/mm2~2,000Kg/mm2の範囲で変化し、セラミックパッドのビッカース硬度は100Kg/mm2~6,000Kg/mm2と様々である。
【0022】
別の実施形態では、CMP調整パッドは、少なくとも2つの層を含む積層された多層構造を有し得る。例えば、積層体は、50Kg/mm2~10,000kg/mm2の硬度を有する金属若しくはセラミック、又は50を超えるショアA硬度を有するポリマー材料から構成される上層と、上層と比較してより柔らかい表面を有し、上層の下にある少なくとも1つの層とを含み得る。上層の厚さは0.1ミクロン~5mmで、下層の厚さは0.1mm~5cmの間で変化する。上層の例としては、ダイヤモンド、鋼、鋳鉄、銅、真鍮、スズ、及びアルミナが挙げられる。
【0023】
スラリーは、1~13の範囲のpHを有し、典型的なpH範囲が2~6の酸性範囲、6~8.5の範囲を含む中性、又は9.0~12.5のアルカリ範囲である、1つ以上の種類の粒子を含有し得る。任意選択で、スラリーはまた、酸化剤、界面活性剤、pH調整剤などの添加剤を含有し得る。パッドコンディショナの研磨工程は、0.01psi~1,000psiの範囲の公称圧力で実行でき、典型的な範囲は1psi~100psi、又は2psi~20psiで、研磨領域は突出領域と非突出領域両方の合計として計算される。CMPパッドコンディショナとCMPパッドコンディショナの研磨を実行する研磨パッドとの間の相対速度は、0.01m/秒~100m/秒の範囲で、典型的には0.5m/秒~10m/秒又は0.5m/秒~2m/秒と様々である。パッドコンディショナの研磨中の圧力は0.5Psi~100psiの範囲で、テーブルの速度は0.5rpm~600rpmと様々である。
【0024】
コンディショナ再調整ステップ中の開示されるCMPパッドコンディショナ研磨の後、CMPパッドコンディショナ表面上の突出部における新しい特徴が観察され、突出部の表面はより平坦になり、典型的には突出部の先端から5ミクロン以内に最も鋭い縁部を有する。
図1は、コンディショナ基板100上に結合された様々な形状のダイヤモンド突出部の表面特徴を示す概略図であり、いくつかの突出平坦度パラメータが本明細書でどのように定義されるかを示す。図示される各突出部において、最高の(最も高い)ピーク特徴は、コンディショナ基板100に対向する仮想平面160から測定されたHiとして標号が付されている。この平坦度測定に対応する突出部の数は、2~200個と様々である。H
i maxは仮想平面160に最も近いピークを指し、H
i minは仮想平面160から最も遠いピークを指す。PVは、突出部の粗さのピーク-バレーを指す。上述のようにWIPFは、突出部内の最高ピークと最低ピークの高さの差である突出内平坦度(Within Protrusion Flatness)を指し、上述のようにPPFは、この平坦度測定を考慮した数の突出部(上述のように、2~200個の突出部まで変化し得る)に関する相異なる突出部間のH
i maxの最大差である突出間平坦度(Protrusion to Protrusion Flatness)差を指す。
【0025】
コンディショナ再調整ステップの後、WIPFは、200ミクロン未満、例えば100ミクロン未満、50ミクロン未満、10ミクロン未満、又は1ミクロン未満である。PPFは、200ミクロン未満、例えば50ミクロン未満、10ミクロン未満、又は1ミクロン未満である。5個の最近傍隣接部に基づくPPFは、200未満、例えば50ミクロン未満、10ミクロン未満、又は1ミクロン未満である。20個の最近傍隣接部に基づくPPFは、200ミクロン未満、例えば50ミクロン未満、10ミクロン未満、又は1ミクロン未満である。100個の最近傍隣接部に基づくPPFは、200ミクロン未満、例えば50ミクロン未満、10ミクロン未満、又は1ミクロン未満である。2個以上の最近傍の隣接する突出部のWIPFの標準偏差は、パッドコンディショナの再調整工程前と比較して、少なくとも10%、例えば少なくとも20%又は少なくとも50%減少する。5個以上の最近傍の隣接する突出部間のPFFは、CMPパッドコンディショナの再調整工程前と比較して、少なくとも10%、例えば少なくとも20%又は少なくとも50%減少する。
【0026】
CMPパッドコンディショナのそれぞれの突出部の水平面と垂直面との間に形成された先端のCERも、再調整工程後に減少する。下記の
図2Bに示すCERを参照されたい。CERの値が小さいほど、突出部の研削性が鋭くなる。本明細書では、CER値は、少なくとも1,000倍の倍率で見たときに、単一の突出部からの垂直面及び水平面が直線から逸脱する点を結ぶことによって形成される直線の長さとして定義される。CERは、突出部の平坦な水平研磨面と突出部の垂直状(非水平)面との間、又は突出部の2つの非水平面の間で測定し得る。
【0027】
コンディショナ再調整ステップ中にダイヤモンド粒子系スラリーを使用する開示されるCMPパッドコンディショナ研磨の後、突出部のCER値は、少なくとも10%、例えば、少なくとも30%、50%、又は80%減少する。5個の最近傍の隣接する突出部からの平均CER値は、再調整ステップの後で、(再調整ステップの前と比較して)少なくとも10%、例えば30%又は50%減少する。再調整ステップの後、垂直面と水平面の間で測定されるCER値は、200ミクロン未満、例えば100ミクロン未満、50ミクロン未満、10ミクロン未満、5ミクロン未満、又は1ミクロン未満である。再調整工程後の以下に説明する
図2Bに示されるくさび角度は、20~120度の範囲、例えば75~100度と様々である。CMPパッドコンディショナの再調整後、CMPパッドコンディショナの表面には、少なくとも1つのファセットを伴うファセットが形成され、従って、少なくとも100倍の倍率の光学顕微鏡で見たときにより鋭くなる(丸くならない)。再調整ステップ後のファセットが形成された角部の縁部の数は、少なくとも1、例えば少なくとも2、又は少なくとも4である。
【0028】
図2Aは、開示されるパッド調整後に調整基板100上に結合されたダイヤモンド粒子105の先端の描写を等倍で示し、
図2Bは、このダイヤモンド粒子105のCER及びくさび角度の描写を約1,000倍の倍率で示している。
【0029】
開示されるCMPパッドコンディショナの再調整工程の別の特徴は、突出部の最も鋭い先端(従って、CERの最低値)が、一般に突出部の縁部にあることである。これは、突出部の縁部にある最も鋭い先端(従ってCER値の最低値)がより低いパーセンテージになるパッドコンディショナ表面の従来の突出部とは対照的である。開示されるパッドコンディショナ研磨ステップの後、少なくとも10個の最近傍の隣接する突出部、例えば10~100個の最近傍の隣接する突出部に対する、80%を超える、例えば90%、95%、又は99%の最低CER値は、5ミクロン以内又は突出部の平均寸法の20%以内のうち、いずれか突出部の先端から小さい方の範囲内にある。これは、条件付きCMPパッドコンディショナで100個の突出部を調べた場合、平均サイズが100ミクロンの少なくとも80個の突出部で、突出部の最も鋭い縁部は先端から5ミクロン以内にあることを意味する。対照的に、従来の再調整されていないコンディショナパッドでは、80%未満、例えば65%、50%以下、又は20%未満の最低CER値が、測定される突出部の数が少なくとも10個であるときに、突出部の先端において生じる。これは、従来のCMPパッドコンディショナで100個の突出部を調べた場合、平均サイズが100ミクロンの突出部が少なくとも80個あるとき、突出部の最も鋭い先端は、突出部の縁部から少なくとも5ミクロン離れていることを意味する。
【0030】
図3A及び
図3Bは、
図3Aに示される開示されるCMPパッドコンディショナ320が、
図3Bに示される従来のCMPパッドコンディショナ370と2つの重要な態様においてどのように異なるかを示す。
図3A及び
図3Bのコンディショナ基板は、300として示されている。
図3Aに示される開示されるCMPパッドコンディショナ320の突出部310の最も鋭い先端は、突出部の縁部310aにあり、
図3Bに示される従来のCMPパッドコンディショナ370の場合、360aとして示される突出部360の最も鋭い先端は、突出部の縁部360bの間にある。また、開示されるCMPパッドコンディショナ320の突出部310の最も鋭い縁部310aは、垂直面と水平面の交差から形成され、一方、従来のCMPパッドコンディショナ370の場合、突出部360の最も鋭い先端360aは、2つの非水平面の交差によって形成される。上述のように、水平面は、突出部が付着するコンディショナ基板300の底面に平行な20度以内の平面である。
【0031】
図4は、開示されるCMPパッドコンディショナの再調整後の、その上に開示されるダイヤモンド表面膜410を有するパターン化されたコンディショナ基板400の概略図を示す。ダイヤモンド膜410の厚さは、0.1ミクロン~200ミクロンと様々であり、ダイヤモンド膜410の水平面の表面粗さ(Ra)は、一般に200nm未満である。ダイヤモンド膜410のパターン先端415におけるCER値は5ミクロン以下である。
【0032】
CMPパッドコンディショナの再調整工程により、多結晶ダイヤモンド膜とダイヤモンド突出部の表面粗さが変わる可能性がある。CMPパッドコンディショナの再調整ステップの後、平均Ra値は、少なくとも0.15ミクロン、例えば少なくとも0.2ミクロン、又は少なくとも1ミクロンである。コンディショナの再調整ステップの後、Ra値は一般に、再調整工程前と比較して、少なくとも10%、例えば少なくとも20%増加する。
【0033】
多結晶ダイヤモンド膜を有するパッドコンディショナのための開示されるCMPパッドコンディショナ再調整工程の別の重要な態様は、再調整工程後の多結晶ダイヤモンド膜の表面構造の変化である。上述のような多結晶ダイヤモンド膜は、パターン化されたコンディショナ基板表面とパターン化されていないコンディショナ基板表面の両方に適用可能である。多結晶ダイヤモンド膜の表面粗さの一態様は、相異なる高さを有し得る様々な粒子によって構成される。例えば、(100)粒子と(111)粒子の平均高さは同じでなくてもよく、これは表面粗さに寄与する。これらのダイヤモンド膜は一般に化学蒸着(CVD)工程で堆積されるため、膜内の最高高さの粒子はランダムになる可能性がある。これは、ダイヤモンドの表面の最高点が、(100)、(111)、(110)粒子又は任意の配向の粒子の混合であり得ることを意味する。再調整ステップの後、ダイヤモンドの表面粗さのテクスチャは変化し、その平均高さがPVピークのピーク値とそのPVピークのピーク値の下の20%のPV距離との間の距離内にある粒子として定義される最高の/最も高い粒子の少なくとも80パーセントは、コンディショナ再調整工程の後、(111)粒子、又は(111)配向から20度の傾斜内にある粒子によって表される。
【0034】
同様に、その平均高さが、谷位置とその谷値から20%のPV(ピーク-バレー)距離により表される距離内にある粒子として定義される最も低い粒子の少なくとも50パーセントは、再調整工程後に、(100)若しくは(110)粒子、又は(100))若しくは(110)配向から20度の傾斜内にある粒子により表される。この現象は、
図7A、
図7B、及び
図7Cに示されている光学形状測定法から得られた走査画像に示されている。最も高い粒子は、(111)配向から20度未満、例えば10度未満、例えば5度未満である。(111)配向から20度以内にある最高高さの粒子は、最低の粒子と比較して、平均高さが少なくとも5nm高い(例えば、10nm、100nm、又は1ミクロン高い)。
【0035】
コンディショナ再調整ステップ後のダイヤモンド膜におけるこのような表面粗さのテクスチャは、(111)配向から20度以内にある粒子が、ダイヤモンド粒子(平均粒径範囲10nm~100ミクロン、スラリー中のダイヤモンド粒子濃度0.01重量パーセント~20重量パーセント、水性スラリーのスラリーpH1~13、水又は非水、例えば油、グリセロール、又は任意の他の非有機溶媒に懸濁されたダイヤモンド粒子、研磨プレート、硬質金属、セラミック若しくは金属-セラミック複合体、又はポリマーパッドを含むスラリーによってダイヤモンド膜が研磨されるとき、再調整ステップにおいて(100)及び(110)粒子より低い研磨速度を有するために生じる。このようなテクスチャは、パターン化されたコンディショナ基板上とパターン化されていないコンディショナ基板上の両方のダイヤモンド多結晶膜で得られる。
【0036】
(111)配向から20度以内にあるダイヤモンド粒子の平均径は、1ミクロン~150ミクロンと様々である。多結晶ダイヤモンド膜の厚さは、0.5ミクロン~500ミクロンと様々であり、より望ましい厚さは2ミクロン~100ミクロンの間であり、さらにより望ましいのは5ミクロン~100ミクロンの間である。
【0037】
ダイヤモンドCMPパッドコンディショナが、(111)平面から20度以内の配向を持つ最も高い/最高の粒子を有することには、いくつかの利点がある。本明細書において、ダイヤモンドの(111)面が、化学反応性が最も低く、硬度も最も高いことが認識される。従って、(111)粒子が最も高い多結晶ダイヤモンドの表面は、CMP研磨ステップからの化学的及び機械的劣化に対してより安定するであろう。従って、多結晶ダイヤモンド膜を有する開示されるCMPパッドコンディショナを使用する研磨パッド調整のためのCMP工程は、時間依存性のばらつきが少ないと予想され、パッドコンディショナは、ランダムなダイヤモンド配向を有するダイヤモンドベースのパッドコンディショナと比較して、より長く持続すると予想される。
【0038】
開示される方法はまた、表面に平行に測定したときに、CMPパッドコンディショナ表面上の突出面の間に20~160度のファセット角度を作り出すことができる。
【実施例】
【0039】
開示される実施形態は、以下の具体的な実施例によってさらに例示され、これらの実施例は、いかなる形でもこの開示の範囲又は内容を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0040】
金属コンディショナ基板500上に突出したダイヤモンド粒子を有するCMPパッドコンディショナは、倍率20倍で
図5Aの走査画像として示されるその粒子501のうちの1つをその上に有する。従来のCMP製造動作中、CMPパッドコンディショナの表面は、900分のCMP研磨を受けていた。この実施例では、pH3.0の5重量%のコロイダルシリカを含む過酸化水素系スラリーを使用して、5psiの圧力及び1.2m/秒又は線速度で銅のウェハ表面及びタンタルのウェハ表面を研磨した。ダイヤモンドCMPパッドコンディショナも同じスラリーに曝したが、より低圧の3psiで行った。
図5Aに示されるダイヤモンド粒子501の走査画像は、ブロック状の丸い表面を有することがわかる。ファセット縁部又は角部は観察できない。パッドコンディショナ表面に埋め込まれたダイヤモンド粒子の最大寸法及び最小寸法を平均することにより測定された、ダイヤモンド粒子501上のダイヤモンド突出部の平均寸法は、300ミクロンであった。
【0041】
図5Aに示すパッドコンディショナは、次にコンディショナ再調整ステップにおいて銅複合研磨パッドを使用して、2psiの公称印加圧力と30rpmのテーブル速度で、Lapmaster CMPマシン(Lapmaster Wolters International LLC)で研磨された。銅複合パッドは、焼結してバルクプラテンを形成した被覆銅粒子を含み、その上にダイヤモンドスラリーを噴射した。従って、この場合、銅プラテンは、コンディショナ再調整ステップ中にパッドとして機能する。スラリーは、平均径が25ミクロンの、2重量パーセントのダイヤモンド粒子を含有し、再調整時間は20分であった。スラリーの流速は10ml/分であった。スラリーのpHは5.0であった。CMPパッドコンディショナの研磨中の圧力は3psi、プラテンの回転速度は20rpmであった。
図5Bは、開示されるCMPパッドコンディショナ再調整後の、金属コンディショナ基板500の表面上の2つの突出したダイヤモンド粒子551、552の走査画像であり、両方とも平坦なファセット面を示し、それぞれの角部(先端)が観察可能ないくつかのファセット縁部が存在する(倍率200倍)。
図5Aに示す粒子501について上述したように再調整の前には、ファセット縁部又は角部は観察されなかった。ここで
図5Bに示されているコンディショナ基板500上の粒子551、552は、それぞれの角部がそれぞれ観察可能な状態でファセット縁部が見えることを明示している。コンディショナ再調整ステップの後、WIPF値は(形状測定法によって)10ミクロン未満であると算定され、2~10個の隣接する突出部について測定したときのPPF値は10ミクロン未満であると算定された。
【0042】
水平ダイヤモンド粒子表面と垂直ダイヤモンド粒子表面との間のCERは、垂直面と水平面との間のファセット角部で測定して10ミクロン未満であった。再調整ステップ後の最低CER値によって定義される最も鋭いダイヤモンド突出点は、隣接する6個の突出部をいくつかの異なる突出部構成について測定したとき、83パーセントを超えるダイヤモンド粒子について突出部の縁部から5ミクロン以内に生じることが確認された。CMPパッドコンディショナの再調整ステップ後のCER値は、コンディショナ再調整ステップ前と比較して50%超減少した。
【0043】
尚、研磨スラリー中の平均ダイヤモンド粒径が1ミクロンから500ミクロンに変化し、ダイヤモンド粒子の濃度が0.001重量パーセントから80重量パーセントに変化すると、一般に同様の研磨効果(より低いCER値)が得られる。上記のように、スラリーは、アルミナ、シリカなど、ダイヤモンド以外の他の硬質粒子、すなわちビッカース硬度が3,000Kg/mm2未満、平均径が20nm~500ミクロン、例えば0.1μm~10μmの粒子を含有してもよい。一実施形態では、非ダイヤモンドスラリー粒子の平均径は、ダイヤモンド粒子の平均径より少なくとも10%、例えば20%又は50%~90%小さい。非ダイヤモンド粒子の濃度は、1%~70重量%と様々である。ダイヤモンドを含むスラリー又は二次粒子を含むダイヤモンドを含むスラリーの粘度は、1センチポアズ(cP)~2000cPと様々である。粘度は、粒子、又はグリセリン、デンプン、グリセロール、カルボポール又はその他の炭素含有化合物などの有機溶媒を添加することによって増加可能である。ダイヤモンドスラリーはまた、油などの有機溶媒、又は分子量が1,000未満の非有機化合物を含み得る。非ダイヤモンド粒子の平均径は、10nm~10ミクロン、例えば100nm~5ミクロンと様々である。上述のように、再調整ステップで使用される研磨パッドは、純銅より硬い、又は50Kg/mm2を超えるビッカース硬度を有する金属、金属合金、又はセラミックを含み得る。
【0044】
尚、CMPパッドコンディショナが、3,000Kg/mm2を超える硬度を有するダイヤモンド以外の硬質粒子から作製される場合、又はコンディショナが、パターン化された基板上にダイヤモンド膜又は硬質材料膜を堆積させることによって製造され、実施例1に示される処理条件によって再調整される場合は、同じ粗さパラメータ及び範囲が予想される。
【0045】
再調整されたCMPパッドコンディショナは、CMPからの研磨パッドの研削速度を大幅に低減することも見出された。CMP研磨パッドの研削速度は、ポリウレタン系の研磨パッド(Dow Chemical社製のIC 1000パッドなど)がCMPパッドコンディショナの連続使用によって侵食される速度として定義される。IC 1000パッドの研削速度は、ダイヤモンド突出部を有する開示されるCMPパッドコンディショナを使用すると、調整されていないダイヤモンド突出部CMPパッドコンディショナと比較して32%減少することが見出された。これらの実験の研磨工程に使用されたスラリーは、圧力3psi、及び線速度1.5m/秒における、粒径70nmを有する15%コロイド系シリカスラリーであった。スラリーのpHは9.5であり、CMP研磨用の基板はシリカであった。
【実施例2】
【0046】
図6Aは、開示される研磨前のCMPパッドコンディショナのダイヤモンド膜に関して光学形状測定法により得られた表面粗さのプロットと、その粗さパラメータを示し、Rtは約2.54ミクロン、Raは約100nmであることがわかる。
【0047】
2パーセントの20ミクロンダイヤモンド粒子のスラリー及び銅パッドを使用する開示されるCMPパッドコンディショナ再調整工程後の平坦な表面の表面粗さは、
図6Bに示される。
図6Bは、表面粗さのRa値が約0.22ミクロンであり、粗さのPV高さが6ミクロンであることを示している。ダイヤモンド突出部のこの粗さは、研磨ダイヤモンド粒子径に依存する。ダイヤモンド突出部のRa値は120nm~10ミクロンと様々であり、PV高さは1ミクロン~60ミクロンと様々である。
【0048】
図7Aは、平均粒径100nmの1%ダイヤモンド粒子を含有するスラリー及び銅複合パッドを使用して再調整した後の、開示されるパターン化されたコンディショナ基板上の異なる厚さのダイヤモンド膜に関して、走査型白色光2D形状測定法により得られた画像を示す。平均ダイヤモンド粒径が100nmの1%ダイヤモンドスラリーを使用して再調整した後のダイヤモンド膜の厚さは100ミクロンであった。
図7Bは、同一の膜に関して走査型白色光3D形状測定法により得られた画像を示す。
図7Cは、30ミクロンのダイヤモンド膜に関して走査型2D光学形状測定法により得られた画像を示す。
【0049】
以上、本発明の様々な実施形態について説明したが、それらは限定ではなく例としてのみ提示されていることを理解されたい。本開示に従って、本明細書に開示される主題の精神又は範囲から逸脱することなく、開示される実施形態に対する多数の変更が可能である。従って、本開示の広さ及び範囲は、上述の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。むしろ、本開示の範囲は、以下の請求項及びそれらの同等物に従って定義されるべきである。