(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】医療用レーザプローブ、および焼灼装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/22 20060101AFI20220525BHJP
【FI】
A61B18/22
(21)【出願番号】P 2020546013
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(86)【国際出願番号】 JP2019035404
(87)【国際公開番号】W WO2020054674
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2018168431
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 義樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健吾
(72)【発明者】
【氏名】松下 俊一
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-257638(JP,A)
【文献】特開平05-103774(JP,A)
【文献】特開2007-264033(JP,A)
【文献】特表2011-528581(JP,A)
【文献】特開2012-154843(JP,A)
【文献】特開2015-073704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/88571(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光プローブと、
血管内に挿入されるカテーテルと、
を備え、
前記光プローブは、
複数の光源から導入される複数の波長の光を伝搬する光ファイバと、
前記光ファイバに設けられ、前記複数の波長のうち第1の波長のレーザ光を透過し、かつ前記複数の波長のうち第2の波長の光を反射する反射部と、
前記光ファイバの先端側に設けられ、前記反射部を透過した前記第1の波長のレーザ光の進行方向を、当該反射部を透過する前の進行方向に対して異なる方向に変更する進行方向変更部と、
を備え、
前記光ファイバは、血管内に挿通可能なサイズを有し、かつ前記カテーテルの内部に挿入され、
前記第1の波長のレーザ光は、
波長650nm~1400nm近傍の焼灼用レーザ光であり、
前記第2の波長の光は、
400nm~1600nmの波長のうち前記第1の波長とは異なる波長の折れ検知用のモニタ光であり、
前記進行方向変更部は、前記光ファイバの先端側の部分が曲がった構造を有する曲げ構造により構成され、前記焼灼用レーザ光を前記光ファイバの先端面から血管壁に向けて照射し、
前記反射部は、前記曲げ構造よりも前記光ファイバの基端側に設けられている
ことを特徴とする医療用レーザプローブ。
【請求項2】
前記反射部は、前記光ファイバに形成されたファイバブラッググレーティングであることを特徴とする請求項1に記載の医療用レーザプローブ。
【請求項3】
前記反射部は、前記光ファイバに形成されたスリット内に設けられた
誘電体多層膜の反射膜であることを特徴とする請求項1に記載の医療用レーザプローブ。
【請求項4】
前記光ファイバを保護するための保護材を備え、
前記反射膜は、前記保護材によって前記光ファイバに固定されていることを特徴とする請求項3に記載の医療用レーザプローブ。
【請求項5】
前記反射部は、前記光ファイバの先端面に設けられた反射膜であり、
前記進行方向変更部は、前記先端面に対して前記光ファイバの延在方向で前方に設けられた側方照射機構により構成され、
前記側方照射機構は、前記先端面から出射された前記レーザ光の進行方向を前記光ファイバの延在方向に対して所定角度に傾いた方向に反射する反射面を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用レーザプローブ。
【請求項6】
前記光ファイバの保護材に設けられた光透過部材を備え、
前記側方照射機構の前記反射面によって反射された光は、前記光透過部材を透過する
ことを特徴とする請求項5に記載の医療用レーザプローブ。
【請求項7】
前記反射部は、前記第2の波長に加え、前記第1の波長、前記第2の波長と異なる第3の波長を反射するように構成される
ことを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の医療用レーザプローブ。
【請求項8】
前記第3の波長の光は、曲げ量を推定する用のモニタ光であり、
前記進行方向変更部は、前記焼灼用レーザ光を前記光ファイバの先端面から血管壁に向けて照射する
ことを特徴とする請求項7に記載の医療用レーザプローブ。
【請求項9】
前記第3の波長は、800nm~2000nmであることを特徴とする請求項7または8に記載の医療用レーザプローブ。
【請求項10】
前記第2の波長は、400nm~800nmであることを特徴とする請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の医療用レーザプローブ。
【請求項11】
請求項1に記載の医療用レーザプローブと、
前記光ファイバに導入される複数の波長の光を発する複数の光源と、
前記複数の光源と前記光ファイバとを光学的に接続する合波器と、
前記反射部によって反射された前記第2の波長の光の反射光をモニタするモニタ部と、
前記医療用レーザプローブと前記合波器とを接続する接続部と、
を備え、
前記光源は、
前記焼灼用レーザ光を発生する焼灼用光源と、
前記モニタ光を発生するモニタ用光源と、を含む
ことを特徴とする焼灼装置。
【請求項12】
前記接続部は、前記医療用レーザプローブおよび前記合波器から着脱可能であり、交換が可能な部品に構成されている
ことを特徴とする請求項11に記載の焼灼装置。
【請求項13】
前記接続部は、
レンズを有する空間結合によって構成されていることを特徴とする請求項11に記載の焼灼装置。
【請求項14】
前記接続部を通過するレーザ光のパワーは、100W以下であることを特徴とする請求項11から13のうちのいずれか一項に記載の焼灼装置。
【請求項15】
前記接続部を通過するレーザ光のパワーは、1W~30Wであることを特徴とする請求項11から14のうちのいずれか一項に記載の焼灼装置。
【請求項16】
前記反射部は、前記第2の波長に加え、前記第1の波長、前記第2の波長と異なる第3の波長を反射し、
前記モニタ部は、前記反射部によって反射された前記第2の波長の光および前記第3の波長の光の反射光をモニタし、
前記複数の光源は、前記モニタ光を発生するモニタ用光源を含む
ことを特徴とする請求項11から15のうちのいずれか一項に記載の焼灼装置。
【請求項17】
前記第2および第3の波長の光のパワーは、5mW以下であることを特徴とする請求項16に記載の焼灼装置。
【請求項18】
前記第2および第3の波長の光のパワーは、1mW以下であることを特徴とする請求項16または17に記載の焼灼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用レーザプローブ、および焼灼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、医療用デバイスとして用いられるレーザ装置について、生体の血管内に挿入される挿入部材(カテーテル)の内部に、焼灼用レーザ光を伝搬するための光ファイバが挿通されている構成の光プローブが開示されている。この光プローブは、カテーテルを血管に挿入した状態で、光ファイバの先端側部分を鉤形に湾曲させている曲げ構造を有する。そのため、この医療用デバイスでは、カテーテルを血管に挿入した状態において光ファイバの先端面からレーザ光を出射することによって、カテーテルの挿入方向に対して側方に位置する血管壁を焼灼することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レーザ光を照射するレーザ装置としては、医療用の焼灼装置に適用される場合に限らず、工業用のレーザ加工装置に適用される場合もある。工業用の場合も、医療用の血管と同様に細い管の内部に光プローブが挿入された状態で光ファイバの先端面からレーザ光を出射するように構成される。そして、上述したような光ファイバを用いたレーザ装置や焼灼装置では、所望のレーザ加工や医療的に適切な処置(焼灼)を行うために、光ファイバの先端面から所望の強度でレーザ光が出射される必要がある。途中でファイバが折れた場合、折れた点で光が漏れるため、所望の強度が得られない、漏れた光で健全な箇所にダメージを与える等の問題が生じる。これを防ぐには、光ファイバの折れを検知できる構成であることが望まれる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、曲げ構造を有する光ファイバについて、途中で光ファイバが折れていても折れを確認できない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、細径の管内など挿入方向に対して側方に位置する照射対象に向けてレーザ光を照射できるとともに、光ファイバの折れ検知に適用することが可能な光プローブ、医療用レーザプローブ、および焼灼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る光プローブは、複数の光源から導入される複数の波長の光を伝搬する光ファイバと、前記光ファイバに設けられ、前記複数の波長のうち第1の波長のレーザ光を透過し、かつ前記複数の波長のうち第2の波長の光を反射する反射部と、前記光ファイバの先端側に設けられ、前記反射部を透過した前記第1の波長のレーザ光の進行方向を、当該反射部を透過する前の進行方向に対して異なる方向に変更する進行方向変更部と、を備え、前記進行方向変更部は、前記光ファイバの先端側の部分が曲がった構造を有する曲げ構造により構成され、前記反射部は、前記曲げ構造よりも前記光ファイバの基端側に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る医療用レーザプローブは、前記光プローブと、血管内に挿入されるカテーテルと、を備え、前記光ファイバは、血管内に挿通可能なサイズを有し、かつ前記カテーテルの内部に挿入され、前記第1の波長のレーザ光は、焼灼用レーザ光であり、前記第2の波長の光は、折れ検知用のモニタ光であり、前記進行方向変更部は、前記焼灼用レーザ光を前記光ファイバの先端面から血管壁に向けて照射することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る医療用レーザプローブは、前記反射部は、前記光ファイバに形成されたファイバブラッググレーティングであることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る医療用レーザプローブは、前記反射部は、前記光ファイバに形成されたスリット内に設けられた反射膜であることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る医療用レーザプローブは、前記光ファイバを保護するための保護材を備え、前記反射膜は、前記保護材によって前記光ファイバに固定されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る医療用レーザプローブは、前記反射部は、前記光ファイバの先端面に設けられた反射膜であり、前記進行方向変更部は、前記先端面に対して前記光ファイバの延在方向で前方に設けられた側方照射機構により構成され、前記側方照射機構は、前記先端面から出射された前記レーザ光の進行方向を前記光ファイバの延在方向に対して所定角度に傾いた方向に反射する反射面を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る医療用レーザプローブは、前記光ファイバの保護材に設けられた光透過部材を備え、前記側方照射機構の前記反射面によって反射された光は、前記光透過部材を透過することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係る医療用レーザプローブは、前記反射部は、前記第2の波長に加え、前記第1の波長、前記第2の波長と異なる第3の波長を反射するように構成されることを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係る医療用レーザプローブは、前記第3の波長の光は、曲げ量を推定する用のモニタ光であり、前記進行方向変更部は、前記焼灼用レーザ光を前記光ファイバの先端面から血管壁に向けて照射することを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係る医療用レーザプローブは、前記第3の波長は、800nm~2000nmであることを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係る医療用レーザプローブは、前記第2の波長は、400nm~800nmであることを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様に係る焼灼装置は、前記医療用レーザプローブと、前記光ファイバに導入される複数の波長の光を発する複数の光源と、前記複数の光源と前記光ファイバとを光学的に接続する合波器と、前記反射部によって反射された前記第2の波長の光の反射光をモニタするモニタ部と、前記医療用レーザプローブと前記合波器とを接続する接続部と、を備え、前記光源は、前記焼灼用レーザ光を発生する焼灼用光源と、前記モニタ光を発生するモニタ用光源と、を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様に係る焼灼装置は、前記接続部は、前記医療用レーザプローブおよび前記合波器から着脱可能であり、交換が可能な部品に構成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の一態様に係る焼灼装置は、前記接続部は、空間結合によって構成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様に係る焼灼装置は、前記接続部を通過するレーザ光のパワーは、100W以下であることを特徴とする。
【0022】
本発明の一態様に係る焼灼装置は、前記接続部を通過するレーザ光のパワーは、1W~30Wであることを特徴とする。
【0023】
本発明の一態様に係る焼灼装置は、前記反射部は、前記第2の波長に加え、前記第1の波長、前記第2の波長と異なる第3の波長を反射し、前記モニタ部は、前記反射部によって反射された前記第2の波長の光および前記第3の波長の光の反射光をモニタし、前記複数の光源は、前記モニタ光を発生するモニタ用光源を含むことを特徴とする。
【0024】
本発明の一態様に係る焼灼装置は、前記第2および第3の波長の光のパワーは、5mW以下であることを特徴とする。
【0025】
本発明の一態様に係る焼灼装置は、前記第2および第3の波長の光のパワーは、1mW以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、細径の管内など挿入方向に対して側方に位置する照射対象に向けて適切にレーザ光を照射できるとともに、光ファイバの折れを検知することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るレーザ装置を模式的に示す構成図である。
【
図2】
図2は、光ファイバの先端側の部分を説明するための断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の変形例1を説明するための断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1の変形例2を説明するための断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の変形例3を説明するための断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1の変形例4を説明するための断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係るレーザ装置に含まれる光ファイバの先端側の部分を説明するための断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態2の変形例1を説明するための断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態2の変形例2を説明するための断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態2の変形例3を説明するための断面図である。
【
図11】
図11は、各実施形態の変形例を説明するための断面図である。
【
図12】
図12は、各実施形態の変形例1におけるレーザ装置の概略構成を示す模式図である。
【
図13】
図13は、ビームプロファイル変換器の主要部の概略構成を示す模式図である。
【
図15】
図15は、各実施形態の変形例2におけるビームプロファイル変換器の主要部の概略構成を示す模式図である。
【
図16】
図16は、各実施形態の変形例3におけるビームプロファイル変換器の主要部の概略構成を示す模式図である。
【
図17】
図17は、各実施形態の変形例4におけるビームプロファイル変換器の主要部の概略構成を示す模式図である。
【
図18】
図18は、各実施形態の変形例5における係るビームプロファイル変換器の主要部の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、図面の記載においては、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。
【0029】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るレーザ装置を模式的に示す構成図である。実施形態1に係るレーザ装置1は、医療用のレーザ焼灼装置として用いることが可能に構成されており、焼灼用光としてのレーザ光を含む複数の波長の光を同一の光ファイバで伝搬するレーザ装置である。
【0030】
このレーザ装置1では、複数の波長の光を同一の光ファイバで伝搬し、モニタ光(モニタ用光TL2)を反射部11で反射し、焼灼用レーザ光(焼灼用光TL1)は反射部11を透過して先端側の曲げ部12で光の進行方向を曲げて出射するように構成されている。
【0031】
図1に示すように、レーザ装置1は、第1の光源である焼灼用LD2と、第2の光源であるモニタ用LD3とを備える。なお、LDはレーザダイオードのことである。
【0032】
焼灼用LD2は焼灼用光TL1を出力する光源である。焼灼用光TL1は、いわゆる「生体の窓」と呼ばれる波長帯域の光、すなわち650nm~1400nm近傍の赤から近赤外の波長帯域の光である。焼灼用光TL1について、好適には波長980nmの光を用いる。また、焼灼用LD2は出力が0.1W以上のものである。焼灼用LD2について好適には出力が1W以上のものを用いる。
【0033】
モニタ用LD3はモニタ用光TL2を出力する光源である。モニタ用光TL2は、折れ検知用のモニタ光である。このモニタ用光TL2は可視光波長帯域~近赤外波長帯域を含む範囲の波長であり、1600nm以下の波長となる。具体的には、モニタ用光TL2は、400nm~800nmであり、最適解として600nm~650nmの短波長であることが好ましい。好適には可視光波長帯域に含まれる波長635nmまたは波長650nmのモニタ光を用いる。曲げ損失による影響が少ないため、モニタ用光TL2は短波長のほうが好ましい。一方で、400nmよりも短い波長にすると光ファイバの耐久性などに不安があるため、モニタ用光TL2は400nm以上であることが好ましい。
【0034】
また、モニタ用LD3は出力が5mW以下のものである。モニタ用LD3について好適には装置(接続部6での)出力が1mW以下のものを用いる。すなわち、モニタ用光TL2のパワーは5mW以下であり、好適には1mW以下である。これにより、アイセーフを考慮したモニタ用光TL2となる。またモニタ用LD3は複数の異なる波長が出力されるように構成されてもよい。例えば、モニタ用LD3として複数の波長の異なる光を出力するLDをまとめてモニタ用LD3として利用してもよい。複数のLDの出力は図示しない合波器であらかじめ合波(合成)してもよく、あるいは複数のLDの出力が直接合波器4に入力されてもよい。
【0035】
焼灼用LD2およびモニタ用LD3は合波器4の入力側に接続されている。合波器4は、焼灼用LD2から出力された焼灼用光TL1とモニタ用LD3から出力されたモニタ用光TL2とを合波(合成)するものである。この合波器4は、例えば波長分割多重(WDM)カプラ、光コンバイナ、タップカプラ、空間結合光学系などにより構成されている。また、
図1には示さないが、複数台の合波器4を接続してもよい。例えば、複数台の合波器4として、二台の光コンバイナを二段に重ねて2by1や3by1での利用が可能である。あるいは、複数台の合波器4として、光コンバイナとタップカプラの組み合わせでの利用が可能である。この場合、タップカプラの合成比は好適には80:20以上の比であり、例えば90:10、95:5、99:1を設定可能である。
【0036】
合波器4の出力側には、反射光RLをモニタするための取出部として機能するタップカプラ(TAP)5が接続されている。タップカプラ5の入力部には合波器4からの出力が入力される。タップカプラ5の出力部には接続部6を介して光ファイバ7が光学的に接続されている。このタップカプラ5は、反射光RLをモニタするために必要な構成であって、反射光RLを取り出すためのタップカプラ(モニタ光受光用タップカプラ)として機能する。例えば、タップカプラ5は非対称タップカプラであり、合成比は80:20以上で、好適には合成比90:10、95:5、99:1に設定可能である。さらに好適にはタップカプラ5は合成比99:1に設定される。
【0037】
接続部6は、光プローブ10を交換可能にするための構成である。タップカプラ5と光ファイバ7との間に接続部6が設けられている。光プローブ10は、接続部6よりも先端側の光ファイバ7を含む構成であり、その光ファイバ7に設けられた反射部11および曲げ部12を含むものである。
【0038】
レーザ装置1が医療用のレーザ焼灼装置である場合、光プローブ10はカテーテル8の内部に挿通されて、血管の内部に挿入される。光プローブ10とカテーテル8とが医療用レーザプローブを構成している。このカテーテル8は使い捨て部品である。光プローブ10も使い捨て部品である。そこで、光プローブ10およびカテーテル8を使い捨てるため、光ファイバ7をタップカプラ5に対して着脱可能にするために接続部6が設けられている。つまり、使い捨て側のカテーテル8と再使用側の装置との接続が接続部6によって行われる。例えば、接続部6では通常のファイバの接続に使用するコネクタ(FCコネクタ、SCコネクタ、SMAコネクタ、STコネクタなど)のほかに、レンズによる空間結合によって装置と光ファイバ7とが接続されてもよい。つまり、接続部6は、接続端面(コネクタ端面)を有するコネクタや、レンズを有する空間結合部によって構成される。接続部6がコネクタからなる場合、接続端面に微細な異物が侵入しているとレーザ光によって発火する恐れがあるが、接続部6が空間結合によって構成された場合には、これを抑制することができる。また、接続部6は、タップカプラ5に加えて、光ファイバ7に対しても着脱可能に構成されている。これにより、光プローブ10では、接続部6を光ファイバ7から取り外して交換することができる。
【0039】
また、接続部6を通過するレーザ光のパワーは、100W以下である。好適には、接続部6を通過するレーザ光のパワーは1W~30Wである。つまり、接続部6を通過する焼灼用光TL1のパワーは100W以下であり、好適には1W~30Wである。これにより、接続部6が空間結合部からなる場合、空間結合部での劣化や発火を抑制することができる。さらに、接続部6について、空間結合部の最適波長は、焼灼用光TL1の波長と略等しくするように設定されている。これにより、レーザ光の外部への漏れを極力少なくすることができ、接続部6の信頼性を高めることができる。
【0040】
光ファイバ7は、焼灼用LD2から出力された焼灼用光TL1およびモニタ用LD3から出力されたモニタ用光TL2を伝搬する光ファイバであり、長手方向に延在している。この光ファイバ7には、反射機能を有する反射部11と、光の進行方向を変更する機能(進行方向変更機能)を有する曲げ部12と、が設けられている。反射機能は光ファイバ7内を伝搬する光の一部を長手方向の基端側に反射する機能である。光の進行方向変更機能は反射部11を透過した光の進行方向を、当該反射部11を透過する前の進行方向に対して異なる方向に変更する機能である。
【0041】
反射部11は、焼灼用光TL1を透過し、かつモニタ用光TL2を反射する。すなわち、反射部11は少なくとも一つの波長の光を反射し、かつ少なくとも一つの波長を透過する部材により構成されている。例えば、反射部11はFBG(ファイバブラッググレーティング)や反射膜により構成される。反射部11の反射率はフレネル反射率よりも大きい。例えば、光ファイバ7の折れ検知に用いる場合には、反射部11の反射率が40%以上となる。このように、反射部11を光ファイバ7の先端側の部分に設けることによって通光状態のモニタを行うことが可能となる。
【0042】
曲げ部12は、光ファイバ7の先端側の部分に設けられている。この曲げ部12は反射部11よりも先端側の位置で、反射部11を透過した焼灼用光TL1の進行方向を、当該反射部11を透過する前の進行方向に対して異なる方向に変更する。つまり、実施形態1では、反射部11を透過した焼灼用光TL1の進行方向を、反射部11を透過する前の進行方向に対して異なる方向に変更する進行方向変更部として、曲げ部12を備える。
【0043】
例えば、
図2に示すように、曲げ部12は、光ファイバ7の先端側の部分が湾曲した構造を有する曲げ構造により構成される。光プローブ10では曲げ構造よりも基端側に、FBGからなる反射部11が設けられていることになる。FBGからなる反射部11は光ファイバ7に形成されている。この光ファイバ7はコアとクラッドとクラッドの外周部に形成されたファイバ被膜とを備える。光ファイバ7のコアおよびクラッドはガラス等の公知の構成材料により構成されている。そして、光ファイバ7は曲げ構造からなる曲げ部12よりも先端側に設けられた先端面7aから焼灼用光TL1を出射する。
【0044】
また、反射部11によって反射されたモニタ用光TL2は、反射光RLとして光ファイバ7の基端側に向けて戻るように伝搬し、光ファイバ7の基端側から接続部6およびタップカプラ5を介してモニタPD9に入力される。
【0045】
モニタPD9は、反射部11で反射した光をモニタするための受光部である。PDはフォトダイオードのことである。このモニタPD9を含むモニタ部によって、反射されたモニタ用光TL2に基づくモニタが可能となる。例えば、反射部11がFBGにより構成される場合、温度などFBGでモニタできることはたいていモニタ可能である。また、モニタPD9は複数設置されてもよく、モニタ用LD3から出力された波長の異なる光をそれぞれモニタされるように構成されてもよい。例えばモニタPD9とタップカプラ5の間に、WDMカプラを入れて光を分波する、あるいはタップカプラを入れて光を分波し、分波した後にバンドパスフィルタを入れることで、特定の波長の光がモニタPD9に入力されるように構成される。
【0046】
図2に示すように、反射部11がFBGにより構成された光プローブ10では、反射部11を曲げ部12よりも基端側に設けている。光プローブ10の先端部21に曲げ部12が設けられ、光プローブ10の中間部22に反射部11が設けられる。中間部22は先端部21よりも基端側に位置する。曲げ部12は光ファイバ7の先端側の部分が湾曲した形状を有する曲げ構造によって構成されているので、モニタ用光TL2がその曲げ部12による曲げ損失の影響を受けないようにするために、曲げ部12よりも基端側の光ファイバ7にFBGが形成されている。FBGからなる反射部11では、モニタ用光TL2を基端側に反射し、焼灼用光TL1を先端側に透過する。
【0047】
また、曲げ構造からなる曲げ部12は、光ファイバ7の保護材31によって湾曲形状に保持されている。特に、
図2に示す曲げ部12の形状では、反射部11よりも先端側の部分が長手方向に対して交差する方向で一方向に湾曲した後に他方向に向けて再び湾曲している。そして、光ファイバ7の先端面7aは、光プローブ10の延在方向に対して所定の傾斜角θに傾斜した方向に向けて焼灼用光TL1を照射することができるように形成されている。この傾斜角θは10度~170度の範囲内であることが好ましい。この傾斜角θに設定されることによって、カテーテル8を血管内に挿入した際、先端面7aから血管壁に向けて焼灼用光TL1を好適に出射することができる。また、保護材31は、樹脂、プラスチック、セラミック等の材料により構成されている。
【0048】
以上説明した通り、実施形態1によれば、医療用の焼灼装置として血管内に挿入されるカテーテル8に挿通される光プローブ10を対象として、光ファイバ7の折れを検知することができるとともに、焼灼用光TL1を挿入方向に対して側方に位置する血管壁に向けて出射することができる。
【0049】
実施形態1の光プローブ10では、カテーテル8の挿入方向に対して側方に位置する照射対象に向けて焼灼用光TL1を出射するために、光ファイバ7の先端側に曲げ構造を有するとともに、モニタ用光TL2を反射部11で基端側に反射する。これにより、反射部11で反射された反射光RLをモニタすることによって光ファイバ7の折れ検知が可能になる。さらに、反射部11を曲げ部12よりも基端側に設けることによって、反射光RLの曲げ損失を低減でき、光ファイバ7の折れを適切に検知することができる。
【0050】
このように、実施形態1のレーザ装置1では、モニタ用光TL2の曲げロスが少ないため、接続部6が正常に接続されている状態において、反射光RLの強度低下は全て光ファイバ7の折れによるものと判定することができる。これにより、光ファイバ7のひびなど、光ファイバ7が折れたか否かが検知しにくい場合であっても反射光RLのモニタで検知することができる。さらに、接続部6を備えるレーザ装置1について、反射光RLをモニタすることによって接続部6での異常な脱落も検知することが可能になる。この場合、接続部6の異常として、コネクタ端面の汚れなど、コネクタ端面の異常も検知できる。
【0051】
(実施形態1の変形例)
ここで、
図3から
図6を参照して、実施形態1の変形例について説明する。なお、
図3から
図6には、各変形例における光プローブ10の構成が模式的に示されている。
【0052】
図3は、実施形態1の変形例1を説明するための断面図である。
図3に示すように、実施形態1の変形例1では、曲げ部12の曲げ構造が長手方向に対して交差する方向で一方向に湾曲し続けている。反射部11はFBGにより構成されている。光ファイバ7は反射部11よりも先端側の部分が長手方向に対して交差する方向で一方向に湾曲し続けて先端面7aに至る形状に構成されている。このように、曲げ部12が光ファイバ7の曲げ構造により構成される場合には、その曲げ構造は上述した
図2に示す形状に限定されない。つまり、光ファイバ7が曲げ構造により構成される曲げ部12を有する場合であっても、曲げ部12を経由して光ファイバ7の先端面7aから出射される焼灼用光TL1が所望の強度を確保できる程度の曲げ形状であれば、その曲がり方は特に限定されない。
【0053】
このように構成された変形例1によれば、中間部22に反射部11として反射膜を形成後、その先端側の先端部21を対象に光の伝搬方向を所定方向に変えるための曲げ構造(曲げ部12)を形成する場合、そのプロセス時に生じた損傷の有無をモニタすることが可能である。これにより、正常な光プローブ10と、曲げ構造の形成時に損傷した光プローブとの区別が可能になる。
【0054】
図4は、実施形態1の変形例2を説明するための断面図である。
図4に示すように、実施形態1の変形例2では、反射部11が反射膜により構成されている。光プローブ10の中間部22には、光ファイバ7に長手方向に対して直交する面に沿ってスリット7bが形成されている。スリット7bは光ファイバ7のコア71およびクラッド72に形成されている。このスリット7b内に反射部11として反射膜が設けられている。この反射部11としての反射膜は金属膜や誘電体多層膜等で構成されている。また、
図4に示す例では、スリット7b内の反射膜はファイバ被膜32によって光ファイバ7に固定されている。このように、中間部22にスリット7bおよび反射膜からなる反射部11が設けられた光プローブ10では、その先端部21に上述した曲げ構造を有する曲げ部12を設けることが可能である。
【0055】
図5は、実施形態1の変形例3を説明するための断面図である。
図5に示すように、実施形態1の変形例3では、光プローブ10の中間部22において、反射膜からなる反射部11がファイバ被膜32よりも大きく形成されている。この反射膜が保護材33によって光プローブ10に固定されている。保護材33はファイバ被膜32の外周部の一部を覆うようにして設けられている。このように、光プローブ10の中間部22に反射膜を設ける場合には、保護材33によって反射部11の形成箇所を保護してもよい。この保護材33は、樹脂、プラスチック、セラミック等の材料により構成される。
【0056】
図6は、実施形態1の変形例4を説明するための断面図である。
図6に示すように、実施形態1の変形例4では、光プローブ10の中間部22において、ファイバ被膜32が分断されている。ファイバ被膜32が分断されている箇所に、光ファイバ7の保護材33が設けられているとともに、反射膜を設けるためのスリット7bが光ファイバ7に形成されている。スリット7b内に設けられた反射膜は保護材33によって光ファイバ7に固定されている。保護材33は光ファイバ7のクラッド72の外周部分を覆うように設けられている。このように、光プローブ10の中間部22であってもファイバ被膜32の一部を剥いた状態で反射膜を形成することができる。そして、ファイバ被膜32を剥いた部分を保護材33によって保護することができる。
【0057】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る光プローブ10について説明する。実施形態2では、光プローブ10に含まれる反射部11と曲げ部12の構成が実施形態1とは異なる。レーザ装置1のうち光プローブ10以外の構成、例えば接続部6よりも基端側の構成については、実施形態2でも実施形態1と同様である。なお、実施形態2の説明では、実施形態1と同様の構成については説明を省略し、その参照符号を引用する。
【0058】
図7は、実施形態2に係る光プローブ10を説明するための断面図である。
図7に示すように、実施形態2の光プローブ10では、光ファイバ7の先端面7aに反射部11が設けられている。この反射部11は反射膜により構成されている。実施形態2では、反射部11を透過した焼灼用光TL1の進行方向を、反射部11を透過する前の進行方向に対して異なる方向に変更する進行方向変更部として、側面照射機構40が設けられている。
【0059】
側面照射機構40は、反射膜からなる反射部11に対して先端面7aの前方(先端側)に配置された反射面41を有する。反射面41は、光ファイバ7の延在方向に対して所定の傾斜角θだけ傾けて形成されている。これにより、先端面7aから出射された焼灼用光TL1であって、反射膜からなる反射部11を透過した焼灼用光TL1が、長手方向に対して側方に向けて側面照射機構40によって照射される。また、反射膜としての反射部11は、公知の蒸着や化学気相堆積(CVD)法等によって先端面7aに設けられている。なお、この反射膜は別途作製され、接着剤や粘着材等にて先端面7aに貼付されることで設けられてもよい。
【0060】
実施形態2では、光プローブ10に含まれる光ファイバ7が直線形状に延びており、その先端面7aに反射膜が設けられている。反射膜からなる反射部11で反射されたモニタ用光TL2は、反射光RLとして光プローブ10の基端側に向けて戻るように伝搬する。
【0061】
以上説明した通り、実施形態2によれば、光プローブ10の先端部21に側面照射機構40を備えるため、光ファイバ7の延在方向に対して側方に向けて焼灼用光TL1を照射することができる。また、光ファイバ7の先端面7aに反射膜からなる反射部11が一体形成されているので、反射膜で反射したモニタ用光TL2の戻り光(反射光RL)をモニタすることができる。加えて、反射膜からなる反射部11が光ファイバ7の先端面7aに一体形成されているので、先端面7aと反射部材とを離して配置した構造よりも簡素かつ小型な構造となる。さらに、光プローブ10を構成する光ファイバ7が曲げ構造を有さないため、光プローブ10の径を細くでき、カテーテル8の径を細くすることが可能である。
【0062】
(実施形態2の変形例)
ここで、
図8から
図10を参照して、実施形態2の変形例について説明する。なお、
図8から
図10には、各変形例における光プローブ10の構成が模式的に示されている。
【0063】
図8は、実施形態2の変形例1を説明するための断面図である。
図8に示すように、側面照射機構40は、その先端側に設けられた保持部31aによって保護材31に固定されている。保持部31aは保護材31の一部によって構成されている。また、保持部31aを有する保護材31によって出射窓42が形成されている。出射窓42は、側面照射機構40の反射面41によって反射された焼灼用光TL1が通過する部分を形成している。
【0064】
図9は、実施形態2の変形例2を説明するための断面図である。
図9に示すように、保持部31aによって形成された出射窓42には、焼灼用光TL1を透過する光透過部材50が設けられている。この光透過部材50と保護材31とによって、側面照射機構40が光プローブ10の内部に収容されている。
【0065】
図10は、実施形態2の変形例3を説明するための断面図である。
図10に示すように、側面照射機構40を備える構成でも、反射部11はFBGにより構成されている。
図10に示す変形例3は、
図7に示す実施形態2の構成について反射膜からなる反射部11を、FBGからなる反射部11に変更したものである。つまり、
図8に示す変形例1の構成について反射膜からなる反射部11を、
図10に示すFBGからなる反射部11に変更した構成の変形例3とすることもできる。同様に、
図9に示す変形例2の構成について反射膜からなる反射部11を、
図10に示すFBGからなる反射部11に変更した構成の変形例3であってもよい。
【0066】
(各実施形態の変形例)
図11は、各実施形態の変形例を説明するための断面図である。
図11に示すように、変形例の光プローブ10として、光ファイバ7の先端面7aに反射膜からなる反射部11が一体形成されているとともに、その光ファイバ7の先端側部分は湾曲した曲げ構造により構成された曲げ部12を有する構造に構成されてもよい。
【0067】
また、上述した各実施形態および各変形例のうち、先端面7aに反射膜からなる反射部11が設けられた構成以外のものは、光ファイバ7の先端が円錐形状に構成され、光ファイバ7から円環状のビームとして焼灼用光TL1を出射するように構成されてもよい。円環状のビームであれば前方側面に向けて焼灼用光TL1を照射することが可能である。つまり、光ファイバ7の円錐形状の先端が進行方向変更機能を発揮することになる。一例として、
図4に示す中間部22に有する光プローブ10は、曲げ構造に代えて、光ファイバ7の先端を円錐形状に構成してもよい。
【0068】
また、上述した各実施形態および各変形例は、モニタ用LD3から出力される、モニタ用光TL2とは別の波長のモニタ用光TL3を利用して、光ファイバ7の曲げ量を推定することもできる。モニタ用LD3は、折れ検知用のモニタ光(モニタ用光TL2)と、曲げ量を推定するためのモニタ光(モニタ用光TL3)とを出力する。すなわち、モニタ用光TL3のパワーは5mW以下であり、好適には1mW以下である。これにより、アイセーフを考慮したモニタ用光TL3となる。このとき反射部11は少なくともモニタ用光TL2およびモニタ用光TL3を反射するように構成され、焼灼用光TL1は透過するように構成される。さらに、モニタ用光TL3は、800nm~2000nmであり、最適解として1300nm~1600nmの長波長であることが好ましい。曲げ検知のための波長は、長波長のほうが曲げに敏感となり、検知感度が上がる。
【0069】
また、好適には光ファイバ7の折れを検知する波長は、光ファイバ7の曲げ量を推定する波長よりも短い。したがってモニタ用光TL2の波長はモニタ用光TL3の波長よりも短いことが好ましい。
【0070】
光ファイバ7の曲げ量の推定は次の手順で行う。まず、モニタPD9によって、光プローブ10が体内に挿入される前にモニタ用光TL3の強度を測定しておき、次に体内に光プローブ10を挿入したときのモニタ用光TL3の光強度をモニタしておく。体内で光プローブ10が曲がるたびに光ファイバ7の曲げによる損失が増加していくため、モニタ用光TL3の光強度は減少していく。この減少割合をモニタPD9によりモニタすることで光ファイバ7の曲げ量を推定することが可能になる。一般に光ファイバ7の曲げによる損失は波長が長いほど大きくなるため、モニタ用光TL2の光強度はモニタ用光TL3の光強度に比べて変化しない。このためモニタ用光TL2では光ファイバ7の曲げによる損失に影響されずに、光ファイバ7の折れを検知することができる。
【0071】
反射部11が少なくともモニタ用光TL2およびモニタ用光TL3を反射するように構成される場合、反射部11は単一の反射材で構成されてもよく、あるいは複数の反射材で構成されてもよい。例えば反射部11が単一の広帯域を反射する反射膜で構成されてもよく、あるいはFBGと反射膜を組み合わせることで複数の波長を反射するように構成されてもよい。
【0072】
またモニタ用光TL3の反射率は光ファイバ7の曲げによる減衰量が測定できる程度でよい。したがってモニタ用光TL3の反射率が1%以上であってもよく、モニタ用光TL3の反射率はフレネル反射率と同程度でもよい。すなわちモニタ用光TL3の反射部として光ファイバ7の先端側の断面でのフレネル反射を利用してもよい。
【0073】
また、変形例のレーザ装置1は、2つ以上の光コンバイナを用いて、複数の焼灼用レーザ光を集光してもよい。この変形例のレーザ装置1は、1つ以上の焼灼用レーザダイオード(焼灼用LD2)と、2つ以上の光コンバイナ(合波器4)とを備えており、光コンバイナ同士が直列に接続(カスケード接続)されている。つまり、焼灼用LD2の出力側が、1つの光コンバイナ(第1の合波器4)の入力側に接続されているとともに、当該1つの光コンバイナの出力側が、別の光コンバイナ(第2の合波器4)の入力側に接続されてもよい。この場合、合波器4を構成する光コンバイナは、N:1光コンバイナであり、好ましくは2:1光コンバイナである。この光コンバイナは、複数の焼灼用光TL1を合波(合成)するものであり、エンドカップル型またはサイドカップル型のコンバイナである。
【0074】
さらに、上述したように複数の焼灼用LD2を備える場合には、上記1つの光コンバイナ(第1の合波器4)の入力側に複数の焼灼用LD2を接続してもよい。あるいは、上記1つの光コンバイナ(第1の合波器4)の入力側には、1つの焼灼用レーザダイオード(第1の焼灼用LD2)を接続し、上記別の光コンバイナ(第2の合波器4)の入力側には、別の焼灼用レーザダイオード(第2の焼灼用LD2)および上記1つの光コンバイナの出力側(第1の合波器4の出力側)を接続してもよい。
【0075】
(変形例1)
また、各実施形態のさらに別の変形例として、レーザ装置1は、ビームプロファイル変換器を備えてもよい。ビームプロファイル変換器は、照射(出射)するビームのプロファイルを、入射するビームのプロファイルとは異なるものに変換する装置である。例えば、レーザ装置1は、カテーテル8の内部において、反射部11と曲げ部12との間にビームプロファイル変換器を備えた構成とすることが可能である。なお、この説明では、ビームプロファイル変換器を備えるレーザ焼灼装置を、各実施形態の変形例1と記載して説明する。
【0076】
ここで、ビームプロファイル変換器の構成例について、
図12~
図14を参照して説明する。
図12は、各実施形態の変形例1におけるレーザ装置の概略構成を示す模式図である。この変形例1におけるレーザ装置1000は、レーザ光源1001と、出力光ファイバ1002と、接続部1003と、モニタ装置1004と、カテーテル8とを備えている。カテーテル8は、カテーテル本体81と、光学素子82と、ビームプロファイル変換器100とを備えている。ビームプロファイル変換器100は、少なくとも光ファイバ101と、光ファイバ102と、筐体103とを備えている。
【0077】
レーザ光源1001は、光ファイバレーザ等のレーザ光源を備えており、焼灼用のレーザ光L1(焼灼用光TL1)を出力光ファイバ1002へ出力する。出力光ファイバ1002はシングルモード光ファイバまたはマルチモード光ファイバである。出力光ファイバ1002は、接続部1003を介して、ビームプロファイル変換器100の光ファイバ101と光学的に接続している。これにより、レーザ光源1001は、光ファイバ101にレーザ光L1を出力することができる。なお、接続部1003は、上述した接続部6と同様の構成であってよい。
【0078】
カテーテル8において、カテーテル本体81は樹脂等の可撓性を有する材料からなる。カテーテル本体81は、レーザ光の透過性に優れた材質からなるレーザ光出力窓81aを有していてもよい。なお、説明のために、
図12ではカテーテル本体81を透明に表している。ビームプロファイル変換器100の少なくとも一部である、光ファイバ101の一部と光ファイバ102と筐体103とは、カテーテル本体81のルーメンに挿入されている。また、光学素子82は、カテーテル本体81のルーメン内においてレーザ光出力窓81aの近傍に配置されており、ビームプロファイル変換器100の光ファイバ102と光学的に接続している。
【0079】
図13は、ビームプロファイル変換器100の主要部の概略構成を示す模式図である。ビームプロファイル変換器100は、光ファイバ101、光ファイバ102、筐体103に加え、フェルール104、ファイバ固定部材105a,105b、樹脂106、受光素子107、および電線108を備えている。
【0080】
第1光ファイバである光ファイバ101は、コア部101aと、クラッド部101bとを備えるシングルモードまたはマルチモードの光ファイバである。光ファイバ101は、例えばステップインデックス型やグレーテッドインデックス型のマルチモード光ファイバであるが、特に限定はされない。光ファイバ101は、例えばコア径が105μm、クラッド径が125μm、開口数(NA)が0.15であるが、特には限定されない。
【0081】
光ファイバ101は、第1端面としての端面101cを有している。端面101cは、x軸と平行であり、コア部101aの中心軸であってz方向に延びる光ファイバ101の光軸OX1に対して傾斜している。すなわち、光ファイバ101は、いわゆる斜めカットされたものである。光ファイバ101は、導波したレーザ光L1を端面101cから出力する。
【0082】
第2光ファイバである光ファイバ102は、コア部102aと、クラッド部102bとを備えるマルチモード光ファイバである。光ファイバ102は、例えばステップインデックス型やグレーテッドインデックス型のマルチモード光ファイバであるが、特に限定はされない。光ファイバ102のコア径は光ファイバ101の端面101cにおけるコア径よりも大きく、例えば1.5倍以上大きい。光ファイバ102は、例えばコア径が400μm、クラッド径が440μm、NAが0.22であるが、特には限定されない。
【0083】
光ファイバ102は、第2端面としての端面102cを有している。端面102cは、コア部102aの中心軸であってz方向に延びる光ファイバ102の光軸OX2と直交しており、xy平面と平行である。なお、コア部102aは、端面102cにおいて露出した状態であっても、端面102cの面にさらにレンズや透過膜等が設けられた状態等であってもよい。また、端面102cは、平面状に限定されず、凸面状や凹面状等の非平面状でもよい。光ファイバ102は、光ファイバ101の端面101cから出力されたレーザ光L1が端面102cのコア部102aに入力され、レーザ光L1を導波する。導波したレーザ光L1は、レーザ光L2として光学素子82に出力される。光学素子82は、レーザ光L2を集光し、光路を屈曲させて、カテーテル本体81のレーザ光出力窓81aから出力させる。
【0084】
ここで、光ファイバ101の端面101cにおけるクラッド直径Φ1と、光ファイバ102の端面102cにおけるコア直径Φ2とにおいて、端面101cから出力した光の光ファイバ102の端面102cへの入力位置と光ファイバ102の光軸OX2との距離Dは、以下の(1)式で表されるのが好ましい。
(Φ2-Φ1)/2>D≧Φ1/2 …(1)
【0085】
具体的に、光ファイバ101の端面101cにおけるクラッド直径Φ1が125μm、光ファイバ102のコア直径が400μmである場合、(1)式は、(400-125)/2=135.5>D≧125/2=62.5となる。したがって、光軸からの距離Dは、62.5μm以上135.5μm以下が好ましいことになる。
【0086】
筐体103は、例えば円筒体であり、光ファイバ101の端面101cを含む端部と、光ファイバ102の端面102cを含む端部とを収容する。また、筐体103は、レーザ光L1のうち光ファイバ102のコア部102aに結合されなかった成分である迷光を遮蔽、吸収し、外部に漏洩させない機能を有する。筐体103は、吸収した迷光により発生した熱を効率よく放熱するために、アルミニウム等の熱伝導率が高い材料からなることが好ましい。
【0087】
フェルール104は、例えばジルコニアからなる円筒体であり、光ファイバ101が挿通固定されており、一端側が端面101cと面一になるように斜めカットされている。ファイバ固定部材105aは、例えば金属からなる円筒体であり、フェルール104を介して光ファイバ101を筐体103に固定している。樹脂106はフェルール104とファイバ固定部材105aとを固着している。ファイバ固定部材105bは、例えば金属からなる円筒体であり、光ファイバ102を筐体103に固定している。光ファイバ101と光ファイバ102とが筐体103に固定されることによって、光ファイバ101と光ファイバ102との相対的な位置関係が固定される。この変形例1では、光ファイバ101の光軸OX1と光ファイバ102の光軸OX2とは一致している。
【0088】
受光素子107は、例えばフォトダイオードで構成されており、上述した迷光の一部である迷光L3を受光し、その受光強度に応じた電流信号を電線108に出力する。電線108は、
図12に示すようにモニタ装置1004に接続されている。モニタ装置1004は、電流信号を受信し、電流信号に基づいてレーザ光L1の強度をモニタする機能を有する。また、モニタ装置1004は、モニタしたレーザ光L1の強度に基づいて、レーザ光源1001に所定の制御信号を出力する機能を有する。
【0089】
図14は、レーザ光の出入力状態を示す図であり、
図13の光ファイバ101,102をz軸の負の方向から見た図である。光ファイバ101は、レーザ光源1001から入力され、導波したレーザ光L1を端面101cから出力する。端面101cは光軸OX1に対して傾斜している。その結果、コア部101aと筐体103内の空間との屈折率差により、端面101cから出力したレーザ光L1は、yz面と平行な面内において光軸OX1から傾斜した方向へ進行する。なお、レーザ光L1のビームプロファイルP1は、ガウシアン形状であるとする。
【0090】
端面101cと端面102cとは非平行であり、適正な距離(例えば、光軸において100μm以下)だけ離間している。また、光ファイバ102のコア径は光ファイバ101の端面101cにおけるコア径よりも大きい。その結果、端面101cから出力されたレーザ光L1は、端面102cのコア部102aに、低損失で入力される。レーザ光L1は、入力される際に、光ファイバ102の光軸OX2から距離Dだけ離間した位置において、端面102cに対して傾斜した方向へ入力する。この場合、端面101cから出力したレーザ光L1は、光ファイバ102の光軸OX2から離間した位置において端面102cのコア部102aに入力する直前もその直後も、光ファイバ102の光軸OX2に対して傾斜している。
【0091】
マルチモード光ファイバである光ファイバ102がレーザ光L1を導波する間に、レーザ光L1から、メリディオナル光線として導波するガウシアン形状のビームプロファイルの成分と、スキュー(skew)光線として導波するドーナツ形状のビームプロファイルの成分とが発生する。その結果、光ファイバ102が出力するレーザ光L2は、メリディオナル光線とスキュー光線とが混合し、トップハット形状のビームプロファイルP2を有するレーザ光となる。すなわち、光ファイバ102はビームプロファイルを変換する光ファイバとして機能する。
【0092】
このとき、端面101cから出力したレーザ光L1が、光ファイバ102の光軸OX2から離間した位置(オフセットした位置)において、端面102cのコア部102aに、端面102cに対して傾斜した方向へ入力するようにすることで、スキュー光線が比較的短い導波距離でより一層発生する。その結果、光ファイバ102で効率的にビームプロファイル変換を行うことができる。さらには、これにより、大口径であるか、NAが大きいために比較的高価な光ファイバ102の使用長を短くできるので、低コストで効率的なビームプロファイル変換器100を実現できる。また、ビームプロファイル変換器100は、特殊な光ファイバや追加の特殊な光学素子を不使用であり、簡易な構成で実現されるものである。また、好ましくは、光ファイバ102のコア径が光ファイバ101の端面101cにおけるコア径よりも1.5倍以上大きければ、より低損失であり、より短い光ファイバ102でビームプロファイル変換を行うことができる。
【0093】
また、このような簡易な構成、低コスト、効率的なビームプロファイル変換器100は、一般的に使用毎に廃棄されるカテーテル8に適用することで、低コストのカテーテル8を実現することができる。
【0094】
なお、このビームプロファイル変換器100では、光軸OX1と光軸OX2とを一致させ、端面101cと端面102cとを非平行にすることで、レーザ光L1が光軸OX2から離間した位置で、端面102cに対して傾斜した方向へ入力する入力状態を実現している。ただし、ビームプロファイル変換器100の構成は、上述した入力状態が実現されるように変形することができる。例えば、光軸OX1と光軸OX2とを一致させなくてもよいし、光軸OX1と光軸OX2とを非平行にしてもよい。
【0095】
また、端面101cの光軸OX1に対する傾斜角度や、端面101cと端面102cとの距離、コア部101aのコア径および屈折率とコア部102aのコア径および屈折率との組み合わせを適宜調整することによって、メリディオナル光線の成分とスキュー光線の成分との比を調整し、レーザ光L2のビームプロファイルを調整することができる。例えば、ガウシアン形状に近いトップハット形状としたり、ドーナツ形状に近いトップハット形状としたりすることもできる。なお、トップハット形状とは、次数mが3以上のスーパーガウシアン形状と相似形または略相似形のプロファイルとする。スーパーガウシアンのフィールドUは以下の式で表される。なお、ω0はスポット半径、rは中心からの距離である。
U=exp[-(r/ω0)m]
【0096】
また、変形例1では、ビームプロファイル変換器100がカテーテル8に含まれる構成について説明したが、レーザ装置1000はこれに限定されない。つまり、ビームプロファイル変換器100を設ける位置は、接続部1003とレーザ光源1001との間であってもよい。このように、ビームプロファイル変換器100が接続部1003よりもレーザ光源1001側に設けられていることにより、カテーテル8を使い捨てた場合でも、ビームプロファイル変換器100を再利用することが可能になる。
【0097】
また、上述した各実施形態の変形例1の更なる変形例(変形例2~5)を構成することができる。更なる変形例について、
図15~
図18を参照して説明する。
【0098】
(変形例2)
図15は、各実施形態の変形例2におけるビームプロファイル変換器の主要部の概略構成を示す模式図である。この変形例2のビームプロファイル変換器100Aでは、斜めカットされた光ファイバ101の端面101cと、光ファイバ102の端面102cとが融着接続されている。このとき、融着接続面において光ファイバ101の光軸(不図示)と光ファイバ102の光軸OX2とはy方向において離間している。これにより、端面101cと端面102cとは平行になるが、光ファイバ101の光軸と光ファイバ102の光軸OX2とはyz平面と平行な面内において互いに傾斜している。
【0099】
ビームプロファイル変換器100Aでは、レーザ光L1が光軸OX2から離間した位置で、端面102cに対して傾斜した方向へ入力する入力状態を実現している。したがって、ビームプロファイル変換器100Aでは、ビームプロファイル変換器100と同様に、簡易な構成、低コスト、効率的という効果が得られる。
【0100】
ここで、互いに外径が異なる光ファイバを融着させる場合、反射戻り光が入力側の光ファイバのクラッドに入射することによって、樹脂等が発熱する原因になる。そこで、樹脂等の発熱を抑制するために、入力側の光ファイバの被覆部における融着部側に放熱部を設けることが望ましい。放熱部は、例えば放熱シリコーンが塗布されて構成される。
【0101】
(変形例3)
図16は、各実施形態の変形例3におけるビームプロファイル変換器の主要部の概略構成を示す模式図である。ビームプロファイル変換器100Bは、光ファイバ101Bおよび光ファイバ102Bを備える。
【0102】
第1光ファイバである光ファイバ101Bは、光ファイバ101における対応する要素と同様の構成のコア部101Baと、クラッド部101Bbとを備える。光ファイバ101Bは、第1端面としての端面101Bcを有している。端面101Bcは、z方向に延びる光ファイバ101Bの光軸(不図示)と直交しており、xy平面と平行である。
【0103】
第2光ファイバである光ファイバ102Bは、光ファイバ102における対応する要素と同様の構成のコア部102Baと、クラッド部102Bbとを備える。光ファイバ102Bは、第2端面としての端面102Bcを有している。端面102Bcは、x軸と平行であり、z方向に延びる光ファイバ102Bの光軸OX2Bに対して傾斜している。すなわち、光ファイバ102Bは、いわゆる斜めカットされたものである。また、端面101Bcと端面102Bcとは非平行である。また、光ファイバ101Bの光軸と光ファイバ102Bの光軸OX2Bとは平行であるが、y方向において離間している。
【0104】
ビームプロファイル変換器100Bでは、光ファイバ101Bは、導波したレーザ光L1を端面101Bcから出力する。端面101Bcから出力したレーザ光L1は、z方向に進行する。
【0105】
光ファイバ102Bのコア径は光ファイバ101Bのコア径よりも大きいので、端面101Bcから出力されたレーザ光L1は、端面102Bcのコア部102Baに、光軸OX2Bから離間した位置において入力される。ここで、端面102Bcはz軸に対して傾斜している。その結果、コア部102Baと筐体103内の空間との屈折率差により、端面102Bcから入力したレーザ光L1は、端面102Bcにおいて、yz面と平行な面内において光軸OX2Bから傾斜した方向へ入力する。すなわち、光ファイバ101Bから出力したレーザ光L1は、コア部102Baに入力される直前までは光ファイバ102Bの光軸OX2Bと平行であるが、光ファイバ102Bの光軸OX2Bから離間した位置において端面102Bcのコア部102Baに入力した後は、光ファイバ102Bの光軸OX2Bに対して傾斜した方向に屈折することになる。これにより、ビームプロファイル変換器100Bでは、ビームプロファイル変換器100の場合と同様に、光ファイバ102Bが、ビームプロファイルを変換する光ファイバとして機能し、レーザ光L2を出力する。その結果、ビームプロファイル変換器100Bは簡易な構成で、低コストかつ効率的にビームプロファイル変換を行うことができる。
【0106】
なお、レーザ光L1が光軸OX2Bから離間した位置で、端面102Bcに対して傾斜した方向へ入力する入力状態が実現されればよい。したがって、ビームプロファイル変換器100Bの構成を変形して、光ファイバ101Bの光軸と光軸OX2Bとを非平行にしてもよい。
【0107】
また、端面102Bcの光軸OX2Bに対する傾斜角度や、端面101Bcと端面102Bcとの距離、コア部101Baのコア径および屈折率とコア部102Baのコア径および屈折率との組み合わせを適宜調整することによって、レーザ光L2のビームプロファイルを調整することができる。
【0108】
(変形例4)
図17は、各実施形態の変形例4におけるビームプロファイル変換器の主要部の概略構成を示す模式図である。変形例4のビームプロファイル変換器100Cは、光ファイバ101Bおよび光ファイバ102を備え、光ファイバ101Bの端面101Bcと光ファイバ102の端面102cとの間に、三角プリズム111を配置した構成を有する。
【0109】
ビームプロファイル変換器100Cでは、光ファイバ101Bは、導波したレーザ光L1を端面101Bcから出力する。端面101Bcから出力したレーザ光L1は、z方向に進行し、三角プリズム111に入力する。三角プリズム111は、レーザ光L1を屈折させる光学素子の一例であり、レーザ光L1の進行方向がyz面と平行な面内においてz軸から傾斜した方向になるように屈折させる。その結果、レーザ光L1は、光ファイバ102の端面102cのコア部102aに、光軸OX2から離間した位置において入力され、かつ端面102cにおいて、yz面と平行な面内で光軸OX2から傾斜した方向へ入力する。これにより、光ファイバ102は、ビームプロファイル変換されたレーザ光L2を出力する。その結果、ビームプロファイル変換器100Cでは、ビームプロファイル変換器100の場合と同様に、簡易な構成で、低コストかつ効率的にビームプロファイル変換を行うことができる。
【0110】
なお、三角プリズム111は、光ファイバ102の端面102cに接して設けられてもよい。この場合、光ファイバ101Bの端面101Bcから出力したレーザ光L1は、三角プリズム111に入力される直前までは光ファイバ102の光軸OX2と平行であるが、三角プリズム111によって屈折されて、端面102cのコア部102aに入力する際には光軸OX2に対して傾斜している。また、三角プリズム111は、光ファイバ101Bの端面101Bcに接して設けられてもよい。この場合であっても、レーザ光L1は、端面102cのコア部102aに入力した直後に光軸OX2から傾斜した方向に入力される。
【0111】
(変形例5)
図18は、各実施形態の変形例5における係るビームプロファイル変換器の主要部の概略構成を示す模式図である。変形例5のビームプロファイル変換器100Dは、変形例4のビームプロファイル変換器100Cの構成において、三角プリズム111を、レーザ光L1を屈折させる光学素子の一例であるレンズ112に置き換えた構成を有する。
【0112】
レンズ112は、光軸OX3が光ファイバ101Bの光軸および光ファイバ102の光軸OX2のいずれとも一致しないように、端面101Bcと端面102cとの間に配置されている。これにより、ビームプロファイル変換器100Cの場合と同様に、端面101Bcから出力したレーザ光L1は、レンズ112によって、レーザ光L1の進行方向がyz面と平行な面内においてz軸から傾斜した方向になるように屈折させられる。その結果、レーザ光L1は、光ファイバ102の端面102cのコア部102aに、光軸OX2から離間した位置において入力され、かつ端面102cにおいて、yz面と平行な面内で光軸OX2から傾斜した方向へ入力する。これにより、光ファイバ102は、ビームプロファイル変換されたレーザ光L2を出力する。その結果、ビームプロファイル変換器100Dでは、ビームプロファイル変換器100の場合と同様に、簡易な構成で、低コストかつ効率的にビームプロファイル変換を行うことができる。
【0113】
なお、レンズ112は、光ファイバ102の端面102cに接して設けられてもよい。この場合、光ファイバ101Bの端面101Bcから出力したレーザ光L1は、レンズ112に入力される直前までは光ファイバ102の光軸OX2と平行であるが、レンズ112によって屈折されて、端面102cのコア部102aに入力する際には光軸OX2に対して傾斜している。また、レンズ112は光ファイバ101Bの端面101Bcに接して設けられてもよい。この場合であっても、レーザ光L1は、端面102cのコア部102aに入力された時点で光軸OX2から傾斜した方向に入力される。
【符号の説明】
【0114】
1 レーザ装置
2 焼灼用LD
3 モニタ用LD
4 合波器
5 タップカプラ(TAP)
6 接続部
7 光ファイバ
7a 先端面
8 カテーテル
10 光プローブ
11 反射部
12 曲げ部
21 先端部
22 中間部
31 保護材
31a 保持部
32 ファイバ被膜
33 保護材
40 側面照射機構
41 反射面
42 出射窓