(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】電気メッキ中の電解液の監視
(51)【国際特許分類】
C25D 21/12 20060101AFI20220526BHJP
【FI】
C25D21/12 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016079268
(22)【出願日】2016-04-12
【審査請求日】2019-04-10
(32)【優先日】2015-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・シャーマン・トラム
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ティー.・マイヤー
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-180097(JP,A)
【文献】特開2005-213596(JP,A)
【文献】特開平05-044099(JP,A)
【文献】特開平09-003699(JP,A)
【文献】実公昭62-045006(JP,Y2)
【文献】特開平02-190500(JP,A)
【文献】特開2011-066447(JP,A)
【文献】特開2015-134963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/00-7/12,21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気メッキ浴の状態を監視することによって電気メッキセルを制御する方法であって、
(a)第1の電極としての基板と第2の電極との間の初期電圧を読み取る工程と、
(b)前記電気メッキセル内での前記基板に対する電気メッキ中に、前記基板と前記第2の電極との間の電圧を繰り返し読み取る工程と、
(c)前記電圧の前記繰り返された読み取り値の各々を、前記電気メッキ中に前記初期電圧からドリフトする対応する予測電圧と比較する工程であって、
前記ドリフトは、満足な電気メッキ結果を生み出す基板電気メッキ動作から決定される、工程と、
(d)前記電圧の前記繰り返された読み取り値の内の1以上が、逸脱閾値よりも大きい値だけ前記対応する予測電圧から逸脱していると判定する工程と、
(e)前記電圧の前記繰り返された読み取り値の内の前記1以上が、前記逸脱閾値よりも大きい値だけ前記対応する予測電圧から逸脱していると判定したことに応じて、通知を送信する、および/または、前記電気メッキセルの動作を一時停止する工程と、
を備え、
前記ドリフトは、前記電気メッキ中に
3つの部分のドリフトプロファイルを備え、前記ドリフトプロファイルは、(i)経時的な負の電圧の傾き
と、(ii)経時的な正の電圧の傾きと、(iii)経時的な約ゼロの電圧の傾きと、を含み、前記逸脱閾値は、前記ドリフトプロファイルに依存し、1または複数の逸脱閾値を含み、(ii)に対応する逸脱閾値は、(i)に対応する逸脱閾値より大きい、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、工程(e)は、さらに、前記電気メッキセルをエラー状態に置く工程を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記電圧の前記繰り返された読み取り値の内の前記1以上は、前記電気メッキセルが工程(e)でエラー状態に置かれるか否かを判定するために用いられる唯一の電圧読み取り値である、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、工程(e)において、前記電気メッキセルをエラー状態に置くことは、前記電圧の前記1以上の繰り返された読み取り値が、前記逸脱閾値より大きい値だけ前記対応する予測電圧から逸脱すると判定したことに応じてのみ決定される、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、前記繰り返された読み取り値の大きさは、前記電気メッキセルが工程(e)でエラー状態に置かれるか否かを判定するために用いられない、方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、電流は、前記電気メッキセルが工程(e)でエラー状態に置かれるか否かを判定するために用いられない、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、さらに、定電流を印加し始めた後、前記基板と前記第2の電極との間の前記電圧を繰り返し読み取る前に、遅延期間だけ待機する工程を備える、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記電気メッキ中に変化するドリフトパラメータに前記初期電圧を加えることにより、前記対応する予測電圧を決定する工程を備え、
前記基板と前記第2の電極との間の前記初期電圧は、前記基板と前記第2の電極との間の前記電圧を繰り返し読み取る前に読み取られ、
前記ドリフトパラメータは、前記基板と前記第2の電極との間の電圧の前記繰り返された読み取り値の大きさの合計から独立しており、
前記ドリフトパラメータは、満足な電気メッキ結果を生み出す基板電気メッキ動作から決定された前記ドリフトに対応する、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記ドリフトは、時間の線形関数または対数関数である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記ドリフトプロファイルは
、前記経時的な負の電圧の傾きに対応する漸進的な電圧の低下
、続いて、急速な電圧の上昇、
続いて、電圧の安定した期間、を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記基板は、凹部フィーチャを備え
、前記急速な上昇は、前記凹部フィーチャが完全に充填される少し前に起きる、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記電気メッキは、1または複数の電気メッキステップを含み、前記1または複数の電気メッキステップの各々中に定電流が印加される、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記対応する予測電圧は、前記満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板について得られた電圧読み取り値からモデル化された直線断片を含む、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記対応する予測電圧は、前記満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板の正規化および平均された電圧読み取り値を含む、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記電圧の前記繰り返された読み取り値の各々を、前記電気メッキ中に前記初期電圧からドリフトする前記対応する予測電圧と比較する工程は、前記繰り返された読み取り値の1または複数の導関数を取る工程と、前記導関数を、前記満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板に対応する電圧読み取り値の1または複数の平均された導関数と比較する工程と、を含む、方法。
【請求項16】
請求項1ないし1
5のいずれかに記載の方法であって、前記第2の電極はアノードまたは前記基板に近接した参照電極である、方法。
【請求項17】
請求項1ないし1
5のいずれかに記載の方法であって、前記電気メッキセルは、前記基板と前記第2の電極との間の電圧の前記繰り返される読み取りを行うよう構成された電源に接続される、方法。
【請求項18】
請求項1ないし1
5のいずれかに記載の方法であって、前記基板は、凹部フィーチャを備え、前記基板に対する前記電気メッキは、前記凹部フィーチャを選択的に充填するように前記基板上に金属層を堆積させることを含む、方法。
【請求項19】
請求項1
8に記載の方法であって、前記電気メッキ浴は、前記凹部フィーチャを選択的に充填するための添加剤を含む、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記電気メッキ浴から金属を電着させるための電気メッキ装置に基板を提供する工程であって、前記電気メッキ装置は、前記電気メッキ浴と、電源と、第2の電極とを保持するよう構成された前記電気メッキセルを備える、工程と、
前記電気メッキセルにおいて、前記基板に前記金属を電気メッキする工程と、
を備え
る、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、
前記ドリフトは、時間の対数関数である、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記電気メッキ浴から金属を電着させるための電気メッキ装置に基板を提供する工程であって、前記電気メッキ装置は、前記電気メッキ浴と、電源と、第2の電極とを保持するよう構成された前記電気メッキセルを備える、工程と、
前記電気メッキセルにおいて前記基板上に前記金属を電気メッキする工程と、
前記第1の電極としての前記基板と前記第2の電極との間の前記初期電圧を読み取る前に、前記電気メッキ中に遅延時間だけ待機する工程と、
を備える、方法。
【請求項23】
電気メッキ浴の状態を監視することによって電気メッキセルを制御する方法であって、
(a)前記電気メッキ浴から金属を電着させるための電気メッキ装置に基板を提供する工程であって、前記電気メッキ装置は、前記電気メッキ浴と、電源と、第2の電極とを保持するよう構成された前記電気メッキセルを備え
、前記電気メッキ浴は、有機添加剤を含む、工程と、
(b)
前記有機添加剤を含む前記電気メッキ浴を備える前記電気メッキセルにおいて、前記基板上に前記金属を電気メッキする工程と、
(c)第1の電極としての基板と第2の電極との間の初期電圧を読み取る前に、前記電気メッキ中に遅延時間だけ待機する工程と
(d)第1の電極としての基板と第2の電極との間の前記初期電圧を読み取る工程と、
(e)前記電気メッキセルにおいて前記基板上に電気メッキする間に、前記基板と前記第2の電極との間の電圧を繰り返し読み取る工程と、
(f)前記電圧の前記繰り返された読み取り値の各々を、前記電気メッキ中に前記初期電圧からドリフトする対応する予測電圧と比較する工程であって、前記ドリフトは、満足な電気メッキ結果を生み出す基板電気メッキ動作から決定され、前記ドリフトは、前記電気メッキ中に3つの部分のドリフトプロファイルを備え、前記ドリフトプロファイルは、(i)経時的な負の電圧の傾き、(ii)経時的な正の電圧の傾き、および、(iii)経時的な約ゼロの電圧の傾きを含む、工程と、
(g)前記電圧の前記繰り返された読み取り値の内の1以上が、逸脱閾値よりも大きい値だけ前記対応する予測電圧から逸脱していると判定する工程と、
(h)前記電圧の前記繰り返された読み取り値の内の前記1以上が、前記逸脱閾値よりも大きい値だけ前記対応する予測電圧から逸脱していると判定したことに応じて、前記電気メッキセルの動作を一時停止する工程であって、前記逸脱閾値は、前記ドリフトプロファイルに依存し、1または複数の逸脱閾値を含み、(ii)に対応する逸脱閾値は、(i)に対応する逸脱閾値より大きい、方法。
【請求項24】
請求項2
3に記載の方法であって、工程(e)は、さらに、前記電気メッキセルをエラー状態に置く工程を含む、方法。
【請求項25】
請求項2
4に記載の方法であって、前記電圧の前記繰り返された読み取り値の内の前記1以上は、前記電気メッキセルが工程(e)でエラー状態に置かれるか否かを判定するために用いられる唯一の電圧読み取り値である、方法。
【請求項26】
請求項2
4に記載の方法であって、工程(e)において、前記電気メッキセルをエラー状態に置くことは、前記電圧の前記1以上の繰り返された読み取り値が、前記逸脱閾値より大きい値だけ前記対応する予測電圧から逸脱すると判定したことに応じてのみ決定される、方法。
【請求項27】
1または複数の凹部フィーチャを備えた基板の電気メッキ中にメッキ溶液の状態を監視するための装置であって、
(a)前記メッキ溶液を保持するよう構成されたメッキ容器であって、前記装置は、前記メッキ溶液から前記基板上に金属を電着させるよう構成されている、メッキ容器と、
(b)電源と、
(c)電極と、
(d)プログラム命令および/またはロジックを備えたコントローラと、
を備え、
前記プログラム命令および/またはロジックは、
(i)前記基板と前記電極との間の初期電圧の検出を行わせ、
(ii)前記メッキ溶液内で前記基板上に金属層の電気メッキを行わせ、
(iii)基板と前記電極との間の初期電圧の読み取りを行わせる前に、前記電気メッキ中に遅延時間だけ待機させ、
(iv)前記基板と前記電極との間の前記初期電圧の読み取りを行わせ、
(v)(ii)の間に、前記基板と前記電極との間の電圧の繰り返し読み取りを行わせ、
(vi)(v)における前記電圧の読み取り値が、逸脱閾値より大きい値を有する逸脱分だけ、対応する予測電圧よりも大きいか否かの判定を行わせ、
(vii)(vi)における前記逸脱が前記逸脱閾値よりも大きいとの判定を行わせたことに応じて、通知を送信させる、および/または、前記メッキ容器の動作を一時停止させるためのプログラム命令および/またはロジックであり、
前記対応する予測電圧は、前記初期電圧からドリフトし、
前記ドリフトは、満足な電気メッキ結果を生み出す電気メッキ処理での電圧読み取り値から決定されたものであり、
前記ドリフトは、前記電気メッキ中に
3つの部分のドリフトプロファイルを備え、前記ドリフトプロファイルは
、経時的な負の電圧の傾き
と、経時的な正の電圧の傾きと、経時的な約ゼロの電圧の傾きと、を含み、前記逸脱閾値は、前記ドリフトプロファイルに依存し、1または複数の逸脱閾値を含み、正の電圧の傾きを有する前記ドリフトプロファイルの部分に対応する逸脱閾値は、負の電圧の傾きを有する前記ドリフトプロファイルの部分に対応する逸脱閾値より大きい、
装置。
【請求項28】
請求項2
7に記載の装置であって、前記通知を送信する、および/または、前記メッキ容器の動作を一時停止させることは、前記メッキ容器をエラー状態に置かせることを含む、装置。
【請求項29】
請求項2
7に記載の装置であって、前記対応する予測電圧は、前記満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板について得られた電圧読み取り値からモデル化された直線断片を含む、装置。
【請求項30】
請求項2
7に記載の装置であって、前記対応する予測電圧は、前記満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板の正規化および平均された電圧読み取り値を含む、装置。
【請求項31】
請求項2
7に記載の装置であって、(iii)における電圧読み取り値が、前記逸脱閾値より大きい値だけ、前記対応する予測電圧よりも大きいか否かを判定することは、前記繰り返された電圧読み取り値の1または複数の導関数を取り、前記導関数を、前記満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板に対応する電圧読み取り値の1または複数の平均された導関数と比較することを含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
シリコン貫通ビア(TSV)およびウエハレベルパッケージング(WLP)電気接続技術として一般に知られている高度なパッケージングおよびマルチチップ相互接続の技術のために、電気化学析出が利用される。これらの技術には、重大な課題が存在する。
【0002】
一般に、TSVを形成する処理は、大まかにはダマシン処理と類似しているが、より大きく、より高いアスペクト比を有する凹部フィーチャに対して実行される。TSV処理では、最初に、空洞または凹部が基板(例えば、シリコンウエハ)にエッチングされ;次に、誘電体ライナが凹部フィーチャの内面および基板のフィールド領域の両方に形成されてよく;次いで、凹部フィーチャの内面および基板のフィールド領域の両方が、拡散バリアおよび/または接着層(例えば、Ta、Ti、TiW、TiN、TaN、Ru、Co、Ni、W)ならびに「電気メッキ可能なシード層」(例えば、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CD)、原子層蒸着(ALD)、または、無電解メッキ処理によって蒸着されうるCu、Ru、Ni、Co)で金属化される。次に、金属化された凹部フィーチャは、例えば、「ボトムアップ」銅電気メッキを用いて金属で満たされる。誘電体ライナは、ガラス、サファイア、または、ポリマ基板など、導電性のない基板については、蒸着されなくてよいことに注意されたい。
【0003】
対照的に、スルーレジストWLPフィーチャ形成は、通例、異なった方法で進行する。その処理は、通例、いくつかの低アスペクト比ビアまたはパッドを備えうる実質的に平坦な基板から始まる。実質的に平坦な誘電体基板は、接着層、その後に、(通例、PVDによって蒸着される)シード層で被覆される。次いで、フォトレジスト層が、シード層上に蒸着され、シード層が露出したオープン領域のパターンを形成するようにパターニングされる。次に、金属が、ピラー、ライン、または、別のフィーチャを基板上に形成するために、オープン領域に電気メッキされ、それにより、フォトレジストを剥離し、エッチングによってシード層を除去した後、電気的に隔離された様々なエンボス構造が基板上に残る。
【0004】
これらの技術(TSVおよびスルーレジストメッキ)は共に、ダマシン応用例よりも著しく大きいサイズスケールで電気メッキすることを必要とする。パッケージングフィーチャ(例えば、スルーチップ接続TSV、相互接続再分配配線、もしくは、フリップチップピラーなどのチップ-ボードまたはチップ-チップボンディング)のタイプおよび用途に応じて、メッキされるフィーチャは、しばしば、直径が約2マイクロメートルより大きくなり、直径が約5~約100マイクロメートルになりうる(例えば、ピラーは、直径が約50マイクロメートルになりうる)。一部のオンチップ構造(電力バスなど)については、メッキされるフィーチャは、100マイクロメートルを超えうる。スルーレジストWLPフィーチャのアスペクト比は、典型的に、約2:1(高さ対幅)以下であり、より典型的には1:1以下であるが、TSV構造は、非常に高いアスペクト比(例えば、約10:1または20:1)を有しうる。
【発明の概要】
【0005】
電気充填処理中に電気メッキ電源からの電圧読み取り値を監視することによって電気メッキ浴の品質をテストするための方法および装置が提供されている。いくつかの態様は、個々のウエハについてメッキ処理中に、電圧を監視する、電気メッキ浴の状態を監視する、および/または、電気メッキセルハードウェアの状態を監視することにより、電気メッキセルを制御する方法を含む。
【0006】
一態様は、電気メッキ浴の状態を監視することによって電気メッキセルを制御する方法を含み、その方法は:(a)第1の電極としての基板と第2の電極との間の初期電圧を読み取る工程と;(b)電気メッキセル内での基板に対する電気メッキ中に、基板と第2の電極との間の電圧を繰り返し読み取る工程と;(c)電圧の繰り返された読み取り値の各々を、電気メッキ中に初期電圧からドリフトする対応する予測電圧と比較する工程であって、ドリフトは、満足な電気メッキ結果を生み出す基板電気メッキ動作から決定される、工程と;(d)電圧の繰り返された読み取り値の内の1以上が、逸脱閾値よりも大きい値だけ、対応する予測電圧から逸脱していると判定する工程と;(e)電圧の繰り返された読み取り値の内の1以上が、逸脱閾値よりも大きい値だけ、対応する予測電圧から逸脱していると判定したことに応じて、通知を送信する、および/または、電気メッキセルの動作を一時停止する工程と、を備える。いくつかの実施形態において、工程(e)は、電気メッキセルをエラー状態に置く工程を含む。いくつかの実施形態において、工程(e)で、電気メッキセルは、潜在的に不良なメッキ浴内でまたは正常に動作しないハードウェアでさらなる基板のさらなる自動処理を行うことを防止するために、エラー状態に置かれる。いくつかの実施形態において、工程(e)で電気メッキセルをエラー状態に置くことは、閾値を超えた同じ浴を用いる特定の電気メッキセルおよびすべての関連するメッキセルをエラー状態に置くことを含む。
【0007】
様々な実施形態において、第2の電極は、アノード対電極である。いくつかの実施形態において、第2の電極は、(例えば、オンウエハ均一性の操作のための「主要な」アノードとは別個に利用および動作される)補助的な副アノードである。いくつかの実施形態において、第2の電極は、基板に近接した参照電極である。電気メッキセルは、基板と第2の電極との間の電圧の読み取りを繰り返し行うよう構成された電源に接続されてよい。
【0008】
基板は、凹部フィーチャを備えてよく、基板に対する電気メッキは、凹部フィーチャを選択的に充填するように基板上に金属層を堆積させることを含んでよい。凹部フィーチャは、基板上のシリコン貫通ビア構造内のビアであってよい。凹部フィーチャは、ダマシンビアおよび/またはラインであってよい。凹部フィーチャは、スルーフォトレジストパターン内のラインまたはビアであってもよい。電気メッキ浴は、凹部フィーチャを選択的に充填するための添加剤を含んでもよい。
【0009】
様々な実施形態において、電圧の繰り返された読み取り値の内の1以上の読み取り値すべてが、基板と第2の電極との間に定電流を印加している間に読み取られる。電圧の繰り返された読み取り値の内の1以上は、電気メッキセルが工程(e)でエラー状態に置かれるか否かを判定するために用いられる唯一の電圧読み取り値であってよい。いくつかの実施形態において、工程(e)で、電気メッキセルをエラー状態に置くことは、電圧の1以上の繰り返された読み取り値が、逸脱閾値より大きい値だけ対応する予測電圧から逸脱すると判定したことに応じてのみ決定される。繰り返された読み取り値の大きさは、電気メッキセルが工程(e)でエラー状態に置かれるか否かを判定するために用いられなくてよい。電流の代わりに電圧が処理制御パラメータであるいくつかの実施形態では、電流応答の読み取り値が、本明細書の他の箇所に記載したのと実質的に同じ方法で監視される。
【0010】
いくつかの実施形態において、方法は、さらに、定電流を印加し始めた後、基板と第2の電極との間の電圧を繰り返し読み取る前に、遅延期間だけ待機する工程を備える。
【0011】
方法は、さらに、電気メッキ中に変化するドリフトパラメータに初期電圧を加えることにより、対応する予測電圧を決定する工程を備えてもよく、基板と第2の電極との間の初期電圧は、基板と第2の電極との間の電圧を繰り返し読み取る前に読み取られ、ドリフトパラメータは、基板と第2の電極との間の電圧の繰り返された読み取り値の大きさの合計から独立しており、ドリフトパラメータは、満足な電気メッキ結果を生み出す基板電気メッキ動作から決定されたドリフトに対応する。
【0012】
様々な実施形態において、方法は、さらに、電圧の繰り返された読み取り値の各々を、電気メッキ中に初期電圧からドリフトする対応する予測電圧と比較する時に、初期電圧を正規化する工程を備えてもよく、基板と第2の電極との間の初期電圧は、基板と第2の電極との間の電圧を繰り返し読み取る前に読み取られる。正規化は、電圧の繰り返された読み取り値を、対応する予測電圧と比較する前に、電圧の繰り返された読み取り値から初期電圧を減算することを含んでよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、ドリフトは、時間の線形関数である。いくつかの実施形態において、ドリフトは、時間の対数関数である。ドリフトは、電気メッキ中に3つの部分のドリフトプロファイルを備えてよく、プロファイルは、(i)漸進的な電圧の低下、(ii)急速な電圧の上昇、および、(iii)電圧の安定した期間、を含む。様々な実施形態において、基板は、凹部フィーチャを備え、(ii)における急速な上昇は、フィーチャが完全に充填される少し前に起きる。逸脱閾値は、ドリフトプロファイルに依存してよく、1または複数の逸脱閾値を含んでよく、(ii)に対応する逸脱閾値は、(i)に対応する逸脱閾値より大きい。
【0014】
様々な実施形態において、電気メッキは、1または複数の電気メッキステップを含み、1または複数のステップの各々中に定電流が印加される。ステップの電流は、直前のステップの電流と同じであってもよいし、異なってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、予測電圧のドリフトは、満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板について得られた電圧読み取り値からモデル化された直線断片を含む。予測電圧は、満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板の正規化および平均された電圧読み取り値を含んでもよい。
【0016】
様々な実施形態において、電圧の繰り返された読み取り値の各々を、電気メッキ中に初期電圧からドリフトする対応する予測電圧と比較する工程は、繰り返された読み取り値の1または複数の導関数を取る工程と、導関数を、満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板に対応する電圧読み取り値の1または複数の平均された導関数と比較する工程と、を含む。
【0017】
別の態様は、1または複数の凹部フィーチャを備えた基板の電気メッキ中にメッキ溶液の状態を監視するための装置を含んでよく、装置は:(a)メッキ溶液を保持するよう構成されたメッキ容器であって、装置は、メッキ溶液から基板上に金属を電着させるよう構成されている、メッキ容器と;(b)電源と;(c)電極と;(d)プログラム命令および/またはロジックを備えたコントローラであって、プログラム命令および/またはロジックは:(i)基板と電極との間の初期電圧を検出し;(ii)メッキ溶液内で基板上に金属層を電気メッキし;(iii)(ii)の間に、基板と電極との間の電圧を繰り返し読み取り;(iv)(iii)における電圧読み取り値が、逸脱閾値より大きい値だけ、対応する予測電圧よりも大きいか否かを判定し;(v)(iv)における逸脱が逸脱閾値よりも大きいとの判定に応じて、通知を送信する、および/または、メッキ容器の動作を一時停止するためのプログラム命令および/またはロジックであり、逸脱閾値は、予測電圧に基づき、対応する予測電圧は、初期電圧からドリフトし、ドリフトは、満足な電気メッキ結果を生み出す電気メッキ処理での電圧読み取り値から決定されたものである。
【0018】
いくつかの実施形態において、通知を送信する、および/または、メッキ容器の動作を一時停止することは、メッキ容器をエラー状態に置くことを含む。
【0019】
いくつかの様々な実施形態において、予測電圧のドリフトは、満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板について得られた電圧読み取り値からモデル化された直線断片を含む。
【0020】
予測電圧は、満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板の正規化および平均された電圧読み取り値を含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、(iii)における電圧読み取り値が、逸脱閾値より大きい値だけ、対応する予測電圧よりも大きいか否かを判定することは、繰り返された電圧読み取り値の1または複数の導関数を取り、導関数を、満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板に対応する電圧読み取り値の1または複数の平均された導関数と比較することを含む。
【0022】
これらの態様および他の態様について、図面を参照しつつ以下でさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】電気メッキ溶液と接触したTSVを有する基板の概略断面図。
【0024】
【
図2】開示された実施形態に従って、凹部フィーチャを充填するのに適した電気メッキ装置を示す概略図。
【0025】
【
図3】様々な電気メッキ浴の電圧読み取り値を示すグラフの一例を示す図。
【0026】
【
図4A】開示された実施形態に従って、電気メッキ浴の電圧読み取り値と障害バンドとを示すグラフの例を示す図。
【
図4B】開示された実施形態に従って、電気メッキ浴の電圧読み取り値と障害バンドとを示すグラフの例を示す図。
【
図4C】開示された実施形態に従って、電気メッキ浴の電圧読み取り値と障害バンドとを示すグラフの例を示す図。
【0027】
【
図5】開示された実施形態に従って実行される動作を示す処理フローチャート。
【0028】
【
図6A】開示された実施形態に従って、マルチステップ電気メッキ処理について電流のグラフの一例を示す図。
【0029】
【
図6B】開示された実施形態に従って、マルチステップ電気メッキ処理について電圧読み取り値のグラフの一例を示す図。
【0030】
【
図7A】開示された実施形態に従って、良好な電気メッキ浴の電圧読み取り値と障害バンドとを示すグラフ。
【
図7B】開示された実施形態に従って、良好な電気メッキ浴の電圧読み取り値と障害バンドとを示すグラフ。
【
図7C】開示された実施形態に従って、良好な電気メッキ浴の電圧読み取り値と障害バンドとを示すグラフ。
【0031】
【
図8A】開示された実施形態に従って、悪い電気メッキ浴の電圧読み取り値と障害バンドとを示すグラフ。
【
図8B】開示された実施形態に従って、悪い電気メッキ浴の電圧読み取り値と障害バンドとを示すグラフ。
【
図8C】開示された実施形態に従って、悪い電気メッキ浴の電圧読み取り値と障害バンドとを示すグラフ。
【
図8D】開示された実施形態に従って、悪い電気メッキ浴の電圧読み取り値と障害バンドとを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明では、提示した実施形態の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細事項の一部またはすべてがなくとも実施可能である。また、開示した実施形態が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略した。開示した実施形態は、具体的な実施形態に関連して説明されているが、開示した実施形態を限定する意図はないことを理解されたい。
【0033】
ダマシン処理は、集積回路上に金属ラインを形成するための方法である。垂直に配列された電子デバイスの内部配線による相互接続を提供することによって、三次元(3D)パッケージおよび3D集積回路を生成するために、シリコン貫通ビア(TSV)がダマシン処理と共に利用されることがある。かかる3Dパッケージおよび3D集積回路は、マルチチップ電子回路の複雑性および全体寸法を大幅に低減しうる。ダマシン処理中に形成された集積回路の表面上の導電経路またはTSV内の導電経路には、一般に銅が充填される。
【0034】
TSVは、半導体ワークピース(シリコンウエハまたはダイなど)を完全に貫通する電気接続のためのビアである。本開示では、様々な用語が、半導体ワークピースの記述に用いられている。例えば、「ウエハ」および「基板」が、交換可能に用いられている。典型的なTSV処理は、TSVホールを形成し、共形拡散バリアおよび導電シード層を基板上に蒸着した後に、TSVホールに金属を充填することを含む。TSVホールは、通例、高アスペクト比を有するため、かかる構造内にボイドなしに銅を堆積させるのは困難な作業である。TSVは、通例、5:1以上のアスペクト比(10:1以上、さらには20:1以上(例えば、約30:1)など)を有しており、約0.1μm以上(5μm以上など)の開口部の幅と、約5μm以上(約50μm以上および約100μm以上など)の深さとを有する。TSVの例は、5×50μmおよび10×100μmのフィーチャを備える。かかる大型の凹部フィーチャは、酸に弱いシード層で被覆された場合、従来技術を用いて充填するのは特に困難である。銅の化学蒸着(CVD)には、複雑で高価な前駆体が必要であり、物理蒸着(PVD)は、しばしば、ボイドを生じ、段差被覆性に限界がある。電気化学反応で導電面上に金属を堆積させる(すなわち、メッキする)処理は、一般に、電気メッキ、メッキ、または、電気充填(electrofilling)と呼ばれる。電気メッキが、TSV構造に銅を堆積させるより一般的な方法であるが、電気メッキにも、TSVの大きいサイズおよび高アスペクト比のために、一連の課題がある。3Dパッケージおよび3D集積回路など、複雑な集積化で経験される高電流密度をサポートするので、TSV充填では通例、銅が導電性金属として用いられる。銅は、高デバイス速度もサポートする。さらに、銅は、良好な熱伝導率を有しており、非常に純粋な状態で入手できる。
【0035】
本明細書で議論する銅含有金属を「銅」と呼ぶこととし、純銅金属、他の金属との銅合金、ならびに、電気充填動作中に用いられる有機および無機化合物(例えば、平滑剤、促進剤、抑制剤、界面活性剤)などの非金属種を含浸された銅金属を含むが、これらに限定されない。
【0036】
主に、銅メッキ、より具体的には、TSV銅ダマシンメッキを参照しつつ、電気メッキ処理について説明するが、本明細書に提供される方法およびそれに関連する装置構成は、他の金属および合金(Au、Ag、Ni、Ru、Pd、Sn、In、および、これらのいずれかの合金(Sn/AgまたはSn/In合金など)など)のメッキを実行するために用いられてもよいし、スルーレジストメッキに用いられてもよいことがわかる。メッキ電解液は、必要とされる金属イオン(金属塩)の供給源と、通例は、電解液の電導度を高めるための酸と、を含む。
【0037】
開示されている方法および装置は、様々な凹部フィーチャを電気メッキするために利用できるが、特に、TSVの充填に有利であり、TSVは、比較的大きいサイズおよび高いアスペクト比を有する凹部フィーチャである。いくつかの実施形態において、凹部フィーチャは、ダマシンビアおよび/またはラインであってよい。凹部フィーチャは、スルーフォトレジストパターン内のラインまたはビアであってもよい。
【0038】
図1は、凹部フィーチャすなわちビア103を有する基板100がメッキ溶液120に接触した時のメッキ溶液成分の分布を示す。基板100の概略断面図が図示されている。基板100は、シリコン層101と、シリコン101にエッチングされたビア103と、を備える。誘電体ライナ(図示せず)が、いくつかの実施形態において、シリコン101上に蒸着されてもよい。拡散バリア層105(W/WN 2原子層など)が、誘電体層上にある。シード層107(銅またはニッケルのシード層など)が、バリア層105の上にあり、電気メッキ溶液102に暴露される。いくつかの実施形態では、共形膜スタックが、基板上に存在してもよい。電気メッキ溶液120は、金属塩と、酸と、添加剤(促進剤および抑制剤など)と、を含む。
図1に示すように、典型的なTSV電気充填処理では、基板100が、電気的に負バイアスされ、一般に、金属塩(銅イオン源としての硫酸銅またはメタンスルホン酸銅など)と、酸(電導度を制御するための硫酸またはスルホン酸など)とを、添加剤(抑制剤、促進剤、および、平滑剤として知られる様々な機能区分の塩化物イオンおよび有機添加剤など)と共に含むメッキ槽内のメッキ溶液120に暴露される。
【0039】
添加剤
TSV用途のため、および、一部の例ではWLP用途のための電気メッキは、ピンチオフボイドの形成を避けると共に、高アスペクト比フィーチャにおける銅の拡散に対応するために、低電流で実行されうる。基板上での電気メッキ溶液の挙動を変えることによってフィーチャのボトムアップ充填を可能にするために、添加剤が電気メッキ溶液に含まれてよい。添加剤の例は、抑制剤、促進剤、および、平滑剤を含む。いくつかの実施形態において、抑制剤は、抑制剤および平滑剤の両方として作用する(例えば、抑制剤が「平滑化特性」を有してもよい)。添加剤パッケージの一例は、60g/L銅、60g/L硫酸、および、50ppm塩化物をHSL-A促進剤およびHSL-B抑制剤と共に含んでよく、それは、ウェスタンオーストラリア州、モスレイクのMoses Lake Industries社から入手できる。
【0040】
電気メッキ中、ウエハ面上の添加剤の変化が、定電流電気メッキステップの電圧ドリフトを引き起こしうる。例えば、特定の理論に縛られることなく、ウエハ面上に吸着された抑制剤の表面濃度が、促進剤の吸着によって置き換えられるにつれて時間と共に減少し、それにより、分極が減少し、電極間の電圧が減少すると考えられる。ビアの底部に吸着された促進剤の局所的に高い表面濃度が、ビア内でのメッキ速度を高め、ボトムアップ充填につながる。ビアがほぼ完全な充填に近づくと、部分的には抑制剤および/または平滑剤がビアの中で促進剤に取って代わるために、局所的な促進効果が減少し、分極が高まる。この促進剤活性の減少は、ビアにおける大きいバンプの形成を削減し、一般に、「平滑化」と呼ばれる。本明細書で用いられる抑制剤は、平滑化特性を有してよい。
【0041】
抑制剤
作用の理論にも機序にも縛られることは望まないが、抑制剤(単独またはその他の浴添加剤との組み合わせのいずれか)は、特に、表面化学吸着ハロゲン化物(例えば、塩化物または臭化物)と組み合わせて存在する場合に、基板-電解液界面での電圧降下の著しい増大につながる表面分極化合物(surface polarizing compounds)であると考えられている。ハロゲン化物は、抑制剤分子と基板表面との間で化学吸着ブリッジとして機能しうる。抑制剤は、(1)抑制剤がない領域に比べて抑制剤が存在する領域で基板表面の局所的分極を増大させると共に、(2)全体的に基板表面の分極を増大させる。分極(局所的および/または全体的)の増大は、抵抗率/インピーダンスの増大に対応し、ひいては、特定の印加電位でのメッキが遅くなることに対応する。
【0042】
抑制剤は、堆積膜に著しく組み込まれることはないが、時間が経つと浴内で電気分解または化学分解によってゆっくりと分解しうると考えられている。抑制剤は、しばしば、比較的大きい分子であり、多くの例では、重合体の性質を持っている(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)。抑制剤のその他の例は、Sおよび/またはN含有官能基を持つポリエチレンおよびポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのブロック重合体などを含む。抑制剤は、直鎖構造または分枝構造またはその両方を有しうる。様々な分子量の抑制剤分子が、市販の抑制剤溶液中に共存するのが一般的である。部分的には抑制剤のサイズが大きいことにより、これらの化合物の凹部フィーチャ内への分散は、他の浴成分に比べて遅い可能性がある。
【0043】
一部の抑制剤は、平滑化特性を備える。平滑剤が、抑制剤および/または促進剤と併用されてもよいが、一部の抑制剤は、開示された実施形態にとって十分な平滑化作用を備えうる。
【0044】
作用の理論にも機序にも縛られることは望まないが、平滑剤(単独またはその他の浴添加剤との組み合わせのいずれか)は、抑制剤として作用して、一部の例では、特に、処理中の基板のフィールド領域など基板の露出部分およびフィーチャの側壁で、促進剤に関連する脱分極効果を和らげると考えられている。平滑剤は、基板の分極/表面抵抗を局所的に高めることにより、平滑剤が存在する領域の局所的な電着反応を遅くしうる。平滑剤の局所的な濃度は、物質移行によって或る程度決定される。したがって、平滑剤は、基本的に、表面から突出した形状を有する表面構造に作用する。この作用は、電着層の表面を「滑らかにする」。多くの場合、平滑剤は、拡散律速速度またはその付近の速度で基板表面で反応すなわち消費されるため、しばしば、平滑剤の連続的な供給が、経時的に均一なメッキ条件を維持するのに有益であると考えられる。
【0045】
平滑剤化合物は、一般に、それらの電気化学的機能および影響に基づいて平滑剤として分類されており、特定の化学構造または組成を有する必要はない。ただし、平滑剤は、しばしば、1または複数の窒素、アミン、イミド、または、イミダゾールを含んでおり、硫黄官能基も含みうる。特定の平滑剤は、1または複数の五員環および六員環および/または共役有機化合物誘導体を含む。窒素基が、環状構造の一部を形成しうる。アミン含有平滑剤において、アミンは、第一級、第二級、または、第三級アルキルアミンであってよい。さらに、アミンは、アリルアミンまたは複素環アミンであってよい。アミンの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アリルアルキルアミン、トリアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ピリミジン、キノリン、および、イソキノリン。イミダゾールおよびピリジンは、特に有用でありうる。平滑剤の一例は、ヤヌスグリーンBである。平滑剤化合物は、エトキシド基も含みうる。例えば、平滑剤は、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキシドに見られるのと同様の一般的な骨格と、鎖上に機能的に挿入されたアミンの断片(例えば、ヤヌスグリーンB)とを備えてよい。エポキシドの例は、以下を含むがこれらに限定されない:エピハロヒドリン(エピクロロヒドリンおよびエピブロモヒドリンなど)ならびにポリエポキシド化合物。エーテル含有結合によって結合された2以上のエポキシド部分を有するポリエポキシド化合物が、特に有用でありうる。重合体の平滑剤化合物もあるが、そうでないものもある。重合体平滑剤化合物の例は、以下を含むがこれらに限定されない:ポリエチレンイミン、ポリアミドアミン、および、様々な酸素エポキシドまたは硫化物とアミンの反応生成物。非重合体平滑剤の一例は、6-メルカプト-ヘキサンである。平滑剤の他の例は、ポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0046】
促進剤
作用の理論にも機序にも縛られることは望まないが、促進剤(単独またはその他の浴添加剤との組み合わせのいずれか)は、抑制剤の存在に関連する分極効果を局所的に低減する傾向があり、それにより、電着速度を局所的に増大させると考えられている。分極低減の効果は、吸着された促進剤の濃度が最も高い領域で最も顕著である(すなわち、分極は、吸着された促進剤の局所的な表面濃度の関数として低減される)。促進剤の例は、以下を含むが、これらに限定されない:ジメルカプトプロパンスルホン酸、ジメルカプトエタンスルホン酸、メルカプトプロパンスルホン酸、メルカプトエタンスルホン酸、ビス-(3-スルホプロピル)ジスルフィド(SPS)、および、それらの誘導体。促進剤は、基板表面に強く吸着され、一般に、メッキ反応の結果として側方に表面上を動かなくなるが、一般には、著しく膜内に組み込まれることがない。したがって、促進剤は、金属が堆積されると、表面上に残る。凹部が充填されると、局所的な促進剤の濃度が、凹部内の表面で高くなる。促進剤は、抑制剤と比べて、小さい分子であり、凹部フィーチャ内に速く拡散する傾向がある。
【0047】
ボトムアップ充填
ボトムアップ充填メカニズムでは、メッキ面上の凹部フィーチャが、フィーチャの底部から上部へ、かつ、フィーチャの側壁から中心へと内側に向かって、金属でメッキされる傾向がある。均一な充填を達成すると共に、フィーチャ内へのボイドの組み込みを避けるために、フィーチャ内およびフィールド領域での析出速度が制御されてよい。上述した3つのタイプの添加剤は、ボトムアップ充填を達成するのに有益であり、各々、基板表面での分極を選択的に増大または減少させるよう機能する。
【0048】
メッキの後期段階では、特に余剰な堆積物として、促進剤が、特定の領域(例えば、充填されたフィーチャの上方)に不必要に蓄積することで、局所的に所望よりも速くメッキが進む。平滑剤が、この効果を抑えるために利用されうる。平滑剤がなければ、フィーチャが、過充填されてバンプを形成する傾向がありうる。したがって、ボトムアップ充填メッキの後期段階において、平滑剤は、比較的平坦な堆積物を生成するのに有益である。
【0049】
抑制剤、促進剤、および、平滑剤を組み合わせて利用することにより、底部から上部および側壁から内向きにボイドなしにフィーチャを充填すると共に、比較的平坦な堆積面を生成することが可能になる。添加化合物の正確な正体/組成は、通例、添加剤供給業者によって企業秘密として保持されているため、これらの化合物の正確な性質についての情報は、公には入手できない。
【0050】
メッキ浴の監視
これらのメッキ浴成分の濃度は、成分がメッキ対象の基板に取り込まれる、経時的に劣化するなどの理由で、通例、処理の間に変化する。劣化の速度および程度は、予測不可能に変化しうる。したがって、一貫して満足な充填結果を達成するには、経時的に浴の組成を監視する必要がある。このように、例えば、メッキ浴添加剤の濃度が低すぎることがわかった時に、浴中の添加剤の濃度を高めるように適切な工程を取ることができる。
【0051】
メッキ浴の監視に広く用いられる従来の方法は、通例、走査型ボルタンメトリ電量分析(scanning voltammetric coulometry)、電気化学滴定、分光法(例えば、可視光、IR、および、UV溶液分析)、および、様々な形態のHPLCを利用して、目標動作濃度に近い濃度の様々な既知の浴成分(例えば、金属、酸、および、各添加剤)の濃度を独立的に評価することを試みる。例えば、ボルタンメトリ電量分析法では、プラチナ製の回転ディスク電極(RDE)が、作用電極として用いられる。サイクリックボルタモグラムのアノーディックストリッピング波の間に通過した電荷を積分することによって、信号が生成される。通例、一連の同様の実験が行われ、溶液中の標的となる種の濃度が修正される。溶液は、一般に、他の(非標的の)浴種の濃度には非常に反応しにくい。
【0052】
個々の基板内での充填処理の質およびメッキツールで複数の基板をメッキする際の充填処理の質に対するロバストな管理が望まれる。かかる方法は、特定のメッキセルが、任意の特定の添加成分、添加濃度、または、組成の仕様に依存せず、様々な種の存在について個々に検査を行う必要がない規定の電気メッキ仕様を満たす(例えば、ボトムアップ充填を成功させる)のか(または、満たさないのか)を示しうる。開示されている技術は、溶液中に存在しうる特定の種の正体を知ることなしに実行できる。この処理は、低濃度であるために従来の方法で検出されない副生成物または汚染物質にも敏感でありうる。例えば、従来の方法では、測定された添加剤の濃度が仕様の範囲内であっても、未検出の汚染により、浴の性能が悪い場合がある。
【0053】
電気メッキ中に電気メッキ浴の質を監視するための方法および装置が、本明細書に提供されている。いくつかの開示された実施形態は、既存のハードウェアの交換も変更もすることなしに、電気メッキ装置に実装されうる。例えば、開示された実施形態に従った処理が、電気メッキ装置の動作(基板およびアノードに電流を供給する動作など)を制御するよう構成されたコントローラにプログラムされてよい。
【0054】
本明細書に記載の電気メッキ処理は、ボトムアップ充填を最適化するために電解液に添加剤を含んでよい。しかしながら、添加剤を含む電解液は、望ましくない方法でアノードと反応しうる。したがって、時に、メッキセルのアノード領域およびカソード領域は、異なる組成のメッキ溶液が各領域で用いられうるように、膜で分離される。カソード領域のメッキ溶液は陰極液と呼ばれ;アノード領域のメッキ溶液は陽極液と呼ばれる。メッキ装置に陽極液および陰極液を導入するために、多くの工学設計を利用できる。基板を電気メッキするための装置の一例を
図2に示す。装置は、中で基板を処理する1または複数の電気メッキセルを備える。分かりやすくするために、
図2では1つの電気メッキセルを図示している。
【0055】
図2を参照すると、一実施形態に従った電気メッキ装置201の断面図が示されている。メッキ槽203は、(促進剤、抑制剤、および、時に平滑剤を含んでよい)メッキ溶液を含んでおり、メッキ溶液は、図によると液位205にある。この容器の陰極液部分が、陰極液の中に基板を受け入れるように適合されている。基板207が、メッキ溶液に浸漬され、回転可能なスピンドル208に取り付けられた、例えば、「クラムシェル」保持固定具209によって保持されており、スピンドル208は、基板207と一緒にクラムシェル209を回転させることを可能にする。開示された実施形態の利用に適した態様を有するクラムシェル型のメッキ装置の概要については、Patton et al.に発行された米国特許第6,156,167号およびReid et al.に発行された米国特許第6,800,187号に詳細に記載されており、これらの特許は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
アノード213が、メッキ槽203内で基板の下方に配置されており、イオン選択膜であってよい膜215によって基板領域から分離されている。例えば、Nafion(商標)陽イオン交換膜(CEM)が用いられてよい。アノード膜215の下の領域は、しばしば、「アノードチャンバ」と呼ばれる。イオン選択性のアノード膜215は、メッキセルのアノード領域およびカソード領域の間でイオンの行き来を可能にしつつ、アノードで生成された粒子が基板に近づいて汚染することを防ぐ。アノード膜は、メッキ処理中に電流を再分配することによってメッキの均一性を改善することにも有効である。適切なアノード膜の詳細な説明が、Reid et al.に発行された米国特許第6,126,798号および第6,569,299号に提供されており、共に、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。陽イオン交換膜などのイオン交換膜が、これらの用途に特に適している。これらの膜は、通例、スルホン酸基を含む全フッ化コポリマ(例えば、Nafion(商標))、スルホン化ポリイミド、および、陽イオン交換に適したその他の材料など、アイオノマ材料で製造される。適切なNafion(商標)膜の選択例は、Dupont de Nemours社製のN324およびN424膜を含む。
【0057】
メッキ中、メッキ溶液からのイオンが、基板上に堆積される。金属イオンは、拡散境界層を通ってTSVホール内に拡散する。拡散を助ける典型的な方法は、ポンプ217によって提供される電気メッキ溶液の対流による方法である。さらに、振動撹拌または音波撹拌部材が、ウエハ回転と共に利用されてもよい。例えば、振動変換器208が、ウエハチャック209に取り付けられてよい。
【0058】
メッキ溶液は、ポンプ217によってメッキ槽203に連続的に供給される。一般に、メッキ溶液は、矢印で示すように、アノード膜215および拡散プレート219を通して基板207の中央に向かって上方へ流れ、その後、半径方向外向きに基板207にわたって流れる。メッキ溶液は、メッキ槽203の側面から槽のアノード領域に供給されてもよい。次いで、メッキ溶液は、メッキ槽203からオーバーフロー容器221に溢れる。次いで、メッキ溶液は、フィルタリングされて(図示せず)、ポンプ217に戻され、メッキ溶液の再循環が完了する。特定の構成のメッキセルでは、異なる電解液が、アノードの含まれるメッキセルの部分を通して循環されるが、主要なメッキ溶液との混合が、難透過性の膜またはイオン選択膜を用いて防止される。
【0059】
装置は、さらに、メッキ溶液の温度を特定のレベルに維持するためのヒータ245を備えてよい。メッキ溶液は、メッキ槽203の他の要素に熱を伝達するために用いられてもよい。例えば、基板207がメッキ槽203内にロードされると、装置201全体の温度が実質的に均一になるまで、電気メッキ装置201にメッキ浴を循環させるために、ヒータ245およびポンプ217がオンにされてよい。一実施形態において、ヒータ245は、システムコントローラ247に接続されている。システムコントローラ247は、電気メッキ装置201内のメッキ溶液温度のフィードバックを受信して、さらなる加熱の必要性を判定するために、熱電対に接続されてよい。
【0060】
図の実施形態では、参照電極231が、別個のチャンバ233のメッキ槽203の外側で別個のチャンバ233内に配置されており、このチャンバ233は、主要なメッキ槽203から溢れた溶液で補充される。あるいは、いくつかの実施形態において、参照電極は、基板に近接するように、可能な限り基板表面の近くに配置されており、参照電極チャンバは、キャピラリチューブまたは別の方法でウエハ基板の側面またはウエハ基板の直下に接続される。好ましい実施形態の一部では、装置は、さらに、ウエハ周囲に接続し、ウエハの周囲で金属シード層の電位を検知するがウエハに全く電流を送らないよう構成された接触検知リードを備える。
【0061】
参照電極231は、水銀、硫酸水銀、塩化銀、飽和カロメル、または、銅金属など、一般に用いられる様々なタイプの1つであってよい。いくつかの実施形態では、基板207と直接接触する接触検知リードが、より正確な電位測定のために参照電極に加えて用いられてもよい(図示せず)。
【0062】
DC電源235が、基板207に流れる電流を制御するために用いられてよい。電源235は、1または複数のスリップリング、ブラシ、および、コンタクト(図示せず)を通して基板207に電気接続された負出力リード239を有する。電源235の正出力リード241は、メッキ槽203内に配置されたアノード213に電気接続される。電源235、参照電極231、および、接触検知リード(図示せず)は、システムコントローラ247に接続されてよく、コントローラ247は、機能の中でも特に、電気メッキセルの要素に供給される電流および電位の変調を可能にする。例えば、コントローラは、電位制御および電流制御されたレジームでの電気メッキ(1または複数のステップでの電気メッキなど)を可能にしうる。なお、各ステップは、定電流で実行される。コントローラは、メッキセルの電極に印加される必要のある電流および電圧レベルと、これらのレベルが変更される必要がある時とを指定するプログラム命令を備えてよい。コントローラは、開示された実施形態に記載されているように、電流を制御して電圧を計算してよい。順方向電流が印加される時、電源235は、アノード213に対して負の電位を有するように基板207をバイアスする。これにより、電流がアノード213から基板207に流れ、電気化学的還元(例えば、Cu2++2e-=Cu0)が、基板表面(カソード)で起き、その結果、基板207の表面上に導電層(例えば、銅)が析出する。活性または不活性アノード214が、メッキ槽203内の基板207の下に設置され、膜215によってウエハ領域から分離されてよい。
【0063】
説明したように、TSV電気充填処理は、充填性能を劣化させ、現在利用可能な浴の計測技術では容易に検出されない特定の電解液条件に敏感である。多くの設計において、かかる条件は、充填処理が失敗した時にのみ発見可能であり、その時点で、以前にメッキされた基板は廃棄される。例えば、少量の促進剤の分解により、充填が不完全な製品につながりうる。さらに、長い時間間隔にわたって抑制の維持に関与する特定成分の喪失が、不完全な充填を引き起こしうる。微量の平滑剤成分の追加も、同様に、不完全なTSV充填を引き起こしうる。さらに、様々な未認識の材料の存在が、充填の失敗につながりうる。これら問題の各々は、従来の方法で容易に検出できない濃度の変化/レベルで起こりうる。TSV充填処理は、浴組成の変化に特に敏感である。要するに、従来の測定方法は、特定のメッキ浴が、許容可能なボトムアップ充填結果を生み出すか否かを正確に予測することができず、不良デバイスの生産、さらには、貴重な基板の完全な損失にもつながりうる。
【0064】
本明細書では、電気メッキ浴が許容可能なボトムアップ充填結果を生み出すか否かを判定し、ひいては、通知を送信するか否かおよび/または電気メッキセルの動作を一時停止するか否かを決定するための方法が提供されている。例えば、方法は、電気メッキ浴または電気メッキセルを「エラー状態」に置くか否か、もしくは、実際のまたは潜在的な浴の問題にその他の方法で対処するか否か、を決定してよい。エラー状態に置かれた電気メッキセルは、潜在的に不良のメッキ浴内でまたは正常に動作しないハードウェアでさらなる基板のさらなる自動処理を行うことを防止されうる。いくつかの実施形態において、電気メッキセルをエラー状態に置くことは、閾値を超えた同じ浴を用いる特定の電気メッキセルおよびすべての関連するメッキセルをエラー状態に置くことを含む。方法は、電気充填処理中にメッキ電源からの電圧読み取り値を監視して、メッキ浴品質の「継続/中止」テストを提供することを含む。「継続/中止」テストは、基板が電気メッキ浴内に配置されるべき(継続)か、電気メッキ浴内に配置されないべき(中止)かを判定するためのテストである。
【0065】
図2に示すように、電源235は、基板207と対電極との間に、制御された電力を供給する。基板207が電気メッキされている時、基板207はカソードとして機能してよく、対電極はアノード213として機能する。いくつかの実施形態において、このアノードは、(例えば、オンウエハ均一性の操作のための「主要な」アノードとは別個に利用および動作される)補助的な副アノードである。いくつかの開示された実施形態は、基板表面付近の電位のさらなる測定を提供することによって感度を高めるために、参照電極と組み合わせて実行されてよい。電源235は、基板207とアノード213との間の電圧および/または電流を読み取って、電力を制御する。これらの読み取りは、本明細書では「電圧読み取り」とも呼ばれうる。電源235は、電圧を読み取るための従来の内蔵型電圧計を備えてよい。電圧の読み取りは、2つの電極の各々のためのコンタクト(またはバス)の間で行われる。いくつかの実施形態において、電圧読み取り値は、「検知」リードからの入力値に基づいて読まれてよい。電源235は、内部回路における損失を考慮しえないが、得られた電圧読み取り値は、所望の電流出力を供給するのに十分である。
【0066】
ソフトウェアおよび/または制御回路(コントローラ247など)は、供給電力を制御して、測定電圧または定電流を規定の仕様内に維持する。電源235は、基板207およびアノード213間の供給電流および/または電圧を制御してよい。いくつかの実施例において、セルは、参照電極231を備えてよく、電源235は、基板207および参照電極231の間の電位差を監視する。
【0067】
電圧読み取り値は、メッキ浴に接触する基板の分極が変わりうることから、メッキ処理の過程にわたって変化しうる。さらに、電圧読み取り値は、同じ状態で動作する同じ構成のセルの間で異なりうる。同じ電解液、基板、カソード、および、形状、ならびに、電気メッキ性能に関して通常考慮されるその他の特徴を有する2つのセルが、非常に異なる抵抗を有することがある。抵抗の変動は、電源と電極との間の回路の電子部分で生じうる。例えば、回転ウエハチャックに用いられるブラシ接点の抵抗は、基板と係合する周囲の接点の抵抗と同様に、セルの間で異なりうる。定電流では、かかる抵抗の変動が、電源での電圧読み取り値の変動につながる。電気メッキ処理で実行される工程は定電流で実行されるので、電圧読み取り値の変動は、浴が許容可能なTSVギャップ充填性能を提供するのに十分良好であるか否かを判定するために利用できる浴化学物質の状態に関する情報を提供する。電圧は、浴化学物質の品質に関連しない他の要因(例えば、メッキ回路の印加電流およびオーム抵抗)にも依存するが、ベースライン電圧からの逸脱が、メッキ浴の品質を監視するために用いられてよい。
【0068】
メッキ処理中のメッキ回路の抵抗の変動およびウエハの分極の変動が、異なるタイムスケールで作用することに注意されたい。例えば、定電流メッキ処理中のオーム電圧降下は、効果的に一定であり、電気メッキ中に観察される電圧ドリフトには基本的に寄与しない。オーム電圧降下の任意の変化は、メッキ電流の変化および/またはメッキ回路の抵抗の漸進的な変動に起因しうるが、メッキステップ中の分極の変動は可変であり、メッキ浴の品質を監視するために用いられる。メッキ回路の抵抗は時間と共に徐々に変動しうるが、変動は、数ヶ月または数年などの長期間にわたって生じるため、抵抗は、メッキ処理中には一定として扱うことができる。
【0069】
劣化した浴内での電気メッキは、メッキ処理中の電圧読み取り値における観察可能な変化につながる。メッキ中の電圧読み取り値の変動は、わずかな変動でありえ、本明細書で提供される方法および装置は、電圧読み取り値に基づいて浴の品質を判定する。様々な実施形態において、電圧の大きさは、メッキ浴の品質を判定するために用いられないことに注意されたい。
【0070】
一部の電気メッキツールにおいて、電圧の監視は、電圧読み取り値の予測された大きさまたは範囲に基づいて、ツールハードウェアが正確に一貫して機能していることを確認しうる。既存の方法は、電圧読み取り値に対するツールハードウェアおよび浴化学物質の影響が複雑であり、電圧読み取り値に対する浴の品質の影響が比較的わずかであることから、浴の品質を正確に判定できない。既存の方法とは対照的に、本明細書に記載の方法は、電圧読み取り値に対する浴の品質の影響を分離し、ツールハードウェアによって引き起こされる影響を排除するよう構成されうる。
【0071】
図3は、ブランケットウエハ(名目上は、フィーチャのない平坦な面)に実行された3つの電気メッキ処理について測定された電圧読み取り値を時間に対して示したグラフである。線305および307は、異なるセル内の良好な浴についての電圧読み取り値を示す。電圧読み取り値は、2つのメッキ回路の合計抵抗の差のために異なっており;線305は、より高い抵抗を備えたセルからの電圧読み取り値を示し、それらの電圧読み取り値は、より低い抵抗を備えたセルから得られた線307によって示された読み取り値よりも高い。これらのセルの両方は、良好なTSV充填が可能であり、305および307の間の変動は、セル間で観察される通常のオーム抵抗の変動の典型であることに注意されたい。線309は、線305によって示された読み取り値と同じセルからの低性能の浴についての電圧読み取り値を示す。約4000秒のメッキ時間の後に生じる電圧読み取り値の変化は、低い浴性能を示す。線303は、線305および309を得るために用いられた電気メッキセルについての予測電圧を示す。簡単なセル監視技術では、障害バンド301が生成されてよく、それにより、障害レンジを外れた電圧読み取り値(線309など)が不良の電気メッキ浴とフラグ付けされ、障害レンジ内の電圧読み取り値(線305など)が良好とフラグ付けされる。しかしながら、線307は良好な浴について取得されたが、
図3で用いたシステムは、不良の浴であると不正確に307をフラグ付けすることに注意されたい。これは、用いた方法が、同一に見えるメッキセルの間の抵抗の差を考慮していないからである。
【0072】
対照的に、
図4A、
図4B、および、
図4Cは、本明細書に記載の方法を用いて評価した場合の同じ3セットの電圧読み取り値を示しており、各ケースにおいて、障害バンド401(予測電圧403に基づく)が、浴を正確に分類する。
図4Aは、
図3の線305に対応し、良好な浴として検出されている。
図4Bは、線307に対応し、今回は良好な浴として正確に分類されている。
図4Cは、線309に対応し、不良の浴として検出されている。
図4A、
図4B、および、
図4Cに示した本明細書に記載のアプローチは、電気メッキセル間での電圧の大きさの差の影響を除去するように、実際の電圧読み取り値および予測電圧読み取り値の間の比較を用いる。
【0073】
開示された方法は、メッキ処理中に生じる電圧読み取り値の変化に基づいており、電圧の大きさがセルの間で幅広く変動しても、ユーザが任意のセルに有効な予測電圧プロファイルを設定することを可能にする。予測電圧プロファイルは、電気メッキ浴が十分に良好な品質であるか否かを判定するために電気メッキセルを監視する所定のセットの命令として定義される。開示された実施形態は、メッキ浴の品質を判定して劣化した浴の中でメッキを継続したことによるウエハの廃棄を防ぐための継続/中止テストを作成するのに十分な感度を可能にする。
【0074】
本明細書に記載したように、開示した実施形態は、レシピ主体であってよい。電気メッキレシピは、ツールまたは装置が基板をメッキするために用いるパラメータを含む命令のセットである。ハードウェア主体の従来のメッキ浴監視方法と異なり、開示された実施形態は、異なるセルでメッキされる同じタイプの基板および同じセルでメッキされる異なるタイプの基板の監視を可能にするレシピに関係するパラメータを利用する。結果として、開示された実施形態は、異なるタイプの基板がメッキセルで処理されるたびに、メッキセルのための制御限界またはベースラインパラメータが更新されないように、基板タイプから独立しうる。メッキレシピ内で特定されるパラメータの例は、メッキ基板条件(例えば、基板サイズ、シード層の組成またはシート抵抗、ならびに、凹部の密度、直径などパターン特性)、電解液特性(例えば、組成、イオン導電率、および、添加剤パッケージ)、ならびに、印加電流および電圧(例えば、基板とアノードとの間の印加電流レベル、印加電流の持続時間、および、補助電極によって印加される電流)を含む。各レシピは、アルゴリズムのための測定処理を特徴付ける独自のドリフト、障害レンジなどを有する。
【0075】
図5は、開示されている実施形態に従った方法を実行するための動作を示す処理フローチャート図である。動作502で、電気メッキ処理が始まる。処理は、1または複数のステップで実行され、例えば、1処理が、n個のステップで実行されてよい。処理を、より多くのステップを有するマルチステップ処理に分割することによって、より複雑性の高い予測電圧プロファイルが生成されうる。ステップが多いほど、より細かい分解能が可能になる。
【0076】
ステップは、電流が一定である所定の持続時間として規定されてよい。一部の例では、同じ電流で実行される連続したステップ(すなわち、1つのステップが別のステップの直後に実行される)が、2以上のステップとして扱われてもよい。本明細書で用いられるn番目のステップは、時刻tn-1に始まり、時刻tnに終わる。n番目のステップの持続時間は、以下の式で決定される:
n番目のステップの持続時間=tn-tn-1 (1)
【0077】
図6Aは、2つのステップと3番目のステップの一部とについて電流を経時的に示す。ここで、t
0は、最初のステップの電気メッキが開始する時刻である。t
1で、最初のステップの電気メッキは停止する。最初のステップの持続時間は、以下の式で決定される:
Δt
step 1=t
1-t
0 (2a)
【0078】
最初のステップ中には、電流がI1で一定であることに注意されたい。
【0079】
また、2番目のステップもが
図6Aに図示されている。2番目のステップにおいて、t
1は電気メッキが始まる時刻であり、t
2は電気メッキが停止する時刻である。2番目のステップの持続時間は、以下の式で決定されうる:
Δt
step 2=t
2-t
1 (2b)
【0080】
2番目のステップ中には、電流がI2で一定であることに注意されたい。図に示すように、電流I2は、電流I1と異なるが、上述のように、いくつかの実施形態では、処理が2つの異なるステップとして扱われる場合でも、電流I2が電流I1と等しくてもよい。
【0081】
1ステップ中に経過する時間は、ステップ部分ごとに測定されてよく、ステップ部分は、特定の時刻に完了した電気メッキステップの一部として定義される。ステップ中、ステップ部分は、その時刻にメッキ処理がどれだけ実行されたのかを表す。時刻tでのn番目のステップのステップ部分は、以下の式で決定されうる:
ステップ部分=(t-tn-1)/(tn-tn-1) (3)
【0082】
特定の開示された実施形態において、所与の時刻の電気メッキセルの電圧は、ステップ部分(例えば、どれだけのメッキ処理が所与のステップで実行されたか)に依存する。
図6Bにおいて、電圧曲線の一例が、時間tでの測定電圧読み取り値と共に図示されている。t
0で、最初のステップの電気メッキが始まる。電圧が時間と共に降下することに注意されたい。時刻t
xで最初のステップの終わりに向かって上昇しているのは、ビアがほぼ完全に充填された時に同じ定電流を維持するために電気メッキ処理ステップ中に生じる電圧上昇の一例である(すなわち、フィーチャがほぼ完全に充填された時に、抑制剤と促進剤を圧倒するその平滑化特性とによって電気メッキ速度が低下する場合)。時刻t
1で、最初の電気メッキステップが完了し、2番目の電気メッキステップが開始する。2以上のステップを有する電気メッキ処理では、監視が一時停止し、ユーザ指定の遅延期間(Δt
delay,2)後に再開してよい。したがって、いくつかの実施形態において、(n+1)番目のステップの電気メッキ処理は、t
nの少し後の時刻に始まりうる。
【0083】
図5に戻ると、動作504において、特定の開示された実施形態は、遅延期間Δt
delayだけ待機することを含む。電源がセルの電極に電流を流し始めた時、電源が対応する電圧を電気メッキセルに供給し、電圧が安定するまでに、いくらかの時間が掛かりうる。遅延期間は、電気メッキセルで電圧を読み取る前に電圧が安定することを許容するために実装されてよく、それにより、システムの信頼性が向上する。遅延期間だけ待機することは、測定された電圧が、システムが電圧の監視を開始する前にステップ中に実施される電流に対するものであることを保証する。
【0084】
いくつかの実施形態において、遅延期間Δtdelayは、ステップごとに異なる。例えば、Δtdelayは、マルチステップの電気メッキ処理の開始時および各ステップの開始時に指定されてよい。いくつかの実施形態において、遅延期間は、ステップ間で同一である。遅延期間は、約2秒から約500秒までの間であってよく、例えば、約300秒であってよい。n番目のステップにおける遅延期間は、電圧読み取りが始まる時間t0,nと、電気メッキが始まる時間tn-1との間の差によって示されてよく、n番目のステップの遅延期間は、以下のように決定される:
Δtdelay,n=t0,n-tn-1 (4)
【0085】
図6Aにおいて、最初のステップの遅延期間がt
0,1に示され、2番目のステップの遅延期間がt
0,2に示されている。1つのステップ中は電流が一定なので、遅延期間Δt
delay,nでの電流は、
図6Aに示すように、n番目のステップの期間中の電流と等しい。
【0086】
図6Bでは、最初のステップの遅延期間Δt
delay,1が、t0,1に示されている。t
0とt
0,1との間の不安定な電圧読み取り値は、電気メッキがt
0で始まっても、電圧読み取り値がt
0,1まで考慮されないことを示すために、誇張されていることに注意されたい。同様に、2番目のステップの遅延期間Δt
delayが、電気メッキが始まる時間t
1と、電圧読み取りが始まる時間t
0,2との間に示されている。
図6Bに図示された電圧曲線は、時刻t1(ステップ1の終わり、すなわち、ステップ2の始まり)で不連続性を示すが、実際の測定電圧曲線は連続的であることに注意されたい。
図6Bについては、2番目のステップの遅延期間Δt
delay,2は、最初のステップの遅延期間Δt
delay,1と同じであるが、様々な実施形態において、遅延期間Δt
delayは、ステップごとに様々であってよい。
【0087】
図5に戻ると、動作506において、最初の電圧読み取り値が、遅延期間Δt
delayの後に測定される。
図6Bに示すように、電圧V
0,1は、遅延期間Δt
delay,1が経過した後に最初のステップ中に測定された電圧読み取り値である(例えば、V
0,1は、時刻t
0,1での電圧読み取り値である)。同様に、2番目のステップにおいて、電圧V
0,2は、遅延期間Δt
delay,2の後に2番目のステップ中に測定された電圧読み取り値である(例えば、V
0,2は、時刻t
0,2での電圧読み取り値である)。
【0088】
動作508で、予測開始電圧Vexpが、V0,1に等しく設定される。これは、電圧読み取り値の変動が測定される基準となるベースラインを効果的に設定する。上述の理由から、同じ状態で動作する異なるセルが、異なる値の開始電圧を有してもよい。各セルの各ステップのための初期電圧を設定することは、異なるセルの異なる初期抵抗を考慮することなしに監視を進めることを可能にする。動作510において、ドリフトDが、時刻の関数Vexp(t)として予測電圧を確立するためにV0に適用される。ドリフトは、所与のステップにおける電気メッキプロセス中の予測電圧の総変化として定義されてよい。ドリフトの程度は、電気メッキセルでの以前の電気メッキ処理から得られた経験的データによって決定されてよい。ドリフトプロファイルは、(i)漸進的な電圧の低下、(ii)急速な電圧の上昇、および、(iii)電圧の安定した期間、を含む。n番目のステップのための時間の関数としての予測電圧は、以下によって決定されてよい:
Vexp,step n(t)=V0+(ステップ部分×D)=V0+((t-tn-1)/(tn-tn-1))×D (5)
【0089】
式5において、時刻tの電圧読み取り値は、V
exp,step n(t)である。V
0は、(例えば、遅延期間Δt
delay後の)監視開始時に測定された電圧読み取り値であり、t
n-1は、n番目のステップのための電気メッキが始まる時刻であり、t
nは、n番目のステップが終了し、n番目のステップのための電気メッキが終了する時刻であり、Dはドリフトである。ドリフトパラメータ(例えば、ドリフト量および遅延時間)は、良好な基板であることがわかっている基板のメッキ中に観察された電圧読み取り値を用いて決定されてよい。良好な基板は、仕様の範囲内の満足な電気メッキの結果(物理的特性および電気的特性など)を有する基板として特定されてよい。さらに、これらの基板は、FIB-SEM、ポストCMP欠陥レビュー、および、X線画像化の断面を用いて特定されてよい。様々な実施形態において、ドリフトパラメータは、
図6Bに示したものなど、メッキ処理またはサブ処理のための予測電圧の直線の断片を決定することによって近似される。障害バンドが、良好な基板のメッキ処理の電圧プロファイルを用いて近似されてもよい。以下に詳述するように、予測電圧の「ゴールデンウエハプロファイル」が、特定の時刻の電圧読み取り値を用いて、または、特定の時刻で予測電圧読み取り値の導関数をとることによって、生成されてよい。「ゴールデンウエハプロファイル」は、セルの具体的な内部抵抗にかかわらず、様々な電気メッキセルでプロファイルを利用できるように、正規化されたプロファイルから生成されたプロファイルである。
【0090】
マルチステップ処理において、指定されたドリフトが、関数Vexp(t)の部分を所望のプロファイルにまとめるために各ステップに適用されてよい。さらに、マルチステップ処理において、各ステップの開始は、予測電圧が(電圧読み取り値)+(予測電圧と前の処理ステップの終わりの電圧読み取り値との間の差)に等しく設定されるように、監視を再開してよい。
【0091】
例えば、
図6Bに示すように、2番目のステップの開始が、監視を再開してよい。これは、2番目のステップの予測電圧がメッキ電流の変化に適合することを可能にする。2番目のステップの予測電圧V
expは、以下の式で決定されうる:
V
exp=V
0,2+(V
exp(t
1)-V(t
1)) (6)
【0092】
式6において、V
exp(t1)は、ステップ1の終わりでの予測電圧(
図6Bには図示せず)を表し、V(t1)は、ステップ1の終わりでの測定電圧(
図6Bに、時刻t1での下側の曲線として図示)を表す。この式は、ステップ1の終わりでの電圧読み取り値を考慮して、ステップ2の間の予測電圧V
expを決定する。動作512において、障害バンドが、V
expおよび±逸脱に基づいて提供される。障害バンドは、許容電圧の範囲として定義されてよい。障害バンドの最大および最小許容電圧は、電圧の逸脱閾値を構成する。逸脱閾値は、パーセンテージ(±10%など)であってもよいし、絶対値(±0.01Vなど)であってもよい。
【0093】
特定の実施形態において、逸脱閾値は、任意の所与の時刻tでの予測電圧読み取り値の約±20%である。一部の例では、逸脱閾値は、予測電圧読み取り値の約±10%または予測電圧読み取り値の約±5%である。障害バンドは、ステップ内で変化してもよく、ステップごとに変化してもよい。例えば、ビアがほぼ完全に充填された時の(
図6Bに示したような時刻t
xなどの)電圧の予測上昇中の逸脱閾値は、±10%より大きくてよく、ステップの残りの間の逸脱閾値は、約10%であってよい。障害バンドの逸脱閾値は、以下の式で決定されうる:
逸脱閾値=V
exp(t)±(逸脱パーセント×V
exp(t)) (7a)
【0094】
例えば、障害バンドの±10%の逸脱閾値が、以下の式で決定されうる:
逸脱閾値=Vexp(t)±(0.10×Vexp(t)) (7b)
【0095】
動作514において、実際の測定電圧Vtが読み取られ、時刻tでの測定電圧Vtと予測電圧Vexpとの間の差が以下の式で決定される:
差=|Vt-Vexp(t)| (8)
【0096】
動作516で、動作514における差が、障害バンドの逸脱閾値よりも大きいか否かが判定される。差が障害バンドの逸脱閾値よりも大きい場合、電気メッキセルは、「エラー状態」に置かれる。結果として、電気メッキセルが「エラー状態」に置かれることは、その電気メッキ浴内でさらなる基板が処理されないことを示す。
【0097】
差が障害バンドの逸脱閾値よりも小さい場合、電気メッキセルは動作可能である。次いで、動作518で、電気メッキ処理が完了したか否かが判定される。完了した場合、処理は終了する。完了していない場合、システムは、動作514および516が繰り返される次の電圧読み取り値のための時間まで待機する。動作514、516、および、518は電気メッキ処理が完了するまで繰り返される。
【0098】
上述のように、様々な実施形態において、「ゴールデンウエハプロファイル」が、開示された処理で利用するために作成される。「ゴールデンウエハプロファイル」は、電気メッキ処理中の特定の時刻での電圧読み取り値を用いて確立されてもよいし、電気メッキ処理中の特定の時刻での電圧読み取り値の導関数を用いて確立されてもよい。これらの電圧読み取り値は、良好な基板を生じた以前のメッキ処理から記録されて格納される。
【0099】
例えば、「ゴールデンウエハプロファイル」を確立するために、システムは、メッキ処理の過程で任意の数の時点の任意の数の良好な基板の電圧読み取り値を記録および格納してよい。各基板のプロファイルは、最初に記録された電圧を後に記録されたすべての電圧から減算することによって正規化されてよく、「ゴールデンウエハプロファイル」は、これらの正規化されたプロファイルの平均値から作成される。このアプローチにおいて、メッキ処理またはサブ処理のドリフトは、線形である必要はない。処理またはサブ処理中の任意の数の時刻に、複数の良好な基板から取られた電圧の平均すなわち平均値が、その時刻の予測電圧として用いられる。後続の基板のメッキ中、電圧読み取り値は、同じ方法で観察および正規化されてよく、電気メッキセルは、正規化された電圧読み取り値が特定の制限よりも大きくゴールデンプロファイルから逸脱した場合に、「エラー状態」に置かれてよい。障害バンドが、ゴールデンウエハプロファイルを生成するために、取得されたデータから作成されてよい。例えば、電圧読み取り値は、分布の標準偏差、分散、および、その他の統計的尺度を有する。かかる尺度は、電気メッキ処理中の対応する時刻での各予測電圧に対する障害バンドを設定するために利用できる。
【0100】
別の例において、「ゴールデンウエハプロファイル」は、既知の良好な基板の電圧読み取り値の導関数を平均することによって作成されてもよい。後続の基板の電圧読み取り値の導関数が、ゴールデンプロファイルと比較されてよく、電気メッキセルは、導関数が指定の制限よりもゴールデンプロファイルから逸脱した場合に、「エラー状態」に置かれてよい。
【0101】
電流の代わりに電圧が処理制御パラメータであるいくつかの実施形態では、電流応答の読み取り値が、本明細書の他の箇所に記載したのと実質的に同じ方法で監視される。
【0102】
装置
上述のように、
図2は、開示された実施形態を実行するのに適した電気メッキ装置の一例を提供する。電気メッキ装置201は、様々な動作を実行するためのコントローラ247を備える。コントローラ247は、ウエハ回転、電気メッキ溶液の流量、温度および圧力、電流、ならびに、その他の条件を制御するために用いられるコントローラの一例である。いくつかの実施形態において、各電気メッキセルは、独自のコントローラを有する。
【0103】
コントローラ247は、通例、1または複数のメモリデバイスと、様々な処理制御装置(例えば、バルブ、ウエハ操作システムなど)と通信可能に接続され、装置が開示の実施形態に従った技術(例えば、
図5の電気メッキ動作で提供されたような技術)を実行するように命令を実行するよう構成された1または複数のプロセッサと、を備える。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入力/出力接続、ステッパモータコントローラボードなどを備えてよい。特定の実施形態において、コントローラは、電気メッキ装置および/またはプレウェッティングチャンバの動作すべてを制御する。本開示に従った処理動作を制御するための命令を含むマシン読み取り可能な媒体が、コントローラ247に接続されてよい。コントローラ247は、本明細書に記載した電気メッキ動作に関連する様々な処理パラメータの制御を円滑にするために、様々なハードウェアデバイス(例えば、マスフローコントローラ、バルブ、真空ポンプなど)と通信可能に接続されてよい。
【0104】
例えば、コントローラ247は、上述した任意の方法に従った、または、添付の特許請求の範囲における、電気メッキを実行して電気メッキ浴を監視するための命令を備えてよい。開示された実施形態に従った処理動作を制御するための命令を含む非一時的なマシン読み取り可能媒体が、システムコントローラ247に接続されてよい。通例は、コントローラ247に関連するユーザインターフェースがある。ユーザインターフェースは、表示スクリーン(装置および/または処理条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ)と、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクなどのユーザ入力デバイスと、を含みうる。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトが、プラグラム内に特定されたタスクを実行するために、プロセッサによって実行される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、電気メッキ装置およびステッパを備えるシステムで実施される。
【0105】
いくつかの実施形態において、コントローラ247は、装置201の動作すべてを制御してよい。コントローラ247は、マスストレージデバイスに格納され、メモリデバイスにロードされ、プロセッサ上で実行されるシステム制御ソフトウェアを実行してよい。プロセッサは、中央処理装置(CPU)またはコンピュータと、アナログおよび/またはデジタル入力/出力接続と、ステッパモータコントローラボードと、その他の同様の構成要素とを備えてよい。適切な制御動作を実施するための命令が、プロセッサで実行される。これらの命令は、コントローラ247に関連付けられたメモリデバイスに格納されてもよいし、ネットワークを介して提供されてもよい。特定の実施形態において、コントローラ247は、システム制御ソフトウェアを実行する。
【0106】
システム制御ソフトウェアは、電気メッキセルの電圧を測定するための命令、メッキ溶液の流量、ウエハ移動、ウエハ移送などを制御するための命令と、添加剤を含むメッキ溶液の混合、チャンバおよび/またはステーションの圧力、チャンバおよび/またはステーションの温度、ウエハ温度、目標電流レベル、基板支持体、チャック、および/または、サセプタの位置、メッキ溶液の温度、ならびに、装置201によって実行される特定の処理の他のパラメータを制御するための命令と、を備えてよい。システム制御ソフトウェアは、任意の適切な方法で構成されてよい。例えば、様々な処理ツールの処理を実行するために必要な処理ツール構成要素の動作を制御するために、様々な処理ツール構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトが書かれてよい。システム制御ソフトウェアは、例えば、アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortranなど、任意の適切なコンピュータ読み取り可能プログラミング言語でコードされてよい。
【0107】
いくつかの実施形態において、システム制御ソフトウェアは、上述の様々なパラメータを制御するための入力/出力制御(IOC)シーケンシング命令を備える。例えば、1または複数の電気メッキステップが、コントローラ247による実行のための1または複数の命令を備えてよい。例えば、電圧を読み取り、電圧読み取り値が逸脱閾値内にあるか否かを判定するための命令が、コントローラ247に実装されてよい。いくつかの実施形態において、レシピ段階は、連続的に配列されてよく、その結果、マルチステップ処理内のステップが、その処理段階のための特定の順序で実行される。例えば、コントローラ247は、2以上のステップで電気メッキを行うための命令を備えてよく、各命令が、電気メッキセルに定電流を送る。
【0108】
いくつかの実施形態において、他のコンピュータソフトウェアおよび/またはプログラムが用いられてもよい。このためのプログラムまたはプログラムセクションの例は、ウエハ配置プログラム、電気メッキ浴組成制御プログラム、圧力制御プログラム、および、ヒータ制御プログラムを含む。
【0109】
いくつかの実施例において、コントローラ247は、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。かかるシステムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、電気メッキ浴フローシステムなど)など、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラ247は、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、電気メッキ溶液の供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、添加剤濃度設定、流量設定、ウエハ回転設定、位置および動作設定、ツールおよび他の移動ツールおよび/または特定のシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされてもよい。
【0110】
概して、コントローラ247は、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、電気メッキ動作を可能にする、電圧測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラ247に伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するための動作パラメータ、もしくは、システムへの動作パラメータを定義する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、基板の1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0111】
コントローラ247は、いくつかの実施例において、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、もしくは、それらの組み合わせでシステムに結合されたコンピュータの一部であってもよいし、かかるコンピュータに接続されてもよい。例えば、コントローラ247は、「クラウド」内にあってもよいし、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできるファブホストコンピュータシステムの全部または一部であってもよい。コンピュータは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べうる。例えば、コンピュータは、開示された実施形態に従って、予測電圧曲線および障害バンドを生成してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してシステムに処理レシピを提供してよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備えてよく、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、コントローラ247は、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにコントローラ247がインターフェース接続するまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラ247は、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散コントローラ247の一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路である。
【0112】
限定はしないが、システムの例は、金属メッキチャンバまたはモジュール、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層蒸着(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含みうる。
【0113】
上述のように、ツールによって実行される1または複数の処理工程に応じて、コントローラ247は、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信してもよい。
【0114】
いくつかの実施形態において、コントローラ247に関連したユーザインターフェースがあってよい。ユーザインターフェースは、表示スクリーン(装置および/または処理条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ)と、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクなどのユーザ入力デバイスと、を含みうる。
【0115】
処理を監視するための信号が、様々な処理ツールセンサから、コントローラ247のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてよい。処理を制御するための信号が、処理ツールのアナログおよびデジタル出力接続で出力されてよい。監視されうる処理ツールセンサの非限定的な例は、マスフローコントローラ、圧力センサ(圧力計など)、熱電対などを含む。適切にプログラムされたフィードバックアルゴリズムおよび制御アルゴリズムが、処理条件を維持するためにこれらのセンサからのデータと共に用いられてよい。
【0116】
実験
実験1
様々な電気メッキ処理の測定電圧および予測電圧を示したグラフの例を、
図7A~
図7Cおよび
図8A~
図8Dに提供する。
図7A~
図7Cは、良好な電気メッキ浴内での電気メッキ処理に由来する電圧読み取り値であり、その結果、電気メッキセルはエラー状態に置かれない。
図7A~
図7Cの各々は、電流設定点がすべての3つのステップで同じである3ステップ電気メッキ処理を示している。
図7A~
図7Cにおいて、予測電圧は、黒い実線で示すように、式5に従って決定されている。障害バンドは、網掛けのバンドで示すように、黒い実線の上下に逸脱閾値まで広がっている。2番目のステップ(約2200秒から約3000秒までの間)の予測電圧の上昇中、障害バンドが、最初のステップおよび3番目のステップ中の障害バンドよりも広いことに注意されたい。上述のように、ビアがほぼ充填され、添加剤の平滑化特性が実施され、より高い電圧が電気メッキセルに同じ定電流を生成するために用いられるステップの時間中に予測される逸脱を許容するために、異なるサイズの障害バンドが用いられてよい。ボトムアップ充填中の負のドリフトから正のドリフトへの移行のタイミングにいくらかの不確実性があり、正のドリフトの傾きに関するいくらかの不確実性がある。結果として、電圧の予測上昇中の障害バンドは、ステップの残りの間の障害バンドよりも大きくてよい。
図7A-~
図7Cのすべてで、電気メッキ浴は良好な浴を構成し、開示された実施形態を実行すると、これら3つの処理は、(例えば、エラー状態に置かれていない)動作可能な電気メッキ浴であると正確に分類された。
【0117】
図8A~
図8Dは、悪い電気メッキ浴内での電気メッキ処理からの電圧読み取り値であり、その結果、
図5の動作514で決定された差は、動作516で決定された逸脱閾値よりも大きく、それにより、電気メッキ浴は「障害」状態に置かれる。
【0118】
結び
理解を深めるために、本実施形態について、ある程度詳しく説明したが、添付の特許請求の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。本発明の処理、システム、および、装置を実施する多くの他の方法が存在することに注意されたい。したがって、本実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、実施形態は、本明細書に示した詳細に限定されない。本発明は以下の適用例としても実現できる。
[適用例1]
電気メッキ浴の状態を監視することによって電気メッキセルを制御する方法であって、
(a)第1の電極としての基板と第2の電極との間の初期電圧を読み取る工程と、
(b)前記電気メッキセル内での前記基板に対する電気メッキ中に、前記基板と前記第2の電極との間の電圧を繰り返し読み取る工程と、
(c)前記電圧の前記繰り返された読み取り値の各々を、前記電気メッキ中に前記初期電圧からドリフトする対応する予測電圧と比較する工程であって、
前記ドリフトは、満足な電気メッキ結果を生み出す基板電気メッキ動作から決定される、工程と、
(d)前記電圧の前記繰り返された読み取り値の内の1以上が、逸脱閾値よりも大きい値だけ前記対応する予測電圧から逸脱していると判定する工程と、
(e)前記電圧の前記繰り返された読み取り値の内の前記1以上が、前記逸脱閾値よりも大きい値だけ前記対応する予測電圧から逸脱していると判定したことに応じて、通知を送信する、および/または、前記電気メッキセルの動作を一時停止する工程と、
を備える、方法。
[適用例2]
適用例1に記載の方法であって、工程(e)は、さらに、前記電気メッキセルをエラー状態に置く工程を含む、方法。
[適用例3]
適用例2に記載の方法であって、前記電圧の前記繰り返された読み取り値の内の前記1以上は、前記電気メッキセルが工程(e)でエラー状態に置かれるか否かを判定するために用いられる唯一の電圧読み取り値である、方法。
[適用例4]
適用例2に記載の方法であって、工程(e)において、前記電気メッキセルをエラー状態に置くことは、前記電圧の前記1以上の繰り返された読み取り値が、前記逸脱閾値より大きい値だけ前記対応する予測電圧から逸脱すると判定したことに応じてのみ決定される、方法。
[適用例5]
適用例2に記載の方法であって、前記繰り返された読み取り値の大きさは、前記電気メッキセルが工程(e)でエラー状態に置かれるか否かを判定するために用いられない、方法。
[適用例6]
適用例2に記載の方法であって、電流は、前記電気メッキセルが工程(e)でエラー状態に置かれるか否かを判定するために用いられない、方法。
[適用例7]
適用例1に記載の方法であって、さらに、定電流を印加し始めた後、前記基板と前記第2の電極との間の前記電圧を繰り返し読み取る前に、遅延期間だけ待機する工程を備える、方法。
[適用例8]
適用例1に記載の方法であって、さらに、
前記電気メッキ中に変化するドリフトパラメータに前記初期電圧を加えることにより、前記対応する予測電圧を決定する工程を備え、
前記基板と前記第2の電極との間の前記初期電圧は、前記基板と前記第2の電極との間の前記電圧を繰り返し読み取る前に読み取られ、
前記ドリフトパラメータは、前記基板と前記第2の電極との間の電圧の前記繰り返された読み取り値の大きさの合計から独立しており、
前記ドリフトパラメータは、満足な電気メッキ結果を生み出す基板電気メッキ動作から決定された前記ドリフトに対応する、方法。
[適用例9]
適用例1に記載の方法であって、前記ドリフトは、時間の線形関数である、方法。
[適用例10]
適用例1に記載の方法であって、前記ドリフトは、時間の対数関数である、方法。
[適用例11]
適用例1に記載の方法であって、前記ドリフトは、前記電気メッキ中に3つの部分のドリフトプロファイルを備え、前記プロファイルは、(i)漸進的な電圧の低下、(ii)急速な電圧の上昇、および、(iii)電圧の安定した期間、を含む、方法。
[適用例12]
適用例11に記載の方法であって、前記基板は、凹部フィーチャを備え、(ii)における前記急速な上昇は、前記フィーチャが完全に充填される少し前に起きる、方法。
[適用例13]
適用例11に記載の方法であって、前記逸脱閾値は、前記ドリフトプロファイルに依存し、1または複数の逸脱閾値を含み、(ii)に対応する逸脱閾値は、(i)に対応する逸脱閾値より大きい、方法。
[適用例14]
適用例1に記載の方法であって、前記電気メッキは、1または複数の電気メッキステップを含み、前記1または複数のステップの各々中に定電流が印加される、方法。
[適用例15]
適用例14に記載の方法であって、ステップの電流は、直前のステップの電流と同じである、方法。
[適用例16]
適用例14に記載の方法であって、ステップの電流は、直前のステップの電流と異なる、方法。
[適用例17]
適用例1に記載の方法であって、前記予測電圧のドリフトは、前記満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板について得られた電圧読み取り値からモデル化された直線断片を含む、方法。
[適用例18]
適用例1に記載の方法であって、前記予測電圧は、前記満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板の正規化および平均された電圧読み取り値を含む、方法。
[適用例19]
適用例1に記載の方法であって、前記電圧の前記繰り返された読み取り値の各々を、前記電気メッキ中に前記初期電圧からドリフトする対応する予測電圧と比較する工程は、前記繰り返された読み取り値の1または複数の導関数を取る工程と、前記導関数を、前記満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板に対応する電圧読み取り値の1または複数の平均された導関数と比較する工程と、を含む、方法。
[適用例20]
適用例1ないし19のいずれかに記載の方法であって、前記第2の電極はアノードである、方法。
[適用例21]
適用例1ないし19のいずれかに記載の方法であって、前記第2の電極は、前記基板に近接した参照電極である、方法。
[適用例22]
適用例1ないし19のいずれかに記載の方法であって、前記電気メッキセルは、前記基板と前記第2の電極との間の電圧の前記繰り返される読み取りを行うよう構成された電源に接続される、方法。
[適用例23]
適用例1ないし19のいずれかに記載の方法であって、前記基板は、凹部フィーチャを備え、前記基板に対する前記電気メッキは、前記凹部フィーチャを選択的に充填するように前記基板上に金属層を堆積させることを含む、方法。
[適用例24]
適用例23に記載の方法であって、前記凹部フィーチャは、前記基板上のシリコン貫通ビア構造内のビアである、方法。
[適用例25]
適用例23に記載の方法であって、前記電気メッキ浴は、前記凹部フィーチャを選択的に充填するための添加剤を含む、方法。
[適用例26]
適用例23に記載の方法であって、前記電圧の前記繰り返された読み取り値の内の1以上の読み取り値すべてが、前記基板と前記第2の電極との間に定電流を印加している間に読み取られる、方法。
[適用例27]
1または複数の凹部フィーチャを備えた基板の電気メッキ中にメッキ溶液の状態を監視するための装置であって、
(a)前記メッキ溶液を保持するよう構成されたメッキ容器であって、前記装置は、前記メッキ溶液から前記基板上に金属を電着させるよう構成されている、メッキ容器と、
(b)電源と、
(c)電極と、
(d)プログラム命令および/またはロジックを備えたコントローラと、
を備え、
前記プログラム命令および/またはロジックは、
(i)前記基板と前記電極との間の初期電圧を検出し、
(ii)前記メッキ溶液内で前記基板上に金属層を電気メッキし、
(iii)(ii)の間に、前記基板と前記電極との間の電圧を繰り返し読み取り、
(iv)(iii)における電圧読み取り値が、逸脱閾値より大きい値だけ、対応する予測電圧よりも大きいか否かを判定し、
(v)(iv)における前記逸脱が前記逸脱閾値よりも大きいとの判定に応じて、通知を送信する、および/または、前記メッキ容器の動作を一時停止するためのプログラム命令および/またはロジックであり、
前記逸脱閾値は、予測電圧に基づき、
前記対応する予測電圧は、前記初期電圧からドリフトし、
前記ドリフトは、満足な電気メッキ結果を生み出す電気メッキ処理での電圧読み取り値から決定されたものである、装置。
[適用例28]
適用例27に記載の装置であって、前記通知を送信する、および/または、前記メッキ容器の動作を一時停止することは、前記メッキ容器をエラー状態に置くことを含む、装置。
[適用例29]
適用例27に記載の装置であって、前記予測電圧のドリフトは、前記満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板について得られた電圧読み取り値からモデル化された直線断片を含む、装置。
[適用例30]
適用例27に記載の装置であって、前記予測電圧は、前記満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板の正規化および平均された電圧読み取り値を含む、装置。
[適用例31]
適用例27に記載の装置であって、(iii)における電圧読み取り値が、前記逸脱閾値より大きい値だけ、前記対応する予測電圧よりも大きいか否かを判定することは、前記繰り返された電圧読み取り値の1または複数の導関数を取り、前記導関数を、前記満足な電気メッキ結果を有すると判定された1または複数の基板に対応する電圧読み取り値の1または複数の平均された導関数と比較することを含む、装置。