IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京応化工業株式会社の特許一覧

特許7079581感光性組成物、硬化物形成方法、硬化物、画像表示装置用パネル、及び画像表示装置
<>
  • 特許-感光性組成物、硬化物形成方法、硬化物、画像表示装置用パネル、及び画像表示装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】感光性組成物、硬化物形成方法、硬化物、画像表示装置用パネル、及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/031 20060101AFI20220526BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220526BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220526BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220526BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220526BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
G03F7/031
G03F7/004 505
G02B5/20 101
G03F7/20 521
G02F1/1335 500
G02F1/1339 500
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017168073
(22)【出願日】2017-08-31
(65)【公開番号】P2019045659
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】田所 恵典
(72)【発明者】
【氏名】塩田 大
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-134763(JP,A)
【文献】特表2015-523318(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143878(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/046178(WO,A1)
【文献】特開2017-126065(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009001(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G02B 5/20
C09B 23/00
G03F 7/20
G02F 1/1335
G02F 1/1339
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光重合開始剤(A)と、着色剤(C)とを含む感光性組成物であって、
吸光スペクトルにおいて、320nm以上400nm未満の波長域においてピークを有するオキシムエステル化合物を2種以上含み、
前記光重合開始剤(A)が、400nm以上の波長域のいずれかの波長において10以上のグラム吸光係数を示す化合物を含まず、
2種以上の前記オキシムエステル化合物についての前記ピークの極大波長が、それぞれ異なり、
2種以上の前記オキシムエステル化合物についての前記ピークの極大波長のうち、最も長波長側の極大波長をλmax-rとし、最も短波長側の極大波長をλmax-bとする場合に、前記λmax-rと前記λmax-bとの差が20nm以上であり、
2種以上の前記オキシムエステル化合物の組み合わせが、下記式(a2)で表されるオキシムエステル化合物(A2)と、下記PI-2との組み合わせであり、
前記着色剤(C)がラクタム顔料を含有する、感光性組成物(ただし、IRGACURE OXE01(BASF製)及びIRGACURE OXE03(BASF製)を含有する緑色カラーフィルタ用組成物を除く。)。
【化1】
(上記式(a2)中、CRは、下記式(a2a):
【化2】
で表される基であり、R a1 は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、R a2 及びR a3 は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい鎖状アルコキシ基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、R a2 とR a3 とは相互に結合して環を形成してもよく、R a4 は、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、シクロアルキルアルキル基、又は芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基であり、R a5 は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n1は0以上4以下の整数であり、n2は0又は1である。)
【化3】
【請求項2】
光重合開始剤(A)と、着色剤(C)とを含む感光性組成物であって、
吸光スペクトルにおいて、320nm以上400nm未満の波長域においてピークを有するオキシムエステル化合物を2種以上含み、
前記光重合開始剤(A)が、400nm以上の波長域のいずれかの波長において10以上のグラム吸光係数を示す化合物を含まず、
2種以上の前記オキシムエステル化合物についての前記ピークの極大波長が、それぞれ異なり、
2種以上の前記オキシムエステル化合物についての前記ピークの極大波長のうち、最も長波長側の極大波長をλmax-rとし、最も短波長側の極大波長をλmax-bとする場合に、前記λmax-rと前記λmax-bとの差が20nm以上30nm以下であり、
2種以上の前記オキシムエステル化合物の組み合わせが、下記式(a2)で表されるオキシムエステル化合物(A2)と、下記PI-2との組み合わせであり、
前記着色剤(C)がラクタム顔料を含有する、感光性組成物。
【化4】
(上記式(a2)中、CRは、下記式(a2a):
【化5】
で表される基であり、R a1 は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、R a2 及びR a3 は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい鎖状アルコキシ基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、R a2 とR a3 とは相互に結合して環を形成してもよく、R a4 は、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、シクロアルキルアルキル基、又は芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基であり、R a5 は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n1は0以上4以下の整数であり、n2は0又は1である。)
【化6】
【請求項3】
光重合開始剤(A)と、着色剤(C)とを含む感光性組成物であって、
前記着色剤(C)がラクタム顔料を含有し、
吸光スペクトルにおいて、320nm以上400nm未満の波長域においてピークを有するオキシムエステル化合物を2種以上含み、
前記光重合開始剤(A)が、400nm以上の波長域のいずれかの波長において10以上のグラム吸光係数を示す化合物を含まず、
2種以上の前記オキシムエステル化合物についての前記ピークの極大波長が、それぞれ異なり、
前記光重合開始剤(A)が、下記PI-2
【化7】
あるオキシムエステル化合物(A1)と、下記式(a2):
【化8】
(式(a2)中、CRは、下記式(a2a):
【化9】

で表される基であり、Ra1は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、Ra2及びRa3は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい鎖状アルコキシ基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、Ra2とRa3とは相互に結合して環を形成してもよく、Ra4アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、シクロアルキルアルキル基、又は芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基であり、Ra5は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n1は0以上4以下の整数であり、n2は0又は1である。)
で表されるオキシムエステル化合物(A2)と、を含む、感光性組成物。
【請求項4】
重合性基材成分(B)を含み、重合性基材成分(B)が、光重合性化合物(B1)、又は光重合性化合物(B1)と、樹脂(B2)とを含む請求項1~のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いて塗膜を形成することと、
前記塗膜に対して、露光することと、
を含む硬化物形成方法。
【請求項6】
前記塗膜に対して、位置選択的に露光が行われ、
露光された塗膜を現像することを含む請求項に記載の硬化物形成方法。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の感光性組成物の硬化物。
【請求項8】
請求項に記載の硬化物からなる、ブラックマトリックス又はブラックカラムスペーサー。
【請求項9】
請求項に記載のブラックマトリックス又はブラックカラムスペーサーを備える、画像表示装置用パネル。
【請求項10】
請求項に記載の画像表示装置用パネルを備える画像表示装置。
【請求項11】
請求項1~のいずれか1項に記載の感光性組成物からなる感光性接着剤。
【請求項12】
被接着面を接着する方法であって、
対向する被接着面の一方、又は双方に、請求項11に記載の感光性接着剤からなる接着剤層を形成することと、
前記接着剤層を露光により硬化させることと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物、当該感光性組成物を用いる硬化物形成方法、当該感光性組成物を用いて形成される硬化物、当該硬化物からなるブラックマトリックス又はブラックカラムスペーサーを備える画像表示装置用パネル、及び当該画像表示装置用パネルを備える画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のような表示装置用のパネルでは、絶縁膜や、スペーサーのような材料が、バックライトのような光源から発せられる光を効率よく透過させる必要がある。このため、絶縁膜やスペーサーのパターンを形成するために、露光により透明な硬化膜を与える感光性組成物が用いられる。このような、感光性組成物を選択的に露光することにより、透明な硬化膜のパターンを形成できる。
【0003】
また、表示装置用のパネルにおいて、ブラックマトリックスやブラックカラムスペーサー等のパターン化された遮光性の膜が形成されることも多い。このような用途において遮光性の膜を形成するために用いられる、遮光剤と、光重合開始剤とを含む感光性組成物も種々提案されている。
【0004】
また、このような用途では、可視光の遮光性、及び近赤外光の透過性に優れることから、ラクタム系顔料が感光性組成物に配合されることがある。
ラクタム系顔料の上記の利点により、ラクタム系顔料を含む感光性組成物は、ブラックマトリックスやブラックカラムスペーサー等のパターン化された遮光性の膜の形成のみならず、固体撮像素子等における近赤外線検出用の画素の形成等にも好ましく使用される。
【0005】
例えば、ラクタム系顔料を含む感光性組成物としては、ラクタム系顔料を含有する(A)顔料と、塩基性基、アルカリ可溶性基、及びエチレン性不飽和基を有する(B)樹脂と、(C)光重合開始剤と、(D)スルホン酸基を有する有機顔料、又はスルホン酸基を有する有機染料とを含む感光性組成物が提案されている(特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-109763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ラクタム系顔料と、エチレン性不飽和基を有する化合物と、光重合開始剤とを含む感光性組成物をフォトリソグラフィーによりパターニングする場合、低露光量での基板に良好に密着したパターンの形成と、形成されたパターンの好ましい断面形状との両立が困難である問題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、ラクタム系顔料を含んでいるにもかかわらず、低露光量での基板に良好に密着したパターンの形成と、形成されたパターンの好ましい断面形状とを両立できる感光性組成物と、当該感光性組成物を用いる硬化物形成方法と、当該感光性組成物の硬化物と、当該硬化物からなるブラックマトリックス又はブラックカラムスペーサーを備える画像表示装置用パネルと、当該画像表示装置用パネルを備える画像表示装置と、前述の感光性組成物からなる感光性接着剤と、前述の感光性組成物を用いる被接着物の接着方法と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、光重合開始剤(A)と、ラクタム系顔料を含有する着色剤(C)とを含む感光性組成物において、光重合開始剤(A)として吸光スペクトルにおいて、320nm以上400nm未満の波長域においてピークを有し、且つ当該ピークの極大波長がそれぞれ異なるオキシムエステル化合物を2種以上組み合わせて用い、光重合開始剤(A)に、400nm以上の波長域のいずれかの波長において10以上のグラム吸光係数を示す化合物を含有させないことにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の第1の態様は、光重合開始剤(A)と、着色剤(C)とを含む感光性組成物であって、
光重合開始剤(A)が、吸光スペクトルにおいて、320nm以上400nm未満の波長域においてピークを有するオキシムエステル化合物を2種以上含み、
光重合開始剤(A)が、400nm以上の波長域のいずれかの波長において10以上のグラム吸光係数を示す化合物を含まず、
2種以上のオキシムエステル化合物についてのピークの極大波長が、それぞれ異なり、
前記着色剤(C)がラクタム顔料を含有する、感光性組成物である。
【0011】
本発明の第2の態様は、
第1の態様にかかる感光性組成物を用いて塗膜を形成することと、
塗膜に対して、露光することと、
を含む硬化物形成方法である。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1の態様にかかる感光性組成物の硬化物である。
【0013】
本発明の第4の態様は、第3の態様にかかる硬化物からなる、ブラックマトリックス又はブラックカラムスペーサーである。
【0014】
本発明の第5の態様は、第4の態様にかかるブラックマトリックス又はブラックカラムスペーサーを備える、画像表示装置用パネルである。
【0015】
本発明の第6の態様は、第5の態様にかかる画像表示装置用パネルを備える画像表示装置である。
【0016】
本発明の第7の態様は、第1の態様にかかる感光性組成物からなる感光性接着剤である。
【0017】
本発明の第8の態様は、
被接着面を接着する方法であって、
対向する被接着面の一方、又は双方に、第7の態様にかかる感光性接着剤からなる接着剤層を形成することと、
接着剤層を露光により硬化させることと、を含む方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ラクタム系顔料を含んでいるにもかかわらず、低露光量での基板に良好に密着したパターンの形成と、形成されたパターンの好ましい断面形状とを両立できる感光性組成物と、当該感光性組成物を用いる硬化物形成方法と、当該感光性組成物の硬化物と、当該硬化物からなるブラックマトリックス又はブラックカラムスペーサーを備える画像表示装置用パネルと、当該画像表示装置用パネルを備える画像表示装置と、前述の感光性組成物からなる感光性接着剤と、前述の感光性組成物を用いる被接着物の接着方法と、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】感光性組成物を用いて形成されたパターンの幅方向の断面形状を示す模式図であり、(a)は通常のパターンの断面形状を示す図であり、(b)はアンダーカット21を生じたパターンの断面形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
≪感光性組成物≫
本発明に係る感光性組成物は、光重合開始剤(A)と、ラクタム系顔料を含む着色剤(C)とを含む。
光重合開始剤(A)は、吸光スペクトルにおいて、320nm以上400nm未満の波長域においてピークを有するオキシムエステル化合物を2種以上含む。
ただし、2種以上のオキシムエステル化合物について、ピークの極大波長がそれぞれ異なる。
このため、上記の感光性組成物に対して露光を行う場合、露光光を十分に利用しやすく、感光性組成物が感度に優れる。その結果、感光性組成物がラクタム系顔料を含んでいても、低露光量での基板に良好に密着したパターンの形成と、形成されたパターンの好ましい断面形状とを両立しやすいと考えられる。
【0021】
2種以上のオキシムエステル化合物についての上記のピークの極大波長のうち、最も長波長側の極大波長をλmax-rとし、最も短波長側の極大波長をλmax-bとする場合に、λmax-rとλmax-bとの差が20nm以上であるのが好ましい。上限は例えば70nm以下であり、50nm以下が好ましい。
また、λmax-rは350nm以上400nm以下の範囲にあることが好ましく、λmax-bは320nm以上360nm以下の範囲にあることが好ましい。
この場合、感光性組成物の露光に用いられる露光光の波長域が広い場合でも、露光光のエネルギーを効率よく硬化に利用しやすく、光源の種類によらず、良好な感度を実現しやすい。
【0022】
また、光重合開始剤(A)は、400nm以上の波長域のいずれかの波長において10以上のグラム吸光係数を示す化合物を含まない。光重合開始剤は、400nm以上の波長域のいずれかの波長において5以上のグラム吸光係数を示す化合物を含まないのが好ましく、1以上のグラム吸光係数を示す化合物を含まないのがより好ましい。
光重合開始剤(A)が、400nm以上の波長域のいずれかの波長において10以上のグラム吸光係数を示す化合物を含む場合、感光性組成物の透光性が低い傾向がある。
このため、感光性組成物としての感度が低下したり、ハーフトーン露光によって所望する高さを有するパターンを形成しにくかったりする場合がある。
しかし、上記の感光性組成物は、光重合開始剤(A)として、400nm以上の波長域のいずれかの波長において10以上のグラム吸光係数を示す化合物を含まないため透光性に優れる。その結果、露光光を十分に利用しやすく、ハーフトーン露光によって所望する高さを有するパターンを形成しやすい。
【0023】
また、感光性組成物を感光性接着剤として使用する場合、感光性接着剤が厚めに塗布される場合が多い。しかし、光重合開始剤(A)を含む感光性組成物からなる感光性接着剤は、上記の通り、透光性に優れるため、厚めに塗布されても感光性接着剤が良好に硬化する。
【0024】
また、上記の感光性組成物を用いて、ハーフトーン露光によってパターンを形成する場合、形成されるパターンにおいて、フルトーン露光部とハーフトーン露光部とに十分に高さの差をつけやすい。
表示用パネル上に、ブラックカラムスペーサーを形成する場合、ブラックカラムスペーサーが形成される面にTFT等が配置されている場合がある。この場合、TFT等の高さを考慮して、フルトーン部とハーフトーン部とを有するマスクを用いてハーフトーン露光を行い、高さの異なるブラックカラムスペーサーを一度の露光で形成するのが好ましい。
このため、上記の感光性組成物は、ハーフトーン露光による高さの異なるブラックカラムスペーサーの形成当に、好適に用いられる。
【0025】
上記の通り、光重合開始剤(A)は、2種以上の光重合開始剤を組み合わせて含む。ただし、前述の通り、光重合開始剤(A)は、2種以上のオキシムエステル化合物を必須に含む。光重合開始剤(A)に含まれる各光重合開始剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
光重合開始剤(A)の質量に対する各光重合開始剤の含有量の比率は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。
また、光重合開始剤(A)の質量に対する各光重合開始剤の含有量の比率は、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましく、80質量%以下が特に好ましい。
また、光重合開始剤(A)の質量に対する、λmax-rを有するオキシムエステル化合物の含有量の比率は、1質量%以上99質量%以下が好ましく、5質量%以上95質量%以下がより好ましく、10質量%以上90質量%以下がさらに好ましく、15質量%以上80質量%以下が特に好ましい。
光重合開始剤(A)の質量に対する、λmax-bを有するオキシムエステル化合物の含有量の比率は、1質量%以上99質量%以下が好ましく、5質量%以上95質量%以下がより好ましく、10質量%以上90質量%以下がさらに好ましく、20質量%以上85質量%以下が特に好ましい。
光重合開始剤(A)の質量に対する、λmax-r及びλmax-bに該当しない極大波長を320nm以上400nm未満の範囲に有する他のオキシムエステル開始剤の含有量の比率は、0質量%以上98質量%以下が好ましく、0質量%以上90質量%以下がより好ましく、0質量%以上80質量%以下がさらに好ましく、0質量%以上65質量%以下が特に好ましい。
光重合開始剤(A)が、第1のオキシムエステル化合物と、第2のオキシムエステル化合物とからなる場合、第1のオキシムエステル化合物の質量M1と、第2のオキシムエステル化合物の質量M2との比率M1/M2は、1/9以上9/1以下が好ましく、2/8以上8/2以下がより好ましく、3/7以上7/3以下が特に好ましい。
【0026】
以下、感光性組成物に含まれる各成分について説明する。
【0027】
<光重合開始剤(A)>
前述の通り、光重合開始剤(A)は、吸光スペクトルにおいて、320nm以上400nm未満の波長域においてピークを有するオキシムエステル化合物を2種以上含む。
また、光重合開始剤(A)は、400nm以上の波長域のいずれかの波長において10以上のグラム吸光係数を示す化合物を含まない。
【0028】
光重合開始剤(A)は、オキシムエステル化合物以外のその他の光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤(A)におけるオキシムエステル化合物の量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がさらにより好ましく、95質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
光重合開始剤(A)が、オキシムエステル化合物以外のその他の光重合開始剤を含む場合、光重合開始剤(A)は、その他光重合開始剤を2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0029】
オキシムエステル化合物以外のその他の光重合開始剤は、周知の光重合開始剤であって、400nm以上の波長域のいずれかの波長において10以上のグラム吸光係数を示す化合物を用いることができる。
【0030】
オキシムエステル化合物以外の周知の光重合開始剤の具体例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2-メルカプトベンゾイミダール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン等が挙げられる。
その他の光重合開始剤は、400nm以上の波長域でのグラム吸光係数を測定したうえで、これらの化合物群から選択することができる。
【0031】
光重合開始剤(A)における複数のオキシムエステル化合物の組み合わせは、光重合開始剤(A)についての前述の条件を満たす限り特に限定されない。
好ましいオキシムエステル化合物の組み合わせとしては、後述する式(a1)で表されるオキシムエステル化合物(A1)と、後述する式(a2)で表されるオキシムエステル化合物(A2)との組み合わせが挙げられる。
光重合開始剤(A)は、1種又は2種以上のオキシムエステル化合物(A1)と、1種又は2種以上のオキシムエステル化合物(A2)とを含んでいてもよい。
以下、オキシムエステル化合物(A1)と、オキシムエステル化合物(A2)とについて説明する。
【0032】
〔オキシムエステル化合物(A1)〕
オキシムエステル化合物(A1)は、下記式(a1):
【化1】
(式(a1)中、Rは、1価の有機基であり、Rは、置換基を有してもよい炭化水素基、又は置換基を有してもよいヘテロシクリル基であり、Rは、1価の有機基であり、Rは、1価の有機基であり、R、及びRはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいベンゼン環、又は置換基を有してもよいナフタレン環であり、m1、m2、及びm3はそれぞれ0又は1である。)
で表され、下記(1)~(3):
(1)Rが-ORで表される基を含み、Rがハロゲノアルキル基である。
(2)m2が1であり、Rが-ORで表される基を含み、Rがハロゲノアルキル基である。
(3)Rが置換基を有してもよい分岐鎖状アルキル基である。
のうちの少なくとも1つの条件を満たす化合物である。
【0033】
式(a1)中、R、及びRは置換基を有してもよいベンゼン環、又は置換基を有してもよいナフタレン環である。
式(a1)中に示されるRに結合する窒素原子を含む環と、ベンゼン環、又はナフタレン環とは、ベンゼン環、又はナフタレン環中の任意の炭素-炭素結合を共有することにより縮合する。
このため、式(a1)中の、Rに結合する窒素原子を含む環は、窒素原子と、Rに由来する2つの炭素原子と、Rに由来する2つの炭素原子とを環構成原子とする5員環である。
つまり、式(a1)で表される化合物は、R、及びRと、上記の5員環とからなる、3環式から5環式の縮合環を中心骨格として有する。
【0034】
、及び/又はRがナフタレン環である場合、Rに結合する窒素原子を含む上記の5員環と、ナフタレン環との縮合の形態他は特に限定されない。
、及びRの少なくとも一方がナフタレン環である場合、R、及びRと、Rに結合する窒素原子を含む上記の5員環とからなる縮合環は、以下のいずれであってもよい。
【化2】
【0035】
、及びRとしてのベンゼン環、又はナフタレン環が置換基を有する場合、当該置換基の種類及び数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
置換基の好適な例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン原子、及びシアノ基等が挙げられる。
、及びRとしてのベンゼン環、又はナフタレン環が置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されず、1以上4以下が好ましい。置換基が複数である場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
が置換基を有する場合、Rが有する置換基と、R、又はRとが結合して環を形成してもよい。
また、Rが置換基を有する場合、Rが有する置換基と、Rとが結合して環を形成してもよい。
【0037】
が有する置換基と、Rとが結合して形成される環は、炭化水素環であってもよく、複素環であってもよい。当該複素環に含まれるヘテロ原子は、特に限定されない。好ましいヘテロ原子としては、N、O、S等が挙げられる。
、及び/又はRが有する置換基と、Rとが結合して形成される環は、Rと結合する窒素原子以外に、その他のヘテロ原子を含んでいてもよい。当該複素環に含まれるヘテロ原子は、特に限定されない。好ましいヘテロ原子としては、N、O、S等が挙げられる。
【0038】
が有する置換基、又はRが有する置換基と、Rとが結合して環を形成する場合、式(a1)で表される化合物としては、下記式(a1-1-a)~(a1-1-h):
【化3】
(式(a1-1-a)~(a1-1-h)において、R、R、R、m1、m2、及びm3は式(a1)と同様であり、Rは、アルキル基である。)
で表される化合物が好ましい。
【0039】
としてのアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。Rとしてのアルキル基の炭素原子数は特に限定されず、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましい。
【0040】
が有する置換基と、Rとが結合して環を形成する場合、式(a1)において、m1が0であるのが好ましい。この場合、式(a1)で表される化合物は、下記式(a1-1-i)~(a1-1-l):
【化4】
(式(a1-1-i)~(a1-1-l)において、R、R、R、m2、及びm3は式(a1)と同様であり、Rは、炭素原子数1以上20以下のアルキル基である。)
で表される化合物が好ましい。Rとしてのアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
【0041】
以上説明したR及びRの好ましい組み合わせを考慮したうえで、式(a1)で表される化合物としては、下記式(a1-I)~(a1-IV):
【化5】
(式(a1-I)~(a1-IV)において、R、R、R、R、m1、m2、及びm3は式(a1)と同様である。)
で表される化合物が好ましく、式(a1-II)、又は式(a1-III)で表される化合物がより好ましく、式(a1-III)で表される化合物が特に好ましい。
【0042】
上記式(a1-I)~(a1-IV)で表される化合物としては、下記式(a1-I-a)~(a1-IV-a)で表される化合物が好ましく、式(a1-II-a)、又は式(a1-III-a)で表される化合物がより好ましく、式(a1-III-a)で表される化合物が特に好ましい。
【化6】
【0043】
上記式(a1-I-a)~(a1-IV-a)で表される化合物としては、下記式(a1-I-b)~(a1-IV-b)で表される化合物が好ましく、式(a1-II-b)、又は式(a1-III-b)で表される化合物がより好ましく、式(a1-III-b)で表される化合物が特に好ましい。
【化7】
【0044】
として好適な1価の有機基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基等が挙げられる。
【0045】
がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rがアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rがアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rがアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0046】
がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rがアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rがアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rがアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0047】
がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。Rがシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rがシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0048】
が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2以上21以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rが飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rが飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0049】
がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rがアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0050】
がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、Rがナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。Rがフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。Rがナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。Rが、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rは、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0051】
がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rがヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0052】
がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rがヘテロシクリル基である場合と同様である。
【0053】
が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上21以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rと同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0054】
に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rに含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されず、1以上4以下が好ましい。Rに含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0055】
また、Rとしてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rに含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
【0056】
1価の有機基の中でも、Rとしては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2-メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2-(4-クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
【0057】
前述の通り、式(a1)で表される化合物は、下記(1)~(3):
(1)Rが-ORで表される基を含み、Rがハロゲノアルキル基である。
(2)m2が1であり、Rが-ORで表される基を含み、Rがハロゲノアルキル基である。
(3)Rが置換基を有してもよい分岐鎖状アルキル基である。
のうちの少なくとも1つの条件を満たす必要がある。
このため、Rは、-ORで表される置換基で置換されているのが好ましい。Rはハロゲノアルキル基である。Rが、-ORで表される基で置換されている場合、R1に含まれる、-ORで表される基の数は特に限定されない。Rが、-ORで表される基で置換されている場合、Rに含まれる、-ORで表される基の数は、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
また、式(a1)で表される化合物が有する-ORで表される基の数も、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
【0058】
ハロゲノアルキル基に含まれるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。ハロゲノアルキル基は、1種類のハロゲン原子を含んでいてもよく、2種以上のハロゲン原子を組み合わせて含んでいてもよい。
ハロゲノアルキル基が有するハロゲン原子の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ハロゲノアルキル基が有するハロゲン原子の数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が特に好ましい。ハロゲノアルキル基が有するハロゲン原子の数の上限は、式(a1)で表される化合物の、感光性組成物中の他の成分との相溶性が良好である点で、7以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下が特に好ましい。
また、式(a1)で表される化合物に含まれるハロゲン原子の数も、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が特に好ましく、7以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下が特に好ましい。
【0059】
ハロゲノアルキル基の炭素原子数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ハロゲノアルキル基の炭素原子数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が特に好ましい。ハロゲノアルキル基の炭素原子数の上限は、10以下が好ましく、7以下がより好ましく、5以下が特に好ましい。
ハロゲノアルキル基としては、フッ素化アルキル基が特に好ましい。ハロゲノアルキル基の好ましい具体例としては、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、及び2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル基等が挙げられる。これらの中では、式(a1)で表される化合物の製造が容易であること等から、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基が好ましい。
【0060】
としてのハロゲノアルキル基で置換された基としては、1つ又は2つのハロゲノアルキル基で置換されたフェニル基が好ましい。具体的には、Rとしてのハロゲノアルキル基で置換された基は下記式(a1-01):
【化8】
(式(a1-01)中、Rは前述の通りであり、Rは、Rとしてのフェニル基が有してもよい置換基であり、m4は1又は2であり、m4+m5は1以上5以下の整数である。)
で表される基が好ましい。
としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、及び炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、メチル基、及びエチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
m5は1であるのが好ましい。
【0061】
また、Rは、下記式(a1-02):
【化9】
(式(a1-02)中、R、R、R、R、R、R、m1、m2、及びm3は式(a1)と同様であり、R10は、2価の有機基である。)
で表される基であってもよい。
【0062】
10としての2価の有機基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。R10としての2価の有機基の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルカンジイル基(例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基等)、及びアリーレン基(p-フェニレン基、m-フェニレン基、o-フェニレン基、1,1’-ビフェニル-4,4’ジイル基等)が挙げられる。
【0063】
が、上記式(a1-02)で表される基である場合の、式(a1)で表される化合物の具体例としては、下記式の化合物が挙げられる。
【化10】
【0064】
以上説明したRの中では、下記式で表される基が好ましい。
【化11】
【0065】
式(a1)中、Rは、置換基を有してもよい炭化水素基、又は置換基を有してもよいヘテロシクリル基である。置換基を有してもよい炭化水素基としては、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基が好ましい。アリール基としては、フェニル基、及びナフチル基が好ましく、フェニル基が好ましい。Rがアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、Rがアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
【0066】
が、ヘテロシクリル基である場合、当該ヘテロシクリル基は、脂肪族複素環基であっても、芳香族複素環基であってもよい。Rがヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
がヘテロシクリル基である場合、当該ヘテロシクリル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0067】
としては、メチル基、フェニル基、及びチエニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0068】
式(a1)中、Rは、1価の有機基である。Rは、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rの好適な例としては、炭素原子数1以上20以下の置換基を有してもよいアルキル基、炭素原子数3以上20以下の置換基を有してもよいシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の置換基を有してもよい飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下の置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
【0069】
の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましい。当該アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。式(a1)で表される化合物の感光性組成物中での溶解性が良好である点から、Rとしてのアルキル基の炭素原子数は、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上が特に好ましい。また、感光性組成物中での、式(a1)で表される化合物と、他の成分との相溶性が良好である点から、Rとしてのアルキルの基の炭素原子数は、15以下が好ましく、10以下がより好ましい。
【0070】
が置換基を有する場合、当該置換基の好適な例としては、水酸基、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下の脂肪族アシルオキシ基、フェノキシ基、ベンゾイル基、ベンゾイルオキシ基、-PO(OR)で表される基(Rは炭素原子数1以上6以下のアルキル基)、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロシクリル基等が挙げられる。置換基としてのヘテロシクリル基の好適な例は、Rとしてのヘテロシクリル基の好適な例と同様である。
【0071】
前述の通り、式(a1)で表される化合物は、下記(1)~(3):
(1)Rが-ORで表される基を含み、Rがハロゲノアルキル基である。
(2)m2が1であり、Rが-ORで表される基を含み、Rがハロゲノアルキル基である。
(3)Rが置換基を有してもよい分岐鎖状アルキル基である。
のうちの少なくとも1つの条件を満たす必要がある。
このため、Rが、置換基を有してもよい分岐鎖状アルキル基であるのが好ましい。
【0072】
また、Rとしては、下記式(a1-03):
【化12】
(式(a1-03)中、R、R、R、R、R、m1、m2、及びm3は式(a1)と同様であり、R11は2価の有機基である。)
【0073】
11としての2価の有機基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。R11としての2価の有機基の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルカンジイル基(例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基等)、アリーレン基(p-フェニレン基、m-フェニレン基、o-フェニレン基、1,1’-ビフェニル-4,4’ジイル基等)が挙げられる。
【0074】
また、下記の基も、R11としての2価の有機基として好ましい。下記式中、R12は炭素原子数1以上20以下のアルキレン基である。R12としてのアルキレン基としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、及びオクタン-1,8-ジイル基が好ましい。
【化13】
【0075】
が、上記式(a1-03)で表される基である場合の、式(a1)で表される化合物の具体例としては、下記式の化合物が挙げられる。
【化14】
【0076】
以上説明したRの好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ペンタン-3-イル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、及び2-エチルヘキシル基が挙げられる。
前述の通り、Rとして分岐鎖状アルキル基が好ましいことから、上記のアルキル基の中では、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ペンタン-3-イル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、及び2-エチルヘキシル基が好ましい。
また、感光性組成物中での式(a1)で表される化合物の溶解性が良好である点から、n-オクチル基、及び2-エチルヘキシル基が好ましく、2-エチルヘキシル基がより好ましい。
【0077】
式(a1)中のRは1価の有機基である。Rとしての1価の有機基としては、Rとしての1価の有機基と同様の基を挙げることができる。
【0078】
は、R-(CO)m3-で表される基として、式(a1)で表される化合物の主骨格に結合する。R-(CO)m3-で表される基の好適な具体例としては、下記式で表される基が挙げられる。下記式において、m3は式(a1)と同じく、1又は0である。
【化15】
【0079】
【化16】
【0080】
【化17】
【0081】
上記のR-(CO)m3-で表される基の好適な例の中では、1,3,5-トリメチルベンゾイル基が特に好ましい。
【0082】
前述の通り、式(a1)で表される化合物は、下記(1)~(3):
(1)Rが-ORで表される基を含み、Rがハロゲノアルキル基である。
(2)m2が1であり、Rが-ORで表される基を含み、Rがハロゲノアルキル基である。
(3)Rが置換基を有してもよい分岐鎖状アルキル基である。
のうちの少なくとも1つの条件を満たす必要がある。
このため、Rは、-ORで表される置換基で置換されているのが好ましい。Rはハロゲノアルキル基である。Rについては前述の通りである。
【0083】
としてのハロゲノアルキル基で置換された基としては、1つ又は2つのハロゲノアルキル基で置換されたフェニル基が好ましい。具体的には、Rとしてのハロゲノアルキル基で置換された基と同様、前述の式(a1-01)で表される基が好ましい。
【0084】
また、Rとしては、下記式(a1-04):
【化18】
(式(a1-04)中、R、R、R、R、m1、m2、及びm3は、式(a1)と同一であり、R13は、2価の有機基である。)
で表される基も好ましい。
【0085】
13としての2価の有機基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。R13としての2価の有機基の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルカンジイル基(例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基等)、アリーレン基(p-フェニレン基、m-フェニレン基、o-フェニレン基、1,1’-ビフェニル-4,4’ジイル基等)が挙げられる。
【0086】
また、下記の基も、R13としての2価の有機基として好ましい。下記式中、R13は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1以上20以下のアルキレン基である。R14としてのアルキレン基としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、及びオクタン-1,8-ジイル基が好ましい。
また、これらのアルキレン基における全ての水素原子がハロゲン原子、特にフッ素原子で置換された基も、R14として好ましい。
【化19】
【0087】
式(a1)中、m1、m2、及びm3はいずれも0又は1である。m1としては、0が好ましい。m2としては1が好ましい、m3としては1が好ましい。
【0088】
以上説明した、式(a1)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化20】
【0089】
【化21】
【0090】
【化22】
【0091】
【化23】
【0092】
【化24】
【0093】
【化25】
【0094】
【化26】
【0095】
〔オキシムエステル化合物(A2)〕
オキシムエステル化合物(A2)は、下記式(a2):
【化27】
(式(a2)中、CRは、下記式(a2a)又は下記式(a2b):
【化28】
で表される基であり、Ra1は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、Ra2及びRa3は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい鎖状アルコキシ基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、Ra2とRa3とは相互に結合して環を形成してもよく、Ra4は1価の有機基であり、Ra5は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n1は0以上4以下の整数であり、n2は0又は1である。)
で表される化合物である。
式(a2)で表されるオキシムエステル化合物の合成や入手の容易性や、Ra2及びRa3の選択により、オキシムエステル化合物の特性を調整しやすい点等から、式(a2)中のCRとしては、式(a2a)で表される基が好ましい。
【0096】
式(a2)中のCRである、式(a2a)又は式(a2b)で表される基において、Ra1は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。Ra1は、式(a2a)又は式(a2b)中の縮合環上で、-(CO)n2-で表される基に結合する芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(a2a)又は式(a2b)中、Ra1の結合位置は特に限定されない。式(a2)で表される化合物が1以上のRa1を有する場合、式(a2)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRa1のうちの1つが、下記式(a2a-1)、及び式(a2b-1):
【化29】
で示される構造中の*で示される位置に結合するのが好ましい。Ra1が複数である場合、複数のRa1は同一であっても異なっていてもよい。
【0097】
a1が有機基である場合、Ra1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Ra1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基等が挙げられる。
【0098】
a1がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Ra1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Ra1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Ra1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0099】
a1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Ra1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Ra1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Ra1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0100】
a1がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。Ra1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Ra1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0101】
a1が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2以上21以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Ra1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Ra1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0102】
a1がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Ra1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0103】
a1がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、Ra1がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。Ra1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。Ra1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。Ra1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Ra1は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0104】
a1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。Ra1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0105】
a1がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Ra1がヘテロシクリル基である場合と同様である。
【0106】
a1が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上21以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Ra1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0107】
a1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Ra1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Ra1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0108】
以上説明した基の中でも、Ra1としては、ニトロ基、又はRa6-CO-で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。Ra6は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Ra6として好適な基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Ra6として、これらの基の中では、2-メチルフェニル基、チオフェン-2-イル基、及びα-ナフチル基が特に好ましい。
また、Ra1が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、Ra1が水素原子であり且つRa3が後述の式(a2-a)又は(a2-b)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
【0109】
式(a2a)中、Ra2及びRa3は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい鎖状アルコキシ基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Ra2とRa3とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Ra2及びRa3として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Ra2及びRa3が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
【0110】
a2及びRa3が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Ra2及びRa3が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Ra2及びRa3がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0111】
a2及びRa3が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Ra1がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Ra1がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Ra1がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0112】
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1以上20以下であり、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0113】
a2及びRa3が置換基を持たない鎖状アルコキシ基である場合、鎖状アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Ra2及びRa3が鎖状アルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Ra2及びRa3がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
a2及びRa3が置換基を有する鎖状アルコキシ基である場合に、アルコキシ基が有してもよい置換基は、Ra2及びRa3が鎖状アルキル基である場合と同様である。
【0114】
a2及びRa3が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Ra2及びRa3が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Ra2及びRa3が鎖状アルキル基である場合と同様である。
【0115】
a2及びRa3が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素-炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
【0116】
a2及びRa3が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3以上20以下が好ましく、3以上10以下がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
【0117】
a2及びRa3がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0118】
a2及びRa3とは相互に結合して環を形成してもよい。Ra2及びRa3とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Ra2及びRa3とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環~6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
【0119】
a2及びRa3とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
【0120】
以上説明したRa2及びRa3の中でも好適な基の例としては、式-A-Aで表される基が挙げられる。式中、Aは直鎖アルキレン基であり、Aは、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である挙げられる。
【0121】
の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。Aがアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。Aがハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。Aがハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Aが環状有機基である場合、環状有機基の例は、Ra2及びRa3が置換基として有する環状有機基と同様である。Aがアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Ra2及びRa3が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
【0122】
a2及びRa3の好適な具体例としては、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、及びn-オクチル基等のアルキル基;2-メトキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピル基、4-メトキシ-n-ブチル基、5-メトキシ-n-ペンチル基、6-メトキシ-n-ヘキシル基、7-メトキシ-n-ヘプチル基、8-メトキシ-n-オクチル基、2-エトキシエチル基、3-エトキシ-n-プロピル基、4-エトキシ-n-ブチル基、5-エトキシ-n-ペンチル基、6-エトキシ-n-ヘキシル基、7-エトキシ-n-ヘプチル基、及び8-エトキシ-n-オクチル基等のアルコキシアルキル基;2-シアノエチル基、3-シアノ-n-プロピル基、4-シアノ-n-ブチル基、5-シアノ-n-ペンチル基、6-シアノ-n-ヘキシル基、7-シアノ-n-ヘプチル基、及び8-シアノ-n-オクチル基等のシアノアルキル基;2-フェニルエチル基、3-フェニル-n-プロピル基、4-フェニル-n-ブチル基、5-フェニル-n-ペンチル基、6-フェニル-n-ヘキシル基、7-フェニル-n-ヘプチル基、及び8-フェニル-n-オクチル基等のフェニルアルキル基;2-シクロヘキシルエチル基、3-シクロヘキシル-n-プロピル基、4-シクロヘキシル-n-ブチル基、5-シクロヘキシル-n-ペンチル基、6-シクロヘキシル-n-ヘキシル基、7-シクロヘキシル-n-ヘプチル基、8-シクロヘキシル-n-オクチル基、2-シクロペンチルエチル基、3-シクロペンチル-n-プロピル基、4-シクロペンチル-n-ブチル基、5-シクロペンチル-n-ペンチル基、6-シクロペンチル-n-ヘキシル基、7-シクロペンチル-n-ヘプチル基、及び8-シクロペンチル-n-オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2-メトキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、4-メトキシカルボニル-n-ブチル基、5-メトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-メトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-メトキシカルボニル-n-ヘプチル基、8-メトキシカルボニル-n-オクチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、4-エトキシカルボニル-n-ブチル基、5-エトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-エトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-エトキシカルボニル-n-ヘプチル基、及び8-エトキシカルボニル-n-オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2-クロロエチル基、3-クロロ-n-プロピル基、4-クロロ-n-ブチル基、5-クロロ-n-ペンチル基、6-クロロ-n-ヘキシル基、7-クロロ-n-ヘプチル基、8-クロロ-n-オクチル基、2-ブロモエチル基、3-ブロモ-n-プロピル基、4-ブロモ-n-ブチル基、5-ブロモ-n-ペンチル基、6-ブロモ-n-ヘキシル基、7-ブロモ-n-ヘプチル基、8-ブロモ-n-オクチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0123】
a2及びRa3として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、2-メトキシエチル基、2-シアノエチル基、2-フェニルエチル基、2-シクロヘキシルエチル基、2-メトキシカルボニルエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基である。
【0124】
a4の好適な有機基の例としては、Ra1と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、Ra1について説明したものと同様である。また、Ra4としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Ra1に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
【0125】
有機基の中でも、Ra4としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2-メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2-(4-クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
【0126】
また、Ra4としては、-A-CO-O-Aで表される基も好ましい。Aは、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。Aは、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
【0127】
がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Aがアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下が特に好ましい。
【0128】
の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数4以上10以下のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数6以上20以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。Aの好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、及びβ-ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0129】
-A-CO-O-Aで表される基の好適な具体例としては、2-メトキシカルボニルエチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、2-n-プロピルオキシカルボニルエチル基、2-n-ブチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ペンチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2-ベンジルオキシカルボニルエチル基、2-フェノキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-プロピルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ペンチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ヘキシルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-ベンジルオキシカルボニル-n-プロピル基、及び3-フェノキシカルボニル-n-プロピル基等が挙げられる。
【0130】
以上、Ra4について説明したが、Ra4としては、下記式(a2-a)又は(a2-b)で表される基が好ましい。
【化30】
(式(a2-a)及び(a2-b)中、Ra7及びRa8はそれぞれ有機基であり、n3は0以上4以下の整数であり、Ra7及びRa8がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、Ra7とRa8とが互いに結合して環を形成してもよく、n4は1以上8以下の整数であり、n5は1以上5以下の整数であり、n6は0以上(n5+3)以下の整数であり、Ra9は有機基である。)
【0131】
式(c2-a)中のRa7及びRa8についての有機基の例は、Ra1と同様である。Ra7としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Ra7がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、Ra7はメチル基であるのが最も好ましい。Ra7とRa8とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(c2-a)で表される基であって、Ra7とRa8とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン-1-イル基や、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-5-イル基等が挙げられる。上記式(c2-a)中、n3は0以上4以下の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
【0132】
上記式(a2-b)中、Ra9は有機基である。有機基としては、Ra1について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。Ra9としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
【0133】
上記式(a2-b)中、n5は1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(a2-b)中、n6は0以上(n5+3)以下であり、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(a2-b)中、n4は1以上8以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
【0134】
式(a2)中、Ra5は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Ra5が脂肪族炭化水素基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、Ra1がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
【0135】
式(a2)中、Ra5としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、2-シクロペンチルエチル基、2-シクロブチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0136】
式(a2)で表される化合物の好適な具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【化31】
【0137】
【化32】
【0138】
【化33】
【0139】
【化34】
【0140】
【化35】
【0141】
感光性組成物における光重合開始剤(A)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。光重合開始剤(A)の含有量は、感光性組成物の固形分の質量に対して0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.3質量%以上30質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上20質量%で以下が特に好ましい。かかる範囲内の量の光重合開始剤(A)を用いることにより、硬化物の機械的特性、耐溶剤性、耐化学薬品性等を損なうことなく、光重合開始剤(A)を用いることによる所望する効果を得やすい。
【0142】
<重合性基材成分(B)>
感光性組成物は、さらに、重合性基材成分(B)を含んでもよい。重合性基材成分(B)(以下、「(B)成分」とも記す。)は、感光性組成物に光重合性と膜形成能とを付与する成分である。重合性基材成分(B)は、光重合開始剤(A)により重合可能な成分を含み、且つ膜形成可能な感光性組成物を調製可能な成分であれば特に限定されない。重合性基材成分(B)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0143】
重合性基材成分(B)は、典型的には、光重合性化合物(B1)、又は光重合性化合物(B1)と樹脂(B2)とを含む。光重合性化合物(B1)は、低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。光重合性化合物(B1)及び樹脂(B2)の各々は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光重合性化合物(B1)と、樹脂(B2)とは、例えば、1種又は2種以上の単量体化合物の重合体であって、重量平均分子量が1000以上である重合体を樹脂(B2)とし、樹脂(B2)に該当せず、光重合性の官能基を有する化合物を光重合性化合物(B1)とすることにより、区別することができる。
【0144】
重合性基材成分(B)は、光重合性の点から、重合体でない低分子量の光重合性化合物(B1)と、樹脂(B2)である架橋性基含有樹脂とを組み合わせて含むことが好ましい。
また、重合性基材成分(B)が樹脂(B2)を含む場合、現像性の観点から、樹脂(B2)がアルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、架橋性基を含んでいてもよい。架橋性基を含む(構成単位中の置換基として架橋性基を含む)アルカリ可溶性樹脂は、光重合性とアルカリ現像性との双方の観点から好ましい。
【0145】
以下、光重合性化合物(B1)と、樹脂(B2)とについて順に説明する。
【0146】
[光重合性化合物(B1)]
感光性組成物に含有される光重合性化合物(B1)としては、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を好ましく用いることができる。このエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の好適な例としては、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
【0147】
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0148】
一方、多官能モノマーとしては、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレン-プロピレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネート等と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物)、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN-メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物、トリアクリルホルマール、2,4,6-トリオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン-1,3,5-トリスエタノールトリアクリレート、及び2,4,6-トリオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン-1,3,5-トリスエタノールジアクリレート等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0149】
これらのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の中でも、強度と、基板への密着性とに優れる硬化物を与える感光性組成物が得られる点から、3官能以上の多官能モノマーが好ましい。
ガラス転移点(Tg)のコントロールの観点で3官能以上の多官能モノマーと併用して単官能モノマーや2官能モノマーを用いてもよく、これらの中でも、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0150】
光重合性化合物(B1)の含有量は、感光性組成物の固形分に対して5質量%以上97質量%以下が好ましく、10質量%以上95質量%以下がより好ましい。感光性組成物中の光重合性化合物(B1)の含有量を上記の範囲とすることにより、硬化性が良好である。また、感光性組成物の固形分に対して60質量%以下(好ましくは、5質量%以上40質量%以下)とすると、感光性組成物の感度、現像性、及び解像性のバランスをとりやすい傾向がある。
【0151】
[樹脂(B2)]
感光性組成物は、重合性基材成分(B)として、前述の光重合性化合物(B1)とともに、樹脂(B2)を含んでいるのが好ましい。樹脂(B2)としては、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来から種々の感光性組成物に配合されている樹脂成分を用いることができる。
以下樹脂(B2)の好ましい例について説明する。
【0152】
(架橋性基含有樹脂)
感光性組成物が、樹脂(B2)として、架橋性基含有樹脂を含有すると、該感光性組成物を用いる硬化物の形成がより容易になる傾向にある。架橋性基含有樹脂は、架橋性基を有する樹脂であり、架橋性基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含むものが好ましい。架橋性基としては、主に加熱により架橋性基含有樹脂の架橋を可能する官能基であれば特に限定されず、エポキシ基、エチレン性不飽和二重結合が好ましい。架橋性基は、例えば、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位及びエチレン性不飽和二重結合を有する単位からなる群から選択される少なくとも1種を含むことにより、架橋性基含有樹脂に導入することができる。
【0153】
架橋性基含有樹脂としては、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂が好ましい。かかる単位を有することにより、感光性組成物を用いて形成される硬化膜の基材への密着性や機械的強度を向上させることもできる。
【0154】
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであっても、後述するような、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。
【0155】
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、芳香族基を有していてもよい。本明細書において、芳香族基は、芳香環を有する基である。芳香族基を構成する芳香環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。芳香族基を有し、且つエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、4-グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、3-グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、2-グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、4-グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、3-グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、及び2-グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0156】
感光性組成物を用いて形成される膜が透明性を要求される場合、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸は、芳香族基を有さないものが好ましい。
【0157】
鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、エポキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート等のような、エステル基(-O-CO-)中のオキシ基(-O-)に鎖状脂肪族エポキシ基が結合する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸エステルが有する鎖状脂肪族エポキシ基は、鎖中に1又は複数のオキシ基(-O-)を含んでいてもよい。鎖状脂肪族エポキシ基の炭素原子数は、特に限定されず、3以上20以下が好ましく、3以上15以下がより好ましく、3以上10以下が特に好ましい。
【0158】
鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2-グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3-グリシジルオキシ-n-プロピル(メタ)アクリレート、4-グリシジルオキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、5-グリシジルオキシ-n-ヘキシル(メタ)アクリレート、6-グリシジルオキシ-n-ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0159】
脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば下記式(d2-1)~(d2-16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、感光性組成物の現像性を適度なものとするためには、下記式(d2-1)~(d2-6)で表される化合物が好ましく、下記式(d2-1)~(d2-4)で表される化合物がより好ましい。
また、これら各化合物に関し、脂環に対するエステル基の酸素原子の結合部位はここで示されているものに限られず、一部位置異性体を含んでいてもよい。
【0160】
【化36】
【0161】
上記式中、Rd4は水素原子又はメチル基を示し、Rd5は炭素原子数1以上6以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rd6は炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基を示し、nは0以上10以下の整数を示す。Rd5としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rd6としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、-CH-Ph-CH-(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
【0162】
エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルが、上記のような脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであると、鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに比べ、該(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む架橋性基含有樹脂、ひいては感光性組成物の保管安定性に優れ、また、硬化膜の形成時にプリベーク可能な温度の範囲(プリベーク温度マージン)が広くなるため、好ましい。
【0163】
架橋性基含有樹脂は、また、架橋性基としてエチレン性不飽和二重結合を有する単位を含む樹脂(本明細書において、「エチレン性不飽和二重結合を有する樹脂」ということがある。)であってもよい。該エチレン性不飽和二重結合は、(メタ)アクリロイルオキシ基を構成する一部であることが好ましい。
【0164】
エチレン性不飽和二重結合を有する樹脂としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する樹脂を挙げることができる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する樹脂は、例えば、不飽和カルボン酸に由来する単位を含む重合体に含まれるカルボキシ基の少なくとも一部と、上記脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び/又は上記鎖状脂肪族エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを反応させることにより、調製することができる。
【0165】
架橋性基含有樹脂がエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂である場合、光重合性を有するものであってもよい。感光性組成物が、樹脂(B2)としてかかるエチレン性不飽和二重結合を有する光重合性樹脂を含有することにより、感光性組成物の硬化性を向上させ、パターン形成を容易にすることができる。
【0166】
架橋性基含有樹脂中において、該樹脂の質量に対して、架橋性基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、20質量%以上80質量%以下が好ましく、30質量%以上70質量%以下がより好ましく、33質量%以上65質量%以下がさらに好ましい。
架橋性基含有樹脂中において、該樹脂の質量に対するエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、10質量%以上90質量%以下が好ましく、15質量%以上80質量%以下がより好ましく、20質量%以上70質量%以下がさらにより好ましい。
架橋性基含有樹脂中において、該樹脂の質量に対するエチレン性不飽和二重結合を有する単位の量は、1質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上35質量%以下がより好ましい。
架橋性基含有樹脂としては、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体が好ましく、該重合体である場合も、該重合体における、架橋性基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の含有量は、樹脂の質量に対して、上記と同様である。
【0167】
架橋性基含有樹脂は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、エチレン性不飽和二重結合を有する単位とを両方含むものであってもよいが、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位又はエチレン性不飽和二重結合を有する単位のいずれかを含むものであってよく、架橋性基としてはエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位のみを含むものが好ましい。
【0168】
架橋性基含有樹脂は、架橋性基を有する樹脂であるとともに、アルカリ可溶性樹脂でもあることが好ましい。感光性組成物は、かかるアルカリ可溶性樹脂を配合することで、感光性組成物にアルカリ現像性を付与することができる。
【0169】
本明細書においてアルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、濃度0.05質量%のKOH水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
【0170】
架橋性基含有樹脂は、アルカリ可溶性樹脂でもある場合、通常、アルカリ可溶性基を有する。アルカリ可溶性基としては、架橋性基含有樹脂に上記のアルカリに対する溶解性を付与する官能基であれば特に限定されず、カルボキシ基又は脱保護してカルボキシ基を生じる基が好ましく、例えば、後述の不飽和カルボン酸に由来する単位を含むことにより、また、アルカリ可溶性基を付与する(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を重合することにより、架橋性基含有樹脂に導入することができる。本明細書において、アルカリ可溶性基を付与する(メタ)アクリル酸エステルは、上述の架橋性基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含まないものとする。
【0171】
架橋性基含有樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂でもある場合、架橋性基含有樹脂の上記アルカリに対する溶解性を抑制ないし抑止する官能基(以下、「アルカリ溶解抑止基」又は「溶解抑止基」ということがある。)を有しない樹脂であってもよいが、アルカリ可溶性基及び溶解抑止基を有する樹脂が好ましい。溶解抑止基は、架橋性基含有樹脂のアルカリに対する溶解性を低下させる機能がある点で、アルカリ難溶解性基ともいえる。架橋性基含有樹脂は、アルカリ可溶性基及び溶解抑止基を有することで、アルカリに対する溶解性を調整することができ、これにより、感光性組成物のアルカリ現像性を調整することができる。溶解抑止基としては、例えば、後述のスチレン又はスチレン誘導体;不飽和イミド類;脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル(但し、エポキシ基を有するものを除く。);ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。本明細書において、溶解抑止基を付与する(メタ)アクリル酸エステルは、上述の架橋性基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含まないものとする。
【0172】
架橋性基含有樹脂の中では、製膜性に優れる点や、単量体の選択によって樹脂の特性を調整しやすいこと等から、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体が好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物;酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル、及びアリルオキシエタノールのようなアリル化合物;ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1-メチル-2,2-ジメチルプロピルビニルエーテル、2-エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル-2,4-ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、及びビニルアントラニルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル-β-フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、及びナフトエ酸ビニルのようなビニルエステル;スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4-メトキシ-3-メチルスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2-ブロモ-4-トリフルオロメチルスチレン、及び4-フルオロ-3-トリフルオロメチルスチレンのようなスチレン又はスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、及び1-エイコセンのようなオレフィン;マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類;が挙げられる。
【0173】
架橋性基含有樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体である場合、通常、不飽和カルボン酸に由来する単位を含む。不飽和カルボン酸の例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として使用されるエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体に含まれる、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂が所望するアルカリ可溶性を有する限り特に限定されない。アルカリ可溶性樹脂として使用される樹脂中の、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂の質量に対して、5質量%以上25質量%以下が好ましく、8質量%以上16質量%以下がより好ましく、架橋性基含有樹脂が後述の溶解抑止基を有する場合、特にこれらの量が好ましい。架橋性基含有樹脂が後述の溶解抑止基を有しない場合、該樹脂中の、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂の質量に対して、50質量%以上80質量%以下が好ましく、60質量%以上70質量%以下がより好ましい。
【0174】
以上例示した単量体から選択される1種以上の単量体の重合体である、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体が好ましい。以下、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体について説明する。
【0175】
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の調製に用いられる、(メタ)アクリル酸エステルは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、公知の(メタ)アクリル酸エステルから適宜選択される。
【0176】
(メタ)アクリル酸エステルの好適な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t-オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2-ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステル;脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルの詳細については後述する。
【0177】
また、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、感光性組成物を用いて透過率の高い絶縁膜を形成しやすいことから、脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂も好ましい。本明細書において、脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルは、上述の架橋性基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含まないものとする。
【0178】
脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環式骨格を有する基は、脂環式炭化水素基を有する基であることが好ましい。脂環式骨格を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
【0179】
脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルのうち、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば下記式(d1-1)~(d1-8)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、下記式(d1-3)~(d1-8)で表される化合物が好ましく、下記式(d1-3)又は(d1-4)で表される化合物がより好ましい。
【0180】
【化37】
【0181】
上記式中、Rd1は水素原子又はメチル基を示し、Rd2は単結合又は炭素原子数1以上6以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rd3は水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基を示す。Rd2としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rd3としては、メチル基、エチル基が好ましい。
【0182】
架橋性基含有樹脂は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂であることが好ましい。かかる樹脂は、さらに、脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位をも含む樹脂であってもよく、その場合、樹脂中の脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、10質量%以上35質量%以下であってもよく、15質量%以上30質量%以下であってもよく、20質量%以上25質量%以下であってもよい。
【0183】
また、脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂が好ましい。このような架橋性基含有樹脂を含む感光性組成物を用いて形成される膜は、基材に対する密着性に優れる。また、このような樹脂を用いる場合、樹脂に含まれるカルボキシ基と、脂環式エポキシ基との自己反応を生じさせることが可能である。このため、このような樹脂を含む感光性組成物を用いると、膜を加熱する方法等を用いて、カルボキシ基と、脂環式エポキシ基との自己反応を生じさせることによって、形成される膜の硬度のような機械的物性を向上させることができる。
【0184】
(メタ)アクリル酸に由来する単位(架橋性基を有するものを除く。)と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、前者(メタ)アクリル酸に由来する単位の量は、1質量%以上95質量%以下が好ましく、10質量%以上70質量%以下がより好ましい。該(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1質量%以上95質量%以下が好ましく、10質量%以上50質量%以下がより好ましい。
【0185】
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂であってもよい。
【0186】
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、(メタ)アクリル酸に由来する単位の量は、1質量%以上95質量%以下が好ましく、10質量%以上50質量%以下がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1質量%以上95質量%以下が好ましく、10質量%以上70質量%以下がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1質量%以上95質量%以下が好ましく、30質量%以上80質量%以下がより好ましい。
【0187】
架橋性基含有樹脂の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値。本明細書において同じ。)は、2000以上200000以下であることが好ましく、2000以上18000以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0188】
(カルド構造を有する樹脂)
以下に説明するカルド構造を有する樹脂(以下、「カルド樹脂」とも記す。)も、樹脂(B2)として好適に用いることができる。
カルド樹脂としては、その構造中にカルド骨格を有し、所定のアルカリ可溶性を有する樹脂を用いることができる。カルド骨格とは、第1の環状構造を構成している1つの環炭素原子に、第2の環状構造と第3の環状構造とが結合した骨格をいう。なお、第2の環状構造と、第3の環状構造とは、同一の構造であっても異なった構造であってもよい。
カルド骨格の代表的な例としては、フルオレン環の9位の炭素原子に2つの芳香環(例えばベンゼン環)が結合した骨格が挙げられる。
【0189】
カルド構造を有する樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知の樹脂を用いることができる。その中でも、下記式(b-1)で表される樹脂が好ましい。
下記式(b-1)で表される樹脂は、その構造中にカルボキシ基と、エチレン性不飽和二重結等とを有するため、架橋性基を有するアルカリ可溶性樹脂としての役割を果たす。
【0190】
【化38】
【0191】
式(b-1)中、Xは、下記式(b-2)で表される基を示す。t1は0以上20以下の整数を示す。
【0192】
【化39】
【0193】
上記式(b-2)中、Rb11は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上6以下の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Rb12は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Rb13は、それぞれ独立に直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、t2は、0又は1を示し、Wは、下記式(b-3)で表される基を示す。
【0194】
【化40】
【0195】
式(b-2)中、Rb13としては、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基が特に好ましく、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、及びプロパン1,3-ジイル基が最も好ましい。
【0196】
式(b-3)中の環Aは、芳香族環と縮合していてもよく置換基を有していてもよい脂肪族環を示す。脂肪族環は、脂肪族炭化水素環であっても、脂肪族複素環であってもよい。
脂肪族環としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられる。
具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが挙げられる。
脂肪族環に縮合してもよい芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族複素環でもよく、芳香族炭化水素環が好ましい。具体的にはベンゼン環、及びナフタレン環が好ましい。
【0197】
式(b-3)で表される2価基の好適な例としては、下記の基が挙げられる。
【化41】
【0198】
式(b-1)中の2価基Xは、残基Zを与えるテトラカルボン酸二無水物と、下式(b-2a)で表されるジオール化合物とを反応させることにより、カルド樹脂中に導入される。
【化42】
【0199】
式(b-2a)中、Rb11、Rb12、Rb13、及びt2は、式(b-2)について説明した通りである。式(b-2a)中の環Aについては、式(b-3)について説明した通りである。
【0200】
式(b-2a)で表されるジオール化合物は、例えば、以下の方法により製造し得る。
まず、下記式(b-2b)で表されるジオール化合物が有するフェノール性水酸基中の水素原子を、必要に応じて、常法に従って、-Rb13-OHで表される基に置換した後、エピクロルヒドリン等を用いてグリシジル化して、下記式(b-2c)で表されるエポキシ化合物を得る。
次いで、式(b-2c)で表されるエポキシ化合物を、アクリル酸又はメタアクリル酸と反応させることにより、式(b-2a)で表されるジオール化合物が得られる。
式(b-2b)及び式(b-2c)中、Rb11、Rb13、及びt2は、式(b-2)について説明した通りである。式(b-2b)及び式(b-2c)中の環Aについては、式(b-3)について説明した通りである。
なお、式(b-2a)で表されるジオール化合物の製造方法は、上記の方法に限定されない。
【化43】
【0201】
式(b-2b)で表されるジオール化合物の好適な例としては、以下のジオール化合物が挙げられる。
【化44】
【0202】
上記式(b-1)中、Rb0は水素原子又は-CO-Y-COOHで表される基である。ここで、Yは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(-CO-O-CO-)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
【0203】
また、上記式(b-1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、下記式(b-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(b-1)中、t1は、0以上20以下の整数を示す。
【0204】
【化45】
(式(b-4)中、Rb14、Rb15、及びRb16は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種を示し、t3は、0以上12以下の整数を示す。)
【0205】
式(b-4)中のRb14として選択され得るアルキル基は、炭素原子数が1以上10以下のアルキル基である。アルキル基の備える炭素原子数をこの範囲に設定することで、得られるカルボン酸エステルの耐熱性を一段と向上させることができる。Rb14がアルキル基である場合、その炭素原子数は、耐熱性に優れるカルド樹脂を得やすい点から、1以上6以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましく、1以上3以下が特に好ましい。
b14がアルキル基である場合、当該アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0206】
式(b-4)中のRb14としては、耐熱性に優れるカルド樹脂を得やすい点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上10以下のアルキル基がより好ましい。式(b-4)中のRb14は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基又はイソプロピル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
式(b-4)中の複数のRb14は、高純度のテトラカルボン酸二無水物の調製が容易であることから、同一の基であるのが好ましい。
【0207】
式(b-4)中のt3は0以上12以下の整数を示す。t3の値を12以下とすることによって、テトラカルボン酸二無水物の精製を容易にすることができる。
テトラカルボン酸二無水物の精製が容易である点から、t3の上限は5が好ましく、3がより好ましい。
テトラカルボン酸二無水物の化学的安定性の点から、t3の下限は1が好ましく、2がより好ましい。
式(b-4)中のt3は、2又は3が特に好ましい。
【0208】
式(b-4)中のRb15、及びRb16として選択され得る炭素原子数1以上10以下のアルキル基は、Rb14として選択され得る炭素原子数1以上10以下のアルキル基と同様である。
b15、及びRb16は、テトラカルボン酸二無水物の精製が容易である点から、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上5以下、さらに好ましくは1以上4以下、特に好ましくは1以上3以下)のアルキル基であるのが好ましく、水素原子又はメチル基であるのが特に好ましい。
【0209】
式(b-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロペンタノン-5’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-(メチルノルボルナン)-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘキサノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロヘキサノン-6’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘキサノン-α’-スピロ-2’’-(メチルノルボルナン)-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロプロパノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロブタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘプタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロオクタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロノナノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロウンデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロドデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロトリデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロテトラデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-(メチルシクロペンタノン)-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-(メチルシクロヘキサノン)-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0210】
カルド樹脂の重量平均分子量は、1000以上40000であることが好ましく、1500以上30000以下であることがより好ましく、2000以上10000以下であることがさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
【0211】
(ノボラック樹脂)
樹脂(B2)としては、ノボラック樹脂を用いることもできる。ノボラック樹脂は、アルカリ可溶性樹脂に該当する。感光性組成物が、樹脂(B2)としノボラック樹脂を含むと、感光性組成物を用いて硬化膜を形成する際に硬化膜に対してポストベークを行う場合に、硬化膜の過度の熱フローを抑制しやすい。
このため、感光性組成物を用いてブラックカラムスペーサーを形成する場合に、感光性組成物がノボラック樹脂を含んでいると、所望する形状のブラックカラムスペーサーを形成しやすい。
【0212】
ノボラック樹脂としては、従来から感光性組成物に配合されている種々のノボラック樹脂を用いることができる。ノボラック樹脂としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られるものが好ましい。
【0213】
・フェノール類
ノボラック樹脂を作製する際に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール;o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等のクレゾール類;2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等のキシレノール類;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール等のエチルフェノール類;2-イソプロピルフェノール、3-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、並びにp-tert-ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5-トリメチルフェノール、及び3,4,5-トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、及びフロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、及びアルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(いずれのアルキル基も炭素原子数1以上4以下である。);α-ナフトール;β-ナフトール;ヒドロキシジフェニル;並びにビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0214】
これらのフェノール類の中でも、m-クレゾール及びp-クレゾールが好ましく、m-クレゾールとp-クレゾールとを併用することがより好ましい。この場合、両者の配合割合を調整することにより、感光性組成物を用いて形成される硬化膜の耐熱性等の諸特性を調節することができる。
m-クレゾールとp-クレゾールの配合割合は特に限定されるものではないが、m-クレゾール/p-クレゾールのモル比で、3/7以上8/2以下が好ましい。m-クレゾール及びp-クレゾールをかかる範囲の比率で用いることにより、耐熱性に優れる硬化膜を形成可能な感光性組成物を得やすい。
【0215】
また、m-クレゾールと、2,3,5-トリメチルフェノールとを併用して製造されるノボラック樹脂も好ましい。かかるノボラック樹脂を用いる場合、ポストベーク時の加熱により過度にフローし難い硬化膜を形成できる感光性組成物を、特に得やすい。
m-クレゾールと2,3,5-トリメチルフェノールの配合割合は特に限定されるものではないが、m-クレゾール/2,3,5-トリメチルフェノールのモル比で、70/30以上95/5以下が好ましい。
【0216】
・アルデヒド類
ノボラック樹脂を作製する際に用いられるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、及びアセトアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0217】
・酸触媒
ノボラック樹脂を作製する際に用いられる酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び亜リン酸等の無機酸類;蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、及びパラトルエンスルホン酸等の有機酸類;並びに酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0218】
・分子量
ノボラック樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw;以下、単に「重量平均分子量」ともいう。)は、感光性組成物を用いて形成される硬化膜の加熱によるフローに対する耐性の観点から、下限値として2000が好ましく、5000がより好ましく、10000が特に好ましく、15000がさらに好ましく、20000が最も好ましく、上限値として50000が好ましく、45000がより好ましく、40000がさらに好ましく、35000が最も好ましい。
【0219】
ノボラック樹脂としては、ポリスチレン換算の重量平均分子量が異なるものを少なくとも2種組み合わせて用いることができる。重量平均分子量が異なるものを大小組み合わせて用いることにより、感光性組成物の現像性と、感光性組成物を用いて形成される硬化膜の耐熱性とのバランスをとることができる。
【0220】
(変性エポキシ樹脂)
感光性組成物を用いて形成される硬化膜に、ベーク時のより高いフロー耐性と、高い耐水性とを付与しやすい点から、感光性組成物は、樹脂(B2)として、エポキシ化合物(b-3a)と不飽和基含有カルボン酸(b-3b)との反応物の、多塩基酸無水物(b-3c)付加体である変性エポキシ樹脂を含んでいてもよい。
変性エポキシ樹脂は、その構造中にカルボキシ基と、エチレン性不飽和二重結等とを有するため、架橋性基を有するアルカリ可溶性樹脂としての役割を果たす。
なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、上記の定義に該当する化合物であって、前述のカルド構造を有する樹脂に該当しない化合物を、変性エポキシ樹脂とする。
【0221】
以下、エポキシ化合物(b-3a)、不飽和基含有カルボン酸(b-3b)、及び多塩基酸無水物(b-3c)について説明する。
【0222】
・エポキシ化合物(b-3a)
エポキシ化合物(b-3a)は、エポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、芳香族基を有する芳香族エポキシ化合物であっても、芳香族基を含まない脂肪族エポキシ化合物であってもよく、芳香族基を有する芳香族エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物(b-3a)は、単官能エポキシ化合物であっても、2官能以上の多官能エポキシ化合物であってもよく、多官能エポキシ化合物が好ましい。
【0223】
エポキシ化合物(b-3a)の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3-ビス[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]-2-プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0224】
また、エポキシ化合物(b-3a)としては、ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物が好ましい。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物は、主鎖に下記式(b-3a-1)で表されるビフェニル骨格を少なくとも1つ以上有するのが好ましい。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物は、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物であるのが好ましい。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物を用いることにより、感度と現像性とのバランスに優れ、基板への密着性に優れた硬化膜を形成できる感光性組成物を得やすい。
【0225】
【化46】
(式(b-3a-1)中、Rb17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよいフェニル基であり、jは1以上4以下の整数である。)
【0226】
b17が炭素原子数1以上12以下のアルキル基である場合、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、及びn-ドデシル基が挙げられる。
【0227】
b17がハロゲン原子である場合、ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0228】
b17が置換基を有してもよいフェニル基である場合、フェニル基上の置換基の数は特に限定されない。フェニル基上の置換基の数は、0以上5以下であり、0又は1が好ましい。
置換基の例としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上4以下の脂肪族アシル基、ハロゲン原子、シアノ基、及びニトロ基が挙げられる。
【0229】
上記式(b-3a-1)で表されるビフェニル骨格を有するエポキシ化合物(b-3a)としては特に限定されないが、例えば、下記式(b-3a-2)で表されるエポキシ化合物を挙げることができる。
【化47】
(式(b-3a-2)中、Rb17及びjは、式(b-3a-1)と同様であり、kは括弧内の構成単位の平均繰り返し数であって0以上10以下である。)
【0230】
式(b-3a-2)で表されるエポキシ化合物の中では、感度と現像性とのバランスに優れる感光性組成物を特に得やすいことから、下記式(b-3a-3)で表される化合物が好ましい。
【化48】
(式(b-3a-3)中、kは、式(b-3a-2)と同様である。)
【0231】
(不飽和基含有カルボン酸(b-3b))
変性エポキシ化合物(b-3)を調製するにあたって、エポキシ化合物(b-3a)と、不飽和基含有カルボン酸(b-3b)とを反応させる。
不飽和基含有カルボン酸(b-3b)としては、分子中にアクリル基やメタクリル基等の反応性の不飽和二重結合を含有するモノカルボン酸が好ましい。このような不飽和基含有カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、β-スチリルアクリル酸、β-フルフリルアクリル酸、α-シアノ桂皮酸、桂皮酸等を挙げることができる。また、不飽和基含有カルボン酸(b-3b)は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0232】
エポキシ化合物(b-3a)と、不飽和基含有カルボン酸(b-3b)とは、公知の方法により反応させることができる。好ましい反応方法としては、例えば、エポキシ化合物(b-3a)と不飽和基含有カルボン酸(b-3b)とを、トリエチルアミン、ベンジルエチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、又はトリフェニルホスフィン等を触媒として、有機溶剤中、反応温度50℃以上150℃以下で数時間から数十時間反応させる方法が挙げられる。
【0233】
エポキシ化合物(b-3a)と不飽和基含有カルボン酸(b-3b)との反応における両者の使用量の比率は、エポキシ化合物(b-3a)のエポキシ当量と、不飽和基含有カルボン酸(b-3b)のカルボン酸当量との比として、通常1:0.5~1:2が好ましく、1:0.8~1:1.25がより好ましく、1:0.9~1:1.1が特に好ましい。
エポキシ化合物(b-3a)の使用量と不飽和基含有カルボン酸(b-3b)の使用量との比率が、前記の当量比で1:0.5~1:2であると、架橋効率が向上する傾向があり好ましい。
【0234】
(多塩基酸無水物(b-3c))
多塩基酸無水物(b-3c)は、2個以上のカルボキシ基を有するカルボン酸の無水物である。
多塩基酸無水物(b-3c)としては、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3-メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3-エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4-エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3-エチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-エチルテトラヒドロ無水フタル酸、下記式(b-3c-1)で表される化合物、及び下記式(b-3c-2)で表される化合物を挙げることができる。また、多塩基酸無水物(b-3c)は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0235】
【化49】
(式(b-3c-2)中、Rb18は、炭素原子数1以上10以下の置換基を有してもよいアルキレン基を示す。)
【0236】
多塩基酸無水物(b-3c)としては、感度と現像性とのバランスに優れる感光性組成物を得やすいことから、ベンゼン環を2個以上有する化合物であることが好ましい。また、多塩基酸無水物(b-3c)は、上記式(b-3c-1)で表される化合物、及び上記式(b-3c-2)で表される化合物の少なくとも一方を含むのがより好ましい。
【0237】
エポキシ化合物(b-3a)と不飽和基含有カルボン酸(b-3b)とを反応させた後、多塩基酸無水物(b-3c)を反応させる方法は、公知の方法から適宜選択できる。
また、使用量比は、エポキシ化合物(b-3a)と不飽和基含有カルボン酸(b-3b)との反応後の成分中のOH基のモル数と、多塩基酸無水物(b-3c)の酸無水物基の当量比で、通常1:1~1:0.1であり、好ましくは1:0.8~1:0.2である。上記範囲とすることにより、現像性が良好である感光性組成物を得やすい。
【0238】
また、変性エポキシ樹脂(b-3)の酸価は、樹脂固形分で、10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは、70mgKOH/g以上110mgKOH/g以下である。樹脂の酸価を10mgKOH/g以上にすることにより現像液に対する充分な溶解性が得られ、また、酸価を150mgKOH/g以下にすることにより充分な硬化性を得ることができ、表面性を良好にすることができる。
【0239】
また、変性エポキシ樹脂(b-3)の重量平均分子量は、1000以上40000以下であることが好ましく、より好ましくは、2000以上30000以下である。重量平均分子量が1000以上であることにより耐熱性、及び強度に優れるブラックカラムスペーサーを形成しやすい。また、40000以下であることにより現像液に対する十分な溶解性を示す感光性組成物を得やすい。
【0240】
(主鎖に環構造を有する構成単位を含有するポリマー)
主鎖に環構造を有する構成単位を含有するポリマーを、所定の環構造を有するとともに所定のアルカリ可溶性を備える樹脂であれば特に限定されない。主鎖に環構造を有する構成単位を含有するポリマーの好適な例として、マレイミド由来の構成単位(以下、「構成単位(A2a)」ともいう。)を含有するポリマー(以下、「ポリマー(A2)」ともいう。)及び下記式(A-1)で表される構成単位(以下、「構成単位(A1a)」ともいう。)を含有するポリマー(以下、「ポリマー(A1)」ともいう。)を挙げることができる。
【0241】
ポリマー(A2)が有するマレイミド由来の構成単位(A2a)としては、マレイミド骨格を有するモノマーを重合して得られるものであれば特に限定されない。マレイミド骨格を有するモノマーとしては、例えば、N-ベンジルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0242】
特に、主鎖に環構造を有する構成単位(A1a)を含有するポリマー(A1)を含む感光性組成物は、現像液に対する溶解性が良好である。
【0243】
【化50】
【0244】
式(A-1)中、環Aは、1個の酸素原子を環構成原子として有する炭素原子数4以上6以下の飽和脂肪族環式基である。環Aは、好ましくは、1個の酸素原子を環構成原子として有する炭素原子数4又は5の飽和脂肪族環式基であり、より好ましくは、テトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環であり、さらに好ましくは、下記式(A-3)で表される構成単位(以下、「構成単位(A1a1)」ともいう。)におけるテトラヒドロピラン環又は下記式(A-4)で表される構成単位(以下、「構成単位(A1a2)」ともいう。)におけるテトラヒドロフラン環である。
【化51】
【0245】
主鎖に上記式(A-1)で表される構成単位を含有するポリマー(ポリマー(A1))は、通常、主鎖に上記式(A-1)で表される構成単位(構成単位(A1a))を複数個含有する。複数の構成単位(A1a)において、各構成単位(A1a)に含有される環Aはポリマー(A1)を構成する一の主鎖において相互に同一であってもよいし異なっていてもよい。具体的には、ポリマー(A1)を構成する一の主鎖は、該主鎖に含有される上記式(A-1)で表される構成単位として、例えば、上記式(A-3)で表される構成単位のみを有するものであってもよいし、上記式(A-4)で表される構成単位のみを有するものであってもよいし、上記式(A-3)で表される構成単位と上記式(A-4)で表される構成単位とを併有するものであってもよい。
【0246】
上記式(A-1)、式(A-3)及び式(A-4)において、Rb1及びRb2はそれぞれ独立に水素原子又は-COORb3であり、Rb3はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい炭素原子数1以上25以下の炭化水素基である。Rb1及びRb2は、-COORb3であることが好ましい。上記式(A-1)で表される構成単位を含有するポリマー(ポリマー(A1))を構成する一の主鎖が複数個の環Aを含有する場合、各環Aに結合する-COORb3はそれぞれ独立であり、-COORb3として同一又は異なる基が各環Aに結合していてもよい。
【0247】
b1及びRb2で表される置換基を有していてもよい炭素原子数1以上25以下の炭化水素基としては、特に制限はない。炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、t-アミル、ステアリル、ラウリル、2-エチルヘキシル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t-ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2-メチル-2-アダマンチル等の脂環式基;1-メトキシエチル、1-エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。
【0248】
b1及びRb2が炭化水素基である場合、炭化水素基の炭素原子数は8以下が好ましい。炭素原子数が8以下の炭化水素基としては、酸や熱で脱離しにくいことから、炭化水素基が有する方末端が自由な結合手が、1級炭素原子又は2級炭素原子と結合している炭化水素基が好ましい。このような炭化水素基としては、炭素原子数が1以上8以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数が1以上5以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
このような炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0249】
上記式(A-1)で表される構成単位(構成単位(A1a))を含有するポリマー(ポリマー(A1))を構成する一の主鎖に構成単位(A1a)が複数個含有される場合、各構成単位(A1a)に結合しているRb1及びRb2は、各構成単位(A1a)間で同一であってもよいし異なっていてもよい。
該各構成単位(A1a)間で同一又は異なる環Aが含有される場合、Rb1及びRb2は結合する各環Aの種類に依存することなく相互に独立である。
【0250】
具体的には、ポリマー(A1)を構成する一の主鎖に、上記式(A-3)で表される構成単位(構成単位(A1a1))が複数個含有される場合、各構成単位(A1a1)におけるRb1及びRb2は各構成単位(A1a1)間で同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0251】
ポリマー(A1)を構成する一の主鎖に、上記式(A-4)で表される構成単位(構成単位(A1a2))が複数個含有される場合、各構成単位(A1a2)におけるRb1及びRb2は各構成単位(A1a2)間で同一であってもよいし異なっていてもよい。
さらに、ポリマー(A1)を構成する一の主鎖に、上記式(A-3)で表される構成単位(構成単位(A1a1))と上記式(A-4)で表される構成単位(構成単位(A1a2))とが含有される場合、各構成単位(A1a1)におけるRb1及びRb2と各構成単位(A1a2)におけるRb1及びRb2とは同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0252】
上記式(A-3)で表される構成単位(構成単位(A1a1))は、下記式(A-5)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(ar1)」ともいう。)の一部であってよい。上記式(A-4)で表される構成単位(構成単位(A1a2))は、下記式(A-6)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(ar2)」ともいう。)の一部であってよい。
【化52】
(式(A-5)及び式(A-6)中、Rb1及びRb2はそれぞれ独立に上記と同様である。)
【0253】
上記式(A-5)及び(A-6)で表される各繰り返し単位を与えるモノマーとしては、例えば、下記式で表される1,6-ジエン類が挙げられる。
【化53】
(上記式中、Rb3はそれぞれ独立に上記と同様である。)
【0254】
主鎖に上記式(A-1)で表される構成単位(構成単位(A1a))を含有するポリマー(ポリマー(A1))を与えるモノマー組成物中、構成単位(A1a)を含有する繰り返し単位(上述の構成単位(A1a1)及び構成単位(A1a2)を含み得る。)を与えるモノマー(A1ma)の含有割合は、モノマー組成物中のモノマーの全量に対して、好ましくは1質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
【0255】
ポリマー(A1)は、好ましくは、側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)を有する。ポリマー(A1)が側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)を有していれば、アルカリ現像性に優れる感光性組成物を得ることができる。側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)を構成することとなるモノマー(A1mb)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、イタコン酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート等のカルボキシ基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられる。なかでも好ましくは(メタ)アクリル酸である。
【0256】
ポリマー(A1)を与えるモノマー組成物中、側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)を構成することとなるモノマー(A1mb)の含有割合は、モノマー組成物中のモノマーの全量に対して、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上35質量%以下である。
【0257】
好ましくは、ポリマー(A1)は、側鎖に炭素二重結合を有する繰り返し単位(A1c)を有する。側鎖に炭素二重結合を有する繰り返し単位(A1c)は、側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)の酸基の一部又は全部(好ましくは、一部)を反応点として、炭素二重結合を有する化合物を付加することにより、得ることができる。
【0258】
側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)の酸基がカルボキシ基である場合、炭素二重結合を有する化合物として、エポキシ基と二重結合とを有する化合物、イソシアネート基と二重結合とを有する化合物等が用いられ得る。エポキシ基と二重結合とを有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。イソシアネート基と二重結合とを有する化合物としては2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)の酸基がカルボン酸無水物基である場合、炭素二重結合を有する化合物として、水酸基と二重結合とを有する化合物が用いられ得る。水酸基と二重結合とを有する化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0259】
ポリマー(A1)は、上記モノマー(A1ma)、モノマー(A1mb)及び/又はモノマー(A1mc)と共重合可能なその他のモノマー(A1me)由来のその他の繰り返し単位(A1e)をさらに有し得る。
【0260】
その他のモノマー(A1me)としては、例えば、側鎖に2以上のオキシアルキレン基を有する繰り返し単位をさらに有するものであってもよい。側鎖に2以上のオキシアルキレン基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
【化54】
【0261】
上記式中、Rb7、Rb8及びRb9はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、好ましくは水素原子である。Rb10は、炭素原子数が1以上20以下の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数が2以上20以下の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基又は炭素原子数が6以上20以下の芳香族炭化水素基であり、好ましくは水素原子、炭素原子数が1以上20以下の直鎖状のアルキル基、炭素原子数が2以上20以下の直鎖状のアルケニル基又は炭素原子数が6以上20以下の芳香族炭化水素基であり、より好ましくは炭素原子数が1以上10以下の直鎖状のアルキル基又は炭素原子数が6以上12以下の芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素原子数が1以上5以下の直鎖状のアルキル基、フェニル基又はビフェニル基であり、特に好ましくはメチル基、フェニル基又はビフェニル基である。なお、アルキル基、アルケニル基及び芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。AOは、オキシアルキレン基を表す。AOで表されるオキシアルキレン基の炭素原子数は2以上20以下であり、好ましくは2以上10以下であり、より好ましくは2以上5以下であり、さらに好ましくは2である。側鎖に2以上のオキシアルキレン基を有する繰り返し単位は1種又は2種以上のオキシアルキレン基を含み得る。xは0以上2以下の整数を表す。yは0又は1を表す。zは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2以上であり、好ましくは2以上100以下であり、より好ましくは2以上50以下であり、さらに好ましくは2以上15以下である。
【0262】
側鎖に2以上のオキシアルキレン基を有する繰り返し単位は、側鎖に2以上のオキシアルキレン基を有するモノマーにより構成される。該モノマーとしては、例えば、下記式で表されるモノマーが挙げられる。
【化55】
(上記式中、Rb7、Rb8、Rb9、Rb10、AO、x、y及びzは、上記で説明した通りである。)
【0263】
上記側鎖に2以上のオキシアルキレン基を有するモノマーとしては、例えば、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート(EO2モル)、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO4モル)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO9モル)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO13モル)、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO4―17モル)、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(PO5モル)、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート(EO2モル)等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも好ましくは、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート(EO2モル)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO9モル)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO13モル)である。さらに好ましくは、エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート(EO2モル)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(EO9モル)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(EO13モル)である。なお、本明細書において、例えば「EO2モル」、「PO5モル」等の表記は、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。
【0264】
その他のモノマー(A1me)としては、また、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシプロピレングリコール、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロイルモルホリン(モルホリノ(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブチル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-t-オクチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-ベンジル(メタ)アクリルアミド、N-トリフェニルメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド類;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;ブタジエン、イソプレン等のブタジエン又は置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレン又は置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0265】
ポリマー(A1)を与えるモノマー組成物中、その他の繰り返し単位(A1e)を与えるモノマー(A1me)の含有割合は、モノマー組成物中のモノマーの全量に対して、好ましくは0質量%以上55質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上45質量%以下である。
【0266】
ポリマー(A1)は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。ポリマー(A1)としては、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0267】
ポリマー(A1)の重量平均分子量は、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC)で測定した値が、好ましくは3,000以上200,000以下であり、より好ましくは3,500以上100,000以下であり、さらに好ましくは4,000以上50,000以下である。このような範囲であれば、耐熱性を確保し、且つ、塗膜形成に適切な粘度を有する感光性組成物を得ることができる。
【0268】
ポリマー(A1)は、ポリマー(A1)を与えるモノマー組成物を、任意の適切な方法で重合して得ることができる。重合方法としては、例えば、溶液重合法が挙げられる。
【0269】
ポリマー(A1)を与えるモノマー組成物は、任意の適切な溶媒を含み得る。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のエステル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。上記モノマー組成物を重合する際の重合濃度は、好ましくは5質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上50質量%以下である。
【0270】
ポリマー(A1)を与えるモノマー組成物は、任意の適切な重合開始剤を含み得る。重合開始剤としては、例えば、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤の含有割合は、モノマー組成物中の全モノマー100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上15質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下である。
【0271】
ポリマー(A1)を溶液重合法により重合する際の重合温度は、好ましくは40℃以上150℃以下であり、より好ましくは60℃以上130℃以下である。
【0272】
側鎖に炭素二重結合を有する繰り返し単位(A1c)を有するポリマー(A1)を得る場合、上記重合後、得られたポリマーに上記炭素二重結合を有する化合物を付加する。炭素二重結合を有する化合物を付加する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、重合禁止剤及び触媒の存在下で、炭素二重結合を有する化合物を、側鎖に酸基を有する繰り返し単位(A1b)の酸基の一部又は全部(好ましくは、一部)に反応させて付加することにより、側鎖に炭素二重結合を有する繰り返し単位(A1c)を形成させることができる。
【0273】
上記炭素二重結合を有する化合物の付加量は、上記重合後のポリマー(すなわち、炭素二重結合を有する化合物を付加する前のポリマー)100質量部に対して、好ましくは5質量部以上であり、より好ましくは10質量部以上であり、さらに好ましくは15質量部以上であり、特に好ましくは20質量部以上である。このような範囲であれば、露光感度に優れる感光性組成物を得ることができる。このような感光性組成物を用いれば、緻密な硬化塗膜を形成しやすく、基板密着性にも優れたパターンが得られる傾向にある。また、炭素二重結合を有する化合物の付加量が上記範囲であれば、炭素二重結合を有する化合物の付加により水酸基が十分に生成され、アルカリ現像液に対する溶解性に優れる感光性組成物を得ることができる。上記炭素二重結合を有する化合物の付加量の上限は、上記重合後のポリマー(すなわち、炭素二重結合を有する化合物を付加する前のポリマー)100質量部に対して、好ましくは170質量部以下であり、より好ましくは150質量部以下であり、さらに好ましくは140質量部以下である。炭素二重結合を有する化合物の付加量が上記範囲内であれば、感光性組成物の保存安定性及び溶解性を維持することができる。
【0274】
重合禁止剤としては、例えば、6-tert-ブチル-2,4-キシレノール等のアルキルフェノール化合物が挙げられる。触媒としては、例えば、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン等の3級アミンが挙げられる。
【0275】
以上説明した樹脂(B2)の含有量は、感光性組成物の固形分に対して、1質量%以上95質量%以下が好ましく、3質量%以上85質量%以下がより好ましく、5質量%以上70質量%以下が特に好ましい。
感光性組成物が、かかる範囲内の量の樹脂(B2)を含む場合、感光性組成物の製膜性が良好であり、機械的特性や、形状が良好である硬化膜を形成しやすい。
また、樹脂(B2)がアルカリ可溶性である場合、良好なアルカリ現像性を実現しやすい。
【0276】
<着色剤(C)>
感光性組成物は、ラクタム系顔料を含有する着色剤(C)を含む。このため、上記の感光性組成物を用いることにより、遮光性に優れる硬化物を形成しやすい。
ラクタム系顔料としては、-CO-NH-結合を含む環状骨格であるラクタム骨格を含む化合物からなる顔料であれば特に限定されることなく用いることができる。ラクタム系顔料は、硬化物の遮光性の観点から、黒色を呈するのが好ましい。
黒色を呈するラクタム系顔料の好ましい例としては、例えば、下記式(c-1)で表される化合物が挙げられる。
【0277】
【化56】
【0278】
式(c-1)中、Xは二重結合を示し、幾何異性体としてそれぞれ独立にE体又はZ体であり、Rc1は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、ニトロ基、メトキシ基、臭素原子、塩素原子、フッ素原子、カルボキシ基、又はスルホ基を示し、Rc2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示し、Rc3は、各々独立に、水素原子、メチル基、又は塩素原子を示す。
式(c-1)で表される化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
c1は、式(c-1)で表される化合物の製造が容易である点から、ジヒドロインドロン環の6位に結合するのが好ましく、Rc3はジヒドロインドロン環の4位に結合するのが好ましい。同様の観点から、Rc1、Rc2、及びRc3は、好ましくは水素原子である。
式(c-1)で表される化合物は、幾何異性体としてEE体、ZZ体、EZ体を有するが、これらのいずれかの単一の化合物であってもよいし、これらの幾何異性体の混合物であってもよい。
式(c-1)で表される化合物は、例えば、国際公開第2000/24736号、及び国際公開第2010/081624号に記載された方法により製造することができる。
【0279】
着色剤(C)において、顔料及び染料の質量の合計に対するラクタム系顔料の質量の比率は、3質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が特に好ましい。上限は、例えば90%以下であり、好ましくは60%以下である。
【0280】
感光性組成物中においてラクタム系顔料を良好に分散させるためには、ラクタム系顔料の平均粒子径は10nm以上1000nm以下であるのが好ましい。
【0281】
着色剤(C)は、色相の調整の目的で、ラクタム系顔料とともに、種々の顔料を含んでいてもよい。ラクタム系顔料とともに用いることができる顔料としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)において、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いることができる。
【0282】
好適に使用できる黄色顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73,74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、及び185が挙げられる。
【0283】
好適に使用できる橙色顔料の例としては、C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、及び73が挙げられる。
【0284】
好適に使用できる紫色顔料の例としては、C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、及び50が挙げられる。
【0285】
好適に使用できる赤色顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、及び265が挙げられる。
【0286】
好適に使用できる青色顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、及び66が挙げられる。
【0287】
好適に使用できる、上記の他の色相の顔料の例としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37等の緑色顔料、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28等の茶色顔料、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等の黒色顔料が挙げられる。
【0288】
また、着色剤(C)は、ラクタム系顔料とともに、ラクタム系顔料以外の他の黒色顔料を含むのも好ましい。黒色顔料を含む感光性組成物は、液晶表示パネルにおけるブラックマトリックス又はブラックカラムスペーサーの形成や、有機EL素子における発光層の区画用のバンクの形成に好適に用いられる。
【0289】
他の黒色顔料の例としては、カーボンブラック、ペリレン系顔料、ラクタム系顔料、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの黒色顔料の中では、入手が容易であることや、遮光性に優れ且つ電気抵抗の高い硬化膜を形成しやすいことから、カーボンブラックが好ましい。
なお、黒色顔料の色相は、色彩論上の無彩色である黒色には限定されず、紫がかった黒色や、青みがかった黒色や、赤みがかった黒色であってもよい。
【0290】
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができる。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
【0291】
カーボンブラックとしては、酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックも好ましい。カーボンブラックに導入される酸性基は、ブレンステッドの定義による酸性を示す官能基である。酸性基の具体例としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。カーボンブラックに導入された酸性基は、塩を形成していてもよい。酸性基と塩を形成するカチオンは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カチオンの例としては、種々の金属イオン、含窒素化合物のカチオン、アンモニウムイオン等が挙げられ、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンや、アンモニウムイオンが好ましい。
【0292】
以上説明した酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックの中では、感光性組成物を用いて形成される遮光性の硬化膜の高抵抗を達成する観点で、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩基からなる群より選択される1種以上の官能基を有するカーボンブラックが好ましい。
【0293】
カーボンブラックに酸性基を導入する方法は特に限定されない。酸性基を導入する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
1)濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等を用いる直接置換法や、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等を用いる間接置換法により、カーボンブラックにスルホン酸基を導入する方法。
2)アミノ基と酸性基とを有する有機化合物と、カーボンブラックとをジアゾカップリングさせる方法。
3)ハロゲン原子と酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとをウィリアムソンのエーテル化法により反応させる方法。
4)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとを反応させる方法。
5)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物を用いて、カーボンブラックに対してフリーデルクラフツ反応を行った後、脱保護する方法。
【0294】
これらの方法の中では、酸性基の導入処理が、容易且つ安全であることから、方法2)が好ましい。方法2)で使用されるアミノ基と酸性基とを有する有機化合物としては、芳香族基にアミノ基と酸性基とが結合した化合物が好ましい。このような化合物の例としては、スルファニル酸のようなアミノベンゼンスルホン酸や、4-アミノ安息香酸のようなアミノ安息香酸が挙げられる。
【0295】
カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、カーボンブラック100gに対して、1mmol以上200mmol以下が好ましく、5mmol以上100mmol以下がより好ましい。
【0296】
酸性基を導入されたカーボンブラックは、樹脂による被覆処理を施されていてもよい。
樹脂により被覆されたカーボンブラックを含む感光性組成物を用いる場合、遮光性及び絶縁性に優れ、表面反射率が低い遮光性の硬化膜を形成しやすい。なお、樹脂による被覆処理によって、感光性組成物を用いて形成される遮光性の硬化膜の誘電率に対する悪影響は特段生じない。カーボンブラックの被覆に使用できる樹脂の例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルフォポリフェニレンスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。カーボンブラックに対する樹脂の被覆量は、カーボンブラックの質量と樹脂の質量との合計に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましい。
【0297】
また、黒色顔料としてはペリレン系顔料も好ましく用いることができる。ペリレン系顔料の具体例としては、下記式(c-2)で表されるペリレン系顔料、下記式(c-3)で表されるペリレン系顔料、及び下記式(c-4)で表されるペリレン系顔料が挙げられる。市販品では、BASF社製の製品名K0084、及びK0086や、ピグメントブラック21、30、31、32、33、及び34等を、ペリレン系顔料として好ましく用いることができる。
【0298】
【化57】
式(c-2)中、Rc4及びRc5は、それぞれ独立に炭素原子数1以上3以下のアルキレン基を表し、Rc6及びRc7は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メトキシ基、又はアセチル基を表す。
【0299】
【化58】
式(c-3)中、Rc8及びRc9は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上7以下のアルキレン基を表す。
【0300】
【化59】
式(c-4)中、Rc10及びRc11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上22以下のアルキル基であり、N,O、S、又はPのヘテロ原子を含んでいてもよい。Rc10及びRc11がアルキル基である場合、当該アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
【0301】
上記の式(c-2)で表される化合物、式(c-3)で表される化合物、及び式(c-4)で表される化合物は、例えば、特開昭62-1753号公報、特公昭63-26784号公報に記載の方法を用いて合成することができる。すなわち、ペリレン-3,5,9,10-テトラカルボン酸又はその二無水物とアミン類とを原料とし、水又は有機溶媒中で加熱反応を行う。そして、得られた粗製物を硫酸中で再沈殿させるか、又は、水、有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒中で再結晶させることによって目的物を得ることができる。
【0302】
感光性組成物中においてペリレン系顔料を良好に分散させるためには、ペリレン系顔料の平均粒子径は10nm以上1000nm以下であるのが好ましい。
【0303】
さらに、銀錫(AgSn)合金を主成分とする微粒子(以下、「AgSn合金微粒子」という。)もラクタム系顔料とともに黒色顔料として好ましく用いられる。このAgSn合金微粒子は、AgSn合金が主成分であればよく、他の金属成分として、例えば、Ni、Pd、Au等が含まれていてもよい。
このAgSn合金微粒子の平均粒子径は、1nm以上300nm以下が好ましい。
【0304】
AgSn合金は、化学式AgxSnにて表した場合、化学的に安定したAgSn合金が得られるxの範囲は1≦x≦10であり、化学的安定性と黒色度とが同時に得られるxの範囲は3≦x≦4である。
ここで、上記xの範囲でAgSn合金中のAgの質量比を求めると、
x=1の場合、 Ag/AgSn=0.4762
x=3の場合、 3・Ag/Ag3Sn=0.7317
x=4の場合、 4・Ag/Ag4Sn=0.7843
x=10の場合、10・Ag/Ag10Sn=0.9008
となる。
従って、このAgSn合金は、Agを47.6質量%以上90質量%以下含有した場合に化学的に安定なものとなり、Agを73.17質量%以上78.43質量%以下含有した場合にAg量に対し効果的に化学的安定性と黒色度とを得ることができる。
【0305】
このAgSn合金微粒子は、通常の微粒子合成法を用いて作製することができる。微粒子合成法としては、気相反応法、噴霧熱分解法、アトマイズ法、液相反応法、凍結乾燥法、水熱合成法等が挙げられる。
【0306】
AgSn合金微粒子は絶縁性の高いものであるが、感光性組成物の用途によっては、さらに絶縁性を高めるため、表面を絶縁膜で覆うようにしても構わない。このような絶縁膜の材料としては、金属酸化物又は有機高分子化合物が好適である。
金属酸化物としては、絶縁性を有する金属酸化物、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化イットリウム(イットリア)、酸化チタン(チタニア)等が好適に用いられる。
また、有機高分子化合物としては、絶縁性を有する樹脂、例えば、ポリイミド、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアミン化合物等が好適に用いられる。
【0307】
絶縁膜の膜厚は、AgSn合金微粒子の表面の絶縁性を十分に高めるためには1nm以上100nm以下の厚みが好ましく、より好ましくは5nm以上50nm以下である。
絶縁膜は、表面改質技術あるいは表面のコーティング技術により容易に形成することができる。特に、テトラエトキシシラン、アルミニウムトリエトキシド等のアルコキシドを用いれば、比較的低温で膜厚の均一な絶縁膜を形成することができるので好ましい。
【0308】
着色剤(C)の好ましい組み合わせとしては、ラクタム系顔料と、C.I.ピグメントブルー16及びC.I.ピグメントブルー60との組み合わせや、ラクタム系顔料と、カーボンブラックと、C.I.ピグメントブルー16及びC.I.ピグメントブルー60との組み合わせが挙げられる。
これらの組み合わせにおいて、着色剤(C)中のC.I.ピグメントブルー16及びC.I.ピグメントブルー60の総量は、着色剤(C)の質量に対して10質量%以上50質量%以下が好ましく、20質量%以上45質量%以下がより好ましい。着色剤(C)が、ラクタム系顔料とカーボンブラックとを組み合わせて含む場合、ラクタム系顔料の質量と、カーボンブラックの質量との合計中のラクタム系顔料の質量は、5質量%以上99質量%以下が好ましく、40質量%以上95質量%以下がより好ましく、60質量%以上90質量%以下がさらに好ましい。
【0309】
以上説明した顔料を感光性組成物において均一に分散させるために、さらに分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、顔料として、カーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
なお、分散剤に起因する腐食性のガスが硬化膜から生じる場合もある。このため、顔料が、分散剤を用いることなく分散処理されるのも好ましい態様の一例である。
【0310】
また、着色剤(C)として、無機顔料と有機顔料はそれぞれ単独又は2種以上併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10質量部以上80質量部以下の範囲で用いることが好ましく、20質量部以上40質量部以下の範囲で用いることがより好ましい。
【0311】
なお、感光性組成物において、顔料と染料とを組み合わせて着色剤(C)として用いてもよい。この染料は公知の材料のなかから適宜選択すればよい。
感光性組成物に適用可能な染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、フタロシアニン染料等を挙げることができる。
また、これら染料については、レーキ化(造塩化)することで有機溶媒等に分散させ、これを着色剤(C)として用いることができる。
これらの染料以外にも、例えば、特開2013-225132号公報、特開2014-178477号公報、特開2013-137543号公報、特開2011-38085号公報、特開2014-197206号公報等に記載の染料等も好ましく用いることができる。
【0312】
感光性組成物における着色剤(C)の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜選択でき、典型的には、感光性組成物の固形分全体の質量に対して、2質量%以上75質量%以下が好ましく、3質量%以上70質量%以下がより好ましい。
【0313】
着色剤(C)として顔料を用いる場合、顔料は分散剤の存在下又は不存在下に適当な濃度で分散させた分散液とした後、感光性組成物に添加することが好ましい。
尚、本明細書においては、上述の顔料の使用量について、この存在する分散剤も含む値として定義することができる。
【0314】
<その他の成分>
感光性組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を含んでいてもよい。具体的には、溶剤、表面調整剤、増感剤、硬化促進剤、光架橋剤、光増感剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤、連鎖移動剤等が例示される。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系化合物、カチオン系化合物、ノニオン系化合物等が挙げられる。密着性向上剤としては、従来公知のシランカップリング剤が挙げられる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン系化合物、ハロゲン系化合物、キノン系化合物、α-メチルスチレンダイマー等が挙げられる。連鎖移動剤を含有することで、パターン形状(特に、ホールパターンのCD変化、露光マージン)を良好にコントロールすることができる。なかでも2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン(α-メチルスチレンダイマー)は上記効果に加え、昇華物や着色、臭気が低減できる点で好ましい。
【0315】
感光性組成物に溶剤を用いる場合、使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0316】
上記溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(GPMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(MEDG)、シクロヘキサノン、3-メトキシブチルアセテート(MBA)は、上述の(A1)成分及び(A2)成分並びに任意に用いられる(B)成分に対して優れた溶解性を示すため好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。溶剤の含有量は、感光性組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、感光性組成物の固形分の合計100質量部に対して、50質量部以上900質量部以下程度が挙げられる。
【0317】
≪感光性組成物の調製方法≫
本発明に係る感光性組成物は、上記各成分を均一に撹拌、混合し、均一に溶解、分散させた後に、必要に応じて0.2μmメンブランフィルタ等のフィルタで濾過して調製することができる。
【0318】
≪硬化物形成方法、及び硬化物≫
硬化物形成方法は、上述の感光性組成物を用いることの他は、感光性組成物を用いて形成された従来の硬化物形成方法と同様である。
【0319】
上述の感光性組成物を用いて、硬化物を形成する方法は特に制限されず、従来より採用されている方法から適宜選択できる。硬化物は、感光性組成物の塗布時の塗膜の形状のコントロールや、位置選択的な露光と現像との組み合わせによって、所望する形状の成形体として形成される。好適な硬化物形成方法としては、上述の感光性組成物を用いて塗膜を形成する塗膜形成工程と、上記塗膜に対して、露光する露光工程と、を含む方法が挙げられる。露光が位置選択的に行われる場合、露光された塗膜を現像液により現像して、パターン化された硬化物を得てもよい。
【0320】
まず、塗膜形成工程では、例えば、硬化物が形成されるべき基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて本発明に係る感光性組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥(プリベーク)により溶媒を除去して塗膜を形成する。
なお、基板上に盛られた液滴や、凹凸を有する基板の凹部に埋め込めまれた感光性組成物や、モールドの凹部に充填された感光性組成物等についても、便宜上「塗膜」と称する。
【0321】
次いで、形成された塗膜は、露光工程に供される。露光工程では、塗膜にArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、極紫外線(EUV)、真空紫外線(VUV)、電子線、X線、軟X線、g線、i線、h線等の放射線ないし電磁波を照射して塗膜を露光する。塗膜に対する露光は、ネガ型のマスクを介して位置選択的に行われてもよい。露光量は感光性組成物の組成によっても異なるが、例えば10mJ/cm以上600mJ/cm以下程度が好ましい。
【0322】
露光された、塗膜は、必要に応じて現像される。
前述の感光性組成物は、露光後にアルカリ現像液に対して過度に溶解しにくい。このため、前述の感光性組成物を用いることにより、露光部を凸部とし、未露光部を凹部とする、良好な形状のパターン化された硬化物を形成しやすい。
【0323】
現像工程では、露光された塗膜を現像液で現像することにより、所望する形状にパターン化された硬化物が形成される。現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
【0324】
そして、必要に応じ、露光後の硬化物、又は現像後のパターン化された硬化物にポストベークを施してさらに加熱硬化を進めてもよい。ポストベークの温度は150℃以上270℃以下が好ましい。
【0325】
硬化物は、前述の感光性組成物を用いて形成される。上記硬化物は、好ましくは、種々の画像表示装置用パネルに置いて用いられるブラックマトリックス又はブラックカラムスペーサーである。前述の感光性組成物を用いて形成される硬化物からなるブラックマトリックスやブラックカラムスペーサーは、断面形状が良好であり、また、低露光量で硬化されても基板への密着性に優れる。このため、かかるブラックマトリックスやブラックカラムスペーサーを備える画像表示装置用パネルは、液晶表示装置や、有機EL表示装置等の種々の画像表示装置において好適に使用される。
【0326】
上記の硬化物からなる硬化膜を、ブラックマトリックスやブラックカラムスペーサー等の遮光性が要求される用途に用いる場合、硬化膜のOD値は、以下の条件で形成された硬化膜のOD値として、1μmあたり1.2以上が好ましい。上限値は特にないが、例えば1μmあたり3以下である。
<硬化膜形成条件>
まず、感光性組成物をウエハ基板上に、スピンコーター(ミカサ製、1H-360S)により塗布する。次いで、ウエハ基板上の塗膜を180℃で20分間加熱して、膜厚約1.0μmのOD値測定用の硬化膜を得た。
上記の硬化膜形成条件は、露光を行わない模擬的な条件である。なお、硬化膜に対する露光の有無によるOD値の変化は小さい。
形成された硬化膜のOD値は、例えば、透過率測定器(D-200II、グレタグマクベス社製)を用いて測定できる。
【0327】
また、上記の感光性組成物を用いてハーフトーンマスクを介して露光を行ってパターン化された硬化膜を形成する場合に、形成されるパターン化された硬化物において、フルトーン露光部とハーフトーン露光部とに十分に高さの差をつけつつ、ハーフトーン露光部の十分な高さを確保することができる。このため、上記の感光性組成物を用いて形成される硬化膜は、液晶表示パネル等の表示パネルにおいて用いられるブラックカラムスペーサーとして好適に使用される。
【0328】
≪感光性接着剤、及び接着方法≫
前述の感光性組成物は、感光性接着剤として好適に用いることができる。着色剤(C)を含む感光性組成物を感光性接着剤として用いる場合、接着剤や接着剤の硬化物の視認性や遮光性が良好である。
前述の感光性組成物は、低露光量での露光でも密着性に優れる硬化物を形成できる。このため、例えば、膜厚1μm以上500μm以下の接着剤層を形成して、接着を行う場合に、上記の感光性接着剤が好適に使用される。
【0329】
特に、自動車、自動二輪車、自転車、鉄道車両、航空機、船舶、種々の建築用部材等の製造や、産業用ロボットによる種々の製品の製造における、溶接、ネジ止め、ビス止め等の接合作業を、上記の感光性接着剤を用いる接着に変更すると、接合された最終製品の軽量化や、ネジ止めやビス止めによる接合を行う際の金属疲労等に起因するネジやビスの切断が生じないことや、異種金属が接合される場合の電池硬化による腐食が起きないこと等の種々のメリットがある。
【0330】
上記の感光性接着剤を用いる接着方法は、特に限定されない。種々の物品における、被接着面を接着する方法において、上記の感光性接着剤を用いることができる。
典型的な接着方法としては、
対向する被接着面の一方、又は双方に、感光性接着剤からなる接着剤層を形成することと、
接着剤層を露光による硬化させることと、を含む方法が挙げられる。
【0331】
感光性接着剤からなる接着剤層を形成する方法は特に限定されない。典型的には、対向する被接着面の一方、又は双方に感光性接着剤を塗布して接着剤層が形成される。
また、被接着面の間に、所望する幅の隙間が形成されている状態で、隙間に感光性接着剤を注入してもよい。
【0332】
接着対象の物品の数は、1つであっても、2以上の複数であってもよい。接着対象の物品の材質が可撓性、柔軟性を有する場合、接着対象の物品の数が1つである場合がある。接着対象の物品の数が1つである場合としては、例えば、1枚の矩形のプラスチック板を円筒状に丸め、プラスチック板の継ぎ目部分を接着する場合が挙げられる。
【0333】
露光は、前述の硬化膜の形成と同様に行われる。接着対象の物品が透明である場合、露光光を接着剤層に照射する方法は特に制限されない。この場合、接着対象の物品を透過させつつ、接着剤層に露光光を照射してもよく、接着剤層の端面から露光光が入射するように露光光を照射してもよい。
接着対象の物品が金属のような不透明な材質からなる場合、露光は、接着剤層の端面から露光光が入射するように行われる。
【0334】
≪その他の用途≫
前述の感光性組成物は、半導体加工やガラス加工等におけるエッチングマスクの形成等、従来から感光性組成物が使用されている種々の用途に用いることができる。
また、前述の感光性組成物は、感光性組成物層を形成する工程を含む、所謂3Dプリントによる立体造形法における、感光性組成物層の形成にも適用することができる。
3Dプリントにおける、露光により硬化した層の積層は、感光性組成物を用いて形成された硬化物の層についての所謂自己接着である。このため、上記の感光性組成物からなる感光性接着剤を用いる、3Dプリントによる立体造形法も、一態様として、感光性接着剤を用いる前述の接着方法に含まれる。
前述の感光性組成物は、透光性に優れるため、感光性組成物層の膜厚を厚くしても感光性組成物層を露光により短時間で良好に硬化させることができる。このため、前述の感光性組成物を3Dプリントによる立体造形に適用すると、感光性組成物層の膜厚を厚くすることによって、感光性組成物層の積層回数と、露光回数とを減らすことができ、短時間で所望する形状の立体造形物を作成することができる。
【実施例
【0335】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0336】
〔実施例1~4、比較例1、及び比較例2〕
光重合開始剤(A)1質量部と、光重合性化合物(B1)9質量部と、表2に記載の種類の樹脂(B2)40質量部と、着色剤(C)50質量部とを、固形分濃度が15質量%であるように有機溶剤に溶解、分散させて、感光性組成物を調製した。なお、光重合開始剤(A)の種類及び比率(質量%)は、表2に記載の通りである。
【0337】
光重合開始剤(A)としては、下記のPI-1、及びPI-2を用いた。これらの光重合開始剤の吸光特性は下表1に示す通りである。
【化60】
【0338】
【表1】
【0339】
光重合性化合物(B1)としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いた。
【0340】
樹脂(B2)としては、下記調製例1で調製された樹脂B2aと、下記の構造単位からなるアクリル系樹脂である樹脂B2b、樹脂B2c、及び樹脂B2dを用いた。下記式における括弧の右下の数値は、樹脂における各構造単位の含有量(質量%)である。
なお、下記樹脂B2dにおいて、左端の構造単位としては、3,4-エポキシトリシクロデカン-8-イルアクリレートに由来する構造単位と、3,4-エポキシトリシクロデカン-9-イルアクリレートに由来する構造単位とが等モル含まれる。
【化61】
【0341】
〔調製例1〕
まず、500mL四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25mL/分の速度で空気を吹き込みながら90~100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
【0342】
【化62】
【0343】
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3-メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110~115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、カルド樹脂である樹脂B2aを得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
【0344】
着色剤(C)としては、20質量部のC.I.ピグメントブルー16と、20質量部のC.I.ピグメントブルー60と、12質量部のカーボンブラックと、48質量部のラクタム系黒色顔料(下記式で表される化合物)とを、分散剤(着色剤固形分中20質量%)の存在下、12時間ビーズミルにより混合、分散させて得た黒色顔料組成物を用いた。
【化63】
【0345】
有機溶剤としては、3-メトキシブチルアセテート(MBA)と、シクロヘキサノン(AN)と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と、との混合溶剤(混合比(質量比)、MBA:AN:PGMEA=60:20:20)を用いた。
【0346】
得られた、実施例1~4、比較例1、及び比較例2の感光性組成物を用いて、下記の方法に従って、感光性組成物の感度と、パターン形状とを評価した。
【0347】
<感度及びパターン形状評価>
各実施例及び比較例で得た感光性組成物を、スピンナーを用いてガラス基板上に塗布した後、塗膜を100℃で120秒間乾燥させて、膜厚約2.5μmの硬化膜が形成される膜厚の塗膜を得た。
次いで、露光装置(トプコン製、TME150RTO)を用いて、塗膜に対して直径10μmのドットパターン形成用のネガ型マスクを介して、露光を行った。
露光後、濃度0.05質量%の水酸化カリウムの水溶液を現像液として用いて、25℃60秒の条件でスプレー現像を行った。
現像後の露光された塗膜を、230℃で20分間の条件でポストベークして、パターン化された硬化膜を得た。
形成されたドットパターンのパターンはがれと断面形状のテーパー角を、露光量を変えて確認した。パターン形成できる最低露光量を記載した。この最低露光量を、感度(mJ/cm)として表2に記す。
【0348】
また、感度と同じの露光量において形成されたパターンの断面形状を顕微鏡により観察し、基板表面とパターン断面とがなす角であるテーパー角を測定した。
以下、図1(a)及び図1(b)を参照して、テーパー角について説明する。
【0349】
感光性組成物を使用して遮光性のパターンを形成する場合、図1(a)に示すように、当該パターンの幅方向の断面である断面1が、底辺1aの幅よりも頂辺1bの幅がわずかに狭い台形形状となることが一般的に望まれる。このとき、パターンの断面1が基板(図示せず)との間でなす角θは、80°に近い鋭角となる
【0350】
しかし、従来知られる感光性組成物を用いて遮光性のパターンを形成する場合、前述の各θが過度に小さかったり、図1(b)に示すように、現像時にパターンの底部の一部が溶解することに伴って、当該パターンの幅方向の断面となる断面2における底辺2aの両端にアンダーカット21を生じる場合がある。アンダーカット21が生じるとき、パターンの断面2が基板(図示せず)との間でなす角θは、鈍角となる。
遮光性のパターンにアンダーカットが生じると、例えば、このようなパターンをブラックマトリックスとして用いて表示装置を作成する際に、アンダーカット部分に残留する気泡によって画像表示装置において画質の低下が生じる場合がある。
【0351】
遮光性のパターンの断面形状に関する上記の事情を考慮し、測定されたテーパー角に基づいて、パターンの断面形状を以下の基準に従って判定した。パターンの断面形状(テーパー角)の評価結果を表2に記す。
×:20~30度
△:30~50度
〇:50~65度
◎:65~80度
【0352】
【表2】
【0353】
表2によれば、光重合開始剤(A)として、吸光スペクトルにおいて、320nm以上400nm未満の波長域においてピークを有するオキシムエステル化合物を2種含み、400nm以上の波長域のいずれかの波長において10以上のグラム吸光係数を示す化合物を光重合開始剤(A)として含まず、2種のオキシムエステル化合物についてのピークの極大波長が、それぞれ異なる実施例の感光性組成物であれば、感光性組成物がラクタム系顔料を含んでいても、低露光量での基板に良好に密着したパターンの形成と、形成されたパターンの好ましい断面形状とを両立できることが分かる。
図1