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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】発光素子及び組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20220526BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20220526BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
H05B33/14 B
H05B33/22 D
C09K11/06 660
C09K11/06 690
C08G61/12
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021141110
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2022053493
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2020160066
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】佐々田 敏明
(72)【発明者】
【氏名】麻野 敦資
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/198974(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/099012(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/061332(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/198975(WO,A1)
【文献】特開2020-068307(JP,A)
【文献】特開2015-174824(JP,A)
【文献】特開2014-131973(JP,A)
【文献】特開2013-247191(JP,A)
【文献】特表2012-517673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
C09K 11/06
C08G 61/12
Scopus
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられた第1の層及び第2の層とを有する発光素子であり、
前記第1の層が、式(T-1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A-1)を含有する層であり、
前記第2の層が、式(T-1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A-2)と、架橋基を有する化合物の架橋体とを含有する層であり、
前記式(T-1)で表される化合物が、典型元素から構成される化合物である、発光素子。
【化1】

[式中、
T1は、0以上の整数を表す。nT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
T2は、0以上の整数を表す。
ArT1は、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。ArT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。
T1は、2価の基を表し、該基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。LT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。
ArT2は、環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子nT2個以上を除いた基を表し、該基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
ArT1とLT1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。ArT2とLT1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。ArT1とArT2とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。]
【請求項2】
前記ArT2における、前記複素環式化合物が、5員環又は6員環を含む複素環式化合物である、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記ArT2における、前記複素環式化合物が、単環式又は2環式~5環式の複素環式化合物である、請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記ArT2における、前記複素環式化合物が、オキサジアゾール、チアジアゾール、ジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン、ジアザフェナントレン、アザベンゾカルバゾール、ジアザベンゾカルバゾール、アザインドロカルバゾール、ジアザインドロカルバゾール、アザインデノカルバゾール又はジアザインデノカルバゾールである、請求項1~3のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項5】
前記nT2が、1以上10以下の整数であり、
前記ArT1の少なくとも1つが、単環式若しくは2環式~5環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基、又は、単環式若しくは2環式~5環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい、請求項1~4のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項6】
前記nT2が、1以上10以下の整数であり、
前記ArT1が、単環式若しくは2環式~5環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基、又は、単環式若しくは2環式~5環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい、請求項1~5のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項7】
前記ArT1が、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、該基は置換基を有していてもよい、請求項6に記載の発光素子。
【請求項8】
前記架橋基を有する化合物が、架橋基を有する構成単位を含む高分子化合物である、請求項1~7のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項9】
前記架橋基を有する構成単位が、式(Z)で表される構成単位又は式(Z’)で表される構成単位である、請求項8に記載の発光素子。
【化2】

[式中、
nは1以上の整数を表す。
nAは0以上の整数を表す。nAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の炭化水素基と少なくとも1種の複素環基とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(R’)-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Xは架橋基を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【化3】

[式中、
mA、m及びcは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。mAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。mが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の炭化水素基と少なくとも1種の複素環基とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Arが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(R’’)-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。R’’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Kが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
X’は、水素原子、架橋基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。X’が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのX’は架橋基である。]
【請求項10】
前記高分子化合物が、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を更に含む、請求項8又は9に記載の発光素子。
【化4】

[式中、
X1及びaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。ArX2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。ArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。RX2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。RX3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【化5】

[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【請求項11】
前記架橋基を有する化合物が、式(Z’’)で表される化合物である、請求項1~7のいずれか一項に記載の発光素子。
【化6】

[式中、
B1、mB2及びmB3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。複数存在するmB1は、それらは同一でも異なっていてもよい。mB3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の炭化水素基と少なくとも1種の複素環基とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Arが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
B1は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(R’’’)-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。R’’’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。LB1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。X’’は、架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。複数存在するX’’は、同一でも異なっていてもよい。但し、複数存在するX’’のうち、少なくとも1つは、架橋基である。]
【請求項12】
前記架橋基が、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基である、請求項1~11のいずれか一項に記載の発光素子。
(架橋基A群)
【化7】

[式中、RXLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、nXLは、0~5の整数を表す。RXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。nXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。*1は結合位置を表す。これらの架橋基は置換基を有していてもよく、該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【請求項13】
前記化合物(A-1)の少なくとも1種と前記化合物(A-2)の少なくとも1種とが同一である、請求項1~12のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項14】
前記第1の層が、燐光発光性化合物を更に含有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項15】
前記燐光発光性化合物が、式(1)で表される金属錯体である、請求項14に記載の発光素子。
【化8】

[式中、
Mは、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。
は1以上の整数を表し、nは0以上の整数を表す。但し、Mがロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n+nは2である。
及びEは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。E及びEが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
環Lは、芳香族複素環を表し、該環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環Lは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環Lが有していてもよい置換基と、環Lが有していてもよい置換基とは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
-G-Aは、アニオン性の2座配位子を表す。A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、又は、A及びAとともに2座配位子を構成する原子団を表す。A-G-Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項16】
前記環Lが、5員環を含む芳香族複素環又は6員環を含む芳香族複素環であり、該環は置換基を有していてもよく、且つ、環Lが、5員環若しくは6員環を含む芳香族炭化水素環、又は、5員環若しくは6員環を含む芳香族複素環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、請求項15に記載の発光素子。
【請求項17】
前記環Lが、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、ジアゾール環又はトリアゾール環であり、これらの環は置換基を有していてもよく、且つ、前記環Lが、ベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、請求項15又は16に記載の発光素子。
【請求項18】
前記第1の層が、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項19】
前記第1の層と前記第2の層とが隣接している、請求項1~18のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項20】
前記陽極と前記第1の層との間に、前記第2の層が設けられている、請求項1~19のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項21】
式(T-1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A-2)と、架橋基を有する化合物の架橋体とを含有し、
前記式(T-1)で表される化合物が、典型元素から構成される化合物である、組成物。
【化9】

[式中、
T1は、0以上の整数を表す。nT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
T2は、0以上の整数を表す。
ArT1は、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。ArT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。
T1は、2価の基を表し、該基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。LT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。
ArT2は、環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子nT2個以上を除いた基を表し、該基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
ArT1とLT1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。ArT2とLT1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。ArT1とArT2とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子等の発光素子は、ディスプレイ及び照明の用途に好適に使用することが可能である。
例えば、特許文献1には、架橋材料の架橋体のみからなる正孔輸送層と、化合物T1を含有する発光層とを有する発光素子が記載されている。
例えば、特許文献2には、架橋材料の架橋体のみからなる層と、化合物T3を含有する層とを有する発光素子が記載されている。
例えば、特許文献3には、架橋材料の架橋体及び化合物CT1を含有する層と、化合物CT1を含有する層とを有する発光素子が記載されている。
【0003】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/170671号
【文献】国際公開第2019/049225号
【文献】国際公開第2018/198975号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の発光素子は、発光効率が必ずしも十分ではない。
そこで、本発明は、発光効率が優れる発光素子を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の[1]~[21]を提供する。
【0007】
[1]
陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられた第1の層及び第2の層とを有する発光素子であり、
前記第1の層が、式(T-1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A-1)を含有する層であり、
前記第2の層が、式(T-1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A-2)と、架橋基を有する化合物の架橋体とを含有する層である、発光素子。
【化2】

[式中、
T1は、0以上の整数を表す。nT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
T2は、0以上の整数を表す。
ArT1は、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。ArT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。
T1は、2価の基を表し、該基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。LT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。
ArT2は、環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子nT2個以上を除いた基を表し、該基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
ArT1とLT1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。ArT2とLT1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。ArT1とArT2とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。]
[2]
前記ArT2における、前記複素環式化合物が、5員環又は6員環を含む複素環式化合物である、[1]に記載の発光素子。
[3]
前記ArT2における、前記複素環式化合物が、単環式又は2環式~5環式の複素環式化合物である、[1]又は[2]に記載の発光素子。
[4]
前記ArT2における、前記複素環式化合物が、オキサジアゾール、チアジアゾール、ジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン、ジアザフェナントレン、アザベンゾカルバゾール、ジアザベンゾカルバゾール、アザインドロカルバゾール、ジアザインドロカルバゾール、アザインデノカルバゾール又はジアザインデノカルバゾールである、[1]~[3]のいずれかに記載の発光素子。
[5]
前記nT2が、1以上10以下の整数であり、
前記ArT1の少なくとも1つが、単環式若しくは2環式~5環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基、又は、単環式若しくは2環式~5環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい、[1]~[4]のいずれかに記載の発光素子。
[6]
前記nT2が、1以上10以下の整数であり、
前記ArT1が、単環式若しくは2環式~5環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基、又は、単環式若しくは2環式~5環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい、[1]~[5]のいずれかに記載の発光素子。
[7]
前記ArT1が、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、該基は置換基を有していてもよい、[6]に記載の発光素子。
[8]
前記架橋基を有する化合物が、架橋基を有する構成単位を含む高分子化合物である、[1]~[7]のいずれかに記載の発光素子。
[9]
前記架橋基を有する構成単位が、式(Z)で表される構成単位又は式(Z’)で表される構成単位である、[8]に記載の発光素子。
【化3】

[式中、
nは1以上の整数を表す。
nAは0以上の整数を表す。nAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の炭化水素基と少なくとも1種の複素環基とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(R’)-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Xは架橋基を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【化4】

[式中、
mA、m及びcは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。mAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。mが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の炭化水素基と少なくとも1種の複素環基とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Arが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(R’’)-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。R’’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Kが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
X’は、水素原子、架橋基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。X’が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのX’は架橋基である。]
[10]
前記高分子化合物が、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を更に含む、[8]又は[9]に記載の発光素子。
【化5】

[式中、
X1及びaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。ArX2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。ArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。RX2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。RX3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【化6】

[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
[11]
前記架橋基を有する化合物が、式(Z’’)で表される化合物である、[1]~[7]のいずれかに記載の発光素子。
【化7】

[式中、
B1、mB2及びmB3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。複数存在するmB1は、それらは同一でも異なっていてもよい。mB3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の炭化水素基と少なくとも1種の複素環基とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Arが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
B1は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(R’’’)-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。R’’’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。LB1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。X’’は、架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。複数存在するX’’は、同一でも異なっていてもよい。但し、複数存在するX’’のうち、少なくとも1つは、架橋基である。]
[12]
前記架橋基が、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基である、[1]~[11]のいずれかに記載の発光素子。
(架橋基A群)
【化8】

[式中、RXLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、nXLは、0~5の整数を表す。RXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。nXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。*1は結合位置を表す。これらの架橋基は置換基を有していてもよく、該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
[13]
前記化合物(A-1)の少なくとも1種と前記化合物(A-2)の少なくとも1種とが同一である、[1]~[12]のいずれかに記載の発光素子。
[14]
前記第1の層が、燐光発光性化合物を更に含有する、[1]~[13]のいずれかに記載の発光素子。
[15]
前記燐光発光性化合物が、式(1)で表される金属錯体である、[14]に記載の発光素子。
【化9】

[式中、
Mは、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。
は1以上の整数を表し、nは0以上の整数を表す。但し、Mがロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n+nは2である。
及びEは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。E及びEが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
環Lは、芳香族複素環を表し、該環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環Lは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環Lが有していてもよい置換基と、環Lが有していてもよい置換基とは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
-G-Aは、アニオン性の2座配位子を表す。A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、又は、A及びAとともに2座配位子を構成する原子団を表す。A-G-Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
[16]
前記環Lが、5員環を含む芳香族複素環又は6員環を含む芳香族複素環であり、該環は置換基を有していてもよく、且つ、環Lが、5員環若しくは6員環を含む芳香族炭化水素環、又は、5員環若しくは6員環を含む芳香族複素環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、[15]に記載の発光素子。
[17]
前記環Lが、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、ジアゾール環又はトリアゾール環であり、これらの環は置換基を有していてもよく、且つ、前記環Lが、ベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、[15]又は[16]に記載の発光素子。
[18]
前記第1の層が、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有する、[1]~[17]のいずれかに記載の発光素子。
[19]
前記第1の層と前記第2の層とが隣接している、[1]~[18]のいずれかに記載の発光素子。
[20]
前記陽極と前記第1の層との間に、前記第2の層が設けられている、[1]~[19]のいずれかに記載の発光素子。
[21]
式(T-1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A-2)と、架橋基を有する化合物の架橋体とを含有する、組成物。
【化10】

[式中、
T1は、0以上の整数を表す。nT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
T2は、0以上の整数を表す。
ArT1は、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。ArT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。
T1は、2価の基を表し、該基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。LT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。
ArT2は、環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子nT2個以上を除いた基を表し、該基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
ArT1とLT1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。ArT2とLT1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。ArT1とArT2とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。]
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発光効率が優れる発光素子を提供することができる。また、本発明によれば、このような発光素子の製造に有用な組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0010】
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0011】
「室温」とは、25℃を意味する。
【0012】
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i-Prはイソプロピル基、t-Buはtert-ブチル基を表す。
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合又は配位結合を意味する。
【0013】
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×10以下の化合物を意味する。
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×10以上(例えば、1×10~1×10)である重合体を意味する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。高分子化合物中に2個以上存在する構成単位は、一般に、「繰り返し単位」とも呼ばれる。
高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合、発光特性等が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。高分子化合物の末端基としては、好ましくは、高分子化合物の主鎖と共役結合している基であり、例えば、炭素-炭素結合を介して高分子化合物の主鎖と結合するアリール基又は1価の複素環基が挙げられる。
【0014】
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~50であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~10である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~20であり、より好ましくは4~10である。
アルキル基は、置換基を有していてもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基及びドデシル基が挙げられる。また、アルキル基は、これらの基における水素原子の一部又は全部が、置換基で置換された基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基)であってもよい。
【0015】
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは4~10である。
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、及び、該基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
【0016】
「アルキレン基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~20であり、好ましくは1~15であり、より好ましくは1~10である。
アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
【0017】
「シクロアルキレン基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~20であり、好ましくは4~10である。
シクロアルキレン基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキレン基としては、例えば、シクロヘキシレン基、及び、該基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
【0018】
「芳香族炭化水素基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基を意味する。芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基を「アリール基」ともいう。芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基を「アリーレン基」ともいう。
芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~40であり、より好ましくは6~20である。
「芳香族炭化水素基」としては、例えば、単環式の芳香族炭化水素(例えば、ベンゼンが挙げられる。)、又は、多環式の芳香族炭化水素(例えば、ナフタレン、インデン、ナフトキノン、インデノン及びテトラロン等の2環式の芳香族炭化水素;アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、アントラキノン、フェナントキノン及びフルオレノン等の3環式の芳香族炭化水素;ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ピレン及びフルオランテン等の4環式の芳香族炭化水素;ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン、インデノフルオレン、ペリレン及びベンゾフルオランテン等の5環式の芳香族炭化水素;スピロビフルオレン等の6環式の芳香族炭化水素;並びに、ベンゾスピロビフルオレン及びアセナフトフルオランテン等の7環式の芳香族炭化水素が挙げられる。)から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられる。芳香族炭化水素基は、これらの基が複数結合した基を含む。芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。
【0019】
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~40であり、好ましくは1~10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
【0020】
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよい。シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロヘキシルオキシ基、及び、該基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
【0021】
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~40であり、より好ましくは6~20である。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよい。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、ピレニルオキシ基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
【0022】
「複素環基」とは、複素環式化合物から環を構成する原子(炭素原子又はヘテロ原子)に直接結合する水素原子1個以上を除いた基を意味する。複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基である「芳香族複素環基」が好ましい。複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子p個(pは、1以上の整数を表す。)を除いた基を「p価の複素環基」ともいう。芳香族複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子p個を除いた基を「p価の芳香族複素環基」ともいう。
「芳香族複素環式化合物」としては、例えば、アゾール、チオフェン、フラン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン及びカルバゾール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、並びに、フェノキサジン、フェノチアジン及びベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物が挙げられる。
複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~60であり、好ましくは2~40であり、より好ましくは3~20である。複素環基のヘテロ原子数は、置換基のヘテロ原子数を含めないで、通常1~30であり、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5であり、更に好ましくは1~3である。
複素環基としては、例えば、単環式の複素環式化合物(例えば、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピロール、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ジアザベンゼン及びトリアジンが挙げられる。)、又は、多環式の複素環式化合物(例えば、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、アザインドール、ジアザインドール、ベンゾジアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチオフェンジオキシド、ベンゾチオフェンオキシド及びベンゾピラノン等の2環式の複素環式化合物;ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェンジオキシド、ジベンゾチオフェンオキシド、ジベンゾピラノン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、アクリドン、フェナザボリン、フェノホスファジン、フェノセレナジン、フェナザシリン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン及びジアザフェナントレン等の3環式の複素環式化合物;ヘキサアザトリフェニレン、ベンゾカルバゾール、アザベンゾカルバゾール、ジアザベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン及びベンゾナフトチオフェン等の4環式の複素環式化合物;ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、アザインドロカルバゾール、ジアザインドロカルバゾール、アザインデノカルバゾール及びジアザインデノカルバゾール等の5環式の複素環式化合物;カルバゾロカルバゾール、ベンゾインドロカルバゾール及びベンゾインデノカルバゾール等の6環式の複素環式化合物;並びに、ジベンゾインドロカルバゾール及びジベンゾインデノカルバゾール等の7環式の複素環式化合物が挙げられる。)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられる。複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。複素環基は置換基を有していてもよい。
【0023】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0024】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基(即ち、第2級アミノ基又は第3級アミノ基、より好ましくは第3級アミノ基)が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基が複数存在する場合、それらは同一で異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で更に置換された基が挙げられる。
置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(メチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で更に置換された基が挙げられる。
【0025】
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~30であり、好ましくは3~20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは4~20である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは4~20である。
アルケニル基及びシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。シクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタトリエニル基、ノルボルニレニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
【0026】
「アルキニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2~20であり、好ましくは3~20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4~30であり、好ましくは4~20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4~30であり、好ましくは4~20である。
アルキニル基及びシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよい。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。シクロアルキニル基としては、例えば、シクロオクチニル基、及び、該基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
【0027】
「架橋基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基である。架橋基としては、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基が好ましい。
【0028】
「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基及びシクロアルキニル基が挙げられる。置換基は架橋基であってもよい。なお、置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。また、置換基が複数存在する場合、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよいが、環を形成しないことが好ましい。
【0029】
<第1の層>
本実施形態の発光素子において、第1の層は、式(T-1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A-1)を含有する層である。
第1の層は、化合物(A-1)を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
【0030】
第1の層中の化合物(A-1)の含有量は、第1の層としての機能が奏される範囲であればよい。第1の層中の化合物(A-1)の含有量は、例えば、第1の層の全量基準で1~100質量%であってもよく、10~99質量%であることが好ましく、30~97質量%であることがより好ましく、50~95質量%であることが更に好ましい。
【0031】
[式(T-1)で表される化合物]
式(T-1)で表される化合物の分子量は、好ましくは、2×10~1×10であり、より好ましくは、3×10~7×10あり、更に好ましくは、4×10~5×10であり、特に好ましくは、5×10~3×10である。式(T-1)で表される化合物は、低分子化合物であることが好ましい。また、式(T-1)で表される化合物は、遷移金属元素を含まない化合物(即ち、典型元素から構成される化合物)であることが好ましい。
【0032】
T1は、通常、0以上10以下の整数であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0以上5以下の整数であり、より好ましくは0以上3以下の整数であり、更に好ましくは0以上2以下の整数であり、特に好ましくは0又は1である。
T2は、通常、0以上10以下の整数である。nT2が0である場合、式(T-1)で表される化合物は、環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物である。nT2は、本実施形態の発光素子の発光効率が優れるので、好ましくは1以上10以下の整数であり、より好ましくは1以上7以下の整数であり、更に好ましくは1以上5以下の整数であり、特に好ましくは1以上3以下の整数である。
【0033】
ArT1におけるアリール基としては、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2環式~7環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式又は2環式~5環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、単環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArT1におけるアリール基としては、本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン、インデノフルオレン、スピロビフルオレン又はベンゾスピロビフルオレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン又はインデノフルオレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン又はフルオレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、とりわけ好ましくは、フェニル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0034】
ArT1における1価の複素環基としては、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2環式~7環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式又は2環式~5環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、3環式~5環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、5環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArT1における1価の複素環基としては、本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、好ましくは、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン、ジアザフェナントレン、ベンゾカルバゾール、アザベンゾカルバゾール、ジアザベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン、ベンゾナフトチオフェン、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、アザインドロカルバゾール、ジアザインドロカルバゾール、アザインデノカルバゾール、ジアザインデノカルバゾール、カルバゾロカルバゾール、ベンゾインドロカルバゾール、ベンゾインデノカルバゾール、ジベンゾインドロカルバゾール又はジベンゾインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン、ジアザフェナントレン、ベンゾカルバゾール、アザベンゾカルバゾール、ジアザベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン、ベンゾナフトチオフェン、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、アザインドロカルバゾール、ジアザインドロカルバゾール、アザインデノカルバゾール又はジアザインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、オキサジアゾール、チアジアゾール、ジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン、ジアザフェナントレン、ベンゾカルバゾール、アザベンゾカルバゾール、ジアザベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、アザインドロカルバゾール、ジアザインドロカルバゾール、アザインデノカルバゾール又はジアザインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、とりわけ好ましくは、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、とりわけより好ましくは、カルバゾール、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0035】
ArT1における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基の例及び好ましい範囲は、ArT1におけるアリール基の例及び好ましい範囲と同じである。アミノ基が有する置換基における1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、ArT1における1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0036】
ArT1の少なくとも1つは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、アリール基又は1価の複素環基(好ましくはアリール基)であり、より好ましくは、単環式若しくは2環式~5環式の芳香族炭化水素(好ましくは単環式、2環式若しくは3環式の芳香族炭化水素、より好ましくは単環式の芳香族炭化水素)から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基、又は、単環式若しくは2環式~5環式の複素環式化合物(好ましくは3環式~5環式の複素環式化合物、より好ましくは5環式の複素環式化合物)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、単環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArT1の少なくとも1つは、本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、フルオレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、フルオレン、カルバゾール、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、とりわけ好ましくは、フェニル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0037】
ArT1は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、単環式若しくは2環式~5環式の芳香族炭化水素(好ましくは単環式、2環式若しくは3環式の芳香族炭化水素、より好ましくは単環式の芳香族炭化水素)から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基、又は、単環式若しくは2環式~5環式の複素環式化合物(好ましくは3環式~5環式の複素環式化合物、より好ましくは5環式の複素環式化合物)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基、又は、単環式若しくは3環式~5環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、単環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基、又は、5環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。これらの基は置換基を有していてもよい。
ArT1は、本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、フルオレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、フルオレン、カルバゾール、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、とりわけ好ましくは、ベンゼン、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0038】
ArT1が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基又は置換アミノ基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基がより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
ArT1が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArT1におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0039】
ArT1が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基がより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基が更に好ましく、アルキル基又はシクロアルキル基が特に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
ArT1が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArT1におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0040】
「2価の基」としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(RT1’)-で表される基、-B(RT1’)-で表される基、-P(RT1’)-で表される基、-(O=)P(RT1’)-で表される基、-O-で表される基、-S-で表される基、-S(=O)-で表される基、-S(=O)-で表される基及び-C(=O)-で表される基が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。2価の基は、これらの基が複数結合した基を含む。
2価の基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArT1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
2価の基において、アリーレン基としては、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン又はフルオレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、とりわけ好ましくは、フェニレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
2価の基において、2価の複素環基としては、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン又は5,10-ジヒドロフェナジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン又は5,10-ジヒドロフェナジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、とりわけ好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン又はトリアジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
2価の基において、アルキレン基としては、好ましくは、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基であり、より好ましくはメチレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0041】
T1’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
T1’は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、特に好ましくは、アリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
T1’が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArT1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
T1’におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArT1におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
ArT1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、式(T-1)で表される化合物の合成が容易であるので、環を形成しないことが好ましい。
ArT1が複数存在し、それらが互いに、2価の基を介して結合して、環を形成する場合において、2価の基としては、好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(RT1’)-で表される基、-B(RT1’)-で表される基、-O-で表される基、-S-で表される基又は-C(=O)-で表される基であり、より好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、-N(RT1’)-で表される基、-B(RT1’)-で表される基、-O-で表される基又は-S-で表される基であり、更に好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、-O-で表される基又は-S-で表される基であり、特に好ましくは、-O-で表される基又は-S-で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0042】
T1において、2価の基は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(RT1’)-で表される基、-B(RT1’)-で表される基、-O-で表される基、-S-で表される基又は-C(=O)-で表される基であり、より好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-O-で表される基又は-S-で表される基であり、更に好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基であり、特に好ましくは、アリーレン基又は2価の複素環基であり、とりわけ好ましくは、アリーレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
T1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArT1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
T1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、式(T-1)で表される化合物の合成が容易であるので、環を形成しないことが好ましい。
T1が複数存在し、それらが互いに、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、ArT1が複数存在し、それらが互いに、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0043】
ArT2における環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物において、環を構成する=N-で表される基の合計の個数は、通常1~20であり、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5であり、更に好ましくは1~3である。
ArT2における環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物において、環を構成する炭素原子の数は、通常1~60であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは2~15であり、更に好ましくは3~10である。
ArT2における環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物において、環を構成するヘテロ原子の数は、通常1~20であり、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5であり、更に好ましくは1~3である。
【0044】
ArT2における環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物としては、例えば、前述の複素環基の項で説明した複素環式化合物の中で、環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物が挙げられる。この中でも、ArT2における環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物であり、且つ、5員環又は6員環を含む複素環式化合物であることが好ましく、環内に=N-で表される基を含む5員環を含む複素環式化合物、又は、環内に=N-で表される基を含む6員環を含む複素環式化合物であることがより好ましく、環内に=N-で表される基を含む6員環を含む複素環式化合物であることが更に好ましい。
ArT2における環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、環内に=N-で表される基を含む、単環式又は2環式~7環式の複素環式化合物であることが好ましく、環内に=N-で表される基を含む、単環式又は2環式~5環式の複素環式化合物であることがより好ましく、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物であることが更に好ましく、単環式の複素環式化合物であることが特に好ましい。これらの複素環式化合物の例としては、例えば、前述の複素環基の項で説明した複素環式化合物、及び、該複素環式化合物の環内の炭素原子を=N-で表される基に置き換えた複素環式化合物が挙げられる。
ArT2における環内に=N-で表される基を含む複素環式化合物は、本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、好ましくは、オキサジアゾール、チアジアゾール、ジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン、ジアザフェナントレン、アザベンゾカルバゾール、ジアザベンゾカルバゾール、アザインドロカルバゾール、ジアザインドロカルバゾール、アザインデノカルバゾール又はジアザインデノカルバゾールであり、より好ましくは、オキサジアゾール、チアジアゾール、ジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン又はジアザフェナントレンであり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン又はジアザフェナントレンであり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン又はトリアジンである。
ArT2が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基がより好ましく、アルキル基又はシクロアルキル基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
ArT2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArT1におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
ArT2が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArT1が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0045】
ArT1とLT1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、式(T-1)で表される化合物の合成が容易であるので、環を形成しないことが好ましい。ArT1とLT1とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、ArT1が複数存在し、それらが互いに、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
ArT2とLT1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、式(T-1)で表される化合物の合成が容易であるので、環を形成しないことが好ましい。ArT2とLT1とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、ArT1が複数存在し、それらが互いに、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
ArT1とArT2とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、式(T-1)で表される化合物の合成が容易であるので、環を形成しないことが好ましい。ArT1とArT2とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、ArT1が複数存在し、それらが互いに、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
ArT1とRT1’とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、式(T-1)で表される化合物の合成が容易であるので、環を形成しないことが好ましい。ArT1とRT1’とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、ArT1が複数存在し、それらが互いに、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
ArT2とRT1’とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、式(T-1)で表される化合物の合成が容易であるので、環を形成しないことが好ましい。ArT2とRT1’とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、ArT1が複数存在し、それらが互いに、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0046】
式(T-1)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物及び後述の化合物T1~T12が挙げられる。なお、式中、Zは、-N=で表される基、又は、-CH=で表される基を表す。Zは、酸素原子又は硫黄原子を表す。複数存在するZ及びZは、各々、同一であっても異なっていてもよい。
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】
【0047】
<層(1’)>
本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、第1の層は、化合物(A-1)と、燐光発光性化合物とを含有する層(以下、「層(1’)」ともいう。)であることが好ましい。
層(1’)には、化合物(A-1)が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。層(1’)には、燐光発光性化合物が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
【0048】
層(1’)中の化合物(A-1)及び燐光発光性化合物の合計の含有量は、層(1’)としての機能が奏される範囲であればよい。層(1’)中の化合物(A-1)及び燐光発光性化合物の合計の含有量は、例えば、層(1’)の全量基準で1~100質量%であってもよく、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは10~100質量%であり、より好ましくは30~100質量%であり、更に好ましくは50~100質量%であり、特に好ましくは70~100質量%であり、とりわけ好ましくは90~100質量%である。
層(1’)において、燐光発光性化合物の含有量は、化合物(A-1)と燐光発光性化合物との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、0.01~99質量部であり、好ましくは0.1~90質量部であり、より好ましくは1~70質量部であり、更に好ましくは5~50質量部であり、特に好ましくは10~40質量部である。
【0049】
層(1’)において、化合物(A-1)は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性から選ばれる少なくとも1つの機能を有するホスト材料であることが好ましい。
層(1’)において、化合物(A-1)の有する最低励起三重項状態(T)は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、第1の層に含有される燐光発光性化合物の有するTと同等のエネルギー準位、又は、より高いエネルギー準位であることが好ましく、より高いエネルギー準位であることがより好ましい。
層(1’)において、燐光発光性化合物としては、本実施形態の発光素子を湿式法で作製できるので、層(1’)に含有される化合物(A-1)を溶解することが可能な溶媒に対して溶解性を示すものであることが好ましい。
【0050】
[燐光発光性化合物]
「燐光発光性化合物」は、通常、室温で燐光発光性を示す化合物を意味するが、好ましくは、室温で三重項励起状態からの発光を示す金属錯体である。室温で三重項励起状態からの発光を示す金属錯体は、通常、中心金属原子及び配位子を有する。
室温で三重項励起状態からの発光を示す金属錯体において、中心金属原子としては、例えば、原子番号40以上の原子で、錯体にスピン-軌道相互作用があり、一重項状態と三重項状態との間の項間交差を起こし得る金属原子が挙げられる。金属原子としては、例えば、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子、白金原子及びユーロピウム原子が挙げられ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくはイリジウム原子又は白金原子である。
室温で三重項励起状態からの発光を示す金属錯体において、金属錯体が有する中心金属原子の数は、通常、1~5個であり、好ましくは1~3個であり、より好ましくは1又は2個であり、更に好ましくは1個である。
室温で三重項励起状態からの発光を示す金属錯体において、配位子としては、例えば、中心金属原子との間に、配位結合及び共有結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を形成する、中性若しくはアニオン性の単座配位子、又は、中性若しくはアニオン性の多座配位子が挙げられる。中心金属原子と配位子との間の結合としては、例えば、金属-窒素結合、金属-炭素結合、金属-酸素結合、金属-リン結合、金属-硫黄結合及び金属-ハロゲン結合が挙げられる。多座配位子とは、通常、2座以上6座以下の配位子を意味する。
燐光発光性化合物の分子量は、好ましくは、2×10~1×10であり、より好ましくは、4×10~7×10あり、更に好ましくは、6×10~5×10であり、特に好ましくは、8×10~3×10である。燐光発光性化合物は、低分子化合物であることが好ましい。
【0051】
(式(1)で表される金属錯体)
燐光発光性化合物は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、式(1)で表される金属錯体であることが好ましい。
Mは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、イリジウム原子又は白金原子であることが好ましく、イリジウム原子であることがより好ましい。
Mがロジウム原子又はイリジウム原子の場合、nは2又は3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、nは2であることが好ましい。
【0052】
及びEの少なくとも一方が炭素原子であることが好ましく、E及びEが炭素原子であることがより好ましい。
式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、E及びEは好ましくは同一である。また、式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、Eが複数存在する場合、それらは好ましくは同一である。また、式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、Eが複数存在する場合、それらは好ましくは同一である。
【0053】
環Lにおける芳香族複素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは1~30であり、より好ましくは2~15である。環Lにおける芳香族複素環のヘテロ原子数は、置換基のヘテロ原子数を含めないで、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5であり、更に好ましくは1~3である。
環Lとしては、例えば、前述の複素環基の項で例示した芳香族複素環の中で、環内に1つ以上の窒素原子を含む芳香族複素環が挙げられ、該芳香族複素環は置換基を有していてもよい。この中でも、環Lは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、5員環を含む芳香族複素環又は6員環を含む芳香族複素環であり、より好ましくは、環内に2つ以上4つ以下の窒素原子を含む5員環を含む芳香族複素環、又は、環内に1つ以上4つ以下の窒素原子を含む6員環を含む芳香族複素環であり、更に好ましくは、環内に2つ又は3つの窒素原子を含む5員環を含む芳香族複素環、又は、環内に1つ又は2つの窒素原子を含む6員環を含む芳香族複素環であり、特に好ましくは、環内に1つ又は2つの窒素原子を含む6員環を含む芳香族複素環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。但し、環Lが6員の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子であることが好ましい。
環Lは、本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアゾール環又はジアゾール環であり、より好ましくは、ピリジン環、アザナフタレン環、トリアゾール環又はジアゾール環であり、更に好ましくは、ピリジン環又はアザナフタレン環であり、特に好ましくは、ピリジン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、環Lが複数存在する場合、複数存在する環Lのうち、少なくとも2つが同一であることが好ましく、複数存在する環Lのすべてが同一であることがより好ましい。
【0054】
環Lにおける芳香族炭化水素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは6~40であり、より好ましくは6~20である。
環Lにおける芳香族炭化水素環としては、例えば、前述の芳香族炭化水素基の項で例示した芳香族炭化水素環が挙げられ、該芳香族炭化水素環は置換基を有していてもよい。この中でも、環Lにおける芳香族炭化水素環は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、前述の芳香族炭化水素基の項で例示した、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環又はジヒドロフェナントレン環であり、更に好ましくは、ベンゼン環、フルオレン環又はジヒドロフェナントレン環であり、特に好ましくは、ベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
環Lにおける芳香族複素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは1~30であり、より好ましくは2~15である。環Lにおける芳香族複素環のヘテロ原子数は、置換基のヘテロ原子数を含めないで、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5であり、更に好ましくは1~3である。
環Lにおける芳香族複素環としては、例えば、前述の複素環基の項で例示した芳香族複素環が挙げられ、該芳香族複素環は置換基を有していてもよい。この中でも、環Lにおける芳香族複素環は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、前述の複素環基の項で例示した、単環式、2環式又は3環式の芳香族複素環であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、更に好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、特に好ましくは、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
環Lは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、より好ましくは、ベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、環Lが複数存在する場合、複数存在する環Lのうち、少なくとも2つが同一であることが好ましく、複数存在する環Lのすべてが同一であることがより好ましい。
【0055】
本実施形態の発光素子の発光効率が更に優れるので、環Lがピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアゾール環又はジアゾール環であり、且つ、環Lがベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であることが好ましく、環Lがピリジン環、アザナフタレン環、トリアゾール環又はジアゾール環であり、且つ、環Lがベンゼン環であることがより好ましく、環Lがピリジン環又はアザナフタレン環であり、且つ、環Lがベンゼン環であることが更に好ましく、環Lがピリジン環であり、且つ、環Lがベンゼン環であることが特に好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0056】
環L及び環Lが有していてもよい置換基(以下、「一次置換基」ともいう。)としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、特に好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基(以下、「二次置換基」ともいう。)を有していてもよい。
【0057】
環L及び環Lのうちの少なくとも1つは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、一次置換基を有することが好ましい。
式(1)で表される金属錯体において、環L及び環Lのうちの少なくとも1つが一次置換基を有し、且つ、環L及び環Lが複数存在する場合、複数存在する環L及び環Lのうちの少なくとも1つの環が一次置換基を有していればよいが、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、複数存在する環L及び環Lのうちの少なくとも2つが一次置換基を有することが好ましく、複数存在する環L及び環Lのうちの少なくとも3つが一次置換基を有することがより好ましい。また、式(1)で表される金属錯体において、環L及び環Lのうちの少なくとも1つが一次置換基を有し、且つ、環L及び環Lが複数存在する場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、複数存在する環Lのうちの少なくとも2つが一次置換基を有すること、又は、複数存在する環Lのうちの少なくとも2つが一次置換基を有することが好ましく、複数存在する環Lの全てが一次置換基を有すること、又は、複数存在する環Lの全てが一次置換基を有することがより好ましい。
式(1)で表される金属錯体において、環L及び環Lのうちの少なくとも1つが一次置換基を有する場合、環L及び環Lのうちの少なくとも1つが有する一次置換基の個数は、通常1個~10個であり、式(1)で表される金属錯体を容易に合成でき、且つ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは1個~5個であり、より好ましくは1個~3個であり、更に好ましくは1個又は2個であり、特に好ましくは1個である。
式(1)で表される金属錯体において、環L及び環Lのうちの少なくとも1つが一次置換基を有し、且つ、Mがロジウム原子又はイリジウム原子である場合、環L及び環Lが有する一次置換基の合計の個数は、通常、1個~30個であり、式(1)で表される金属錯体を容易に合成でき、且つ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは1個~18個であり、より好ましくは2個~12個であり、更に好ましくは3個~6個である。
式(1)で表される金属錯体において、環L及び環Lのうちの少なくとも1つが一次置換基を有し、且つ、Mがパラジウム原子又は白金原子である場合、環L及び環Lが有する一次置換基の合計の個数は、通常、1個~20個であり、式(1)で表される金属錯体を容易に合成でき、且つ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは1個~12個であり、より好ましくは1個~8個であり、更に好ましくは2個~4個である。
【0058】
一次置換基におけるアリール基としては、好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、フェニル基、ナフチル基又はフルオレニル基であり、更に好ましくは、フェニル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
一次置換基における1価の複素環基としては、好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環又はトリアジン環から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
一次置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、一次置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0059】
二次置換基(一次置換基が更に有していてもよい置換基)の例及び好ましい範囲は、一次置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
二次置換基は更に置換基(以下、「三次置換基」ともいう。)を有していてもよい。三次置換基(二次置換基が更に有していてもよい置換基)の例及び好ましい範囲は、一次置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
三次置換基は更に置換基(以下、「四次置換基」ともいう。)を有していてもよい。四次置換基(三次置換基が更に有していてもよい置換基)としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、更に置換基を有さないことが好ましい。
二次置換基、三次置換基及び四次置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、一次置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0060】
・アニオン性の2座配位子
-G-Aで表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記式で表される配位子が挙げられる。但し、A-G-Aで表されるアニオン性の2座配位子は、添え字nでその数を規定されている配位子とは異なる。
【化20】

[式中、*は、Mと結合する部位を表す。]
【0061】
燐光発光性化合物としては、例えば、下記式で表される金属錯体が挙げられる。なお、式中、Z及びZは前記と同じ意味を表す。
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】
【0062】
[第1の組成物]
第1の層は、式(T-1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A-1)と、燐光発光性化合物、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む組成物(以下、「第1の組成物」ともいう。)を含有する層であってもよい。但し、第1の組成物において、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び発光材料は、化合物(A-1)及び燐光発光性化合物とは異なる。
第1の組成物には、化合物(A-1)、燐光発光性化合物、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤が、それぞれ、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
第1の組成物において、化合物(A-1)、燐光発光性化合物、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤の合計の含有量は、第1の組成物としての機能が奏される範囲であればよい。第1の組成物において、化合物(A-1)、燐光発光性化合物、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤の合計の含有量は、例えば、第1の組成物の全量基準で1~100質量%であってもよく、10~100質量%であってもよく、30~100質量%であってもよく、更に好ましくは50~100質量%であってもよく、70~100質量%であってもよく、90~100質量%であってもよい。
【0063】
(正孔輸送材料)
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、トリフェニルアミン及びその誘導体、N,N’-ジ-1-ナフチル-N,N’-ジフェニルベンジジン(α-NPD)、並びに、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(m-トリル)ベンジジン(TPD)等の芳香族アミン化合物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン及びトリニトロフルオレノン等の電子受容性部位が結合された化合物でもよい。
第1の組成物において、正孔輸送材料が含まれる場合、正孔輸送材料の含有量は、化合物(A-1)の含有量を100質量部とした場合、通常、1~1000質量部である。正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0064】
(電子輸送材料)
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン及びジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
第1の組成物において、電子輸送材料が含まれる場合、電子輸送材料の含有量は、化合物(A-1)の含有量を100質量部とした場合、通常、1~1000質量部である。電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0065】
(正孔注入材料及び電子注入材料)
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
第1の組成物において、正孔注入材料及び/又は電子注入材料が含まれる場合、正孔注入材料及び電子注入材料の含有量は、各々、化合物(A-1)の含有量を100質量部とした場合、通常、1~1000質量部である。正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0066】
・イオンドープ
正孔注入材料又は電子注入材料は、イオンがドープされていてもよい。例えば、正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは1×10-5S/cm~1×10S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
正孔注入材料又は電子注入材料にドープするイオンの種類は、例えば、正孔注入材料であればアニオンが挙げられ、電子注入材料であればカチオンが挙げられる。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン及び樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びテトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
ドープするイオンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0067】
(発光材料)
発光材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、並びに、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とする燐光発光性化合物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、後述の式(Y)で表される構成単位及び/又は式(X)で表される構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。
第1の組成物において、発光材料が含まれる場合、発光材料の含有量は、化合物(A-1)の含有量を100質量部とした場合、通常、1~1000質量部である。発光材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0068】
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、化合物(A-1)と同じ溶媒に可溶であり、発光及び電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
第1の組成物において、酸化防止剤が含まれる場合、酸化防止剤の含有量は、化合物(A-1)の含有量を100質量部とした場合、通常、0.001~10質量部である。酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0069】
[第1のインク]
第1の層は、例えば、化合物(A-1)と、溶媒とを含有する組成物(以下、「第1のインク」ともいう。)を用いて形成することができる。
第1のインクは、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ-コート法、ノズルコート法等の湿式法を用いた発光素子の作製に好適に使用することができる。
第1のインクの粘度は、湿式法の種類によって調整すればよい。第1のインクの粘度は、例えば、インクジェット印刷法等の溶液が吐出装置を経由する印刷法に適用する場合には、吐出時の目詰まり及び飛行曲がりが起こり難いので、好ましくは25℃において1~20mPa・sである。
【0070】
第1のインクに含まれる溶媒は、好ましくは、インク中の固形分を溶解又は均一に分散できる溶媒である。第1のインクに含まれる溶媒としては、例えば、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン及びo-ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール及び4-メチルアニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン及びシクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-へプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ドデカン及びビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン及びアセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル及び酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2-ヘキサンジオール、イソプロピルアルコール及びシクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N-メチル-2-ピロリドン及びN,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;並びに、水が挙げられる。
第1のインクにおいて、溶媒の含有量は、化合物(A-1)の含有量を100質量部とした場合、通常、1000~100000質量部である。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0071】
第1のインクは、燐光発光性化合物、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含んでいてもよい。
第1のインクが更に含んでいてもよい、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤の例及び好ましい範囲は、第1の組成物に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤の例及び好ましい範囲と同じである。
第1のインクが更に含んでいてもよい、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の含有量は、各々、化合物(A-1)の含有量を100質量部とした場合、通常、1~1000質量部である。第1のインクが更に含んでいてもよい酸化防止剤の含有量は、化合物(A-1)の含有量を100質量部とした場合、通常、0.001~10質量部である。
【0072】
<第2の層>
本実施形態の発光素子において、第2の層は、式(T-1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A-2)と、架橋基を有する化合物の架橋体とを含有する層である。即ち、第2の層には、化合物(A-2)が、架橋基を有する化合物の架橋体とは別個の化合物として含有されている。ここで、化合物(A-2)は架橋基を含まない化合物であることが好ましい。
第2の層における化合物(A-2)の例及び好ましい範囲は、第1の層における化合物(A-1)の例及び好ましい範囲と同じである。
第2の層は、化合物(A-2)を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。第2の層は、架橋基を有する化合物の架橋体を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
【0073】
第2の層中の化合物(A-2)及び架橋基を有する化合物の架橋体の合計の含有量は、第2の層としての機能が奏される範囲であればよい。第2の層中の化合物(A-2)及び架橋基を有する化合物の架橋体の合計の含有量は、例えば、第2の層の全量基準で1~100質量%であってもよく、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは10~100質量%であり、より好ましくは30~100質量%であり、更に好ましくは50~100質量%であり、特に好ましくは70~100質量%であり、とりわけ好ましくは90~100質量%である。
第2の層において、化合物(A-2)の含有量は、化合物(A-2)と架橋基を有する化合物の架橋体との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、0.01~99質量部であり、好ましくは0.1~90質量部であり、より好ましくは0.5~70質量部であり、更に好ましくは1~50質量部であり、特に好ましくは5~30質量部である。
【0074】
[架橋基を有する化合物の架橋体]
架橋基を有する化合物の架橋体は、架橋基を有する化合物を後述の方法及び条件等により架橋した状態にすることで得られる。
架橋基を有する化合物は、架橋基を有する低分子化合物であっても、架橋基を有する高分子化合物であってもよいが、好ましくは、架橋基を有する高分子化合物である。
【0075】
架橋基を有する化合物において、架橋基としては、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基であり、より好ましくは、式(XL-1)、式(XL-3)、式(XL-9)、式(XL-10)又は式(XL-16)~式(XL-19)で表される架橋基であり、更に好ましくは、式(XL-1)又は式(XL-16)~式(XL-19)で表される架橋基であり、特に好ましくは、式(XL-1)又は式(XL-17)で表される架橋基である。
架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基において、架橋基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、後述のArY1で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
架橋基を有する化合物は、架橋基を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0076】
(架橋基を有する高分子化合物)
架橋基を有する高分子化合物は、架橋基を有する高分子化合物の架橋性がより優れ、且つ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、架橋基を、架橋基を有する構成単位として含むことが好ましい。即ち、架橋基を有する高分子化合物は、架橋基を有する構成単位を含む高分子化合物であることが好ましい。
架橋基を有する高分子化合物及び架橋基を有する構成単位における架橋基の例及び好ましい範囲は、架橋基を有する化合物における架橋基の例及び好ましい範囲と同じである。
架橋基を有する高分子化合物が架橋基を有する構成単位を含む場合、架橋基を有する構成単位の含有量は、架橋基を有する高分子化合物に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、通常、0.1~100モル%であり、架橋基を有する高分子化合物の安定性及び架橋性が優れるので、好ましくは1~90モル%であり、より好ましくは2~70モル%であり、更に好ましくは3~50モル%であり、特に好ましくは5~20モル%である。
架橋基を有する構成単位は、架橋基を有する高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
架橋基を有する構成単位は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、式(Z)で表される構成単位又は式(Z’)で表される構成単位である。
【0077】
・式(Z)で表される構成単位
nは、通常1~10の整数であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは1~7の整数であり、より好ましくは1~4の整数であり、更に好ましくは1又は2であり、特に好ましくは2である。
nAは、通常0~10の整数であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0~7の整数であり、より好ましくは0~4の整数であり、更に好ましくは0~2の整数である。
【0078】
Arにおける炭化水素基としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基及び置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基が挙げられる。Arにおける炭化水素基は、これらの基が複数結合した基を含む。
Arにおける脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基又はシクロアルキレン基から水素原子n個を除いた基が挙げられ、好ましくは、アルキレン基から水素原子n個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Arにおける芳香族炭化水素基としては、アリーレン基から水素原子n個を除いた基が挙げられ、この基は置換基を有していてもよい。このアリーレン基の例及び好ましい範囲としては、後述のArY1におけるアリーレン基の例及び好ましい範囲が挙げられる。
Arにおける複素環基としては、2価の複素環基から水素原子n個を除いた基が挙げられ、この基は置換基を有していてもよい。この2価の複素環基の例及び好ましい範囲としては、後述のArY1における2価の複素環基の例及び好ましい範囲が挙げられる。
Arにおける少なくとも1種の炭化水素基と少なくとも1種の複素環基とが直接結合した基における、炭化水素基及び複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Arにおける炭化水素基及び複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Arにおける少なくとも1種の炭化水素基と少なくとも1種の複素環基とが直接結合した基としては、例えば、後述のArY1における少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した基から水素原子n個を除いた基が挙げられる。
Arは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、炭化水素基又は複素環基であり、より好ましくは、炭化水素基であり、更に好ましくは、芳香族炭化水素基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0079】
で表されるアリーレン基の例及び好ましい範囲としては、後述のArY1で表されるアリーレン基の例及び好ましい範囲が挙げられ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、Lで表されるアリーレン基は、好ましくは、フェニレン基又はフルオレンジイル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
で表される2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、後述のArY1で表される2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
は、架橋基を有する高分子化合物の合成が容易になるので、好ましくは、アリーレン基又はアルキレン基であり、より好ましくは、フェニレン基、フルオレンジイル基又はアルキレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0080】
R’は、好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R’におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、後述のArY1が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0081】
Ar、L及びR’で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲は、後述のArY1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
Xにおける架橋基の例及び好ましい範囲は、架橋基を有する化合物における架橋基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0082】
・式(Z’)で表される構成単位
mAは、通常0~10の整数であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0~7の整数であり、より好ましくは0~4の整数であり、更に好ましくは0~2の整数であり、特に好ましくは0又は1であり、とりわけ好ましくは0である。
mは、通常0~10の整数であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0~7の整数であり、より好ましくは0~4の整数であり、更に好ましくは0~2の整数であり、特に好ましくは0である。
cは、通常0~10の整数であり、架橋基を有する高分子化合物の製造が容易になり、且つ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0~5の整数であり、より好ましくは0~2の整数であり、更に好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
【0083】
Arにおける炭化水素基及び複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Arにおける炭化水素基及び複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Arにおける少なくとも1種の炭化水素基と少なくとも1種の複素環基とが直接結合した基の例及び好ましい範囲は、Arにおける少なくとも1種の炭化水素基と少なくとも1種の複素環基とが直接結合した基の例及び好ましい範囲と同じである。
Arは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、炭化水素基又は複素環基であり、より好ましくは、炭化水素基であり、更に好ましくは、芳香族炭化水素基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0084】
Ar及びArは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
Ar及びArにおけるアリーレン基の例及び好ましい範囲は、後述のArX1、ArX2、ArX3及びArX4におけるアリーレン基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar及びArにおける2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、後述のArX1、ArX2、ArX3及びArX4における2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar~Arで表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、後述のArY1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0085】
の例及び好ましい範囲は、Lの例及び好ましい範囲と同じである。
R’’の例及び好ましい範囲は、R’の例及び好ましい範囲と同じである。
X’における架橋基の例及び好ましい範囲は、Xで表される架橋基の例及び好ましい範囲と同じである。
X’におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、後述のRX1、RX2及びRX3におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲の例及び好ましい範囲と同じである。
X’は、好ましくは、架橋基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、架橋基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、架橋基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
X’で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、後述のArY1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0086】
架橋基を有する構成単位としては、例えば、下記式で表される構成単位が挙げられる。なお、式中、Zは前記と同じ意味を表す。Xは架橋基A群から選ばれる架橋基を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Xの好ましい範囲は、架橋基を有する化合物における架橋基の好ましい範囲と同じである。
【化27】

【化28】

【化29】

【化30】
【0087】
・その他の構成単位
架橋基を有する高分子化合物は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含むことが好ましく、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位と、架橋基を有する構成単位とを含むことが好ましい。
架橋基を有する高分子化合物が、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位と、架橋基を有する構成単位とを含む場合、架橋基を有する構成単位と、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位とは異なることが好ましい。
架橋基を有する高分子化合物は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましく、式(Y)で表される構成単位と架橋基を有する構成単位とを含むことがより好ましい。
架橋基を有する高分子化合物は、正孔輸送性が優れるので、式(X)で表される構成単位を含むことが好ましく、式(X)で表される構成単位と架橋基を有する構成単位とを含むことがより好ましい。
架橋基を有する高分子化合物は、正孔輸送性が優れ、且つ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましく、式(X)で表される構成単位、式(Y)で表される構成単位及び架橋基を有する構成単位を含むことがより好ましい。
【0088】
架橋基を有する高分子化合物が式(X)で表される構成単位を含む場合、式(X)で表される構成単位の含有量は、架橋基を有する高分子化合物に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、通常、0.1~99モル%であり、架橋基を有する高分子化合物の正孔輸送性が優れ、且つ、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは1~90モル%であり、より好ましくは10~80モル%であり、更に好ましくは20~70モル%であり、特に好ましくは30~50モル%である。
式(X)で表される構成単位は、架橋基を有する高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0089】
架橋基を有する高分子化合物が式(Y)で表される構成単位を含む場合、式(Y)で表される構成単位の含有量は、架橋基を有する高分子化合物に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、通常、0.1~99モル%であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは1~95モル%であり、より好ましくは10~90モル%であり、更に好ましくは20~80モル%であり、特に好ましくは30~70モル%である。
架橋基を有する高分子化合物が式(Y)で表される構成単位を含み、且つ、ArY1が2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である場合、式(Y)で表される構成単位の含有量は、架橋基を有する高分子化合物に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、通常、0.1~99モル%であり、架橋基を有する高分子化合物の電荷輸送性が優れるので、好ましくは1~90モル%であり、より好ましくは5~80モル%であり、更に好ましくは10~70モル%であり、特に好ましくは20~50モル%である。
式(Y)で表される構成単位は、架橋基を有する高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0090】
架橋基を有する高分子化合物が式(X)で表される構成単位、式(Y)で表される構成単位及び架橋基を有する構成単位を含む場合、式(X)で表される構成単位、式(Y)で表される構成単位及び架橋基を有する構成単位の合計の含有量は、架橋基を有する高分子化合物に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、通常、1~100モル%であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは10~100モル%であり、より好ましくは30~100モル%であり、更に好ましくは50~100モル%であり、特に好ましくは70~100モル%であり、とりわけ好ましくは90~100モル%である。
【0091】
・式(Y)で表される構成単位
ArY1で表されるアリーレン基は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらは置換基を有していてもよい。
ArY1で表される2価の複素環基は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン又は5,10-ジヒドロフェナジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子又は窒素原子、より好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン又はフェノチアジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子又は窒素原子、より好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらは置換基を有していてもよい。
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲は、それぞれ、ArY1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲と同じである。
【0092】
ArY1において、「少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基」としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
【化31】
【0093】
ArY1は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、置換基を有していてもよいアリーレン基であることが好ましい。
【0094】
ArY1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、特に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
ArY1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらは更に置換基を有していてもよい。
ArY1で表される基が有してもよい置換基における1価の複素環基は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン又は5,10-ジヒドロフェナジンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン又はフェノチアジンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらは更に置換基を有していてもよい。
ArY1で表される基が有してもよい置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArY1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0095】
ArY1で表される基が有してもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
ArY1で表される基が有してもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArY1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0096】
式(Y)で表される構成単位は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、式(Y-1)又は式(Y-2)で表される構成単位である。
【化32】

[式中、
Y1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
Y1は、-C(RY2-、-C(RY2)=C(RY2)-又は-C(RY2-C(RY2-で表される基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。複数存在するRY2は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
【0097】
Y1は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、更に好ましくは、水素原子又はアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式(Y-1)において、RY1の少なくとも1つは(好ましくは、RY1の少なくとも2つは)、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくは、アルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0098】
Y2は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0099】
Y1及びRY2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArY1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
Y1及びRY2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArY1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0100】
Y1は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは、-C(RY2-又は-C(RY2-C(RY2-で表される基であり、より好ましくは、-C(RY2-で表される基である。
【0101】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、下記式で表される構成単位が挙げられる。なお、式中、Z及びZは前記と同じ意味を表す。
【化33】

【化34】

【化35】
【0102】
・式(X)で表される構成単位
X1及びaX2は、通常0~10の整数であり、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、好ましくは0~5の整数であり、より好ましくは0~3の整数であり、更に好ましくは0~2の整数であり、特に好ましくは0又は1である。
【0103】
X1、RX2及びRX3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
X1、RX2及びRX3におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArY1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0104】
ArX1、ArX2、ArX3及びArX4におけるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArY1におけるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArY1におけるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
ArX2及びArX4における少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、ArY1における少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様のものが挙げられる。
ArX1、ArX2、ArX3及びArX4は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArY1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0105】
式(X)で表される構成単位としては、下記式で表される構成単位が挙げられる。なお、式中、Zは前記と同じ意味を表す。
【化36】

【化37】

【化38】
【0106】
架橋基を有する高分子化合物としては、例えば、表1に示す高分子化合物P-1~P-10が挙げられる。ここで、「その他」とは、式(Z)で表される構成単位、式(Z’)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。
【0107】
【表1】
【0108】
表1中、p’、q’、r’、s’及びt’は、各構成単位のモル比率(モル%)を表す。p’+q’+r’+s’+t’=100であり、且つ、70≦p’+q’+r’+s’≦100である。
【0109】
架橋基を有する高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合した共重合体であることが好ましい。
架橋基を有する高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは5×10~1×10であり、より好ましくは1×10~5×10であり、更に好ましくは1.5×10~2×10であり、特に好ましくは2×10~1×10である。架橋基を有する高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1×10~2×10であり、より好ましくは2×10~1×10であり、更に好ましくは5×10~5×10であり、特に好ましくは1×10~3×10である。
【0110】
・架橋基を有する高分子化合物の製造方法
架橋基を有する高分子化合物は、ケミカルレビュー(Chem. Rev.),第109巻,897-1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いて製造することができ、Suzuki反応、Yamamoto反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応及びKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応により重合させる方法が例示される。
上記重合方法において、単量体を仕込む方法としては、単量体全量を反応系に一括して仕込む方法、単量体の一部を仕込んで反応させた後、残りの単量体を一括、連続又は分割して仕込む方法、単量体を連続又は分割して仕込む方法等が挙げられる。
遷移金属触媒としては、パラジウム触媒、ニッケル触媒等が挙げられる。
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独又は組み合わせて行う。架橋基を有する高分子化合物の純度が低い場合、例えば、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
【0111】
・架橋基を有する低分子化合物
架橋基を有する低分子化合物は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、式(Z’’)で表される低分子化合物であることが好ましい。
【0112】
B1の例及び好ましい範囲は、mAの例及び好ましい範囲と同じである。
B2の例及び好ましい範囲は、cの例及び好ましい範囲と同じである。
B3の例及び好ましい範囲は、mの例及び好ましい範囲と同じである。
Arの例及び好ましい範囲は、Arの例及び好ましい範囲と同じである。
B1の例及び好ましい範囲は、Lの例及び好ましい範囲と同じである。
R’’’の例及び好ましい範囲は、R’’の例及び好ましい範囲と同じである。
X’’の例及び好ましい範囲は、X’の例及び好ましい範囲と同じである。
【0113】
架橋基を有する低分子化合物としては、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
【化39】

【化40】

【化41】

【化42】
【0114】
[第2の組成物]
第2の層は、式(T-1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(A-2)と、架橋基を有する化合物の架橋体と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含む組成物(以下、「第2の組成物」ともいう。)を含有する層であってもよい。第2の層において、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び発光材料は、化合物(A-2)及び架橋基を有する化合物の架橋体とは異なる。
第2の組成物には、化合物(A-2)、架橋基を有する化合物の架橋体、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤が、それぞれ、1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
第2の組成物に含有される正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び酸化防止剤の例及び好ましい範囲は、第1の組成物に含有される正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び酸化防止剤の例及び好ましい範囲と同じである。第2の組成物に含有される発光材料としては、第1の組成物に含有される発光材料及び燐光発光性化合物が挙げられ、これらの例及び好ましい範囲は、それぞれ、第1の組成物に含有される発光材料及び燐光発光性化合物の例及び好ましい範囲と同じである。
第2の組成物において、化合物(A-2)、架橋基を有する化合物の架橋体、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤の合計の含有量は、第2の組成物としての機能が奏される範囲であればよい。第2の組成物において、化合物(A-2)、架橋基を有する化合物の架橋体、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤の合計の含有量は、例えば、第2の組成物の全量基準で1~100質量%であってもよく、10~100質量%であってもよく、30~100質量%であってもよく、更に好ましくは50~100質量%であってもよく、70~100質量%であってもよく、90~100質量%であってもよい。
第2の組成物において、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び発光材料の含有量は、各々、化合物(A-2)と架橋基を有する化合物の架橋体との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、1~1000質量部である。
第2の組成物に含有される酸化防止剤の例及び好ましい範囲は、第1の組成物に含有される酸化防止剤の例及び好ましい範囲と同じである。第2の組成物において、酸化防止剤の含有量は、化合物(A-2)と架橋基を有する化合物の架橋体との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、0.001~10質量部である。
【0115】
・第2のインク
第2の層は、例えば、化合物(A-2)と、架橋基を有する化合物と、溶媒とを含有する組成物(以下、「第2のインク」ともいう。)を用いて形成することができる。第2のインクは、第1のインクの項で説明した湿式法に好適に使用することができる。第2のインクの粘度の好ましい範囲は、第1のインクの粘度の好ましい範囲と同じである。第2のインクに含有される溶媒の例及び好ましい範囲は、第1のインクに含有される溶媒の例及び好ましい範囲と同じである。
第2のインクにおいて、溶媒の含有量は、化合物(A-2)と架橋基を有する化合物との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、1000~100000質量部である。
第2のインクは、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含んでいてもよい。
第2のインクが更に含んでいてもよい、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤の例及び好ましい範囲は、第2の組成物に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤の例及び好ましい範囲と同じである。
第2のインクが更に含んでいてもよい、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の含有量は、各々、化合物(A-2)と架橋基を有する化合物との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、1~1000質量部である。第2のインクが更に含んでいてもよい酸化防止剤の含有量は、化合物(A-2)と架橋基を有する化合物との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、0.001~10質量部である。
【0116】
<発光素子>
本実施形態の発光素子は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第1の層及び第2の層とを有する発光素子である。
本実施形態の発光素子は、陽極、陰極、第1の層及び第2の層以外の層を更に有していてもよい。
【0117】
本実施形態の発光素子は、発光効率が優れる。このような効果を奏する理由は、必ずしも明らかではないが、陽極及び陰極の間に設けられた2層(第1の層及び第2の層)に、式(T-1)で表される化合物(化合物(A-1)及び化合物(A-2))を含有させることで、例えば、層界面における電荷注入障壁の低減、層間の電荷注入性の改善等をもたらし、本実施形態の発光素子の発光効率が向上すると考えられる。
【0118】
上記の観点から、本実施形態の発光素子において、化合物(A-1)の少なくとも1種と化合物(A-2)の少なくとも1種とは、同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
上記の観点から、第1の層と第2の層とは、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、隣接していることが好ましい。
【0119】
第1の層は、通常、発光層(以下、「第1の発光層」と言う。)である。
第2の層は、通常、正孔注入層、正孔輸送層、発光層(即ち、第1の発光層とは別個の発光層であり、以下、「第2の発光層」と言う。)又は電子輸送層であり、好ましくは、正孔注入層、正孔輸送層又は第2の発光層であり、更に好ましくは、正孔注入層又は正孔輸送層であり、特に好ましくは正孔輸送層である。
【0120】
第2の層は、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、陽極及び第1の層の間に設けられた層であることが好ましく、陽極及び第1の層の間に設けられた正孔注入層、正孔輸送層又は第2の発光層であることがより好ましく、陽極及び第1の層の間に設けられた正孔注入層又は正孔輸送層であることが更に好ましく、陽極及び第1の層の間に設けられた正孔輸送層であることが特に好ましい。
【0121】
第2の層が陽極及び第1の層の間に設けられた第2の発光層である場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、陽極と第2の層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。また、第2の層が陽極及び第1の層の間に設けられた第2の発光層である場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、陰極と第1の層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
第2の層が陰極及び第1の層の間に設けられた第2の発光層である場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、陽極と第1の層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。また、第2の層が陰極及び第1の層の間に設けられた第2の発光層である場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、陰極と第2の層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
第2の層が陽極及び第1の層の間に設けられた正孔輸送層である場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、陽極と第2の層との間に、正孔注入層を更に有することが好ましい。また、第2の層が陽極及び第1の層の間に設けられた正孔輸送層である場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、陰極と第1の層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
第2の層が陽極及び第1の層の間に設けられた正孔注入層である場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、第1の層と第2の層との間に、正孔輸送層を更に有することが好ましい。また、第2の層が陽極及び第1の層の間に設けられた正孔注入層である場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、陰極と第1の層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
第2の層が陰極及び第1の層の間に設けられた電子輸送層である場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、陽極と第1の層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。また、第2の層が陰極及び第1の層の間に設けられた電子輸送層である場合、本実施形態の発光素子の発光効率がより優れるので、陰極と第2の層との間に、電子注入層を更に有することが好ましい。
【0122】
本実施形態の発光素子の具体的な層構成としては、例えば、下記の(D1)~(D17)で表される層構成が挙げられる。本実施形態の発光素子は、通常、基板を有するが、基板上に陽極から積層されていてもよく、基板上に陰極から積層されていてもよい。
【0123】
(D1)陽極/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/陰極
(D2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/陰極
(D3)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/陰極
(D4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子注入層/陰極
(D5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/第2の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第2の発光層/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D8)陽極/第2の発光層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/陰極
(D9)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/陰極
(D10)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子注入層/陰極
(D11)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D12)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第2の発光層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D13)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層(第1の層)/第2の発光層(第2の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D14)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層(第2の層)/電子注入層/陰極
(D15)陽極/正孔注入層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/陰極
(D16)陽極/正孔注入層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D17)陽極/正孔注入層(第2の層)/正孔輸送層/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0124】
上記の(D1)~(D17)中、「/」は、その前後の層が隣接して積層していることを意味する。例えば、「正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)」とは、正孔輸送層(第2の層)と第1の発光層(第1の層)とが隣接して積層していることを意味する。
【0125】
本実施形態の発光素子において、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極は、それぞれ、必要に応じて、2層以上設けられていてもよい。陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極が複数存在する場合、それらを構成する材料はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第1の層、第2の層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極の厚さは、通常、1nm~1μmであり、好ましくは2nm~500nmであり、更に好ましくは5nm~150nmである。
本実施形態の発光素子において、積層する層の順番、数、及び厚さは、発光素子の発光効率及び輝度寿命等を勘案して調整すればよい。
【0126】
[第1の発光層]
第1の発光層は、通常、第1の層である。
【0127】
[第2の発光層]
第2の発光層は、通常、第2の層又は発光材料を含有する層であり、好ましくは、発光材料を含有する層である。第2の発光層が発光材料を含有する層である場合、第2の発光層に含有される発光材料としては、例えば、前述の第2の組成物が含有していてもよい発光材料が挙げられる。第2の発光層に含有される発光材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が第2の発光層を有し、且つ、後述の正孔注入層、後述の正孔輸送層及び後述の電子輸送層が第2の層ではない場合、第2の発光層は第2の層であることが好ましい。
【0128】
[正孔輸送層]
正孔輸送層は、第2の層又は正孔輸送材料を含有する層であり、好ましくは、第2の層である。正孔輸送層が正孔輸送材料を含有する層である場合、正孔輸送材料としては、例えば、前述の第2の組成物が含有していてもよい正孔輸送材料が挙げられる。正孔輸送層に含有される正孔輸送材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が正孔輸送層を有し、且つ、後述の正孔注入層、前述の第2の発光層及び後述の電子輸送層が第2の層ではない場合、正孔輸送層は第2の層であることが好ましい。
【0129】
[電子輸送層]
電子輸送層は、第2の層又は電子輸送材料を含有する層であり、好ましくは、電子輸送材料を含有する層である。電子輸送層が電子輸送材料を含有する層である場合、電子輸送層に含有される電子輸送材料としては、例えば、前述の第2の組成物が含有していてもよい電子輸送材料が挙げられる。電子輸送層に含有される電子輸送材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が電子輸送層を有し、且つ、後述の正孔注入層、前述の第2の発光層及び前述の正孔輸送層が第2の層ではない場合、電子輸送層は第2の層であることが好ましい。
【0130】
[正孔注入層]
正孔注入層は、第2の層又は正孔注入材料を含有する層であり、好ましくは、正孔注入材料を含有する層である。正孔注入層が正孔注入材料を含有する層である場合、正孔注入層に含有される正孔注入材料としては、例えば、前述の第2の組成物が含有していてもよい正孔注入材料が挙げられる。正孔注入層に含有される正孔注入材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が正孔注入層を有し、且つ、前述の第2の発光層、前述の正孔輸送層及び前述の電子輸送層が第2の層ではない場合、正孔注入層は第2の層であることが好ましい。
【0131】
[電子注入層]
電子注入層は、電子注入材料を含有する層である。電子注入層に含有される電子注入材料としては、例えば、前述の第2の組成物が含有していてもよい電子注入材料が挙げられる。電子注入層に含有される電子注入材料は、1種単独が含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
【0132】
[基板/電極]
発光素子における基板は、電極の形成及び有機層の形成の際に、化学的に変化しない基板であることが好ましい。基板は、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板であってよい。不透明な基板を使用する場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、インジウム-銀合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-マグネシウム合金、リチウム-インジウム合金、カルシウム-アルミニウム合金が挙げられる。
本実施形態の発光素子において、陽極及び陰極の少なくとも一方は、通常、透明又は半透明であるが、陽極が透明又は半透明であることが好ましい。
陽極及び陰極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法及びラミネート法が挙げられる。
【0133】
[発光素子の製造方法]
本実施形態の発光素子の製造方法において、第1の層、第2の層、並びに、第1の層及び第2の層以外の層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、真空蒸着法等の乾式法及び第1のインクの項で説明した湿式法が挙げられ、また、高分子化合物を用いる場合、例えば、第1のインクの項で説明した湿式法が挙げられる。本実施形態の発光素子の製造方法において、第1の層、第2の層、並びに、第1の層及び第2の層以外の層は、上述した各種インク、各種材料を含むインクを用いて、第1のインクの項で説明した湿式法により形成してもよいし、真空蒸着法等の乾式法により形成してもよい。
【0134】
第1の層及び第2の層の形成方法としては、例えば、乾式法及び湿式法が挙げられ、本実施形態の発光素子の製造が容易になるので、湿式法が好ましい。第1の層及び第2の層の形成方法において、乾式法としては、例えば、真空蒸着法が挙げられる。第1の層及び第2の層の形成方法において、湿式法としては、例えば、第1のインクの項で説明した湿式法が挙げられる。
第1の層を湿式法により形成する場合、本実施形態の発光素子の製造が容易になるので、第1のインクを用いることが好ましい。すなわち、第1の層は、第1のインクを用いた湿式法により形成することが好ましい。
第2の層を湿式法により形成する場合、本実施形態の発光素子の製造が容易になるので、第2のインクを用いることが好ましい。すなわち、第2の層は、第2のインクを用いた湿式法により形成することが好ましい。
【0135】
本実施形態の発光素子の製造方法において、架橋基を有する化合物の架橋体を含有する層(例えば、第2の層)は、例えば、架橋基を有する化合物を含有する層を形成後、加熱又は光照射(好ましくは、加熱)することで、該層に含有される架橋基を有する化合物を架橋させることで形成することができる。架橋基を有する化合物が架橋した状態(架橋基を有する化合物の架橋体)で、層に含有されている場合、該層は溶媒に対して実質的に不溶化されている。そのため、架橋基を有する化合物の架橋体を含有する層は、本実施形態の発光素子の製造において、層の積層化に好適に使用することができる。
【0136】
上記観点から、本実施形態の発光素子の製造方法において、第2の層を形成する工程は、架橋基を有する化合物を含有する層を形成後、該層に含まれる架橋基を有する化合物を架橋させて、架橋基を有する化合物の架橋体を含有する第2の層を形成する工程を含むことが好ましい。第2の層を形成する工程において、架橋基を有する化合物を架橋させる方法としては、本実施形態の発光素子の製造が容易になるので、加熱又は光照射により架橋させる方法が好ましく、加熱により架橋させる方法がより好ましい。
【0137】
架橋させるための加熱の温度は、通常、25℃~300℃であり、好ましくは50℃~260℃であり、より好ましくは130℃~230℃であり、更に好ましくは180℃~210℃である。
加熱の時間は、通常、0.1分~1000分であり、好ましくは0.5分~500分であり、より好ましくは1分~120分であり、更に好ましくは10分~60分である。
光照射に用いられる光の種類は、例えば、紫外光、近紫外光、可視光である。
【0138】
第2の層を形成する工程としては、例えば、第2のインクを用いた湿式法により、層を形成後、該層に含有される架橋基を有する化合物を架橋させて、第2の層を形成する方法;架橋基を有する化合物及び化合物(A-2)を用いて、乾式法又は湿式法により、層を形成後、該層に含有される架橋基を有する化合物を架橋させて、第2の層を形成する方法;並びに、架橋基を有する化合物を用いて、乾式法又は湿式法(好ましくは湿式法)により、架橋基を有する化合物を含有する層を形成し、該層に含有される架橋基を有する化合物を架橋させて、架橋基を有する化合物の架橋体を含有する層を形成後、該架橋体を含有する層に化合物(A-2)を含有させて、第2の層を形成する方法が挙げられる。
【0139】
第1の層、第2の層、又は、第1の層及び第2の層以外の層に含有される成分の分析方法としては、例えば、抽出等の化学的分離分析法、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴分光法(NMR)、質量分析法(MS)等の機器分析法、並びに、化学的分離分析法及び機器分析法を組み合わせた分析法が挙げられる。
第1の層、第2の層、又は、第1の層及び第2の層以外の層に対して、トルエン、キシレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒を用いた固液抽出を行うことで、有機溶媒に対して実質的に不溶な成分(不溶成分)と、有機溶媒に対して溶解する成分(溶解成分)とに分離することが可能である。不溶成分は赤外分光法又は核磁気共鳴分光法により分析することが可能であり、溶解成分は核磁気共鳴分光法又は質量分析法により分析することが可能である。
【0140】
本実施形態の発光素子は、例えば、基板上に各層を順次積層することにより製造することができる。具体的には、基板上に陽極を設け、その上に正孔注入層、正孔輸送層等の層を設け、その上に発光層を設け、その上に電子輸送層、電子注入層等の層を設け、更にその上に、陰極を積層することにより、発光素子を製造することができる。他の製造方法としては、基板上に陰極を設け、その上に電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層等の層を設け、更にその上に、陽極を積層することにより、発光素子を製造することができる。更に他の製造方法としては、陽極又は陽極上に各層を積層した陽極側基材と陰極又は陰極上に各層を積層させた陰極側基材とを、対向させて接合することにより製造することができる。
【0141】
本実施形態の発光素子の製造において、正孔注入層の形成に用いる材料、発光層の形成に用いる材料、正孔輸送層の形成に用いる材料、電子輸送層の形成に用いる材料、及び、電子注入層の形成に用いる材料が、各々、正孔注入層、発光層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することが回避されることが好ましい。材料の溶解を回避する方法としては、i)架橋基を有する材料を用いる方法、又は、ii)隣接する層の溶媒への溶解性に差を設ける方法が好ましい。上記i)の方法では、架橋基を有する材料を用いて層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。また、上記ii)の方法としては、例えば、発光層の上に、溶解性の差を利用して電子輸送層を積層する場合、発光層に対して溶解性の低いインクを用いることで電子輸送層を発光層上に積層することができる。
【0142】
[用途]
本実施形態の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の光源、照明用の光源、有機EL照明、コンピュータ、テレビ及び携帯端末等の表示装置(例えば、有機ELディスプレイ及び有機ELテレビ)として好適に用いることができる。
【実施例
【0143】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0144】
実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及びポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、移動相にテトラヒドロフランを用い、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)により求めた。なお、SECの各測定条件は、次のとおりである。
測定する高分子化合物を約0.05質量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入した。移動相は、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED-B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV-VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD-10Avp)を用いた。
【0145】
<化合物M1~M15の合成>
化合物M1は特開2010-189630号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M2は特開2008-106241号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M3は特開2010-215886号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M4、化合物M9及び化合物M15は国際公開第2002/045184号に記載の方法に準じて合成した。
化合物M5は国際公開第2005/049546号に記載の方法に従って合成した。
化合物M6は国際公開第2011/049241号に記載の方法に従って合成した。
化合物M7は国際公開第2015/145871号に記載の方法に従って合成した。
化合物M8は国際公開第2013/146806号に記載の方法に従って合成した。
化合物M10は特開2014-001328号公報に記載の方法に準じて合成した。
化合物M11は国際公開第2016/031639号に記載の方法に従って合成した。
化合物M12及び化合物M14は特開2011-174062号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M13は特開2010-215886号公報に記載の方法に準じて合成した。
【化43】

【化44】

【化45】
【0146】
<高分子化合物HTL-1~HTL-8の合成>
高分子化合物HTL-1~HTL-8は、表2に記載の種類及びモル比の化合物を用いて、同表に記載の合成方法で合成した。得られた高分子化合物のMn及びMwは、表2に記載のとおりであった。
なお、高分子化合物HTL-1の合成を一例として説明すると、以下のとおりである。
高分子化合物HTL-1は、化合物M1、化合物M2、化合物M3及び化合物M4を用いて、特開2015-110751号公報に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HTL-1のMnは5.9×10であり、Mwは2.5×10であった。
高分子化合物HTL-1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物M4から誘導される構成単位とを、50:5:5:40のモル比で有する共重合体である。
【0147】
【表2】
【0148】
<化合物HTM-1の入手>
化合物HTM-1はLuminescence Technology社より購入した。
【化46】
【0149】
<化合物T1~T12及び化合物CT1の合成及び入手>
化合物T1は特開2015-110751号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物T2は特開2010-189630号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物T3は国際公開第2010/136109号に記載の方法に準じて合成した。
化合物T4は国際公開第2008/056746号に記載の方法に準じて合成した。
化合物T5~T10及び化合物CT1はLuminescence Technology社より購入した。
化合物T11は特開2010-254676号公報に記載の方法に準じて合成した。
化合物T12は国際公開第2010/015306号に記載の方法に準じて合成した。
【化47】

【化48】

【化49】

【化50】
【0150】
<金属錯体G1、G2及びR1の合成>
金属錯体G1は国際公開第2009/131255号に記載の方法に従って合成した。
金属錯体G2は国際公開第2011/032626号に記載の方法に準じて合成した。
金属錯体R1は特開2006-188673号公報に記載の方法に準じて合成した。
【化51】
【0151】
<実施例D1> 発光素子D1の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ-1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0152】
(第2の層の形成)
クロロベンゼンに、高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)を0.5質量%の濃度で溶解させた。得られたクロロベンゼン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより第2の層(正孔輸送層)を形成した。この加熱により、高分子化合物HTL-1は、架橋した状態(架橋体)となった。
【0153】
(第1の層の形成)
クロロベンゼンに、化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)を3質量%の濃度で溶解させた。得られたクロロベンゼン溶液を用いて、第2の層の上にスピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより第1の層(発光層)を形成した。
【0154】
(陰極の形成)
第1の層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、第1の層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D1を作製した。
【0155】
(発光素子の評価)
発光素子D1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D1の100cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0156】
<実施例D2> 発光素子D2の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「クロロベンゼンに、高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)を0.5質量%の濃度で溶解させた。」に代えて、「キシレンに、高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)を0.7質量%の濃度で溶解させた。」とし、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「クロロベンゼンに、化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)を3質量%の濃度で溶解させた。」に代えて、「クロロベンゼンに、化合物T1及び金属錯体G2(化合物T1/金属錯体G2=70質量%/30質量%)を2質量%の濃度で溶解させた。」とした以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D2を作製した。
発光素子D2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D2の100cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0157】
<比較例CD1> 発光素子CD1の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表3に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD1を作製した。
発光素子CD1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD1の100cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0158】
実施例D1~D2及び比較例CD1の結果を表3に示す。発光素子CD1の発光効率を1.0としたときの発光素子D1及びD2の発光効率の相対値を示す。
【0159】
【表3】
【0160】
<実施例D3及び比較例CD2> 発光素子D3及びCD2の作製と評価
実施例D2の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表4に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D2の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G2(化合物T1/金属錯体G2=70質量%/30質量%)」に代えて、表4に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D2と同様にして、発光素子D3及びCD2を作製した。
発光素子D3及びCD2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D3及びCD2の400cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0161】
<実施例D4~D5> 発光素子D4及びD5の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表4に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)」に代えて、表4に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D4及びD5を作製した。
発光素子D4及びD5に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D4及びD5の400cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0162】
実施例D3~D5及び比較例CD2の結果を表4に示す。発光素子CD2の発光効率を1.0としたときの発光素子D3~D5の発光効率の相対値を示す。
【0163】
【表4】
【0164】
<実施例D6> 発光素子D6の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表5に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)」に代えて、表5に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D6を作製した。
発光素子D6に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D6の400cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0165】
<実施例D7及び比較例CD3> 発光素子D7及びCD3の作製と評価
実施例D2の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表5に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D2の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G2(化合物T1/金属錯体G2=70質量%/30質量%)」に代えて、表5に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D2と同様にして、発光素子D7及びCD3を作製した。
発光素子D7及びCD3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D7及びCD3の400cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0166】
実施例D6~D7及び比較例CD3の結果を表5に示す。発光素子CD3の発光効率を1.0としたときの発光素子D6及びD7の発光効率の相対値を示す。
【0167】
【表5】
【0168】
<実施例D8及び比較例CD4> 発光素子D8及びCD4の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表6に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)」に代えて、表6に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D8及びCD4を作製した。
発光素子D8及びCD4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D8及びCD4の30000cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0169】
実施例D8及び比較例CD4の結果を表6に示す。発光素子CD4の発光効率を1.0としたときの発光素子D8の発光効率の相対値を示す。
【0170】
【表6】
【0171】
<実施例D9及び比較例CD5> 発光素子D9及びCD5の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表7に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)」に代えて、表7に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D9及びCD5を作製した。
発光素子D9及びCD5に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D9及びCD5の400cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0172】
実施例D9及び比較例CD5の結果を表7に示す。発光素子CD5の発光効率を1.0としたときの発光素子D9の発光効率の相対値を示す。
【0173】
【表7】
【0174】
<実施例D10及び比較例CD6> 発光素子D10及びCD6の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表8に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)」に代えて、表8に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D10及びCD6を作製した。
発光素子D10及びCD6に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D10及びCD6の400cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0175】
実施例D10及び比較例CD6の結果を表8に示す。発光素子CD6の発光効率を1.0としたときの発光素子D10の発光効率の相対値を示す。
【0176】
【表8】
【0177】
<実施例D11~D13及び比較例CD7> 発光素子D11~D13及びCD7の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表9に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)」に代えて、表9に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D11~D13及びCD7を作製した。
発光素子D11~D13及びCD7に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D11~D13及びCD7の100cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0178】
実施例D11~D13及び比較例CD7の結果を表9に示す。発光素子CD7の発光効率を1.0としたときの発光素子D11~D13の発光効率の相対値を示す。
【0179】
【表9】
【0180】
<実施例D14及び比較例CD8> 発光素子D14及びCD8の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表10に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)」に代えて、表10に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D14及びCD8を作製した。
発光素子D14及びCD8に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D14及びCD8の400cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0181】
実施例D14及び比較例CD8の結果を表10に示す。発光素子CD8の発光効率を1.0としたときの発光素子D14の発光効率の相対値を示す。
【0182】
【表10】
【0183】
<実施例D15及び比較例CD9> 発光素子D15及びCD9の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表11に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)」に代えて、表11に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D15及びCD9を作製した。
発光素子D15及びCD9に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D15及びCD9の50cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0184】
実施例D15及び比較例CD9の結果を表11に示す。発光素子CD9の発光効率を1.0としたときの発光素子D15の発光効率の相対値を示す。
【0185】
【表11】
【0186】
<実施例D16~D19及び比較例CD10> 発光素子D16~D19及びCD10の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表12に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)」に代えて、表12に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D16~D19及びCD10を作製した。
発光素子D16~D19及びCD10に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D16~D19及びCD10の50cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0187】
実施例D16~D19及び比較例CD10の結果を表12に示す。発光素子CD10の発光効率を1.0としたときの発光素子D16~D19の発光効率の相対値を示す。
【0188】
【表12】
【0189】
<実施例D20~D22及び比較例CD11> 発光素子D20~D22及びCD11の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表13に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)」に代えて、表13に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D20~D22及びCD11を作製した。
発光素子D20~D22及びCD11に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D20~D22及びCD11の25cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0190】
実施例D20~D22及び比較例CD11の結果を表13に示す。発光素子CD11の発光効率を1.00としたときの発光素子D20~D22の発光効率の相対値を示す。
【0191】
【表13】
【0192】
<実施例D23及び比較例CD12> 発光素子D23及びCD12の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表14に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)」に代えて、表14に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D23及びCD12を作製した。
発光素子D23及びCD12に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D23及びCD12の50cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0193】
実施例D23及び比較例CD12の結果を表14に示す。発光素子CD12の発光効率を1.0としたときの発光素子D23の発光効率の相対値を示す。
【0194】
【表14】
【0195】
<比較例CD13及びCD14> 発光素子CD13及びCD14の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T1(高分子化合物HTL-1/化合物T1=90質量%/10質量%)」に代えて、表15に記載の材料及び組成比(質量%)を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物T1及び金属錯体G1(化合物T1/金属錯体G1=70質量%/30質量%)」に代えて、表15に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD13及びCD14を作製した。
発光素子CD13及びCD14に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD13及びCD14の400cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0196】
比較例CD13及びCD14の結果を表15に示す。発光素子CD14の発光効率を1.0としたときの発光素子CD13の発光効率の相対値を示す。
【0197】
【表15】
【0198】
<実施例D24> 発光素子D24の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ-1200(Plextronics社製)をスピンコート法により65nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0199】
(第2の層の形成)
クロロベンゼンに、高分子化合物HTL-1及び化合物T3(高分子化合物HTL-1/化合物T3=90質量%/10質量%)を0.5質量%の濃度で溶解させた。得られたクロロベンゼン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより第2の層(正孔輸送層)を形成した。この加熱により、高分子化合物HTL-1は、架橋した状態(架橋体)となった。
【0200】
(第1の層の形成)
クロロベンゼンに、化合物T3及び金属錯体R1(化合物T3/金属錯体R1=90質量%/10質量%)を3質量%の濃度で溶解させた。得られたクロロベンゼン溶液を用いて、第2の層の上にスピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより第1の層(発光層)を形成した。
【0201】
(陰極の形成)
第1の層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、第1の層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D24を作製した。
【0202】
(発光素子の評価)
発光素子D24に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D24の50cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0203】
<比較例CD15> 発光素子CD15の作製と評価
実施例D24の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T3(高分子化合物HTL-1/化合物T3=90質量%/10質量%)」に代えて、表16に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D24と同様にして、発光素子CD15を作製した。
発光素子CD15に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD15の50cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0204】
実施例D24及び比較例CD15の結果を表16に示す。発光素子CD15の発光効率を1.0としたときの発光素子D24の発光効率の相対値を示す。
【0205】
【表16】
【0206】
<実施例D25及び比較例CD16> 発光素子D25及びCD16の作製と評価
実施例D24の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL-1及び化合物T3(高分子化合物HTL-1/化合物T3=90質量%/10質量%)」に代えて、表17に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D24と同様にして、発光素子D25及びCD16を作製した。
発光素子D25及びCD16に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D25及びCD16の100cd/mにおける発光効率[lm/W]及びCIE色度座標を測定した。
【0207】
実施例D25及び比較例CD16の結果を表17に示す。発光素子CD16の発光効率を1.0としたときの発光素子D25の発光効率の相対値を示す。
【0208】
【表17】