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特許7080272着色組成物、2色性色素化合物、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】着色組成物、2色性色素化合物、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20220527BHJP
   C09B 33/12 20060101ALI20220527BHJP
   C08F 20/38 20060101ALI20220527BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
G02B5/30
C09B33/12
C08F20/38
C09B67/20 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020066745
(22)【出願日】2020-04-02
(62)【分割の表示】P 2018504475の分割
【原出願日】2017-03-06
(65)【公開番号】P2020117716
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2020-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2016044909
(32)【優先日】2016-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】水村 理俊
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆志
(72)【発明者】
【氏名】星野 渉
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-101328(JP,A)
【文献】特開2011-237513(JP,A)
【文献】特開2014-095899(JP,A)
【文献】特開2014-092794(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0303677(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00 - 69/10
C08F 20/38
G02B 5/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(2)で表される構造を有し、かつ、ハンセン溶解度パラメータが17.5~26.0である2色性色素化合物と、
ハンセン溶解度パラメータが18.0~30.0である液晶性化合物と、を含有する着色組成物を用いて形成され、
前記2色性色素化合物のハンセン溶解度パラメータと、前記液晶性化合物のハンセン溶解度パラメータとの差の絶対値が0~3.1である、光吸収異方性膜。
【化1】
前記式(2)中、Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。
前記式(2)中、LおよびLは、それぞれ独立に、置換基を表す。
前記式(2)中、Eは、窒素原子を表す。
前記式(2)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアルコキシ基のいずれかの基または原子を表す。
前記式(2)中、Rは、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
前記式(2)中、Rは、水素原子または置換基を表す。
前記式(2)中、nは1である。
【請求項2】
下記式(2)で表される構造を有し、かつ、ハンセン溶解度パラメータが17.5~26.0である2色性色素化合物と、
ハンセン溶解度パラメータが18.0~22.2である液晶性化合物と、を含有する着色組成物を用いて形成され、
前記着色組成物中において、前記2色性色素化合物の含有量が前記液晶性化合物100質量部に対して5~50質量部である、光吸収異方性膜。
【化2】
前記式(2)中、Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。
前記式(2)中、LおよびLは、それぞれ独立に、置換基を表す。
前記式(2)中、Eは、窒素原子を表す。
前記式(2)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアルコキシ基のいずれかの基または原子を表す。
前記式(2)中、Rは、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
前記式(2)中、Rは、水素原子または置換基を表す。
前記式(2)中、nは1である。
【請求項3】
前記式(2)において、Aがフェニレン基である、請求項1又は2に記載の光吸収異方性膜。
【請求項4】
前記式(2)において、LおよびLの少なくとも一方が架橋性基を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の光吸収異方性膜。
【請求項5】
前記式(2)において、LおよびLの両方が架橋性基を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の光吸収異方性膜。
【請求項6】
前記架橋性基が、アクリロイル基またはメタクリロイル基である、請求項4または5に記載の光吸収異方性膜。
【請求項7】
前記2色性色素化合物のハンセン溶解度パラメータが18.0~24.8である、請求項1~6のいずれか1項に記載の光吸収異方性膜。
【請求項8】
前記液晶性化合物のハンセン溶解度パラメータが20.0~28.0である、請求項1~7のいずれか1項に記載の光吸収異方性膜。
【請求項9】
前記2色性色素化合物のハンセン溶解度パラメータと、前記液晶性化合物のハンセン溶解度パラメータとの差の絶対値が0よりも大きい、請求項1に記載の光吸収異方性膜。
【請求項10】
基材と、
前記基材上に形成された請求項1~9のいずれか1項に記載の光吸収異方性膜と、
を有する、積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色組成物、2色性色素化合物、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザー光または自然光を含む照射光の減衰機能、偏光機能、散乱機能または遮光機能等が必要となった際には、それぞれの機能ごとに異なった原理によって作動する装置を利用していた。そのため、上記の機能に対応する製品も、それぞれの機能別に異なった製造工程によって製造されていた。
例えば、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)では、表示における旋光性または複屈折性を制御するために直線偏光板または円偏光板が用いられている。また、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)においても、外光の反射防止のために円偏光板が使用されている。
【0003】
従来、これらの偏光板(偏光素子)には、ヨウ素が2色性物質として広く使用されてきたが、ヨウ素の代わりに有機色素を2色性物質として使用する偏光素子についても検討されている。
例えば、特許文献1には、「少なくとも1種のサーモトロピック液晶性二色性色素、及び少なくとも1種のサーモトロピック液晶性高分子を含有し、上記サーモトロピック液晶性二色性色素の光吸収異方性膜中における質量含有率が30%以上であることを特徴とする光吸収異方性膜。」が記載されている([請求項1])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-237513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、特許文献1に記載された光吸収異方性膜について検討したところ、光吸収異方性膜の形成に用いられる着色組成物に含まれる2色性色素化合物の種類によっては、光吸収異方性膜に含まれる2色性色素化合物の配向度が低く、光吸収異方性膜の2色比が劣ることを見出した。
【0006】
そこで、本発明は、優れた2色比を有する光吸収異方性膜を形成できる着色組成物、2色性色素化合物、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、特定のハンセン溶解度パラメータを有し、かつ特定の構造を有する2色性色素化合物を含有する着色組成物を用いることにより、2色比に優れた光吸収異方性膜が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0008】
[1]
ハンセン溶解度パラメータが17.5以上であり、かつ、後述する式(1)で表される構造を有する2色性色素化合物と、液晶性化合物と、を含有する、着色組成物。
後述する式(1)中、A、AおよびAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。ただし、A、AおよびAのうちいずれか1つが、置換基を有していてもよい2価のチエノチアゾール基を表す。
後述する式(1)中、LおよびLは、それぞれ独立に、置換基を表す。
[2]
後述する式(1)で表される構造が、後述する式(2)で表される構造である、上記[1]に記載の着色組成物。
後述する式(2)中、Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。
後述する式(2)中、LおよびLは、それぞれ独立に、置換基を表す。
後述する式(2)中、Eは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかの原子を表す。
後述する式(2)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアルコキシ基のいずれかの基または原子を表す。
後述する式(2)中、Rは、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
後述する式(2)中、Rは、水素原子または置換基を表す。
後述する式(2)中、nは、0または1を表す。ただし、Eが窒素原子である場合には、nは1であり、Eが酸素原子または硫黄原子である場合には、nは0である。
[3]
後述する式(2)において、Aがフェニレン基である、上記[2]に記載の着色組成物。
[4]
後述する式(2)において、LおよびLの少なくとも一方が架橋性基を含む、上記[2]または[3]に記載の着色組成物。
[5]
後述する式(2)において、LおよびLの両方が架橋性基を含む、上記[2]~[4]のいずれか1つに記載の着色組成物。
[6]
上記架橋性基が、アクリロイル基またはメタクリロイル基である、上記[4]または[5]に記載の着色組成物。
[7]
上記2色性色素化合物のハンセン溶解度パラメータと、上記液晶性化合物のハンセン溶解度パラメータと、の差の絶対値が、0より大きく4.5以下である、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の着色組成物。
[8]
ハンセン溶解度パラメータが17.5以上であり、かつ、後述する式(1)で表される構造を有する、2色性色素化合物。
後述する式(1)中、A、AおよびAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。ただし、A、AおよびAのうちいずれか1つが、置換基を有していてもよい2価のチエノチアゾール基を表す。
後述する式(1)中、LおよびLは、それぞれ独立に、置換基を表す。
[9]
後述する式(2)で表される構造を有する、上記[8]に記載の2色性色素化合物。
後述する式(2)中、Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。
後述する式(2)中、LおよびLは、それぞれ独立に、置換基を表す。
後述する式(2)中、Eは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかの原子を表す。
後述する式(2)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアルコキシ基のいずれかの基または原子を表す。
後述する式(2)中、Rは、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
後述する式(2)中、Rは、水素原子または置換基を表す。
後述する式(2)中、nは、0または1を表す。ただし、Eが窒素原子である場合には、nは1であり、Eが酸素原子または硫黄原子である場合には、nは0である。
[10]
後述する式(2)において、Aがフェニレン基である、上記[9]に記載の2色性色素化合物。
[11]
後述する式(2)において、LおよびLの少なくとも一方が架橋性基を含む、上記[9]または[10]に記載の2色性色素化合物。
[12]
後述する式(2)において、LおよびLの両方が架橋性基を含む、上記[9]~[11]のいずれか1つに記載の2色性色素化合物。
[13]
上記架橋性基が、アクリロイル基またはメタクリロイル基である、上記[11]または[12]に記載の2色性色素化合物。
[14]
上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の着色組成物を用いて形成される、光吸収異方性膜。
[15]
基材と、
上記基材上に形成された上記[14]に記載の光吸収異方性膜と、
を有する、積層体。
[16]
さらに、上記光吸収異方性膜上に形成されたλ/4板を有する、上記[15]に記載の積層体。
[17]
上記[14]に記載の光吸収異方性膜、または、上記[15]もしくは[16]に記載の積層体を有する、画像表示装置。
【発明の効果】
【0009】
以下に示すように、本発明によれば、優れた2色比を有する光吸収異方性膜を形成できる着色組成物、2色性色素化合物、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明について説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本発明において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0011】
[着色組成物]
本発明の着色組成物は、ハンセン溶解度パラメータ(以下、単に「HSP値」ともいう。)が17.5以上であり、かつ、後述する式(1)で表される構造を有する2色性色素化合物と、液晶性化合物と、を含有する。
【0012】
本発明の着色組成物によれば、HSP値が17.5以上であり、かつ、後述する式(1)で表される構造を有する2色性色素化合物を含有することにより、2色比に優れた光吸収異方性膜が得られる。
この理由の詳細は未だ明らかになっていないが、本発明者らは以下の理由によるものと推測している。
後述するように、式(1)で表される構造において、チエノチアゾール基が含まれている。チエノチアゾール基を有する2色性色素化合物は、非常に高い配向度を示す化合物である。したがって、チエノチアゾール基を有する2色性色素化合物を含有する2色性色素化合物を用いることにより、2色比の高い光吸収異方性膜を形成できると考えられる。
しかしながら、本発明者らが、チエノチアゾール基を有する2色性色素化合物について検討を重ねたところ、チエノチアゾール基を有する2色性色素化合物の種類によっては、得られる光吸収異方性膜の配向度が不十分となり、2色比が低下することを見出した。この理由の詳細は、未だ明らかになっていないが、着色組成物に含まれる2色性色素化合物と液晶性化合物との相溶性が高すぎると、液晶性化合物の2色比に影響されて、光吸収異方性膜の2色比が低下すると推測している。
そこで、本発明者らがさらに検討を重ねたところ、特定のHSP値を有するチエノチアゾール基を有する2色性色素化合物を用いることにより、2色比に優れた光吸収異方性膜が得られることを見出した。これは、2色性色素化合物本来の2色比を発現させることができる程度に、2色性色素化合物と液晶性化合物とがミクロ相分離状態などの良好な相溶状態になったためと推測している。
【0013】
以下、本発明の着色組成物に含まれる成分および含まれ得る成分について説明する。
【0014】
<2色性色素化合物>
本発明の着色組成物は、HSP値が17.5以上であり、かつ、下記式(1)で表される構造を有する2色性色素化合物(以下、「特定2色性色素化合物」ともいう。)を含有する。
【0015】
【化1】
【0016】
式(1)中、A、AおよびAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。ただし、A、AおよびAのうちいずれか1つが、置換基を有していてもよい2価のチエノチアゾール基を表す。
およびLは、それぞれ独立に、置換基を表す。
【0017】
上記式(1)中、A、AおよびAが表す「置換基を有していてもよい2価の芳香族基」について説明する。
上記置換基としては、例えば、特許文献1(特開2011-237513号公報)の[0237]~[0240]段落に記載された置換基群Gが挙げられ、中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、4-メチルフェノキシカルボニル、4-メトキシフェニルカルボニルなど)等が好適に挙げられ、アルキル基がより好適に挙げられ、炭素数1~5のアルキル基がさらに好適に挙げられる。
2価の芳香族基としては、例えば、2価の芳香族炭化水素基および2価の芳香族複素環基が挙げられる。
上記2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6~12のアリーレン基が挙げられ、具体的には、フェニレン基、クメニレン基、メシチレン基、トリレン基、キシリレン基等が挙げられる。中でもフェニレン基が好ましい。
また、上記2価の芳香族複素環基としては、単環または2環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子および酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基としては、具体的には、ピリジレン基(ピリジン-ジイル基)、キノリレン基(キノリン-ジイル基)、イソキノリレン基(イソキノリン-ジイル基)、ベンゾチアジアゾール-ジイル基、フタルイミド-ジイル基、チエノチアゾール-ジイル基(本発明において、「チエノチアゾール基」という。)等が挙げられる。
上記2価の芳香族基の中でも、2価の芳香族炭化水素基が好ましい。
【0018】
ここで、A、AおよびAのうちいずれか1つが、置換基を有していてもよい2価のチエノチアゾール基である。2価のチエノチアゾール基の置換基の具体例は、上述した「置換基を有していてもよい2価の芳香族基」における置換基と同じであり、好ましい態様も同じである。
、AおよびAのうち、Aが2価のチエノチアゾール基であることが好ましい。この場合には、AおよびAは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。
が2価のチエノチアゾール基である場合には、AおよびAの少なくとも一方が置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、AおよびAの両方が置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
【0019】
上記式(1)中、LおよびLが表す「置換基」について説明する。
上記置換基としては、アゾ化合物の溶解性やネマティック液晶性を高めるために導入される基、色素としての色調を調節するために導入される電子供与性や電子吸引性を有する基、または、配向を固定化するために導入される架橋性基(重合性基)を有する基が好ましい。
例えば、置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~12、特に好ましくは炭素数1~8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~12、特に好ましくは炭素数2~8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2-ブテニル基、3-ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~12、特に好ましくは炭素数2~8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3-ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6~30、より好ましくは炭素数6~20、特に好ましくは炭素数6~12のアリール基であり、例えば、フェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、3,5-ジトリフルオロメチルフェニル基、スチリル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0~20、より好ましくは炭素数0~10、特に好ましくは炭素数0~6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~15であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、オキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~15、特に好ましくは2~10であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~10、特に好ましくは2~6であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~10、特に好ましくは炭素数2~6であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~10、特に好ましくは炭素数2~6であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7~20、より好ましくは炭素数7~16、特に好ましくは炭素数7~12であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0~20、より好ましくは炭素数0~10、特に好ましくは炭素数0~6であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6~20、より好ましくは炭素数6~16、特に好ましくは炭素数6~12であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、アゾ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1~30、より好ましくは1~12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3~40、より好ましくは炭素数3~30、特に好ましくは、炭素数3~24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を2つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
【0020】
およびLが表す置換基として好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イミノ基、アゾ基、ハロゲン原子、および、ヘテロ環基であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、イミノ基、および、アゾ基である。
【0021】
およびLの少なくとも一方は、架橋性基(重合性基)を含むことが好ましく、LおよびLの両方に架橋性基を含むことがより好ましい。これにより、特定2色性色素化合物のHSP値を所望の値にすることが容易となったり、光吸収異方性膜の2色比をより向上できたりする。また、2色性色素化合物自体の硬化を促進できるので、光吸収異方性膜の硬化性および耐久性を向上できるという利点がある。
架橋性基としては、具体的には、特開2010-244038号公報の[0040]~[0050]段落に記載された重合性基が挙げられ、反応性および合成適性の観点から、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、および、スチリル基が好ましく、アクリロイル基およびメタクリロイル基がより好ましい。
【0022】
およびLの好適な態様としては、上記架橋性基で置換されたアルキル基、上記架橋性基で置換されたジアルキルアミノ基、および、上記架橋性基で置換されたアルコキシ基が挙げられる。
【0023】
上記式(1)で表される構造は、2色比が向上するという観点から、下記式(2)で表される構造であることが好ましい。
【0024】
【化2】

上記式(2)中、Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。
上記式(2)中、LおよびLは、それぞれ独立に、置換基を表す。
上記式(2)中、Eは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかの原子を表す。
上記式(2)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアルコキシ基のいずれかの基または原子を表す。
上記式(2)中、Rは、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
上記式(2)中、Rは、水素原子または置換基を表す。
上記式(2)中、nは、0または1を表す。ただし、Eが窒素原子である場合には、nは1であり、Eが酸素原子または硫黄原子である場合には、nは0である。
【0025】
上記式(2)中、Aが表す「置換基を有していてもよい2価の芳香族基」の具体例および好適態様は、上述した式(1)中のA~Aが表す「置換基を有していてもよい2価の芳香族基」と同様である。
の特に好ましい態様としては、フェニレン基である。これにより、特定2色性色素化合物のHSP値を所望の値にすることが容易となる。
【0026】
上記式(2)中、LおよびLが表す「置換基」の具体例および好適態様は、上述した式(1)中のLおよびLが表す「置換基」と同様である。
およびLのより好適な態様としては、LおよびLの少なくとも一方が架橋性基を含むことであり、さらに好適な態様としては、LおよびLの両方が架橋性基を含むことである。これにより、特定2色性色素化合物のHSP値を所望の値にすることが容易となったり、光吸収異方性膜の2色比をより向上できたりする。また、2色性色素化合物自体の硬化を促進できるので、光吸収異方性膜の硬化性および耐久性を向上できるという利点がある。
また、LおよびLの架橋性基のより好適な態様としては、アクリロイル基またはメタクリロイル基である。
【0027】
上記式(2)中、Eは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかの原子を表し、合成適性の観点から、窒素原子であることが好ましい。
また、特定2色性色素化合物を短波長側に吸収を持つもの(例えば、500~530nm付近に極大吸収波長を持つもの)にすることが容易になるという観点からは、上記式(1)におけるEは、酸素原子であることが好ましい。
一方、特定2色性色素化合物を長波長側に吸収を持つもの(例えば、600nm付近に極大吸収波長を持つもの)にすることが容易になるという観点からは、上記式(1)におけるEは、窒素原子であることが好ましい。
【0028】
上記式(2)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアルコキシ基のいずれかの基または原子を表し、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基が好ましい。
次に、Rが表す「置換基を有していてもよいアルキル基」および「置換基を有していてもよいアルコキシ基」について説明する。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1~8の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1~6の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1~3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基またはエチル基がさらに好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1~8のアルコキシ基が挙げられる。中でも、炭素数1~6のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1~3のアルコキシ基であることがより好ましく、メトキシ基またはエトキシ基であることがさらに好ましい。
【0029】
上記式(2)中、Rは、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表し、置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましい。
が表す「置換基を有していてもよいアルキル基」の具体例および好適態様は、上述した式(2)のRにおける「置換基を有していてもよいアルキル基」と同様であるので、その説明を省略する。
なお、Rは、Eが窒素原子である場合に式(2)中で存在する基となる(すなわち、n=1の場合を意味する)。一方で、Rは、Eが酸素原子または硫黄原子である場合、式(2)中で存在しない基となる(すなわち、n=0の場合を意味する)。
【0030】
上記式(2)中、Rは、水素原子または置換基を表す。
が表す「置換基」の具体例および好適態様は、上述した「置換基を有していてもよい2価の芳香族基」における置換基と同じであり、好ましい態様も同じであるので、その説明を省略する。
【0031】
上記式(2)中、nは、0または1を表す。ただし、Eが窒素原子である場合には、nは1であり、Eが酸素原子または硫黄原子である場合には、nは0である。
【0032】
以下に、特定2色性色素化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記式における化合物の右側に付した括弧内の数値は、HSP値を表す。
【0033】
【化3】
【0034】
(HSP値)
特定2色性色素化合物のHSP値は、17.5以上である。なお、HSP値の上限値は、特に限定されるものではないが、通常26.0以下である。
HSP値(ハンセン溶解度パラメータ)の詳細については、Hansen,Charles(2007).Hansen Solubility Parameters: A user’s handbook,Second Edition. Boca Raton,Fla:CRC Press.ISBN 9780849372483に説明がある。
本発明における各化合物のHSP値は、以下のソフトウェアに化合物の構造式を入力することにより算出され、より詳細にはδtotalに該当する値である。ソフトウェアとしては、HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice) ver4.1.07が用いられる。
【0035】
特定2色性色素化合物のHSP値と、液晶性化合物のHSP値との差の絶対値が、0より大きく4.5以下であることが好ましい。さらに、特定2色性色素化合物のHSP値と液晶性化合物のHSP値との差の絶対値が、0.5~4.0であることがより好ましく、0.9~3.6であることがさらに好ましい。
特定2色性色素化合物のHSP値と液晶性化合物のHSP値との差の絶対値が上記範囲内にあることで、光吸収異方性膜の2色比がより向上する。
ここで、着色組成物が2種以上の特定2色性色素化合物を含有する場合、2種以上の特定2色性色素化合物のそれぞれのHSP値が、液晶性化合物のHSP値と上述した関係を満たすことが好ましい。
また、着色組成物が2種以上の液晶性化合物を含有する場合、2種以上の液晶性化合物のそれぞれのHSP値が、特定2色性色素化合物のHSP値と上述した関係を満たすことが好ましい。
また、着色組成物が2種以上の特定2色性色素化合物および2種以上の液晶性化合物を含有する場合、2種以上の特定2色性色素化合物のそれぞれのHSP値と、2種以上の液晶性化合物のそれぞれのHSP値とが、いずれも上述した関係を満たすことが好ましい。
【0036】
(含有量)
特定2色性色素化合物の含有量は、後述する液晶性化合物100質量部に対して、5~50質量部であることが好ましく、10~45質量部であることがより好ましく、15~40質量部であることがさらに好ましい。
【0037】
<液晶性化合物>
本発明の着色組成物は、液晶性化合物を含有する。液晶性化合物を含むことで、2色性色素化合物の析出を抑止しながら、2色性色素化合物を高い配向度で配向させることができる。
液晶性化合物としては、低分子液晶性化合物および高分子液晶性化合物のいずれも用いることができる。ここで、「低分子液晶性化合物」とは、化学構造中に繰り返し単位を有さない液晶性化合物のことをいう。また、「高分子液晶性化合物」とは、化学構造中に繰り返し単位を有する液晶性化合物のことをいう。
低分子液晶性化合物としては、例えば、特開2013-228706に記載されているが挙げられる。
高分子液晶性化合物としては、例えば、特開2011-237513に記載されているサーモトロピック液晶性高分子が挙げられる。また、高分子液晶性化合物は、末端に架橋性基(例えば、アクリロイル基およびメタクリロイル基)を有していてもよい。
【0038】
液晶性化合物のHSP値は、18.0~30.0であることが好ましく、20.0~28.0であることがより好ましく、21.0~26.0であることがさらに好ましい。
なお、液晶性化合物のHSP値と、特定2色性色素化合物のHSP値と好適な関係は、上述した通りである。
【0039】
<溶媒>
本発明の着色組成物は、作業性等の観点から、溶媒を含有するのが好ましい。
溶媒としては、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロペタンタノン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなど)、ハロゲン化炭素類(例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,2-ジメトキシエタンなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、および、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジンなど)などの有機溶媒、ならびに、水が挙げられる。これの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの溶媒のうち、有機溶媒を用いることが好ましく、ハロゲン化炭素類またはケトン類を用いることがより好ましい。
本発明の着色組成物が溶媒を含有する場合において、溶媒の含有量は、着色組成物の全質量に対して、80~99質量%であることが好ましく、83~97質量%であることがより好ましく、85~95質量%であることがさらに好ましい。
【0040】
<界面改良剤>
本発明の着色組成物は、界面改良剤を含むことが好ましい。界面改良剤を含むことにより、塗布表面の平滑性が向上し、配向度の向上や、ハジキおよびムラを抑制して、面内の均一性の向上が見込まれる。
界面改良剤としては、液晶性化合物を塗布表面側で水平にさせるものが好ましく、特開2011-237513号公報の[0253]~[0293]段落に記載の化合物(水平配向剤)を用いることができる。
本発明の着色組成物が界面改良剤を含有する場合、界面改良剤の含有量は、着色組成物中の上記2色性色素化合物と上記液晶性化合物との合計100質量部に対し、0.001~5質量部が好ましく、0.01~3質量部が好ましい。
【0041】
<重合開始剤>
本発明に用いられる着色組成物は、重合開始剤を含有してもよい。
重合開始剤としては特に制限はないが、感光性を有する化合物、すなわち光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、各種の化合物を特に制限なく使用できる。光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号および同2951758号の各明細書)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報および米国特許第4239850号明細書)、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書)、および、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63-40799号公報、特公平5-29234号公報、特開平10-95788号公報および特開平10-29997号公報)等が挙げられる。
このような光重合開始剤としては、市販品も用いることができ、BASF社製のイルガキュア184、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア651、イルガキュア819およびイルガキュアOXE-01等が挙げられる。
本発明の着色組成物が重合開始剤を含有する場合、重合開始剤の含有量は、着色組成物中の上記2色性色素化合物と上記液晶性化合物との合計100質量部に対し、0.01~30質量部が好ましく、0.1~15質量部が好ましい。重合開始剤の含有量が0.01質量部以上であることで、光吸収異方性膜の硬化性が良好となり、30質量部以下であることで、光吸収異方性膜の配向が良好となる。
【0042】
<他の成分>
本発明の着色組成物は、さらに上記特定2色性色素化合物以外の2色性色素化合物を含有してもよいし、上記特定2色性色素化合物を複数含有してもよい。複数の2色性色素化合物を含有する場合、本発明の着色組成物をより硬化する観点からは、上記特定2色性色素化合物と架橋する架橋基を持つ2色性色素化合物を含有することが好ましく、上記特定2色性色素化合物を複数含有することがさらに好ましい。
上記特定2色性色素化合物以外の2色性色素化合物としては特に限定はなく、例えば、特開2013-227532号公報の[0008]~[0026]段落、および、特開2013-109090号公報の[0012]~[0029]段落などに記載されている2色性色素化合物等が挙げられる。
また、可視領域全域で良好な偏光性能を持つ偏光素子(偏光板)を作製する場合には、上記特定2色性色素化合物以外の2色性色素化合物は、波長380~550nmの範囲に極大吸収波長を持つ色素であることが好ましい。このような2色性色素化合物としては、例えば特開2016-006502号公報の[0005]~[0031]段落、特開2013-228706号公報の[0067]~[0071]段落、特開2013-210624号公報の[0012]~[0018]段落、特開2013-209367号公報の[0008]~[0015]段落、特開平11-305036号公報の[0016]~[0018]段落、および、特開2011-215337号公報の[0030]~[0169]段落に記載の2色性色素化合物などが挙げられる。
【0043】
[光吸収異方性膜]
本発明の光吸収異方性膜は、上述した着色組成物を用いて形成される。
本発明の光吸収異方性膜の製造方法の一例としては、上記着色組成物を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程(以下、「塗布膜形成工程」ともいう。)と、塗布膜に含まれる液晶性成分を配向させる工程(以下、「配向工程」ともいう。)と、をこの順に含む方法が挙げられる。なお、液晶性成分とは、上記特定2色性色素化合物および液晶性化合物の両方を指す。
以下、工程毎に光吸収異方性膜の製造方法を説明する。
【0044】
<塗布膜形成工程>
塗布膜形成工程は、上記着色組成物を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程である。
上述した溶媒を含有する着色組成物を用いたり、着色組成物を加熱などによって溶融液などの液状物としたものを用いたりすることにより、基材上に着色組成物を塗布することが容易になる。
着色組成物の塗布方法としては、ロールコーティング法、グラビア印刷法、スピンコート法、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スプレー法、および、インクジェット法などの公知の方法が挙げられる。
本態様では、着色組成物が基材上に塗布されている例を示したが、これに限定されず、例えば、基材上に設けられた配向膜上に着色組成物を塗布してもよい。配向膜の詳細については後述する。
【0045】
<配向工程>
配向工程は、塗布膜に含まれる液晶性成分を配向させる工程である。これにより、光吸収異方性膜が得られる。
配向工程は、乾燥処理を有していてもよい。乾燥処理によって、溶媒などの成分を塗布膜から除去することができる。乾燥処理は、塗布膜を室温下において所定時間放置する方法(例えば、自然乾燥)によって行われてもよいし、加熱および/または送風する方法によって行われてもよい。
ここで、着色組成物に含まれる液晶性成分は、上述した塗布膜形成工程または乾燥処理によって、配向する場合がある。例えば、着色組成物が溶媒を含む塗布液として調製されている態様では、塗布膜を乾燥して、塗布膜から溶媒を除去することで、光吸収異方性を持つ塗布膜(すなわち、光吸収異方性膜)が得られる。
乾燥処理が塗布膜に含まれる液晶性成分の液晶相への転移温度以上の温度により行われる場合には、後述する加熱処理は実施しなくてもよい。
【0046】
塗布膜に含まれる液晶性成分の液晶相への転移温度は、製造適性等の面から10~250℃が好ましく、25~190℃がより好ましい。上記転移温度が10℃以上であると、液晶相を呈する温度範囲にまで温度を下げるための冷却処理等が必要とならず、好ましい。また、上記転移温度が250℃以下であると、一旦液晶相を呈する温度範囲よりもさらに高温の等方性液体状態にする場合にも高温を要さず、熱エネルギーの浪費、ならびに、基板の変形および変質等を低減できるため、好ましい。
【0047】
配向工程は、加熱処理を有することが好ましい。これにより、塗布膜に含まれる液晶性成分を配向させることができるため、加熱処理後の塗布膜を光吸収異方性膜として好適に使用できる。
加熱処理は、製造適性等の面から10~250℃が好ましく、25~190℃がより好ましい。また、加熱時間は、1~300秒が好ましく、1~60秒がより好ましい。
【0048】
配向工程は、加熱処理後に実施される冷却処理を有していてもよい。冷却処理は、加熱後の塗布膜を室温(20~25℃)程度まで冷却する処理である。これにより、塗布膜に含まれる液晶性成分の配向を固定することができる。冷却手段としては、特に限定されず、公知の方法により実施できる。
以上の工程によって、光吸収異方性膜を得ることができる。
なお、本態様では、塗布膜に含まれる液晶性成分を配向する方法として、乾燥処理および加熱処理などを挙げているが、これに限定されず、公知の配向処理によって実施できる。
【0049】
<他の工程>
光吸収異方性膜の製造方法は、上記配向工程後に、光吸収異方性膜を硬化させる工程(以下、「硬化工程」ともいう。)を有していてもよい。これにより、耐久性および硬化性に優れた光吸収異方成膜が得られる。
硬化工程は、例えば、光吸収異方性膜が架橋性基(重合性基)を有している場合には、加熱および/または光照射(露光)によって実施される。このなかでも、硬化工程は光照射によって実施されることが好ましい。
硬化に用いる光源は、赤外線、可視光または紫外線など、種々の光源を用いることが可能であるが、紫外線であることが好ましい。また、硬化時に加熱しながら紫外線を照射してもよいし、特定の波長のみを透過するフィルタを介して紫外線を照射してもよい。
露光が加熱しながら行われる場合、露光時の加熱温度は、光吸収異方性膜に含まれる液晶性成分の液晶相への転移温度にもよるが、25~140℃であることが好ましい。
また、露光は、窒素雰囲気下で行われてもよい。ラジカル重合によって光吸収異方性膜の硬化が進行する場合において、酸素による重合の阻害が低減されるため、窒素雰囲気下で露光することが好ましい。
【0050】
光吸収異方性膜の膜厚は、0.1~5.0μmが好ましく、0.3~1.5μmであることがより好ましい。着色組成物中の2色性色素化合物の濃度によるが、膜厚が0.1μm以上であると、優れた吸光度の光吸収異方性膜が得られ、膜厚が5.0μm以下であると、優れた透過率の光吸収異方性膜が得られる。
【0051】
[積層体]
本発明の積層体は、基材と、上記基材上に形成された上記光吸収異方性膜と、を有する。本発明の積層体は、さらに上記光吸収異方性膜上に形成されたλ/4板を有していてもよい。
また、本発明の積層体は、上記基材と上記光吸収異方性膜との間に配向膜を有することが好ましい。
以下、積層体を構成する各層について説明する。
【0052】
<基材>
基材としては、光吸収異方性膜の用途に応じて選択することができ、例えば、ガラスおよびポリマーフィルムが挙げられる。基材の光透過率は、80%以上であるのが好ましい。
基材としてポリマーフィルムを用いる場合には、光学的等方性のポリマーフィルムを用いるのが好ましい。ポリマーの具体例および好ましい態様は、特開2002-22942号公報の[0013]段落の記載を適用できる。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても国際公開WO00/26705号公報に記載の分子を修飾することで発現性を低下させたものを用いることもできる。
【0053】
<光吸収異方性膜>
光吸収異方性膜については、上述した通りであるので、その説明を省略する。
【0054】
<λ/4板>
「λ/4板」とは、λ/4機能を有する板であり、具体的には、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する板である。
λ/4板の具体例としては、例えば米国特許出願公開2015/0277006号などが挙げられる。
例えば、λ/4板が単層構造である態様としては、具体的には、延伸ポリマーフィルムや、支持体上にλ/4機能を有する光学異方性層を設けた位相差フィルム等が挙げられ、また、λ/4板が複層構造である態様としては、具体的には、λ/4板とλ/2板とを積層してなる広帯域λ/4板が挙げられる。
λ/4板と光吸収異方性膜とは、接して設けられていてもよいし、λ/4板と光吸収異方性膜との間に、他の層が設けられていてもよい。このような層としては、密着性担保のための粘着層または接着層が挙げられる。
【0055】
<配向膜>
本発明の積層体は、基材と光吸収異方性膜との間に、配向膜を有していてもよい。
配向膜は、配向膜上において本発明の着色組成物に含まれる液晶性成分を所望の配向状態とすることができるのであれば、どのような層でもよい。
有機化合物(好ましくはポリマー)の膜表面へのラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュアブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。なかでも、本発明では、配向膜のプレチルト角の制御し易さの点からはラビング処理により形成する配向膜が好ましく、配向の均一性の点からは光照射により形成する光配向膜も好ましい。
【0056】
(ラビング処理配向膜)
ラビング処理により形成される配向膜に用いられるポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。本発明においては、ポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が好ましく用いられる。配向膜については国際公開WO01/88574A1号公報の43頁24行~49頁8行の記載を参照することができる。配向膜の厚さは、0.01~10μmであることが好ましく、0.01~1μmであることがさらに好ましい。
【0057】
(光配向膜)
光照射により形成される配向膜に用いられる光配向材料としては、多数の文献等に記載がある。本発明においては、例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-76839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-94071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002-265541号公報、特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報、または、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミドもしくはエステルが好ましい例として挙げられる。より好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、または、エステルである。
【0058】
上記材料から形成した光配向膜に、直線偏光または非偏光照射を施し、光配向膜を製造する。
本明細書において、「直線偏光照射」「非偏光照射」とは、光配向材料に光反応を生じせしめるための操作である。用いる光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。光照射に用いる光のピーク波長は、200nm~700nmが好ましく、光のピーク波長が400nm以下の紫外光がより好ましい。
【0059】
光照射に用いる光源は、通常使われる光源、例えばタングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプおよびカーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー[例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザーおよびYAG(イットリウム-アルミニウム-ガーネット)レーザー]、発光ダイオード、ならびに、陰極線管などを挙げることができる。
【0060】
直線偏光を得る手段としては、偏光板(例えば、ヨウ素偏光板、2色色素偏光板、および、ワイヤーグリッド偏光板)を用いる方法、プリズム系素子(例えば、グラントムソンプリズム)もしくはブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、または、偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が採用できる。また、フィルタまたは波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
【0061】
照射する光は、直線偏光の場合には、配向膜に対して上面、又は裏面から配向膜表面に対して垂直、又は斜めから光を照射する方法が採用される。光の入射角度は、光配向材料によって異なるが、0~90°(垂直)が好ましく、40~90°が好ましい。
非偏光の場合には、配向膜に対して、斜めから非偏光を照射する。その入射角度は、10~80°が好ましく、20~60°がより好ましく、30~50°がさらに好ましい。
照射時間は、1分~60分が好ましく、1分~10分がより好ましい。
【0062】
パターン化が必要な場合には、フォトマスクを用いた光照射をパターン作製に必要な回数施す方法、または、レーザー光走査によるパターンの書き込みによる方法を採用できる。
【0063】
<用途>
本発明の積層体は、偏光素子(偏光板)として使用でき、例えば直線偏光板または円偏光板として使用できる。
本発明の積層体が上記λ/4板などの光学異方性層を有さない場合には、積層体は直線偏光板として使用できる。一方、本発明の積層体が上記λ/4板を有する場合には、積層体は円偏光板として使用できる。
【0064】
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、上述した光吸収異方性膜または上述した積層体を有する。
本発明の画像表示装置に用いられる表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示パネル、および、プラズマディスプレイパネル等が挙げられる。
これらのうち、液晶セルまたは有機EL表示パネルであるのが好ましく、液晶セルであるのがより好ましい。すなわち、本発明の画像表示装置としては、表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置であるのが好ましく、液晶表示装置であるのがより好ましい。
【0065】
<液晶表示装置>
本発明の画像表示装置の一例である液晶表示装置としては、上述した光吸収異方性膜と、液晶セルと、を有する態様が好ましく挙げられる。より好適には、上述した積層体(ただし、λ/4板を含まない)と、液晶セルと、を有する液晶表示装置である。
なお、本発明においては、液晶セルの両側に設けられる光吸収異方性膜(積層体)のうち、フロント側の偏光素子として本発明の光吸収異方性膜(積層体)を用いるのが好ましく、フロント側およびリア側の偏光素子として本発明の光吸収異方性膜(積層体)を用いるのがより好ましい。
以下に、液晶表示装置を構成する液晶セルについて詳述する。
【0066】
(液晶セル)
液晶表示装置に利用される液晶セルは、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optical Compensated Bend)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、又はTN(Twisted Nematic)モードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60~120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT(Thin Film Transistor)液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2-176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n-ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58~59(1998)記載)及び(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、及びPSA(Polymer-Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006-215326号公報、及び特表2008-538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10-54982号公報、特開平11-202323号公報、特開平9-292522号公報、特開平11-133408号公報、特開平11-305217号公報、特開平10-307291号公報などに開示されている。
【0067】
<有機EL表示装置>
本発明の画像表示装置の一例である有機EL表示装置としては、例えば、視認側から、光吸収異方性膜と、λ/4板と、有機EL表示パネルと、をこの順で有する態様が好適に挙げられる。
より好適には、視認側から、λ/4板を有する上述した積層体と、有機EL表示パネルと、をこの順に有する態様である。この場合には、積層体は、視認側から、基材、必要に応じて設けられる配向膜、光吸収異方性膜、および、λ/4板の順に配置されている。
また、有機EL表示パネルは、電極間(陰極および陽極間)に有機発光層(有機エレクトロルミネッセンス層)を挟持してなる有機EL素子を用いて構成された表示パネルである。有機EL表示パネルの構成は特に制限されず、公知の構成が採用される。
【実施例
【0068】
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容および処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0069】
[2色性色素化合物の合成]
実施例および比較例の着色組成物に用いる2色性色素化合物は、以下のルートで合成した。
【0070】
【化4】
【0071】
<2色性色素化合物(D1)>
以下のステップに従い、2色性色素化合物(D1)を合成した。
【0072】
【化5】
【0073】
(ステップ1~ステップ3)
4-ニトロフェノール27.8g(200mmol)、11-ブロモウンデカノール50.2g(200mmol)、炭酸カリウム30.4g(220mmol)をN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)150mlに溶解させ、外設105℃で2時間攪拌した。室温まで降温し、酢酸エチルおよび10%塩化アンモニウム水溶液で分液洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し白色固体を得た。
次に、この固体にDMAcを150ml添加し、氷浴下で攪拌した。反応系の温度を15℃以下に維持してアクリル酸クロライド18.1gを滴下し、適下後に室温で1時間攪拌した。酢酸エチルおよび10%塩化アンモニウム水溶液を添加して分液洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し黄色固体(A)を得た。
別途、Fe粉末89.4g(1.6mol)、塩化アンモニウム8.9g(166mmol)、2-プロパノール210ml、および、水88mlを混ぜ、外設105で還流させた。この還流させた系内へ、2-プロパノール88mlに加熱溶解させた黄色固体(A)を滴下した。滴下終了後、還流下、30分反応させた。室温まで降温後、セライトろ過により鉄粉を除去し、ろ液を酢酸エチルおよび水で分液し、有機層を水で3回洗浄した。
有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。カラムで精製し、目的のアニリン誘導体を8.1gで得た(3ステップ収率12%)。
NMRデータ(DMSO-d6)δ:1.20-1.38(m、14H)、1.50-1.70(m、4H)4.20(d、2H)、3.80(t、2H)、4.00(t、2H)、4.50-4.70(brs、2H)、5.80-5.85(d、1H)、6.10-6.15(dd、1H)、6.38-6.43(d、1H)、6.50(d、2H)、6.60(d、2H)
【0074】
(ステップ4)
2-アミノチオフェン塩酸塩は文献記載(Journal of Medicinal Chemistry、2005年、第48巻、5794ページ)の方法に従い、2-ニトロチオフェン(和光純薬製)より合成した。
ステップ3で得られたアニリン誘導体6.0g(17.9mmol)を12mol/L塩酸15ml、水30mlおよびTHF(テトラヒドロフラン)30mlの混合液に添加し、内温5℃以下となるよう冷却し、亜硝酸ナトリウム(和光純薬製)1.4gを水9mlに溶解させ滴下した。内温5℃以下で1時間攪拌し、ジアゾニウム溶液を調製した。
次に、2-アミノチオフェン塩酸塩2.4g(17.9mmol)を水12ml、塩酸6ml中に溶解させ、上記で調製したジアゾニウム溶液を、内温0℃にて滴下した。反応液を室温にまで上昇させて、2時間攪拌した。
析出した固体をろ別、乾燥させて、橙色固体の目的物を6.5g得た。
NMRデータ(DMSO-d6)δ:1.20-1.38(m、14H)、1.50-1.70(m、4H)4.20(d、2H)、3.90(t、2H)、4.00(t、2H)、5.80-5.85(d、1H)、6.10-6.15(dd、1H)、6.38―6.43(d、1H)、6.78(s、1H)7.00(d、2H)、7.42(d、2H)、7.85(s、1H)
【0075】
(ステップ5)
ステップ4で得られた橙色固体6.0g(12.4mmol)を酢酸100mlに懸濁溶解させ、室温下でチオシアン酸ナトリウム1.5g(18.6mmol)加えた。水冷し内温を20℃以下に維持しながら臭素2.0g(24.8mmol)を滴下した。
室温で2時間攪拌後、水を100ml加え、得られた固体をろ別、乾燥させて、黒色固体の目的物を6.1g得た。
NMRデータ(DMSO-d6)δ:1.20-1.38(m、14H)、1.50-1.70(m、4H)4.00-4.20(t×2、4H)、5.90-5.95(d、1H)、6.10-6.15(dd、1H)、6.38―6.43(d、1H)、6.78(s、1H)7.00(d、2H)、7.60-7.70(d、2H)、7.90(s、1H)、8.10(brs、2H)
【0076】
(ステップ6)
ステップ5で得られた黒色固体5.0g(10.0mmol)を塩酸6mlと酢酸6mlに添加し、氷冷下、亜硝酸ナトリウム0.72g(10.5mmol)の水溶液5mlを0℃以下で滴下し、1時間攪拌後に0.52mgのアミド硫酸を添加しジアゾニウム溶液を得た。
N-エチル-N-(6-アクリロイルオキシヘキシル)アニリン2.8gの10mlメタノール溶液を0℃以下に維持しながら、ジアゾニウム溶液を滴下した。室温まで昇温させ、1時間攪拌後、水を30ml添加し得られた固体をろ別した。カラムにより精製し、下記式(D1)で表される黒紫色固体の化合物を0.51g得た。
なお、N-エチル-N-(6-アクリロイルオキシヘキシル)アニリンは、N-エチルアニリンを原料にして、米国特許第7601849号および公知の方法により合成した。
NMRデータ(CDCl)δ:1.20-1.50(m、21H)、1.60-1.90(m、8H)3.40(t、2H)、3.50(t、2H)、4.05(t、2H)、4.10(t、2H)、4.20(t、2H)、5.80-5.85(d、2H)、6.10-6.15(dd、2H)、6.38―6.43(d×2、2H)、6.70(d、2H)、7.00(d、2H)、7.82(s、1H)7.88(d、2H)、7.95(d、2H)
【0077】
得られた2色性色素化合物(D1)のHSP値を、ハンセン溶解度パラメータの計算用ソフト(HSPiP ver4.1.07)により算出したところ、2色性色素化合物(D1)のHSP値は、24.8であった。なお、後述する各2色性色素化合物および各液晶性化合物についても、同様にしてHSP値を算出した。
【0078】
【化6】
【0079】
<2色性色素化合物(D2)>
2色性色素化合物(D1)の2回目のカップリング時に、N-エチルーN-(6-アクリロイルオキシヘキシル)アニリンの代わりにN-エチル-N-(2-アクリロイルオキシエチル)アニリンを用いた以外は同様にして、カップリングを行った。
NMRデータ(CDCl)δ:0.95(t、3H)、1.20-1.50(m、14H)、1.60-1.70(m、2H)、1.80-1.90(m、2H)、3.60(q、2H)、3.80(t、2H)、4.05(t、2H)、4.15(t、2H)、4.40(t、2H)、5.80(d、1H)、5.88(d、1H)、6.10-6.15(dd、2H)、6.38(d、1H)、6.43(d、1H)、6.80(d、2H)、7.00(d、2H)、7.82(s、1H)7.88(d、2H)、7.95(d、2H)
【0080】
得られた2色性色素化合物(D2)のHSP値は、22.6であった。
【0081】
【化7】
【0082】
<2色性色素化合物(D3)>
2色性色素化合物(D2)の2回目のカップリング時にN-エチル-N-(2-アクリロイルオキシエチル)-アニリンの代わりにN-エチル-N-(2-アクリロイルオキシエチル)-m-トルイジンを用いた以外は同様にして、カップリングを行った。
NMRデータ(CDCl)δ:0.95(t、3H)、1.20-1.50(m、14H)、1.60-1.70(m、2H)、1.80-1.90(m、2H)、2.70(s、3H)、3.60(q、2H)、3.80(t、2H)、4.05(t、2H)、4.15(t、2H)、4.40(t、2H)、5.80(d、1H)、5.88(d、1H)、6.10-6.15(dd、2H)、6.38(d、1H)、6.43(d、1H)、6.60-6.70(m、2H)、7.00(d、2H)、7.82(s、1H)7.88(d、2H)、8.00(d、1H)
【0083】
得られた2色性色素化合物(D3)のHSP値は、22.3であった。
【0084】
【化8】
【0085】
<2色性色素化合物(D4)>
4-ニトロフェネチルアルコールを出発物質として既知の方法でアニリン誘導体を合成した後、2色性色素化合物(D1)と同様の方法で2色性色素化合物(D4)を合成した。
NMRデータ(CDCl)δ:1.25(t、3H)、1.45(brs、4H)、1.70-1.73(m、4H)、3.06-3.08(t、2H)、3.42(t、2H)、3.51-3.53(t、2H)、4.16-4.19(t、2H)、4.41-4.44(t、2H)、5.83(d、2H)、6.10-6.15(dd、2H)、6.38(d、2H)、6.71-6.74(d、2H)、7.25(d、2H)、7.82-7.84(d、2H)、7.92-7.95(s×1、d×1、3H)
【0086】
得られた2色性色素化合物(D4)のHSP値は、18.1であった。
【0087】
【化9】
【0088】
<2色性色素化合物(D5)>
4-ニトロ安息香酸を出発物質として既知の方法でアニリン誘導体を合成した後、2色性色素化合物(D1)と同様の方法で閉環反応まで行った。その後、(D4)のN-エチル-N-(6-アクリロイルオキシヘキシル)アニリンの代わりにN,N-ジエチルアニリンを用いてカップリングを行い、2色性色素化合物(D5)を得た。
NMRデータ(CDCl)δ:1.20-1.40(m、9H)、1.65(d、3H)、3.40-3.60(q、4H)、4.20―4.30(q、2H)、5.40―5.45(q、1H)、6.70-6.80(d、2H)、7.90-8.00(m、4H)、8.00(s、1H)、8.20(d、2H)
【0089】
得られた2色性色素化合物(D5)のHSP値は、21.7であった。
【0090】
【化10】
【0091】
<2色性色素化合物(D6)>
アニリン誘導体として4-ドデシルアニリン使用して、2色性色素化合物(D1)と同様の方法で2色性色素化合物(D6)を合成した。
NMRデータ(CDCl)δ:0.86-0.89(t、3H)、1.26-1.32(m、24H)、1.60-1.70(t、2H)、2.67-2.70(t、2H)、3.49-3.54(q、4H)、6.73-6.76(d、2H)、7.28-7.31(d、2H)、7.81(d、2H)7.90-7.95(s×1、d×1、3H)
【0092】
得られた2色性色素化合物(D6)のHSP値は、17.0であった。
【0093】
【化11】
【0094】
<2色性色素化合物(D7)>
4-ニトロフェネチルアルコールを出発物質として既知の方法でアニリン誘導体を合成した後、2色性色素化合物(D2)と同様の方法で2色性色素化合物(D7)を合成した。
NMRデータ(CDCl)δ:0.84-0.88(t、3H)、1.10-1.12(t、3H)、1.27-1.30(t、3H)、1.40-1.70(m、2H)、2.30-2.40(m、1H)、3.02-3.04(t、2H)、3.57-3.59(q、2H)、3.77(t、2H)、4.33(t、2H)、4.40(t、2H)、5.86(d、1H)、6.10-6.15(dd、1H)、6.40(d、1H)、6.83(d、2H)、7.36(d、2H)、7.82(d、2H)7.88(d、2H)、7.93-8.00(s×1、d×1、3H)
【0095】
得られた2色性色素化合物(D7)のHSP値は、18.0であった。
【0096】
【化12】
【0097】
[実施例1]
以下のようにして作製した配向膜上に、後述する実施例1の着色組成物を用いて作製した光吸収異方性膜を作製した。
【0098】
<配向膜の作製>
ガラス基材(セントラル硝子社製、青板ガラス、サイズ300mm×300mm、厚み1.1mm)をアルカリ洗剤で洗浄し、次いで純水を注いだ後、ガラス基材を乾燥させた。
下記の配向膜形成用組成物1を#12のバーを用いて乾燥後のガラス基材上に塗布し、塗布した配向膜形成用組成物1を110℃で2分間乾燥することにより、ガラス基材上に塗布膜を形成した。
得られた塗布膜にラビング処理(ローラーの回転数:1000回転/2.9mm、ステージ速度1.8m/分)を1回施して、ガラス基材上に配向膜を作製した。
【0099】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
配向膜形成用組成物1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・変性ビニルアルコール(下記式(PVA-1)参照) 2.00質量部
・水 74.08質量部
・メタノール 23.86質量部
・光重合開始剤
(イルガキュア2959、BASF社製) 0.06質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0100】
【化13】
【0101】
上記式(PVA-1)における繰り返し単位に付された数値は、各繰り返し単位のモル比率を表す。
【0102】
<光吸収異方性膜の作製>
得られた配向膜上に、実施例1の着色組成物(下記組成を参照)を、スピンコーターを用いて、回転速度1000回転/10秒の条件でスピンコートした後、室温で30秒間乾燥させることで、配向膜上に塗布膜を形成した。続いて、得られた塗布膜を180℃で15秒間加熱した後、室温に冷却して、配向膜上に実施例1の光吸収異方性膜を作製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1の着色組成物の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・液晶性化合物(A)(下記式(A)参照) 4.81質量部
・上記の2色性色素化合物(D1) 1.69質量部
・界面改良剤F1(下記式(F1)参照) 0.04質量部
・シクロペンタノン(溶媒) 93.46質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0103】
【化14】
【0104】
上記式(A)における「Pr」は、n-プロピル基を表す。
なお、液晶性化合物(A)のHSP値は、21.7であった。
【0105】
【化15】
【0106】
[実施例2~6]
実施例2~6の着色組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2~6の光吸収異方性膜を作製した。
ここで、実施例1の着色組成物に含まれる2色性色素化合物(D1)にかえて、実施例2では上記2色性色素化合物(D2)を用い、実施例3では上記2色性色素化合物(D3)を用い、実施例4では上記2色性色素化合物(D4)を用い、実施例5では上記2色性色素化合物(D5)を用い、実施例6では上記2色性色素化合物(D7)を用いた以外は、実施例2~6の着色組成物は、実施例1の着色組成物と同様の組成である。
【0107】
[実施例7]
実施例7の着色組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の光吸収異方性膜を作製した。
ここで、実施例7の着色組成物は、実施例1の着色組成物に含まれる液晶性化合物(A)にかえて、下記液晶性化合物(B)を用いた以外は、実施例1の着色組成物と同様の組成である。
【0108】
【化16】
【0109】
液晶性化合物(B)は、HSP値が22.2であり、数平均分子量が10521であった。
【0110】
[比較例1]
比較例1の着色組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の光吸収異方性膜を作製した。
ここで、比較例1の着色組成物は、実施例1の着色組成物に含まれる2色性色素化合物(D1)にかえて、上記2色性色素化合物(D6)を用いた以外は、実施例1の着色組成物と同様の組成である。
【0111】
[比較例2]
比較例2の着色組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の光吸収異方成膜を作製した。
ここで、比較例2の着色組成物は、実施例7の着色組成物に含まれる2色性色素化合物(D1)にかえて、上記2色性色素化合物(D6)を用いた以外は、実施例7の着色組成物と同様の組成である。
【0112】
[評価試験]
<2色比>
光学顕微鏡(株式会社ニコン製、製品名「ECLIPSE E600 POL」)の光源側に直線偏光子を挿入した状態で、サンプル台に実施例および比較例の各光吸収異方性膜をセットし、マルチチャンネル分光器(Ocean Optics社製、製品名「QE65000」)を用いて500~700nmの波長域における光吸収異方性膜の吸光度を測定し、以下の式により2色比を算出した。
2色比(D0)=Az0/Ay0
上記式において、「Az0」は光吸収異方性膜の吸収軸方向の偏光に対する吸光度を表し、「Ay0」は光吸収異方性膜の偏光軸方向の偏光に対する吸光度を表す。
【0113】
[評価結果]
以上の評価試験の結果を第1表に示す。なお、下記表中、「HSP値の差」とは、2色性色素化合物のHSP値(HSP1)と、液晶性化合物のHSP値(HSP2)との差の絶対値(|HSP2-HSP1|)を表す。
【0114】
【表1】
【0115】
第1表に示すように、ハンセン溶解度パラメータが17.5以上であり、かつ、上述した式(1)で表される構造を有する2色性色素化合物を含有する着色組成物を用いることで、2色比に優れた光吸収異方性膜が得られることがわかった(実施例1~7)。
また、実施例1~7の対比によれば、上述した式(2)におけるLおよびLの少なくとも一方が架橋性基である2色性色素化合物を含有する着色組成物を用いることで(実施例1~4、実施例6~7)、2色比がより優れた光吸収異方性膜が得られることがわかった。
また、実施例4と実施例6との対比によれば、上述した式(2)におけるLおよびLの両方が架橋性基である2色性色素化合物を含有する着色組成物を用いることで(実施例4)、2色比がより優れた光吸収異方成膜が得られることがわかった。
一方、比較例1~2では、上述した式(1)で表される構造を有するものの、ハンセン溶解度パラメータが17.5未満である2色性色素化合物を含有する着色組成物を用いることで、光吸収異方性膜の2色比が劣ることが示された。