(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】着色組成物、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20220527BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220527BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20220527BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20220527BHJP
C09B 43/20 20060101ALN20220527BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/1335 510
G02F1/1337 520
G02F1/1337 515
C09B67/20 K
C09B43/20
(21)【出願番号】P 2020077596
(22)【出願日】2020-04-24
(62)【分割の表示】P 2018509120の分割
【原出願日】2017-03-22
【審査請求日】2020-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2016071172
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017045320
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 由実
(72)【発明者】
【氏名】茨木 絢子
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-237513(JP,A)
【文献】特開2016-027387(JP,A)
【文献】特開2006-007573(JP,A)
【文献】特開昭64-040380(JP,A)
【文献】特開2004-322359(JP,A)
【文献】特開2008-007573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00 ー 201/10
G02B 5/30
G02F 1/1335
G02F 1/1337
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともアゾ基を有する2色性色素化合物と、一重項酸素クエンチャーと、液晶性化合物と、を含有する光吸収異方性膜であって、
前記アゾ基を有する2色性色素化合物が、下記式(D2)で表される部分構造を有
し、
前記一重項酸素クエンチャーが、ジインモニウム塩化合物である、光吸収異方性膜。
【化1】
前記式(D2)中、Ar
3およびAr
4はそれぞれ独立に、芳香族炭化水素環または複素環を表し、*は他の基との結合位置を表す。ただし、Ar
3およびAr
4において、他の基との結合位置*における結合手はいずれも、アゾ基と直接結合することはない。
【請求項2】
前記一重項酸素クエンチャーの含有量が、前記アゾ基を有する2色性色素化合物100質量部に対して、0.1~100質量部である、請求項1に記載の光吸収異方性膜。
【請求項3】
基材と、前記基材上に形成された請求項1
または2に記載に記載の光吸収異方性膜と、を有する、積層体。
【請求項4】
さらに、前記光吸収異方性膜上に形成されたλ/4板を有する、請求項
3に記載の積層体。
【請求項5】
請求項1
もしくは2に記載の光吸収異方性膜、または、請求項
3もしくは
4に記載の積層体を有する、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色組成物、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザー光や自然光を含む照射光の減衰機能、偏光機能、散乱機能または遮光機能等が必要となった際には、それぞれの機能ごとに異なった原理によって作動する装置を利用していた。そのため、上記の機能に対応する製品も、それぞれの機能別に異なった製造工程によって製造されていた。
例えば、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)では、表示における旋光性や複屈折性を制御するために直線偏光板や円偏光板が用いられている。また、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)においても、外光の反射防止のために円偏光板が使用されている。
【0003】
従来、これらの偏光板(偏光素子)には、ヨウ素が2色性物質として広く使用されてきたが、ヨウ素の代わりに有機色素を2色性物質として使用する偏光素子についても検討されている。例えば特許文献1には、アゾ基を有する2色性色素(2色性色素化合物)が開示されている(請求項9等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しなしながら、本発明者らが、特許文献1に記載されているアゾ基を有する2色性色素化合物を含有する着色組成物について検討したところ、これを用いて得られる光吸収異方性膜の耐光性が不十分であることを知見した。
【0006】
そこで、本発明は、耐光性に優れた光吸収異方性膜を形成できる着色組成物、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、アゾ構造を有する2色性色素化合物を含有する着色組成物において、酸化剤または一重項酸素クエンチャーを添加することで、得られる光吸収異方性膜の耐光性が向上することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0008】
[1]
アゾ基を有する2色性色素化合物と、酸化剤と、を含有する、着色組成物。
[2]
上記酸化剤が、キノン構造およびN-オキシル構造の少なくとも一方の構造を有する、[1]に記載の着色組成物。
[3]
上記アゾ基を有する2色性色素化合物が、後述する式(D1)で表される部分構造を有し、
上記酸化剤が、N-オキシル構造を有する、[1]または[2]に記載の着色組成物。
後述する式(D1)中、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に、芳香族炭化水素環または複素環を表し、nは1、3または4の整数を表し、*は他の基との結合位置を表す。nが3または4である場合、複数のAr2は互いに同一でも異なっていてもよい。ただし、後述する式(D1)の両末端に位置するAr1およびAr2において、他の基との結合位置*における結合手はいずれも、アゾ基と直接結合することはない。
[4]
上記N-オキシル構造が、後述する式(N1)で表される構造、または、後述する式(N2)で表される構造である、[2]または[3]に記載の着色組成物。
後述する式(N1)中、R21~R28はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R21~R28からなる群より選択される2個以上の基が置換基である場合、2個以上の置換基同士が互いに連結して環を形成してもよい。
後述する式(N2)中、R31~R40はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R31~R40からなる群より選択される2個以上の基が置換基である場合、2個以上の置換基同士が互いに連結して環を形成してもよい。
[5]
上記アゾ基を有する2色性色素化合物が、後述する式(D2)で表される部分構造を有し、
上記酸化剤が、キノン構造を有する、[1]または[2]に記載の着色組成物。
後述する式(D2)中、Ar3およびAr4はそれぞれ独立に、芳香族炭化水素環または複素環を表し、*は他の基との結合位置を表す。ただし、Ar3およびAr4において、他の基との結合位置*における結合手はいずれも、アゾ基と直接結合することはない。
[6]
アゾ基を有する2色性色素化合物と、一重項酸素クエンチャーと、を含有する、着色組成物。
[7]
上記一重項酸素クエンチャーが、ジインモニウム塩化合物である、[6]に記載の着色組成物。
[8]
さらに、液晶性化合物を含有する、[1]~[7]のいずれか1つに記載の着色組成物。
[9]
[1]~[8]のいずれか1つに記載の着色組成物を用いて形成される、光吸収異方性膜。
[10]
基材と、上記基材上に形成された[9]に記載の光吸収異方性膜と、を有する、積層体。
[11]
さらに、上記光吸収異方性膜上に形成されたλ/4板を有する、[10]に記載の積層体。
[12]
[9]に記載の光吸収異方性膜、または、[10]もしくは[11]に記載の積層体を有する、画像表示装置。
【発明の効果】
【0009】
以下に示すように、本発明によれば、耐光性に優れた光吸収異方性膜を形成できる着色組成物、光吸収異方性膜、積層体および画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明について説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本発明において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0011】
[着色組成物]
本発明の着色組成物は、アゾ基を有する2色性色素化合物と、酸化剤または一重項酸素クエンチャーと、を含有する。
【0012】
本発明の着色組成物によれば、耐光性に優れた光吸収異方性膜を形成できる。この理由の詳細は未だ明らかになっていないが、概ね以下の理由によるものと推定される。
従来、アゾ基を有する2色性色素化合物(以下、単に「アゾ色素」ともいう。)の光照射による分解は、主として酸化的に進行すると考えられていた。
そこで、本発明者らは、アゾ色素を含有する組成物に酸化防止剤としてフェノール化合物およびアミン化合物を添加したが、得られる光吸収異方性膜の耐光性が不十分であることを知見した。
このような知見に基づいて、本発明者らが種々の添加剤を検討したところ、酸化剤を添加することにより、光吸収異方性膜の耐光性を改善できることを明らかにした。酸化剤の添加は、上述のアゾ色素の分解機構によれば、アゾ色素の分解を促進して耐光性を悪化させる方向に働くと考えられる。しかしながら、酸化剤の添加により光吸収異方性膜の耐光性が改善されたという結果から、アゾ色素の光照射による分解は、還元的に進行すると推察される。このことから、酸化剤による耐光性の改善機構の一つとしては、アゾ色素が光励起した励起状態において、酸化剤が励起状態の電子を速やかに受け取ることで、励起状態が失活するためと推定される。
さらに、本発明者らが検討したところ、酸化剤の他に、一重項酸素クエンチャーにも光吸収異方性膜の耐光性を改善できる作用があることを見出した。すなわち、酸素が励起されて一重項酸素になると、酸化力が高くなる。このような一重項酸素による酸化は上記の酸化防止剤では抑制できず、アゾ色素の分解が進行したと推測される。そのため、一重項酸素クエンチャーを添加することにより、一重項酸素を失活させることができ、光吸収異方性膜の耐光性が向上したと考えられる。
【0013】
本発明の着色組成物について、実施形態毎に説明する。以下においては、本発明の着色組成物のうち、酸化剤を含有する態様を第1実施形態とし、一重項酸素クエンチャーを含有する態様を第2実施形態として説明する。
【0014】
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る着色組成物は、アゾ基を有する2色性色素化合物と、酸化剤と、を含有する。
【0015】
<酸化剤>
第1実施形態に係る着色組成物は、酸化剤を含有する。
酸化剤とは、酸化作用を有する物質全般を指す。さらに詳しく言うと、酸素を与える物質、水素を奪う物質、正の酸化数を増大させるものであり、総合的には電子を奪う物質として定義することができる。
酸化剤としては、光吸収異方性膜の耐光性がより向上するという観点から、キノン構造およびN-オキシル構造の少なくとも一方の構造を有する酸化剤を用いることが好ましい。
酸化剤の含有量は、着色組成物中のアゾ基を有する2色性色素化合物100質量部に対して、0.1~100質量部が好ましく、1~50質量部がより好ましく、1~40質量部がさらに好ましい。酸化剤の含有量が上記範囲内にあることで、光吸収異方性膜の耐光性がより向上する。
酸化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
(キノン構造を有する酸化剤)
キノン構造を有する酸化剤は、光吸収異方性膜の耐光性がより向上するという観点から、下記式(A)で表される化合物が好ましい。
【0017】
【0018】
式(A)中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
R1とR2、または、R3とR4は、同時に置換基となる場合、互いに連結して不飽和縮合環を形成してもよい。この不飽和縮合環は置換基を有していてもよく、その置換基としては、R1~R4において説明する置換基と同様である。
X1およびX2はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、=NR1X基、または、=CR2XR3X基を表す。R1X、R2XおよびR3Xはそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R1X~R3Xにおける置換基としては、R1~R4において説明する置換基と同様である。
【0019】
R1~R4によって表される置換基としては、具体的には、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、オキシスルホニルアミノ基、ウレイド基、チオウレイド基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、カルボキシ基(塩を含む)、スルホ基(塩を含む)を挙げることができる。これらは、さらに、これらの置換基で置換されていてもよい。
【0020】
さらに詳しくR1、R2、R3で表される置換基の例を示す。アルキル基としては、好ましくは炭素数1~18の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、3-メトキシプロピル、2-アミノエチル、アセトアミドメチル、2-アセトアミドエチル、カルボキシメチル、2-カルボキシエチル、2-スルホエチル、ウレイドメチル、2-ウレイドエチル、カルバモイルメチル、2-カルバモイルエチル、3-カルバモイルプロピル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ヘキサデシル、および、オクタデシルなどを挙げることができる。
アルケニル基としては、好ましくは炭素数2~18の直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、1-プロペニル、2-ペンテニル、1,3-ブタジエニル、2-オクテニル、および、3-ドデセニルなどを挙げることができる。
【0021】
アラルキル基としては、好ましくは炭素数7~10のアラルキル基であり、例えば、ベンジルなどが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6~10のアリール基であり、例えば、フェニル、ナフチル、p-ジブチルアミノフェニル、および、p-メトキシフェニルなどが挙げられる。
ヘテロ環基としては、好ましくは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子から構成される5~6員環の飽和または不飽和のヘテロ環基が挙げられる。環を構成するヘテロ原子の数及び元素の種類は1つでも複数であってもよく、例えば、フリル、ベンゾフリル、ピラニル、ピロリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、チエニル、インドリル、キノリル、フタラジニル、キノキサリニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、インドリニル、および、モルホリニルなどが挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、および、臭素原子などが挙げられる。
アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1~18のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、2-メトキシエトキシ、2-メタンスルホニルエトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、および、オクタデシルオキシなどを挙げることができる。
アリールオキシ基としては、好ましくは炭素数6~10のアリールオキシ基が挙げられ、例えば、フェノキシ、および、p-メトキシフェノキシなどを挙げることができる。
アルキルチオ基としては、好ましくは炭素数1~18のアルキルチオ基が挙げられ、例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ、ウンデシルチオ、ドデシルチオ、ヘキサデシルチオ、および、オクタデシルチオなどが挙げられる。
アリールチオ基としては、好ましくは炭素数6~10のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ、および、4-メトキシフェニルチオなどを挙げることができる。
アシルオキシ基としては、好ましくは炭素数1~18のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、オクタノイルオキシ、ドデカノイルオキシ、および、オクタデカノイルオキシなどを挙げることができる。
【0022】
アルキルアミノ基としては、好ましくは炭素数1~18であり、例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、オクチルアミノ、ジオクチルアミノ、および、ウンデシルアミノなどが挙げられる。
カルボンアミド基としては、好ましくは炭素数1~18のカルボンアミド基であり、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、アセチルメチルアミノ、アセチルオクチルアミノ、アセチルデシルアミノ、アセチルウンデシルアミノ、アセチルオクタデシルアミノ、プロパノイルアミノ、ペンタノイルアミノ、オクタノイルアミノ、オクタノイルメチルアミノ、ドデカノイルアミノ、ドデカノイルメチルアミノ、および、オクタデカノイルアミノなどが挙げられる。
スルホンアミド基としては、好ましくは炭素数1~18のスルホンアミド基であり、例えば、メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、プロピルスルホンアミド、2-メトキシエチルスルホンアミド、3-アミノプロピルスルホンアミド、2-アセトアミドエチルスルホンアミド、オクチルスルホンアミド、および、ウンデシルスルホンアミドなどが挙げられる。
オキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは炭素数1~18のオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、オクチルオキシカルボニルアミノ、および、ウンデシルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。
オキシスルホニルアミノ基としては、好ましくは炭素数1~18のオキシスルホニルアミノ基であり、例えば、メトキシスルホニルアミノ、エトキシスルホニルアミノ、オクチルオキシスルホニルアミノ、および、ウンデシルオキシスルホニルアミノなどが挙げられる。
スルファモイルアミノ基としては、好ましくは炭素数0~18のスルファモイルアミノ基であり、例えば、メチルスルファモイルアミノ、ジメチルスルファモイルアミノ、エチルスルファモイルアミノ、プロピルスルファモイルアミノ、オクチルスルファモイルアミノ、および、ウンデシルスルファモイルアミノなどが挙げられる。
ウレイド基としては、好ましくは炭素数1~18のウレイド基であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、N,Nージメチルウレイド、オクチルウレイド、および、ウンデシルウレイドなどが挙げられる。
チオウレイド基としては、好ましくは炭素数1~18のチオウレイド基であり、例えば、チオウレイド、メチルチオウレイド、N,N-ジメチルチオウレイド、オクチルチオウレイド、および、ウンデシルチオウレイドなどが挙げられる。
アシル基としては、好ましくは炭素数1~18のアシル基であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、オクタノイル、デカノイル、ウンデカノイル、および、オクタデカノイルなどである。
オキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数1~18のオキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、および、ウンデシルオキシカルボニルなどが挙げられる。
カルバモイル基としては、好ましくは炭素数1~18のカルバモイル基であり、例えば、カルバモイル、N,Nージメチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N-オクチルカルバモイル、N,N-ジオクチルカルバモイル、および、N-ウンデシルカルバモイルなどが挙げられる。
スルホニル基としては、好ましくは炭素数1~18のスルホニル基であり、例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、2-クロロエタンスルホニル、オクタンスルホニル、および、ウンデカンスルホニルなどが挙げられる。
スルフィニル基としては、好ましくは炭素数1~18のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル、エタンスルフィニル、および、オクタンスルフィニルなどが挙げられる。
スルファモイル基としては、好ましくは炭素数0~18のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、オクチルスルファモイル、ジオクチルスルファモイル、および、ウンデシルスルファモイルなどが挙げられる。
【0023】
X1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、=NR1X基、または、=CR2XR3X基を表すが、酸素原子または=C(R2X)(R3X)基が好ましく、同時に酸素原子または同時に=C(R2X)(R3X)基となることがより好ましい。
R1X~R3Xは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、置換基の具体例は、R1~R4において説明した置換基と同様である。
【0024】
X1およびX2が同時に酸素原子となる場合において、R1~R4としては、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、オキシスルホニルアミノ基、ウレイド基、チオウレイド基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、およびこれらの基を組み合わせた基、ならびに、水素原子が好ましく、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキルチオ基、カルボンアミド基、およびこれらの基を組み合わせた基、ならびに、水素原子がより好ましい。
【0025】
R2XおよびR3Xは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表すが、置換基であることが好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基、オキシカルボニル基またはスルホニル基であることがより好ましく、シアノ基であることがさらに好ましく、同時にシアノ基になることが特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物としては、X1およびX2が同時に=CR2XR3X基となり、かつ、R2XおよびR3Xが同時にシアノ基である化合物も好ましく用いることができる。このような化合物としては、具体的には、以下の式(AQ)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0026】
【0027】
式(AQ)中、R1~R4は、同一でも異なっていてもよく、上記式(A)におけるR1~R4と同義である。
【0028】
一般式(AQ)で表される化合物の中でも、以下の式(AQ-1)または式(AQ-2)で表される化合物が好ましい。
【0029】
【0030】
一般式(AQ-1)中、R31はハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アシル基、オキシカルボニル基を表し、R031はR1~R4にて説明したものと同じものが挙げられる。m4は1~4の整数を表し、m4または4-m4が2以上の整数を表すとき、複数のR31および複数のR031はそれぞれ、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0031】
一般式(AQ-1)中のR31およびR031について以下にその好ましい組み合わせについて述べる。
R31がハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数1~18のアシル基または炭素数1~18のオキシカルボニル基であり、かつ、R031が水素原子、炭素数1~18のアルキル基またはR031の数を表す「4-m4」が0である場合(すなわち、R031で置換されていない場合)である組み合わせが好ましい。
より好ましくは、R31が炭素数1~18のアルコキシ基もしくはハロゲン原子であり、かつ、R031が水素原子またはR031の数を表す「4-m4」が0である場合の組み合わせである。
【0032】
【0033】
上記式(AQ-2)中、R32は水素原子または置換基を表す。ここで、置換基とは、R1~R4にて説明したものと同じものが挙げられる。m5は0~6の整数を表し、m5が2以上の整数を表すとき、複数のR32は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0034】
式(AQ-2)中のR32は、好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、および、アシル基であり、より好ましくは、水素原子、炭素数8~18のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数8~18のアルコキシ基、炭素数8~18のアルキルチオ基、炭素数8~18のカルボンアミド基、炭素数8~18のスルホンアミド基、炭素数8~18のウレイド基、および、炭素数8~18のアシル基であり、さらに好ましくは、水素原子、炭素数8~18のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、および、炭素数8~18のアルコキシ基であり、特に好ましくは、水素原子である。
【0035】
以下にキノン構造を有する酸化剤の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
(N-オキシル構造を有する酸化剤)
N-オキシル構造を有する酸化剤は、光吸収異方性膜の耐光性がより向上するという観点から、下記式(N)で表される化合物が好ましい。
【0054】
【0055】
式(N)中、R11、R12、R15およびR16は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
式(N)中、R13およびR14は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R13およびR14がアルキル基またはアルコキシ基である場合には、R13およびR14が互いに連結して環を構成してもよい。
【0056】
R11~R16におけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1~18の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ヘキサデシル、および、オクタデシルなどを挙げることができる。
これらの中でも、R11~R16におけるアルキル基としては、炭素数1~6の直鎖、分岐鎖状または環状のアルキル基が好ましく、炭素数1~6の直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素数1~6の直鎖のアルキル基がさらに好ましい。
【0057】
R11~R16におけるアリール基としては、好ましくは炭素数6~10のアリール基であり、例えば、フェニルおよびナフチルなどが挙げられる。
【0058】
R13およびR14におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1~18のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、および、オクタデシルオキシなどを挙げることができる。
これらの中でも、R13およびR14におけるアルコキシ基としては、炭素数1~6のアルコキシ基が好ましい。
【0059】
R13およびR14がアルキル基またはアルコキシ基である場合には、R13およびR14が互いに連結して、環を構成してもよい。この場合、式(N)は、少なくとも窒素原子を含む飽和の複素環骨格(飽和の含窒素複素環骨格)を有する。
このような飽和の含窒素複素環骨格は、5~8員環が好ましく、5~6員環がより好ましい。
飽和の含窒素複素環骨格としては、例えば、ピロリジン骨格、ピペリジン骨格、モルホリン骨格およびオキサゾリジン骨格が挙げられる。
飽和の複素環骨格における複素環は、置換基を有してもよい。置換基の具体例は、上記式(A)のR1~R4において説明した置換基と同様である。また、これらの置換基同士が互いに結合して環を形成してもよく、この場合の式(N)で表される化合物としては、例えば、環を構成する炭素原子の少なくとも1つが窒素原子で置換されたアダマンタン誘導体などの架橋環式骨格を有する化合物が挙げられる。
【0060】
R11~R16におけるアリール基およびアルキル基、ならびに、R13およびR14におけるアルコキシ基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、上記式(A)のR1~R4において説明した置換基、および、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0061】
上記式(N)で表される化合物の中でも、光吸収異方性膜の耐光性がより向上する観点から、下記式(N1)で表される構造、または、下記式(N2)で表される構造を有する化合物が好ましい。
【0062】
【0063】
上記式(N1)中、R21~R28はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R21~R28からなる群より選択される2個以上の基が置換基である場合、2個以上の置換基同士が互いに連結して環を形成してもよい。
R21~R28が表す置換基としては、上記式(A)のR1~R4において説明した置換基、および、酸素原子(=O)が挙げられる。ただし、R21~R28が酸素原子である場合、R21およびR22の両方で1つの酸素原子(=O)を表し、R23およびR24の両方で1つの酸素原子(=O)を表し、R25およびR26の両方で1つの酸素原子(=O)を表し、R27およびR28の両方で1つの酸素原子(=O)を表す。
【0064】
上記の中でも、R21~R28は、それぞれ独立に、水素原子、酸素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アシルオキシ基、カルボンアミド基またはスルホンアミド基であるのが好ましい。これらの中でも、2色性色素化合物と親水性または疎水性の性質が近くなり、耐光性向上をさせる効果がより発揮できる観点から、炭素数1~20のアルキル基、カルボンアミド基、または、スルホンアミド基がより好ましい。
R21~R28のうち、2個以上の置換基が互いに連結して環を形成する場合、式(N1)で表される化合物は、上述したような架橋環式骨格を有する化合物であることが好ましい。このような架橋環式骨格を有する化合物は、これ自体の活性が高く、酸化抑制機能が良好に発揮できる。これにより、光吸収異方性膜の耐光性がより向上する。
【0065】
上記式(N2)中、R31~R40はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R31~R40からなる群より選択される2個以上の基が置換基である場合、2個以上の置換基同士が互いに連結して環を形成してもよい。
R31~R40が表す置換基としては、上記式(A)のR1~R4において説明した置換基、および、酸素原子(=O)が挙げられる。ただし、R31~R40が酸素原子である場合、R31およびR32の両方で1つの酸素原子(=O)を表し、R33およびR34の両方で1つの酸素原子(=O)を表し、R35およびR36の両方で1つの酸素原子(=O)を表し、R37およびR38の両方で1つの酸素原子(=O)を表し、R39およびR40の両方で1つの酸素原子(=O)を表す。
上記の中でも、R31~R40は、それぞれ独立に、水素原子、酸素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アシルオキシ基、カルボンアミド基またはスルホンアミド基であるのが好ましい。これらの中でも、これらの中でも、2色性色素化合物と親水性または疎水性の性質が近くなり、耐光性向上をさせる効果がより発揮できる観点から、炭素数1~20のアルキル基、カルボンアミド基、または、スルホンアミド基がより好ましい。
R31~R40のうち、2個以上の置換基が互いに連結して環を形成する場合、式(N2)で表される化合物は、上述したような架橋環式骨格を有する化合物であることが好ましい。このような架橋環式骨格を有する化合物は、これ自体の活性が高く、酸化抑制機能が良好に発揮できる。これにより、光吸収異方性膜の耐光性がより向上する。
【0066】
また、N-オキシル構造を有する酸化剤には、下記式(N3)で表される化合物も用いられる。
【0067】
【0068】
上記式(N3)中、R41~R48はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R41~R48からなる群より選択される2個以上の基が置換基である場合、2個以上の置換基同士が互いに連結して環を形成してもよい。
R41~R48が表す置換基は、上記式(A)のR1~R4において説明した置換基、および、酸素原子(=O)が挙げられる。ただし、R41~R48が酸素原子である場合、R41およびR42の両方で1つの酸素原子(=O)を表し、R43およびR44の両方で1つの酸素原子(=O)を表し、R45およびR46の両方で1つの酸素原子(=O)を表し、R47およびR48の両方で1つの酸素原子(=O)を表す。
上記の中でも、R41~R48は、それぞれ独立に、水素原子、酸素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アシルオキシ基、カルボンアミド基またはスルホンアミド基であるのが好ましい。これらの中でも、2色性色素化合物と親水性または疎水性の性質が近くなり、耐光性向上をさせる効果がより発揮できる観点から、炭素数1~20のアルキル基、カルボンアミド基、または、スルホンアミド基がより好ましい。
R41~R48のうち、2個以上の置換基が互いに連結して環を形成する場合、式(N3)で表される化合物は、上述したような架橋環式骨格を有する化合物であることが好ましい。このような架橋環式骨格を有する化合物は、これ自体の活性が高く、酸化抑制機能が良好に発揮できる。これにより、光吸収異方性膜の耐光性がより向上する。
【0069】
また、N-オキシル構造を有する酸化剤には、下記式(N4)で表される化合物も用いられる。
【0070】
【0071】
上記式(N4)中、R51~R55はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R51~R55からなる群より選択される2個以上の基が置換基である場合、2個以上の置換基同士が互いに連結して環を形成してもよい。R51~R55が表す置換基は、上記式(A)のR1~R4において説明した置換基と同様であるので、その説明を省略する。
上記の中でも、R51~R55は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルバモイル基、カルボキシ基、アシルオキシ基、カルボンアミド基またはスルホンアミド基であるのが好ましい。
【0072】
以下にN-オキシル構造を有する酸化剤の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
【0074】
【0075】
(アミンオキシド構造を有する酸化剤)
酸化剤としては、キノン構造を有する酸化剤およびN-オキシル構造を有する酸化剤の他に、アミンオキシド構造を有する酸化剤を用いてもよい。
アミンオキシド構造を有する酸化剤としては、光吸収異方性膜の耐光性がより向上する観点から、下記式(AO)で表される化合物が好ましい。
【0076】
【0077】
上記式(AO)中、R61~R65はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R61~R65からなる群より選択される2個以上の基が置換基である場合、隣接する2個の置換基同士(具体的には、R61とR62、R62とR63、R63とR64、または、R64とR65)が互いに連結して不飽和縮合環を形成してもよい。この不飽和縮合環は置換基を有していてもよく、その置換基としては、R61~R65において説明した置換基と同様である。
R61~R65が表す置換基は、上記式(A)のR1~R4において説明した置換基と同様である。上記の中でも、R61~R65は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、または、ニトロ基が好ましい。
【0078】
以下にアミンオキシド構造を有する酸化剤の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
【0080】
【0081】
<アゾ基を有する2色性色素化合物>
第1実施形態に係る着色組成物は、アゾ基を有する2色性色素化合物を含有する。
本発明において、2色性色素化合物とは、方向によって吸光度が異なる色素を意味する。また、2色性および2色比は、2色性色素組成物を光吸収異方性膜としたときの、偏光軸方向の偏光の吸光度に対する、吸収軸方向の偏光の吸光度の比で計算される。
アゾ基を有する2色性色素化合物としては、アゾ基を有していれば特に限定されず、従来公知の2色性色素化合物を使用することができる。
具体的には、例えば、特開2013-228706号公報の[0067]~[0071]段落、特開2013-227532号公報の[0008]~[0026]段落、特開2013-209367号公報の[0008]~[0015]段落、特開2013-14883号公報の[0045]~[0058]段落、特開2013-109090号公報の[0013]~[0022]段落、特開2013-101328号公報の[0009]~[0017]段落、特開2013-37353号公報の[0052]~[0059]段落、特開2012-63387号公報の[0050]~[0057]段落、特開平11-305036号公報の[0018]段落、特開2001-133630号公報の[0009]~[0011]段落、および、特開2011-215337号公報の[0030]~[0169]段落などに記載のアゾ基を有する2色性色素化合物が挙げられる。
【0082】
アゾ基を有する2色性色素化合物は、液晶性を有していることが好ましく、サーモトロピック液晶性またはリオトロピック液晶性であることがより好ましく、サーモトロピック液晶性であることがさらに好ましい。ここで、サーモトロピック液晶性とは、熱によって液晶相に転移して、液晶性を示すことをいう。また、リオトロピック液晶性とは、濃度変化によって液晶相に転移して、液晶性を示すことをいう。
このようなサーモトロピック液晶性を有し、アゾ基を有する2色性色素化合物としては、例えば、特開2011-237513号公報の[0056]~[0219]段落に記載のアゾ色素が好ましく用いられる。
【0083】
アゾ基を有する2色性色素化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0084】
上記アゾ基を有する2色性色素化合物として、下記式(D1)で表される部分構造を有する2色性色素化合物を使用する場合、上述したN-オキシル構造を有する酸化剤を使用することが好ましい。これにより、光吸収異方性膜の耐光性がより向上する。
【0085】
【0086】
上記式(D1)中、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に、芳香族炭化水素環または複素環を表し、nは1、3または4の整数を表し、*は他の基との結合位置を表す。nが3または4である場合、複数のAr2は互いに同一でも異なっていてもよい。
ただし、上記式(D1)の両末端に位置するAr1およびAr2において、他の基との結合位置*における結合手はいずれも、アゾ基(-N=N-)と直接結合することはない。すなわち、上記式(D1)のAr1の左側の結合手がアゾ基と直接結合せず、かつ、上記式(D1)の最も右側に存在するAr2の右側の結合手がアゾ基と直接結合しないという意味である。
【0087】
Ar1およびAr2が表す芳香族炭化水素基は、単環であっても、2環以上の縮環構造を有していてもよい。芳香族炭化水素環の環数は、1~4が好ましく、1~2がより好ましく、1(すなわちベンゼン環であること)がさらに好ましい。
芳香族炭化水素環の具体例としては、ベンゼン環、アズレン環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、テトラセン環などが挙げられ、ベンゼン環およびナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
Ar1およびAr2が表す複素環は、芳香族または非芳香族のいずれであってもよいが、2色比が向上するという観点から、芳香族複素環が好ましい。
芳香族複素環は、単環であってもよいし、2環以上の縮環構造を有していてもよい。芳香族複素環を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子および酸素原子が挙げられる。芳香族複素環が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
芳香族複素環の具体例としては、例えば、ピリジン環、チオフェン環、キノリン環、イソキノリン環、チアゾール環、ベンゾチアジアゾール環、フタルイミド環、チエノチアゾール環、チエノチオフェン環、および、チエノオキサゾール環等が挙げられ、チエノチアゾール環が好ましい。
【0088】
上記アゾ基を有する2色性色素化合物として、下記式(D2)で表される部分構造を有する2色性色素化合物を使用する場合、上述したキノン構造を有する酸化剤を使用することが好ましい。これにより、光吸収異方性膜の耐光性がより向上する。
【0089】
【0090】
上記式(D2)中、Ar3およびAr4はそれぞれ独立に、芳香族炭化水素環または複素環を表し、*は他の基との結合位置を表す。Ar3およびAr4の定義は、上記式(D1)におけるAr1およびAr2と同様であるのでその説明を省略する。
ただし、Ar3およびAr4において、他の基との結合位置*における結合手はいずれも、アゾ基と直接結合することはない。すなわち、上記式(D2)のAr3の左側の結合手がアゾ基と直接結合せず、かつ、上記式(D2)のAr4の右側の結合手がアゾ基と直接結合しないという意味である。
【0091】
<液晶性化合物>
第1実施形態に係る着色組成物は、液晶性化合物を含有することが好ましい。液晶性化合物を含むことで、2色性色素化合物の析出を抑止しながら、2色性色素化合物を高い配向度で配向させることができる。
液晶性化合物は、上記アゾ基を有する2色性色素以外の液晶性化合物である。
液晶性化合物としては、低分子液晶性化合物および高分子液晶性化合物のいずれも用いることができる。ここで、「低分子液晶性化合物」とは、化学構造中に繰り返し単位を有さない液晶性化合物のことをいう。また、「高分子液晶性化合物」とは、化学構造中に繰り返し単位を有する液晶性化合物のことをいう。
低分子液晶性化合物としては、例えば、特開2013-228706号公報に記載されている液晶性化合物が挙げられる。
高分子液晶性化合物としては、例えば、特開2011-237513号公報に記載されているサーモトロピック液晶性高分子、特開2016-4055号公報に記載のサーモトロピック液晶性を有する2色性色素ポリマーが挙げられる。また、高分子液晶性化合物は、末端に架橋性基(例えば、アクリロイル基およびメタクリロイル基)を有していてもよい。
液晶性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶性化合物の含有量は、着色組成物中のアゾ基を有する2色性色素化合物の含有量100質量部に対して、0.1~10,000質量部が好ましく、1~5,000質量部がより好ましく、10~1,000質量部がさらに好ましい。液晶性化合物の含有量が上記範囲内にあることで、光吸収異方性膜の2色比が向上する。
【0092】
<溶媒>
第1実施形態に係る着色組成物は、作業性等の観点から、溶媒を含有するのが好ましい。
溶媒としては、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなど)、ハロゲン化炭素類(例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン(クロロホルム)、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,2-ジメトキシエタンなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、および、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジンなど)などの有機溶媒、ならびに、水が挙げられる。これの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの溶媒のうち、有機溶媒を用いることが好ましく、ハロゲン化炭素類またはケトン類を用いることがより好ましい。
着色組成物が溶媒を含有する場合において、溶媒の含有量は、着色組成物の全質量に対して、70~99.5質量%であることが好ましく、85~99.0質量%であることがより好ましく、80~97質量%であることがさらに好ましい。
【0093】
<界面改良剤>
第1実施形態に係る着色組成物は、界面改良剤を含有してもよい。界面改良剤を含むことにより、塗布表面の平滑性が向上し、配向度が向上したり、ハジキおよびムラを抑制して、面内の均一性の向上が見込まれる。
界面改良剤としては、アゾ基を有する2色性色素化合物、または、液晶性化合物を塗布表面側で水平にさせるものが好ましく、特開2011-237513号公報の[0253]~[0293]段落に記載の化合物(水平配向剤)を用いることができる。
界面改良剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色組成物が界面改良剤を含有する場合、界面改良剤の含有量は、着色組成物中の上記アゾ基を有する2色性色素化合物100質量部に対し、0.001~10質量部が好ましく、0.01~5質量部が好ましい。
【0094】
<重合開始剤>
第1実施形態に係る着色組成物は、重合開始剤を含有してもよい。
重合開始剤としては特に制限はないが、感光性を有する化合物、すなわち光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、各種の化合物を特に制限なく使用できる。光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号および同2951758号の各明細書)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報および米国特許第4239850号明細書)、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書)、および、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63-40799号公報、特公平5-29234号公報、特開平10-95788号公報および特開平10-29997号公報)等が挙げられる。
このような光重合開始剤としては、市販品も用いることができ、BASF社製のイルガキュア184、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュアOXE-01およびイルガキュアOXE-02等が挙げられる。
重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色組成物が重合開始剤を含有する場合、重合開始剤の含有量は、着色組成物中の上記アゾ基を有する2色性色素化合物100質量部に対し、0.01~50質量部が好ましく、0.1~25質量部がより好ましい。
【0095】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る着色組成物は、上記のアゾ基を有する2色性色素化合物と、一重項酸素クエンチャーと、を含有する。
第2実施形態に係る着色組成物は、酸化剤に代えて一重項酸素クエンチャーを含有すること以外は、第1実施形態に係る着色組成物と同様である。以下の第2実施形態に係る着色組成物の説明では、第1実施形態に係る着色組成物との相違点のみを説明する。
【0096】
<一重項酸素クエンチャー>
第2実施形態に係る着色組成物は、一重項酸素クエンチャーを含有する。一重項酸素クエンチャーは、一重項状態酸素と反応して、一重項酸素を失活させ得る化合物である。
一重項酸素クエンチャーは、上述した光吸収異方性膜の耐光性を向上させる機能の他に、光吸収異方性膜の湿熱耐久性を向上させるという機能も有する。
一重項酸素クエンチャーの含有量は、着色組成物中のアゾ基を有する2色性色素化合物100質量部に対して、0.1~100質量部が好ましく、1~50質量部がより好ましく、1~40質量部がさらに好ましい。一重項酸素クエンチャーの含有量が上記範囲内にあることで、光吸収異方性膜の耐光性がより向上する。
【0097】
一重項酸素クエンチャーとしては、特に限定されないが、例えば、ベンゼンスルホン酸ニッケル塩、p-トルエンスルホン酸ニッケル塩、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル塩およびジ-n-ブチルジチオカルバミン酸ニッケル塩などの金属塩、テトラブチルホスホニウムビス(1,2-ベンゼンジチオレート)ニコレート(III)およびテトラブチルホスホニウムビス(4-メチル-1,2-ベンゼンジチオレート)ニコレート(III)などの金属錯体、ならびに、ジインモニウム塩化合物等が挙げられ、これらの中でもジインモニウム塩化合物が好ましい。
一重項酸素クエンチャーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0098】
(ジインモニウム塩化合物)
ジインモニウム塩化合物としては、光吸収異方性膜の耐光性がより向上するという観点から、下記式(D)で表される化合物が好ましい。
【0099】
【0100】
式(D)中、R31~R38は、それぞれ独立に、水素原子または炭化水素基を表す。X-は、1価のアニオンを表す。
【0101】
R31~R38における炭化水素基としては、例えば、アルキル基およびアリール基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1~8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、n-ペンチル、n-ヘプチル、n-オクチルおよび2-エチルヘキシルなどを挙げることができる。これらの中でも、炭素数1~8の直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましい。
アリール基としては、好ましくは炭素数6~10のアリール基であり、例えば、フェニルおよびナフチルなどが挙げられ、フェニルがより好ましい。
【0102】
R31~R38における炭化水素基は、置換基を有していてもよく、具体的には特開2011-38007号公報の[0025]~[0034]段落に記載の置換基が挙げられる。
【0103】
X-における1価のアニオンとしては、ClO4
-、PF6
-およびBF4
-等が挙げられる。式(D)における2つのX-は、互いに同一でも異なっていてもよい。
また、X-における1価のアニオンとしては、特開2011-38007号公報の[0016]~[0023]に記載のアニオンも用いることができる。
【0104】
以下にジインモニウム塩化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0105】
【0106】
[光吸収異方性膜]
本発明の光吸収異方性膜は、上述した着色組成物を用いて形成される。
本発明の光吸収異方性膜の製造方法の一例としては、上記着色組成物を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程(以下、「塗布膜形成工程」ともいう。)と、塗布膜に含まれる液晶性成分を配向させる工程(以下、「配向工程」ともいう。)と、をこの順に含む方法が挙げられる。
以下、工程毎に光吸収異方性膜の製造方法を説明する。
【0107】
<塗布膜形成工程>
塗布膜形成工程は、上記着色組成物を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程である。
上述した溶媒を含有する着色組成物を用いたり、着色組成物を加熱などによって溶融液などの液状物としたものを用いたりすることにより、基材上に着色組成物を塗布することが容易になる。
着色組成物の塗布方法としては、ロールコーティング法、グラビア印刷法、スピンコート法、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スプレー法、および、インクジェット法などの公知の方法が挙げられる。
本態様では、着色組成物が基材上に塗布されている例を示したが、これに限定されず、例えば、基材上に設けられた配向膜上に着色組成物を塗布してもよい。配向膜の詳細については後述する。
【0108】
<配向工程>
配向工程は、塗布膜に含まれる液晶性成分を配向させる工程である。これにより、光吸収異方性膜が得られる。
配向工程は、乾燥処理を有していてもよい。乾燥処理によって、溶媒などの成分を塗布膜から除去することができる。乾燥処理は、塗布膜を室温下において所定時間放置する方法(例えば、自然乾燥)によって行われてもよいし、加熱および/または送風する方法によって行われてもよい。
ここで、着色組成物に含まれる液晶性成分は、上述した塗布膜形成工程または乾燥処理によって、配向する場合がある。例えば、着色組成物が溶媒を含む塗布液として調製されている態様では、塗布膜を乾燥して、塗布膜から溶媒を除去することで、光吸収異方性を持つ塗布膜(すなわち、光吸収異方性膜)が得られる。
乾燥処理が塗布膜に含まれる液晶性成分の液晶相への転移温度以上の温度により行われる場合には、後述する加熱処理は実施しなくてもよい。
【0109】
塗布膜に含まれる液晶性成分の液晶相への転移温度は、製造適性等の面から10~250℃が好ましく、25~190℃がより好ましい。上記転移温度が10℃以上であると、液晶相を呈する温度範囲にまで温度を下げるための冷却処理等が必要とならず、好ましい。また、上記転移温度が250℃以下であると、一旦液晶相を呈する温度範囲よりもさらに高温の等方性液体状態にする場合にも高温を要さず、熱エネルギーの浪費、ならびに、基板の変形および変質等を低減できるため、好ましい。
【0110】
配向工程は、加熱処理を有することが好ましい。これにより、塗布膜に含まれる液晶性成分を配向させることができるため、加熱処理後の塗布膜を光吸収異方性膜として好適に使用できる。
加熱処理は、製造適性等の面から10~250℃が好ましく、25~190℃がより好ましい。また、加熱時間は、1~300秒が好ましく、1~60秒がより好ましい。
【0111】
配向工程は、加熱処理後に実施される冷却処理を有していてもよい。冷却処理は、加熱後の塗布膜を室温(20~25℃)程度まで冷却する処理である。これにより、塗布膜に含まれる液晶性成分の配向を固定することができる。冷却手段としては、特に限定されず、公知の方法により実施できる。
以上の工程によって、光吸収異方性膜を得ることができる。
なお、本態様では、塗布膜に含まれる液晶性成分を配向する方法として、乾燥処理および加熱処理などを挙げているが、これに限定されず、公知の配向処理によって実施できる。
【0112】
<他の工程>
光吸収異方性膜の製造方法は、上記配向工程後に、光吸収異方性膜を硬化させる工程(以下、「硬化工程」ともいう。)を有していてもよい。これにより、耐久性に優れた光吸収異方成膜が得られる。
硬化工程は、例えば、加熱および/または光照射(露光)によって実施される。このなかでも、硬化工程は光照射によって実施されることが好ましい。
硬化に用いる光源は、赤外線、可視光または紫外線など、種々の光源を用いることが可能であるが、紫外線であることが好ましい。また、硬化時に加熱しながら紫外線を照射してもよいし、特定の波長のみを透過するフィルタを介して紫外線を照射してもよい。
露光が加熱しながら行われる場合、露光時の加熱温度は、光吸収異方性膜に含まれる液晶性成分の液晶相への転移温度にもよるが、25~140℃であることが好ましい。
また、露光は、窒素雰囲気下で行われてもよい。ラジカル重合によって光吸収異方性膜の硬化が進行する場合において、酸素による重合の阻害が低減されるため、窒素雰囲気下で露光することが好ましい。
【0113】
光吸収異方性膜の膜厚は、0.1~5.0μmが好ましく、0.3~1.5μmであることがより好ましい。着色組成物中の2色性色素化合物の濃度によるが、膜厚が0.1μm以上であると、優れた吸光度の光吸収異方性膜が得られ、膜厚が5.0μm以下であると、優れた透過率の光吸収異方性膜が得られる。
【0114】
[積層体]
本発明の積層体は、基材と、上記基材上に形成された上記光吸収異方性膜と、を有する。本発明の積層体は、さらに上記光吸収異方性膜上に形成されたλ/4板を有していてもよい。
また、本発明の積層体は、上記基材と上記光吸収異方性膜との間に配向膜を有することが好ましい。
以下、積層体を構成する各層について説明する。
【0115】
<基材>
基材としては、光吸収異方性膜の用途に応じて選択することができ、例えば、ガラスおよびポリマーフィルムが挙げられる。基材の光透過率は、80%以上であるのが好ましい。
基材としてポリマーフィルムを用いる場合には、光学的等方性のポリマーフィルムを用いるのが好ましい。ポリマーの具体例および好ましい態様は、特開2002-22942号公報の[0013]段落の記載を適用できる。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても国際公開WO00/26705号公報に記載の分子を修飾することで発現性を低下させたものを用いることもできる。
【0116】
<光吸収異方性膜>
光吸収異方性膜については、上述した通りであるので、その説明を省略する。
【0117】
<λ/4板>
「λ/4板」とは、λ/4機能を有する板であり、具体的には、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する板である。
λ/4板の具体例としては、例えば米国特許出願公開2015/0277006号などが挙げられる。
例えば、λ/4板が単層構造である態様としては、具体的には、延伸ポリマーフィルムや、支持体上にλ/4機能を有する光学異方性層を設けた位相差フィルム等が挙げられ、また、λ/4板が複層構造である態様としては、具体的には、λ/4板とλ/2板とを積層してなる広帯域λ/4板が挙げられる。
λ/4板と光吸収異方性膜とは、接して設けられていてもよいし、λ/4板と光吸収異方性膜との間に、他の層が設けられていてもよい。このような層としては、密着性担保のための粘着層または接着層が挙げられる。
【0118】
<配向膜>
本発明の積層体は、基材と光吸収異方性膜との間に、配向膜を有していてもよい。
配向膜は、配向膜上において本発明の着色組成物に含まれる液晶性成分を所望の配向状態とすることができるのであれば、どのような層でもよい。
有機化合物(好ましくはポリマー)の膜表面へのラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュアブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。なかでも、本発明では、配向膜のプレチルト角の制御し易さの点からはラビング処理により形成する配向膜が好ましく、配向の均一性の点からは光照射により形成する光配向膜も好ましい。
【0119】
(ラビング処理配向膜)
ラビング処理により形成される配向膜に用いられるポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。本発明においては、ポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が好ましく用いられる。配向膜については国際公開WO01/88574A1号公報の43頁24行~49頁8行の記載を参照することができる。配向膜の厚さは、0.01~10μmであることが好ましく、0.01~1μmであることがさらに好ましい。
【0120】
(光配向膜)
光照射により形成される配向膜に用いられる光配向材料としては、多数の文献等に記載がある。本発明においては、例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-76839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-94071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002-265541号公報、特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報、または、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミドもしくはエステルが好ましい例として挙げられる。より好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、または、エステルである。
【0121】
上記材料から形成した光配向膜に、直線偏光または非偏光照射を施し、光配向膜を製造する。
本明細書において、「直線偏光照射」「非偏光照射」とは、光配向材料に光反応を生じせしめるための操作である。用いる光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。光照射に用いる光のピーク波長は、200nm~700nmが好ましく、光のピーク波長が400nm以下の紫外光がより好ましい。
【0122】
光照射に用いる光源は、通常使われる光源、例えばタングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプおよびカーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー[例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザーおよびYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザー]、発光ダイオード、ならびに、陰極線管などを挙げることができる。
【0123】
直線偏光を得る手段としては、偏光板(例えば、ヨウ素偏光板、2色色素偏光板、および、ワイヤーグリッド偏光板)を用いる方法、プリズム系素子(例えば、グラントムソンプリズム)もしくはブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、または、偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が採用できる。また、フィルタまたは波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
【0124】
照射する光は、直線偏光の場合には、配向膜に対して上面、又は裏面から配向膜表面に対して垂直、又は斜めから光を照射する方法が採用される。光の入射角度は、光配向材料によって異なるが、0~90°(垂直)が好ましく、40~90°が好ましい。
非偏光の場合には、配向膜に対して、斜めから非偏光を照射する。その入射角度は、10~80°が好ましく、20~60°がより好ましく、30~50°がさらに好ましい。
照射時間は、1分~60分が好ましく、1分~10分がより好ましい。
【0125】
パターン化が必要な場合には、フォトマスクを用いた光照射をパターン作製に必要な回数施す方法、または、レーザー光走査によるパターンの書き込みによる方法を採用できる。
【0126】
<用途>
本発明の積層体は、偏光素子(偏光板)として使用でき、例えば直線偏光板または円偏光板として使用できる。
本発明の積層体が上記λ/4板などの光学異方性層を有さない場合には、積層体は直線偏光板として使用できる。一方、本発明の積層体が上記λ/4板を有する場合には、積層体は円偏光板として使用できる。
【0127】
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、上述した光吸収異方性膜または上述した積層体を有する。
本発明の画像表示装置に用いられる表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示パネル、および、プラズマディスプレイパネル等が挙げられる。
これらのうち、液晶セルまたは有機EL表示パネルであるのが好ましく、液晶セルであるのがより好ましい。すなわち、本発明の画像表示装置としては、表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置であるのが好ましく、液晶表示装置であるのがより好ましい。
【0128】
<液晶表示装置>
本発明の画像表示装置の一例である液晶表示装置としては、上述した光吸収異方性膜と、液晶セルと、を有する態様が好ましく挙げられる。より好適には、上述した積層体(ただし、λ/4板を含まない)と、液晶セルと、を有する液晶表示装置である。
なお、本発明においては、液晶セルの両側に設けられる光吸収異方性膜(積層体)のうち、フロント側の偏光素子として本発明の光吸収異方性膜(積層体)を用いるのが好ましく、フロント側およびリア側の偏光素子として本発明の光吸収異方性膜(積層体)を用いるのがより好ましい。
以下に、液晶表示装置を構成する液晶セルについて詳述する。
【0129】
(液晶セル)
液晶表示装置に利用される液晶セルは、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optical Compensated Bend)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、又はTN(Twisted Nematic)モードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60~120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT(Thin Film Transistor)液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2-176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n-ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58~59(1998)記載)及び(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、及びPSA(Polymer-Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006-215326号公報、及び特表2008-538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10-54982号公報、特開平11-202323号公報、特開平9-292522号公報、特開平11-133408号公報、特開平11-305217号公報、特開平10-307291号公報などに開示されている。
【0130】
<有機EL表示装置>
本発明の画像表示装置の一例である有機EL表示装置としては、例えば、視認側から、光吸収異方性膜と、λ/4板と、有機EL表示パネルと、をこの順で有する態様が好適に挙げられる。
より好適には、視認側から、λ/4板を有する上述した積層体と、有機EL表示パネルと、をこの順に有する態様である。この場合には、積層体は、視認側から、基材、必要に応じて設けられる配向膜、光吸収異方性膜、および、λ/4板の順に配置されている。
また、有機EL表示パネルは、電極間(陰極および陽極間)に有機発光層(有機エレクトロルミネッセンス層)を挟持してなる有機EL素子を用いて構成された表示パネルである。有機EL表示パネルの構成は特に制限されず、公知の構成が採用される。
【実施例】
【0131】
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容および処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0132】
[実施例1]
以下のようにして作製した配向膜上に、着色組成物1(後述する第1表参照)を塗布して実施例1の光吸収異方性膜を作製した。
【0133】
<配向膜の作製>
ガラス基材(セントラル硝子社製、青板ガラス、サイズ300mm×300mm、厚み1.1mm)をアルカリ洗剤で洗浄し、次いで純水を注いだ後、ガラス基材を乾燥させた。
下記の配向膜形成用組成物1を#12のバーを用いて乾燥後のガラス基材上に塗布し、塗布した配向膜形成用組成物1を110℃で2分間乾燥して、ガラス基材上に塗布膜を形成した。
得られた塗布膜にラビング処理(ローラーの回転数:1000回転/スペーサー厚2.9mm、ステージ速度1.8m/分)を1回施して、ガラス基材上に配向膜1を作製した。
【0134】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
配向膜形成用組成物1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・変性ポリビニルアルコール(下記式(PVA-1)参照)
2.00質量部
・水 74.08質量部
・メタノール 23.86質量部
・光重合開始剤
(イルガキュア2959、BASF社製) 0.06質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0135】
【0136】
上記式(PVA-1)における繰り返し単位に付された数値は、各繰り返し単位のモル比率を表す。
【0137】
<光吸収異方性膜の作製>
得られた配向膜1上に、着色組成物1(後述する第1表参照)を、スピンコーターを用いて、回転速度1000回転/10秒の条件でスピンコートして塗布膜を形成した。塗布膜を室温(25℃)で30秒間乾燥させた後、さらに180℃で15秒間加熱した。続いて、塗布膜を室温になるまで冷却して、実施例1の光吸収異方性膜を配向膜1上に作製した。
【0138】
[実施例2~22、比較例1~8]
実施例2~22および比較例1~8では、それぞれ、着色組成物の組成を後述する第1表に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、各光吸収異方性膜を配向膜1上に作製した。
【0139】
[評価試験]
<耐光性の評価>
実施例および比較例の各光吸収異方性膜について、耐光性試験前後の2色比を測定することで、耐光性の評価を行った。耐光性試験後の2色比の低下が少ないほど、耐光性に優れることを示す。耐光性試験前後の2色比を下記第1表に示す。
(2色比の測定方法)
光学顕微鏡(株式会社ニコン製、製品名「ECLIPSE E600 POL」)の光源側に直線偏光子を挿入した状態で、サンプル台に実施例および比較例の各光吸収異方性膜をセットし、マルチチャンネル分光器(Ocean Optics社製、製品名「QE65000」)を用いて400~700nmの波長域における光吸収異方性膜の吸光度を測定し、以下の式により2色比を算出した。
2色比(D0)=Az0/Ay0
上記式において、「Az0」は光吸収異方性膜の吸収軸方向の偏光に対する吸光度を表し、「Ay0」は光吸収異方性膜の偏光軸方向の偏光に対する吸光度を表す。
(耐光性試験方法1(耐光性1))
実施例および比較例の各光吸収異方性膜が形成されたガラス基材を、耐光性試験機(スガ試験機社製、商品名「キセノンウエザーメーターX25」)にセットして、ガラス基材における光吸収異方性膜の形成面に対して、キセノンランプ光源から20万luxで100時間(積算光量2000万lux・h相当)の条件にて光を照射した。なお、キセノンランプ光源には、370nmの紫外線カットフィルターを装着した。
(耐光性試験方法2(耐光性2))
照射条件を20万luxで300時間(積算光量6000万lux・h相当)に変更した以外は、上記「耐光性1」と同様にして、耐光性2の試験を実施した。
【0140】
[評価結果]
以上の評価試験の結果を下記第1表に示す。なお、第1表中、耐光性1および耐光性2の評価結果において、「-」は耐光性試験を実施していないことを示す。
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
第1表における各成分の詳細は、以下の通りである。
【0145】
液晶性化合物(A):下記式(A)で表される化合物
液晶性化合物(B):下記式(B)で表される化合物
液晶性化合物(C):下記式(C)で表される化合物
【0146】
【0147】
2色性色素化合物(1):下記式(1)で表される化合物
2色性色素化合物(2):下記式(2)で表される化合物
2色性色素化合物(3):下記式(3)で表される化合物
2色性色素化合物(4):下記式(4)で表される化合物
【0148】
【0149】
界面改良剤F1:下記式(F1)で表される化合物
【0150】
【0151】
溶媒:クロロホルム
【0152】
X1:キノン系酸化剤(下記式(X1)で表される化合物)
X2:キノン系酸化剤(下記式(X2)で表される化合物)
X3:キノン系酸化剤(下記式(X3)で表される化合物)
X4:キノン系酸化剤(下記式(X4)で表される化合物)
X5:N-オキシル系酸化剤(下記式(X5)で表される化合物)
X6:N-オキシル系酸化剤(下記式(X6)で表される化合物)
X7:N-オキシル系酸化剤(下記式(X7)で表される化合物)
X8:N-オキシル系酸化剤(下記式(X8)で表される化合物)
X9:一重項酸素クエンチャー(下記式(X9)で表される化合物)
【0153】
【0154】
アミン系酸化防止剤:2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-C12-21およびC18不飽和脂肪酸エステル(商品名CYASORB UV3853,サンケミカル社製)
フェノール系酸化防止剤:2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(BHT、東京化成工業社製)
【0155】
第1表に示すように、アゾ基を有する2色性色素化合物と、酸化剤または一重項酸素クエンチャーと、を含有する着色組成物を用いることで、耐光性に優れた光吸収異方性膜が得られることが示された(実施例)。
実施例1~3と実施例11および13との対比によれば、酸化剤としてキノン系酸化剤を用いた場合、上記式(D2)で表される部分構造を有する2色性色素化合物を用いると(実施例1~3)、上記式(D1)で表される部分構造を有する2色性色素化合物と用いる場合と比較して(実施例11および13)、耐光性が優れる(2色比の低下率が小さい)ことが示された。
実施例10と実施例14との対比によれば、酸化剤としてN-オキシル系酸化剤を用いた場合、上記式(D1)で表される部分構造を有する2色性色素化合物と用いると(実施例10)、上記式(D2)で表される部分構造を有する2色性色素化合物と用いる場合と比較して(実施例14)、耐光性が優れる(2色比の低下率が小さい)ことが示された。
一方、比較例1~4、7および8の光吸収異方性膜は、酸化剤および一重項酸素クエンチャーを含有しない着色組成物を用いて形成されたため、耐光性試験後の2色比が著しく低下して、耐光性が悪化することが示された。
また、比較例5~6の光吸収異方性膜は、各種酸化防止剤を含有するものの、酸化剤および一重項酸素クエンチャーを含有しない着色組成物を用いて形成されたため、耐光性試験後の2色比が著しく低下して、耐光性が悪化することが示された。
【0156】
[実施例23]
以下のようにして作製した配向膜2上に、後述する実施例23の着色組成物を用いて光吸収異方性膜を作製した。
【0157】
<配向膜2の作製>
透明基材フィルム(富士フイルム社製、セルロースアシレート系フィルム、商品名「フジタック TG40UL」)を準備して、ケン化処理により表面を親水化した後、下記の配向膜形成用組成物2を#12のバーを用いて透明基材フィルム上に塗布し、塗布した配向膜形成用組成物2を110℃で2分間乾燥することにより、透明基材フィルム上に配向膜2を形成した。
【0158】
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配向膜形成用組成物2の組成
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・変性ビニルアルコール(上記式(PVA-1)) 2.00質量部
・水 74.08質量部
・メタノール 23.76質量部
・光重合開始剤
(イルガキュア2959、BASF社製) 0.06質量部
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【0159】
<光吸収異方性膜の作製>
得られた配向膜2上に、実施例23の着色組成物(下記組成を参照)を、スピンコーターを用いて、回転速度1000回転/30秒の条件でスピンコートした後、室温で30秒間乾燥させることで、配向膜2上に塗布膜を形成した。続いて、得られた塗布膜を140℃で30秒間加熱した後、塗布膜が室温なるまで冷却した。次いで、塗布膜を80℃まで再加熱して30秒間保持した後、塗布膜を室温まで冷却した。このようにして、配向膜2上に実施例23の光吸収異方性膜を作製した。
【0160】
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実施例23の着色組成物の組成
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・2色性色素化合物(5)(下記式(5)参照) 9.63質量部
・2色性色素化合物(4)(上記式(4)) 7.92質量部
・液晶性化合物P(下記式(P)参照) 40.11質量部
・界面改良剤F2(下記式(F2)参照) 0.73質量部
・界面改良剤F3(下記式(F3)参照) 0.73質量部
・界面改良剤F4(下記式(F4)参照) 0.87質量部
・テトラヒドロフラン(溶媒) 799.0質量部
・シクロペンタノン(溶媒) 141.0質量部
・酸化剤(X-5)(上記式(X-5)参照) 0.87質量部
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【0161】
【0162】
<光吸収異方性膜の耐光性>
実施例23の光吸収異方性膜の耐光性1について、実施例1~22と同様にして測定したところ、光照射前後の2色比がいずれも31であった。
このように、アゾ基を有する2色性色素化合物と、酸化剤とを含有する着色組成物を用いることで、耐光性に優れた光吸収異方性膜が得られることが示された。