(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】荷電粒子顕微鏡における収差測定
(51)【国際特許分類】
H01J 37/153 20060101AFI20220530BHJP
H01J 37/22 20060101ALI20220530BHJP
H01J 37/09 20060101ALI20220530BHJP
H01J 37/06 20060101ALI20220530BHJP
H01J 37/08 20060101ALI20220530BHJP
H01J 37/04 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
H01J37/153 A
H01J37/22 502H
H01J37/22 501Z
H01J37/153 B
H01J37/09 A
H01J37/06 A
H01J37/08
H01J37/04 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018036689
(22)【出願日】2018-03-01
【審査請求日】2021-02-16
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ヘンストラ
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・クリスティアン・ティーマイエル
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/035386(WO,A1)
【文献】特開2016-004713(JP,A)
【文献】特開2006-054074(JP,A)
【文献】米国特許第06552340(US,B1)
【文献】特開2006-173027(JP,A)
【文献】特開2007-299604(JP,A)
【文献】特開2006-339006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
H01J 27/00-27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子顕微鏡を動作させる方法であって、
試料ホルダ上に試料を置くステップと、
源を使用して荷電粒子ビームを生成するステップと、
前記荷電粒子ビームを照明器に通過させるステップであり、前記照明器が、
関連粒子-光学軸を有する源レンズ、および
前記源レンズと前記試料の間に配置されたコンデンサ絞りであり、前記試料上に前記ビームのフットプリントを画定するように構成されたコンデンサ絞り
を備えるステップと、
前記照明器から出た前記ビームで前記試料を照射するステップと、
前記照射に反応して前記試料から発出した放射を検出するステップと、
関連画像を生成するステップと
を含む方法において、
前記源からの一組の放出角を選択するステップと、
それぞれのサブビームが前記一組の放出角のうちの1つの放出角で前記源から放出される一組の対応するサブビームを選択するステップと、
前記一組の対応するサブビームのうちのそれぞれのサブビームによって形成された試験画像であり、それぞれの試験画像が、前記一組の放出角のうちの1つの放出角に対応する試験画像を記憶し、それによって一組の試験画像を編集するステップと、
前記一組の試験画像を分析することによって、前記コンデンサ絞りよりも前に生じた照明器収差を決定するステップと
を特徴とする方法。
【請求項2】
サブビームを選択する前記ステップが、前記粒子-光学軸に対して垂直な横方向に前記コンデンサ絞りを移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
サブビームを選択する前記ステップが、前記源レンズと前記コンデンサ絞りの間に位置するビーム偏向器を使用して、選択可能な横方向のビーム偏向を生じさせることを含む、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記試験画像が、前記試料の実質的に非晶質の部分の画像である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記一組の放出角のうちの所与の放出角について、2つの試験画像を、2つの異なる焦点設定で取得する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記照明器内の前記源レンズと前記コンデンサ絞りの間に源レンズ収差補正器を備えるステップと、
前記収差を軽減するために前記補正器を起動させるステップと
をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記源が、冷陰極電界放出銃(CFEG)、電子衝突イオン源、ナノ・アパーチャ・イオン源(NAIS)、液体金属イオン源(LMIS)および電界イオン化源からなる群から選択された、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記照明器収差を打ち消すステップをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記荷電粒子ビームを照明器に通過させるステップにおいて、前記照明器が、前記照明器収差を打ち消すように動作可能な収差補正器を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記荷電粒子ビームを照明器に通過させるステップにおいて、前記収差補正器が、ビーム傾斜補正要素、非点収差補正装置、色収差補正器および球面収差補正器のうちの1つまたは複数を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
荷電粒子顕微鏡であって、
試料を保持する試料ホルダと、
荷電粒子ビームを生成する源と、
関連粒子-光学軸を有する源レンズ、および
前記源レンズと前記試料ホルダの間に配置されたコンデンサ絞りであり、前記試料上に前記ビームのフットプリントを画定するように構成されたコンデンサ絞り
を備える照明器と、
前記ビームによる照射に反応して前記試料から発出した放射を検出し、関連画像を生成する検出器と、
前記顕微鏡の所与の動作を自動的に制御するプログラマブル・コントローラと
を備える荷電粒子顕微鏡において、
前記コントローラが、
前記源からの一組の放出角を選択し、
それぞれのサブビームが前記一組の選択された放出角のうちの1つの放出角で前記源から放出される一組の対応するサブビームを選択し、
前記一組の対応するサブビームのうちのそれぞれのサブビームによって形成された試験画像であり、それぞれの試験画像が、前記一組の放出角のうちの1つの放出角に対応する試験画像を記憶し、それによって一組の試験画像を編集し、
前記一組の試験画像を分析することによって、前記コンデンサ絞りよりも前に生じた照
明器収差を決定する
ように構成されていることを特徴とする荷電粒子顕微鏡。
【請求項12】
荷電粒子顕微鏡を動作させる方法であって、
源を使用して荷電粒子ビームを生成するステップと、
前記源からの一組の放出角を選択するステップと、
それぞれのサブビームが前記一組の放出角のうちの1つの放出角で前記源から放出される一組の対応するサブビームを選択するステップと、
それぞれのサブビームを照明器に通過させるステップ
であって、前記照明器が、関連粒子-光学軸を有する源レンズ、および、前記源レンズと前記試料の間に配置されて、前記試料上に前記ビームのフットプリントを画定するように構成されたコンデンサ絞りを備える、ステップと、
前記照明器から出たそれぞれのサブビームで
前記試料を照射するステップと、
それぞれのサブビームによる前記照射に反応して前記試料から発出した放射を検出するステップと、
一組の試験画像であり、それぞれの試験画像が、前記一組の対応するサブビームのうちの1つのサブビームによる前記照射に反応して前記試料から発出した照射の検出によって形成された一組の試験画像を生成するステップと、
前記一組の試験画像を分析することによって、前記コンデンサ絞りよりも前に生じた照明器収差を決定するステップと
を含む方法。
【請求項13】
源を使用して荷電粒子のビームを生成するステップにおいて、前記源が、関連粒子-光学軸を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記照明器収差を打ち消すステップをさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記荷電粒子ビームを照明器に通過させるステップにおいて、前記照明器が、前記照明器収差を打ち消すように動作可能な収差補正器を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記荷電粒子ビームを照明器に通過させるステップにおいて、前記収差補正器が、ビーム傾斜補正要素、非点収差補正装置、色収差補正器および球面収差補正器のうちの1つまたは複数を備える、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子顕微鏡を動作させる方法であって、
- 試料ホルダ上に試料を備えるステップと、
- 荷電粒子ビームを生成するために、源を使用するステップと、
- そのビームを照明器に通過させるステップであり、この照明器が、
・関連付けられた粒子-光学軸を有する源レンズ、および
・源レンズと試料の間に配置されたコンデンサ絞りであり、試料上にそのビームのフットプリントを画定するように構成されたコンデンサ絞り
を備えるステップと、
- この照明器から出たビームで試料を照射するステップと、
- その照射に反応して試料から発出した放射を検出するために検出器を使用するステップ、および、関連画像を生成するステップと
を含む方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、その中でこの方法を実施することができる荷電粒子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0003】
荷電粒子顕微鏡法は、顕微鏡レベルの微小な物体を特に電子顕微鏡法の形態で画像化する、ますます重要となる公知の技法である。過去には、基本的な電子顕微鏡属は、透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)などのいくつかの公知の装置種へと進化し、さらに、例えばイオン・ビーム・ミリング、イオン・ビーム誘起付着(IBID)などの支援的作業を可能にする「加工」集束イオン・ビーム(FIB)を追加的に使用するいわゆる「デュアル・ビーム」ツール(例えばFIB-SEM)などのさまざまな亜種へと進化した。より詳細に説明する。
【0004】
- SEMでは、走査電子ビームによる試料への照射が、試料からの例えば2次電子、後方散乱電子、X線および陰極ルミネセンス(赤外、可視および/または紫外光子)の形態の「補助」放射の発出を促進する。次いで、この発出した放射の1つまたは複数の成分が検出され、画像蓄積目的に使用される。
【0005】
- TEMでは、試料を透過するのに十分な高いエネルギーを有する電子ビームが選択されて、試料に照射する目的に使用される(そのため、試料は一般に、SEM試料の場合よりも薄い)。次いで、試料から発出した透過電子を使用して、画像を生成することができる。このようなTEMを走査モードで動作させる(したがってそのTEMはSTEMとなる)と、照射電子ビームの走査動作中に当該画像が蓄積されることになる。
【0006】
本明細書で説明する主題のうちのいくつかの主題に関する詳細な情報は、例えば以下のWikipediaリンクから収集することができる。
【0007】
http://en.wikipedia.org/wiki/Electron_microscope
http://en.wikipedia.org/wiki/Scanning_electron_microscope
http://en.wikipedia.org/wiki/Transmission_electron_microscopy
http://en.wikipedia.org/wiki/Scanning_transmission_electron_microscopy
電子を照射ビームとして使用する代わりに、他の荷電粒子種を使用して荷電粒子顕微鏡法を実行することもできる。この点に関して、語句「荷電粒子」は、例えば電子、陽イオン(例えばGaまたはHeイオン)、陰イオン、陽子および陽電子を含むものと広く解釈されるべきである。非電子ベースの荷電粒子顕微鏡法に関しては、例えば以下の参照文献などの文献から、さらなる情報を収集することができる。
【0008】
https://en.wikipedia.org/wiki/Focused_ion_beam
http://en.wikipedia.org/wiki/Scanning_Helium_Ion_Microscope
W.H.Escovitz,T.R.FoxおよびR.Levi-Setti、Scanning Transmission Ion Microscope with a Field Ion Source、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 72(5)、1826~1828ページ(1975)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22472444
画像化および(局限された)表面改変(例えばミリング、エッチング、付着など)の実行だけでなく、分光法の実行、ディフラクトグラムの調査などの他の機能を荷電粒子顕微鏡が有することもあることに留意すべきである。
【0009】
全ての場合に、荷電粒子顕微鏡(CPM)は、少なくとも以下の構成要素を備える。
【0010】
- ショットキー電子源、イオン源などの粒子源。
【0011】
- 照明器。照明器は、源からの「未処理の」放射ビームを操作する役目を果たし、その後に、集束、収差軽減、(絞りを用いた)クロッピング、フィルタリングなどのある種の操作を実行する役目を果たす。照明器は一般に、1つまたは複数の(荷電粒子)レンズを備え、他のタイプの(粒子-)光学構成要素を備えることもある。所望ならば、照明器から出たビームに調査中の試料の走査動作を実行させる目的に使用することができる偏向システムを照明器に備えることができる。多くの場合、照明器を出て試料に入射する(細い)ビームは「プローブ」と呼ばれる。
【0012】
- 試料ホルダ。試料ホルダの上で、調査対象の試料を保持し、位置決めする(例えば傾けたり回転させたりする)ことができる。所望ならば、試料に対するビームの走査動作を実施するために、このホルダを移動させることができる。このような試料ホルダは一般に、位置決めシステムに接続される。極低温の試料を保持するように設計されているとき、試料ホルダは、前述の試料を、例えば適当に接続された寒剤槽を使用して極低温に維持する手段を備える。
【0013】
- (照射を受けた試料から発出した放射を検出する)検出器。検出器は、実際は一体型検出器または複合型/分散型検出器であることがあり、検出する放射に応じて多くの異なる形態をとりうる。検出器の例には、フォトダイオード、CMOS検出器、CCD検出器、光電池、X線検出器(例えばシリコン・ドリフト検出器およびSi(Li)検出器)などがある。一般に、CPMは、異なるいくつかのタイプの検出器を備えることができ、それらの中から状況に応じて検出器を選択することができる。
【0014】
特にデュアル・ビーム顕微鏡の場合には、異なる2種類の荷電粒子種を生成するために、(少なくとも)2つの源/照明器(粒子-光学カラム)がある。普通は、試料を画像化するために、(垂直に配置された)電子カラムが使用され、(同時に)試料を改変(加工/処理)および/または画像化するために、(斜めに配置された)イオン・カラムが使用され得る。これによって、試料ホルダを多自由度で位置決めして、試料の表面を、使用する電子/イオン・ビームに対して適切に「提示する」ことができる。
【0015】
(例えば(S)TEMなどの)透過型顕微鏡の場合、具体的にはCPMは以下のものを備える。
【0016】
- 画像化システム(画像化粒子-光学カラム)。画像化システムは、試料(平面)を透過した荷電粒子を実質上受け取り、それらの荷電粒子を、検出/画像化装置、(EELS装置などの)分光装置などの分析装置上に導く(集束させる)。上で参照した照明器と同様に、画像化システムも、収差軽減、クロッピング、フィルタリングなど、その他の機能を実行することがあり、一般に、1つもしくは複数の荷電粒子レンズおよび/または他のタイプの粒子-光学構成要素を備える。
【0017】
以下では、本発明は例として、時に、電子顕微鏡法の特定の文脈で実施形態が記載される。しかしながら、このような単純化は単に明確化/例示が目的であり、これを、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0018】
SEM、STEMなどの荷電粒子顕微鏡は高輝度源を使用することが好ましい。電子の場合、そのような1つの源は冷陰極電界放出源(冷陰極電界放出銃またはCFEGとも呼ばれる)である。このような源は、源サイズおよび角電流密度が非常に小さいが、輝度は非常に高い。この源は室温(または室温に近い温度)で動作させるため、最小限の熱エネルギー幅が導入される。イオンを生成する同様の源は例えば液体金属イオン源である。
【0019】
CFEGの角電流密度は、例えば従来のショットキーFEGの角電流密度よりも約2桁小さいことから、CFEGの角電流密度は課題を提示する。このことは、CFEGでは、所与のビーム電流に関して、(従来存在する)源レンズ(銃レンズ)が集束させる立体角が、ショットキーFEGよりも約2桁大きくなければならないことを意味する。その結果、固有収差(例えば色収差および球面収差)と寄生収差(例えば3回非点収差およびコマ収差)の両方が増大するため、ビーム品質に対する源レンズの(最終的な)影響はかなり大きくなる。したがって、CFEG(または同様に小さな源)を使用するときには、特にいわゆる「Cs補正」顕微鏡に関して、源レンズにおける収差を正確に測定(および補正)することが重要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【非特許文献】
【0021】
【文献】http://en.wikipedia.org/wiki/Electron_microscope
【文献】http://en.wikipedia.org/wiki/Scanning_electron_microscope
【文献】http://en.wikipedia.org/wiki/Transmission_electron_microscopy
【文献】http://en.wikipedia.org/wiki/Scanning_transmission_electron_microscopy
【文献】https://en.wikipedia.org/wiki/Focused_ion_beam
【文献】http://en.wikipedia.org/wiki/Scanning_Helium_Ion_Microscope
【文献】W.H.Escovitz,T.R.FoxおよびR.Levi-Setti、Scanning Transmission Ion Microscope with a Field Ion Source、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 72(5)、1826~1828ページ(1975)
【文献】http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22472444
【文献】S.Uno他、「Aberration correction and its automatic control in scanning electron microscopes」、Optik/Optics 116(2005)、438~448ページ(Elsevier)
【文献】https://en.wikipedia.org/wiki/Stigmator
【文献】http://www.cnf.umcs.lublin.pl/pdfy/2006_08_HighRex_Imaging_CS_Titan_an.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、この課題に対処することにある。より詳細には、本発明の目的は、荷電粒子顕微鏡の源レンズにおける収差を正確に測定する方法/装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
これらの目的およびその他の目的は、冒頭の段落に記載された方法であって、
- 源からの一組の放出角を選ぶことと、
- 一組の放出角のうちのそれぞれの放出角について、その放出角で源から放出される対応するサブビームを選択し、そのサブビームによって形成された試験画像を記憶し、それによってその一組の放出角に対応する一組の試験画像を編集することと、
- コンデンサ絞りよりも前に生じた照明器収差を評価するために、その一組の試験画像を分析することと
を特徴とする方法で達成される。
【0024】
本発明に至る調査において、本発明の発明者らは、(非常に)小さな角電流密度を有する比較的に小さな粒子源を使用するときには、使用する源レンズ(銃レンズ)が、源から放出された束を、比較的に大きな角度範囲から捕捉する必要があることを理解した。しかしながら、近軸の角度から離れ、より大きな(より周縁の)受入れ角に向かって進むにつれて、収差は大幅に増大する傾向があるため、小さな源の使用はしたがって、源レンズのはるかに重大な収差を暗示する。対照的に、従来の(より大きな)源を使用するときには、コンデンサ絞りと試料の間に位置する対物レンズ(従来このように呼ばれている)における収差に比べると、源レンズの収差は本質的に無視することができる。したがって、これまでは源レンズの収差を調べる差し迫った必要性はなかった。そのため、例えば、先行技術では、(S)TEMの収差を調べるいわゆる「Zemlinタブロー」法または「STEMタブロー」法は、対物レンズ(存在する場合にはさらに対物レンズの収差補正器)などの最終「プローブ形成レンズ」における収差だけに集中し、このレベルよりも前/上流の収差に関する情報を提供しなかった/できなかった。対照的に、本発明は、コンデンサ絞りよりも上方の粒子-光学カラム内で生じる収差を調べ、カラムのこの部分の挙動に対する独特の洞察を提供する。
【0025】
本発明によって生成される一組の試験画像は、本質的に、コンデンサ絞りよりも前(上流)に位置する「上部照明器」における画像化挙動/収差を経路ごとに分析することを可能にする。所与のそれぞれの放出角で放出された特定のそれぞれのサブビームはこの上部照明器内を通る特定の経路を通る。このような一組の経路/サブビームに対応する一組の画像を集めることは、これらのさまざまな経路に関する収差挙動の「マップ」を編集することを本質的に可能にする。この一組の試験画像は例えば、数学的収差モデルの収差多項式の(低次の)係数を当てはめルーチンを使用して決定することができる(独自の)ソフトウェアによって分析することができる。上部照明器内で生じる収差を本発明を使用して決定し、(コンデンサ絞りのレベルよりも下方の)下部粒子-光学カラム内で生じる収差を(前述の「Zemlinタブロー」法などの)別個の技法を使用して分析することによって、顕微鏡全体のアライメントおよび性能をより良好にすることができる。これは、そうすることによって、コンデンサ絞りの上方と下方で同時に、独立した補正処置をとることができるためである(下記参照)。画像列から収差を導出する根底にある数学的処理に関する更なる情報については例えば、S.Uno他の論文「Aberration correction and its automatic control in scanning electron microscopes」、Optik/Optics 116(2005)、438~448ページ(Elsevier)を参照されたい。
【0026】
(CFEGなどの)放出面積が小さい源を使用するときには、源レンズにおいて生じる収差が一般に、コンデンサ絞りのすぐ上に位置する(従来存在する)コンデンサ・レンズにおいて生じる収差よりもはるかに大きいことに留意すべきである。これは、このような源に対する源レンズが通常、コンデンサ・レンズの焦点距離(例えば10~20mm)の10分の1程度の焦点距離(例えば1~2mm)を有し、それぞれの捕捉角(capture angle)が10倍程度になるためである。したがって、源レンズにおいて生じる収差は、コンデンサ・レンズにおいて生じる収差よりも約1桁大きくなる傾向がある。本発明はさらに、収差に対するコンデンサ・レンズの相対的な寄与をさらに低減させることができる技法を包含する。例えば
図2Eを参照されたい。その場合、所望ならば、本発明は純粋に源レンズの収差だけに集中することができる。
【0027】
本発明は、個々のサブビームを希望に応じて選択することを可能にする機構を使用する。このような機構はさまざまな手法で実施することができる。以下に例を示す。
【0028】
- このような1つの機構は、所与のサブビームの経路上にコンデンサ絞りを位置決めするため(および周囲の他のサブビームの経路を遮断するため)に、システムの粒子-光学軸に対して垂直な横方向にコンデンサ絞りを選択的に移動させることを含む。例えば
図2Bを参照されたい。所望ならば、補足的なビーム偏向器を使用して、このような装置内の対物レンズによって生じる収差を制限することができる。例えば
図2Cを参照されたい。
【0029】
- 別の(代替のまたは相補的な)手法は、源とコンデンサ絞りの間に位置する(磁気および/または静電)ビーム偏向器を使用して、選択可能な横方向のビーム偏向を生じさせ、それによってコンデンサ絞り上のビーム・フットプリントを横方向に移動させて、そのフットプリントのどの部分(サブビーム)が絞りを通過するのかを決める。例えば
図2Dおよび2Eを参照されたい。
【0030】
本発明の有利な実施形態では、試料の実質的に非晶質の部分に対する一組の試験画像が編集される。非晶質の試料(または結晶質の試料の[端および/または汚染物である炭素層などの]非晶質部分)は、関連画像中の特定のフーリエ周波数に対する選択的な効果を有しない。このことは、より正確な(定量的な)収差決定を可能にする。
【0031】
本発明の有利な実施形態では、一組の放出角のうちの所与の放出角について、(少なくとも)2つの試験画像を、(少なくとも)2つの異なる焦点設定(例えばアンダーフォーカスとオーバーフォーカス、またはインフォーカスとアウトオブフォーカス、またはアンダーフォーカスとインフォーカスとオーバーフォーカス)で取得する。異なる焦点設定のこれらの異なる試験画像をフーリエ変換し、一方の画像を他方の画像で除し、次いで逆フーリエ変換した場合、これは、どんな収差が存在するのかをより正確に決定することを容易にする、関連「公称」画像に関する貴重な情報を与える。この点に関しては、例えば前述のUnoの雑誌論文を参照されたい。
【0032】
一般に、本発明を使用して収差が定性/定量化された後で、収差を(自動的に)打ち消すことが望ましい。これは、照明器内の収差補正器を使用して実行することができる。この収差補正器は、例えば以下の構成要素/態様のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0033】
- ビーム傾斜補正要素。
【0034】
- 非点収差補正装置。例えば以下のWikipediaリンクを参照されたい。
【0035】
https://en.wikipedia.org/wiki/Stigmator
- 色収差(この収差は、比較的に低いビーム加速電圧、例えば100kVよりも低い電圧でより優勢になる傾向がある)に対処するCc補正器。Cc補正器の実施形態は例えば米国特許第8,884,345号明細書(発明者は本発明の発明者と同じである)に出ている。
【0036】
- 球面収差(この収差は、比較的に高いビーム加速電圧、例えば100kVよりも高い電圧でより優勢になる傾向がある)に対処するCs補正器。Cs補正に関する情報は例えば、(本発明の譲受人の)以下の公表物から収集することができる。
【0037】
http://www.cnf.umcs.lublin.pl/pdfy/2006_08_HighRex_Imaging_CS_Titan_an.pdf
上で既に述べたとおり、使用する源がCFEGであるときに本発明は特に有利である。しかしながら、CFEGは、本発明とともに使用することができる唯一の源タイプではない。他の源タイプには例えば、電子衝突イオン化源[その具体的な形態はナノ・アパーチャ・イオン源(NAIS)である]、液体金属イオン源(LMIS)[既述]、電界イオン化源などがある。
【0038】
本発明は、TEM、STEM、SEM、FIB-SEMおよび他のさまざまなタイプのCPMに適用することができることを当業者は理解するであろう。
【0039】
次に、例示的な実施形態および添付の概略図に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明が実施されるCPMの一実施形態の縦断面図である。
【
図2B】本発明の特定の実施形態の動作原理を示す役目を果たす
図2Aの変形例を示す図である。
【
図2D】本発明の異なる実施形態の動作原理を示す役目を果たす
図2Aの異なる変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
これらの図では、適切な場合に、対応する部分が対応する参照符号を使用して示されている。一般に、これらの図は一定の比率では描かれていないことに留意すべきである。
【0042】
実施形態1
図1は、本発明が実施される荷電粒子顕微鏡Mの一実施形態の非常に概略的な図である。より詳細には、
図1は、透過型顕微鏡Mの一実施形態を示す。このケースでは、透過型顕微鏡MがTEM/STEMである(しかしながら、本発明の文脈では、透過型顕微鏡Mを、例えばSEMまたはイオン・ベースの顕微鏡とすることもできる)。この図では、真空エンクロージャ2内で、CFEG電子源4が電子ビームBを生成し、電子ビームBは、電子-光学軸B’に沿って伝搬し、電子-光学照明器6を横切る。電子-光学照明器6は、(例えば(局所的に)薄化/平坦化されていることがある)試料Sの選択された部分上に電子を導く/集束させる役目を果たす。この特定のケースでは、照明器6が、
- とりわけ源4を拡大する役目を果たす源レンズ(銃レンズ)8、
- 複合コンデンサ・レンズ10a/10b、すなわち小さなビーム・スポット・サイズ(試料S上の細いビーム・プローブ)を生み出す役目を果たす上部要素10aおよびコリメーティング・レンズの働きをする下部要素10b、
- コンデンサ絞り12、
- 走査偏向器14、
- 対物レンズ16
を備える。
【0043】
照明器はさらに他の要素10c、18を含む。要素10cについては後に論じる。要素18は収差補正器であり、本発明を使用して識別/定量化された1つまたは複数のタイプの収差を軽減するように構成することができる(上記の議論を参照されたい)。
【0044】
試料Sは、試料ホルダH上に保持される。位置決め装置/ステージAによって、試料ホルダHを多自由度で位置決めすることができる。位置決め装置/ステージAは、ホルダHが(取外し可能に)固定されたクレードルA’を移動させる。例えば、試料ホルダHは、(とりわけ)XY平面内で移動させることができるフィンガを備えることができる(図示されたデカルト座標系を参照されたい。通常、Z軸に対して平行な移動およびX軸/Y軸を軸にした傾斜も可能である)。このような移動は、軸B’に沿って(Z方向に)進む電子ビームBにより試料Sの異なる部分に照射し/試料Sの異なる部分を画像化し/試料Sの異なる部分を検査すること(および/または偏向器14を使用してビームで走査する代わりに走査動作を実行すること)を可能にする。所望ならば、試料ホルダH(およびその上の試料S)を例えば極低温に維持するために、任意選択の冷却装置(図示せず)を、試料ホルダHと密に熱接触させることができる。
【0045】
(例えば)2次電子、後方散乱電子、X線および光学放射(陰極ルミネセンス)を含むさまざまなタイプの「誘導」放射を試料Sから発出させるような形で、電子ビームBは試料Sと相互作用する。所望ならば、分析装置22を用いて、これらのタイプのうちの1つまたは複数のタイプの放射を検出することができる。分析装置22は例えば、結合シンチレータ/光電子増倍管またはEDX(エネルギー分散型X線分光法)モジュールとすることができる。このような場合には、SEMの場合と基本的に同じ原理を使用して画像を構築することができる。しかしながら、これの代わりにまたはこれに加えて、試料Sを横切り(通り抜け)、試料Sから出現/発出し、軸B’に沿って(実質的に)伝搬し続ける(しかしながら一般にある程度の偏向/散乱はある)電子を調べることもできる。このような透過電子束は、画像化システム(投影レンズ)24に入る。画像化システム24は一般に、さまざまな静電/磁気レンズ、偏向器、(非点収差補正装置などの)補正器などを備える。通常の(非走査)TEMモードでは、この画像化システム24が、透過電子束を蛍光スクリーン26上に集束させることができる。所望ならば、(矢印26’によって概略的に示されているように)蛍光スクリーン26を後退させて/引っ込めて、蛍光スクリーン26を軸B’から外すことができる。画像化システム24によって、スクリーン26上に、試料S(の部分)の画像(またはディフラクトグラム)が形成され、エンクロージャ2の壁の適当な部分に位置するビューイング・ポート28を通してこれを見ることができる。スクリーン26を後退させる機構は例えば実際は機械式および/または電気式とすることができる。この機構はこの図には示されていない。
【0046】
スクリーン26上の画像を見ることの代替として、その代わりに、画像化システム24から発出する電子束の焦点深度が一般に非常に大きい(例えば1メートル程度)ことを利用することができる。その結果として、スクリーン26の下流で、以下のような他のさまざまなタイプの分析装置を使用することができる。
【0047】
- TEMカメラ30。カメラ30のところで、電子束は、静止画像(またはディフラクトグラム)を形成することができる。この画像を、コントローラ/プロセッサ20によって処理し、例えばフラット・パネル・ディスプレイなどの表示装置(図示せず)上に表示することができる。必要ないときには、(矢印30’によって概略的に示されているように)カメラ30を後退させて/引っ込めて、カメラ30を軸B’から外すことができる。
【0048】
- STEMカメラ32。試料S上のビームBの(X,Y)走査位置の関数としてカメラ32からの出力を記録することができ、X、Yの関数としてのカメラ32からの出力の「マップ」である画像を構築することができる。カメラ30の中に特徴的に存在するピクセルのマトリックスとは対照的に、カメラ32は、例えば直径20mmの単一のピクセルを備えることができる。さらに、カメラ32は一般に、カメラ30の収集速度(例えば毎秒102画像)よりもはるかに高い収集速度(例えば毎秒106点)を有する。この場合も、必要ないときには、(矢印32’によって概略的に示されているように)カメラ32を後退させて/引っ込めて、カメラ32を軸B’から外すことができる(しかしながら、例えばドーナツ形の環状暗視野カメラ32の場合には、このような後退は必要ないであろう。カメラが使用されていないとき、このようなカメラでは、中心の穴が束を通過させる)。
【0049】
- カメラ30または32を使用して画像化する代わりに、分光装置34を使用することもできる。分光装置34は例えばEELSモジュールとすることができる(EELS=電子エネルギー損失分光法)。
【0050】
装置30、32および34の順序/位置は厳密なものではなく、多くの可能なバリエーションが考えられることに留意すべきである。例えば、画像化システム24に分光装置34を組み込むこともできる。
【0051】
コントローラ(コンピュータ・プロセッサ)20は、示されたさまざまな構成要素に、制御線(バス)20’を介して接続されていることに留意されたい。このコントローラ20は、動作を同期させること、設定点を提供すること、信号を処理すること、計算を実行すること、表示装置(図示せず)上にメッセージ/情報を表示することなど、さまざまな機能を提供することができる。言うまでもなく、(概略的に示された)コントローラ20は、必要に応じて、(部分的に)エンクロージャ2の内側にあってもまたは外側にあってもよく、一体構造をとってもまたは複合構造をとってもよい。
【0052】
エンクロージャ2の内部を厳密に真空に保つ必要はないことを当業者は理解するであろう。例えば、いわゆる「環境制御型TEM/STEM」では、意図的に所与のガスの背景雰囲気がエンクロージャ2内に導入される/エンクロージャ2内で維持される。実際には、可能な場合には、エンクロージャ2が本質的に、軸B’のすぐ近くにあり、使用する電子ビームがその中を通る(例えば直径1cm程度の)小さな管の形態をとり、源4、試料ホルダH、スクリーン26、カメラ30、カメラ32、分光装置34などの構造体を収容するために外に広がるように、エンクロージャ2の容積を限定することが有利なことがあることも当業者は理解するであろう。
【0053】
次に
図2Aを参照する。この図は、
図1の主題の一部分の拡大図を示す。より詳細には、この図は、源4と、照明器6のある要素とを示し、これにより、要素10cおよび18は差し当たって省かれている。破線は、照明器6のさまざまな要素を通過する公称(中心/近軸)ビーム(サブビーム)経路を示す。
【0054】
図2Bでは、コンデンサ絞り12が、示されたY方向に対して平行な横方向に変位している(矢印12”を参照されたい)(これにより軸B’はZに対して平行に延びている)。しかしながら、軸B’の周りのさまざまな(X,Y)座標の位置に絞り12を位置決めするため、Xに対して平行にコンデンサ絞り12を変位させることもできる。この変位は例えば、付属のアクチュエータ機構12’(
図1参照)を使用して達成することができる。アクチュエータ機構12’は実際は電気式とすることができ、例えば圧電アクチュエータまたはステッパ・モータを備えることができる。コンデンサ絞り12をこのように横方向に移動させることは、示されたサブビームB
nを試料Sに向かって進ませ、同時に(他の放出角で放出された)ビームBの他の成分サブビームを遮断することにより、中間軸O
nに関して画定された関連放出角E
nで伝搬する特定のサブビームB
nの選択を引き起こす。検出器22、30、32、34のうちの1つの検出器を使用して、このサブビームB
nに対応する試料S(の被照射部分)の試験画像I
nを捕捉することができ、この試験画像I
nを、コントローラ20によって記憶装置に記憶することができる。異なる一組の放出角{E
n}に対応する軸B’の周りのさまざまな異なる(X,Y)座標の位置にコンデンサ絞り12を連続的に位置決めすることによって、試料S(の一部分)の相応する一組の試験画像{I
n}を取得することができる。
【0055】
図2Bに示した装置の潜在的な問題は、(ある種の)サブビームを対物レンズ16の外側領域に導くことによって、この装置が、収差に対する対物レンズ16の寄与を増大させる傾向があることである。この効果に対処するため、
図2Cに示したような構成を利用することができる。この構成では、走査偏向器14を使用して、コンデンサ絞り12によって選択されたそれぞれのサブビームを、対物レンズ16の中心部分を通るように導くことができる。この図では、走査偏向器14が、構成要素14aおよび14bを有する2重偏向器として実施されている。このようにして対物レンズ16の外側領域を回避すると、対物レンズ16における収差の生成が相当に低減する。
【0056】
図2B/2Cに示した状況に対する代替/補足実施形態として、例えば
図2Dに示した実施形態などの実施形態を使用することもできる。
図2Dは、
図2Bの状況と概ね同じ状況を示しているが、コンデンサ絞り12を移動させてサブビームを選択する代わりに、調整可能な偏向器10cを使用してサブビームを選択する点が異なる。偏向器10cを使用して、所与の放出角で放出されたサブビームの進路を変えて、(軸上にある)コンデンサ絞り12に通すことができる。この図に示されているように、偏向器10cは、コンデンサ要素10aと10bの間のビーム交差点の位置/ビーム交差点の近くに置かれていると都合がよい。しかしながら、これは厳密にそうでなければならないというわけではなく、その代わりに、源レンズ8とコンデンサ絞り12の間のどこか別の場所に偏向器10cを置くこともできる。偏向器10cは、必要に応じて静電偏向要素および/または磁気偏向要素を備えることができる。
【0057】
図2Dの選択されたサブビームは対物レンズ16の中心部分を通過するが、この実施形態のあるサブビームは上部コンデンサ・レンズ10aの外側領域を通過する。このことは、収差に対する上部コンデンサ・レンズ10aの寄与を増大させる傾向がある。この効果に対処するため、
図2Eに示した構成を利用することができる。この構成では、上部コンデンサ・レンズ10aの上流に位置決めされた偏向器10dを利用する。偏向器10dを使用して、選択されたそれぞれのサブビームを、全コンデンサ・レンズ10a/10bの中心部分を通るように導くことができる。このようにしてコンデンサ・レンズ10a/10bの外側領域を回避すると、コンデンサ・レンズ10a/10bにおける収差の生成が相当に低減する。
【0058】
実際には、選択に応じて、
図2B~2Eに示した手法の組合せ/混成物を利用することができることを当業者は理解するであろう。
【符号の説明】
【0059】
4 電子源
8 源レンズ
10a 上部コンデンサ・レンズ
10b 下部コンデンサ・レンズ
12 コンデンサ絞り
14 走査偏向器
16 対物レンズ