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  • 特許-無基材転写テープ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】無基材転写テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/40 20180101AFI20220530BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220530BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20220530BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
C09J7/40
B32B27/00 M
C09J7/10
C09J133/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019530635
(86)(22)【出願日】2018-02-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 KR2018001773
(87)【国際公開番号】W WO2018147686
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2019-02-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-22
(31)【優先権主張番号】10-2017-0018892
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ヘ・キム
(72)【発明者】
【氏名】キ・スン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ヒョン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・スン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ジュン・ユン
【合議体】
【審判長】蔵野 雅昭
【審判官】瀬下 浩一
【審判官】木村 敏康
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-348145(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0064946(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重剥面および軽剥面を含む離型ライナー;および前記重剥面上に備えられた転写フィルム層を含み、
前記重剥面と前記転写フィルム層との離型剥離力は、前記転写フィルム層を3m/minの速度で剥離時、15.8g/cm以上24.7g/cm以下であり、
前記転写フィルム層の初期離型抵抗力は、115.0g/cm以上196.9g/cm以下であり、
前記重剥面の基準テープであるtesa7475に対する離型剥離力は、前記基準テープを3m/minの速度で剥離時、11.4g/cm以上12.7g/cm以下であり、
前記転写フィルム層は、2-エチルヘキシルアクリレートイソボルニルアクリレートテトラヒドロフルフリルアクリレート;およびアクリル酸;を含む樹脂組成物の硬化物であり、
前記イソボルニルアクリレートの含有量は、前記2-エチルヘキシルアクリレート100重量部に対して、25重量部以上30重量部以下であり、
前記テトラヒドロフルフリルアクリレートの含有量は、前記2-エチルヘキシルアクリレート100重量部に対して、5重量部以上10重量部以下であり、
前記アクリル酸の含有量は、前記2-エチルヘキシルアクリレート100重量部に対して、5重量部以上10重量部以下であり、
前記樹脂組成物は、アジリジン系架橋剤をさらに含み、
前記離型ライナーは、紙基材の両面にシリコーン離型コーティングされたものであり、
前記転写フィルム層の厚さは、5μm以上80μm以下である無基材転写テープ。
【請求項2】
前記樹脂組成物の重量平均分子量は、750,000以上3,000,000以下である、請求項1に記載の無基材転写テープ。
【請求項3】
前記樹脂組成物の分散度は、5以上15以下である、請求項1に記載の無基材転写テープ。
【請求項4】
前記無基材転写テープは、巻取られた形態である、請求項1に記載の無基材転写テープ。
【請求項5】
前記軽剥面と前記転写フィルム層との離型剥離力は、前記転写フィルム層を3m/minの速度で剥離時、3.94g/cm以上9.84g/cm以下である、請求項に記載の無基材転写テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2017年2月10日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2017-0018892号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に含まれる。
【0002】
本発明は、無基材転写テープに関する。
【背景技術】
【0003】
電子機器には多様な部材が粘着剤によって付着する。例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)には、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、保護フィルム、および輝度向上フィルムなどのような多様な光学部材が粘着剤によって付着できる。最近、電子機器の厚さが薄くなるに伴い、電子機器内の部材を付着させるための粘着層の厚さを低減しながらも優れた耐久性を実現するための試みが続いている。
【0004】
粘着層の厚さを低減するために基材を用いない場合、打抜工程による寸法制御および被着体と粘着層の浮き上がり現象を制御しにくくて連続工程に困難がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開公報:KR10-2011-0006789A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書は、連続工程に適した無基材転写テープを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様は、重剥面および軽剥面を含む離型ライナー;および前記重剥面上に備えられた転写フィルム層を含み、前記重剥面と前記転写フィルム層との離型剥離力は、前記転写フィルム層を3m/minの速度で剥離時、10g/in以上70g/in以下である無基材転写テープを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明による無基材転写テープは、別途の打抜工程なしに連続工程による作業が可能であるという利点がある。
【0009】
本発明による無基材転写テープは、最小限の厚さに電子機器の部材を付着できるという利点がある。
【0010】
本発明による無基材転写テープは、転写フィルム層の初期離型抵抗力が低いので、連続工程時、被着体に浮き上がり現象なく付着できるという利点がある。
【0011】
本発明による無基材転写テープは、引張による転写フィルム層の破断を誘導して、別途の打抜工程なしに連続工程を行うことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施態様による無基材転写テープを示すものである。
図2】実施例1および比較例1による無基材転写テープにおける転写フィルム層の初期離型抵抗力を測定したグラフである。
図3】転写フィルム層の初期離型抵抗力の測定方法を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0014】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0015】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0016】
本発明の一実施態様は、重剥面および軽剥面を含む離型ライナー;および前記重剥面上に備えられた転写フィルム層を含み、前記重剥面と前記転写フィルム層との離型剥離力は、前記転写フィルム層を3m/minの速度で剥離時、10g/in以上70g/in以下である無基材転写テープを提供する。
【0017】
前記転写フィルム層は、被着体に転写され、離型ライナーが除去されると、無基材の両面粘着層になる。前記転写フィルム層は、別途の基材がないので、最小限の厚さに電子機器の部材を付着できるという利点がある。
【0018】
図1は、本発明の一実施態様による無基材転写テープを示すものである。具体的には、図1は、軽剥面101および重剥面102を含む離型ライナー100上に転写フィルム層200が備えられたことを示すものである。本発明の一実施態様による無基材転写テープが巻取形態で提供される場合、転写フィルム層200の上面は、離型ライナー100の軽剥面101に接して巻取られる。ただし、本発明による無基材転写テープは図1に限定されるものではなく、軽剥面および重剥面の間に備えられる基材フィルムなど追加の部材がさらに備えられてもよい。
【0019】
本明細書において、重剥面は、転写テープを巻出した時、転写フィルム層に接する離型ライナーの面を意味することができる。また、前記軽剥面は、転写テープを巻出した時、転写フィルム層に接する離型ライナーの面の反対側の面を意味することができる。
【0020】
本発明の一実施態様によれば、前記重剥面と前記転写フィルム層との離型剥離力は、前記転写フィルム層を3m/minの速度で剥離時、65g/in以下、50g/in以下、または48g/in以下であってもよい。また、本発明の一実施態様によれば、前記重剥面と前記転写フィルム層との離型剥離力は、前記転写フィルム層を3m/minの速度で剥離時、20g/in以上、30g/in以上、または40g/in以上であってもよい。
【0021】
前記無基材転写テープは、前記重剥面と前記転写フィルム層との離型剥離力を前記範囲に調節して、前記転写フィルム層を被着体に付着させた後、離型ライナーの除去時、前記転写フィルム層と前記被着体との浮き上がり現象を最小化できるという利点がある。具体的には、前記無基材転写テープは、前記転写フィルム層と前記離型ライナーの重剥面との離型剥離力を前記範囲のように非常に低く調節して、被着体に前記転写フィルム層を付着させた後、前記離型ライナーの除去時、前記転写フィルム層の浮き上がり現象を最小化することができる。
【0022】
本発明の一実施態様によれば、前記転写フィルム層の初期離型抵抗力は、200g/in以上600g/in以下であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記転写フィルム層の初期離型抵抗力は、200g/in以上550g/in以下、250g/in以上550g/in以下であってもよい。より具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記転写フィルム層の初期離型抵抗力は、280g/in以上520g/in以下、または290g/in以上500g/in以下であってもよい。
【0023】
前記初期離型抵抗力は、無基材転写テープの転写フィルム層を被着体に付着させた後、前記転写フィルム層を破断させるために引張力を加えた時、転写フィルム層が延伸の始まる時の力を意味することができる。つまり、前記転写フィルム層は、初期離型抵抗力以上の力を加えてこそ破断が可能である。
【0024】
前記転写フィルム層の初期離型抵抗力が前記範囲内に調節される場合、連続工程により被着体に転写フィルム層を付着させることができる。具体的には、前記転写フィルム層の初期離型抵抗力が前記範囲内に調節される場合、被着体に前記転写フィルム層を付着させた後、引張力を加えて前記転写フィルム層を破断させる時、被着体に付着した転写フィルム層が浮き上がる現象を最小化できるという利点がある。さらに、このような利点を利用して、前記無基材転写テープは連続工程に適用させることができ、連続的に複数の被着体に前記転写フィルム層を付着させることができる。
【0025】
図3は、転写フィルム層の初期離型抵抗力の測定方法を示すものである。また、図3は、本発明の無基材転写テープの連続工程時の過程を示すものであってもよい。具体的には、図3は、被着体300に転写フィルム層200が接するように無基材転写テープを付着(a)させた後、力を加えて離型ライナー100と転写フィルム層200とを剥離させる時の力を測定(b)して初期離型抵抗力を測定することを示すものである。さらに、無基材転写テープに引張する力を加え続ける場合、被着体300に付着しない転写フィルム層200は伸びるようになり(c)、この後、転写フィルム層は切断されて(d)、無基材転写テープは次の被着体に対する連続工程を行うことができる。
【0026】
本発明の一実施態様によれば、前記重剥面の基準テープであるtesa7475に対する離型剥離力は、前記基準テープを3m/minの速度で剥離時、20g/in以上50g/in以下であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記重剥面の基準テープであるtesa7475に対する離型剥離力は、前記基準テープを3m/minの速度で剥離時、20g/in以上40g/in以下、または25g/in以上35g/in以下であってもよい。
【0027】
本明細書の重剥面の基準テープであるtesa7475に対する離型剥離力は、次のように測定した。具体的には、幅25.4mm×長さ150mmの基準テープ(Tesa7475)を、2kgの荷重のローラを用いて10mm/secの速度で2回往復して離型ライナーの重剥面に付着させ、離型ライナーの重剥面と基準テープとの十分な付着のために24時間エージングした後、AR-1000(製造会社:Cheminstrument)装備を用いて3.0m/minの速度で180度の剥離強度を測定した。
【0028】
本発明の一実施態様によれば、前記離型ライナーの重剥面および軽剥面は、それぞれシリコーン系離型剤を用いて形成される離型層であってもよい。ただし、これに限定されるものではなく、当業界で通常使用される離型剤を用いて形成されたものであってもよい。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、前記転写フィルム層と前記重剥面との離型剥離力は、前記転写フィルム層と前記軽剥面との離型剥離力より大きい。これにより、巻取状態の無基材転写テープが容易に巻出され、連続工程に適用することができる。
【0030】
本発明の一実施態様によれば、前記離型ライナーの基材フィルムは、紙、繊維シート(織物または不織物)または高分子フィルムであってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記離型ライナーの基材フィルムは、紙であってもよい。前記基材フィルムを紙とする場合、高分子フィルムを用いる場合に比べて費用を節減することができる。
【0031】
本発明の一実施態様によれば、前記無基材転写テープは、巻取られた形態であってもよい。具体的には、前記無基材転写テープは、巻取られたロール形態で提供され、これをアンワインダが備えられた連続装置により連続工程を行うことができる。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、前記軽剥面と前記転写フィルム層との離型剥離力は、前記転写フィルム層を3m/minの速度で剥離時、10g/in以上25g/in以下であってもよい。
【0033】
本明細書において、前記軽剥面と前記転写フィルム層との離型剥離力は、前述した転写フィルム層と離型ライナーの重剥面との離型剥離力の測定方法と同一の過程で測定される。
【0034】
前記無基材転写テープが巻取られた形態の場合、前記重剥面に接する前記転写フィルム層面の反対側の面は、前記離型ライナーの軽剥面と接する。前記軽剥面と前記転写フィルム層との離型剥離力が前記範囲内の場合、巻取られた形態の前記無基材転写テープがアンワインダなどにより連続工程に適用される時、転写フィルム層の損傷がない。前記軽剥面と前記転写フィルム層との離型剥離力が25g/inを超えると、重剥面との離型剥離力のバランスがとれないので粘着剤が軽剥面から滑らかに剥がされず軽剥面側に残る逆剥離現象が発生して、粘着剤の損傷を示し、連続工程に適用される時、機械に汚染をもたらすことがある。
【0035】
本発明の一実施態様によれば、前記転写フィルム層は、(メタ)アクリレートモノマー;シクロアルキル基含有アクリレートモノマー;ヘテロシクロアルキル基含有アクリレートモノマー;および極性官能基含有モノマー;を含む樹脂組成物の硬化物であってもよい。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、前記転写フィルム層は、単一層であってもよい。具体的には、前記転写フィルム層は、別途の基材フィルムを含まず、単一両面粘着フィルム層であってもよい。
【0037】
本明細書において、前記(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0038】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基は、官能基内に不飽和結合が存在しない炭素環構造を含むことができ、炭素数3~20の単環(monocyclic ring)または多環(polycyclic ring)を含むことができる。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、前記ヘテロシクロアルキル基は、官能基内に不飽和結合が存在せず、炭素以外の異種元素が含まれた環構造を含むことができ、炭素数2~20の単環(monocyclic ring)または多環(polycyclic ring)を含むことができる。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリレートモノマーは、炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであってもよい。具体的には、前記(メタ)アクリレートモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、およびイソオクチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有アクリレートモノマーは、シクロヘキシルアクリレート(CHA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、イソボルニルメタクリレート(IBOMA)、および3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート(TMCHA、3,3,5-trimethylcyclohexylacrylate)からなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有アクリレートモノマーの含有量は、前記(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して、10重量部以上40重量部以下であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有アクリレートモノマーの含有量は、前記(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して、10重量部以上30重量部以下であってもよい。また、前記シクロアルキル基含有アクリレートモノマーの含有量は、前記(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して、25重量部以上30重量部以下であってもよい。
【0043】
前記シクロアルキル基含有アクリレートモノマーの含有量範囲内の場合、低い表面エネルギーを有する被着体に対して前記転写フィルム層の付着力を確保できる。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記ヘテロシクロアルキル基含有アクリレートモノマーは、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、テトラヒドロピラニルアクリレート(THPA)、アクリロイルモルホリン、およびサイクリックトリメチロールプロパンホルマルアクリレート(CTFA、cyclictrimethylol-propaneformalacrylate)からなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記ヘテロシクロアルキル基含有アクリレートモノマーの含有量は、前記(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して、1重量部以上15重量部以下であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記ヘテロシクロアルキル基含有アクリレートモノマーの含有量は、前記(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して、5重量部以上15重量部以下であってもよい。また、前記ヘテロシクロアルキル基含有アクリレートモノマーの含有量は、前記(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して、5重量部以上10重量部以下、または10重量部以上15重量部以下であってもよい。
【0046】
前記ヘテロシクロアルキル基含有アクリレートモノマーの含有量範囲内の場合、前記転写フィルム層のガラス転移温度(Tg)を低くして優れた粘着力を維持させることができ、前記転写フィルム層の濡れ性を向上させることができる。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記極性官能基含有モノマーは、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、および窒素含有モノマーからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記ヒドロキシ基含有モノマーは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、および2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記カルボキシ基含有モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、およびマレイン酸からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、前記窒素含有モノマーは、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、およびN-ビニルカプロラクタムからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記極性官能基含有モノマーの含有量は、前記(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記極性官能基含有モノマーの含有量は、前記(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して、5重量部以上10重量部以下であってもよい。
【0052】
前記極性官能基含有モノマーの含有量が前記範囲内の場合、転写フィルム層の凝集力を過度に高めない範囲で調節することができ、前記転写フィルム層が容易に破断されて連続工程への適用が可能である。また、前記極性官能基含有モノマーの含有量が前記範囲内の場合、耐熱性を確保できるという利点もある。具体的には、前記範囲未満で前記極性官能基含有モノマーを含有する場合、高温耐久性が低下する問題が発生しうる。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、前記樹脂組成物は、アクリレート系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、および金属キレート架橋剤からなる群より選択される1種以上の架橋剤をさらに含んでもよい。具体的には、前記樹脂組成物は、アジリジン系架橋剤をさらに含んでもよい。
【0054】
前記架橋剤は、前記転写フィルム層の内部に架橋ネットワークを生成させて前記転写フィルム層の凝集力を確保し耐熱性を付与することができる。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、前記アクリレート系架橋剤は、ブタンジオールジアクリレート、ペンタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、およびトリプロピレンジアクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、前記イソシアネート系架橋剤は、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、およびナフタレンジイソシアネートのうちの少なくとも1種のジイソシアネートとポリオールとを反応して製造された架橋剤からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、前記エポキシ系架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’-テトラグリシジルエチレンジアミン、およびグリセリンジグリシジルエーテルからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記アジリジン系架橋剤は、N,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル-1-(2-メチルアジリジン)、トリ-1-アジリジニルホスフィンオキシド、およびN,N’-ビスメチレンイミノイソフタルアミドからなる群より選択された1つ以上が挙げられるが、これに制限されるわけではない。
【0059】
本発明の一実施態様によれば、前記金属キレート架橋剤は、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウム、またはバナジウムのような多価金属の1種または2種以上が配位されているアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどを含むことができるが、これらに制限されるわけではない。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、前記樹脂組成物は、前記架橋剤を、前記(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して、0.01重量部以上5重量部以下、具体的には0.03重量部以上5重量部以下、より具体的には0.1重量部以上5重量部以下で含むことができる。
【0061】
前記架橋剤の含有量が前記範囲内の場合、前記転写フィルム層内の架橋密度が適切に調節されて、凝集力および耐熱性を適切な水準に実現させることができ、前記転写フィルム層の粘着力も向上させることができる。具体的には、前記架橋剤の含有量が0.01重量部未満であれば、前記転写フィルム層の架橋密度が過度に低くなって凝集力および耐熱性が低下する問題が発生し、5重量部を超えると、前記転写フィルム層の架橋密度が過度に高くなって被着体に対する密着性および濡れ性が低下して粘着力が低くなる問題が発生しうる。
【0062】
本発明の一実施態様によれば、前記樹脂組成物は、樹脂組成物内のモノマーを溶液重合したものであってもよい。具体的には、前記樹脂組成物は、熱重合によりモノマーを重合することができる。
【0063】
さらに、前記溶液重合された樹脂組成物に前記架橋剤を添加した後、熱硬化により99%以上の転換率で重合された転写フィルム層を形成することができる。
【0064】
本発明の一実施態様によれば、前記樹脂組成物の重量平均分子量(Mw:Weight average molecular weight)は、750,000g/mol以上3,000,000g/mol以下であってもよい。具体的には、前記樹脂組成物の重量平均分子量は、750,000g/mol以上1,750,000g/mol以下であってもよい。より具体的には、前記樹脂組成物の重量平均分子量は、850,000g/mol以上1,600,000g/mol以下であってもよい。より具体的には、前記樹脂組成物の重量平均分子量は、1,200,000g/mol以上1,700,000g/mol以下であってもよい。
【0065】
本明細書において、重量平均分子量は、GPC(gel permeation chromatography)によって測定されるポリスチレンに対する換算数値である。
【0066】
前記樹脂組成物の重量平均分子量を範囲に調節する場合、前記転写フィルムを被着体に転写した後、加工時に発生しうる剥離現象を防止することができる。また、前記転写フィルム層の低温施工性を向上させることができ、硬化収縮によって発生するガラスパネルなどの被着体との接着不良を防止することができ、温度または湿度などによって施工面が収縮または変形する場合などにも優れた耐久性を実現することができる。
【0067】
本明細書の一実施態様によれば、前記樹脂組成物の分散度は、5以上15以下であってもよい。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記樹脂組成物の分散度は、5以上12以下、または7以上12以下であってもよい。より具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記樹脂組成物の分散度は、10以上12以下、または11以上12以下であってもよい。
【0068】
本明細書において、分散度値は、樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った値を意味する。
【0069】
前記樹脂組成物の分散度が前記範囲内の場合、優れた濡れ性が確保されて転写フィルム層の被着体との付着力を優れたものに実現することができ、転写フィルム層の破断距離を短縮することができるので、連続工程に適した物性の確保が可能である。さらに、前記樹脂組成物の分散度が前記範囲内の場合、高い耐熱性を確保し、樹脂組成物の粘度が低くなって添加剤との配合およびコーティング性を向上させることができる。
【0070】
本発明の一実施態様によれば、前記樹脂組成物は、粘着性能の調節の観点から、粘着性付与樹脂を追加的に含んでもよい。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着性付与樹脂は、ヒドロカーボン系樹脂またはその水素添加物;ロジン樹脂またはその水素添加物;ロジンエステル樹脂またはその水素添加物;テルペン樹脂またはその水素添加物;テルペンフェノール樹脂またはその水素添加物;および重合ロジン樹脂または重合ロジンエステル樹脂;からなる群より選択される1種以上を含むことができる。ただし、これに限定されるものではなく、当業界で一般に使用されるものであれば制限なく使用可能である。
【0072】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着性付与樹脂の含有量は、前記(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して、1重量部以上100重量部以下であってもよい。
【0073】
前記粘着性付与樹脂の含有量が前記範囲内の場合、前記転写フィルム層の相溶性および凝集力の向上を最大化することができる。具体的には、前記粘着性付与樹脂の重量比率が1重量部未満であれば、添加による効果がわずかであり、100重量部を超えると、相溶性または凝集力の向上効果が低下する恐れがある。
【0074】
本発明の一実施態様によれば、前記樹脂組成物は、発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、アクリル系低分子量体、エポキシ樹脂、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤、および可塑剤からなる群より選択された1つ以上の添加剤を追加的に含んでもよい。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記転写フィルム層の厚さは、5μm以上80μm以下であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記転写フィルム層の厚さは、20μm以上80μm以下、または20μm以上70μm以下、または30μm以上70μm以下であってもよい。
【0076】
前記転写フィルム層の厚さを前記範囲に調節することによって、連続工程時、自然な破断と離型安定性を実現することができる。
【0077】
本発明の一実施態様によれば、前記離型ライナーの厚さは、50μm以上200μm以下であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記離型ライナーは、70gの重量のCP(chemical pulp)紙を用いて、120μm以上130μm以下の厚さに製造される。前記厚さ範囲内で、前記離型ライナーはコスト負担を最小化し、剥離時に破れるのを防止することができる。
【0078】
本発明の一実施態様によれば、前記転写フィルム層の製造方法は、前記樹脂組成物を硬化させて形成され、その方法は特に制限されない。
【0079】
本発明の一実施態様によれば、前記転写フィルム層は、前記樹脂組成物またはこれを用いて製造したコーティング液をバーコーターなどの通常の手段で適切な工程基材に塗布し、硬化させる方法で転写フィルム層を製造することができる。
【0080】
本発明の一実施態様によれば、前記硬化過程は、前記樹脂組成物または前記コーティング液の内部に含まれている揮発成分または反応残留物のような気泡誘発成分を十分に除去した後に行われる。これにより、粘着剤の架橋密度または分子量などが低すぎて弾性率が低下し、高温状態で粘着界面に存在する気泡が大きくなって内部で散乱体を形成する問題点などを防止することができる。
【0081】
また、前記樹脂組成物または前記コーティング液を硬化させる方法は特に限定されず、例えば、コーティング層に加熱、乾燥、または熟成(aging)工程などを適切に経て硬化させることができる。
【実施例
【0082】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に記述する実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0083】
[実施例1]
2-エチルヘキシルアクリレート100重量部に対して、イソボルニルアクリレート28.6重量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート7.1重量部、アクリル酸7.1重量部を1リットルのガラス反応器で溶液重合させて、重量平均分子量が約150万、分散度10.5、固形分の含有量が21重量%の樹脂組成物を製造した。製造された樹脂組成物100重量部に対して、アジリジン系架橋剤0.01重量部を入れて十分に撹拌した後、シリコーン離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにコーティングをした後、100℃のオーブンで3分間乾燥させて、50μmの厚さの転写フィルム層を製造した。
【0084】
さらに、前記転写フィルム層を紙基材の両面にシリコーン離型コーティングされた離型ライナーA~Eを準備した。前記離型ライナーA~Eの基準テープ(Tesa7475)に対する離型剥離力は下記表1の通りであった。下記表1の離型剥離力の単位はg/inである。
【0085】
【表1】
【0086】
製造された転写フィルム層を離型ライナーAの重剥面に貼り合わせた後、シリコーン離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥離させて巻取った。そして、50℃のオーブンで48時間エージング(Aging)を実施して、巻取られた無基材転写テープを製造した。
【0087】
[実施例2]
離型ライナーBの重剥面に転写フィルム層を貼り合わせたことを除き、実施例1と同様の方法で巻取られた無基材転写テープを製造した。
【0088】
[実施例3]
離型ライナーCの重剥面に転写フィルム層を貼り合わせたことを除き、実施例1と同様の方法で巻取られた無基材転写テープを製造した。
【0089】
[比較例1]
離型ライナーDの重剥面に転写フィルム層を貼り合わせたことを除き、実施例1と同様の方法で巻取られた無基材転写テープを製造した。
【0090】
[比較例2]
離型ライナーEの重剥面に転写フィルム層を貼り合わせたことを除き、実施例1と同様の方法で巻取られた無基材転写テープを製造した。
【0091】
[実施例4]
転写フィルム層の厚さを75μmに調節したことを除き、実施例1と同様の方法で転写フィルム層を製造した。さらに、離型ライナーAに前記転写フィルム層を貼り合わせた後、シリコーン離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥離させて巻取った。そして、50℃のオーブンで48時間エージング(Aging)を実施して、巻取られた無基材転写テープを製造した。
【0092】
[比較例3]
2-エチルヘキシルアクリレート100重量部に対して、アクリル酸11.1重量部を1リットルのガラス反応器で溶液重合させて、重量平均分子量が約150万、分散度7.08、固形分の含有量が15重量%の樹脂組成物を製造した。製造された樹脂組成物100重量部に対して、アジリジン系架橋剤0.01重量部を入れて十分に撹拌した後、シリコーン離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにコーティングをした後、100℃のオーブンで3分間乾燥させて、50μmの厚さの転写フィルム層を製造した。
【0093】
さらに、前記離型ライナーBの重剥面に貼り合わせた後、シリコーン離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥離させて巻取った。そして、50℃のオーブンで48時間エージング(Aging)を実施して、巻取られた無基材転写テープを製造した。
【0094】
[比較例4]
比較例3と同様の方法で転写フィルム層を製造した後、前記離型ライナーDに貼り合わせた後、シリコーン離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥離させて巻取った。そして、50℃のオーブンで48時間エージング(Aging)を実施して、巻取られた無基材転写テープを製造した。
【0095】
[比較例5]
2-エチルヘキシルアクリレート100重量部に対して、イソボルニルアクリレート28重量部、アクリル酸11.1重量部を1リットルのガラス反応器で溶液重合させて、重量平均分子量が約120万、分散度3.21の樹脂組成物を製造した。製造された樹脂組成物100重量部に対して、アジリジン系架橋剤0.01重量部を入れて十分に撹拌した後、シリコーン離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにコーティングをした後、100℃のオーブンで3分間乾燥させて、50μmの厚さの転写フィルム層を製造した。
【0096】
さらに、前記転写フィルム層を紙基材の両面にシリコーン離型コーティングされた離型ライナーBの重剥面に貼り合わせた後、シリコーン離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥離させて巻取った。そして、50℃のオーブンで48時間エージング(Aging)を実施して、巻取られた無基材転写テープを製造した。
【0097】
[比較例6]
転写フィルム層の厚さを100μmに調節したことを除き、実施例1と同様の方法で転写フィルム層を製造した。さらに、離型ライナーAに前記転写フィルム層を貼り合わせた後、シリコーン離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥離させて巻取った。そして、50℃のオーブンで48時間エージング(Aging)を実施して、巻取られた無基材転写テープを製造した。
【0098】
[実験例1]離型剥離力の測定
実施例1~4および比較例1~6による無基材転写テープの離型ライナーと転写フィルム層との離型剥離力を測定するために、下記のような実験を進行させた。
【0099】
幅60mm×長さ150mmの無基材転写テープ試料を準備し、転写フィルム層がSUS面に100mmの長さだけ接するようにした後、2kgの荷重のローラを用いて10mm/secの速度で2回往復して付着させた。一端の離型ライナーを半分程度剥がしてジグに噛み合わせた後、TA XT Plus装備(製造会社:Stable micro systems)を用いて、被着面に対して180度の角度および0.3m/min(または3.0m/min)の速度で剥離させて離型ライナーが剥離される時の力を測定して、転写フィルム層と離型ライナーの重剥面および軽剥面それぞれとの離型剥離力を測定した。
【0100】
下記表2は、実施例1~3および比較例1~2の転写フィルム層と離型ライナーとの間の離型剥離力を示すものである。
【0101】
【表2】
【0102】
前記実施例1~3の場合、離型ライナーの重剥面と転写フィルム層とを3m/minの速度で剥離時、70g/in以下の離型抵抗力を示した。実施例1~3の場合、離型ライナーと転写フィルム層との離型剥離力が低く維持されるので、連続工程を行う場合、転写フィルム層を被着体に付着させた後、離型ライナーと剥離時、転写フィルム層が被着体から浮き上がる問題が発生しなかった。これに対し、比較例1~2の場合には、離型ライナーと転写フィルム層との間の離型剥離力が高くて、転写フィルム層を被着体に付着させた後、離型ライナーと剥離時、転写フィルム層が被着体から浮き上がる問題が発生する問題があった。
【0103】
[実験例2]
転写特性の測定
実施例1~4および比較例1~6による無基材転写テープの転写特性を測定するために、下記のような実験を進行させた。
【0104】
300mm×400mmサイズの厚さ50μmのPETフィルムを底面に固定させた。そして、幅60mm、長さ200mmに裁断された無基材転写テープを準備した後、露出した転写フィルム層の一端面の約70mmをPETフィルムの一端に付着させた。さらに、2kgの荷重のローラを用いて、転写フィルム層をPETフィルムに付着させると同時に離型ライナーを除去して転写特性を評価した。具体的には、付着した70mmの面積で50mmだけ離型ライナーを剥離させてローラの後ろ部分に巻いて除去可能にした後、5m/minの速度で付着と除去が同時に起こるようにローリングして付着させる速度と同一の速度で転写フィルム層と離型ライナーを剥離させた。PETフィルム面に転写フィルム層が転写された場合に○と評価し、転写フィルム層がPETフィルムに付着せず離型ライナーに残っていれば×と評価した。
【0105】
転写特性が○の場合の無基材転写テープは連続工程が可能であり、転写特性が×の場合の無基材転写テープは被着体に転写フィルム層が転写されず、連続工程が不可能であった。
【0106】
初期離型抵抗力の測定
さらに、転写フィルム層の初期離型抵抗力を測定するために、下記のような実験を進行させた。
【0107】
幅60mm×長さ150mmの無基材転写テープ試料を準備した。そして、転写フィルム層がSUS面に100mmの長さだけ接するようにした後、2kgの荷重のローラを用いて10mm/secの速度で2回往復して付着させた。さらに、TA XT Plus装備(製造会社:Stable micro systems)を用いて、被着面に対して90度の角度および2.4m/minの速度で無基材転写テープを引張し、転写フィルム層の延伸が始まる時の力を測定して初期離型抵抗力を測定した。
【0108】
下記表3は、実施例1~4および比較例1~6による無基材転写テープの転写特性および転写フィルム層の初期離型抵抗力を示すものである。表3による転写特性および初期離型抵抗力は下記のように測定した。
【0109】
また、図2は、実施例1および比較例1による無基材転写テープの初期離型抵抗力を測定したグラフである。具体的には、図2の最大ピーク値は、離型ライナーの重剥面と転写フィルム層とが分離され始める力(転写フィルム層の延伸が始まる時の力)を意味し、これは、初期離型抵抗力と見なされる。参考として、図2の初期ピーク値の後の約2.5mm~約12.5mmの区間で測定される力の値は、被着体に付着しない転写フィルム層の伸びる力が測定されたものであり、この後に測定される力の値が0になる区間は、被着体に付着した転写フィルム層と被着体に付着しない転写フィルム層とが切断されたことを意味する。
【0110】
【表3】
【0111】
実施例1~4は、転写フィルム層と離型ライナーの重剥面との離型剥離力および転写フィルム層の初期離型抵抗力が適切に調節されて、転写特性が優れたものに実現されることが分かる。つまり、実施例1~4による無基材転写テープは、連続工程時の被着体に転写フィルム層を付着後に浮き上がり現象なく離型ライナーを除去することができたが、比較例1~5は、転写フィルム層と離型ライナーとの間の離型剥離力および/または転写フィルム層の初期離型抵抗力が適切に調節されず、連続工程が不可能な転写特性を示した。
【0112】
さらに、転写フィルム層の厚さが80μmを超える比較例6の場合、転写フィルム層の転写特性は良好になったが、初期離型抵抗力が高すぎて転写フィルム層が被着体から浮き上がる問題が発生した。また、比較例6の場合、転写フィルム層の破断距離が過度に長くなって別途の裁断工程なしに連続工程への適用が困難な問題があった。
【符号の説明】
【0113】
100:離型ライナー
101:軽剥面
102:重剥面
200:転写フィルム層
300:被着体
図1
図2
図3