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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】マイクロカプセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 265/04 20060101AFI20220530BHJP
   C08F 292/00 20060101ALI20220530BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20220530BHJP
   B01J 13/14 20060101ALI20220530BHJP
   B01J 13/22 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
C08F265/04
C08F292/00
C08F2/44 A
B01J13/14
B01J13/22
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020554453
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 KR2019008067
(87)【国際公開番号】W WO2020009438
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-10-05
(31)【優先権主張番号】10-2018-0076605
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0079286
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】オ、チョン-ファン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、キョンオン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョンチュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チャンチュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、チェ-フン
【審査官】藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534159(JP,A)
【文献】特開2015-200047(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0118822(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0008427(US,A1)
【文献】特表2015-526530(JP,A)
【文献】特開2016-212264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 251/00 - 283/00
C08F 283/02 - 289/00
C08F 291/00 - 297/08
B01J 13/02 - 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機ナノ粒子表面に水に対する溶解度が1~100g/Lのアクリル系モノマーを吸着させる第1段階と;
表面にアクリル系モノマーが吸着した無機ナノ粒子に香りオイルを添加してエマルションを形成する第2段階と;
前記第2段階で得られた混合物を重合する第3段階と;
前記第3段階の重合溶液に、アミン系モノマーと開始剤を添加して重合する第4段階と;を含む、マイクロカプセルの製造方法。
【請求項2】
前記アクリル系モノマーは、水に対する溶解度が5~60g/Lである、請求項1に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項3】
前記アクリル系モノマーは、下記化学式1で表されるジアクリル系モノマーおよび化学式2で表されるモノアクリル系モノマー化合物からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1または2に記載のマイクロカプセルの製造方法:
【化7】
前記化学式1中、R1およびR2はそれぞれ独立して、水素または-(CH2nCH3(nは0~5の整数)であり、R3は-(CH2CR13H-O)m、-(CH2CR13H)mO、または-(CH2CH(OH)CH2-O)m(mは1~5の整数)であり、R13は水素または-(CH2nCH3(nは0~5の整数)であり、
【化8】
前記化学式2中、R1は水素または-(CH2nCH3(nは0~5の整数)であり、R3は-(CH2CR13H-O)m、-(CH2CR13H)mO、または-(CH2CH(OH)CH2-O)m(mは1~5の整数)であり、R13は水素または-(CH2nCH3(nは0~5の整数)である。
【請求項4】
前記アクリル系モノマーは、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレートおよびテトラエチレングリコールジメタクリレートからなる群から選択される1種以上である、請求項3に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項5】
前記アミン系モノマーは、下記化学式3または化学式4のアミン系モノマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【化9】
【化10】
前記化学式3および4中、
4およびR5は互いに同一または異なり、-(CH2n-(CH)=CH2(nは1~5の整数)または-(CH2n-CH3(nは0~5の整数)であり、
6およびR7は互いに同一または異なり、炭素数1~5のアルキル、-(CH2n-CH=CH2(nは1~5の整数)、下記化学式aのアクリルアミド系置換基または下記化学式bのアクリル酸系置換基であり、この時、R6およびR7がいずれも炭素数1~5のアルキル基ではなく、
8は水素、-(CH2n-(CH)=CH2(nは1~5の整数)または-(CH2n-CH3(nは0~5の整数)であり、
9およびR10は互いに同一または異なり、-(CH2n-CH=CH2(nは1~5の整数)、下記化学式aのアクリルアミド系置換基または下記化学式bのアクリル酸系置換基であり、
【化11】
【化12】
前記化学式aおよびb中、nおよびmは、それぞれ独立して、またはいずれも1~5の整数であり、R11およびR12は、それぞれ独立して、またはいずれも水素または-(CH2n'CH3(n'は0~5の整数)である。
【請求項6】
前記アミン系モノマーは、第3段階までの溶液の全体重量を基準として100重量部に対して0.2~5重量部で使用する、請求項1~5のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項7】
前記無機ナノ粒子は2nm~100nmの平均粒径を有するシリカ、チタニア、メタルオキシド、ノーブルメタル、燐灰石および石灰石からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項8】
前記第1段階は、無機ナノ粒子のコロイダル水溶液を使用してアクリル系モノマーを添加し、分散処理して、無機ナノ粒子表面にアクリル系モノマーを吸着する段階を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項9】
前記第2段階は、表面にアクリル系モノマーが吸着した無機ナノ粒子に香りオイルを添加し、水中油型ピッカリングエマルション(oil-in-water Pickering emulsion)を形成する段階を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項10】
前記第2段階の香りオイルに油溶性開始剤を溶解して使用する、請求項1~9のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項11】
前記第3段階の重合は、30~90℃で6~20時間水中油型ピッカリングエマルションのラジカル重合を行い、マイクロカプセルを形成する段階を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項12】
前記第4段階で、アミン系モノマーと開始剤は第3段階の重合中または重合完了後に投入する、請求項1~11のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項13】
前記第4段階の重合は、30~90℃で6~20時間重合を行い、第3段階で形成されたマイクロカプセルの表面を改質する段階を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項14】
表面改質された香りカプセルの総重量を基準として、無機ナノ粒子0.5~40重量%、アクリル系モノマー1~60重量%、アミン系モノマー0.02~15重量%および香りオイル10~90重量%を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項15】
平均粒径0.1μm~1,000μmの香り成分を含む表面改質された無機ナノ粒子-アクリル樹脂複合カプセルを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
【請求項16】
無機ナノ粒子-アクリル樹脂複合体、および香り成分を含むマイクロカプセル;および 前記マイクロカプセルの表面でのアミン系モノマーの重合により、前記マイクロカプセルの表面がアミン系化合物で改質されており、表面電荷が+5~60mVのゼータ電位を有することを特徴とする、表面改質されたマイクロカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年7月2日付の韓国特許出願第10-2018-0076605号および2019年7月2日付の韓国特許出願第10-2019-0079286号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、香りカプセルの繊維への付着力を増大させることができ、水中で膨潤せず香りの担持力が優れ、従来よりも生分解性が向上することによって、使用後にも香りの持続性を有する環境にやさしいマイクロカプセルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロカプセルは、多様な方面に幅広く使われている。例えば、色剤、触媒、接着剤、香料、燃料、農薬、バイオマテリアル、医薬品、食品、化粧品、生活用品、洗浄剤などに多様な用途に使われる。
【0004】
その中でも、特にバイオマテリアルや医薬品、食品、化粧品、洗浄剤など(例えば、毛髪リンス、ボディウォッシュ、繊維柔軟剤など)に使用される香りオイル(香油)のマイクロカプセルは、人体に無害でなければならないし、しかも、カプセルが生分解される環境にやさしい製品でなければならないことが要求されている。
【0005】
しかし、既存の方法のほとんどは、香りオイルを界面活性高分子やナノ粒子を利用してエマルション液滴を形成した後、メラミン-ホルムアルデヒド、ウレア、ウレタンなどの樹脂をエマルション香りの液滴表面で軸重合してカプセル化している。このようにして製造された香りカプセルは、香りの担持力、担持効率は優れているが、使用後にカプセルが分解されず環境的に問題となっている。
【0006】
このような問題を解決するために、バイオ高分子(アラビアゴム、デンプン、セルロース、ゼラチンアルジネート、アルブミンなど)および変性バイオ高分子(エチルセルロース、CMC、HPMC、HPMC-AS)を用いて香りマイクロカプセルを製造しようとする試みがあった。しかし、前記高分子は、水あるいは香りオイルによって膨潤し得るため、香りに対する担持力が非常に弱い。
【0007】
また他の方法は、親水性シリカナノ粒子とアジピン酸ジアルキルを用いてoil-in-water Picking emulsionを製造する方法が提示されている(Soft Matter,Pickering emulsions stabilized by hydrophilic nanoparticles:in situ surface modification by oil,Binks et al.,2016,12,6858~6867)
しかし、このようにして製造されたピッカリングエマルション(Picking emulsion)は酸、塩基、温度などの周辺環境にぜい弱なのでエマルションが簡単に破壊されるため、所望のマイクロカプセルを製造しにくく、香りカプセルの繊維への付着力が低下する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、前記問題を解決するためになされたもので、香りカプセル表面の電荷調節によって繊維への付着力を増大させることができ、また、水中で膨潤せず香りの担持力が優れ、生分解性が向上することによって使用後にも香りの持続性を有し、環境にやさしいマイクロカプセルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、無機ナノ粒子表面に水に対する溶解度が1~100g/Lのアクリル系モノマーを吸着させる第1段階と;
表面にアクリル系モノマーが吸着した無機ナノ粒子に香りオイルを添加してエマルションを形成する第2段階と;
前記第2段階の混合物を重合する第3段階と;
前記第3段階の重合溶液に、アミン系モノマーと開始剤を添加して重合する第4段階と;を含む、マイクロカプセルの製造方法を提供する。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、前記方法で製造された表面改質されたマイクロカプセルを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、香りカプセル表面の電荷を調節して繊維への付着力を増大させることができ、水中で膨潤せず香りの担持力が優れ、従来よりも生分解性が向上することによって使用後にも香りの持続性を有し、環境にやさしい無機ナノ粒子-アクリル樹脂複合マイクロカプセルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1のマイクロカプセルの電子顕微鏡写真を示す図である。
図2】参考例1のマイクロカプセルの電子顕微鏡写真を示す図である。
図3】実施例1および参考例1のゼータ電位の測定結果を比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をさらに具体的に説明する。また、本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施例を例示し、以下に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解しなければならない。
【0014】
また、本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるわけではない。
【0015】
以下、本発明の具体的な実施形態によるマイクロカプセルの製造方法と、これを利用して製造したマイクロカプセルについて説明する。
【0016】
本発明は、従来の問題を解決するために、無機ナノ粒子-アクリル樹脂複合カプセルを形成する方法を提供する。
【0017】
本発明は、シリカなどの親水性無機ナノ粒子にアクリル系モノマーを吸着させてピッカリングエマルション(Pickering emulsion)方式で安定した香りエマルションを作った後、香りに溶かしておいたラジカル開始剤の開始反応によるラジカル重合で無機ナノ粒子-アクリル樹脂マイクロカプセルを製造した後、さらにアミン系のモノマーを前記カプセル表面で重合させてカプセル表面の電荷(charge)調節により、香りカプセルの繊維への付着力を増大させることを特徴とする。
【0018】
また、前記ピッカリングエマルションを用いて架橋されたマイクロカプセルはポリアクリレートカプセルであって、構造内にエステル(ester)基が加水分解で生分解されて、従来よりも環境にやさしい香りカプセルを製造することができる。
【0019】
具体的には、本発明の一実施形態によれば、無機ナノ粒子表面に水に対する溶解度が1~100g/Lのアクリル系モノマーを吸着させる第1段階と;
表面にアクリル系モノマーが吸着した無機ナノ粒子に香りオイルを添加してエマルションを形成する第2段階と;
前記第2段階の混合物を重合する第3段階と;
前記第3段階の重合溶液に、アミン系モノマーと開始剤を添加して重合する第4段階と;を含む、マイクロカプセルの製造方法が提供される。
【0020】
以下、本発明の理解を助けるためにより詳しく説明する。
【0021】
上述した第1段階は、親水性無機ナノ粒子表面にアクリル系モノマーを吸着させる段階である。
【0022】
好ましくは、前記無機ナノ粒子は、親水性を有する粒子であれば全て使用可能である。例えば、前記無機ナノ粒子は、2nm~100nmの平均粒径を有するシリカ、チタニア、メタルオキシド、ノーブルメタル、燐灰石および石灰石からなる群から選択される。より好ましくは、前記無機ナノ粒子の平均粒径は5nm~50nmであり得る。
【0023】
最も好ましくは、前記無機ナノ粒子は、2nm~100nmあるいは5nm~50nmの平均粒径を有するシリカまたはチタニアを使用することができる。
【0024】
また、前記第1段階で無機ナノ粒子は、コロイダル水溶液状態で使用することができ、コロイダル水溶液にアクリル系モノマーを分散処理する過程を経るので、香りオイルの添加時に安定したピッカリングエマルションを形成することができる。
【0025】
したがって、前記第1段階は、シリカコロイダル水溶液を使用してアクリル系モノマーを添加し、分散処理して、シリカ表面にアクリル系モノマーを吸着する段階を含むことができる。
【0026】
前記分散処理方法は、シリカなどの無機ナノ粒子をコロイダル水溶液状態で作る条件であればその方法は限定されず、一例として、超音波処理方法を使用することができる。
【0027】
より具体的には、無機ナノ粒子として親水性シリカを使用することを例に挙げて説明する。
【0028】
本発明では親水性シリカ(hydrophilic silica)にアクリル系のモノマーを超音波処理することで、前記シリカ表面にアクリル系モノマーを吸着させるので、無機ナノ粒子(好ましくは、シリカ)に安定的に香りピッカリングエマルションが形成される。また、このような安定したピッカリングエマルションは、香りに溶かしておいたラジカル開始剤の開始反応によるラジカル重合でシリカ-アクリレートマイクロカプセルを製造することができる。
【0029】
すなわち、前記親水性無機ナノ粒子(シリカナノ粒子)表面にアクリレートまたはジアクリレートモノマーなどのアクリル系モノマーを吸着させた後、香りオイルのピッカリングエマルションを形成した後、直ちにフリーラジカル重合でカプセルを形成する。
【0030】
前記アクリル系モノマーは、生分解可能なエステル基を含み、水に対する溶解度(water solubility)が1~100g/Lであることが特徴であり、単独または混合して使用可能である。前記水溶解度の温度条件は、常温25℃を基準とすることができる。
【0031】
より好ましくは、本発明によると、前記アクリル系モノマーは、水に対する溶解度(water solubility)が5~60g/Lあるいは10~60g/Lであるものを使用することができる。
【0032】
前記アクリル系モノマーの水に対する溶解度が1g/L以下であれば、親水性無機ナノ粒子にアクリル系モノマーを吸着しにくく、ピッカリングエマルションを形成できなくなる。また、前記アクリル系モノマーの水に対する溶解度が100g/L以上であれば、親水性無機ナノ粒子表面の親水性が極大化され、水/オイル間の接触角が小さくなり、粒子表面の相当部分が水相として存在する。この場合、不安定なエマルションを形成する問題がある。
【0033】
このような前記アクリル系モノマーは、下記化学式1で表されるジアクリル系モノマーおよび化学式2で表されるモノアクリル系モノマー化合物からなる群から選択される1種以上を含むことができる:
【0034】
【化1】
【0035】
上記化学式1中、R1およびR2はそれぞれ独立して、水素または-(CH2nCH3(nは0~5の整数)であり、R3は-(CH2CR 13 H-O)m、-(CH2CR 13 H)mO、または-(CH2CH(OH)CH2-O)m(mは1~5の整数)であり、R 13 は水素または-(CH2nCH3(nは0~5の整数)であり、
【0036】
【化2】
【0037】
上記化学式2中、R1は水素または-(CH2nCH3(nは0~5の整数)であり、R3は-(CH2CR 13 H-O)m、-(CH2CR 13 H)mO、または-(CH2CH(OH)CH2-O)m(mは1~5の整数)であり、R 13 は水素または-(CH2nCH3(nは0~5の整数)である。
【0038】
好ましくは上述したように、本発明では、水に対する溶解度が5~50g/Lであるアクリル系モノマーを使用することができる。このようなアクリル系モノマーの具体的な例としては、下記表1のように、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレートおよびテトラエチレングリコールジメタクリレートからなる群から選択される1種以上を使用することができる。
【0039】
【表1】
【0040】
また、前記第1段階で、無機ナノ粒子表面にアクリル系モノマーを吸着させるときに超音波処理方法を使用する場合、次の方法で行われる。
【0041】
すなわち、前記第1段階は、無機ナノ粒子のコロイダル水溶液を使用してアクリル系モノマーを添加し、1分~30分間超音波処理して、無機ナノ粒子表面にアクリル系モノマーを吸着する段階を含むことができる。前記超音波処理は、氷浴などの低い温度条件で行うことが好ましい。
【0042】
前記無機ナノ粒子は5nm~50nmの平均粒径を有することができる。
【0043】
一方、前記第2段階は、前記第1段階で製造された無機ナノ粒子表面にアクリル系モノマーが吸着した無機ナノ粒子に香りオイルを添加してエマルションを形成する段階である。
【0044】
前記第2段階で形成されたエマルションは、ピッカリングエマルションであり得る。
【0045】
具体的には、前記第2段階は、表面にアクリル系モノマーが吸着した無機ナノ粒子に香りオイルを添加し、1分~30分間超音波処理して、水中油型ピッカリングエマルション(O/W Pickering emulsion)を形成する段階を含むことができる。前記超音波処理は、氷浴などの低い温度条件で行うことが好ましい。
【0046】
前記第2段階で香りオイルの使用時、香りオイルに油溶性開始剤を溶解して使用することができる。
【0047】
前記油溶性開始剤は、アゾ系および過酸化物系からなる群から選択される1種以上であり得る。前記油溶性開始剤は粉末形態であって、その使用量は特に限定されず、香りオイルに溶解される程度の量であれば、この分野でよく知られている含有量に応じて使用することができる。また、一般に市販されている製品を使用することができる。
【0048】
一方、本発明でマイクロカプセルを製造する時、無機ナノ粒子とアクリル系モノマーおよび香りオイルは水を含むコロイダル水溶液に添加されるので、ピッカリングエマルション溶液全体の含有量を基準として無機ナノ粒子、アクリル系モノマーおよび香りオイルの含有量を適切に調節して使用することができる。
【0049】
好ましい一例としては、本発明で重合を行う前に、第3段階のピッカリングエマルション溶液は水、無機ナノ粒子、アクリル系モノマーおよび香りオイルを含む溶液であり得る。
【0050】
また、前記ピッカリングエマルション溶液は、全体溶液の含有量を基準として水相である水が60~80重量%を占め、無機ナノ粒子0.1~16重量%、アクリル系モノマー0.2~25重量%および香りオイル2~36重量%で含まれるように使用することができる。
【0051】
前記無機ナノ粒子の含有量が0.1重量%未満であればエマルションが1,000μm以上に形成され、16重量%を超えればエマルションが0.1μm以下に形成される問題がある。
【0052】
前記アクリル系モノマーの含有量が0.2重量%未満であればピッカリングエマルションを形成できないか、または無機ナノ粒子-アクリル樹脂カプセルを形成できない問題があり、25重量%を超えれば無機ナノ粒子に吸着せず、重合反応に参加しないアクリル系モノマーが水相に多量残留する問題がある。
【0053】
前記香りオイルの含有量が2重量%未満であればカプセルが厚すぎて香りが放出されない問題があり、36重量%を超えれば不安定なエマルションが形成されてカプセルの性能が低下する問題がある。
【0054】
一方、第3段階は、前記第2段階で得られたピッカリングエマルションの重合を行う段階である。
【0055】
上述した方法により、ピッカリングエマルションが得られると、一定の条件下でラジカル重合を行うことによって、香り/無機ナノ粒子-ポリアクリレートカプセルが合成される。
【0056】
好ましくは、前記第3段階の重合は、30~90℃で6~20時間水中油型ピッカリングエマルションのラジカル重合を行って、マイクロカプセルを形成する段階を含むことが好ましい。また、前記重合時に攪拌条件は100~700rpm、好ましくは200~400rpmである。また、前記重合は、窒素パージなどによる不活性な条件下で行われ得る。
【0057】
前記第3段階の重合後、後述する第4段階への進行前に必要に応じて濃縮または/および乾燥過程をさらに行うことができ、その条件は限定されない。
【0058】
前記第3段階の重合により得られたマイクロカプセルは、無機ナノ粒子、アクリル系モノマーおよび香りオイルからなる。
【0059】
また、前記第4段階は、前記第3段階での重合溶液に、アミン系モノマーと開始剤を添加して重合する段階を含む。本発明では、前記第4段階でアミン系のモノマーをカプセル表面で重合させる段階をさらに行い、カプセル表面の電荷を調節することができ、これによって香りカプセルの繊維への付着力を増大させることができる。
【0060】
前記第4段階で、アミン系モノマーと開始剤は、第3段階の重合中または重合完了後に投入することができる。好ましい一例として、第4段階で前記第3段階の重合の後半から重合の完了までの時点で、第3段階の重合溶液にアミン系モノマーと開始剤をさらに投入することができる。前記重合の後半から重合の完了までは、後述する全体の重合時間(6~20時間)で、約80~100%程度の重合が完了する時間を意味する。
【0061】
前記アミン系モノマーは、下記化学式3または化学式4のアミン系モノマーを含むことが好ましい。
【0062】
【化3】
【0063】
【化4】
【0064】
上記化学式3および4中、
およびRは互いに同一または異なり、-(CH-(CH)=CH(nは1~5の整数)または-(CH-CH(nは0~5の整数)であり、
およびRは互いに同一または異なり、炭素数1~5のアルキル、-(CH-CH=CH(nは1~5の整数)、下記化学式aのアクリルアミド系または下記化学式bのアクリル酸系置換基であり、この時、RおよびRがいずれも炭素数1~5のアルキル基ではなく、
は水素、-(CH-(CH)=CH(nは1~5の整数)または-(CH-CH(nは0~5の整数)であり、
およびR10は互いに同一または異なり、-(CH-CH=CH(nは1~5の整数)、下記化学式aのアクリルアミド系または下記化学式bのアクリル酸系置換基であり、
【0065】
【化5】
【0066】
【化6】
【0067】
上記化学式aおよびb中、nおよびmは、それぞれ独立して、またはいずれも1~5の整数であり、R11およびR12は、それぞれ独立して、またはいずれも水素または-(CHn’CH(n’は0~5の整数)である。
【0068】
上記化学式3および4中、R~Rは-(CH-CH(nは0~5の整数)であり、Rは化学式aであり得る。この時、化学式a中、nは2~3であり、R11は-(CHCH(n’は0~2の整数)であり、より好ましくはn’は0である。
【0069】
本発明において、炭素数1~5のアルキルは、直鎖または側鎖のアルキル基を含むことができる。
【0070】
前記アミン系モノマーとしては、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド溶液([3-(Methacryloylamino)propyl]trimethylammonium chloride solution)またはジアリルジメチルアンモニウムクロリド溶液(Diallyldimethylammonium chloride solution)を好ましく使用することができる。
【0071】
前記アミン系モノマーの含有量は、第3段階までの全体溶液の含有量を基準として、100重量部に対して0.2~5重量部で使用することができる。前記アミン系モノマーの含有量が0.2重量部以下であれば表面電荷改質効果が減少する問題があり、5重量部以上であれば入れたモノマーがカプセルの表面に重合されること以外に、個別に重合してポリマー粒子を形成する問題がある。
【0072】
また、前記第4段階で使用される開始剤は、水溶性開始剤であり得、アゾ系および過酸化物系からなる群から選択される1種以上であり得、この分野でよく知られている水溶性開始剤を全て使用可能である。例えば、前記水溶性開始剤は、SPS(Sodium persulfate)、APS(Ammonium persulfate)などを使用することができる。前記水溶性開始剤の含有量は、第3段階までの全体溶液の含有量を基準として、100重量部に対して0.004~0.03重量部で使用することができる。
【0073】
前記第4段階の重合は、30~90℃で6~20時間重合を行い、第3段階で形成されたマイクロカプセルの表面を改質する段階を含むことができる。また、前記重合時の攪拌条件は100~700rpm、好ましくは200~400rpmであり得る。
【0074】
本発明の他の実施形態によれば、前記方法で製造された表面改質されたマイクロカプセルを提供する。
【0075】
また他の一例として、本発明は、無機ナノ粒子-アクリル樹脂複合体、および香り成分を含むマイクロカプセル;および前記マイクロカプセルの表面がアミン系化合物で改質されており、表面電荷が+5~60mVのゼータ電位を有することを特徴とする、表面改質されたマイクロカプセルを提供する。
【0076】
具体的には、本明細書で提供するマイクロカプセルは、アミン系化合物でカプセル表面が改質された香りカプセルを意味し、香り成分を含む表面改質された無機ナノ粒子-アクリル樹脂複合マイクロカプセルを含み、ゼータ電位が約+5~60mVあるいは+10~55mVあるいは+30~50mVであり得る。このようなマイクロカプセルは、アミン系化合物で表面改質されて得られたものであり、前記ゼータ電位は、Malvern zetasizer装置およびdisposable folded capillary cell(Malvern DTS 1070)を用いた方法で各マイクロカプセルに対して10回ずつ、apparent zeta potentialを測定して得られた結果である。
【0077】
また、前記表面改質された香りカプセルの総重量を基準として、無機ナノ粒子0.5~40重量%、アクリル系モノマー1~60重量%、アミン系モノマー0.02~15重量%および香りオイル10~90重量%を含むことができる。
【0078】
また、本発明の表面が改質されたマイクロカプセルは、平均粒径0.1μm~1,000μmの香り成分を含む表面改質された無機ナノ粒子-アクリル樹脂複合カプセルの形態で提供され得る。
【0079】
特に、本発明の表面改質された無機ナノ粒子-アクリル樹脂複合カプセルは水中で膨潤しないので、香りの担持力に優れ、かつエステル基が生分解されて親環境的である。
【0080】
特に、本発明の無機ナノ粒子-アクリレート複合カプセルは水中で膨潤しないので、香りの担持力に優れ、かつエステル基が生分解されて親環境的である。
【実施例
【0081】
以下、発明の具体的な実施例を通じて、発明の作用および効果をより詳述する。ただし、このような実施例は発明の例示として提示されたものに過ぎず、これによって発明の権利範囲が決められるのではない。
【0082】
<実施例>
(実施例1)
(第1段階)
親水性シリカ(25nm)0.4gを水50mlに分散させてシリカコロイダル水溶液を製造した後、水に対する溶解度が25g/L程度のジエチレングリコールジアクリレート3gを添加して、氷浴で20分間超音波(sonication)処理して、シリカ表面にアクリル系モノマーを吸着させた。
【0083】
(第2段階)
以降、前記溶液に油溶性開始剤を溶かした香りオイル(Oil)20gを入れて、氷浴で再び20分間超音波(sonication)処理しながら、ピッカリングエマルション(Pickering emulsion)を製造した。
【0084】
(第3段階)
次に、前記溶液を、コンデンサーを装着した三つ口丸フラスコに入れて密閉させた後、300rpmで攪拌しながら約30分間N bubblingした後、60℃に加熱したオイルバス(Oil bath)でラジカル重合反応を20時間行い、香り/シリカ-アクリレートマイクロカプセルを製造した。
【0085】
(第4段階)
前記重合中に水溶性開始剤(APS(Ammonium persulfate)0.01gと[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド溶液([3-(Methacryloylamino)propyl]trimethylammonium chloride solution)0.6gを投入し、15時間さらに重合を行い、表面が改質された香り/シリカ-アクリル樹脂マイクロカプセルを製造した。
【0086】
(実施例2)
第4段階で[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド溶液の代わりに、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド溶液(Diallyldimethylammonium chloride solution)0.5gを使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で、表面が改質された香り/シリカ-アクリレートマイクロカプセルを製造した。
【0087】
(参考例1)
(第1段階)
親水性シリカ(25nm)0.4gを水50mlに分散させてシリカコロイダル水溶液を製造した後、水に対する溶解度が25g/L程度のジエチレングリコールジアクリレート3gを添加して、氷浴で20分間超音波(sonication)処理して、シリカ表面にアクリル系モノマーを吸着させた。
【0088】
(第2段階)
以降、前記溶液に油溶性開始剤を溶かした香りオイル(Oil)20gを入れて、氷浴で再び20分間超音波(sonication)処理しながら、ピッカリングエマルション(Pickering emulsion)を製造した。
【0089】
(第3段階)
次に、前記溶液をコンデンサーを装着した三つ口丸フラスコに入れて密閉させた後、300rpmで攪拌しながら約30分間N bubblingした後、60℃に加熱したオイルバス(Oil bath)でラジカル重合反応を20時間行い、香り/シリカ-アクリレートマイクロカプセルを製造した。
【0090】
(比較例1)
平均粒径20nmのシリカを含むシリカコロイダル水溶液に香りオイル20gを添加して、オイル状のピッカリングエマルションを製造した。
【0091】
安定したエマルション状態を維持するためにSMA(styrene maleic anhydride copolymer)1.6gを添加し、上記溶液のpHを4~6に調整した。
【0092】
そこにpre-MF(pre-Melamine formaldehyde)溶液(pH8.5~9)をゆっくり落とした後、温度を50~70℃に上げて、3時間程度反応させて、シリカ-MFマイクロカプセルを合成した。
【0093】
(比較例2)
酢酸エチルを飽和させた水に界面活性剤(tween80)1%濃度で添加して水相を準備した。
【0094】
酢酸エチルにEC(Ethyl cellulose)を20%濃度に溶かし、そこに香り(Oil)をECと1:1の重量比で混合してコア溶液を準備した。
【0095】
酢酸エチルを飽和させた水100mlに準備したコア溶液30mlを入れ、ultra turraxを用いてエマルションを作った。
【0096】
作られた香りエマルション溶液を約60℃に加熱し、500rpmで攪拌すると酢酸エチルが除去されながら香り/ECマイクロカプセルが合成された。
【0097】
(参考例2)
第4段階で[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド溶液([3-(Methacryloylamino)propyl]trimethylammonium chloride solution)0.1gを使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で、マイクロカプセルを合成した。
【0098】
(参考例3)
第4段階で[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド溶液([3-(Methacryloylamino)propyl]trimethylammonium chloride solution)3gを使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で、マイクロカプセルを合成した。
【0099】
(比較例3)
(第1段階)
親水性シリカ(25nm)1gを水87.5gに分散させてシリカコロイダル水溶液を製造した後、水に対する溶解度が0.9g/L程度のE-TMPTA(E-Trimethylolpropane triacrylate)10gを添加して、氷浴で20分間超音波(sonication)処理した。
【0100】
(第2段階)
以降、前記溶液に油溶性開始剤を溶かした香りオイル(Oil)20gを入れて、氷浴で再び20分間超音波(sonication)処理しながら、ピッカリングエマルション(Pickering emulsion)を作った。
【0101】
(第3段階)
次に、前記溶液を、コンデンサーを装着した三つ口丸フラスコに入れて密閉させた後、300rpmで攪拌しながら約30分間N bubblingした後、60℃に加熱したオイルバス(Oil bath)でラジカル重合反応を20時間行い、香り/シリカ-アクリレートマイクロカプセルを製造しようとした。
【0102】
しかし、E-TMPTAの低い水に対する溶解度(water solubility)が0.9g/Lに低いため、不安定なエマルションの形成により、カプセル化がうまく進行しなかった。
【0103】
すなわち、カプセルの合成後にエマルションを形成しない香り(Oil)が漂っており、作られたカプセルの形状も滑らかでないことを確認した。
【0104】
(実施例3)
ジエチレングリコールジアクリレートの代わりに水に対する溶解度が52g/Lのテトラエチレングリコールジメタクリレート2gを使用し、実施例1と同様の方法で、香り/シリカ-アクリレートマイクロカプセルを製造した。
【0105】
<実験例>
実施例1~3、比較例および参考例1~3について、表面形態および香りの担持効率評価を行い、結果を表2および表3に示す。
【0106】
(1)表面形態観察および電荷測定
実施例1および参考例1のマイクロカプセルの電子顕微鏡写真を測定してその結果を図1および図2に示す。また、Malvern zetasizer装置およびdisposable folded capillary cell(Malvern DTS 1070)を用いた方法で各マイクロカプセルに対して10回ずつ、apparent zeta potentialを測定し、その結果を図3に示す。
【0107】
図1および図2から見れば、表面改質前の香りカプセル(参考例1)と表面改質後の香りカプセル(実施例1)はそれぞれ5um内外の大きさで製造され、表面改質前後の形態的な差はなかった。
【0108】
しかし、図3に示すように、zeta potentialを測定した時、表面改質を行わないシリカ-アクリル樹脂香りカプセルは約-76mV、アミン系モノマーで表面を改質したカプセルは約+43mVの値を示した。
【0109】
したがって、アミン系モノマーの表面重合により香りカプセルの表面chargeが大きく変化することを確認することができ、これに伴う繊維への付着力の増大効果を下記に示す。
【0110】
(2)繊維への付着力の評価
各香りカプセルの香りの担持量と担持効率が同じであると仮定し、洗濯後の繊維内の残香評価で香りカプセルの繊維への付着力を評価した。
【0111】
*試験条件
-通常の洗濯機での評価:試験片は市販の100%の綿タオル(30×20cm)、混紡の残香評価布(30×20cm)を準備した後、一般の洗濯洗剤の標準使用量を使用し、洗濯機で5回繰り返して洗濯した後、脱水したものを使用した。
【0112】
本発明の組成物(すなわち、マイクロカプセル)を1%水溶液で作った後、攪拌式洗濯機で標準使用量(0.67ml/1リットルの洗濯水)を基準として使用したそれぞれのすずき水(水温20℃)に、すずきコースで処理し脱水した後、試験片を取り出した。そして、試験片は伸びたり、ねじれたりしないようにして20℃、60%RH条件で24時間網乾燥(flat dry)した後、熟練されたパネリスト(panelist)の官能評価試験により、香りの強度程度を点数として最低1点から最高5点まで付与し、これを3回以上繰り返してその平均値により残香効果を測定した。その他の細部実験条件は、韓国環境産業技術院の環境標識認証基準のうちEL306(繊維柔軟剤)内の試験方法に準ずる。
【0113】
-浸し洗濯での評価:試験片は市販の100%の綿タオル(30×20cm)、織物綿標準布(30×20cm)を準備した後、一般の洗濯洗剤の標準使用量を使用し、洗濯機で5回繰り返して洗濯した後、脱水したものを使用した。本発明の組成物(すなわち、マイクロカプセル)を0.2%水溶液で作った内容物に、試験片を10分間浸した後に取り出した。そして、前記試験片は伸びたり、ねじれたりしないようにして20℃、60%RH条件で24時間網乾燥(flat dry)した後、熟練されたパネリスト(panelist)の官能評価試験により、香りの強度程度を点数として最低1点から最高5点まで付与し、これを3回以上繰り返してその平均値により残香効果を測定した。その他の細部実験条件は、韓国環境産業技術院の環境標識認証基準のうちEL306(繊維柔軟剤)内の試験方法に準ずる。
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
上記表2の結果から見れば、本発明の実施例1~3は、参考例1に比べて洗濯機での洗濯および浸し洗濯での評価で、全て優れた繊維への付着力と香りの持続性が維持されることを確認した。
【0117】
また、表3から見れば、既存の通常使用される比較例1および比較例2での香りカプセルは、香りの担持力が弱くて、繊維への付着力が不良であった。また、参考例2および参考例3により、表面改質時に使用されるアミン系モノマーの含有量が本発明の範囲を満足しない場合においても、繊維への付着力の増大効果が得られなかった。また、上述のように、比較例3ではカプセルの合成がうまく進行せず、前記物性を評価することができなかった。
【0118】
したがって、アミン系化合物を使用してカプセル表面を改質する場合、その含有量の範囲を特定の範囲で使用することにより、繊維への付着力および香りの担持力に全て優れた効果を得ることができた。
図1
図2
図3