IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特許7081232プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置
<>
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図1
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図2
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図3
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図4
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図5
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図6
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図7
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図8
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図9
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図10
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図11
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図12
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図13
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図14
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図15
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図16
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図17
  • 特許-プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/9035 20190101AFI20220531BHJP
   G06F 16/901 20190101ALI20220531BHJP
   G06F 16/907 20190101ALI20220531BHJP
   G06F 21/62 20130101ALI20220531BHJP
【FI】
G06F16/9035
G06F16/901
G06F16/907
G06F21/62 345
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018047356
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019159970
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】橋場 基樹
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-504190(JP,A)
【文献】特表2007-507801(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0268552(US,A1)
【文献】特開2002-032401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06F 21/00-21/88
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人にしかアクセス権がない記憶部に記憶された電子データに関する情報を第二の情報処理装置に送信するプログラムにて電子データ送信手段として機能させる、前記個人が使用する第一の情報処理装置と
前記第一の情報処理装置から送信された前記電子データに関する情報に基づいて個人のプロファイルを作成するプロファイル作成手段と、
外部からの検索要求に応じて、前記外部からのアクセスが制限された記憶領域に保存された前記個人のプロファイルに基づいて特定した検索結果を前記外部に送信する検索サービスを提供する検索手段と、
を有する第二の情報処理装置と、を有し、
前記個人のプロファイルには前記電子データから抽出された1つ以上のキーワードと、前記キーワードが抽出された前記電子データに関する情報が対応付けられており、
前記第二の情報処理装置は、
前記検索手段による検索にヒットした前記個人のプロファイルに対応付けられた前記電子データに関する情報を前記第一の情報処理装置に送信する検索結果送信手段を有し、
前記検索手段は、前記検索手段が検索要求に含まれる検索語で前記個人のプロファイルを検索した際にヒットした前記キーワードの数が多いほど高い適合率を前記電子データに対し算出し、
前記検索結果送信手段は、前記適合率と共に前記電子データに関する情報を前記第一の情報処理装置に送信するプロファイル管理システム。
【請求項2】
前記第二の情報処理装置は、
複数の前記個人のプロファイルをそれぞれ記憶する複数の前記記憶領域を有し、
前記検索手段は、任意の個人からの検索要求に対し、前記任意の個人とは異なる他の個人のプロファイルを検索する請求項1に記載のプロファイル管理システム。
【請求項3】
前記個人のプロファイルには、更に、前記キーワードに前記キーワードの重みが対応付けられており、
前記検索手段は、前記検索手段による検索にヒットした前記キーワードの前記重みに基づいて前記適合率を算出し、
前記検索結果送信手段は、前記適合率と共に前記電子データに関する情報を前記第一の情報処理装置に送信する請求項1に記載のプロファイル管理システム。
【請求項4】
前記検索結果送信手段が送信する前記電子データに関する情報にはファイル名、及び、前記電子データを前記記憶部に記憶する個人名が含まれないことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のプロファイル管理システム。
【請求項5】
前記プログラムは、前記第一の情報処理装置を、更に、
前記電子データの閲覧要求を前記第二の情報処理装置に送信する閲覧要求手段として機能させ、
前記第二の情報処理装置は、
前記検索結果送信手段が送信した前記電子データに関する情報に基づく前記電子データの閲覧要求を取得する閲覧要求取得手段と、
閲覧要求された前記電子データを前記記憶部にて記憶する前記個人に対し前記電子データが要求された旨を通知する通知手段と、を有する請求項1~4のいずれか1項に記載のプロファイル管理システム。
【請求項6】
個人にしかアクセス権がない記憶部に記憶された電子データに関する情報を第二の情報処理装置に送信するプログラムにて電子データ送信手段として機能させる、前記個人が使用する第一の情報処理装置と
前記第一の情報処理装置から送信された前記電子データに関する情報に基づいて個人のプロファイルを作成するプロファイル作成手段と、
外部からの検索要求に応じて、前記外部からのアクセスが制限された記憶領域に保存された前記個人のプロファイルに基づいて特定した検索結果を前記外部に送信する検索サービスを提供する検索手段と、
を有する第二の情報処理装置と、を有し、
前記個人のプロファイルには前記電子データから抽出された1つ以上のキーワードと、前記個人の識別情報が対応付けられており、
前記第二の情報処理装置は、
前記検索手段による検索にヒットした前記個人のプロファイルに対応付けられた前記個人に関する情報を前記第一の情報処理装置に送信する検索結果送信手段を有し、
前記検索手段は、前記検索手段が検索要求に含まれる検索語で前記個人のプロファイルを検索した際にヒットした前記キーワードの数が多いほど高い適合率を前記個人に対して算出し、
前記検索結果送信手段は、前記適合率と共に前記個人に関する情報を前記第一の情報処理装置に送信するプロファイル管理システム。
【請求項7】
前記第二の情報処理装置は、
前記個人の識別情報に対応付けて個人に関する情報を提示するか否かが設定された個人情報記憶部を有し、
前記検索結果送信手段は、個人に関する情報を提示すると設定されている前記個人についてのみ前記個人に関する情報を前記第一の情報処理装置に送信し、
個人に関する情報を提示しないと設定されている前記個人については前記適合率を前記第一の情報処理装置に送信する請求項6に記載のプロファイル管理システム。
【請求項8】
前記プログラムは、前記第一の情報処理装置を、更に、
前記個人の氏名の提示要求を前記第二の情報処理装置に送信する閲覧要求手段として機能させ、
前記第二の情報処理装置は、
前記検索結果送信手段が送信した前記個人に関する情報に基づく前記個人の氏名の提示要求を取得する閲覧要求取得手段と、
提示要求された前記個人に氏名の提示が要求された旨を通知する通知手段と、を有する請求項6又は7に記載のプロファイル管理システム。
【請求項9】
前記第二の情報処理装置は、
複数の第一の情報処理装置が電子データを記憶させる複数の第一の情報処理装置によって共有される共有記憶領域を有し、
前記検索手段は、検索要求した個人のプロファイルで、前記共有記憶領域の検索結果を絞り込むことを特徴とする請求項1又は2に記載のプロファイル管理システム。
【請求項10】
前記プログラムは、前記第一の情報処理装置を、更に、
前記第一の情報処理装置において前記電子データに対し行われた操作を監視する操作監視手段と、
前記操作監視手段が前記電子データに対する操作を監視して作成した前記電子データに対する作業内容と作業時間に基づいて、前記個人の業務履歴を作成する業務履歴作成手段、として機能させ、
前記電子データ送信手段は、電子データに関する情報と共に前記業務履歴を前記第二の情報処理装置に送信し、
前記第二の情報処理装置の前記プロファイル作成手段は、前記業務履歴と前記電子データに関する情報に基づいて前記プロファイルを作成する請求項1~9のいずれか1項に記載のプロファイル管理システム。
【請求項11】
前記個人のプロファイルには前記電子データから抽出された1つ以上のキーワードと、前記キーワードの重みと、前記キーワードが抽出された前記電子データに関する情報が対応付けられており、
前記プロファイル作成手段は前記業務履歴に含まれる前記電子データに対する前記作業内容と前記作業時間に基づいて前記重みを決定する請求項10に記載のプロファイル管理システム。
【請求項12】
個人が使用する第一の情報処理装置と、前記第一の情報処理装置に検索サービスを提供する第二の情報処理装置とを有するプロファイル管理システムが行う情報管理方法であって、
前記第一の情報処理装置が、前記個人にしかアクセス権がない記憶部に記憶された電子データに関する情報を第二の情報処理装置に送信するステップと、
前記第二の情報処理装置によって行われる、
プロファイル作成手段が、前記第一の情報処理装置から送信された前記電子データに関する情報に基づいて個人のプロファイルを作成するステップと、
検索手段が、外部からの検索要求に応じて、前記外部からのアクセスが制限された記憶領域に保存された前記個人のプロファイルに基づいて特定した検索結果を前記外部に送信する検索サービスを提供するステップと、を有し、
前記個人のプロファイルには前記電子データから抽出された1つ以上のキーワードと、前記キーワードが抽出された前記電子データに関する情報が対応付けられており、
前記第二の情報処理装置は、
検索結果送信手段が、前記検索手段による検索にヒットした前記個人のプロファイルに対応付けられた前記電子データに関する情報を前記第一の情報処理装置に送信するステップを有し、
前記検索手段は、前記検索手段が検索要求に含まれる検索語で前記個人のプロファイルを検索した際にヒットした前記キーワードの数が多いほど高い適合率を前記電子データに対し算出し、
前記検索結果送信手段は、前記適合率と共に前記電子データに関する情報を前記第一の情報処理装置に送信する情報管理方法。
【請求項13】
個人が使用する第一の情報処理装置と、前記第一の情報処理装置に検索サービスを提供する第二の情報処理装置とを有するプロファイル管理システムが行う情報管理方法であって、
前記第一の情報処理装置が、前記個人にしかアクセス権がない記憶部に記憶された電子データに関する情報を第二の情報処理装置に送信するステップと、
前記第二の情報処理装置によって行われる、
プロファイル作成手段が、前記第一の情報処理装置から送信された前記電子データに関する情報に基づいて個人のプロファイルを作成するステップと、
検索手段が、外部からの検索要求に応じて、前記外部からのアクセスが制限された記憶領域に保存された前記個人のプロファイルに基づいて特定した検索結果を前記外部に送信する検索サービスを提供するステップと、を有し、
前記個人のプロファイルには前記電子データから抽出された1つ以上のキーワードと、前記個人の識別情報が対応付けられており、
前記第二の情報処理装置は、
検索結果送信手段が、前記検索手段による検索にヒットした前記個人のプロファイルに対応付けられた前記個人に関する情報を前記第一の情報処理装置に送信するステップを有し、
前記検索手段は、前記検索手段が検索要求に含まれる検索語で前記個人のプロファイルを検索した際にヒットした前記キーワードの数が多いほど高い適合率を前記個人に対して算出し、
前記検索結果送信手段は、前記適合率と共に前記個人に関する情報を前記第一の情報処理装置に送信する情報管理方法。
【請求項14】
個人が使用する第二の情報処理装置から、前記個人にしかアクセス権がない記憶部に記憶された電子データに関する情報を受信する情報処理装置であって、
前記第二の情報処理装置から送信された前記電子データに関する情報に基づいて個人のプロファイルを作成するプロファイル作成手段と、
外部からの検索要求に応じて、前記外部からのアクセスが制限された記憶領域に保存された前記個人のプロファイルに基づいて特定した検索結果を前記外部に送信する検索サービスを提供する検索手段と、を有し、
前記個人のプロファイルには前記電子データから抽出された1つ以上のキーワードと、前記キーワードが抽出された前記電子データに関する情報が対応付けられており、
前記検索手段による検索にヒットした前記個人のプロファイルに対応付けられた前記電子データに関する情報を前記第二の情報処理装置に送信する検索結果送信手段を有し、
前記検索手段は、前記検索手段が検索要求に含まれる検索語で前記個人のプロファイルを検索した際にヒットした前記キーワードの数が多いほど高い適合率を前記電子データに対し算出し、
前記検索結果送信手段は、前記適合率と共に前記電子データに関する情報を前記第二の情報処理装置に送信する情報処理装置。
【請求項15】
個人が使用する第二の情報処理装置から、前記個人にしかアクセス権がない記憶部に記憶された電子データに関する情報を受信する情報処理装置であって、
前記第二の情報処理装置から送信された前記電子データに関する情報に基づいて個人のプロファイルを作成するプロファイル作成手段と、
外部からの検索要求に応じて、前記外部からのアクセスが制限された記憶領域に保存された前記個人のプロファイルに基づいて特定した検索結果を前記外部に送信する検索サービスを提供する検索手段と、を有し、
前記個人のプロファイルには前記電子データから抽出された1つ以上のキーワードと、前記個人の識別情報が対応付けられており、
前記検索手段による検索にヒットした前記個人のプロファイルに対応付けられた前記個人に関する情報を前記第二の情報処理装置に送信する検索結果送信手段を有し、
前記検索手段は、前記検索手段が検索要求に含まれる検索語で前記個人のプロファイルを検索した際にヒットした前記キーワードの数が多いほど高い適合率を前記個人に対して算出し、
前記検索結果送信手段は、前記適合率と共に前記個人に関する情報を前記第二の情報処理装置に送信する情報処理装置。
【請求項16】
個人が使用する第二の情報処理装置から、前記個人にしかアクセス権がない記憶部に記憶された電子データに関する情報を受信する情報処理装置が行う情報管理方法であって、
プロファイル作成手段が、前記第二の情報処理装置から送信された前記電子データに関する情報に基づいて個人のプロファイルを作成するステップと、
検索手段が、外部からの検索要求に応じて、前記外部からのアクセスが制限された記憶領域に保存された前記個人のプロファイルに基づいて特定した検索結果を前記外部に送信する検索サービスを提供するステップと、を有し、
前記個人のプロファイルには前記電子データから抽出された1つ以上のキーワードと、前記キーワードが抽出された前記電子データに関する情報が対応付けられており、
検索結果送信手段が、前記検索手段による検索にヒットした前記個人のプロファイルに対応付けられた前記電子データに関する情報を前記第二の情報処理装置に送信するステップを有し、
前記検索手段は、前記検索手段が検索要求に含まれる検索語で前記個人のプロファイルを検索した際にヒットした前記キーワードの数が多いほど高い適合率を前記電子データに対し算出し、
前記検索結果送信手段は、前記適合率と共に前記電子データに関する情報を前記第二の情報処理装置に送信する情報管理方法。
【請求項17】
個人が使用する第二の情報処理装置から、前記個人にしかアクセス権がない記憶部に記憶された電子データに関する情報を受信する情報処理装置が行う情報管理方法であって、
プロファイル作成手段が、前記第二の情報処理装置から送信された前記電子データに関する情報に基づいて個人のプロファイルを作成するステップと、
検索手段が、外部からの検索要求に応じて、前記外部からのアクセスが制限された記憶領域に保存された前記個人のプロファイルに基づいて特定した検索結果を前記外部に送信する検索サービスを提供するステップと、を有し、
前記個人のプロファイルには前記電子データから抽出された1つ以上のキーワードと、前記個人の識別情報が対応付けられており、
検索結果送信手段が、前記検索手段による検索にヒットした前記個人のプロファイルに対応付けられた前記個人に関する情報を前記第二の情報処理装置に送信するステップを有し、
前記検索手段は、前記検索手段が検索要求に含まれる検索語で前記個人のプロファイルを検索した際にヒットした前記キーワードの数が多いほど高い適合率を前記個人に対して算出し、
前記検索結果送信手段は、前記適合率と共に前記個人に関する情報を前記第二の情報処理装置に送信する情報管理方法。
【請求項18】
個人が使用する第二の情報処理装置から、前記個人にしかアクセス権がない記憶部に記憶された電子データに関する情報を受信する情報処理装置を、
前記第二の情報処理装置から送信された前記電子データに関する情報に基づいて個人のプロファイルを作成するプロファイル作成手段と、
外部からの検索要求に応じて、前記外部からのアクセスが制限された記憶領域に保存された前記個人のプロファイルに基づいて特定した検索結果を前記外部に送信する検索サービスを提供する検索手段、として機能させ、
前記個人のプロファイルには前記電子データから抽出された1つ以上のキーワードと、前記キーワードが抽出された前記電子データに関する情報が対応付けられており、
更に、前記検索手段による検索にヒットした前記個人のプロファイルに対応付けられた前記電子データに関する情報を前記第二の情報処理装置に送信する検索結果送信手段として機能させ、
前記検索手段は、前記検索手段が検索要求に含まれる検索語で前記個人のプロファイルを検索した際にヒットした前記キーワードの数が多いほど高い適合率を前記電子データに対し算出し、
前記検索結果送信手段は、前記適合率と共に前記電子データに関する情報を前記第二の情報処理装置に送信するプログラム。
【請求項19】
個人が使用する第二の情報処理装置から、前記個人にしかアクセス権がない記憶部に記憶された電子データに関する情報を受信する情報処理装置を、
前記第二の情報処理装置から送信された前記電子データに関する情報に基づいて個人のプロファイルを作成するプロファイル作成手段と、
外部からの検索要求に応じて、前記外部からのアクセスが制限された記憶領域に保存された前記個人のプロファイルに基づいて特定した検索結果を前記外部に送信する検索サービスを提供する検索手段、として機能させ、
前記個人のプロファイルには前記電子データから抽出された1つ以上のキーワードと、前記個人の識別情報が対応付けられており、
更に、前記検索手段による検索にヒットした前記個人のプロファイルに対応付けられた前記個人に関する情報を前記第二の情報処理装置に送信する検索結果送信手段として機能させ、
前記検索手段は、前記検索手段が検索要求に含まれる検索語で前記個人のプロファイルを検索した際にヒットした前記キーワードの数が多いほど高い適合率を前記個人に対して算出し、
前記検索結果送信手段は、前記適合率と共に前記個人に関する情報を前記第二の情報処理装置に送信するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロファイル管理システム、情報管理方法、プログラム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザがネットワーク上の情報を検索する際にユーザプロファイルを利用する技術が知られている。ユーザプロファイルとは、ユーザと関連づけられた情報である。例えば、ユーザの属性、ユーザの嗜好、ユーザが作成したファイル、ユーザが閲覧した情報、等であり、取り扱いを容易にするためこれらから抽出されたキーワードをユーザプロファイルとして扱う場合も少なくない。ユーザプロファイルを利用して検索することで、ユーザに対し有用性が高い情報を提供することが可能になる。従って、検索を行う上でユーザプロファイルは新しい情報に更新されていくことが好ましい。
【0003】
この点についてユーザプロファイルを自動的に更新する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。特許文献1には、ユーザが関わった文書から単語を抽出し、個人の関心事を特定するキーワードとしてユーザプロファイルに記録するシステムが開示されている。また、特許文献2には、個人がやりとりした電子メールからテキストを抽出して個人プロファイルの作成に用いる個人プロファイル管理装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術はユーザプロファイルを作成するためのユーザの情報を、ユーザプロファイルを作成する目的で外部に公開していないため、外部のサービスにおいてユーザプロファイルを作成及び活用できないという問題がある。すなわち、特許文献1の技術により作成されたユーザプロファイルは、このユーザプロファイルと関連付けられたユーザにとって有用と思われる文書の自動選択や電子メールのフィルタリングなどに利用されるに過ぎず、個人のユーザプロファイルを同じ個人のユーザが使用する。特許文献2の技術により作成された個人プロファイル(ユーザプロファイル)は、自分にとって有用な情報を持つ人物と選択的にコミュニケーションを行うために利用されているが、個人のユーザプロファイルを同じ個人のユーザが使用する。更に、単にユーザプロファイルを作成するためのユーザの情報を外部へ提供できるようにしたとしても、秘匿性が高いユーザの情報を外部に提供することをユーザが望まなければ結局は外部のサービスにおいてユーザプロファイルを作成及び活用することは困難になる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、個人のプロファイルの秘匿性を保持した上で個人のプロファイルを外部のサービスで作成及び活用できるプロファイル管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、個人にしかアクセス権がない記憶部に記憶された電子データに関する情報を第二の情報処理装置に送信するプログラムにて電子データ送信手段として機能させる、前記個人が使用する第一の情報処理装置と、前記第一の情報処理装置から送信された前記電子データに関する情報に基づいて個人のプロファイルを作成するプロファイル作成手段と、外部からの検索要求に応じて、前記外部からのアクセスが制限された記憶領域に保存された前記個人のプロファイルに基づいて特定した検索結果を前記外部に送信する検索サービスを提供する検索手段と、を有する第二の情報処理装置と、を有し、
前記個人のプロファイルには前記電子データから抽出された1つ以上のキーワードと、前記キーワードが抽出された前記電子データに関する情報が対応付けられており、
前記第二の情報処理装置は、前記検索手段による検索にヒットした前記個人のプロファイルに対応付けられた前記電子データに関する情報を前記第一の情報処理装置に送信する検索結果送信手段を有し、前記検索手段は、前記検索手段が検索要求に含まれる検索語で前記個人のプロファイルを検索した際にヒットした前記キーワードの数が多いほど高い適合率を前記電子データに対し算出し、前記検索結果送信手段は、前記適合率と共に前記電子データに関する情報を前記第一の情報処理装置に送信するプロファイル管理システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
個人のプロファイルの秘匿性を保持した上で個人のプロファイルを外部のサービスで作成及び活用できるプロファイル管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】プロファイル管理システムの概略を説明する図の一例である。
図2】アクセスの容易性により分類したユーザプロファイルを作成するためのユーザの情報を説明する図の一例である。
図3】プロファイル管理システムの概略構成図の一例である。
図4】情報管理サーバのハードウェア構成図の一例である。
図5】プロファイル管理システムが有するユーザ端末、及び、情報管理サーバの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
図6】プロファイル管理システムが有するユーザ端末、及び、情報管理サーバの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
図7】ファイルのインデックス及びメールのアーカイブの一例を示す図である。
図8】業務履歴の一例を示す図である。
図9】ユーザプロファイルのデータ構成例を示す図である。
図10】ユーザ端末と情報管理サーバがユーザプロファイルを作成するフェーズの動作手順を示すシーケンス図の一例である。
図11】情報管理サーバがユーザプロファイルを作成・更新する手順を示すフローチャート図の一例である。
図12】プライベートデータ検索を模式的に説明する図の一例である。
図13】プロファイル管理システムがプライベートデータ検索する手順を示すシーケンス図の一例を示す図である。
図14】人的資源情報の検索の手順を模式的に説明する図の一例である。
図15】プロファイル管理システムが人的資源情報を検索する手順を示すシーケンス図の一例を示す図である。
図16】コンテンツ検索を説明する図の一例である。
図17】プロファイル管理システムがコンテンツ検索する手順を示すシーケンス図の一例を示す図である。
図18】アクセスの容易性により分類したユーザプロファイルを作成するためのユーザの情報を説明する図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、プロファイル管理システム、プロファイル管理システムが行う情報管理方法、ユーザ端末が行うデータ送信方法について説明する。
【0010】
<本実施形態のプロファイル管理システムの概略>
図1は、本実施形態のプロファイル管理システム100の概略を説明する図の一例である。まず、ユーザ端末10はメールフォルダ103やコンテンツフォルダ104を有し、これらにユーザ個人の情報を保存している。
(1)ユーザ端末10は、業務上のメールの作成や閲覧を行い、また、業務アプリを使用したファイルの作成、編集又は閲覧等を行う。ユーザ端末10では端末アプリ122が動作しており、この端末アプリ122はユーザがどのような業務を行ったかを示す業務履歴8を作成する。業務履歴8は、ユーザがどのような業務を行ったのかを、メールを含むファイルの使用履歴の観点から記録した情報である。例えば、1日の業務内容と使用したファイル名がログ形式で記録されたものである。
(2)ユーザ端末10は、作成した業務履歴8、送受信したメールのアーカイブ、及び、コンテンツフォルダ104のファイルのインデックスをユーザIDと共に情報管理サーバ50に送信する。
(3)情報管理サーバ50では情報管理アプリ105が動作しており、共有キャビネット101と特殊キャビネット102を管理している。共有キャビネット101は不特定のユーザがアクセスできる共有記憶領域であり、特殊キャビネット102は自分のユーザプロファイルが格納されていてもユーザ7がアクセスできないキャビネットである。すなわち、ユーザからのアクセスが制限又は禁止されている。キャビネットとはデータが格納されるデータ領域やデータベースという意味である。情報管理アプリ105は特殊キャビネット102にアクセスでき、各ユーザに専用の特殊キャビネット102に業務履歴8、メールのアーカイブ、及び、コンテンツフォルダ104のファイルのインデックスを保存する。
(4)情報管理アプリ105は業務履歴、メールのアーカイブ、及び、コンテンツフォルダ104のファイルのインデックスに基づいてユーザプロファイル9を作成・更新する。ユーザプロファイル9は情報管理サーバ50の特殊キャビネット102に保存される。
【0011】
情報管理サーバ50の特殊キャビネット102はユーザ端末10(又はユーザ数)と同数(例えば最大100)だけ用意される。ユーザ端末10がそれ以上存在する場合は情報管理サーバ50の数を増やすことで対応可能である。情報管理サーバ同士をネットワークで接続することで、複数の情報管理サーバ間でユーザプロファイル9の活用が可能となる。
【0012】
図1のような構成によれば、ユーザプロファイル9がユーザ端末10から見て外部の情報管理サーバ50に保存されるため、ユーザ端末10のユーザ7以外の他のユーザがユーザ7のユーザプロファイル9を活用できるようになる。例えば、従来のユーザプロファイル9の検索方法では、ユーザ端末10がユーザプロファイル9を保存するため、他のユーザがユーザプロファイル9を検索すること自体が容易でない。また、ユーザプロファイル9が特定されると個人を特定されるおそれもあり、ユーザプロファイル9の公開自体が困難であった。本実施形態では個人名を秘匿してユーザプロファイル9が情報管理サーバ50で保存されるため、個人が特定されにくい態様で情報管理サーバ50を介して各ユーザ7が他のユーザのユーザプロファイル9を検索することができる。また、ユーザプロファイル9にはユーザ7がアクセスできないので、ユーザプロファイル9に個人的な情報が含まれていても漏洩のおそれがない。
【0013】
<用語について>
電子データとは、コンピュータが取り扱うことができるデータである。デジタルデータといってもよい。本実施形態では一例としてメールやファイルと称する。
【0014】
電子データに関する情報とは、電子データの属性及び電子データの内容など電子データに付随する情報の一部又は全部をいう。本実施形態ではメールのアーカイブやファイルのインデックスという用語で説明する。
【0015】
個人のプロファイルとは、広く個人と関連づけられた情報をいう。例えば、ユーザの属性(所属、勤務歴、年齢、性別等)、ユーザの嗜好、ユーザが作成したファイル、ユーザが閲覧した情報、等である。本実施形態ではユーザプロファイルという用語で説明する。本実施形態のユーザプロファイル9の一例としてキーワードとその重みが挙げられる。
【0016】
外部からのアクセスが制限された記憶領域とは、一切のアクセスが禁止されている記憶領域、アクセスに所定の権限が要求される記憶領域、決まったプログラムのみがアクセスできる記憶領域などをいう。本実施形態では特殊キャビネットという用語で説明する。
【0017】
<他人がアクセスできる領域と情報管理アプリがアクセスできる領域の違い>
本実施形態のプロファイル管理システム100の特徴の一つとして、他人がアクセスできる情報の領域と情報管理アプリ105がアクセスできる情報の領域の違いがある。
【0018】
図2は、アクセスの容易性により分類したユーザプロファイルを作成するためのユーザの情報を説明する図の一例である。ユーザプロファイルを作成するためのユーザの情報は、パブリック領域110とプライベート領域111に分けられる。更に、パブリック領域110は「一般公開されている情報の領域」110aと「特定組織内に閉じた情報の領域」110bに分けられている。前者は、インターネットの検索サービス等の一般に公開されているサービスでアクセス可能なユーザの情報である。後者は、特定の組織に所属しているユーザのみがアクセス可能なユーザの情報である。したがって、パブリック領域110は一般公開されている外部のサービス、又は、特定の組織内に閉じた外部のサービスに提供可能なユーザの情報ということができる。
【0019】
これに対しプライベート領域111は、個人の端末で管理される情報の領域111aである。個人の端末で管理される情報は、端末にアクセス権限があるユーザのみアクセス可能なユーザの情報である。プライベート領域111は、秘匿性を保持するために外部のサービスに提供されていなかった。つまり、プライベート領域111に保存された個人の文書、メールボックス内のメール等は社内でも公開されていないので、他のユーザが検索できなかった。
【0020】
本実施形態のプロファイル管理システム100は、社内の知的な情報は企業の財産であると位置づけ、企業として有効利用できるようにすべきとの目的を達成するために、プライベート領域111をセミパブリック領域112として扱う。すなわち、秘匿性を保持することでユーザプロファイルを作成するために外部のサービスに提供可能なユーザの情報として扱われる。
【0021】
これにより、以下の2つのことが可能になる。
(1)情報管理サーバ50がセミパブリック領域112の情報を解析することで、そのセミパブリック領域112の所有者であるユーザのユーザプロファイル9の精度を向上させること。
(2)ある知的な情報が社内に存在した場合、セミパブリック領域112の文書やメールであっても、情報管理サーバ50を通じて任意のユーザが検索可能にすること。
【0022】
<システム構成例>
図3は、本実施形態のプロファイル管理システム100の概略構成図の一例である。プロファイル管理システム100は、ネットワークNを介して通信することが可能な一台以上のユーザ端末10、及び、情報管理サーバ50を有する。
【0023】
ネットワークNはユーザ端末10が存在する施設などに構築されているLAN、広域イーサネット(登録商標)、LAN同士が接続されたWAN、VPN(Virtual Private Network)、通信事業者の電話網、及び、インターネット等の一部又は全体より構築されている。社外のユーザ端末10がネットワークNを介して情報管理サーバ50と通信することも可能である。
【0024】
ユーザ端末10-1~ユーザ端末10-n(以下、任意のユーザ端末10の符号を10とする)はユーザが操作する情報処理装置である。ユーザ端末10は、ユーザによって使用され、ネットワークを介して他の機器と通信を行う機器である。ユーザはこのユーザに関連してユーザプロファイル9が作成される者であり、更に、他人のユーザプロファイル9を検索等に活用する者にもなる。すなわち、ユーザは互いに他人のユーザプロファイル9を活用しあうことができる。ユーザは一例としては、企業に勤務する社員が想定されるが、ユーザが具体的にどのように呼ばれるかは組織等により異なってよい。
【0025】
ユーザ端末10はユーザに専用の端末の場合と不特定多数の者が使用できる端末の場合がある。本実施形態のユーザ端末10は主に前者であり、ユーザがユーザ端末10にサインインすると、ユーザはユーザ端末10の全てのリソースを使用できる。後者のユーザ端末10の場合は、ユーザが例えばWebサイトにサインインすることで、ユーザの個人的なファイルを操作したりWebメールを使用したりする。ファイルはクラウド上のストレージに保存され、Webメールで送受信したメールはWebサイト側で保存される。
【0026】
ユーザ端末10で動作する端末アプリ122は、メールソフト、ワープロソフト、PDF閲覧ソフト、及び、ブラウザソフトウェア等、ユーザが業務に使用する業務アプリ(ソフトウェア)を監視して、メールのアーカイブ、又は各種のソフトウェアが使用したファイルやデータのインデックスを情報管理サーバ50に送信する。
【0027】
ユーザ端末10は端末アプリ122と業務アプリが動作する情報管理装置であればよい。ユーザ端末10は、例えばPC(Personal Computer)、タブレット装置、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機、ナビゲーション端末、ウェアラブルPCなどであるが、端末アプリ122を実行して情報管理サーバ50と通信することができればよい。なお、ユーザ端末10でブラウザソフトウェアが動作してもよい。この場合、ブラウザソフトウェアがプロファイル管理システム100からWebページを取得することで、端末アプリ122と実質的に同様の機能を提供する。
【0028】
ユーザ端末10がブラウザソフトウェアを実行して情報管理サーバ50と通信する場合、ユーザはユーザ端末10が表示するWebページを操作する。本実施形態ではWebページと称した場合、Webアプリにより適宜構築されるWebページが含まれるものとする。Webアプリとは、Webブラウザ上で動作するスクリプト言語(たとえばJavaScript(登録商標))によるプログラムとWebサーバ側のプログラムが協調することによって動作し、Webブラウザ上で使用されるソフトウェア又はその仕組みを言う。
【0029】
なお、本実施形態のユーザ端末10とは、例えば企業で用意された又は企業で専用に使用することが想定された端末である。企業とは関係のない本当にプライベートな情報は個人で購入した端末に蓄積される。
【0030】
情報管理サーバ50はユーザ端末10に対しネットワークNを通じて情報の検索サービスを提供する情報処理装置である(サーバ装置)。情報管理サーバ50は、ユーザ端末10で動作する端末アプリ122に対し、端末アプリ122が表示する表示部品に対応させた情報を送信する。また、ユーザ端末10で動作するブラウザソフトウェアに対し、HTML、スクリプト言語及びCSS(Cascade Style Sheet)で記述されたWebページをユーザ端末10に提供する。
【0031】
情報管理サーバ50では情報管理アプリ105が動作している。情報管理アプリ105は、ユーザ端末10から任意のタイミングで送信される業務履歴8、メールのアーカイブ及びファイルのインデックスをユーザごとの特殊キャビネット102に保存する。そして、これらからユーザプロファイル9を作成・更新する。
【0032】
情報管理サーバ50はクラウドクラウドコンピューティングに対応していてよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。クラウドコンピューティングに対応している場合、本実施例の情報管理サーバ50の物理的な構成は固定的でなくてもよく、負荷等に応じてハード的なリソースが動的に接続・切断されることで構成されてよい。
【0033】
<ハードウェア構成例>
図4は、情報管理サーバ50のハードウェア構成図の一例である。情報管理サーバ50は一般的な情報処理装置又はサーバ装置の構成を有する。情報管理サーバ50は、CPU201と、CPU201が使用するデータの高速アクセスを可能とするメモリ202とを備える。CPU201及びメモリ202は、システム・バス203を介して、ユーザ端末10の他のデバイス又はドライバ、例えば、グラフィックス・ドライバ204及びネットワーク・デバイス(NIC)205へと接続されている。
【0034】
グラフィックス・ドライバ204は、バスを介してLCD(表示装置)206に接続されて、CPU201による処理結果をモニタする。LCD206にはタッチパネルが一体に配置されていてもよい。
【0035】
また、ネットワーク・ドライバ205は、トランスポート層レベル及び物理層レベルでユーザ端末10をネットワークNへと接続して、ユーザ端末10とのセッションを確立させている。
【0036】
システム・バス203には、更にI/Oバス・ブリッジ207が接続されている。I/Oバス・ブリッジ207の下流側には、PCIなどのI/Oバス208を介して、IDE、ATA、ATAPI、シリアルATA、SCSI、USB(Universal Serial Bus)などにより、HDD209などの記憶装置が接続されている。HDD209の代わりに又はHDD209と共にSSD(Solid State Drive)を有していてもよい。
【0037】
HDD209は情報管理サーバ50の全体を制御するプログラム209pを記憶している。プログラム209pは、OSの他、本実施形態で説明する情報管理サーバ50の機能を実現するソフトウェアを有する。
【0038】
また、I/Oバス208にはUSBなどのバスを介して、キーボード及びマウス(ポインティング・デバイスと呼ばれる)などの入力装置210が接続され、情報管理サーバ50の管理者などのオペレータによる入力及び指令を受け付けている。
【0039】
なお、LCD206及び入力装置210は、オペレータが情報管理サーバ50を使用する時以外は取り外されていてよい。
【0040】
ユーザ端末10のハードウェア構成は図4と同等であるか、又は、相違があるとしても本実施形態の説明の上で支障がないものとする。
【0041】
しかしながら、図4のハードウェア構成例がユーザ端末10の場合、HDD209にはユーザ端末10の全体を制御するプログラム209pを記憶している。プログラム209pは、OS、端末アプリ122、ブラウザソフトウェア、及び、情報管理サーバ50が送信したWebページを含んでいる。
【0042】
<機能について>
図5は、プロファイル管理システム100が有するユーザ端末10、及び、情報管理サーバ50の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。なお、図5の機能ブロック図は、情報管理サーバ50がユーザプロファイル9を作成するフェーズの機能ブロック図である。図5では、ユーザ端末10を一台のみ示すが、各ユーザ端末10が同様の機能を有している。
【0043】
<<ユーザ端末>>
ユーザ端末10は、表示制御部11、操作受付部12、セミパブリック情報送信部13、業務履歴分析部14、操作監視部15、及び、ログイン要求部16を有する。ユーザ端末10が有するこれらの各機能は、図4に示したHDD209からメモリ202に展開されたプログラム209pをCPU201が実行することにより実現される機能又は手段である。
【0044】
ユーザ端末10では業務アプリ121と端末アプリ122が動作する。端末アプリ122はこれまで説明したとおり、情報管理サーバ50がユーザプロファイル9を作成・更新するため情報管理サーバ50と通信するアプリである。業務アプリ121は、ユーザが業務を遂行するためのソフトウェアであり、例えば、メールソフト、ワープロソフト、PDF閲覧ソフト、及び、ブラウザソフトウェア等である。この他、業務に使用され得る業務に専用のソフトウェア(設計ソフト、会計ソフト、描画ソフト、プログラム開発ソフト等)も業務アプリ121である。
【0045】
また、ユーザ端末10は記憶部20を有している。記憶部20は、図4に示したHDD209及びメモリ202の少なくとも一方により実現される記憶手段である。記憶部20には、上記のメールフォルダ103、及び、コンテンツフォルダ104が構築されている。記憶部20はこのユーザ端末10の所有者であるユーザにしかアクセス権がない。なお、記憶部20はユーザ端末10のみがアクセス可能なネットワーク上のリソースに構築されてもよく、ユーザ端末10が保有していなくてもよい。
【0046】
【表1】
表1は、メールフォルダ103を模式的に示す。メールフォルダ103とはメールソフトにより管理されるフォルダであり、少なくともユーザ端末10が送信した送信メール及びユーザ端末10が受信した受信メールを保存している。ユーザがWebメールを利用する場合、メールフォルダ103はユーザ端末10にはなくネットワーク上にあればよい。
【0047】
また、本実施形態のメールフォルダ103は、プライベートフォルダ(送信)とプライベートフォルダ(受信)を有している。プライベートフォルダ(送信)とプライベートフォルダ(受信)は、業務に関するメール以外の、ユーザがプライベートで送受信するメールである。本実施形態の端末アプリ122は、プライベートフォルダ(送信)とプライベートフォルダ(受信)を含め、メールフォルダ103にあるメールを情報管理サーバ50に送信し、ユーザプロファイル9を作成・更新させる。プライベートフォルダ(送信)とプライベートフォルダ(受信)にはユーザが個人的に興味のある情報が含まれるので、本実施形態では、従来はユーザ内部で閉じていたプライベートな行動が反映されたユーザプロファイル9の作成が可能である。
【0048】
【表2】
表2はコンテンツフォルダ104が有するコンテンツを模式的に示す。コンテンツフォルダ104は、メールソフト以外の業務アプリ121が使用するコンテンツ(主にファイル)を保存するためのフォルダである。従って、例えば、ワープロソフトが使用する文書ファイル、PDF閲覧ソフトが使用するPDFファイル、ブラウザソフトウェアが使用するHTMLファイル等が保存されている。なお、表2では業務アプリの種類ごとにファイルが保存されているが、異なる業務アプリ121のファイルが同じフォルダに保存されていてもよい。
【0049】
続いて、図5に戻って、業務アプリ121について説明する。業務アプリ121は表示制御部11と操作受付部12を有している。なお、業務アプリ121が有するその他の機能については省略されている。
【0050】
表示制御部11は各業務アプリ121が生成する画面をLCD206に表示する。表示制御部11は、メールフォルダ103のメール、及び、コンテンツフォルダ104のコンテンツを画面に表示する。また、表示制御部11は、表示した画面に対する操作に応じて画面を更新する。
【0051】
操作受付部12は、ユーザ端末10に対するユーザの操作を受け付ける。操作受付部12は操作内容を端末アプリ122(操作監視部15、又は、ログイン要求部16)に通知する。ログイン要求部16に通知される操作内容は主にパスワードとユーザ名である。操作監視部15に通知される操作内容は、業務アプリ121が使用した(例えば、表示制御部11がLCD206に表示した)メールのアーカイブ、及び、コンテンツであるファイルのインデックスである。以下、これらを便宜上、図2に従って「セミパブリック情報」という。セミパブリック情報には後述のようにメール本文とファイルの内容が含まれており、ユーザ個人のメールとファイルそのものを示す場合がある。
【0052】
次に、端末アプリ122について説明する。端末アプリ122は、セミパブリック情報送信部13、業務履歴分析部14、操作監視部15、及び、ログイン要求部16を有する。まず、ログイン要求部16は、ユーザが指示した又は予め端末アプリ122に設定されている情報管理サーバ50のURL(Universal Resource Locater)に接続し認証情報を送信することで情報管理サーバ50へのログインを要求する。認証情報として、操作受付部12が受け付けたユーザのユーザ名とパスワードを情報管理サーバ50に送信する。ユーザ名とパスワードの組み合わせが正しい場合、ユーザは情報管理サーバ50にログインし、情報管理サーバ50がユーザを特定してユーザプロファイル9を作成できるようになる。
【0053】
操作監視部15はユーザが業務アプリ121に行う操作を監視して、業務アプリ121で使用されたメールやファイル、メールやファイルにどのような操作が行われたか(作業内容)、及び、どの位の時間が作業されたか(作業時間)を特定する。これらをセミパブリック情報に含める。セミパブリック情報の一例を図7に示す。
【0054】
業務履歴分析部14は、セミパブリック情報を解析して業務履歴8を作成する。業務履歴8の作成方法については図8にて説明する。
【0055】
業務履歴分析部14は業務履歴8とセミパブリック情報をセミパブリック情報送信部13に送出する。セミパブリック情報送信部13は、業務履歴8とセミパブリック情報を情報管理サーバ50に送信する。ログインによりユーザが特定されているためユーザを特定する情報(例えば、ユーザIDやトークン)も送信される。
【0056】
<<情報管理サーバ>>
情報管理サーバ50は、セミパブリック情報受信部51、プロファイル作成部53、認証処理部54、及び、情報保存部55を有する。情報管理サーバ50が有するこれらの各機能は、図4に示したHDD209からメモリ202に展開されたプログラム209pをCPU201が実行することにより実現される機能又は手段である。
【0057】
また、情報管理サーバ50は記憶部60を有している。記憶部60は、図4に示したHDD209及びメモリ202の少なくとも一方により実現される記憶手段である。記憶部60には、特殊キャビネット102、共有キャビネット101、及び、ユーザ情報DB106(Date Base)が構築されている。まず、特殊キャビネット102とユーザ情報DB106について説明する。なお、記憶部60は情報管理サーバ50がアクセス可能なネットワーク上のリソースに構築されてもよく、情報管理サーバ50が保有していなくてもよい。
【0058】
【表3】
表3は、特殊キャビネット102に記憶された情報を模式的に示す。特殊キャビネット102には特殊キャビネット名、ユーザID、セミパブリック情報、業務履歴、及び、ユーザプロファイル等の各項目が登録されている。特殊キャビネット102はユーザごとに用意されるため、特殊キャビネット名とユーザIDは1対1に対応付けられている。ただし、1つの特殊キャビネット102の領域が区分されるなどして複数のユーザのユーザプロファイル9が同じ特殊キャビネット102に保存されてもよい。
【0059】
セミパブリック情報は上記のように、メールのアーカイブ及びファイルのインデックスを含む。セミパブリック情報はユーザプロファイル9の作成・更新に使用されると、削除される一時ファイルである。しかしながら、十分な容量がある場合にはユーザプロファイル9の作成に使用された後もセミパブリック情報が保持されていてもよい。
【0060】
業務履歴は、各ユーザがどのような業務を行ったのかが記載されているテキストファイルであるが、ファイル形式はXML等どのようなものでもよい。ユーザプロファイル9が作成されると業務履歴8は削除される。
【0061】
ユーザプロファイル9は、ユーザ個人のセミパブリック情報により更新されるため、常に、最新の状態を維持する。
【0062】
なお、共有キャビネット101は各ユーザがファイルを保存する公知の構成でよいため、説明は省略した。
【0063】
【表4】
表4はユーザ情報DB106に登録されている情報を模式的に示す。ユーザ情報DB106は情報管理サーバ50を利用しうるユーザに関する情報が登録されたデータベースである。ユーザ情報DB106にはユーザID、ユーザ名、パスワード、メールアドレス、及び、提示の許可が登録されている。ユーザIDはユーザを識別又は特定するユーザの識別情報である。IDはIdentificationの略であり識別子や識別情報という意味である。IDは複数の対象から、ある特定の対象を一意的に区別するために用いられる名称、符号、文字列、数値又はこれらのうち1つ以上の組み合わせをいう。
【0064】
ユーザ名はユーザの名称である。一意性が保証されている場合はユーザIDの代わりに利用できる。パスワードは各ユーザ別に登録されている秘匿性のある情報である。社員証などのICカードに関する情報が登録されていてもよい。
【0065】
メールアドレスは、情報管理サーバ50がユーザに情報を通知するために使用される。提示の許可には、後述するようにユーザプロファイル9が検索されたユーザが自信の氏名の提示を許可しているか否かが設定されている。
【0066】
なお、表4のユーザ情報DB106は一例に過ぎず、表4に示す他、所属、電話番号、氏名等が登録されていてもよい。
【0067】
図5に戻って説明する。認証処理部54はユーザ端末10から送信された、ユーザID及びパスワードがユーザ情報DB106に登録されているか否かに応じて、ユーザの認証が成立するか否かを判断する。なお、認証を情報管理サーバ50が行うのではなく、予め定められた認証サーバによる認証結果を情報管理サーバ50が使用してもよい。
【0068】
セミパブリック情報受信部51はユーザ端末10が送信した業務履歴8、セミパブリック情報、及びユーザIDをユーザ端末10から受信する。業務履歴8とセミパブリック情報は情報保存部55に送出される。情報保存部55はユーザIDにより特定される特殊キャビネット102に業務履歴8とセミパブリック情報を保存する。
【0069】
プロファイル作成部53は、業務履歴8とセミパブリック情報を使用してユーザプロファイル9を作成・更新する。ユーザプロファイル9の一例を図9に示し、作成手順を図11に示す。
【0070】
<ユーザプロファイル活用時の機能>
図6は、プロファイル管理システム100が有するユーザ端末10、及び、情報管理サーバ50の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。なお、図6の機能ブロック図はユーザプロファイル9が活用されるフェーズ(主に検索)の機能ブロック図である。図6の説明では主に図5との相違を説明する。
【0071】
<<ユーザ端末>>
図6では説明のため、ユーザ端末10-1と10-2を示した。ユーザ端末10-1は検索要求するユーザ端末であり、ユーザ端末10-2はファイル(又は氏名)の提供を要求されたユーザ端末である。
【0072】
図6のユーザ端末10-1は、表示制御部11、操作受付部12、検索要求部17、検索結果受信部22、閲覧要求部18、メッセージ取得部19を有する。ユーザ端末10-1が有するこれらの各機能は、図4に示したHDD209からメモリ202に展開されたプログラム209pをCPU201が実行することにより実現される機能又は手段である。
【0073】
まず、ユーザ端末10-1について説明する。表示制御部11と操作受付部12の機能は図5と同様であるが、操作受付部12はユーザから検索条件の入力を受け付ける。検索条件には少なくとも1つ以上の検索語が含まれる。検索条件は検索要求部17に送出される。
【0074】
検索要求部17は検索条件を情報管理サーバ50に送信する。検索結果受信部22は検索結果を情報管理サーバ50から受信する。後述するように、検索結果にはユーザプロファイル9が反映される。
【0075】
閲覧要求部18は、検索結果に含まれる検索語に対するファイルの適合率に基づいてユーザが選択した資料(セミパブリック情報)の閲覧要求を情報管理サーバ50に送信する。なお、閲覧要求部18はユーザの氏名の提示を要求する場合がある。メッセージ取得部19は、閲覧要求に対する許可又は拒否のメッセージを情報管理サーバ50から取得する。
【0076】
次に、ユーザ端末10-2について説明する。ユーザ端末10-2はリクエスト取得部21、操作受付部12、及び、表示制御部11を有する。操作受付部12及び表示制御部11の機能は上記と同様でよい。リクエスト取得部21は情報管理サーバ50からファイルの閲覧又は氏名の提示のリクエストを取得して、ユーザの操作に応じた回答を情報管理サーバ50に送信する。
【0077】
<<情報管理サーバ>>
図6の情報管理サーバ50は、検索結果送信部57、検索部58、検索要求受信部59、閲覧要求取得部61、及び、リクエスト部62を有する。情報管理サーバ50が有するこれらの各機能は、図4に示したHDD209からメモリ202に展開されたプログラム209pをCPU201が実行することにより実現される機能又は手段である。
【0078】
検索要求受信部59はユーザ端末10から少なくとも1つ以上の検索語(単語)を含む検索要求を受信する。検索部58は、検索語で特殊キャビネット102、及び、共有キャビネット101の少なくとも一方を検索する。検索方法にはプライベートデータ検索、人的資源情報の検索、及び、コンテンツ検索がある。これらの詳細は後述される。検索結果送信部57は検索結果をユーザ端末10に送信する。
【0079】
閲覧要求取得部61は、ユーザ端末10からファイルの閲覧要求又は氏名の提示要求を取得し、これらのリクエストをリクエスト部62に送出する。リクエスト部62は、閲覧要求されたファイルの保有者のユーザID又は提示要求された氏名のユーザIDを特定しこのユーザにファイルの閲覧要求又は氏名の提示要求(図6ではリクエスト)を送信する。例えば、ファイルを保有するユーザ又は氏名の提示が要求されたユーザにその旨を電子メールなどで通知する。
【0080】
<ファイルのインデックス、メールのアーカイブ>
図7(a)は、ファイルのインデックスの一例を示す図である。ファイルのインデックスとは、ファイル名、作成日時、更新日時、作成者、ファイルの種類、などファイルの属性である。本実施形態では、更に、ユーザプロファイル9に含まれるキーワードを抽出するためファイルの内容そのものがテキストデータなどの形式で含まれることが好ましい。ファイルのインデックスの容量を低減するため、ユーザのファイルからテキストのみを抽出したものでもよい。これによりファイルを特定できる。
【0081】
更に、ファイルのインデックスにはファイルのパスが含まれる。ファイルのパスとは、コンピュータにおけるファイルの存在場所及び特定する情報である。URLによりファイルのパスが設定されていてもよい。
【0082】
また、ファイルのインデックスには当該ファイルをユーザが使った作業時間、及び、作業内容が含まれるとなおよい。これにより、ファイルを使ってどの位の時間、どのような作業(編集、閲覧等)が行われたが分かり、ユーザ端末10が業務履歴8の作成に利用できる。業務履歴8の作成後のファイルのインデックスには作業内容と作業時間が含まれなくてもよい。
【0083】
なお、操作監視部15はユーザ端末10で動作する業務アプリ121をOSなどから取得するため、アクティブな業務アプリ121やファイル名を取得できる。また、キーボードからの入力の有無、ファイルの上書きなどを検出することで、どのような作業が行われたかを判断できる。また、操作監視部15はユーザの予定表を参照してもよい。例えば、予定表に会議と設定されている時間帯に使用されたファイルは会議という作業に使用されたと判断できる。
【0084】
図7(a)のファイルのインデックスは、情報管理サーバ50に送信され得る情報の一例に過ぎず、図7(a)のファイルのインデックスの一部又はこれ以外のファイルに関する情報が情報管理サーバ50に送信されてもよい。
【0085】
図7(b)はメールのアーカイブの一例を示す。メールのアーカイブとは保存形式のメールをいい、例えば圧縮されている場合がある。ユーザが一度、読んだメールが削除されずに後で読むことができるように保存されたものである。従って、内容はメールそのものとほぼ同じである。メールのアーカイブは例えば、送信者、受信者、送信日時、タイトル、メール本文、添付ファイル等であるがこの他の項目を有していてもよい。
【0086】
メールのアーカイブでもファイルのインデックスと同様に、作業時間、及び作業内容が含まれることが好ましい。メールの場合の作業内容は、メールの作成、送信、受信、又は、閲覧などである。
【0087】
<業務履歴>
業務履歴分析部14は、図7に示したセミパブリック情報を用いて業務履歴8を作成する。セミパブリック情報には上記のようにファイル名、作業時間、及び、作業内容が含まれているため、ユーザがどのような作業を行ったのかを分析できる。
【0088】
図8は、業務履歴8の一例を示す。ユーザ端末10ではメールや各種のファイルが使用される。例えば、作成されたメール、ユーザが閲覧したインターネット上の情報、作業に使用された文書、会議で使用されたプレゼン資料等が使用される。業務履歴8にはこれらのファイルと共に、これらファイルが使用された時間帯がログとして記録される。すなわち、ユーザがどのような作業を行ったかが、ファイルを中心にして時系列に記録される。業務履歴8は、例えば1日ごとに時系列に記録されている。
【0089】
業務履歴8はユーザがいわば興味を持った情報に関する情報であり、プロファイル作成部53が業務履歴8からユーザプロファイル9を作成することで、従来はユーザ内部で閉じていたプライベートな行動が反映されたユーザプロファイル9の作成が可能である。
【0090】
なお、ユーザプロファイル9の作成に業務履歴8は必ずしもなくてもよい。この場合は、単にセミパブリック情報に含まれる自立語などからユーザプロファイル9を作成すればよい。
【0091】
<ユーザプロファイルの作成>
プロファイル作成部53は業務履歴8を参考にしてユーザプロファイル9を作成・更新する。具体的には、業務履歴8によりセミパブリック情報に含まれるファイルとメールの選別と、ファイルとメールの重み付けを行う。まず、業務履歴8に基づいて以下の処理を行う。
(i) 作業時間が閾値未満のセミパブリック情報を対象外にする。
(ii) 作業内容に応じてセミパブリック情報の寄与度を決定する。
(iii) 作業時間に応じてセミパブリック情報の寄与度を決定する。
【0092】
(i)について補足する。ユーザが短時間に開いて閉じたファイルやメールはユーザの興味がない情報又は誤って開いたファイルやメールの可能性があるため、このようなセミパブリック情報はユーザプロファイル9の作成・更新に含めるべきではない。従って、作業時間が閾値未満のセミパブリック情報をユーザプロファイル9の作成の対象外にすることで、ユーザプロファイル9にノイズが入ることを抑制できる。
【0093】
(ii)の作業内容とは、例えば、新規作成、編集、閲覧、印刷、又は、会議などである。作業内容によって、セミパブリック情報に対するユーザの興味度、知悉度、又は、関連度等が異なると考えらえる。そこで、ユーザの興味度、知悉度、又は、関連度等が高い作業内容に大きな寄与度を付与することで、ユーザプロファイル9にユーザの興味度、知悉度、又は、関連度等を反映させやすくなる。例えば、新規作成>編集>印刷>閲覧の順に寄与度が高い。会議についてはユーザが参加する前に会議資料としてファイルを新規作成等していると考えられ、例えば、印刷又は閲覧と同程度の寄与度が設定される。
【0094】
また、(iii)の作業時間が長いほど、セミパブリック情報に対するユーザの興味度、知悉度、又は、関連度等が高いと考えられる。そこで、作業時間が長いセミパブリック情報に大きな寄与度を付与することで、ユーザプロファイル9にユーザの興味度、知悉度、又は、関連度等を反映させやすくなる。
【0095】
次に、プロファイル作成部53は以下のような手順でセミパブリック情報からユーザプロファイル9を作成する。
A.キーワードを検出するため、プロファイル作成部53はセミパブリック情報に含まれるファイルの内容又はメール本文に対し形態素解析を行う。形態素解析はAPI(Application Interface)が公開されているサーバが行ってもよい。画像データに対してはOCR(Optical Character Reader)を行ってから形態素解析を行う。形態素解析によりセミパブリック情報は品詞に分解される。
B.それだけで意味がある自立語、又は、名詞のみを抽出する。本実施形態では説明を容易にするため名詞を抽出するものとして説明する。
C.例えばTF(Term Frequency)-IDF(Inverse Document Frequency)を使用して、各名詞の重要度を算出する。
【0096】
このようにして抽出された名詞がユーザプロファイル9に登録されるキーワードの候補になる。例えば、この重要度のうち上位10個程度を特定する。従って、ファイル又はメールごとに10個のキーワードが抽出される。そしてこの重要度に、上記(ii)(iii)の寄与度を乗じることで、各キーワードの重みを決定できる。
【0097】
図9は、ユーザプロファイル9のデータ構成例を示す。ユーザプロファイル9にはユーザID、キーワード、重み、及び、抽出元の各項目を有する。
【0098】
ユーザIDはユーザプロファイルを特定するための情報となる。例えば、ユーザ名でもよいし、勤め先での社員番号でもよいし、メールアドレスでもよい。キーワードは、上記のようにユーザが閲覧したり編集したり印刷したりしたファイル又はメールから抽出される単語(名詞)である。また、重みはユーザプロファイルにおけるキーワードがどれだけユーザとの関連が大きいかを示し、重みが大きいほど、対応するキーワードがユーザのことをよく表していると言える。
【0099】
抽出元は、キーワードが抽出されたセミパブリック情報の識別情報である。従って、抽出元はたとえばファイル名、メールの宛先と送信時刻(メールの送信元と受信時刻)、Webページ(htmlファイル名)などである。図9ではファイル名が特定されているが、ファイルに付与された一意の識別情報等、ファイルを特定できる情報であればよい。キーワードと抽出元が対応付けられていることで、後述するプライベートデータ検索でユーザプロファイル9が検索された際にどのファイルを提供すればよいかが分かるようになる。
【0100】
<ユーザプロファイルの作成フェーズの動作手順>
図10は、ユーザ端末10と情報管理サーバ50がユーザプロファイル9を作成するフェーズの動作手順を示すシーケンス図の一例である。図10の処理は、ユーザが日常業務を行うと端末アプリ122が開始する。
【0101】
S1:ユーザは日々の業務の中で業務アプリ121を使用して作業を行う。ユーザ端末10の操作受付部12は業務アプリ121に対する操作を受け付ける。
【0102】
S2:ユーザ端末10の操作監視部15はユーザの操作を監視してメールのアーカイブやファイルのインデックスなどのセミパブリック情報を取得する。
【0103】
S3:ユーザ端末10の業務履歴分析部14はセミパブリック情報を分析して業務履歴8を作成する。業務履歴8を作成するタイミングは1日に1回などの定期的なタイミングでもよいし、セミパブリック情報が生成された直後でもよい。
【0104】
S4:ユーザ端末10のセミパブリック情報送信部13は業務履歴8、セミパブリック情報及びユーザIDを情報管理サーバ50に送信する。
【0105】
S5:情報管理サーバ50のセミパブリック情報受信部51は業務履歴8、セミパブリック情報及びユーザIDを受信して、情報保存部55に送出する。情報保存部55はユーザIDで特定される特殊キャビネット102に業務履歴8及びセミパブリック情報を保存する。
【0106】
S6:次に、情報管理サーバ50のプロファイル作成部53は業務履歴8とセミパブリック情報を用いて、ユーザプロファイル9を作成・更新する。ステップS6のユーザプロファイル9の作成・更新について図11のフローチャート図を用いて説明する。
【0107】
図11は、情報管理サーバ50がユーザプロファイル9を作成・更新する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0108】
まず、プロファイル作成部53は、作業時間が閾値未満のセミパブリック情報をユーザプロファイル9の作成元の対象外に決定する(S101)。
【0109】
次に、プロファイル作成部53は、作業内容に応じてセミパブリック情報の寄与度を決定する(S102)。
【0110】
次に、プロファイル作成部53は、作業時間に応じてセミパブリック情報の寄与度を決定する(S103)。
【0111】
次に、プロファイル作成部53はセミパブリック情報のファイルの内容又はメール本文に形態素解析を施して品詞に分解する(S104)。そして、例えば名詞を抽出する(S105)。
【0112】
次に、各名詞の重要度をTF-IDF等により決定する(S106)。そして、重要度の大きい順に上位10個程度の名詞を決定する(S107)。
【0113】
そして、これら10個の名詞の重要度に作業内容と作業時間に応じた寄与度を乗算して重みを算出する(S108)。このままでは重要度の範囲が定まらないので、取り得る最大値を想定して0~100等の値に正規化するとよい。
【0114】
次に、プロファイル作成部53は、全てのセミパブリック情報を処理したか否かを判断する(S109)。セミパブリック情報が残っている場合(S109のNo)、処理はステップS104に進む。
【0115】
全てのセミパブリック情報の処理が終了した場合(S109のYes)、プロファイル作成部53は作成済みのユーザプロファイル9と、各セミパブリック情報から抽出されたキーワードを比較する(S110)。
【0116】
プロファイル作成部53は、作成済みのユーザプロファイル9に、セミパブリック情報から抽出されたキーワードが含まれているか否かを判断する(S111)。
【0117】
同じキーワードがある場合(S111のYes)、プロファイル作成部53は2つの重みの平均でユーザプロファイル9の重みを更新する(S112)。これにより、キーワードに対するユーザの興味度、知悉度、又は、関連度等が高くなると徐々に高い値で重みを更新でき、ユーザの興味度、知悉度、又は、関連度等が低くなると徐々に低い値で重みを更新できる。
【0118】
同じキーワードがない場合(S111のNo)、プロファイル作成部53は新しいキーワードと重みをユーザプロファイル9に登録する(S113)。こうすることで、ユーザのプロファイルを表す新しいキーワードを登録できる。
【0119】
このように、業務履歴に記録された作業内容と作業時間に基づいてユーザプロファイル9に含まれるキーワードの重みを決定できる。なお、キーワードの重みは作業内容と作業時間に基づいて決定されればよく、図11の方法には限られない。
【0120】
<ユーザプロファイルの活用例1>
・プライベートデータ検索
ユーザプロファイル9の活用例としてプライベートデータ検索について説明する。プライベートデータ検索では、情報管理サーバ50が、ネットワーク上のすべての共有キャビネット101の情報に加えてユーザ個人の特殊キャビネット102に保存されたユーザプロファイル9を検索する。
【0121】
図12は、プライベートデータ検索を模式的に説明する図の一例である。
(1)ユーザAは1つ以上の検索語をユーザ端末10-1に入力して検索要求を情報管理サーバ50に送信する。
(2)情報管理サーバ50の検索部58は検索語で共有キャビネット101、及び、全ての特殊キャビネット102を検索する。
(3)情報管理サーバ50は検索結果をユーザ端末10-1に送信する。検索結果は以下のように表示される。
「公開情報:2件、
***.doc(Aさん) 適合率 50%
***.doc(Bさん) 適合率 60%
非公開情報:3件
ファイル1:適合率 30%
ファイル2:適合率 80%
ファイル3:適合率 60% 」
公開情報は主に共有キャビネット101から検索された情報である。公開情報は共有キャビネット101で検索された公開されているファイルであり、誰が持っているどんな資料なのか(ユーザ名とファイル名)わかる。非公開情報は特殊キャビネット102で検索されたセミパブリック情報であり、誰が持っているどんな資料なのか(ユーザ名とファイル名)はわからない。このため、非公開情報では、重複しないファイル番号と適合率が示される。こうすることで、プライバシーを保持できる。
【0122】
適合率は、検索を実行したユーザAが設定した検索語のうちヒット(適合した、ひっかかった又は見つかった)した検索語の割合で計算することができる。
【0123】
例えば、5つの検索語のうち5つともユーザプロファイル9に含まれているが、そのうち4つが同じファイルA(抽出元)から抽出されており、残りの1つが別のファイルB(抽出元)から抽出されているものとする。ファイルAの適合率は80%であり、ファイルBの適合率は20%である。また、セミパブリック情報が含む検索語の数で表してもよい。
【0124】
しかし、これだけでは重みが考慮されないため、キーワードに対応付けられた重みを適合率に加味することが好適である。例えば、ファイルAから抽出された4つのキーワードの重みを合計して適合率とする。あるいは、4つのキーワードの重みを乗算する。
(4)検索を実行したユーザAは適合率に基づいてセミパブリック情報の閲覧を要求するか否かを判断できる。セミパブリック情報の閲覧を要求する場合、ユーザAはファイル番号などでファイルを指定して閲覧要求を情報管理サーバ50に送信する。適合率は、検索語とセミパブリック情報とがどのくらい適合しているかを示す。
(5)情報管理サーバ50は閲覧要求に対し「ファイルの閲覧要求」をユーザ端末10-2に送信する。ユーザAが要求したファイルのインデックスがある特殊キャビネット102は検索時に明らかなので、この特殊キャビネット102のユーザBに対し、「ファイルの閲覧要求」を送信する。たとえば、ユーザBに対し「ユーザAさんが、あなたの△△というファイルの情報開示をリクエストしています」というメッセージを送信する。
(6)ユーザBは、ユーザAに情報開示を行うか否かの判断を行い、ユーザ端末10-2は開示の許可又は拒否を情報管理サーバ50に通知する。
(7)情報管理サーバ50はユーザAに対し、ユーザB(情報所有者)の回答を含むメッセージを送信する。例えば、「開示が許可されました」又は「開示を拒否されました」などを送信する。このメッセージにはセミパブリック情報そのものは含まれないが、情報管理サーバ50がセミパブリック情報を保持している場合には、セミパブリック情報そのものを送信してもよい。
【0125】
また、情報開示のリクエストにおいて、情報管理サーバ50は、情報所有者のユーザBに情報検索者のユーザAについての情報(氏名、所属、メールアドレス等)を送信してもよい。こうすることで、ユーザBはユーザAと個別に連絡を取ることができる。このように、非公開情報を検索対象とすることで、個人に属する豊富な情報やノウハウを共有することができる。
【0126】
図13は、プロファイル管理システム100がプライベートデータ検索する手順を示すシーケンス図の一例を示す図である。図13は、ユーザがプライベートデータ検索を開始することでスタートする。なお、情報を検索するユーザをユーザA、閲覧要求されるファイルを所有するユーザをユーザBとする。
【0127】
S21:ユーザAはユーザ端末10-1に検索語を入力する。ユーザ端末10-1の操作受付部12は検索語の入力を受け付ける。
【0128】
S22:検索要求部17は検索語を含む検索要求を情報管理サーバ50に送信する。
【0129】
S23:情報管理サーバ50の検索要求受信部59は検索要求を受信し、検索部58に検索語を送出する。検索部58はまず、共有キャビネット101を検索語で検索する。共有キャビネット101にはファイル全体が記憶されているので、複数のうち1つでも検索語がヒットするファイルを抽出する。
【0130】
S24:次に、検索部58はユーザAを除く他のユーザの特殊キャビネット102を検索する。検索の手順は以下のようになる。
・ユーザプロファイル9を検索語で検索する。
・1語でも検索語がヒットしたユーザプロファイル9のキーワードに対応付けられている抽出元(ファイル名)をユーザプロファイル9から読み出す。
【0131】
なお、ユーザAの特殊キャビネットを検索対象から除くのは自分のファイルは自分がもっているためであるが、自分の特殊キャビネット102を検索してもよい。
【0132】
S25:検索部58は検索に適合した共有キャビネット101のファイルとセミパブリック情報の適合率を算出する。セミパブリック情報の本体は情報管理サーバ50に存在しないので実質的にはユーザプロファイルと比較するが、ユーザプロファイルの抽出元によりユーザ端末10にあるセミパブリック情報を特定できる。閲覧要求に対応するため、検索部58は、抽出元のファイル名に重複しないファイル番号を対応付けておく。
【0133】
S26:検索結果送信部57は検索結果をユーザ端末10-1に送信する。検索結果には共有キャビネット101のファイル名、ユーザ名及び適合率、並びに、特殊キャビネット102のセミパブリック情報のファイル番号及び適合率を含めておく。
【0134】
S27:ユーザ端末10の検索結果受信部22は検索結果を受信して、表示制御部11が検索結果をLCD206に表示する。ユーザAは適合率を考慮して例えばセミパブリック情報のファイル番号を選択する。操作受付部12はこのセミパブリック情報の閲覧要求を受け付ける。
【0135】
S28:ユーザ端末10-1の閲覧要求部18はセミパブリック情報のファイル番号と共に閲覧要求を情報管理サーバ50に送信する。
【0136】
S29:情報管理サーバ50の閲覧要求取得部61は閲覧要求を取得し、ファイル番号に基づいてファイル名を特定し、このファイル名のファイルを有するユーザプロファイル9を特定する。ユーザプロファイル9が特定されるとユーザプロファイル9が有するユーザIDによりユーザBを特定できる。
【0137】
S30:情報管理サーバ50のリクエスト部62は決定されたユーザBにファイル名等と共にファイルの閲覧要求を送信する。ファイル名以外にファイルを特定できる情報を含めてよい。この送信には例えば電子メールを使用することが考えられる。この他、端末アプリ122へのプッシュ通知で送信してもよい。
【0138】
S31:ユーザ端末10-2のリクエスト取得部21は閲覧リクエストを取得し、表示制御部11がファイルの閲覧要求をLCD206に表示する。ユーザBが許可又は拒否を入力するので操作受付部12がこれを受け付ける。
【0139】
S32:ユーザ端末10-2のリクエスト取得部21は許可又は拒否を情報管理サーバ50に送信する。
【0140】
S33:情報管理サーバ50のリクエスト部62は許可又は拒否に基づくメッセージを作成し、ユーザ端末10-1に送信する。なお、ユーザBがステップS32で要求されたファイルを添付してもよい。この場合、情報管理サーバ50が直接、ファイルをユーザAに送信できる。
【0141】
このように、非公開情報を検索対象とすることで、個人に属する豊富な情報やノウハウを共有することができる。ユーザAにはユーザBの氏名やファイル名も明かされないのでプライベート性を維持できる。ユーザAはユーザBとメール等を利用してセミパブリック情報を取得できる。
【0142】
<ユーザプロファイルの活用例2>
・人的資源情報の検索
人的資源情報の検索とは、ナレッジマネジメントの分野における知識活用の方法の1つである。「誰が何を知っているか」「どこに経験者やエキスパートがいるか」等を特定できる仕組みを作ることで、知識やノウハウを"持っている人"と"必要とする人"とを結び付け、知識の有効利用を図ることが可能になる。なお、検索対象は有識者に限られず、人的資源情報の検索をKnowWho(ノウフー検索)という場合がある。
【0143】
特殊キャビネット102にあるユーザプロファイル9は、日常的な業務から抽出されたキーワードなので、一人ひとりの得意分野をあらわすキーワードを含んでいる。例えば、ユーザが休憩時間に閲覧したWebページから抽出されたキーワード、企業内における非業務での活動(ボランティア、サークル活動など)から抽出されたキーワード、副業で培われたノウハウ情報から抽出されたキーワード等をユーザプロファイル9は有している。
【0144】
検索を実行するユーザAは、例えば新規プロジェクトを立ち上げる際などに必要となる情報を有する人材を探したい場合がある。図14を用いて説明する。
【0145】
図14は人的資源情報の検索の手順を模式的に説明する図の一例である。
(1)例えば、ユーザAがあるテーマについての有識者を探したい場合、そのテーマのキーワードで検索要求を情報管理サーバ50に送信する。
(2)情報管理サーバ50の検索部58は、日々、更新しているユーザプロファイル9を検索語で検索して有識者を探し出す。
(3)情報管理サーバ50の検索部58は、検索結果をユーザAに回答する。回答する際、検索語に対する関連性の高さを示す適合率を含める。適合率の算出方法はプライベートデータ検索と同じでよい。例えば、以下のような回答がユーザ端末10に表示される。
「ユーザ1(Suzuki) 適合率 30%
ユーザ2 適合率 80%」
このユーザ1,2はユーザ番号に過ぎず個人を特定できない(ユーザA、Bは個人を指し示す情報)。ユーザ1については氏名が表示され、ユーザ2については氏名が表示されない。回答の際、情報管理サーバ50はユーザ情報DB106を参照し、ユーザが氏名の提示を許可しているかいないかを判断する。これにより、ユーザ1では氏名を表示し、ユーザ2では氏名を表示しない制御が可能になる。
【0146】
図14の例では、ユーザ1が氏名の提示を許可しており、ユーザ2が氏名の提示を許可していない。ユーザAがユーザ2と連絡を取りたいと考えた場合、プライベートデータ検索と同様に、情報管理サーバ50を介してユーザ2から氏名提示の許可又は拒否のメッセージを取得する。
【0147】
図15は、プロファイル管理システム100が人的資源情報を検索する手順を示すシーケンス図の一例を示す図である。図15は、ユーザが人的資源情報の検索を開始することでスタートする。なお、有識者を検索するユーザをユーザA、有識者をユーザCとする。
【0148】
S41:ユーザAはユーザ端末10-1に検索語を入力する。ユーザ端末10-1の操作受付部12は検索語の入力を受け付ける。
【0149】
S42:検索要求部17は検索語を含む検索要求を情報管理サーバ50に送信する。
【0150】
S43:情報管理サーバ50の検索要求受信部59は検索要求を受信し、検索部58に検索語を送出する。検索部58はユーザAを除く他のユーザの特殊キャビネット102を検索する。人的資源情報の検索では、ユーザプロファイル9を検索語で検索すればよい。
【0151】
S44:検索部58は検索に適合したユーザプロファイル9の適合率を算出する。氏名の提示要求に対応するため、検索部58は、ユーザプロファイル9に重複しないユーザ番号を対応付けておく。
【0152】
S45:検索結果送信部57は検索結果をユーザ端末10-1に送信する。氏名の提示を許可しているユーザの場合、氏名、ユーザ番号及び適合率が検索結果に含まれる。氏名の提示を許可していないユーザの場合、ユーザ番号及び適合率が検索結果に含まれる。
【0153】
以下の処理は氏名の提示を許可していないユーザ2とユーザAが連絡を取りたいと考えた場合に実行される。
【0154】
S46:ユーザ端末10-1の検索結果受信部22は検索結果を受信して、表示制御部11が検索結果をLCD206に表示する。ユーザAは適合率を考慮してユーザ番号を選択する。操作受付部12はこの番号の選択を受け付ける。
【0155】
S47:ユーザ端末10-1の閲覧要求部18はユーザ番号と共に氏名の提示要求を情報管理サーバ50に送信する。
【0156】
S48:情報管理サーバ50の閲覧要求取得部61は氏名の提示要求を取得し、ステップS44でユーザ番号に対応付けたユーザプロファイル9からユーザ(ユーザCとする)を決定する。
【0157】
S49:情報管理サーバ50のリクエスト部62は決定されたユーザCのユーザ端末10-3に氏名の提示要求を送信する。この送信には例えば電子メールを使用することが考えられる。この他、端末アプリ122へのプッシュ通知で送信してもよい。
【0158】
S50:ユーザ端末10-3のリクエスト取得部21は氏名の提示要求を取得し、表示制御部11が氏名の提示要求をLCD206に表示する。氏名の提示要求には例えば「ユーザAさんがあなたの知見を活用したいため氏名の提示を要求しています。」等のメッセージが含まれる。ユーザCが許可又は拒否を入力するので操作受付部12がこれを受け付ける。
【0159】
S51:ユーザ端末10-1のリクエスト取得部21は許可又は拒否を情報管理サーバ50に送信する。
【0160】
S52:情報管理サーバ50のリクエスト部62は許可又は拒否に基づくメッセージを作成し、ユーザ端末10-1に送信する。許可のメッセージには「ユーザAさんが選択したユーザはKatohさんです(katoh@company.com)。連絡が許可されました。」と表示され、拒否のメッセージには「ユーザAさんが選択したユーザは氏名の提示を拒否しました。」と表示される。
【0161】
このように、非公開情報を検索対象とすることで、専門知識を有する個人を検索できる。ユーザAには原則的に氏名を提示していないユーザの氏名等が明かされないのでプライベート性を維持できる。
【0162】
<ユーザプロファイルの活用例3>
・コンテンツ検索
コンテンツ検索とは、検索実行ユーザのユーザプロファイル9を加味した検索をいう。
【0163】
図16は、コンテンツ検索を説明する図の一例である。
(1)ユーザAがユーザ端末10に検索語を入力し、ユーザ端末10が検索要求を情報管理サーバ50に送信する。
(2)情報管理サーバ50は共有キャビネット101を検索語で検索する。
(3)更に、情報管理サーバ50は検索結果を用いて共有キャビネット101を検索する。
(4)更に、情報管理サーバ50はユーザプロファイル9を加味して検索結果を絞り込む。(3)と(4)は少なくともどちらか一方が行われればよい。
(5)情報管理サーバ50はこれらの検索結果をユーザ端末10に送信する。
(6)ユーザ端末10は検索結果として例えば「ユーザプロファイルを加味して検索しました。PPP.doc、QQQ.doc、RRR.doc」のように表示する。
【0164】
コンテンツ検索によれば、以下のような検索が可能になる。例えば、ユーザAが「A社 方針説明会」で検索すると、方針説明会のプレゼン資料が検索で抽出される。このプレゼン資料の中に、「前年度の業績結果」や「本年度の事業計画の概要」などが記載されている場合、共有キャビネット101が「前年度の業績結果」及び「本年度の事業計画の概要」で検索され、前年度の業績結果の詳細、本年度の事業計画の詳細、又は、新商品の企画書などがユーザに提供される。つまり、情報管理サーバ50は検索結果で再度、共有キャビネットを検索することで詳細な情報が得られる。
【0165】
また、例えば、セールス部門のユーザが「MFP」という検索語で検索する。また、このユーザのユーザプロファイル9に販売関係の情報が多く存在するものとする。この場合、MFPに関する書類が検索されるが、販売資料などの用語で絞り込まれることでMFPのカタログや提案書が検索されてユーザに提供される。
【0166】
例えば、カスタマーエンジニア部門のユーザが「MFP」で検索する。また、このユーザのユーザプロファイル9にサポート関係の情報が多く存在するものとする。この場合、MFPに関する書類が検索されるが、サポートなどの用語で絞り込まれることで、設置マニュアルやトラブルシューティング事例集が検索されてユーザに提供される。
【0167】
図17は、プロファイル管理システム100がコンテンツ検索する手順を示すシーケンス図の一例を示す図である。図17は、ユーザが検索を開始することでスタートする。
【0168】
S61:ユーザはユーザ端末10に検索語を入力する。ユーザ端末10の操作受付部12は検索語の入力を受け付ける。また、ユーザは全文検索とコンテンツ検索の検索方法をユーザ端末10に入力する。ユーザ端末10の操作受付部12は検索方法の入力を受け付ける。
【0169】
S62:ユーザ端末10の検索要求部17は検索語と検索方法を含む検索要求を情報管理サーバ50に送信する。
【0170】
検索方法が全文検索の場合、ステップS63が実行される。
S63:情報管理サーバ50の検索要求受信部59は検索要求を受信する。検索部58は共有キャビネット101を全文検索する。
【0171】
検索方法がコンテンツ検索の場合、ステップS64~S66が実行される。
S64:情報管理サーバ50の検索要求受信部59は検索要求を受信する。検索部58は共有キャビネット101を全文検索する。
S65:次に、検索部58は、検索されたファイルに含まれる単語で共有キャビネット101を再検索する。ファイルに含まれる単語のうち重要度が高い単語で検索することが好ましい。重要度は例えばTF-IDFにより決定される。
S66:次に、検索部58は、ステップS64で検索されたファイルをユーザプロファイル9で絞り込む。
【0172】
S67:情報管理サーバ50の検索結果送信部57は検索結果をユーザ端末10に送信する。
【0173】
このようにコンテンツ検索によれば、純粋な全文検索の結果とは違い、ユーザプロファイル9に基づいて情報を取得することが可能になる。
【0174】
なお、コンテンツ検索については、単にユーザプロファイルで絞り込むのでなくユーザプロファイル9をAI(人工知能)に入力して適切な情報を取得することも有効である。予めユーザプロファイルと該ユーザのコンテンツフォルダ104のファイルに含まれる単語との対応を学習しておく。この学習結果(識別器)にユーザプロファイルを入力するとこのユーザとの関係が深い単語が得られる。情報管理サーバ50は、ユーザが入力した検索語で検索されたファイルを、AIが出力したこのユーザとの関係が深い単語で絞り込む。
【0175】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態のプロファイル管理システム100によれば、ユーザプロファイル9がユーザ端末10に対し外部の情報管理サーバ50に保存されるため、本ユーザ以外のユーザが本ユーザのユーザプロファイル9を活用できるようになる。
【0176】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0177】
例えば、図18に示すように、ユーザ端末10がプライベート領域を有していてもよい。図18は、アクセスの容易性により分類したユーザプロファイルを作成するためのユーザの情報を模式的に説明する図の一例である。図18の説明では図2との相違を説明する。図18に示すように、ユーザの情報はパブリック領域110とセミパブリック領域112に加えプライベート領域111を有している。プライベート領域111は、個人の端末で管理される情報の第二の領域111bである。例えば、端末にアクセス権限のあるユーザのみがアクセス可能なユーザの情報である。端末アプリ122はプライベート領域111から、メールのアーカイブ及びファイルのインデックスを情報管理サーバ50に送信しない(完全にプライベートな領域)。このようなプライベートな領域があることで、ユーザはユーザプロファイル9に反映させたくない本当にプライベートな情報を隔離しておくことができる。
【0178】
また、本実施形態では、情報管理サーバ50がユーザプロファイルを作成したが、ユーザ端末10がユーザプロファイルを作成してもよい。ユーザ端末10は定期的にユーザプロファイルを更新し、更新したユーザプロファイルを情報管理サーバ50に送信する。この場合もユーザプロファイルを最新の状態に維持できる。
【0179】
また、本実施形態では、ユーザ端末10が業務履歴8を作成したが、情報管理サーバ50が業務履歴を作成してもよい。
【0180】
また、ユーザは企業の社員の他、職員、従業員、又は、スタッフなどどのような呼称でもよい。また、企業は、法律上の団体であればよい。
【0181】
また、上記の実施形態では、プライベートデータ検索、人的資源情報の検索、及び、コンテンツ検索の3つの検索方法を説明したが、ユーザプロファイル9を用いた検索はこの3つに限られない。例えば、広告がターゲットにするユーザ属性でユーザプロファイル9を検索し、適合率が高いユーザに広告を配信することが考えられる。社内における広告として、情報管理サーバ50は新しいプロジェクトで必要なユーザ属性でユーザプロファイル9を検索し、適合率が高い複数のユーザに対しプロジェクト募集の広告を配信する。
【0182】
また、ユーザが検索語を入力しないでユーザプロファイル9を検索することも可能である。例えば、情報管理サーバ50はユーザ端末10にログインしているユーザのユーザプロファイル9で他のユーザのユーザプロファイル9を検索する。こうすることで、自分のスキルに似たユーザがいるかどうかを判断でき、仕事を分担したり引き継ぎを依頼したりすることができる。
【0183】
また、情報管理サーバ50は任意のユーザのユーザプロファイル9で他のユーザのユーザプロファイル9を検索できる。例えば、業績がよいユーザのユーザプロファイル9で他のユーザのユーザプロファイル9を検索して、適合率が高い他のユーザを業績がよいユーザと同じ業務にアサインする。逆に、業績が悪いユーザのユーザプロファイル9で他のユーザのユーザプロファイル9を検索して、業績が悪いユーザと適合率が高い他のユーザとが同じ業務であれば他のユーザを別の業務にアサインする。
【0184】
また、ユーザは例えばファイル検索に本実施形態のプロファイル管理システム100を利用できる。ユーザは自分が有するファイルをユーザ端末10に入力して検索要求と共に情報管理サーバ50に送信する。情報管理サーバ50はファイルから重要度の高い単語を抽出して、ユーザプロファイル9を検索する。これにより、プライベートデータ検索と同様に他のユーザが有するファイルと検索者のユーザが入力したファイルの適合率が分かるので、類似するファイルを見つけることができる。このファイルが議事録であれば、同じような会議が過去に行われていた可能性があるため、更に関連する議事録をユーザが入手して当該会議の知見を得ることができる。また、このファイルが論文であれば、論文に近い知見が含まれるファイルを有するユーザに閲覧要求して、プロジェクトへの参加を要請できる。
【0185】
また、メールフォルダ103やコンテンツフォルダ104などのフォルダは、ディレクトリと呼ばれてもよい。
【0186】
また、図5図6などの構成例は、ユーザ端末10、及び情報管理サーバ50の処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。また、ユーザ端末10、及び情報管理サーバ50の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0187】
また、本実施形態の説明に支障がない範囲で、情報管理サーバ50が有する機能の一部又は全てをユーザ端末10が有してもよい。例えば、業務履歴分析部14をユーザ端末10が有していてもよい。
【0188】
また、情報管理サーバ50の機能がそれぞれ複数のサーバ装置に分散されていてもよいし、複数の情報管理サーバ50が存在してもよい。
【0189】
なお、セミパブリック情報送信部13は電子データ送信手段の一例であり、プロファイル作成部53はプロファイル作成手段の一例であり、検索部58は検索手段の一例であり、検索結果送信部57は検索結果送信手段の一例であり、閲覧要求部18は閲覧要求手段の一例であり、閲覧要求取得部61は閲覧要求取得手段の一例であり、リクエスト部62は通知手段の一例である。業務履歴分析部14は業務履歴作成手段の一例であり、特殊キャビネット102は個人情報記憶部の一例であり、操作監視部15は操作監視手段の一例である。
【0190】
ユーザ端末10は請求項1~15の第一の情報処理装置の一例であり、情報管理サーバ50は請求項1~15の第二の情報処理装置の一例である。ユーザ端末10は請求項16~18の第二の情報処理装置の一例であり、情報管理サーバ50は請求項16~18の情報処理装置の一例である。ユーザ端末10は請求項19~21の情報処理装置の一例であり、情報管理サーバ50は請求項19~21の第二の情報処理装置の一例である。
【符号の説明】
【0191】
8 :業務履歴
9 :ユーザプロファイル
10 :ユーザ端末
50 :情報管理サーバ
100 :プロファイル管理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0192】
【文献】特開2015-115024号公報
【文献】特開2000-76304号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18