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特許7081286読取装置、画像形成装置、情報検出方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】読取装置、画像形成装置、情報検出方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/191 20060101AFI20220531BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220531BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20220531BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
H04N1/191
G06T1/00 510
H04N1/60 300
H04N1/04 101
H04N1/04 D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018087369
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019193222
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】中澤 政元
(72)【発明者】
【氏名】橋本 英樹
(72)【発明者】
【氏名】二角 大祐
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-059968(JP,A)
【文献】特開平11-168626(JP,A)
【文献】特開2004-320603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/191
G06T 1/00
H04N 1/60
H04N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に光を照射する光源と、
前記被写体からの前記光を受光する読取センサと、
基準被写体を読み取る第一の読取動作と、被写体を読み取る第二の読取動作と、前記第一の読取動作によって得られる第一の色情報を用いて色変換式を生成する色変換式生成動作と、前記色変換式を用いて、前記第二の読取動作によって得られる第二の色情報を、前記第一および第二の色情報とは異なる色空間を持つ第三の色情報に変換する色変換動作とを制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記第一の読取動作と前記第二の読取動作とにおける前記光源の駆動電流が共に同じになるように、前記色変換式生成動作の前に前記駆動電流を調整する光量調整動作を行って、光量調整後の電流を前記色変換式生成動作による色変換式生成後は固定する、
ことを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記色変換式生成動作は前記光源の個体毎に行う、
ことを特徴とする請求項に記載の読取装置。
【請求項3】
前記光源はLEDである、
ことを特徴とする請求項又はに記載の読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記色変換式生成動作の前に前記駆動電流を調整する光量調整動作を行い、
前記光量調整動作において前記光源の光量を最大化するよう調整する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の内の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記色変換式生成動作の前に前記駆動電流を調整する光量調整動作を行い、
前記光量調整動作において前記基準被写体よりも明るい被写体を読み取った場合でも前記第一および第二の色情報が飽和しない光量に調整する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の内の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記基準被写体よりも明るい被写体とは反射率100%以上の被写体である、
ことを特徴とする請求項に記載の読取装置。
【請求項7】
前記読取センサからの信号を増幅する増幅部を備え、
前記増幅部は、前記光量調整動作の後、かつ、前記色変換式生成動作の前に増幅率が調整される、
ことを特徴とする請求項乃至の内の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項8】
請求項乃至の内の何れか一項に記載の読取装置と、
前記読取装置で変換された前記第三の色情報に基づいて画像を形成する画像形成部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記基準被写体は、前記画像形成部で画像形成した印刷画像である、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
光を照射して基準被写体を読み取る第一の読取動作と、
光を照射して被写体を読み取る第二の読取動作と、
前記第一の読取動作によって得られる第一の色情報を用いて色変換式を生成する色変換式生成動作と、
前記色変換式を用いて、前記第二の読取動作によって得られる第二の色情報を、前記第一および第二の色情報とは異なる色空間を持つ第三の色情報に変換する色変換動作と、
を行い、
前記第一の読取動作と前記第二の読取動作とにおける前記光の光源の駆動電流が共に同じになるように、前記色変換式生成動作の前に前記駆動電流を調整する光量調整動作を行って、光量調整後の電流を前記色変換式生成動作による色変換式生成後は固定する、
ことを特徴とする情報検出方法。
【請求項11】
コンピュータに、
光を照射して基準被写体を読み取る第一の読取動作と、
光を照射して被写体を読み取る第二の読取動作と、
前記第一の読取動作によって得られる第一の色情報を用いて色変換式を生成する色変換式生成動作と、
前記色変換式を用いて、前記第二の読取動作によって得られる第二の色情報を、前記第一および第二の色情報とは異なる色空間を持つ第三の色情報に変換する色変換動作と、
を実行させ、
前記第一の読取動作と前記第二の読取動作とにおける前記光の光源の駆動電流が共に同じになるように、前記色変換式生成動作の前に前記駆動電流を調整する光量調整動作を行って、光量調整後の電流を前記色変換式生成動作による色変換式生成後は固定する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、画像形成装置、情報検出方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
PP(Production Print)分野において、印刷した画像を印刷機等の機内に設けたセンシング機構(インラインセンサ)で読み取り、その結果を印刷機構にフィードバックする機内センシング技術がある。インラインセンサは画像読取装置と同じ機構が採用されるのが一般的である。インラインセンサで読み取られた画像は、RGBの色空間からCMYKやLab、Luvなどの別の次元の色空間の情報に変換され、その色情報が調整機能へとフィードバックされる。
【0003】
インラインセンサで採用される光源はLEDが主流である。LEDは一般に製造ばらつきにより色度がばらつくことで知られている。このばらつきに基づく色空間の変換時の影響を吸収する技術を開示した文献がある。光源の発光色と同じ色見本を読み取り、その読取り結果から光源の色度を推定して色変換式を切り替える技術である(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、LEDには発光強度(光度)のばらつきがある。通常、発光強度の調整は、LEDの駆動電流の増減により光量を調整することにより行う。このように駆動電流を変化させた場合、LEDの色度が予測とは異なるばらつきを示し、色見本等の対象基準の読み取りにより生成した色変換式で色変換した場合に色変換精度が低下する。近年では、高色再現性・高色安定性の印刷品質が要求されるため色変換精度の低下は印刷品質において特に問題となる。また、この問題は、色度以外の情報の情報検出分野において広く共通する課題でもある。一般化すると、第一の情報と第二の情報とにおいて駆動電流等の情報取得条件の違いにより第三の情報への変換精度が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、第一の情報と第二の情報とにおける情報取得条件の違いに基づく第三の情報への変換精度の低下を抑えることが可能な情報検出装置、読取装置、画像形成装置、情報検出方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、対象から情報を検出する情報検出装置において、対象基準から情報を得る第一の情報取得動作と、対象から情報を得る第二の情報取得動作と、前記第一の情報取得動作によって得られる第一の情報を用いて、前記第二の情報取得動作によって得られる第二の情報を前記第一の情報および前記第二の情報とは異なる次元を持つ第三の情報に変換する情報変換動作の制御部を有し、前記制御部は、前記第一の情報取得動作と前記第二の情報取得動作とにおける駆動電流が共に同じになるように、前記色変換式生成動作の前に前記駆動電流を調整する光量調整動作を行って、光量調整後の電流を前記色変換式生成動作による色変換式生成後は固定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第一の情報と第二の情報とにおける情報取得条件の違いに基づく第三の情報への変換精度の低下を抑えることが可能なるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施の形態に係る情報検出装置の基本構成の一例を示す図である。
図2図2は、制御部による制御フローの一例を示す図である。
図3図3は、実施例1の読取装置の構成の一例を示す図である。
図4図4は、主制御部による制御フローの一例を示す図である。
図5図5は、光源の駆動電流値を固定することによる効果の説明図である。
図6図6は、変形例1の読取装置の構成の一例を示す図である。
図7図7は、主制御部による制御フローの一例を示す図である。
図8図8は、変形例1の構成で駆動電流の固定を行った場合における色度のばらつきを示す図である。
図9図9は、光源の光量を最大とする光量調整動作の制御フローを示す図である。
図10図10は、色変換の対応濃度範囲を拡張させる場合の光量調整動作の制御フローを示す図である。
図11図11は、変形例2の読取装置の構成の一例を示す図である。
図12図12は、主制御部による制御フローの一例を示す図である。
図13図13は、実施例2の複合機の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、情報検出装置、読取装置、画像形成装置、情報検出方法、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態は一例であり、各形態を適宜組み合わせたり、変形したりして実施してもよい。
【0010】
図1は、本実施の形態に係る情報検出装置の基本構成の一例を示す図である。図1には、情報検出装置1の一例として、取得部11と情報変換部12と制御部13とを含む構成を示している。なお、情報検出装置1は、少なくとも取得部11と情報変換部12とを制御可能な制御部13を有していれば、取得部11と情報変換部12とを外部に備えていてもよい。
【0011】
取得部11は、情報取得対象である対象基準および対象から情報を得る。対象基準から得られた情報(第一の情報)は、対象から得られた情報(第二の情報)の基準情報として使用される。
【0012】
情報変換部12は、対象基準から得られた第一の情報に基づき、対象から得られた第二の情報を第三の情報に変換する。例えば、情報変換部12は、第一の情報に基づく情報変換式により第二の情報を第三の情報に変換する。ここで、情報変換式は、第二の情報(第一の情報も同様)とは異なる次元で示される第三の情報に変換する変換式である。異なる次元は、第二の情報(第一の情報も同様)とは異なるパラメータ群で示される座標系を指す。例えば、色空間であれば「RGB」表色系の色空間と「L*a*b*」表色系の色空間の違いである。
【0013】
制御部13は、制御対象を第一の情報取得動作、第二の情報取得動作、および情報変換動作を行うように制御する。第一の情報取得動作では、取得部11が対象基準から第一の情報を取得する。第二の情報取得動作では、取得部11が対象から第二の情報を取得する。情報変換動作では、情報変換部12が第一の情報に基づき(例えば第一の情報に基づく情報変換式により)第二の情報を第三の情報に変換する。
【0014】
さらに、制御部13は、第一の情報取得動作と第二の情報取得動作において、共に情報取得条件が同じになるように制御対象を制御する。具体的に、制御部13は、取得部11が対象基準と対象とから情報を取得する際のそれぞれの情報取得条件を同じにする。また、制御部13は、情報取得条件に基づき情報変換部12を制御する。
【0015】
図2は、制御部13による制御フローの一例を示す図である。図2(a)は第一の情報取得動作と情報変換動作とを行う情報検出準備段階の制御フローを示し、図2(b)は第二の情報取得動作と情報変換動作とを行う情報検出実行段階の制御フローを示している。
【0016】
先ず制御部13は、情報検出準備段階において、図2(a)に示す制御により情報変換式を生成する。具体的に、制御部13は、第一の情報取得動作として、取得部11の情報取得条件を固定し(S1)、当該情報取得条件に固定した状態で取得部11に第一の情報を取得させる(S2)。
【0017】
続いて、制御部13は、情報変換動作として、情報変換部12に第一の情報に基づき情報変換式を算出させる(S3)。算出により生成された情報変換式は、情報変換部12で保持する。
【0018】
このように、制御部13は、情報検出準備段階において第一の情報取得動作と情報変換動作とを行うことにより、対象から第一の情報を得て情報変換式を生成する。
【0019】
続いて制御部13は、情報検出実行段階において、図2(b)に示す制御により情報検出を行う。具体的に、制御部13は、第二の情報取得動作として、ステップS1の情報取得条件と同じ条件で取得部11に第二の情報を取得させる(S5)。
【0020】
続いて、制御部13は、情報変換動作として、ステップS3で生成された情報変換式を指定して情報変換部12により第二の情報を第三の情報に変換させる(S6)。
【0021】
以上の構成により、本実施の形態に係る情報検出装置は、第一の情報を取得したときと同じ情報取得条件で第二の情報を取得し、第二の情報を第一の情報に基づいて第三の情報へと変換する。つまり、本実施の形態に係る情報検出装置は、第一の情報取得動作と第二の情報取得動作とにおいて情報取得条件が同じ値に固定されることにより、第一の情報と第二の情報との相関が高められる。よって、本実施の形態に係る情報検出装置は、第一の情報と第二の情報とにおける情報取得条件の違いに基づく第三の情報への変換精度の低下が抑えられ、第三の情報への変換精度が維持または向上する。
【0022】
なお、情報取得条件は、情報の取得に関わる全ての因子(例えば環境温度、取得部11の駆動電流や駆動電圧等)について一致させることが望ましいが、取得部11の駆動電流や駆動電圧等のような一部の因子について一致させた場合であっても第三の情報への変換精度の低下は抑えられ、第三の情報への変換精度が維持または向上する。
【0023】
(実施例1)
続いて、図1に示す情報検出装置1を読取装置へ適用した場合について示す。情報検出装置1は、例えば印刷機のキャリブレーションに使用する読取装置(インラインセンサ)などへの適用が考えられる。以下、実施例1として印刷機のキャリブレーションに使用する読取装置(インラインセンサ)への適用例について示す。
【0024】
図3は、実施例1の読取装置の構成の一例を示す図である。図3には、当該読取装置の主な構成を示している。図3に示す読取装置2は、主に光源21、イメージセンサ22、信号処理部23、色変換部24、色変換式設定部25、光源駆動固定化制御部26、および主制御部27を有する。なお、図3には、読取装置2を印刷機本体に装着する場合の構成例として印刷機本体に設けられた画像処理部28を示している。画像処理部28は、図3に示すように印刷機本体に設けてもよいし、あるいは読取装置2に設けてもよい。
【0025】
光源21は、読取対象に光を照明する。ここでは、光源21として擬似白色LED(Light Emitting Diode)を使用した場合の一例を示す。擬似白色LEDは、青色LEDチップおよび黄色(青色の補色)の蛍光体により構成されており、青色LEDチップから発光した青色の光と、その光により蛍光体が励起して発光する黄色の光との混合により、擬似的な白色光を生成する。蛍光体は、例えば、黄色の蛍光材料が含有された透過樹脂などである。なお、ここで説明する擬似白色LEDの構成は一例であり、この構成以外であってもよい。例えば、他の色のLEDや蛍光体を適宜組み合わせたものを使用してもよい。以下では、特に説明しない限り「白色LED」は「擬似白色LED」を指すものとする。
【0026】
「読取対象(被写体)」は「対象基準」や「対象」に相当するものである。以下において「読取対象」の内の「基準チャート(基準被写体)」が「対象基準」に相当し、「印刷された画像(印刷画像)」が「対象」に相当する。
【0027】
イメージセンサ22は、「読取センサ」の一例であり、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサである。イメージセンサ22は、光源21が読取対象に照射した光の反射光を光学系(光学レンズや光学ミラーなど)を介して受光面で受光する。イメージセンサ22は、受光面で受光した読取対象の光の像を画素単位で光電変換し、その読取対象の画像信号を黒レベル補正を行うなどして後段に出力する。なお、図3には一例として、イメージセンサがR(Red)色とG(Green)色とB(Blue)色で構成されるRGB画像の画像信号を出力した場合のものについて示している。
【0028】
信号処理部23は、イメージセンサ22から出力された画像信号(R画像信号、G画像信号、B画像信号)に対してA/D変換やシェーディング補正などの各種信号処理を行う。
【0029】
色変換部24は、信号処理部23が出力した画像データを任意の色空間値に変換する。図3には一例として、「RGB」表色系から「L*a*b*」表色系の色空間値に変換する場合のものについて示している。ここで、「RGB」表色系で示される色空間が「第一の色空間」に相当し、色変換部24により変換された「L*a*b*」表色系で示される色空間が「第二の色空間」に相当する。色変換部24は、工場出荷前に生成された色変換式をメモリなどで保持し、その色変換式により第一の色空間から第二の色空間へと色空間値を変換することにより、第一の情報(または第二の情報)を第三の情報へと変換する。
【0030】
色変換式設定部25は、工場出荷前の設定段階(情報検出準備段階に相当)において光源駆動固定化制御部26が固定した光源21の駆動電流値毎に、その駆動電流値に対応する色変換式を色変換部24に設定する。また、色変換式設定部25は、工場出荷後のユーザによる使用段階(情報検出実行段階に相当)において、「基準チャート」の読み取りにより得られる色変換部24の出力値(例えば「b*」値)を用いて、色度を推定し、色変換部24に設定されている色変換式の内の推定した色度に近い最適な色変換式を、その読取装置で使用する色変換式として選択決定する。
【0031】
光源駆動固定化制御部26は、光源21の照射条件である駆動電流値を固定し、色変換と駆動電流値とを同期化するため、固定した駆動電流値を色変換式設定部25に出力する。
【0032】
主制御部27は、読取装置2全体の動作を制御する。また、後段の画像形成部(不図示)に印刷指示を行う。
【0033】
画像処理部28は、第二の色空間へ変換した信号(第三の情報)を印刷機本体の印刷形式(一例としてCMYKとする)に変換する。
【0034】
ここで、主に光源21およびイメージセンサ22が取得部11(図1参照)に対応する。主に色変換部24および色変換式設定部25が情報変換部12(図1参照)に対応する。主に光源駆動固定化制御部26および主制御部27が制御部13(図1参照)に対応する。
【0035】
続いて、読取装置2における「第一情報取得動作」、「第二情報取得動作」、および「情報変換動作」について説明する。
【0036】
図4は、主制御部27による制御フローの一例を示す図である。図4(a)は色検出準備段階において第一の情報取得動作と情報変換動作とを行う制御フローを示し、図4(b)は色検出実行段階において第二の情報取得動作(第一の情報取得動作についても同じ)と情報変換動作とを行う制御フローを示している。
【0037】
先ず主制御部27は、工場出荷前などの色検出準備段階において、図4(a)に示す制御により色変換式を生成し、生成した色変換式を色変換部24に設定する。
【0038】
具体的に、主制御部27は、先ず、光量調整を行い、電流値を固定する(S11)。光量調整は光源21の照射状態が所望の状態となるよう光源21の駆動電流を調整することにより行う。光量調整後は光源駆動固定化制御部26により駆動電流をその調整値に固定する。
【0039】
続いて、主制御部27は、後段の画像形成部により基準チャートを印刷し(S12)、印刷された基準チャートの画像をイメージセンサ22で読み取る(S13)。
【0040】
続いて、主制御部27は、イメージセンサ22が読み取った基準チャートの画像データに基づいて色変換式を算出する(S14)。算出した色変換式は、色変換式設定部25により色変換部24のメモリに対して設定され、メモリにより保持される。
【0041】
ここで、色変換式は例えば任意のパラメータ群で構成された高次変換マトリクスであり、調整された駆動電流値に最適化された色変換式が算出される。なお、色変換式は、基準チャートの画像データを印刷した印刷画像から測色機で生成したものを使用してもよい。
【0042】
続いて、主制御部27は、工場出荷後のユーザ使用時(色検出実行段階)において、図4(b)に示す制御により色検出を行う。
【0043】
具体的に、主制御部27は、先ず色検出したい被写体を読み取るために、この例では画像形成部で画像を印刷し(S21)、その印刷画像をイメージセンサ22で読み取る(S22)。画像読取時の光源21の駆動電流は光源駆動固定化制御部26により色検出準備段階において固定した駆動電流値(調整値)に固定されている。
【0044】
続いて、主制御部27は、イメージセンサ22で読み取った印刷画像の画像データに基づき、複数の色変換式の中から最適なものを選択する(S23)。
【0045】
続いて、主制御部27は、選択された色変換式により当該画像データを「RGB」表色系から「L*a*b*」表色系の色空間値に変換する(S24)。変換された色空間値は後段のアプリケーションに応じ、この例では画像処理部28でCMYKに変換する(S25)。変換されたデータは、後段の画像形成部にフィードバックするなどして、画像形成部の形成条件の補正に利用される。
【0046】
なお、本実施例では、光量調整は駆動電流を可変して調整する例を示しているが、これに限定されず例えば電圧調整でもよい。また、基準チャートは画像形成部で印刷されたものとしているが、基準色板のような色味が既知であり、画像形成部とは無関係な媒体でもよい。さらに、画像処理部28の変換はCMYKに限らず、後段のアプリケーションに応じて適宜変更してもよい。
【0047】
このように、当該読取装置2では色検出準備段階において、光源21の駆動電流値を固定したまま、印刷した基準チャートの画像を読み取り、その画像データ(「第一の情報」に対応)に基づき色変換式を生成する。また、色検出実行段階において、色検出準備段階で固定した駆動電流値で印刷画像を読み取り、その画像データ(「第二の情報」に対応)に対して選択した色変換式により、RGB表色系の色空間(「第一の色空間」に対応)からL*a*b*表色系の色空間(「第二の色空間」に対応)で示される画像データ(「第三の情報」に対応)へ変換する。
【0048】
次に、光源駆動固定化制御部26により光源21の駆動電流値を固定することによる効果について説明する。
【0049】
図5は、光源21の駆動電流値を固定することによる効果の説明図である。図5(a)および図5(b)には、光源の駆動電流の調整を考慮しない限定的な条件下における色変換式と使用する光源の色度とのばらつきの関係を示している。図5(c)および図5(d)には、光源の駆動電流の調整が必要な場合において駆動電流の固定を行わなかった場合における色変換式と使用する光源の色度とのばらつきの関係を示している。図5(e)および図5(f)には、本実施の形態に係る読取装置のように、光源の駆動電流の調整が必要な場合において駆動電流の固定を行った場合における色変換式と使用する光源の色度とのばらつきの関係を示している。この内、図5(a)、図5(c)、図5(e)には、各ケースにおける光源21の光の波長と発光強度との関係をグラフで示しており、図5(b)、図5(d)、図5(f)には、各ケースにおける色変換式と使用する光源の色度とのばらつきの関係をXY色度図上に示している。
【0050】
先ず、図5(a)および図5(b)のケースを用いて、色変換式と使用する光源の色度とのばらつきの関係について説明する。図5(a)に示すように波長領域全体の発光強度特性は、青色LEDが発光する青色の光と蛍光体の黄色の光との混合比に応じて変化する。波長が短い側の青色領域には、主に青色LEDが発光する光の発光強度特性を示している。また、青色領域よりも波長が長い領域には、主に蛍光体の光の発光強度特性を示している。これらの2つの領域には、それぞれ、青色の発光強度のピークと、黄色の発光強度のピークが含まれている。本実施例で使用する白色LEDは製造ばらつきがある。例えば蛍光体の黄色の塗りムラなどがこれに当たる。これにより、使用する白色LEDの青色と黄色の混合比に応じ、白色LEDの特性グラフはAからBの何れかをとる。
【0051】
図5(b)には、色変換部24に設定されている色変換式(色変換式1、色変換式2、色変換式3、・・・)が対応する色度を白丸(1、2、3、・・・)で示し、使用する白色LEDの色度(x、y)を黒丸で示している。図5(b)に示すように、光源21の駆動電流の調整を考慮しない限定的な条件下であれば、発光色の混合比に応じて色度が単調に変化するだけであるため、使用する各白色LEDの色度(黒丸)は色度(白丸)の直線上(または直線の近傍)を追随する。このため、使用する白色LEDの色度(黒丸)に最も近い色度(白丸)の色変換式を使用することで色変換誤差を少なく抑えることができる。
【0052】
続いて、光源21の駆動電流の調整が必要な場合の色度のばらつきについて説明する。通常は駆動電流の調整が必要なため、このケースを考える必要がある。図5(c)には、光量調整のために光源21の駆動電流を調整した場合の光源21の青色領域の発光強度特性の変化を示している。図5(c)には、一例として電流大から電流小へ調整した場合の例を示している。図5(c)に示すように、駆動電流を増やす(電流大にする)と青色LEDチップの光波長が長波長側(図5(c)のA側)にシフトする、つまり青色の発光波長がシフトする。このとき、図5(d)では、青色の発光波長の変化により青色光の色度(x、y)がxやyとは別のパラメータzで変化し、つまり発光色の混合比による単調な変化とは無関係に色度が変化し、使用する各白色LEDの色度(黒丸)が色度(白丸)の直線に追随しない。このため、使用する白色LEDの駆動電流を例えば電流小(B)に調整した場合に、使用する白色LEDの色度(黒丸)と、単調直線上の色度(白丸)との相関関係が合わず、単調直線上にある予め用意した色変換式の中から対応色度(図5(d)の白丸3)が検出されても、色変換式が対応せず、色変換の誤差が大きくなって、色変換精度の低下が生じてしまう。
【0053】
すなわち、このケースでは、光量調整に伴う駆動電流の変化によって色変換精度の低下が生じ、光量(S/N)の最適化と色変換精度との両立はできないことになる。
【0054】
本実施の形態に係る読取装置のように、光源の駆動電流の調整が必要な場合において駆動電流の固定を行えば、その両立は可能である。
【0055】
具体的に、白色LEDの駆動電流を固定して色変換式を生成する。そして、その固定した駆動電流で色検出も行う。図5(f)には、一例として白色LEDの駆動電流を電流小Bに固定して色変換式を生成した場合の色変換式の単調直線(色度(白丸))を示している。図5(f)に示すように、使用する白色LEDの駆動電流を電流小(B)に調整した場合に、その白色LEDの色度に対応する単調直線がある。このため、その単調直線上(対応直線上)から近傍の色変換式を選択することにより、駆動電流が調整された場合であっても、色変換の誤差を抑え、色変換精度の低下を抑えることができる。つまり、光量(S/N)の最適化と色変換精度との両立が可能になる。
【0056】
以上のように、色変換式を生成する場合と通常の被写体を読み取る場合とで光源の駆動電流を同じにすることで、駆動電流による色度変化の影響を相殺し、光量調整を実施した場合でも色変換精度の維持または向上が可能になる。よって、光源の発光強度を最適にしつつ、色変換精度の低下も防止することができる。
【0057】
(変形例1)
実施例1では、色検出準備段階において色変換部24に複数の色変換式を設定し、色検出実行段階において複数の色変換式から最適な色変換式を選択する構成について示した。変形例1では、個体毎(白色LEDや読取装置などの個体毎)に、色変換部24に色変換式を設定して当該色変換式で色検出を行う構成について示す。なお、以下では実施例1と異なる構成について主に説明する。実施例1と共通する部分については同一の番号を付すなどして説明を省略する。
【0058】
図6は、変形例1の読取装置の構成の一例を示す図である。図6に示す変形例1の読取装置2は、複数の色変換式を、個体1つに限定している点で、実施例1の構成(図3参照)と異なる。図6に示すように、1つの色変換式を設定した色変換部240を備える。
【0059】
図7は、主制御部27による制御フローの一例を示す図である。図7(a)は色検出準備段階において第一の情報取得動作と情報変換動作とを行う制御フローを示し、図7(b)は色検出実行段階において第二の情報取得動作(第一の情報取得動作についても同じ)と情報変換動作とを行う制御フローを示している。
【0060】
図7(a)において、ステップS31~ステップS34は、実施例1に示す制御フロー(図4参照)のステップS11からステップS14が対応する。実施例1との違いは、ステップS11における電流値の固定を、調整された任意の調整値ではなく、その個体の調整値(この例では、電流値A)としたことである。つまり、色変換生成動作が個体毎に基本的には1回実行されれば良いことになる。なお、本構成のように光源がLEDであれば一般に寿命が長く、経時による光量変化は小さい。このため、本例のように光量調整を1回のみ実施する場合でも色変換精度に与える影響は小さく、経時による光量変化は無視することができる。
【0061】
図7(b)において、ステップS41、S42、S43、S44は、それぞれ、実施例1に示す制御フロー(図4参照)のステップS21、S22、S24、S25が対応する。実施例1との違いは、ステップS42の電流値を個体の調整値(この例では、電流値A)としたことと、色変換式の選択がないためステップS23(図4参照)を省いたことである。
【0062】
図8は、変形例1の構成で駆動電流の固定を行った場合における効果を示す図である。本構成では、個体毎に白色LEDの駆動電流を固定して色変換式を生成する。そして、個体別に、固定した駆動電流で色検出を行う。図8(a)には、図5(e)と同様、駆動電流を変えた場合の発光強度特性のシフトを示している。
【0063】
図8(b)には、一例として電流小Bに固定する白色LEDについての、その個体と色変換式の色度との関係を示している。図8(b)には、白色LEDの駆動電流を電流小(B)に固定して生成した色変換式の対応色度を白丸で示している。本構成では、色変換式は個体毎に1つである。このため図8(b)では、図5(e)とは異なり、白丸が一つだけになっている。本構成では、色変換式を生成した白色LEDを使用して色検出を行うため、色変換式生成時の固定値(電流小B)で色検出を行うことにより、白色LEDの色度と色変換式に対応する色度とが一致し、白丸に黒丸が重なっている。
【0064】
このように、変形例1の構成では、光源の個体毎に、その個体に合った駆動電流値で色変換式を生成することになる。この変換式は、光源の色度や光度の個体ばらつきをも吸収できる。そのため、複数の色変換式をメモリに保持しておく必要がなく、その個体に合った1つの色変換式を保持しておけば良いことになる。従って、本構成では、低コスト化・小規模化も可能となる。
【0065】
また、変換式の間に色空間が存在する場合、有限の色変換式の中から任意の1つを選択する方式では原理的に色変換誤差が生じてしまうが、本構成では個体毎に最適化された色変換式を生成して色変換に使用するため、色変換誤差をさらに低減することが可能になる。
【0066】
以上のように、本構成では、個体毎に色変換式を生成するため、個体差も吸収することができる。これにより、色変換の誤差を原理的に抑制し、色変換精度を向上することができる。
【0067】
続いて、光量調整動作について説明する。LEDは光度のばらつきが大きいため一般には光量調整が実施される。先ず、光源の光量を最大とする光量調整動作について説明し、その次に、色変換の対応濃度範囲を拡張させる場合の光量調整動作について説明する。
【0068】
図9は、光源の光量を最大とする光量調整動作の制御フローを示す図である。先ず、主制御部27は初期光量を設定する(S111)。初期光量は駆動電流を任意の値とすることで設定するが、イメージセンサ22の飽和を防止するため、ここでは最終的に調整される読取値(目標値B)よりも低く設定しておくものとする。
【0069】
続いて、主制御部27は、基準白板などの基準媒体を読み取り(S112)、その読取値が目標値Bを超えるかについて判断する(S113)。具体的には、これ以上光量を上げると目標値Bを超えるかについて判断する。
【0070】
超えないと判断される場合(S113:No)、主制御部27は、光量をさらに上げるために駆動電流を増やし(S114)、再度基準白板を読み取って(S112)、その読取値が目標値Bを超えるかについて判断する(S113)。このように、ステップS112~ステップS114を繰り返して読取値を目標値Bに収束させる。
【0071】
その結果、これ以上光量を上げると目標値Bを超えると判断されると(S113:Yes)、主制御部27は本光量調整動作を終了する。
【0072】
このように、光源の光量を最大とするように光量調整を行うことで、光ショットノイズの影響を低減でき、画像のS/Nを向上させ、色変換精度を向上させることができる。
【0073】
ところで、図9に示す光量調整動作では、基準白板で光量調整を行う場合に、基準白板の読取値が飽和しないように調整されるため、原理的には基準白板より明るい濃度を持つ被写体を読み取ると読取値が飽和し、色検出を行えない場合がある。つまり色変換の対応濃度範囲が狭いことが問題となる場合がある。アプリケーションによっては光量アップによるS/N向上よりも対応濃度範囲が必要とされるケースがあるため、対応濃度範囲は色検出を行うに当たり重要なファクタの一つである。
【0074】
図10は、色変換の対応濃度範囲を拡張させる場合の光量調整動作の制御フローを示す図である。図10に示すステップS121~ステップS124は、図9に示すステップS111~ステップS114に対応する。図9との違いは、ステップS113において、読取値を判断する目標値BをB*0.87としている点である。すなわち、基準白板より明るい被写体を読み取るために、基準白板を読み取る際の調整目標値を予め低めに設定しておくことで明るい被写体にも対応させる。この例では基準白板の濃度を0.06(反射率換算:役87%)とした場合の目標値を示しており、図9の光量調整に比べて目標値を13%下げている。つまり、基準白板より13%明るい被写体まで対応することができる。
【0075】
以上のように、光量調整の調整目標値を基準白板よりも明るいレベルに調整することにより、色変換の対応濃度範囲を広げ、基準白板より明るい被写体にも対応することができるようになる。
【0076】
なお、この例では調整目標値を13%減としているが、これは反射率100%に相当する。つまり、調整目標値を一例で示す値よりさらに下げることで、反射率100%以上、すなわち原理的に全ての濃度の被写体に対応することが可能となる。
【0077】
(変形例2)
量子化誤差の影響を低減することにより色変換を高精度化することが可能になる。変形例2では、量子化誤差の影響を低減する変形例について示す。なお、以下において、変形例1と共通する部分については同一の番号を付すなどして説明を省略し、変形例1と異なる構成について主に説明する。
【0078】
図11は、変形例2の読取装置の構成の一例を示す図である。図11に示す変形例2の読取装置2は、増幅部31を設けている点で、変形例1の構成(図6参照)とは異なる。
【0079】
増幅部31は、イメージセンサ22の出力を増幅し、増幅後の画像データを信号処理部23へ出力する。これにより、色変換部240は、増幅後の画像データに基づいて生成された色変換式で色検出を行う。
【0080】
図12は、主制御部27による制御フローの一例を示す図である。図12(a)は色検出準備段階において第一の情報取得動作と情報変換動作とを行う制御フローを示し、図12(b)は色検出実行段階において第二の情報取得動作(第一の情報取得動作についても同じ)と情報変換動作とを行う制御フローを示している。
【0081】
図12(a)において、ステップS51、S53、S54、S55は、変形例1に示す制御フロー(図7参照)のステップS31、S32、S33、S34が対応する。変形例1との違いは、主制御部27がステップS52で増幅率調整を行う点である。光量調整の後に増幅率調整を行い、以降の増幅率を調整後の増幅率Cに固定する。
【0082】
図12(b)において、ステップS61~S64は、変形例1に示す制御フロー(図7参照)のステップS41~S44が対応する。
【0083】
以上のように、変形例2では、イメージセンサ22の出力を増幅し、増幅後の画像データの使用により、量子化誤差の影響を相対的に小さくする。従って、色変換精度をさらに向上させることができる。
【0084】
(実施例2)
実施例1の読取装置2を画像形成装置に適用した例を示す。ここでは一例として、読取装置2を画像形成装置の一例である複合機に適用した例を示す。
【0085】
図13は、実施例2の複合機の構成の一例を示す図である。図1に示す複合機100は、画像読取ユニット(読取ユニット101およびADF102)を有し、その下部に画像形成ユニット103を有する。画像形成ユニット103については、内部の構成を説明するために、外部カバーを外して内部の構成を示している。
【0086】
ADF102は、載置台に載置した原稿を自動搬送する。読取ユニット101は、原稿を載置するコンタクトガラスを上面に有し、コンタクトガラス上の原稿を読み取る。具体的に読取ユニット101は、内部に照明装置や、光学系や、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサを有するスキャナであり、照明装置で照明した原稿の反射光を光学系を通じてイメージセンサで読み取る。
【0087】
画像形成ユニット103は、記録紙を手差しする手差ローラ104や、記録紙を供給する記録紙供給ユニット107を有する。記録紙供給ユニット107は、多段の記録紙給紙カセットから記録紙を繰り出す機構を有する。供給された記録紙は、レジストローラ108を介して二次転写ベルトに送られる。
【0088】
二次転写ベルト上を搬送する記録紙は、転写部において一次転写ベルト上のトナー画像が転写される。
【0089】
また、画像形成ユニット103は、光書込装置109や、タンデム方式の作像ユニット(Y、M、C、K)105や、中間転写ベルト113や、上記二次転写ベルトなどを有する。作像ユニット105による作像プロセスにより、光書込装置109が書き込んだ画像を中間転写ベルト113上にトナー画像として形成する。
【0090】
具体的に、作像ユニット(Y、M、C、K)105は、4つの感光体ドラム(Y、M、C、K)を回転可能に有し、各感光体ドラムの周囲に、帯電ローラ、現像器、一次転写ローラ、クリーナーユニット、及び除電器を含む作像要素106をそれぞれ備える。各感光体ドラムにおいて作像要素106が機能し、感光体ドラム上の画像が各一次転写ローラにより中間転写ベルト113上に転写される。
【0091】
中間転写ベルト113は、各感光体ドラムと各一次転写ローラとの間のニップに、駆動ローラと従動ローラとにより張架して配置されている。中間転写ベルト113に一次転写されたトナー画像は、中間転写ベルト113の走行により、二次転写装置で二次転写ベルト上の記録紙に二次転写される。その記録紙は、二次転写ベルトの走行により、定着装置110に搬送され、記録紙上にトナー画像がカラー画像として定着する。その後、記録紙は、読取装置114(読取装置2に相当)を通って機外の排紙トレイへと排出される。読取装置114の対向位置には基準白板115が配置されている。なお、両面印刷の場合は、反転機構111により記録紙の表裏が反転されて、反転された記録紙が二次転写ベルト上へと送られる。
【0092】
このように、実施例1に示す読取装置2を画像形成装置に備えることで、高色再現性を有した画像形成装置を提供することができる。また、色変換式の生成に用いる基準チャートを画像形成装置自身の色材で印刷し、それを用いて色変換式を生成することで、画像形成装置自身が持つ印刷特性に最適化された色変換式の生成が可能となり、より色変換精度を向上させることができる。
【0093】
また、液晶ディスプレイや、板金塗装や、高演色色材などは色検査を行う工程がある。実施例1の読取装置2は、画像形成装置に限らず、それらの色検査の工程に適用することも可能であり、その場合、高い検査性能を有した検査装置を提供することが可能になる。
【0094】
(実施例3)
図1に示す情報検出装置1は、TOF(Time Of Flight)型測距装置などへの適用も可能である。TOFは任意の物体に当てた光が戻るまでの飛行時間を測定することで距離を計測する測距方法である。TOFでは、キャリブレーション用に基準対象から取得した第一光の飛行時間を第一情報、測定対象から取得した第二光の飛行時間を第二情報、第一光の飛行時間を用いて飛行時間を距離情報に変換する手段を情報変換部、測定対象の距離情報を第三情報、第一光と第二光の光波長を情報取得条件、それら光波長を同じ波長に固定化する手段を情報取得制御部と考える。この場合、第一光と第二光の光波長に差異があると飛行時間の重みが変わるため測距誤差となるが、図1に示す情報検出装置1により、第一光と第二光の光波長を同じにして飛行時間の相関を高めることで距離情報への変換精度を向上させることができる。すなわち、測距精度を上げることができる。
【0095】
本実施の形態の情報検出装置の制御部(各実施例および変形例の制御部も含む)は、専用のハードウェアで構成してもよいし、汎用のコンピュータで構成してもよい。汎用のコンピュータにおいては、CPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)等に格納されたプログラムを実行することにより、上記各種の動作を行う機能部を制御部に実現し、各種動作や、各部の制御を行う。当該プログラムは、ROMに予め組み込んで提供してもよい。また、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 情報検出装置
11 取得部
12 情報変換部
13 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】
【文献】特開2012-100225号公報
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