(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】検査装置、画像読取装置、画像形成装置、算出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20220531BHJP
H04N 1/401 20060101ALI20220531BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
H04N1/04 D
H04N1/12 Z
H04N1/401
B41J29/393 103
(21)【出願番号】P 2018093777
(22)【出願日】2018-05-15
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】和田 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】中澤 政元
(72)【発明者】
【氏名】稲毛 修
(72)【発明者】
【氏名】橋本 英樹
(72)【発明者】
【氏名】二角 大祐
(72)【発明者】
【氏名】池本 龍馬
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-053606(JP,A)
【文献】特開平07-245713(JP,A)
【文献】特開2008-147816(JP,A)
【文献】特開2011-030174(JP,A)
【文献】特開2009-071638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/401
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に一定の濃度である均一なグレーパッチを有する無彩色基準部材と、
前記無彩色基準部材を画像読取手段に対向する読取位置に対して進退自在に保持する
ものであって前記無彩色基準部材を回転させる回転体と、
グレーバランス調整時に、前記
回転体の動作を制御して、前記無彩色基準部材を前記読取位置に
回転移動
させた後、前記回転体を停止させる移動体制御手段と、
グレーバランス調整時に、前記画像読取手段によって前記無彩色基準部材を読み取る読取制御手段と、
前記読取制御手段による読み取り結果に応じて、RGB各色毎に目標値になるように前記画像読取手段のグレーバランス調整係数を算出する算出手段と、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記
回転体によって前記読取位置に対して進退自在に保持され、シェーディング補正に用いる白色基準部材を更に備え、
前記移動体制御手段は、シェーディング補正時に、前記
回転体の動作を制御して、前記白色基準部材を前記読取位置に移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記移動体制御手段は、処理対象の読み取り時に、前記
回転体の動作を制御して、前記無彩色基準部材と前記白色基準部材とを、前記読取位置から回避する位置に移動する、
ことを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記読取制御手段は、前記移動体制御手段による前記回転体の停止後、前記回転体が安定するまでの時間を待って、前記画像読取手段による前記無彩色基準部材の読み取りを開始する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の検査装置。
【請求項5】
グレーバランス調整時の前記無彩色基準部材と前記画像読取手段との距離が、処理対象の読取時の前記画像読取手段と前記処理対象との距離と同じである、
ことを特徴とする請求項1乃至
4の何れか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記算出手段は、前記無彩色基準部材を主走査方向に分割した複数エリア毎に平均値を算出し、さらに全てのエリアの平均値を算出して、前記グレーバランス調整係数を算出する、
ことを特徴とする請求項1乃至
5の何れか一項に記載の検査装置。
【請求項7】
画像読取手段を有する読取デバイスと、
前記画像読取手段のグレーバランス調整を行う請求項1乃至
6の何れか一項に記載の検査装置と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
プリントエンジンと、
請求項
7に記載の画像読取装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
主走査方向に一定の濃度である均一なグレーパッチを有する無彩色基準部材と、前記無彩色基準部材を画像読取手段に対向する読取位置に対して進退自在に保持する
ものであって前記無彩色基準部材を回転させる回転体と、を備える検査装置で実行されるグレーバランス調整係数の算出方法であって、
グレーバランス調整時に、前記
回転体の動作を制御して、前記無彩色基準部材を前記読取位置に
回転移動
させた後、前記回転体を停止させる移動体制御工程と、
グレーバランス調整時に、前記画像読取手段によって前記無彩色基準部材を読み取る読取制御工程と、
前記読取制御工程による読み取り結果に応じて、RGB各色毎に目標値になるように前記画像読取手段のグレーバランス調整係数を算出する算出工程と、
を含むことを特徴とする算出方法。
【請求項10】
主走査方向に一定の濃度である均一なグレーパッチを有する無彩色基準部材と、前記無彩色基準部材を画像読取手段に対向する読取位置に対して進退自在に保持する
ものであって前記無彩色基準部材を回転させる回転体と、を備える検査装置を制御するコンピュータを、
グレーバランス調整時に、前記
回転体の動作を制御して、前記無彩色基準部材を前記読取位置に
回転移動
させた後、前記回転体を停止させる移動体制御手段と、
グレーバランス調整時に、前記画像読取手段によって前記無彩色基準部材を読み取る読取制御手段と、
前記読取制御手段による読み取り結果に応じて、RGB各色毎に目標値になるように前記画像読取手段のグレーバランス調整係数を算出する算出手段と、
として機能させためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、画像読取装置、画像形成装置、算出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置においては、画像読取手段である読取センサ(CCDやCIS)の分光感度のバラつき、赤外光成分を除去するための赤外カットフィルタの分光感度バラつき、光源(LED)の分光特性のバラつき等が生じる。これらのバラつきが生じることにより、同一のカラー原稿を読み取った読取データが、画像読取装置毎に異なる場合がある。
【0003】
そこで、上記の各種のバラつきを補正するため、無彩色の均一パターンが印刷された基準原稿を読み取り、RGB各色が目標値になるように色毎にレベル補正(以下、グレーバランス調整)を実施することが知られている。
【0004】
特許文献1には、黒減算部により減算された黒減算値に加減算を施す黒減算値補正部を備え、反射率の小さい部分でもグレーバランスを調整することによって、より広い反射率範囲でグレーバランスを保つことが可能な技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のグレーバランス調整方法では、画像形成装置で形成された基準原稿を調整対象となる画像読取手段で読み取るようにしている。すなわち、調整対象となる画像読取手段は、転写、定着等の搬送パスを通して形成された基準原稿を読み取る必要がある。したがって、従来のグレーバランス調整方法では、基準原稿にはトナー等の汚れや搬送による傷が生じることにより、読取誤差が生じて、グレーバランス調整を精度良く実施することは難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像読取手段のグレーバランス調整を省スペースで、精度良く実施することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、主走査方向に一定の濃度である均一なグレーパッチを有する無彩色基準部材と、前記無彩色基準部材を画像読取手段に対向する読取位置に対して進退自在に保持するものであって前記無彩色基準部材を回転させる回転体と、グレーバランス調整時に、前記回転体の動作を制御して、前記無彩色基準部材を前記読取位置に回転移動させた後、前記回転体を停止させる移動体制御手段と、グレーバランス調整時に、前記画像読取手段によって前記無彩色基準部材を読み取る読取制御手段と、前記読取制御手段による読み取り結果に応じて、RGB各色毎に目標値になるように前記画像読取手段のグレーバランス調整係数を算出する算出手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像読取手段のグレーバランス調整を省スペースで、精度良く実施することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる印刷システムのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、読取デバイスと基準部材との設置態様を示す模式図である。
【
図3】
図3は、回転部材に設けられた無彩色基準板を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、無彩色基準板の無彩色パターンを例示的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、印刷システムのハードウェアの電気的接続の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、検査装置に関わるハードウェアの電気的接続の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、印刷システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、読取デバイスと無彩色基準板および記録媒体との関係を示す図である。
【
図9】
図9は、グレーバランス調整時における無彩色基準板の読み取り動作のタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図10】
図10は、グレーバランス調整処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、グレーバランス調整処理における回転部材の回転動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、検査装置、画像読取装置、画像形成装置、算出方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。以下では、検査装置、画像読取装置、画像形成装置が、短時間で大量の枚数を連続して印刷する商業印刷機(プロダクションプリンティング機)などの印刷装置を含む印刷システムに適用された場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0011】
図1は、実施の形態にかかる印刷システム1のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図1に示すように、画像形成装置である印刷システム1は、印刷装置100と、検査装置200と、スタッカ300と、を備える。
【0012】
印刷装置100は、オペレーションパネル101と、タンデム式の電子写真方式の作像部103Y、103M、103C、103Kと、転写ベルト105と、二次転写ローラ107と、給紙部109と、搬送ローラ対102と、定着ローラ104と、反転パス106と、を備える。
【0013】
オペレーションパネル101は、印刷装置100や検査装置200に対して各種操作入力を行ったり、各種画面を表示したりする操作表示部である。
【0014】
作像部103Y、103M、103C、103Kは、それぞれ、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及びクリーニング工程)が行われることによりトナー像が形成され、形成されたトナー像を転写ベルト105に転写する。本実施の形態では、作像部103Y上にイエロートナー像が形成され、作像部103M上にマゼンダトナー像が形成され、作像部103C上にシアントナー像が形成され、作像部103K上にブラックトナー像が形成されるものとするが、これに限定されるものではない。
【0015】
転写ベルト105は、作像部103Y、103M、103C、及び103Kから重畳して転写されたトナー像(フルカラーのトナー画像)を二次転写ローラ107の二次転写位置に搬送する。本実施の形態では、転写ベルト105には、まず、イエロートナー像が転写され、続いて、マゼンダトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が順次重畳して転写されるものとするが、これに限定されるものではない。
【0016】
給紙部109は、処理対象(被搬送物)である複数の記録媒体が重ね合わせて収容されており、記録媒体を給紙する。記録媒体としては、例えば、記録紙(転写紙)が挙げられるが、これに限定されず、例えば、コート紙、厚紙、OHP(Overhead Projector)シート、プラスチックフィルム、及び銅箔など画像を記録可能な媒体であればどのようなものであってもよい。なお、本実施の形態においては、画像を形成する記録媒体を処理対象(被搬送物)としたが、これに限るものではなく、プリプレグなどの画像を形成する対象ではないシートなどを処理対象(被搬送物)としてもよい。
【0017】
搬送ローラ対102は、給紙部109により給紙された記録媒体を搬送路a上で矢印s方向に搬送する。
【0018】
二次転写ローラ107は、転写ベルト105により搬送されたフルカラーのトナー画像を、搬送ローラ対102により搬送された記録媒体上に二次転写位置で一括転写する。
【0019】
定着ローラ104は、フルカラーのトナー画像が転写された記録媒体を加熱及び加圧することにより、フルカラーのトナー画像を記録媒体に定着する。
【0020】
印刷装置100は、片面印刷の場合、フルカラーのトナー画像が定着された記録媒体である印刷物を検査装置200へ送る。一方、印刷装置100は、両面印刷の場合、フルカラーのトナー画像が定着された記録媒体を反転パス106へ送る。
【0021】
反転パス106は、送られた記録媒体をスイッチバックすることにより記録媒体の表面・裏面を反転して矢印t方向に搬送する。反転パス106により搬送された記録媒体は、搬送ローラ対102により再搬送され、二次転写ローラ107により前回と逆側の面にフルカラーのトナー画像が転写され、定着ローラ104により定着され、印刷物として、検査装置200およびスタッカ300へ送られる。
【0022】
印刷装置100の下流に位置する検査装置200は、画像読取装置としても機能し、検査専用の読取デバイス201と、基準部材202と、を備える。
【0023】
読取デバイス201は、例えば、複数の撮像素子(CMOSイメージセンサ)をライン状に並べたCIS(Contact Image Sensor:密着型イメージセンサ)等により実現できる。読取デバイス201は、読み取り対象からの反射光を受光して、画像信号を出力する。具体的には、読取デバイス201は、基準部材202を読取対象とする。
【0024】
読取デバイス201に適用されるCISは、一般的に、複数画素を有するセンサチップを主走査方向に複数配列することによって、必要な主走査方向の有効読取長を確保する構成で知られている。
【0025】
基準部材202は、グレーバランス調整に用いられる。グレーバランス調整は、読取デバイス201における、ラインセンサ(CIS)の分光感度のバラつき、赤外光成分を除去するための赤外カットフィルタの分光感度バラつき、光源(LED)の分光特性のバラつき等を補正するため、無彩色の均一パターンを読み取り、RGB各色が目標値になるように色毎にレベル補正を実施するものである。
【0026】
また、読取デバイス201は、印刷装置100から送られた記録媒体の搬送位置および当該記録媒体に対する処理位置(印刷位置)を読取対象とする。すなわち、印刷システム1は、検査専用の読取デバイス201を有する検査装置200を印刷装置100の後段に配置することで、印刷装置100から出力された記録媒体に対する画像読み取りを実行し、カラーキャリブレーション、位置検出等も実施可能である。
【0027】
検査装置200は、記録媒体をスタッカ300へ排紙する。
【0028】
スタッカ300は、トレイ301を備える。スタッカ300は、検査装置200により排紙された記録媒体をトレイ301にスタックする。
【0029】
次に、検査装置200における読取デバイス201と基準部材202とについて説明する。
【0030】
図2は、読取デバイス201と基準部材202との設置態様を示す模式図である。
図2に示すように、基準部材202は、移動体である回転部材203を備えている。回転部材203は、軸203aを中心として回転可能な回転体であり、モータ204により回転駆動される。回転部材203の表面には、無彩色基準部材である無彩色基準板205と、白色基準部材である白色基準板206とが設置されている。
【0031】
ここで、
図3は回転部材203に設けられた無彩色基準板205を示す斜視図である。
図3に示すように、無彩色基準板205は、平面を有する平板形状であって、主走査方向に一定の濃度である無彩色パターンが印刷されている印刷シートを貼り付けたものである。
【0032】
ここで、
図4は無彩色基準板205の無彩色パターンを例示的に示す平面図である。
図4に示すように、無彩色基準板205の無彩色パターンは、主走査方向に一定の濃度である均一なグレーパッチである。なお、
図4に示すように、無彩色パターンの検出は、主走査方向に分割した複数エリアで実施する。なお、
図4では、無彩色パターンを16エリアに分割しているが、他の分割数でも問題は無い。
【0033】
なお、無彩色基準板205は、無彩色パターンが平面上に塗布されたものであってもよい。なお、回転部材203の表面に対して印刷シートを接着剤や両面テープ等で直接貼り付けないのは、経時的に端部から印刷シートの剥がれが懸念されるためである。
【0034】
無彩色基準板205は、グレーバランス調整に用いられる。白色基準板206は、光学的な主走査ムラを補正するシェーディング補正と光量調整に用いられる。
【0035】
無彩色基準板205および白色基準板206は、回転部材203の回転に伴って所定のタイミングで読取デバイス201の対向面に配置される。すなわち、回転部材203は、無彩色基準板205および白色基準板206を読取デバイス201に対向する読取位置に対して進退自在に保持する。
【0036】
このような検査装置200によれば、検査装置200の内部に無彩色基準板205を設置することにより、グレーバランス調整にあたって基準原稿を搬送する必要はなく、グレーバランス調整を精度良く実施することが可能となる。
【0037】
また、検査装置200によれば、回転部材203に無彩色基準板205および白色基準板206を設置することにより、省スペースで、精度良くシェーディング補正、グレーバランス調整を実施することができる。
【0038】
図5は、印刷システム1のハードウェアの電気的接続の一例を示すブロック図である。
【0039】
図5に示すように、印刷システム1は、コントローラ10とエンジン部(Engine)60とエンジン部(Engine)70とモータ駆動部80とをPCIバスで接続した構成となる。コントローラ10は、印刷システム1の全体の制御、描画、通信、及び操作表示部であるオペレーションパネル101からの入力を制御するコントローラである。
【0040】
エンジン部60は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、読取デバイス201等のスキャナエンジンなどである。エンジン部60には、エンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分も含まれる。
【0041】
エンジン部70は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、作像部103Y、103M、103C、103Kを含むプロッタ等のプリントエンジンなどである。
【0042】
モータ駆動部80は、モータ204を接続する。
【0043】
コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM-P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM-C)17と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(HDD)18とを有し、ノースブリッジ(NB)13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続した構成となる。また、MEM-P12は、ROM12aと、RAM12bとをさらに有する。
【0044】
CPU11は、印刷システム1の全体制御を行うものであり、NB13、MEM-P12およびSB14からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0045】
NB13は、CPU11とMEM-P12、SB14、AGPバス15とを接続するためのブリッジであり、MEM-P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0046】
MEM-P12は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM12aとRAM12bとからなる。ROM12aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM12bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0047】
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
【0048】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス15、PCIバス、HDD18およびMEM-C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM-C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部60やエンジン部70との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC16には、PCIバスを介してUSB40、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース(I/F)50が接続される。オペレーションパネル101はASIC16に直接接続されている。
【0049】
MEM-C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD18は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0050】
AGPバス15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM-P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0051】
本実施の形態の印刷システム1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0052】
さらに、本実施の形態の印刷システム1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の印刷システム1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0053】
図6は、検査装置200に関わるハードウェアの電気的接続の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、読取デバイス201は、基準部材202や処理対象(被搬送物)に光を照射する光源201aと、基準部材202や処理対象(被搬送物)からの反射光を受光する画像読取手段である読取センサ(イメージセンサ)201bと、イメージセンサ201bから出力される画像信号(R、G、B)に対してA/D変換等を実施する信号処理部201cと、光源201aとイメージセンサ201bと信号処理部201cとを制御する制御部201dと、を備えている。
【0054】
また、信号処理部201cは、イメージセンサ201bから出力される画像信号(R、G、B)に対してシェーディング補正などを行う。
【0055】
図6に示すように、CPU11は、PCIバスを介して読取デバイス201とモータ駆動部80とを制御する。より詳細には、読取デバイス201は、CPU11からの撮像命令を受けて画像データの取得開始・停止を行う。また、モータ駆動部80は、CPU11からのモータ駆動命令を受けてモータパルスを出力する。モータ駆動部80は、出力したモータパルスをカウントする回路を内蔵しており、カウント値を任意のタイミングでCPU11にフィードバック可能である。
【0056】
次に、印刷システム1のCPU11がHDD18やROM12aに記憶されたプログラムを実行することによって発揮する機能について説明する。なお、ここでは従来から知られている機能については説明を省略し、本実施の形態の印刷システム1が発揮する特徴的な機能について詳述する。
【0057】
図7は、印刷システム1の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0058】
図7に示すように、印刷システム1のCPU11は、読取制御手段である読取制御部110、移動体制御手段であるモータ制御部111、算出手段である補正係数算出部112として機能する。なお、CPU11は、読取制御部110、モータ制御部111、補正係数算出部112の他に、読取デバイス201による読み取りの対象となる処理対象(被搬送物)を副走査方向に相対的に移動させる移動部等の機能を実現してもよいことは、いうまでもない。
【0059】
なお、本実施の形態においては、印刷システム1が発揮する特徴的な機能をCPU11がプログラムを実行することにより実現するものとしたが、これに限るものではなく、例えば、上述した各部の機能のうちの一部または全部が専用のハードウェア回路で実現されてもよい。
【0060】
モータ制御部111は、モータ駆動部80に対してモータ駆動命令を出力し、回転部材203を回転駆動する。また、モータ制御部111は、モータ駆動部80に対してモータ駆動停止命令を出力し、回転部材203の回転を停止する。
【0061】
より詳細には、モータ制御部111は、グレーバランス調整時に、回転部材203の動作を制御して、無彩色基準板205を読取デバイス201に対向する読取位置に回転移動させた後、回転部材203を停止させる。これにより、無彩色パターンの読取時のバラつきを軽減し、精度よくグレーバランス調整を実施することができる。
【0062】
ここで、
図8は読取デバイス201と無彩色基準板205および記録媒体211との関係を示す図である。
図8(a)に示すように、グレーバランス調整時に、無彩色基準板205は、読取デバイス201に対向する読取位置に回転制御される。
図8(b)は読取モード時の回転部材203の位置を示すものであり、無彩色基準板205および白色基準板206が読取デバイス201に対向しない位置に回転制御される。グレーバランス調整時における読取デバイス201と無彩色基準板205との距離Lは、
図8(b)に示す読取モード時の読取デバイス201と搬送面210上の記録媒体211との距離Lと同じになる。これにより、記録媒体211の読取時と無彩色基準板205の読取時の読取条件が同じため、光源の照明深度、焦点深度等の影響を最小限にして、読み取ることができる。そのため、グレーバランス調整を精度良く実施することが可能となる。
【0063】
なお、
図8(b)に示すように読取モード時において、無彩色基準板205および白色基準板206が読取デバイス201に対向しない位置に回転制御されるようにしたのは、無彩色基準板205および白色基準板206の汚れを防止するためである。
図8(b)に示すように読取モード時において、読取デバイス201は、記録媒体211の色情報、位置情報を検出する。
【0064】
読取制御部110は、読取デバイス201の制御部201dに対して撮像命令を出力し、読取デバイス201による読み取りを開始させる。また、読取制御部110は、読取デバイス201から読取信号を受け取ると、読取デバイス201の制御部201dに対して撮像終了命令を出力し、読取デバイス201による読み取りを終了させる。
【0065】
より詳細には、読取制御部110は、モータ制御部111による回転部材203の停止後、回転部材203の振動が安定するまでの時間を待って、読取デバイス201による無彩色基準板205の読み取りを開始する。このように回転部材203の停止時の振動が収まってから、無彩色基準板205を読み取ることから、精度よくグレーバランス調整を実施することができる。
【0066】
補正係数算出部112は、無彩色基準板205の読み取り結果に応じて、RGB各色毎に目標値になるようにグレーバランス補正係数を算出する。
【0067】
ここで、
図9はグレーバランス調整時における無彩色基準板205の読み取り動作のタイミングを示すタイミングチャートである。
図9に示すように、まず、無彩色基準板205が読取デバイス201に対向する読取位置へ回転部材203を移動させるモータ駆動命令がモータ制御部111からモータ駆動部80に対して発行され、これを受けたモータ駆動部80は、モータパルスの出力を開始する。
【0068】
このときモータ駆動部80は、同時に出力パルスのカウントを開始し、無彩色基準板205の初期位置から読取位置まで、すなわち白色基準板206の初期位置から読み取り開始位置までの移動量に等価なパルスをカウント後、カウント完了通知を読取制御部110にフィードバックする。
【0069】
カウント完了通知を受けた読取制御部110は、モータ振動期間(矢印A)後に撮像命令を発行し、これを受けた読取デバイス201の制御部201dは、画像の読み取りを開始する。
【0070】
以上の動作により、無彩色基準板205を停止させた状態で、かつ振動が収まった後に、無彩色基準データを取得することができる。
【0071】
次に、印刷システム1が実行するグレーバランス調整処理について説明する。印刷システム1は、通常の原稿読取の為の読取モードの他に、グレーバランス調整を行う調整スキャンモードを有している。
【0072】
概略的には、調整スキャンモードにおいて、検査装置200は、無彩色基準板205を読み取り、RGB各色毎に目標値になるようにグレーバランス補正係数を算出し、レベル調整(グレーバランス調整)を実施する。なお、無彩色基準板205は、あらかじめ測色器で測定しておく。そして、その測定結果からRGBの目標値を設定する。グレーバランス調整時、検査装置200は、設定された目標値になるようにグレーバランス補正係数をRGB毎に設定する。
【0073】
下記式(1)は、グレーバランス補正係数の算出式である。下記式(1)に示すように、補正係数算出部112は、グレーバランス補正係数(Xref)をRGB毎に求める。測色器より求めた目標値は、RGB毎に異なる。なお、通常、無彩色基準板205のグレーパッチの反射率は、中間調付近の反射率40%~60%としている。
【0074】
Xref_x=(255/gb_tgt_x)×(D-B)/(W-B) ・・・(1)
Xref_x ・・・ グレーバランス補正係数(x:r/g/b)
gb_tgt_x ・・・ 測色器より求めた目標値(x:r/g/b)
D ・・・ 無彩色基準板205のグレーパッチ読み取り値
W ・・・ 白色基準板206の読み取り値
B ・・・ 黒減算値
【0075】
なお、補正係数算出部112は、
図4に示すように無彩色基準板205を主走査方向に分割したエリア毎の読み取り値の平均値を算出し、さらに対象となる無彩色基準板205の全エリアの平均値を算出する。これにより、無彩色基準板205の無彩色パターン(グレーパッチ)にゴミが付着した場合であっても、読取精度の低下を最小限にすることができる。
【0076】
グレーバランス補正係数の反映方法としては、下記式(2)に示すように、シェーディング演算にグレーバランス補正係数を入れ込む方法がある。
Dout(n)=(D-B)/((W-B)×Xref_x)×255 ・・・(2)
【0077】
これにより、検査装置200のイメージセンサ201bのグレーバランス調整を省スペースで、精度良く実施する。
【0078】
次に、グレーバランス調整処理の流れについて説明する。
【0079】
図10はグレーバランス調整処理の流れを概略的に示すフローチャート、
図11はグレーバランス調整処理における回転部材203の回転動作を示す図である。
【0080】
図10に示すように、グレーバランス調整の実行時において、読取制御部110は、まず、読取デバイス201の光源201aをOFFした状態で、読取デバイス201のイメージセンサ201bの黒減算値を取得する(ステップS101)。
【0081】
その後、読取制御部110は、読取デバイス201の光源201aをONする(ステップS102)。
【0082】
その後、読取制御部110は、読取デバイス201の光源201aの光量安定時間だけ待機する(ステップS103)。
【0083】
一方、モータ制御部111は、モータ駆動部80を制御して回転部材203をホームポジションに移動するホーミングを実行する(ステップS201)。
【0084】
ホーミングの実行後、モータ制御部111は、シェーディング動作のために白色基準板206が読取デバイス201に対向する読取位置に位置付けられるように回転部材203の回転を開始する(ステップS202)。
【0085】
その後、モータ制御部111は、白色基準板206が読取デバイス201に対向する読取位置に位置付けられたところで回転部材203の回転を停止する(ステップS203)。モータ制御部111は、回転部材203の停止後、回転部材203の振動が安定するまで待機する(ステップS204)。
【0086】
図11(a)に示すように、シェーディング補正時、光量調整時に、白色基準板206は、読取デバイス201に対向する読取位置に位置付けられる。
【0087】
読取デバイス201の光源201aの光量安定時間の待機(ステップS103)、または回転部材203の振動安定時間の待機(ステップS204)のどちらか長い方のウェイト完了後(本実施の形態では、回転部材203の振動安定時間の方が長い)に、読取制御部110は、読取デバイス201を制御して白色基準板206の画像読取を実行する(ステップS104)。また、ウェイト完了後であって、白色基準板206の画像読取後、モータ制御部111は、グレーバランス調整動作のために無彩色基準板205が読取デバイス201に対向する読取位置に位置付けられるように回転部材203の逆回転を開始する(ステップS205)。
【0088】
なお、本実施の形態においては、回転部材203を停止した状態で、白色基準板206の画像読取を実施するようにしたが、回転部材203を逆回転しながら白色基準板206の画像読取を実施するようにしても良い。
【0089】
その後、モータ制御部111は、無彩色基準板205が読取デバイス201に対向する読取位置に位置付けられたところで回転部材203の回転を停止する(ステップS206)。モータ制御部111は、回転部材203の停止後、回転部材203の振動が安定するまで待機する(ステップS207)。
【0090】
図11(b)に示すように、グレーバランス調整時に、無彩色基準板205は、読取デバイス201に対向する読取位置に位置付けられる。
【0091】
回転部材203の振動安定時間の待機後(ステップS207)に、読取制御部110は、読取デバイス201を制御して無彩色基準板205の画像読取を実行する(ステップS105)。
【0092】
その後、モータ制御部111は、モータ駆動部80を制御して回転部材203をホームポジションに移動するホーミングを実行した後(ステップS208)、回転部材203の回転を停止する(ステップS209)。
【0093】
一方、補正係数算出部112は、無彩色基準板205を主走査方向に分割したエリア毎の読み取り値の平均値を算出し、さらに無彩色基準板205の全エリアの平均値を算出した後(ステップS106)、グレーバランス補正係数を算出する(ステップS107)。
【0094】
算出されたグレーバランス補正係数は、実際の画像読取時のシェーディング補正時にシェーディング演算に入れ込まれる。このようにしてグレーバランス補正係数を用いたシェーディング補正を実施することにより、グレーバランスされた読取値となる。
【0095】
このように本実施の形態によれば、検査装置200のグレーバランス調整を回転部材203に設置されたグレーパッチを有するが無彩色基準板205を読み取って実施するので、検査装置200のイメージセンサ201bのグレーバランス調整を省スペースで、精度良く実施することができる。
【0096】
なお、本実施の形態においては、回転部材203の表面に、無彩色基準板205と白色基準板206とを設置するようにしたが、これに限るものではない。ここで、
図12は基準部材202の変形例を示す図である。
図12に示すように、例えば、無彩色基準板205と白色基準板206とを移動体である板状部材207に保持し、読取デバイス201に対向する読取位置に対して無彩色基準板205と白色基準板206とを矢印Bの方向にそれぞれ進退自在に移動するようにしてもよい。
【0097】
なお、本実施の形態においては、読取デバイス201として、所謂、等倍光学系であるCISを適用したが、これに限るものではない。例えば、読取デバイス201は、光源と、複数の反射部材(ミラー)と、結像レンズ、リニアイメージセンサ(読取センサ)などで構成される、所謂、縮小光学系の読み取りデバイスであっても構わない。
【0098】
なお、本実施の形態では、本発明の検査装置、画像読取装置、画像形成装置を、電子写真方式の印刷装置を含む印刷システムに適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、インクジェット方式の印刷装置を含む印刷システムにも適用することができる。
【0099】
また、本実施の形態では、本発明の検査装置、画像読取装置、画像形成装置を、商業印刷機(プロダクションプリンティング機)などの印刷装置を含む印刷システムに適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0100】
さらに、本実施の形態では、本発明の検査装置、画像読取装置を、画像形成分野に適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えばFA分野における検品などの様々な分野に応用が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 読取装置、画像形成装置
70 プリントエンジン
110 読取制御手段
111 移動体制御手段
112 算出手段
200 検査装置
201 読取デバイス
201b 画像読取手段
203、207 移動体
205 無彩色基準部材
206 白色基準部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】