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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】撮像光学系、撮像システム及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 37/00 20210101AFI20220531BHJP
   G02B 13/04 20060101ALI20220531BHJP
   G02B 13/06 20060101ALI20220531BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20220531BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220531BHJP
   G03B 19/06 20210101ALI20220531BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20220531BHJP
【FI】
G03B37/00 A
G02B13/04 D
G02B13/06
G02B13/18
G03B15/00 W
G03B19/06
G03B19/07
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018237191
(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公開番号】P2019152849
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2018037303
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕之
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/103446(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0088762(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03190780(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0045773(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0278731(US,A1)
【文献】特開2013-218160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 37/00
G02B 13/04
G02B 13/06
G02B 13/18
G03B 15/00
G03B 19/06
G03B 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設けられた撮像光学系であって、
前記撮像光学系は、2つの光学系と、前記2つの光学系のそれぞれに対応する2つの撮像センサと、を有し、
前記2つの光学系は同一構造であり、それぞれ、
物体側から像側に向かって前群と後群とを有し、
前記前群と前記後群との間に第1の光路変更部が配置され、
前記第1の光路変更部と前記後群との間に第2の光路変更部が配置され、
前記後群と前記撮像センサとの間に第3の光路変更部が配置され、
前記2つの光学系のそれぞれの前群は、前記筐体の前後方向において逆向きであり、且つ前記筐体の前後方向の軸に平行な共通の光軸上に設けられており、
前記2つの光学系のそれぞれの撮像センサは、前記筐体の上下方向において前記前群よりも下方であり、前記前群の光軸とそれぞれの撮像センサの撮像面とが平行となるように、撮像面と反対側の面を背中合わせとしてそれぞれの撮像面が前記筐体の左右方向において外側を向いて配置され、
前記2つの光学系の前記第1の光路変更部のそれぞれは、前記前群から前記第2の光路変更部に至るそれぞれの光路を、前記筐体の左右方向において互いに離れる向きに折り曲げ、
前記2つの光学系の前記第2の光路変更部のそれぞれは、前記第1の光路変更部から前記後群に至るそれぞれの光路を、前記筐体の上下方向において下向きに折り曲げ、
前記2つの光学系の前記第3の光路変更部のそれぞれは、前記後群から前記撮像センサに至るそれぞれの光路を、前記筐体の左右方向において互いに近付く向きに折り曲げる、
ことを特徴とする撮像光学系。
【請求項2】
記第1の光路変更部と前記第2の光路変更部との間に、絞りが設けられる、
ことを特徴とする請求項に記載の撮像光学系。
【請求項3】
記絞りは、前記撮像センサの出力に基づいて、絞りの開口が設定される、
ことを特徴とする請求項に記載の撮像光学系。
【請求項4】
前記第3の光路変更部は、出射面が凸面を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像光学系。
【請求項5】
前記第3の光路変更部のあとに凸面のレンズが設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像光学系。
【請求項6】
筐体内に設けられた撮像光学系を有する撮像システムであって、
前記撮像光学系は、2つの光学系と、前記2つの光学系のそれぞれに対応する2つの撮像センサと、を有し、
前記2つの光学系は同一構造であり、それぞれ、
物体側から像側に向かって前群と後群とを有し、
前記前群と前記後群との間に第1の光路変更部が配置され、
前記第1の光路変更部と前記後群との間に第2の光路変更部が配置され、
前記後群と前記撮像センサとの間に第3の光路変更部が配置され、
前記2つの光学系のそれぞれの前群は、前記筐体の前後方向において逆向きであり、且つ前記筐体の前後方向の軸に平行な共通の光軸上に設けられており、
前記2つの光学系のそれぞれの撮像センサは、前記筐体の上下方向において前記前群よりも下方であり、前記前群の光軸とそれぞれの撮像センサの撮像面とが平行となるように、撮像面と反対側の面を背中合わせとしてそれぞれの撮像面が前記筐体の左右方向において外側を向いて配置され、
前記2つの光学系の前記第1の光路変更部のそれぞれは、前記前群から前記第2の光路変更部に至るそれぞれの光路を、前記筐体の左右方向において互いに離れる向きに折り曲げ、
前記2つの光学系の前記第2の光路変更部のそれぞれは、前記第1の光路変更部から前記後群に至るそれぞれの光路を、前記筐体の上下方向において下向きに折り曲げ、
前記2つの光学系の前記第3の光路変更部のそれぞれは、前記後群から前記撮像センサに至るそれぞれの光路を、前記筐体の左右方向において互いに近付く向きに折り曲げる、
ことを特徴とする撮像システム。
【請求項7】
撮像光学系を内側に含む筐体を有する撮像装置であって、
前記撮像光学系は、2つの光学系と、前記2つの光学系のそれぞれに対応する2つの撮像センサと、を有し、
前記2つの光学系は同一構造であり、それぞれ、
物体側から像側に向かって前群と後群とを有し、
前記前群と前記後群との間に第1の光路変更部が配置され、
前記第1の光路変更部と前記後群との間に第2の光路変更部が配置され、
前記後群と前記撮像センサとの間に第3の光路変更部が配置され、
前記2つの光学系のそれぞれの前群は、前記筐体の前後方向において逆向きであり、且つ前記筐体の前後方向の軸に平行な共通の光軸上に設けられており、
前記2つの光学系のそれぞれの撮像センサは、前記筐体の上下方向において前記前群よりも下方であり、前記前群の光軸とそれぞれの撮像センサの撮像面とが平行となるように、撮像面と反対側の面を背中合わせとしてそれぞれの撮像面が前記筐体の左右方向において外側を向いて配置され、
前記2つの光学系の前記第1の光路変更部のそれぞれは、前記前群から前記第2の光路変更部に至るそれぞれの光路を、前記筐体の左右方向において互いに離れる向きに折り曲げ、
前記2つの光学系の前記第2の光路変更部のそれぞれは、前記第1の光路変更部から前記後群に至るそれぞれの光路を、前記筐体の上下方向において下向きに折り曲げ、
前記2つの光学系の前記第3の光路変更部のそれぞれは、前記後群から前記撮像センサに至るそれぞれの光路を、前記筐体の左右方向において互いに近付く向きに折り曲げる、
ことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像光学系、撮像システム及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、180度より広い画角を持つ広角レンズと、この広角レンズによる像を撮像する撮像センサとを有する同一構造の撮像系を2つ組み合わせ、各撮像系によって撮像された像を合成して4πラジアンの立体角内の像を得る、全天球型の撮像システムについて、特許出願を行い、特許権を取得している(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-056048号公報
【文献】特許第6019970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような全天球型の撮像システムでは、撮像システムの小型化(薄型化)を図るとともに、キャリブレーションで貼り合わせられる2つの画像の重なり量である「視差」を小さくすることが要求される。この要求に応えるべく、特許文献1、2では、2つの撮像系にプリズム(反射面)を設けることで、2つの撮像系の最も物体側のレンズに対する最大画角光線の入射位置の間の距離(最大画角間距離)を小さくしている。
【0005】
一方、従来の全天球型の撮像システムにおいて、より高品質な画像を得るために、撮像センサを大型化することが考えられる。この場合、撮像センサを設けるスペースを確保するために最大画角間距離が大きくなるので(大きくせざるを得ないので)、撮像システムが大型化(厚肉化)するとともに、視差が大きくなって画像品質が劣化するという問題がある。すなわち、従来の全天球型の撮像システムでは、最大画角間距離ひいては視差を小さくしようとしても、撮像センサのサイズによる制約が避けられなかった。また、撮像センサを大型化した場合、当該撮像センサの前方(物体側)に位置するレンズが大型化して光路長が大きくなる結果、やはり、撮像システムが大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、以上の問題意識に基づいてなされたものであり、撮像センサの大型化並びに撮像システム及び撮像装置の小型化(薄型化)を両立するとともに、最大画角間距離ひいては視差を小さくして高品質な画像を得ることができる撮像光学系、撮像システム及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の撮像光学系は、筐体内に設けられた撮像光学系であって、前記撮像光学系は、2つの光学系と、前記2つの光学系のそれぞれに対応する2つの撮像センサと、を有し、前記2つの光学系は同一構造であり、それぞれ、物体側から像側に向かって前群と後群とを有し、前記前群と前記後群との間に第1の光路変更部が配置され、前記第1の光路変更部と前記後群との間に第2の光路変更部が配置され、前記後群と前記撮像センサとの間に第3の光路変更部が配置され、前記2つの光学系のそれぞれの前群は、前記筐体の前後方向において逆向きであり、且つ前記筐体の前後方向の軸に平行な共通の光軸上に設けられており、前記2つの光学系のそれぞれの撮像センサは、前記筐体の上下方向において前記前群よりも下方であり、前記前群の光軸とそれぞれの撮像センサの撮像面とが平行となるように、撮像面と反対側の面を背中合わせとしてそれぞれの撮像面が前記筐体の左右方向において外側を向いて配置され、前記2つの光学系の前記第1の光路変更部のそれぞれは、前記前群から前記第2の光路変更部に至るそれぞれの光路を、前記筐体の左右方向において互いに離れる向きに折り曲げ、前記2つの光学系の前記第2の光路変更部のそれぞれは、前記第1の光路変更部から前記後群に至るそれぞれの光路を、前記筐体の上下方向において下向きに折り曲げ、前記2つの光学系の前記第3の光路変更部のそれぞれは、前記後群から前記撮像センサに至るそれぞれの光路を、前記筐体の左右方向において互いに近付く向きに折り曲げる、ことを特徴としている。
【0008】
本実施形態の撮像システムは、筐体内に設けられた撮像光学系を有する撮像システムであって、前記撮像光学系は、2つの光学系と、前記2つの光学系のそれぞれに対応する2つの撮像センサと、を有し、前記2つの光学系は同一構造であり、それぞれ、物体側から像側に向かって前群と後群とを有し、前記前群と前記後群との間に第1の光路変更部が配置され、
前記第1の光路変更部と前記後群との間に第2の光路変更部が配置され、前記後群と前記撮像センサとの間に第3の光路変更部が配置され、前記2つの光学系のそれぞれの前群は、前記筐体の前後方向において逆向きであり、且つ前記筐体の前後方向の軸に平行な共通の光軸上に設けられており、前記2つの光学系のそれぞれの撮像センサは、前記筐体の上下方向において前記前群よりも下方であり、前記前群の光軸とそれぞれの撮像センサの撮像面とが平行となるように、撮像面と反対側の面を背中合わせとしてそれぞれの撮像面が前記筐体の左右方向において外側を向いて配置され、前記2つの光学系の前記第1の光路変更部のそれぞれは、前記前群から前記第2の光路変更部に至るそれぞれの光路を、前記筐体の左右方向において互いに離れる向きに折り曲げ、前記2つの光学系の前記第2の光路変更部のそれぞれは、前記第1の光路変更部から前記後群に至るそれぞれの光路を、前記筐体の上下方向において下向きに折り曲げ、前記2つの光学系の前記第3の光路変更部のそれぞれは、前記後群から前記撮像センサに至るそれぞれの光路を、前記筐体の左右方向において互いに近付く向きに折り曲げる、ことを特徴としている。
【0009】
本実施形態の撮像装置は、撮像光学系を内側に含む筐体を有する撮像装置であって、前記撮像光学系は、2つの光学系と、前記2つの光学系のそれぞれに対応する2つの撮像センサと、を有し、前記2つの光学系は同一構造であり、それぞれ、物体側から像側に向かって前群と後群とを有し、前記前群と前記後群との間に第1の光路変更部が配置され、前記第1の光路変更部と前記後群との間に第2の光路変更部が配置され、前記後群と前記撮像センサとの間に第3の光路変更部が配置され、前記2つの光学系のそれぞれの前群は、前記筐体の前後方向において逆向きであり、且つ前記筐体の前後方向の軸に平行な共通の光軸上に設けられており、前記2つの光学系のそれぞれの撮像センサは、前記筐体の上下方向において前記前群よりも下方であり、前記前群の光軸とそれぞれの撮像センサの撮像面とが平行となるように、撮像面と反対側の面を背中合わせとしてそれぞれの撮像面が前記筐体の左右方向において外側を向いて配置され、前記2つの光学系の前記第1の光路変更部のそれぞれは、前記前群から前記第2の光路変更部に至るそれぞれの光路を、前記筐体の左右方向において互いに離れる向きに折り曲げ、前記2つの光学系の前記第2の光路変更部のそれぞれは、前記第1の光路変更部から前記後群に至るそれぞれの光路を、前記筐体の上下方向において下向きに折り曲げ、前記2つの光学系の前記第3の光路変更部のそれぞれは、前記後群から前記撮像センサに至るそれぞれの光路を、前記筐体の左右方向において互いに近付く向きに折り曲げる、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像センサの大型化並びに撮像システム及び撮像装置の小型化(薄型化)を両立するとともに、最大画角間距離ひいては視差を小さくして高品質な画像を得ることができる撮像光学系、撮像システム及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態による撮像システムを左方から見た図である。
図2】第1実施形態による撮像システムを後方から見た図である。
図3】第1実施形態による撮像システムを上方から見た図である。
図4】広角レンズ系及び撮像センサを展開して描いた図である。
図5】第2実施形態による撮像システムの広角レンズ系及び撮像センサを示す斜視図である。
図6】第3実施形態による撮像システムの広角レンズ系及び撮像センサを示す斜視図である。
図7】第4実施形態による撮像システムの広角レンズ系及び撮像センサを示す斜視図である。
図8図2において、第3プリズムに代えてミラーを用いた変形例を示す図である。
図9】撮像システムを前方、後方から見た外観構成図(正面図、背面図)である。
図10】撮像システムを右方、左方から見た外観構成図(右側面図、左側面図)である。
図11】撮像システムを上方、下方から見た外観構成図(平面図、底面図)である。
図12】筐体に撮像ユニットを組み付けた状態における両者の位置関係を示す図である。
図13図9のXIII-XIII線に沿う断面図である。
図14図9のXIV-XIV線に沿う断面図である。
図15図9のXV-XV線に沿う断面図である。
図16】撮像システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪第1実施形態≫
図1図4を参照して、第1実施形態による撮像システム1について詳細に説明する。以下の説明中の前、後、上、下、左、右の各方向は、各図に記載した矢線方向を基準とする。
【0013】
撮像システム1は、最も物体側のレンズが異なる方向を向いて各々設けられている2つの広角レンズ系(魚眼レンズ系、光学系、撮像光学系)A、Bと、2つの広角レンズ系A、Bによる像が結像する2つの撮像センサAI、BIと、各2つの広角レンズ系A、Bと撮像センサAI、BIを内側に含む筐体10とを有している。図1図3では、筐体10を模式的に仮想線(二点鎖線)で描いている。各2つの広角レンズ系A、Bと撮像センサAI、BIは、同一仕様とすることができる。広角レンズ系A、Bは、180度より広い画角を有している。撮像システム1は、撮像センサAI、BIが結像した2つの像を合成することにより4πラジアンの立体角内の像を得る、全天球型の撮像システムとすることができる。
【0014】
広角レンズ系Aは、物体側から像側に向かって順に、負の前群AFと、第1プリズム(第1の光路変更部)AP1と、絞りASと、第2プリズム(第2の光路変更部)AP2と、正の後群ARと、第3プリズム(第3の光路変更部)AP3とを有している。負の前群AFは、180°より大きい高画角の光線を取り込む機能を持ち、正の後群ARは、結像画像の収差を補正する機能を持つ。絞りASは、図1図3では図示を省略して、図4の展開図のみに描いている。
【0015】
負の前群AFは、前方から入射した被写体光束を発散させながら後方に出射する。第1プリズムAP1は、負の前群AFから入射した被写体光束を左方に90°反射する。絞りASは、第1プリズムAP1が反射した被写体光束の透過する量を設定する。第2プリズムAP2は、絞りASが透過する光量を設定した被写体光束を下方に90°反射する。正の後群ARは、第2プリズムAP2が反射した被写体光束を収束させながら下方に出射する。第3プリズムAP3は、正の後群ARから入射した被写体光束を右方に90°反射して、撮像センサAIの撮像面に結像させる。第3プリズムAP3の出射面には、撮像センサAIの撮像面に向かって突出する凸面AP3Xが形成されている。負の前群AF及び正の後群ARは、それぞれ、図4に示すように複数枚のレンズで構成される(図1図3では代表的な符号としてAF及びARを示している)。
【0016】
広角レンズ系Bは、物体側から像側に向かって順に、負の前群BFと、第1プリズム(第1の光路変更部)BP1と、絞りBSと、第2プリズム(第2の光路変更部)BP2と、正の後群BRと、第3プリズム(第3の光路変更部)BP3とを有している。負の前群BFは、180°より大きい高画角の光線を取り込む機能を持ち、正の後群BRは、結像画像の収差を補正する機能を持つ。
【0017】
負の前群BFは、後方から入射した被写体光束を発散させながら前方に出射する。第1プリズムBP1は、負の前群BFから入射した被写体光束を右方に90°反射する。絞りBSは、第1プリズムBP1が反射した被写体光束の透過する量を設定する。第2プリズムBP2は、絞りBSが透過する光量を設定した被写体光束を下方に90°反射する。正の後群BRは、第2プリズムBP2が反射した被写体光束を収束させながら下方に出射する。第3プリズムBP3は、正の後群BRから入射した被写体光束を左方に90°反射して、撮像センサBIの撮像面に結像させる。第3プリズムBP3の出射面には、撮像センサBIの撮像面に向かって突出する凸面BP3Xが形成されている。負の前群BF及び正の後群BRは、それぞれ、図4に示すように複数枚のレンズで構成される(図1図3では代表的な符号としてBF及びBRを示している)。
【0018】
広角レンズ系A、Bの撮像センサAI、BIは、撮像センサAIの撮像面が左方を向き、撮像センサBIの撮像面が右方を向き、撮像センサAI、BIの撮像面とは反対側の面がそれぞれ向き合って設けられている。
【0019】
図4は、広角レンズ系A、B及び撮像センサAI、BIを展開して描いた図である。図4は、第1プリズムAP1~第3プリズムAP3及び第1プリズムBP1~第3プリズムBP3による反射方向を無視して描いている。従って、図4における広角レンズ系A、B及び撮像センサAI、BIの構成は同一(共通)となる。
【0020】
以下のレンズデータにおいて、fは全系の焦点距離、fNOはFナンバ、wは画角を意味している。面番号は物体側から像側に向かって1~28とし、これらはレンズ面、プリズムの入射面・出射面、撮像センサの撮像面等を示している。Rは各面の曲率半径(非球面にあっては近軸曲率半径)、Dは面間隔、Ndはd線に対する屈折率、νdはd線に対するアッベ数を示している。物体距離は無限遠である。長さの次元を持つ量の単位は「mm」である。
【0021】
レンズデータ
f=2.6(mm)、fNO=2.15、w=100(°)
面番号 R D Nd νd
1(負の前群) 30.68 1.20 1.85 23.78
2(負の前群) 11.83 2.65
3*(負の前群) 57.01 0.80 1.85 40.39
4*(負の前群) 7.23 4.52
5*(負の前群) -20.36 0.70 1.82 42.71
6*(負の前群) 308.51 0.20
7(第1プリズム) Infinity 9.30 1.82 46.62
8(第1プリズム) Infinity 3.90
9(第2プリズム) Infinity 8.00 1.82 46.62
10(第2プリズム) Infinity 0.50
11*(正の後群) 25.81 3.21 2.00 19.32
12*(正の後群) -31.14 0.17
13*(正の後群) 66.44 3.30 1.73 54.04
14*(正の後群) 90.73 0.26
15(正の後群) 34.26 2.87 1.73 54.68
16(正の後群) -10.30 0.84 1.85 23.78
17(正の後群) 19.44 0.10
18(正の後群) 8.62 5.20 1.50 81.55
19(正の後群) -8.62 0.70 1.85 23.78
20(正の後群) 21.73 0.10
21(正の後群) 18.00 2.80 1.70 55.46
22*(正の後群) -12.67 0.13
23(第3プリズム) Infinity 10.40 1.88 40.77
24(第3プリズム) Infinity 1.67 1.62 63.86
25*(凸面) -8.52 0.52
26(カバーガラス) Infinity 0.50 1.52 64.14
27(カバーガラス) Infinity 1.20
28(撮像面) Infinity 0.00 0.00
【0022】
上記レンズデータで*を付した面は非球面である。非球面形状は、次式で表される。
X=CH/[1+√{1-(1+K)C}]
+A4・H+A6・H+A8・H+A10・H10+A12・H12+A14・
14+A16・H16
この式において、Cは近軸曲率半径の逆数(近軸曲率)、Hは光軸からの高さ、Kは円錐定数、A1等は各次数の非球面係数、Xは光軸方向における非球面量である。
上記近軸曲率半径:Rと円錐定数:K、非球面係数:A1~A16を与えて形状を特定する。
【0023】
非球面データ
第3面
4th:1.13E-05
6th:6.96E-06
8th:-5.49E-08
10th:-1.82E-10
12th:-2.57E-13
14th:9.79E-14
16th:-5.42E-16
第4面
4th:-1.07E-03
6th:4.27E-05
8th:-7.88E-07
10th:-5.07E-09
12th:7.20E-10
14th:-1.43E-12
16th:-4.65E-13
第5面
4th:-1.24E-03
6th:2.65E-05
8th:-3.95E-06
10th:1.41E-07
12th:-1.45E-09
14th:1.89E-10
16th:-5.43E-12
第6面
4th:-5.49E-04
6th:1.62E-06
8th:-1.89E-06
10th:1.05E-07
第11面
4th:1.02E-04
6th:-1.34E-06
8th:1.08E-07
10th:-1.61E-08
12th:-2.61E-10
14th:3.19E-11
第12面
4th:2.05E-04
6th:-1.82E-05
8th:4.81E-07
10th:6.15E-08
12th:-4.91E-09
14th:9.99E-11
第13面
4th:1.18E-04
6th:-2.45E-05
8th:1.17E-06
10th:2.06E-08
12th:-4.26E-10
14th:-6.40E-11
16th:1.01E-12
第14面
4th:2.94E-08
6th:7.20E-07
8th:-8.02E-08
10th:1.83E-08
12th:2.72E-10
14th:-6.13E-12
16th:-1.10E-12
第22面
4th:3.00E-04
6th:1.19E-05
8th:-8.80E-07
10th:3.68E-08
12th:-9.95E-10
14th:1.19E-11
第25面
4th:4.82E-03
6th:-4.70E-04
8th:3.03E-05
10th:-1.13E-06
12th:2.27E-08
14th:-1.87E-10
【0024】
上記の非球面データにおいて、「E-a」は「×10-a」を意味している。また「4th~16th」は「A4~A16」を意味している。
【0025】
負の前群AF、BFは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL2と、両凹負レンズL3とを有している。負メニスカスレンズL2は、両面に非球面を有している。両凹負レンズL3は、両面に非球面を有している。
【0026】
正の後群AR、BRは、物体側から順に、両凸正レンズL4と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5と、両凸正レンズL6と、両凹負レンズL7と、両凸正レンズL8と、両凹負レンズL9と、両凸正レンズL10とを有している。両凸正レンズL4は、両面に非球面を有している。正メニスカスレンズL5は、両面に非球面を有している。両凸正レンズL10は、像側の面に非球面を有している。両凸正レンズL6と両凹負レンズL7は、接合されている。両凸正レンズL8と両凹負レンズL9は、接合されている。
【0027】
上記で説明した負の前群AF、BFと正の後群AR、BRの構成はあくまで一例であり、負の前群AF、BFと正の後群AR、BRの構成については、種々の設計変更が可能である。また、前群AF、BFは負のパワーでなく正のパワーを有していてもよいし、後群AR、BRは正のパワーではなく負のパワーを有していてもよい。
【0028】
以上のように構成された撮像システム1では、広角レンズ系Aの負の前群AFと広角レンズ系Bの負の前群BFが前後方向に逆向き且つ同一(共通)の光軸上に設けられる。また、第1プリズムAP1と第2プリズムAP2によって各90°折り曲げられて上下方向に延びる正の後群ARと、第1プリズムBP1と第2プリズムBP2によって各90°折り曲げられて上下方向に延びる正の後群BRとが、左右方向に離間して互いに平行をなすように設けられる。また、第3プリズムAP3によって90°右方に折り曲げられた箇所にある撮像センサAIと、第3プリズムBP3によって90°左方に折り曲げられた箇所にある撮像センサBIとが、両者の撮像面を左右方向に向けるとともに、撮像面と反対側の面を背中合わせにして設けられる。撮像システム1を筐体10に搭載すると、広角レンズ系Aの負の前群AFの物体側のレンズが筐体10の前方に突出(露出)し、広角レンズ系Bの負の前群BFの物体側のレンズが筐体10の後方に突出(露出)し、その他の構成要素が筐体10の内部に収納される。
【0029】
すなわち、広角レンズ系A、Bは、筐体10の上方において前後方向に対向する前群AF、BFと、筐体10の上方から下方に向かって平行に延びる後群AR、BRと、を有している。また、広角レンズ系A、Bの各々は、プリズム(光路変更部)として、筐体10の上方において前群AF、BFを通過した被写体光束の光路を左右方向に変更する第1プリズム(第1の光路変更部)AP1、BP1と、筐体10の上方において第1プリズム(第1の光路変更部)AP1、BP1を通過した被写体光束の光路を上下方向に変更する第2プリズム(第2の光路変更部)AP2、BP2と、筐体10の下方において後群AR、BRを通過した被写体光束の光路を左右方向に変更する第3プリズム(第3の光路変更部)AP3、BP3とを有している。これにより、筐体10の内部に撮像光学系ないし撮像システム1を高いレイアウト効率で設けてコンパクト化を図ることが可能になる。
【0030】
いま、2つの広角レンズ系A、B及び/又は2つの撮像センサAI、BIにより規定される「対向平面」及び「対向空間」を定義する。
【0031】
「対向平面」は、例えば、広角レンズ系Aの負の前群AFと広角レンズ系Bの負の前群BFの同一(共通)の光軸に直交する平面、及び/又は、広角レンズ系Aの正の後群ARの光軸と広角レンズ系Bの正の後群BRの光軸の双方を含む平面として特定することができる。本実施形態では、上、下、左、右の各方向を含む平面が「対向平面」に該当する。例えば、図2の紙面が「対向平面」に該当する。
【0032】
「対向空間」は、例えば、広角レンズ系Aの負の前群AFの最も物体側に設けられている各々のレンズ面を含む光軸に直交する平面と、広角レンズ系Bの負の前群BFの最も物体側に設けられている各々のレンズ面を含む光軸に直交する平面と、の間に形成される空間として特定することができる。図1に「対向空間」を示した。
【0033】
このとき、広角レンズ系Aの第1プリズムAP1~第3プリズムAP3、及び、広角レンズ系Bの第1プリズムBP1~第3プリズムBP3は、上述の「対向平面内」且つ/又は「対向空間内」で、撮像センサAI、BIに至る光路を3回(少なくとも2回)変更している。より具体的に、広角レンズ系Aの第1プリズムAP1~第2プリズムAP2は、負の前群AFと正の後群ARの間で被写体光束を2回反射(光路を変更)し、広角レンズ系Bの第1プリズムBP1~第2プリズムBP2は、負の前群BFと正の後群BRの間で被写体光束を2回反射(光路を変更)する。また、広角レンズ系Aの第3プリズムAP3は、正の後群ARと撮像センサAIの間で被写体光束を1回反射(光路を変更)し、広角レンズ系Bの第3プリズムBP3は、正の後群BRと撮像センサBIの間で被写体光束を1回反射(光路を変更)する。
【0034】
このように、2つの広角レンズ系A、B及び/又は2つの撮像センサAI、BIにより規定される「対向平面内」且つ/又は「対向空間内」で、複数回かつ異なる方向に光路を折り曲げることにより、広角レンズ系A、Bの光路長を長く確保することができる。また、広角レンズ系Aの最も物体側のレンズ(負の前群AFの最も前方側のレンズ)と広角レンズ系Bの最も物体側のレンズ(負の前群BFの最も後方側のレンズ)に対する最大画角光線の入射位置の間の距離(最大画角間距離)を小さくことができる(図1に最大画角間距離を示した)。その結果、撮像センサAI、BIの大型化及び撮像システム1の小型化(薄型化)を両立するとともに、キャリブレーションで貼り合わせられる2つの画像の重なり量である視差を小さくして、高品質な画像を得ることが可能になる。
【0035】
2つの広角レンズ系A、Bの最も物体側のレンズL1は、異なる方向を向いて各々設けられている。より具体的に、広角レンズ系Aの最も物体側に設けられているレンズL1には、前方から後方に向かう光が入射され、広角レンズ系Bの最も物体側に設けられているレンズL1には、後方から前方に向かう光が入射される。
【0036】
2つの広角レンズ系A、Bの第1プリズムAP1~第3プリズムAP3、第1プリズムBP1~第3プリズムBP3(光路変更部)は、2つの広角レンズ系A、Bの有する最も物体側に設けられている各々のレンズL1の面を含む光軸に直交する平面の間の空間内で、撮像センサAI、BIに至る光路を変更する。
【0037】
2つの広角レンズ系A、Bが有する2つの第1プリズムAP1、BP1は、異なる方向にそれぞれの光路を変更する。より具体的に、広角レンズ系Aの第1プリズムAP1は、前方から後方に入射してきた光の光路(反射光路)を右方から左方に変更し、広角レンズ系Bの第1プリズムBP1は、後方から前方に入射してきた光の光路(反射光路)を左方から右方に変更する。
【0038】
2つの広角レンズ系A、Bが有する2つの第2プリズムAP2、BP2は、同じ方向にそれぞれの光路を変更する。より具体的に、広角レンズ系Aの第2プリズムAP2は、右方から左方に入射してきた光の光路(反射光路)を上方から下方に変更し、広角レンズ系Bの第2プリズムBP2は、左方から右方に入射してきた光の光路(反射光路)を上方から下方に変更する。
【0039】
広角レンズ系Aの第1プリズムAP1及び広角レンズ系Bの第1プリズムBP1は、光学的に等価な2つの透明部材であり各々反射面(光路変更部)を有している。この各々の反射面が対向して第1プリズムAP1及び第1プリズムBP1は設けられている。ここで対向とは、必ずしも各々の反射面が平行に向き合っていなくてもよく、また各々の反射面のうちの一方の反射面の垂直な方向から見たときに、各々の反射面のうちの一方の反射面と他方の反射面との少なくとも一部が重なっていればよい。このとき各々の反射面の間には反射膜が存在してもよい。反射膜は各々の反射面に形成されていてもよいし、各々の反射面に共通の1つの反射膜としてもよい。また各々の反射面は離れた状態で対向して設けられているが、各々の反射面は接した状態や接着剤で接着された状態で対向して設けられてもよい。また各々の反射面に反射膜が形成されている場合は、各々の反射膜が接した状態や接着剤で接着された状態で対向して設けられていてもよく、また各々の反射膜は離れた状態で対向して設けられてもよい。ここで各々の反射面あるいは各々の反射膜が離れた状態とは、各々の反射面あるいは各々の反射膜が接することなく対向して設けられている状態をいう。このように、広角レンズ系Aの第1プリズムAP1及び広角レンズ系Bの第1プリズムBP1は、各々の反射面あるいは各々の反射膜が対向して設けられていることで、広角レンズ系A、Bの入射光軸方向の幅を小さくすることが可能になる。
【0040】
広角レンズ系Aの第1プリズムAP1と第2プリズムAP2の間には、絞りASが設けられており、広角レンズ系Bの第1プリズムBP1と第2プリズムBP2の間には、絞りBSが設けられている。光量設定用の絞りASの近くに第1プリズムAP1と第2プリズムAP2を設け、光量設定用の絞りBSの近くに第1プリズムBP1と第2プリズムBP2を設けることで、小さい直角プリズムを用いることができ、広角レンズ系A、Bの相互間隔を小さくすることができる。また、絞りASを中心として、その両側に第1プリズムAP1と第2プリズムAP2があり、その両側に負の前群AFと正の後群ARがあるという対称構成、及び、絞りBSを中心として、その両側に第1プリズムBP1と第2プリズムBP2があり、その両側に負の前群BFと正の後群BRがあるという対称構成を実現することができる。
【0041】
なお絞りAS、BSには、絞りの開口が固定されることで透過する光量が予め設定されている固定開口絞りや、絞りの開口が可変することで透過する光量を設定可能な可変開口絞りが用いられる。光量を設定するとは、絞りの開口の大きさにより透過する光量を決める事を言う。固定開口絞りで透過する光量を設定する場合は、絞りの開口の大きさが予め設定されその開口の大きさで固定された固定開口絞りが用いられるため、透過する光量は一定となる。可変開口絞りで透過する光量を設定する場合は、ユーザのマニュアル操作により開口の大きさを可変することで撮影ごとに透過する光量を設定するマニュアル光量設定や、撮像センサの出力に基づいて開口を可変することで撮影ごとに透過する光量を設定する自動光量設定が含まれる。本実施例では、絞りAS、BSの位置は第1プリズムAP1、BP1と第2プリズムAP2、BP2との間に有る場合の例を説明しているが、第1プリズムAP1、BP1の前や第2プリズムAP2、BP2の後、第3プリズムAP3、BP3の前後に有っても構わない。また絞りAS、BSは、必ずしもプリズムの直前、直後でなくてもプリズムの近くに有ればよく、上記の効果が生じる場合は後群のレンズ間(例えば後群のL4とL5との間等)に有っても構わない。また本実施例では、絞りの数は広角レンズ系A、Bにおいて1つの場合について説明をしているが、1つの広角レンズにおいて複数有っても構わない。例えば第1プリズムAP1、BP1と第2プリズムAP2、BP2との間に第1の絞りが有り、第3プリズムAP3、BP3の後に第2の絞りが有っても構わない。
【0042】
本発明に係る絞りを用いた光量設定の実施形態の一例として、可変開口絞りAS、BSを用いた自動光量設定について説明する。可変開口絞りASと可変開口絞りBSは、撮像センサAIと撮像センサBIの出力に基づいて、絞りの開口の大きさが設定される。例えば、撮像システム1を搭載した撮像装置を屋外で使用する場合には、広角レンズ系A、Bの一方だけに太陽光が多く入射する結果、広角レンズ系A、Bによる明るさ(露光状態)が大きく異なることがある。この状態で、撮像センサAIと撮像センサBIによる像を合成すると、明るい部分と暗い部分の境界が映り込んだ不自然な全天球画像となってしまう。そこで、広角レンズ系A、Bの一方だけに太陽光が多く入射する場合には、その一方の広角レンズ系の可変開口絞りを他方の広角レンズ系の可変開口絞りの開口よりも小さくすることで、広角レンズ系A、Bによる明るさ(露光状態)が均一となるように設定して、明るい部分と暗い部分の境界が存在しない自然な全天球画像を得ることが可能になる。
【0043】
広角レンズ系Aの第3プリズムAP3は、撮像センサAIに向かって突出する凸面(非球面)AP3Xを有しており、広角レンズ系Bの第3プリズムBP3は、撮像センサBIに向かって突出する凸面(非球面)BP3Xを有している。広角レンズ系A、Bは焦点距離が短いので、本実施形態のように、広角レンズ系A、Bの最後の面を曲げる場合、焦点距離が短いにもかかわらずバックフォーカスが長いという事態が発生してしまう。この事態を避けるために、凸面AP3Xと凸面BP3Xを設けて射出位置を変更している。凸面AP3Xと凸面BP3Xとは、プリズムAP3、BP3の出射面を加工して凸面としてもよく、プリズムAP3、BP3の出射面とは別に加工した凸面のレンズをプリズムAP3、BP3の出射面に貼り付けることで一体化してもよい。或いはプリズムAP3、BP3のあとに別体の凸面のレンズを設けることもできる。
【0044】
≪第2実施形態≫
図5は、第2実施形態による撮像システム1の広角レンズ系A、Bと撮像センサAI、BIを示す斜視図である。図5では、最も物体側のレンズが異なる方向を向いて各々設けられた広角レンズ系と撮像センサの一方のみを描いてそれぞれの符号を付している。
【0045】
第2実施形態では、広角レンズ系A、Bの第3プリズムAP3、BP3による被写体光束の反射の向きが異なっている。具体的に、広角レンズ系Aの第3プリズムAPが、正の後群ARから入射した被写体光束を後方に90°反射し、広角レンズ系Bの第3プリズムBPが、正の後群BRから入射した被写体光束を前方に90°反射する。これにより、上述した最大画角間距離の間に撮像センサAI、BIを厚み方向に沿わせた形で設けることができるので、最大画角間距離をより小さくすることが可能になる。
【0046】
≪第3実施形態≫
図6は、第3実施形態による撮像システム1の広角レンズ系A、Bと撮像センサAI、BIを示す斜視図である。図6では、最も物体側のレンズが異なる方向を向いて各々設けられた広角レンズ系と撮像センサの一方のみを描いてそれぞれの符号を付している。
【0047】
第3実施形態では、広角レンズ系A、Bの第3プリズムAP3、BP3による被写体光束の反射の向きが異なっている。具体的に、広角レンズ系Aの第3プリズムAPが、正の後群ARから入射した被写体光束を前方に90°反射し、広角レンズ系Bの第3プリズムBPが、正の後群BRから入射した被写体光束を後方に90°反射する。これにより、上述した最大画角間距離の間に撮像センサAI、BIを厚み方向に沿わせた形で設けることができるので、最大画角間距離をより小さくすることが可能になる。
【0048】
≪第4実施形態≫
図7は、第4実施形態による撮像システム1の広角レンズ系A、Bと撮像センサAI、BIを示す斜視図である。図7では、最も物体側のレンズが異なる方向を向いて各々設けられた広角レンズ系と撮像センサの一方のみを描いてそれぞれの符号を付している。
【0049】
第4実施形態では、広角レンズ系A、Bの第3プリズムAP3、BP3を省略して、広角レンズ系A、Bの正の後群AR、BRから入射した被写体光束を直接的に撮像センサAI、BIに導いている。第4実施形態によれば、第3プリズムAP3、BP3を省略したことによる部品点数の削減と低コスト化を実現することができる。第3プリズムAP3、BP3を省略しても、広角レンズ系Aの第1プリズムAP1~第2プリズムAP2、及び、広角レンズ系Bの第1プリズムBP1~第2プリズムBP2が、上述した「対向平面内」且つ/又は「対向空間内」で、被写体光束を反射(光路を変更)しているので、撮像センサAI、BIの大型化及び撮像システム1の小型化(薄型化)を両立するとともに、最大画角間距離ひいては視差を小さくして高品質な画像を得ることが可能である。
【0050】
≪変形例等≫
以上の第1実施形態~第4実施形態では、広角レンズ系Aの第1プリズムAP1~第2プリズムAP2が、負の前群AFと正の後群ARの間で被写体光束を2回反射(光路を変更)し、広角レンズ系Bの第1プリズムBP1~第2プリズムBP2が、負の前群BFと正の後群BRの間で被写体光束を2回反射(光路を変更)する。また、第1実施形態~第3実施形態では、広角レンズ系Aの第3プリズムAP3が、正の後群ARと撮像センサAIの間で被写体光束を1回反射(光路を変更)し、広角レンズ系Bの第3プリズムBP3が、正の後群BRと撮像センサBIの間で被写体光束を1回反射(光路を変更)する。
【0051】
しかし、広角レンズ系A、Bは、撮像センサAI、BIに至る光路を変更する少なくとも2つの光路変更部(例えばプリズム)を有していればよい。例えば、負の前群AF、BFと正の後群AR、BRの間に1つの光路変更部(例えばプリズム)を設け、正の後群AR、BRと撮像センサAI、BIの間に1つの光路変更部(例えばプリズム)を設けてもよい。
【0052】
以上の第1実施形態~第4実施形態では、撮像システム1が2つの広角レンズ系A、Bを搭載する場合を例示して説明したが、撮像システム1が搭載する広角レンズ系の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。この場合、撮像システム1が搭載する撮像センサの数を広角レンズ系の数と一致させてもよい。そして、3つ以上の広角レンズ系の少なくとも2つの広角レンズ系が、それぞれ、2つの撮像センサに至る光路を変更する少なくとも2つの光路変更部を有していればよい。
【0053】
以上の第1実施形態~第4実施形態では、光路変更部としてプリズムを用いた場合を例示して説明したが、光路変更部は、ミラー及びその他の構成要素とすることも可能である。図8は、図2において、第3プリズムAP3、BP3に代えてミラーAM、BMを用いた変形例を示している。
【0054】
以上の第1実施形態~第4実施形態では、各2つの広角レンズ系A、Bと撮像センサAI、BIが互いに対称に設けられている場合を例示して説明したが、各2つの広角レンズ系A、Bと撮像センサAI、BIが非対称に設けられていてもよい。
【0055】
≪全体構成≫
最後に、図9図16を参照して、本実施形態による撮像システム1を全天球型撮像システムに適用した場合の全体構成について説明する。
【0056】
図9A図9B図10A図10B図11A図11Bの六面図に示すように、撮像システム1は、撮像システム1の各構成要素が組み付けられてこれを保持する筐体10を有している。筐体10は、左右方向に短く、上下方向に長く、前後方向に所定の厚みを持ち、上面が丸みを帯びた輪郭を有している。筐体10は、後側金属筐体20と前側金属筐体30を有している。後側金属筐体20と前側金属筐体30は、後述する後側樹脂筐体70と前側樹脂筐体80と接続樹脂筐体90と比較して相対的に高剛性の金属材料(例えばマグネシウム合金)から構成された一体成形品とすることができる。
【0057】
後側金属筐体20と前側金属筐体30は、左側面接続筐体40と右側面接続筐体50と下面接続筐体60によって接続されている。左側面接続筐体40と右側面接続筐体50と下面接続筐体60は、例えば、後側金属筐体20と前側金属筐体30と同一の金属材料から構成することができるが、その材料には自由度があり、種々の設計変更が可能である。
【0058】
後側金属筐体20と前側金属筐体30の一方には、位置決めボス(図示略)が形成されており、後側金属筐体20と前側金属筐体30の他方には、ボス挿入孔(図示略)が形成されており、位置決めボスをボス挿入孔に挿入することにより、後側金属筐体20と前側金属筐体30が接近した状態で位置決めされる。後側金属筐体20と前側金属筐体30は、左側面と右側面と下面に、上記位置決め状態で重なって共締め可能なネジ孔(図示略)を有している。
【0059】
後側金属筐体20と前側金属筐体30の間の左側面と右側面と下面の隙間に、左側面接続筐体40と右側面接続筐体50と下面接続筐体60を嵌め込んで、これらに挿通した共締めネジ(図示略)を上記ネジ孔に螺合する(締め付ける)ことにより、後側金属筐体20と前側金属筐体30と左側面接続筐体40と右側面接続筐体50と下面接続筐体60が一体化される。なお、後側金属筐体20と前側金属筐体30と左側面接続筐体40と右側面接続筐体50と下面接続筐体60を一体化するための構成には自由度があり、種々の設計変更が可能である。
【0060】
後側金属筐体20の上方には、略円形のレンズ露出孔21が形成されており、前側金属筐体30の上方には、略円形のレンズ露出孔31が形成されている。レンズ露出孔21を介して広角レンズ系Aの前群AFが露出され、レンズ露出孔31を介して広角レンズ系Bの前群BFが露出される。後側金属筐体20の上下方向の中間部よりやや下方には、撮像(静止画撮像、動画撮像)のトリガとなるシャッターボタン(撮像機能部、操作部)22が設けられている。シャッターボタン22の下方には、撮像システム1の操作画面や設定画面等の各種情報を表示する表示ユニット(撮像機能部、状態表示部)23が設けられている。表示ユニット23は、例えば、有機ELディスプレイから構成することができる。
【0061】
左側面接続筐体40の上下方向の中間部には、例えば、音声案内メッセージ等を発するスピーカ(撮像機能部)41が設けられている。右側面接続筐体50の上下方向の中間部には、撮像システム1の電源のオンオフを切り替えるための電源ボタン(撮像機能部、操作部)51が設けられており、電源ボタン51の下方には、撮影モードや無線接続モードの設定操作を行うための操作ボタン(撮像機能部、操作部)52、53、54が設けられている。
【0062】
後側金属筐体20のシャッターボタン22のやや上方の右側には、上下方向に離間する2つのマイクロフォン(撮像機能部、集音部)24が設けられている。前側金属筐体30の上下方向の中間部よりやや上方には、左右方向に離間する2つのマイクロフォン(撮像機能部、集音部)32が設けられている。表裏に位置する後側金属筐体20の2つのマイクロフォン24と前側金属筐体30の2つのマイクロフォン32の計4つのマイクロフォンによって3D音声が取得可能となっている。
【0063】
後側金属筐体20と前側金属筐体30と左側面接続筐体40と右側面接続筐体50と下面接続筐体60の結合体は、上下方向の中間部より下方がグリップ部GPを構成している。撮影者は、グリップ部GPを把持した状態で、シャッターボタン22、電源ボタン51、操作ボタン52~54を押圧操作することができる。
【0064】
後側金属筐体20と前側金属筐体30と左側面接続筐体40と右側面接続筐体50と下面接続筐体60の結合体は、上方が開放された開口部OSを有している。開口部OSは、後側樹脂筐体70と前側樹脂筐体80と接続樹脂筐体90によって埋められている。後側樹脂筐体70と前側樹脂筐体80と接続樹脂筐体90は、後側金属筐体20と前側金属筐体30と比較して相対的に低剛性の樹脂材料(例えばPC(ポリカーボネート)若しくはABS樹脂又はこれらの混合材)から構成された一体成形品とすることができる。
【0065】
後側樹脂筐体70は、後側金属筐体20の上方に形成された開口部OSの湾曲切欠部に嵌め込まれる湾曲形状を有している。前側樹脂筐体80は、前側金属筐体30の上方に形成された開口部OSの湾曲切欠部に嵌め込まれる湾曲形状を有している。後側樹脂筐体70と前側樹脂筐体80は、前後方向に逆方向を向いた対称形状を有している。接続樹脂筐体90は、後側金属筐体20と前側金属筐体30の上方に形成された開口部OSのうち、後側樹脂筐体70と前側樹脂筐体80の間に嵌め込まれる湾曲形状を有している。
【0066】
図示は省略しているが、後側金属筐体20のレンズ露出孔21のやや上方には、左右方向に離間した一対のネジ孔付凸部が形成されており、後側樹脂筐体70には、一対のネジ孔付凸部に対応する一対のネジ挿通孔が形成されている。一対のネジ孔付凸部と一対のネジ挿通孔を位置合わせして、一対の締付ネジを一対のネジ挿通孔に挿通して一対のネジ孔付凸部のネジ孔に螺合する(締め付ける)ことで、後側金属筐体20と後側樹脂筐体70が接続される。なお、ここでは後側金属筐体20と後側樹脂筐体70の接続構造を説明したが、前側金属筐体30と前側樹脂筐体80の接続構造も同様となっている。
【0067】
以上のように構成された広角レンズ系A、B(第1プリズム~第3プリズムAP1~AP3、BP1~BP3を含む)と、撮像センサAI、BIとは、撮像ユニット(光学ユニット)100として一体化(ブロック化)されている。撮像ユニット100にはネジ孔(図示略)が形成されている。撮像ユニット100を筐体10(後側金属筐体20と前側金属筐体30と左側面接続筐体40と右側面接続筐体50と下面接続筐体60の結合体)の内部に収容した状態で、これらに挿通した共締めネジ(図示略)を上記ネジ孔に螺合する(締め付ける)ことで、撮像ユニット100が組み付けられる。なお、撮像ユニット100を筐体10に組み付けるための構成には自由度があり、種々の設計変更が可能である。
【0068】
図12A図12Bは、筐体10に撮像ユニット100を組み付けた状態における両者の位置関係を示す図である。図12A図12Bでは、筐体10における撮像ユニット100の占有領域を太線で囲んで強調して描いている。
【0069】
図12A図12Bに示すように、撮像ユニット100を保持する筐体10は、上下方向に見たとき、上方に位置する撮像ユニット100の保持領域と、下方に位置する撮像ユニット100の非保持領域とに区画される。撮像ユニット100の一部は、光学系A、Bの少なくとも一部である前群AF、BFの前方レンズ(例えば負レンズL1)を露出させ、その露出部を除く最大外形部を形成する。図12A図12Bでは、最大外形部における撮像ユニット100の幅(左右方向の長さ)をwで示しており、最大外形部における撮像ユニット100の厚さ(前後方向の長さ)をdで示している。
【0070】
図13図14図15は、図9のXIII-XIII線、XIV-XIV線、XV-XV線に沿う断面図である。
【0071】
図14図15に示すように、筐体10の撮像ユニット100の非保持領域には、撮像センサAI、BIによる撮像信号を無線信号に変換する無線モジュール基板(撮像機能部、回路基板)110が保持(収納)されている。無線モジュール基板110は、前方側に位置するサブ基板111と後方側に位置するメイン基板112を前後方向に重ね合わせて電気的に接続可能に結合してなる。サブ基板111は、相対的に小型の平面視略矩形形状をなしており、メイン基板112は、相対的に大型の平面視略矩形形状をなしている。メイン基板112には、後側樹脂筐体70と前側樹脂筐体80と接続樹脂筐体90の内方空間に向かって上方に延びる伝送部材(図示略)が取り付けられている。この伝送部材は、例えば、同軸ケーブル又はFPCにより構成することができる。
【0072】
図15に示すように、後側樹脂筐体70と前側樹脂筐体80と接続樹脂筐体90の内方空間には、通信アンテナ(撮像機能部、アンテナ基板)120が設けられている。一端部がメイン基板112に接続された伝送部材の他端部は、通信アンテナ120に接続されている。伝送部材は、撮像センサAI、BIによる撮像信号を通信アンテナ120に伝送し、通信アンテナ120は、当該撮像信号を外部機器に無線送信する。また、通信アンテナ120は、外部機器との間で各種信号を送受信することができる。
【0073】
図示は省略しているが、通信アンテナ120は、アンテナ本体と、このアンテナ本体を保持するアンテナ基板とを有している。アンテナ本体は、例えば、FPC又はリジッドFPCにより構成することができる。アンテナ基板は、筐体10(後側金属筐体20と前側金属筐体30と左側面接続筐体40と右側面接続筐体50と下面接続筐体60)の上面に形成された開口部OSの形状に沿った湾曲形状(円弧形状)をなしており、該湾曲形状の上面に伝送部材の他端部が接続されるともにアンテナ本体が貼り付けられている。
【0074】
図14図15に示すように、筐体10の撮像ユニット100の非保持領域には、撮像装置1の各構成要素に電力を供給する電池130が保持(収納)されている。電池130は、無線モジュール基板110と上下方向の位置を重複させて、且つ、無線モジュール基板110よりも前方に設けられている。さらに、撮像センサAI、BIは、最も物体側に位置するレンズL1へ入射する入射光軸の方向から見て、最も物体側に位置するレンズL1に対して、重ならない位置に設けられている。そしてそれ以外の領域には無線モジュール基板110、通信アンテナ120、電池130等の部品が設けられる構成となっている。この構成とすることで撮像ユニット100は、撮像ユニット100の上下方向、左右方向及び前後方向に最大限最小化を図ることができる。
【0075】
図16は、本実施形態による撮像システム1のハードウェア構成の一例を示している。撮像システム1は、デジタル・スチルカメラ・プロセッサ(以下、単にプロセッサと参照する。)100Zと、鏡胴ユニット102Zと、プロセッサ100Zに接続される種々のコンポーネントから構成される。鏡胴ユニット102Zは、上述した2組のレンズ光学系20AZ、20BZと、固体撮像素子22AZ、22BZとを有する。固体撮像素子22Zは、プロセッサ100Z内の後述するCPU130Zからの制御指令により制御される。
【0076】
プロセッサ100Zは、ISP(Image Signal Processor)108AZ、108BZと、DMAC(Direct Memory Access Controller)110Zと、メモリアクセスの調停のためのアービタ(ARBMEMC)112Zと、メモリアクセスを制御するMEMC(Memory Controller)114Zと、歪曲補正・画像合成ブロック118Zとを含む。ISP108AZ、108BZは、それぞれ、固体撮像素子22AZ、22BZの信号処理を経て入力された画像データに対し、ホワイト・バランス設定やガンマ設定を行う。MEMC114Zには、SDRAM116Zが接続される。SDRAM116Zには、ISP108AZ、180BZおよび歪曲補正・画像合成ブロック118Zにおいて処理を施す際にデータが一時的に保存される。歪曲補正・画像合成ブロック118Zは、2つの撮像光学系から得られた2つの部分画像に対し、3軸加速度センサ120Zからの情報を利用して、歪曲補正とともに天地補正を施し、画像合成する。
【0077】
プロセッサ100Zは、さらに、DMAC122Zと、画像処理ブロック124Zと、CPU130Zと、画像データ転送部126Zと、SDRAMC128Zと、メモリカード制御ブロック140Zと、USBブロック146Zと、ペリフェラル・ブロック150Zと、音声ユニット152Zと、シリアルブロック158Zと、LCD(Liquid Crystal Display)ドライバ162Zと、ブリッジ168Zとを含む。
【0078】
CPU130Zは、当該撮像システム1の各部の動作を制御する。画像処理ブロック124Zは、リサイズブロック132Z、JPEGブロック134Z、H.264ブロック136Zなどを用いて、画像データに対し各種画像処理を施す。リサイズブロック132Zは、画像データのサイズを補間処理により拡大または縮小するためのブロックである。JPEGブロック134Zは、JPEG圧縮および伸張を行うコーデック・ブロックである。H.264ブロック136Zは、H.264などの動画圧縮および伸張を行うコーデック・ブロックである。画像データ転送部126Zは、画像処理ブロック124Zで画像処理された画像を転送する。SDRAMC128Zは、プロセッサ100Zに接続されるSDRAM138Zを制御し、SDRAM138Zには、プロセッサ100Z内で画像データに各種処理を施す際に、画像データを一時的に保存する。
【0079】
メモリカード制御ブロック140Zは、メモリカードスロット142Zに挿入されたメモリカードおよびフラッシュROM144Zに対する読み書きを制御する。メモリカードスロット142Zは、撮像システム1にメモリカードを着脱可能に装着するためのスロットである。USBブロック146Zは、USBコネクタ148Zを介して接続されるパーソナル・コンピュータなどの外部機器とのUSB通信を制御する。ペリフェラル・ブロック150Zには、電源スイッチ166Zが接続される。音声ユニット152Zは、ユーザが音声信号を入力するマイク156Zと、記録された音声信号を出力するスピーカ154Zとに接続され、音声入出力を制御する。シリアルブロック158Zは、パーソナル・コンピュータなどの外部機器とのシリアル通信を制御し、無線NIC(Network Interface Card)160Zが接続される。LCDドライバ162Zは、LCDモニタ164Zを駆動するドライブ回路であり、LCDモニタ164Zに各種状態を表示するための信号に変換する。
【0080】
フラッシュROM144Zには、CPU130Zが解読可能なコードで記述された制御プログラムや各種パラメータが格納される。電源スイッチ166Zの操作によって電源がオン状態になると、上記制御プログラムがメインメモリにロードされる。CPU130Zは、メインメモリに読み込まれたプログラムに従って、装置各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータをSDRAM138Zと、図示しないローカルSRAMとに一時的に保存する。
【符号の説明】
【0081】
1 撮像システム
10 筐体
A 広角レンズ系(魚眼レンズ系、光学系、撮像光学系)
AF 前群
AR 後群
AS 絞り(可変開口絞り)
AP1 第1プリズム(第1の光路変更部)
AP2 第2プリズム(第2の光路変更部)
AP3 第3プリズム(第3の光路変更部)
AP3X 凸面
AM ミラー
AI 撮像センサ
B 広角レンズ系(魚眼レンズ系、光学系、撮像光学系)
BF 前群
BR 後群
BS 絞り(可変開口絞り)
BP1 第1プリズム(第1の光路変更部)
BP2 第2プリズム(第2の光路変更部)
BP3 第3プリズム(第3の光路変更部)
BP3X 凸面
BM ミラー
BI 撮像センサ
L1 負レンズ
L2 負レンズ
L3 負レンズ
L4 正レンズ
L5 正レンズ
L6 正レンズ
L7 負レンズ
L8 正レンズ
L9 負レンズ
L10 正レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16