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特許7081544ワークの両面研磨方法及びワークの両面研磨装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】ワークの両面研磨方法及びワークの両面研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/005 20120101AFI20220531BHJP
   B24B 37/08 20120101ALI20220531BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20220531BHJP
   B24B 37/34 20120101ALI20220531BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
B24B37/005 Z
B24B37/08
B24B37/12 D
B24B37/34
H01L21/304 621A
H01L21/304 622R
H01L21/304 622S
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019055545
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020151836
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 裕司
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-106984(JP,A)
【文献】特開2013-094954(JP,A)
【文献】特開2015-047656(JP,A)
【文献】特開2017-207455(JP,A)
【文献】特開2002-154053(JP,A)
【文献】特開2002-124497(JP,A)
【文献】特開2012-033585(JP,A)
【文献】特開2004-319574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 - 37/34
B24B 49/03
H01L 21/304
G01B 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定部により、前バッチでの両面研磨後に、該両面研磨を行ったワークの面内の複数の測定点の各々において、前記ワークの厚さを測定し、第1の計算部により、前記複数の測定点の各々において測定した前記ワークの厚さを、前記ワークの面内で積算して求められる指標Xpを算出する、研磨前指標算出工程と、
第2の計算部により、現バッチでの目標研磨時間Ttと、前記研磨前指標算出工程において算出された前記指標Xpと、前バッチで目標として設定した指標Xtとの関係式である、所定の予測式を用いて、前記現バッチでの目標研磨時間を算出する、目標研磨時間算出工程と、
制御部により、前記目標研磨時間算出工程において算出された前記目標研磨時間を用いて、ワークを両面研磨するように制御して、該両面研磨を行う、両面研磨工程と、を含み、
前記指標Xpは、前記測定点の各々において測定した前記ワークの厚さを、前記ワークの面内の2つの座標軸のうちの一方の座標軸について積算したものを、他方の座標軸についてさらに積算して求められることを特徴とする、ワークの両面研磨方法。
【請求項2】
前記2つの座標軸は、前記ワークの径方向である座標軸と、前記ワークの周方向である座標軸とからなり、
前記指標Xpは、前記測定点の各々において測定した前記ワークの厚さを、前記ワークの周方向に積算したものを、前記ワークの径方向にさらに積算して求められる、請求項に記載のワークの両面研磨方法。
【請求項3】
測定部により、前バッチでの両面研磨後に、該両面研磨を行ったワークの面内の複数の測定点の各々において、前記ワークの厚さを測定し、第1の計算部により、前記複数の測定点の各々において測定した前記ワークの厚さを、前記ワークの面内で積算して求められる指標Xpを算出する、研磨前指標算出工程と、
第2の計算部により、現バッチでの目標研磨時間Ttと、前記研磨前指標算出工程において算出された前記指標Xpと、前バッチで目標として設定した指標Xtとの関係式である、所定の予測式を用いて、前記現バッチでの目標研磨時間を算出する、目標研磨時間算出工程と、
制御部により、前記目標研磨時間算出工程において算出された前記目標研磨時間を用いて、ワークを両面研磨するように制御して、該両面研磨を行う、両面研磨工程と、を含み、
前記指標Xpは、
前記ワークの面内を、前記測定点の1つ以上を含む、複数の微小面に分割し、
前記複数の微小面の各々について、前記微小面に含まれる前記測定点の各々において計測した前記ワークの厚さに基づいて、前記微小面における前記ワークの厚さを算出し、
算出した前記微小面における前記ワークの厚さを、前記ワークの面内で、面で積算して算出されることを特徴とする、ワークの両面研磨方法。
【請求項4】
前記微小面における前記ワークの厚さは、前記微小面を区画する測定点の各々において計測した前記ワークの厚さの平均値である、請求項に記載のワークの両面研磨方法。
【請求項5】
前記測定点は、前記ワークの面内の2つの座標軸のうち、少なくとも一方の座標軸において、等間隔に位置する、請求項1~のいずれか一項に記載のワークの両面研磨方法。
【請求項6】
前記所定の予測式は、
A1×Ttα=A2×Xpβ+A3×Xtγ+A4
で表わされ、
A1、A2、A3、A4、α、β、γは、それぞれ、回帰分析で求められる係数であるか、あるいは、予め与えられた所定の係数であり、
A1、A2、A3、A4、α、β、γのうち、少なくとも1つ以上は、回帰分析で求められる係数である、請求項1~のいずれか一項に記載のワークの両面研磨方法。
【請求項7】
前記両面研磨工程は、
上定盤及び下定盤を有する回転定盤と、前記回転定盤の中心部に設けられたサンギアと、前記回転定盤の外周部に設けられたインターナルギアと、前記上定盤と前記下定盤との間に設けられ、前記ワークを保持する1つ以上の保持孔を有するキャリアプレートと、を備え、前記上定盤の下面及び前記下定盤の上面に研磨パッドがそれぞれ貼布された、バッチ処理方式の前記ワークの両面研磨装置を用いて行われる、請求項1~のいずれか一項に記載のワークの両面研磨方法。
【請求項8】
前記両面研磨工程は、
前記研磨パッド上に研磨スラリーを供給しながら、前記回転定盤と前記キャリアプレートとを相対回転させて、算出した前記現バッチの研磨時間を用いて前記ワークの両面を研磨する工程を含む、請求項に記載のワークの両面研磨方法。
【請求項9】
前記ワークは、ウェーハである、請求項1~のいずれか一項に記載のワークの両面研磨方法。
【請求項10】
上定盤及び下定盤を有する回転定盤と、前記回転定盤の中心部に設けられたサンギアと、前記回転定盤の外周部に設けられたインターナルギアと、前記上定盤と前記下定盤との間に設けられ、ワークを保持する1つ以上の保持孔を有するキャリアプレートと、を備え、前記上定盤の下面及び前記下定盤の上面に研磨パッドがそれぞれ貼布され、
前バッチでの両面研磨後に、該両面研磨を行った前記ワークの厚さを測定する、測定部と、
測定した前記ワークの厚さを、前記ワークの面内で積算して指標Xpを算出する、第1の計算部と、
現バッチでの目標研磨時間Ttと、前記指標Xpと、前バッチで目標として設定した指標Xtとの関係式である、所定の予測式を用いて、前記現バッチでの目標研磨時間Ttを算出する、第2の計算部と、
算出された前記目標研磨時間Ttを用いて、前記ワークを両面研磨するように制御する、制御部と、をさらに備え、
前記第1の計算部は、前記指標Xpを、前記測定点の各々において測定した前記ワークの厚さを前記ワークの面内の2つの座標軸のうちの一方の座標軸について積算したものを他方の座標軸についてさらに積算して求めるように構成されていることを特徴とする、ワークの両面研磨装置。
【請求項11】
上定盤及び下定盤を有する回転定盤と、前記回転定盤の中心部に設けられたサンギアと、前記回転定盤の外周部に設けられたインターナルギアと、前記上定盤と前記下定盤との間に設けられ、ワークを保持する1つ以上の保持孔を有するキャリアプレートと、を備え、前記上定盤の下面及び前記下定盤の上面に研磨パッドがそれぞれ貼布され、
前バッチでの両面研磨後に、該両面研磨を行った前記ワークの厚さを測定する、測定部と、
測定した前記ワークの厚さを、前記ワークの面内で積算して指標Xpを算出する、第1の計算部と、
現バッチでの目標研磨時間Ttと、前記指標Xpと、前バッチで目標として設定した指標Xtとの関係式である、所定の予測式を用いて、前記現バッチでの目標研磨時間Ttを算出する、第2の計算部と、
算出された前記目標研磨時間Ttを用いて、前記ワークを両面研磨するように制御する、制御部と、をさらに備え、
前記第1の計算部は、前記指標Xpを、
前記ワークの面内を、前記測定点の1つ以上を含む、複数の微小面に分割し、
前記複数の微小面の各々について、前記微小面に含まれる前記測定点の各々において計測した前記ワークの厚さに基づいて、前記微小面における前記ワークの厚さを算出し、
算出した前記微小面における前記ワークの厚さを、前記ワークの面内で、面で積算して算出するように構成されていることを特徴とする、ワークの両面研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの両面研磨方法及びワークの両面研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコンウェーハ等のワークの平坦性を高めるために、研磨パッドを有する上下定盤でワークを挟み、その表裏面を同時に研磨する両面研磨が行われている。例えば、特許文献1では、ワークの研磨量を制御する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014-2467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
両面研磨においては、GBIR値がバッチ間でばらつくことがあるため、それを抑制することが望まれていた。
【0005】
本発明は、研磨後のワークのGBIR値のバッチ間でのばらつきを抑制することができる、ワークの両面研磨方法及びワークの両面研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のワークの両面研磨方法は、
測定部により、前バッチでの両面研磨後に、該両面研磨を行ったワークの面内の複数の測定点の各々において、前記ワークの厚さを測定し、第1の計算部により、前記複数の測定点の各々において測定した前記ワークの厚さを、前記ワークの面内で積算して求められる指標Xpを算出する、研磨前指標算出工程と、
第2の計算部により、現バッチでの目標研磨時間Ttと、前記研磨前指標算出工程において算出された前記指標Xpと、前バッチで目標として設定した指標Xtとの関係式である、所定の予測式を用いて、前記現バッチでの目標研磨時間Ttを算出する、目標研磨時間算出工程と、
制御部により、前記目標研磨時間算出工程において算出された前記目標研磨時間Ttを用いて、ワークを両面研磨するように制御して、該両面研磨を行う、両面研磨工程と、を含むことを特徴とする。
なお、本明細書において、「ワークの厚さを測定」とは、ワークの厚さを直接測定することの他、ワークの厚さと相関のあるパラメータを測定して、該パラメータからワークの厚さを算出する場合も含むものとする。
また、「GBIR値」とは、SEMI規格 M1、及びSEMI規格 MF1530に規定されるGBIRを意味する。
【0007】
上記においては、前記指標Xpは、前記測定点の各々において測定した前記ワークの厚さを、前記ワークの面内の2つの座標軸のうちの一方の座標軸について積算したものを、他方の座標軸についてさらに積算して求められることが好ましい。
【0008】
上記においては、前記2つの座標軸は、前記ワークの径方向である座標軸と、前記ワークの周方向である座標軸とからなり、
前記指標Xpは、前記測定点の各々において測定した前記ワークの厚さを、前記ワークの周方向に積算したものを、前記ワークの径方向にさらに積算して求められることが好ましい。
【0009】
本発明のワークの両面研磨方法においては、前記指標Xpは、
前記ワークの面内を、前記測定点の1つ以上を含む、複数の微小面に分割し、
前記複数の微小面の各々について、前記微小面に含まれる前記測定点の各々において計測した前記ワークの厚さに基づいて、前記微小面における前記ワークの厚さを算出し、
算出した前記微小面における前記ワークの厚さを、前記ワークの面内で、面で積算して算出されることが好ましい。
【0010】
上記においては、前記微小面における前記ワークの厚さは、前記微小面を区画する測定点の各々において計測した前記ワークの厚さの平均値であることが好ましい。
【0011】
本発明のワークの両面研磨方法においては、
前記測定点は、前記ワークの面内の2つの座標軸のうち、少なくとも一方の座標軸において、等間隔に位置することが好ましい。
【0012】
本発明のワークの両面研磨方法においては、前記所定の予測式は、
A1×Ttα=A2×Xpβ+A3×Xtγ+A4
で表わされ、
A1、A2、A3、A4、α、β、γは、それぞれ、回帰分析で求められる係数であるか、あるいは、予め与えられた所定の係数であり、
A1、A2、A3、A4、α、β、γのうち、少なくとも1つ以上は、回帰分析で求められる係数であることが好ましい。
【0013】
本発明のワークの両面研磨方法においては、前記両面研磨工程は、
上定盤及び下定盤を有する回転定盤と、前記回転定盤の中心部に設けられたサンギアと、前記回転定盤の外周部に設けられたインターナルギアと、前記上定盤と前記下定盤との間に設けられ、前記ワークを保持する1つ以上の保持孔を有するキャリアプレートと、を備え、前記上定盤の下面及び前記下定盤の上面に研磨パッドがそれぞれ貼布された、バッチ処理方式の前記ワークの両面研磨装置を用いて行われることが好ましい。
【0014】
本発明のワークの両面研磨方法においては、前記両面研磨工程は、
前記研磨パッド上に研磨スラリーを供給しながら、前記回転定盤と前記キャリアプレートとを相対回転させて、算出した前記現バッチの研磨時間を用いて前記ワークの両面を研磨する工程を含むことが好ましい。
【0015】
本発明のワークの両面研磨方法においては、前記ワークは、ウェーハであることが好ましい。
【0016】
本発明のワークの両面研磨装置は、
上定盤及び下定盤を有する回転定盤と、前記回転定盤の中心部に設けられたサンギアと、前記回転定盤の外周部に設けられたインターナルギアと、前記上定盤と前記下定盤との間に設けられ、ワークを保持する1つ以上の保持孔を有するキャリアプレートと、を備え、前記上定盤の下面及び前記下定盤の上面に研磨パッドがそれぞれ貼布され、
前バッチでの両面研磨後に、該両面研磨を行った前記ワークの厚さを測定する、測定部と、
測定した前記ワークの厚さを、前記ワークの面内で積算して指標Xpを算出する、第1の計算部と、
現バッチでの目標研磨時間Ttと、前記指標Xpと、前バッチで目標として設定した指標Xtとの関係式である、所定の予測式を用いて、前記現バッチでの目標研磨時間Ttを算出する、第2の計算部と、
算出された前記目標研磨時間Ttを用いて、前記ワークを両面研磨するように制御する、制御部と、をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のウェーハの両面研磨方法によれば、研磨後のワークのGBIR値のバッチ間でのばらつきを抑制することができる、ワークの両面研磨方法及びワークの両面研磨装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態にかかるワークの両面研磨装置を概略的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるワークの両面研磨方法を示す、フローチャートである。
図3】測定点の各々において測定したウェーハの厚さをウェーハの周方向に平均化した際の、測定点のウェーハの中心からの径方向位置と、周方向に平均化されたウェーハの厚さとの関係を示す図である。
図4】本発明の他の実施形態にかかるワークの両面研磨方法を示す、フローチャートである。
図5】基準面の算出方法について説明するための図である。
図6】微小面にけるウェーハの厚さの算出方法について説明するための図である。
図7】各指標とGBIRとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
【0020】
<ワークの両面研磨装置>
図1は、本発明の一実施形態にかかるワークの両面研磨装置を概略的に示す正面図である。図1に示すように、両面研磨装置100は、上定盤2及び下定盤4を有する回転定盤6と、回転定盤6の中心部に設けられたサンギア8と、回転定盤6の外周部に設けられたインターナルギア10と、上定盤2と下定盤4との間に設けられ、ワーク(この例ではウェーハ)を保持する1つ以上の保持孔(不図示)を有するキャリアプレート12と、を備える。また、上定盤2の下面及び下定盤4の上面には、それぞれ研磨パッド(不図示)が貼付されている。また、両面研磨装置100には、研磨スラリーを供給するためのスラリー供給機構14が上定盤2の中心部に設けられている。
【0021】
図1に示すように、両面研磨装置100は、制御部16、測定部18、及び記憶部20をさらに備える。
制御部16は、上定盤2、下定盤4、サンギア8、及びインターナルギア10の回転を制御する制御ユニット(コントローラ)と、測定したウェーハの厚さを、ウェーハの面内で積算して指標Xpを算出する(詳細は後述する)、第1の計算部(第1のカルキュレータ)と、現バッチでの目標研磨時間Ttと、指標Xpと、前バッチで目標として設定した指標Xtとの関係式である、所定の予測式を用いて、現バッチでの目標研磨時間Ttを算出する(詳細は後述する)、第2の計算部(第2のカルキュレータ)と、バッチ処理を終了させるか否か等の判定を行う判定ユニット(プロセッサ)と、を有する。第1の計算部と第2の計算部とは、別のユニットとして構成しても、同じユニットとして構成しても良い。上記制御ユニットは、後述するように、算出された目標研磨時間Ttを用いて、ウェーハを両面研磨するように制御することができるようにも構成されている。なお、制御部16は、コンピュータ内部の中央演算処理装置(CPU)によって実現することができる。
測定部18は、特には限定しないが、例えば、分光干渉変位装置を用いて実現することができ、前バッチでの両面研磨後に、該両面研磨を行ったウェーハに対し、各測定点でのウェーハの厚さを測定する。
記憶部20は、目標研磨時間、ウェーハの厚さの測定値、及び後述の指標Xp、Xtなどを格納する。なお、記憶部20は、任意の既知のメモリとすることができ、例えば、ハードディスク、ROM、又はRAMを用いて実現することができる。
【0022】
<ワークの両面研磨方法>
図2は、本発明の一実施形態にかかるワークの両面研磨方法を示す、フローチャートである。図2に示す、本発明の一実施形態にかかるワークの両面研磨方法は、例えば、図1に示す、本発明の一実施形態にかかるワークの両面研磨装置を用いて行うことができる。以下、図1、2を参照して、本発明の一実施形態にかかるワークの両面研磨方法について説明する。
【0023】
本実施形態では、ワークとしてウェーハ(本例ではシリコンウェーハ)を用いる(以下、ウェーハとして説明する)。
【0024】
図2に示すように、まず、測定部18により、ウェーハの面内の複数の測定点を設定する(ステップS101)。本実施形態では、ウェーハの面内に2つの座標軸をとり、この例では、2つの座標軸は、ウェーハの径方向である座標軸と、ウェーハの周方向である座標軸とからなる。
本実施形態においては、ウェーハの面内の該ウェーハの中心からの径方向距離が異なる複数の測定点を設定し、さらに、ウェーハの面内の該ウェーハの中心からの径方向距離が同じである複数の測定点をウェーハの周方向に複数設定する。ウェーハの面内の測定点は、ウェーハの面内で均一に位置するように設定することが好ましい。以下、本実施形態での測定点の設定についてさらに具体的に説明する。
【0025】
この例では、径300mmのウェーハに対して、ウェーハの中心からの径方向距離が0~148mmの領域(ウェーハの外縁からウェーハの径方向内側に2mmの領域は、通常、ウェーハが面取りされて厚さが減じられているため、その領域を除いたものである)にて、ウェーハの中心から径方向に等間隔に1mm間隔で測定点を設定する。本例ではウェーハの中心も測定点として設定する。
なお、上記の間隔は1mmである必要はなく、ウェーハの径等に応じて、様々に設定することができる。また、測定点は、本例のように径方向に等間隔に位置するように設定することが好ましいが、非等間隔に設定することもできる。
【0026】
また、この例では、ウェーハの全周にて、ウェーハの周方向に等間隔に1°の間隔で測定点を設定する。
なお、上記の間隔は1°である必要はなく、様々に設定することができる。また、測定点は、周方向に等間隔に位置するように設定することが好ましいが、非等間隔に設定することもできる。
従って、この例では、ウェーハの中心も含めて、合計148×2×360+1=106561点の測定点を設定する。すなわち、この例では、ウェーハの、上記の面取りされて厚さが減じられた領域を除く全領域に対して(この例では径方向に1mm、周方向に1°の等間隔で)測定点を設定する。
【0027】
次いで、図2に示すように、本実施形態では、前バッチでの両面研磨後に、該両面研磨を行ったウェーハの面内の複数の測定点の各々において、ウェーハの厚さを測定する(ステップS102:研磨前指標算出工程の一部)。
本実施形態では、上記106561点の測定点の全ての測定点において、ウェーハの厚さを測定する。
【0028】
図1に示すように、この例では、測定部18(本例では、分光干渉変位装置)により、前バッチでの両面研磨後に、上記全ての測定点において、ウェーハの厚さを測定することができる。
具体的には、分光干渉変位装置は、ウェーハのおもて面を測定する第1センサ部(不図示)と、第1センサ部に対向するように設けられ、且つ、ウェーハの裏面を測定する第2センサ部(不図示)と、演算部(不図示)と、を有しており、以下の測定を行う。
第1センサ部及び第2センサ部が、ウェーハの表裏面の各測定点に広域波長帯域の光を照射するとともに、当該中心で反射した反射光を受ける。その後、各センサ部で受けた反射光を演算部が解析することによって、各測定点でのウェーハの厚さを算出する。
測定したウェーハの厚さは、制御部16に送信され、また、記憶部20に格納される。
なお、ウェーハの厚さの測定は、他にも様々な測定装置を用いてで行うことができ、あるいは、ウェーハの厚さと相関のあるパラメータを測定して、該パラメータからウェーハの厚さを算出することもできる。
【0029】
次いで、図2に示すように、本実施形態では、第1の計算部により、複数の測定点の各々において測定した該ウェーハの厚さを積算して求められる指標Xpを算出する(下記のステップS103~ステップS105)。
具体的には、以下のように指標Xpを算出することができる。
【0030】
ここで、図3は、測定点の各々において測定したウェーハの厚さをウェーハの周方向に平均化した際の、測定点のウェーハの中心からの径方向位置と、周方向に平均化されたウェーハの厚さとの関係を示す図である。図3においては、横軸において、ウェーハの径方向の一方側をプラス、他方側をマイナスとして示している。
図2図3に示すように、本実施形態では、ウェーハの中心からの径方向距離が同じである複数の測定点の各々において測定した該ウェーハの厚さを、ウェーハの周方向に積算(本例では平均化)する(ステップS103:研磨前指標算出工程の一部)。
これにより、図3に示すように、ウェーハの厚さをウェーハの周方向に平均した際の、ウェーハ形状(ウェーハの径方向位置とウェーハの厚さとの関係を表わす形状)を求めることができる。
【0031】
次いで、図2に示すように、本実施形態では、ウェーハの周方向に平均化した厚さと、所定の基準厚さとの差分を計算する(ステップS104:研磨前指標算出工程の一部)。
所定の基準厚さは、本例では、ウェーハの外周端からウェーハの径方向内側に2mmの位置から、ウェーハの外周端からウェーハの径方向内側に10mmの位置までの径方向領域の周方向全域内の測定点における平均厚さとしている。一方で、所定の基準厚さは、他の領域におけるウェーハの厚さの平均値や最大値や最小値とすることもでき、あるいは、任意の適宜設定したものとすることもできる。あるいは、所定の基準厚さを用いて差分を計算することなく、ウェーハの周方向に平均化した厚さをそのまま用いること(ステップS104を省略すること)もできる。
本実施形態では、上記ステップS103に次いで、上記ステップS104を行っているが、この場合に限定されることはなく、先に差分を計算してから、該差分をウェーハの周方向に積算(平均化)しても良いし、同時に計算を行っても良い。
【0032】
次いで、図2図3に示すように、本実施形態では、上記差分をウェーハの径方向にさらに積算して求められる指標Xpを算出する(ステップS105:研磨前指標算出工程の一部)。
具体的には、図3に示すように、上記ステップS105で算出した差分をウェーハの径方向に積算して求められる指標Xpを算出する。
なお、図3では、簡単のために、ウェーハの径方向一方側(プラス側)のみにおいて、横軸の間隔を12.5mmとし、縦軸の周方向に平均化したウェーハの厚さとの積である矩形を示している。
実際には、本例では、横軸1mmと、縦軸のウェーハの厚さとからなる矩形の面積の総和として、指標Xpを算出することができる。
【0033】
上記の例では、指標Xpは、測定点の各々において測定したウェーハの厚さをウェーハの周方向に積算(平均化)したものをウェーハの径方向にさらに積算して算出したが、測定点の各々において測定したウェーハの厚さをウェーハの径方向に積算(平均化)したものをウェーハの周方向にさらに積算して算出することもできる。
また、上記の指標Xpは、測定点の個数等で除した平均値をさらに算出し、該平均値を指標Xpとして用いることもできる。
【0034】
また、上記の実施形態では、ウェーハの面内の2つの座標軸として、ウェーハの径方向である座標軸と、ウェーハの周方向である座標軸とを採り、指標Xpは、測定点の各々において測定したウェーハの厚さを、ウェーハの周方向に積算したものを、ウェーハの径方向にさらに積算して求めたが、他にも例えば、ウェーハの面内の直交座標(例えばx軸及びx軸に直交するy軸)をとり、指標Xpは、測定点の各々において測定したウェーハの厚さをx軸に積算(平均化を含む)したものをy軸に積算(平均化を含む)し、あるいは、y軸に積算(平均化を含む)したものをx軸に積算(平均化を含む)して求めることもできる。
この場合、測定点は、例えば、x軸及びy軸に等間隔に1mm間隔で測定点を設定することができる。
一方で、上記の間隔は1mmである必要はなく、ウェーハの径等に応じて、様々に設定することができる。また、測定点は、x軸及び/又はy軸に等間隔に位置するように設定することが好ましいが、x軸、y軸のいずれか又は両方において、測定点を非等間隔に設定することもできる。
この場合も、所定の基準厚さを用いて差分を計算することもできるし、用いなくても良い。また、この場合も、指標Xpは、測定点の個数等で除した平均値をさらに算出し、該平均値を指標Xpとして用いることもできる。
【0035】
1バッチ目の両面研磨が終了した後であれば、次いで、図2に示すように、制御部16の判定ユニットにより、バッチ処理を終了させるか否かを判定する(ステップS106)。この判定には、例えば、上記算出した指標Xp及び該指標の所定の閾値を用いることができる。
なお、1バッチ目の両面研磨を行っていない場合は、通常はバッチ処理を終了することはないため、ステップS106を飛ばして、後述のステップS107へと進むことができる。ただし、1バッチ目の両面研磨を行っていない場合であっても、ステップS106の判定を行い、その判定結果により後述のステップS107へと進むようにすることもできる。
【0036】
ステップS106においてバッチ処理を終了させないと判定した場合には、次いで、図2に示すように、本実施形態では、第2の計算部により、現バッチでの目標研磨時間Ttと、研磨前指標算出工程において算出された指標Xpと、前バッチで目標とした指標Xtとの関係式である、所定の予測式を用いて、現バッチでの目標研磨時間Ttを算出する(ステップS107:目標研磨時間算出工程)。
上記所定の予測式は、例えば、以下の(式1)で表わされるものとすることができる。
【0037】
(式1)A1×Ttα=A2×Xpβ+A3×Xtγ+A4
ただし、A1、A2、A3、A4、α、β、γは、それぞれ、回帰分析で求められる係数であるか、あるいは、予め与えられた所定の係数であり、
A1、A2、A3、A4、α、β、γのうち、少なくとも1つ以上は、回帰分析で求められる係数である。
【0038】
予測式は、上記の例に限定されず、様々な式を用いることができる。例えば、簡潔のために、以下の(式2)を用いることもできる。
(式2)Tt=B1×Xp+B2×Xt+B3
ただし、B1、B2、B3は、それぞれ、回帰分析で求められる係数であるか、あるいは、予め与えられた所定の係数であり、
B1、B2、B3のうち、少なくとも1つ以上は、回帰分析で求められる係数である。
【0039】
なお、1バッチ目には、前バッチで目標とした指標Xtに代えて、例えば、過去の実績等から、所定の範囲(例えば仕様から求められる範囲)内の指標Xtを設定することができる。2バッチ目以降は、前バッチで目標とした指標を用いれば良い。
上記予測式(例えば(式1)や(式2))の係数について、予め与えられた所定の係数は、例えば、過去のバッチ処理における実績等を用いて、適宜定めることができる。
また、回帰分析で求められる係数は、1バッチ目においては、過去の実績等から適宜定め、2バッチ目以降は、1バッチ目の係数に対して、上記予測式(例えば(式1)や(式2))を用いて回帰分析的に決定することができる。
このようにして決定された、予め与えられた所定の係数や回帰分析で求められる係数により、上記予測式(例えば(式1)や(式2))を用いて、現バッチでの目標研磨時間Ttを算出することができる。
【0040】
次いで、図2に示すように、制御部16により、目標研磨時間算出工程(ステップS107)において算出された目標研磨時間Ttを用いて、ウェーハを両面研磨するように制御して、該両面研磨を行う(ステップS108:両面研磨工程)。
具体的には、目標研磨時間Ttが算出されると、制御部16は、上定盤2、下定盤4、サンギア8、及びインターナルギア10を回転させる。これにより、ウェーハの両面研磨が開始する。
そして、両面研磨では、ウェーハを保持する1つ以上の保持孔が設けられたキャリアプレート12にウェーハを保持し、ウェーハを上定盤2および下定盤4からなる回転定盤6で挟み込み、スラリー供給機構14から研磨パッド上に研磨スラリーを供給しながら、回転定盤6の中心部に設けられたサンギア8の回転と、回転定盤8の外周部に設けられたインターナルギア10の回転とにより、回転定盤6とキャリアプレート12とを相対回転させて、算出した目標研磨時間Ttを用いてウェーハの両面を研磨する。
なお、制御部16が、上定盤2、下定盤4、サンギア8、及びインターナルギア10の回転を停止させることにより、ウェーハの両面研磨が終了する。
この場合の両面研磨の研磨時間は、算出した目標研磨時間Ttそのものとしても良いし、あるいは、算出した目標研磨時間Ttに対して補正を行った(例えば補正係数を加える、乗じる等した)研磨時間としても良い。
【0041】
次に、測定部18としての分光干渉変位装置は、両面研磨の終了の情報を制御部16から受信すると、次バッチに移行し、研磨後のウェーハについて、ステップS102に戻って、ステップS102~ステップS106までを繰り返す。ステップS106において、制御部16の判定ユニットがバッチ処理を終了させると判定するまで、上記の工程を繰り返し、バッチ処理を終了させると判定した場合に、バッチ処理を終了させる(ステップS109)。
【0042】
以上説明した、本発明の一実施形態にかかるワークの両面研磨方法及びワークの両面研磨装置によれば、研磨後のワークのGBIR値のバッチ間でのばらつきを抑制することができる。
【0043】
図4は、本発明の他の実施形態にかかるワークの両面研磨方法を示す、フローチャートである。
まず、図2に示した実施形態と同様に、ウェーハの面内の複数の測定点を設定し(ステップS201)、前バッチでの両面研磨後に、該両面研磨を行ったウェーハの面内の複数の測定点の各々において、ウェーハの厚さを測定する(ステップS202:研磨前指標算出工程の一部)。ステップS201及びステップS202の詳細については、図2に示した実施形態における、ステップS101及びステップS102と同様であるので、説明を省略する。
【0044】
次いで、この実施形態では、指標Xpの算出を以下のように行う。
この実施形態では、まず、ウェーハの面内を、測定点の1つ以上を含む、複数の微小面に分割し、該複数の微小面の各々について、該微小面に含まれる測定点の各々において計測したウェーハの厚さに基づいて、微小面におけるウェーハの厚さを算出する(下記のステップS203~ステップS206)。
当該算出は、第1の計算部により行うことができる。
【0045】
具体的には、図4に示すように、この実施形態では、まず、測定したウェーハの厚さを用いて、所定の基準面を算出する(ステップS203:研磨前指標算出工程の一部)。
ここで、図5は、基準面の算出方法について説明するための図である。
図5に示すように、本例では、ウェーハの周方向の各測定点(本例では測定点は、周方向に等間隔に1°の間隔で設定しているため、360方向の各測定点となる)について、ウェーハの中心からの径方向距離の絶対値が140~148mmの径方向領域におけるウェーハの厚さの最大値を採用し、360個のウェーハの最大厚さを用いて、最小二乗法により、該360個の点からなる面として誤差が最小となるような基準面を算出する。
なお、図5では、簡単のため、周方向に21点のみのプロットを示しているが、実際には、本例では周方向に360点の最大値が用いられている。
【0046】
ここで、図6は、微小面にけるウェーハの厚さの算出方法について説明するための図である。
次いで、図4図6に示すように、この実施形態では、ウェーハの面内を、測定点の1つ以上を含む、複数の微小面に分割する(ステップS204:研磨前指標算出工程の一部)。
上述したように、本例では、測定点は、ウェーハの径方向に等間隔に1mmの間隔、且つ、ウェーハの周方向に等間隔に1°の間隔で設定されている(図2に示した実施形態と同様である)。
そして、本例では、図6に示すように、ウェーハの周方向及び径方向に互いに最も隣接する4点の測定点をとり、ウェーハの面内を、該4点の測定点を含む(該4点の測定点で囲まれる)、360×150×2=108000個の微小面に分割する。ただし、ウェーハの中心を含む微小面は、3点(そのうち1点がウェーハの中心)の測定点を含む(該3点の測定点で囲まれる)。
【0047】
次いで、図4に示すように、この実施形態では、各微小面の面積を算出する(ステップS205:研磨前指標算出工程の一部)。
【0048】
次いで、図4に示すように、この実施形態では、微小面に含まれる測定点の各々において計測したウェーハの厚さに基づいて、微小面におけるウェーハの厚さを算出する(ステップS206:研磨前指標算出工程の一部)。
本例では、各微小面には4つ(ウェーハの中心を含む場合は3つ)の測定点が含まれている。そして、ステップS203で算出した基準面を基準とした際の、4つ(ウェーハの中心を含む場合は3つ)の測定点の各々において測定したウェーハの厚さの平均値を、微小面におけるウェーハの厚さとして算出して用いることができる。
【0049】
次いで、図4に示すように、この実施形態では、算出した微小面におけるウェーハの厚さを、ウェーハの面内で、面で積算して、指標Xpを算出する(下記のステップS207及びステップS208)。
具体的には、まず、ステップS205において算出した微小面の面積と、ステップS206において算出した微小面におけるウェーハの厚さとの積を算出する(ステップS207:研磨前指標算出工程の一部)。
【0050】
次いで、図4に示すように、この実施形態では、各微小面における上記の積を、全ての微小面について積算して、指標Xpを算出する(ステップS208:研磨前指標算出工程の一部)。
【0051】
このように、図4に示す実施形態によっても、指標Xpを算出することができる。
次いで、この実施形態では、図4に示すように、制御部16の判定ユニットにより、バッチ処理を終了させるか否かを判定する(ステップS209)。バッチ処理を終了させないと判定した場合には、次いで、図4に示すように、この実施形態では、第2の計算部により、現バッチでの目標研磨時間Ttと、研磨前指標算出工程において算出された指標Xpと、前バッチで目標とした指標Xtとの関係式である、所定の予測式を用いて、現バッチでの目標研磨時間Ttを算出する(ステップS210:目標研磨時間算出工程)。次いで、図4に示すように、制御部16により、目標研磨時間算出工程(ステップS210)において算出された目標研磨時間Ttを用いて、ウェーハを両面研磨するように制御して、該両面研磨を行う(ステップS211:両面研磨工程)。そして、次バッチに移行し、研磨後のウェーハについて、ステップS202に戻って、ステップS202~ステップS209までを繰り返す。ステップS209において、制御部16の判定ユニットがバッチ処理を終了させると判定するまで、上記の工程を繰り返し、バッチ処理を終了させると判定した場合に、バッチ処理を終了させる(ステップS211)。なお、ステップS209~ステップS212のそれぞれの詳細については、図2に示した実施形態におけるステップS106~S109のそれぞれと同様であるため、説明を省略する。
【0052】
図4に示した実施形態において、上記の基準面の決定方法は、一例に過ぎず、他にも様々な決定方法がある。例えば、上記の例では、ウェーハの中心からの径方向距離の絶対値が140~148mmの径方向領域におけるウェーハの厚さの最大値を用いたが、最小値や平均値を用いることもでき、また、他の領域における最大値、最小値、平均値を用いることもできる。あるいは、基準面は必ずしも算出する必要はなく、ステップS203を省略することもできる。
【0053】
また、図4に示した実施形態において、微小面の取り方も様々であり、上記の例では、ウェーハの周方向及び径方向に互いに最も隣接する4点の測定点を含む(該4点の測定点で囲まれる)微小面を用いたが、例えば、平面視で三角形をなす3点の測定点で囲まれた微小面を用いることもでき、あるいは、1点の測定点の周りを囲むような微小面に区画する(各微小面に1つのみの測定点が含まれるようにする)こともできる。また、微小面に分割した際に、微小面の集合が、ウェーハの全面積の80%以上に均一に配置されているようになっていれば良く、必ずしもウェーハの全面を分割する必要はない。
【0054】
さらに、上記の例では、微小面におけるウェーハの厚さとして、4点の平均値を用いて算出したが、最大値、最小値等別の手法を用いて算出することもできる。なお、微小面に測定点が1点のみ含まれている場合には、当該測定点において測定したウェーハの厚さを、そのまま微小面におけるウェーハの厚さとして用いることができる。
【0055】
図4に示した実施形態において、上記の例では、ステップS203は、ステップS204及びステップS205より先に行っているが、ステップS204及びステップS205より後又は同時に行うこともできる。また、図4に示した実施形態において、上記の例では、ステップS205は、ステップS206より先に行っているが、ステップS206より後又は同時に行うこともできる。
【0056】
以上説明した、本発明の他の実施形態にかかるワークの両面研磨方法及びワークの両面研磨装置によっても、研磨後のワークのGBIR値のバッチ間でのばらつきを抑制することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例
【0057】
本発明の効果を確かめるため、シミュレーションによる試験を行ったので、以下説明する。
<発明例1>
(1)まず、1000個のウェーハの研磨実績から、予測式を用いて算出された予測値(目標研磨時間Tt)及び研磨実績(研磨後の指標及びGBIR値)の分布を作成した。
(2)発明例1では、指標として、図2に示した実施形態の指標を用いた。具体的には、ウェーハの周方向に等間隔に1°、ウェーハの径方向に等間隔に1mmの測定点を設定した際に、測定したウェーハの厚さを、周方向に平均したものを径方向に積算した値を指標として用いた(表1において、「第1の指標」としている)。そして、1回目のバッチ処理用に、目標とする指標及び指標の初期値を設定した。
(3)前述の予測式において、各係数を予め設定し、上記(2)における目標とする指標を指標Xpとして、また、上記(2)における指標の初期値を指標Xtとして用い、次バッチの目標研磨時間を予測式に基づいて算出した。
(4)本実施例では、算出した目標研磨時間に基づく両面研磨を行わずに、算出した目標研磨時間から、以下のようにしてGBIR値を求めた。まず、算出された指標と目標研磨時間との間の比例係数(「算出された指標」/「目標研磨時間」)を予め設定し、(3)において算出した目標研磨時間に、該比例係数を乗じた。
(5)これにより、算出した目標研磨時間から算出された指標を逆算した。
(6)算出された指標を(1)の分布から探査して、それに紐付く実績を選択した。
(7)当該実績を今回の指標の結果として保存した。
(8)今回の結果に紐づくGBIRも別途保存した。
(9)(7)の結果を初期値と置き換えて、(3)~(8)を10000回繰り返した。
(10)10000回の標準偏差を算出した。
【0058】
<発明例2>
指標として、図4に示した実施形態の指標を用いたこと以外は、発明例1と同様のことを行った。すなわち、発明例2では、ウェーハの周方向に等間隔に1°、ウェーハの径方向に等間隔に1mmの測定点を設定した際に、ウェーハの中心からの径方向距離の絶対値が140~148mmの径方向領域におけるウェーハの厚さの最大値を採用し、360個のウェーハの最大厚さを用いて、最小二乗法により、該360個の点からなる面として誤差が最小となるような基準面を算出した。そして、ウェーハの周方向及び径方向に互いに最も隣接する4点(ウェーハの中心を含む場合は3点)の測定点を含む(該4点(ウェーハの中心を含む場合は3点)の測定点で囲まれる)微小面におけるウェーハの厚さを、該4点の基準面を基準とした平均厚さとして求め、微小面におけるウェーハの厚さを、ウェーハの面内で、面で積算したものを指標として用いた(表1において、「第2の指標」としている)。
【0059】
<比較例>
指標として、GBIRを用いたこと以外は、発明例1、2と同様のことを行った。具体的には、以下の通りである。
(1)まず、1000個のウェーハの研磨実績から、予測式を用いて算出された予測値(目標研磨時間Tt)及び研磨実績(研磨後のGBIR値)の分布を作成した。
(2)比較例では、指標としてGBIRを用いた。そして、1回目のバッチ処理用に、目標とするGBIR及びGBIRの初期値を設定した。
(3)前述の予測式において、各係数を予め設定し、上記(2)における目標とするGBIRを指標Xpとして、また、上記(2)におけるGBIRの初期値を指標Xtとして用い、次バッチの目標研磨時間を予測式に基づいて算出した。
(4)比較例でも、算出した目標研磨時間に基づく両面研磨を行わずに、算出した目標研磨時間から、以下のようにしてGBIR値を求めた。まず、算出されたGBIRと目標研磨時間との間の比例係数(「算出されたGBIR」/「目標研磨時間」)を予め設定し、(3)において算出した目標研磨時間に、該比例係数を乗じた。
(5)これにより、算出した目標研磨時間から算出されたGBIRを逆算した。
(6)算出された指標を(1)の分布から探査して、それに紐付く実績を選択した。
(7)当該実績(GBIR)を今回の結果として保存した。
(8)(7)の結果を初期値と置き換えて、(3)~(7)を10000回繰り返した。
(9)10000回の標準偏差を算出した。
評価結果を、以下の図7及び表1に示している。図7は、各指標とGBIRとの関係を示す図である。
【0060】
【表1】
【0061】
図7、表1に示すように、所定の指標を用いた発明例1、2では、GBIRを指標として用いた比較例に比べて、研磨後のウェーハのGBIRのバッチ間でのばらつきが抑制できたことがわかる。
【符号の説明】
【0062】
100:両面研磨装置、
2:上定盤、
4:下定盤、
6:回転定盤、
8:サンギア、
10:インターナルギア、
12:キャリアプレート、
14:スラリー供給機構、
16:制御部、
18:測定部、
20:記憶部、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7