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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20220531BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 251/14 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 251/16 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 239/26 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 233/56 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 471/06 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 405/10 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 209/86 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 215/12 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 235/14 20060101ALI20220531BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
H05B33/14 B
H05B33/22 B
C09K11/06 690
C07D251/14
C07D251/16 C
C07D401/10
C07D471/04 112T
C07D239/26
C07D233/56
C07D487/04 144
C07D471/06
C07D405/10
C07D209/86
C07D215/12
C07D235/14
C07D403/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020563926
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 KR2019012282
(87)【国際公開番号】W WO2020060320
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0112963
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フー、ジュンオー
(72)【発明者】
【氏名】ホン、スン キル
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ミヨン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェ タク
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/164512(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0104167(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0065711(KR,A)
【文献】国際公開第2019/181997(WO,A1)
【文献】特開2013-232521(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0127376(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第108003089(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
C09K 11/06
C07D 251/14
C07D 251/16
C07D 401/10
C07D 471/04
C07D 239/26
C07D 233/56
C07D 487/04
C07D 471/06
C07D 405/10
C07D 209/86
C07D 215/12
C07D 235/14
C07D 403/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に備えられた発光層と、
前記陰極と前記発光層との間に備えられた有機物層と
を含む
有機発光素子であって、
前記発光層は、下記化学式1で表される化合物を含み、
前記陰極と前記発光層との間に備えられた有機物層は、下記化学式2で表される化合物を含む
有機発光素子:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
L3は、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基であるか、R1と結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
L4は、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R1は、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;-OR;-SiRaRbRc;-OSiRaRbRc;置換もしくは非置換のアリール基;または-NRmRnであるか、L3と結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
R2~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;-OR;-SiRaRbRc;-OSiRaRbRc;置換もしくは非置換のアリール基;または-NRmRnであり、
R、Ra、Rb、Rc、RmおよびRnは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;アルキル基;またはアリール基であり
前記R1~R8の少なくとも1つは、重水素であり、
前記L3およびL4の少なくとも1つは、重水素化されたものであり、
前記Ar1およびAr2の少なくとも1つは、重水素;または重水素化されたアリール基であり、
[化学式2]
【化2】
HArは、置換もしくは非置換の含窒素ヘテロ環基であり、
Lは、直接結合;-O-;置換もしくは非置換の2価~4価のアリール基;または置換もしくは非置換の2価~4価のヘテロアリール基であり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
a1は、0~3の整数であり、a1が2以上の場合、L1は互いに同一または異なり、
b1は、0~3の整数であり、b1が2以上の場合、L2は互いに同一または異なり、
aは、1または2であり、
bは、1または2であり、
bが2の場合、HArは互いに同一または異なり、
a2は、1または2であり、
b2は、1または2であり、
a2が2の場合、-[(L1)a1-(CN)]は互いに同一または異なり、
b2が2の場合、-[(L2)b1-(HAr)]は互いに同一または異なる。
【請求項2】
前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;重水素で置換もしくは非置換のフェニル基;重水素で置換もしくは非置換のナフチルフェニル基;重水素で置換もしくは非置換のビフェニル基;重水素で置換もしくは非置換のナフチル基;重水素で置換もしくは非置換のフェナントレニル基;重水素で置換もしくは非置換のフルオランテニル基;重水素で置換もしくは非置換のフェニルピリジニル基;重水素で置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基;重水素で置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基;または重水素で置換もしくは非置換のベンゾナフトチオフェニル基である、
請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記HArは、置換もしくは非置換のピリミジニル基;置換もしくは非置換のピリジニル基;置換もしくは非置換のトリアジニル基;置換もしくは非置換のカルバゾリル基;置換もしくは非置換のイミダゾリル基;置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基;置換もしくは非置換のフェナントロリニル基;置換もしくは非置換のベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-c]キナゾリニル基;置換もしくは非置換のベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-f]フェナントリジニル基;または置換もしくは非置換のスピロ[フルオレン-9,8'-インドロ[3,2,1-ジ]アクリジニル]基である、
請求項1又は請求項2に記載の有機発光素子。
【請求項4】
陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に備えられた発光層と、
前記陰極と前記発光層との間に備えられた有機物層と
を含む
有機発光素子であって、
前記発光層は、下記化学式1で表される化合物を含み、
前記陰極と前記発光層との間に備えられた有機物層は、下記化学式2で表される化合物を含む
有機発光素子:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
L3は、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基であるか、R1と結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
L4は、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R1は、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;-OR;-SiRaRbRc;-OSiRaRbRc;置換もしくは非置換のアリール基;または-NRmRnであるか、L3と結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
R2~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;-OR;-SiRaRbRc;-OSiRaRbRc;置換もしくは非置換のアリール基;または-NRmRnであり、
R、Ra、Rb、Rc、RmおよびRnは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;アルキル基;またはアリール基であり、
前記化学式1で表される化合物は、少なくとも1つの重水素を含み、
[化学式2]
【化2】
HArは、置換もしくは非置換の含窒素ヘテロ環基であり、
Lは、直接結合;-O-;置換もしくは非置換の2価~4価のアリール基;または置換もしくは非置換の2価~4価のヘテロアリール基であり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
a1は、0~3の整数であり、a1が2以上の場合、L1は互いに同一または異なり、
b1は、0~3の整数であり、b1が2以上の場合、L2は互いに同一または異なり、
は、2であり、
bは、1または2であり、
bが2の場合、HArは互いに同一または異なり、
a2は、1または2であり、
b2は、1または2であり、
a2が2の場合、-[(L1) a1 -(CN) ]は互いに同一または異なり、
b2が2の場合、-[(L2) b1 -(HAr) ]は互いに同一または異なる。
【請求項5】
陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に備えられた発光層と、
前記陰極と前記発光層との間に備えられた有機物層と
を含む
有機発光素子であって、
前記発光層は、下記化学式1で表される化合物を含み、
前記陰極と前記発光層との間に備えられた有機物層は、下記化学式2で表される化合物を含む
有機発光素子:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
L3は、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基であるか、R1と結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
L4は、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R1は、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;-OR;-SiRaRbRc;-OSiRaRbRc;置換もしくは非置換のアリール基;または-NRmRnであるか、L3と結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
R2~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;-OR;-SiRaRbRc;-OSiRaRbRc;置換もしくは非置換のアリール基;または-NRmRnであり、
R、Ra、Rb、Rc、RmおよびRnは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;アルキル基;またはアリール基であり、
前記化学式1で表される化合物は、少なくとも1つの重水素を含み、
[化学式2]
【化2】
HArは、置換もしくは非置換の含窒素ヘテロ環基であり、
Lは、直接結合;-O-;置換もしくは非置換の2価~4価のアリール基;または置換もしくは非置換の2価~4価のヘテロアリール基であり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
a1は、0~3の整数であり、a1が2以上の場合、L1は互いに同一または異なり、
b1は、0~3の整数であり、b1が2以上の場合、L2は互いに同一または異なり、
aは、1または2であり、
は、2であり、
HArは、互いに同一または異なり、
a2は、1または2であり、
b2は、1または2であり、
a2が2の場合、-[(L1) a1 -(CN) ]は互いに同一または異なり、
b2が2の場合、-[(L2) b1 -(HAr) ]は互いに同一または異なる。
【請求項6】
前記Lが置換もしくは非置換の2価~4価のヘテロアリール基であるか、
前記L1およびL2の少なくともいずれか1つが置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基である、
請求項1からのいずれか1項に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記化学式2で表される化合物は、下記の化合物の中から選択されたいずれか1つである、
請求項1又は請求項2に記載の有機発光素子:
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】

【請求項8】
前記化学式2で表される化合物を含む有機物層は、
電子注入層;
電子輸送層;
電子注入および輸送層;または
電子調節層である、
請求項1からのいずれか1項に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学式1で表される化合物を発光層に含み、化学式2で表される化合物を陰極と発光層との間の有機物層に含む有機発光素子に関する。
【0002】
本出願は、2018年9月20日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0112963号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
一般的に、有機発光現象とは、有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに変換させる現象をいう。有機発光現象を利用する有機発光素子は、通常、陽極および陰極と、これらの間に有機物層とを含む構造を有する。ここで、有機物層は、有機発光素子の効率と安定性を高めるためにそれぞれ異なる物質で構成された多層の構造からなり、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などからなる。このような有機発光素子の構造において、2つの電極の間に電圧をかけると、陽極からは正孔が、陰極からは電子が有機物層に注入され、注入された正孔と電子が接した時、エキシトン(exciton)が形成され、このエキシトンが再び基底状態に落ちる時に光を発する。
【0004】
上記のような有機発光素子のための新たな材料の開発が求められ続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許公報第10-2008-0101793号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、化学式1で表される化合物を発光層に含み、化学式2で表される化合物を陰極と発光層との間に備えられた有機物層に含むことにより、駆動電圧が低いか、効率が高いか、寿命特性に優れているか、色純度が高い有機発光素子を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の一実施態様は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に備えられた発光層と、前記陰極と前記発光層との間に備えられた有機物層とを含む有機発光素子であって、前記発光層は、下記化学式1で表される化合物を含み、前記陰極と前記発光層との間に備えられた有機物層は、下記化学式2で表される化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0008】
[化学式1]
【化1】
【0009】
前記化学式1において、
L3は、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基であるか、R1と結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
L4は、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R1は、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;-OR;-SiRaRbRc;-OSiRaRbRc;置換もしくは非置換のアリール基;または-NRmRnであるか、L3と結合して置換もしくは非置換の環を形成し、
R2~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;-OR;-SiRaRbRc;-OSiRaRbRc;置換もしくは非置換のアリール基;または-NRmRnであり、
R、Ra、Rb、Rc、RmおよびRnは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、重水素、アルキル基、またはアリール基であり、
前記化学式1で表される化合物は、少なくとも1つの重水素を含み、
[化学式2]
【化2】
前記化学式2において、
HArは、置換もしくは非置換の含窒素ヘテロ環基であり、
Lは、直接結合;-O-;置換もしくは非置換の2価~4価のアリール基;または置換もしくは非置換の2価~4価のヘテロアリール基であり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
a1は、0~3の整数であり、a1が2以上の場合、L1は、互いに同一または異なり、b1は、0~3の整数であり、b1が2以上の場合、L2は、互いに同一または異なり、
aは、1または2であり、bは、1または2であり、bが2の場合、HArは、互いに同一または異なり、
a2は、1または2であり、b2は、1または2であり、
a2が2の場合、-[(L1)a1-(CN)]は、互いに同一または異なり、
b2が2の場合、-[(L2)b1-(HAr)]は、互いに同一または異なる。
【発明の効果】
【0010】
本明細書の一実施態様に係る有機発光素子は、駆動電圧が低いか、効率が高いか、寿命特性に優れているか、色純度が高い効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】基板1、陽極2、発光層8、有機物層3、および陰極4からなる有機発光素子の例を示す図である。
図2】基板1、陽極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、正孔調節層7、発光層8、電子調節層9、電子輸送層10、電子注入層11、および陰極4からなる有機発光素子の例を示す図である。
図3】基板1、陽極2、正孔注入層5、第1正孔輸送層6a、第2正孔輸送層6b、発光層8、電子注入および輸送層12、並びに陰極4からなる有機発光素子の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をより詳しく説明する。ただし、下記の説明は本発明の一実施態様に係るもので、均等な範囲内で置換可能な範囲まですべて含む。
【0013】
まず、本明細書におけるいくつかの用語を明確にする。
【0014】
本明細書において、
【化3】
は、他の置換基または結合部に結合する部位を意味する。
【0015】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴または構成要素が存在することを意味するものであり、1つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。
【0016】
本明細書において、領域、層などの部分が他の部分の上に備えられるとする時、他の部分の直上にある場合のみならず、その中間に他の領域、層などが介在している場合も含む。
【0017】
本明細書において、「重水素化」とは、水素が重水素に代替されたことを意味する。ある化合物が「重水素化」されたとの意味は、その化合物に存在する1つ以上の水素が重水素に代替されたことを意味する。X%重水素化された化合物または基は、利用可能な水素のX%が重水素に代替されていることを意味する。
【0018】
本明細書において、ある化合物の重水素化された比率は、その化合物に存在する水素と重水素の個数の合計中に重水素の個数が占める比率を意味する。
【0019】
本明細書において、化合物に存在できるすべての水素が重水素で置換された場合、これは100%重水素化されたと表示する。
【0020】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素がある。
【0021】
本明細書において、アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖の飽和炭化水素を意味する。前記アルキル基の炭素数は特に限定されないが、1~40のものが好ましい。一実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~20である。もう一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~10である。もう一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~6である。前記アルキル基は、鎖状または環状であってもよい。
【0022】
前記鎖状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、イソヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これらに限定されない。
【0023】
前記環状アルキル基(シクロアルキル基)の炭素数は特に限定されないが、3~40のものが好ましい。一実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~24である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~14である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~8である。前記シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書において、アリール基は、1価の芳香族炭化水素または芳香族炭化水素誘導体の1価の基を意味する。本明細書において、芳香族炭化水素は、pi電子が完全にコンジュゲーションされ、平面である環を含む化合物を意味し、芳香族炭化水素から誘導される基とは、芳香族炭化水素に芳香族炭化水素または環状脂肪族炭化水素が縮合された構造を意味する。また、本明細書において、アリール基は、2以上の芳香族炭化水素または芳香族炭化水素の誘導体が互いに連結された1価の基を含むものである。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~36、6~30、または6~25である。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~18である。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~13である。
【0025】
前記アリール基は、単環または多環であってもよい。前記単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基などがあるが、これらに限定されない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、クリセニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチル基、ベンゾフルオレニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書において、フルオレニル基が置換されていてもよいとする時、置換されたフルオレニル基は、フルオレンの5員環の置換基が互いにスピロ結合して芳香族炭化水素環を形成する化合物まですべて含むのである。前記置換されたフルオレニル基は、9,9'-スピロビフルオレニル基、スピロ[シクロペンタン-1,9'-フルオレン]イル基、スピロ[ベンゾ[c]フルオレン-7,9-フルオレン]イル基などを含むが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書において、ヘテロ環基は、1価のヘテロ環を意味する。前記ヘテロ環は、芳香族ヘテロ環;または脂肪族ヘテロ環であってもよい。一実施態様において、前記ヘテロ環の炭素数は特に限定されないが、炭素数2~40のものが好ましい。一実施態様によれば、前記ヘテロ環の炭素数は2~30である。他の実施態様によれば、前記ヘテロ環の炭素数は2~20である。
【0028】
本明細書において、脂肪族ヘテロ環は、ヘテロ原子のうちの1つ以上を含む脂肪族環を意味する。脂肪族ヘテロ環の例としては、オキシラン(oxirane)、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン(morpholine)、オキセパン、アゾカン、チオカンなどがあるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書において、芳香族ヘテロ環とは、ヘテロ原子のうちの1つ以上を含む芳香族環を意味する。芳香族ヘテロ環の例としては、ピリジン、ピロール、ピリミジン、ピリダジン、フラン、チオフェン、イミダゾール、パラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ジチアゾール、テトラゾール、ピラン、チオピラン、ジアジン、オキサジン、チアジン、ジオキシン、トリアジン、テトラジン、イソキノリン、キノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、アクリジン、フェナントリジン、ジアザナフタレン、トリアザインデン、インドール、インドリジン、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、カルバゾール、ベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、フェナジン、イミダゾピリジン、フェノキサジン、フェナントリジン、インドロカルバゾール、インデノカルバゾールなどがあるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書において、ヘテロアリール基は、1価の芳香族ヘテロ環を意味する。
【0031】
本明細書において、アリーレン基は、2価であることを除けば、前記アリール基に関する説明が適用可能である。
【0032】
本明細書において、ヘテロアリーレン基は、2価であることを除けば、前記ヘテロアリール基に関する説明が適用可能である。
【0033】
以下、本明細書の一実施態様に係る有機発光素子およびこれに含まれる化合物について説明する。
【0034】
本明細書の一実施態様は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に備えられた発光層と、前記陰極と前記発光層との間に備えられた有機物層とを含む有機発光素子であって、前記発光層は、前記化学式1で表される化合物を含み、前記陰極と前記発光層との間に備えられた有機物層は、前記化学式2で表される化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0035】
一実施態様において、前記化学式1で表される化合物は、少なくとも1つの重水素を含む。水素が重水素に代替される場合、化合物の化学的性質はほとんど変化しない。しかし、重水素の原子量は水素の原子量の2倍であるので、重水素化された化合物は物理的性質が変化可能である。一例として、重水素で置換された化合物は、振動エネルギー準位が低くなる。振動エネルギー準位の減少は、分子間のファンデルワールス力の減少や分子間の振動による衝突に起因する量子効率の減少を防止することができる。このため、化学式1で表される化合物は重水素を含むことにより、素子の効率および寿命を改善することができる。
【0036】
前記化学式2で表される化合物は、含窒素ヘテロ環およびCNを含む。
【0037】
一般的に、電子注入および輸送材料として多く使用される含窒素ヘテロ環は、電子注入および伝達能力が非常に優れている。これは、正孔対比過度に多い量の電子が発光層に移るようにして発光層内部の正孔と電子量の不均衡をもたらすことがある。また、発光領域において、電子-正孔対によって作られるエキシトンが正孔輸送層と発光層との界面に積もるようにして素子の効率と寿命を低下させる原因になる。
【0038】
本発明の化学式2で表される化合物は、CNのように強い電子受容体置換基が含窒素ヘテロ環に導入されるので、化合物のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が低くなり、同時に双極子モーメントが増加する。これによって発光層に移る電子の移動速度が調節されて、素子の効率と寿命を高めることができる。
【0039】
以下、化学式1で表される化合物の一実施態様について説明する。
【0040】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;重水素で置換もしくは非置換のアリール基;または「重水素、または重水素で置換もしくは非置換のアリール基」で置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0041】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のC6-C22のアリール基;または置換もしくは非置換のC2-C22のヘテロアリール基である。
【0042】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のC6-C18のアリール基;または置換もしくは非置換のC2-C18のヘテロアリール基である。
【0043】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;Tで置換もしくは非置換のアリール基;またはTで置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0044】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;Tで置換もしくは非置換のC6-C18のアリール基;またはTで置換もしくは非置換のC2-C18のヘテロアリール基である。
【0045】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;Tで置換もしくは非置換のフェニル基;Tで置換もしくは非置換のビフェニル基;Tで置換もしくは非置換のナフチル基;Tで置換もしくは非置換のフェナントレニル基;Tで置換もしくは非置換のフルオランテニル基;Tで置換もしくは非置換のピリジニル基;Tで置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基;Tで置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基;またはTで置換もしくは非置換のベンゾナフトチオフェニル基である。
【0046】
本明細書の一実施態様によれば、前記TおよびTは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、重水素;または重水素で置換もしくは非置換のアリール基である。
【0047】
本明細書の一実施態様によれば、前記Tは、重水素である。
【0048】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;重水素で置換もしくは非置換のフェニル基;重水素で置換もしくは非置換のナフチルフェニル基;重水素で置換もしくは非置換のビフェニル基;重水素で置換もしくは非置換のナフチル基;重水素で置換もしくは非置換のフェナントレニル基;重水素で置換もしくは非置換のフルオランテニル基;重水素で置換もしくは非置換のフェニルピリジニル基;重水素で置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基;重水素で置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基;または重水素で置換もしくは非置換のベンゾナフトチオフェニル基である。
【0049】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;重水素で置換もしくは非置換のフェニル基;重水素で置換もしくは非置換のビフェニル基;重水素で置換もしくは非置換のナフチル基;重水素で置換もしくは非置換のフェニルピリジニル基;重水素で置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基;重水素で置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基;または重水素で置換もしくは非置換のベンゾナフトチオフェニル基である。
【0050】
本明細書の一実施態様によれば、前記L3は、直接結合;または重水素で置換もしくは非置換のアリーレン基であるか、R1と結合して重水素で置換もしくは非置換の環を形成する。
【0051】
本明細書の一実施態様によれば、前記L3は、直接結合;または重水素で置換もしくは非置換のフェニレン基であるか、R1と結合して重水素で置換もしくは非置換のインデン環を形成する。
【0052】
本明細書において、前記L3がR1と結合してインデン環を形成するというのは、L3とR1が結合して形成した環が、下記化学式1Aの点線で表示した部分のようなインデン環であることを意味する。下記化学式1Aにおいて、R1~R8の表示は省略した。
【0053】
[化学式1A]
【化4】
【0054】
本明細書の一実施態様によれば、前記L3は、直接結合であるか、L1と結合して重水素で置換もしくは非置換のインデン環を形成する。
【0055】
本明細書の一実施態様によれば、前記L4は、直接結合である。
【0056】
本明細書の一実施態様によれば、前記L3は、直接結合であるか、L1と結合して重水素で置換もしくは非置換のインデン環を形成し、前記Ar1は、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0057】
本明細書の一実施態様によれば、前記L3は、直接結合であるか、L1と結合して重水素で置換もしくは非置換のインデン環を形成し、前記Ar1は、Tで置換もしくは非置換のアリール基;またはTで置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0058】
本明細書の一実施態様によれば、前記L3は、直接結合であるか、L1と結合して重水素で置換もしくは非置換のインデン環を形成し、前記Ar1は、Tで置換もしくは非置換のC6-C18のアリール基;またはTで置換もしくは非置換のC2-C18のヘテロアリール基である。
【0059】
本明細書の一実施態様によれば、前記L4は、直接結合であり、前記Ar2は、置換もしくは非置換のアリール基である。
【0060】
本明細書の一実施態様によれば、前記L4は、直接結合であり、前記Ar2は、Tで置換もしくは非置換のアリール基であり、前記Tは、重水素;または重水素で置換もしくは非置換のアリール基である。
【0061】
本明細書の一実施態様によれば、前記L4は、直接結合であり、前記Ar2は、Tで置換もしくは非置換のC6-C18のアリール基であり、前記Tは、重水素;または重水素で置換もしくは非置換のC6-C12のアリール基である。
【0062】
前記化学式1で表される化合物は、一実施態様によれば、10%以上重水素化され、一実施態様によれば、20%以上重水素化され、一実施態様によれば、30%以上重水素化され、一実施態様によれば、40%以上重水素化され、一実施態様によれば、50%以上重水素化され、一実施態様によれば、60%以上重水素化され、一実施態様によれば、70%以上重水素化され、一実施態様によれば、80%以上重水素化され、一実施態様によれば、90%以上重水素化され、一実施態様によれば、100%重水素化される。
【0063】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1は、水素;重水素;重水素で置換もしくは非置換のアルキル基;または重水素で置換もしくは非置換のアリール基であるか、L3と結合して重水素で置換もしくは非置換の環を形成する。
【0064】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1は、水素;または重水素であるか、L3と結合して重水素で置換もしくは非置換の環を形成する。
【0065】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1は、水素;または重水素であるか、L3と結合して重水素で置換もしくは非置換のインデン環を形成する。
【0066】
本明細書の一実施態様によれば、前記R2~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;重水素で置換もしくは非置換のアルキル基;重水素で置換もしくは非置換のアリール基である。
【0067】
本明細書の一実施態様によれば、前記R2~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;重水素で置換もしくは非置換のアリール基である。
【0068】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R8の少なくとも1つは、重水素である。
【0069】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R4の少なくとも1つは、重水素である。本明細書の一実施態様によれば、前記R1は、重水素である。
【0070】
本明細書の一実施態様によれば、前記R2は、重水素である。
【0071】
本明細書の一実施態様によれば、前記R3は、重水素である。
【0072】
本明細書の一実施態様によれば、前記R4は、重水素である。
【0073】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R4は、それぞれ重水素である。
【0074】
本明細書の一実施態様によれば、前記R5は、重水素である。
【0075】
本明細書の一実施態様によれば、前記R6は、重水素;または重水素で置換もしくは非置換のアリール基である。
【0076】
本明細書の一実施態様によれば、前記R7は、重水素である。
【0077】
本明細書の一実施態様によれば、前記R8は、重水素である。
【0078】
本明細書の一実施態様によれば、前記L3およびL4の少なくとも1つは、重水素化されたものである。
【0079】
本明細書の一実施態様によれば、前記Ar1およびAr2の少なくとも1つは、重水素;または重水素化されたアリール基である。
【0080】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物は、1以上の重水素で置換される。このように重水素化された化合物は、公知の重水素化反応によって製造できる。本明細書の一実施態様によれば、化学式1で表される化合物は、重水素化された化合物を前駆体として用いて形成するか、重水素化された溶媒を用いて酸触媒下で水素-重水素交換反応により重水素を化合物に導入することもできる。
【0081】
本明細書において、重水素化された程度は、核磁気共鳴分光法(H NMR)やGC/MSなどの公知の方法で確認することができる。
【0082】
以下、化学式2で表される化合物の一実施態様について説明する。
【0083】
本明細書の一実施態様によれば、前記HArは、置換もしくは非置換の含窒素ヘテロ環基である。
【0084】
本明細書の一実施態様によれば、前記HArは、置換もしくは非置換のC2-C42の含窒素ヘテロ環基である。
【0085】
本明細書の一実施態様によれば、前記HArは、置換もしくは非置換のC2-C38の含窒素ヘテロ環基である。
【0086】
本明細書の一実施態様によれば、前記HArは、置換もしくは非置換のC2-C34の含窒素ヘテロ環基である。
【0087】
本明細書の一実施態様によれば、前記HArは、置換もしくは非置換のC2-C30の含窒素ヘテロ環基である。
【0088】
本明細書の一実施態様によれば、前記HArは、置換もしくは非置換であり、Nを2以上含有するヘテロ環基である。
【0089】
本明細書の一実施態様によれば、前記HArは、置換もしくは非置換の1環~8環の含窒素ヘテロ環基である。
【0090】
本明細書の一実施態様によれば、前記HArは、R51で置換もしくは非置換の含窒素ヘテロ環基である。本明細書の一実施態様によれば、前記R51は、水素;重水素;シアノ基;シアノ基またはアリール基で置換もしくは非置換のアリール基;またはヘテロアリール基である。
【0091】
本明細書の一実施態様によれば、前記R51は、水素;重水素;シアノ基;シアノ基で置換もしくは非置換のフェニル基;ビフェニル基;ジフェニルフルオレニル基;またはスピロ[フルオレン-9,9'-キサンテニル]基である。
【0092】
本明細書の一実施態様によれば、前記HArは、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジニル基、ビピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジニル基、スピロフルオレンインドロアクリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、ベンズイミダゾキナゾリニル基;キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、フェナントロリニル基(phenanthroline)、ベンズイミダゾフェナントリジニル基;アジリジニル基、アザインドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基(purine)、プテリジニル基(pteridine)、ベータ-カルボリル基、ナフチリジニル基(naphthyridine)、ター-ピリジル基、フェナジニル基、イミダゾピリジニル基、ピロピリジニル基、アゼピニル基、またはピラゾリル基であり、R51で置換されていてもよい。
【0093】
本明細書の一実施態様によれば、前記HArは、置換もしくは非置換のピリミジニル基;置換もしくは非置換のピリジニル基;置換もしくは非置換のトリアジニル基;置換もしくは非置換のカルバゾリル基;置換もしくは非置換のイミダゾリル基;置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基;置換もしくは非置換のフェナントロリニル基;置換もしくは非置換のベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-c]キナゾリニル基;置換もしくは非置換のベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2-f]フェナントリジニル基;または置換もしくは非置換のスピロ[フルオレン-9,8'-インドロ[3,2,1-ジ]アクリジニル]基である。
【0094】
本明細書の一実施態様によれば、前記Lは、直接結合;置換もしくは非置換の2価~4価のアリール基;または置換もしくは非置換の2価~4価のヘテロアリール基である。
【0095】
本明細書の一実施態様によれば、前記Lは、直接結合;-O-;置換もしくは非置換のC6-C36の2価~4価のアリール基;または置換もしくは非置換のC2-C36の2価~4価のヘテロアリール基である。
【0096】
本明細書の一実施態様によれば、前記Lは、直接結合;-O-;置換もしくは非置換のC6-C30の2価~4価のアリール基;または置換もしくは非置換のC2-C30の2価~4価のヘテロアリール基である。
【0097】
本明細書の一実施態様によれば、前記Lは、直接結合;-O-;置換もしくは非置換のC6-C25の2価~4価のアリール基;または置換もしくは非置換のC2-C25の2価~4価のヘテロアリール基である。
【0098】
本明細書の一実施態様によれば、前記Lは、直接結合;-O-;R52で置換もしくは非置換の2価~4価のアリール基;またはR53で置換もしくは非置換の2価~4価のヘテロアリール基である。
【0099】
本明細書の一実施態様によれば、前記R52およびR53は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、重水素;シアノ基;アルキル基;シアノ基またはアリール基で置換もしくは非置換のアリール基;またはヘテロアリール基である。
【0100】
本明細書の一実施態様によれば、前記R52は、水素である。
【0101】
本明細書の一実施態様によれば、前記R53は、水素である。
【0102】
本明細書の一実施態様によれば、前記Lは、直接結合;-O-;置換もしくは非置換の2価~4価のフェニル基;置換もしくは非置換の2価~4価のビフェニル基;置換もしくは非置換の2価~4価のナフチル基;置換もしくは非置換の2価~4価のフルオレニル基;置換もしくは非置換の2価~4価のアントラセニル基;置換もしくは非置換の2価~4価のスピロ[フルオレン-9,9'-キサンテン]基;置換もしくは非置換の2価~4価のピリジニル基;置換もしくは非置換の2価~4価のカルバゾリル基;置換もしくは非置換の2価~4価のベンズイミダゾール基;または置換もしくは非置換の2価~4価のジベンゾフラニル基である。
【0103】
前記Lのいくつかの実施態様において、「置換もしくは非置換の」における置換基は、重水素;シアノ基;重水素、アルキル基、シアノ基、またはヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアリール基;または重水素、シアノ基、またはアリール基で置換もしくは非置換のヘテロアリール基であってもよい。
【0104】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6-C36のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2-C36のヘテロアリーレン基である。
【0105】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6-C30のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2-C30のヘテロアリーレン基である。
【0106】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6-C25のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2-C5のヘテロアリーレン基である。
【0107】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のフェニレン基;置換もしくは非置換のビフェニレン基;置換もしくは非置換のナフチレニレン基;置換もしくは非置換のフルオレニレン基;置換もしくは非置換のアントラセニレン基;置換もしくは非置換の2価のスピロ[フルオレン-9,9'-キサンテン]基;置換もしくは非置換の2価のピリジニル基;置換もしくは非置換の2価のカルバゾール基;置換もしくは非置換の2価のベンズイミダゾール基;または置換もしくは非置換の2価のジベンゾフラニル基である。
【0108】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;重水素、アルキル基、シアノ基、アリール基、シアノ基で置換されたアリール基、アルキル基で置換されたアリール基、アリール基で置換されたアリール基、ヘテロアリール基で置換されたアリール基、またはヘテロアリール基で置換もしくは非置換のC6-C25のアリーレン基;または重水素、アルキル基、シアノ基、アリール基、シアノ基で置換されたアリール基、アルキル基で置換されたアリール基、アリール基で置換されたアリール基、ヘテロアリール基で置換されたアリール基、またはヘテロアリール基で置換もしくは非置換の置換もしくは非置換のC2-C5のヘテロアリーレン基である。
【0109】
前記L1およびL2のいくつかの実施態様において、「置換もしくは非置換の」における置換基は、重水素;シアノ基;重水素、アルキル基、シアノ基、またはヘテロアリール基で置換もしくは非置換のアリール基;または重水素、シアノ基、またはアリール基で置換もしくは非置換のヘテロアリール基であってもよい。
【0110】
本明細書の一実施態様によれば、前記L、-(L1)a1-および-(L2)b1-は、すべて直接結合ではない。
【0111】
本明細書の一実施態様によれば、前記L、-(L1)a1-および-(L2)b1-の少なくとも2つは、直接結合ではない。
【0112】
本明細書の一実施態様によれば、前記L、-(L1)a1-および-(L2)b1-の少なくとも1つは、置換もしくは非置換のアリーレン基である。
【0113】
本明細書の一実施態様によれば、前記L、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基である。
【0114】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;R61で置換もしくは非置換のアリーレン基;またはR62で置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基である。
【0115】
本明細書の一実施態様によれば、前記R61およびR62は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、重水素;シアノ基;アルキル基;アリール基;またはヘテロアリール基である。
【0116】
本明細書の一実施態様によれば、前記R61およびR62は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、重水素;シアノ基;メチル基;フェニル基;ジベンゾフラニル基;またはピリジニル基である。
【0117】
本明細書の一実施態様によれば、前記aは、1である。
【0118】
本明細書の一実施態様によれば、前記aは、2である。
【0119】
本明細書の一実施態様によれば、前記bは、1である。
【0120】
本明細書の一実施態様によれば、前記bは、2である。
【0121】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1およびb1は、それぞれ0である。
【0122】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1とb1の合計は、1以上である。
【0123】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1とb1の合計は、2である。
【0124】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1とb1の合計は、3である。
【0125】
本明細書の一実施態様によれば、前記a1とb1の合計は、4である。
【0126】
本明細書の一実施態様によれば、前記a2は、1である。
【0127】
本明細書の一実施態様によれば、前記b2は、1である。
【0128】
本明細書の一実施態様によれば、前記Lが置換もしくは非置換の2価~4価のヘテロアリール基であるか、前記L1およびL2の少なくともいずれか1つが置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基である。
【0129】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式2で表される化合物は、下記化合物の中から選択されたいずれか1つである。
【0130】
【化5】
【0131】
【化6】
【0132】
【化7】
【0133】
【化8】
【0134】
【化9】
【0135】
【化10】
【0136】
本明細書は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に備えられた発光層と、前記陰極と前記発光層との間に備えられた有機物層とを含む有機発光素子であって、前記発光層は、前記化学式1で表される化合物を含み、前記陰極と前記発光層との間に備えられた有機物層は、前記化学式2で表される化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0137】
本明細書において、特定のA物質がB層に含まれるという意味は、1:1種以上のA物質が1つのB層に含まれることと、2:B層が1層以上で構成され、A物質が多層のB層のうちの1層以上に含まれることをすべて含む。
【0138】
本明細書において、特定のA物質がC層またはD層に含まれるという意味は、1:1層以上のC層のうちの1層以上に含まれるか、2:1層以上のD層のうちの1層以上に含まれるか、3:1層以上のC層および1層以上のD層に含まれることをすべて含むものである。
【0139】
本明細書の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、陽極と発光層との間の有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔輸送および注入を同時に行う層、または正孔調節層であってもよい。陰極と発光層との間の有機物層は、電子調節層、電子輸送層、電子注入層、または電子輸送および注入を同時に行う層であってもよい。前記有機発光素子は、同一の機能をする層を1層以上含むことができる。
【0140】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物は、発光層に含まれる。前記有機発光素子は、その他発光層をさらに含んでもよい。一実施態様において、2層以上の発光層が含まれるとする時、それぞれの発光層は、互いに同一または異なる物質を含むことができ、発光の色も同一または異なっていてよい。
【0141】
本明細書の一実施態様において、前記有機発光素子は、1層の発光層を含む。
【0142】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物の含有量は、前記発光層の総重量100重量部対比、50重量部以上100重量部以下である。
【0143】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物は、発光層の総重量100重量部対比、50重量部以上100重量部以下で含まれる。
【0144】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物を含む発光層は、ドーパントをさらに含む。前記ドーパントは、発光層の総重量100重量部対比、1重量部以上50重量部未満で含まれる。
【0145】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2で表される化合物は、陰極と発光層との間の有機物層に含まれる。
【0146】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2で表される化合物は、電子調節層、電子輸送層、電子注入層、または電子輸送および注入を同時に行う層に含まれる。
【0147】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2で表される化合物を含む有機物層は、電子注入層;電子輸送層;電子注入および輸送層;または電子調節層である。
【0148】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2で表される化合物を含む有機物層は、電子注入および輸送層である。
【0149】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2で表される化合物を含む有機物層は、発光層に接して備えられる。
【0150】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2で表される化合物を含む有機物層は、前記化学式1で表される化合物を含む発光層に接して備えられる。
【0151】
本明細書において、前記「層」は、本技術分野に主に使用される「フィルム」と互換する意味であり、目的の領域を覆うコーティングを意味する。前記「層」の大きさは限定されず、それぞれの「層」は、その大きさが同一または異なっていてもよい。一実施態様において、「層」の大きさは、全体素子と同じでもよく、特定の機能性領域の大きさに相当してもよいし、単一サブピクセル(sub-pixel)だけ小さくてもよい。
【0152】
一実施態様において、本明細書の有機発光素子は、基板上に第1電極、有機物層、および第2電極を順次に積層させることにより製造できる。本明細書の一実施態様において、前記第1電極は、陽極であり、前記第2電極は、陰極である。もう一つの実施態様において、前記第1電極は、陰極であり、前記第2電極は、陽極である。
【0153】
本明細書の一実施態様において、有機発光素子は、基板上に、陽極、1層以上の有機物層、および陰極が順次に積層されたノーマル構造(normal type)の有機発光素子であってもよい。
【0154】
本明細書の一実施態様において、有機発光素子は、基板上に、陰極、1層以上の有機物層、および陽極が順次に積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であってもよい。
【0155】
本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の構造は、図1図3に例示されている。
【0156】
本発明の一実施態様に係る有機発光素子は、図1に示すように、基板1、陽極2、発光層8、有機物層3、および陰極4からなる。一実施態様において、化学式1で表される化合物は、発光層8に含まれ、化学式2で表される化合物は、有機物層3に含まれる。
【0157】
本発明の一実施態様に係る有機発光素子は、図2に示すように、基板1、陽極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、正孔調節層7、発光層8、電子調節層9、電子輸送層10、電子注入層11、および陰極4からなる。一実施態様において、化学式1で表される化合物は、発光層8に含まれる。一実施態様において、化学式2で表される化合物は、電子調節層9、電子輸送層10、または電子注入層11に含まれる。
【0158】
本発明の一実施態様に係る有機発光素子は、図3に示すように、基板1、陽極2、正孔注入層5、第1正孔輸送層6a、第2正孔輸送層6b、発光層8、電子注入および輸送層12、並びに陰極4からなる。一実施態様において、化学式1で表される化合物は、発光層8に含まれる。一実施態様において、化学式2で表される化合物は、電子注入および輸送層12に含まれる。
【0159】
しかし、本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の構造は図1図3に限定されず、下記の構造のいずれか1つであってもよい。
【0160】
(1)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(7)陽極/正孔輸送層/正孔調節層/発光層/電子輸送層/陰極
(8)陽極/正孔輸送層/正孔調節層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(9)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/正孔調節層/発光層/電子輸送層/陰極
(10)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/正孔調節層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(11)陽極/正孔輸送層/発光層/電子調節層/電子輸送層/陰極
(12)陽極/正孔輸送層/発光層/電子調節層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(13)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子調節層/電子輸送層/陰極
(14)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子調節層/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0161】
前記有機発光素子が複数の有機物層を含む場合、前記有機物層は、互いに同一の物質または異なる物質で形成されてもよい。
【0162】
前記有機発光素子の有機物層は、多様な方法で形成可能である。
【0163】
一実施態様において、基板上に金属または導電性を有する金属酸化物、またはこれらの合金を蒸着させて陽極を形成し、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層および電子輸送層を含む有機物層を形成した後、その上に陰極として使用可能な物質を蒸着させて有機発光素子を製造することができる。
【0164】
他の実施態様において、基板上に、陰極物質から有機物層、陽極物質を順に蒸着させて有機発光素子を作ることもできる(国際特許出願公開第2003/012890号)。ただし、製造方法がこれに限定されるものではない。
【0165】
それぞれの有機物層は、任意の慣用的な沈着(deposition)技術、例えば、蒸着(vapor deposition)、液体沈着(liquid deposition)(連続式および不連続式技術)、および熱転写(thermal transfer)によって形成できる。連続式沈着技術は、スピンコーティング(spin coating)、グラビアコーティング(gravure coating)、カーテンコーティング(curtain coating)、ディップコーティング(dip coating)、スロット-ダイコーティング(slot-die coating)、噴霧コーティング(spray coating)、および連続式ノズルコーティング(continuous nozzle coating)を含むが、これに限定されない。不連続式沈着技術は、インクジェット印刷(ink jet printing)、グラビア印刷(gravure printing)、およびスクリーン印刷(screen printing)を含むが、これに限定されない。
【0166】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物は、有機発光素子の製造時、溶液塗布法によって発光層に形成される。
【0167】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2で表される化合物は、蒸着によって陰極と発光層との間に備えられた有機物層に形成される。この時、スパッタリング法(sputtering)や電子ビーム蒸発法(e-beam evaporation)のような物理的蒸着方法(PVD、Physical Vapor Deposition)を利用することができるが、これに限定されない。
【0168】
本明細書の一実施態様において、有機発光素子内のその他の層は、それぞれの層に有用であれば、公知の任意の物質を用いて製造することができる。以下、有機物層に使用すれば良い好ましい物質を例示するが、これに限定されない。
【0169】
前記陽極物質としては、通常、有機物層への正孔注入が円滑となるように仕事関数の大きい物質が好ましい。本発明で使用可能な陽極物質の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0170】
前記陰極物質としては、通常、有機物層への電子注入が容易となるように仕事関数の小さい物質であることが好ましい。陰極物質の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属、またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造の物質などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0171】
前記正孔注入層は、電極から受け取った正孔を発光層または発光層側に備えられた隣接層に注入する層である。前記正孔注入物質としては、正孔を輸送する能力を有し、陽極からの正孔注入効果、発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成されたエキシトンの電子注入層または電子注入材料への移動を防止し、また、薄膜形成能力に優れた化合物を使用することが好ましい。前記正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)は、陽極物質の仕事関数と周辺の有機物層のHOMOとの間であることが好ましい。前記正孔注入物質の具体例としては、金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物、キナクリドン(quinacridone)系の有機物、ペリレン(perylene)系の有機物、アントラキノンおよびポリアニリンとポリチオフェン系の導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0172】
前記正孔輸送層は、正孔注入層から正孔を受け取って発光層まで正孔を輸送する層である。前記正孔輸送物質としては、陽極や正孔注入層から正孔の輸送を受けて発光層に移し得る物質で、正孔に対する移動性の大きい物質が好適である。前記正孔輸送物質の具体例としては、アリールアミン系の有機物、導電性高分子、および共役部分と非共役部分が共にあるブロック共重合体などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0173】
前記正孔調節層は、発光層から電子が陽極に流入するのを防止し、発光層に流入する正孔の流れを調節して素子全体の性能を調節する層である。前記正孔調節物質としては、発光層から陽極への電子の流入を防止し、発光層または発光材料に対して注入される正孔の流れを調節する能力を有する化合物が好ましい。一実施態様において、正孔調節層としては、アリールアミン系の有機物が使用できるが、これに限定されるものではない。
【0174】
前記発光物質としては、正孔輸送層と電子輸送層から正孔と電子の輸送をそれぞれ受けて結合させることにより可視光線領域の光を発し得る物質であって、蛍光や燐光に対する量子効率の良い物質が好ましい。具体例としては、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体(Alq);カルバゾール系化合物;二量体化スチリル(dimerized styryl)化合物;BAlq;10-ヒドロキシベンゾキノリン-金属化合物;ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾールおよびベンズイミダゾール系の化合物;ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)系の高分子;スピロ(spiro)化合物;ポリフルオレン、ルブレンなどがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0175】
前記発光層は、ホスト材料およびドーパント材料を含むことができる。ホスト材料は、縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などがある。具体的には、縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などがあり、ヘテロ環含有化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0176】
前記発光層のドーパント材料としては、芳香族アミン誘導体、スチリルアミン化合物、ホウ素錯体、フルオランテン化合物、金属錯体などがある。前記芳香族アミン誘導体としては、置換もしくは非置換のアリールアミン基を有する縮合芳香族環誘導体として、アリールアミン基を有するピレン、アントラセン、クリセン、ペリフランテンなどを使用することができる。前記スチリルアミン化合物としては、置換もしくは非置換のアリールアミンに少なくとも1つのアリールビニル基が置換された化合物を使用することができる。前記スチリルアミン化合物の例としては、スチリルアミン、スチリルジアミン、スチリルトリアミン、スチリルテトラアミンなどがあるが、これらに限定されない。前記金属錯体としては、イリジウム錯体、白金錯体などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0177】
前記電子調節層は、発光層から正孔が陰極に流入することを遮断し、発光層に流入する電子を調節して素子全体の性能を調節する層である。電子調節物質としては、発光層から陰極への正孔の流入を防止し、発光層または発光材料に対して注入される電子を調節する能力を有する化合物が好ましい。電子調節物質としては、素子内に使用される有機物層の構成によって適切な物質を使用することができる。前記電子調節層は、発光層と陰極との間に位置し、好ましくは、発光層に直接接して備えられる。
【0178】
前記電子輸送層は、電子注入層から電子を受け取って発光層まで電子を輸送する層である。前記電子輸送物質としては、陰極から電子の注入をきちんと受けて発光層に移し得る物質であって、電子に対する移動性の大きい物質が好適である。前記電子輸送物質の例としては、8-ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alqを含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン-金属錯体などがあるが、これらのみに限定されるものではない。前記電子輸送層は、従来技術により使用されているような、任意の所望する陰極物質と共に使用可能である。一実施態様において、前記陰極物質としては、低い仕事関数を有する物質;およびアルミニウム層またはシルバー層を使用することができる。前記低い仕事関数を有する物質の例としては、セシウム、バリウム、カルシウム、イッテルビウムおよびサマリウムなどがあり、前記物質で層を形成した後、アルミニウム層またはシルバー層を前記層上に形成することができる。
【0179】
前記電子注入層は、電極から受け取った電子を発光層に注入する層である。前記電子注入物質としては、電子を輸送する能力を有し、陰極からの電子注入効果、発光層または発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、発光層で生成されたエキシトンの正孔注入層への移動を防止し、また、薄膜形成能力の優れた化合物を使用することが好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントロンなどとそれらの誘導体、金属錯体化合物および含窒素5員環誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0180】
前記金属錯体化合物としては、8-ヒドロキシキノリナトリチウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナト)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(2-ナフトラート)ガリウムなどがあるが、これらに限定されない。
【0181】
本明細書に係る有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【実施例
【0182】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本明細書に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本明細書の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0183】
<化学式1で表される化合物の合成>
【0184】
上記の化学式1で表される化合物は、一実施態様において、重水素化された置換基を互いに連結して形成するか、重水素が置換されない化合物を合成した後、重水素化反応を経て合成することができる。
【0185】
上記の化学式1で表される化合物において重水素のみ置換されない化合物は、例えば、ハロゲン基が含まれた化合物とボロン酸が連結された化合物とをパラジウム触媒下で反応させて連結する反応などのような公知の反応により合成することができる。
【0186】
また、一実施態様において、重水素化されない化合物を重水素化する方法は、不活性環境(inert invironment)で化合物をBenzene-d6に溶かした後、trichlorobenzeneと共に2時間撹拌した後、DOクエンチング(quenching)により反応を終結する方法などで行うことができる。
【0187】
しかし、前述した方法は、化学式1で表される化合物の合成方法の一つの例示に過ぎず、その他公知の他の合成方法を利用しても関係ない。
【0188】
<化合物2-1の合成>
【0189】
【化11】
【0190】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine(30g、58.3mmol)と2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolane(19.6g、64.1mmol)を、Tetrahydrofuran300mLに溶かした後、撹拌する。Potassium carbonate(16.1g、116.6mmol)水溶液を入れて温度を上昇させる。還流が始まると、Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)(2.02g、1.75mmol)触媒を入れて3時間撹拌する。反応終結後、冷却およびエタノールスラリー精製により化合物2-1(31g、収率87%)を製造した。
【0191】
[M+H]=613
【0192】
<化合物2-2の合成>
【0193】
【化12】
【0194】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに5'-(4-(4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenoxy)phenyl)-[1,1':3',1"-terphenyl]-2,2"-dicarbonitrileを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-2を製造した。
【0195】
[M+H]=680
【0196】
<化合物2-3の合成>
【0197】
【化13】
【0198】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに2-(4-chlorophenyl)-4-phenyl-6-(1-(triphenylen-2-yl)naphthalen-2-yl)-1,3,5-triazineを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに(3-cyanophenyl)boronic acidを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-3を製造した。
【0199】
[M+H]=687
【0200】
<化合物2-4の合成>
【0201】
【化14】
【0202】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに2-(4-bromophenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに3-(9,9-diphenyl-7-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-9H-fluoren-2-yl)benzonitrileを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-4を製造した。
【0203】
[M+H]=727
【0204】
<化合物2-5の合成>
【0205】
【化15】
【0206】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに2-(3-(9,9-diphenyl-9H-fluoren-2-yl)-5-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに4-bromobenzonitrileを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-5を製造した。
【0207】
[M+H]=727
【0208】
<化合物2-6の合成>
【0209】
【化16】
【0210】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに7-(3-(4,6-diphenyl-1,3,5-triazin-2-yl)-5-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-9,9-dimethyl-9H-fluorene-2-carbonitrileを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに2-(4-bromophenyl)pyridineを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-6を製造した。
【0211】
[M+H]=680
【0212】
<化合物2-7の合成>
【0213】
【化17】
【0214】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに4-([1,1'-biphenyl]-4-yl)-6-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-2-phenylpyrimidineを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに(3'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)boronic acidを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-7を製造した。
【0215】
[M+H]=688
【0216】
<化合物2-8の合成>
【0217】
【化18】
【0218】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに4-(9-phenyl-1,10-phenanthrolin-2-yl)naphthalen-1-yl1,1,2,2,3,3,4,4,4-nonafluorobutane-1-sulfonateを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに9,9-dimethyl-7-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-9H-fluorene-2-carbonitrileを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-8を製造した。
【0219】
[M+H]=600
【0220】
<化合物2-9の合成>
【0221】
【化19】
【0222】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに2-bromo-9,10-bis(phenyl-d5)anthraceneを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに4-(4,5-diphenyl-2-(4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-1H-imidazol-1-yl)benzonitrileを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-9を製造した。
【0223】
[M+H]=736
【0224】
<化合物2-10の合成>
【0225】
【化20】
【0226】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに9-bromo-10-(naphthalen-2-yl)anthraceneを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに4-(3-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)benzo[4,5]imidazo[1,2-c]quinazolin-6-yl)benzonitrileを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-10を製造した。
【0227】
[M+H]=623
【0228】
<化合物2-11の合成>
【0229】
【化21】
【0230】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに2,7-dibromospiro[fluorene-9,8'-indolo[3,2,1-de]acridine]を用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに(4-cyanophenyl)boronic acidを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-11を製造した。
【0231】
[M+H]=608
【0232】
<化合物2-12の合成>
【0233】
【化22】
【0234】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに2-(10-bromoanthracen-9-yl)benzonitrileを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりにspiro[fluorene-9,8'-indolo[3,2,1-de]acridin]-2-ylboronic acidを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-12を製造した。
【0235】
[M+H]=683
【0236】
<化合物2-13の合成>
【0237】
【化23】
【0238】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに2-(4-(4-bromodibenzo[b,d]furan-3-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに9,9-dimethyl-7-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-9H-fluorene-2-carbonitrileを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-13を製造した。
【0239】
[M+H]=693
【0240】
<化合物2-14の合成>
【0241】
【化24】
【0242】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに2,4-diphenyl-6-(3'-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-[1,1'-biphenyl]-3-yl)-1,3,5-triazineを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに2-chlorospiro[fluorene-9,9'-xanthene]-7-carbonitrileを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-14を製造した。
【0243】
[M+H]=741
【0244】
<化合物2-15の合成>
【0245】
【化25】
【0246】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに6,6'-(5-chloro-1,3-phenylene)bis(2,4-diphenyl-1,3,5-triazine)を用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに9,9-dimethyl-7-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-9H-fluorene-2-carbonitrileを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-15を製造した。
【0247】
[M+H]=758
【0248】
<化合物2-16の合成>
【0249】
【化26】
【0250】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに9,9'-(5-chloro-1,3-phenylene)bis(9H-carbazole)を用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに9,9-dimethyl-7-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-9H-fluorene-2-carbonitrileを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-16を製造した。
【0251】
[M+H]=626
【0252】
<化合物2-17の合成>
【0253】
【化27】
【0254】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに3',5'-dibromo-[1,1'-biphenyl]-4-carbonitrileを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに4-phenyl-2-(6-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)pyridin-2-yl)quinolineを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-17を製造した。
【0255】
[M+H]=740
【0256】
<化合物2-18の合成>
【0257】
【化28】
【0258】
2-(4-(4-bromonaphthalen-1-yl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineの代わりに1,6-dibromopyreneを用い、2-(4'-cyano-[1,1'-biphenyl]-4-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolaneの代わりに4-(2-(4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-1H-benzo[d]imidazol-1-yl)benzonitrileを用いたことを除き、化合物2-1の合成方法と同様の方法で化合物2-18を製造した。
【0259】
[M+H]=789
【0260】
<実施例1>
【0261】
ITO(indium tin oxide)が100nmの厚さに薄膜コーティングされたガラス基板を、洗剤を溶かした蒸留水に入れて超音波洗浄した。この時、洗剤としてはフィッシャー社(Fischer Co.)製品を使用し、蒸留水としてはミリポア社(Millipore Co.)製品のフィルタ(Filter)で2次濾過した蒸留水を使用した。ITOを30分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返し超音波洗浄を10分間進行させた。蒸留水洗浄が終わった後、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、プラズマ洗浄機に輸送させた。また、酸素プラズマを用いて前記基板を5分間洗浄した後、真空蒸着機に基板を輸送させた。
【0262】
このように用意されたITO透明電極上に下記の化合物HI-Aを60nmの厚さに熱真空蒸着して正孔注入層を形成した。
【0263】
前記正孔注入層上に下記の化合物HATを真空蒸着して5nmの厚さの第1正孔輸送層を形成し、前記第1正孔輸送層上に下記の化合物HT-Aを真空蒸着して50nmの厚さの第2正孔輸送層を形成した。
【0264】
次いで、前記第2正孔輸送層上に化合物1-1および化合物BDを25:1の重量比で真空蒸着して厚さ20nmの発光層を形成した。
【0265】
前記発光層上に前記化合物2-1と下記の化合物LiQを1:1の重量比で真空蒸着して35nmの厚さの電子注入および輸送層を形成した。
【0266】
前記電子注入および輸送層上に1nmの厚さにリチウムフルオライド(LiF)を蒸着した後、次いで、100nmの厚さにアルミニウムを蒸着して陰極を形成して、有機発光素子を製造した。
【0267】
上記の過程において、有機物の蒸着速度は0.04nm/sec~0.09nm/secを維持し、リチウムフルオライドの蒸着速度は0.03nm/secを維持し、アルミニウムの蒸着速度は0.2nm/secを維持した。蒸着時の真空度は1×10-7torr~5×10-5torrを維持した。
【0268】
【化29】
【0269】
<実施例2~18>
【0270】
実施例1の化合物1-1および化合物2-1の代わりに下記表1の化合物を用いることを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0271】
【化30】
【0272】
<比較例1~4>
【0273】
前記実施例1の化合物1-1および化合物2-1の代わりに下記表1の化合物を用いることを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。参照として、比較例2および3の素子の電子注入および輸送層は、発光層上に化合物LiQのみを真空蒸着して35nmの厚さに形成された。
【0274】
【化31】
【0275】
前記実施例および比較例の有機発光素子の電圧および効率を10mA/cmの電流密度下で測定し、寿命(LT90)を20mA/cmの電流密度下で測定して、その結果を下記表1に示した。この時、LT95は、初期輝度対比、輝度が95%になる時間を意味する。色座標(x,y)は、CIE色座標を意味する。
【0276】
【表1】
【0277】
前記表1から、本願発明の化学式1で表される化合物を発光層に用い、化学式2で表される化合物を陰極と発光層との間の有機物層に用いた素子は、駆動電圧が低く、効率が高く、寿命特性に優れていることを確認することができる。
【符号の説明】
【0278】
1:基板
2:陽極
3:有機物層
4:陰極
5:正孔注入層
6:正孔輸送層
6a:第1正孔輸送層
6b:第2正孔輸送層
7:正孔調節層
8:発光層
9:電子調節層
10:電子輸送層
11:電子注入層
12:電子注入および輸送層
図1
図2
図3