(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 47/12 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
B65D47/12 BRL
B65D47/12 BSF
(21)【出願番号】P 2018107949
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518172978
【氏名又は名称】メビウスパッケージング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 翔太
(72)【発明者】
【氏名】島田 知
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 大樹
(72)【発明者】
【氏名】林 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】杉山 尚
(72)【発明者】
【氏名】脇島 淳
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-090969(JP,A)
【文献】特開2018-150059(JP,A)
【文献】特開2001-278307(JP,A)
【文献】特開2004-083092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0011649(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口頸部の頂面を覆う主部と、該主部から垂下する円筒形状の側壁と、該側壁を囲繞する円筒形状の囲繞壁とを含み、該側壁の内周面には周方向に延在する係止手段が形成されており、容器の口頸部に被嵌して該係止手段を容器の口頸部の外周面に形成されている係止あご部に係合させることによって容器の口頸部に装着される蓋本体を備えた合成樹脂製容器蓋において、
上方から見て反時計方向に順次に囲繞壁分離領域、移行領域及び側壁分離領域が配置されており、
該囲繞壁分離領域においては、該囲繞壁の上端と該側壁とを接続する破断可能薄肉接続壁が存在し、該破断可能薄肉接続壁は、該反時計方向に見て肉厚が漸次増大せしめられる漸増部を含み、
該囲繞壁分離領域の該反時計方向に見て上流端においては、該囲繞壁に下端から上方に延びるスリットが形成されており、
該移行領域及び該側壁分離領域においては、該側壁が周方向に連続して延在する破断可能薄肉連接壁を介して該主部に接続されており、
該移行領域においては更に、少なくとも一部は下方に向かって該反時計方向に傾斜して延びる破断可能薄肉ラインが該側壁に形成されていると共に、該破断可能薄肉ラインよりも該反時計方向にみて下流側においては該側壁と該囲繞壁とが堅固に接続されている、
ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
【請求項2】
該漸増部において、該破断可能薄肉接続壁の肉厚は、0.05mm以下であるt1から、0.25乃至0.35mmであるt2まで漸次増大せしめられる、請求項1に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項3】
該囲繞壁分離領域の該反時計方向に見て上流端部には、該囲繞壁と該側壁とが接続されていない非接続部が存在する、請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項4】
該囲繞壁分離領域においては該囲繞壁の上端と該側壁とを接続する複数個の破断可能接続片が周方向に間隔をおいて配設されている、請求項1から3までのいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項5】
該囲繞壁分離領域は20乃至180度の角度に渡って存在し、該移行領域は10乃至45度の角度に渡って存在し、該側壁分離領域は90乃至270度の角度に渡って存在する、請求項1から4までのいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項6】
該破断可能薄肉ラインは該側壁の上端から下方に鉛直に延びる上端部と該上端部に続いて下端まで該反時計方向に向かって下方に傾斜して延びる傾斜主部とから構成されている、請求項1から5までのいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項7】
該傾斜主部は鉛直に対して10乃至80度の傾斜角度を有する、請求項6記載の合成樹脂製容器蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側壁と共にこれを囲繞する囲繞壁を含む合成樹脂製容器蓋、更に詳しくは側壁の内周面に形成されている係止手段を容器の口頸部の外周面に形成されている係止あご部に係合して容器の口頸部に装着されるにも拘らず、工具を使用することなく容器の口頸部から充分容易に離脱することができる合成樹脂製容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
調味料等の容器に広く使用される合成樹脂製容器蓋にあっては、ゴミ廃棄処理や省資源の見地から、内容物を消費し尽くした後に容器から分別して廃棄することが要求されている。しかしながら、容器蓋は容器の口頸部に嵌合固定されているため容易に分別することができず、容器蓋の分別廃棄性に関する様々な改善が提案されている。下記特許文献1には、液体調味料のための容器の口頸部に適用するのに適した合成樹脂製容器蓋として、容器の口頸部の頂面を覆う主部と、主部から垂下する円筒形状の側壁と、側壁を囲繞する円筒形状の囲繞壁とを含み、側壁の内周面には周方向に延在する係止手段が形成されており、容器の口頸部に被嵌して前記係止手段を容器の口頸部の外周面に形成されている係止あご部に係合させることによって容器の口頸部に装着される合成樹脂製容器蓋が開示されている。上方から見て反時計方向に順次に囲繞壁分離領域、移行領域及び側壁分離領域が配置されている。囲繞壁分離領域においては、囲繞壁の上端が周方向に連続して延在する破断可能薄肉接続壁を介して側壁に接続され、囲繞壁分離領域の反時計方向に見て上流端においては、囲繞壁には下端から上方に延びるスリットが形成されている。移行領域においては、鉛直に延びる破断可能薄肉ラインが側壁に形成されていると共に、前記破断可能薄肉ラインよりも反時計方向に見て下流側においては側壁と囲繞壁とが堅固に接続されている。側壁分離領域においては、側壁の上端が周方向に連続して延在する破断可能薄肉接続壁を介して主部に接続されている。
【0003】
容器の内容物を消費した後に、所謂廃棄物分別回収のために口頸部から容器蓋を離脱する際には、最初に囲繞壁分離領域においてその上流端から反時計方向に向けて破断可能薄肉接続壁を破断して囲繞壁を側壁から分離し、次いで移行領域において側壁の破断可能薄肉ラインを破断すると共に、側壁分離領域においてその上流端から反時計方向に向けて破断可能薄肉接続壁を破断して側壁を主部から分離する。かくすると、側壁の内周面に形成されている係止手段が少なくとも部分的に容器の口頸部に形成されている係止あご部から離隔され、従って工具を必要とすることなく容器の口頸部から容器蓋の全体を離脱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおりの容器蓋は、工具を使用することなく容器の口頸部から容器蓋の全体を離脱することができるものであるが、本発明者等の経験によれば、移行領域において側壁の破断可能薄肉ラインを破断すると共に側壁分離領域において反時計方向に向けて破断可能薄肉接続壁の破断を開始する際に、側壁の破断可能薄肉ラインの破断は鉛直方向であるのに対して破断可能薄肉接続壁の破断は周方向であることに起因して、側壁の破断可能薄肉ラインの破断と同時に或いはこれに続いて破断可能薄肉接続壁の破断を開始することが困難であり、充分容易に容器の口頸部から容器蓋を分離することができない、という問題がある。
【0006】
上記問題を解決するために、本発明者等は、先に、特願2017-046982の明細書において、移行領域において側壁に形成する破断可能薄肉ラインを少なくとも一部は下方に向かって反時計方向に向かって傾斜して延びる形態にして、移行領域における破断可能薄肉ラインの破断に続いて、側壁分離領域において破断可能薄肉連接壁の破断を充分円滑に開始することができるようにすることを提案した。
【0007】
然るに、本発明者等が先に提案した合成樹脂製容器蓋も、未だ充分に満足することができるものではなく、次のとおりの問題が残留することが判明した。即ち、囲繞壁分離領域において、その上流端から囲繞壁の反時計方向に見た上流端部を指で摘み、反時計方向に向けて破断可能薄肉接続壁を破断して囲繞壁を側壁から分離した後に、移行領域において側壁の破断可能薄肉ラインを破断する際に、囲繞壁に加える必要破断力が急激に増大し、囲繞壁分離領域における破断可能薄肉接続壁の破断力との変化が大きいために破断行為が一旦停止され、分別における一連の破断工程の際の使用者の所謂官能が必ずしも良好でない。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、本発明者等が先に提案した合成樹脂製容器蓋に更に改良を加えて、囲繞壁分離領域においてその上流端から反時計方向に向けて破断可能薄肉接続壁を破断して囲繞壁を側壁から分離した後に、囲繞壁に加える必要破断力の急激な変化を可及的に回避して、分別における一連の破断工程の際に使用者の所謂官能を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、更に鋭意検討を加えると共に官能試験を遂行した結果、囲繞壁分離領域における破断可能薄肉接続壁の肉厚を所要とおりに変化せしめることによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0010】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する合成樹脂製容器蓋として、
容器の口頸部の頂面を覆う主部と、該主部から垂下する円筒形状の側壁と、該側壁を囲繞する円筒形状の囲繞壁とを含み、該側壁の内周面には周方向に延在する係止手段が形成されており、容器の口頸部に被嵌して該係止手段を容器の口頸部の外周面に形成されている係止あご部に係合させることによって容器の口頸部に装着される蓋本体を備えた合成樹脂製容器蓋において、
上方から見て反時計方向に順次に囲繞壁分離領域、移行領域及び側壁分離領域が配置されており、
該囲繞壁分離領域においては、該囲繞壁の上端と該側壁とを接続する破断可能薄肉接続壁が存在し、該破断可能薄肉接続壁は、該反時計方向に見て肉厚が漸次増大せしめられる漸増部を含み、
該囲繞壁分離領域の該反時計方向に見て上流端においては、該囲繞壁に下端から上方に延びるスリットが形成されており、
該移行領域及び該側壁分離領域においては、該側壁が周方向に連続して延在する破断可能薄肉連接壁を介して該主部に接続されており、
該移行領域においては更に、少なくとも一部は下方に向かって該反時計方向に傾斜して延びる破断可能薄肉ラインが該側壁に形成されていると共に、該破断可能薄肉ラインよりも該反時計方向にみて下流側においては該側壁と該囲繞壁とが堅固に接続されている、
ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋が提供される。
【0011】
好ましくは、該漸増部において、該破断可能薄肉接続壁の肉厚は、0.05mm以下であるt1から、0.25乃至0.35mmであるt2まで漸次増大せしめられる。該囲繞壁分離領域の該反時計方向に見て上流端部には、該囲繞壁と該側壁とが接続されていない非接続部が存在するのが好適である。該囲繞壁分離領域においては該囲繞壁の上端と該側壁とを接続する複数個の破断可能接続片が周方向に間隔をおいて配設されているのが好適である。該囲繞壁分離領域は20乃至180度の角度に渡って存在し、該移行領域は10乃至45度の角度に渡って存在し、該側壁分離領域は90乃至270度の角度に渡って存在するのが好ましい。望ましくは、該破断可能薄肉ラインは該側壁の上端から下方に鉛直に延びる上端部と該上端部に続いて下端まで該反時計方向に向かって下方に傾斜して延びる傾斜主部とから構成されている。該傾斜主部は鉛直に対して10乃至80度の傾斜角度を有するのが好都合である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の容器蓋においては、破断可能薄肉接続壁は、反時計方向に見て肉厚が漸次増大せしめられている漸増部を含んでいることに起因して、囲繞壁分離領域においてその上流端から反時計方向に向けて破断可能薄肉接続壁を破断して囲繞壁を側壁から分離した後に、囲繞壁に加える必要破断力の急激な変化が可及的に回避され、分別における一連の破断工程の際に使用者の所謂官能が改良される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を容器の口頸部に装着した状態において、一部を断面で示す正面図。
【
図2】
図1に示す合成樹脂製容器蓋における蓋本体の正面図。
【
図3】
図1に示す合成樹脂製容器蓋における蓋本体の断面図。
【
図4】
図1に示す合成樹脂製容器蓋における蓋本体の平面図。
【
図5】
図1に示す合成樹脂製容器蓋における蓋本体の底面図。
【
図6】
図1に示す合成樹脂製容器蓋の下端部の囲繞壁分離領域を極座標形式で示した図。
【
図7】
図1に示す合成樹脂製容器蓋における蓋本体において移行領域を正面として示す側面図。
【
図8】
図5においてAで示す角度位置における部分断面を上下反転して示す図。
【
図9】
図5においてBで示す角度位置における部分断面を上下反転して示す図。
【
図10】
図5においてCで示す角度位置における部分断面を上下反転して示す図。
【
図11】
図5においてDで示す角度位置における部分断面を上下反転して示す図。
【
図12】
図5においてEで示す角度位置における部分断面を上下反転して示す図。
【
図13】
図5においてFで示す角度位置における部分断面を上下反転して示す図。
【
図14】
図1に示す合成樹脂製容器蓋に形成された破断可能薄肉ラインを示す部分簡略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0015】
図1を参照して説明すると、本発明に従って構成された、全体を番号2で示す容器蓋は蓋本体4及び外蓋6から構成されている。蓋本体4はポリエチレンの如き比較的軟質合成樹脂から射出成型することができ、外蓋6は高密度ポリエチレン又はポリプロピレンの如き比較的硬質合成樹脂から射出成形することができる。
【0016】
主に
図3を参照して説明すると、蓋本体4は後述する容器の口頸部の頂面を覆う主部8と、この主部8から垂下する円筒形状の側壁10と、この側壁10を囲繞する円筒形状の囲繞壁12とを含んでいる。主部8の中央には円環形状の破断可能ライン14によって区画された円形排出開口形成領域16が規定されている。主部8の上面には、径方向略中間部において上方に延出する円筒壁18が形成されている。円筒壁18の外周面には雄螺条20が形成されている。円筒壁18よりも半径方向内側であって且つ排出開口形成領域16の外側には、上方に延出する円筒形状の注出壁22も形成されている。注出壁22の上端部は半径方向外方にカールせしめられている。排出開口形成領域16の内側には、上方に延出する円筒形被係止壁24が形成されている。被係止壁24の外周面の軸線方向中間部には、周方向に連続して延在し且つ半径方向外方に突出する第一の軸方向被係止突条26と、この第一の軸方向被係止突条26よりも幾分下方において周方向に連続して延在し且つ半径方向外方に突出する補助突条28とが配設されている。被係止壁24の外周面における補助突条28の下方には、第一の周方向被係止手段30が配設されている。
図3と共に
図4を参照することによって理解されるとおり、図示の実施形態においては、第一の周方向被係止手段30は周方向に等角度間隔をおいて6個配設されている。第一の軸方向被係止突条26及び第一の周方向被係止手段30については後に更に言及する。被係止壁24の下端部の内側には実質上水平な円形中央壁32が設けられており、この中央壁32には上方に延出する中央延出軸34が形成されている。
【0017】
図3乃至
図5を参照して説明を続けると、主部8の下面には、その外周縁において下方に垂下する円筒形状垂下壁36が形成されている。垂下壁36の外周面の上端部には、周方向に連続して延在し且つ半径方向外方に突出する第二の軸方向被係止突条38が配設されている。垂下壁36の外周面の下端部には、第二の周方向被係止手段40が配設されている。
図4に明確に図示する如く、図示の実施形態においては、第二の周方向被係止手段40は周方向に等角度間隔をおいて6個配設されている。第二の軸方向被係止突条38及び第二の周方向被係止手段40については後に更に言及する。垂下壁36よりも半径方向内側には、下方に延出する環状シール壁42が形成されている。シール壁42よりも半径方向内側には、軸線方向に延びる外側リブ44が主部8の下面及び内側面に固着されている。
図5を参照することによって理解されるとおり、外側リブ44は周方向に等角度間隔をおいて4個配置されている。外側リブ44よりも半径方向内側には、破断可能ライン14の半径方向内側において主部8の下面に接続された基端から半径方向外方に向かって下方に傾斜して延出し、延出端は半径方向において破断可能ライン14よりも外方に位置する環状シール片46も形成されている。シール片46は比較的肉薄であり弾性的に変形することが可能である。シール片46よりも半径方向内側には、軸線方向に延びる内側リブ48が中央壁32の下面及び被係止壁24の内側面に固着されている。
図5を参照することによって理解されるとおり、内側リブ48は周方向に等角度間隔をおいて4個配置されている。
【0018】
主に
図3及び
図5を参照して説明すると、側壁10は、その上端が主部8の垂下壁36の下端に円筒形状接続部50を介して接続されている。側壁10の下端部における周方向所定領域には矩形状の切欠き52が設けられている(
図10、
図11、及び
図14も参照されたい)。側壁10の内周面には周方向に延在する係止手段54が形成されている。図示の実施形態においては、係止手段54は、周方向に間隔をおいて複数設けられた、周方向に延びる突条である。係止手段54は後述する薄肉部が形成されている部分には存在しない(
図14も参照されたい)。所望ならば、係止手段54は周方向に連続して延びる1個の突条又は周方向に間隔をおいて複数設けられたフラップ片であってもよいが、いずれの場合であっても後述する薄肉部が形成されている部分には存在しない。
【0019】
図3に示す通り、囲繞壁12と側壁10との間には底を有しない環状の空隙56が設けられている。囲繞壁12と側壁10との接続については後に言及する。
【0020】
図5を参照して説明すると、本発明にかかる容器蓋においては、上方から見て反時計方向(つまり下方から見て時計方向であって、これは矢印Xで示す方向)に順次に囲繞壁分離領域58、移行領域60及び側壁分離領域62が配置されている。側壁分離領域62の更に半時計方向下流側(さらに詳しくは、側壁分離領域62と囲繞壁分離領域58との間)には非分離領域64が存在しているのが好ましく、囲繞壁分離領域58は20乃至180度の角度に渡って存在し、移行領域60は10乃至45度の角度に渡って存在し、側壁分離領域62は90乃至270度の角度に渡って存在し、非分離領域64は45乃至180度の角度に渡って存在するのがよい。図示の実施形態においては、囲繞壁分離領域58は84度、移行領域60は13度、側壁分離領域62は173度、非分離領域64は90度の角度に渡って存在している。
【0021】
主に
図5及び
図6と共に
図9を参照して説明すると、囲繞壁分離領域58においては、囲繞壁12の上端と側壁10とを接続する破断可能薄肉接続壁68が存在し、破断可能薄肉接続壁68は、反時計方向に見て肉厚が漸次増大せしめられる漸増部70を含んでいることが重要である。漸増部70は20乃至180度の角度に渡って存在するのがよい。破断可能薄肉接続壁68の上面は周方向全体に渡って実質上水平であり、破断可能薄肉接続壁68の肉厚が増大する際には、破断可能薄肉接続壁68の下面の位置が下方に変位する。漸増部70においては、破断可能薄肉接続壁68の肉厚は、0.05mm以下であるt1から、0.25乃至0.35mmであるt2まで漸次増大せしめられるのがよい。囲繞壁分離領域58の反時計方向に見て上流端部71には、囲繞壁12と側壁10とが接続されていない(つまり破断可能薄肉接続壁68が存在しない)非接続部71aと、破断可能薄肉接続壁68は存在するがその肉厚がt1で一定の定常部71bとが設けられている。定常部71bの上流端は非接続部71bの下流端に接続されると共に、定常部71bの下流端は漸増部70の上流端に接続されている。図示の実施形態にあっては、非接続部71aは36度、定常部71bは18度、漸増部70は30度の角度に渡って夫々存在している。所望ならば、非接続部71a及び/又は定常部71bは存在しなくてもよい。つまり、破断可能薄肉接続壁68は囲繞壁分離領域58の全体に渡って形成されていてもよく、また、漸増部70が反時計方向に見て囲繞壁分離領域58の上流端から形成されていてもよい。図示の実施形態においては更に、囲繞壁分離領域68(さらに詳しくは、囲繞壁分離領域68における非接続部71aを除く部分)においては囲繞壁12の上端と側壁10とを接続する複数個の破断可能接続片66も周方向に間隔をおいて配設されている。
【0022】
図5と共に
図2を参照して説明を続けると、囲繞壁分離領域58の反時計方向上流端においては、囲繞壁12に下端から上方に延びるスリット72が形成されている。図示の実施形態においては、囲繞壁12における非分離領域64の反時計方向下流端部は、その上端部に位置する残留部74を除いて略矩形に切り欠かれており、残留部74は下方を向いた断面L字形状の薄肉にせしめられている(
図8も参照されたい)。そして、反時計方向においてスリット72の下流側における囲繞壁12の反時計方向における上流縁の上端部が、反時計方向においてスリット72の上流側における囲繞壁12の反時計方向下流縁の上端部、即ち残留部74に破断可能連接片76を介して接続されている。
図5を参照することによって明確に理解される通り、破断可能連接片76の肉厚は、薄肉にせしめられた囲繞壁12の残留部74の肉厚よりも小さい。
図2及び
図5を参照して説明を続けると、反時計方向においてスリット72の下流側には、囲繞壁12に下端から上方に延びる補助スリット78が形成されており、反時計方向に見てスリット72と補助スリット78との間には摘み部79が規定されている。所望ならば、残留部74は軸線方向に見て囲繞壁12の上端部に位置することに替えて囲繞壁12の下端部又は中間部に形成されていてもよく、残留部74が軸線方向に見て囲繞壁12の下端部又は中間部に形成される場合には、残留部74と反時計方向においてスリット72の下流側における囲繞壁12の反時計方向における上流縁とを接続する破断可能連接片76も軸線方向に見て囲繞壁12の下端部又は中間部に位置することとなる。
図5及び
図9を参照して説明すると、囲繞壁12の内周面には、隣接する破断可能接続片66の間において上端から下端にかけて軸方向に連続して延びるリブ80が形成されている。リブ80と破断可能接続片66とは周方向に見て相互に異なる位置に配設されている。
【0023】
主に
図5及び
図7を参照して説明すると、移行領域60及び側壁分離領域62においては、側壁10の上端が周方向に連続して延在する破断可能薄肉連接壁82を介して主部8に接続されている。破断可能薄肉連接壁82は円筒形状接続部50の外径を局部的に減少することによって規定されている(
図9と
図10とを比較参照されたい)。
【0024】
主に
図5、
図7及び
図14を参照して説明すると、移行領域60においては更に、少なくとも一部は下方に向かって反時計方向に傾斜して延びる破断可能薄肉ライン84が側壁10に形成されていると共に、破断可能薄肉ライン84よりも反時計方向下流側においては側壁10と囲繞壁12とが堅固に接続されている。図示の実施形態においては、移行領域60において、側壁10の内径を局部的に増大することによって規定され且つ下方に向かって反時計方向に傾斜して延びる薄肉部86が側壁10に形成されている(
図10及び
図11も参照されたい)。
図14を参照することによって明確に理解されるとおり、薄肉部86は略平行四辺形状であって、反時計方向上流端の上端は側壁10の上端と整合していると共に、反時計方向下流端の下端は側壁10の下端と整合している。そして、側壁10と囲繞壁12とが堅固に接続されている領域88は薄肉部86の一部を含み、破断可能薄肉ライン84は薄肉部86における側壁10と囲繞壁12とが接続されていない部分(
図14において薄墨で示す部分)によって規定されている。
【0025】
図14を参照して上記領域88について更に詳述すると、領域88は、移行領域60の反時計方向上流端よりも僅かに下流側の位置において側壁10の上端から下方に向かって鉛直に延びる第一の直線縁88aと、この第一の直線縁88aの下端に続いて下方に向かって反時計方向に傾斜して薄肉部86と平行に延びる傾斜側縁88bとを備えている。領域88は更に、側壁分離領域62の反時計方向上流端部において、傾斜側縁88bの反時計方向下流端に続いて下方に凸になるよう屈曲せしめられ且つその変曲点が側壁10の下端と整合するU字縁88cと、このU字縁88cの反時計方向下流側に位置する上端に続いて軸方向に見て係止手段54の上端位置まで上方に向かって鉛直に延びる第二の直線縁88dとを備えている。側壁10の領域88は側壁10の薄肉部86よりも剛性が高いため、移行領域60において薄肉部86は領域88の周縁に沿って破断容易となる。然るに、破断可能薄肉ライン84は薄肉部86において第一の直線縁88aに沿って側壁10の上端から下方に鉛直に延びる上端部84aと、この上端部84aに続き傾斜縁88bに沿って側壁10の下端まで反時計方向に向かって下方に傾斜して延びる傾斜主部84bとから構成される。傾斜主部84bは鉛直に対して10乃至80度の傾斜角度を有するのが好ましく、図示の実施形態においては45度の傾斜角度を有している。所望ならば、薄肉部86を、上記領域88の一部を含む平行四辺形状とすることに代えて、上記領域88を含むことなくその第一の直線縁88a及び傾斜縁88b並びにU字縁88cの外周に沿うような形状にしてもよいが、薄肉部をこのような形状にした場合には、薄肉部を形成する成形型の形状が複雑になり、これに起因して製造工程が煩雑になり製造コストが増大する虞がある。
【0026】
非分離領域64においては、側壁10と囲繞壁12とは堅固に接続されており、主部8と側壁10とを接続する円筒形状接続部50に破断可能薄肉接続壁は形成されていない(
図12と
図13とを比較参照されたい)。
【0027】
図1を参照して説明を続けると、外蓋6は円形天面壁90と、この天面壁90の外周縁から下方に垂下する円筒形状スカート壁92とを備えている。天面壁90の内面の半径方向外側には、下方に垂下する円筒形状垂下壁94が形成されている。垂下壁94の内周面の下端部には雌螺条96が配設されている。垂下壁94の内周面の上端部には、周方向に等角度間隔をおいて複数個のリブ98が形成されており(詳細な図は省略する)、リブ98の各々の下端には肩面100が形成されている。天面壁90の内面の半径方向内側には、下方に垂下する円筒形状係止壁102が形成されている。係止壁102の内周面の下端部には、周方向に連続して延在し且つ半径方向内方に突出する第一の軸方向係止突条104が配設されている。係止壁102の内周面における第一の軸方向係止突条104の下方には、第一の周方向係止手段106が配設されている。図示は省略するが、第一の周方向係止手段106は周方向に等角度間隔をおいて6個配設されており、蓋本体6に配設された第一の周方向被係止手段30の各々と協働する。即ち、蓋本体4に対して外蓋6が時計方向に回転する際には、外蓋6に設けられた第一の周方向係止手段106は蓋本体4に設けられた第一の周方向被係止手段30を弾性的に乗り越えるが、蓋本体4に対して外蓋6が反時計方向に回転する際には、外蓋6に設けられた第一の周方向係止手段106は蓋本体4に設けられた第一の周方向被係止手段30によって規制される。天面壁90の内面には更に、垂下壁94と係止壁102との間において下方に垂下する筒状液留め片108及び筒状補助シール片110も形成されている。
【0028】
スカート壁92の下端部には周方向に延びる破断可能ライン112が形成されており、スカート壁92は破断可能ライン112よりも上方の主部92aと破断可能ライン112よりも下方のタンパーエビデント裾部92bとに区画される。軸線方向に見て、破断可能ライン112は、垂下壁94の下端と同一或いはこれよりも下方に位置するのが好ましい。スカート壁92における主部92aの外周面には掛けられる指の滑りを防止するためのナール(凹凸形状)114が形成されている。タンパーエビデント裾部92bの内周面の上端部には、周方向に連続して延在し且つ半径方向内方に突出する第二の軸方向係止突条116が配設されている。タンパーエビデント裾部92bの内周面の下端部には、第二の周方向係止手段118が配設されている。図示は省略するが、第二の周方向係止手段118は周方向に等角度間隔をおいて多数配設されており、第二の周方向係止手段118の各々は蓋本体6に配設された第二の周方向被係止手段40の各々と協働する。即ち、蓋本体4に対して外蓋6が時計方向に回転する際には、外蓋6に設けられた第二の周方向係止手段118は蓋本体4に設けられた第二の周方向被係止手段40を弾性的に乗り越えるが、蓋本体4に対して外蓋6が反時計方向に回転する際には、外蓋6に設けられた第二の周方向係止手段118は蓋本体4に設けられた第二の周方向被係止手段40によって規制される。
【0029】
上述したとおりの蓋本体4と外蓋6とは、蓋本体4に外蓋6を被嵌した状態で蓋本体4に対して外蓋6を上方から見て時計方向に回転し、蓋本体4の雄螺条20に外蓋6の雌螺条96を螺合せしめることによって相互に組み合わされる。この際には、上述したとおり蓋本体4の外側リブ44及び内側リブ48に所定の治具を作用させて、外蓋6に対する蓋本体4の回転を規制した状態で行われる。蓋本体4に対して外蓋6を上記方向に回転せしめて外蓋6が蓋本体4に対して降下する際には、外蓋6における第一の周方向係止手段106は蓋本体4における第一の周方向被係止手段30を弾性的に乗り越えると共に、外蓋6における第二の周方向係止手段118も蓋本体4における第二の周方向被係止手段40を弾性的に乗り越える。従って蓋本体4に対する外蓋6の回転が第一の周方向係止手段30と第一の周方向被係止手段110との共働及び第二の周方向係止手段118と第二の周方向被係止手段40との共働によって規制されることはない。蓋本体4の雄螺条20に外蓋6の雌螺条96を螺合せしめて蓋本体4と外蓋6とが組み合わされる際には更に、外蓋6の係止壁102に配設されている第一の軸方向係止突条104が蓋本体4の被係止壁24に配設されている第一の軸方向被係止突条26を弾性的に乗り越えてこれの下方に係止され、さらに、外蓋6のスカート壁92に配設されている第二の軸方向係止突条116が蓋本体4の垂下壁36に配設されている第二の軸方向被係止突条38を弾性的に乗り越えてこれの下方に係止される。外蓋6は、その垂下壁94に形成された肩面100が蓋本体4の円筒壁18の上面に当接するまで蓋本体4に対して回転せしめられ、かくして外蓋6は蓋本体4に装着される。外蓋6が蓋本体4に装着された状態にあっては、
図1に示すとおり、外蓋6の補助シール片110の外周面が蓋本体4の注出壁22の上端部の内周面に密着する。
【0030】
上記のとおりに組み合わされた容器蓋2は、
図1において二点鎖線で示す容器の口頸部120に対して
図1に示す状態まで強制的に下降せしめることによって容器の口頸部120に装着される。かくすると、蓋本体4における側壁10の内周面に形成されている係止手段54が口頸部120の外周面に形成されている係止あご部122を弾性的に乗り越えてこれに係止せしめられ、蓋本体4が口頸部120に固着される。また、蓋本体4のシール壁42が口頸部120内に進入せしめられ、これによって口頸部120が密封される。
【0031】
容器の内容物を消費する際には、外蓋6のスカート壁92に指を掛けて、蓋本体4に装着されている外蓋6を上方から見て反時計方向に回転する。蓋本体4に対して外蓋6を上記方向に回転すると、外蓋6の垂下壁94に形成されている雌螺条96と蓋本体4に形成されている雄螺条20との螺合が解除されて蓋本体4に対して外蓋6が上昇せしめられる。このとき、外蓋6の係止壁102に配設されている第一の軸方向係止突条104が蓋本体4の被係止壁24に配設されている第一の軸方向被係止突条26に係止して蓋本体4に対する外蓋6の上昇が規制されると共に、外蓋6の係止壁102に配設されている第一の周方向係止手段106が蓋本体4の被係止壁24に配設されている第一の周方向被係止手段30に係止して蓋本体4に対する外蓋6の回転が規制される。従って、外蓋6を更に蓋本体4に対して上記方向に回転せしめると、第一の軸方向係止突条104及び第一の軸方向被係止突条26と、第一の周方向係止手段106及び第一の周方向被係止手段30とを介して主部8に規定された破断可能ライン14に応力が伝えられこれに集中し、かかる力によって破断可能ライン14が破断され、排出開口が形成される。破断可能ライン14が破断して蓋本体4の主部8に排出開口が形成された後、外蓋6を蓋本体4に対して上記方向に更に回転せしめると、排出開口形成領域16が主部8のその他の部分から分離され外蓋6と共に排出開口形成領域16が蓋本体4に対して上昇する。排出開口形成領域16が主部8のその他の部分から除去される際にはシール片46は弾性的に撓んで上記その他の部分より上方に移動する。
【0032】
蓋本体4に対して外蓋6を上記方向に回転させ、蓋本体4に対して外蓋6が上昇せしめられる際には更に、外蓋6のスカート壁92に配設されている第二の軸方向係止突条116が蓋本体4の垂下壁36に配設されている第二の軸方向被係止突条38に係止して蓋本体4に対する外蓋6の上昇が規制されると共に、外蓋6のスカート壁92に配設されている第二の周方向係止手段118が蓋本体4の垂下壁36に配設されている第二の周方向被係止手段40に係止して蓋本体4に対する外蓋6の回転が規制される。従って、外蓋6を更に蓋本体4に対して上記方向に回転せしめると、第二の軸方向係止突条116及び第二の軸方向被係止突条38と、第二の周方向係止手段118及び第二の周方向被係止手段40とを介してスカート壁92に設けられた破断可能ライン112に応力が伝えられこれに集中し、かかる力によって破断可能ライン112が破断される。しかる後においては、タンパーエビデント裾部92bを残して主部92aは回転と共に上方に移動して蓋本体4から離脱され、これにより蓋本体4の主部8に生成された排出開口が露呈され、かかる排出開口を通して内容物を排出することができる。
【0033】
内容物の必要量の排出が終了した後においては、外蓋6を蓋本体4に被嵌し、次いで上方から見て時計方向に回転して外蓋6の垂下壁94の内周面に形成されている雌螺条96を蓋本体4の円筒壁18の外周面に形成されている雄螺条20に螺合せしめて蓋本体4に対して外蓋6を降下させる。外蓋6を蓋本体4に対して上記方向に回転して蓋本体4に対して外蓋6を降下させると、図示は省略するが、シール片46が主部8の上記その他の部分の上面に当接して排出開口形成領域16の下方への移動が阻止されると共に、主部8に生成された排出開口が閉じられる。かくして、蓋本体4から離脱された外蓋6は蓋本体4に再装着される。
【0034】
容器の内容物を消費し尽くした後においては、所謂廃棄物の分別回収のために容器の口頸部120から容器蓋2の全体を離脱する。この際には、最初に、囲繞壁分離領域58の反時計方向上流端部において囲繞壁12の上流端部71に規定された摘み部79を把持してこれを上方又は半径方向外方に強制し、破断可能連接片76を破断せしめる。次いで、摘み部79を半径方向外方且つ反時計方向に向けて強制して、囲繞壁12を側壁10から離隔せしめる。かくすると、囲繞壁分離領域58においては、囲繞壁12と側壁10とを接続する破断可能接続片66及び破断可能薄肉接続壁68に引っ張り応力が作用し、これらは摘み部79に近い部位から反時計方向に順に破断せしめられる。
【0035】
本発明の容器蓋においては、破断可能薄肉接続壁68は、反時計方向に見て肉厚が漸次増大せしめられている漸増部70を含んでいることに起因して、囲繞壁分離領域58においてその上流端から反時計方向に向けて破断可能薄肉接続壁68を破断して囲繞壁12を側壁10から分離した後に、囲繞壁12に加える必要破断力の急激な変化が可及的に回避され、分別における一連の破断工程の際に使用者の所謂官能が良好なものとなる。
【0036】
引き続き、摘み部79を半径方向外方且つ反時計方向に向けて強制して、囲繞壁12を側壁10から離隔せしめると、移行領域60においては、主部8と側壁10とを接続する破断可能薄肉連接壁82が破断されると共に、側壁10に形成された少なくとも一部が下方に向かって反時計方向に傾斜して延びる破断可能薄肉ライン84が破断される。破断可能薄肉ライン84の破断について
図14を参照して更に詳述する。破断可能薄肉ライン84は、最初に、これの上端部84aが破断する。上端部84aは、反時計方向に見て局所的に肉薄にせしめられており、応力が集中するためである。次いで、上端部84aの破断を起点として、傾斜主部84bが領域88の傾斜縁88bに沿って破断する。この際には、剛性の比較的高い領域88が剛性の比較的低い薄肉部86の一部を含んでいるため、領域88と薄肉部86との間に剪断力が良好に加えられ、破断可能薄肉ライン84の傾斜主部84bの破断が円滑に遂行せしめられる。かくして、側壁10は上下方向において破断せしめられる。そして、破断可能ライン84よりも反時計方向下流側においては側壁10と囲繞壁12とが堅固に接続されている故に、囲繞壁12と共に側壁10は半径方向外方に移動される。
【0037】
引き続き、摘み部79を半径方向外方且つ反時計方向に向けて強制して、囲繞壁12を側壁10から離隔せしめると、側壁分離領域62においては、移行領域60から連続して主部8と側壁10とを接続する破断可能薄肉連接壁82が破断され、囲繞壁12と共に側壁10が半径方向外方に移動され、容器の口頸部120に形成された係止あご部122への蓋本体4に形成された係止手段54の係止が漸次解除される。破断可能薄肉連接壁82の破断は非分離領域64に到達することで停止する。破断可能薄肉連接壁82の破断が完了した後においては、係止手段54による容器の口頸部120への係止が充分弱められている故、非分離領域64における囲繞壁12を軸にその他の領域における囲繞壁12を上方に強制することによって蓋本体4の全体を容器の口頸部120から充分容易に離脱することができる。
【0038】
<実施例>
図1乃至
図14に図示するとおりの形態の呼び径33mmのポリエチレン製容器蓋を射出成形した。囲繞壁分離領域58の漸増部70において破断可能薄肉接続壁68の肉厚は、t1=0.05mmからt2=0.30mmまで反時計方向に漸次増大されるように設定した。移行領域60において、破断可能薄肉連接壁82の径方向の肉厚は0.05mmに、破断可能薄肉ライン84における薄肉部86の径方向の肉厚は0.25mmに各々設定した(
図10及び
図11を参照されたい)。
【0039】
上記容器蓋を
図1において二点鎖線で図示するとおりの口頸部を備えているポリエチレンテレフタレート製容器の口頸部に装着した。しかる後に、囲繞壁分離領域58の反時計方向上流端部において囲繞壁12の上流端部71に規定された摘み部79を把持してこれを上方又は半径方向外方に強制し、上述したとおりに容器蓋を容器の口頸部から離脱せしめた。この際、囲繞壁分離領域58の反時計方向に見て下流端における破断力、つまり破断可能薄肉接続壁68の肉厚がt2の位置における破断可能薄肉接続壁68の破断力は15Nであり、移行領域60の反時計方向に見て上流端における破断力、つまり破断可能薄肉連設壁82及び薄肉部86を同時に破断せしめる破断力は25Nであった。従って、囲繞壁分離領域58の下流端と移行領域60の上流端において囲繞壁12に加える必要破断力の変化は10Nであった。
【0040】
<比較例>
容器蓋の破断可能薄肉接続壁68の肉厚をt1=0.05mmで一定とした(つまり漸増部70を設けていない)ことを除いて上記実施例の容器蓋と同一形態の容器蓋を形成し、上記実施例の容器蓋を装着した容器と同一形態の容器の口頸部に装着した。そして、上記実施例と同様に容器蓋を容器の口頸部から離脱せしめた。この際、囲繞壁分離領域58の反時計方向に見て下流端における破断力、つまり破断可能薄肉接続壁68の破断力は5Nであり、移行領域60の反時計方向に見て上流端における破断力は上記実施例と同様25Nであった。従って、囲繞壁分離領域58の下流端と移行領域60の上流端において囲繞壁12に加える必要破断力の変化は20Nであった。
【符号の説明】
【0041】
2:容器蓋
4:蓋本体
6:外蓋
8:主部
10:側壁
12:囲繞壁
58:囲繞壁分離領域
60:移行領域
62:側壁分離領域
64:非分離領域
66:破断可能接続片
68:破断可能薄肉接続壁
70:漸増部
106:容器の口頸部
108:係止あご部