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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】コンテンツ受信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/436 20110101AFI20220531BHJP
   H04N 21/435 20110101ALI20220531BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20220531BHJP
   H04H 20/93 20080101ALI20220531BHJP
   H04H 40/18 20080101ALI20220531BHJP
   H04H 60/82 20080101ALI20220531BHJP
   H04H 20/08 20080101ALI20220531BHJP
【FI】
H04N21/436
H04N21/435
H04H20/28
H04H20/93
H04H40/18
H04H60/82
H04H20/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018153735
(22)【出願日】2018-08-17
(65)【公開番号】P2020028100
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】小川 展夢
(72)【発明者】
【氏名】大亦 寿之
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 寛
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-219815(JP,A)
【文献】特開2000-134166(JP,A)
【文献】特開2012-217053(JP,A)
【文献】特開2013-236117(JP,A)
【文献】電波産業会,デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式 MMT-BASED MEDIA TRANSPORT SCHEME IN DIGITAL BROADCASTING SYSTEMS,標準規格(通信分野、放送分野)及び技術資料(通信分野、放送分野、共通分野) ,第1.12版,日本,電波産業会,2018年04月12日,pp187-203
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/10
H04N 7/14 - 7/173
H04N 7/20 - 7/56
H04N 21/00 -21/858
H04H 20/00 -20/46
H04H 20/51 -20/86
H04H 20/91 -40/27
H04H 40/90 -60/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送または通信によりコンテンツの信号を受信し、当該コンテンツの内容と連動したサービスを実現するためのメッセージを端末へ送信するコンテンツ受信装置において、
前記コンテンツの信号に含まれるEM(イベントメッセージ)に基づいて、定義ファイルを取得し、前記EM及び前記定義ファイルに基づいて、構造化データを取得し、当該構造化データを含むsEM(セマンティック・イベントメッセージ)を生成するEM/sEM変換機能部を備え、
前記EMには、前記定義ファイルの取得先を含む要素情報が記述されており、
前記定義ファイルには、前記構造化データを取得するための関数が定義されており、
前記構造化データには、前記メッセージを構成するそれぞれのデータ及び当該データの意味が構造的に定義されており、
前記EM/sEM変換機能部は、
前記コンテンツの信号から前記EMを抽出するEM抽出部と、
前記EM抽出部により抽出された前記EMに記述された前記取得先から、前記定義ファイルを取得し、当該定義ファイルに定義された前記関数を実行し、前記構造化データを取得する構造化データ取得部と、
前記EM抽出部により抽出された前記EMに記述された前記要素情報を、前記構造化データ取得部により取得された前記構造化データに差し替え、当該構造化データを含む前記sEMを生成するsEM生成部と、を備え、
当該sEM生成部により生成された前記sEMを前記端末へ送信する、ことを特徴とするコンテンツ受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ受信装置において、
前記EMの前記要素情報には、当該EMを前記sEMに変換可能であるか否かを示す変換識別子が含まれており、
前記変換識別子が当該EMを前記sEMに変換可能であることを示す場合、前記EMには、前記変換識別子に加え、前記定義ファイルの前記取得先を含む前記要素情報が記述されており、
前記変換識別子が当該EMを前記sEMに変換可能でないことを示す場合、前記EMには、前記変換識別子を含む前記要素情報が記述されており、
前記EM/sEM変換機能部は、さらに、
前記EM抽出部により抽出された前記EMに記述された前記変換識別子に基づいて、前記EMを前記sEMに変換可能であるか否かを判定するsEM判定部を備え、
前記構造化データ取得部は、
前記sEM判定部により変換可能であると判定された場合、前記EMに記述された前記取得先から前記定義ファイルを取得し、当該定義ファイルに定義された前記関数を実行して前記構造化データを取得し、
前記sEM生成部は、
前記sEM判定部により変換可能であると判定された場合、前記EMに記述された前記要素情報を前記構造化データに差し替え、前記sEMを生成して出力し、
前記sEM判定部により変換可能でないと判定された場合、前記EM抽出部により抽出された前記EMを出力し、
当該コンテンツ受信装置は、前記sEM生成部により出力された前記sEMまたは前記EMを前記端末へ送信する、ことを特徴とするコンテンツ受信装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテンツ受信装置において、
前記EMの前記変換識別子が、前記EMを前記sEMに変換可能であることを示す場合、前記EMには、前記変換識別子、及び前記定義ファイルの前記取得先を含む前記要素情報が記述されており、
前記EMの前記変換識別子が、前記EMを前記sEMに変換可能でないことを示す場合、前記EMには、前記変換識別子及び文字列からなる前記要素情報が記述されており、
前記EMに、前記変換識別子が記述されていない場合、前記EMには、文字列からなる前記要素情報が記述されており、
前記sEM判定部は、
前記EM抽出部により抽出された前記EMに記述された前記変換識別子が、前記EMを前記sEMに変換可能であることを示す場合、変換可能であることを判定し、前記変換識別子が、前記EMを前記sEMに変換可能でないことを示す場合、または、前記EM抽出部により抽出された前記EMに前記変換識別子が記述されていない場合、変換可能でないことを判定する、ことを特徴とするコンテンツ受信装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載のコンテンツ受信装置において、
前記EMの前記要素情報に含まれる前記取得先には、外部サーバまたは内部記憶部を示す情報、及び前記外部サーバのアドレスが記述されており、
前記構造化データ取得部は、
前記EMに記述された前記取得先が前記外部サーバを示す場合、当該外部サーバの前記アドレスに基づいて前記定義ファイルを取得し、前記取得先が前記内部記憶部を示す場合、当該コンテンツ受信装置に備えた前記内部記憶部から前記定義ファイルを取得する、ことを特徴とするコンテンツ受信装置。
【請求項5】
請求項4に記載のコンテンツ受信装置において、
前記構造化データ取得部は、
前記EMに記述された前記取得先が前記内部記憶部を示し、かつ当該内部記憶部に前記定義ファイルが保存されていない場合、前記外部サーバの前記アドレスに基づいて前記定義ファイルを取得し、当該定義ファイルを前記内部記憶部に保存する、ことを特徴とするコンテンツ受信装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載のコンテンツ受信装置において、
前記EMには、さらに、複数の構造化データから1つを選択するためのインデックスを含む要素情報が記述されており、
前記定義ファイルには、さらに、前記複数の構造化データが定義されており、
前記構造化データ取得部は、
前記EMに記述された前記取得先から前記定義ファイルを取得し、前記定義ファイルに定義された前記関数を実行し、前記EMに記述された前記インデックスに基づいて、前記定義ファイルに定義された前記複数の構造化データから1つを選択することで、前記構造化データを取得する、ことを特徴とするコンテンツ受信装置。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれか一項に記載のコンテンツ受信装置において、
前記EMには、さらに、前記端末へ送信される前記メッセージを構成するそれぞれの前記データを、複数の要素から選択するためのインデックスを含む要素情報が記述されており、
前記定義ファイルには、さらに、前記メッセージを構成するそれぞれの前記データの変数、及び当該変数に対応する前記複数の要素が定義されており、
前記構造化データ取得部は、
前記EMに記述された前記取得先から前記定義ファイルを取得し、前記定義ファイルに定義された前記関数を実行し、前記EMに記述された前記インデックスに基づいて、前記定義ファイルに定義されたそれぞれの前記変数に対応する前記複数の要素から1つを選択することで、前記構造化データを取得する、ことを特徴とするコンテンツ受信装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から7までのいずれか一項に記載のコンテンツ受信装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画等のコンテンツを受信し、当該コンテンツと連動したサービスを実現するコンテンツ受信装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、国内で運用されている放送通信連携システムとしてハイブリッドキャスト(Hybridcast)が知られている(例えば、非特許文献1を参照)。ハイブリッドキャスト対応の受信装置は、HTMLブラウザを備えており、通信で取得したHTMLアプリケーションを実行することができる。
【0003】
ハイブリッドキャスト対応の受信装置は、放送波に重畳されたイベントメッセージ(Event Message:以下、EMという。)の受信を契機としてHTMLアプリケーションを動作させることにより、放送内容と連動したサービスを実現することができる。
【0004】
また、ハイブリッドキャスト対応の受信装置は、当該受信装置上で動作するHTMLアプリケーションとスマートフォン等の端末(以下、連携端末という。)上で動作するアプリケーションとの間で、メッセージをやり取りする機能を提供する。
【0005】
これにより、連携端末上で放送コンテンツと連動したサービスを実現することができる。例えば、サッカーの試合番組において、あるプレイヤーが得点を挙げた際に、そのプレイヤー及び得点シーンに関する詳細な情報を、連携端末の画面上に表示することができる(例えば、非特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】IPTV規定、放送通信連携システム仕様、IPTVFJ STD-0010 2.1版
【文献】小川他、“放送コンテンツを基点としたIoT機器連携動作のためのアーキテクチャの検討”、情処全大、7C-02、2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、EMは単純な文字列として記述され、何かのイベントが発生したことを知らせるトリガーとしての機能を果たすことができる。しかし、単純な文字列では、番組中のあるシーンでどのような出来事が起きたかを表現することは困難である。
【0008】
例えば、サッカーの試合番組中にEMとして「砧_小川_ゴール」が、放送局からコンテンツ受信装置へ送信されたとする。EMを記述した本人は、その内容を正確に理解することができるが、それ以外の者は、その内容を正確に理解することができない。具体的には、「チーム砧の小川選手が得点を決めた」のか、「砧選手はチーム小川のFW(フォワード)であり、得点を決めた」のか、「ゴールキーパーの砧選手が小川選手に得点を決められてしまった」のか、判別することは難しい。
【0009】
このようなEMの内容を理解するためには、EMを記述した本人とEMを受信する者との間で、EMの記述方法のルールを共有する必要がある。
【0010】
しかしながら、番組中に登場するシーンは多岐に渡り、そのシーンを表現する方法も多岐に渡るため、EMの送受信者間でルールを共有することは、現実的には困難である。
【0011】
このように、現行の放送においては、連携端末上で動作するアプリケーションの開発者がEMの送信者と同一でない限り、シーンの内容と連動したサービスを実現するアプリケーションを開発することが困難であるという問題があった。
【0012】
このため、連携端末上で動作するアプリケーションの開発者が、EMの内容を理解し、EMの内容に応じたアプリケーションを開発できることが所望されていた。
【0013】
つまり、連携端末が、コンテンツの内容と連動したサービスを実現する際に、単純な文字列からなるメッセージではなく、その内容を解釈可能なメッセージを受信できることが所望されていた。連携端末が内容を解釈可能なメッセージを受信できるのであれば、開発者は、その内容を解釈するアプリケーションを開発することができ、連携端末に、コンテンツの内容と連動したサービスを実現させることができるからである。
【0014】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コンテンツの内容と連動したサービスを実現する際に、連携端末がメッセージの内容を解釈できるように、メッセージの内容が反映された構造化データを生成するコンテンツ受信装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、請求項1のコンテンツ受信装置は、放送または通信によりコンテンツの信号を受信し、当該コンテンツの内容と連動したサービスを実現するためのメッセージを端末へ送信するコンテンツ受信装置において、前記コンテンツの信号に含まれるEM(イベントメッセージ)に基づいて、定義ファイルを取得し、前記EM及び前記定義ファイルに基づいて、構造化データを取得し、当該構造化データを含むsEM(セマンティック・イベントメッセージ)を生成するEM/sEM変換機能部を備え、前記EMには、前記定義ファイルの取得先を含む要素情報が記述されており、前記定義ファイルには、前記構造化データを取得するための関数が定義されており、前記構造化データには、前記メッセージを構成するそれぞれのデータ及び当該データの意味が構造的に定義されており、前記EM/sEM変換機能部が、前記コンテンツの信号から前記EMを抽出するEM抽出部と、前記EM抽出部により抽出された前記EMに記述された前記取得先から、前記定義ファイルを取得し、当該定義ファイルに定義された前記関数を実行し、前記構造化データを取得する構造化データ取得部と、前記EM抽出部により抽出された前記EMに記述された前記要素情報を、前記構造化データ取得部により取得された前記構造化データに差し替え、当該構造化データを含む前記sEMを生成するsEM生成部と、を備え、当該sEM生成部により生成された前記sEMを前記端末へ送信する、ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項2のコンテンツ受信装置は、請求項1に記載のコンテンツ受信装置において、前記EMの前記要素情報には、当該EMを前記sEMに変換可能であるか否かを示す変換識別子が含まれており、前記変換識別子が当該EMを前記sEMに変換可能であることを示す場合、前記EMには、前記変換識別子に加え、前記定義ファイルの前記取得先を含む前記要素情報が記述されており、前記変換識別子が当該EMを前記sEMに変換可能でないことを示す場合、前記EMには、前記変換識別子を含む前記要素情報が記述されており、前記EM/sEM変換機能部が、さらに、前記EM抽出部により抽出された前記EMに記述された前記変換識別子に基づいて、前記EMを前記sEMに変換可能であるか否かを判定するsEM判定部を備え、前記構造化データ取得部が、前記sEM判定部により変換可能であると判定された場合、前記EMに記述された前記取得先から前記定義ファイルを取得し、当該定義ファイルに定義された前記関数を実行して前記構造化データを取得し、前記sEM生成部が、前記sEM判定部により変換可能であると判定された場合、前記EMに記述された前記要素情報を前記構造化データに差し替え、前記sEMを生成して出力し、前記sEM判定部により変換可能でないと判定された場合、前記EM抽出部により抽出された前記EMを出力し、当該コンテンツ受信装置が、前記sEM生成部により出力された前記sEMまたは前記EMを前記端末へ送信する、ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項3のコンテンツ受信装置は、請求項2に記載のコンテンツ受信装置において、前記EMの前記変換識別子が、前記EMを前記sEMに変換可能であることを示す場合、前記EMには、前記変換識別子、及び前記定義ファイルの前記取得先を含む前記要素情報が記述されており、前記EMの前記変換識別子が、前記EMを前記sEMに変換可能でないことを示す場合、前記EMには、前記変換識別子及び文字列からなる前記要素情報が記述されており、前記EMに、前記変換識別子が記述されていない場合、前記EMには、文字列からなる前記要素情報が記述されており、前記sEM判定部が、前記EM抽出部により抽出された前記EMに記述された前記変換識別子が、前記EMを前記sEMに変換可能であることを示す場合、変換可能であることを判定し、前記変換識別子が、前記EMを前記sEMに変換可能でないことを示す場合、または、前記EM抽出部により抽出された前記EMに前記変換識別子が記述されていない場合、変換可能でないことを判定する、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項4のコンテンツ受信装置は、請求項1から3までのいずれか一項に記載のコンテンツ受信装置において、前記EMの前記要素情報に含まれる前記取得先には、外部サーバまたは内部記憶部を示す情報、及び前記外部サーバのアドレスが記述されており、前記構造化データ取得部が、前記EMに記述された前記取得先が前記外部サーバを示す場合、当該外部サーバの前記アドレスに基づいて前記定義ファイルを取得し、前記取得先が前記内部記憶部を示す場合、当該コンテンツ受信装置に備えた前記内部記憶部から前記定義ファイルを取得する、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項5のコンテンツ受信装置は、請求項4に記載のコンテンツ受信装置において、前記構造化データ取得部が、前記EMに記述された前記取得先が前記内部記憶部を示し、かつ当該内部記憶部に前記定義ファイルが保存されていない場合、前記外部サーバの前記アドレスに基づいて前記定義ファイルを取得し、当該定義ファイルを前記内部記憶部に保存する、ことを特徴とする。
【0020】
また、請求項6のコンテンツ受信装置は、請求項1から5までのいずれか一項に記載のコンテンツ受信装置において、前記EMには、さらに、複数の構造化データから1つを選択するためのインデックスを含む要素情報が記述されており、前記定義ファイルには、さらに、前記複数の構造化データが定義されており、前記構造化データ取得部が、前記EMに記述された前記取得先から前記定義ファイルを取得し、前記定義ファイルに定義された前記関数を実行し、前記EMに記述された前記インデックスに基づいて、前記定義ファイルに定義された前記複数の構造化データから1つを選択することで、前記構造化データを取得する、ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項7のコンテンツ受信装置は、請求項1から5までのいずれか一項に記載のコンテンツ受信装置において、前記EMには、さらに、前記端末へ送信される前記メッセージを構成するそれぞれの前記データを、複数の要素から選択するためのインデックスを含む要素情報が記述されており、前記定義ファイルには、さらに、前記メッセージを構成するそれぞれの前記データの変数、及び当該変数に対応する前記複数の要素が定義されており、前記構造化データ取得部が、前記EMに記述された前記取得先から前記定義ファイルを取得し、前記定義ファイルに定義された前記関数を実行し、前記EMに記述された前記インデックスに基づいて、前記定義ファイルに定義されたそれぞれの前記変数に対応する前記複数の要素から1つを選択することで、前記構造化データを取得する、ことを特徴とする。
【0022】
さらに、請求項8のプログラムは、コンピュータを、請求項1から7までのいずれか一項に記載のコンテンツ受信装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、コンテンツの内容と連動したサービスを実現する際に、連携端末がメッセージの内容を解釈できるように、メッセージの内容が反映された構造化データを生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態によるコンテンツ受信装置を含む全体システムのサービス例の概要を説明する図である。
図2】本発明の実施形態によるコンテンツ受信装置を含む全体システムの概略図である。
図3】EM、sEM定義ファイルf及びsEMの関係を説明する図である。
図4】コンテンツ受信装置の機能構成例を示す図である。
図5】連携端末の機能構成例を示す図である。
図6】コンテンツ受信装置の構成例を示すブロック図である。
図7】EM/sEM変換機能部の構成例を示すブロック図である。
図8】EM/sEM変換機能部の処理例を示すフローチャートである。
図9】sEM生成処理例(ステップS805)の詳細を示すフローチャートである。
図10】EMの第1記述例を示す図である。
図11】sEM定義ファイルfの第1記述例を示す図である。
図12】EMの第2記述例を示す図である。
図13】sEM定義ファイルfの第2記述例を示す図である。
図14】EMの第3記述例を示す図である。
図15】sEM定義ファイルfの第3記述例を示す図である。
図16】本発明の実施形態によるコンテンツ受信装置を含む他の全体システムのサービス例の概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明のコンテンツ受信装置は、コンテンツの内容と連動したサービスを実現する際に、連携端末にてメッセージの内容を解釈できるように、その内容が反映された構造化データを生成し、当該構造化データを連携端末へ送信することを特徴とする。
【0026】
構造化データを用いることは、前述の例では、「砧_小川_ゴール」というメッセージに対し、「砧」「小川」「ゴール」のそれぞれが「行動主体が所属するチーム」「行動主体(人間)の名前」「行動」を表している、というメタデータを付与することを意味する。つまり、構造化データは、メッセージを構成するそれぞれのデータ(内容)及びデータの意味(内容の意味)が構造的に定義された定義文である。
【0027】
これにより、連携端末は、構造化データを解釈することで、メッセージの内容を理解することができる。つまり、メッセージの受信者は、構造化データを用いることで、送信者と事前にルールを共有していなくても、メッセージの意味を理解しそれに応じたアプリケーションを開発することが可能となる。
【0028】
ところで、放送局が構造化データを含むEMを生成し、当該EMを、コンテンツ受信装置を経由して連携端末へ送信することにより、コンテンツの内容と連動したサービスを実現することができる。
【0029】
しかしながら、放送波の帯域には制限があり、放送局から送信されるEMのprivate_data(プライベートデータ)要素(以下、pd要素という。)に記述可能なデータ量は244バイト以内という運用制限がある(地上デジタルテレビジョン放送運用規定、ARIB TR-B14 6.3版を参照)。一方で、構造化データは、単純な文字列ではなく、メッセージの内容の意味を含む構造的な定義文であるため、244バイト以内に収めることは困難である。このため、放送局は、構造化データを含むEMを生成したとしても、これを放送信号として送信することができない。
【0030】
そこで、本発明の実施形態によるコンテンツ受信装置は、244バイト以下のpd要素を含むEMを受信したときを契機として、EMのpd要素に記述された内容等に基づいて、構造化データを取得する機能を備える。そして、コンテンツ受信装置は、EMのpd要素の内容を、取得した構造化データに差し替えることで、構造化データを含む新たなEMを生成し、新たなEMを連携端末へ送信する。
【0031】
連携端末は、新たなEMを受信し、新たなEMに含まれる構造化データを解釈する。これにより、コンテンツの内容と連動したサービスを実現することができる。この場合、構造化データは予め決められているから、メッセージの受信者は、構造化データに基づいたアプリケーションを事前に開発することが可能である。
【0032】
ここで、pd要素に構造化データを持つ新たなEMは、意味(semantic)を表すイベントメッセージであることから、セマンティック・イベントメッセージ(Semantic Event Message)という。以下、セマンティック・イベントメッセージをsEMという。sEMは、連携端末において、コンテンツの内容と連動したサービスを実現するためのメッセージである。
【0033】
また、放送には同時性という特徴があることから、コンテンツ受信装置が放送波でEMを受信する度に、構造化データを取得するために必要な情報をサーバに問い合わせたとすると、瞬間的にサーバへのアクセスが集中し、サーバ負荷が大きくなる可能性がある。
【0034】
そこで、本発明の実施形態によるコンテンツ受信装置は、構造化データを取得するために必要な情報を記憶部に予め保存しておき、EMの受信を契機として、サーバへアクセスすることなく当該情報を直接利用する機能を備える。
【0035】
〔全体システム〕
まず、コンテンツの内容と連動したサービスを実現する全体システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるコンテンツ受信装置を含む全体システムのサービス例の概要を説明する図であり、図2は、本発明の実施形態によるコンテンツ受信装置2を含む全体システムの概略図である。
【0036】
このシステムは、放送送出装置1、コンテンツ受信装置2、連携端末3、sEMサーバ4、受信装置サービスサーバ5及び連携端末サービスサーバ6を備えている。コンテンツ受信装置2とsEMサーバ4及び受信装置サービスサーバ5とは、インターネット8を介して接続される。連携端末サービスサーバ6と連携端末3とは、インターネット8を介して接続される。また、コンテンツ受信装置2と連携端末3とは、Hybridcast(ハイブリッドキャスト)等の機能により、Wi-Fi(登録商標)等の通信路7を介して接続される。
【0037】
放送送出装置1は、放送局に設けられており、放送波により番組のコンテンツ(EMを含む)の放送信号を配信する。
【0038】
コンテンツ受信装置2は、EMを含む放送信号を受信し、EMの内容に基づいてEMをsEMに変換可能であると判定した場合、EMの内容に基づいてsEM定義ファイルfを特定し、例えばsEMサーバ4からsEM定義ファイルfを受信する。そして、コンテンツ受信装置2は、EMの内容及びsEM定義ファイルfに基づいて構造化データを取得し、構造化データを含むsEMを生成する。コンテンツ受信装置2は、sEMを、ハイブリッドキャスト等の機能により接続された連携端末3へ送信する。
【0039】
連携端末3は、スマートフォン、コミュニケーションロボット、スマート家電等の端末であり、コンテンツ受信装置2と連携して動作する。連携端末3は、コンテンツ受信装置2からsEMを受信し、sEMに含まれる構造化データに基づいて、その内容を解釈し、コンテンツの内容と連動したサービスを実現する。
【0040】
sEMサーバ4は、sEM定義ファイルfを管理しており、コンテンツ受信装置2からの要求に従い、sEM定義ファイルfをコンテンツ受信装置2へ送信する。
【0041】
受信装置サービスサーバ5は、コンテンツ受信装置2にて実行するHTMLアプリ本体及びHTMLアプリで利用するコンテンツを管理しており、コンテンツ受信装置2からの要求に従い、HTMLアプリ本体及びコンテンツをコンテンツ受信装置2へ送信する。
【0042】
連携端末サービスサーバ6は、連携端末3にて実行するアプリ及びアプリで利用するコンテンツを管理しており、連携端末3からの要求に従い、アプリ及びコンテンツを連携端末3へ送信する。
【0043】
この場合、コンテンツ受信装置2は、受信装置サービスサーバ5から、コンテンツの内容と連動したサービスを実現するためのHTMLアプリ本体等をダウンロード済みであり、当該アプリを実行するものとする。また、連携端末3は、連携端末サービスサーバ6から、コンテンツの内容と連動したサービスを実現するためのアプリ等をダウンロード済みであり、当該アプリを実行するものとする。
【0044】
図3は、EM、sEM定義ファイルf及びsEMの関係を説明する図である。(1)はEMの具体例を示し、(2)はsEM定義ファイルfの構成例を示し、(3)はsEMの具体例を示す。
【0045】
コンテンツ受信装置2は、(1)に示すEMのpd要素の内容に基づいて、(2)に示すsEM定義ファイルfを特定し、EMのpd要素の内容及びsEM定義ファイルfに基づいて構造化データを取得する。そして、コンテンツ受信装置2は、EMのpd要素の内容を構造化データに差し替え、(3)に示すsEMを生成する。
【0046】
EMは、放送送出装置1から送信されるメッセージであり、pd要素が記述されている。EMのpd要素には、以下の(a1)~(a6)が含まれる。尚、EMのpd要素には、(a1)~(a6)のうち(a5)(a6)等を含まない場合もある。具体例については後述する図10,12,14にて説明する。
(a1)EMをsEMに変換可能である否かを示す識別子(sEM変換識別子、「true」または「false」)
(a2)sEM定義ファイルfの取得先a2(外部サーバ(sEMサーバ4、「external」)または内部メモリ(後述する記憶部46、「internal」))
(a3)sEM定義ファイルfの名称(ファイル名)
(a4)sEM定義ファイルfの取得先URL(アドレス)
(a5)構造化データを取得するために必要な情報(以下、インデックスという。)
(a6)その他の情報
【0047】
sEM定義ファイルfは、sEMサーバ4から送信されるファイルであり、構造化データを取得するために必要な情報、すなわちEMをsEMに変換する際に、どのような構造化データを取得するかについての規則が定義されている。sEM定義ファイルfには、以下の(b1)~(b4)が含まれる。尚、sEM定義ファイルfには、(b1)~(b4)のうち(b3)等を含まない場合もある。
(b1)構造化データまたは構造化データの配列(複数の構造化データ)
(b2)構造化データを取得するための関数
(b3)sEM定義ファイルfの生存期間
(b4)その他の情報
【0048】
sEMは、(3)に示すように、構造化データを内容としたpd要素を含む。EMのpd要素が構造化データに差し替えられることで、sEMが生成される。
【0049】
〔コンテンツ受信装置2及び連携端末3の機能構成〕
次に、コンテンツ受信装置2及び連携端末3の機能構成について説明する。図4は、コンテンツ受信装置2の機能構成例を示す図である。コンテンツ受信装置2は、機能的にみると、ハードウェア20、OS21、レジデント22及びアプリ実行機能部23から構成される。
【0050】
ハードウェア20は、CPU、ROM、RAM、キャッシュメモリ等であり、レジデント22の各機能を物理的に実行する。OS21は、iOS等であり、CPUにより実行され、当該コンテンツ受信装置2の基本的な機能として、ハードウェア20の各要素を管理する。
【0051】
レジデント22は、受信機機能部24、端末連携機能部25、EM/sEM変換機能部26等を備えている。受信機機能部24は、放送信号を受信し、放送信号を映像音声にデコードして再生する。端末連携機能部25は、当該コンテンツ受信装置2と連携端末3とを通信路7を介して接続し、テキストメッセージの送受信を行う。
【0052】
EM/sEM変換機能部26は、本発明の実施形態が備える機能であり、EMをsEMに変換する。
【0053】
アプリ実行機能部23は、HTMLブラウザ(ハイブリッドキャストブラウザ)であり、受信装置サービスサーバ5からダウンロードしたハイブリッドキャストアプリを実行する。
【0054】
図5は、連携端末3の機能構成例を示す図である。この連携端末3は、機能的にみると、ハードウェア50、OS51、ネイティブアプリ実行機能部52及び連携アプリ53から構成される。
【0055】
ハードウェア50は、図4のハードウェア20と同様に、CPU、ROM、RAM、キャッシュメモリ等であり、ネイティブアプリ実行機能部52の各機能を物理的に実行する。OS51は、図4のOS21と同様に、CPUにより実行され、当該連携端末3の基本的な機能として、ハードウェア50の各要素を管理する。
【0056】
ネイティブアプリ実行機能部52は、OS51が提供するアプリを実行する。連携アプリ53は、ネイティブアプリ実行機能部52において動作するものとする。ハイブリッドキャストにおける連携アプリ53は、コンテンツ受信装置2のハイブリッドキャストブラウザで動作するハイブリッドキャストアプリと、連携端末3の連携アプリ53の間で実現されるものとする。連携アプリ53は、例えば前述の非特許文献1で規定された拡張APIを用いて、テキストメッセージを送受信する。
【0057】
〔コンテンツ受信装置2の構成及び処理〕
次に、コンテンツ受信装置2の構成及び処理について説明する。図6は、コンテンツ受信装置2の構成例を示すブロック図である。このコンテンツ受信装置2は、レジデント22’、アプリ実行部30及びHTMLアプリケーション31を備えている。
【0058】
レジデント22’は、放送送出装置1から放送信号を受信し、放送信号からEMを抽出し、EMのpd要素の内容に基づいて、EMをsEMに変換可能であるか否かを判定する。
【0059】
レジデント22’は、EMをsEMに変換可能であると判定した場合、sEMを生成し、sEMを連携端末3へ送信する。一方、レジデント22’は、EMをsEMに変換可能でないと判定した場合、EMを連携端末3へ送信する。
【0060】
アプリ実行部30は、HTMLアプリケーション31を実行するブラウザである。HTMLアプリケーション31は、放送と通信とを連携させるために、当該コンテンツ受信装置2と連携端末3との間でテキストメッセージの送受信を行うアプリケーションであり、図示しない受信装置サービスサーバ5から取得される。ここで、アプリ実行部30は、例えばEM/sEM変換機能部26により放送信号のデータからEMが抽出されたタイミングを契機として、HTMLアプリケーション31を実行して当該コンテンツ受信装置2と連携端末3との間でテキストメッセージの送受信を行う。
【0061】
レジデント22’は、EM/sEM変換機能部26、放送受信部27、分離部28、放送通信連携部29及び端末連携部32を備えている。尚、このレジデント22’は、図4に示したレジデント22に相当するが、本発明に直接関連する構成部のみを示しており、直接関連しない構成部は省略してある。
【0062】
放送受信部27は、放送送出装置1から送信された放送波の放送信号を受信し、所定の受信処理を施す。分離部28は、放送受信部27により受信処理された放送信号から多重信号を分離し、映像、音声及びデータを抽出し、データをEM/sEM変換機能部26に出力する。
【0063】
EM/sEM変換機能部26は、分離部28からデータを入力し、データに含まれるEMに基づいて、EMをsEMに変換可能であるか否かを判定する。
【0064】
EM/sEM変換機能部26は、EMをsEMに変換可能であると判定した場合、EMのpd要素の内容に基づいてsEM定義ファイルfを特定し、例えばsEMサーバ4からsEM定義ファイルfを取得する。そして、EM/sEM変換機能部26は、EMのpd要素の内容及びsEM定義ファイルfに基づいて構造化データを取得し、EMのpd要素の内容を構造化データに差し替えてsEMを生成し、sEMを放送通信連携部29に出力する。
【0065】
一方、EM/sEM変換機能部26は、EMをsEMに変換可能でないと判定した場合、EMを放送通信連携部29に出力する。EM/sEM変換機能部26の詳細については後述する。
【0066】
放送通信連携部29は、EM/sEM変換機能部26からsEMまたはEMを入力し、HTMLアプリケーション31により、端末連携部32からsEMまたはEMを連携端末3へ送信する。
【0067】
尚、放送通信連携部29は、放送から得たデータと通信から得たデータとをマージする処理を行い、端末連携部32は、当該コンテンツ受信装置2と連携端末3との連携を担う処理を行い、通信により相互にテキストメッセージの送受信を行う。
【0068】
〔EM/sEM変換機能部26〕
次に、EM/sEM変換機能部26について詳細に説明する。図7は、EM/sEM変換機能部26の構成例を示すブロック図であり、図8は、EM/sEM変換機能部26の処理例を示すフローチャートである。
【0069】
このEM/sEM変換機能部26は、EM抽出部40、sEM判定部41、構造化データ取得部42、外部リソース取得部43、記憶管理部44、キャッシュ部45、記憶部46及びsEM生成部47を備えている。
【0070】
EM抽出部40は、分離部28からデータを入力し(ステップS801)、データからEMを抽出する(ステップS802)。そして、EM抽出部40は、EMをsEM判定部41及びsEM生成部47に出力する。
【0071】
sEM判定部41は、EM抽出部40からEMを入力し、EMのpd要素に含まれるsEM変換識別子a1に基づいて、EMをsEMに変換可能であるか否かを判定する(ステップS803)。
【0072】
sEM判定部41は、sEM変換識別子a1が「true」であり、sEM変換可能であると判定した場合(ステップS804:Y)、変換可をsEM生成部47に出力すると共に、EMを構造化データ取得部42に出力する。
【0073】
sEM生成部47は、sEM判定部41から変換可を入力すると、EM抽出部40から入力したEMのpd要素の内容を、構造化データ取得部42から入力した構造化データに差し替え、sEMを生成し(ステップS805)、sEMを放送通信連携部29に出力する(ステップS806)。詳細には、ステップS805のsEM生成処理は、構造化データ取得部42~sEM生成部47により行われる。ステップS805のsEM生成処理の詳細については後述する。
【0074】
ここで、構造化データ取得部42~sEM生成部47により、EMのpd要素の内容に基づいてsEM定義ファイルfが特定され、EMのpd要素の内容及びsEM定義ファイルfに基づいて構造化データが取得され、EMのpd要素の内容が構造化データに差し替えられsEMが生成される。
【0075】
一方、sEM判定部41は、sEM変換識別子a1が「false」であり、sEM変換可能でないと判定した場合(ステップS804:N)、変換不可をsEM生成部47に出力する。sEM生成部47は、sEM判定部41から変換不可を入力すると、EM抽出部40から入力したEMをそのまま放送通信連携部29に出力する(ステップS807)。
【0076】
尚、sEM判定部41は、ステップS802、S803において、EMのpd要素にsEM変換識別子a1が含まれていない場合も、sEM変換可能でないと判定し、変換不可をsEM生成部47に出力する。sEM変換可能でないと判定されたEMには、従来と同様に、単純な文字列からなるメッセージが記述されている。
【0077】
(sEM生成処理)
次に、図8のステップS805のsEM生成処理について詳細に説明する。図9は、sEM生成処理例(ステップS805)の詳細を示すフローチャートである。図9に示す処理は、構造化データ取得部42~sEM生成部47により行われる。
【0078】
構造化データ取得部42は、sEM判定部41によりsEM変換可能であると判定された場合に、EMのpd要素の内容に基づいてsEM定義ファイルfを取得し、EMのpd要素の内容及びsEM定義ファイルfに基づいて構造化データを取得する。
【0079】
外部リソース取得部43は、sEMサーバ4との間の通信により必要なリソースを取得する機能を有し、sEMサーバ4からsEM定義ファイルfを取得する。
【0080】
記憶管理部44は、キャッシュ部45及び記憶部46を管理する。具体的には、記憶管理部44は、構造化データの取得に必要なリソースであるsEM定義ファイルfを、外部リソース取得部43を介してsEMサーバ4から取得し、記憶部46に保存する。また、記憶管理部44は、記憶部46からsEM定義ファイルfを読み出し、キャッシュ部45に保存する。さらに、記憶管理部44は、記憶部46に保存されたデータのうち、不要になったものを探索して削除する。
【0081】
記憶部46及びキャッシュ部45は、リソースであるsEM定義ファイルfを保持する。
【0082】
図7及び図9を参照して、構造化データ取得部42は、sEM判定部41からEMを入力し、EMのpd要素に含まれるsEM定義ファイルfの取得先a2に基づいて、その取得先が外部であるかまたは内部であるかを判定する(ステップS901)。
【0083】
構造化データ取得部42は、sEM定義ファイルfの取得先a2が「external」であり、取得先が外部であると判定した場合(ステップS902:外部)、外部リソース取得部43を介してsEMサーバ4からsEM定義ファイルfを取得する(ステップS903)。そして、構造化データ取得部42は、ステップS911へ移行する。
【0084】
具体的には、構造化データ取得部42は、EMのpd要素に含まれるsEM定義ファイルfの取得先URLa4を外部リソース取得部43に出力する。外部リソース取得部43は、構造化データ取得部42からsEM定義ファイルfの取得先URLa4を入力し、httpGETリクエスト要求を取得先URLa4の示すsEMサーバ4へ送信し、sEMサーバ4からsEM定義ファイルfを取得する。そして、外部リソース取得部43は、sEM定義ファイルfを構造化データ取得部42に出力する。
【0085】
一方、構造化データ取得部42は、ステップS902において、sEM定義ファイルfの取得先a2が「internal」であり、取得先が内部であると判定した場合(ステップS902:内部)、sEM定義ファイルfの保存先を判定する(ステップS904)。sEM定義ファイルfの保存先は、基本的にはキャッシュ部45または記憶部46であるが、キャッシュ部45及び記憶部46のいずれにも保存されていない場合は、sEMサーバ4から取得する。
【0086】
具体的には、構造化データ取得部42は、EMのpd要素に含まれるsEM定義ファイルfの名称a3及び取得先URLa4を記憶管理部44に出力する。記憶管理部44は、構造化データ取得部42からsEM定義ファイルfの名称a3及び取得先URLa4を入力する。
【0087】
記憶管理部44は、sEM定義ファイルfの名称a3と、キャッシュ部45に保存されているファイルの名称とを比較し、sEM定義ファイルfがキャッシュ部45に保存されているか否かを判定する(ステップS905)。
【0088】
記憶管理部44は、ファイルの名称が一致し、sEM定義ファイルfがキャッシュ部45に保存されていると判定した場合(ステップS905:Y)、sEM定義ファイルfの保存先はキャッシュ部45であると判断し、ステップS909へ移行する。
【0089】
一方、記憶管理部44は、ファイルの名称が一致せず、sEM定義ファイルfがキャッシュ部45に保存されていないと判定した場合(ステップS905:N)、ステップS906へ移行する。そして、記憶管理部44は、sEM定義ファイルfの名称a3と、記憶部46に保存されているファイルの名称とを比較し、sEM定義ファイルfが記憶部46に保存されているか否かを判定する(ステップS906)。
【0090】
記憶管理部44は、ファイルの名称が一致し、sEM定義ファイルfが記憶部46に保存されていると判定した場合(ステップS906:Y)、sEM定義ファイルfの保存先は記憶部46であると判断し、ステップS908へ移行する。
【0091】
一方、記憶管理部44は、ファイルの名称が一致せず、sEM定義ファイルfが記憶部46に保存されていないと判定した場合(ステップS906:N)、sEM定義ファイルfがキャッシュ部45及び記憶部46のいずれにも保存されていないと判断する。そして、記憶管理部44は、外部リソース取得部43を介して、sEMサーバ4からsEM定義ファイルfを取得する。記憶管理部44は、sEM定義ファイルfを、sEM定義ファイルfの名称a3にて、またはユーザにより設定された所定の名称にて記憶部46に保存し(ステップS907)、ステップS908へ移行する。
【0092】
具体的には、記憶管理部44は、ステップS903と同様に、sEM定義ファイルfの取得先URLa4を外部リソース取得部43に出力する。外部リソース取得部43は、httpGETリクエスト要求を取得先URLa4の示すsEMサーバ4へ送信し、sEMサーバ4からsEM定義ファイルfを取得し、sEM定義ファイルfを記憶管理部44に出力する。
【0093】
記憶管理部44は、ステップS906(Y)またはステップS907から移行して、記憶部46からsEM定義ファイルfを読み出し、sEM定義ファイルfをキャッシュ部45に保存し(ステップS908)、ステップS909へ移行する。
【0094】
記憶管理部44は、ステップS905(Y)またはステップS908から移行して、完了通知を構造化データ取得部42に出力する(ステップS909)。つまり、記憶管理部44は、sEM定義ファイルfがキャッシュ部45に保存されていると判定した場合、または、sEM定義ファイルfが記憶部46に保存されていると判定し、記憶部46からキャッシュ部45へコピーした場合、または、sEM定義ファイルfがキャッシュ部45及び記憶部46のいずれにも保存されておらず、sEMサーバ4から取得してキャッシュ部45及び記憶部46に保存した場合、完了通知を行う。
【0095】
構造化データ取得部42は、記憶管理部44から完了通知を入力すると、キャッシュ部45からsEM定義ファイルfを読み出す(ステップS910)。そして、構造化データ取得部42は、ステップS903またはステップS910から移行して、EMのpd要素の内容及びsEM定義ファイルfに基づいて構造化データを取得し(ステップS911)、構造化データをsEM生成部47に出力する。
【0096】
例えば構造化データ取得部42は、ステップS911において、sEM定義ファイルfに定義された関数b2を、EMのpd要素に含まれるインデックスa5を引数として実行し、sEM定義ファイルfに定義された各種データを用いて構造化データを取得する。sEM定義ファイルfには、1以上の所定数の構造化データが定義されている場合もあるし、構造化データを生成するための変数等のデータが定義されている場合もある。詳細については、後述する図10図15にて説明する。
【0097】
sEM生成部47は、構造化データ取得部42から構造化データを入力し、EM抽出部40から入力したEMのpd要素を構造化データに差し替え、EMをsEMに変換することで、sEMを生成する(ステップS912)。
【0098】
尚、構造化データ取得部42は、構造化データの取得に失敗した場合には、取得失敗をsEM生成部47に出力する。具体的には、構造化データ取得部42は、sEM定義ファイルfの取得先URLa4を外部リソース取得部43に出力してから所定時間経過してもsEM定義ファイルfを入力しない場合、sEM定義ファイルfの名称a3及び取得先URLa4を記憶管理部44に出力してから所定時間経過しても完了通知を入力しない場合、または、sEM定義ファイルfの読み出しのリクエストをキャッシュ部45に出力してから所定時間経過しても読み出しができなかった場合、構造化データの取得に失敗したと判断する。
【0099】
そして、構造化データ取得部42は、処理の中止通知を外部リソース取得部43、記憶管理部44及びキャッシュ部45にそれぞれ出力し、取得失敗をsEM生成部47に出力する。
【0100】
sEM生成部47は、構造化データ取得部42から取得失敗を入力すると、EM抽出部40から入力したEMをそのまま放送通信連携部29に出力する。
【0101】
このように、EM/sEM変換機能部26により、EMのpd要素の内容に基づいてEMをsEMに変換可能であるか否かが判定され、sEMに変換可能である場合、sEM定義ファイルfをsEMサーバ4、キャッシュ部45または記憶部46から取得し、EMのpd要素の内容及びsEM定義ファイルfに基づいて構造化データが取得される。そして、構造化データを含むsEMが生成される。
【0102】
これにより、構造化データを含むsEMが連携端末3へ送信されることで、連携端末3は、構造化データに基づいてEMの内容を解釈することができ、コンテンツの内容と連動したサービスを実現することができる。
【0103】
〔EM及びsEM定義ファイルfの記述例〕
次に、EM及びsEM定義ファイルfの記述例について具体的に説明する。前述のとおり、sEM定義ファイルfは、構造化データを取得するために必要な情報であり、EMをsEMに変換する際の規則が定義されている。
【0104】
EMの送信者及びsEM定義ファイルfの記述者が同一であれば、EM及びsEM定義ファイルfに記述する内容は、いくつかの必須項目を除けば、ユースケース毎に自由に決めてもよい。以下、ユースケース毎の典型的なEM及びsEM定義ファイルfの記述例を3つ挙げて説明する。
【0105】
(第1記述例)
第1記述例は、番組中に送信するメッセージのフォーマットが予め決定されているケースである。例えば、収録番組またはシナリオに沿って進行する生放送番組が該当する。第1記述例では、番組のどのシーンでどの様なメッセージを送信すべきかを事前に決定することができるので、sEM定義ファイルfに、予め複数の構造化データを配列として記述しておく。
【0106】
コンテンツ受信装置2は、sEMが発火するタイミングよりも前に、sEM定義ファイルfをキャッシュ部45に保存しておく。そして、EMは、sEMの発火のタイミングを示すと共に、構造化データの配列の中で必要な構造化データのインデックスを示すために用いられる。
【0107】
図10は、EMの第1記述例を示す図である。このEMのpd要素には、sEM変換識別子a1、sEM定義ファイルfの取得先a2、sEM定義ファイルfの名称a3、sEM定義ファイルfの取得先URLa4及びインデックスa5が記述されている。
【0108】
sEM変換識別子a1である「“is_transposable”:true」は、当該EMがsEMに変換可能であることを示している。
【0109】
sEM定義ファイルfの取得先a2である「“sEM_source_type”:“internal”」は、当該EMに関わるsEM定義ファイルfがコンテンツ受信装置2の内部(キャッシュ部45または記憶部46)に保存されている可能性があることを示している。また、内部に保存されていなければ、コンテンツ受信装置2がsEMサーバ4からsEM定義ファイルfを取得した後、これを内部に保存すべきであることを示している。
【0110】
sEM定義ファイルfの名称a3である「“sEM_source_file_name:“program_1”」は、sEM定義ファイルfの存在を確認する際、またはsEM定義ファイルfを記憶部46に保存する際に使用するファイル名を示している。例えば記憶管理部44は、キャッシュ部45または記憶部46に保存されているファイルがどのsEM定義ファイルfであるかを確認する際に、この名称を使用する。
【0111】
sEM定義ファイルfの取得先URLa4である「“sEM_source_url”:http://・・・”」は、sEMサーバ4のURLを示している。記憶管理部44は、sEM定義ファイルfがキャッシュ部45及び記憶部46に保存されていない場合、外部リソース取得部43を介してsEMサーバ4からsEM定義ファイルfを取得する。
【0112】
インデックスa5である「“index”:1」は、sEM定義ファイルfに定義されている構造化データの配列のうち、どの構造化データを取得するかを指定する引数(1つの構造化データを選択するための引数)を示している。この例では、1番目の構造化データを取得することを示している。
【0113】
図11は、sEM定義ファイルfの第1記述例を示す図である。このsEM定義ファイルfには、構造化データの配列b1、関数b2及び生存期間b3等が定義されている。
【0114】
「var file_status」は、当該sEM定義ファイルfに関わる一般的な情報を示している。「“program id”:・・・」は、当該sEM定義ファイルfがどの番組に関わるものかを示す識別子を示している。
【0115】
生存期間b3である「“expiration date”:・・・」は、当該sEM定義ファイルfの生存期間を示している。記憶管理部44は、定期的に記憶部46に保存されたsEM定義ファイルfを整理する機能を有する。記憶管理部44は、記憶部46に保存されたsEM定義ファイルfに定義された生存期間b3に従い、生存期間b3が現在時刻よりも前である場合、当該sEM定義ファイルfを削除する。
【0116】
また、構造化データの配列b1である「var data_set」には、2つの構造化データが構造化データの配列として定義されている。ここでは、配列の各要素は、1つのイベント時に発火するsEMの構造化データであることを示している。
【0117】
関数b2である「get_data=function(EM)・・・」は、EMのpd要素に記述されたインデックスa5の値により、構造化データの配列の要素を指定する関数を示している。
【0118】
図10及び図11に示した第1記述例において、構造化データ取得部42は、sEM定義ファイルfに定義された関数b2を、EMのpd要素に記述されたインデックスa5を引数として実行することで、構造化データの配列からインデックスa5の示す構造化データを取得する。
【0119】
(第2記述例)
第2記述例は、番組中に送信するメッセージのフォーマットが決定されているが、変数の差し替えが必要なケースである。例えば、サッカーの試合中継が該当する。サッカーの試合中に発生するイベント(ファール、PK、ゴール等)は、ある程度限定されているので、事前にこれを決定することができる。
【0120】
しかし、そのイベントに関わる要素(ゴールを決めた選手、アシストした選手、その所属チーム、発生時間等)は、事前に決定することができない。そこで、第2記述例では、sEM定義ファイルfに、フォーマットの情報と、フォーマットの変数部に代入され得る値の情報を記述しておく。また、EMは、イベントの発火のタイミングと、イベントに関わる変数を指定するための情報を通知するために用いられる。
【0121】
図12は、EMの第2記述例を示す図である。このEMのpd要素には、sEM変換識別子a1、sEM定義ファイルfの取得先a2、sEM定義ファイルfの名称a3、sEM定義ファイルfの取得先URLa4、インデックスa5及びその他の情報a6が記述されている。
【0122】
sEM変換識別子a1である「“is_transposable”:true」は、当該EMがsEMに変換可能であることを示している。
【0123】
sEM定義ファイルfの取得先a2である「“sEM_source_type”:“internal”」は、当該EMに関わるsEM定義ファイルfがコンテンツ受信装置2の内部に保存されている可能性があることを示している。
【0124】
sEM定義ファイルfの名称a3である「“sEM_source_file_name:“program_1”」は、sEM定義ファイルfの存在を確認する際、またはsEM定義ファイルfを記憶部46に保存する際に使用するファイル名を示している。
【0125】
sEM定義ファイルfの取得先URLa4である「“sEM_source_url”:http://・・・”」は、sEMサーバ4のURLを示している。
【0126】
インデックスa5である「“index”:[1,1,1,1]」は、sEM定義ファイルfに定義されている複数の変数のそれぞれについて、どの要素を取得するかを指定する引数の配列を示している。この例では、4つの変数について、それぞれ1番目の要素を取得することを示している。
【0127】
その他の情報a6である「“time:・・・”」は、イベントが発生した時刻を示している。
【0128】
図13は、sEM定義ファイルfの第2記述例を示す図である。このsEM定義ファイルfには、関数b2、生存期間b3及びその他の情報b4等が定義されている。
【0129】
「var file_status」は、当該sEM定義ファイルfに関わる一般的な情報を示している。「“program id”:・・・」は、当該sEM定義ファイルfがどの番組に関わるものかを示す識別子を示している。生存期間b3である「“expiration date”:・・・」は、当該sEM定義ファイルfの生存期間を示している。
【0130】
関数b2である「get_data=function(EM)・・・」は、EMのpd要素に記述されたその他の情報a6である「“time:・・・”」からイベントが発生した時刻を指定すると共に、EMのpd要素に記述されたインデックスa5の値により、変数の配列の中から要素を指定する関数を示している。
【0131】
その他の情報b4である「var event=・・・」等は、変数等を示している。変数「event」は、イベントの種類を示す配列となっている。この配列を構成する各要素には、試合中に起きるイベントの種類(“foul”(ファウル),“penalty_kick”(ペナルティキック),“goal”(ゴール))が定義されている。
【0132】
同様に、変数「player_name」は、イベントに関わったプレイヤーの名前を示す配列となっており、変数「role」「belonging」は、それぞれそのプレイヤーがイベントにおいて果たした役割、そのプレイヤーが所属するチームを示す配列となっている。
【0133】
EMの送信者は、予めそれぞれの変数の内容を把握している。そして、試合中に何らかのイベントが発生した際には、これらの変数の内容から構造化データを取得するため、インデックスa5の配列を含むEMが送信される。すなわち、インデックスa5には、4の変数に対して、それぞれどの要素(内容)を取得するかを指定する引数の配列が設定される。
【0134】
例えば、「チーム砧の砧太郎選手がファウルを取られた」というイベントが発生した場合、図12に示したとおり、引数の配列[1,1,1,1]が設定されたインデックスa5を含むEMが送信される。
【0135】
引数の配列[1,1,1,1]のうち最初の「1」は、イベントの種類“foul”(ファウル)を示し、2番目の「1」は、プレイヤーの名前“kinuta taro”(砧太郎)を示す。また、3番目の「1」は、プレイヤーの役割“offender”(イベントであるファウルを取られた違反者)であることを示し、4番目の「1」は、プレイヤーのチーム“kinuta”(チーム砧)であることを示す。
【0136】
sEM定義ファイルfに記述された関数b2(get_data関数)は、EMのpd要素に記述されたその他の情報a6である「“time:・・・”」からイベントが発生した時刻を取得すると共に、インデックスa5の値により、4つの変数“event”,“player_name”,“role”,“belonging”の配列の中からそれぞれ1つの要素を指定し、各要素を取得することで、イベントが発生した時刻及び各要素からなる構造化データを生成する。
【0137】
図12及び図13に示した第2記述例において、構造化データ取得部42は、sEM定義ファイルfに定義された関数b2を、EMのpd要素に記述されたインデックスa5及びその他の情報a6を引数として実行することで、EMからイベントが発生した時刻を取得すると共に、sEM定義ファイルfに定義された変数の配列から要素を取得し、これらの要素を含む構造化データを生成する。
【0138】
(第3記述例)
第3記述例は、番組中に送信するメッセージのフォーマットが決定されていないケースである。例えば、生放送の番組が該当する。生放送の番組では、事前にどのようなイベントが発生するかを予想できない場合がある。このケースでは、コンテンツ受信装置2は、EMを受信する毎に、sEMサーバ4からsEM定義ファイルfを取得する。
【0139】
図14は、EMの第3記述例を示す図である。このEMのpd要素には、sEM変換識別子a1、sEM定義ファイルfの取得先a2及びsEM定義ファイルfの取得先URLa4が記述されている。
【0140】
sEM変換識別子a1である「“is_transposable”:true」は、当該EMがsEMに変換可能であることを示している。
【0141】
sEM定義ファイルfの取得先a2である「“sEM_source_type”:“external”」は、当該EMに関わるsEM定義ファイルfが外部のsEMサーバ4に保存されていることを示している。また、このsEM定義ファイルfは一時的なものであるため、コンテンツ受信装置2の記憶部46に保存する必要はないことを示している。
【0142】
sEM定義ファイルfの取得先URLa4である「“sEM_source_url”:http://・・・”」は、sEMサーバ4のURLを示している。
【0143】
図15は、sEM定義ファイルfの第3記述例を示す図である。このsEM定義ファイルfには、構造化データb1及び関数b2が定義されている。
【0144】
構造化データb1である「var sEM=・・・」は、構造化データが配列ではなく1つのJSONオブジェクトであることを示している。
【0145】
関数b2である「get_sEM=function()・・・」は、単に構造化データb1である「var sEM=・・・」を返す関数であることを示している。
【0146】
図14及び図15に示した第3記述例において、構造化データ取得部42は、sEM定義ファイルfに定義された関数b2を実行することで、sEM定義ファイルfに定義された構造化データを取得する。
【0147】
以上のように、本発明の実施形態のコンテンツ受信装置2によれば、EM/sEM変換機能部26のEM抽出部40は、放送信号に含まれるデータからEMを抽出し、sEM判定部41は、EMのpd要素に含まれるsEM変換識別子a1に基づいて、EMをsEMに変換可能であるか否かを判定する。
【0148】
構造化データ取得部42は、EMをsEMに変換可能であると判定された場合、外部のsEMサーバ4から、または内部のキャッシュ部45若しくは記憶部46からsEM定義ファイルfを取得し、EMのpd要素の内容及びsEM定義ファイルfに基づいて構造化データを取得する。
【0149】
sEM生成部47は、EMをsEMに変換可能であると判定された場合、EMのpd要素の内容を構造化データに差し替え、sEMを生成して出力する。そして、sEMは、連携端末3へ送信される。
【0150】
これにより、連携端末3はsEMを受信することで、sEMに含まれる構造化データに基づいて、メッセージの内容を解釈することができる。前述の例では、従来技術において、連携端末3は、「砧_小川_ゴール」というEMを受信しただけでは、その内容を解釈することができなかった。
【0151】
本発明の実施形態では、連携端末3は、「砧」「小川」「ゴール」のそれぞれが「行動主体が所属するチーム」「行動主体(人間)の名前」「行動」を表していることを示す構造化データを含むsEMを受信する。つまり、連携端末3は、sEMに含まれる構造化データに基づいて、その内容を解釈することができ、コンテンツの内容と連動したサービスを実現することができる。この場合、構造化データは予め決められているから、連携端末3のアプリケーションの開発者は、構造化データに基づいた開発を事前に行うことが可能となる。
【0152】
つまり、EMの内容を構造化データとすることにより、EMの送信者以外の第三者は、EMが表現する意味を解釈し、シーンの内容に応じた連携端末3向けのアプリケーションを開発することが可能となる。
【0153】
また、本発明の実施形態では、コンテンツ受信装置2が、EMのpd要素の内容を構造化データに差し替え、sEMを生成するようにした。これにより、地上デジタルテレビジョン放送運用規定にて制限されたEMのpd要素のデータ量(244バイト以内)の問題を解決することができる。つまり、放送送出装置1は、地上デジタルテレビジョン放送運用規定に従い、EMのpd要素のデータ量を244バイト以内として、EMを送信することができる。
【0154】
したがって、コンテンツの内容と連動したサービスを実現する際に、連携端末がEMの内容を解釈できるように、EMの内容が反映された構造化データを生成することが可能となる。
【0155】
また、本発明の実施形態では、コンテンツ受信装置2が、構造化データを取得するために必要なsEM定義ファイルfを、事前にキャッシュ部45または記憶部46に保存しておくようにした。これにより、コンテンツ受信装置2は、EMを受信する毎に、sEM定義ファイルfを取得するためにsEMサーバ4へアクセスする必要がない。したがって、sEMサーバ4への瞬間的なアクセスが集中することがないから、sEMサーバ4の負荷を低減することができる。
【0156】
〔全体システムの他の例〕
次に、コンテンツの内容と連動したサービスを実現する全体システムの他の例について説明する。図16は、本発明の実施形態によるコンテンツ受信装置を含む他の全体システムのサービス例の概要を説明する図である。
【0157】
このシステムは、コンテンツ配信サーバ9、コンテンツ受信装置2’、連携端末3、sEMサーバ4、受信装置サービスサーバ5及び連携端末サービスサーバ6を備えている。コンテンツ受信装置2’と、コンテンツ配信サーバ9、sEMサーバ4及び受信装置サービスサーバ5とは、インターネット8を介して接続される。連携端末サービスサーバ6と連携端末3とは、図1と同様に、インターネット8を介して接続される。また、コンテンツ受信装置2’と連携端末3とは、図1と同様に、通信路7を介して接続される。
【0158】
図1に示したシステムと図16に示すシステムとを比較すると、両システムは、連携端末3、sEMサーバ4、受信装置サービスサーバ5及び連携端末サービスサーバ6を備えている点で共通する。一方、図16のシステムは、図1の放送送出装置1及びコンテンツ受信装置2の代わりにコンテンツ配信サーバ9及びコンテンツ受信装置2’を備え、コンテンツ受信装置2’及びコンテンツ配信サーバ9がインターネット8を介して接続される点で、図1に示したシステムと相違する。
【0159】
図16において、図1と共通する部分には図1と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0160】
コンテンツ配信サーバ9は、動画等のコンテンツ(EMを含む)のパケットを、インターネット8を介してコンテンツ受信装置2’へ送信する。
【0161】
コンテンツ受信装置2’は、スマートフォン等の端末であり、コンテンツ配信サーバ9から送信されたパケットを受信し、図1に示したコンテンツ受信装置2と同様の処理を行い、sEMを連携端末3へ送信する。コンテンツ受信装置2’は、図6に示した構成において、放送受信部27の代わりに、パケットを受信する受信部を備える。
【0162】
尚、コンテンツ配信サーバ9は、動画等のコンテンツを送信する際に、MPEG-DASH方式またはHLS方式のプロトコルにて送信するようにしてもよい。MPEG-DASH方式の場合、EMに相当する機能として、EventStreamタグのEventメタデータを利用する。また、HLS方式の場合、EMに相当する機能として、TimedMetaDataのメタデータを利用する。
【0163】
以上のように、本発明の実施形態のコンテンツ受信装置2’によれば、図1に示したコンテンツ受信装置2と同様の効果を奏する。
【0164】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。前記実施形態では、コンテンツ受信装置2は、図4及び図6に示した各構成部を備えるようにしたが、コンテンツ受信装置2の構成は、これに限るものではない。例えば、コンテンツ受信装置2は、図4に示したとおり、EM/sEM変換機能部26をレジデント22に備えるようにしたが、EM/sEM変換機能部26をアプリケーションとして実装するようにしてもよい。
【0165】
また、コンテンツ受信装置2において、レジデント22に備えたEM/sEM変換機能部26が、EMのpd要素の内容を構造化データに差し替えることでsEMを生成し、これをブラウザへ渡すようにした。これに対し、コンテンツ受信装置2は、EM/sEM変換機能部26をブラウザとして実装し、当該ブラウザが、EMからpd要素を取得し、これに対応する構造化データを取得し、EMのpd要素の内容を構造化データに差し替えることでsEMを生成するようにしてもよい。
【0166】
また、EM及びsEM定義ファイルfは、図10図15に示した記述例1~3に限定されるものではない。例えば、構造化データのデータ量が小さい場合(244バイト以内の場合)、またはEMのデータ量に制限がない場合、構造化データは、EM内に直接記述されるようにしてもよい。
【0167】
尚、本発明の実施形態によるコンテンツ受信装置2のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。コンテンツ受信装置2は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。
【0168】
コンテンツ受信装置2に備えたレジデント22’(EM/sEM変換機能部26、放送受信部27、分離部28、放送通信連携部29及び端末連携部32)、アプリ実行部30及びHTMLアプリケーション31の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0169】
これらのプログラムは、前記記憶媒体に格納されており、CPUに読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。
【符号の説明】
【0170】
1 放送送出装置
2,2’ コンテンツ受信装置
3 連携端末
4 sEMサーバ
5 受信装置サービスサーバ
6 連携端末サービスサーバ
7 通信路
8 インターネット
9 コンテンツ配信サーバ
20,50 ハードウェア
21,51 OS
22,22’ レジデント
23 アプリ実行機能部
24 受信機機能部
25 端末連携機能部
26 EM/sEM変換機能部
27 放送受信部
28 分離部
29 放送通信連携部
30 アプリ実行部
31 HTMLアプリケーション
32 端末連携部
40 EM抽出部
41 sEM判定部
42 構造化データ取得部
43 外部リソース取得部
44 記憶管理部
45 キャッシュ部
46 記憶部
47 sEM生成部
52 ネイティブアプリ実行機能部
53 連携アプリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16