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特許7082331魚の心拍数測定システム、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】魚の心拍数測定システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20220601BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20220601BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20220601BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220601BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20220601BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20220601BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220601BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20220601BHJP
   A01K 61/10 20170101ALI20220601BHJP
【FI】
G01N21/17 A
A61B5/0245 100Z
G03B5/00 J
G03B15/00 T
G03B15/02 F
G03B15/05
H04N5/225 900
H04N5/225 400
H04N5/232 290
A01K61/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018023999
(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公開番号】P2019138834
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】小川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】谷内田 尚司
(72)【発明者】
【氏名】末石 智大
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 義浩
(72)【発明者】
【氏名】石川 正俊
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-116092(JP,A)
【文献】特開2001-092972(JP,A)
【文献】Jun Sakakibara,High-speed optical tracking of a flying insect,REVIEW OF SCIENTIFIC INSTRUMENTS,2012年,Vol.83,pp.036103-1~036103-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
A01K 61/00-67/04
A61B 5/00-5/398
JSTPlus(JDreamIII)
JMEDPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽内で自由に泳ぐ魚を撮影し、前記魚を腹部の方向から見た画像を生成する撮影手段と、
前記撮影手段が前記魚を撮影することによって得られる画像内で前記魚が中央に写るように前記撮影手段を調整する調整手段と、
前記撮影手段が前記魚を撮影することによって得られる画像に基づいて、前記魚の心拍数を測定する測定手段とを備え
前記測定手段は、
前記撮影手段によって得られる画像をエッジ画像に変換し、前記エッジ画像から、前記魚の心臓位置の画像である心臓位置画像を切り出す心臓位置画像切り出し手段と、
前記心臓位置画像に基づいて輝度のヒストグラムを作成し、前記ヒストグラムにおける最頻値の度数を求め、1つの光源からの光が前記魚に照射されている状態における複数の心臓位置画像のそれぞれから得られる度数のデータが蓄積されたときに、蓄積された前記度数のデータに基づいて、前記魚の心拍数を測定する心拍数測定手段とを含み、
前記複数の心臓位置画像は、前記魚の拍動が最も遅い場合の所定心拍数分の時間に対応する複数の心臓位置画像から選択された複数の心臓位置画像であって、前記魚の拍動が最も速い場合の1拍分の時間に対応する連続する複数の心臓位置画像のうち所定条件を満たしていないことによって選択されなかった心臓位置画像の数が所定数以下であるという条件を満たしている複数の心臓位置画像である
ことを特徴とする魚の心拍数測定システム。
【請求項2】
撮影手段は、
可動ミラーと、
魚を撮影する少なくとも1台のカメラとを含み、
調整手段は、魚が画像の中央に写るように前記可動ミラーの傾きを調整する
請求項1に記載の魚の心拍数測定システム。
【請求項3】
撮影手段は、
可動ミラーと、
前記可動ミラーから到達する光を2つの経路に分けるハーフミラーと、
前記2つの経路の一方の経路の光が入射することによって魚を撮影する第1のカメラと、
前記2つの経路のもう一方の経路の光が入射することによって魚を撮影する第2のカメラとを含み、
調整手段は、前記第1のカメラによって得られる画像に基づいて、魚が画像の中央に写るように前記可動ミラーの傾きを調整し、
測定手段は、前記第2のカメラによって得られる画像に基づいて、前記魚の心拍数を測定する
請求項1または請求項2に記載の魚の心拍数測定システム。
【請求項4】
心拍数測定手段は、
輝度のヒストグラムを作成し、前記ヒストグラムにおける最頻値の度数を求め、1つの光源からの光が魚の所定方向に照射されている状態における複数の心臓位置画像のそれぞれから得られる度数のデータが蓄積されたときに、蓄積された前記度数のデータに基づいて、前記魚の心拍数を測定する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の魚の心拍数測定システム。
【請求項5】
位置を変更可能な光源を備え、
調整手段は、撮影手段によって得られる画像に基づいて、前記光源が魚の所定方向に対して光を照射するように前記光源の位置を調整する
請求項に記載の魚の心拍数測定システム。
【請求項6】
心拍数測定手段は、
蓄積された度数のデータに対して高速フーリエ変換を行うことによって、1秒当たりの魚の心臓の心拍数を示す周波数を算出し、前記周波数に基づいて、前記魚の心拍数を測定する
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の魚の心拍数測定システム。
【請求項7】
撮影手段が、
水槽内で自由に泳ぐ魚を撮影し、前記魚を腹部の方向から見た画像を生成し、
コンピュータが、
前記撮影手段が前記魚を撮影することによって得られる画像内で前記魚が中央に写るように前記撮影手段を調整し、
前記撮影手段が前記魚を撮影することによって得られる画像に基づいて、前記魚の心拍数を測定し、
前記魚の心拍数を測定するときに、
前記撮影手段によって得られる画像をエッジ画像に変換し、前記エッジ画像から、前記魚の心臓位置の画像である心臓位置画像を切り出し、
前記心臓位置画像に基づいて輝度のヒストグラムを作成し、前記ヒストグラムにおける最頻値の度数を求め、1つの光源からの光が前記魚に照射されている状態における複数の心臓位置画像のそれぞれから得られる度数のデータが蓄積されたときに、蓄積された前記度数のデータに基づいて、前記魚の心拍数を測定し、
前記複数の心臓位置画像は、前記魚の拍動が最も遅い場合の所定心拍数分の時間に対応する複数の心臓位置画像から選択された複数の心臓位置画像であって、前記魚の拍動が最も速い場合の1拍分の時間に対応する連続する複数の心臓位置画像のうち所定条件を満たしていないことによって選択されなかった心臓位置画像の数が所定数以下であるという条件を満たしている複数の心臓位置画像である
ことを特徴とする魚の心拍数測定方法。
【請求項8】
水槽内で自由に泳ぐ魚を撮影し、前記魚を腹部の方向から見た画像を生成する撮影手段から画像を取得可能なコンピュータに搭載される魚の心拍数測定プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記撮影手段が前記魚を撮影することによって得られる画像内で前記魚が中央に写るように前記撮影手段を調整する調整処理、および、
前記撮影手段が前記魚を撮影することによって得られる画像に基づいて、前記魚の心拍数を測定する測定処理を実行させ、
前記測定処理で、
前記撮影手段によって得られる画像をエッジ画像に変換し、前記エッジ画像から、前記魚の心臓位置の画像である心臓位置画像を切り出す処理、および、
前記心臓位置画像に基づいて輝度のヒストグラムを作成し、前記ヒストグラムにおける最頻値の度数を求め、1つの光源からの光が前記魚に照射されている状態における複数の心臓位置画像のそれぞれから得られる度数のデータが蓄積されたときに、蓄積された前記度数のデータに基づいて、前記魚の心拍数を測定する処理を実行させ、
前記複数の心臓位置画像は、前記魚の拍動が最も遅い場合の所定心拍数分の時間に対応する複数の心臓位置画像から選択された複数の心臓位置画像であって、前記魚の拍動が最も速い場合の1拍分の時間に対応する連続する複数の心臓位置画像のうち所定条件を満たしていないことによって選択されなかった心臓位置画像の数が所定数以下であるという条件を満たしている複数の心臓位置画像である
の心拍数測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚の心拍数測定システム、魚の心拍数測定方法、および、魚の心拍数測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
魚の心拍数を測定する方法が非特許文献1や非特許文献2に記載されている。非特許文献1および非特許文献2に記載された方法では、いずれも、メダカの動きを制限した状態で、メダカの心拍数を測定する。例えば、非特許文献1に記載された方法では、水の入った容器内に設けられている台の上にメダカを配置することによってメダカの動きを制限する。また、非特許文献2に記載された方法では、水の入った小型容器内にメダカを入れることによってメダカの動きを制限する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Tomomi Watanabe-Asaka、外8名、“Technology with High-Speed Movies to Analyze the Movement of Internal Organs in Medaka”, [online]、2012年、 TRANSACTIONS OF THE JAPAN SOCIETY FOR AERONAUTICAL AND SPACE SCIENCES, AEROSPACE TECHNOLOGY JAPAN,[2018年1月5日検索]、インターネット<URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/tastj/10/ists28/10_Pp_1/_pdf>
【文献】浅香 智美、「高速度映像を用いたメダカ心臓自律神経活動の計測法の開発」、[online]、2012年、TXテクノロジー・ショーケース in つくば 2012、[2018年1月5日検索]、インターネット<URL: http://www.science-academy.jp/showcase/11/pdf/P-049_showcase2012.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1および非特許文献2に記載された方法では、動きが制限された状態の魚の心拍数を測定することになり、動きが制限されていない状態(通常の状態)での心拍数を測定することができない。
【0005】
そこで、本発明は、魚の動きを制限せずに魚の心拍数を測定することができる魚の心拍数測定システム、魚の心拍数測定方法、および、魚の心拍数測定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による魚の心拍数測定システムは、水槽内で自由に泳ぐ魚を撮影し、その魚を腹部の方向から見た画像を生成する撮影手段と、撮影手段が魚を撮影することによって得られる画像内で魚が中央に写るように撮影手段を調整する調整手段と、撮影手段が魚を撮影することによって得られる画像に基づいて、その魚の心拍数を測定する測定手段とを備え、測定手段が、撮影手段によって得られる画像をエッジ画像に変換し、エッジ画像から、魚の心臓位置の画像である心臓位置画像を切り出す心臓位置画像切り出し手段と、心臓位置画像に基づいて輝度のヒストグラムを作成し、ヒストグラムにおける最頻値の度数を求め、1つの光源からの光が魚に照射されている状態における複数の心臓位置画像のそれぞれから得られる度数のデータが蓄積されたときに、蓄積された度数のデータに基づいて、魚の心拍数を測定する心拍数測定手段とを含み、複数の心臓位置画像は、魚の拍動が最も遅い場合の所定心拍数分の時間に対応する複数の心臓位置画像から選択された複数の心臓位置画像であって、魚の拍動が最も速い場合の1拍分の時間に対応する連続する複数の心臓位置画像のうち所定条件を満たしていないことによって選択されなかった心臓位置画像の数が所定数以下であるという条件を満たしている複数の心臓位置画像であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明による魚の心拍数測定方法は、撮影手段が、水槽内で自由に泳ぐ魚を撮影し、その魚を腹部の方向から見た画像を生成し、コンピュータが、撮影手段が魚を撮影することによって得られる画像内で魚が中央に写るように撮影手段を調整し、撮影手段が魚を撮影することによって得られる画像に基づいて、その魚の心拍数を測定し、魚の心拍数を測定するときに、撮影手段によって得られる画像をエッジ画像に変換し、エッジ画像から、魚の心臓位置の画像である心臓位置画像を切り出し、心臓位置画像に基づいて輝度のヒストグラムを作成し、ヒストグラムにおける最頻値の度数を求め、1つの光源からの光が魚に照射されている状態における複数の心臓位置画像のそれぞれから得られる度数のデータが蓄積されたときに、蓄積された度数のデータに基づいて、魚の心拍数を測定し、複数の心臓位置画像は、魚の拍動が最も遅い場合の所定心拍数分の時間に対応する複数の心臓位置画像から選択された複数の心臓位置画像であって、魚の拍動が最も速い場合の1拍分の時間に対応する連続する複数の心臓位置画像のうち所定条件を満たしていないことによって選択されなかった心臓位置画像の数が所定数以下であるという条件を満たしている複数の心臓位置画像であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明による魚の心拍数測定プログラムは、水槽内で自由に泳ぐ魚を撮影し、その魚を腹部の方向から見た画像を生成する撮影手段から画像を取得可能なコンピュータに搭載される魚の心拍数測定プログラムであって、コンピュータに、撮影手段が魚を撮影することによって得られる画像内で魚が中央に写るように撮影手段を調整する調整処理、および、撮影手段が魚を撮影することによって得られる画像に基づいて、その魚の心拍数を測定する測定処理を実行させ、測定処理で、撮影手段によって得られる画像をエッジ画像に変換し、エッジ画像から、魚の心臓位置の画像である心臓位置画像を切り出す処理、および、心臓位置画像に基づいて輝度のヒストグラムを作成し、ヒストグラムにおける最頻値の度数を求め、1つの光源からの光が魚に照射されている状態における複数の心臓位置画像のそれぞれから得られる度数のデータが蓄積されたときに、蓄積された度数のデータに基づいて、魚の心拍数を測定する処理を実行させ、複数の心臓位置画像は、魚の拍動が最も遅い場合の所定心拍数分の時間に対応する複数の心臓位置画像から選択された複数の心臓位置画像であって、魚の拍動が最も速い場合の1拍分の時間に対応する連続する複数の心臓位置画像のうち所定条件を満たしていないことによって選択されなかった心臓位置画像の数が所定数以下であるという条件を満たしている複数の心臓位置画像であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、魚の動きを制限せずに魚の心拍数を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態の魚の心拍数測定システムの構成例を示す模式図である。
図2】エッジ画像の例を示す模式図である。
図3】エッジ画像から切り出された心臓位置の画像の例を示す模式図である。
図4】第1のカメラ16がメダカ31aを選択する際の処理経過の例を示すフローチャートである。
図5】メダカの心拍数を測定する処理の処理経過の例を示すフローチャートである。
図6】メダカの心拍数を測定する処理の処理経過の例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施形態の心拍数測定システムの構成例を示す模式図である。
図8】第1の可動ミラー12、第2の可動ミラー13、ハーフミラー15、第1のカメラ16および第2のカメラ17の配置の例を示す模式的斜視図である。
図9】メダカの形状が楕円に近似された画像の例を示す模式図である。
図10】第1のカメラがメダカを撮影する際の処理経過の例を示すフローチャートである。
図11】心拍数測定システムが1台のカメラを備える場合の構成例を示す模式図である。
図12】本発明の各実施形態およびその変形例におけるコンピュータの構成例を示す概略ブロック図である。
図13】心拍数測定システムが撮影手段と2台のコンピュータとを備える場合の構成例を示す模式図である。
図14】本発明の魚の心拍数測定システムの概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
本発明は、魚の心拍数測定に用いられる。以下に示す各実施形態では、心拍数測定の対象となる魚がメダカである場合を例にして説明する。ただし、本発明による心拍数測定の対象となる魚はメダカに限定されない。本発明は、心臓の拍動によって体表が動く魚に適用することができる。
【0013】
実施形態1.
図1は、本発明の第1の実施形態の魚の心拍数測定システム(以下、単に心拍数測定システムと記す。)の構成例を示す模式図である。第1の実施形態の心拍数測定システム10は、撮影手段1と、コンピュータ2とを備える。
【0014】
撮影手段1は、水槽3内で自由に泳ぐメダカ31を撮影し、メダカ31を腹部の方向から見た画像を生成する。
【0015】
コンピュータ2は、撮影手段1を調整する処理(より具体的には、後述の第2のカメラ17を調整する処理)や、撮影手段1がメダカ31を撮影することによって得られる画像に基づいて、そのメダカ31の心拍数を測定する処理等を行う。
【0016】
水槽3は、心拍数の測定対象となる魚(本例では、メダカ)が自由に泳ぐことができる大きさの水槽である。従って、水槽3内で、メダカ31は自由に泳ぐことができる。水槽3内に存在するメダカ31は一匹に限定されず、図1に示すように、水槽3内に複数のメダカ31が存在していてもよい。ただし、心拍数測定システム10は、一匹毎に、心拍数の測定を行う。以下、心拍数測定システム10が、心拍数を測定するために撮影しているメダカを符号“31a”で表す。
【0017】
また、水槽3の横方向には、1つの光源4が配置され、光源4は、水槽3に向けて光を照射する。第1の実施形態では、光源4の位置が固定されている場合を例にして説明する。撮影手段1は、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態で、メダカ31aを撮影する。換言すれば、撮影手段1は、メダカ31aに対して一方向から光が照射されている状態でメダカ31aを撮影する。光源4は、例えば、LED(Light Emitting Diode)光源であるが、LED光源に限定されない。また、水槽3の形状は、特に限定されず、例えば、水槽3の形状は、円柱の形状であっても、立方体の形状であってもよい。
【0018】
第1の実施形態では、撮影手段1は、固定ミラー11と、駆動装置34と、第1のカメラ16と、第2のカメラ17とを備える。
【0019】
固定ミラー11は、水槽3の下部に配置されるミラーである。固定ミラー11の位置および傾きは固定されている。固定ミラー11は、メダカ31aが水槽3内のどの位置に存在していてもメダカ31aを映すことができる十分な大きさのミラーである。なお、第1の実施形態では、水槽3の下部に、固定ミラー11を配置可能な空間が設けられている。
【0020】
駆動装置34は、後述する調整手段22の制御に従って、第2のカメラ17の向きを回転させる。
【0021】
第1のカメラ16は、固定ミラー11全体を撮影できる画角を有し、固定されている。また、第1のカメラ16は、メダカの遊泳速度に対して十分に高速なフレームレートで撮影を行う。さらに、第1のカメラ16の画像解像度は、メダカの平均体長3.5cmが50画素以上で撮影されるのであれば、十分である。そして、第1のカメラ16が撮影によって得た画像は、コンピュータ2が備える第1の画像取得手段27に取り込まれる。第1の画像取得手段27が第1のカメラ16から取得する画像には、固定ミラー11に映っている各メダカが撮影されており、第1の画像取得手段27は、全ての個体を追跡する。また、第1の画像取得手段27は、全ての個体の中から心拍数推定の対象となるメダカ31aを選択し、調整手段22に対して、第1の画像取得手段27が取得した画像内における選択したメダカの領域の位置情報を通知する。また、第1の画像取得手段27は、水槽内の各メダカ(画像に写っている各メダカ)にそれぞれ個別のIDを付す。また、第1の画像取得手段27は、次の画像では、現在の画像のメダカの最近傍のメダカに、現在の画像のメダカのIDと同一のIDを付す。第1の画像取得手段27は、選択したメダカをIDによって識別することができる。なお、第1のカメラ16は、「メダカ31→固定ミラー11→第1のカメラ16」という経路の光が入射することによって、固定ミラー11に映った、水槽内で自由遊泳している各メダカ31の腹部を撮影し、各メダカ31を腹部の方向から見た画像を生成する。
【0022】
第2のカメラ17は、駆動装置34に搭載されている。第1の実施形態において、駆動装置34は、例えば、パン方向とチルト方向に駆動する電動雲台である。また、第2のカメラ17は、第1のカメラ16と比較して十分に拡大されたメダカの画像を得られるだけの拡大率を持ったレンズを有している。また、第2のカメラ17のフレームレートは、メダカの心拍数を十分に測定できる速度であればよい。例えば、メダカの場合には、水温が高い場合における250拍(1分当たり)が最高心拍数に近いと言われているため、1秒間の拍数は4拍である。ナイキスト周波数を考慮すると、10fpsであれば十分であるということになる。ただし、人の心拍波形から推察できるように、スパイク状に脈打つことが知られているため、その10倍以上の100fps以上のフレームレートが必要である。調整手段22は、固定ミラー11に映っているメダカ31aの腹部を拡大した画像が得られるように、駆動装置14を調整する。すなわち、第2のカメラ17の向きを調整する。第2のカメラ17は、メダカ31aを撮影する。より具体的には、第2のカメラ17は、「メダカ31a→固定ミラー11→第2のカメラ17」という経路の光が入射することによって、メダカ31aを撮影する。そして、第2のカメラ17は、メダカ31aを腹部の方向から見た画像を生成する。
【0023】
第1のカメラ16は、コンピュータ2が備える第1の画像取得手段27に接続されている。また、第2のカメラ17は、コンピュータ2が備える第2の画像取得手段26に接続されている。第1のカメラ16は、生成した画像を、第1の画像取得手段27に送信し、第2のカメラ17は、生成した画像を、第2の画像取得手段26に送信する。第1のカメラ16および第2のカメラ17は、それぞれ、無線通信によって画像を送信してもよい。
【0024】
第1のカメラ16が生成した画像は、第2のカメラ17が生成する画像の中央にメダカ31aが写るように、後述する調整手段22が駆動装置34の傾きを調整するために用いられる。
【0025】
また、第2のカメラ17が生成した画像は、後述の測定手段23がメダカ31aの心拍数を測定するために用いられる。
【0026】
以下の説明では、カメラが1秒当たりに撮影を行う回数を表す周波数を撮影周波数と記す。撮影周波数の単位はHzである。ただし、撮影周波数はフレームレートと称することもでき、単位をfps(frame per second)としてもよい。第1のカメラ16の撮影周波数の値は、第2のカメラ17の撮影周波数の値以上である。この場合、第1のカメラ16が生成する画像の中央にメダカ31aが写るように、駆動装置34の傾きが調整されると、駆動装置34に搭載された第2のカメラ17が生成する画像においてもメダカ31aは画像の中央に写る。
【0027】
ただし、第2のカメラ17の撮影周波数の値は、メダカ31の心臓の1秒当たりの心拍数を表す周波数(以下、拍動周波数と記す。)の値の最大値の2倍よりも大きい。一般に、メダカの拍動周波数は、0.83Hz~3.33Hzである。以下、メダカの拍動周波数は、0.83Hz~3.33Hzであり、メダカの拍動周波数の最大値が3.33Hzであるものとして説明する。この場合、第2のカメラ17の撮影周波数は、3.33×2=6.66Hzより大きい値であるが、前述のように、100Hz(100fps)以上である必要がある。ただし、スパイク状に脈打つことを無視する場合には、撮影周波数が30Hzである一般的なカメラを第2のカメラ17や第1のカメラ16として用いてもよい。後述の説明では、便宜的に、第2のカメラ17の撮影周波数が30Hzである場合を例にする。
【0028】
第1のカメラ16および第2のカメラ17として、高速に連続撮影可能なカメラを用いてもよい。第1のカメラ16および第2のカメラ17としてそのようなカメラを用いた場合、例えば、第1のカメラ16の撮影周波数を1000Hzに設定し、第2のカメラ17の撮影周波数を500Hzに設定してもよい。第1のカメラ16の撮影周波数の値は、第2のカメラ17の撮影周波数の値以上であればよいので、第1のカメラ16の撮影周波数および第2のカメラ17の周波数をともに500Hzに設定してもよい。
【0029】
コンピュータ2は、第1の画像取得手段27と、第2の画像取得手段26と、調整手段22と、測定手段23とを備える。
【0030】
第1の画像取得手段27は、第1のカメラ16が撮影によって生成した画像を第1のカメラ16から受信する。第1の画像取得手段27は、第1のカメラ16から受信した画像のメダカの個体を追跡し、心拍数推定の対象となるメダカ31aを選択し、画像内におけるそのメダカ31aの位置の情報を調整手段22に入力する。
【0031】
調整手段22は、第1の画像取得手段27から、画像内における心拍数推定の対象となるメダカ31aの位置の情報が入力されると、第2のカメラ17が生成する画像内でそのメダカ31aが中央に写るように、駆動装置14を介して、第2のカメラ17の撮影方向を調整する。
【0032】
第2の画像取得手段26は、第2のカメラ17から受信した画像を、測定手段23が備える心臓位置画像切り出し手段24に入力する。
【0033】
測定手段23は、第2の画像取得手段26から入力される複数の画像(第2のカメラ17が撮影した画像)に基づいて、メダカ31aの心拍数を測定する。
【0034】
測定手段23は、心臓位置画像切り出し手段24と、心拍数測定手段25とを備える。
【0035】
心臓位置画像切り出し手段24は、第2の画像取得手段26から1つの画像(第2のカメラ17が生成した画像)が入力されると、その画像をエッジ画像に変換する。さらに、心臓位置画像切り出し手段24は、そのエッジ画像におけるメダカ31aの心臓位置を特定し、そのエッジ画像からメダカ31aの心臓位置の画像を切り出す。心臓位置画像切り出し手段24は、心臓位置に該当する部分およびその周囲の部分の画像を、心臓位置の画像として切り出せばよい。
【0036】
図2は、第2のカメラ17が撮影によって生成した画像から変換されたエッジ画像の例を示す模式図である。なお、エッジ画像では、エッジ以外の部分が黒色で表され、エッジが黒色以外の色で表されるが、図2では、図を分かり易くするために、エッジ以外の部分を白色で表し、エッジを黒色で表している。この点は、後述の図3でも同様である。
【0037】
心臓の位置は、エラの内側である。従って、心臓位置画像切り出し手段24は、心臓位置として、エラの内側に該当する部分を特定し、心臓位置の画像として画像71(図2参照)をエッジ画像から切り出す。図3は、エッジ画像から切り出された心臓位置の画像の例を示す模式図である。心臓位置画像切り出し手段24は、エッジ画像から切り出した心臓位置の画像(以下、心臓位置画像と記す。)を心拍数測定手段25に入力する。
【0038】
心拍数測定手段25は、心臓位置画像切り出し手段24から入力された心臓位置画像からブレを除去する処理を実行する。そして、その心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態(換言すればメダカ31aに対して一方向から光が照射されている状態)における画像である場合には、心拍数測定手段25は、その心臓位置画像を心拍数測定に用いる画像として選択する。また、その心臓位置画像が1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像でない場合には、心拍数測定手段25は、その心臓位置画像を、心拍数測定に用いる画像から除外する。
【0039】
本例では、水槽3に向けて光を照射する1つの光源4が配置されている。従って、心臓位置画像はいずれも、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像である可能性が高い。しかし、何らかの偶発的な理由(例えば、光源4の瞬断等。)によって、心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像でない場合も生じ得る。既に説明したように、心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像である場合に、心拍数測定手段25は、その心臓位置画像を心拍数測定に用いる画像として選択する。
【0040】
心拍数測定手段25は、選択した心臓位置画像毎に、輝度のヒストグラムを作成し、そのヒストグラムの最頻値の度数を求め、コンピュータ2に設けられている記憶装置(図1において図示略)に記憶させる。
【0041】
心拍数測定手段25は、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における複数の心臓位置画像のそれぞれから得られる度数のデータが上記の記憶装置に蓄積されたときに、その蓄積された度数のデータに基づいて、メダカ31aの心拍数を測定する。
【0042】
ここで、「複数の心臓位置画像」は、メダカの拍動が最も遅い場合の所定心拍数分の時間に対応する複数の心臓位置画像から選択された複数の心臓位置画像であって、メダカの拍動が最も速い場合の1拍分の時間に対応する連続する複数の心臓位置画像のうち、所定条件(第1の実施形態では、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像であることという条件)を満たしていないことによって選択されなかった心臓位置画像の数が所定数以下であるという条件を満たしている複数の心臓位置画像である。このような複数の心臓位置画像について、より具体的に説明する。また、以下の説明において、計算された画像の数が整数でない場合には、適宜、整数に近似する。
【0043】
既に説明したように、一般に、メダカの拍動周波数は、0.83Hz~3.33Hzである。0.83Hzは、メダカの拍動が最も遅い場合の拍動周波数である。また、3.33Hzは、メダカの拍動が最も速い場合の拍動周波数である。上記の所定心拍数とは、後述の高速フーリエ変換が可能となる心拍数であり、本実施形態では、上記の所定心拍数は“3”である。メダカの拍動が最も遅い場合の3拍分の時間は、3拍/0.83Hz=3.61秒である。ここで、第2のカメラ17の撮影周波数が30Hzであるとする。すると、メダカの拍動が最も遅い場合の3拍分の時間(3.61秒)に対応する心臓位置画像の数は、30×3.61=108.3≒109である。メダカ31aの心拍数を測定する場合、メダカ31aの拍動周波数は未知であり、必ず3拍分の時間に対応する心臓位置画像の数を確保するために、ここでは、メダカの拍動が最も遅い場合の3拍分の時間を基準とする。
【0044】
この109個の心臓位置画像のうち、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像であることという条件を満たしていないことによって、選択されずに除外される画像もあり得る。ここで、後述の高速フーリエ変換を可能とするためには、1拍分の時間(1周期)に対応する連続する複数の心臓位置画像のうち、少なくとも5つの心臓位置画像からそれぞれ度数のデータが得られている必要がある。メダカの拍動が遅くなるほど、除外してよい心臓位置画像の数は増加する。しかし、メダカの拍動が遅い場合を基準として除外可能な心臓位置画像の数を定めた場合、メダカの拍動が速いと、1拍分の時間(1周期)に対応する連続する複数の心臓位置画像のうち、少なくとも5つの心臓位置画像からそれぞれ度数のデータが得られていることを保証できない。そこで、メダカの拍動が最も速い場合を基準として、除外可能な心臓位置画像の数を予め定めておく。第2のカメラ17の撮影周波数が30Hzであるので、メダカの拍動が最も速い場合の1拍分の時間に対応する連続する心臓位置画像の数は、30Hz/3.33Hz≒9である。この連続する9個の心臓位置画像のうち、5つの心臓位置画像からそれぞれ度数のデータが得られていればよい。従って、連続する9個の心臓位置画像のうち、選択されなくてもよい心臓位置画像の数は最大で4である。
【0045】
なお、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態が維持されていて、選択されずに除外される心臓位置画像の数が0であってもよい。
【0046】
従って、本例では、「複数の心臓位置画像」は、メダカの拍動が最も遅い場合の3拍分の時間3.61秒に対応する109個の心臓位置画像から選択された複数の心臓位置画像であって、連続する9個の心臓位置画像のうち、所定の条件(第1の実施形態では、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像であることという条件)を満たしていないことによって選択されなかった心臓位置画像の数が4以下であるという条件を満たしている複数の心臓位置画像である。ただし、具体的に示した心臓位置画像の数は、測定対象となる魚の拍動周波数の取り得る範囲や、第2のカメラ17に設定される撮影周波数に応じて変化する。
【0047】
上記のような複数の心臓位置画像のそれぞれから得られる度数のデータが前述の記憶装置に蓄積されると、心拍数測定手段25は、その度数のデータに対して高速フーリエ変換を行い、拍動周波数(1秒当たりの心拍数を表す周波数)を算出し、その拍動周波数に基づいて、メダカ31aの心拍数(例えば、1分当たりの心拍数)を測定する。
【0048】
第1の画像取得手段27および第2の画像取得手段26は、魚の心拍数測定プログラムに従って動作するコンピュータ2のCPU(Central Processing Unit )およびコンピュータ2の通信インタフェースによって実現される。例えば、CPUが、コンピュータのプログラム記憶装置等のプログラム記録媒体から魚の心拍数測定プログラムを読み込み、そのプログラムに従って、通信インタフェースを用いて第1の画像取得手段27および第2の画像取得手段26として動作すればよい。また、調整手段22、並びに、心臓位置画像切り出し手段24および心拍数測定手段25を含む測定手段23も、魚の心拍数測定プログラムに従って動作するコンピュータ2のCPUによって実現される。すなわち、上記のように魚の心拍数測定プログラムを読み込んだCPUが、そのプログラムに従って、調整手段22、並びに、心臓位置画像切り出し手段24および心拍数測定手段25を含む測定手段23として動作すればよい。また、第1の画像取得手段27と、第2の画像取得手段26と、調整手段22と、測定手段23が、それぞれ別々のハードウェアによって実現されてもよい。
【0049】
次に、第1の実施形態の処理経過について説明する。なお、既に説明した事項については、適宜、説明を省略する。
【0050】
図4は、第1のカメラ16がメダカ31aを選択する際の処理経過の例を示すフローチャートである。
【0051】
まず、第1のカメラ16は、メダカ31aを撮影し、画像を生成する(ステップS41)。
【0052】
次に、第1のカメラ16は、第1の画像取得手段27にその画像を送信し、第1の画像取得手段27は、その画像を受信する(ステップS42)。
【0053】
そして、第1の画像取得手段27が、画像に写っている各メダカ31にIDを付与する(ステップS43)。なお、次のフレームでは、第1の画像取得手段27、現在の画像のメダカの最近傍のメダカに、そのメダカと同じIDを付与する。従って、第1の画像取得手段27は、画像は異なっていても、同じメダカに同じIDを付与することになる。
【0054】
そして、第1の画像取得手段27が、心拍数測定の対象のメダカ31aのIDを指定する。このことは、心拍数測定の対象となるメダカ31aを選択していることを意味する。そして、第1の画像取得手段27は、受信した画像に写っているメダカ31aの画像内における位置情報を調整手段22に通知する(ステップS44)。
【0055】
調整手段22は、選択されたメダカ31aが第2のカメラ17によって得られる画像の中央に写るように、通知された位置情報に基づいて駆動装置34を動作させる(ステップS45)。
【0056】
ステップS45の後、ステップS41以降の動作を繰り返す。
【0057】
この結果、第2のカメラ17が撮影によって得る各画像では、メダカ31aが中央に写っていることになる。
【0058】
図5および図6は、メダカ31aの心拍数を測定する処理の処理経過の例を示すフローチャートである。
【0059】
まず、第2のカメラ17が、メダカ31aを撮影し、メダカ31aを腹部の方向から見た画像を生成する(ステップS11)。
【0060】
次に、第2のカメラ17は、第2の画像取得手段26にその画像を送信し、第2の画像取得手段26は、その画像を受信する(ステップS12)。第2の画像取得手段26は、受信した画像を心臓位置画像切り出し手段24に入力する。
【0061】
心臓位置画像切り出し手段24は、その画像をエッジ画像に変換する(ステップS13)。
【0062】
次に、心臓位置画像切り出し手段24は、そのエッジ画像におけるメダカ31aの心臓位置を特定する(ステップS14)。心臓の位置は、エラの内側である。従って、心臓位置画像切り出し手段24は、エッジ画像において、左右のエラに該当するエッジを特定し、そのエッジに挟まれる部分を心臓の位置として特定してもよい。また、エラの近傍には、むなびれが存在する。従って、心臓位置画像切り出し手段24は、むなびれに該当するエッジおよび左右のエラに該当するエッジを特定し、そのエッジの位置関係に基づいて、左右のエラに該当するエッジに挟まれる部分を心臓の位置として特定してもよい。
【0063】
心臓位置画像切り出し手段24は、エッジ画像から、心臓位置に該当する部分およびその周囲の部分の画像を、心臓位置画像として切り出す(ステップS15)。心臓位置画像切り出し手段24は、切り出した心臓位置画像を心拍数測定手段25に入力する。
【0064】
心拍数測定手段25は、ステップS15で切り出された心臓位置画像のブレを除去する(ステップS16)。画像のブレを除去する方法は、公知の方法であってよい。
【0065】
次に、心拍数測定手段25は、その心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像であるか否かを判定する(ステップS17)。
【0066】
心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像である場合(ステップS17のYes)、心拍数測定手段25は、その心臓位置画像を、心拍数測定に用いる画像として選択する(ステップS18)。
【0067】
心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像でない場合(ステップS17のNo)、心拍数測定手段25は、その心臓位置画像を、心拍数測定に用いる画像から除外する。そして、心拍数測定システム10は、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0068】
また、ステップS18の後、心拍数測定手段25は、ステップS18で選択した心臓位置画像の輝度のヒストグラムを作成し、そのヒストグラムにおける最頻値の度数を求め、その度数のデータをコンピュータ2に設けられている記憶装置に記憶させる(ステップS19)。
【0069】
次に、心拍数測定手段25は、所定の複数の心臓位置画像のそれぞれから得られた度数のデータが記憶装置に蓄積されたか否かを判定する(ステップS20)。この所定の複数の心臓位置画像は、メダカの拍動が最も遅い場合の所定心拍数分(具体的には3拍分)の時間に対応する複数の心臓位置画像から選択された複数の心臓位置画像であって、メダカの拍動が最も速い場合の1拍分の時間に対応する連続する複数の心臓位置画像のうち、所定条件(第1の実施形態では、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像であることという条件)を満たしていないことによって選択されなかった心臓位置画像の数が所定数以下であるという条件を満たしている複数の心臓位置画像である。この点については、具体例な数値を用いて既に説明したので、ここでは説明を省略する。
【0070】
所定の複数の心臓位置画像のそれぞれから得られた度数のデータが記憶装置に蓄積されている場合(ステップS20のYes)、心拍数測定手段25は、蓄積された度数のデータに対して高速フーリエ変換を行い、拍動周波数(1秒当たりの心拍数を表す周波数)を算出する(ステップS21)。選択されなかった心臓位置画像が存在するために、度数のデータの欠落が生じている場合、心拍数測定手段25は、欠落している度数を、補間(例えば、線形補間)によって求め、その後に、高速フーリエ変換を実行すればよい。
【0071】
次に、心拍数測定手段25は、ステップS21で算出した拍動周波数に基づいて、メダカ31aの心拍数を計算する(ステップS22)。例えば、1分(60秒)当たりの心拍数を求める場合には、心拍数測定手段25は、拍動周波数に60を乗じることによって、1分当たりの心拍数を計算すればよい。何分当たりまたは何秒当たりの心拍数を求めるかは、予め定めておけばよい。
【0072】
また、所定の複数の心臓位置画像のそれぞれから得られた度数のデータが記憶装置に蓄積されていない場合(ステップS20のNo)、心拍数測定システム10は、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0073】
上記の処理経過では、ステップS11~S17の処理や、ステップS11~ステップS20の処理を繰り返す。そのため、心拍数測定手段25は、ステップS19の処理を複数回実行することになる。ステップS19で特定された輝度のヒストグラムの最頻値と、前回のステップS19で特定された輝度のヒストグラムの最頻値との差の絶対値が、予め定めた閾値以上であるとする。この場合、心拍数測定手段25は、前回のステップS19で特定した最頻値を中心とする所定の範囲の輝度の中で度数が最も高い輝度を特定し、その輝度における度数を求めることが好ましい。例えば、現在のステップS19で特定された輝度のヒストグラムの最頻値が“250”であり、前回のステップS19で特定された輝度のヒストグラムの最頻値が“77”であり、この差の絶対値|250-77|=173が閾値以上であるとする。この場合、心拍数測定手段25は、新たに作成したヒストグラムにおいて、前回のステップS19で特定した最頻値“77”を中心とする輝度の範囲(例えば、輝度“67”から輝度“87”までの範囲)で度数が最も高い輝度を特定し、その輝度の度数を求めることが好ましい。現在のステップS19で特定された最頻値と、現在のステップS19で特定された最頻値との差が閾値以上である場合、現在のステップS19で特定された最頻値はノイズの影響を受けていると考えられるためである。
【0074】
第1の実施形態によれば、メダカ31aは、水槽3内で自由に泳ぐことができる。すなわち、メダカ31aは、ストレスのかからない通常の状態で泳ぐことができる。また、調整手段22は、メダカ31aが第2のカメラ17によって得られる画像の中央に写るように、駆動装置34を介して、第2のカメラ17の撮影方向を調整する。そして、測定手段23は、第2のカメラ17が生成した画像に基づいて、メダカ31aの心拍数を測定する。従って、第1の実施形態では、水槽3内で自由に泳ぐメダカ31aの画像を得ることができ、その画像に基づいて、メダカ31aの心拍数を測定することができる。すなわち、第1の実施形態によれば、魚の動きを制限せずに魚の心拍数を測定することができる。よって、メダカ31aにストレスを与えずに、メダカ31aの心拍数を測定することができる。そして、メダカ31aは、ストレスのない通常の状態で泳いているので、通常の状態での心拍数を測定することができる。
【0075】
また、非特許文献1および非特許文献2に記載された方法では、魚の動きを制限するため、魚にストレスを与えることになる。そのため、非特許文献1および非特許文献2に記載された方法では、魚を衰弱させる可能性がある。一方、本願発明では、メダカ31aは、水槽3内で自由に泳ぐことができるので、メダカ31aを衰弱させる可能性は小さい。
【0076】
実施形態2
図7は、本発明の第2の実施形態の心拍数測定システムの構成例を示す模式図である。第2の実施形態の心拍数測定システム10も、撮影手段1と、コンピュータ2とを備える。なお、第1の実施形態で説明した事項と同様の事項については、適宜、説明を省略する。
【0077】
水槽3および光源4は、第1の実施形態における水槽3および光源4と同様である。
【0078】
撮影手段1は、水槽3内で自由に泳ぐメダカ31を撮影し、メダカ31を腹部の方向から見た画像を生成する。
【0079】
コンピュータ2は、撮影手段1を調整する処理(より具体的には、後述の第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13を調整する処理)や、撮影手段1がメダカ31を撮影することによって得られる画像に基づいて、そのメダカ31の心拍数を測定する処理等を行う。
【0080】
第2の実施形態では、撮影手段1は、固定ミラー11と、第1の可動ミラー12と、第2の可動ミラー13と、駆動装置14と、ハーフミラー15と、第1のカメラ16と、第2のカメラ17とを備える。
【0081】
固定ミラー11は、第1の実施形態における固定ミラー11と同様である。
【0082】
また、第2の実施形態では、第1のカメラ16および第2のカメラ17は、いずれも、十分に拡大されたメダカの画像を生成することができるカメラである。第2の実施形態では、第1のカメラ16および第2のカメラ17は、いずれも、心拍数測定の対象となるメダカ31aを撮影する。また、第1のカメラ16および第2のカメラ17撮影周波数は、第1の実施形態における第1のカメラ16および第2のカメラ17撮影周波数と同様であり、説明を省略する。
【0083】
第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13は、それぞれ支持部(図7において図示略。)によって支持され、支持部の回転によって傾きを変更することができるミラーである。ただし、第1の可動ミラー12を支持する支持部(図7において図示略。以下、第1の支持部と記す。)および第2の可動ミラー13を支持する支持部(図7において図示略。以下、第2の支持部と記す。)の位置は固定されている。
【0084】
第2の実施形態において、駆動装置14は、調整手段22の制御に従って、第1の支持部および第2の支持部をそれぞれ回転させる。この結果、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13の傾きが調整される。
【0085】
ハーフミラー15は、第2の可動ミラー13から到達する光を2つの経路51,52に分ける。
【0086】
第1のカメラ16は、2つの経路51,52のうちの一方の経路51の光が入射する位置に固定されている。そして、第1のカメラ16は、その経路51の光が入射することによって、メダカ31aを撮影する。より具体的には、第1のカメラ16は、「メダカ31a→固定ミラー11→第1の可動ミラー12→第2の可動ミラー13→ハーフミラー15→第1のカメラ16」という経路の光が入射することによって、メダカ31aを撮影する。そして、第1のカメラ16は、メダカ31aを腹部の方向から見た画像を生成する。
【0087】
第2のカメラ17は、2つの経路51,52のうちのもう一方の経路52の光が入射する位置に固定されている。そして、第2のカメラ17は、その経路52の光が入射することによって、メダカ31aを撮影する。より具体的には、第2のカメラ17は、「メダカ31a→固定ミラー11→第1の可動ミラー12→第2の可動ミラー13→ハーフミラー15→第2のカメラ17」という経路の光が入射することによって、メダカ31aを撮影する。そして、第2のカメラ17も、メダカ31aを腹部の方向から見た画像を生成する。
【0088】
図8は、第1の可動ミラー12、第2の可動ミラー13、ハーフミラー15、第1のカメラ16および第2のカメラ17の配置の例を示す模式的斜視図である。図8に示すように、第1の支持部61が第1の可動ミラー12を支持し、第2の支持部62が第2の可動ミラー13を支持する。そして、前述のように、駆動装置14(図7参照。図8において図示略。)は、第1の支持部および第2の支持部をそれぞれ回転させる。
【0089】
第1のカメラ16および第2のカメラ17は、コンピュータ2が備える画像取得手段21に接続されている。第1のカメラ16および第2のカメラ17は、いずれも、生成した画像を画像取得手段21に送信する。第1のカメラ16および第2のカメラ17は、無線通信によって、画像を画像取得手段21に送信してもよい。
【0090】
第1のカメラ16が生成した画像は、第1のカメラ16が生成する画像の中央にメダカ31aが写るように、調整手段22が第1の可動ミラー12の傾きおよび第2の可動ミラー13の傾きを調整するために用いられる。
【0091】
また、第2のカメラ17が生成した画像は、後述の測定手段23がメダカ31aの心拍数を測定するために用いられる。
【0092】
第1のカメラ16の撮影周波数の値は、第2のカメラ17の撮影周波数の値以上である。この場合、第1のカメラ16が生成する画像の中央にメダカ31aが写るように第1の可動ミラー12の傾きおよび第2の可動ミラー13の傾きが調整されると、第2のカメラ17が生成する画像においてもメダカ31aは画像の中央に写る。
【0093】
コンピュータ2は、画像取得手段21と、調整手段22と、測定手段23とを備える。
【0094】
画像取得手段21は、第1のカメラ16が撮影によって生成した画像を第1のカメラ16から受信し、また、第2のカメラ17が撮影によって生成した画像を第2のカメラ17から受信する。画像取得手段21は、第1のカメラ16から受信した画像を調整手段22に入力する。また、画像取得手段21は、第2のカメラ17から受信した画像を、測定手段23が備える心臓位置画像切り出し手段24に入力する。
【0095】
調整手段22は、画像取得手段21から1つの画像(第1のカメラ16が生成した画像)が入力されると、第1のカメラ16の次の撮影タイミングの際にメダカ31aが画像の中央に写るように、駆動装置14を介して、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13の傾きを調整する。
【0096】
調整手段22は、上記の処理を行う際に、画像取得手段21から入力された画像に写っているメダカ31aの形状を、例えば、楕円に近似する。図9は、メダカ31aの形状が楕円に近似された画像の例を示す模式図である。調整手段22は、メダカ31aの形状を楕円61に近似した画像(図9参照)に基づいて、次回の第1のカメラ16の撮影タイミングの際にメダカ31aが画像の中央に写るように、駆動装置14を介して、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13の傾きを調整する。調整手段22は、第1のカメラ16が生成した画像が画像取得手段21から入力される毎に、この調整動作を行う。この結果、第1のカメラ16が撮影によって得る各画像では、メダカ31aが中央に写っていることになる。また、前述のように、第1のカメラ16の撮影周波数の値は、第2のカメラ17の撮影周波数の値以上である。従って、この結果、第2のカメラ17が撮影によって得る画像においても、メダカ31aが中央に写っている。
【0097】
測定手段23は、画像取得手段21から入力される複数の画像(第2のカメラ17が撮影した画像)に基づいて、メダカ31aの心拍数を測定する。測定手段23は、第1の実施形態における測定手段23と同様である。測定手段23は、心臓位置画像切り出し手段24と、心拍数測定手段25とを備える。心臓位置画像切り出し手段24および心拍数測定手段25も、第1の実施形態における心臓位置画像切り出し手段24および心拍数測定手段25と同様であり、説明を省略する。
【0098】
画像取得手段21は、魚の心拍数測定プログラムに従って動作するコンピュータ2のCPU(Central Processing Unit )およびコンピュータ2の通信インタフェースによって実現される。例えば、CPUが、コンピュータのプログラム記憶装置等のプログラム記録媒体から魚の心拍数測定プログラムを読み込み、そのプログラムに従って、通信インタフェースを用いて画像取得手段21として動作すればよい。また、調整手段22、並びに、心臓位置画像切り出し手段24および心拍数測定手段25を含む測定手段23も、魚の心拍数測定プログラムに従って動作するコンピュータ2のCPUによって実現される。すなわち、上記のように魚の心拍数測定プログラムを読み込んだCPUが、そのプログラムに従って、調整手段22、並びに、心臓位置画像切り出し手段24および心拍数測定手段25を含む測定手段23として動作すればよい。また、画像取得手段21と、調整手段22と、測定手段23が、それぞれ別々のハードウェアによって実現されてもよい。
【0099】
次に、第2の実施形態の処理経過について説明する。図10は、第1のカメラ16がメダカ31aを撮影する際の処理経過の例を示すフローチャートである。
【0100】
まず、第1のカメラ16は、メダカ31aを撮影し、メダカ31aを腹部の方向から見た画像を生成する(ステップS1)。
【0101】
次に、第1のカメラ16は、画像取得手段21にその画像を送信し、画像取得手段21は、その画像を受信する(ステップS2)。画像取得手段21は、受信した画像を調整手段22に入力する。
【0102】
調整手段22は、画像に写っているメダカ31aの形状を楕円に近似する(ステップS3)。そして、調整手段22は、メダカ31aの形状を楕円に近似した画像に基づいて、次回の第1のカメラ16の撮影タイミングの際にメダカ31aが画像の中央に写るように、駆動装置14を介して、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13の傾きを調整する(ステップS4)。調整手段22は、楕円が画像の中央に写るような第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13の傾きを求め、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13の傾きをその傾きになるように調整すればよい。
【0103】
ステップS4の後、ステップS1以降の動作を繰り返す。
【0104】
この結果、第1のカメラ16が撮影によって得る各画像では、メダカ31aが中央に写っていることになる。また、第1のカメラ16の撮影周波数の値は、第2のカメラ17の撮影周波数の値以上であるので、第2のカメラ17が撮影によって得る画像においても、メダカ31aが中央に写っていることになる。
【0105】
メダカ31aの心拍数を測定する処理の処理経過は、第1の実施形態における処理経過(ステップS11~S22。図5および図6を参照。)と同様であり、説明を省略する。ただし、ステップS12では、第2のカメラ17は、画像取得手段21に画像を送信する。
【0106】
第2の実施形態によれば、メダカ31aは、水槽3内で自由に泳ぐことができる。すなわち、メダカ31aは、ストレスのかからない通常の状態で泳ぐことができる。また、調整手段22は、第1のカメラ16が生成したメダカ31aの画像に基づいて、次回の第1のカメラ16の撮影タイミングの際にメダカ31aが画像の中央に写るように、撮影手段1を調整する。より具体的には、調整手段22は、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13の傾きを調整する。この結果、第2のカメラ17も、メダカ31aが画像の中央に写るように、メダカ31aを撮影することができる。そして、測定手段23は、第2のカメラ17が生成した画像に基づいて、メダカ31aの心拍数を測定する。従って、第2の実施形態においても、水槽3内で自由に泳ぐメダカ31aの画像を得ることができ、その画像に基づいて、メダカ31aの心拍数を測定することができる。すなわち、第2の実施形態によれば、魚の動きを制限せずに魚の心拍数を測定することができる。よって、メダカ31aにストレスを与えずに、メダカ31aの心拍数を測定することができる。そして、メダカ31aは、ストレスのない通常の状態で泳いているので、通常の状態での心拍数を測定することができる。また、第1の実施形態と同様に、メダカ31aを衰弱させる可能性は小さい。
【0107】
実施形態3.
第3の実施形態における心拍数測定システム10の構成は、第1の実施形態または第2の実施形態における構成と同様であり、図1または図7に示す模式図で表すことができる。よって、第3の実施形態における心拍数測定システム10の構成については、説明を省略する。また、第3の実施形態におけるステップS1~S4の処理は、第2の実施形態におけるステップS1~S4の処理と同様でり、また、第3の実施形態におけるステップS11~S16の処理は、第1の実施形態および第2の実施形態におけるステップS11~S16の処理と同様である。そのため、これらの処理の説明については、省略する。第3の実施形態では、ステップS17の処理等が第1の実施形態および第2の実施形態とは異なるが、便宜的に、図5図6等を参照して説明する。
【0108】
第1の実施形態や第2の実施形態では、心拍数測定手段25は、ステップS17(図5参照)において、心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像であるか否かを判定する。これに対し、第3の実施形態では、心拍数測定手段25は、ステップS17において、心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aの所定方向に照射されている状態における画像であるか否かを判定する。ここでは、上記の「所定方向」が右または左のいずれかの側面方向(以下、単に側面方向と記す。)であることが好ましい。以下、上記の「所定方向」が側面方向である場合を例にして説明する。
【0109】
この場合、心拍数測定手段25は、ステップS17において、心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aの側面方向に照射されている状態における画像であるか否かを判定する。そして、心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aの側面方向に照射されている状態における画像である場合に(ステップS17のYes)、心拍数測定手段25は、その心臓位置画像を、心拍数測定に用いる画像として選択する(ステップS18)。
【0110】
また、心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aの側面方向に照射されている状態における画像でない場合(ステップS17のNo)、心拍数測定手段25は、その心臓位置画像を、心拍数測定に用いる画像から除外する。そして、心拍数測定システム10は、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0111】
例えば、ある心臓位置画像(Aとする。)が、1つの光源4からの光がメダカ31aの頭部方向あるいは尾びれ方向に照射されている状態における画像であるとする。心臓位置画像Aは、1つの光源4からの光がメダカ31aに照射されている状態における画像には該当する。しかし、心臓位置画像Aは、1つの光源4からの光がメダカ31aの側面方向に照射されている状態における画像には該当しない。従って、第1の実施形態および第2の実施形態では、心拍数測定手段25は、ステップS17で心臓位置画像Aに対する判定を行った場合、ステップS18に移行することになる。しかし、第3の実施形態では、心拍数測定手段25は、心臓位置画像Aが、1つの光源4からの光がメダカ31aの側面方向に照射されている状態における画像ではないと判定する(ステップS17のNo)。そして、心拍数測定手段25は、心臓位置画像Aを心拍数測定に用いる画像から除外する。その後、心拍数測定システム10は、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0112】
光源4の位置は固定されていて、メダカ31aは水槽3内を自由に泳ぐ。従って、心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aの側面方向に照射されている状態における画像に該当せずに、上記のように除外される場合が生じ得る。
【0113】
第3の実施形態では、ステップS17からステップS18に移行するのは、心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aの側面方向に照射されている状態における画像である場合である。心拍数測定手段25が心臓位置画像を心拍数測定に用いる画像として選択する処理(ステップS18)の後、心拍数測定手段25は、ステップS18で選択した心臓位置画像の輝度のヒストグラムを作成し、そのヒストグラムにおける最頻値の度数を求め、その度数のデータをコンピュータ2に設けられている記憶装置に記憶させる(ステップS19)。ステップS18,S19は、第1の実施形態および第2の実施形態におけるステップS18,S19と同様である。
【0114】
次に、心拍数測定手段25は、所定の複数の心臓位置画像のそれぞれから得られた度数のデータが記憶装置に蓄積されたか否かを判定する(ステップS20)。この所定の複数の心臓位置画像は、メダカの拍動が最も遅い場合の所定心拍数分(具体的には3拍分)の時間に対応する複数の心臓位置画像から選択された複数の心臓位置画像であって、メダカの拍動が最も速い場合の1拍分の時間に対応する連続する複数の心臓位置画像のうち、所定条件(ここでは、1つの光源4からの光がメダカ31aの側面方向に照射されている状態における画像であることという条件)を満たしていないことによって選択されなかった心臓位置画像の数が所定数以下であるという条件を満たしている複数の心臓位置画像である。心臓位置画像が選択されるための所定条件が、「心臓位置画像が、1つの光源4からの光がメダカ31aの側面方向に照射されている状態における画像である。」という条件以外は、第1の実施形態および第2の実施形態と同様である。
【0115】
所定の複数の心臓位置画像のそれぞれから得られた度数のデータが記憶装置に蓄積されていない場合(ステップS20のNo)、心拍数測定システム10は、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0116】
また、所定の複数の心臓位置画像のそれぞれから得られた度数のデータが記憶装置に蓄積されている場合(ステップS20のYes)、心拍数測定手段25は、蓄積された度数のデータに対して高速フーリエ変換を行い、拍動周波数を算出する(ステップS21)。第1の実施形態で説明したように、選択されなかった心臓位置画像が存在するために、度数のデータの欠落が生じている場合、心拍数測定手段25は、欠落している度数を、補間によって求めればよい。
【0117】
次に、心拍数測定手段25は、ステップS21で算出した拍動周波数に基づいて、メダカ31aの心拍数を計算する(ステップS22)。
【0118】
ステップS21,S22は、第1の実施形態および第2の実施形態におけるステップS21,S22と同様である。
【0119】
第3の実施形態でも、第1の実施形態や第2の実施形態と同様の効果が得られる。また、第3の実施形態では、1つの光源4からの光がメダカ31aの側面方向に照射されている状態における心臓位置画像が、心拍数測定に用いる画像として選択される。そのような心臓位置画像は、心臓の拍動によって動く体表をより明瞭に表している。従って、第3の実施形態では、心拍数の測定精度を高めることができる。
【0120】
また、第3の実施形態において、光源4は、水槽3の周囲で配置位置を変更可能な光源であってもよい。なお、以下の説明では、図7に示す構成において、光源4が、配置位置を変更可能な光源である場合を例にして説明する。この場合、調整手段22は、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13の傾きだけでなく、光源4の位置を調整する。
【0121】
具体的には、第1のカメラ16が生成した画像が、画像取得手段21から調整手段22に入力されると、調整手段22は、その画像に基づいて、次回の第1のカメラ16の撮影タイミングの際にメダカ31aの側面方向に対して光を照射することになる光源4の位置を特定し、その位置に光源4を移動させる。
【0122】
この結果、第1のカメラ16は、光源4から側面方向に対して光が照射された状態のメダカ31aを撮影しやすくなる。同様に、第2のカメラ17も、光源4から側面方向に対して光が照射された状態のメダカ31aを撮影しやすくなる。従って、1つの光源4からの光がメダカ31aの側面方向に照射されている状態に該当しないことによって、選択されずに除外される心臓位置画像の数を少なくすることができる。
【0123】
次に、各実施形態の変形例について説明する。
【0124】
例えば、第2の実施形態において、第1のカメラ16が生成した画像は、調整手段22が次回の第1のカメラ16の撮影タイミングにおける第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13の傾きを調整するために用いられる。そのため、第1のカメラ16は、生成した画像を直ちに画像取得手段21に送信する必要がある。一方、第2のカメラ17が撮影によって画像を生成するタイミングと、測定手段23がその画像を用いて心拍数の測定を行うタイミングはずれていてもよい。従って、第2のカメラ17が生成した画像を、第2のカメラ17とコンピュータ2との間で授受する態様は、通信による送受信に限定されない。例えば、第2のカメラ17は、着脱可能な記録媒体(図示せず。)に生成した画像を記憶させてもよい。そして、その記録媒体が第2のカメラ17から取り外され、コンピュータ2に装着された後、画像取得手段21が、その記録媒体から順次、画像を読み込んで、心臓位置画像切り出し手段24に順次、画像を入力してもよい。この点は、第1の実施形態や第3の実施形態においても、同様である。
【0125】
また、図7に示す構成では、心拍数測定システム10が2台のカメラ(第1のカメラ16および第2のカメラ17)を備える場合を例にして説明した。心拍数測定システム10が、2台のカメラではなく、1台のカメラを備える構成であってもよい。カメラは、少なくとも1台設けられていればよい。
【0126】
図11は、心拍数測定システム10が1台のカメラを備える場合の構成例を示す模式図である。図7に示すと同様の要素については、図7と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0127】
図11に示す例では、撮影手段1は、固定ミラー11と、第1の可動ミラー12と、第2の可動ミラー13と、駆動装置14と、1台のカメラ19とを備える。カメラの台数が1台である場合、ハーフミラー15(図7参照)は、設けられていなくてよい。
【0128】
また、カメラの台数が1台である場合、そのカメラ19とコンピュータ2は、画像の授受を通信によって行う。
【0129】
カメラ19は、第2の可動ミラー13からの光が入射することによって、メダカ31aを撮影し、画像を生成する。カメラ19の撮影周波数は、メダカの拍動周波数の値の最大値の2倍よりも大きな値であればよい。
【0130】
カメラ19が生成した画像は、調整手段22が第1の可動ミラー12の傾きおよび第2の可動ミラー13の傾きを調整するために用いられるとともに、測定手段23がメダカ31aの心拍数を測定するためにも用いられる。
【0131】
カメラ19は撮影によって画像を生成すると、その画像を画像取得手段21に送信し、画像取得手段21はその画像を受信する。画像取得手段21は、その画像を、調整手段22および心臓位置画像切り出し手段24のそれぞれに入力する。
【0132】
画像が入力された調整手段22の動作は、図7に示す構成における動作と同様である。
【0133】
また、心臓位置画像切り出し手段24に画像が入力された後の測定手段23の動作は、図7に示す構成における動作と同様である。
【0134】
また、1台のカメラ19を設ける場合、固定ミラー11と、第1の可動ミラー12と、第2の可動ミラー13と、駆動装置14が設けられずに、カメラ19が、水槽3の下側に位置を変更可能な態様で配置されていてもよい。この場合、撮影手段1は、カメラ19と、調整手段22の制御に従ってカメラ19を移動させるカメラ移動装置(図示略)を備えていればよい。この構成では、調整手段22は、カメラ19が撮影によって生成した画像が入力されると、その画像に基づいて、カメラ19の次の撮影タイミングの際にメダカ31aが画像の中央に写るように、カメラ移動装置を介して、カメラ19の位置を調整する。
【0135】
なお、第1の実施形態(図1参照)では、第1のカメラ16と第2のカメラ17とを備えている必要がある。
【0136】
また、図7図11に示す構成では、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13が、水槽3の外部に配置される場合を示した。第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13は、水槽3の内部に配置されていてもよい。その場合、固定ミラー11は、設けられていなくてもよい。また、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13が水槽3の内部に配置される場合、水槽3内のどの位置にメダカ31aが存在していても、撮影手段1がメダカ31aを撮影できるように、水槽3の大きさに合わせて、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13の大きさを定めておけばよい。
【0137】
また、既に説明したように、本発明による心拍数測定の対象となる魚はメダカに限定されず、心臓の拍動によって体表が動く魚であればよい。例えば、本発明による心拍数測定の対象となる魚は、クロマグロの稚魚や、ウナギの稚魚や幼魚等であってもよい。
【0138】
また、心臓の拍動によって体表が動く魚の養殖のために用いている水槽、または、そのような魚が存在する水族館の水槽を、そのまま本発明における水槽3として用いてもよい。この場合、水槽の下部に固定ミラー11を配置する空間がないのであれば、前述のように、水槽3内に第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13を配置してもよい。
【0139】
本発明は、養殖されているクロマグロの稚魚や、ウナギの稚魚や幼魚等の心拍数測定に適用可能である。従って、本発明は、そのような養殖されている魚の健康管理に役立てることができる。また、本発明は、水族館で飼育されている魚の心拍数測定にも適用可能である。従って、本発明は、水族館で飼育されている魚の健康管理に役立てることもできる。
【0140】
図12は、本発明の各実施形態および前述の各種変形例におけるコンピュータ2の構成例を示す概略ブロック図である。コンピュータ2は、CPU1001と、主記憶装置1002と、補助記憶装置1003と、インタフェース1004と、通信インタフェース1005とを備える。
【0141】
本発明の各実施形態および各種変形例における画像取得手段21(または第1の画像取得手段27および第2の画像取得手段26)、調整手段22、並びに、心臓位置画像切り出し手段24および心拍数測定手段25を含む測定手段23は、コンピュータ2に実装される。コンピュータ2の動作は、魚の心拍数測定プログラムの形式で補助記憶装置1003に記憶されている。CPU1001は、そのプログラムを補助記憶装置1003から読み出して主記憶装置1002に展開し、そのプログラムに従って、画像取得手段21(または第1の画像取得手段27および第2の画像取得手段26)、調整手段22、並びに、心臓位置画像切り出し手段24および心拍数測定手段25を含む測定手段23として動作する。
【0142】
補助記憶装置1003は、一時的でない有形の媒体の例である。一時的でない有形の媒体の他の例として、インタフェース1004を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory )、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory )、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ2に配信される場合、配信を受けたコンピュータ2がそのプログラムを主記憶装置1002に展開し、そのプログラムに従って動作してもよい。
【0143】
また、各要素(画像取得手段21(または第1の画像取得手段27および第2の画像取得手段26)、調整手段22、並びに、心臓位置画像切り出し手段24および心拍数測定手段25を含む測定手段23)の一部または全部は、汎用または専用の回路(circuitry )、プロセッサ等やこれらの組み合わせによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各要素の一部または全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0144】
各要素の一部または全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0145】
また、図1図7および図11では、1台のコンピュータ2が設けられる場合を示した。心拍数測定システム10は、撮影手段1と、2台のコンピュータとを備えていてもよい。図13は、心拍数測定システム10が撮影手段1と2台のコンピュータとを備える場合の構成例を示す模式図である。図7に示す要素と同様の要素には図7と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0146】
図13に示す心拍数測定システム10は、撮影手段1と、第1のコンピュータ2aと、第2のコンピュータ2bとを備える。
【0147】
第1のコンピュータ2aは、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13の傾きを調整するためのコンピュータである。第1のコンピュータ2aは、画像取得手段21aと、調整手段22とを備える。画像取得手段21aは、第1のカメラ16に接続されている。第1のカメラ16は撮影によって画像を生成すると、その画像を画像取得手段21aに送信し、画像取得手段21aは、その画像を受信する。画像取得手段21aは、その画像を調整手段22に入力する。調整手段22の動作は、既に説明した動作と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0148】
第2のコンピュータ2bは、画像に基づいてメダカ31aの心拍数を測定するためのコンピュータである。第2のコンピュータ2bは、画像取得手段21bと、測定手段23とを備える。測定手段23は、心臓位置画像切り出し手段24と、心拍数測定手段25とを含む。画像取得手段21bは、第2のカメラ17に接続されている。第2のカメラ17は撮影によって画像を生成すると、その画像を画像取得手段21bに送信し、画像取得手段21bは、その画像を受信する。画像取得手段21bは、その画像を心臓位置画像切り出し手段24に入力する。心臓位置画像切り出し手段24および心拍数測定手段25の動作は、既に説明した動作と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0149】
図13に示すように、2台のコンピュータを設ける構成としても、本発明の効果は得られる。なお、撮影手段1が可動ミラーを備えない場合や、撮影手段1が1台のカメラ19を備える場合においても、図13に示す場合と同様に、2台のコンピュータが設けられていてよい。
【0150】
次に、本発明の概要について説明する。図14は、本発明の魚の心拍数測定システムの概要を示すブロック図である。本発明の魚の心拍数測定システムは、撮影手段1と、調整手段22と、測定手段23とを備える。
【0151】
撮影手段1は、水槽内で自由に泳ぐ魚(例えば、メダカ31a)を撮影し、その魚を腹部の方向から見た画像を生成する。
【0152】
調整手段22は、撮影手段1が魚を撮影することによって得られる画像内で魚が中央に写るように撮影手段1を調整する。
【0153】
測定手段23は、撮影手段1が魚を撮影することによって得られる画像に基づいて、その魚の心拍数を測定する。
【0154】
そのような構成により、魚の動きを制限せずに魚の心拍数を測定することができる。
【0155】
また、撮影手段1が、可動ミラー(例えば、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13)と、魚を撮影する少なくとも1台のカメラ(例えば、第1のカメラ16および第2のカメラ17、あるいは、カメラ19)とを含み、調整手段22が、魚が画像の中央に写るようにその可動ミラーの傾きを調整する構成であってもよい。
【0156】
また、撮影手段1が、可動ミラー(例えば、第1の可動ミラー12および第2の可動ミラー13)と、可動ミラーから到達する光を2つの経路に分けるハーフミラー(例えば、ハーフミラー15)と、その2つの経路の一方の経路の光が入射することによって魚を撮影する第1のカメラ(例えば、第1のカメラ16)と、その2つの経路のもう一方の経路の光が入射することによって魚を撮影する第2のカメラ(例えば、第2のカメラ17)とを含み、調整手段22が、第1のカメラによって得られる画像に基づいて、魚が画像の中央に写るように可動ミラーの傾きを調整し、測定手段23が、第2のカメラによって得られる画像に基づいて、魚の心拍数を測定する構成であってもよい。
【0157】
また、測定手段23が、撮影手段1によって得られる画像をエッジ画像に変換し、エッジ画像から、魚の心臓位置の画像である心臓位置画像を切り出す心臓位置画像切り出し手段(例えば、心臓位置画像切り出し手段24)と、心臓位置画像に基づいて輝度のヒストグラムを作成し、ヒストグラムにおける最頻値の度数を求め、1つの光源からの光が魚に照射されている状態における複数の心臓位置画像のそれぞれから得られる度数のデータが蓄積されたときに、蓄積された度数のデータに基づいて、魚の心拍数を測定する心拍数測定手段(例えば、心拍数測定手段25)とを含み、上記の複数の心臓位置画像は、魚の拍動が最も遅い場合の所定心拍数分の時間に対応する複数の心臓位置画像から選択された複数の心臓位置画像であって、魚の拍動が最も速い場合の1拍分の時間に対応する連続する複数の心臓位置画像のうち所定条件を満たしていないことによって選択されなかった心臓位置画像の数が所定数以下であるという条件を満たしている複数の心臓位置画像であってもよい。
【0158】
また、心拍数測定手段が、輝度のヒストグラムを作成し、ヒストグラムにおける最頻値の度数を求め、1つの光源からの光が魚の所定方向に照射されている状態における複数の心臓位置画像のそれぞれから得られる度数のデータが蓄積されたときに、蓄積された度数のデータに基づいて、魚の心拍数を測定する構成であってもよい。
【0159】
また、位置を変更可能な光源を備え、調整手段22が、撮影手段1によって得られる画像に基づいて、光源が魚の所定方向に対して光を照射するように光源の位置を調整する構成であってもよい。
【0160】
また、心拍数測定手段が、蓄積された度数のデータに対して高速フーリエ変換を行うことによって、1秒当たりの魚の心臓の心拍数を示す周波数を算出し、その周波数に基づいて、魚の心拍数を測定する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、魚の心拍数測定に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0162】
1 撮影手段
2 コンピュータ
3 水槽
4 光源
10 心拍数測定システム(魚の心拍数測定システム)
11 固定ミラー
12 第1の可動ミラー
13 第2の可動ミラー
14 駆動装置
15 ハーフミラー
16 第1のカメラ
17 第2のカメラ
19 カメラ
21 画像取得手段
22 調整手段
23 測定手段
24 心臓位置画像切り出し手段
25 心拍数測定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14