(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】ポリカーボネートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 63/64 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
C08G63/64
(21)【出願番号】P 2020562149
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 KR2019010134
(87)【国際公開番号】W WO2020032723
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】10-2018-0093982
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0096975
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ヨンウク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ヨン-イン
(72)【発明者】
【氏名】イ、キーチェ
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ムホ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ビョンキュ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ヨンーヨン
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-210422(JP,A)
【文献】特開平04-249529(JP,A)
【文献】特公昭60-050820(JP,B2)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0026141(KR,A)
【文献】特表2020-521025(JP,A)
【文献】国際公開第2010/026069(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G63
C08G69
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される繰り返し単位を
含み、
下記化学式2で表される繰り返し単位を含み、
前記化学式1で表される繰り返し単位と、化学式2で表される繰り返し単位の重量比は、5:95~40:60である、
ポリカーボネート。
【化17】
前記化学式1において、
Arは、非置換であるかもしくはC
1-10アルキルで置換されたC
6-60アリーレンであり、
nおよびmは、それぞれ0~50の整数であり、ただし、n+mは2以上である。
【化18】
前記化学式2において、
R
1
~R
4
は、それぞれ独立して水素、C
1-10
アルキル、C
1-10
アルコキシ、またはハロゲンであり、
Zは、非置換であるかもしくはフェニルで置換されたC
1-10
アルキレン、非置換であるかもしくはC
1-10
アルキルで置換されたC
3-15
シクロアルキレン、O、S、SO、SO
2
、またはCOである。
【請求項2】
前記化学式1で表される繰り返し単位は、下記化学式1a~1cのいずれか一つで表される、請求項1に記載のポリカーボネート。
【化19】
前記化学式1a~1cにおいて、nおよびmは、前記化学式1で定義したとおりである。
【請求項3】
R
1~R
4は、それぞれ独立して水素、またはC
1-4アルキルである、
請求項1または2に記載のポリカーボネート。
【請求項4】
下記式1のように測定した耐候性(ΔE値)が1~15であり、
ASTM D1238(300℃,1.2kg条件)に基づいて測定した溶融指数(melt index)が8~120g/10minである、
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリカーボネート。
【数2】
前記式1において、
L、aおよびbは、厚さ
0.3175cm試験片に対してASTM D7869方法で測定した値であり、L’、a’およびb’は、該当試験片を2250hr耐候性条件に放置した後再び測定した値である。
【請求項5】
下記化学式3で表される化合物、
下記化学式4で表される芳香族ジオール化合物、およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階;を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法。
【化20】
前記化学式3において、
Arは、非置換であるかもしくはC
1-10アルキルで置換されたC
6-60アリーレンであり、
nおよびmは、それぞれ0~50の整数であり、ただし、n+mは2以上である。
【化21】
前記化学式4において、
R
1
~R
4
は、それぞれ独立して水素、C
1-10
アルキル、C
1-10
アルコキシ、またはハロゲンであり、
Zは、非置換であるかもしくはフェニルで置換されたC
1-10
アルキレン、非置換であるかもしくはC
1-10
アルキルで置換されたC
3-15
シクロアルキレン、O、S、SO、SO
2
、またはCOである。
【請求項6】
前記化学式3で表される化合物は、下記化学式3a~3cで表される化合物の一つである、
請求項5に記載のポリカーボネートの製造方法。
【化22】
前記化学式3a~3cにおいて、
nおよびmは、前記化学式3で定義したとおりである。
【請求項7】
前記化学式4で表される芳香族ジオール化合物は、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンおよび1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタンからなる群より選択された1つ以上の化合物である、
請求項5または6に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリカーボネートを含む、成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2018年8月10日付韓国特許出願第10-2018-0093982号および2019年8月8日付韓国特許出願第10-2019-0096975号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれている。
【0002】
本発明は、ポリカーボネートおよびその製造方法に関する。より具体的には、機械的物性に優れながらも、耐候性が向上した新規の構造のポリカーボネートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリカーボネート樹脂は、優れた衝撃強度、寸法安定性、耐熱性および透明性などの物性によって電機電子製品の外装材、自動車部品、建築素材、光学部品などの分野に多様に使われている高分子素材である。
【0004】
このようなポリカーボネート樹脂は、最近ガラスおよびレンズに適用するなど応用分野の拡大につれ、ポリカーボネート樹脂固有の物性は維持しながらも耐候性と屈折率などが向上した新規の構造のポリカーボネートの開発が求められている。
【0005】
そのために、2種以上の互いに異なる構造の芳香族ジオールを共重合して構造が異なる単位体をポリカーボネートの主鎖に導入して所望する物性を得るための研究が試みられている。しかし、多くの技術が生産単価が高く、耐化学性や衝撃強度などが増加すると逆に透明性が低下し、透明性が向上すると耐化学性や衝撃強度などが低下するなどの限界がある。
【0006】
そこで、硬度などの機械的物性に優れながらも耐候性にも優れた新規の構造のポリカーボネートに対する研究開発が依然として必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、機械的物性に優れながらも、耐候性に優れたポリカーボネートと、その製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、化学式1で表される繰り返し単位を含むポリカーボネートを提供する。
【0009】
また、本発明は、化学式3で表される化合物、およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階を含む前記ポリカーボネートの製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記ポリカーボネートを含む成形品を提供する。
【0011】
以下、発明の具体的な実施形態によるポリカーボネート、その製造方法および成形品についてより詳細に説明する。
【0012】
発明の一実施形態によれば、下記化学式1で表される繰り返し単位を含むポリカーボネートを提供する:
【0013】
【0014】
前記化学式1において、
Arは、非置換であるかもしくはC1-10アルキルで置換されたC6-60アリーレンであり、
nおよびmは、それぞれ0~50の整数であり、ただし、n+mは2以上である。
【0015】
前記ポリカーボネートは、両側にエステル基で連結された多様なアリーレン官能基を含むオリゴマー由来の繰り返し単位を含むことによって重合安定性と共に優れた耐候性を示すことができる。
【0016】
より詳細には、本発明のポリカーボネートを構成する前記化学式1の繰り返し単位は、ヒドロキシベンゾエート(hydroxybenzoate)と多様なアリーレン(Ar)を連結した構造を含むものであり、ヒドロキシベンゾエートのエステル基のフリース再配列反応(fries-rearrangement)による構造変化によって従来のポリカーボネートより優れた耐候性効果を示すことができ、前記化学式1の構造内に含まれるヒドロキシベンゾエート繰り返し単位の含有量(n,m)と構造異性体によってポリカーボネートの耐候性の改善効果をさらに増加させることができる。
【0017】
本明細書において、炭素数6~60のアリーレンは単環式アリーレン基または多環式アリーレン基であり得る。具体的には、炭素数6~60のアリーレンは炭素数6~30の単環式または多環式アリーレン;または炭素数6~20の単環式または多環式アリーレンであり得る。より具体的には、炭素数6~60のアリーレンは単環式アリーレンとしてベンゼン、ビフェニル、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、またはテルフェニルなどの芳香族炭化水素由来の2価基などであり得、多環式アリールとしてナフタレン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ペリレン、クリセンまたはフルオレンなどの芳香族炭化水素由来の2価基などであり得る。ただし、これに限定されるものではない。また、前記炭素数6~60のアリーレンは炭素数1~10のアルキル基で置換されたり置換されなくてもよい。
【0018】
本明細書において、フルオレンは置換されてもよく、置換基2個が互いに結合してスピロ構造を形成することができる。前記フルオレンが置換される場合、
【0019】
【0020】
などであり得る。ただし、これに限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、アルキル基は炭素数1~10、または炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基であり得る。アルキル基の具体的な例としてはメチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明の一実施例によれば、前記化学式1においてnおよびmは、それぞれ0以上、1以上、2以上、または3以上の整数であり、50以下、20以下、15以下または10以下の整数であり得る。耐候性の向上効果の側面からnおよびmは2以上、または3以上であり得る。
【0023】
また、前記化学式1において、前記Arは、
【0024】
【0025】
であり得る。
【0026】
前記化学式1で表される繰り返し単位の具体的な例として、下記化学式1a~1cが挙げられるが、本発明がこれに制限されるものではない:
【0027】
【0028】
前記化学式1a~1cにおいて、nおよびmは、前記化学式1で定義したとおりである。
【0029】
本発明のポリカーボネートは、前記化学式1で表される繰り返し単位のみからなり、または前記化学式1で表される繰り返し単位に加え、他の芳香族ジオール化合物から由来した繰り返し単位を追加でさらに含み得る。
【0030】
一実施形態によれば、本発明のポリカーボネートは、前記化学式1で表される繰り返し単位および下記化学式2で表される繰り返し単位を含み得る:
【0031】
【0032】
前記化学式2において、
R1~R4は、それぞれ独立して水素、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、またはハロゲンであり、
Zは、非置換であるかもしくはフェニルで置換されたC1-10アルキレン、非置換であるかもしくはC1-10アルキルで置換されたC3-15シクロアルキレン、O、S、SO、SO2、またはCOである。
【0033】
前記化学式2において、前記R1~R4は、それぞれ独立して水素、またはC1-4アルキルであり得る。または前記R1~R4は、それぞれ独立して水素、メチル、クロロ、またはブロモであり得る。
【0034】
また、前記化学式2において、Zは、それぞれ独立して非置換であるかもしくはフェニルで置換された直鎖または分枝鎖のC1-10アルキレンであり、より好ましくはメチレン、エタン-1,1-ジイル、プロパン-2,2-ジイル、ブタン-2,2-ジイル、1-フェニルエタン-1,1-ジイル、またはジフェニルメチレンであり得る。
【0035】
前記化学式1で表される繰り返し単位は屈折率、流動性、および耐候性に優れる特徴があり、化学式2で表される繰り返し単位は透明性と耐衝撃性に優れる特徴があり、前記化学式1および2で表される繰り返し単位の重量比を調整して所望する物性のポリカーボネートを製造することができる。
【0036】
本発明のポリカーボネートが前記化学式1で表される繰り返し単位に加えて化学式2で表される繰り返し単位をさらに含むとき、その重量比は特に制限されず、例えば前記化学式1で表される繰り返し単位および化学式2で表される繰り返し単位の重量比は99:1~1:99であり得る。
【0037】
特に、前記化学式1で表される繰り返し単位対化学式2で表される繰り返し単位の重量比が5:95~40:60、より好ましく10:90~30:70であるとき、耐候性、および高流動性の物性はさらに優れる。
【0038】
前記ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は、目的および用途に合わせて適宜調整することができ、重量平均分子量はGPC(gel permeation chromatograph)を用いて測定した標準ポリスチレン(PS Standard)に対する換算数値を基準に15,000g/mol以上、または30,000g/mol以上、または40,000g/mol以上であり、かつ70,000g/mol以下、または60,000g/mol以下、または50,000g/mol以下であり得る。
【0039】
また、前記ポリカーボネートのASTM D1238(300℃,1.2kg条件)に基づいて測定した溶融指数(melt index)は、目的および用途に合わせて適宜調整することができるが、例えば8g/10min以上、または9g/10min以上、または10g/10min以上、または11g/10min以上、または12g/10min以上、または13g/10min以上であり、かつ120g/10min以下、または80g/10min以下、または45g/10min以下、または25g/10min以下、または23g/10min以下、または21g/10min以下で高流動性を示すことができる。
【0040】
また、前記本発明のポリカーボネートは、ASTM D7869方法でL、aおよびb値を測定した後該当試験片をWeather-Ometer(R)機械を用いて2250hr耐候性条件に放置した後再び測定したL’、a’およびb’値から計算した耐候性(△E)が15以下であり、好ましくは12以下、または10以下、または9以下、または8以下であり得る。前記耐候性は低いほど好ましいため、下限値は特に限定されないが、例えば1以上、または3以上、または4以上であり得る。
【0041】
一方、発明のまた他の実施形態によれば、下記化学式3で表される化合物、およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階を含む前記ポリカーボネートの製造方法が提供され得る:
【0042】
【0043】
前記化学式3において、
Arは、非置換であるかもしくはC1-10アルキルで置換されたC6-60アリーレンであり、
nおよびmは、それぞれ0~50の整数であり、ただし、n+mは2以上である。
【0044】
本発明の一実施例によれば、前記化学式3において、nおよびmは、それぞれ0以上、1以上、2以上、または3以上の整数であり、50以下、20以下、15以下または10以下の整数であり得る。耐候性向上効果の側面からnおよびmは2以上、または3以上であり得る。
【0045】
本発明の一実施例によれば、前記化学式3の化合物の重量平均分子量は、目的および用途に合わせて適宜調整することができ、重量平均分子量は、GPC(gel permeation chromatograph)を用いて測定した標準ポリスチレン(PS Standard)に対する換算数値を基準に200g/mol以上、または500g/mol以上、または1,000g/mol以上であり、かつ5,000g/mol以下、または3,000g/mol以下、または2,000g/mol以下であり得る。
【0046】
前記化学式3で表される化合物の具体的な例として、下記化学式3a~3cの化合物が挙げられるが、本発明がこれに制限されるものではない:
【0047】
【0048】
前記化学式3a~3cにおいて、nおよびmは、前記化学式3で定義したとおりである。
【0049】
前記化学式3で表される化合物は、下記のような反応式1により合成することができ、後述する実施例でより具体化することができる。
【0050】
【0051】
前記反応式1において、Ar,nおよびmは、前記化学式3で定義したとおりである。
【0052】
本発明の一実施例によれば、下記化学式4で表される芳香族ジオール化合物をさらに含んで重合することができる:
【0053】
【0054】
前記化学式4において、
R1~R4は、それぞれ独立して水素、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、またはハロゲンであり、
Zは、非置換であるかもしくはフェニルで置換されたC1-10アルキレン、非置換であるかもしくはC1-10アルキルで置換されたC3-15シクロアルキレン、O、S、SO、SO2、またはCOである。
【0055】
前記化学式4で表される芳香族ジオール化合物の具体的な例として、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンおよび1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタンからなる群より選ばれた1種以上の化合物を含み得る。
【0056】
また、前記カーボネート前駆体は、記化学式3で表される化合物および前記化学式4で表される化合物を連結する役割をするものであり、その具体的な例としてホスゲン、トリホスゲン、ジホスゲン、ブロモホスゲン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレシルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネートまたはビスハロホルメートが挙げられる。
【0057】
前記組成物が単量体として前記化学式3で表される化合物とカーボネート前駆体のみを含むとき、前記化学式3で表される化合物は、前記組成物100重量%に対して1重量%以上、10重量%以上、または20重量%以上であり、97重量%以下、60重量%以下、または40重量%以下で使用し得る。
【0058】
また、前記カーボネート前駆体は、前記組成物100重量%に対して3重量%以上、5重量%以上、または10重量%以上であり、20重量%以下、15重量%以下、または13重量%以下で使用し得る。
【0059】
一方、前記重合時前記組成物が単量体として前記化学式3で表される化合物、前記化学式4で表される芳香族ジオール化合物、およびカーボネート前駆体を含むとき、前記化学式3で表される化合物は、前記組成物100重量%に対して1重量%以上、10重量%以上、または20重量%以上であり、96重量%以下、60重量%以下、または40重量%以下で使用し得る。
【0060】
また、前記化学式4で表される芳香族ジオール化合物は、前記組成物100重量%に対して1重量%以上、30重量%以上、または50重量%以上であり、96重量%以下、90重量%以下、または80重量%以下を使用し得る。
【0061】
また、前記カーボネート前駆体は、前記組成物100重量%に対して3重量%以上、5重量%以上、または10重量%以上であり、20重量%以下、15重量%以下、または12重量%以下で使用し得る。
【0062】
この時、前記重合は界面重合で行うことが好ましく、界面重合時常圧と低い温度での重合反応が可能であり、分子量の調整が容易である。
【0063】
前記重合温度は0℃~40℃、反応時間は10分~5時間が好ましい。また、反応中のpHは9以上または11以上を維持することが好ましい。
【0064】
前記重合に使用できる溶媒としては、当業界でポリカーボネートの重合に使われる溶媒であれば特に制限されず、一例としてメチレンクロリド、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素を使用し得る。
【0065】
また、前記重合は酸結合剤の存在下で行うことが好ましく、前記酸結合剤として水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物を使用し得る。
【0066】
また、前記重合時のポリカーボネートの分子量調整のために、分子量調整剤の存在下で重合することが好ましい。前記分子量調整剤としてC1-20アルキルフェノールを使用し得、その具体的な例としてp-tert-ブチルフェノール、p-クミルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールまたはトリアコンチルフェノールが挙げられる。前記分子量調整剤は、重合開始前、重合開始中または重合開始後に投入され得る。前記分子量調整剤は前記芳香族ジオール化合物100重量部に対して0.01~10重量部、好ましくは0.1~6重量部を使用し得、この範囲内で所望する分子量を得ることができる。
【0067】
また、前記重合反応の促進のために、トリエチルアミン、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロミドなどの3次アミン化合物、4次アンモニウム化合物、4次ホスホニウム化合物などのような反応促進剤をさらに使用し得る。
【0068】
発明のまた他の実施形態によれば、前記ポリカーボネートを含む成形品が提供されることができる。前述したように、前記化学式1で表される繰り返し単位を含むポリカーボネートは、機械的物性に優れながらも、耐候性も向上して従来に使われていたポリカーボネートを含む成形品に比べて応用分野が広い。前記化学式1および2で表される繰り返し単位のモル比を調整して所望する物性のポリカーボネートを製造することができる。
【0069】
前記成形品は、本発明によるポリカーボネートの他に、必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、滑剤、衝撃補強剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、顔料および染料からなる群より選ばれた1種以上をさらに含み得る。
【0070】
前記成形品の製造方法の一例として、本発明によるポリカーボネートとその他添加剤をミキサーを用いてよく混合した後に、押出機で押出成形してペレットに製造し、前記ペレットを乾燥させた後射出成形機で射出する段階を含み得る。
【発明の効果】
【0071】
本発明によれば、機械的物性に優れながらも、耐候性が向上した新規の構造のポリカーボネートおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】実施例1で製造した化合物の
1H-NMRグラフである。
【
図2】実施例3で製造した化合物の
1H-NMRグラフである。
【
図3】実施例5で製造した化合物の
1H-NMRグラフである。
【
図4】実施例6で製造した化合物の
1H-NMRグラフである。
【
図5】実施例8で製造した化合物の
1H-NMRグラフである。
【
図6】実施例10で製造した化合物の
1H-NMRグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0073】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
【0074】
実施例:ポリカーボネートの製造
実施例1
(1)Resorcinol 3-HB(1,3-phenylene bis(3-hydroxybenzoate)oligomer)の製造
【0075】
【0076】
resorcinol 5gを丸いフラスコにメチレンクロリド溶媒200mlに滴加した後、1,3-Hydroxybenzoic acid 25.1gを滴加した。その後常温でオキサリルクロリド23gおよびDMF 0.01gを滴加して4時間ほど常温で攪拌し、減圧回転蒸発器を介して溶媒を除去して1,3-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomerを得た。
【0077】
そして、収得した1,3-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomerを1N NaOHと1N HCl水溶液とメチレンクロリド溶媒により酸塩基worked up過程を経て他の精製過程なしに1,3-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomer(重量平均分子量:780g/mol)をcrude収率95%で得た。
【0078】
前記収得された1,3-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomer(n+m=6)に対して
1H NMR(in CDCl
3)分析を行い、その結果を
図1に示した。
【0079】
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレーター(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水620g、BPA 112.61g、前記(1)で製造した1,3-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomerを11.27g、40重量%NaOH水溶液102.5g、MeCl2 200mlを投入して数分間攪拌させた。
【0080】
窒素パージを中止して1L丸底フラスコにトリホスゲン62gとMeCl2 120gを入れてトリホスゲンを溶解させた後、溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBPAおよび1,3-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomer溶液が溶け合っているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール)2.66gを入れて10分あまり攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液97gを入れた後、カップリング剤としてTEA 1.16gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。
【0081】
十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に下げた。そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後、水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5繰り返し行った。
【0082】
水洗が完全に行われるとポリマー層のみを抽出し、メタノール、H2Oなどを用いた非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートは重量平均分子量が46,000g/molであった。NMR分析結果、1,3-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomer由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0083】
実施例2
実施例1で、1,3-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomerを5.7g、BPAを114.51gで使用したことを除いては実施例1と同様の方法によりポリカーボネートを製造した。NMR分析結果、1,3-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomer由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して30重量%で含まれていることを確認した。
【0084】
実施例3
(2)Hydroquinone 3-HB (1,4-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomer)の製造
【0085】
【0086】
Hydroquinone 5gを丸いフラスコにメチレンクロリド溶媒200mlに滴加した後、1,3-Hydroxybenzoic acid 25.1gを滴加した。その後常温でオキサリルクロリド23gおよびDMF 0.01gを滴加して4時間ほど常温で攪拌し、減圧回転蒸発器を介して溶媒を除去して1,4-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomerを得た。
【0087】
そして、収得した1,4-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomerを1N NaOHと1N HCl水溶液とメチレンクロリド溶媒により酸塩基worked up過程を経て他の精製過程なしに1,4-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomer(重量平均分子量:1,100g/mol)をcrude収率93%で得た。
【0088】
前記収得された1,4-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomer(n+m=10)に対して
1H NMR(in Acetone-d6)分析を行い、その結果を
図2に示した。
【0089】
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレーター(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水620g、BPA 112.61g、前記(1)で製造した1,4-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomerを11.27g、40重量%NaOH水溶液102.5g、MeCl2 200mlを投入して数分間攪拌させた。
【0090】
窒素パージを中止して1L丸底フラスコにトリホスゲン62gとMeCl2 120gを入れてトリホスゲンを溶解させた後、溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBPAおよび1,4-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomer溶液が溶けているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール)2.66gを入れて10分あまり攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液97gを入れた後、カップリング剤としてTEA 1.16gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。
【0091】
十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に下げた。そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後、水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5繰り返し行った。
【0092】
水洗が完全に行われるとポリマー層のみを抽出し、メタノール、H2Oなどを用いた非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートは重量平均分子量が45,000g/molであった。NMR分析結果、1,4-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomer由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0093】
実施例4
実施例3で、1,4-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomerを5.7g、BPAを114.51gで使用したことを除いては実施例3と同様の方法によりポリカーボネートを製造した。NMR分析結果、1,4-phenylene bis(3-hydroxybenzoate) oligomer由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して30重量%で含まれていることを確認した。
【0094】
実施例5
(1)BPA 3-HB (propane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(3-hydroxybenzoate) oligomer)の製造
【0095】
【0096】
BPA 10.37gを丸いフラスコにメチレンクロリド溶媒200mlに滴加した後、1,3-Hydroxybenzoic acid 25.1gを滴加した。その後常温でオキサリルクロリド23gおよびDMF 0.01gを滴加して4時間ほど常温で攪拌し、減圧回転蒸発器を介して溶媒を除去してpropane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(3-hydroxybenzoate) oligomerを得た。
【0097】
そして、収得したpropane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(3-hydroxybenzoate) oligomerを1N NaOHと1N HCl水溶液とメチレンクロリド溶媒により酸塩基worked up過程を経て他の精製過程なしにpropane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(3-hydroxybenzoate) oligomer(重量平均分子量:1,000g/mol)をcrude収率95%で得た。
【0098】
前記収得されたpropane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(3-hydroxybenzoate) oligomer(n+m=9)に対して
1H NMR(in CDCl
3)分析を行い、その結果を
図3に示した。
【0099】
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレーター(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水620g、BPA 113.21g、前記(1)で製造したpropane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(3-hydroxybenzoate) oligomerを12.3g、40重量%NaOH水溶液102.5g、MeCl2 200mlを投入して数分間攪拌させた。
【0100】
窒素パージを中止して1L丸底フラスコにトリホスゲン62gとMeCl2 120gを入れてトリホスゲンを溶解させた後、溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBPAおよびpropane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(3-hydroxybenzoate) oligomer溶液が溶け合っているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール)2.66gを入れて10分あまり攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液97gを入れた後、カップリング剤としてTEA 1.16gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。
【0101】
十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に下げた。そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後、水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5回繰り返し行った。
【0102】
水洗が完全に行われるとポリマー層のみを抽出し、メタノール、H2Oなどを用いた非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートは重量平均分子量が49,000g/molであった。NMR分析結果、propane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(3-hydroxybenzoate) oligomer由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0103】
実施例6
(1)Resorcinol 4-HB (1,3-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomer)の製造
【0104】
【0105】
resorcinol 5gを丸いフラスコにメチレンクロリド溶媒200mlに滴加した後、1,3-Hydroxybenzoic acid 25.1gを滴加した。その後常温でオキサリルクロリド23gおよびDMF 0.01gを滴加して4時間ほど常温で攪拌し、減圧回転蒸発器を介して溶媒を除去して1,3-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomerを得た。
【0106】
そして、収得した1,3-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomerを1N NaOHと1N HCl水溶液とメチレンクロリド溶媒により酸塩基worked up過程を経て他の精製過程なしに1,3-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomer(重量平均分子量:950g/mol)をcrude収率96%で得た。
【0107】
前記収得された1,3-phenylene bis(
4-hydroxybenzoate) oligomer(n+m=8)に対して
1H NMR(in Acetone-d6)分析を行い、その結果を
図4に示した。
【0108】
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレーター(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水620g、BPA 112.61g、前記(1)で製造した1,3-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomerを11.27g、40重量%NaOH水溶液102.5g、MeCl2 200mlを投入して数分間攪拌させた。
【0109】
窒素パージを中止して1L丸底フラスコにトリホスゲン62gとMeCl2 120gを入れてトリホスゲンを溶解させた後、溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBPAおよび1,3-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomer溶液が溶け合っているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール)2.66gを入れて10分あまり攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液97gを入れた後、カップリング剤としてTEA 1.16gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。
【0110】
十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に下げた。そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後、水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5繰り返し行った。
【0111】
水洗が完全に行われるとポリマー層のみを抽出し、メタノール、H2Oなどを用いた非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートは重量平均分子量が46,000g/molであった。NMR分析結果、1,3-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomer由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0112】
実施例7
実施例6で、1,3-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomerを5.7g、BPAを114.51gで使用したことを除いては実施例6と同様の方法によりポリカーボネートを製造した。NMR分析結果、1,3-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomer由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して30重量%で含まれていることを確認した。
【0113】
実施例8
(1)Hydroquinone 4-HB (1,4-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomer)の製造
【0114】
【0115】
Hydroquinone 5gを丸いフラスコにメチレンクロリド溶媒200mlに滴加した後、1,4-Hydroxybenzoic acid 25.1gを滴加した。その後常温でオキサリルクロリド23gおよびDMF 0.01gを滴加して4時間ほど常温で攪拌し、減圧回転蒸発器を介して溶媒を除去して1,4-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomerを得た。
【0116】
そして、収得した1,4-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomerを1N NaOHと1N HCl水溶液とメチレンクロリド溶媒により酸塩基worked up過程を経て他の精製過程なしに1,4-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomer(重量平均分子量:820g/mol)をcrude収率98%で得た。
【0117】
前記収得された1,4-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomer(n+m=7)に対して
1H NMR(in CDCl
3)分析を行い、その結果を
図5に示した。
【0118】
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレーター(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水620g、BPA 112.61g、前記(1)で製造した1,4-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomerを11.27g、40重量%NaOH水溶液102.5g、MeCl2 200mlを投入して数分間攪拌させた。
【0119】
窒素パージを中止して1L丸底フラスコにトリホスゲン62gとMeCl2 120gを入れてトリホスゲンを溶解させた後、溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBPAおよび1,4-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomer溶液が溶け合っているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール)2.66gを入れて10分あまり攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液97gを入れた後、カップリング剤としてTEA 1.16gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。
【0120】
十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に下げた。そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後、水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5繰り返し行った。
【0121】
水洗が完全に行われるとポリマー層のみを抽出し、メタノール、H2Oなどを用いた非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートは重量平均分子量が48,000g/molであった。NMR分析結果、1,4-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomer由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0122】
実施例9
実施例8で、1,4-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomerを5.7g、BPAを114.51gで使用したことを除いては実施例8と同様の方法によりポリカーボネートを製造した。NMR分析結果、1,4-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) oligomer由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して30重量%で含まれていることを確認した。
【0123】
実施例10
(1)BPA 4-HB (propane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(4-hydroxybenzoate) oligomer)の製造
【0124】
【0125】
BPA 10.37gを丸いフラスコにメチレンクロリド溶媒200mlに滴加した後、1,3-Hydroxybenzoic acid 25.1gを滴加した。その後常温でオキサリルクロリド23gおよびDMF 0.01gを滴加して4時間ほど常温で攪拌し、減圧回転蒸発器を介して溶媒を除去してpropane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(4-hydroxybenzoate) oligomerを得た。
【0126】
そして、収得したpropane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(4-hydroxybenzoate) oligomerを1N NaOHと1N HCl水溶液とメチレンクロリド溶媒により酸塩基worked up過程を経て他の精製過程なしにpropane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(4-hydroxybenzoate) oligomer(重量平均分子量:980g/mol)をcrude収率95%で得た。
【0127】
前記収得されたpropane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(4-hydroxybenzoate) oligomer(n+m=7)に対して
1H NMR(in Acetone-d6)分析を行い、その結果を
図6に示した。
【0128】
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレーター(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水620g、BPA 113.21g、前記(1)で製造したpropane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(4-hydroxybenzoate) oligomerを12.3g、40重量%NaOH水溶液102.5g、MeCl2 200mlを投入して数分間攪拌させた。
【0129】
窒素パージを中止して1L丸底フラスコにトリホスゲン62gとMeCl2 120gを入れてトリホスゲンを溶解させた後、溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBPAおよびpropane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(4-hydroxybenzoate) oligomer溶液が溶け合っているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール)2.66gを入れて10分あまり攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液97gを入れた後、カップリング剤としてTEA 1.16gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に下げた。そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後、水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5繰り返し行った。
【0130】
水洗が完全に行われるとポリマー層のみを抽出し、メタノール、H2Oなどを用いた非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートは重量平均分子量が46,000g/molであった。NMR分析結果、propane-2,2-diylbis(4,1-phenylene) bis(4-hydroxybenzoate) oligomer由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0131】
比較例1
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレーター(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水620g、BPA 116gを40重量%NaOH水溶液102.5g、MeCl2 200mlを投入して数分間攪拌させた。
【0132】
窒素パージを中止して1L丸底フラスコにトリホスゲン62gとMeCl2 120gを入れてトリホスゲンを溶解させた後、溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBPA溶液が溶け合っているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール)2.66gを入れて10分あまり攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液97gを入れた後、カップリング剤としてTEA 1.16gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に下げた。
【0133】
そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後、水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5繰り返し行った。
【0134】
水洗が完全に行われるとポリマー層のみを抽出し、メタノール、H2Oなどを用いた非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートは重量平均分子量が46,300g/molであった。
【0135】
比較例2
(1)3-((3-hydroxyphenoxy)carbonyl)benzoic acid oligomerの製造
【0136】
【0137】
resorcinol 5.1gを丸いフラスコにメチレンクロリド溶媒200mlに滴加した後、水200gとNaOH 3.7g、Tetrabutylammonium bisulfate 0.01gを滴加した。その後常温でTerephthaloyl chloride 5.9gを滴加して4時間ほど常温で攪拌し、3-((3-hydroxyphenoxy)carbonyl)benzoic acid oligomerを合成した。この合成されたoligomerは別途の分離作業なしにポリカーボネート製造工程に投入した。
【0138】
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレーター(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水620g、BPA 115.077g、前記(1)で製造した3-((3-hydroxyphenoxy)carbonyl)benzoic acid oligomer solution、40重量%NaOH水溶液102.5g、MeCl2 200mlを投入して数分間攪拌させた。
【0139】
窒素パージを中止して1L丸底フラスコにトリホスゲン62gとMeCl2 120gを入れてトリホスゲンを溶解させた後、溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBPAおよび3-((3-hydroxyphenoxy)carbonyl)benzoic acid oligomer溶液が溶け合っているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール)2.66gを入れて10分あまり攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液97gを入れた後、カップリング剤としてTEA 1.16gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。
【0140】
十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に下げた。そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後、水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5繰り返し行った。
【0141】
水洗が完全に行われるとポリマー層のみを抽出し、メタノール、H2Oなどを用いた非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートは重量平均分子量が46,000g/molであった。NMR分析結果、3-((3-hydroxyphenoxy)carbonyl)benzoic acid oligomer由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0142】
比較例3
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレーター(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水620g、BPA 108.9g、1,4-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) monomer 11.38gを40重量%NaOH水溶液102.5g、MeCl2 200mlを投入して数分間攪拌させた。
【0143】
窒素パージを中止して1L丸底フラスコにトリホスゲン62gとMeCl2 120gを入れてトリホスゲンを溶解させた後、溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBPAおよび1,4-phenylene bis(4-hydroxybenzoate) monomer溶液が溶け合っているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール)2.66gを入れて10分あまり攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液97gを入れた後、カップリング剤としてTEA 1.16gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。
【0144】
十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に下げた。
【0145】
そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後、水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5繰り返し行った。水洗が完全に行われるとポリマー層のみを抽出し、メタノール、H2Oなどを用いた非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートは重量平均分子量が48,000g/molであった。
【0146】
実験例:ポリカーボネートの物性評価
前記実施例および比較例で製造したポリカーボネートの射出試験片の特性を下記の方法で測定し、その結果を表1に示した。
【0147】
*重量平均分子量(g/mol):高分子樹脂200mgを200ml Tetrahydrofuran(THF)溶媒に希釈して約1000ppmのサンプルを製造し、Agilent 1200 series GPC機器を用いて1ml/min FlowでRI detectorにより分子量を測定した。サンプルの分子量算出基準は標準PSスタンダード(Standard)8種を測定して検量線を作成した後、これを根拠にサンプルの分子量を算出した。
【0148】
*流れ性(MI):ASTM D1238(300℃,1.2kg条件)に基づいて測定した。
【0149】
*耐候性測定(△E):厚さ0.3175cm(1/8inch)試験片に対してASTM D7869方法でL、aおよびb値を測定した後該当試験片をWeather-Ometer(R)機械を用いて2250hr耐候性条件に放置した後L’、a’およびb’値を再び測定した。これに基づいて下記式1により耐候性△Eを計算した。
【0150】
【0151】
【0152】
(*比較例2,3は化学式1の繰り返し単位ではないが、これに対応する繰り返し単位の種類を記載した)
前記表1を参照すると、比較例1の一般的なBPAポリカーボネートまたは比較例2~3のポリカーボネートより本発明の繰り返し単位を含むすべての実施例が、耐候性と流動性が顕著に向上し、特に、化学式1の繰り返し単位を10重量%程度で含むとき最も高い耐候性の向上効果を示した。