(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】低粉塵のシリカエアロゲルブランケット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/16 20060101AFI20220602BHJP
F16L 59/02 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
C01B33/16
F16L59/02
(21)【出願番号】P 2020523458
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(86)【国際出願番号】 KR2018011078
(87)【国際公開番号】W WO2019098519
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-04-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0153280
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】オ、ミョン-ウン
(72)【発明者】
【氏名】イ、キュ-リョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、チェ-キュン
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/051029(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/157784(WO,A1)
【文献】特表2015-528071(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0255628(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0273701(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1599625(KR,B1)
【文献】特開2011-162902(JP,A)
【文献】国際公開第2017/009858(WO,A1)
【文献】特表2008-505261(JP,A)
【文献】特表2010-525188(JP,A)
【文献】特開2018-021659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 - 33/193
F16L 59/00 - 59/22
D01F 9/08 - 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)第1シリカゾルに塩基触媒を添加し、ブランケット基材に含浸及びゲル化させるステップ;
2)第2シリカゾルに塩基触媒を添加し、前記第1シリカゾルが含浸されたブランケット基材の一方の面上に噴射及びゲル化させるステップ;及び
3)第3シリカゾルに塩基触媒を添加し、
2)ステップで得られたブランケット基材の前記第2シリカゾルが噴射された
面上のみに噴射及びゲル化させるステップを含み、
前記第2シリカゾルは不透明化剤をさらに含み、
前記第1シリカゾル及び前記第3シリカゾルは、不透明化剤をさらに含まない、
シリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項2】
前記第1シリカゾル、前記第2シリカゾル及び前記第3シリカゾルの体積比は、10から40vol%:20から80vol%:10から40vol%である、請求項1に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項3】
前記不透明化剤は、全シリカゾルに含まれたシリカ重量に対して1から30wt%である、請求項1または2に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項4】
前記第2シリカゾルは、前記第1シリカゾルがゲル化を完了した以後に噴射され、
前記第3シリカゾルは、前記第2シリカゾルがゲル化を完了する前に噴射される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項5】
前記不透明化剤は、TiO
2、アルミナ、ジルコニア(ZrO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO
2)、酸化鉄及びカーボンブラックからなる群から選択される1つ以上を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項6】
第1エアロゲル層、第2エアロゲル層及び第3エアロゲル層を含み、
前記第2エアロゲル層は、前記第1エアロゲル層及び前記第3エアロゲル層の間に介在され、
前記第2エアロゲル層は、不透明化剤をさらに含み、
前記第1エアロゲル層及び前記第3エアロゲル層は、不透明化剤をさらに含まない、
シリカエアロゲルブランケット。
【請求項7】
前記第1エアロゲル層、前記第2エアロゲル層及び前記第3エアロゲル層に含まれたシリカの重量比は、10から40wt%:20から80wt%:10から40wt%である、請求項6に記載のシリカエアロゲルブランケット。
【請求項8】
前記不透明化剤は、全エアロゲル層に含まれたシリカ重量に対して1から30wt%である、請求項6または7に記載のシリカエアロゲルブランケット。
【請求項9】
前記第1エアロゲル層、前記第2エアロゲル層及び前記第3エアロゲル層の厚さは、1から4mm:2から8mm:1から4mmである、請求項6~8のいずれか一項に記載のシリカエアロゲルブランケット。
【請求項10】
請求項6~請求項9のいずれか一項に記載のシリカエアロゲルブランケットを含み、
前記シリカエアロゲルブランケットの表面に水に対して不透過性であり、水蒸気に対して透過性である層をさらに含む、絶縁材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年11月16日付韓国特許出願第10-2017-0153280号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、低粉塵のシリカエアロゲルブランケット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エアロゲル(aerogel)は、ナノ粒子からなる高多孔性物質であって、高い気孔率と比表面積、そして低い熱伝導度を有するので、高効率の断熱材、防音材などの用途として注目されている。
【0004】
一方、このようなエアロゲルは、多孔性構造によって非常に低い機械的強度を有するため、既存の断熱繊維である無機繊維または有機繊維などの繊維状ブランケットにエアロゲルを含浸して結合させたエアロゲル複合体が開発されている。
【0005】
エアロゲルブランケットは、柔軟性(flexibility)を有しているので、任意の大きさや形態に曲げたり、折り畳んだり切ったりすることができ、取扱いが容易なので、LNG船の断熱パネル、工業用断熱材と宇宙服、交通及び車両、電力生産用断熱材などのような工業用への応用だけでなく、ジャケットや運動靴類などのような生活用品にも利用されている。
【0006】
エアロゲルは、通常、シリカゾルの製造ステップ、ゲル化ステップ、熟成(エージング)ステップ、表面改質ステップ及び乾燥ステップを介して製造されるところ、前記エアロゲルブランケットの断熱性能及び火災予防特性を改善させるため、前記シリカゾルの製造ステップで輻射熱の遮蔽のための不透明化剤、または難燃性能の改善のためにMetal Hydroxide系列の難燃剤などの添加剤を使用していた。
【0007】
しかし、前記添加剤によってSiO2結合が弱化し、ブランケット基材とエアロゲルとの間の付着力が減少して粉塵(Dust)の発生が増加し、エアロゲルブランケットが配管などに施工された場合、配管のVibrationによってエアロゲルまたは添加剤がブランケット基材から継続的に分離され、粉塵発生の問題はさらに悪化した。
【0008】
これを改善するため、US8,021,583 B2では、エアロゲル顆粒または粉末を製造してスラリー形態で繊維の間に充填して粉塵(Dust)の発生を低減させようとしたが、ゲルキャスティング法に比べ、バインダーなどによって熱伝導度が上昇するという問題点が伴われた。
【0009】
前記のようにエアロゲルブランケットは、施工時に多量の粉塵が発生するので、作業者の健康上の問題及び施工上の不便さをもたらすという問題点があるところ、粉塵の発生量を減縮させることで、エアロゲルブランケットの施工容易性を改善させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するために案出されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、粉塵の発生を低減できるとともに、断熱性能の低下を防止できるシリカエアロゲルブランケット及びその製造方法を提供することである。
【0012】
具体的に、シリカエアロゲルブランケットの表面に不透明化剤が露出されないようにシリカゾルを分離投入することで、低粉塵のシリカエアロゲルブランケットを製造することができるシリカエアロゲルブランケットの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、1)第1シリカゾルに塩基触媒を添加し、ブランケット基材に含浸及びゲル化させるステップ;2)第2シリカゾルに塩基触媒を添加し、前記第1シリカゾルが含浸されたブランケット基材上に噴射及びゲル化させるステップ;及び3)第3シリカゾルに塩基触媒を添加し、前記第2シリカゾルが噴射されたブランケット基材上に噴射及びゲル化させるステップを含み、前記第2シリカゾルは、不透明化剤をさらに含むものである、シリカエアロゲルブランケットの製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、第1エアロゲル層、第2エアロゲル層及び第3エアロゲル層を含み、前記第2エアロゲル層は、第1エアロゲル層及び第3エアロゲル層の間に介在され、前記第2エアロゲル層は、不透明化剤をさらに含むものであるシリカエアロゲルブランケットを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、粉塵の発生を低減できるとともに、断熱性能の低下を防止できるシリカエアロゲルブランケットを製造することができる。
【0016】
本発明の前記シリカエアロゲルブランケットを用いる場合、粉塵の発生による作業者の健康上の問題及び施工上の不便さが低減するので、施工容易性が改善される効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に対する理解を助けるために本発明をさらに詳しく説明する。このとき、本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0018】
本発明は、一般的に多量の粉塵の発生を誘導する輻射熱の遮蔽のための不透明化剤が、エアロゲルブランケットの表面に表れないように製造することで、粉塵の発生を低減できるとともに、断熱性能の低下を防止できるシリカエアロゲルブランケット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
以下、前記本発明のシリカエアロゲルブランケット及びその製造方法を詳しく説明する。
【0020】
一般的に、エアロゲルブランケットの製造工程では、輻射熱(Radiative conductivity)の遮蔽のための添加剤として不透明化剤を使用し、前記不透明化剤をシリカゾルに混合してゲル化させるため、エアロゲルブランケットの表面に前記添加剤がそのまま露出されることとなり、これによってブランケットの施工時に多量の粉塵が発生するしかない。
【0021】
前記エアロゲルブランケットで発生する粉塵は、砕けたモノリスよりは不透明化剤の用途として投入される添加剤に由来することが殆どである。粉塵の発生量を低減すべく、前記不透明化剤を使用しないか、使用量を減少させる場合には、輻射熱の遮蔽が困難であるため高温での熱伝導度が増加し、シリカエアロゲルブランケットの断熱性能が良くないという問題が生じ得る。
【0022】
そのため、本発明は、不透明化剤の使用量は維持しながら、エアロゲルブランケットの表面に露出される不透明化剤の含量を減らすことで、ブランケットで発生する粉塵を低減しようとする。
【0023】
具体的に、従来には、前記不透明化剤をシリカゾルに混合してゲル化させたため、ブランケットの表面に前記不透明化剤がそのまま露出され、粉塵の発生量が大きいという問題があった。
【0024】
よって、本発明は、前記問題を解決すべく、不透明化剤がブランケットの表面に露出されないようにするため、シリカゾルに不透明化剤を分離投入することを特徴とする。
【0025】
具体的に、本発明のシリカエアロゲルブランケットの製造方法は、1)第1シリカゾルに塩基触媒を添加し、ブランケット基材に含浸及びゲル化させるステップ;2)第2シリカゾルに塩基触媒を添加し、前記第1シリカゾルが含浸されたブランケット基材上に噴射及びゲル化させるステップ;及び3)第3シリカゾルに塩基触媒を添加し、前記第2シリカゾルが噴射されたブランケット基材上に噴射及びゲル化させるステップを含み、前記第2シリカゾルは、不透明化剤をさらに含むことを特徴とする。前記第1シリカゾル及び第3シリカゾルは、不透明化剤をさらに含まないと好ましい。
【0026】
前記第1シリカゾル及び第3シリカゾルが不透明化剤をさらに含まないということは、言い換えれば、第1シリカゾル及び第3シリカゾルは、不透明化剤なしにシリカ前駆体及びエタノールのみで構成されていることを意味する。
【0027】
前記第1シリカゾル及び第3シリカゾルは、シリカエアロゲルブランケットの両面または表面に含浸または噴射され、ブランケットの表面に露出されるシリカゾルを意味し、前記第2シリカゾルは、シリカエアロゲルブランケットの中問層に含浸され、ブランケットの表面に露出されないシリカゾルを意味する。
【0028】
前記のような本発明の製造方法でシリカエアロゲルブランケットを製造する場合、シリカエアロゲルブランケットの両面または表面には不透明化剤が含まれずに、中問層にのみ不透明化剤が含まれるので、断熱性能は維持しながらも、低粉塵のシリカエアロゲルブランケットを製造することができる。
【0029】
一方、前記第2シリカゾルは、第1シリカゾルが含浸及びゲル化を完了した後に噴射することができる。第1シリカゾルがゲル化を完了した後に噴射する場合、第2シリカゾルに含まれた不透明化剤がブランケット基材の底部に染み込むので、表面に露出されることを防止するのにさらに効果的である。
【0030】
また、前記第3シリカゾルは、第2シリカゾルがゲル化を完了する前に噴射することができる。第2シリカゾルがゲル化を完了した以後に第3シリカゾルを噴射する場合、第3シリカゾルがブランケット基材に含浸されず、ブランケットの表面上でブランケット基材なしにゲル化されることがあり、この場合、前記第3シリカゾルがゲル化された部分の耐久性が落ち、粉塵の発生が多少増加することができるためである。
【0031】
一方、本発明で用いる不透明化剤は、TiO2、アルミナ、ジルコニア(ZrO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)、酸化鉄及びカーボンブラックからなる群から選択される1種以上であってよい。
【0032】
また、前記不透明化剤は、全シリカゾルに含まれたシリカ重量に比べて1から30wt%、より具体的には2.5から7.5wt%を添加してよい。全シリカゾルとは、第1シリカゾル、第2シリカゾル及び第3シリカゾルを合わせたことを意味する。前記範囲ほど添加した場合、輻射熱の遮蔽効果に優れるためである。
【0033】
前記範囲より少量添加された場合には、シリカエアロゲルブランケットの高温での断熱性能に優れないことがあり、前記範囲より過量添加された場合には、常温での熱伝導度が上昇するという問題があり得る。
【0034】
一方、前記第1シリカゾル、第2シリカゾル及び第3シリカゾルの体積比は、第1シリカゾル乃至第3シリカゾルを含む全シリカゾルに比べて、10から40vol%:20から80vol%:10から40vol%であってよい。
【0035】
第1シリカゾル及び第3シリカゾルが前記範囲より少ない場合には、不透明化剤が含まれた第2シリカゾルがブランケットの表面に露出されやすいので、粉塵減少の効果を期待し難く、前記範囲より多い場合には、不透明化剤が分散されている第2シリカゾルの量が相対的に十分ではないため、不透明化剤がガラス繊維に均一に分散され得ないという問題があり得る。
【0036】
また、本発明は、前記シリカエアロゲルブランケットの製造方法によって製造されたシリカエアロゲルブランケットを提供することができる。
【0037】
具体的に、本発明のシリカエアロゲルブランケットは、第1エアロゲル層、第2エアロゲル層及び第3エアロゲル層を含み、前記第2エアロゲル層は、第1エアロゲル層及び第3エアロゲル層の間に介在され、前記第2エアロゲル層は不透明化剤をさらに含む。前記第1エアロゲル層及び第3エアロゲル層は不透明化剤をさらに含まないものであり得ると好ましい。
【0038】
前記第1エアロゲル層及び第3エアロゲル層が不透明化剤をさらに含まないということは、言い換えれば、第1エアロゲル層及び第3エアロゲル層は、その製造時に不透明化剤なしに、シリカ前駆体及びエタノールのみで製造されるということを意味する。
【0039】
前記第1エアロゲル層及び第3エアロゲル層は、シリカエアロゲルブランケットの両面または表面に位置する層を意味し、前記第2エアロゲル層は、第1エアロゲル層及び第3エアロゲル層の間に介在された層であって、ブランケットの表面に露出されないシリカエアロゲルブランケットの中問層を意味し得る。
【0040】
一方、前記第1エアロゲル層、第2エアロゲル層及び第3エアロゲル層に含まれたシリカの重量比は、第1エアロゲル層乃至第3エアロゲル層を含む全エアロゲル層に含まれたシリカの重量に比べて、10から40重量%:20から80重量%:10から40重量%であってよい。
【0041】
第1エアロゲル層及び第3エアロゲル層に含まれたシリカの含量が前記範囲より少ない場合には、不透明化剤が含まれた第2エアロゲル層がブランケットの表面に露出されやすいので、粉塵減少の効果を期待し難く、前記範囲より多い場合には、不透明化剤が分散されている第2エアロゲル層のシリカの量が相対的に十分ではないので、不透明化剤がガラス繊維に均一に分散され得ないという問題があり得る。
【0042】
本発明の前記不透明化剤は、全エアロゲル層に含まれたシリカ重量に比べて1から30wt%、より具体的には2.5から7.5wt%であってよい。前記範囲ほど添加した場合、輻射熱の遮蔽効果に優れるためである。
【0043】
また、本発明のシリカエアロゲルブランケットは、前記第1エアロゲル層、第2エアロゲル層及び第3エアロゲル層の厚さは、1から4mm:2から8mm:1から4mmであってよい。
【0044】
前記第1エアロゲル層及び第3エアロゲル層の厚さが前記範囲より薄い場合には、不透明化剤がブランケットの表面近くに位置するようになるので、粉塵低減の効果に優れないことがあり、前記範囲より厚い場合には、不透明化剤が第2エアロゲル層に均一に分散され得ないという問題があり得る。
【0045】
本発明のシリカエアロゲルブランケットは、18Hz/6hrsの振動条件で、重さ減少率が0.5%以下、さらに具体的には0.4%以下であってよいところ、粉塵の発生が減少され、作業者の健康上の問題及び施工上の不便さが低減するので、施工容易性が改善され得る。
【0046】
また、本発明は、前記シリカエアロゲルブランケットを含み、前記シリカエアロゲルブランケットの表面に、水に対して不透過性であり、水蒸気に対して透過性である層をさらに含む絶縁材を提供することができる。前記シリカエアロゲルブランケットの表面に形成された前記追加の層が水に対して不透過性である場合、絶縁材が適用された設備または機器に水が浸透することを防止し、水による腐食を防止することができ、水蒸気に対して透過性である場合、絶縁材が適用された設備または機器で水蒸気を外に透過させ、内部で水蒸気が凝結されることを防止するので、水蒸気による腐食を防止することができる。
【0047】
より具体的に、前記水に対して不透過性であり、水蒸気に対して透過性である層は、セルロース物質であってよい。
【0048】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例に対して詳しく説明する。しかし、本発明は、いくつか異なる形態に具現されてよく、ここで説明する実施例に限定されない。
【0049】
実施例1
予め水和させたTEOSとエタノールを3:1の重量比で混合し、シリカゾル(シリカゾル内のシリカ含量4重量%)2040mlを製造した。
【0050】
1)前記シリカゾルの30vol%にアンモニア触媒0.5vol%を添加してゲル化反応を開始した後、準備されたガラス繊維に含浸及びゲル化させた。
【0051】
2)前記ゲル化を完了した後、前記シリカゾルの40vol%に不透明化剤TiO24gを分散させた後、アンモニア触媒0.5vol%を添加してゲル化反応を開始した後、前記ガラス繊維に噴射してゲル化させた。
【0052】
3)前記ゲル化が完了する前、残った前記シリカゾルの30vol%にアンモニア触媒0.5vol%を添加してゲル化反応を開始した後、前記ガラス繊維に噴射してゲル化させてシリカ湿潤ゲル複合体を製造した。
【0053】
前記シリカ湿潤ゲル複合体をエタノール溶液中に50℃の温度で1時間放置して熟成させ、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)とエタノールを混合して製造した表面改質剤溶液(HMDS 7vol%)を湿潤ゲルに対して90vol%で添加し、70℃で4時間表面改質させて疎水性のシリカ湿潤ゲル複合体を製造した。前記疎水性のシリカ湿潤ゲル複合体を7.2L超臨界抽出機(extractor)に入れてCO2を注入した。それ以後、抽出機内の温度を1時間に亘って60℃に昇温し、50℃、100barで超臨界乾燥させて、シリカエアロゲルブランケットを製造した。
【0054】
実施例2及び3
前記実施例1の1)、2)及び3)でガラス繊維に含浸または噴射するシリカゾルの比率を下記表1に記載されたところと同一にしたことを除き、実施例1と同様の方法でシリカエアロゲルブランケットを製造した。
【0055】
比較例1
予め水和させたTEOSとエタノールを3:1の重量比で混合してシリカゾル(シリカゾル内のシリカ含量4重量%)2040mlを製造し、ここに不透明化剤TiO24gを分散させた。
【0056】
それ以後、アンモニア触媒0.5vol%を添加してゲル化反応を開始した後、ガラス繊維上に噴射してシリカ湿潤ゲル複合体を製造した。
【0057】
前記シリカ湿潤ゲル複合体の熟成、表面改質及び超臨界乾燥工程は、実施例1と同様の方法で行って、シリカエアロゲルブランケットを製造した。
【0058】
【0059】
実験例1:粉塵発生量の測定
前記実施例及び比較例で製造した各シリカエアロゲルブランケットを12cm×12cmになるように切断してサンプルを製造した後、振動条件を18Hz/6hrsにして振動による重量減少率を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0060】
*重量減少率(%)=[(最初のシリカエアロゲルブランケットの重量振動実験後のシリカエアロゲルブランケットの重量)/(最初のシリカエアロゲルブランケットの重量)]×100
表1で示すように、実施例の重量減少率が比較例に比べて顕著に減少されたことが確認できた。これを介して実施例のシリカエアロゲルブランケットの粉塵発生量が比較例に比べて顕著に少ないことが分かり、これはシリカエアロゲルブランケットの表面に不透明化剤が露出されていないことによるものであることが予想できた。
【0061】
実験例2:熱伝導度の測定
前記実施例及び比較例で製造した各シリカエアロゲルブランケットをNETZSCH社のHFM436装備を用いて常温での熱伝導度を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0062】
表1で示すように、実施例のシリカエアロゲルブランケットの常温での熱伝導度は、比較例と同等水準であることが確認できた。これを介して本発明のシリカエアロゲルブランケットは、常温での断熱性能の低下なしに低粉塵特性を確保できることが分かった。
【0063】
実験例3:高温での裏面温度の測定
前記実施例及び比較例で製造した各シリカエアロゲルブランケットを12cm×12cmになるように切断して製造したサンプルを6時間の間600℃のSiCプレートと密着させた後、裏面温度を測定して、その結果を表1に示した。
【0064】
不透明化剤の投入は、輻射熱を遮蔽し、高温露出時の断熱性能を高めるためである。よって、不透明化剤の投入方法に関する本実験では、高温での断熱性能が維持されるのか確認しなければならず、このために高温プレートに密着されたサンプルの裏面温度を測定した(plate/サンプルの全ての横面は断熱された状態)。一方、断熱性能に優れるほど、裏面温度は低い。
【0065】
表1で示すように、実施例のシリカエアロゲルブランケットの高温での裏面温度は、比較例と同等水準であることが確認できたところ、これを介して本発明のシリカエアロゲルブランケットは、高温での断熱性能の低下なしに低粉塵特性を確保できることが分かった。
【0066】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるものである。よって、以上で記述した実施例等は、全ての面において例示的なものであり、限定的ではないものと理解しなければならない。